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特許7585560基板処理システム及びエッジリングの取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】基板処理システム及びエッジリングの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241111BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20241111BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241111BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
B65G49/07 E
H01L21/68 A
H01L21/68 R
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024554229
(86)(22)【出願日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2023030543
(87)【国際公開番号】W WO2024075423
(87)【国際公開日】2024-04-11
【審査請求日】2024-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2022162521
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 昂
(72)【発明者】
【氏名】李 黎夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 信峰
(72)【発明者】
【氏名】赤間 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀征
(72)【発明者】
【氏名】パク ギョンミン
(72)【発明者】
【氏名】清水 渉
(72)【発明者】
【氏名】小板橋 嶺太
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-111771(JP,A)
【文献】特開2022-148699(JP,A)
【文献】特開2021-141308(JP,A)
【文献】特開2018-010992(JP,A)
【文献】特開2001-057363(JP,A)
【文献】特開2011-009351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
B65G 49/07
H01L 21/677
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムであって、
プラズマ処理装置と、前記プラズマ処理装置に接続された減圧搬送装置と、制御装置と、を備え、
前記プラズマ処理装置は、
減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板載置面と、エッジリングが基板を囲むように載置されるリング載置面と、前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する静電チャックと、を含み、バイアス用のパルス状の直流電圧を供給する電源に接続された基板支持台と、
前記エッジリングを昇降させる昇降機構と、
前記処理容器内にプラズマを生成するプラズマ生成部と、を有し、
前記減圧搬送装置は、前記エッジリングを搬送する搬送ロボットを有し、
前記制御装置は、
前記処理容器内に前記搬送ロボットにより搬送され前記昇降機構に受け渡された前記エッジリングを前記昇降機構により下降させて前記リング載置面に載置する工程と、
載置された前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する工程と、
製品基板をプラズマ処理する前に、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックへの前記エッジリングの静電吸着を安定化する工程と、を制御し、
前記安定化する工程は、前記基板支持台に前記バイアス用のパルス状の直流電圧を印加する工程を含み、
前記印加する工程は、第1のバイアス電圧を印加する第1の工程と、前記第1の工程後に前記第1のバイアス電圧よりも高い第2のバイアス電圧を印加する第2の工程と、を含む、基板処理システム。
【請求項2】
基板処理システムであって、
プラズマ処理装置と、前記プラズマ処理装置に接続された減圧搬送装置と、制御装置と、を備え、
前記プラズマ処理装置は、
減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板載置面と、エッジリングが基板を囲むように載置されるリング載置面と、前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する静電チャックと、を含み、バイアス用のRF電力を供給する電源に接続された基板支持台と、
前記エッジリングを昇降させる昇降機構と、
前記処理容器内にプラズマを生成するプラズマ生成部と、を有し、
前記減圧搬送装置は、前記エッジリングを搬送する搬送ロボットを有し、
前記制御装置は、
前記処理容器内に前記搬送ロボットにより搬送され前記昇降機構に受け渡された前記エッジリングを前記昇降機構により下降させて前記リング載置面に載置する工程と、
載置された前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する工程と、
製品基板をプラズマ処理する前に、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックへの前記エッジリングの静電吸着を安定化する工程と、を制御し、
前記安定化する工程は、前記基板支持台に前記バイアス用のRF電力を供給する工程を含み、
前記供給する工程は、第1のバイアス電力を供給する第1の工程と、前記第1の工程後に前記第1のバイアス電力よりも大きい第2のバイアス電力を供給する第2の工程と、を含む、基板処理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記安定化後、前記製品基板に対する前記プラズマ処理前に、前記処理容器内をシーズニングする工程をさらに制御する、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記安定化は、前記静電チャックの前記基板載置面に、前記製品基板とは異なるダミー基板が載置された状態で行われる、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記安定化する工程は、前記静電チャックの前記基板載置面に基板が載置されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックをクリーニングする工程を含む、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記印加する工程は、前記第2の工程後に、前記第2のバイアス電圧よりも高い第3のバイアス電圧を印加する第3の工程をさらに含む、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記第3の工程は、前記基板支持台に前記パルス状の直流電圧を前記第3のバイアス電圧で間欠的に印加する、請求項6に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記印加する工程は、パルス状の負の直流電圧を印加し、
前記第2のバイアス電圧の絶対値は、前記第1のバイアス電圧の絶対値より大きい、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記載置する工程前に、前記エッジリングを前記昇降機構によって前記リング載置面から離間させた状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記エッジリングから水分を除去する工程をさらに実行する、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記安定化後、前記製品基板に対する前記プラズマ処理前に、前記処理容器内をシーズニングする工程をさらに制御する、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記安定化は、前記静電チャックの前記基板載置面に、前記製品基板とは異なるダミー基板が載置された状態で行われる、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項12】
前記安定化する工程は、前記静電チャックの前記基板載置面に基板が載置されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックをクリーニングする工程を含む、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記供給する工程は、前記第2の工程後に、前記第2のバイアス電力よりも大きい第3のバイアス電力を供給する第3の工程をさらに含む、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項14】
前記第3の工程は、前記基板支持台に前記RF電力を前記第3のバイアス電力で間欠的に供給する、請求項13に記載の基板処理システム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記載置する工程前に、前記エッジリングを前記昇降機構によって前記リング載置面から離間させた状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記エッジリングから水分を除去する工程をさらに実行する、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項16】
プラズマ処理装置内の処理容器内に設けられた、基板支持台の静電チャックのリング載置面に、エッジリングを載置する工程と、
載置された前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する工程と、
前記静電チャックの基板載置面に載置される製品基板をプラズマ処理する前に、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックへの前記エッジリングの静電吸着をプラズマにより安定化する工程と、を含み、
前記安定化する工程は、前記基板支持台に、バイアス用のパルス状の直流電圧を印加し、または、バイアス用のRF電力を供給する工程を含み、
