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特許7585558電解エレメント、および、アルカリ水電解槽
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】電解エレメント、および、アルカリ水電解槽
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/23 20210101AFI20241111BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20241111BHJP
   C25B 13/02 20060101ALI20241111BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20241111BHJP
   C25B 1/04 20210101ALN20241111BHJP
   C25B 9/00 20210101ALN20241111BHJP
【FI】
C25B9/23
C25B9/70
C25B13/02 302
C25B9/65
C25B1/04
C25B9/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024535436
(86)(22)【出願日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2024002048
【審査請求日】2024-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2023019235
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 康行
(72)【発明者】
【氏名】則安 佑亮
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/188261(WO,A1)
【文献】特表2012-508822(JP,A)
【文献】特開2002-332586(JP,A)
【文献】特開昭58-31090(JP,A)
【文献】特表2022-542593(JP,A)
【文献】中国実用新案第209798129(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/23
C25B 9/70
C25B 13/02
C25B 9/65
C25B 1/04
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面および第2の面を有する導電性の隔壁と、
前記隔壁の第1の面の側に配置され、前記隔壁に電気的に接続された陽極と、
前記隔壁の第2の面の側に配置され、前記隔壁に電気的に接続された陰極と
前記隔壁の周縁部に接して配置される、第1のガスケットと、
前記隔壁の周縁部および前記第1のガスケットを受け入れ保持する、枠状の保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、
枠状の基体と、
前記隔壁を前記枠状の基体に着脱可能に固定する、固定手段と
を備え、
前記枠状の基体は、
該基体の内周側に設けられ、前記隔壁の周縁部および前記第1のガスケットを受け入れる、受容部と、
前記受容部より前記基体の内周側に向けて突出して延在し、前記受容部に受け容れられた前記第1のガスケットを前記隔壁の主面に交差する方向に支持する、支持部と
を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の支持部と、前記隔壁との間に配置されている、
電解エレメント。
【請求項2】
前記固定手段が、
複数のネジと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記ネジと螺合可能な複数のネジ穴と
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数のネジ穴と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁とがこの順に配置され、
前記複数のネジのそれぞれが、前記隔壁の第1の貫通孔、前記第1のガスケットの第2の貫通孔に挿通され、前記枠状の基体のネジ穴に螺合されることにより、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、
請求項1に記載の電解エレメント。
【請求項3】
前記固定手段が、
複数のネジと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記ネジと螺合可能な複数のネジ穴と、
前記基体の受容部に受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材と、
前記蓋部材と前記隔壁との間に挟持される、第2のガスケットと
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記蓋部材は、前記前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第3の貫通孔を備え、
前記第2のガスケットは、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第4の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数のネジ穴と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔と、前記蓋部材の複数の第3の貫通孔と、前記第2のガスケットの複数の第4の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とがこの順に配置され、
前記複数のネジのそれぞれが、前記蓋部材の第3の貫通孔、前記第2のガスケットの第4の貫通孔、前記隔壁の第1の貫通孔、および、前記第1のガスケットの第2の貫通孔に挿通され、前記枠状の基体のネジ穴に螺合されることにより、前記第1のガスケット、前記隔壁、および前記第2のガスケットが前記枠状の基体の支持部と前記蓋部材とによって締め付けられ、且つ、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、
請求項1に記載の電解エレメント。
【請求項4】
前記固定手段が、
複数のリベットと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の貫通孔と
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数の貫通孔と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁とがこの順に配置され、
前記隔壁の第1の貫通孔、前記第1のガスケットの第2の貫通孔、及び前記枠状の基体の貫通孔に挿通された前記複数のリベットによって、前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁とが締結され、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、
請求項1に記載の電解エレメント。
【請求項5】
前記固定手段が、
複数のリベットと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の貫通孔と、
前記基体の受容部に受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材と、
前記蓋部材と前記隔壁との間に挟持される、第2のガスケットと
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記蓋部材は、前記前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第3の貫通孔を備え、
前記第2のガスケットは、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第4の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数の貫通孔と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔と、前記蓋部材の複数の第3の貫通孔と、前記第2のガスケットの複数の第4の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とがこの順に配置され、
前記蓋部材の第3の貫通孔、前記第2のガスケットの第4の貫通孔、前記隔壁の第1の貫通孔、前記第1のガスケットの第2の貫通孔、及び前記枠状の基体の貫通孔に挿通された前記複数のリベットによって、前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とが締結され、且つ、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、
請求項1に記載の電解エレメント。
【請求項6】
前記固定手段が、
前記基体の受容部に受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材と、
