(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20241112BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20241112BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/1339 500
G02F1/1339 505
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2023521486
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 KR2021015292
(87)【国際公開番号】W WO2022092842
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142094
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ウン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュ、ドゥー ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-007182(JP,A)
【文献】特表2018-507443(JP,A)
【文献】特開平10-301115(JP,A)
【文献】特開平07-020479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333,1/1334,1/1339
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外郭基板及び第1の外郭基板と対向して配置された第2の外郭基板、前記第1の外郭基板と前記第2の外郭基板の間に存在する液晶素子
並びに前記液晶素子の側面を囲む外郭層
、及び、前記第1の外郭基板と前記液晶素子の間並びに前記液晶素子と前記第2の外郭基板の間にそれぞれ位置する少なくとも1つ以上の中間層を含み、
前記液晶素子は、第1の基材層、
前記第1の基材層の内側面に形成された第1の電極層、前記第1の基材層の
内側面に
存在する粘着剤層、前記第1の基材層と対向配置される第2の基材層、
前記第2の基材層の内側面に形成された第2の電極層、前記第2の基材層の
内側面に
存在するスペーサ
、及び前記第1の基材層と前記第2の基材層の間に位置する液晶層を含み、
下記式1
及び下記式2を満たし、
[式1]
-T2×0.4≦T1-T2≦T2×0.4
式1において、T1は前記外郭層の厚さであり、T2は前記液晶素子の厚さであ
り、
[式2]
G1≧G2
式2において、G1は、前記外郭層の25℃温度及び6rad/sec周波数における貯蔵弾性率であり、G2は、前記粘着剤層の25℃温度及び6rad/sec周波数における貯蔵弾性率である、光学デバイス。
【請求項2】
前記外郭層の厚さT1は、60μm~840μmの範囲内である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記外郭層の貯蔵弾性率G1と前記粘着剤層の貯蔵弾性率G2の差(G1-G2)は、0MPa~9999.99MPaの範囲内である、請求項1
又は2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記外郭層の25℃における貯蔵弾性率G1は、0.1MPa~10,000MPaの範囲内である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記外郭層は、高分子フィルムを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記液晶層は、外部エネルギー印加を通じて第1の配向状態及び前記第1の配向状態と異なる配向状態の間をスイッチングする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記スペーサは、前記第1の基材層と前記第2の基材層の間に間隔を維持するパターン化されたスペーサである、請求項1から
6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記第2の基材層の面積Aに対する前記スペーサの面積Bの比B/Aは、5%~50%の範囲内である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記液晶素子は、前記第2の電極層の内側面に存在する配向膜をさらに含み、前記第1の基材層の内側面には配向膜を含まない、請求項
1から8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記液晶素子は、前記中間層及び前記外郭層によってカプセル化されている、請求項1
から9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つ以上の中間層は、総厚さの和が800μm以上である、請求項1
から10のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つ以上の中間層は、熱可塑性ポリウレタン接着剤層、ポリアミド接着剤層、ポリエステル接着剤層、EV
A(Ethylene Vinyl Acetate)接着剤層、アクリル接着剤層、シリコーン接着剤層、またはポリオレフィン接着剤層である、請求項
1から
11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
1つ以上の開口部が形成されている車体、及び前記開口部に取り付けられた請求項1から
12のいずれか一項に記載の光学デバイスを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、光学デバイスに関する。
【0002】
本出願は、2020年10月29日付で韓国特許出願第10-2020-0142094号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル基板を使用する液晶セルの長期安定性、大面積拡張性のためには、上部基板と下部基板のセルギャップの維持と上部基板と下部基板間の接着力を付与することが重要である。
【0004】
非特許文献1(「Tight Bonding of Two Plastic Substrates for Flexible LCDs」SID Symposium Digest,38,pp.653-656(2007))は、一方の基板にセルギャップの高さの柱状または壁状の有機膜パターンを形成し、接着剤を用いて反対側の基板に固定させる技術が開示されている。しかし、このような技術は、接着剤が柱面または壁面のみに位置しなければならないが、柱面または壁面に接着剤をマイクロスタンピング(Micro Stamping)する技術は、工程難易度が高く、接着剤の厚さ及び面積のコントロールが難しく、上下基板の合着時に接着剤が外部へ押し出される可能性が高く、接着剤が配向膜または液晶内を汚染するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶セルのセルギャップを維持し、上部基板と下部基板の付着力を確保するため、下部基板にスペーサと配向膜を形成し、上部基板に液晶配向力と付着力の両方を有する粘着剤を形成した後、合着することが考えられる。しかし、このような構造は、粘着剤層の非常に低いモジュラスによって外部圧力に対して脆弱であり、高温高圧のオートクレーブ(autoclave)工程において良好な品位を得ることが困難である。具体的に、オートクレーブ工程において液晶セルの構造的安定性が確保されない場合、セルギャップの崩れや液晶の流動及び/又は集中の不良が発生することがあり、これは液晶セルの電気光学特性と外観均一性の低下を引き起こす。
【0006】
本出願は、液晶セルのセルギャップが適切に維持され、上部基板と下部基板の優れた付着力を有し、押さえや集中などの不良を最小化し、構造的安定性と良好な品質の均一度を確保できる光学デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で言及する物性のうち、測定温度がその結果に影響を及ぼす場合には、特に規定のない限り、当該物性は常温で測定した物性である。用語の「常温」とは、加温または減温していない自然のままの温度で、通常、約10℃~30℃の範囲内の一つの温度または約23℃または約25℃程度である。また、本明細書で特に言及のない限り、温度の単位は、℃である。本明細書で言及する物性のうち、測定圧力がその結果に影響を及ぼす場合には、特に規定のない限り、当該物性は常圧で測定した物性である。用語の「常圧」とは、加圧または減圧していない自然のままの圧力で、通常、約1気圧程度を常圧と呼ぶ。
【0008】
本出願は、光学デバイスに関する。
図1は、本出願の光学デバイスを例示的に示す。
図1に示すように、光学デバイスは、第1の外郭基板100a、前記第1の外郭基板100aと対向配置される第2の外郭基板100b及び前記第1の外郭基板100aと第2の外郭基板100bの間に位置する液晶素子300を含んでもよい。光学デバイスは、前記第1の外郭基板と液晶素子の間、及び前記第2の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層を含んでもよい。
図1は、第1の外郭基板100aと液晶素子300の間、及び前記第2の外郭基板100bと液晶素子300の間にそれぞれ位置する中間層200a、200bを含む光学デバイスを例示的に示す。
