(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】曲げ規制ホルダ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20241111BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20241111BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20241111BHJP
F16L 3/123 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/04 037
F16B7/04 301G
F16L3/123
(21)【出願番号】P 2021011632
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】奥本 一哉
(72)【発明者】
【氏名】東山 正弘
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-223013(JP,A)
【文献】特開2012-037694(JP,A)
【文献】特開2012-053383(JP,A)
【文献】特開2010-231014(JP,A)
【文献】特開2012-113972(JP,A)
【文献】特開2016-116371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0238311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
H02G 3/04
F16B 7/04
F16L 3/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケーブルにより構成される主線部と、最小曲げ半径が規定された第2ケーブルにより構成される副線部とが備えられたワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所において、上記副線部を、上記主線部とは独立して曲げ規制するホルダ本体が備えられ、
上記ホルダ本体は、上記曲げ変形箇所における、上記副線部の曲げ部分である副線曲げ部に対して径方向の内側と外側とのうち、少なくとも一方側からガイドする径方向ガイド壁が備えられ、
上記径方向ガイド壁は、上記第2ケーブルの上記最小曲げ半径以上の曲げ半径を有するとともに、上記副線曲げ部に沿って連続して延びる曲げ形状に形成さ
れ、
上記ホルダ本体に、上記副線曲げ部の配索方向の直交断面視において、上記径方向ガイド壁の径方向に直交する径直交方向の両側から該副線曲げ部を有する側へ突出して該副線曲げ部の上記径直交方向の位置を規制する補助ガイド壁が一対備えられ、
上記径方向ガイド壁と上記一対の補助ガイド壁とのうち、何れか一つのガイド壁には、他のガイド壁よりも上記副線部の配索方向において直線状に延伸する直線状ガイド部が設けられた
曲げ規制ホルダ。
【請求項2】
上記径方向ガイド壁と一対の上記補助ガイド壁とで、内側に副線部収容空間が構成され、
上記副線部収容空間に収容した上記副線部が、該副線部収容空間から抜けないように上記副線部を係止する係止爪が上記補助ガイド壁に形成された
請求項1に記載の曲げ規制ホルダ。
【請求項3】
上記係止爪は、上記補助ガイド壁における、上記副線曲げ部の配索方向における両端部に形成された
請求項2に記載の曲げ規制ホルダ。
【請求項4】
上記ホルダ本体を上記主線部に取り付ける主線取付け部が備えられた
請求項3に記載の曲げ規制ホルダ。
【請求項5】
上記主線取付け部は、上記主線部を結束する結束バンドと、上記主線部に設置可能な台座ブロックと、上記ホルダ本体に設けられた本体側バンド案内部とが備えられ、
上記台座ブロックは、上記径方向ガイド壁に対して、上記副線部を有する側と反対側に一体形成され、
上記ワイヤハーネスの直交断面視において、
上記台座ブロックと上記ホルダ本体とが上記主線部の周方向に並んだ状態で共に該主線部に設置される姿勢を、倒位姿勢とするとともに、
上記ホルダ本体が上記台座ブロックを介して上記主線部に設置される姿勢を、立位姿勢とし、
上記倒位姿勢の状態で上記台座ブロックと上記主線部とに上記結束バンドを巻き付ける方向に案内する第1バンド案内部と、上記立位姿勢の状態で上記台座ブロックと上記主線部とに上記結束バンドを巻き付ける方向に案内する第2バンド案内部とが、上記台座ブロックと上記本体側バンド案内部との夫々に設けられ、
上記本体側バンド案内部には、上記第1バンド案内部と上記第2バンド案内部とで共通するバンド案内構造が構成された
請求項4に記載の曲げ規制ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、複数のケーブルが備えられたワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所において、ワイヤハーネスの少なくとも1本のケーブルを所定の曲げ形状に規制する曲げ規制ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のケーブル(電線)が備えられたワイヤハーネスは、自動車等の車両における所定の配索経路に沿って配索される。このようなワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所において、ワイヤハーネスの曲げ部分を所定の曲げ形状に規制する曲げ規制ホルダが従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の曲げ規制ホルダとしての経路規制部材は、ワイヤハーネスを構成する複数のケーブルをひとまとめにした状態で、該ワイヤハーネスに対してテープ巻き等により取り付けられる。
【0004】
これにより、特許文献1の経路規制部材は、ワイヤハーネスの曲げ部分が所定の方向に曲げ変形されるとともに過度に曲げ変形されないように、該ワイヤハーネスを構成する複数のケーブルを一括して規制するものである。
【0005】
ところで、自動車等の車両に搭載される電気・電子機器の高性能化、高機能化に伴って、ワイヤハーネスを構成するケーブルとして、例えば、いわゆる伝送損失の発生やノイズの影響を極力抑制するために、例えば、GMSL(Gigabit Multimedia Serial Link)と称される通信方式に適合した、カメラの映像伝送に特化したケーブルや、光ファイバケーブル(光通信ケーブル)等の高速通信用ケーブルが適用されることがある。
【0006】
この高速通信用ケーブルには、伝送損失抑制やノイズ抑制の性能確保のため、最小曲げ半径が規定されていることがある。
【0007】
ワイヤハーネスは、導電性材質から成る通常のケーブル(以下、「第1ケーブル」とも称する)と、例えば、高速通信用ケーブル(以下、「第2ケーブル」とも称する)とをひとまとめにして配索されることがあり、第1ケーブルと第2のケーブルとにより構成されるワイヤハーネスの曲げ変形箇所においては、ワイヤハーネスの曲げ部分を、最小曲げ半径が規定された第2のケーブルの最小曲げ半径より大きな曲げ半径となる所定の曲げ形状で配索する必要がある。
