(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】吸水シート及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/53 20060101AFI20241111BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20241111BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61F13/53 300
A61F13/534 100
A61F13/15 329
(21)【出願番号】P 2021542887
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2020031839
(87)【国際公開番号】W WO2021039715
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019154033
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【氏名又は名称】沖田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211100
【氏名又は名称】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】北中 寛之
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/086843(WO,A1)
【文献】特開2018-127508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性樹脂粒子を含む吸収層を複数備える、吸水シートであって、
一方の最外層の吸収層が、吸い上げ吸水量が10.5g/g以上であり、透過液吸水量が12.5g/g以上であ
り、中位粒子径が250~450μmである、吸水性樹脂粒子を含み、
前記吸い上げ吸水量が、DW法に準じて、内径25mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内に配置された0.5gの吸水性樹脂粒子に、生理食塩水を吸収させたときに、該吸水性樹脂粒子が吸収を開始してから10分後までに吸収する、該吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の質量であり、
前記透過液吸水量が、内径60mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内の前記メッシュシート上に0.5gの吸水性樹脂粒子を配置した後、30gの生理食塩水を投入し、投入開始時点から1分後に測定される、前記吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の吸収量である、吸水シート。
【請求項2】
前記吸水性樹脂粒子の粒子径150μm以下の粒子含有量が、前記吸水性樹脂粒子の全質量を基準として、21.0質量%以下である、請求項
1に記載の吸水シート。
【請求項3】
前記吸水性樹脂粒子が2.07kPaの荷重下で生理食塩水を吸収したときの吸水量が15mL/g以上である、請求項1
又は2に記載の吸水シート。
【請求項4】
液体不透過性シート、吸収層を複数備える吸水シート及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸水シート及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、
前記液体不透過性シート側の最外層の吸収層が、吸い上げ吸水量が10.5g/g以上であり、透過液吸水量が12.5g/g以上であ
り、中位粒子径が250~450μmである吸水性樹脂粒子を含み、
前記吸い上げ吸水量が、DW法に準じて、内径25mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内に配置された0.5gの吸水性樹脂粒子に、生理食塩水を吸収させたときに、該吸水性樹脂粒子が吸収を開始してから10分後までに吸収する、該吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の質量であり、
前記透過液吸水量が、内径60mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内の前記メッシュシート上に0.5gの吸水性樹脂粒子を配置した後、30gの生理食塩水を投入し、投入開始時点から1分後に測定される、前記吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の吸収量である、吸収性物品。
【請求項5】
前記吸水性樹脂粒子の粒子径150μm以下の粒子含有量が、前記吸水性樹脂粒子の全質量を基準として、21.0質量%以下である、請求項
4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸水性樹脂粒子が2.07kPaの荷重下で生理食塩水を吸収したときの吸水量が15mL/g以上である、請求項
4又は5に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水シート及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿等の水を主成分とする液体を吸収するための吸収性物品には、昨今では、液体を吸収可能な吸収層を備える薄型の吸収体(又は吸水シート)が用いられている。このような吸収体又は吸水シートにおいては、吸収層は複数層設けられることがある(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-118117号公報
【文献】特開2002-113800号公報
【文献】特開2012-183175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品は、使用時に液体漏れが発生することがあり、薄型化されるほど液体漏れしやすい傾向にある。この点において更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、吸収性物品における液体漏れを抑制可能な吸水シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、吸収層を複数備える、吸水シートであって、一方の最外層の吸収層が、吸い上げ吸水量が10.5g/g以上であり、透過液吸水量が12.5g/g以上である吸水性樹脂粒子を含む吸水シートに関する。ここで、吸い上げ吸水量は、DW法に準じて、内径25mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内に配置された0.5gの吸水性樹脂粒子に、生理食塩水を吸収させたときに、該吸水性樹脂粒子が吸収を開始してから10分後までに吸収する、該吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の質量である。また、透過液吸水量は、内径60mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内のメッシュシート上に0.5gの吸水性樹脂粒子を配置した後、30gの生理食塩水を投入し、投入開始時点から1分後に測定される、吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の吸収量である、吸水シートに関する。
【0007】
本発明の別の一側面は、液体不透過性シート、吸収層を複数備える吸水シート及び液体透過性シートを備え、液体不透過性シート、吸水シート及び液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、液体不透過性シート側の最外層の吸収層は吸い上げ吸水量が10.5g/g以上であり、透過液吸水量が12.5g/g以上である吸水性樹脂粒子を含む吸収性物品に関する。ここで、吸い上げ吸水量は、DW法に準じて、内径25mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内に配置された0.5gの吸水性樹脂粒子に、生理食塩水を吸収させたときに、該吸水性樹脂粒子が吸収を開始してから10分後までに吸収する、該吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の質量である。また、透過液吸水量は、内径60mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内のメッシュシート上に0.5gの吸水性樹脂粒子を配置した後、30gの生理食塩水を投入し、投入開始時点から1分後に測定される、吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の吸収量である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸収性物品における液体漏れを抑制可能な吸水シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】コアラップシート上に形成された接着剤の塗布パターンの一例を示す平面図である。
【
図4】吸い上げ吸水量を測定する方法を示す模式図である。
【
図5】荷重下吸水量を測定する方法を示す模式図である。
【
図6】液体漏れ試験を測定する方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本明細書において、「アクリル」及び「メタクリル」を合わせて「(メタ)アクリル」と表記する。「アクリレート」及び「メタクリレート」も同様に「(メタ)アクリレート」と表記する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。「水溶性」とは、25℃において水に5質量%以上の溶解性を示すことをいう。本明細書に例示する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0012】
一実施形態に係る吸水シートは、吸収層を複数備えている。複数の吸収層において、一方の最外層の吸収層は、吸い上げ吸水量が10.5g/g以上であり、透過液吸水量は12.5g/g以上である吸水性樹脂粒子を含む。
【0013】
吸い上げ吸水量は、DW法に準じて、内径25mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内に配置された0.5gの吸水性樹脂粒子に、生理食塩水を吸収させたときに、該吸水性樹脂粒子が吸収を開始してから10分後までに吸収する、該吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の質量である。吸い上げ吸水量は、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定される。本明細書において、生理食塩水は、濃度0.9質量%の塩化ナトリウム水溶液である。濃度0.9質量%は、生理食塩水の質量を基準とする濃度である。
【0014】
透過液吸水量は、内径60mmの円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内のメッシュシート上に0.5gの吸水性樹脂粒子を配置した後、30gの生理食塩水を投入し、投入開始時点から1分後に測定される、吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水の吸収量である。透過液吸水量は、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定される。
【0015】
本実施形態に係る吸水シートによれば、吸収性物品における液体漏れが抑制可能となる。このような効果が得られる原因は明らかではないが、本発明者は下記のように推察している。但し、原因は下記の内容に限定されない。吸い上げ吸水量及び透過液吸水量が上記範囲内にある吸水性樹脂粒子によれば、速やかな吸液が可能になることに加えて、吸液した吸水性樹脂粒子の密集により液の通り道が塞がれる現象(ブロッキング)の発生が抑制され、より多くの液体の吸液が可能になると考えられる。このような吸水性樹脂粒子を含む吸収層を吸収性物品の液体が侵入する側とは反対側の最外層に位置する吸収層として用いることで、液体漏れが効果的に抑制されると考えられる。
【0016】
複数の吸収層において、第1の吸水性樹脂粒子を含む一方の最外層以外の層(以下、「他の層」ということもある。)は、第1の吸水性樹脂粒子と同種又は異種の吸水性樹脂粒子(以下、「第2の吸水性樹脂粒子」ということもある。)を含んでいてよい。
【0017】
複数の吸収層は、第1の吸水性樹脂粒子を含む最外層と、第2の吸水性樹脂粒子を含む1又は複数の最外層以外の層(他の層)とを有していてよい。吸水シートは、第1の吸水性樹脂粒子を含む最外層が、液体が侵入する側とは反対側になるように配置される。吸水シートにおいて、吸収層の層数は、2以上であればよく、例えば、2~5、2~4、2~3、又は2であってよい。
【0018】
図4は、吸い上げ吸水量を測定する方法を示す模式図である。
図4に示される測定装置は、DW(Demand Wettability)値を測定するための装置と同様の構成を有しており、ビュレット部1、導管5、測定台13、架台14、及びクランプ3を有する。ビュレット部1は、目盛が記載されたビュレット管26と、ビュレット管26の上部の開口を密栓するゴム栓23と、ビュレット管26の下部の先端に連結されたコック22と、ビュレット管26の下部に連結された空気導入管25及びコック24とを有する。ビュレット部1はクランプ3で固定されている。平板状の測定台13は、その中央部に形成された直径2mmの貫通孔13aを有しており、高さが可変の架台14によって支持されている。測定台13の貫通孔13aとビュレット部1のコック22とが導管5によって連結されている。導管5の内径は6mmである。
【0019】