【0009】
光学デバイスは、液晶素子300の側面を囲む外郭層400をさらに含んでもよい。本出願による光学デバイスは、外郭層と液晶素子の厚さの関係または外郭層と粘着剤層の貯蔵弾性率の関係を制御することにより、光学デバイスと外郭基板の合着時に発生し得る押さえ及び/又は集中不良を最小化できる。
【0010】
一例において、本出願の光学デバイスは、下記式1を満たすことができる。
【0011】
[式1]
-T2×0.4≦T1-T2≦T2×0.4
【0012】
式1において、T1は、外郭層の厚さであり、T2は、液晶素子の厚さである。
【0013】
外郭層の厚さT1は、外郭層が単層または単一フィルムから構成される場合、当該層またはフィルムの厚さを意味しうる。外郭層の厚さT1は、外郭層が複数の層または複数のフィルムから構成される場合、複数の層または複数のフィルムの厚さの総和を意味しうる。液晶素子の厚さT2は、例えば、第1の基材層、粘着剤層、スペーサ及び第2の基材層の厚さの和を意味しうる。
【0014】
外郭層と液晶素子の厚さの差(T1-T2)の値が小さすぎると、光学デバイスの合着時に液晶素子に押さえ及び/又は集中不良が発生することがあるので、外郭層と液晶素子の厚さの差(T1-T2)の値の下限は、-T2×0.4以上であることが好ましい。前記厚さの差(T1-T2)の値の下限は、具体的に、-T2×0.3以上、-T2×0.2以上、-T2×0.1以上、-T2×0.08以上、-T2×0.06以上、-T2×0.04以上または-T2×0.02以上であってもよい。
【0015】
外郭層と液晶素子の厚さの差(T1-T2)の値が大きすぎると、光学デバイスの合着時に外郭基板の破損不良が発生することがあるので、外郭層と液晶素子の厚さの差(T1-T2)の値の上限は、T2×0.4以下であることが好ましい。前記厚さの差(T1-T2)値の上限は、具体的に、T2×0.35以下、T2×0.3以下、またはT2×0.25以下であってもよい。
【0016】
外郭層の厚さT1と液晶素子の厚さT2は、式1を満たす範囲内で適宜選ばれてもよい。一例において、外郭層の厚さT1は、60μm~840μmの範囲内であってもよい。一例において、液晶素子の厚さT2は、100μm~800μmの範囲内であってもよい。
【0017】
一例において、本出願の光学デバイスは、下記式2を満たすことができる。
【0018】
[式2]
G1≧G2
【0019】
式2において、G1は、外郭層の25℃での貯蔵弾性率であり、G2は、粘着剤層の25℃での貯蔵弾性率である。貯蔵弾性率は、6rad/sec周波数で測定された値であってもよい。
【0020】
外郭層の貯蔵弾性率G1が粘着剤層の貯蔵弾性率G2より小さい場合、光学デバイスの合着時に液晶素子に押さえ及び/又は集中不良が発生することがあるので、外郭層の貯蔵弾性率G1は、粘着剤層の貯蔵弾性率G2と同じであるか、または粘着剤層の貯蔵弾性率G2よりも大きくなるように制御されてもよい。
【0021】
外郭層の貯蔵弾性率G1は、外郭層が単層または単一フィルムから構成される場合、当該層またはフィルムの貯蔵弾性率を意味しうる。外郭層の貯蔵弾性率G1は、外郭層が複数の層または複数のフィルムから構成される場合、複数の層の積層体または複数のフィルムの積層体の貯蔵弾性率を意味するか、または複数の層または複数のフィルムを構成する個々の層または個々のフィルムの貯蔵弾性率を意味しうる。
【0022】
一例において、外郭層を構成する層またはフィルムがMD(Machine Direction)軸またはTD(Transverse direction)軸によって貯蔵弾性率値が異なるように測定される場合、MD軸の貯蔵弾性率及びTD軸の貯蔵弾性率のいずれかが前記式2を満たすか、またはMD軸の方向の貯蔵弾性率及びTD軸の貯蔵弾性率がすべて前記式2を満たすことができる。前記MD軸とTD軸は、互いに垂直であってもよい。
【0023】
外郭層の貯蔵弾性率と粘着剤層の貯蔵弾性率の差(G1-G2)の値は、例えば、9999.99MPa以下であってもよい。外郭層の貯蔵弾性率と粘着剤層の貯蔵弾性率の差(G1-G2)の値が大きすぎると、外郭基板との合着時に破損が発生することがあるので、前記範囲内に制御されることが有利となり得る。前記貯蔵弾性率の差(G1-G2)の値は、具体的に、9,500MPa以下、9,000MPa以下、8,500MPa以下、8,000MPa以下、7,500MPa以下、7,000MPa、または6,500MPa以下であってもよい。
【0024】
外郭層の貯蔵弾性率と粘着剤層の貯蔵弾性率の差(G1-G2)の値は、例えば、0MPa以上であってもよい。前記貯蔵弾性率の差(G1-G2)値が小さすぎると、液晶の押さえ及び/又は集中不良を効果的に改善できないため、前記範囲内に制御されることが有利となり得る。前記貯蔵弾性率の差(G1-G2)の値は、具体的に、1MPa以上、5MPa以上、10MPa以上、20MPa以上、40MPa以上、60MPa以上、または80MPa以上であってもよい。
【0025】
外郭層の貯蔵弾性率G1と粘着剤層の貯蔵弾性率G2は、式2を満たす範囲内で適宜選ばれてもよい。一例において、外郭層の貯蔵弾性率G1は、0.1MPa~10,000MPaの範囲内であってもよい。前記外郭層の貯蔵弾性率G1は、具体的に、1MPa以上、5MPa以上、10MPa以上、100MPa以上、500MPa以上、1,000MPa以上または1,500MPa以上であってもよく、10,000MPa以下、9,000MPa以下、8,000MPa以下、7,000MPa以下、6,000MPa以下、5,000MPa以下、4,000MPa以下、3,000MPa以下、2,000MPa以下、1,000MPa以下、800MPa以下、600MPa以下、400MPa以下、200MPa以下、または100MPa以下であってもよい。
【0026】
一例において、粘着剤層の貯蔵弾性率G2は、0.01MPa~1Mpaの範囲内であってもよい。前記粘着剤層の貯蔵弾性率G2は、具体的に、0.02MPa以上、0.04MPa、0.06MPa、0.08MPaまたは0.1MPa以上であってよく、0.8MPa以下、0.6MPa以下、0.4MPa以下または0.2MPa以下であってもよい。粘着剤層の貯蔵弾性率が大きすぎると、前記条件を満足しにくくなり、粘着剤層の貯蔵弾性率が小さすぎると、液晶素子の合着時に粘着剤の押さえや押し現象が発生し、電気光学特性と外観均一性を阻害するおそれがあるので、貯蔵弾性率は、前記範囲内に制御されることが有利となり得る。
【0027】
本出願の光学デバイスは、式1及び式2をすべて満たすことができる。これにより、光学デバイスの合着時に発生することがある押さえ及び/又は集中不良を効果的に最小化できる。
【0028】
第1の外郭基板及び第2の外郭基板は、それぞれ独立して無機基板またはプラスチック基板であってもよい。無機基板としては特に制限されず、公知の無機基板を使用してもよい。一例として、無機基板としては光透過性に優れたガラス基板を使用してもよい。前記ガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラス基板、一般の強化ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、または無アルカリガラス基板などが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。前記ポリマー基板としては、TAC(triacetyl cellulose)またはDAC(diacetyl cellulose)などのセルロースフィルム、ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム、PA(Polyacrylate)またはPMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリルフィルム、PC(polycarbonate)フィルム、PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)などのポリオレフィンフィルム、PVA(polyvinyl alcohol)フィルム、PI(polyimide)フィルム、PSF(polysulfone)フィルム、PPS(polyphenylsulfone)フィルムまたはPES(polyethersulfone)フィルムなどのスルホン系フィルム、PEEK(polyetheretherketon)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム、PEN(polyethylenenaphthatlate)フィルムまたはPET(polyethyleneterephtalate)フィルムなどのポリエステル系フィルム、またはフッ素樹脂フィルムなどが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。第1の外郭基板及び第2の外郭基板には、それぞれ必要に応じて金、銀、または二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などの機能層が存在してもよい。
【0029】
一例において、前記第1の外郭基板及び/又は第2の外郭基板は、ガラス基板であってもよい。液晶素子の物性的限界を克服するために自動車またはウィンドウ業界では、液晶素子の両面にガラス基板を合着するか、または液晶素子の一面にガラス基板を、他の一面にフィルム基板を合着してもよい。このうち、自動車業界では、接着剤層を介して液晶素子の両面にガラス基板を合着することが要求されている。しかし、前記液晶素子の場合、粘着剤層の使用により外部圧力に脆弱であり、高温高圧のオートクレーブのようなガラス合着工程においてセルギャップの崩れや液晶の流動、集中などの不良が発生することがある。本発明によれば、後述するように、第1の中間層及び第2の中間層の厚さを制御することにより、前記不良を最小化でき、光学デバイスの構造的安定性及び品質の均一度を確保しうる。