前記印加または供給する工程は、第1のバイアス電圧を印加し、または、第1のバイアス電力を供給する第1の工程と、前記第1の工程後に、前記第1のバイアス電圧よりも高い第2のバイアス電圧を印加し、または、前記第1のバイアス電力よりも大きい第2のバイアス電力を供給する第2の工程と、を含む、エッジリングの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システム及びエッジリングの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理室の内部に設けられる載置台に載置される基板にプラズマ処理を行うことが可能なプラズマ処理装置に用いられ、基板の周囲を取り囲むように載置台に載置されるフォーカスリングを交換するフォーカスリング交換方法が開示されている。上記交換方法は、処理室を大気開放することなく、フォーカスリングを搬送する搬送装置により処理室内からフォーカスリングを搬出する搬出ステップと、搬出ステップの後、載置台のフォーカスリングが載置される面をクリーニング処理するクリーニングステップと、を含む。さらに、上記交換方法は、クリーニングステップの後、処理室を大気開放することなく、搬送装置により処理室内にフォーカスリングを搬入し、載置台に載置する搬入ステップと、を有する。また、特許文献1には、静電チャックによりフォーカスリングが載置台に吸着されている場合には、搬出ステップまでに除電処理を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-10992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、搬送装置を用いて交換するエッジリングを基板支持台へ適切に静電吸着する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板処理システムであって、プラズマ処理装置と、前記プラズマ処理装置に接続された減圧搬送装置と、制御装置と、を備え、前記プラズマ処理装置は、減圧可能に構成された処理容器と、前記処理容器内に設けられ、基板載置面と、エッジリングが基板を囲むように載置されるリング載置面と、前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する静電チャックと、を含み、バイアス用のパルス状の直流電圧を供給する電源に接続された基板支持台と、前記エッジリングを昇降させる昇降機構と、前記処理容器内にプラズマを生成するプラズマ生成部と、を有し、前記減圧搬送装置は、前記エッジリングを搬送する搬送ロボットを有し、前記制御装置は、前記処理容器内に前記搬送ロボットにより搬送され前記昇降機構に受け渡された前記エッジリングを前記昇降機構により下降させて前記リング載置面に載置する工程と、載置された前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する工程と、製品基板をプラズマ処理する前に、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックへの前記エッジリングの静電吸着を安定化する工程と、を制御し、前記安定化する工程は、前記基板支持台に前記バイアス用のパルス状の直流電圧を印加する工程を含み、前記印加する工程は、第1のバイアス電圧を印加する第1の工程と、前記第1の工程後に前記第1のバイアス電圧よりも高い第2のバイアス電圧を印加する第2の工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、搬送装置を用いて交換するエッジリングを基板支持台へ適切に静電吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる基板処理システムとしてのプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
図2】処理モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
図3図2の部分拡大図である。
図4】ウェハ支持台の周方向にかかる図3とは異なる部分の拡大断面図である。
図5】エッジリングの取り付けシーケンスの例1を示すフローチャートである。
図6】エッジリングの取り付けシーケンスの例2を示すフローチャートである。
図7】エッジリングの取り付けシーケンスの例3を示すフローチャートである。
図8】エッジリングの取り付けシーケンスの例4を示すフローチャートである。
図9】エッジリングからの水分除去時における、ウェハ支持台の周囲の状態を示す図である。
図10】エッジリングに加えてカバーリングが載置されるように構成されたウェハ支持台の一例を説明するための部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板に対して、プラズマを用いたエッチング処理等の基板処理すなわちプラズマ処理が行われる。プラズマ処理は、減圧された処理容器内の基板支持台に基板が載置された状態で行われる。
【0009】
また、基板の中央部と周縁部とで良好且つ均一なプラズマ処理結果を得るために、基板支持台上の基板の周囲を囲むように、フォーカスリング、エッジリング等と称される平面視環状の部材(以下、「エッジリング」という。)が基板支持台に載置されることがある。
【0010】
さらに、プラズマ処理の結果は基板の温度に依存するため、プラズマ処理の際、基板支持台の温度が調整され、この基板支持台を介して基板の温度が調整されている。
上述のエッジリングを用いる場合、当該エッジリングの温度が基板周縁部のプラズマ処理結果に影響を与えるため、当該エッジリングの温度調整も重要である。そのため、エッジリングの温度も基板支持台を介して調整される。
【0011】
ただし、単純に基板及びエッジリングが基板支持台に載置されるだけでは、基板支持台と基板及びエッジリングとの間に真空断熱層が形成され、基板支持台を介した温度調整を適切に行うことができない。この点を改善すること等を目的として、基板支持台に静電チャックを設け、基板及びエッジリングを静電チャックに静電吸着している。
【0012】
また、エッジリングはプラズマに曝されることによりエッチングされ消耗するため、交換が必要となる。エッジリングが消耗した場合の交換は、一般的に、処理容器を大気開放して作業者により行われるが、エッジリングを搬送する搬送装置を用いて、処理容器を大気開放せずに、交換を行うことも考えられている(特許文献1参照)。
【0013】
また、エッジリングを用いる場合、単に静電チャックに静電吸着するのみでは、静電吸着力が不足し、基板支持台を介して(具体的には静電チャックを介して)静電チャックの温度調整を適切に行うことができない場合がある。
【0014】
そこで、本開示にかかる技術は、搬送装置を用いて交換するエッジリングを基板支持台へ適切に静電吸着する。
【0015】
以下、本実施形態にかかる基板処理システム及びエッジリングの取り付け方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<プラズマ処理システム>
図1は、本実施形態にかかる基板処理システムとしてのプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
図1のプラズマ処理システム1では、基板としてのウェハWを処理し、具体的には、ウェハWに対して、プラズマを用いたエッチング処理等の基板処理すなわちプラズマ処理を行う。
【0017】
プラズマ処理システム1は、大気部10と減圧部11とを有し、これら大気部10と減圧部11とがロードロックモジュール20、21を介して一体に接続されている。大気部10は、大気圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う大気モジュールを備える。減圧部11は、減圧雰囲気(真空雰囲気)下においてウェハWに所望の処理を行う減圧モジュールを備える。
【0018】
ロードロックモジュール20、21は、ゲートバルブ(図示せず)を介して、大気部10に含まれるローダモジュール30と、減圧部11に含まれるトランスファモジュール50を連結するように設けられている。ロードロックモジュール20、21は、ウェハWを一時的に保持するように構成されている。また、ロードロックモジュール20、21は、内部を大気圧雰囲気と減圧雰囲気とに切り替えられるように構成されている。
【0019】
大気部10は、後述する搬送機構40を備えたローダモジュール30と、フープ31を載置するロードポート32とを有している。フープ31は、複数のウェハWを保管可能なものである。なお、ローダモジュール30には、ウェハWの水平方向の向きを調節するオリエンタモジュール(図示せず)、複数のウェハWを一時的に格納するバッファモジュール(図示せず)等が接続されていてもよい。
【0020】
ローダモジュール30は矩形の筐体を有し、筐体の内部は大気圧雰囲気に維持されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する一側面には、複数、例えば5つのロードポート32が並設されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する他側面には、ロードロックモジュール20、21が並設されている。
【0021】
ローダモジュール30の筐体の内部には、ウェハWを保持して搬送可能に構成された搬送機構40が設けられている。搬送機構40は、ウェハWを搬送時に支持する搬送アーム41と、搬送アーム41を回転可能に支持する回転台42と、回転台42を搭載した基台43とを有している。また、ローダモジュール30の内部には、ローダモジュール30の長手方向に延伸するガイドレール44が設けられている。基台43はガイドレール44上に設けられ、搬送機構40はガイドレール44に沿って移動可能に構成されている。
【0022】
減圧部11は、減圧搬送装置としてのトランスファモジュール50と、プラズマ処理装置としての処理モジュール60と、収納部としての収納モジュール61と、を有している。トランスファモジュール50及び処理モジュール60の内部(具体的には後述の減圧搬送室51及びチャンバ100の内部)はそれぞれ、減圧雰囲気に維持され、収納モジュール61の内部も減圧雰囲気に維持される。1つのトランスファモジュール50に対し、処理モジュール60は複数、例えば6つ設けられ、収納モジュール61も複数、例えば2つ設けられている。なお、処理モジュール60の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができ、後述のウェハ支持台を備える少なくとも1つの処理モジュールが設けられていればよい。また、収納モジュール61の数及び配置も本実施形態に限定されず、任意に設定することができ、例えば、少なくとも1つ設けられる。
【0023】
トランスファモジュール50は、その内部でウェハWを搬送するように構成されている。また、トランスファモジュール50は、その内部で後述のエッジリングEを搬送するように構成されている。
このトランスファモジュール50は、平面視多角形状(図示の例では平面視四角形状)の筐体を有する減圧搬送室51を含み、減圧搬送室51がロードロックモジュール20、21に接続されている。
【0024】
トランスファモジュール50は、ロードロックモジュール20に搬入されたウェハWを一の処理モジュール60に搬送すると共に、処理モジュール60で所望のプラズマの処理が行われたウェハWを、ロードロックモジュール21に搬出する。
また、トランスファモジュール50は、収納モジュール61内のエッジリングEを一の処理モジュール60に搬送すると共に、処理モジュール60内のエッジリングEを収納モジュール61に搬出する場合がある。
【0025】
処理モジュール60は、トランスファモジュール50から搬送されたウェハWに対し、例えばエッチング処理等の所望のプラズマ処理を行う。また、処理モジュール60は、ゲートバルブ62を介してトランスファモジュール50に接続されている。なお、この処理モジュール60の具体的な構成は後述する。
【0026】
収納モジュール61は、エッジリングEを減圧雰囲気下で収納する。このようにエッジリングEを減圧雰囲気下で収納しておくことで、エッジリングEに付着していた水分を収納中に除去することができる。収納モジュール61内でのエッジリングEからの水分の除去を促進させるために、収納モジュール61にヒータ(図示せず)が設けられていてもよい。
また、収納モジュール61は、ゲートバルブ63を介してトランスファモジュール50に接続されている。
【0027】
トランスファモジュール50の減圧搬送室51の内部には、搬送ロボット70が設けられている。搬送ロボット70は、ウェハWを保持して搬送可能に構成されている。また、搬送ロボット70は、エッジリングEを保持して搬送可能に構成されている。
【0028】
この搬送ロボット70は、ウェハWを保持した状態で、旋回、伸縮、昇降自在に構成された搬送アーム71を有している。搬送アーム71の先端は、2つの保持部としてのフォーク72、72に分岐されている。フォーク72、72はそれぞれ、搬送するウェハW及びエッジリングEを保持可能に構成されている。
【0029】
