(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ウエハ搬送用基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241111BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L21/66 D
H01L21/66 B
G01R31/26 Z
(21)【出願番号】P 2022566741
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2020045274
(87)【国際公開番号】W WO2022118468
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-03-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128314
【氏名又は名称】沖川 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100229725
【氏名又は名称】中島 裕美
(72)【発明者】
【氏名】辰己 詔子
(72)【発明者】
【氏名】名田 允洋
(72)【発明者】
【氏名】中西 泰彦
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-263123(JP,A)
【文献】特開2001-332490(JP,A)
【文献】特開2003-234392(JP,A)
【文献】特開2009-170730(JP,A)
【文献】特開2018-013806(JP,A)
【文献】特開2010-062405(JP,A)
【文献】特開昭59-11619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/64 ーH01L 21/683
G01Q 10/00 ーG01Q 90/00
G01R 31/26 -G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象である素子が作りこまれた複数のチップが形成されたウエハを搬送するためのウエハ搬送用基板であって、
前記ウエハ搬送用基板に載置されたウエハを真空引きするための真空引き用穴と、
前記ウエハ搬送用基板に載置されたウエハの所定位置を決定するウエハアライメント用ガイドと、
プローブコンタクト位置を決定するマークと、
を備え、
前記プローブコンタクト位置を決定するマークは、前記ウエハ搬送用基板上の格子状模様中の各線を識別可能とするマークである、ウエハ搬送用基板。
【請求項2】
前記プローブコンタクト位置を決定するマークを2つ以上備える、
請求項1に記載のウエハ搬送用基板。
【請求項3】
測定対象である素子が作りこまれた複数のチップが形成されたウエハを搬送するためのウエハ搬送用基板であって、
前記ウエハ搬送用基板に載置されたウエハを真空引きするための真空引き用穴と、
前記ウエハ搬送用基板に載置されたウエハの所定位置を決定するウエハアライメント用ガイドと、
プローブコンタクト位置を決定するマークと、
を備え、
前記プローブコンタクト位置を決定するマークは、前記ウエハ搬送用基板上の格子状模様中の各線であり、前記各線の少なくとも一部が、互いに区別される種類の線で描かれている、ウエハ搬送用基板。
【請求項4】
前記プローブコンタクト位置を決定するマークのサイズは、縦の長さおよび横の長さが100μm以上1mm以内である、請求項1から
3のいずれか一項に記載のウエハ搬送用基板。
【請求項5】
前記ウエハアライメント用ガイドは、前記ウエハ搬送用基板に対して凸状である、請求項1
または3に記載のウエハ搬送用基板。
【請求項6】
前記真空引き用穴が前記ウエハアライメント用ガイドとして機能する、請求項1
または3に記載のウエハ搬送用基板。
【請求項7】
赤外光を透過する材料で形成された、請求項1
または3に記載のウエハ搬送用基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体ウエハ測定に関し、より詳細には半導体ウエハ測定に用いるウエハ搬送用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造過程においては、半導体形成に関わるプロセスが全て終了した段階で、半導体ウエハ上に形成された素子の電気的測定が行われる。電気的測定はチャック上に半導体ウエハを真空引きで固定しプローブを所望のパッドに当てて行われる。大量の測定を行う場合は、多ピンを備えるプローブカードとオートプローバを使用する方法が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-147067号公報