【0008】
これに対して、特許文献1の経路規制部材は、上述したように、ワイヤハーネスを構成する複数のケーブルをひとまとめにした状態で取り付けて、複数のケーブルの全てが、夫々のケーブル自体が有する最小曲げ半径を下回らないように複数のケーブルを一括して規制するものである。
【0009】
しかしながら、ワイヤハーネスの曲げ部分において、第1ケーブルと第2ケーブルとは、互いの曲げ特性の違いによって、例えば、第2ケーブルと、該第2ケーブルに隣接して配索される第1ケーブルとの相対位置が、曲げ部分の配索方向Wに沿って変動するおそれがある。
【0010】
そうすると、ワイヤハーネスの曲げ部分において、複数の第1ケーブルと共に第2ケーブルが例えば、第1ケーブルよりも曲げ部分の両端を短い配索経路で繋ぐように(すなわち、ショートカットするように)配索されるおそれがある。
【0011】
このような場合、ワイヤハーネスの曲げ部分自体が、第2のケーブルが有する最小曲げ半径より大きな曲げ半径となる所定の曲げ形状に配索されていたとしても、第2ケーブルが局所的に過度に曲げ変形されるなどして、複数の第1ケーブルの中で第2のケーブルが意に反して最小曲げ半径を下回るように配索されることが懸念されるため、対策を講じる必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明は、上述した問題を鑑み、第1ケーブルと第2ケーブルとがまとめて配索されるワイヤハーネスにおいて、例えば、導電性材質により形成される通常のケーブル等の第1ケーブルよりも最小曲げ半径がより大きく設定されている例えば、高速通信ケーブル等の第2のケーブルが最小曲げ半径を下回ることがないように該第2のケーブルの曲げ形状を規制できる曲げ規制ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、第1ケーブルにより構成される主線部と、最小曲げ半径が規定された第2ケーブルにより構成される副線部とが備えられたワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所において、上記副線部を、上記主線部とは独立して曲げ規制するホルダ本体が備えられ、上記ホルダ本体は、上記曲げ変形箇所における、上記副線部の曲げ部分である副線曲げ部に対して径方向の内側と外側とのうち、少なくとも一方側からガイドする径方向ガイド壁が備えられ、上記径方向ガイド壁は、上記第2ケーブルの上記最小曲げ半径以上の曲げ半径を有するとともに、上記副線曲げ部に沿って連続して延びる曲げ形状に形成され、上記ホルダ本体に、上記副線曲げ部の配索方向の直交断面視において、上記径方向ガイド壁の径方向に直交する径直交方向の両側から該副線曲げ部を有する側へ突出して該副線曲げ部の上記径直交方向の位置を規制する補助ガイド壁が一対備えられ、上記径方向ガイド壁と上記一対の補助ガイド壁とのうち、何れか一つのガイド壁には、他のガイド壁よりも上記副線部の配索方向において直線状に延伸する直線状ガイド部が設けられた曲げ規制ホルダであることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、上記ワイヤハーネスの上記曲げ変形箇所において、上記主線曲げ部の曲げ半径に関わらず、上記副線曲げ部の曲げ半径が第2ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径になるように上記副線曲げ部を規制することができる。
【0016】
ここで、上記第1のケーブルは、通常の導電性材質により形成されるケーブルを挙げることができる。これに対して、上記2ケーブルは、車載カメラの映像信号を伝送する通信ケーブルとしての品質を満足することは勿論、上記通信ケーブルとして適用するうえで所定の規格に準拠するという観点からも第1のケーブルよりも大きな最小曲げ半径とすることが要求されるケーブルを挙げることができる。
【0017】
上記第2ケーブルは、光通信ケーブル(光ファイバケーブル)、同軸ケーブル、或いはツイスト・ペア・ケーブルも含み、第2ケーブルが適用される通信方法として、例えば、GMSL(Gigabit Multimedia Serial Link)といった高速通信ケーブル用の規格が挙げられる。
【0018】
また、上記ホルダ本体に、上記副線曲げ部の配索方向の直交断面視において、上記径方向ガイド壁の径方向に直交する径直交方向(幅方向)の両側から該副線曲げ部の側へ突出して該副線曲げ部の上記径直交方向の位置を規制する補助ガイド壁が一対備えられている。
【0019】
上記構成によれば、上記副線曲げ部を、上記径方向ガイド壁によって径方向においてガイドするのみならず、一対の上記補助ガイド壁によって上記径直交方向においてもガイドすることができる。
【0020】
さらに、上記ホルダ本体は、一対の上記補助ガイド壁を備えることにより、上記主線曲げ部に対して、上記径方向ガイド壁が当接するように配する配置態様に限らず、一対の上記補助ガイド壁のうち何れか一方が当接するように配することもできる。
【0021】
すなわち、上記副線曲げ部の配索方向の直交断面視において、上記副線曲げ部と上記主線曲げ部とを、これらの間にホルダ本体を介在させた状態で並列配置する場合において、曲げ規制ホルダは、上記主線曲げ部に対して様々な姿勢で配置した状態でテープ等を用いて一体に取り付けることができる。
【0022】
さらにまた、上記径方向ガイド壁と上記一対の補助ガイド壁とのうち、何れか一つのガイド壁には、他のガイド壁よりも上記副線部の配索方向において直線状に延伸する直線状ガイド部が設けられた構成されている。
【0023】
上記構成によれば、上記副線と上記直線状ガイド部とをテープ巻き等により一体に固定してもよい。
【0024】
特に、上記構成においては、上記副線は、配索方向における上記直線状ガイド部に配置される部分において、例えば、上記径方向ガイド壁等によってガイドされずに、上記直線状ガイド部によってのみガイドされた状態とすることが可能となる。
【0025】
このため、上記副線は、テープ巻きされることを、例えば、上記径方向ガイド壁によって阻害されることがなく、上記副線に対して直接的にテープ巻きすることができる。従って、上記副線は、直線状ガイド部に対してしっかりと固定することができる。
【0026】
この発明の態様として、上記径方向ガイド壁と一対の上記補助ガイド壁とで、内側に副線部収容空間が構成され、上記副線部収容空間に収容した上記副線部が、該副線部収容空間から不用意に抜け出さないように上記副線部を係止する係止爪が上記補助ガイド壁に形成された構成としてもよい。
【0027】
上記構成によれば、一対の上記補助ガイド壁の間に嵌め込んだ上記副線曲げ部が抜けないように係止爪によって該副線曲げ部を係止することで、曲げ部をしっかりと保持することができる。
【0028】