前記蓋部材と前記隔壁との間に挟持される、第2のガスケットと
を備え、
前記蓋部材が、磁石を含み、
前記枠状の基体の支持部が、強磁性体を含み、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とがこの順に配置され、
磁気力によって、前記第1のガスケット、前記隔壁、および前記第2のガスケットが前記枠状の基体の支持部と前記蓋部材との間に締め付けられ、且つ、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、
請求項1に記載の電解エレメント。
【請求項7】
積層された複数の電解エレメントであって、前記複数の電解エレメントのそれぞれは、請求項1~6のいずれかに記載の電解エレメントである、複数の電解エレメントと、
隣接する前記電解エレメントの各組の間に配置された、イオン透過性の隔膜と
を備え、
前記複数の電解エレメントは、各電解エレメントの陽極が前記導電性の隔壁の同じ側に現れるように積層され、
前記隔膜と、該隔膜に隣接する一方の電解エレメントとの間に、前記陽極を収容する陽極室が画定され、
前記隔膜と、該隔膜に隣接する他方の電解エレメントとの間に、前記陰極を収容する陰極室が画定されている、
アルカリ水電解槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解エレメント、および、アルカリ水電解槽に関し、より詳しくは、電解エレメントのメンテナンスを容易に行うことが可能である、電解エレメント、および、アルカリ水電解槽に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスおよび酸素ガスの製造方法として、アルカリ水電解法が知られている。アルカリ水電解法においては、アルカリ金属水酸化物(例えばNaOH、KOH等。)が溶解した塩基性の水溶液(アルカリ水)を電解液として用いて水を電気分解することにより、陰極から水素ガスが発生し、陽極から酸素ガスが発生する。アルカリ水電解用の電解槽としては、イオン透過性の隔膜によって区画された陽極室および陰極室を備え、陽極室に陽極が、陰極室に陰極がそれぞれ配置された電解槽が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2013/191140号公報
【文献】特開2002-332586号公報
【文献】特許第4453973号公報
【文献】国際公開2014/178317号公報
【文献】特許第6093351号公報
【文献】特開2015-117417号公報
【文献】国際公開2019/188261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、一の実施形態に係る従来のアルカリ水電解槽900を模式的に説明する部分断面図である。ゼロギャップ型電解槽900は、陽極室Aと陰極室Cとを隔てる導電性の隔壁911及びフランジ部912を備える電解エレメント(極室ユニット)910、910、…と、隣接する電解エレメント910、910の間に配置されたイオン透過性の隔膜920と、隔膜920と電解エレメント910のフランジ部912との間に配置され、隔膜920の周縁部を挟み込むガスケット930、930と、一方の極室ユニットの隔壁911から立設された導電性のリブ913、913、…に保持された陽極940と、他方の電解エレメントの隔壁911から立設された導電性のリブ914、914、…に保持された集電体950及び該集電体950に接して配置された導電性の弾性体960に保持された柔軟な陰極970と、を備えている。陰極970の周縁部および導電性の弾性体960の周縁部は、集電体950の周縁部に固定されている。電解槽900においては、導電性の弾性体960が柔軟な陰極970を隔膜920及び陽極940に向けて押し付けることにより、隣接する陰極970及び陽極940の間に隔膜920が挟み込まれている。
【0005】
図1に示したような、アルカリ水電解法の陰極側がマット方式のZero-Gap構造の電解槽において、一般的に集電体950として使用するラス材(陽極側では陽極940として使用)は、リブ913、914といった部材へ溶接方式で接続されており、電極寿命時の交換を簡単に行うことができない。
一般的に、電解エレメント910自体を専用の工場へ持ち込み、陽極940および集電体950を機械的に剥がす工程とリブ913、914の平坦度を得るための工程と、陽極940、集電体950を再溶接する工程で交換作業が進められている。電解エレメント910の工場への持ち出し、工場からの持込の輸送費も掛かること、溶接された陽極940および集電体950を剥がす作業により電解エレメント910自体への機械的負荷が大きく、電解エレメント910の劣化を早めてしまうことが課題である。
【0006】
また、アルカリ水電解法の、電解エレメント910を構成する、隔壁911およびフランジ部912にNiめっきを施工している場合、長期間運転により電解範囲内である隔壁911に施工したNiめっき表面が劣化する。一般的に電解槽の隔壁911はフランジ部912と溶接方式で接続されており、再Niめっきを施工する場合は電解エレメント910ごと施工する必要が有る。電解エレメント910自体をNiめっき工場へ持ち込むとNiめっき施工範囲が大きくなること、持込の輸送費が掛かることが課題である。
【0007】
本発明は、例えば、電極の交換、隔壁の再めっき施工といった電解エレメントのメンテナンスを容易に行うことが可能である、電解エレメントを提供することを課題とする。また、該電解エレメントを備えるアルカリ水電解槽を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の通りである。
[1] 第1の面および第2の面を有する導電性の隔壁と、
前記隔壁の第1の面の側に配置され、前記隔壁に電気的に接続された陽極と、
前記隔壁の第2の面の側に配置され、前記隔壁に電気的に接続された陰極と
前記隔壁の周縁部に接して配置される、第1のガスケットと、
前記隔壁の周縁部および前記第1のガスケットを受け入れ保持する、枠状の保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、
枠状の基体と、
前記隔壁を前記枠状の基体に着脱可能に固定する、固定手段と
を備え、
前記枠状の基体は、
該基体の内周側に設けられ、前記隔壁の周縁部および前記第1のガスケットを受け入れる、受容部と、
前記受容部より前記基体の内周側に向けて突出して延在し、前記受容部に受け容れられた前記第1のガスケットを前記隔壁の主面に交差する方向に支持する、支持部と
を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の支持部と、前記隔壁との間に配置されている、
電解エレメント。
【0009】
[2] 前記固定手段が、
複数のネジと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記ネジと螺合可能な複数のネジ穴と
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数のネジ穴と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁とがこの順に配置され、
前記複数のネジのそれぞれが、前記隔壁の第1の貫通孔、前記第1のガスケットの第2の貫通孔に挿通され、前記枠状の基体のネジ穴に螺合されることにより、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、[1]に記載の電解エレメント。
【0010】
[3] 前記固定手段が、
複数のネジと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記ネジと螺合可能な複数のネジ穴と、
前記基体の受容部に受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材と、
前記蓋部材と前記隔壁との間に挟持される、第2のガスケットと
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記蓋部材は、前記前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第3の貫通孔を備え、
前記第2のガスケットは、前記枠状の基体の複数のネジ穴に対応する位置に設けられた、前記ネジを挿通可能な複数の第4の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数のネジ穴と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔と、前記蓋部材の複数の第3の貫通孔と、前記第2のガスケットの複数の第4の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とがこの順に配置され、
前記複数のネジのそれぞれが、前記蓋部材の第3の貫通孔、前記第2のガスケットの第4の貫通孔、前記隔壁の第1の貫通孔、および、前記第1のガスケットの第2の貫通孔に挿通され、前記枠状の基体のネジ穴に螺合されることにより、前記第1のガスケット、前記隔壁、および前記第2のガスケットが前記枠状の基体の支持部と前記蓋部材とによって締め付けられ、且つ、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、[1]に記載の電解エレメント。