【文献】特開2002-151555号公報
【発明の概要】
【0004】
半導体ウエハは加工上特に端部分において半導体ウエハに素子形成が不良となるエリアが存在する。不良エリアも含め全てエリアを測定することは測定スループットの低下につながるため避けることが望ましい。このため有効エリアのみ正確に測定する手法が必要になる。
【0005】
素子形成のプロセスにおいて不良エリアを視認できない場合も存在する。
図1は、半導体ウエハ10及び半導体ウエハ上に形成されたパターン11及び有効エリア12(太線の矩形内の白地部分)を示す図である。通常半導体ウエハ上の素子形成において隣り合うショットには完全に同一パターンが形成されている。半導体ウエハ上にプローブコンタクト位置を決めるマークがない場合、視認によりプローブコンタクト位置を決定する必要がある。オートプローバではカメラの画角の制限により半導体ウエハの全体を一度にみることはできないため、部分的な画像からプローブコンタクト位置を決める必要がある。
【0006】
図2(a)は、半導体ウエハ上に形成されたパターン11の有効エリア12および測定エリア13(濃灰色部分)が一致した状態を示す図である。
図2(b)は、半導体ウエハ上に形成されたパターン11の有効エリア12および測定エリア13が不一致の状態を示す図である。
図2(a)の状態において測定を行うことが望ましいが、測定エリアの画像では有効エリア12の区別がつかない場合に
図2(b)の状態において有効エリアではない箇所を測定してしまう事象が起こりうる。有効エリアと異なるエリアを測定してしまった場合、再測定による測定スループットの低下や、誤判定による製造スループットの低下・出荷後不良のおそれがある。
【0007】
このため、プローブコンタクト位置を所望の位置に位置決めするアライメント手法が必須となる。
【0008】
特許文献1では位置決め用のガイドピンを備える方法が提案されている。しかしこの方法ではオートプローバがチャックを移動させた際位置決めピンの破損や位置決めピンによるプローブカードの破損が発生するため、オートプローバによる大量測定系への適用が困難である。特許文献2ではカメラにより濃淡を検知しアライメントする方法が提案されている。しかしこの方法は同一パターンが並ぶ場合に特定のショットを判別できないため追加工が必要となる。ショット識別番号を半導体ウエハ上に形成することは、レチクルや露光過程の追加等が必要となり製造効率を大きく損なうため、光半導体など小口径のウエハに特許文献2の方法を適用することは製造スループットを下げる要因となる。
【0009】
本開示は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、半導体ウエハの追加工をすることなく、特定のショットを認識することを可能にする、半導体ウエハ測定に用いる半導体ウエハ搬送用基板を提供することにある。
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明に係る
とを有することを特徴とする。
【0011】
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、半導体ウエハの追加工をすることなく、特定のショットを認識することが可能となる。また、本発明の一実施形態のる半導体ウエハ搬送用基板を用いて測定を行うため、ウエハに直接触れる必要がなくなり作業時のハンドリングが容易になる。
【0012】
プローブコンタクト位置を位置決めするアライメントマークは、ショットの特定に使用されるものであるため、数μm単位の精度を必要とせず、プローバのウエハを映すカメラ(チャックカメラ)で視認できればよく、簡易な加工で実施可能である。
【0013】
本開示により特に研磨後の半導体ウエハ等必ず搬送用基板が必要となる半導体ウエハではより効率的にプローブのアライメントを行うことができる。オートプローバだけでなくマニュアル操作によりウエハ上の素子を測定する場合も目的のショットの特定が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、半導体ウエハ、該半導体ウエハ上に形成されたパターン、及び有効エリアを示す図である。
【
図2】
図2(a)は、半導体ウエハ上に形成されたパターンの有効エリアと測定エリアとが一致した状態を示す図であり、