この発明の態様として、上記係止爪は、上記補助ガイド壁における、上記副線曲げ部の配索方向における両端部に形成された構成としてもよい。
【0029】
上記構成によれば、上記補助ガイド壁における、上記副線曲げ部の配索方向における少なくとも両端部に形成された上記係止爪によって、該副線部を係止することで、上記副線曲げ部の配索方向の全体が上記副線部収容空間から抜けないように該副線曲げ部をしっかりと保持することができる。
【0030】
この発明の態様として、上記ホルダ本体を上記主線部に取り付ける主線取付け部が備えられた構成としてもよい。
【0031】
上記構成によれば、上記副線曲げ部を単に上記ホルダ本体によってガイドするだけではなく、主線取付け部によって上記主線部に取り付けられた上記ホルダ本体によってガイドすることで、上記副線曲げ部を上記主線部に対して安定してガイドすることができる。
【0032】
この発明の態様として、上記主線取付け部は、上記主線部を結束する結束バンドと、上記主線部に設置可能な台座ブロックと、上記ホルダ本体に設けられた本体側バンド案内部とが備えられ、上記台座ブロックは、上記径方向ガイド壁に対して、上記副線部を有する側と反対側に一体形成され、上記ワイヤハーネスの直交断面視において、上記台座ブロックと上記ホルダ本体とが上記主線部の周方向に並んだ状態で共に該主線部に設置される姿勢を、倒位姿勢とするとともに、上記ホルダ本体が上記台座ブロックを介して上記主線部に設置される姿勢を、立位姿勢とし、上記倒位姿勢の状態で上記台座ブロックと上記主線部とに上記結束バンドを巻き付ける方向に案内する第1バンド案内部と、上記立位姿勢の状態で上記台座ブロックと上記主線部とに上記結束バンドを巻き付ける方向に案内する第2バンド案内部とが、上記台座ブロックと上記本体側バンド案内部との夫々に設けられ、上記本体側バンド案内部には、上記第1バンド案内部と上記第2バンド案内部とで共通するバンド案内構造が構成されてもよい。
【0033】
上記構成によれば、第1バンド案内部によって、上記結束バンドを上記倒位姿勢の上記台座ブロックと上記主線部とに巻き付ける方向に案内することができるとともに、第2バンド案内部によって、上記結束バンドを上記立位姿勢の上記台座ブロックと上記主線部とに巻き付ける方向に案内することができる。
【0034】
そして、台座ブロックが上記倒位姿勢、上記立位姿勢の何れにおいても、上記台座ブロックと上記主線部とを結束バンドの巻き付けによって結束することで、該台座部を上記主線部に対してずれないように設置することができる。
【0035】
従って、上記副線部を台座部を介して上記主線部に対して安定かつしっかりと取り付けることができる。
【0036】
さらに、上記第1バンド案内部と上記第2バンド案内部との夫々の少なくとも一部が、共通のバンド案内部により形成されるため、曲げ規制ホルダを主線部に対して上記倒位姿勢と上記立位姿勢との何れの姿勢で配置する場合においても、上記第1バンド案内部と上記第2バンド案内部との夫々に備えられたバンド案内構造を兼用することができる。
【発明の効果】
【0037】
この発明により、第1ケーブルと第2ケーブルとがまとめて配索されるワイヤハーネスにおいて、例えば、第1ケーブルよりも最小曲げ半径がより大きく設定されている第2のケーブルが最小曲げ半径を下回ることがないように該第2のケーブルの曲げ形状を規制できる曲げ規制ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本実施形態の曲げ規制ホルダを備えたワイヤハーネスの曲げ変形箇所およびその周辺部を示し、(a)は径内側から視た外観図、(b)は径外側から視た外観図
【
図2】本実施形態の曲げ規制ホルダを備えたワイヤハーネスの曲げ変形箇所およびその周辺部を示す平面図
【
図3】(a)は
図2中のA-A線に沿った要部拡大断面図、(b)は
図2中のB-B線に沿った要部拡大断面図
【
図4】本実施形態の曲げ規制ホルダを上方、径方向外側、かつ配索方向の他方側から視た外観図
【
図5】(a)は本実施形態の曲げ規制ホルダの平面図、(b)は
図5(a)の矢視E1図、(c)は
図5(a)の矢視E2図
【
図6】(a)は
図5(a)の矢視E3図、(b)は
図5(a)の矢視E4図
【
図7】(a)は変形例1の曲げ規制ホルダを
図4に対応する姿勢で示した外観図、(b)は
図7(a)の矢視E1’図、(c)は
図7(a)の矢視E2’図
【
図8】(a)は台座ブロックが倒位姿勢で配置された場合における変形例1の曲げ規制ホルダの
図3(a)対応図、(b)は台座ブロックが立位姿勢で配置された場合における変形例1の曲げ規制ホルダの
図3(a)対応図
【
図9】(a)は変形例2の曲げ規制ホルダの
図4対応図、(b)は
図9(a)の矢視E3’図
【
図10】変形例2の曲げ規制ホルダを備えたワイヤハーネスの曲げ変形箇所およびその周辺部を示す平面図
【
図11】(a)は変形例3の曲げ規制ホルダの
図4対応図、(b)は変形例3の曲げ規制ホルダの
図9(b)対応図
【発明を実施するための形態】
【0039】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
自動車等の車両には、例えば、バッテリー(電源)(図示略)と各種電気部品(図示略)とを繋ぐように複数のワイヤハーネス1が配索されている。
図1(a)(b)、
図2は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおいて、曲げ変形されたワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raを示している。
【0040】
なお、図中、矢印Wはワイヤハーネス1の配索方向、矢印Zは曲げ変形箇所Raの上下方向、矢印Dは曲げ変形箇所Raの径方向を示している。矢印Wsはワイヤハーネス1の配索方向の一方側、矢印Wtはワイヤハーネス1の配索方向の他方側を示している。矢印Zuは曲げ変形箇所Raの上方向、矢印Zdは曲げ変形箇所Raの下方向、矢印Doは曲げ変形箇所Raの径方向外側(径外方向)、矢印Diは曲げ変形箇所Raの径方向内側(径内方向)を示している。また図中のワイヤハーネス1の断面において、主線部2および副線部3の内部構造の詳細は省略している。
【0041】
ワイヤハーネス1は、曲げ変形箇所Raにおいて、該曲げ変形箇所Raに対して一方側Wsと他方側Wtとの夫々の配索方向の違いに応じた角度で曲げ変形されている。本実施形態においては、
図1(a)(b)、
図2に示すように、ワイヤハーネス1は、曲げ変形箇所Raにおいて、略直角に方向転換するように緩やかな円弧形状に曲げ変形されている。なお、本実施形態において、ワイヤハーネス1は、便宜上、曲げ変形箇所Raおよびその周辺の配索箇所において、水平に配索されているが、水平方向に加え、鉛直方向や斜め方向に曲げて配索されてもよい。
【0042】
図1、
図2に示すように、本実施形態のワイヤハーネス1は、主線部2と副線部3とが備えられ、共にワイヤハーネス1の配索経路Rに沿って配索されている。
【0043】
すなわち、