【0030】
第1の外殻基板及び第2の外郭基板の厚さは、それぞれ約0.3mm以上であってもよい。他の例において、前記厚さは、約0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上、または約2mm以上であってもよく、約10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または約3mm以下であってもよい。
【0031】
第1の外郭基板及び第2の外郭基板は、平らな(flat)基板であってもよく、または曲面形状を有する基板であってもよい。例えば、前記第1の外郭基板及び第2の外郭基板は、同時に平らな基板であるか、同時に曲面形成を有するか、または一方が平らな基板であり、他方が曲面状の基板であってもよい。また、前記で同時に曲面形状を有する場合には、それぞれの曲率または曲率半径は、同一でも異なっていてもよい。本明細書において曲率または曲率半径は、業界で公知の方式で測定してもよく、例えば、2D Profile Laser Sensor(レーザセンサ)、Chromatic confocal line sensor(共焦点センサ)、または3D Measuring Confocal Microscopyなどの非接触式装備を用いて測定しうる。このような装備を使用して曲率または曲率半径を測定する方式は、公知である。
【0032】
第1の外郭基板及び第2の外郭基板に関して、例えば、表面と裏面における曲率又は曲率半径が異なる場合には、それぞれ対向する面の曲率又は曲率半径、すなわち、第1の外郭基板の場合、第2の外郭基板と対向する面の曲率または曲率半径と、第2の外郭基板の場合、第1の外郭基板と対向する面の曲率または曲率半径が基準になり得る。また、当該面での曲率または曲率半径が一定ではなく、異なる部分が存在する場合には、最大の曲率または曲率半径が基準となるか、最小の曲率または曲率半径が基準となってもよく、または平均曲率または平均曲率半径が基準となり得る。
【0033】
第1及び第2の外郭基板は、それぞれ曲率または曲率半径の差が約10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、または約1%以内であってもよい。前記曲率または曲率半径の差は、大きな曲率または曲率半径をCLといい、小さい曲率または曲率半径をCSというときに100%×(CL-CS)/CSで計算される数値である。また、前記曲率または曲率半径の差の下限は、特に制限されるものではない。第1及び第2の外郭基板の曲率または曲率半径の差は同じであってもよいので、前記曲率または曲率半径の差は、約0%以上であるか、または約0%超過であってもよい。前記のような曲率または曲率半径の制御は、本出願の光学デバイスのように液晶素子が中間層と接する構造において有用である。すなわち、曲率または曲率半径の差が10%を超える場合には、後述する中間層で外郭基板と液晶素子を接する場合、合着した外郭基板が合着力の低下により広がる問題が発生することがある。しかし、10%以内に制御する場合、合着した外郭基板が合着力の低下により広がるという問題を効率的に防止しうる。
【0034】
第1の外郭基板及び第2の外郭基板は、両者の曲率が同一符号であってもよい。言い換えれば、前記第1及び第2の外郭基板は、すべて同じ方向に屈曲されていてもよい。すなわち、前記のような場合は、第1の外郭基板の曲率中心と第2の外郭基板の曲率中心がすべて第1及び第2の外郭基板の上部及び下部の中で同じ部分に存在する場合である。第1の外郭基板及び第2の外郭基板が同じ方向に屈曲している場合、第1及び第2の外郭基板を中間層でより効率的に接着させることができ、接着後の第1及び第2の外郭基板と液晶素子フィルム及び/又は偏光子の合着力の低下をより効率的に防止しうる。
【0035】
第1の外郭基板及び第2の外郭基板は、それぞれの曲率または曲率半径の具体的な範囲が特に制限されるものではない。一例において、前記第1及び第2の外郭基板は、それぞれ曲率半径が約100R以上、200R以上、300R以上、400R以上、500R以上、600R以上、700R以上、800R以上、または約900R以上であるか、または約10,000R以下、9,000R以下、8,000R以下、7,000R以下、6,000R以下、5,000R以下、4,000R以下、3,000R以下、2,000R以下、1,900R以下、1,800R以下、1,700R以下、1,600R以下、1,500R以下、1,400R以下、1,300R以下、1,200R以下、1,100R以下、または約1,050R以下であってもよい。前記において、Rは半径が1mmの円の曲がった程度を意味する。したがって、前記において、例えば、100Rは、半径が100mmである円の曲がった程度、またはその円に対する曲率半径である。第1及び第2の外郭基板は、前記範囲で同じまたは異なる曲率半径を有してもよい。一例において、第1及び第2の外郭基板の曲率が互いに異なる場合、その中で曲率が大きい基板の曲率半径が前記範囲内であってもよい。一例において、第1及び第2の外郭基板の曲率が互いに異なる場合には、その中で曲率が大きい基板が光学デバイスの使用時により重力方向に配置される基板であってもよい。第1及び第2の基板の曲率または曲率半径を前記のように制御すると、後述する中間層による合着力が低下しても復元力と重力の和である合力が作用して広がりを防ぐことができる。
【0036】
一例において、光学デバイスは、第1の外郭基板と液晶素子の間及び前記第2の外郭基板と液晶素子の間に偏光子が含まれなくてもよい。
図1は、偏光子を含まない光学デバイスを例示的に示す。他の一例において、光学デバイスは、第1の外郭基板と液晶素子の間、及び前記第2の外郭基板と液晶素子の間のうち少なくとも1つの位置に偏光子をさらに含んでもよい。
図2は、第1の外郭基板と液晶素子の間に位置する偏光子500a及び第2の外郭基板と液晶素子の間に位置する第2の偏光子500bを含む光学デバイスを例示的に示す。前記光学デバイスは、第1の外郭基板と第1の偏光子の間に位置する中間層200a、第1の偏光子と液晶素子の間に位置する中間層200b、液晶素子と第2の偏光子の間に位置する中間層200c、第2の偏光子と第2の外郭基板の間に位置する中間層200dを含んでもよい。
【0037】
本明細書において、用語の偏光子とは、偏光機能を有するフィルム、シート、または素子を意味する。偏光子は、様々な方向に振動する入射光から一方の方向に振動する光を取り出すことができる機能性素子である。
【0038】
前記偏光子は、吸収型偏光子または反射型偏光子であってもよい。本明細書において吸収型偏光子とは、入射光に対して選択的透過及び吸収特性を示す素子を意味する。偏光子は、例えば、様々な方向に振動する入射光からいずれかの方向に振動する光は透過し、残りの方向に振動する光は吸収しうる。本明細書において反射型偏光子とは、入射光に対して選択的透過及び反射特性を示す素子を意味する。偏光子は、例えば、様々な方向に振動する入射光からいずれかの方向に振動する光は透過し、残りの方向に振動する光は反射しうる。本出願の一実施例によれば、前記偏光子は、吸収型偏光子であってもよい。
【0039】
前記偏光子は、線偏光子であってもよい。本明細書において、線偏光子とは、選択的に透過する光がいずれかの方向に振動する線偏光であり、選択的に吸収または反射する光が前記線偏光の振動方向に垂直な方向に振動する線偏光である場合を意味する。吸収型線偏光子の場合、光透過軸と光吸収軸は、互いに垂直であってもよい。反射型線偏光子の場合、光透過軸と光反射軸は、互いに垂直であってもよい。
【0040】
一例において、前記偏光子は、それぞれヨウ素または異方性染料を染着した高分子延伸フィルムであってもよい。前記高分子延伸フィルムとしては、PVA(poly(vinyl alcohol))延伸フィルムが挙げられる。他の一例において、第1の偏光子及び第2の偏光子は、それぞれ配向した状態で重合された液晶をホストとし、前記液晶の配向によって配列された異方性染料をゲストとするゲスト-ホスト型偏光子であってもよい。他の一例において、前記偏光子は、それぞれサーモトロピック(Thermotropic)液晶フィルムまたはリオトロピック(Lyotropic)液晶フィルムであってもよい。
【0041】
前記偏光子の一面または両面には、それぞれ保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、粘着剤層、接着剤層、表面処理層などがさらに形成されていてもよい。前記位相差フィルムは、例えば、1/4波長板または1/2波長板であってもよい。1/4波長板は、550nm波長の光に対する面内位相差値が約100nm~180nm、100nmまたは150nmの範囲内であってもよい。1/2波長板は、550nm波長の光に対する面内位相差値が約200nm~300nmまたは250nm~300nmの範囲内であってもよい。位相差フィルムは、例えば、高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムであってもよい。
【0042】