【0011】
[4] 前記固定手段が、
複数のリベットと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の貫通孔と
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数の貫通孔と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁とがこの順に配置され、
前記隔壁の第1の貫通孔、前記第1のガスケットの第2の貫通孔、及び前記枠状の基体の貫通孔に挿通された前記複数のリベットによって、前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁とが締結され、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、[1]に記載の電解エレメント。
【0012】
[5] 前記固定手段が、
複数のリベットと、
前記枠状の基体の支持部に、前記第1のガスケットに向けて開口するように設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の貫通孔と、
前記基体の受容部に受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材と、
前記蓋部材と前記隔壁との間に挟持される、第2のガスケットと
を備え、
前記導電性の隔壁は、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第1の貫通孔を備え、
前記第1のガスケットは、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第2の貫通孔を備え、
前記蓋部材は、前記前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第3の貫通孔を備え、
前記第2のガスケットは、前記枠状の基体の複数の貫通孔に対応する位置に設けられた、前記リベットの軸部を挿通可能な複数の第4の貫通孔を備え、
前記枠状の基体の複数の貫通孔と、前記隔壁の複数の第1の貫通孔と、前記第1のガスケットの複数の第2の貫通孔と、前記蓋部材の複数の第3の貫通孔と、前記第2のガスケットの複数の第4の貫通孔とが、相互に連通し、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とがこの順に配置され、
前記蓋部材の第3の貫通孔、前記第2のガスケットの第4の貫通孔、前記隔壁の第1の貫通孔、前記第1のガスケットの第2の貫通孔、及び前記枠状の基体の貫通孔に挿通された前記複数のリベットによって、前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とが締結され、且つ、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、[1]に記載の電解エレメント。
【0013】
[6] 前記固定手段が、
前記基体の受容部に受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材と、
前記蓋部材と前記隔壁との間に挟持される、第2のガスケットと
を備え、
前記蓋部材が、磁石を含み、
前記枠状の基体の支持部が、強磁性体を含み、
前記枠状の基体の支持部と、前記第1のガスケットと、前記隔壁と、前記第2のガスケットと、前記蓋部材とがこの順に配置され、
磁気力によって、前記第1のガスケット、前記隔壁、および前記第2のガスケットが前記枠状の基体の支持部と前記蓋部材との間に締め付けられ、且つ、前記第1のガスケットが前記隔壁と前記枠状の基体の支持部とによって締め付けられ、且つ、前記隔壁が前記枠状の基体に着脱可能に固定される、[1]に記載の電解エレメント。
【0014】
[7] 積層された複数の電解エレメントであって、前記複数の電解エレメントのそれぞれは、[1]~[6]のいずれかに記載の電解エレメントである、複数の電解エレメントと、
隣接する前記電解エレメントの各組の間に配置された、イオン透過性の隔膜と
を備え、
前記複数の電解エレメントは、各電解エレメントの陽極が前記導電性の隔壁の同じ側に現れるように積層され、
前記隔膜と、該隔膜に隣接する一方の電解エレメントとの間に、前記陽極を収容する陽極室が画定され、
前記隔膜と、該隔膜に隣接する他方の電解エレメントとの間に、前記陰極を収容する陰極室が画定されている、
アルカリ水電解槽。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電解エレメントにおいては、隔壁の周縁部に接して配置される、第1のガスケットと、隔壁の周縁部および第1のガスケットを受け入れ保持する、枠状の保持部材と、を備え、保持部材は、枠状の基体と、隔壁を枠状の基体に着脱可能に固定する、固定手段とを備えている。
これにより、例えば、電極または集電体の交換、隔壁の再めっき施工といった電解エレメントのメンテナンス時において、電解エレメントから隔壁を取り外すことが可能となるので、メンテナンスのために、電解エレメント全体を持ち出す必要がなくなく、メンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一の実施形態に係る従来のアルカリ水電解槽900を模式的に説明する断面図である。
図2】本発明の一の実施形態に係る電解エレメント100Aを模式的に説明する図である。(A)電解エレメント100Aの平面図である。(B)電解エレメント100Aの底面図である。
図3】枠状の基体31の平面図である。
図4】(A)隔壁10の平面図である。(B)第1のガスケット22の平面図である。
図5】(A)図2(A)のB-B断面図である。(B)図5(A)の分解図である。
図6】別の形態の電解エレメント100Bを模式的に説明する図である。(A)電解エレメント100Bの平面図である。(B)電解エレメント100Bの底面図である。
図7】(A)図6(A)のB-B断面図である。(B)図7(A)の分解図である。
図8】別の形態の電解エレメント100Cを模式的に説明する図である。(A)電解エレメント100Cの断面図である。(B)図8(A)の分解図である。
図9】別の形態の電解エレメント100Dを模式的に説明する図である。(A)電解エレメント100Dの断面図である。(B)図9(A)の分解図である。
図10】別の形態の電解エレメント100Eを模式的に説明する図である。(A)電解エレメント100Eの断面図である。(B)図10(A)の分解図である。
図11】本発明の一実施形態の電解槽1000を模式的に示す断面図である。
図12図11のB-B矢視図である。
図13】(A)図11から陰極側プレスフレーム410のみを抜き出した図である。(B)図13(A)のB-B矢視断面図である。
図14】(A)図11から陰極側絶縁部材420のみを抜き出した図である。(B)図14(A)のB-B矢視図である。(C)図14(A)のC-C矢視図である。
図15】(A)図11から陰極エンドセル100CEのみを抜き出した図である。(B)図15(A)のB-B矢視図である。(C)図15(A)のC-C矢視図である。
図16】(A)図11から陽極エンドセル100AEのみを抜き出した図である。(B)図16(A)のB-B矢視図である。(C)図16(A)のC-C矢視図である。
図17】(A)図11から陽極側絶縁部材320のみを抜き出した図である。(B)図17(A)のB-B矢視断面図である。
図18】(A)図11から陽極側プレスフレーム310のみを抜き出した図である。(B)図18(A)のB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。なお、図面は必ずしも正確な寸法を反映したものではない。また図では、一部の符号を省略することがある。本明細書においては特に断らない限り、数値A及びBについて「A~B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。また、要素E及びEについて「E及び/又はE」という表記は「E若しくはE、又はそれらの組み合わせ」を意味する。
【0018】
<電解エレメント>
図2は、本発明の一の実施形態に係る電解エレメント100A(以下において単に「電解エレメント100A」ということがある。)を模式的に説明する図である。図2(A)は電解エレメント100Aの平面図であり、図2(B)は電解エレメント100Aの底面図である。電解エレメント100Aは、導電性の隔壁10と、隔壁10の周縁部に接して配置される第1のガスケット22と、隔壁10の周辺部および第1のガスケット22を受け入れ保持する、枠状の保持部材とを、備える。また、電解エレメント100Aは、隔壁10の第1の面10a側に配置される、隔壁10に電気的に接続された陽極を備えており、また、隔壁10の第2の面10b側に配置される、隔壁10に電気的に接続された陰極を備えているが、図2、5では、該陽極および陰極は省略している。
【0019】
枠状の保持部材は、電気絶縁性の枠状の基体31と、隔壁10を枠状の基体31に着脱可能に固定する固定手段を備えているが、図2、5の形態では、固定手段が、複数のネジ33、33・・・の例が示されている。また図2(A)には枠状の基体31の第1の面31faが表れており、図2(B)には枠状の基体31の第2の面31fbが表れている。