吸い上げ吸水量は、温度25℃、湿度60±10%の環境下で以下の工程を含む方法によって測定される。
(1)ビュレット部1のコック22とコック24を閉め、25℃の生理食塩水27をビュレット管26上部の開口からビュレット管26に入れる。
(2)ゴム栓23でビュレット管26の開口の密栓した後、コック22及びコック24を開ける。気泡が入らないよう導管5内部を生理食塩水27で満たす。
(3)貫通孔13a内に到達した生理食塩水の水面の高さが、測定台13の上面の高さと同じになるように、測定台13の高さを調整する。調整後、ビュレット管26内の生理食塩水27の水面の高さをビュレット管26の目盛で読み取り、その位置をゼロ点(0秒時点の読み値)とする。
(4)円筒16(内径25mmφ×高さ150mm)と円筒の底部に接着されたナイロンメッシュシート15(250メッシュ、厚さ約60μm)とからなる吸い上げ吸水量測定用の容器内に0.5gの吸水性樹脂粒子を均一に散布する。
(5)吸水性樹脂粒子11aが配置されたナイロンメッシュシート15を、その中心が貫通孔13aの位置になるように、配置して測定を開始する。空気導入管からビュレット管26内に気泡が最初に導入された時点を吸収開始(0秒)とみなす。
(6)ビュレット管26内の生理食塩水27の減少量(すなわち、吸水性樹脂粒子11aが吸収した生理食塩水の量)を0.1mL単位で順次読み取る。吸水性樹脂粒子11aの吸水開始から起算して10分後の生理食塩水27の吸水量A(減量分)(mL)を読み取る。吸水量Aと生理食塩水の密度(1.0028g/mL)から、下記式により吸い上げ吸水量を求める。吸い上げ吸水量は、吸収された生理食塩水の吸水性樹脂粒子1g当たりの質量である。
吸い上げ吸水量[g/g]=A[mL]×1.0028(生理食塩水の密度)[g/mL]/0.5[g]
【0020】
第1の吸水性樹脂粒子の吸い上げ吸水量は、液体漏れ抑制効果により一層優れる観点から、12.0g/g以上、14.0g/g以上、16.0g/g以上、18.0g/g以上、20.0g/g以上、22.0g/g以上、24.0g/g以上、26.0g/g以上、又は28.0g/g以上であってよい。第1の吸水性樹脂粒子の吸い上げ吸水量は、例えば、50.0g/g以下、40.0g/g以下、35.0g/g以下、又は30.0g/g以下であってよい。第2の吸水性樹脂粒子の吸い上げ吸水量は、上記範囲内であってもよいし、上記範囲外であってもよい。
【0021】
吸い上げ吸水量が10.5g/g以上である吸水性樹脂粒子は、例えば、後述の重合体粒子に、表面架橋と、表面架橋後の表面改質とを行うこと、吸水性樹脂粒子の表面積を大きくすること、又はこれらの組み合わせにより、得ることができる。
【0022】
透過液吸水量は、以下の工程を含む方法によって測定される。
(1)内径60mmφ、高さ70mmのアクリル樹脂製円筒と該円筒の底部に接着されたメッシュシートとからなる容器内のメッシュシート上に0.5gの吸水性樹脂粒子を均一に散布し、容器及び吸水性樹脂粒子の合計質量Wcを測定する。
(2)吸水性樹脂粒子が配置された容器を、空のシャーレ上に置かれた金網(目開き1.4mm、100mm×100mm)上に配置した後、吸水性樹脂粒子が配置された容器内に、30gの生理食塩水(濃度0.9wt%食塩水)を一度に投入し、1分後に容器及びその内容物の合計質量Wdを測定する。
(3)容器及び吸水性樹脂粒子の合計質量Wc並びに容器及びその内容物の合計質量Wdから、下記式により透過液吸水量を求める。
透過液吸水量[g/g]=(Wd[g]-Wc[g])/0.5[g]
【0023】
第1の吸水性樹脂粒子の透過液吸水量は、液体漏れ抑制効果により一層優れる観点から、15.0g/g以上、17.0g/g以上、20.0g/g以上、25.0g/g以上、30.0g/g以上、35.0g/g以上、又は40.0g/g以上であってよい。第1の吸水性樹脂粒子の透過液吸水量は、例えば、60g/g以下、55g/g以下、又は50g/g以下であってよい。第2の吸水性樹脂粒子の透過液吸水量は、上記範囲内であってもよいし、上記範囲外であってもよい。
【0024】
透過液吸水量が12.5g/g以上である吸水性樹脂粒子は、例えば、後述の重合体粒子に、表面架橋と、表面架橋後の表面改質とを行うこと、吸水性樹脂粒子の表面積を大きくすること、又はこれらの組み合わせにより、得ることができる。
【0025】
第1の吸水性樹脂粒子及び第2の吸水性樹脂粒子の生理食塩水の吸水量は、液体漏れがより一層抑制可能となる観点から、それぞれ、40g/g以上、50g/g以上、又は55g/g以上であってよく、80g/g以下、70g/g以下、又は65g/g以下であってよい。生理食塩水の吸水量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0026】
第1及び第2の吸水性樹脂粒子の形状は、それぞれ、例えば略球状、破砕状、又は顆粒状あるいはこれらの形状を有する一次粒子が凝集した形状であってもよい。第1及び第2の吸水性樹脂粒子の中位粒子径は、それぞれ、800μm以下、600μm以下、500μm以下、450μm以下、又は400μm以下であってよく、100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、300μm以上、又は350μm以上であってよい。第1及び第2の吸水性樹脂粒子の中位粒子径は、それぞれ、100~800μm、150~600μm、200~500μm、又は250~450μmであってよい。第1及び第2の吸水性樹脂粒子は、後述する製造方法により得られた時点で所望の粒度分布を有していてよいが、篩による分級を用いた粒度調整等の操作を行うことにより粒度分布を調整してもよい。
【0027】
吸水性樹脂粒子を衛生材料の用途に用いる場合には、吸収体又は吸水シート製造時の取扱い性の観点から、一般的に吸水性樹脂粒子の中位粒子径は比較的大きいことが望ましいとされているが、吸収層を複数備える吸水シートの最外層に含まれる吸水性樹脂粒子(第1の吸水性樹脂粒子)は、液体漏れ抑制効果により一層優れる観点から、中位粒子径が比較的小さい(例えば、450μm以下又は300μm以下である)吸水性樹脂粒子であってもよい。
【0028】
第1の吸水性樹脂粒子において、粒子径150μm以下の粒子含有量は、液体漏れ抑制効果により一層優れる観点から、吸水性樹脂粒子の全質量を基準として、21.0質量%以下、15.0質量%以下、10.0質量%以下、8.0質量%以下、又は6.0質量%以下であってよく、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上であってよい。第1の吸水性樹脂粒子において、粒子径150μm以下の粒子含有量は、0.5~21.0質量%、1.0~15.0質量%、又は1.5~10.0質量%であってよい。粒子径150μm以下の吸水性樹脂粒子の含有量は、吸水性樹脂粒子の全質量を基準とする目開き150μmの篩を通過する吸水性樹脂粒子の含有量である。
【0029】
吸水性樹脂粒子を衛生材料の用途に用いる場合には、吸収体又は吸水シート製造時の目抜け(ロス)が少なくなる観点から、一般的に粒子径150μm以下の粒子含有量が比較的少ない(例えば、0.5質量%未満)ことが望ましいとされているが、吸収層を複数備える吸水シートの最外層に含まれる吸水性樹脂粒子(第1の吸水性樹脂粒子)は、液体漏れ抑制効果により一層優れる観点から、粒子径150μm以下の粒子含有量が比較的多い(例えば、0.5質量%以上21.0質量%以下である)吸水性樹脂粒子であってもよい。
【0030】
第1及び第2の吸水性樹脂粒子の2.07kPaの荷重下で生理食塩水の吸水量(以下、単に「荷重下吸水量」ということがある。)は、それぞれ、15mL/g以上、18mL/g以上、20mL/g以上、25mL/g以上、又は30mL/g以上であってもよく、50mL/g以下、45mL/g以下、40mL/g以下、又は34mL/g以下であってもよい。荷重下吸水量が大きいと、吸収性物品の装着者の荷重を受けた状態でも、高い吸水能力を維持することができる。荷重下吸水量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0031】
第1の吸水性樹脂粒子のDW法による生理食塩水の吸水速度は、例えば、5.0g/30秒/0.3g未満であってよく、1.0g/30秒/0.3g以上、又は2.5g/30秒/0.3g以上であってよい。DW法による生理食塩水の吸水速度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0032】
第1の吸水性樹脂粒子のVortex法による生理食塩水の吸水速度は、例えば、2秒以上、3秒以上、又は4秒以上であってよく、30秒以下、25秒以下、20秒以下、16秒以下、又は13秒以下であってよい。Vortex法による生理食塩水の吸水速度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0033】
第2の吸水性樹脂粒子の液透過時間は、例えば、20秒超であってよく、60秒以下、50秒以下、40秒以下、又は35秒以下であってよい。液透過時間は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0034】
第1及び第2の吸水性樹脂粒子は、例えば、エチレン性不飽和単量体を含む単量体の重合により形成された架橋重合体を含むことができる。架橋重合体は、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する。
【0035】
第1及び第2の吸水性樹脂粒子は、エチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合させる工程を含む方法により、製造することができる。重合方法としては、逆相懸濁重合法、水溶液重合法、バルク重合法、沈殿重合法等が挙げられる。得られる吸水性樹脂粒子の良好な吸水特性の確保、及び、重合反応の制御が容易である観点から、逆相懸濁重合法又は水溶液重合法を適用してもよい。以下においては、エチレン性不飽和単量体を重合させる方法として、逆相懸濁重合法を例にとって説明する。
【0036】
エチレン性不飽和単量体は水溶性であってもよい。水溶性エチレン性不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリル酸及びその塩、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体がアミノ基を有する場合、当該アミノ基は4級化されていてもよい。エチレン性不飽和単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。上述の単量体のカルボキシル基、アミノ基等の官能基は、後述する表面架橋工程において架橋が可能な官能基として機能し得る。
【0037】
工業的に入手が容易である観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びに、N,N-ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに、アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。吸水特性を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0038】
エチレン性不飽和単量体は、水溶液として重合反応に用いることができる。エチレン性不飽和単量体を含む水溶液(以下、単に「単量体水溶液」という)におけるエチレン性不飽和単量体の濃度は、20質量%以上飽和濃度以下、25~70質量%、又は30~55質量%であってもよい。水溶液において使用される水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
【0039】
吸水性樹脂粒子を得るための単量体として、上述のエチレン性不飽和単量体以外の単量体が使用されてもよい。このような単量体は、例えば、上述のエチレン性不飽和単量体を含む水溶液に混合して用いることができる。エチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体全量に対して70~100モル%であってもよい。(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が単量体全量に対して70~100モル%であってもよい。
【0040】
エチレン性不飽和単量体が酸基を有する場合、その酸基をアルカリ性中和剤によって中和してから、単量体溶液を重合反応に用いてもよい。エチレン性不飽和単量体における、アルカリ性中和剤による中和度は、得られる吸水性樹脂粒子の浸透圧を高くし、吸水特性(吸水量等)を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体中の酸性基の10~100モル%、50~90モル%、又は60~80モル%であってもよい。アルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニアなどが挙げられる。アルカリ性中和剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。アルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態で用いられてもよい。エチレン性不飽和単量体の酸基の中和は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を上述の単量体水溶液に滴下して混合することにより行うことができる。
【0041】
逆相懸濁重合法においては、界面活性剤の存在下、炭化水素分散媒中で単量体水溶液を分散し、ラジカル重合開始剤等を用いてエチレン性不飽和単量体の重合を行うことができる。ラジカル重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。
【0042】
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(「(ポリ)」とは、「ポリ」の接頭語がある場合及びない場合の双方を意味するものとする。以下同じ。)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0043】