図1に示すように、副線部3は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raにおいて、主線部2に対して上方位置において並列配置されている。
【0044】
主線部2と副線部3とは、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、曲げ変形箇所Raにおいて、ワイヤハーネス1の配索方向Wに沿って、夫々の曲げ形状(曲げ半径)で配索されている。
【0045】
換言すると、副線部3は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raにおいて、主線部2に沿って配索されながらも主線部2とは独立した曲げ形状で配索されている。
【0046】
なお、本実施形態において、副線部3は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raおよび周辺部において、主線部2と並列配置されているため、副線部3と主線部2との夫々の配索方向は、ワイヤハーネス1の配索方向Wと一致するものとする。
【0047】
また、図示省略するが、本実施形態の主線部2と副線部3とは、ワイヤハーネス1の配索方向Wにおける、曲げ変形箇所Raから両側Ws,Wtへ延伸する延伸部分における、曲げ変形箇所Raの周辺部よりもさらに延伸する部分において、互いに合流した状態で配索されている。
【0048】
主線部2は、少なくとも1本の第1ケーブル2Cで構成されるとともに、副線部3は、少なくとも1本の第2ケーブル3Cで構成されている。本実施形態において主線部2は、複数本の第1ケーブル2Cを束ねて構成されるのに対して、副線部3は、1本の第2ケーブル3Cで構成されている。
【0049】
第1ケーブル2Cと第2ケーブル3Cとは、曲げ特性(最小曲げ半径)の違いに応じて設定されており、ワイヤハーネス1は、これら第1ケーブル2Cと第2ケーブル3Cとの少なくとも2種類のケーブルが備えられている。
【0050】
第1ケーブル2Cは、例えば、通常の導電性材質で形成された導体を有するケーブルである。一方、第2ケーブル3Cは、伝送容量が第1ケーブル2Cより大きい例えば、光ファイバケーブル等の高速通信ケーブルである。
【0051】
第2ケーブル3Cの最小曲げ半径は、該第2ケーブル3Cを曲げ変形させた際に、例えば、いわゆる伝送損失やノイズ等の影響を抑制する観点で要求される性能を満足する曲げ半径に設定されている。
【0052】
具体的に、第2ケーブル3Cは、ワイヤハーネス1における曲げ変形箇所Raにおいて、第1ケーブル2Cの最小曲げ半径よりも大きな最小曲げ半径に設定されている。すなわち、第2ケーブル3Cは、第1ケーブル2Cよりも緩やかな曲げ形状となる最小曲げ半径に設定されている。
【0053】
本実施形態において主線部2は、複数本の第1ケーブル2Cを束ねて構成されるのに対して、副線部3は、1本の第2ケーブル3Cから構成されている。
【0054】
ワイヤハーネス1における曲げ変形箇所Raには、主線部2の曲げ部分である主線曲げ部2aが構成されるとともに、副線部3の曲げ部分である副線曲げ部3aが構成されている。すなわち、複数本の第1ケーブル2Cは、主線曲げ部2aにおいて曲げ変形されるとともに、1本の第2ケーブル3Cは、副線曲げ部3aにおいて曲げ変形されている。
【0055】
副線部3の配索方向Wにおける、該副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtには、副線曲げ部3aの各側の端部から略直線状に延伸する副線延伸部3bが構成されている。主線部2の配索方向Wにおける、該主線曲げ部2aに対して両側Ws,Wtには、主線曲げ部2aの夫々に対応する側の端部から略直線状に延伸する主線延伸部2bが構成されている。
【0056】
なお、本実施形態においては、主線延伸部2bと副線延伸部3bとは、何れもワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raから両側Ws,Wtへ延伸する延伸部分における、曲げ変形箇所Raの周辺部に相当する部位を示すものとする。
【0057】
図1(a)(b)、
図2、
図3(a)(b)に示すように、本実施形態のワイヤハーネス1には、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raにおいて曲げ規制ホルダ10を備えている。本実施形態の曲げ規制ホルダ10は、主線曲げ部2aと副線曲げ部3aとのうち、副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径となるように該副線曲げ部3aを曲げ規制する。
【0058】
図1(a)(b)、
図2、
図3(a)(b)、
図4、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、曲げ規制ホルダ10は、ホルダ本体11と主線取付け部21とが備えられ、合成樹脂材料により一体成形されている。
【0059】
ホルダ本体11は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、上記曲げ変形箇所Raおよび、その周辺部において、副線部3を、主線部2とは独立して曲げ規制可能に径内側ガイド壁12と上側補助ガイド壁13と下側補助ガイド壁14とで形成されている。なお、後述するように、ホルダ本体11において、径内側ガイド壁12と上側補助ガイド壁13と、下側補助ガイド壁14の一部である下側補助ガイド壁本体部141とで副線曲げガイド部19が構成されている。また、副線曲げガイド部19と、下側補助ガイド壁本体部141の一部である一対の直線状ガイド部142とでホルダ本体11が構成されている。
【0060】
径内側ガイド壁12は、副線曲げ部3aを径方向内側Diからガイド可能に所定の曲げ半径を有する円弧状に形成されている。
【0061】
径内側ガイド壁12は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、上記曲げ変形箇所Raの全長、すなわち副線曲げ部3aの配索方向(W)の全長に亘って連続して延びている。本実施形態において、径内側ガイド壁12は、上記所定の曲げ半径を有するとともに、略直角に方向転換される上記曲げ変形箇所Raに対応して中心角度が略直角を成す円弧状に形成されている。
【0062】
詳しくは、
図1(a)、
図3(a)(b)に示すように、径内側ガイド壁12は、副線曲げ部3aの配索方向Wに直交する断面視において、副線曲げ部3aに対して径方向内側Diに隣接して配置されるとともに、副線部3(第2ケーブル3C)の直径よりも若干長い長さを有して上下方向Zに直線状に延びている。
【0063】
径内側ガイド壁12は、径方向Dの両側に有する面のうち、副線曲げ部3aに隣接する側の面(径方向外側Doの面)が、副線曲げ部3aのガイド面12aとして形成されている(
図3(a)(b)参照)。
【0064】
また、上側補助ガイド壁13は、副線部3の配索方向における、副線曲げ部3aの上側に配置され、該副線曲げ部3aを上側からガイドする。