図3は枠状の基体31の平面図、図4(A)は隔壁10の平面図、図4(B)はガスケット22の平面図である。
【0020】
図5(A)は図2(A)のB-B断面図であり、図5(B)は図5(A)の分解図である。枠状の基体31は、基体31の内周側に設けられ、隔壁10の周縁部および第1のガスケット22を受け入れる受容部31aと、受容部31aより枠状の基体31の内周側に向けて突出して延在し、受容部31aに受け容れられた第1のガスケット22を隔壁10の主面に交差する方向(図5(A)及び(B)の紙面左右方向。以下において「積層方向」ということがある。)に支持する支持部31bと、を備えている(図5(B))。
【0021】
(ネジ固定、ガスケット1枚)
固定手段は、隔壁10を枠状の基体31に着脱可能に固定できれば、その構造は特に限定されないが、図2~5では、その一実施形態として、複数のネジ33を用いた形態が示されている。ネジ33は、軸部33aと、軸部33aの一方の端部に設けられた頭部33bとを備える(図5(B))。枠状の基体31の支持部31bは、第1のガスケット22に向けて開口するように設けられた、ネジ33(の軸部33a)と螺合可能な複数のネジ穴31h、31h、…(以下において単に「ネジ穴31h」ということがある。)を備える(図3(A))。隔壁10は、枠状の基体31の複数のネジ穴31hに対応する位置に設けられた、ネジ33(の軸部33a)を挿通可能な複数の第1の貫通孔10h、10h、…(以下において単に「第1の貫通孔10h」ということがある。)を備える(図4(A))。また、同様に、第1のガスケット22は、枠状の基体31の複数のネジ穴31hに対応する位置に設けられた、ネジ33(の軸部33a)を挿通可能な複数の第2の貫通孔22hを備える(図4(B))
【0022】
ここで、枠状の基体31の支持部31bにおける開口方向は、陽極側に向いてでも、陰極側に向いてでも特に制限はない。電解槽の組立作業性の良さを勘案すれば、電解槽両端に位置する、陽極側プレスフレームまたは陰極側プレスフレームにおいて、その外面に、管部材(陽極液供給管、陰極液供給管、陽極液・ガス回収管、及び陰極液・ガス回収管)が接続されている方に向かって開口しているのがより好ましい。具体的には、後述する図11に示される、本発明の一実施形態に係る電解槽1000であれば、これら管部材は陰極側プレスフレーム410の外面に接続されており、基体31の支持部31bは、該陰極側プレスフレーム410に向かって開口している。換言すれば、陽極側プレスフレーム310では、その外面にはこれら管部材が接合されておらず、全面平たんになる。この場合、前記電解槽1000の組立てでは、陽極エンドユニット300Eに隣接する付近の電解エレメントの前記水平方向の積み上げにおいて、斯様に外面が平坦な陽極側プレスフレーム310を安定に載置してから、その上に上記電解エレメントを積み重ねることができる。しかも、この方向に、電解エレメントを積み上げていくのであれば、基体31において支持部31bは上向き開口になり、ネジ33による、ネジ穴31hへの締め付け操作が容易になる。
【0023】
なお、第1の貫通孔10hは、ネジ33の軸部33aを挿通可能だが頭部33bは通さない細部と、ネジ33の軸部33aが細部に挿通され且つ基体31のネジ穴31hと螺合された際にネジ33の頭部33bを受け容れることが可能な寸法を有する広部とを備えていてもよい。第1のガスケット22、及び隔壁10が枠状の基体31の受容部31aに受け入れられたとき、枠状の基体31のネジ穴31hと、隔壁10の第1の貫通孔10hと、第1のガスケット22の第2の貫通孔22hとは、相互に連通する(図5(A)及び(B))。
【0024】
第1のガスケット22は、受容部31aに受け容れられることが可能な寸法を有している(図5(A)、(B))。すなわち、第1のガスケット22の外周部は、枠状の基体31の受容部31aの内周部と略同一の寸法を有しており、第1のガスケット22の内周部は、枠状の基体31の支持部31bの内周部と略同一の寸法を有している。また、隔壁10も、受容部31aに受け容れられることが可能な寸法を有しており(図5(A)、(B))、その外周部は、枠状の基体31の受容部31aの内周部と略同一の寸法を有している。
また、隔壁10は、電解エレメント100Aにおいて、図5(A)の紙面左右方向(積層方向)における、中心に位置することが好ましく、その観点から、第1のガスケット22の厚みが設定される。
【0025】
図5(A)及び(B)に示すように、第1のガスケット22、及び、隔壁10が、基体31の受容部31aに受け容れられることにより、第1のガスケット22が基体31の支持部31bと隔壁10との間に挟まれて保持される。さらに、複数のネジ33のそれぞれ(の軸部33a)が、隔壁10の第1の貫通孔10h、第1のガスケット22の第2の貫通孔22hに挿通され、枠状の基体31のネジ穴31hに螺合されることにより、第1のガスケット22が隔壁10と基体31の支持部31bとによって締め付けられ、且つ、隔壁10が枠状の基体31に着脱可能に固定される。
【0026】
導電性の隔壁10の材質としては、電解エレメント100Aが用いられる電解槽(例えばアルカリ水電解用の電解槽)が運転される際の環境に耐性を有する(例えばアルカリ耐性を有する)剛性の導電性材料を特に制限なく用いることができ、例えばニッケル、鉄等の単体金属;普通鋼(すなわち低炭素鋼および中炭素鋼。)、高炭素鋼等の炭素鋼、ステンレス鋼(例えばSUS304、SUS310、SUS310S、SUS316、SUS316L等。)の等の鋼、等の金属材料を好ましく採用できる。これら金属材料は、耐食性や導電性を向上させるために、ニッケルめっきを施して用いても良い。フランジ部42、212e、及び222eの材質としては、例えばアルカリ耐性を有する剛性の材料を特に制限なく用いることができ、例えばニッケル、鉄等の単体金属;普通鋼(すなわち低炭素鋼および中炭素鋼。)、高炭素鋼等の炭素鋼、ステンレス鋼(例えばSUS304、SUS310、SUS310S、SUS316、SUS316L等。)等の鋼、等の金属材料を好ましく採用できる。上記金属材料には、耐食性を向上させるために、ニッケルめっきを施しても良い。
【0027】
陽極エンドセル100AEの隔壁10とフランジ部212eとは溶接や接着等で接合されていてもよく、同一の材料で一体に形成されていてもよい。同様に、陰極エンドセル100CEの隔壁10とフランジ部222eとは溶接や接着等で接合されていてもよく、同一の材料で一体に形成されていてもよい。また、陽極エンドセル100AEおよび/または、陰極エンドセル100CEにおいて、隔壁10と、各フランジ部とは、本願発明の電解エレメント100Aのように、着脱可能に構成されていてもよい。
【0028】
第1のガスケット22としては、電解エレメント100Aが用いられる電解槽(例えばアルカリ水電解用の電解槽)に使用可能なガスケットを特に制限なく用いることができる。第1のガスケット22は、図4(B)に示すように、平坦な形状を有し、隔壁10の周縁部を保持する一方で、枠状の基体31の受容部31aにおいて、枠状の基体31の支持部31bと隔壁10との間に挟まれて保持される。第1のガスケット22は、耐アルカリ性を有するエラストマーによって形成されていることが好ましい。ガスケット20の材料の例としては、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPT)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、イソブチレン-イソプレンゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等のエラストマーを挙げることができる。また、アルカリ耐性を有しないガスケット材料を使用する場合、該ガスケット材料の表面に耐アルカリ性を有する材料の層を被覆等により設けてもよい。
【0029】
枠状の基体31は、外部からの電圧印加に対して電気絶縁性であることが好ましい。一の実施形態において、枠状の基体31は、電気絶縁性の材料により形成される。枠状の基体31を形成する電気絶縁性材料としては、耐アルカリ性を有し積層方向に印加される押圧力に耐える強度を有する樹脂材料を好ましく用いることができ、そのような樹脂材料の好ましい例としては、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体樹脂等を挙げることができる。他の実施形態において、枠状の基体31は、金属材料からなる芯材と、該芯材の表面を被覆する電気絶縁性材料の被覆層とを備えてなる。枠状の基材31の芯材を形成する金属材料の例としては、例えば鉄等の単体金属やSUS304等のステンレス鋼等の、剛性の金属材料を挙げることができる。また、枠状の基材31の被覆層を形成する電気絶縁性材料の好ましい例としては、上記した電気絶縁性の樹脂材料のほか、電気絶縁性および耐アルカリ性を有するエラストマーを挙げることができる。そのようなエラストマーの好ましい例としては、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPT)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、イソブチレン-イソプレンゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等を挙げることができる。また、アルカリ耐性を有しないエラストマーを使用する場合、該エラストマーの表面に耐アルカリ性を有する材料の層を被覆等により設けても良い。