W/O型逆相懸濁の状態が良好であり、好適な粒子径を有する吸水性樹脂粒子が得られやすく、工業的に入手が容易である観点から、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでもよい。得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性が向上しやすい観点、かつ吸水性樹脂粒子の表面積を大きくするのに好適である観点から、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル(例えばソルビタンモノラウレート)、及び/又はショ糖脂肪酸エステル(例えばショ糖ステアリン酸エステル)を用いてよい。これらの界面活性剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0044】
界面活性剤の量は、単量体水溶液100質量部に対して、0.05~10質量部、0.08~5質量部、又は0.1~3質量部であってもよい。
【0045】
逆相懸濁重合では、上述の界面活性剤と共に高分子系分散剤を併せて用いてもよい。高分子系分散剤としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。高分子系分散剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。高分子系分散剤は、単量体の分散安定性に優れる観点から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、及び、酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0046】
高分子系分散剤の量は、単量体水溶液100質量部に対して、0.05~10質量部、0.08~5質量部、又は0.1~3質量部であってもよい。
【0047】
炭化水素分散媒は、炭素数6~8の鎖状脂肪族炭化水素、及び、炭素数6~8の脂環式炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。炭化水素分散媒としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、n-オクタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans-1,2-ジメチルシクロペンタン、cis-1,3-ジメチルシクロペンタン、trans-1,3-ジメチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。炭化水素分散媒は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0048】
工業的に入手が容易であり、かつ、品質が安定している観点から、炭化水素分散媒は、n-ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。また、同様の観点から、上述の炭化水素分散媒の混合物としては、例えば、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:n-ヘプタン及びその異性体の炭化水素75~85%含有)を用いてもよい。
【0049】
炭化水素分散媒の量は、重合熱を適度に除去し、重合温度を制御しやすい観点から、単量体水溶液100質量部に対して、30~1000質量部、40~500質量部、又は50~300質量部であってもよい。炭化水素分散媒の量が30質量部以上であることにより、重合温度の制御が容易である傾向がある。炭化水素分散媒の量が1000質量部以下であることにより、重合の生産性が向上する傾向があり、経済的である。
【0050】
ラジカル重合開始剤は水溶性であってもよい。水溶性ラジカル重合開始剤の例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物;2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-フェニルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等のアゾ化合物が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。ラジカル重合開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩酸塩、及び、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}2塩酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0051】
ラジカル重合開始剤の量は、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.00005~0.01モルであってよい。ラジカル重合開始剤の使用量が0.00005モル以上であると、重合反応に長時間を要さず、効率的である。ラジカル重合開始剤の量が0.01モル以下であると、急激な重合反応が起こることを抑制しやすい。
【0052】
例示されたラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L-アスコルビン酸等の還元剤と併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
【0053】
重合反応の際、単量体水溶液は、連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤としては、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類等が挙げられる。
【0054】
吸水性樹脂粒子の粒子径を制御するために、重合に用いる単量体水溶液は、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。重合時の攪拌速度が同じであれば、単量体水溶液の粘度が高いほど、得られる粒子の中位粒子径は大きくなる傾向にある。
【0055】
重合の際に自己架橋による架橋が生じうるが、更に内部架橋剤を用いることで架橋を施してもよい。内部架橋剤を用いると、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御しやすい。内部架橋剤は、通常、重合反応の際に反応液に添加される。内部架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類のジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;上述のポリオール類と不飽和酸(マレイン酸、フマール酸等)とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N”-トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の,重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;イソシアネート化合物(2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)などの、反応性官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。内部架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。内部架橋剤としては、ポリグリシジル化合物であってもよく、ジグリシジルエーテル化合物であってもよい。内部架橋剤が、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
【0056】
内部架橋剤の量は、上述の単量体水溶液の重合により得られる重合体が適度に架橋されることにより水溶性の性質が抑制され、充分な吸水量が得られやすい観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0ミリモル以上、0.01ミリモル以上、0.015ミリモル以上、又は0.020ミリモル以上であってもよく、0.1モル以下であってもよい。
【0057】
エチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開始剤、必要に応じて内部架橋剤等を含む水相と、炭化水素系分散剤と必要に応じて界面活性剤、高分子系分散剤等を含む油相を混合した状態において攪拌下で加熱し、油中水系において逆相懸濁重合を行うことができる。
【0058】
逆相懸濁重合を行う際には、界面活性剤(必要に応じて更に、高分子系分散剤)の存在下で、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を炭化水素分散媒に分散させる。このとき、重合反応を開始する前であれば、界面活性剤、高分子系分散剤等の添加時期は、単量体水溶液の添加の前後どちらであってもよい。
【0059】
得られる吸水性樹脂に残存する炭化水素分散媒の量を低減しやすい観点から、高分子系分散剤を分散させた炭化水素分散媒に単量体水溶液を分散させた後に界面活性剤を更に分散させてから重合を行ってもよい。
【0060】
逆相懸濁重合は、1段、又は、2段以上の多段で行うことができる。逆相懸濁重合は、生産性を高める観点から、2段又は3段で行ってもよい。
【0061】
2段以上の多段で逆相懸濁重合を行う場合、1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物にエチレン性不飽和単量体を添加して混合し、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、エチレン性不飽和単量体の他に、上述のラジカル重合開始剤を、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行ってもよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、必要に応じて内部架橋剤を用いてもよい。内部架橋剤を用いる場合は、各段に供するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行ってもよい。
【0062】
重合反応の温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより、経済性を高めると共に、容易に重合熱を除去して円滑に反応を行う観点から、20~150℃、又は40~120℃であってもよい。反応時間は、通常、0.5~4時間である。重合反応の終了は、例えば、反応系内の温度上昇の停止により確認することができる。これにより、エチレン性不飽和単量体の重合体は、通常、含水ゲル状重合体の状態で得られる。
【0063】
重合後、得られた含水ゲル状重合体に架橋剤を添加して加熱することで、重合後架橋を施してもよい。重合後架橋を行なうことで含水ゲル状重合体の架橋度を高め、それにより吸水性樹脂粒子の吸水特性を更に向上させることができる。
【0064】
重合後架橋を行うための架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等の2個以上のエポキシ基を有する化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、及びα-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等の2個以上のイソシアネート基を有する化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。重合後架橋のための架橋剤が、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物であってもよい。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0065】
重合後架橋に用いられる架橋剤の量は、得られる含水ゲル状重合体が適度に架橋されることにより好適な吸水特性を示すようにする観点から、水溶性エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0~0.03モル、0~0.01モル、又は0.00001~0.005モルであってもよい。
【0066】
重合後架橋のための架橋剤は、エチレン性不飽和単量体の重合反応後に反応液に添加される。多段重合の場合、多段重合後に重合後架橋のための架橋剤を添加してもよい。重合時および重合後の発熱、工程遅延による滞留、架橋剤添加時の系の開放、及び架橋剤添加に伴う水の添加等による水分の変動を考慮して、重合後架橋のための架橋剤は、含水率(後述)の観点から、[重合直後の含水率±3質量%]の領域で添加してもよい。
【0067】
引き続き、得られた含水ゲル状重合体から水分が除去される。水分の除去する乾燥により、エチレン性不飽和単量体の重合体を含む重合体粒子が得られる。乾燥方法としては、例えば、(a)含水ゲル状重合体が炭化水素分散媒に分散した状態で共沸蒸留により水分を除去する方法、(b)デカンテーションにより含水ゲル状重合体を取り出し、減圧乾燥する方法、(c)フィルターにより含水ゲル状重合体をろ別し、減圧乾燥する方法等が挙げられる。
【0068】
重合反応時の攪拌機の回転数を調整することによって、あるいは、重合反応後又は乾燥の初期において凝集剤を系内に添加することによって吸水性樹脂粒子の粒子径を調整することができる。凝集剤を添加することにより、得られる吸水性樹脂粒子の粒子径を大きくすることができる。凝集剤としては、無機凝集剤を用いることができる。無機凝集剤(例えば粉末状無機凝集剤)としては、シリカ、ゼオライト、ベントナイト、酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、カオリン、クレイ、ハイドロタルサイト等が挙げられる。凝集効果に優れる観点から、凝集剤が、シリカ、酸化アルミニウム、タルク及びカオリンからなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0069】