【0065】
詳しくは、
図3(a)(b)に示すように、上側補助ガイド壁13は、副線曲げ部3aの配索方向Wに直交する断面視において、副線曲げ部3aに対して上側に隣接して配置されるとともに、径内側ガイド壁12の上端から径方向外側Doへ副線部3(第2ケーブル3C)の直径よりも長い長さを有して直線状に延びている。上側補助ガイド壁13は、上下方向Zの各側に有する面のうち、副線曲げ部3aに隣接する側の面(当例では下面)が、副線曲げ部3aのガイド面13aとして形成されている。
【0066】
一方、
図3(a)(b)に示すように、下側補助ガイド壁14は、副線部3の配索方向Wにおける、少なくとも副線曲げ部3aを下側からガイド可能に副線部3に対して下側に配置されている。さらに、下側補助ガイド壁14は、主線部2の配索方向Wにおける、少なくとも主線曲げ部2aの上側に配置されている。すなわち、下側補助ガイド壁14は、主線部2と副線部3との間に介在するように配置されている。
【0067】
下側補助ガイド壁14は、副線部3の配索方向Wに沿って連続して延びており、該副線部3の配索方向Wにおいて、下側補助ガイド壁本体部141と直線状ガイド部142とを有して一体形成されている。これら直線状ガイド部142と下側補助ガイド壁本体部141とは、下側補助ガイド壁14の延在方向(副線部3の配索方向W)に連続して形成されている。
【0068】
下側補助ガイド壁本体部141は、後述するように、径内側ガイド壁12と上側補助ガイド壁13と共に副線曲げガイド部19を構成し、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対応する部位において、該副線曲げ部3aをガイドする。直線状ガイド部142は、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtに有する副線延伸部3bに対応する部位において、夫々に対応する副線延伸部3bをガイドする。
【0069】
詳しくは、
図3(a)(b)に示すように、下側補助ガイド壁14は、副線曲げ部3aの配索方向Wに直交する断面視において、副線曲げ部3aに対して下側に隣接して配置されるとともに、径内側ガイド壁12の下端から径方向外側Doへ副線部3(第2ケーブル3C)の直径よりも長い長さを有して直線状に延びている。下側補助ガイド壁14は、上下方向Zの各側に有する面のうち、副線曲げ部3aに隣接する側の面(当例では上面)が、副線曲げ部3aのガイド面14aとして形成されている。
【0070】
上側補助ガイド壁13と下側補助ガイド壁本体部141とは、上述した径内側ガイド壁12と同様にワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、上記曲げ変形箇所Raの全長、すなわち副線曲げ部3aの配索方向(W)の全長に亘って連続して延びている。本実施形態において、上側補助ガイド壁13と下側補助ガイド壁本体部141とは共に、所定の曲げ半径を有するとともに、略直角に方向転換される上記曲げ変形箇所Raに対応して中心角度が略直角を成す円弧状に形成されている。
【0071】
換言すると、
図1(a)(b)、
図2、
図3(a)(b)、
図4、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、ホルダ本体11は、延在方向(W)において、副線曲げガイド部19と、副線曲げガイド部19から両側Wt,Wsに直線状に延びる一対の直線状ガイド部142とで一体形成されている。
【0072】
副線曲げガイド部19は、上述したように、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対応する部位において、径内側ガイド壁12と上側補助ガイド壁13と下側補助ガイド壁本体部141とで一体形成されている。
【0073】
副線曲げガイド部19の内部には、
図3(a)(b)、
図4、
図5(b)(c)、
図6(a)に示すように、副線曲げ部3aを収容する副線部収容空間Sが延在方向(W)に沿って構成されている。副線部収容空間Sは、径方向外側Doに向けて開口する径方向外側開口部Saを有している。
【0074】
すなわち、副線曲げガイド部19は、延在方向(W)に直交する断面が径方向外側Doへ向けて開口する略U字形状に形成されている(
図3(a)(b)参照)。
【0075】
また、
図4、
図5(a)、
図6(b)に示すように、直線状ガイド部142は、副線曲げガイド部19の一部を成す下側補助ガイド壁本体部141の延在方向の両端部から径内側ガイド壁12および上側補助ガイド壁13よりも突出形成されている。すなわち、直線状ガイド部142は、ホルダ本体11の延在方向(W)において、副線曲げガイド部19の一部を成す上側補助ガイド壁13および径内側ガイド壁12と重複しない部位(対応しない部位)に設けられている。
図1(a)(b)、
図2に示すように、直線状ガイド部142は、副線部収容空間Sから露出した状態の副線延伸部3bを、下側から支持する。この状態で副線延伸部3bは、直線状ガイド部142と共に直接的にテープTにより巻き付けられる。これにより、副線曲げ部3aは、副線部収容空間Sから脱出したり、配索方向Wに位置ずれしないようにホルダ本体11によって規制される。
【0076】
図1(a)(b)、
図2、
図3(a)(b)、
図4、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、ホルダ本体11を主線部2に固定する主線取付け部21は、結束バンド22と主線取付け本体部24とが備えられている。
【0077】
結束バンド22は、主線取付け本体部24の径方向外側Doの端部から延出され(
図4、
図5(c)参照)、主線部2に巻き付け可能に主線部2の周方向V(
図3(a)、
図4参照)の長さよりも長尺に形成されている。結束バンド22の先端部には、主線取付け本体部24の側に係止するバンド側係止爪(図示省略)が長手方向に沿って複数配設されている。
【0078】
主線取付け本体部24は、下側補助ガイド壁本体部141の延在方向(W)における一端側(Ws)の端部において、下方に向けて突状に一体形成されている。
【0079】
図3(a)、
図5(b)に示すように、主線取付け本体部24は、結束バンド22の挿通を許容する貫通穴25が径方向Dに貫通形成され、貫通穴25の内壁には、結束バンド22の先端部に長手方向に沿って設けられた、上述した複数のバンド側係止爪(図示省略)の何れかに係止する本体側係止爪(図示省略)が貫通穴25に向けて突出形成されている。
【0080】
図1(a)(b)、
図2、
図3(a)(b)に示すように、上述した実施形態の曲げ規制ホルダ10は、第1ケーブル2Cにより構成される主線部2と、最小曲げ半径が規定された第2ケーブル3Cにより構成される副線部3とが備えられたワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、曲げ変形(方向転換)された曲げ変形箇所Raにおいて、副線部3を、主線部2とは独立して曲げ規制するホルダ本体11が備えられている。