【0030】
再び図2(A)及び(B)、並びに図3を参照する。枠状の基体31の下部には、第1の電解液供給用流通孔31ea及び第2の電解液供給用流通孔31ebが、それぞれ貫通孔として設けられている。枠状の基体31の上部には、第2の電解液-ガス回収用流通孔31ec及び第1の電解液-ガス回収用流通孔31edが、それぞれ貫通孔として設けられている。これらの貫通孔、すなわち、第1及び第2の電解液供給用流通孔31ea、31eb、並びに第1及び第2の電解液-ガス回収用流通孔31ec、31edは、受容部31a及び支持部31bの外周側に設けられている。さらに図2(B)を参照すると、基体31の第2の面31fbには、隔壁10の第2の面10bが面する極室に流体連通する、第1の流路溝31ga、及び第2の流路溝31gcが設けられている。第1の流路溝31gaは、第1の電解液供給用流通孔31eaと流体連通している。第2の流路溝31gcは、第1の電解液-ガス回収用流通孔31edと流体連通している。
【0031】
電解槽を組み立てる際、隔膜エレメントが電解エレメント100と積層されることにより、第1の電解液供給用流通孔31eaは第1の電解液供給流路72の一部を構成し、第2の電解液供給用流通孔31ebは第2の電解液供給流路71の一部を構成し、第2の電解液-ガス回収用流通孔31ecは第2の電解液-ガス回収流路74の一部を構成し、第1の電解液-ガス回収用流通孔31edは第1の電解液-ガス回収流路73の一部を構成する。このとき、第1の流路溝31ga及び第2の流路溝31gcは、隣接する隔膜エレメント又はエンドセルにより蓋をされる。蓋をされた第1の流路溝31gaは、第1の電解液供給流路から隔壁10の第2の面10bが面する極室に第1の電解液を導く流路として機能する。蓋をされた第2の流路溝31gcは、隔壁10の第2の面10bが面する極室から第1の電解液-ガス回収流路に第1の電解液及びガスを導く流路として機能する。
【0032】
基体31の少なくとも第1の面31faに面して、第1の電解液用流通孔31ea、第1の電解液-ガス回収用流通孔31edのそれぞれの周縁部には、シール材31sが設けられている。また、第1の面31faに面して、外周部にもシール材31sが設けられている。シール材31sは、電解槽が加圧運転された際の電解液およびガスのシール性をさらに高めるように機能する。
シール材31sの材料としては、隔壁エレメント100が用いられる電解槽の電解液(例えばアルカリ水)に対して耐性を有するエラストマーを用いることができる。耐アルカリ性を有するエラストマーの好ましい例としては、ガスケット20に関連して上記説明したものと同様のエラストマーを挙げることができる。
【0033】
本発明に関する上記説明では、シール材31sを備える形態の隔壁エレメント100を参照して説明したが、本発明の隔壁エレメントは当該形態に限定されない。例えば、シール材31sを備えない形態の隔壁エレメントとすることも可能である。
【0034】
本発明に関する上記説明では、分岐流路として第1及び第2の流路溝31ga、31gcを備える形態の隔壁エレメント100を参照して説明したが、本発明の隔壁エレメントは当該形態に限定されない。例えば、分岐流路を備えない形態の隔壁エレメントとすることも可能である。また例えば、第1及び第2の流路溝31ga、31gcに代えて、基体31の内部を通る分岐流路を備える形態の隔壁エレメントとすることも可能である。
【0035】
本発明に関する上記説明では、合計8個のネジ33により、第1のガスケット22が隔壁10と枠状の基体の支持部31bとにより締め付けられ、且つ、隔壁10が枠状の基体31に着脱可能に固定される形態の隔壁エレメント100Aを参照して説明したが、本発明の隔壁エレメントは当該形態に限定されない。隔壁エレメント100Aが備えるネジ33の個数、及び、ネジ33が挿通される貫通孔及びネジ33が螺合されるネジ穴の数は、必要に応じて当業者が適切に変更できる。
【0036】
本発明に関する上記説明では、四角形の隔壁10を備え、これに対応した形状を有するガスケット22及び枠状の保持部材を備える形態の隔壁エレメント100Aを参照して説明したが、本発明の隔壁エレメントは当該形態に限定されない。例えば、円形の隔壁を備え、これに対応した形状のガスケットを備える形態の隔壁エレメントとすることも可能である。
【0037】
(ネジ固定、ガスケット2枚および蓋部材)
図6(A)に別形態の電解エレメント100Bの平面図、図6(B)に底面図を示す。図7(A)に図6(A)のB-B線断面図を示し、図7(B)に図7(A)の分解図を示す。
電解エレメント100Bにおいては、固定手段が、複数のネジ33と、枠状の基体31の支持部31bに、第1のガスケット22に向けて開口するように設けられた、ネジ33と螺合可能な複数のネジ穴31hと、基体の受容部31aに受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材32と、蓋部材32と隔壁10との間に挟持される、第2のガスケット24とを備える。
【0038】
また、導電性の隔壁10は、枠状の基体31の複数のネジ穴31hに対応する位置に設けられた複数の第1の貫通孔10hを備え、第1のガスケット22は、ネジ穴31hに対応する位置に設けられた複数の第2の貫通孔22hを備え、蓋部材32は、複数のネジ穴31hに対応する位置に設けられた、複数の第3の貫通孔32hを備え、第2のガスケット24は、ネジ穴31hに対応する位置に設けられた、複数の第4の貫通孔24hを備えている。
【0039】
枠状の基体31の複数のネジ穴31hと、隔壁10の複数の第1の貫通孔10hと、第1のガスケット22の複数の第2の貫通孔22hと、蓋部材32の複数の第3の貫通孔32hと、第2のガスケット24の複数の第4の貫通孔24hとが、相互に連通している。
【0040】
枠状の基体31の支持部31bと、第1のガスケット22と、隔壁10と、第2のガスケット24と、蓋部材32とがこの順に配置され、複数のネジ33のそれぞれが、蓋部材32の第3の貫通孔32h、第2のガスケット24の第4の貫通孔24h、隔壁10の第1の貫通孔10h、および、第1のガスケット22の第2の貫通孔22hに挿通され、枠状の基体31のネジ穴31hに螺合されることにより、第1のガスケット22、隔壁10、および第2のガスケット24が枠状の基体31の支持部31bと蓋部材32とによって締め付けられ、且つ、第1のガスケット22が隔壁10と枠状の基体31の支持部31bとによって締め付けられ、且つ、隔壁10が枠状の基体31に着脱可能に固定される。
【0041】
上記した電解エレメント100Bにおいては、隔壁10が二枚のガスケット22,24に挟まれた状態で、枠状の基体31の受容部31aに受け入れられており、隔壁10がガスケット22,24によって保護されており、隔壁10の損傷をより効果的に防ぐことが可能となる他、陽極室と陰極室間での各室液や生成ガスの混合を防ぐためのシール性も高めることができる。
【0042】
(リベット固定、ガスケット1枚)
さらに、別形態の電解エレメント100Cについて、図8(A)に断面図を示し、図8(B)に図8(A)の分解図を示す。電解エレメント100Cについては、平面図および底面図を省略するが、図8(A)は、図7(A)のB-B断面図に対応している。
【0043】
電解エレメント100Cにおいては、固定手段が、複数のリベット34と、枠状の基体31の支持部31bに、第1のガスケット22に向けて開口するように設けられた、リベットの軸部34aを挿通可能な複数の貫通孔31thとを備えている。
【0044】
導電性の隔壁10は、枠状の基体31の複数の貫通孔31thに対応する位置に設けられた、リベット34の軸部34aを挿通可能な複数の第1の貫通孔10hを備え、第1のガスケット22は、枠状の基体31の複数の貫通孔31thに対応する位置に設けられた、リベット34の軸部34aを挿通可能な複数の第2の貫通孔22hを備え、枠状の基体31の複数の貫通孔31thと、隔壁10の複数の第1の貫通孔10hと、第1のガスケット22の複数の第2の貫通孔22hとが、相互に連通している。
【0045】
枠状の基体31の支持部31bと、第1のガスケット22と、隔壁10とがこの順に配置され、隔壁10の第1の貫通孔10h、第1のガスケット22の第2の貫通孔22h、及び枠状の基体31の貫通孔31thに挿通された複数のリベット34によって、枠状の基体31の支持部31bと、第1のガスケット22と、隔壁10とが締結され、且つ、隔壁10が枠状の基体31に着脱可能に固定される。
【0046】
リベット34による加締め固定の方法は、特に限定されず、プレス加締め、スピン加締め等により行ってもよいし、ブラインドリベットを使用しても構わない。
【0047】
(リベット固定、ガスケット2枚および蓋部材)
さらに、別形態の電解エレメント100Dについて、図9(A)に断面図を示し、図9(B)に図9(A)の分解図を示す。電解エレメント100Dについては、平面図および底面図を省略するが、図9(A)は、図7(A)のB-B断面図に対応している。
【0048】