図2(b)は、半導体ウエハ上に形成されたパターンの有効エリアと測定エリアとが不一致の状態を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態の半導体ウエハ搬送用基板を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態の半導体ウエハ搬送用基板に載置された半導体ウエハ上の複数のプローブコンタクト位置へプローブをコンタクトさせる方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は本発明の一実施形態の半導体ウエハ搬送用基板を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明の一実施形態の半導体ウエハ搬送用基板を示す図であり、
図6(b)は、
図6(a)のVIb-VIb断面線における断面図であり、一実施形態における導体ウエハアライメント用ガイドを示す図である。
【
図7】
図7は本発明の一実施形態の半導体ウエハ搬送用基板を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態の半導体ウエハ搬送用基板を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態の半導体ウエハ搬送用基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。図面中の同一または類似の符号は、同一または類似の要素を示し、繰り返しの説明を省略する場合がある。以下の各種実施形態の説明において用いる数値は例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲において他の数値を用いてもよい。
【0016】
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20を示す図である。
図3に示すように半導体ウエハ搬送用基板20は、半導体ウエハ所定位置23に半導体ウエハを載置して搬送するために用いられる。半導体ウエハ搬送用基板20は、縁の位置に、すなわち半導体ウエハを載置したときに半導体ウエハの外周に相当する位置に、プローブコンタクト位置21の上下左右となる4つ箇所にプローブコンタクト位置を決定するマーク22を備える。半導体ウエハ搬送用基板20は、半導体ウエハ所定位置23の周囲の少なくとも一部に隣接した位置に半導体ウエハアライメント用ガイド24を備え、真空引きにより半導体ウエハを固定するための少なくとも1つ以上の真空引き用穴25を備える。真空引き用穴25の位置はチャック側の構造により決定されるものであり、構造上真空引きが可能であれば半導体ウエハの中央に相当する位置になくてもよい。
【0017】
半導体ウエハ所定位置23を決定する半導体ウエハアライメント用ガイド24により半導体ウエハと半導体ウエハ搬送用基板20上に形成されたプローブコンタクト位置を決定するマーク22との相対位置は決定される。電気的測定を行う際、半導体ウエハ搬送用基板20上に半導体ウエハアライメント用ガイド24に従い半導体ウエハを載置した状態でプローバのチャックに半導体ウエハ搬送用基板20を乗せ、真空引きで半導体ウエハ及び半導体ウエハ搬送用基板20を固定する。プローブのアライメントの際は、載置した半導体ウエハの外周のプローブコンタクト位置を決定するマーク22をカメラにより確認し、半導体ウエハ搬送用基板20上のプローブコンタクト位置を決定するマーク22から規定の距離をオートプローバで移動することにより、正確なショット(すなわち、黒星印で示すプローブコンタクト位置21)にプローブをコンタクトさせることができる。ショットに移動後、半導体素子の測定用パッドへの正確なプローブコンタクトは、プローブとウエハの合成画像から目視での位置調整により実施する。このため、プローブコンタクト位置を決定するマーク22に数μm単位の精度は不要である。
【0018】
上述した課題を解決するために、本発明に係る
【0019】
大量のプローブを備えるプローブカードを用いて測定を行う場合、プローブコンタクト位置21に合わせるプローブは針群の中のどの針でもよい。
【0020】
図4を参照して、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20に載置された半導体ウエハ上の複数の所望の位置(プローブコンタクト位置21)へプローブをコンタクトさせる方法を以下に述べる。本実施形態では、半導体ウエハ上の所望の4つの素子に対して同時にプローブをコンタクトさせることを想定して、その方法を説明する。今、