【0081】
同図に示すように、ホルダ本体11は、曲げ変形箇所Raにおける、副線部3の曲げ部分である副線曲げ部3aに対して径方向内側Diからガイドする径内側ガイド壁12(径方向ガイド壁)が備えられている。
【0082】
図1(a)(b)、
図2、
図3(a)(b)、
図4、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、径内側ガイド壁12は、第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径を有するとともに、副線曲げ部3aに沿って連続して延びる円弧形状(曲げ形状)に形成されている。
【0083】
上記構成によれば、ワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raにおいて、主線曲げ部2aの曲げ半径に関わらず、副線曲げ部3aの曲げ半径が第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径になるように副線曲げ部3aを規制することができる。
【0084】
すなわち、ホルダ本体11に備えられた径内側ガイド壁12は、副線曲げ部3aに対して径方向内側Diから副線曲げ部3aの配索方向Wに沿って連続して副線曲げ部3aをガイドすることができる。
【0085】
これにより、副線曲げ部3aは、径方向に位置ずれしないように径内側ガイド壁12によってしっかりとガイドされるため、第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径を確実に確保することができる。
【0086】
また、
図1(a)(b)、
図2、
図3(a)(b)、
図4、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、本実施形態のホルダ本体11には、副線曲げ部3aの配索方向Wの直交断面視において、径内側ガイド壁12の上下方向Z(径直交方向、或いは幅方向)における、副線曲げ部3aを隔てた両側(上端および下端)から該副線曲げ部3aを有する側(径方向外側Do)へ突出して該副線曲げ部3aを上下方向Zにガイドする補助ガイド壁13,14が一対備えられている。
【0087】
上記構成によれば、副線曲げ部3aを、径内側ガイド壁12によって径方向内側Diからガイドするのみならず、一対の補助ガイド壁13,14によって上下方向Zにおいてもガイドすることができる。
【0088】
さらに、ホルダ本体11は、一対の補助ガイド壁13,14が備えられていることにより、主線曲げ部2aに対して、径内側ガイド壁12が面するように配する配置態様に限らず、一対の補助ガイド壁13,14のうち何れか一方が面するように配することもできる。
【0089】
すなわち、副線曲げ部3aの配索方向Wの直交断面視において、副線曲げ部3aと主線曲げ部2aとを、これらの間にホルダ本体11を介在させた状態で並列配置する場合において、曲げ規制ホルダ10は、主線曲げ部2aに対して、様々な姿勢で配置した状態でテープT等を用いて一体に取り付けることができる。
【0090】
また、
図1(a)(b)、
図2、
図4、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、本実施形態の下側補助ガイド壁14(上記径方向ガイド壁と上記一対の補助ガイド壁とのうち、何れか一つのガイド壁)には、径内側ガイド壁12および上側補助ガイド壁13(他のガイド壁)よりも下側補助ガイド壁14の延在方向(副線の配索方向W)において直線状に延伸する直線状ガイド部142が設けられている。
【0091】
上記構成によれば、上記副線部3は、副線部収容空間Sに収容されない状態で直線状ガイド部142によってガイドされるため、ホルダ本体11に対してのみならず、副線部3に対しても直接的にテープTを用いて巻き付けることができる。従って、直線状ガイド部142に対して副線部3が位置ずれすることがなく、しっかりと固定することができる。
【0092】
また、
図1(a)(b)、
図3(a)、
図4、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、実施形態の曲げ規制ホルダ10は、ホルダ本体11を主線部2に取り付ける主線取付け部21が備えられている。
【0093】
上記構成によれば、主線部2に取り付けられたホルダ本体11によって副線曲げ部3aを安定してガイドすることができる。
【0094】
特に、主線取付け部21を、ホルダ本体11における、副線曲げ部3aの配索方向(W)の端部側(当例においては、一方側Wsの端部)に相当する位置に設けることで、例えば、副線曲げ部3aと主線曲げ部2aとの夫々の曲げ半径が異なる場合においても、互いの曲げ半径に影響を及ぼすことがなく、ホルダ本体11を主線部2に取り付けることができる。
【0095】
続いて、本発明の曲げ規制ホルダの変形例について説明する。但し、上述した実施形態の曲げ規制ホルダ10と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
(変形例1)
図7(a)(b)(c)、
図8(a)(b)に示すように、変形例1の曲げ規制ホルダ10Aは、上述した実施形態の主線取付け部21とは異なる主線取付け部31が備えられている。
【0096】
具体的には、変形例1の主線取付け部31は、主線部2を結束する結束バンド32(
図8(a)(b)参照)と、台座ブロック34と、本体側バンド案内部40とが備えられている。
【0097】
変形例1の結束バンド32は、
図8(a)(b)に示すように、台座ブロック34および本体側バンド案内部40とは別部材により形成され、インシュロックとも称される公知の結束バンドを採用している。具体的には、変形例1の結束バンド32の長手方向の一端側には、係止ブロック33が形成されるとともに、長手方向の他端側には、該長手方向に沿って複数の係止爪32aが配設されている。
【0098】
係止ブロック33には、結束バンド32の長手方向の他端側の挿通を許容する貫通穴33aが形成されている。係止ブロック33における貫通穴33aの内壁には、上述した複数の係止爪32aのうち、何れかに係止されるバンド側係止爪33bが貫通穴33aに向けて突設されている。
【0099】
図7(b)、
図8(a)(b)に示すように、本体側バンド案内部40は、ホルダ本体11に一体に備えられ、ホルダ本体11の下側補助ガイド壁14から下方へ突出形成されている。本体側バンド案内部40は、内部に径方向Dに貫通する本体側バンド案内穴40aを有する門形に形成されている。
【0100】
本体側バンド案内穴40aは、本体側バンド案内部40における貫通方向の直交断面が結束バンド32の長手方向の直交断面より若干大きな直交断面を有して形成されている。
【0101】
図8(a)(b)に示すように、台座ブロック34は、ホルダ本体11に対して径方向内側Di(径内側ガイド壁12よりも径内側)において、本体側バンド案内部40と径方向Dに対峙するように配設されている。