電解エレメント100Dにおいて、固定手段が、複数のリベット34と、枠状の基体31の支持部31bに、第1のガスケット22に向けて開口するように設けられた、リベット34の軸部34aを挿通可能な複数の貫通孔31thと、基体の受容部31aに受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材32と、蓋部材32と隔壁10との間に挟持される、第2のガスケット24とを備えている。
【0049】
導電性の隔壁10は、枠状の基体31の複数の貫通孔31thに対応する位置に設けられた、リベット34の軸部34aを挿通可能な複数の第1の貫通孔10hを備え、第1のガスケット22は、枠状の基体31の複数の貫通孔31thに対応する位置に設けられた、リベット34の軸部34aを挿通可能な複数の第2の貫通孔22hを備え、蓋部材32は、枠状の基体31の複数の貫通孔31thに対応する位置に設けられた、リベット34の軸部34aを挿通可能な複数の第3の貫通孔32hを備え、第2のガスケット24は、枠状の基体31の複数の貫通孔34hに対応する位置に設けられた、リベット34の軸部34aを挿通可能な複数の第4の貫通孔24hを備えている。
【0050】
枠状の基体31の複数の貫通孔31thと、隔壁10の複数の第1の貫通孔10hと、第1のガスケット22の複数の第2の貫通孔22hと、蓋部材32の複数の第3の貫通孔32hと、第2のガスケット24の複数の第4の貫通孔24hとが、相互に連通し、枠状の基体31の支持部31bと、第1のガスケット22と、隔壁10と、第2のガスケット24と、蓋部材32とがこの順に配置されている。
【0051】
蓋部材32の第3の貫通孔32h、第2のガスケット24の第4の貫通孔24h、隔壁10の第1の貫通孔10h、第1のガスケット22の第2の貫通孔22h、及び枠状の基体31の貫通孔31thに挿通された複数のリベット34によって、枠状の基体31の支持部31bと、第1のガスケット22と、隔壁10と、第2のガスケット24と、蓋部材32とが締結され、且つ、第1のガスケット22が隔壁10と枠状の基体31の支持部31bとによって締め付けられ、且つ、隔壁10が枠状の基体31に着脱可能に固定される。
【0052】
リベット34による加締め固定の方法等は、上記電解エレメント100Cの場合と同様である。また、電解エレメント100Dにおいては、隔壁10が二枚のガスケット22、24に挟まれた状態で、枠状の基体31の受容部31aに受け入れられており、隔壁10がガスケット22,24によって保護されており、隔壁10の損傷をより効果的に防ぐことが可能となる。
【0053】
(磁石による固定)
さらに、別形態の電解エレメント100Eについて、図10(A)に断面図を示し、図10(B)に図10(A)の分解図を示す。電解エレメント100Eについては、平面図および底面図を省略するが、図10(A)は、図7(A)のB-B断面図に対応している。
【0054】
電解エレメント100Eにおいて、固定手段が、基体の受容部31aに受け容れられることが可能な形状および寸法を有する、枠状の蓋部材32と、蓋部材32と隔壁10との間に挟持される、第2のガスケット24とを備えている。
蓋部材32が、磁石を含み、枠状の基体の支持部31bが、強磁性体を含み、枠状の基体の支持部31bと、第1のガスケット22と、隔壁10と、第2のガスケット24と、蓋部材32とがこの順に配置され、磁気力によって、第1のガスケット22、隔壁10、および第2のガスケット24が枠状の基体の支持部31bと蓋部材10との間に締め付けられ、且つ、第1のガスケット22が隔壁10と枠状の基体の支持部31bとによって締め付けられ、且つ、隔壁10が枠状の基体31に着脱可能に固定される。
【0055】
蓋部材32は、全体が磁石で形成されていてもよいし、その一部、例えば、蓋部材32の第2のガスケット24側の一部が磁石で形成された形態であってもよいし、または、磁石の周囲を樹脂等でコーテイングして蓋部材32を形成してもよい。
磁石の種類、磁力は、強磁性体である支持部31bとの間で、第2のガスケット24、隔壁10、および、第1のガスケット22を締め付けて固定することができれば、特に制限されない。
【0056】
電解エレメント100Eにおいては、ネジや、リベットによる固定作業が不要であり、隔壁10の着脱作業が、さらに容易となるという利点がある。
【0057】
<電解槽>
図11は、本発明の一の実施形態に係る電解槽1000を模式的に説明する断面図である。電解槽1000は、アルカリ水電解用の電解槽である。図12は、図11のB-B矢視図である。図11及び図12において、紙面上下方向が鉛直上下方向にそれぞれ対応する。
図11に示した電解槽1000は、一例として、上記した電解エレメント100Aを備えた形態を示している。図11においては、電解エレメント100Aは、上記において説明を省略していた陽極43および陰極44を備えている。陽極43は導電リブ45を介して隔壁10に固定されており、陰極44は導電リブ46を介して隔壁10に固定されている。
【0058】
また、電解槽1000においては、隣接する電解エレメント100Aの間に、隔膜エレメント200が配置されている。図示した隔膜エレメント200は、隔膜50が、枠状のフランジ部60に固定された構造を備えてるが、隔膜エレメント200の構造はこれに限定されず、枠状のフランジ部60への隔膜50の固定方法も特に限定されない。また、隔膜エレメントではなく、隔膜50自体を、ガスケットで挟んで電解エレメント100Aの間に保持する形態であっても構わない。
ここで、陽極エンドセル100AE、及び、陰極エンドセル100CE間において、電解エレメント100Aの積層数は特に制限されるものではないが、通常は10~400であり、より好ましくは50~350である。
【0059】
複数の電解エレメント100Aは、各電解エレメント100Aの陽極43が導電性の隔壁10の同じ側に現れるように積層されている。電解エレメント100Aの隔壁10と、該隔壁エレメント100Aに隣接する一方の電膜エレメント200との間に、陽極43を収容する陽極室Aが画定されているとともに、隔壁エレメント100Aの隔壁10と、該隔壁エレメント100Aに隣接する他方の隔膜エレメント200との間に、陰極44を収容する陰極室Cが画定されている。
【0060】
電解槽1000はさらに、導電性の隔壁10と、隔壁10の外周部に設けられ、隔壁10の一方の側に延在するフランジ部212eと、隔壁10に電気的に接続された陽極43とを備え、陽極室Aを画定する、陽極エンドセル100AEを備え、さらに、導電性の隔壁10と、隔壁10の外周部に設けられ、隔壁10の一方の側に延在するフランジ部222eと、隔壁10に電気的に接続された陰極44とを備え、陰極室Cを画定する、陰極エンドセル100CEと、をさらに備えている。
【0061】
陽極エンドセル100AEと、陽極エンドセル100AEに隣接する隔膜エレメント200の隔膜50との間に、陽極43を収容する陽極室Aが画定されている。また、陰極エンドセル100CEと、陰極エンドセル100CEに隣接する隔膜エレメント200の隔膜50との間に、陰極44を収容する陰極室Cが画定されている。
【0062】
陽極エンドセル100AEは、陽極エンドユニット300Eに含まれている。陽極エンドユニット300Eは、電解槽1000の陽極端部側(図11の紙面右側)から順に配置された、陽極側プレスフレーム310、陽極側絶縁部材320、及び陽極エンドセル100AEを備えてなる。陰極エンドセル100CEは、陰極エンドユニット400Eに含まれている。陰極エンドユニット400Eは、電解槽の陰極端部側(図11の紙面左側)から順に配置された、陰極側プレスフレーム410、陰極側絶縁部材420、及び陰極エンドセル100CEを備えてなる。
【0063】
図12は、図11のB―B矢視図である。図13(A)は、図11から陰極側プレスフレーム410のみを抜き出した図であり、図13(B)は図13(A)のB-B矢視断面図である。
図13(B)に示すように、陰極側プレスフレーム410は、その下部にそれぞれ貫通孔として設けられた第1の電解液供給用流通孔410b及び第2の電解液供給用流通孔410a、並びに、その上部にそれぞれ貫通孔として設けられた第1の電解液-ガス回収用流通孔410c及び第2の電解液-ガス回収用流通孔410dを備えている。陰極側プレスフレーム410は金属製の部材である。
【0064】
図14(A)は、図11から陰極側絶縁部材420のみを抜き出した図であり、図14(B)は図14(A)のB-B矢視図であり、図14(C)は図14(A)のC-C矢視図である。
図14(B)に示すように、陰極側絶縁部材420は、その下部にそれぞれ貫通孔として設けられた第1の電解液供給用流通孔420b及び第2の電解液供給用流通孔420a、並びに、その上部にそれぞれ貫通孔として設けられた第1の電解液-ガス回収用流通孔420c及び第2の電解液-ガス回収用流通孔420dを備えている。第1の電解液供給用流通孔420b、第2の電解液供給用流通孔420a、第1の電解液-ガス回収用流通孔420c及び第2の電解液-ガス回収用流通孔420dのぞれぞれの外周部には、シール材420sが設けられている。
【0065】