トランスファモジュール50では、ロードロックモジュール20内で保持されたウェハWを搬送アーム71が受け取り、処理モジュール60に搬入する。また、処理モジュール60内で所望の処理が施されたウェハWを搬送アーム71が受け取り、ロードロックモジュール21に搬出する。
【0030】
さらに、トランスファモジュール50では、収納モジュール61内のエッジリングEを搬送アーム71が受け取り、処理モジュール60に搬入する場合がある。また、トランスファモジュール50では、処理モジュール60内のエッジリングEを搬送アーム71が受け取り、収納モジュール61に搬出する場合がある。
【0031】
さらに、プラズマ処理システム1は制御装置80を有する。一実施形態において、制御装置80は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理システム1に実行させるコンピュータ実行可能な指令を処理する。制御装置80は、ここで述べられる種々の工程をプラズマ処理システム1が実行するように当該プラズマ処理システム1の他の要素それぞれを制御するように構成され得る。一実施形態において、制御装置80の一部又は全てがプラズマ処理システム1の他の要素に含まれてもよい。制御装置80は、例えばコンピュータ90を含んでもよい。コンピュータ90は、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)91、記憶部92、及び通信インターフェース93を含んでもよい。処理部91は、記憶部92に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作及び演算を行うように構成され得る。記憶部92は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース93は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理システム1の他の要素との間で通信してもよい。
【0032】
<プラズマ処理システム1のウェハ処理>
次に、以上のように構成されたプラズマ処理システム1を用いたウェハ処理の一例について説明する。
【0033】
まず、搬送機構40によって、所望のフープ31からウェハWが取り出され、ロードロックモジュール20に搬入される。次に、ロードロックモジュール20内が密閉され、減圧される。その後、ロードロックモジュール20の内部とトランスファモジュール50の内部が連通される。
【0034】
次に、搬送ロボット70によってウェハWが保持され、ロードロックモジュール20からトランスファモジュール50に搬送される。
【0035】
次に、所望の処理モジュール60に対応するゲートバルブ62が開放され、搬送ロボット70によって所望の処理モジュール60にウェハWが搬入される。その後、ゲートバルブ62が閉じられ、処理モジュール60においてウェハWに所望の処理が行われる。なお、この処理モジュール60においてウェハWに対して行われる処理については後述する。
【0036】
次に、ゲートバルブ62が開放され、搬送ロボット70によって処理モジュール60からウェハWが搬出される。その後、ゲートバルブ62が閉じられる。
【0037】
次に、搬送ロボット70によって、ロードロックモジュール21にウェハWが搬入される。ロードロックモジュール21にウェハWが搬入されると、ロードロックモジュール21内が密閉され、大気開放される。その後、ロードロックモジュール21の内部とローダモジュール30の内部が連通される。
【0038】
次に、搬送機構40によってウェハWが保持され、ロードロックモジュール21からローダモジュール30を介して所望のフープ31に戻されて収容される。これで、プラズマ処理システム1を用いたウェハ処理が終了する。
【0039】
<処理モジュール60>
続いて、処理モジュール60について、図2図4を用いて説明する。図2は、処理モジュール60の構成の概略を示す縦断面図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、後述のウェハ支持台101の周方向にかかる図3とは異なる部分の拡大断面図である。
【0040】
図2に示すように、処理モジュール60は、処理容器としてのチャンバ100、ガス供給部160、RF(Radio Frequency:高周波)電力供給部170及び排気システム180を含む。また、処理モジュール60は、電圧印加部130(図3参照)、バイアス部140(図3参照)及びガス供給部150(図4参照)も含む。さらに、処理モジュール60は、基板支持台としてのウェハ支持台101及び上部電極102を含む。
【0041】
チャンバ100は、その内部が減圧可能に構成され、プラズマが生成される処理空間100sを画成する。また、チャンバ100は、ウェハ支持台101等が内部に設けられている。チャンバ100の材料には、例えばアルミニウムを用いることができる。また、チャンバ100は接地電位に接続されている。
【0042】
ウェハ支持台101は、例えばチャンバ100内の下部領域に配置される。上部電極102は、ウェハ支持台101の上方に配置され、チャンバ100の天部(ceiling)の一部として機能し得る。
【0043】
ウェハ支持台101は、ウェハWを支持するように構成される。一実施形態において、ウェハ支持台101は、下部電極103、静電チャック104、支持体105、絶縁体106、リフタ107、リフタ108を含む。ウェハ支持台101は、エッジリングEも支持するように構成されている。ウェハ支持台101は、その構成部材として、エッジリングEを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0044】
下部電極103は、例えばアルミニウム等の導電性材料で形成されている。一実施形態において、下部電極103の内部には、温調流体の流路109が形成されている。流路109には、チャンバ100の外部に設けられたチラーユニット(図示せず)から温調流体が供給される。流路109に供給された温調流体は、チラーユニットに戻るようになっている。流路109の中に、温調流体として例えば低温のブラインを循環させることによって、例えば、ウェハ支持台101(具体的には静電チャック104)、ウェハWまたはエッジリングEを所定の温度に冷却することができる。流路109の中に、温調流体として例えば高温のブラインを循環させることによって、例えば、ウェハ支持台101(具体的には静電チャック104)、ウェハWまたはエッジリングEを所定の温度に加熱することができる。流路109は、エッジリングEを冷却する冷却部の少なくとも一部として機能し得る。
【0045】
なお、ウェハ支持台101に温調機構を設ける場合、温調機構の形態は、上述の流路109に限られず、例えば抵抗加熱式のヒータ等、他の形態であってもよい。また、ウェハ支持台101において温調機構が配設される部材は、下部電極103に限られず、他の部材であってもよい。
【0046】
静電チャック104は、少なくともエッジリングEを静電吸着可能に構成された部材であり、下部電極103上に設けられている。また、静電チャック104は、ウェハWも静電吸着可能に構成されていてもよい。一実施形態において、静電チャック104その中央部が基板載置部を構成する。また、一実施形態において、静電チャック104は、周縁部の上面に比べて中央部の上面が高く形成されている。一実施形態において、静電チャック104の中央部の上面104aにウェハWが載置され、静電チャック104の周縁部の上面104bにエッジリングEが載置される。すなわち、一実施形態において、静電チャック104の中央部の上面104aは、ウェハWが載置される基板載置面としてのウェハ載置面となり、静電チャック104の周縁部の上面104bは、基板載置面を囲むようにエッジリングEが載置されるリング載置面となる。
【0047】
エッジリングEは、ウェハWを囲むように配置される部材であり、具体的には、静電チャック104に載置されたウェハWを囲むように配置される部材である。一実施形態において、エッジリングEは、静電チャック104において上面の位置が周縁部より高い中央部を囲むように配置される。エッジリングEは、平面視円環状に形成されている。エッジリングEの材料には、Si、SiO等が用いられる。
【0048】
静電チャック104の中央部には、当該中央部の上面104aにウェハWを静電吸着するための電極110が設けられていてもよい。また、静電チャック104の周縁部には、当該周縁部の上面104bにエッジリングEを静電吸着するための電極111が設けられている。電極111は、例えば、互いに異なる位置に形成された一対の電極111a、111bを含む双極型である。電極111aは静電チャック104の中央部側すなわち内側に設けられ、電極111bは外側に設けられている。
【0049】
静電チャック104の中央部には、チャンバ100内で生成されたプラズマからウェハWにイオン等を引き込むためのバイアスが供給される電極112が設けられていてもよい。また、静電チャック104の周縁部には、チャンバ100内で生成されたプラズマからエッジリングEにイオン等を引き込むためのバイアスが供給される電極113が設けられている。一実施形態において、電極110は電極112におり上側に位置し、電極111は電極113より上側に位置する。
【0050】
静電チャック104は、例えば絶縁材料からなる絶縁材の間に電極110、111、112、113を挟んだ構成を有する。
【0051】
図3に示すように、電極111には、エッジリングEを静電吸着するための電気的な力(具体的には例えばクーロン力)が生じるよう、電圧印加部130が接続されている。電極111は、双極型である場合には、電圧印加部130から一対の電極111a、111bへ、互いに異なる極性の電圧又は同じ極性の電圧のいずれか一方を選択的に印加できるように構成されている。
【0052】
電圧印加部130は、例えば、2つの直流電源131a、131b及び2つのスイッチ132a、132bを含む。
直流電源131aは、スイッチ132aを介して電極111aに接続され、当該電極111aに、エッジリングEを静電吸着するための正の電圧又は負の電圧を選択的に印加する。
直流電源131bは、スイッチ132bを介して電極111bに接続され、当該電極111bに、エッジリングEを静電吸着するための正の電圧又は負の電圧を選択的に印加する。
【0053】
電圧印加部130は、直流電源131c及びスイッチ132cを含んでもよい。
直流電源131cは、スイッチ132cを介して電極110に接続され、当該電極110に、ウェハWを静電吸着するための電圧を印加する。
【0054】
また、電極113には、バイアス部140が接続されている。
バイアス部140は、例えば、バイアス電源141a、整合回路142a、フィルタ143aを含む。
【0055】
バイアス電源141aは、整合回路142a、フィルタ143aを介して、電極113に接続され、チャンバ100内で生成されたプラズマからエッジリングEにイオン等を引き込むために、バイアス用のパルス状の直流電圧を電極113に印加する。バイアス電源141aは、具体的には、パルス状の負極性の直流電圧を印加する。また、バイアス電源141aは、パルス状の直流電圧の連続的な印加と、間欠的(具体的には間欠的且つ周期的)な印加とを切り換えることができる。なお、バイアス電源141aが印加する直流電圧のパルスは、矩形波のパルスであってもよく、三角波のパルスであってもよい。さらに、バイアス電源141aは、間欠的に印加する場合のデューティ比を調整可能に構成されている。ここで、デューティ比は、1周期内でバイアス用のパルス状の直流電圧が印加される期間が占める割合をいう。
【0056】
バイアス部140は、バイアス電源141b、整合回路142b、フィルタ143bを含んでもよい。
バイアス電源141bは、整合回路142b、フィルタ143bを介して、電極112に接続され、チャンバ100内で生成されたプラズマからウェハWにイオン等を引き込むために、バイアス用のパルス状の直流電圧を電極112に印加する。バイアス電源141bは、バイアス用のパルス状の直流電圧を電極112に印加するものに限られず、例えば、バイアス用のRF電力を電極112に供給するものであってもよい。なお、バイアス電源、整合回路、フィルタを電極112、113間で共通としてもよい。