逆相懸濁重合において、重合で用いられるものと同種の炭化水素分散媒又は水に凝集剤を予め分散させてから、これを、攪拌下で、含水ゲル状重合体を含む炭化水素分散媒中に混合してもよい。
【0070】
凝集剤の量は、重合に使用するエチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.001~1質量部、0.005~0.5質量部、又は0.01~0.2質量部であってもよい。凝集剤の量がこれら範囲内であることによって、目的とする粒度分布を有する吸水性樹脂粒子が得られやすい。
【0071】
重合反応は、攪拌翼を有する各種攪拌機を用いて行うことができる。攪拌翼としては、平板翼、格子翼、パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼等を用いることができる。平板翼は、軸(撹拌軸)と、軸の周囲に配置された平板部(撹拌部)とを有している。さらに、平板部は、スリット等を有していてもよい。
【0072】
吸水性樹脂粒子の製造においては、乾燥工程(水分除去工程)又はそれ以降のいずれかの工程において、架橋剤を用いて含水ゲル状重合体の表面部分の架橋(表面架橋)が行われてもよい。表面架橋を行うことで、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御しやすい。表面架橋される含水ゲル状重合体の含水率が、5~50質量%、10~40質量%、又は15~35質量%であってもよい。含水ゲル状重合体の含水率(質量%)は、次の式で算出される。
含水率=[Ww/(Ww+Ws)]×100
Ww:全重合工程の重合前の単量体水溶液に含まれる水分量から、乾燥工程等により系外部に排出された水分量を差し引いた量に、凝集剤、表面架橋剤等を混合する際に必要に応じて用いられる水分量を加えることで算出される含水ゲル状重合体の水分量。
【0073】
Ws:含水ゲル状重合体を構成するエチレン性不飽和単量体、架橋剤、開始剤等の材料の仕込量から算出される固形分量。
【0074】
表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、例えば、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。架橋剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-3-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物が挙げられる。表面架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。表面架橋剤は、ポリグリシジル化合物であってもよく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、及び、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
【0075】
表面架橋剤の量は、重合に使用するエチレン性不飽和単量体1モルに対して、0.00001~0.02モル、0.00005~0.01モル、又は0.0001~0.005モルであってもよい。表面架橋剤の量が0.00001モル以上であると、吸水性樹脂粒子の表面部分における架橋密度が充分に高められ、吸水性樹脂粒子のゲル強度を高めやすい。表面架橋剤の量が0.02モル以下であると、吸水性樹脂粒子の吸水量を高めやすい。
【0076】
吸水性樹脂粒子の製造においては、乾燥工程(水分除去工程)又はそれ以降のいずれかの工程において、表面改質剤を用いて含水ゲル状重合体の表面部分を処理(表面改質)してもよい。表面改質は、例えば、表面架橋工程の前、途中または後に行われてよい。表面改質は、なかでも表面架橋後に行われてよい。特に、逆相懸濁重合法、水溶液重合法、その他の重合方法により得られた含水ゲル状重合体において、含水ゲル状重合体を、表面架橋後に、表面改質剤により処理する場合には、吸い上げ吸水量及び透過液吸水量が上記範囲内にある吸水性樹脂粒子を形成しやすい傾向がある。
【0077】
表面改質剤は、例えば、ノニオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤であってよい。例えば、表面改質剤として用いられるノニオン界面活性剤のHLB値は、例えば、3~12、又は6~10であってよい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート等のソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。特に、表面改質剤が、HLB値が上記範囲内のノニオン界面活性剤である場合、吸い上げ吸水量及び透過液吸水量が上記範囲内にある吸水性樹脂粒子を形成しやすい傾向がある。HLB値は、グリフィン法により測定される。
【0078】
表面改質剤の量は、重合に使用するエチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.01~0.50質量部、0.02~0.40質量部、又は0.04~0.30質量部であってもよい。
【0079】
必要に応じて、表面架橋及び/又は表面改質が行われた後、含水ゲル状重合体から水及び炭化水素分散媒を留去すること等により、乾燥品である重合体粒子を得ることができる。
【0080】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、重合体粒子のみから構成されていてもよいが、例えば、ゲル安定剤、金属キレート剤、及び流動性向上剤(滑剤)等から選ばれる各種の追加の成分を更に含むことができる。追加の成分は、重合体粒子の内部、重合体粒子の表面上、又はそれらの両方に配置され得る。追加の成分は、流動性向上剤(滑剤)であってもよい。流動性向上剤は無機粒子を含んでいてもよい。無機粒子としては、例えば、非晶質シリカ等のシリカ粒子が挙げられる。
【0081】
吸水性樹脂粒子は、重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子を含んでいてもよい。例えば、重合体粒子と無機粒子とを混合することにより、重合体粒子の表面上に無機粒子を配置することができる。この無機粒子は、非晶質シリカ等のシリカ粒子であってもよい。吸水性樹脂粒子が重合体粒子の表面上に配置された無機粒子を含む場合、重合体粒子の質量に対する無機粒子の量の割合は、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上であってもよく、5.0質量%以下、又は3.5質量%以下であってもよい。ここでの無機粒子は、通常、重合体粒子の大きさと比較して微小な大きさを有する。例えば、無機粒子の平均粒子径が、0.1~50μm、0.5~30μm、又は1~20μmであってもよい。ここでの平均粒子径は、動的光散乱法、又はレーザー回折・散乱法によって測定される値であることができる。
【0082】
図1は、吸水シートの一例を示す断面図である。
図1に示す吸水シート50は、第1の吸収層10aと、第2の吸収層10bと、3枚のコアラップシート20a,20b,20cとを有する。第1の吸収層10aの両側にはコアラップシート20a,20cが配置され、第2の吸収層10bの両側にはコアラップシート20b,20cが配置されている。言い換えれば、第1の吸収層10aは、コアラップシート20a,20cの内側に配置されており、第2の吸収層10bは、コアラップシート20b,20cの内側に配置されている。第1の吸収層10a及び第2の吸収層10bは、2枚のコアラップシートの間に挟まれることにより、保形されている。コアラップシート20a,20bは、別々のシートであってもよいし、折り返された1枚のシート、又は1枚の袋体であってもよい。
【0083】
吸水シート50は、コアラップシート20aと第1の吸収層10aとの間、及びコアラップシート20bと第2の吸収層10bとの間に介在する接着剤21を更に有していてもよい。
図2は、コアラップシート上に形成された接着剤の塗布パターンの一例を示す平面図である。
図2に示される接着剤21は、コアラップシート20a上で間隔を空けながら配列された複数の線状部分から構成される塗布パターンを形成している。なお、接着剤21の塗布パターンは、直線状、曲線状、ドット状、又はこれらの組み合わせ等であってもよい。コアラップシート20aと第1の吸収層10aとの間、及びコアラップシート20bと第2の吸収層10bとの間のいずれか一方のみに接着剤21が介在していてもよい。吸水シート50は接着剤21を有していなくてもよい。接着剤21は、例えば水性接着剤、溶剤型接着剤、弾性接着剤、エアゾール接着剤、ホットメルト接着剤等であってもよい。
【0084】
第1の吸収層10a及び第2の吸収層10bは、それぞれ上述した吸水性樹脂粒子を含む吸収層である。第1の吸収層10aは、第1の吸水性樹脂粒子11aを含む。第1の吸水性樹脂粒子11aの吸い上げ吸水量は10.5g/g以上であり、第1の吸水性樹脂粒子11aの透過液吸水量は12.5g/g以上である。第1の吸収層10aは、第1の吸水性樹脂粒子11aに加えて、繊維状物を含む繊維層12aを有する。第2の吸収層10bは、第2の吸水性樹脂粒子11bと、繊維状物を含む繊維層12bとを有する。第1の吸収層10aは、繊維層12aを有していなくてもよい。同様に、第2の吸収層10bは、繊維層12bを有していなくてもよい。第2の吸水性樹脂粒子11bは、第1の吸水性樹脂粒子11aと同種であっても異種であってもよい。
【0085】
吸収層における吸水性樹脂粒子の含有量は、吸収層の質量を基準として、70~100質量%、80~100質量%、又は90~100質量%であってもよい。
【0086】
第1の吸収層10aの厚さ及び第2の吸収層10bの厚さは、それぞれ、乾燥状態で、例えば20mm以下、15mm以下、10mm以下、5mm以下、4mm以下、又は3mm以下であってよく、0.1mm以上、又は0.3mm以上であってもよい。第1の吸収層10aの厚さと、第2の吸収層10bの厚さとは同じであっても異なっていてもよい。
【0087】
第1の吸収層10a及び第2の吸収層10bの単位面積当たりの質量は、それぞれ、800g/m2以下、600g/m2以下、又は400g/m2以下であってもよく、50g/m2以上、80g/m2以上、又は100g/m2以上であってもよい。第1の吸収層10aの単位面積当たりの質量と、第2の吸収層10bの単位面積当たりの質量とは同じであっても異なっていてもよい。
【0088】
繊維層12a,12bを構成する繊維状物は、例えば、セルロース系繊維、合成繊維、又はこれらの組み合わせであることができる。セルロース系繊維の例としては、粉砕された木材パルプ、コットン、コットンリンター、レーヨン、セルロースアセテートが挙げられる。合成繊維の例としては、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、及びポリオレフィン繊維が挙げられる。繊維状物が親水性繊維(例えばパルプ)であってもよい。
【0089】
第1の吸収層10a及び第2の吸収層10bは、無機粒子(例えば非晶質シリカ)、消臭剤、抗菌剤、香料等を更に含んでもよい。第1の吸水性樹脂粒子11aが無機粒子を含む場合、第1の吸収層10aは第1の吸水性樹脂粒子11a中の無機粒子とは別の無機粒子を含んでいてもよい。同様に、第2の吸水性樹脂粒子11bが無機粒子を含む場合、第2の吸収層10bは第2の吸水性樹脂粒子11b中の無機粒子とは別の無機粒子を含んでいてもよい。
【0090】
コアラップシート20a,20b,20cは、例えば不織布であってもよい。コアラップシート20a,20b,20cが、同一又は異なる不織布であることができる。例えば、コアラップシート20a,20bが同種の不織布であり、コアラップシート20cがこれらとは異なる種の不織布であってよい。不織布は、短繊維(すなわちステープル)で構成される不織布(短繊維不織布)であってもよく、長繊維(すなわちフィラメント)で構成される不織布(長繊維不織布)であってもよい。ステープルは、一般的には数百mm以下の繊維長を有していてよい。
【0091】
コアラップシート20a,20b,20cは、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、レジンボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ポイントボンド不織布、又はこれらから選ばれる2種以上の不織布を含む積層体であってよい。
【0092】
コアラップシート20a,20b,20cとして用いられる不織布は、合成繊維、天然繊維、又はこれらの組み合わせによって形成された不織布であることができる。合成繊維の例としては、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、並びにレーヨンから選ばれる合成樹脂を含む繊維が挙げられる。天然繊維の例としては、綿、絹、麻、又はパルプ(セルロース)を含む繊維が挙げられる。不織布を形成する繊維が、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維又はこれらの組み合わせであってよい。コアラップシート20a,20b,20cがティッシュであってもよい。
【0093】
吸水シート50は、例えば、以下の方法により得ることができる。まず、第1の吸水性樹脂粒子11a、又は第1の吸水性樹脂粒子11aと繊維状物とを含む混合物をコアラップシート20a,20cの間に挟む。次いで、第2の吸水性樹脂粒子11b、又は第2の吸水性樹脂粒子11bと繊維状物とを含む混合物をコアラップシート20b,20cとの間に挟む。以上の手順により形成された構造体を必要により加熱しながら加圧する方法により、コアラップシート20a、第1の吸収層10a、コアラップシート20c、第2の吸収層10b及びコアラップシート20bがこの順に配置された吸水シート50を得ることができる。必要により、コアラップシート20aと、第1の吸水性樹脂粒子11a、又はこれを含む混合物との間、及び/又は、コアラップシート20bと、第2の吸水性樹脂粒子11b、又はこれを含む混合物との間に、接着剤21が配置される。