図14(C)は、図14(A)のC-C矢視図であり、第1の電解液供給用流通孔420b、第2の電解液供給用流通孔420a、第1の電解液-ガス回収用流通孔420c及び第2の電解液-ガス回収用流通孔420dを備えている。図11において、陰極側絶縁部材420の第1の電解液供給用流通孔420b、第2の電解液供給用流通孔420a、第1の電解液-ガス回収用流通孔420c、及び第2の電解液-ガス回収用流通孔420dは、陰極側プレスフレーム410の第1の電解液供給用流通孔410b、第2の電解液供給用流通孔410a、第1の電解液-ガス回収用流通孔410c、及び第2の電解液-ガス回収用流通孔410dと、それぞれ連通している。
【0066】
図15(A)は、図11から陰極エンドセル100CEのみを抜き出した図であり、図15(B)は図15(A)のB-B矢視図、図15(C)は図15(A)のC-C矢視図である。ただし図15(C)において、導電リブ46及び陰極44は省略している。図15(B)及び(C)に示すように、陰極エンドセル100CEのフランジ部222eの下部には、陰極液供給用流通部25ea及び陽極液供給用流通部25ebが設けられている。また陰極エンドセル220eのフランジ部222eの上部には、陽極液・ガス回収用流通部25ec及び陰極液・ガス回収用流通部25edが設けられている。
【0067】
図16(A)は、図11から陽極エンドセル100AEのみを抜き出した図であり、図16(B)は、図16(A)のB-B矢視図、図16(C)は、図16(A)のC-C矢視図である。ただし図16(B)において、導電リブ45及び陽極43は省略している。
【0068】
図17(A)は、図11から陽極側絶縁部材320のみを抜き出した図であり、図17(B)は図17(A)のB-B矢視断面図である。図17(B)に示すように、陽極側絶縁部材320は、第1の電解液供給流路71、第2の電解液供給流路72、第1の電解液-ガス回収流路73、第2の電解液-ガス回収流路74のいずれかと連通する貫通孔を有していない。
【0069】
図18(A)は、図11から陽極側プレスフレーム310のみを抜き出した図であり、図18(B)は図18(A)のB-B矢視断面図である。図18(B)に示すように、陽極側プレスフレーム310は、第1の電解液供給流路71、第2の電解液供給流路72、第1の電解液-ガス回収流路73、第2の電解液-ガス回収流路74のいずれかと連通する貫通孔を有していない。
【0070】
電解槽1000において、各電解エレメント100の陽極液供給用流通部31ebと、各隔膜エレメント200の第1の電解液供給用流通孔と、陰極エンドセル100CEの陽極液供給用流通部25ebとが相互に流体連通して、一体の陽極液供給用流通部72を形成している。
また、各電解エレメント100の陽極液・ガス回収用流通部31ecと、各隔膜エレメント200の第1の電解液-ガス回収用流通孔と、陰極エンドセル100CEの陽極液・ガス回収用流通部25ecとが相互に流体連通して、一体の陽極液・ガス回収用流通部73を形成している。
【0071】
また、各電解エレメント100の陰極液供給用流通部31eaと、各隔膜エレメント200の第2の電解液供給用流通孔と、陰極エンドセル100CEの陰極液供給用流通部25eaとが相互に流体連通して、一体の陰極液供給用流通部71を形成している。
また、各電解エレメント100の陰極液・ガス回収用流通部31edと、各隔膜エレメント200の第2の電解液-ガス回収用流通部と、陰極エンドセル100CEの陰極液・ガス回収用流通部25edとが相互に流体連通して、一体の陰極液・ガス回収用流通部74を形成している。
【0072】
陽極43としては、電解槽1000の陽極反応(例えば電解槽1000がアルカリ水電解用の電解槽である場合には、酸素発生反応)に使用可能な陽極を特に制限なく用いることができる。陽極43は、通常、導電性基材と、該基材の表面を被覆する触媒層とを備える。触媒層は多孔質であることが好ましい。酸素発生反応に適した陽極43の導電性基材としては、例えば、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル鉄、バナジウム、モリブデン、銅、銀、マンガン、白金族元素、黒鉛、若しくはクロム、又はそれらの組み合わせを用いることができる。陽極43においてはニッケルからなる導電性基材を好ましく用いることができる。触媒層は元素としてニッケルを含むことが好ましい。触媒層は、酸化ニッケル、金属ニッケル、若しくは水酸化ニッケル、又はそれらの組み合わせを含むことが好ましく、ニッケルと他の1種以上の金属との合金を含んでもよい。触媒層は金属ニッケルからなることが特に好ましい。なお、触媒層は、クロム、モリブデン、コバルト、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、白金族元素、若しくは希土類元素、又はそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。触媒層の表面に、ロジウム、パラジウム、イリジウム、若しくはルテニウム、又はそれらの組み合わせが追加的な触媒としてさらに担持されていてもよい。陽極43の導電性基材は剛性の基材であってもよく、可撓性の基材であってもよい。陽極43を構成する剛性の導電性基材としては、例えばエキスパンドメタル、パンチドメタル等を挙げることができる。また陽極43を構成する可撓性の導電性基材としては、例えば金属ワイヤーで織った(又は編んだ)金網等を挙げることができる。
【0073】
陰極44としては、電解槽1000の陰極反応(例えば電解槽1000がアルカリ水電解用の電解槽である場合には、水素発生反応)に使用可能な陰極を特に制限なく用いることができる。陰極44は、通常、導電性基材と、該基材の表面を被覆する触媒層とを備える。水素発生反応に適した陰極44の導電性基材としては、例えば、ニッケル、ニッケル合金、ステンレススチール、軟鋼、ニッケル合金、又は、ステンレススチール若しくは軟鋼の表面にニッケルメッキを施したものを好ましく採用できる。陰極44の触媒層としては、貴金属酸化物、ニッケル、コバルト、モリブデン、若しくはマンガン、若しくはそれらの酸化物、又は貴金属酸化物からなる触媒層を好ましく採用できる。陰極44を構成する導電性基材は例えば剛性の基材であってもよく、可撓性の基材であってもよい。陰極44を構成する剛性の導電性基材としては、例えばエキスパンドメタル、パンチドメタル等を挙げることができる。また陰極44を構成する可撓性の導電性基材としては、例えば金属ワイヤーで織った(又は編んだ)金網等を挙げることができる。
【0074】
導電リブ45及び46としては、公知の導電性リブを用いることができる。電解槽1000において、導電リブ45は、電解エレメント100及び陽極エンドセル100AEの隔壁10から突出して設けられており、導電リブ46は、電解エレメント100及び陰極エンドセル100CEの隔壁10から突出して設けられている。導電リブ45が陽極43を電解エレメント100及び陽極エンドセル100AEに対して固定および保持できる限りにおいて、導電リブ45の接続方法、形状、数、及び配置は特に制限されない。
また導電リブ46が陰極44を電解エレメント100及び陰極エンドセル100CEに対して固定および保持できる限りにおいて、導電リブ46の接続方法、形状、数、及び配置も特に制限されない。導電リブ45及び46の材質としては、電解槽1000が運転される際の環境に耐性を有する(例えばアルカリ耐性を有する)剛性の導電性材料を特に制限なく用いることができ、例えばニッケル、鉄等の単体金属;普通鋼(すなわち低炭素鋼および中炭素鋼。)、高炭素鋼等の炭素鋼、ステンレス鋼(例えばSUS304、SUS310、SUS310S、SUS316、SUS316L等。)等の鋼、等の金属材料を好ましく採用できる。これら金属材料には、耐食性や導電性を向上させるために、ニッケルめっきを施しても良い。
【0075】
陽極側絶縁部材320及び陰極側絶縁部材420としては、(例えばアルカリ水電解用の)電解槽において陽極エンドセルと陽極側プレスフレームとの間の電気的絶縁および陰極エンドセルと陰極側プレスフレームとの間の電気的絶縁に使用可能な絶縁部材を特に制限なく用いることができる。例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体樹脂等を挙げることができる。
【0076】
陽極側プレスフレーム310及び陰極側プレスフレーム410は、不図示のタイロッドによって締結されることにより、陽極側プレスフレーム310と陰極側プレスフレーム410との間に配置された、絶縁部材320及び420、各電解エレメント100、各隔膜エレメント200、陽極エンドセル100AE、陰極エンドセル100CEを一体化する。プレスフレーム310及び410は、上記締結の荷重に耐える剛性を有する金属材料で形成されている。プレスフレーム310及び410を構成する金属材料の例としては、SS400等の炭素鋼やSUS304、SUS316等のステンレス鋼等を挙げることができる。
【0077】
陽極エンドセル100AEには陽極端子が、陰極エンドセル100CEには陰極端子が、それぞれ接続されている。また陽極側プレスフレーム310、陰極側プレスフレーム410、陰極液流通管81、陽極液供給管82、陽極液・ガス回収管83、及び陰極液・ガス回収管84は、いずれも電気的に接地されていることが好ましい。
【0078】