【0057】
なお、本実施形態において、電極110等が設けられる静電チャック104の中央部と、電極111等が設けられる周縁部とは一体となっているが、これら中央部と周縁部とは別体であってもよい。
また、本実施形態において、エッジリングEを吸着保持するための電極111は、双極型であるものとしたが、単極型であってもよい。
さらに、本実施形態において、ウェハ用のバイアス及びエッジリングE用のバイアスが、電極112、113に供給されるが、すなわち、静電チャック104に供給されるが、下部電極103に供給されてもよい。この場合、ウェハ用のバイアスとエッジリングE用のバイアスは同じとなり、また、電極112、113は省略される。
【0058】
また、静電チャック104の中央部は、例えば、ウェハWの直径よりも小径に形成されており、ウェハWが静電チャック104の中央部の上面104aに載置されたときに、ウェハWの周縁部が静電チャック104の中央部から張り出すようになっている。
なお、エッジリングEは、その上部に段差が形成されており、外周部の上面が内周部の上面より高く形成されている。エッジリングEの内周部は、静電チャック104の中央部から張り出したウェハWの周縁部の下側にもぐり込むように形成されている。つまり、エッジリングEは、その内径が、ウェハWの外径よりも小さく形成されている。
【0059】
支持体105は、例えば石英等の絶縁性材料を用いて、平面視環状に形成された部材であり、下部電極103及び静電チャック104を取り囲むように配置される。
【0060】
静電チャック104の中央部の上面104aには、載置されたウェハWの裏面と当該ウェハWの間の隙間に伝熱ガスを吐出するため、ガス吐出孔(図示せず)が形成されていてもよい。このガス吐出孔からは、ガス供給部(図示せず)からの伝熱ガスが供給される。ガス供給部は、1又はそれ以上のガスソース及び1又はそれ以上の圧力制御器を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部は、例えば、ガスソースからの伝熱ガスを、圧力制御器を介して上記ガス供給孔に供給するように、構成される。
【0061】
さらに、図4に示すように、静電チャック104の周縁部の上面104bに対しては、ガス吐出孔104cが形成されている。具体的には、静電チャック104の周縁部の上面104bには、ガス吐出孔104cの一端が開口している。ガス吐出孔104cは、静電チャック104の周縁部の上面104bに載置されたエッジリングEの裏面と当該上面104bとの間の隙間に、ヘリウムガス等の伝熱ガスを供給する。また、ガス吐出孔104cにおける上記周縁部の上面104bとは反対側の端部は、配管153を介してガス供給部150に接続されている。ガス供給部150は、1又はそれ以上のガスソース151及び1又はそれ以上の流量制御器152を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部150は、例えば、伝熱ガスをガスソース151から流量制御器152を介してガス吐出孔104cに供給するように構成される。各流量制御器152は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。ガス吐出孔104c及び配管153は、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bとエッジリングEの裏面との間にガスを供給する供給路の少なくとも一部として機能し得る。
【0062】
また、ガス吐出孔104cにおける上記周縁部の上面104bとは反対側の端部は、配管181を介して排気システム180に接続されている。これにより、ガス吐出孔104cを介して静電チャック104の周縁部の上面104bの周囲を排気することができる。すなわち、ガス吐出孔104cを、静電チャック104の周縁部の上面104bを含むリング載置面の周囲を排気する排気孔として機能させることができる。したがって、一実施形態において、ガス吐出孔104c及び配管181は、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bとエッジリングEの裏面との間を排気する排気路の少なくとも一部として機能し得る。
また、配管153には、ガス供給部150による伝熱ガスの供給の実行・停止を切り換える切換弁155が設けられていてもよい。同様に、配管181には、排気システム180による上記周縁部の上面104bの周囲の排気について実行・停止を切り換える切換弁182が設けられていてもよい。
【0063】
図2の絶縁体106は、セラミック等で形成された円筒状の部材であり、支持体105を支持する。絶縁体106は、例えば、支持体105の外径と同等の外径を有するように形成され、支持体105の周縁部を支持する。
【0064】
リフタ107は、静電チャック104の中央部の上面104aに対して昇降する部材であり、例えば、セラミックを材料として柱状に形成される。リフタ107は、上昇したときに、その上端が上記上面104aから突出し、ウェハWを支持することが可能である。このリフタ107により、ウェハ支持台101と搬送ロボット70の搬送アーム71との間でウェハWを受け渡すことができる。
なお、リフタ107は、互いに間隔を空けて3本以上設けられ、上下方向に延びるように設けられている。
【0065】
リフタ107は、アクチュエータ114によって昇降する。アクチュエータ114は、例えば、複数のリフタ107を支持する支持部材115と、支持部材115を昇降させる駆動力を発生させ、複数のリフタ107を昇降させる駆動部116とを有する。駆動部116は、上記駆動力を発生する駆動源として、例えばモータ(図示せず)を有する。
【0066】
リフタ107は、静電チャック104の中央部の上面104aに上端が開口する挿通孔117に挿通される。挿通孔117は、例えば、静電チャック104の中央部の上面104aから下方に延び下部電極103の底面まで至るように形成されている。
【0067】
リフタ108は、静電チャック104の周縁部の上面104bに対して昇降する昇降部材であり、例えばセラミックを材料として柱状に形成される。一実施形態において、リフタ108は、上昇したときに、その上端が支持体105の上面105aから突出可能に構成されている。
なお、リフタ108は、静電チャック104の周方向に沿って、互いに間隔を空けて3本以上設けられ、上下方向に延びるように設けられている。
【0068】
リフタ108は、アクチュエータ118によって昇降する。アクチュエータ118は、例えば、リフタ108毎に設けられ、リフタ108を水平方向に移動自在に支持する支持部材119を有する。支持部材119は、リフタ108を水平方向に移動自在に支持するため、例えばスラスト軸受を有する。また、アクチュエータ118は、支持部材119を昇降させる駆動力を発生させ、リフタ108を昇降させる駆動部120を有する。駆動部120は、上記駆動力を発生する駆動源として、例えばモータ(図示せず)を有する。
【0069】
一実施形態において、リフタ108は、支持体105の上面105aに上端が開口する挿通孔121に挿通される。挿通孔121は、例えば、支持体105を上下方向に貫通するように形成されている。
【0070】
上述のようなリフタ108により、ウェハ支持台101と搬送ロボット70の搬送アーム71との間でエッジリングEを受け渡すことができる。
また、リフタ108とアクチュエータ118は、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bに対してエッジリングEを昇降させる昇降機構を構成する。
【0071】
上部電極102は、ガス供給部160からの1またはそれ以上のガスをチャンバ100内に供給するガス供給部すなわちシャワーヘッドとしても機能する。一実施形態において、上部電極102は、ガス入口102a、ガス拡散室102b、及び複数のガス出口102cを有する。ガス入口102aは、例えば、ガス供給部160及びガス拡散室102bと流体連通している。複数のガス出口102cは、ガス拡散室102b及びチャンバ100の内部と流体連通している。一実施形態において、上部電極102は、1又はそれ以上の処理ガス等のガスをガス入口102aからガス拡散室102b及び複数のガス出口102cを介してチャンバ100内に供給するように構成される。この上部電極102は、エッジリングEを冷却する冷却部の少なくとも一部として機能し得る。
【0072】
ガス供給部160は、1又はそれ以上のガスソース161及び1又はそれ以上の流量制御器162を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部160は、例えば、1又はそれ以上のガスを、それぞれに対応のガスソース161からそれぞれに対応の流量制御器162を介してガス入口102aに供給するように構成される。各流量制御器162は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部160は、1又はそれ以上のガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0073】
RF電力供給部170は、RF電力、例えば1又はそれ以上のRF信号を、下部電極103、上部電極102、又は、下部電極103及び上部電極102の双方のような1又はそれ以上の電極に供給するように構成される。これにより、チャンバ100内すなわち処理空間100sに供給された1又はそれ以上の処理ガスからプラズマが生成される。したがって、RF電力供給部170は、チャンバ100内にプラズマを生成するプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。プラズマ生成部は、具体的には、チャンバ100において1又はそれ以上のガスからプラズマを生成するように構成される。RF電力供給部170は、例えば、RF生成部171a及び整合回路172aを含む。一実施形態において、RF電力供給部170は、RF信号をRF生成部171aから整合回路172aを介して下部電極103に供給するように構成される。例えば、RF信号は、27MHz~100MHzの範囲内の周波数を有してもよい。
【0074】
さらに、図示は省略するが、本開示においては他の実施形態が考えられる。例えば、代替実施形態において、RF電力供給部170は、RF信号をRF生成部171aから上部電極102に供給してもよい。加えて、他の代替実施形態において、DC電圧が上部電極102に印加されてもよい。
【0075】
またさらに、種々の実施形態において、1又はそれ以上のRF信号の振幅がパルス化又は変調されてもよい。振幅変調は、オン状態とオフ状態との間、あるいは、2又はそれ以上の異なるオン状態の間でRF信号振幅をパルス化することを含んでもよい。
【0076】
排気システム180は、例えばチャンバ100の底部に設けられた排気口100eに接続され得る。排気システム180は、圧力弁及び真空ポンプを含んでもよい。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、粗引きポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0077】
<処理モジュール60のウェハ処理>
次に、処理モジュール60を用いて行われるウェハ処理の一例について説明する。なお、処理モジュール60では、製品基板としての製品ウェハWに対して、エッチング処理等のプラズマ処理を行う。
【0078】
先ず、搬送ロボット70により、搬送ロボット70の搬送アーム71に保持された製品ウェハWが、チャンバ100の内部に搬入され、リフタ107の昇降及び搬送アーム71のチャンバ100からの抜き出しにより、静電チャック104の中央部の上面(すなわちウェハ載置面)104a上にウェハWが載置される。その後、静電チャック104の電極110に、直流電源121cから直流電圧が印加され、これにより、製品ウェハWが、静電チャック104に静電吸着され、保持される。また、製品ウェハWの搬入後、排気システム180によってチャンバ100の内部が所定の真空度まで減圧される。