【0102】
図7(a)(b)(c)、
図8(a)(b)に示すように、台座ブロック34は、第1バンド案内壁部35と、一対の隆起部36u,36d(
図7(c)、
図8(a)(b)参照)と、側壁部37(
図7(a)(b)参照)とを有して一体形成されている。
【0103】
図8(a)(b)に示すように、第1バンド案内壁部35は、径内側ガイド壁12に対して径方向内側Diにおいて離間した位置で本体側バンド案内部40と対峙するように縦壁状に配置されている。
【0104】
一対の隆起部36u,36dは、第1バンド案内壁部35の上下方向Zの各側から互いに間隔を隔てて径方向外側Do(ホルダ本体11の側)へ隆起している。一対の隆起部36u,36dは、径方向外側Doへ略同じ隆起高さで形成されている。
【0105】
これにより、第1バンド案内壁部35の上下方向Zにおける、一対の隆起部36u,36dの間に相当する部位は、径方向内側Diへ凹状に形成されている。
【0106】
一対の隆起部36u,36dのうち一方(当例では上側)の隆起部36uは、径方向外側Doの面が径内側ガイド壁12の径方向内側Diの面に対して一体形成されている(
図8(a)(b)参照)。これにより、台座ブロック34は、ホルダ本体11に対して一体形成されている。
【0107】
一対の隆起部36u,36dのうち他方(当例では下側)の隆起部36dは、上端が本体側バンド案内部40の下面よりも下方へ離間した位置に配設されている。
【0108】
また、
図7(b)(c)、
図8(a)(b)に示すように、第1バンド案内壁部35の上下方向Zにおける、一対の隆起部36u,36dの間に相当する部位には、径方向D(第1バンド案内壁部35の板厚方向)に貫通する第1バンド案内壁貫通穴35aが形成されている。第1バンド案内壁貫通穴35aは、結束バンド32の長手方向の直交断面より若干大きな直交断面を有して形成されている。
【0109】
第1バンド案内壁部35の第1バンド案内壁貫通穴35aと、本体側バンド案内部40の本体側バンド案内穴40aとは、径方向Dにおいて互いに正対する(
図8(a)(b)参照)。
【0110】
ここで、
図7(a)(b)(c)中の矢印Xを、台座ブロック34および本体側バンド案内部40の幅方向に設定する。さらに、同図中の矢印Xtを上記幅方向Xの他方側に設定する。
【0111】
なお、曲げ変形箇所Raにおいて曲げ規制ホルダ10Aが
図1に示す曲げ規制ホルダ10のような姿勢で配置される場合、副線曲げ部3aの配設方向(W)は、上記幅方向Xに略一致するものとする。
【0112】
図7(b)(c)、
図8(a)(b)に示すように、下側の隆起部36dの隆起方向の先端部(径方向外側Doの端部)における、幅方向Xの中央部には、先端面から径方向内側Diに凹むとともに上下方向Zの全長に亘って延びる第2バンド案内溝38が形成されている。
【0113】
第2バンド案内溝38は、本体側バンド案内部40の径方向内側Diの端部よりも径方向内側Di、かつ本体側バンド案内部40の下端よりも下方に位置している(
図8(a)(b)参照)。第2バンド案内溝38は、上下方向Zの直交断面が結束バンド32の長手方向の直交断面より若干大きな直交断面を有して凹状に形成されている。
【0114】
なお、
図7(a)(b)中の符号37は、台座ブロック34の側壁部であり、側壁部37は、台座ブロック34の幅方向Xの他方側Xtにのみ設けられている。
【0115】
ここで、ワイヤハーネス1の直交断面視において、
図8(a)に示すように、台座ブロック34とホルダ本体11とが主線部2の周方向Vに並んだ状態で共に該主線部2に設置される姿勢を、曲げ規制ホルダ10Aの倒位姿勢Paに設定する。さらに、
図8(b)に示すように、ホルダ本体11が台座ブロック34を介して主線部2に設置される姿勢(
図8(b)参照)を、曲げ規制ホルダ10Aの立位姿勢Pbに設定する。
【0116】
変形例1の曲げ規制ホルダ10Aは、該曲げ規制ホルダ10Aが
図8(a)に示すように、倒位姿勢Paの状態で、主線部2を巻き付ける方向に、結束バンド32を案内する第1バンド案内部41と、該曲げ規制ホルダ10Aが
図8(b)に示すように、立位姿勢Pbの状態で、主線部2を巻き付ける方向に、結束バンド32を案内する第2バンド案内部42とが備えられている。
【0117】
図7(b)、
図8(a)に示すように、第1バンド案内部41は、上述した第1バンド案内壁貫通穴35aと本体側バンド案内穴40aとで構成されるとともに、
図7(b)、
図8(b)に示すように、第2バンド案内部42は、上述した第2バンド案内溝38と本体側バンド案内穴40aとで構成されている。
【0118】
なお、上述したように、第1バンド案内壁貫通穴35aと第2バンド案内溝38とは、何れも台座ブロック34の側に設けられる一方で、本体側バンド案内穴40aは、本体側バンド案内部40に設けられている。
【0119】
そして、曲げ規制ホルダ10Aが倒位姿勢Pa(
図8(a)参照)、立位姿勢Pb(
図8(b)参照)の何れにおいても、曲げ規制ホルダ10Aと主線部2とを結束バンド32の巻き付けによって結束することで、該曲げ規制ホルダ10Aを主線部2に対してずれないように設置することができる。
【0120】
従って、副線部3を曲げ規制ホルダ10Aを介して主線部2に対して安定かつ、しっかりと取り付けることができる。
【0121】
また、
図8(a)に示すように、曲げ規制ホルダ10Aは、倒位姿勢Paの状態で主線曲げ部2aに対して上方Zuに配置したとき、副線曲げ部3aに対して径方向内側Diに径内側ガイド壁12を配置させることができる。
【0122】
一方、
図8(b)に示すように、曲げ規制ホルダ10Aは、立位姿勢Pbの状態で主線曲げ部2aに対して径方向外側Doに配置したとき、副線曲げ部3aに対して径方向内側Diに径内側ガイド壁12を配置させることができる。
【0123】
すなわち、曲げ規制ホルダ10Aは、主線曲げ部2aの上方Zu又は径方向外側Doの何れの側に配置した場合であっても、適宜、倒位姿勢Pa或いは立位姿勢Pbで配置することで、径内側ガイド壁12によって副線曲げ部3aを径方向内側Diからガイドすることができる。
【0124】
また、上述した第1バンド案内部41と第2バンド案内部42とは、夫々の一部が共通の本体側バンド案内穴40a(本体側バンド案内部40)により形成されている。
【0125】
これにより、台座ブロック34と主線部2とを結束バンド32の巻き付けによって結束する際に、台座ブロック34が倒位姿勢Paの場合と立位姿勢Pbの場合とにおいて、本体側バンド案内穴40aを兼用することができ、結果としてシンプルな構成を実現することができる。
【0126】
(変形例2)
変形例2の曲げ規制ホルダ10Bは、上述した実施形態の曲げ規制ホルダ10のように(
図1(a)(b)、
図2参照)、副線曲げガイド部19によって副線曲げ部3aを、配索方向(W)の全長に亘ってガイドする構成ではなく、
図9(a)(b)、