陽極室および陰極室の少なくとも一方を大気圧よりも高圧に維持しながら電解を行う場合、陰極室内部の圧力は大気圧に対して20kPa以上高圧であることが好ましく、400kPa以上高圧であることがより好ましく、800kPa以上高圧であることがさらに好ましい。陰極室内部の圧力の上限は電解槽を構成する部材の強度にもよるが、例えば大気圧+3000kPa未満とすることができる。陰極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、陰極室から水素ガスを回収した後の昇圧工程における圧縮率を低減、または昇圧工程を省略することができるので、設備コストを削減し、設備全体として省スペース化および省エネルギー化を図ることが可能になる。また陰極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、電解電圧を低減する効果が得られる。これは陰極室で発生する気泡のサイズが小さくなることにより、陽極-陰極間の気泡抵抗が減少することに由来すると考えられる。
【0079】
また陽極室および陰極室の少なくとも一方を大気圧よりも高圧に維持しながら電解を行う場合、陽極室内部の圧力は大気圧に対して20kPa以上高圧であることが好ましく、400kPa以上高圧であることがより好ましく、800kPa以上高圧であることがさらに好ましい。陽極室内部の圧力の上限は電解槽を構成する部材の強度にもよるが、例えば大気圧+3000kPa未満とすることができる。陽極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、陽極室から酸素ガスを回収した後の昇圧工程における圧縮率を低減、または昇圧工程を省略することができるので、設備コストをさらに削減し、設備全体としてさらなる省スペース化および省エネルギー化を図ることが可能になる。また陽極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、電解電圧を低減する効果が得られる。これは陽極室で発生する気泡のサイズが小さくなることにより、陽極-陰極間の気泡抵抗がさらに減少することに由来すると考えられる。
【0080】
陰極室内部の圧力と陽極室内部の圧力との差は、例えば5.0kPa未満であることが好ましく、1.0kPa未満であることがより好ましい。陰極室内部の圧力と陽極室内部の圧力との差が上記上限値未満であることにより、陽極室-陰極室間の差圧に起因してガスが隔膜を透過して陽極室から陰極室へ又は陰極室から陽極室へ移動することを抑制すること、及び、陽極室-陰極室間の差圧に起因して隔膜が損傷する事態を抑制することが容易になる。
【0081】
本発明に関する上記説明では、各極液供給管/回収管81~84が、陰極側プレスフレーム410及び陰極側絶縁部材420に設けられた各貫通孔を通じて、各極液供給流路/回収流路71~74にそれぞれ接続されている形態の電解槽1000を例に挙げたが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、各極液供給管/回収管のうち一つ以上が、陽極側プレスフレーム及び陽極側絶縁部材に設けられた貫通孔を通じて、対応する極液供給流路/回収流路に接続されている形態の電解槽とすることも可能である。
【0082】
<ガス製造方法>
本発明の電解槽は、例えばアルカリ水の電解によるガスの製造に好ましく用いることができる。一の実施形態に係るガス製造方法は、アルカリ水を電解して少なくとも水素ガスを製造する方法であって、(a)本発明の電解槽を用いてアルカリ水を電解する工程を含む。工程(a)における電解槽としては、例えば、上記説明した電解槽1000を用いることができる。アルカリ水としては、アルカリ水電解法による水素の製造に用いられる公知の塩基性水溶液(例えばKOH水溶液、NaOH水溶液等。)を特に制限なく用いることができる。
【0083】
工程(a)は、本発明の電解槽の各陽極室および各陰極室に電解液(アルカリ水)を供給し、陽極-陰極間に所定の電解電流が流れるように電圧を印加する(電解槽に直流電流を通電する)ことにより、行うことができる。電解により発生したガスを各極室から電解液とともに回収し、気液分離を行うことにより、陰極室から水素ガスを、及び陽極室から酸素ガスを、それぞれ回収することができる。気液分離によりガスから分離された電解液は、必要に応じて水を補充しつつ、各極室へ再度供給することができる。
【0084】
工程(a)において、陰極室内部の圧力は大気圧に対して20kPa以上高圧に維持されることが好ましい。陰極室内部の圧力は大気圧に対して400kPa以上高圧であることが好ましく、800kPa以上高圧であることがより好ましい。陰極室内部の圧力の上限は電解槽を構成する部材の強度にもよるが、例えば大気圧+1000kPa未満とすることができる。陰極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、陰極室から水素ガスを回収した後の昇圧工程における圧縮率を低減、または昇圧工程を省略することができるので、設備コストを削減し、設備全体として省スペース化および省エネルギー化を図ることが可能になる。また陰極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、陰極室で発生する気泡のサイズが小さくなるので、陽極-陰極間の抵抗が減少し、したがって電解電圧を低減することが可能になる。
【0085】
工程(a)において、陽極室内部の圧力も、大気圧に対して20kPa以上高圧に維持されることが好ましい。陽極室内部の圧力は大気圧に対して400kPa以上高圧であることが好ましく、800kPa以上高圧であることがより好ましい。陽極室内部の圧力の上限は電解槽を構成する部材の強度にもよるが、例えば大気圧+1000kPa未満とすることができる。陽極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、陽極室から酸素ガスを回収した後の昇圧工程における圧縮率を低減、または昇圧工程を省略することができるので、設備コストをさらに削減し、設備全体としてさらなる省スペース化および省エネルギー化を図ることが可能になる。また陽極室内部の圧力が上記下限値以上であることにより、陽極室で発生する気泡のサイズが小さくなるので、陽極-陰極間の抵抗がさらに減少し、したがって電解電圧をさらに低減することが可能になる。
【0086】
工程(a)において、陰極室内部の圧力と陽極室内部の圧力との差は、例えば5.0kPa未満であることが好ましく、1.0kPa未満であることがより好ましい。陰極室内部の圧力と陽極室内部の圧力との差が上記上限値未満であることにより、陽極室-陰極室間の差圧に起因してガスが隔膜を透過して陽極室から陰極室へ又は陰極室から陽極室へ移動することを抑制すること、及び、陽極室-陰極室間の差圧に起因して隔膜が損傷する事態を抑制することが容易になる。
【0087】
本発明の電解槽は、電解エレメントのメンテナンス性が高められているので、使用に伴って劣化した隔壁10を修繕する必要が生じた場合に、電解エレメントから隔壁と取り外して修正作業を行うことが可能となり、修繕作業に要する手間、費用の削減が可能となる。また、新しい隔壁(新しい電極、集電体を備えて隔壁、再めっきが施された隔壁)をあらかじめ準備しておくことで、交換作業を迅速に行うことが可能となり、電解槽を運転できない時間を短縮することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 隔壁
22 第1のガスケット
24 第2のガスケット
31 (枠状の)基体
31a 受容部
31b 支持部
31h ネジ穴
31th 貫通孔
31ea 第1の電解液供給用流通孔(陽極液供給用流通孔)
31eb 第2の電解液供給用流通孔(陰極液供給用流通孔)
31ec 第2の電解液-ガス回収用流通孔(陰極液-ガス回収用流通孔)
31ed 第1の電解液-ガス回収用流通孔(陽極液-ガス回収用流通孔)
31ga 第1の流路溝(分岐流路)
31gc 第2の流路溝(分岐流路)
31s シール材
31fa 第1の面
31fb 第2の面
10h 第1の貫通孔
22h 第2の貫通孔
32h 第3の貫通孔
24h 第4の貫通孔
32 (枠状の)蓋部材
33 ネジ
33a ネジの軸部
33b ネジの頭部
34 リベット
34a リベットの軸部
34b リベットの頭部
45、46 導電リブ
43 陽極
44 陰極
50 隔膜
320 陽極側絶縁部材
420 陰極側絶縁部材
310 陽極側プレスフレーム
410 陰極側プレスフレーム
71 第2の電解液供給流路(陰極液供給流路)
72 第1の電解液供給流路(陽極液供給流路)
73 第1の電解液-ガス回収流路(陽極液-ガス回収流路)
74 第2の電解液-ガス回収流路(陰極液-ガス回収流路)
81 陰極液供給管
82 陽極液供給管
83 陽極液・ガス回収管
84 陰極液・ガス回収管
100A,100B、100C、100D、100E 電解エレメント
200 隔膜エレメント
100AE 陽極エンドセル
100CE 陰極エンドセル
1000 電解槽
A 陽極室
C 陰極室
【要約】
例えば、電極の交換、隔壁の再めっき施工といった電解エレメントのメンテナンスを容易に行うことが可能である、電解エレメントを提供する。
導電性の隔壁と、隔壁に電気的に接続された陽極と陰極と、隔壁の周縁部に接して配置される第1のガスケットと、隔壁の周縁部および第1のガスケットを受け入れ保持する、枠状の保持部材とを備え、保持部材は、枠状の基体と、隔壁を枠状の基体に着脱可能に固定する、固定手段とを備える、電解エレメント。
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