【0079】
次に、ガス供給部160から上部電極102を介して処理空間100sに処理ガスが供給される。また、RF電力供給部170からプラズマ生成用の高周波電力HFが下部電極103に供給され、これにより、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、製品ウェハWへイオンを引き込むために、バイアス部140から電極112への、バイアス用のパルス状の直流電圧の印加等が、行われてもよい。そして、生成されたプラズマの作用によって、製品ウェハWにプラズマ処理が施される。
なお、プラズマ処理中、静電チャック104に吸着保持された製品ウェハWに向けて、伝熱ガスが吐出される。
【0080】
なお、プラズマ処理中、静電チャック104の電極111に、直流電源121a、121bから直流電圧が印加され、これにより、エッジリングEが、静電チャック104の周縁部の上面104bを含むリング載置面に静電吸着され、保持される。また、プラズマ処理中、エッジリングEへイオンを引き込むために、バイアス部140から電極113への、バイアス用のパルス状の直流電圧の印加等が、行われてもよい。さらに、プラズマ処理中、上記リング載置面とエッジリングEとの間の隙間に、ガス供給部150から供給された伝熱ガスが、ガス吐出孔104cを介して供給される。
【0081】
プラズマ処理を終了する際には、RF電力供給部170からの高周波電力HFの供給及びガス供給部160からの処理ガスの供給が停止される。プラズマ処理中に、イオンを引き込むために、バイアス用の直流電圧の印加等が行われていた場合には、これらも停止される。次いで、静電チャック104による製品ウェハWの吸着保持が停止される。また、ウェハWの底面への伝熱ガスの供給が停止されるようにしてもよい。
【0082】
その後、リフタ107により製品ウェハWを上昇させ、静電チャック104から製品ウェハWを離脱させる。この離脱の際には、製品ウェハWの除電処理を行ってもよい。そして、搬送ロボット70によって、チャンバ100から製品ウェハWが搬出され、一連のウェハ処理が終了する。
【0083】
<取り付けシーケンスの例1>
続いて、プラズマ処理システム1により実行される、処理モジュール60内へのエッジリングEの取り付けシーケンスの一例について説明する。図5は、エッジリングEの取り付けシーケンスの例1を示すフローチャートである。なお、以下の各工程は、記憶部92に格納されたプログラムに基づく制御装置80(具体的には処理部91)の制御及び演算にしたがって、プラズマ処理システム1が実行する。
【0084】
例えば、図5に示すように、まず、チャンバ100内に搬送ロボット70により搬送されリフタ108を含む昇降機構に受け渡されたエッジリングEが、上記昇降機構により下降され、リング載置面に載置される(ステップS1)。本ステップS1は、チャンバ100内にウェハWが存在しない状態で行われる。
【0085】
ステップS1では、具体的には、例えば、まず、収納モジュール61内のエッジリングEが、搬送ロボット70により、エッジリングEの取り付け対象である処理モジュール60のチャンバ100内に搬入される。
【0086】
より具体的には、例えば、収納モジュール61内のエッジリングEが、搬送ロボット70の搬送アーム71によって保持される。また、取り付け対象である処理モジュール60に対応するゲートバルブ62が開放され、チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、エッジリングEを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、静電チャック104の周縁部の上面104b及び支持体105の上面105aの上方へ、エッジリングEが搬送アーム71によって搬送される。このとき、静電チャック104の中央部の上面104aにはウェハWは載置されていない。
【0087】
続いて、エッジリングEが、搬送ロボット70からリフタ108に受け渡される。
具体的には、全てのリフタ108の上昇が行われ、エッジリングEが、搬送アーム71からリフタ108へ受け渡される。その後、搬送アーム71のチャンバ100からの抜き出しが行われると共に、ゲートバルブ62が閉じられる。
【0088】
次いで、エッジリングEが、リフタ108を含む昇降機構により下降され、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bに載置される。
具体的には、リフタ108の下降が、リフタ108の上端が挿通孔121に収まるまで行われる。これにより、エッジリングEが、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bに載置される。
【0089】
次に、載置されたエッジリングEがリング載置面に静電吸着される(ステップS2)。
具体的には、チャンバ100内にウェハWが存在しない状態で、静電チャック104の電極111に電圧が印加される。
より具体的には、チャンバ100内にウェハWが存在せず、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bにエッジリングEが載置されている状態で、直流電源121a、121bがON状態とされる。これにより、静電チャック104の電極111aと電極111bに、例えば、負極性の直流電圧が印加される。
【0090】
なお、エッジリングEの静電吸着の前に、エッジリングEが真空吸着されてもよい。具体的には、リング載置面の周囲が、排気孔としても機能するガス吐出孔104cを介して排気されてもよい。
より具体的には、切換弁182が開状態とされ、排気システム180により、静電チャック104の周縁部の上面104b及び支持体105の上面105aの周囲が、ガス吐出孔104cを介して排気されてもよい。これにより、エッジリングEが、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bに真空吸着される。
【0091】
次いで、製品ウェハWをプラズマ処理する前に、チャンバ100内にプラズマが生成され、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着をプラズマにより安定化させる工程(ステップS3)が行われ、すなわち、エッジリングEの吸着安定処理が行われる。エッジリングEの吸着安定処理は、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力を向上させる処理ということができる。
【0092】
本ステップS3では、具体的には、例えば、まず製品基板とは異なるダミー基板としてのダミーウェハWがチャンバ100内に搬入され、ウェハ載置面に載置される(ステップS3a)。
ダミーウェハWは、例えば、フープ31に収容されている。ダミーウェハWのウェハ載置面への載置は、前述した処理モジュール60のウェハ処理におけるウェハWのウェハ載置面への載置と同様に行われる。また、載置されたダミーウェハWは、静電チャック104に静電吸着される。
【0093】
また、ステップS3では、ステップS3aに続いて、エッジリングEの吸着安定処理が行われる(ステップS3b)。本ステップS3bは、第1の工程(ステップS3b1)と、第2の工程(ステップS3b2)を含む。
【0094】
ステップS3bでは、具体的には、ウェハ載置面にダミーウェハWが静電吸着されリング載置面にエッジリングEが静電吸着された状態で、ガス供給部160から上部電極102を介して処理空間100sに吸着安定処理用のガスが供給される。また、RF電力供給部170からプラズマ生成用の高周波電力HFが、一例として、下部電極103に供給され、これにより、上記ガスが励起され、プラズマが生成される。生成されたプラズマからエッジリングEへ電荷(具体的にはイオン等)が移動するため、エッジリングEの帯電量が増加する。その結果、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力を向上させることができる。
なお、プラズマ生成用の高周波電力HFは、上部電極102に供給されてもよい。
【0095】
また、ステップS3bの吸着安定処理では、バイアス部140から、エッジリングEへのイオン引き込みのために、バイアス用の負極性のパルス状の直流電圧が、ウェハ支持台101に印加される。そして、本ステップS3bは、前述のように、第1の工程と、第2の工程を含むところ、第1の工程では、負極性のパルス状の直流電圧が、第1のバイアス電圧で印加される。そして、第2の工程では、第1の工程後に、負極性のパルス状の直流電圧が、第1のバイアス電圧よりも高い(すなわち第1のバイアス電圧より絶対値が大きい)第2のバイアス電圧で印加される。
【0096】
例えば、第1の工程(ステップS3b1)では、負極性のパルス状の直流電圧が、第1のバイアス電圧V1(例えば1000V~3000V)で、所定時間T1(例えば10秒~120秒)に亘って、静電チャック104の周縁部に設けられた電極113に印加される。それに対し、第2の工程(ステップS3b2)では、負極性のパルス状の直流電圧が、第1のバイアス電圧V1よりも高い第2のバイアス電圧V2(例えば3000V~5000V)で、所定時間T2(例えば10秒~120秒)に亘って、電極113に印加される。一例において、所定時間T1と所定時間T2は等しくてもよい。
【0097】
なお、第1の工程及び第2の工程において、バイアス用の負極性のパルス状の直流電圧は、電極113へ連続的に印加される。ただし、第1及び第2の工程の少なくともいずれか一方において、バイアス用の負極性のパルス状の直流電圧は、電極113へ間欠的に印加されてもよい。
【0098】
また、ステップS3bは、第2の工程後に、バイアス用の負極性のパルス状の直流電圧が、第2のバイアス電圧V2よりも高い第3のバイアス電圧V3で印加される第3の工程(ステップS3b3)を含んでもよい。
【0099】
例えば、第3の工程では、負極性のパルス状の直流電圧が、第2のバイアス電圧V2よりも高い第3のバイアス電圧V3(例えば5000V~6000V)で、所定時間T3(例えば30秒~150秒)に亘って、電極113に印加される。一例において、所定時間T3は、所定時間T1及び所定時間T2より長くてもよい。
また、第3の工程において、バイアス用の負極性のパルス状の直流電圧は、間欠的に電極113へ印加されてもよく、具体的には、間欠的且つ周期的に所定のデューティ比で電極113へ印加されてもよい。ただし、第3の工程において、バイアス用の負極性のパルス状の直流電圧は、連続的に電極113へ印加されてもよい。
【0100】
なお、吸着安定処理中、静電チャック104の中央部に設けられた電極112に、ウェハW(具体的にはダミーウェハW)へイオンを引き込むために、バイアス用の直流電圧の印加やバイアス用のRF電力の供給が行われてもよい。
また、吸着安定処理中、ダミーウェハWが静電チャック104に静電吸着されていてもよい。
さらに、吸着安定処理中、リング載置面である静電チャック104の周縁部の上面104bとエッジリングEとの間の隙間に、ガス供給部150から供給された伝熱ガスが、ガス吐出孔104cを介して供給されてもよい。
【0101】
吸着安定処理を終了する際には、RF電力供給部170からの高周波電力HFの供給及びガス供給部160からの吸着安定処理用のガスの供給が停止される。吸着安定処理中にダミーウェハWの静電吸着、ダミーウェハWにかかるバイアス用の直流電圧の印加(またはバイアス用のRF電力の供給)、上述の伝熱ガスの供給が行われていた場合には、これらも停止される。
【0102】
ステップS3では、ステップS3bの吸着安定処理後、ダミーウェハWが、ウェハ載置面から取り外され、チャンバ100から搬出される(ステップS3c)。
この工程は、リフタ107及び搬送ロボット70を用いて行われる。
【0103】
ステップS3a~ステップS3cは複数回繰り返し行われてもよい。すなわち、複数枚のダミーウェハWそれぞれについて、ステップS3a~ステップS3cが行われてもよい。