前記偏光子の550nm波長の光に対する透過率は、それぞれ40%~50%の範囲内であってもよい。透過率は、550nm波長の光に対する偏光子の単体(Single)透過率を意味し得る。前記偏光子の単体透過率は、例えば、スペクトロメーター(V7100、Jasco社製)を使用して測定しうる。例えば、偏光子試料(上部及び下部保護フィルムを含まない)を機器に取り付けた状態でairをbase lineに設定し、偏光子試料の軸を基準偏光子の軸と垂直及び水平に整列した状態でそれぞれの透過率を測定した後、単体透過率を計算しうる。
【0043】
前記偏光子は、前記液晶素子の第1の配向状態で前記遮断状態が具現されると仮定する場合、前記第1の配向状態の平均光軸(光軸のベクトル和)と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が約80度~約100度、または約85度~約95度をなすか、殆ど垂直になるように光学デバイスに配置されているか、または35度~約55度、または約40度~約50度になるか、または約45度になるように光学デバイスに配置されていてもよい。
【0044】
図3は、液晶素子を例示的に示す。
図3に示すように、液晶素子は、第1の基材層10a、第1の基材層の内側に形成された粘着剤層10c、第1の基材層10aと対向配置される第2の基材層20a、第2の基材層20aの内側に形成されたスペーサ20c及び第1の基材層10aと第2の基材層20aの間に位置する液晶層30を含んでもよい。
【0045】
第1の基材層及び第2の基材層としては、例えば、ガラスフィルム、結晶性または非結晶性シリコンフィルム、石英又はITO(Indium Tin Oxide)フィルムなどの無機系フィルムやポリマーフィルムなどを使用してもよく、フレキシブル素子の具現の側面でポリマーフィルムを使用してもよい。
【0046】
一例において、第1の基材層及び第2の基材層は、それぞれポリマーフィルムであってもよい。ポリマーフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)、ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)、PMMA(poly(methyl methacrylate)、PC(polycarbonate)、PE(polyethylene)、PP(polypropylene)、PVA(polyvinyl alcohol)、DAC(diacetyl cellulose)、Pac(Polyacrylate)、PES(poly ether sulfone)、PEEK(polyetheretherketon)、PPS(polyphenylsulfone)、PEI(polyetherimide)、PEN(polyethylenemaphthatlate)、PET(polyethyleneterephtalate)、PI(polyimide)、PSF(polysulfone)、PA(polyarylate)または非晶質フッ素樹脂などを使用してもよいが、これに制限されるものではない。第1の基材層及び第2の基材層には、必要に応じて金、銀、二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在してもよい。
【0047】
第1の基材層及び第2の基材層は、厚さがそれぞれ約10μm~約1,000μmであってもよい。他の例として、前記基材層は、厚さがそれぞれ約20μm以上、40μm以上、60μm以上、80μm以上、100μm以上、120μm以上、140μm以上、160μm以上、または約180μm以上であってもよく、約900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、または約400μm以下であってもよい。第1の基材層及び第2の基材層の厚さが前記範囲を満たす場合、液晶素子を外郭基板と合着して光学デバイスを製造する際、シワなどの外観不良を減少させることができる。
【0048】
粘着剤層は、光学的に透明であってもよい。粘着剤層は、可視光領域、例えば、380nm~780nmの波長に対する平均透過度が約80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上であってもよい。
【0049】
粘着剤層は、液晶配向性粘着剤層であってもよい。粘着剤層は、例えば、垂直配向性粘着剤層であってもよく、水平配向性粘着剤層であってもよい。本明細書において「垂直配向性粘着剤」とは、隣接する液晶化合物に対して垂直配向力を付与するとともに、上部基板と下部基板を接着させることができる付着力を有する粘着剤を意味しうる。本明細書において「水平配向性粘着剤」とは、隣接する液晶化合物に対して水平配向力を付与するとともに、上部基板と下部基板を接着させることができる接着力を有する粘着剤を意味しうる。垂直配向性粘着剤に対する隣接する液晶化合物のプレチルト角が80度~90度、85度~90度、または約87度~90度の範囲内であってもよく、水平配向性粘着剤に対する隣接する液晶化合物のプレチルト角は、0度~10度、0度~5度、または0度~3度の範囲内であってもよい。
【0050】
本明細書においてプレチルト角とは、電圧が印加されていない状態で液晶化合物の方向子が液晶配向性粘着剤または配向膜と水平な面に対してなす角度を意味しうる。本明細書において液晶化合物の方向子とは、液晶層の光軸(Optical axis)または遅相軸(Slow axis)を意味しうる。または、液晶化合物の方向子は、液晶化合物が棒(rod)状である場合は長軸方向を意味し、液晶化合物が円板(discotic)状である場合は円板平面の法線方向と平行な軸を意味しうる。
【0051】
粘着剤層の厚さは、例えば、3μm~15μmの範囲内であってもよい。粘着剤層の厚さが前記範囲内である場合、上部基板と下部基板の付着力を確保しつつ液晶素子フィルムの製造に使用されるとき、粘着剤の押さえや押しなどの不良を最小化するのに有利となり得る。
【0052】
粘着剤層としては、業界でいわゆるOCA(Optically Clear Adhesive)として公知の様々な類型の粘着剤を適宜使用してもよい。前記粘着剤は、付着対象が合着する前に硬化するという点で、付着対象が合着した後に硬化するOCR(Optically Clear Resin)類型の粘着剤と異なってもよい。前記粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、エポキシ系またはウレタン系粘着剤が適用されてもよい。
【0053】
粘着剤層は、粘着性樹脂の硬化物を含んでもよい。一例において、粘着剤層は、シリコーン系粘着剤を含んでもよい。シリコーン系粘着剤は、粘着性樹脂として硬化性シリコーン化合物の硬化物を含んでもよい。
【0054】
硬化性シリコーン化合物の種類は特に制限されず、例えば、加熱硬化性シリコーン化合物または紫外線硬化型シリコーン化合物を使用してもよい。前記硬化性シリコーン化合物は、粘着性樹脂と呼ぶこともある。
【0055】
一例において、硬化性シリコーン化合物は、付加硬化型シリコーン化合物であってもよい。
【0056】
具体的に、前記付加硬化型シリコーン化合物としては、(1)分子中に2つ以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン及び(2)分子中に2つ以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。前記のようなシリコーン化合物は、例えば、後述する触媒の存在下で、付加反応により硬化物を形成してもよい。
【0057】
本出願で使用できる前記(1)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、R1
2SiO1/2で表されるシロキサン単位とR1
2R2SiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1
2R2SiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1R2SiO2/2で表されるシロキサン単位と、R1SiO3/2で表されるシロキサン単位またはR2SiO3/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体及び前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに制限されるものではない。前記において、R1はアルケニル基以外の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、またはナフチル基などのアリール基、ベンジル基またはフェネンチル基などのアラルキル基、クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであってもよい。また、前記においてR2はアルケニル基であり、具体的にはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などであってもよい。
【0058】
本出願で使用できる前記(2)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、R1
3SiO1/2で表されるシロキサン単位とR1
2HSiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1
2HSiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1HSiO2/2で表されるシロキサン単位とR1SiO3/2で表されるシロキサン単位またはHSiO3/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体及び前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに制限されるものではない。前記において、R1は、アルケニル基以外の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基、ベンジル基またはフェネンチル基などのアラルキル基、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであってもよい。
【0059】
粘着剤層が垂直配向性粘着剤層の場合、表面エネルギーは、16mN/m以下であってもよい。前記表面エネルギーの下限は、例えば、5mN/m以上であってもよい。粘着剤層が水平配向性粘着剤層の場合、表面エネルギーは、16mN/m超過であってもよい。前記表面エネルギーの上限は、例えば、50mN/m以下であってもよい。表面エネルギーは、ドロップシェイプアナライザー(Drop Shape Analyzer、KRUSS社のDSA100製品)を使用して測定しうる。具体的に粘着剤の表面に表面張力(surface tension)が公知の脱イオン化水を落とし、その接触角を求める過程を5回繰り返し、得られた5つの接触角数値の平均値を求め、同様に、表面張力が公知のジヨードメタン(diodomethane)を落とし、その接触角を求める過程を5回繰り返し、得られた5つの接触角数値の平均値を求める。その後、求められた脱イオン化水とジヨードメタンに対する接触角の平均値を用いて、Owens-Wendt-Rabel-Kaelble方法により溶媒の表面張力に関する数値(Strom値)を代入して表面エネルギーを求めた。サンプルの表面エネルギー(γsurface)は、無極性分子間の分散力と極性分子間の相互作用力が考えられて(γsurface=γdispersion+γpolar)計算できるが、前記表面エネルギーγsurfaceでpolar term(γolar)の割合をその表面の極性(polarity)として定義できる。
【0060】
液晶素子の上部基板と下部基板は、粘着剤層によって付着していてもよい。具体的に、上部基板の粘着剤層と下部基板のスペーサが付着していてもよい。下部基板のスペーサ上に配向膜が形成されている場合、配向膜のスペーサに対応する領域が上部基板の粘着剤層と付着していてもよい。
【0061】
液晶層は、液晶化合物を含んでもよい。液晶化合物としては、外部作用の印加によってその配向方向を変更できる液晶化合物を使用してもよい。本明細書において用語の「外部作用」とは、液晶層内に含まれる物質の挙動に影響を及ぼし得る外部にすべての要因、例えば、外部電圧などを意味しうる。したがって、外部作用のない状態とは、外部電圧などが印加されていない状態を意味しうる。
【0062】
液晶化合物の種類及び物性は、本出願の目的を考慮して適宜選ばれてもよい。一例において、液晶化合物は、ネマティック(nematic)液晶またはスメクティック(smectic)液晶であってもよい。ネマティック液晶は、棒状の液晶分子が位置に対する規則性はないが、液晶分子の長軸方向に平行に配列されている液晶を意味し、スメクティック液晶は、棒状の液晶分子が規則的に配列して層をなす構造を形成し、長軸方向に規則性をもって平行に配列されている液晶を意味しうる。本出願の一実施例によれば、前記液晶化合物は、ネマティック液晶化合物であってもよい。
【0063】
ネマティック液晶化合物は、例えば、約40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上、または約110℃以上の澄明点(clearing point)を有するか、または前記範囲の相転移点、すなわち、ネマティック相から等方相への相転移点を有するものが選ばれてもよい。一例において、前記澄明点または相転移点は、約160℃以下、150℃以下、または約140℃以下であってもよい。
【0064】
液晶化合物は、非反応性液晶化合物であってもよい。非反応性液晶化合物は、重合性基を有していない液晶化合物を意味しうる。重合性基としては、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ビニル基またはエポキシ基などが挙げられるが、これに制限されず、重合性基として知られた公知の官能基が含まれてもよい。
【0065】
液晶化合物は、誘電率異方性が正数や負数であってもよい。液晶化合物の誘電率異方性の絶対値は、本出願の目的を考慮して適宜選ばれてもよい。用語の「誘電率異方性(Δε)」とは、液晶の水平誘電率(ε//)と垂直誘電率(ε⊥)の差(ε//-ε⊥)を意味しうる。本明細書において用語の水平誘電率(ε//)とは、液晶化合物の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に水平になるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味し、垂直誘電率(ε⊥)とは、液晶化合物の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に垂直になるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味する。
【0066】
液晶化合物の屈折率異方性は、本出願の目的を考慮して適宜選ばれてもよい。本明細書において用語の「屈折率異方性」とは、液晶化合物の異常屈折率(extraordinary refractive index)と正常屈折率(ordinary refractive index)の差を意味しうる。液晶化合物の屈折率異方性は、例えば、0.01~0.3であってもよい。前記屈折率異方性は、0.01以上、0.05以上、または0.07以上であってもよく、0.3以下、0.2以下、0.15以下、または0.13以下であってもよい。
【0067】
液晶層は、二色性染料をさらに含んでもよい。液晶層が二色性染料を含む場合、液晶素子フィルムが粘着剤層を含んでいても外郭基板の合着工程時にセルギャップの変動に影響が少ないので、液晶素子の構造的安定性及び品質の均一度を確保するための中間層の厚さを相対的に薄くできるという利点がある。
【0068】
二色性染料は、液晶層の光透過度可変特性を制御しうる。本明細書において「染料」とは、可視光領域、例えば、400nm~700nmの波長範囲内で少なくとも一部または全範囲内の光を集中的に吸収及び/又は変形させることができる物質を意味し、用語の「二色性染料」とは、可視光領域の少なくとも一部または全範囲で光の異方性の吸収が可能な物質を意味しうる。
【0069】
液晶化合物及び二色性染料を含む液晶層は、GHLC層(Guest host liquid crystal layer)であってもよい。本明細書において、「GHLC層(Guest host liquid crystal layer)」とは、液晶化合物の配列によって二色性染料とともに配列され、二色性染料の整列方向と前記整列方向の垂直な方向に対してそれぞれ非等方性光吸収特性を示す機能性層を意味しうる。例えば、二色性染料は、光の吸収率が偏光方向によって変わる物質で、長軸方向に偏光された光の吸収率が大きければp型染料と呼び、短軸方向に偏光された光の吸収率が大きければn型染料と呼ぶことができる。一例において、p型染料が使用される場合、染料の長軸方向に振動する偏光は吸収され、染料の短軸方向に振動する偏光は、吸収が少なく透過させることができる。以下、特に言及のない限り、二色性染料は、p型染料であると仮定する。
【0070】
二色性染料としては、例えば、いわゆるゲストホスト効果によって液晶化合物の整列状態に応じて整列され得る特性を有することが知られている公知の染料を選択して使用してもよい。このような二色性染料の例としては、アゾ染料、アントラキノン染料、メチン染料、アゾメチン染料、メロシアニン染料、ナフトキノン染料、テトラジン染料、フェニレン染料、キタリレン染料、ベンゾチアジアゾール染料、ジケトピロロピロール染料、スクアレーン染料またはパイロメテン染料などがあるが、本出願で適用可能な染料が前記に制限されるものではない。
【0071】
二色性染料は、二色比(dichroic ratio)、すなわち、二色性染料の長軸方向に平行な偏光の吸収を前記長軸方向に垂直な方向に平行な偏光の吸収で割った値が5以上、6以上、または7以上である染料を使用してもよい。前記染料は、可視光領域の波長範囲内、例えば、約380nm~700nmまたは約400nm~700nmの波長範囲内で少なくとも一部の波長、またはいずれかの波長で前記二色比を満たすことができる。前記二色比の上限は、例えば、20以下、18以下、16以下、または14以下程度であってもよい。
【0072】
液晶層の二色性染料の含量は、本出願の目的を考慮して適宜選ばれてもよい。例えば、液晶層の二色性染料の含量は、0.1重量%以上、0.25重量%以上、0.5重量%以上、0.75重量%以上、1重量%以上、1.25重量%以上、または1.5重量%以上であってもよい。液晶層の二色性染料の含量の上限は、例えば、5.0重量%以下、4.0重量%以下、3.0重量%以下、2.75重量%以下、2.5重量%以下、2.25重量%以下、2.0重量%以下、1.75重量%以下または1.5重量%以下であってもよい。液晶層の二色性染料の含量が前記範囲を満たす場合、透過度可変特性に優れた光学デバイスを提供しうる。一例において、前記範囲内で二色性染料の含量が高いほど、透過度可変特性に優れた光学デバイスを提供しうる。
【0073】