【0094】
吸水シート50は、例えば各種の吸収性物品を製造するために用いられる。吸収性物品の例としては、おむつ(例えば紙おむつ)、トイレトレーニングパンツ、失禁パッド、衛生材料(生理用ナプキン、タンポン等)、汗取りパッド、ペットシート、簡易トイレ用部材、及び動物排泄物処理材が挙げられる。
【0095】
図3は、吸収性物品の一例を示す断面図である。
図3に示す吸収性物品100は、第1の吸収層10a及び第2の吸収層10bを有する吸水シート50と、液体透過性シート30と、液体不透過性シート40とを備える。言い換えると、吸水シート50が、液体透過性シート30と液体不透過性シート40との間に挟まれている。
【0096】
吸水シート50は、第1の吸収層10aが、液体不透過性シート40側になる向きで配置される。つまり、液体不透過性シート40側の最外層の吸収層が、第1の吸水性樹脂粒子11aを含む。
【0097】
液体透過性シート30は、吸収対象の液が浸入する側の最外層の位置に配置されている。液体透過性シート30は、コアラップシート20bに接した状態でコアラップシート20bの外側に配置されている。液体不透過性シート40は、吸収性物品100において液体透過性シート30とは反対側の最外層の位置に配置されている。液体不透過性シート40は、コアラップシート20aに接した状態でコアラップシート20aの外側に配置されている。液体透過性シート30及び液体不透過性シート40は、吸水シート50の主面よりも広い主面を有しており、液体透過性シート30及び液体不透過性シート40の外縁部は、第1の吸収層10a、第2の吸収層10b及びコアラップシート20a,20bの周囲に延在している。ただし、吸収層10a,10b、コアラップシート20a,20b、液体透過性シート30、及び、液体不透過性シート40の大小関係は、吸収性物品の用途等に応じて適宜調整される。
【0098】
液体透過性シート30は、不織布であってもよい。液体透過性シート30として用いられる不織布は、吸収性物品の液体吸収性能の観点から、適度な親水性を有していてもよい。その観点から、液体透過性シート30は、紙パルプ技術協会による紙パルプ試験方法No.68(2000)の測定方法に従って測定される親水度が5~200の不織布であってもよい。不織布の親水度は、10~150であってもよい。紙パルプ試験方法No.68の詳細については、例えばWO2011/086843号を参照することができる。
【0099】
親水性を有する不織布は、例えば、レーヨン繊維のように適度な親水度を示す繊維によって形成されたものでもよいし、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維のような疎水性の化学繊維を親水化処理して得た繊維によって形成されたものであってもよい。親水化処理された疎水性の化学繊維を含む不織布を得る方法としては、例えば、疎水性の化学繊維に親水化剤を混合したものを用いてスパンボンド法にて不織布を得る方法、疎水性化学繊維でスパンボンド不織布を作製する際に親水化剤を同伴させる方法、疎水性の化学繊維を用いて得たスパンボンド不織布に親水化剤を含浸させる方法が挙げられる。親水化剤としては、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤、及びポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ウレタン系の樹脂からなるステイン・リリース剤等が用いられる。
【0100】
液体透過性シート30として用いられる不織布の目付量(単位面積当たりの質量)は、吸収性物品に、良好な液体浸透性、柔軟性、強度及びクッション性を付与できる観点、及び吸収性物品の液体浸透速度を速める観点から、5~200g/m2、8~150g/m2、又は10~100g/m2であってもよい。液体透過性シート30の厚さは、20~1400μm、50~1200μm、又は80~1000μmであってもよい。
【0101】
液体不透過性シート40は、吸収層10に吸収された液体が液体不透過性シート40側から外部へ漏れ出すのを防止する。液体不透過性シート40は、樹脂シート、又は不織布であってもよい。樹脂シートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるシートであってもよい。不織布は、耐水性のメルトブロー不織布を高強度のスパンボンド不織布で挟んだスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS)不織布であってもよい。また、液体不透過性シート40が、樹脂シートと不織布(例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布)との複合シートであってもよい。液体不透過性シート40は、装着時のムレが低減されて、着用者に与える不快感を軽減することができる等の観点から、通気性を有していてもよい。通気性を有する液体不透過性シート40として、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂のシートを用いることができる。
【0102】
吸収性物品の着用感を損なわないよう、柔軟性を確保する観点から、液体不透過性シート40の目付量(単位面積当たりの質量)が5~100g/m2、又は10~50g/m2であってもよい。
【0103】
吸収性物品100は、例えば、吸水シート50を液体透過性シート30及び液体不透過性シート40の間に配置することを含む方法により、製造することができる。液体不透過性シート40、吸水シート50及び液体透過性シート30の順に積層された積層体が、必要により加圧される。あるいは、液体透過性シート30と、コアラップシート20bと、第1の吸水性樹脂粒子11a、又は第1の吸水性樹脂粒子11aと繊維状物とを含む混合物と、コアラップシート20cと、第2の吸水性樹脂粒子11b、又は第2の吸水性樹脂粒子11bと繊維状物とを含む混合物と、コアラップシート20aと液体不透過性シート40とをこの順に配置し、形成された構造体を必要により加熱しながら加圧する方法により、吸収性物品100を得ることもできる。なお、各構成単位間を接着剤で結合させてもよい。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0105】
1.吸水性樹脂粒子の作製
製造例1
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び、撹拌機(翼径5cmの4枚傾斜パドル翼(フッ素樹脂にて表面処理したもの)を2段有する撹拌翼)を備えた内径11cm、内容積2Lの、4箇所の側壁バッフル付き丸底円筒型セパラブルフラスコ(バッフル幅:7mm、バッフル長さ:10cm)を準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン451.4gを添加し、界面活性剤としてソルビタンモノラウレート(ノニオンLP-20R、HLB値:8.6、日油株式会社製)1.104gを添加することにより混合物を得た。この混合物を撹拌機の回転数300rpmで撹拌しつつ50℃まで昇温することによりソルビタンモノラウレートをn-ヘプタンに溶解させた後、混合物を40℃まで冷却した。
【0106】
次に、内容積500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(アクリル酸:1.03モル)を入れた。続いて、外部より氷冷しながら20.9質量%水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下することによってアクリル酸の中和を行うことによりアクリル酸部分中和物水溶液を得た。次に、水溶性ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.1012g(0.374ミリモル)をアクリル酸部分中和物水溶液に加えた後に溶解させることにより単量体水溶液を調製した。
【0107】
上述の単量体水溶液を上述のセパラブルフラスコに添加した後、系内を窒素で充分に置換した。その後、撹拌機の回転数700rpmで撹拌しつつ、フラスコを70℃の水浴に浸漬した後に60分間保持して重合を完了させることにより含水ゲル状重合体を得た。
【0108】
その後、撹拌機の回転数1000rpmで撹拌しつつ、生成した含水ゲル状重合体、n-ヘプタン及び界面活性剤を含む重合液に、粉末状無機凝集剤として非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)0.092gを予めn-ヘプタン100gに分散させることにより得られた分散液を添加した後、10分間混合した。その後、反応液を含むフラスコを125℃の油浴に浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留によりn-ヘプタンを還流しながら129.0gの水を系外へ抜き出した。その後、表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.14g(エチレングリコールジグリシジルエーテル:0.475ミリモル)を添加した後、内温83±2℃で2時間保持した。
【0109】
次いで、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤であるソルビタンモノラウレート(商品名:ノニオンLP-20R、HLB値8.6、日油株式会社製)0.074gが溶解した界面活性剤溶液を添加した。
【0110】
その後、水及びn-ヘプタンを120℃にて蒸発させ、系内からの蒸発物がほとんど留出されなくなるまで乾燥させることにより乾燥品を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通すことにより吸水性樹脂粒子を90.1g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は382μmであった。
【0111】
製造例1の吸水性樹脂粒子の吸水量は60g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は32.5mL/gであった。
【0112】
製造例2
単量体水溶液の添加前にセパラブルフラスコ内に添加したソルビタンモノラウレートの量を1.104gから0.97gに変更したこと、及び、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により抜き出す水の量を129.0gから131.0gに変更したこと以外は、製造例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は384μmであった。
【0113】
製造例2の吸水性樹脂粒子の吸水量は63g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は30.5mL/gであった。
【0114】
製造例3
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び攪拌機として翼径5cmの4枚傾斜パドル翼(フッ素樹脂にて表面処理したもの)を2段で有する攪拌翼を備えた、内径11cm、2L容の、4箇所の側壁バッフル付き丸底円筒型セパラブルフラスコ(バッフル幅:7mm)を準備した。このフラスコに、石油系炭化水素分散媒としてn-ヘプタン451.4gを入れ、界面活性剤としてのソルビタンモノラウレート(ノニオンLP-20R、HLB値8.6、日油株式会社製)0.984gを加え、攪拌機の回転数を300rpmとして、50℃まで加熱した。加熱によって、ソルビタンモノラウレートをn-ヘプタンに溶解させた後、内温を40℃まで冷却した。
【0115】
容積500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)を入れ、これを外部より氷冷しながら20.9質量%水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下することによって、75モル%の中和を行なった。次に、得られたアクリル酸部分中和物水溶液に、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.101g(0.374ミリモル)を加えて溶解し、単量体水溶液を調製した。
【0116】
上記単量体水溶液を上記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、攪拌機の回転数を700rpmとして、フラスコを70℃の水浴に浸漬して、60分間保持した。
【0117】
その後、攪拌機の回転数を1000rpmとして、生成した含水ゲル、n-ヘプタン及び界面活性剤を含む重合液に、粉末状無機凝集剤としての非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)0.092gを予めn-ヘプタン100gに分散させたものを添加して、10分間混合した。その後、125℃の油浴に反応液を含むフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留によりn-ヘプタンを還流しながら112gの水を系外へ抜き出した後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの10質量%水溶液4.97g(2.85ミリモル)を添加し、内温83±2℃で2時間保持した。
【0118】
次いで、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤であるソルビタンモノラウレート(商品名:ノニオンLP-20R、HLB値8.6、日油株式会社製)0.074gが溶解した界面活性剤溶液を添加した。
【0119】
その後、水及びn-ヘプタンを蒸発させて、系内からの蒸発物がほとんど留出されなくなるまで乾燥させた後に、フラスコを一旦油浴から外し、スプレーにて水13.8gを毎秒0.3gの流量で噴霧した。その後、系内に毎分200mLの流量で窒素を吹き込みながら80℃で30分間保持して、乾燥品を得た。該乾燥品を、目開き850μmの篩に通し、吸水性樹脂粒子を90.5g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は368μmであった。