【0104】
また、ステップS3において、ステップS3bの吸着安定処理を行った際は、静電チャック104のウェハ載置面にウェハWが載置されていない状態で、チャンバ100内にプラズマが生成され、静電チャック104がプラズマによりクリーニングされる(ステップS3d)。
【0105】
上記クリーニングでは、具体的には、例えば、ステップS3cのダミーウェハWの搬出後、ウェハ載置面である静電チャック104の中央部の上面104aにウェハWが載置されていない状態で、ガス供給部160から上部電極102を介して処理空間100sにクリーニング用のガスが供給される。このとき、エッジリングEは引き続き静電チャック104に静電吸着されている。また、RF電力供給部170からプラズマ生成用の高周波電力HFが、一例として、下部電極103に供給され、これにより、上記ガスが励起され、プラズマが生成される。生成されたプラズマにより、例えば、静電チャック104の中央部とエッジリングEとの間の部分等に付着した反応生成物を除去することができる。
なお、プラズマ生成用の高周波電力HFは、上部電極102に供給されてもよい。
【0106】
ステップS3dのクリーニングは例えばダミーウェハW毎に行われる。すなわち、ステップS3dのクリーニングは、例えば、ステップS3cが終了する毎に行われる。
なお、ステップS3dは省略してもよい。
【0107】
以上で一連の取り付けシーケンスは完了する。
【0108】
<取り付けシーケンスの例1の主な効果>
取り付けシーケンスの例1では、チャンバ100内に搬送ロボット70により搬送されリフタ108を含む昇降機構に受け渡されたエッジリングEを上記昇降機構により下降させてリング載置面に載置する工程と、載置されたエッジリングEをリング載置面に静電吸着する工程と、が行われる。また、取り付けシーケンスの例1では、製品ウェハWをプラズマ処理する前に、チャンバ100内にプラズマを生成し、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着をプラズマにより安定化する工程が行われる。そのため、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力を向上させることができる。すなわち、エッジリングEをウェハ支持台101へ適切に静電吸着することができる。
また、取り付けシーケンスの例1では、上記安定化する工程は、ウェハ支持台101に、バイアス用のパルス状の直流電圧を印加する工程を含む。また、上記印加する工程は、第1のバイアス電圧V1を印加する第1の工程と、第1の工程後に、第1のバイアス電圧V1よりも高い第2のバイアス電圧を印加する2の工程と、を含む。上記印加する工程の初期は、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力が弱いこと等から、高いバイアス電圧を印加すると、静電チャック104のリング載置面とエッジリングEとの間で放電が生じ、静電チャック104またはエッジリングEの少なくともいずれか一方が破損するおそれがある。この点を鑑み、取り付けシーケンスの例1では、ウェハ支持台101に印加されるバイアス用のパルス状の直流電圧のバイアス電圧が、先に行われる第1の工程より第2の工程において高く、すなわち、先に行われる第1の工程において第2の工程より低くされているため、上記放電が生じるのを抑制することができる。また、取り付けシーケンスの例1によれば、本例と異なりバイアス用のパルス状の直流電圧を印加する工程においてバイアス電圧を第1の工程のように低い値で最後まで維持する場合に比べて、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力を効率的に向上させることができる。さらに、取り付けシーケンスの例1では、本例と異なりバイアス用のパルス状の直流電圧を印加する工程においてバイアス電圧を第1の工程のように小さい値で最後まで維持する場合に比べて、プラズマからエッジリングEへの入熱量が多い。そのため、上記放電等の原因の一つなるエッジリングEに付着していた水分を、効率的にエッジリングEから除去することができる。
【0109】
取り付けシーケンスの例1は、バイアス用のパルス状の直流電圧を印加する工程が、第2の工程後に、バイアス用のパルス状の直流電圧を、第2のバイアス電圧V2よりも高い第3のバイアス電圧V3で印加する第3の工程をさらに含む。そのため、静電チャック104のリング載置面とエッジリングEとの間で放電が生じるのを抑制しながら、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力をより効率的に向上させることができる。
【0110】
なお、本発明者らが試験を重ねたところによれば、バイアス用のパルス状の直流電圧を第3の工程のように高いバイアス電圧でウェハ支持台101に連続的に印加すると、上部電極102の温度分布の面内不均一性に起因した上部電極102の破損が生じる場合がある。この場合において、第3の工程のように高いバイアス電圧で印加する工程で、バイアス用のパルス状の直流電圧をウェハ支持台101に間欠的に印加することにより、上述の上部電極102の破損が生じるのを抑制することができる。
【0111】
<取り付けシーケンスの例2>
図6は、エッジリングEの取り付けシーケンスの例2を示すフローチャートである。
取り付けシーケンスの例2では、取り付けシーケンスの例1のステップS1~ステップS3が全て行われるのに加えて、ステップS3bの吸着安定処理の後、且つ、製品ウェハWをプラズマ処理する前に、チャンバ100内がシーズニングされる(ステップS11)。
【0112】
具体的には、例えば、ステップS3の後、ステップS3aと同様に、ダミーウェハWがチャンバ100内に搬入され、ウェハ載置面に載置され静電吸着される。
そして、ウェハ載置面にダミーウェハWが静電吸着されリング載置面にエッジリングEが静電吸着された状態で、ガス供給部160から上部電極102を介して処理空間100sにシーズニング用のガスが供給される。また、RF電力供給部170からプラズマ生成用の高周波電力HFが、一例として、下部電極103に供給され、これにより、上記ガスが励起され、プラズマが生成される。生成されたプラズマにより、チャンバ100の内壁に所定量の膜が形成される等、チャンバ100内がシーズニングされ、安定した状態となる。
なお、プラズマ生成用の高周波電力HFは、上部電極102に供給されてもよい。
【0113】
シーズニング中、エッジリングEは静電チャック104に静電吸着され続ける。また、シーズニング中、ダミーウェハWが静電チャック104に静電吸着されていてもよい。
【0114】
シーズニングを終了する際には、RF電力供給部170からの高周波電力HFの供給及びガス供給部160からのシーズニング用のガスの供給が停止される。プラズマ処理中にダミーウェハWの静電吸着が行われていた場合には、こちらも停止される。
その後、ステップS3cと同様に、ダミーウェハWが、ウェハ載置面から取り外され、チャンバ100から搬出される。
【0115】
なお、ステップS3dのクリーニングを行わない場合は、ステップS3bの安定化処理に用いたダミーウェハWが、ウェハ支持台101から取り除かれずに、ステップS11のシーズニングにも用いられてもよい。また、クリーニングによりシーズニング後のチャンバ100内の状態が損なわれない場合は、ステップS3bの安定化処理に用いたダミーウェハWが、ウェハ支持台101から取り除かれずに、ステップS11のシーズニングに用いられ、チャンバ100から搬出された後、ステップS3dのクリーニングが行われてもよい。
ただし、チャンバ100内のシーズニングが、ウェハ載置面にダミーウェハWが載置されていない状態で行われてもよい。
【0116】
<取り付けシーケンスの例3>
以上の例では、チャンバ100内で生成されたプラズマからエッジリングEにイオン等を引き込むために、バイアス部140から、バイアス用のパルス状の直流電圧が印加されていたが、代わりに、バイアス用のRF電力が供給されてもよい。この場合、バイアス部140のバイアス電源141aは、バイアス用のRF電力を電極113に印加する。
【0117】
バイアス用のRF電力が供給される、取り付けシーケンスの例3では、図7に示すように、まず、前述の取り付けシーケンスの例1のステップS1及びステップS2が行われる。
次いで、製品ウェハWをプラズマ処理する前に、チャンバ100内にプラズマが生成され、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着をプラズマにより安定化させる工程(ステップS3A)が行われる。
【0118】
本ステップS3Aでは、前述のステップS3aが行われ、ダミーウェハWがウェハ載置面に載置される。
また、ステップS3Aでは、ステップS3aに続いて、エッジリングEの吸着安定処理が行われる(ステップS3Ab)。本ステップS3Abは、第1の工程(ステップS3Ab1)と、第2の工程(ステップS3Ab2)を含む。
【0119】
ステップS3Abでは、具体的には、ウェハ載置面にダミーウェハWが静電吸着されリング載置面にエッジリングEが静電吸着された状態で、ガス供給部160から上部電極102を介して処理空間100sに吸着安定処理用のガスが供給される。また、RF電力供給部170からプラズマ生成用の高周波電力HFが、一例として、下部電極103に供給され、これにより、上記ガスが励起され、プラズマが生成される。生成されたプラズマからエッジリングEへ電荷(具体的にはイオン等)が移動するため、エッジリングEの帯電量が増加する。その結果、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力を向上させることができる。
なお、プラズマ生成用の高周波電力HFは、上部電極102に供給されてもよい。
【0120】
また、ステップS3Abの吸着安定処理では、バイアス部140から、エッジリングEへのイオン引き込みのために、バイアス用のRF電力が、ウェハ支持台101に供給される。そして、本ステップS3Abは、前述のように、第1の工程と、第2の工程を含むところ、第1の工程では、RF電力が、第1のバイアス電力P1で供給される。そして、第2の工程では、第1の工程後に、RF電力が、第1のバイアス電力P1よりも大きい第2のバイアス電力P2で供給される。
【0121】
なお、第1の工程及び第2の工程において、バイアス用のRF電力は、電極113へ連続的に印加される。ただし、第1及び第2の工程の少なくともいずれか一方において、バイアス用のRF電力は、電極113へ間欠的に印加されてもよい。
【0122】
また、ステップS3Abは、第2の工程後に、バイアス用のRFが、第2のバイアス電力P2よりも大きい第3のバイアス電力P3で供給される第3の工程(ステップS3Ab3)を含んでもよい。
【0123】
また、第3の工程において、バイアス用のRF電力は、間欠的に電極113へ供給されてもよく、具体的には、間欠的且つ周期的に所定のデューティ比で電極113へ供給されてもよい。ただし、第3の工程において、バイアス用のRF電力は、連続的に電極113へ供給されてもよい。なお、ここで、デューティ比は、1周期内でバイアス用のバイアス電力が供給される期間が占める割合をいう。
【0124】
なお、吸着安定処理中、静電チャック104の中央部に設けられた電極112に、ウェハW(具体的にはダミーウェハW)へイオンを引き込むために、バイアス用の直流電圧の印加やバイアス用のRF電力の供給が行われてもよい。
また、吸着安定処理中、ダミーウェハWが静電チャック104に静電吸着されていてもよい。
【0125】
ステップS3Aのその他の点は、前述の取り付けシーケンスの例1のステップS3と同様である。
【0126】
本例の場合も、取り付けシーケンスの例1と同様、静電チャック104のリング載置面とエッジリングEとの間で放電が生じるのを抑制しながら、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力を効率的に向上させることができる。また、本例の場合も、エッジリングEに付着していた水分を、効率的にエッジリングEから除去することができる。