液晶層の厚さは特に制限されず、例えば、液晶層の厚さは、約0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、4.5μm以上、5μm以上、5.5μm以上、6μm以上、6.5μm以上、7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上、または9.5μm以上であってもよい。前記液晶層の厚さの上限は特に制限されず、一般に約30μm以下、25μm以下、20μm以下、または15μm以下であってもよい。
【0074】
液晶層は、第1の配向状態と前記第1の配向状態とは異なる第2の配向状態の間をスイッチングしてもよい。前記スイッチングは、例えば、電圧などの外部エネルギーの印加によって調節してもよい。例えば、液晶層は、電圧無印加状態で前記第1及び第2の配向状態のうちいずれかの状態が維持され、電圧印加によって他の配向状態にスイッチングされてもよい。
【0075】
第1配向状態及び/又は第2配向状態としては、水平配向状態、垂直配向状態、ツイスト配向状態、傾斜配向状態、ハイブリッド配向状態などが挙げられる。
【0076】
本明細書において「水平配向状態」とは、液晶層内の液晶化合物の方向子が液晶層の平面に対して略平行に配列された状態であり、例えば、液晶層の平面に対して液晶化合物の方向子がなす角度は、例えば、約-10度~10度または-5度~5度の範囲内であるか、または約0度をなすことができる。
【0077】
本明細書において「垂直配向状態」とは、液晶層内の液晶化合物の方向子が液晶層の平面に対して略垂直に配列された状態であり、例えば、液晶層の平面に対して液晶化合物の方向子がなす角度は、例えば、約80度~100度または85度~95度の範囲内であるか、または約90度をなすことができる。
【0078】
本明細書において「ツイスト配向状態」とは、液晶層内で液晶化合物の方向子が仮想のらせん軸に沿って捩れながら層をなして配向した螺旋状の構造を意味しうる。ツイスト配向状態は、垂直、水平または傾斜配向状態で具現できる。すなわち、垂直ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が垂直配向された状態でらせん軸に沿って捩れながら層をなす状態であり、水平ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が水平配向された状態でらせん軸に沿って捩れながら層をなす状態であり、傾斜ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が傾斜配向された状態でらせん軸に沿って捩れながら層をなす状態である。
【0079】
本明細書において、「傾斜配向状態」とは、液晶層内の液晶化合物の方向子が液晶層の平面に対してなす角度であるチルト角が、前記水平配向状態のチルト角及び垂直配向状態のチルト角から外れる配向状態を意味しうる。傾斜配向状態において、チルト角は、例えば、10度超過~80度未満であってもよい。本明細書において「ハイブリッド配向状態」とは、液晶層内の液晶化合物の方向子が液晶層の平面に対してなす角度であるチルト角が液晶層の厚み方向に沿って漸進的に増加するか、または減少する配向状態を意味しうる。
【0080】
液晶素子は、第1の基材層10aの内側面に形成された第1の電極層10bをさらに含んでもよい。このとき、粘着剤層10cは、第1の電極層10bの内側面に存在してもよい。すなわち、第1の電極層10bは、第1の基材層10aと粘着剤層10cの間に存在してもよい。液晶素子は、第2の基材層20aの内側面に形成された第2の電極層20bをさらに含んでもよい。このとき、スペーサ20cは、第2の電極層20bの内側面に存在してもよい。すなわち、第2の電極層20bは、第2の基材層20aとスペーサ20cの間に存在してもよい。
【0081】
第1の電極層と第2の電極層は、液晶層内に含まれている物質が入射する光を透過または遮断させるように、外部作用、例えば、電界の印加を付与する役割を果たすことができる。一例において、前記第1の電極層及び/又は第2の電極層は、導電性高分子、導電性金属、導電性ナノワイヤ、またはITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物などを含んでもよいが、これに制限されるものではない。上部及び/又は下部第2の電極層は、例えば、前記導電性高分子、導電性金属、導電性ナノワイヤ又はITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物を蒸着して形成したものであってもよい。
【0082】
液晶素子は、第2の電極層20bの内側面に存在する配向膜20dをさらに含んでもよい。スペーサ20cは、第2の電極層20bと配向膜20dの間に存在してもよい。配向膜は、スペーサ上に形成されてもよい。すなわち、スペーサの上面部及び/又は側面部は配向膜と接していてもよい。スペーサの下部面は、第2の電極層に接していてもよい。粘着剤層は、液晶配向性を有することができるため、第1の電極層の内側面には、配向膜を含まなくてもよい。
【0083】
本明細書において、第1の基材層、第1の電極層及び粘着剤層の組み合わせを上部基板と呼ぶことができ、第2の基材層、第2の電極層、スペーサ及び配向膜の組み合わせを下部基板と呼ぶことができる。液晶素子において、上部基板は粘着剤層以外の別途の配向膜は含まず、下部基板は配向膜を含んでもよい。
【0084】
配向膜と液晶層は、接していてもよい。配向膜は、垂直配向膜でも水平配向膜でもよい。本明細書において「水平配向膜」とは、隣接する液晶層内に存在する液晶化合物に対する水平配向力を付与する配向性物質を含む層を意味しうる。本明細書において「垂直配向膜」とは、隣接する液晶層内に存在する液晶化合物に対する垂直配向力を付与する配向性物質を含む層を意味しうる。垂直配向膜に対する隣接する液晶化合物のプレチルト角が80度~90度、85度~90度、または約87度~90度の範囲内であってもよく、水平配向膜に対する隣接する液晶化合物のプレチルト角が0度~10度、0度~5度、または0度~3度の範囲内であってもよい。配向膜は、粘着剤層と異なり、上部基板と下部基板を接着させる接着力を有していなくてもよい。一例において、配向膜は、
図2の液晶素子の状態で上部基板に対する剥離力が0に近い場合がある。
【0085】
配向膜は、ラビング配向膜または光配向膜であってもよい。配向膜の配向方向は、ラビング配向膜の場合はラビング方向、光配向膜の場合は照射される偏光の方向であってもよいが、このような配向方向は、吸収型線形偏光子を用いた検出方式で確認しうる。具体的に液晶層に含まれる液晶化合物を水平配向させた状態で前記液晶層の一面に吸収型線形偏光子を配置し、前記偏光子を360度回転させながら透過率を測定することにより、配向方向を確認しうる。前記状態で液晶層または吸収型線形偏光子側に光を照射しながら他側で輝度(透過率)を測定する場合、前記吸収軸または透過軸と液晶配向膜の配向方向が一致する場合に透過率が低くなる傾向を示すが、適用された液晶化合物の屈折率異方性などを反映した模写(simulation)を通じて配向方向を確認しうる。液晶層のモードによって配向方向を確認する方式は公知であり、本出願では、このような公知の方式で配向膜の配向方向を確認しうる。
【0086】
配向膜としては、ポリイミド(polyimide)化合物、ポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol))化合物、ポリアミック酸(poly(amic acid))化合物、ポリスチレン(polystylene)化合物、ポリアミド(polyamide)化合物及びポリオキシエチレン(polyoxyethylene)化合物などのようにラビング配向により配向能を示すもので公知の物質であるか、ポリイミド(polyimide)化合物、ポリアミック酸(polyamic acid)化合物、ポリノルボルネン(polynorbornene)化合物、フェニルマレイミド共重合体(phenylmaleimide copolymer)化合物、ポリビニルシンナメート(polyvinylcinamate)化合物、ポリアゾベンゼン(polyazobenzene)化合物、ポリエチレンイミン(polyethyleneimide)化合物、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)化合物、ポリアミド(polyimide)化合物、ポリエチレン(polyethylene)化合物、ポリスチレン(polystylene)化合物、ポリフェニレンフタルアミド(polyphenylenephthalamide)化合物、ポリエステル(polyester)化合物、CMPI(chloromethylated polyimide)化合物、PVCI(polyvinylcinnamate)化合物及びポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)化合物などのように光照射によって配向能を示すことができるもので、公知の物質からなる群から選ばれる1つ以上を含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0087】
スペーサ20cは、上部基板と下部基板の間の間隔を維持しうる。上部基板と下部基板の間にスペーサが存在しない領域に液晶層が存在してもよい。
【0088】