【0120】
製造例3の吸水性樹脂粒子の吸水量は63g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は32.0mL/gであった。
【0121】
製造例4
還流冷却器、窒素ガス導入管、及び撹拌機として翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼(フッ素樹脂を表面にコートしたもの)を備えた内径110mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに炭化水素分散媒としてn-ヘプタン451.4gをとり、界面活性剤としてHLB8.6のソルビタンモノラウレート(日油社製、ノニオンLP-20R)1.104gを添加し、攪拌しつつ80℃の水浴に浸漬して昇温した。次いで、系内を窒素で十分に置換した。
【0122】
容積500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)を入れ、これを外部から冷却しながら20.9質量%水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して中和を行なった。中和後の溶液に、アゾ化合物として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.1104g(0.407ミリモル)および内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0092g(0.0528ミリモル)を加えて溶解し、単量体水溶液を調製した。
【0123】
次いで、前記単量体水溶液に窒素を十分に通気したのち、撹拌機の回転数を1000rpmとして、単量体水溶液全量の滴下時間が7分間となるように、前記セパラブルフラスコに一定速度で滴下した。そして、滴下終了後、セパラブルフラスコ内に中間架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液0.41g(0.047ミリモル)を加えて、80℃で20分間保持し、含水ゲル状重合体を得た。
【0124】
次に、前記セパラブルフラスコを125℃の油浴で反応液を加温し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留によりn-ヘプタンを系内に還流しながら105gの水を系外へ抜き出した後、セパラブルフラスコ内に後架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.14g(0.475ミリモル)を添加し、83℃で120分間保持した。
【0125】
次いで、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤であるソルビタンモノラウレート(商品名:ノニオンLP-20R、HLB値8.6、日油株式会社製)0.074gが溶解した界面活性剤溶液をセパラブルフラスコ内に添加した。
【0126】
その後、水及びn-へプタンを蒸発させて系内からの蒸発物がほとんど流出されなくなるまで乾燥することにより、重合体粒子の乾燥品を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通すことにより、顆粒状の吸水性樹脂粒子を70.0g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は448μmであった。
【0127】
製造例4の吸水性樹脂粒子の吸水量は63g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は33.1mL/gであった。
【0128】
製造例5
[単量体水溶液の調製]
2Lのセパラブルフラスコに130.0g(1.80モル)の100%アクリル酸を入れた。セパラブルフラスコ内を撹拌しながらイオン交換水112.3gを加えた後、氷浴下で112.85gの48質量%水酸化ナトリウムを滴下することにより、単量体濃度45質量%、中和率75モル%のアクリル酸部分中和液を調製した。
【0129】
[重合]
ステンレスバット(φ20cm)内に撹拌子(直径8mm、長さ40mm)を入れ、重合に用いる単量体としてアクリル酸部分中和液(単量体濃度45質量%、アクリル酸の中和率75モル%)340.0g、イオン交換水32.6g、及び内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0541g(0.311ミリモル)を加えた後、攪拌子を回転させ、均一に分散させて混合物(アクリル酸部分中和液濃度38質量%)を得た。その後、該ステンレスバットの上部をポリエチレンフィルムでシールしステンレスバット内をカバーした。該ステンレスバッド内の前記混合物の温度を25℃に調整後、混合物を窒素置換し溶存酸素量を0.1ppm以下にした。次いで、2質量%過硫酸カリウム水溶液24.75g(1.831ミリモル)、及び、0.5質量%L-アスコルビン酸水溶液5.20gを順番に300rpmの撹拌下で滴下し、単量体水溶液を調整した。0.5質量%L-アスコルビン酸水溶液滴下直後に重合が開始した。重合開始から10分後、得られた重合後ゲルを容器に入れたまま75℃の水浴に浸して20分間熟成させた。得られた重合後ゲルの厚みは1.3cmであった。
【0130】
[重合後ゲルの粗砕]
熟成後の含水ゲル状重合体全量を容器から取り出し、5cm間隔の格子状に切れ目を入れて裁断した。5cm間隔で裁断した含水ゲル状重合体の全量を喜連ローヤル社製ミートチョッパー12VR-750SDXに順次投入し、粗砕した。ミートチョッパーの出口に位置するプレートの穴の径は6.4mmとした。粗砕は、ミートチョッパーのプレートから、粗砕されたゲル(含水ゲル粗砕物)が出てこなくなるまで行った。このとき、ミートチョッパーに投入した含水ゲル状重合体量は390gであり、排出され回収できた含水ゲル粗砕物は217gであった。
【0131】
[粗砕されたゲルの乾燥]
粗砕されたゲルを目開き850μmの篩上に広げ、180℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製、型番:DRE320DB)で30分間乾燥させ乾燥物を得た。
【0132】
[乾燥物の粉砕]
上述の乾燥物を、超遠心粉砕機(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、ZM200、6本刃ローター、ローター回転数:6000rpm、スクリーン梯形孔:1.00mm)で粉砕して架橋重合体粒子101gを得た。重合から粉砕まで同様の操作を繰り返し、合計198gの架橋重合体を得た。
【0133】
[表面架橋]
フッ素樹脂製の碇型撹拌翼を備えた内径11cmの丸底円筒型セパラブルフラスコに粉砕後の粒子25.0gを量りとった。次に、500rpmで撹拌しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.060g、水3.6g、プロピレングリコール1.20g、及び、イソプロピルアルコール1.20gを混合して得られた架橋剤水溶液をセパラブルフラスコ内に添加した。この添加により得られた混合物を、フッ素樹脂コーティングされたトレイに均一に広げた後、180℃で40分加熱した。室温まで冷却した後、850μmのメッシュを通すことにより表面架橋後を施した架橋重合体粒子を得た。前記表面架橋操作を計7回実施し、架橋重合体粒子を165g得た。
【0134】
[架橋重合体粒子の分級]
上述の表面架橋後の架橋重合体粒子を目開き850μmの篩、180μmの篩、および受け器を用いて分級した。目開き850μmの篩を通過し、180μmの篩上に残留したものを原料粒子、180μmの篩を通過したものを原料微粒子として回収した。
【0135】
[架橋重合体粒子の造粒]
100mLニューディスポカップ(アズワン株式会社製、CODE1-4620-01)に上述の原料微粒子を3.75g投入した。マグネチックスターラーバー(8mmφ×45mmのリング無し)で、600rpmで撹拌させながら、マクロピペッター(柴田科学株式会社製、10mL容)を用いて5.63gのイオン交換水を0.1g/秒で滴下しながら、1分間攪拌した。その後、上述の原料粒子を8.75g投入し、更に600rpmで1分間攪拌し、凝集物を得た。
【0136】
上述の凝集物をガラスシャーレ(内径5.8cm)にスパチュラを用いて全量を移し、80℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製、型番:DRE320DB)で150分間乾燥させ凝集物の乾燥体を得た。この造粒操作を5回繰り返した。
【0137】
上述で得られた凝集物の乾燥体を、超遠心粉砕機(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、ZM200、6本刃ローター、ローター回転数:6000rpm、スクリーン梯形孔:1.00mm、投入口径φ3cm)に投入して粉砕して重合体粒子を60g得た。この重合体粒子を、目開き500μmの篩に通過させた。その後、重合体粒子の質量に対して0.5質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を重合体粒子に混合し、非晶質シリカを含む吸水性樹脂粒子を43.3g得た。中位粒子径は208μmであった。
【0138】
製造例5の吸水性樹脂粒子の吸水量は50g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は27.0mL/gであった。
【0139】
製造例6
[第1段目の重合反応]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293.0gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0140】
内容積300mLのビーカーに、水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HECAW-15F)、水溶性ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.092g(0.339ミリモル)、および過硫酸カリウム0.018g(0.067ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0141】
そして、上記にて調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間攪拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、さらに添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして攪拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0142】
[第2段目の重合反応]
内容積500mLのビーカーに水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.44モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、水溶性ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.129g(0.476ミリモル)、および過硫酸カリウム0.026g(0.096ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の単量体水溶液を調製した。
【0143】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の単量体水溶液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。これにより含水ゲル状重合体を得た。
【0144】
第2段目の重合後、含水ゲル状重合体に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.589gを攪拌下で添加した。その後、125℃の油浴で反応液を昇温し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、239.2gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに後架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0145】
その後、水及びn-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、重合体粒子の乾燥品を得た。この重合体粒子を目開き850μmの篩を通過させ、重合体粒子の質量に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、非晶質シリカを含む吸水性樹脂粒子を228.1g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は362μmであった。
【0146】
製造例6の吸水性樹脂粒子の吸水量は61g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は39.5mL/gであった。該吸水性樹脂粒子の液透過時間は30.8秒であった。
【0147】
製造例7
[第1段目の重合反応]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0148】
内容積300mLのビーカーに、水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HECAW-15F)、水溶性ラジカル重合剤として過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0149】