【0127】
さらに、本例の場合、バイアス用のRF電力を供給する工程が、第2の工程後に、バイアス用のRF電力を、第2のバイアス電力P2よりも大きい第3のバイアス電力P3で供給する第3の工程をさらに含む。そのため、取り付けシーケンスの例1と同様、静電チャック104のリング載置面とエッジリングEとの間で放電が生じるのを抑制しながら、静電チャック104へのエッジリングEの静電吸着力をより効率的に向上させることができる。
【0128】
また、本例の場合、第3の工程のように大きいバイアス電力で供給する工程で、バイアス用のRF電力をウェハ支持台101に間欠的に印加しているため、取り付けシーケンスの例1と同様、上部電極102の破損が生じるのを抑制することができる。
【0129】
なお、本例において、ウェハWにイオンを引き込むために、バイアス用のRF電力が供給されてもよい。
【0130】
<取り付けシーケンスの例4>
図8は、エッジリングEの取り付けシーケンスの例4を示すフローチャートである。図9は、後述のステップS21すなわちエッジリングEからの水分除去時における、ウェハ支持台101の周囲の状態を示す図である。
取り付けシーケンスの例4では、図8に示すように、エッジリングEが、チャンバ100内に搬送され、その水分がチャンバ100内で除去された後に、リング載置面に載置される(ステップS21)。すなわち、チャンバ100内に搬送されたエッジリングEが、リング載置面に載置される前に、チャンバ100内でその水分が除去される。
【0131】
具体的には、エッジリングEが、静電チャック104の周縁部の上面104bを含むリング載置面に載置される前に、図9に示すように、当該エッジリングEがリフタ108を含む昇降機構によりリング載置面から離間された状態で、チャンバ100内にプラズマが生成され、エッジリングEから水分が除去される。
【0132】
より具体的には、例えば、まず、ステップS1と同様に、収納モジュール61内のエッジリングEが、搬送ロボット70により、エッジリングEの取り付け対象である処理モジュール60のチャンバ100内に搬入される。
続いて、ステップS1と同様に、エッジリングEが、搬送ロボット70からリフタ108に受け渡される。
【0133】
次いで、ステップS1とは異なり、チャンバ100内にプラズマが生成され、エッジリングEの表面に付着していた水分が除去される。
具体的には、エッジリングEがリフタ108を含む昇降機構により静電チャック104のリング載置面から支持され離間された状態で、ガス供給部160から上部電極102を介して処理空間100sに水分除去用のガスが供給される。また、RF電力供給部170からプラズマ生成用の高周波電力HFが、一例として、下部電極103に供給され、これにより、上記ガスが励起され、プラズマが生成される。生成されたプラズマにより、エッジリングEに付着していた水分が、直接またはエッジリングEを介して加熱され気化され、除去される。特に、リング載置面に載置された状態では除去されにくいエッジリングEの裏面(すなわちリング載置面側の面)に付着していた水分も除去される。
【0134】
本ステップS21でプラズマを生成する時間は例えば数十秒である。
水分除去時すなわちプラズマ生成時のエッジリングEの高さは、エッジリングの下方にプラズマが形成されれば、搬送ロボット70からリフタ108へのウェハWの受け渡しが完了したときの高さより高くてもよいし、低くてもよい。
なお、上記水分除去用のガスは、酸素ガスであってもよいし、窒素ガスであっても、アルゴンガス等の希ガスであってもよい。
また、プラズマ生成用の高周波電力HFは、上部電極102に供給されてもよい。ステップS21におけるプラズマ生成時の条件(例えばチャンバ100内の圧力やプラズマ生成用の高周波電力HFの大きさ等)は、ステップS3dのクリーニング工程におけるプラズマ生成時の条件と同じであってもよい。これにより、静電チャック104がプラズマにより損傷するのを抑制することができる。
【0135】
エッジリングEからの水分除去を終了する際には、RF電力供給部170からの高周波電力HFの供給及びガス供給部160からの水分除去用のガスの供給が停止される。
ステップS21では、その後、ステップS1と同様に、エッジリングEが、リフタ108を含む昇降機構により下降され、静電チャック104のリング載置面に載置される。
【0136】
本例によれば、リング載置面に載置される前のエッジリングEから水分が除去されるため、静電チャック104のリング載置面とエッジリングEとの間で水分に起因した放電が生じるのを抑制することができる。
【0137】
図8の例では、ステップS21のエッジリングEの水分除去工程後は、処理シーケンスの例1のステップS2及びステップS3のみが行われるが、処理シーケンスの例2のステップS11も行われてもよい。また、ステップS21のエッジリングEの水分除去工程後に、処理シーケンスの例3のステップS2及びステップS3Aが行われてもよい。
【0138】
以上の例では、ステップS21のエッジリングEの水分除去工程におけるプラズマ生成時に、静電チャック104のウェハ載置面である中央部の上面104aに何も載置されていなかったが、小型のウェハが載置されていてもよい。小型のウェハとは、昇降するエッジリングEとウェハ載置面に載置された状態で干渉しないウェハであって、ウェハ載置面全体を覆い得る径を有するものである。
【0139】
なお、チャンバ100内にプラズマを生成せずに、エッジリングEを、リフタ108を含む昇降機構によりリング載置面から離間させた状態で例えば1時間以上待機させ、これにより、エッジリングEから水分を除去してもよい。ただし、プラズマを用いることにより、エッジリングEから効率的に水分を除去させることができる。
【0140】
<その他の変形例>
以上の例では、吸着安定処理は、静電チャック104のウェハ載置面である中央部の上面104aにダミーウェハWが載置された状態で行われていたが、載置されていない状態で行われてもよい。ただし、ダミーウェハWが載置された状態で行われることにより、上記中央部の上面104a等、静電チャック104がプラズマによりダメージを受けるのを抑制することができる。
【0141】
プラズマ処理装置に用いられるウェハ支持台には、エッジリングEに加えて、エッジリングの外側面を覆うようにカバーリングが載置される場合がある。本開示の技術は、この場合にも適用することができる。
【0142】
図10は、エッジリングEAに加えてカバーリングCAが載置されるように構成されたウェハ支持台の一例を説明するための部分拡大図である。
以下では、図10のウェハ支持台101Aについて、図3等に示したウェハ支持台101との相違点を中心に説明する。
【0143】
図10のウェハ支持台101Aは、図2等に示したウェハ支持台101と同様、静電チャック104、絶縁体106、リフタ107を含む他、下部電極103A、支持体105A、リフタ108Aを含む。ウェハ支持台101Aは、エッジリングEA及びカバーリングCAの両方が載置されるように構成されている。
【0144】
下部電極103Aの下部外周部と支持体105Aの上部内周部とは平面視で重なるように形成されている。また、下部電極103A及び支持体105Aには、リフタ108Aが挿通される、挿通孔121Aが設けられている。挿通孔121Aは、支持体105Aの内周部の上面105Aaから下方に延び下部電極103Aの下部外周部の底面まで至るように形成されている。
【0145】
下部電極103Aの上に静電チャック104が載置されるように設けられる。エッジリングEAは、静電チャック104の周縁部の上面104bに載置され、カバーリングCAは、支持体105Aの上面105Aaに載置される。支持体105Aの上面105Aaと下部電極103Aの上面とは高さが略一致する。
【0146】
エッジリングEAは、静電チャック104より外径が大きく形成されている。したがって、エッジリングEAが、静電チャック104の周縁部の上面104bに載置されたときに、エッジリングEAの周縁部が静電チャック104の周縁部から張り出すようになっている。
【0147】
カバーリングCAは、エッジリングEAの外側面を覆うように配置される部材である。カバーリングCAも、エッジリングEAと同様、平面視環状に形成されている。一実施形態において、カバーリングCAは、その底部に径方向内側突出する凸部CA1を有する。
【0148】
また、カバーリングCAは、リフタ108Aそれぞれに対応する位置に、リフタ108Aが挿通される貫通孔CA2を有する。貫通孔CA2は、カバーリングCAの底面からエッジリングEAに至るように貫通されている。貫通孔CA2は、平面視でエッジリングEAの周縁部と重なるカバーリングCAの内周部と重なる部分(具体的には例えば凸部CA1)に設けられている。
【0149】
リフタ108Aは、支持体105Aの内周部の上面105Aaから突出可能に構成され、当該上面105Aaからの突出量を調整自在に昇降する。具体的には、リフタ108Aは、支持体105Aの内周部の上面105Aaにおける平面視でエッジリングEA及びカバーリングCAと重なる位置から突出可能に構成されている。リフタ108Aが挿通される挿通孔121Aは、平面視でエッジリングEA及びカバーリングCAと重なる位置に形成されている。
【0150】
リフタ108Aは、図3等のリフタ108と同様、静電チャック104の周方向に沿って、互いに間隔を空けて3本以上設けられている。
また、リフタ108Aは、第1係合部108Aaと第2係合部108Abとを有する。
【0151】
第1係合部108Aaは、リフタ108Aの上部により構成され、カバーリングCAの貫通孔CA2から上方に突出して、エッジリングEと係合する。第1係合部108Aaは、リフタ108Aが上昇したときに、カバーリングCAの貫通孔CA2を通過して、エッジリングEAの底面に当接し、これにより、エッジリングEAを底面から支持するように構成されている。
【0152】
第2係合部108Abは、第1係合部108Aaの下方に位置し、カバーリングCAと係合する。第2係合部108Abは、カバーリングCAの貫通孔CA2を通過せず、カバーリングCAの底面に当接し、これにより、カバーリングCAを底面から支持するように構成されている。
また、第2係合部108Abは、リフタ108Aの軸方向に沿って、第1係合部108Aaの基端側に連接されている。また、第2係合部108Abは、第1係合部108Aaに連接する位置に、第1係合部108Aaの外周から外側に向けて突出する突出部108Acを有する。
【0153】
第1係合部108Aa、第2係合部108Ab及び突出部108Acの具体的な形状は特に限定されない。例えば、第1係合部108Aa、第2係合部108Ab及び突出部108Acはそれぞれ、円柱状部材であって、互いに同軸となっていてもよい。
【0154】
前述のアクチュエータ118は、第2係合部108bにカバーリングCAが係合したリフタ108Aを昇降させて、カバーリングCAを昇降させる。
また、アクチュエータ118は、第1係合部108AaにエッジリングEが係合したリフタ108を昇降させて、エッジリングEを昇降させる。
【0155】
このウェハ支持台101Aが用いられる場合、エッジリングEAの取り付けは、エッジリングEA単体で行われる場合と、カバーリングCAの取り付けと同時に行われる場合がある。
【0156】
エッジリングEA単体の取り付け時に、エッジリングEAをウェハ支持台101に載置する工程は例えば以下のようにして行われる。
【0157】
すなわち、例えば、収納モジュール61内のエッジリングEが、搬送ロボット70により、エッジリングEAの取り付け対象である処理モジュール60のチャンバ100内に搬入される。
具体的には、収納モジュール61内のエッジリングEAが、搬送ロボット70の搬送アーム71によって保持される。次いで、上記取り付け対象である処理モジュール60のチャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、エッジリングEを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、静電チャック104の周縁部の上面104bの上方へ、エッジリングEAが搬送アーム71によって搬送される。このとき、支持体105の上面105aにはカバーリングCAが載置された状態である。