スペーサは、パターン化されたスペーサであってもよい。スペーサは、柱状(column)または隔壁状(partition wall)を有してもよい。隔壁は、下部基板と上部基板の間の空間を2つ以上の空間に区画してもよい。スペーサが存在しない領域には、下部に存在する他のフィルムや他の層が露出していてもよい。例えば、スペーサが存在しない領域には、第2の電極層が露出していてもよい。配向膜は、スペーサ及びスペーサが存在しない領域に露出した第2の電極層を覆っていてもよい。上部基板と下部基板が合着された液晶素子において、下部基板のスペーサの上部に存在する配向膜と上部基板の粘着剤層が互いに接していてもよい。
【0089】
上部基板と下部基板の間にスペーサが存在しない領域には、液晶化合物及び前述した添加剤、例えば、二色性染料、キラル剤などが存在してもよい。スペーサの形状は特に制限されず、例えば、円、楕円、その他の多角形状の多面を有するように制限なく適用されてもよい。
【0090】
スペーサは、硬化性樹脂を含んでもよい。硬化性樹脂の種類は特に制限されず、例えば、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、例えば、紫外線硬化性樹脂を使用してもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂またはメラミン樹脂などを使用してもよいが、これに制限されるものではない。紫外線硬化性樹脂としては、代表的にアクリル重合体、例えば、ポリエステルアクリレート重合体、ポリスチレンアクリレート重合体、エポキシアクリレート重合体、ポリウレタンアクリレート重合体またはポリブタジエンアクリレート重合体、シリコーンアクリレート重合体またはアルキルアクリレート重合体などを使用してもよいが、これに制限されるものではない。
【0091】
スペーサは、パターニング工程によって形成されてもよい。例えば、スペーサは、フォトリソグラフィ工程によって形成されてもよい。フォトリソグラフィ工程は、硬化性樹脂組成物を基材層または電極層上に塗布した後、パターンマスクを介して紫外線を照射する工程を含んでもよい。パターンマスクは、紫外線透過領域と紫外線遮断領域にパターニングされていてもよい。フォトリソグラフィ工程は、紫外線が照射された硬化性樹脂組成物をウォッシング(washing)する工程をさらに含んでもよい。紫外線が照射された領域は硬化し、紫外線が照射されていない領域は液状に残っているので、ウォッシング工程を通じて除去することにより、隔壁形状にパターニングを行うことができる。フォトリソグラフィ工程において、紫外線照射後、樹脂組成物とパターンマスクを容易に分離するためにパターンマスクに離型処理を行うか、または離型紙を樹脂組成物の層とパターンマスクの間に位置させることもできる
【0092】
スペーサの幅(線幅)、間隔(ピッチ)、厚さ、面積は、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選ばれてもよい。例えば、スペーサの幅(線幅)は、10μm~500μmの範囲、または10μm~50μmの範囲内であってもよい。スペーサの間隔(ピッチ)は、10μm~1000μmの範囲、または100μm~1000μmの範囲内であってもよい。スペーサの面積は、第2の基材層の全面積100%に対して、約5%以上であってもよく、50%以下であってもよい。スペーサの面積が前記範囲内である場合、上部基板と下部基板の付着力を適切に確保しながら優れた電気光学特性を確保するのに有利となり得る。スペーサの厚さは、例えば、1μm~30μmまたは3μm~20μmの範囲であってもよい。
【0093】
光学デバイスは、第1の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層を含んでもよく、第2の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層を含んでもよい。したがって、光学デバイスは、少なくとも2枚の中間層を含んでもよい。第1の外郭基板及び第2の外郭基板の一面は、隣接する中間層とそれぞれ接していてもよい。液晶素子の両面は、それぞれ隣接する中間層と接していてもよい。
【0094】
光学デバイスの中間層の個数は、光学デバイスが第1の外郭基板、第2の外郭基板、及び液晶素子以外の他の要素をさらに含むかどうかによって決定されてもよい。前記他の素子は、偏光子などが挙げられる。
【0095】
一例において、光学デバイスは、第1の外郭基板と第2の外郭基板の間に前記液晶素子以外に他の素子、例えば、偏光子をさらに含んでもよい。この場合、一具体例において、光学デバイスは、第1の外郭基板、中間層、液晶素子、中間層、偏光子、中間層、及び第2の外郭基板の順に積層された構造を有してもよい。他の具体例において、光学デバイスは、第1の外郭基板、中間層、偏光子、中間層、液晶素子、中間層、及び第2の外郭基板の順に積層された構造を有してもよい。さらに他の例において、光学デバイスは、第1の外郭基板、中間層、偏光子、中間層、液晶素子、中間層、偏光子、中間層、及び第2の外郭基板の順に積層された構造を有してもよい。
【0096】
他の一例において、光学デバイスは、第1の外郭基板と第2の外郭基板の間に前記液晶素子以外に他の素子、例えば偏光子が含まれなくてもよい。この場合、光学デバイスは、第1の外郭基板、中間層、液晶素子、中間層、及び第2の外郭基板の順に積層された構造を有してもよい。
【0097】
液晶素子の物性的限界を克服するために液晶素子の両面に中間層を介して外郭基板を合着することができるが、粘着剤層の低いモジュラスにより、外部圧力に脆弱であり、前記合着過程においてセルギャップの崩れや液晶の流動、集中などの不良が発生することがある。光学デバイスに含まれる中間層の厚さを制御することにより、前記不良を最小化でき、光学デバイスの構造的安定性及び均一な外観特性を確保しうる。
【0098】
一例として、前記少なくとも1つ以上の中間層は、総厚さの和が800μm以上であってもよい。前記少なくとも1つ以上の中間層の総厚さの和は、第1の外郭基板と液晶素子の間、及び第2の外郭基板と液晶素子の間に存在するすべての中間層の厚さの和を意味する。中間層の総厚さが前記範囲内である場合、外郭基板の合着過程における不良を最小化することにより、光学デバイスの構造的安定性及び均一な外観特性を確保しうる。前記少なくとも1つ以上の中間層の総厚さの和は、具体的に900μm以上、1,000μm以上、1,100μm以上、1,200μm以上、1,300μm以上、1,400μm以上、1,500μm以上、1,600μm以上、1,650μm以上、1,700μm以上、1,750μm以上、1,800μm以上、1,850μm以上、1,900μm以上、1,950μm以上、2,000μm以上、2,100μm以上、2,150μm以上または約2,200μm以上であってもよい。前記少なくとも1つ以上の中間層の総厚さの和は、例えば、約6,000μm以下、5,900μm以下、5,800μm以下、5,700μm以下、5,600μm以下、5,500μm以下、5,400μm以下、5,300μm以下、5,200μm以下、5,100μm以下または約5,000μm以下であってもよい。前記少なくとも1つ以上の中間層の総厚さの和が厚すぎると、光学デバイスの透過度特性などの電気光学特性を低下させうるため、前記範囲内であることが有利となり得る。
【0099】
前記少なくとも1つ以上の中間層は、それぞれ中間層1枚の単層構造を有するか、または2枚以上のサブ中間層の積層体であってもよい。サブ中間層の厚さ及び個数は、所望の中間層の厚さを考慮して制御されてもよい。一例において、サブ中間層の厚さは、100μm~500μmの範囲または300μm~400μmの範囲内であってもよい。
【0100】
一例として、前記第1の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層の総厚さTa及び前記第2の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層の総厚さTbは、それぞれ約400μm以上、500μm以上、600μm以上、700μm以上、800μm以上、900μm以上、1,000μm以上、または1,100μm以上であってもよく、約3,000μm以下、2,900μm以下、2,800μm以下、2,700μm以下、約2,600μm以下、約2,500μm以下、約2,400μm以下、または約2,300μm以下であってもよい。前記厚さTa及びTbがそれぞれ前記範囲内である場合、光学デバイスの電気光学的特性を阻害することなく、外郭基板の合着過程において不良なしに構造的安定性及び均一な外観特性を確保するのに有利となり得る。前記第1の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層の総厚さTaの和は、第1の外郭基板と液晶素子の間に存在するすべての中間層の厚さの和を意味する。また、前記第2の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層の総厚さTbの和は、第2の外郭基板と液晶素子の間に存在するすべての中間層の厚さの和を意味する。
【0101】
一例として、前記第1の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層の総厚さTaに対して、前記第2の外郭基板と液晶素子の間に位置する少なくとも1つ以上の中間層の総厚さTbの厚さ比Ta/Tbは、0.1~10の範囲内であってもよい。他の例として、前記厚さ比Ta/Tbは、約0.12以上、約0.13以上、または約0.14以上であってもよく、約9.5以下、9.0以下、8.5以下、8.0以下、7.5以下、または約7.0以下であってもよい。前記厚さ比が0.1~10の範囲内であると、より効果的に液晶素子の外観不良を改善しうる。
【0102】