図4に記載のように、半導体ウエハ上の所望の4か所にある素子に対して同時にプローブをコンタクトさせるものとする。プローブカードは4か所の素子に必要なプローブを備えているものとする。半導体ウエハまたは半導体ウエハ搬送用基板20が、何のマークや目印(プローブコンタクト位置を決定するマーク22等)を備えていない場合は、使用するプローバに付属するカメラの画角次第では、半導体ウエハ上の一部しか観察することができないため、半導体ウエハ上の所望の4つの素子がそれぞれどの位置にあるかを特定することは難しい。
【0021】
本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20によれば、最初に使用するプローバに付属するカメラを用いて半導体ウエハ搬送用基板20上のプローブコンタクト位置を決定するマーク22を検出する。次いで、検出されたプローブコンタクト位置を決定するマーク22から規定の距離をオートプローバで移動する。これにより、正確なショットにプローブをコンタクトさせることができる。所望の4つの素子に対し任意の測定を終えた後、引き続き別の4つの素子の測定を行いたい場合は、半導体ウエハ上の任意の素子間の相対位置の情報(既知の情報)を用い、半導体ウエハを載置した半導体ウエハ搬送用基板20またはプローブを移動させれば、再度任意の別の4つ素子に対して測定を行うことが可能である。例えば
図4の黒星印で示したプローブコンタクト位置21にある素子と点線星印で示した黒星印で示したプローブコンタクト位置21’にある素子との間の相対距離の情報(既知の情報)を用いれば、プローブコンタクト位置21にある4つの素子を測定した後、再びプローブコンタクト位置を決定するマーク22を用いてアライメントすることなく、半導体ウエハを載置した半導体ウエハ搬送用基板20またはプローブを移動させて、点線星印で示したプローブコンタクト位置21’にある4つの素子を測定できる。
【0022】
このように、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20によれば、使用するプローバおよび付属するカメラの画角によらず、半導体ウエハの任意の複数の素子に対して容易にプローブをコンタクトさせ測定を行うことができる。結果、より効率的なプローブのアライメント及び測定を実現することができる。
【0023】
また、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20に複数のプローブコンタクト位置を決定するマーク22があれば、複数のプローブコンタクト位置を決定するマーク22のそれぞれのマークに対してプローブコンタクト位置21を指定することができる。半導体ウエハ上の所望の4つの素子に対して個別にプローブをコンタクトさせて測定することを想定して、その方法を、
図4を参照して説明する。
図4において、4か所のプローブコンタクト位置21に対してそれぞれx軸方向またはy軸方向に所定の距離はなれた位置に、すなわち半導体ウエハ搬送用基板20の縁の位置であって載置される半導体ウエハの外周に相当する位置に、プローブコンタクト位置を決定するマーク22を用意する。プローブをコンタクトさせる際は、それぞれのプローブコンタクト位置を決定するマーク22から所定の距離(x軸方向またはy軸方向)だけプローブを移動させれば、1つの半導体ウエハに対して異なる位置にプローブを正確にコンタクトさせることができる。複数のプローブコンタクト位置21とプローブコンタクト位置を決定するマーク22との間の距離は、事前に把握していればそれぞれ異なっていても構わない。この結果、1つの半導体ウエハに対し異なる複数の素子を任意に指定してプローブのアライメント及び測定が可能となり、より効率的な電気的測定が可能となる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、
図5(a)および(b)を参照して、プローブコンタクト位置を決定するマーク22について述べる。
【0025】
図5(a)および(b)は、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20を示す図である。半導体ウエハ搬送用基板20は、縁の部分位置に、すなわち半導体ウエハを載置したときに半導体ウエハの外周に相当する位置に、プローブコンタクト位置を決定するマーク22を備える。半導体ウエハ搬送用基板20は、半導体ウエハ所定位置23の周囲の少なくとも一部に隣接した位置に半導体ウエハアライメント用ガイド24を備え、真空引きにより半導体ウエハを固定するための少なくとも1つ以上の真空引き用穴25を備える。半導体ウエハ所定位置を決定するマークである半導体ウエハアライメント用ガイド24により半導体ウエハと半導体ウエハ搬送用基板20上に形成されたプローブコンタクト位置を決定するマーク22との相対位置は決定される。