図10に示すように、副線曲げ部3aの配索方向(W)の一部のみを、副線曲げガイド部19Bによって配索方向(W)に連続してガイドする構成を採用している。
【0127】
具体的に、
図9(a)(b)に示すように、変形例2の曲げ規制ホルダ10Bは、副線曲げガイド部19Bが、該副線曲げガイド部19Bの中心角度が略30度を成す円弧状に形成されている。
【0128】
変形例2の曲げ規制ホルダ10Bは、例えば、
図10に示すように、副線部3の配索方向Wにおける両側Wt,Wsの直線状ガイド部142のうち、一方側Wsの直線状ガイド部142が、一方側Wsの副線延伸部3bに対応する部位に配置されるとともに、他方側Wtの直線状ガイド部142を、副線曲げ部3aの略中間位置に対応する部位に配置されている。
【0129】
そして、変形例2の曲げ規制ホルダ10Bは、両側のWt,Wsの直線状ガイド部142を、副線部3の配索方向Wにおける、夫々に対応する部位と共にテープTにより巻き付けることで、互いに一体固定することができる(
図10参照)。
【0130】
これにより、変形例2の曲げ規制ホルダ10Bは、
図10に示すように、副線曲げガイド部19B(特に、径内側ガイド壁12)および他方側Wtの直線状ガイド部142によって、副線曲げ部3aを、主線曲げ部2aよりも緩やかな曲げ半径で曲げ規制することができる。
【0131】
(変形例3)
図11(a)(b)に示すように、変形例3の曲げ規制ホルダ10Cは、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げガイド部19に対して両側のWt,Wsに直線状ガイド部142(
図7(a)参照)を備えずに構成されている。
【0132】
さらに、変形例3の曲げ規制ホルダ10Cは、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げガイド部19の両側Wt,Wsの部位に副線係止爪15u,15dが設けられている。
【0133】
具体的には、副線係止爪15uは、上側補助ガイド壁13の延在方向の両端部において、上側補助ガイド壁13の径方向外側Doへの突出方向の先端部から副線部収容空間Sに向けて、すなわち相対する副線係止爪15dの側へ突出形成されている。
【0134】
一方、副線係止爪15dは、下側補助ガイド壁本体部141の延在方向の両端部において、下側補助ガイド壁本体部141の径方向外側Doへの突出方向の先端部から副線部収容空間Sに向けて、すなわち相対する副線係止爪15uの側へ突出形成されている。
【0135】
変形例3の曲げ規制ホルダ10Cは、副線部収容空間Sに収容された副線曲げ部3aを、副線曲げガイド部19の両側Wt,Wsにおいて、一対の副線係止爪15u,15dによって挟み込むように係止することで、該副線曲げ部3aが径方向外側開口部Saから脱出すること、すなわち、径方向外側Doへの位置ずれを防止することができる。
【0136】
加えて、変形例3の曲げ規制ホルダ10Cは、副線部収容空間Sに収容された副線曲げ部3aを、副線曲げガイド部19の両側Wt,Wsから一対の副線係止爪15u,15dによって挟み込むように係止することで、副線部3が配索方向W(副線部3の軸方向)にずれないように保持することができる。
【0137】
すなわち、変形例3の曲げ規制ホルダ10Cは、上述した曲げ規制ホルダ10,10A,10Bのように、直線状ガイド部142を備えて、副線部3と共にテープTを用いて巻き付けて互いに固定すること構成を採用せずとも、副線曲げガイド部19の両側Wt,Wsに備えた一対の副線係止爪15u,15dによって、副線曲げ部3aを、径方向および配索方向W(軸方向)にずれないように保持することもできる。
【0138】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば、本発明の曲げ規制ホルダは、副線係止爪15u,15d、或いは、直線状ガイド部142が、副線部3の配索方向Wにおける、ホルダ本体11の両側Wt,Wsの部位に設けられた構成であることが好ましいが、上記構成に限定せず、例えば、ホルダ本体11における両側Wt,Wsのうち、何れか一方側に設けられた構成を採用してもよい。
【0139】
さらにまた、本発明の曲げ規制ホルダは、ホルダ本体11に副線係止爪15u,15dと直線状ガイド部142とのうち、何れか一方が備えられた構成に限らず、双方が備えられた構成を採用してもよい。具体的に、本発明の曲げ規制ホルダは、副線部3の配索方向Wにおける、ホルダ本体11の一方側Ws(他方側Wt)に、副線係止爪15u,15dを、他方側Wt(一方側Ws)に、直線状ガイド部142が設けられた構成を採用してもよい。
【0140】
変形例2の曲げ規制ホルダ10Bは、主線取付け部として、変形例1の主線取付け部31(
図9(a)(b)参照)が備えられているが、本発明の曲げ規制ホルダは、変形例2のホルダ本体11に、実施形態における主線取付け部21(
図4参照)が備えられた構成を採用してもよい。変形例3の曲げ規制ホルダ10Cについても同様に、主線取付け部31に代えて実施形態における主線取付け部21(
図4参照)が備えられた構成を採用してもよい。
【0141】
また、本発明の曲げ規制ホルダは、径方向ガイド壁が、第2ケーブル3Cの最小曲げ半径より大きな曲げ半径となる曲げ形状であれば、上述した径内側ガイド壁12(副線曲げガイド部19)のように、配索方向Wの全長に亘って一定の曲げ半径を有する円弧状に形成された構成に限定しない。例えば、本発明の曲げ規制ホルダは、径方向ガイド壁が、配索方向Wにおいて曲げ半径が異なる例えば、楕円形状等の弧形状やS字形状に形成された、他の曲げ形状を採用してもよい。
【0142】
また、本発明の曲げ規制ホルダは、径方向ガイド壁として、上述した実施形態のように、径内側ガイド壁12が備えられた構成に限らず、副線曲げ部3aに対して径方向外側Doからガイドする径外側ガイド壁(図示省略)が備えられた構成を採用してもよい。すなわち、本発明の曲げ規制ホルダは、径内側ガイド壁12と径外側ガイド壁とのうち、少なくとも一方が備えられた構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0143】
2C…第1ケーブル
2…主線部
3C…第2ケーブル
3…副線部
3a…副線曲げ部
10,10A,10B,10C…曲げ規制ホルダ
11…ホルダ本体
12…径内側ガイド壁(径方向ガイド壁、他のガイド壁)
13…上側補助ガイド壁(補助ガイド壁、他のガイド壁)
14…下側補助ガイド壁(補助ガイド壁、上記径方向ガイド壁と上記一対の補助ガイド壁とのうち、何れか一つのガイド壁)
15u,15d…副線係止爪(係止爪)
21,31…主線取付け部
32…結束バンド
34…台座ブロック
40…本体側バンド案内部(共通するバンド案内構造)
41…第1バンド案内部
42…第2バンド案内部
142…直線状ガイド部
Pa…倒位姿勢
Pb…立位姿勢
R…ワイヤハーネスの配索経路
Ra…曲げ変形箇所
S…副線部収容空間
V…主線部の周方向
W…副線曲げ部の配索方向
Z…上下方向(ガイド壁の径直交方向)