【0158】
続いて、エッジリングEが、搬送ロボット70から静電チャック104に載置される。
具体的には、全てのリフタ108Aの上昇が行われ、エッジリングEAが、搬送アーム71から、カバーリングCAの貫通孔CA2を通過したリフタ108Aの第1係合部108Aaへ、受け渡される。この際、リフタ108Aの上昇は、第1係合部108Aaの頂部が所定の高さになるまで行われる。ここでの所定の高さは、支持体105Aに載置されたカバーリングCAと第1係合部108Aaに支持されたエッジリングEAとの間を、搬送アーム71を挿抜させたときに、当該搬送アーム71が、エッジリングEA及びカバーリングCA等と干渉しない高さである。
続いて、搬送アーム71のチャンバ100からの抜き出しが行われる。また、リフタ108Aの下降が行われる。これにより、エッジリングEAが静電チャック104の周縁部の上面104bに載置される。
【0159】
一方、エッジリングEAをカバーリングCAと同時に取り付ける時に、エッジリングEAをウェハ支持台101に載置する工程は例えば以下のようにして行われる。
【0160】
すなわち、例えば、収納モジュール61内の、エッジリングEAを支持したカバーリングCAが、搬送ロボット70により、エッジリングEA及びカバーリングCAの取り付け対象である処理モジュール60のチャンバ100内に搬入される。
具体的には、収納モジュール61内のエッジリングEAを支持したカバーリングCAが、搬送ロボット70の搬送アーム71によって保持される。次いで、上記取り付け対象である処理モジュール60のチャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、上記カバーリングCAを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、静電チャック104の周縁部の上面104b及び支持体105Aの上面105Aaの上方へ、エッジリングEAを支持したカバーリングCAが搬送アーム71によって搬送される。
【0161】
続いて、エッジリングEA及びカバーリングが、搬送ロボット70から静電チャック104及び支持体105Aに載置される。
【0162】
具体的には、全てのリフタ108の上昇が行われ、エッジリングEが、搬送アーム71に保持されたカバーリングCAから、カバーリングCAの貫通孔CA2を通過したリフタ108Aの第1係合部108Aaへ、受け渡される。その後、全てのリフタ108Aの上昇が継続され、搬送アーム71からリフタ108Aの第2係合部108Abへ、カバーリングCAが受け渡される。この際、リフタ108Aの上昇は、第2係合部108Abの頂部が所定の高さになるまで、行われる。ここでの所定の高さは、静電チャック104の中央部の上面104aと、第2係合部108Abに支持されたカバーリングCAとの間を、搬送アーム71を挿抜させたときに、当該搬送アーム71がカバーリングCA等と干渉しない高さである。
【0163】
続いて、搬送アーム71のチャンバ100からの抜き出しが行われる。また、リフタ108の下降が行われる。これにより、エッジリングEA及びカバーリングCAが静電チャック104の周縁部の上面104b及び支持体105Aの上面105Aaに載置される。具体的には、まず、カバーリングCAが支持体105Aの上面105Aaに載置され、次いで、エッジリングEAが静電チャック104の周縁部の上面104bに載置される。
【0164】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0165】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0166】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)基板処理システムであって、
プラズマ処理装置と、前記プラズマ処理装置に接続された減圧搬送装置と、制御装置と、を備え、
前記プラズマ処理装置は、
減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板載置面と、エッジリングが基板を囲むように載置されるリング載置面と、前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する静電チャックと、を含み、バイアス用のパルス状の直流電圧を供給する電源に接続された基板支持台と、
前記エッジリングを昇降させる昇降機構と、
前記処理容器内にプラズマを生成するプラズマ生成部と、を有し、
前記減圧搬送装置は、前記エッジリングを搬送する搬送ロボットを有し、
前記制御装置は、
前記処理容器内に前記搬送ロボットにより搬送され前記昇降機構に受け渡された前記エッジリングを前記昇降機構により下降させて前記リング載置面に載置する工程と、
載置された前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する工程と、
製品基板をプラズマ処理する前に、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックへの前記エッジリングの静電吸着を安定化する工程と、を制御し、
前記安定化する工程は、前記基板支持台に前記バイアス用のパルス状の直流電圧を印加する工程を含み、
前記印加する工程は、第1のバイアス電圧を印加する第1の工程と、前記第1の工程後に前記第1のバイアス電圧よりも高い第2のバイアス電圧を印加する第2の工程と、を含む、基板処理システム。
(2)基板処理システムであって、
プラズマ処理装置と、前記プラズマ処理装置に接続された減圧搬送装置と、制御装置と、を備え、
前記プラズマ処理装置は、
減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板載置面と、エッジリングが基板を囲むように載置されるリング載置面と、前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する静電チャックと、を含み、バイアス用のRF電力を供給する電源に接続された基板支持台と、
前記エッジリングを昇降させる昇降機構と、
前記処理容器内にプラズマを生成するプラズマ生成部と、を有し、
前記減圧搬送装置は、前記エッジリングを搬送する搬送ロボットを有し、
前記制御装置は、
前記処理容器内に前記搬送ロボットにより搬送され前記昇降機構に受け渡された前記エッジリングを前記昇降機構により下降させて前記リング載置面に載置する工程と、
載置された前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する工程と、
製品基板をプラズマ処理する前に、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックへの前記エッジリングの静電吸着を安定化する工程と、を制御し、
前記安定化する工程は、前記基板支持台に前記バイアス用のRF電力を供給する工程を含み、
前記供給する工程は、第1のバイアス電力を供給する第1の工程と、前記第1の工程後に前記第1のバイアス電力よりも大きい第2のバイアス電力を供給する第2の工程と、を含む、基板処理システム。
(3)前記制御装置は、前記安定化後、前記製品基板に対する前記プラズマ処理前に、前記処理容器内をシーズニングする工程をさらに制御する、前記(1)に記載の基板処理システム。
(4)前記安定化は、前記静電チャックの前記基板載置面に、前記製品基板とは異なるダミー基板が載置された状態で行われる、前記(1)または(3)に記載の基板処理システム。
(5)前記安定化する工程は、前記静電チャックの前記基板載置面に基板が載置されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックをクリーニングする工程を含む、前記(1)、(3)または(4)のいずれか1に記載の基板処理システム。
(6)前記印加する工程は、前記第2の工程後に、前記第2のバイアス電圧よりも高い第3のバイアス電圧を印加する第3の工程をさらに含む、前記(1)、(3)~(5)のいずれか1に記載の基板処理システム。
(7)前記第3の工程は、前記基板支持台に前記パルス状の直流電圧を前記第3のバイアス電圧で間欠的に印加する、前記(6)に記載の基板処理システム。
(8)前記印加する工程は、パルス状の負の直流電圧を印加し、
前記第2のバイアス電圧の絶対値は、前記第1のバイアス電圧の絶対値より大きい、前記(1)、(3)~(7)のいずれか1に記載の基板処理システム。
(9)前記制御装置は、前記載置する工程前に、前記エッジリングを前記昇降機構によって前記リング載置面から離間させた状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記エッジリングから水分を除去する工程をさらに実行する、前記(1)、(3)~(8)のいずれか1に記載の基板処理システム。
(10)前記制御装置は、前記安定化後、前記製品基板に対する前記プラズマ処理前に、前記処理容器内をシーズニングする工程をさらに制御する、前記(2)に記載の基板処理システム。
(11)前記安定化は、前記静電チャックの前記基板載置面に、前記製品基板とは異なるダミー基板が載置された状態で行われる、前記(2)または(10)に記載の基板処理システム。
(12)前記安定化する工程は、前記静電チャックの前記基板載置面に基板が載置されていない状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックをクリーニングする工程を含む、前記(2)、(10)または(11)に記載の基板処理システム。
(13)前記供給する工程は、前記第2の工程後に、前記第2のバイアス電力よりも大きい第3のバイアス電力を供給する第3の工程をさらに含む、前記(2)、(10)~(12)のいずれか1に記載の基板処理システム。
(14)前記第3の工程は、前記基板支持台に前記RF電力を前記第3のバイアス電力で間欠的に供給する、前記(13)に記載の基板処理システム。
(15)前記制御装置は、前記載置する工程前に、前記エッジリングを前記昇降機構によって前記リング載置面から離間させた状態で、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記エッジリングから水分を除去する工程をさらに実行する、前記(2)、(10)~(14)のいずれか1に記載の基板処理システム。
(16)プラズマ処理装置内の処理容器内に設けられた、基板支持台の静電チャックのリング載置面に、エッジリングを載置する工程と、
載置された前記エッジリングを前記リング載置面に静電吸着する工程と、
前記静電チャックの基板載置面に載置される製品基板をプラズマ処理する前に、前記処理容器内にプラズマを生成し、前記静電チャックへの前記エッジリングの静電吸着をプラズマにより安定化する工程と、を含み、
前記安定化する工程は、前記基板支持台に、バイアス用のパルス状の直流電圧を印加し、または、バイアス用のRF電力を供給する工程を含み、
前記印加または供給する工程は、第1のバイアス電圧を印加し、または、第1のバイアス電力を供給する第1の工程と、前記第1の工程後に、前記第1のバイアス電圧よりも高い第2のバイアス電圧を印加し、または、前記第1のバイアス電力よりも大きい第2のバイアス電力を供給する第2の工程と、を含む、エッジリングの取り付け方法。
【符号の説明】
【0167】
1 プラズマ処理システム
50 トランスファモジュール
70 搬送ロボット
80 制御装置
100 チャンバ
101、101A ウェハ支持台
102 上部電極
104 静電チャック
104a 中央部の上面
104b 周縁部の上面
108、108A リフタ
140 バイアス部
170 RF電力供給部
E、EA エッジリング
W ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10