【0026】
オートプローバの所定の距離を移動する機能を用いれば
図5(a)に示すようにプローブコンタクト位置を決定するマーク22は1つでもよい。例えばプローブコンタクト位置を決定するマーク22から所望のショット(プローブコンタクト位置21)までのy方向距離を事前に確認しておく。半導体ウエハ搬送用基板20の縁の部分に、すなわち載置される半導体ウエハの上方または下方の位置に、半導体ウエハにおける所望のショットのx軸位置を示すアライメントマーク(プローブコンタクト位置を決定するマーク22)を用意しておく。プローブコンタクト位置を決定するマーク22により示される所望のショットのx軸位置から確認しておいた距離分y軸方向にプローブを移動させて、所望のショットにプローブをコンタクトさせることが可能となる。ただしこの方法だとプローブを移動した後に、半導体ウエハ搬送用基板上のプローブコンタクト位置を決定するマーク22を用いてプローブが正しいy軸位置に来ているかどうかの確認をすることができない。つまり、プローブのy軸方向の移動量の入力ミスが起きたことに気づき難い。
【0027】
このため、
図5(b)に示すように、載置される半導体ウエハの上方または下方の位置にプローブコンタクト位置のx軸方向のプローブコンタクト位置を決定するマーク22を少なくとも1つ用意し、および載置される半導体ウエハの左方または右方の位置にプローブコンタクト位置のy軸方向のプローブコンタクト位置を決定するマーク22を少なくとも1つ用意しておく。プローブコンタクト位置21にプローブをアライメントした後、チャックカメラでx軸方向およびy軸方向に移動して(チャックカメラでx軸方向の画像およびy軸方向の画像を取得して)、プローブコンタクト位置を決定するマーク22(x軸方向およびy軸方向)とプローブコンタクト位置21との相対位置を再確認することにより、プローブを正しいショットにアライメントできているかを確認することができる。
【0028】
プローブコンタクト位置を決定するマーク22はショットの識別ができればよいので、ショットサイズより小さければマークとして機能を果たすことが可能である。ショットサイズは作製するデバイスにより大きく異なるが概ねマークの縦の長さおよび横の長さが1mm以内であればショットの識別するマークの役割を果たすことができる。カメラによる目視(カメラにより取得した画像を介する目視)の観点からサイズが小さすぎるマークは実用に不向きであるためプローブコンタクト位置を決定するマーク22のサイズは縦横100μm以上であることが望ましい。
【0029】
本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20により、目的のショットに正確にプローブを移動してコンタクトさせることができる。また、プローブのアライメント後にも視認により正確にアライメントできているかを確認することができる。
【0030】
(第3の実施形態)
次に
図6(a)および(b)を参照して、半導体ウエハ搬送用基板20に載置される半導体ウエハの位置を決定するガイドである半導体ウエハアライメント用ガイド24について述べる。
【0031】
図6(a)は、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20を示す図である。半導体ウエハ搬送用基板20の縁の部分に、すなわち載置される半導体ウエハの外周に相当する位置に、プローブコンタクト位置を決定するマークを備える。半導体ウエハ搬送用基板20は、半導体ウエハ所定位置23の周囲の少なくとも一部に隣接した位置に半導体ウエハアライメント用ガイド24を備え、真空引きにより半導体ウエハを固定するための少なくとも1つの真空引き用穴25を備える。半導体ウエハ所定位置23を決定するマークである半導体ウエハアライメント用ガイド24により半導体ウエハと半導体ウエハ搬送用基板20上に形成されたプローブコンタクト位置を決定するマーク22との相対位置は決定される。
【0032】
半導体ウエハアライメント用ガイド24を用いる目的は半導体ウエハ所定位置を一意に決めることで、半導体ウエハと半導体ウエハ搬送用基板20上のプローブコンタクト位置を決定するマーク22との相対位置を固定することにある。