そして、上記にて調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間攪拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、さらに添加して、撹拌機の回転数を500rpmとして攪拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0150】
[第2段目の重合反応]
内容積500mLのビーカーに水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.44モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、水溶性ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.090g(0.333ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の単量体水溶液を調製した。
【0151】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を44℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行って、含水ゲル重合体を得た。
【0152】
その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、260.1gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0153】
その後、水及びn-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、重合体粒子(乾燥品)を得た。この重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させ、重合体粒子の質量に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を重合体粒子と混合し、非晶質シリカを含む吸水性樹脂粒子を231.0g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は76μmであった。
【0154】
製造例7の吸水性樹脂粒子の吸水量は67g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は3.3mL/gであった。
【0155】
製造例8
[第1段目の重合反応]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293.0gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0156】
内容積300mLのビーカーに、水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HECAW-15F)、水溶性ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の水性液を調製した。
【0157】
そして、上記にて調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間攪拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、さらに添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして攪拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0158】
[第2段目の重合反応]
内容積500mLのビーカーに水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.44モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、水溶性ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.090g(0.333ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の水性液を調製した。
【0159】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。これにより含水ゲル状重合体を得た。
【0160】
第2段目の重合後の含水ゲルに、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを攪拌下で添加した。その後、125℃の油浴で反応液を昇温し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、256.1gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに後架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0161】
その後、水及びn-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、乾燥品を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通過させ、乾燥品に対して0.1質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、吸水性樹脂粒子を230.8g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は402μmであった。
【0162】
製造例8の吸水性樹脂粒子の吸水量は60g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は34.5mL/gであった。該吸水性樹脂粒子の液透過時間は32.2秒であった。
【0163】
製造例9
[第1段目の重合反応]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0164】
内容積300mLのビーカーに、水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HECAW-15F)、水溶性ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.092g(0.339ミリモル)、および過硫酸カリウム0.018g(0.067ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0046g(0.026ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0165】
そして、上記にて調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間攪拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、さらに添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして攪拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0166】
[第2段目の重合反応]
内容積500mLのビーカーに水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.44モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、水溶性ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.129g(0.476ミリモル)、および過硫酸カリウム0.026g(0.096ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の単量体水溶液を調製した。
【0167】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。
【0168】
第2段目の重合後の含水ゲルに、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.589gを攪拌下で添加した。その後、125℃の油浴で反応液を昇温し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、216.7gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0169】
その後、n-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、乾燥品を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通過させ、乾燥品に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、吸水性樹脂粒子を229.0g得た。吸水性樹脂粒子の中位粒子径は351μmであった。
【0170】
製造例9の吸水性樹脂粒子の吸水量は56g/gであり、該吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は35.3mL/gであった。
【0171】
2.吸水性樹脂粒子の評価
<生理食塩水の吸水量(g/g)>
500mL容のビーカーに、生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)500gを量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)で、600rpmで撹拌させながら、吸水性樹脂粒子2.0gを、ママコが発生しないように分散させた。撹拌させた状態で60分間放置し、吸水性樹脂粒子を十分に膨潤させた。その後、あらかじめ目開き75μm標準篩の質量Wa(g)を測定しておき、これを用いて、ビーカーの内容物をろ過し、篩いを水平に対して約30度の傾斜角となるように傾けた状態で、30分間放置することにより余剰の水分をろ別した。膨潤ゲルの入った篩いの質量Wb(g)を測定し、以下の式により、生理食塩水の吸水量を求めた。
生理食塩水の吸水量[g/g]=(Wb[g]-Wa[g])/2.0[g]
【0172】
<吸い上げ吸水量(g/g)>
図4に示す測定装置を用いて、温度25±2℃、湿度60±10%の環境下で吸い上げ吸水量を測定した。まずビュレット部1のコック22とコック24を閉め、25℃に調節された生理食塩水(0.9質量%食塩水)27をビュレット管26上部の開口からビュレット管26に入れた。ゴム栓23でビュレット管26の開口の密栓した後、コック22及びコック24を開けた。気泡が入らないよう導管5内部を生理食塩水27で満たした。貫通孔13a内に到達した生理食塩水の水面の高さが、測定台13の上面の高さと同じになるように、測定台13の高さを調整した。調整後、ビュレット管26内の生理食塩水27の水面の高さをビュレット管26の目盛で読み取り、その位置をゼロ点(0秒時点の読み値)とした。
【0173】
アクリル樹脂製円筒16(内径25mmφ×高さ150mm)と該円筒の底部に接着されたナイロンメッシュシート15(250メッシュ、厚さ約60μm)とからなる吸い上げ吸水量測定用の容器を準備した。吸い上げ吸水量測定用の容器内に0.5gの吸水性樹脂粒子を均一に散布した。吸水性樹脂粒子11aが載置されたナイロンメッシュシート15を、その中心が貫通孔13aの位置になるように、配置して測定を開始した。空気導入管25からビュレット管26内に気泡が最初に導入された時点を吸水開始(0秒)とした。
【0174】
吸水性樹脂粒子11aが、吸収を開始してから10分後までに吸水した量を吸水量Aとして測定した。式(1)を用いて、吸い上げ吸水量を算出した。
式(1):吸い上げ吸水量[g/g]=吸水量A[mL]×1.0028(生理食塩水の密度)[g/mL]/0.5[g]
【0175】
<透過液吸水量(g/g)>
アクリル樹脂製円筒(内径60mmφ×高さ70mm)と該円筒の底部に接着されたメッシュシート(SUS製400メッシュ)とからなる透過液測定用の容器を準備した。透過液測定用の容器内のメッシュシート上に0.5gの吸水性樹脂粒子を均一に散布し、透過液測定用の容器と吸水性樹脂粒子との合計質量Wcを測定した。100mLのプラスチックビーカーに生理食塩水(濃度0.9wt%食塩水)を30g測り取った。空のシャーレの上に、金網(目開き1.4mm、100mm×100mm)を置き、金網上に、吸水性樹脂粒子が配置された透過液測定用の容器を設置した。透過液測定用の容器内にビーカーの生理食塩水を一度に投入し、投入開始から1分後に透過液測定用の容器及びその内容物の合計質量Wdを測定した。式(2)を用いて、透過液吸水量を算出した。
式(2):透過液吸水量[g/g]=(Wd[g]-Wc[g])/0.5[g]
【0176】
<荷重下吸水量>
吸水性樹脂粒子の2.07kPaの荷重下での生理食塩水に対する吸水量を、25℃±2℃の環境下で、
図5に示す測定装置Yを用いて測定した。測定装置Yは、ビュレット部71、導管72、測定台73、及び、測定台73上に置かれた測定部74から構成される。ビュレット部71は、鉛直方向に伸びるビュレット71aと、ビュレット71aの上端に配置されたゴム栓71bと、ビュレット71aの下端に配置されたコック71cと、コック71cの近傍において一端がビュレット71a内に伸びる空気導入管71dと、空気導入管71dの他端側に配置されたコック71eとを有している。導管72は、ビュレット部71と測定台73との間に取り付けられている。導管72の内径は6mmである。測定台73の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管72が連結されている。測定部74は、円筒74a(アクリル樹脂(プレキシグラス)製)と、円筒74aの底部に接着されたナイロンメッシュ74bと、重り74cとを有している。円筒74aの内径は20mmである。ナイロンメッシュ74bの目開きは75μm(200メッシュ)である。そして、測定時にはナイロンメッシュ74b上に測定対象の吸水性樹脂粒子75が均一に撒布される。重り74cの直径は19mmであり、重り74cの質量は59.8gである。重り74cは、吸水性樹脂粒子75上に置かれ、吸水性樹脂粒子75に対して2.07kPaの荷重を加えることができる。