図6(a)の例は、半導体ウエハのオリフラの長さと同じ長さを有する半導体ウエハアライメント用ガイド24を載置される半導体ウエハのオリフラに相当する位置に配することにより半導体ウエハ所定位置の上下及び左右の位置を決定している。
図6(a)に示すように半導体ウエハ所定位置を一意に決定できれば半導体ウエハアライメント用ガイド24は半導体ウエハの周囲について1か所だけでもよい。
図6(b)のように半導体ウエハアライメント用ガイド24は、穴加工でも凸形状でもよい。特に凸形状の場合、凸部への半導体ウエハの突き当てにより上下方向(y軸方向)を決定できるためアライメントが容易になる。
図3および4に示すように載置される半導体ウエハの上下に半導体ウエハアライメント用ガイド24がある場合も凸形状であれば同様にアライメントが容易になる。
図6(b)では凹凸形状について述べたが、半導体ウエハ搬送用基板20上の半導体ウエハ所定位置23を一意に決めることができれば半導体ウエハアライメント用ガイド24の形態は印字でも多孔加工でも構わない。
【0033】
本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20により、より簡易に半導体ウエハ搬送用基板20上の半導体ウエハ所定位置23を決定することが可能となる。本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20の要素を、他の実施形態の要素の代替または追加として用いてもよい。
【0034】
(第4の実施形態)
次に
図7を参照して、半導体ウエハ所定位置23を決定するマークが真空引き用穴を兼ねる場合について述べる。
【0035】
図7は、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20を示す図である。半導体ウエハ搬送用基板20には、載置される半導体ウエハのサイズと同寸の多孔エリア26が形成されている。多孔エリア26には、真空引きにより半導体ウエハを固定するための多数の真空引き用穴が配列されている。半導体ウエハ搬送用基板20の縁の部分に、すなわち載置される半導体ウエハの外周に相当する位置に、プローブコンタクト位置を決定するマーク22を備える。半導体ウエハ所定位置を決定するマークである半導体ウエハアライメント用ガイド24としてウエハサイズと同寸の多孔エリア26が形成されている。多孔エリア26内の多数の真空引き用穴の少なくとも一部は、半導体ウエハ所定位置23の周囲の少なくとも一部に隣接する位置に設けられているので、他の実施形態において説明した半導体ウエハアライメント用ガイド24として機能する。この多孔エリア26により半導体ウエハと半導体ウエハ搬送用基板20上に形成されたプローブコンタクト位置を決定するマーク22との相対位置は決定される。
【0036】
このように、載置される半導体ウエハのサイズと同寸の多孔エリア26を半導体ウエハ所定位置23に形成した半導体ウエハ搬送用基板20を用いれば、多孔エリア26に沿って半導体ウエハを位置決めすることができ、更に半導体ウエハを真空引きすることも可能となる。多孔エリア26内の真空引き用穴は、半導体ウエハの位置決め及び真空引きができれば、
図7のように多孔エリア26全体に均一な配列で形成されていなくてもよい。また真空引き用穴の形状は真空引きが可能であれば円形・楕円形・その他形状を問わない。
【0037】
本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20により、より少ない加工で、半導体ウエハと半導体ウエハ搬送用基板20上に形成されたプローブコンタクト位置を決定するマーク22との相対位置を決定することができる。本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20の要素を、他の実施形態の要素の代替または追加として用いてもよい。例えば、本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20に、
図6を参照して説明した半導体ウエハアライメント用ガイド24を追加してもよい。
【0038】
(第5の実施形態)
次に通信用光デバイス等に使用される赤外光を透過する材料を用いて半導体ウエハ搬送用基板20を作製する場合について述べる。
【0039】
図8は、第5の実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20を示す図である。
図8に示す半導体ウエハ搬送用基板20は、赤外光を透過する材料を用いて作製された基盤である。
図8には、半導体ウエハ搬送用基板20に載置された半導体ウエハ30も示されている。