【0177】
測定装置Yの円筒74aの中に0.100gの吸水性樹脂粒子75を入れた後、重り74cを載せて測定を開始した。吸水性樹脂粒子75が吸水した生理食塩水と同容積の空気が、空気導入管より、速やかにかつスムーズにビュレット71aの内部に供給されるため、ビュレット71aの内部の生理食塩水の水位の減量が、吸水性樹脂粒子75が吸水した生理食塩水量となる。ビュレット71aの目盛は、上から下方向に0mLから0.5mL刻みで刻印されている。生理食塩水の水位として、吸水開始前のビュレット71aの目盛りVaと、吸水開始から60分後のビュレット71aの目盛りVbとを読み取り、下記式より荷重下吸水量(2.07kPaの荷重下での生理食塩水に対する吸水量)を算出した。
荷重下吸水量[mL/g]=(Vb[mL]-Va[mL])/0.1[g]
【0178】
<中位粒子径>
吸水性樹脂粒子の上述の中位粒子径は下記手順により測定した。すなわち、JIS標準篩を上から、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、及び、受け皿の順に組み合わせた。組み合わせた最上の篩に、吸水性樹脂粒子50gを入れ、ロータップ式振とう器(株式会社飯田製作所製)を用いてJIS Z 8815(1994)に準じて分級した。分級後、各篩上に残った粒子の質量を全量に対する質量百分率として算出し粒度分布を求めた。この粒度分布に関して粒子径の大きい方から順に篩上を積算することにより、篩の目開きと篩上に残った粒子の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径として得た。中位粒子径と、吸水性樹脂粒子の全質量を基準とする、粒子径150μm以下の吸水性樹脂粒子(目開き150μmの篩を通過する吸水性樹脂粒子)の含有量(質量%)とを表1に示す。
【0179】
<液透過時間>
液透過時間(秒)は、特開平10-118117号公報、特開平9-276391号公報及び特許第3311753号公報に記載の方法に準じて測定した。具体的には、まず、吸水性樹脂粒子0.5gを、断面積4.91cm2(内径25mmφ)で底部に開閉自在のコック(内径4mmφ)が設けられたアクリル樹脂製円筒に、該コックを閉鎖して生理食塩水と共に充填し、該生理食塩水により吸水性樹脂粒子を飽和状態に達するまで膨潤させた。生理食塩水による吸水性樹脂粒子の膨潤時間は1時間であった。膨潤した吸水性樹脂粒子がフィルター(ガラスフィルターG1)上まで沈降した後、該コックを開き、生理食塩水50mLを通過させ、該生理食塩水50mLが通過するのに要した時間を液透過時間として得た。
【0180】
<DW法による生理食塩水の吸水速度>
DW法による生理食塩水の吸水速度(g/30秒/0.3g)は、特開平10-118117号公報に記載の方法に基づいて測定した。具体的には、DW法を実施する装置として一般的に知られている装置(Demand Wettability Tester)を用い、生理食塩水の液面を等水位にセットしたポリマー散布台(70mmφ、濾紙No.2(55mmφ)をガラスフィルターG1(60mmφ)に置いた台)上に、吸水性樹脂粒子0.3gを散布し、吸水性樹脂粒子を散布した時点の吸水量を0とし、30秒後の吸水量(この吸水量は、生理食塩水の水位の低下量を示すビュレットの目盛りで測定される)を測定し、この値を吸水速度(単位:g/30秒/0.3g)とした。
【0181】
<Vortex法による吸水速度>
Vortex法による吸水速度(秒)は、特開2012-183175号公報に記載の方法に準じて測定した。Vortex法による吸水速度試験は、25℃±1℃に調節された室内で行った。100mL容のビーカーに、生理食塩水50±0.1gを量りとり、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を投入し、ビーカーを恒温水槽に浸漬して、液温を25±0.2℃に調節した。次に、マグネチックスターラー上にビーカーを置いて、回転数600rpmとして、生理食塩水に渦を発生させた後、吸水性樹脂粒子2.0±0.002gを、前記ビーカーに素早く添加し、ストップウォッチを用いて、吸水性樹脂粒子の添加後から液面の渦が収束する時点までの時間(秒)を測定し、吸水性樹脂粒子の吸水速度とした。
【0182】
【0183】
3.吸水シートの作製及び評価
スパンレース不織布、エアスルー不織布の中から選ばれた3枚の不織布を積層し、中間の不織布から見て上層側と下層側それぞれの層間に吸水性樹脂粒子を含む吸収層を有する吸水シートを作製した。詳細は表2に示す。
【0184】
実施例1
目付量35g/m2のスパンレース不織布(株式会社クラレ製、70%レーヨン、20%PET、10%PP/PE)を42cm×14cmのサイズに2枚分裁断し、スパンレース不織布―1、2とした。スパンレース不織布―1に42cm×14cmのサイズに裁断した45g/m2のエアスルー不織布(Hualong(Nanjing)製)を載置し、気流型混合装置(有限会社オーテック社製、パッドフォーマー)を用い、不織布の中心部12cm×40cmの範囲に対して製造例1で得られた吸水性樹脂粒子7.2gを均一に散布させた。
【0185】
スパンレース不織布―2にホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ、ポンプ:Marshal150、テーブル:XA-DT、タンク設定温度:150℃、ホース内設定温度:165℃、ガンヘッド設定温度:170℃)でホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン株式会社、ME-765E)を0.2g塗布した(パターン:スパイラルストライプ、10mm間隔で12本)。スパンレース不織布―2のホットメルト接着剤が付着した面を、上述のエアスルー不織布の吸水性樹脂粒子を散布された面に両端を揃えて合わせ、剥離紙で挟み、上下反転させた。この時、エアスルー不織布の下部に設置したスパンレース不織布―1を取り除いた。以上の手順により、スパンレース不織布(下層コアラップシート)、製造例1で得られた吸水性樹脂粒子からなる吸収層(下層吸収層)、及びエアスルー不織布(中間層コアラップシート)がこの順に配置された積層体を得た。取り除いたスパンレース不織布―1は、長手方向は両端6cm分を切断し、短手方向は両端1cm分を切断し、後述する上層コアラップシートとして用いた。
【0186】
得られた積層体のエアスルー不織布において、吸水性樹脂粒子を散布した面とは反対側の面に対し、気流型混合装置を用い、不織布の中心部12cm×40cmの範囲に対して製造例6で得られた吸水性樹脂粒子7.2gを均一に散布した。製造例6で得られた吸水性樹脂粒子が散布された面を上にし、積層体を長手方向は両端6cm分切断し、短手方向は両端2cm分切断して、30cm×10cmに切断した。上層コアラップシートとして、スパンレース不織布―1(30cm×12cm)にホットメルト塗工機を用いて上述したようにホットメルト接着剤を0.12g塗布した。エアスルー不織布の製造例6で得られた吸水性樹脂粒子が散布された面に対し、上からスパンレース不織布―1の中央と長手方向の両端を揃えて合わせ、上層コアラップシートの短手方向の両端は積層体に合わせ折り返した。この上層コアラップシートを合わせた積層体を、剥離紙で挟み、ラミネート機(株式会社ハシマ、Straight Linear Fussing Press、型式HP-600LFS)を110℃、0.1MPaの条件にてプレスして張り合わせ、吸水シートを作製した。得られた吸水シートは、スパンレース不織布(下層コアラップシート)、製造例1で得られた吸水性樹脂粒子からなる吸収層(下層吸収層)、エアスルー不織布(中間層コアラップシート)、製造例6で得られた吸水性樹脂粒子からなる吸収層(上層吸収層)及びスパンレース不織布(上層コアラップシート)がこの順に配置されている。
【0187】
実施例2
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例2にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0188】
実施例3
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例3にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0189】
実施例4
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例4にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0190】
実施例5
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例5にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0191】
比較例1
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例6にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0192】
比較例2
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例7にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0193】
比較例3
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例8にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0194】
比較例4
下層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例9にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0195】
実施例6
上層吸収層に用いる吸水性樹脂粒子を製造例8にて作製したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0196】
実施例7
中間コアラップシートとしてのエアスルー不織布を目付量35g/m2のスパンレース不織布(株式会社クラレ製、70%レーヨン、20%PET、10%PP/PE)に変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0197】
実施例8
上層コアラップシート及び下層コアラップシートとしてのスパンレース不織布を目付量45g/m2のエアスルー不織布(Hualong(Nanjing)製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして吸水シートを得た。
【0198】
<人工尿(試験液)の作製>
イオン交換水に、下記の通りに無機塩が存在するように配合して溶解させたものに、さらに少量の青色一号を配合して人工尿を調製した。以下に示す濃度は、人工尿全質量を基準とする濃度である。
NaCl:0.777質量%
CaCl2:0.022質量%
MgSO4:0.038質量%
尿素:1.933質量%
青色一号:0.002質量%
【0199】
<45度漏れ試験>
液体漏れ性は、45度漏れ試験により評価した。
図6は、吸収性物品の漏れ性を評価する方法を示す模式図である。平坦な主面を有する長さ45cmの支持板45(ここではアクリル樹脂板、以下傾斜面S
1ともいう)を、水平面S
0に対して45±2度に傾斜した状態で架台41によって固定した。温度25±2℃の室温において、固定された支持板45の傾斜面S
1上に、試験用の吸水シート50を、その長手方向が支持板45の長手方向に沿う向きで貼り付けた。ここで、試験用の吸水シート50は、下層吸収層が支持板側となるように配置した。次いで、吸水シートの中央から2cm上方の位置に向けて、吸水シート50の鉛直上方に配置された滴下ロート42から、25±1℃に調整した試験液46(人工尿)を滴下した。1回あたり80mLの試験液46を、8mL/秒の速度で注液した。滴下ロート42の先端と吸水シートとの距離は10±1mmであった。1回目の試験液投入開始から10分後に、同様の条件で試験液を投入した。
【0200】
試験用の吸水シートに吸収されなかった試験液が支持板45の下部から漏れ出た場合、漏れ出た試験液を支持板45の下方に配置された金属製のトレイ44内に回収した。回収された試験液の重量(g)を天秤43によって測定し、その値を漏れ量(g)として記録した。測定結果を表2に示す。
【0201】
【0202】
表2に評価結果が示される。吸い上げ吸水量及び透過液吸水量が特定の数値である吸水性樹脂粒子を下層吸収層に用いて作製された吸水シートは、液体漏れが改善されていた。
【符号の説明】
【0203】
1…ビュレット部、3…クランプ、5…導管、10a…第1の吸収層、10b…第2の吸収層、11a…第1の吸水性樹脂粒子、11b…第2の吸水性樹脂粒子、12a,12b…繊維層、13…測定台、13a…貫通孔、14…架台、15…ナイロンメッシュシート、16…円筒、20a…コアラップシート、20b…コアラップシート、21…接着剤、22…コック、23…ゴム栓、24…コック、25…空気導入管、26…ビュレット管、27…生理食塩水、30…液体透過性シート、40…液体不透過性シート、41…架台、42…滴下ロート、43…天秤、44…トレイ、45…支持板、46…試験液、50…吸水シート、71…ビュレット部、71a…ビュレット、71b…ゴム栓、71c…コック、71d…空気導入管、71e…コック、72…導管、73…測定台、74…測定部、74a…円筒、74b…ナイロンメッシュ、74c…重り、75…吸水性樹脂粒子、100…吸収性物品、S0…水平面、S1…傾斜面。