図8は、半導体ウエハ搬送用基板20の主面に垂直な方向(z軸方向)に直行する方向(x軸方向)の断面図である。
図8には、半導体ウエハ搬送用基板20の裏面側に測定用入射光32の光源34が示されるとともに、半導体ウエハ搬送用基板20の表面側に測定用プローブ33が示されている。半導体ウエハ搬送用基板20は、真空引き用穴25と半導体ウエハアライメント用ガイド24とを備える。半導体ウエハ搬送用基板20は、xy平面に、プローブコンタクト位置を決定するマーク22(不図示)を備える。半導体ウエハ搬送用基板20の上の半導体ウエハ所定位置23(不図示)に載置された半導体ウエハ30の各ショットには、半導体ウエハ30の裏面からの光を受光する構造をもつ受光素子31が作製されている。光を用いない電気的測定は上記実施形態によてい前述した方法によりプローブをアライメントして行う。光を用いない電気的測定の後、半導体ウエハ搬送用基板20上から半導体ウエハ30を動かすことなく、半導体ウエハ搬送用基板20の裏面から測定用入射光32を入射し、受光素子31と電気的に接続している測定用プローブ33により受光特性を評価する。
【0040】
本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20により、半導体ウエハ搬送用基板20から半導体ウエハ30を移動させることなく半導体ウエハ30上の光デバイス(受光素子31など)の光学的測定を実施することができる。半導体ウエハ搬送用基板20に半導体ウエハ30を載置したまま半導体ウエハ30上の光デバイスの光学測定に移行できることで、半導体ウエハ搬送用基板20から測定系へ移動させる際のハンドリングが容易になり測定スループットの向上及び破損防止につなげることができる。赤外光を透過する材料としてSi、SiC、SiN、サファイア等が挙げられるが、赤外光を透過する材料であれば前述したもの以外でも構わない。
【0041】
(第6の実施形態)
次に
図9を参照して、プローブコンタクト位置を決定するマークについて述べる。
【0042】
図9は、第6の実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20を示す図である。
図9に示す半導体ウエハ搬送用基板20は、半導体ウエハ所定位置23の周囲の少なくとも一部に隣接した位置に半導体ウエハアライメント用ガイド24を備え、真空引きにより半導体ウエハを固定するための少なくとも1つの真空引き用穴25を備える。半導体ウエハ所定位置23を決定するマークである半導体ウエハアライメント用ガイド24により半導体ウエハと半導体ウエハ搬送用基板20上に形成されたマーク41(以下に説明する数字等)の相対位置は決定される。半導体ウエハ搬送用基板20上には単導体ウエハ全体をカバーできる範囲に格子状模様40が形成されている。格子状模様40中の各線には数字等のマーク41が割り当てられている。割り当てられた数字等のマーク41を視認することにより格子状模様40中の各線を識別可能にすることにより、半導体ウエハ搬送用基板20の全てが画角に収まらず一部しか映し出されていない画像からも現在の視認位置を特定できる。このような半導体ウエハ搬送用基板20を用いてプローブコンタクト位置を決定する場合は、例えば横線6、縦線3の交点のショットをプローブコンタクト位置に設定する、といったように格子状模様40中の番号によりプローブコンタクト位置を指定すればよい。半導体ウエハ搬送用基板20の全面に格子状模様40が形成され及び格子状模様40中の各線に数字等のマーク41が割り振られていれば、同じインチでプローブコンタクト位置の異なる半導体ウエハにも同じ半導体ウエハ搬送用基板20を用いて格子状模様40中の数字等のマーク41を必要に応じて変更することによりプローブコンタクト位置の指定が可能である。
【0043】
格子状模様40中の各線を識別可能であればマーク41は数字等でなくても構わない。格子状模様40中の線自体の種類を変えてもよい。線自体が例えば太線・点線・二重線の順番になっている等、近接する線と区別可能であれば線自体の種類をマーク41としてもよい。格子状模様40中の各線の端の部分のみ種類を変えてもよい。
【0044】
ショットは基本的に半導体基板のオリフラに対して平行・垂直に並んでいるため、格子状模様40中の各線は基本的にはオリフラに平行・垂直である方が利便性は高い。ただしショットが識別可能であれば格子状模様40中の各線はオリフラに平行・垂直でなくても構わない。
【0045】
本実施形態の半導体ウエハ搬送用基板20により、格子状模様40中の各線で指定可能な半導体ウエハ上の任意のショットをプローブコンタクト位置として指定することができる。