一例として、少なくとも1つ以上の中間層の貯蔵弾性率(storage modulus)は、それぞれ1MPa以上であってもよい。中間層の貯蔵弾性率が低いと、高温耐久性テストやcycleテストなどで基材層が収縮や膨張の応力に耐えられず、液晶素子が破損することがある。中間層の貯蔵弾性率は、2MPa以上または4MPa以上であってもよく、100MPa以下、80MPa以下、60MPa以下、40MPa以下、20MPa以下、10MPa以下、または5MPa以下であってもよい。前記貯蔵弾性率は、25℃の温度及び6rad/secの周波数で測定された値であってもよい。
【0103】
一例として、前記少なくとも1つ以上の中間層は、それぞれヤング率(Young's modulus、E)が0.1MPa~100MPaの範囲内であってもよい。他の例として、中間層のヤング率Eは、約0.2MPa以上、0.4MPa以上、0.6MPa以上、0.8MPa以上、1MPa以上、5MPa以上、または約10MPa以上であってもよく、約95MPa以下、80MPa以下、75MPa以下、70MPa以下、65MPa以下、60MPa以下、55MPa以下、または約50MPa以下であってもよい。前記ヤング率Eは、例えば、ASTM D882に規定された方式で測定してもよく、当該規格で提供する形態でフィルムを裁断し、Stress-Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)、一例としてUTM(Universal testing machine)を用いて測定しうる。光学デバイスに含まれる中間層のヤング率が前記範囲内である場合、光学デバイスの優れた耐久性を確保するのにさらに有利となり得る。中間層が少なくとも2枚以上のサブ中間層の積層体である場合、サブ中間層のそれぞれが前記ヤング率の範囲を満たすことができる。
【0104】
一例として、少なくとも1つ以上の中間層は、それぞれ熱膨張係数が2,000ppm/K以下であってもよい。前記熱膨張係数は、他の例において、約1,900ppm/K以下、1,700ppm/K以下、1,600ppm/K以下、または約1,500ppm/K以下、または約10ppm/K以上、20ppm/K以上、30ppm/K以上、40ppm/K以上、50ppm/K以上、60ppm/K以上、70ppm/K以上、80ppm/K以上、90ppm/K以上、100ppm/K以上、200ppm/K以上、300ppm/K以上、400ppm/K以上、500ppm/K以上、600ppm/K以上、700ppm/K以上、または約800ppm/K以上であってもよい。中間層の熱膨張係数は、例えば、ASTM D696の規定に従って測定することができ、当該規格で提供する形態で裁断し、単位温度当たりの長さの変化を測定して熱膨張係数を計算することができ、TMA(ThermoMechanic Analysis)などの公知の方式により測定しうる。光学デバイスに含まれる中間層の熱膨張係数が前記範囲内である場合、光学デバイスの優れた耐久性を確保するのにさらに有利となり得る。中間層が少なくとも2枚以上のサブ中間層の積層体である場合、サブ中間層のそれぞれが前記熱膨張係数の範囲を満たすことができる。
【0105】
前記少なくとも1つ以上の中間層は、それぞれ熱可塑性ポリウレタン(TPU;Thermoplastic Polyurethane)接着剤層、ポリアミド接着剤層、ポリエステル接着剤層、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着剤層、アクリル接着剤層、シリコーン接着剤層またはポリオレフィン接着剤層であってもよい。本出願の一実施例によれば、前記少なくとも1つ以上の中間層は、それぞれ熱可塑性ポリウレタンであってもよい。
【0106】
光学デバイスにおいて、外郭層は液晶素子の側面を囲んでいてもよい。光学デバイスにおいて、液晶素子の上部面積は、第1の外郭基板または第2の外郭基板の上部面積より小さくてもよい。また、液晶素子の上部面積は、光学デバイスに含まれる少なくとも1つ以上の中間層の上部面積より小さくてもよい。一例において、液晶素子は、第1の外郭基板と液晶素子の間に位置する中間層、第2の外郭基板と液晶素子の間に位置する中間層、及び前記外殻層によってカプセル化されてもよい。本明細書において用語の「カプセル化(encapsulation)とは、中間層と外郭層で液晶素子の全面を被覆することを意味しうる。所望の構造によって例えば、第1の外郭基板、中間層、液晶素子、中間層及び第2の外郭基板を順次含み、液晶素子の側面を囲む外郭層を含む積層体を真空状態で圧着する方式で前記カプセル化構造を具現できる。このようなカプセル化構造によって光学デバイスの耐久性や耐候性が大きく向上し、その結果、サンルーフなど野外で使用される用途にも安定的に適用できる。
【0107】
外郭層は、例えば、高分子フィルムを含んでもよい。一例において、外郭層は、高分子フィルム1枚で構成されてもよい。他の一例において、外郭層は、2枚以上の高分子フィルムの積層体であってもよい。2枚以上の高分子フィルムの積層体の場合、2枚以上の高分子フィルムを付着している粘着剤層をさらに含んでもよい。外郭層の構造は、所望の厚さ及び貯蔵弾性率を確保しうる範囲内で適宜選ばれてもよい。
【0108】
高分子フィルムとしては、式1の貯蔵弾性率を満たすことができる範囲内で適切な高分子フィルムを使用してもよい。高分子フィルムとしては、例えば、PC(poly carbonate)フィルム、PE(poly ethylene)フィルム、TPU(Thermoplastic polyurethane、熱可塑性ポリウレタン層)、COP(Cyclo-olefin copolymer)フィルム、POE(Poly olefin,elastomer)フィルム、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)フィルムなどを使用してもよい。
【0109】
本出願は、さらに光学デバイスの製造方法に関する。前記光学デバイスの製造方法は、第1の外郭基板、少なくとも1つ以上の中間層、液晶素子、少なくとも1つ以上の中間層及び第2の外郭基板を順次含む積層体を準備する段階、及び前記積層体にオートクレーブ処理する段階を含んでもよい。光学デバイスの製造方法において特に言及のない限り、前記光学デバイスで説明した内容を同様に適用できる。
【0110】
前記積層体は、液晶素子の側面を囲む外郭層をさらに含んでもよい。
【0111】
光学デバイスが前記液晶素子以外の他の素子、例えば、偏光子をさらに含む場合、前記積層体は、前記液晶素子以外の他の素子を所望の位置にさらに含んでもよい。
【0112】
前記オートクレーブ工程は、積層する段階後に形成された積層体に加熱及び/又は加圧によって行われてもよい。
【0113】
前記オートクレーブ工程の条件は特に制限がなく、例えば、適用された中間層の種類に応じて適切な温度及び圧力下で行ってもよい。通常のオートクレーブ工程の温度は、約80℃以上、90℃以上、または100℃以上であり、圧力は2気圧以上であるが、これに制限されるものではない。前記工程温度の上限は、約200℃以下、190℃以下、180℃以下、または170℃以下程度であってもよく、工程圧力の上限は、約10気圧以下、9気圧以下、8気圧以下、7気圧以下、または6気圧以下の程度であってもよい。
【0114】
前記のような光学デバイスは、様々な用途に使用されてもよく、例えば、サングラスやAR(Argumented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)などのアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどに使用されてもよい。一例において、前記光学デバイスは、それ自体として車両用サンルーフであってもよい。例えば、少なくとも1つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において、前記開口部に装着された前記光学デバイスまたは車両用サンルーフを装着して使用されてもよい。
【発明の効果】
【0115】
本出願の光学デバイスは、液晶素子のセルギャップが適切に維持され、上部基板と下部基板の優れた付着力を有し、押さえや集中などの不良を最小化し、構造的安定性と良好な品質の均一度を確保しうる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【
図1】本出願の例示的な光学デバイスの断面図である。
【
図2】本出願の例示的な光学デバイスの断面図である。
【
図4】比較例1の光学デバイスを撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記の実施例によって制限されるものではない。
【0118】
測定例1.貯蔵弾性率測定
貯蔵弾性率は、TA社のDMA Q800を使用して測定した。具体的に、Multi-Frequency-Strain modeで温度25℃、周波数6rad/sec、Force 0.01N及びRamp rate 3°/minの条件で貯蔵弾性率値を記録した。
【0119】
実施例1
液晶素子の製造
第1の基材層として厚さが約145μmであり、横×縦面積が900mm×600mmのPETフィルムを用意した。第1の基材層上にITO(indium-tin-oxide)を50nmの厚さで蒸着して第1の電極層を形成した。第1の電極層上に粘着剤組成物(KR-3700、信越社)をバーコートした後、約150℃で約5分間乾燥し、厚さが約10μmの粘着剤層を形成した。粘着剤層の貯蔵弾性率は約0.1MPaであった。第1の基材層、第1の電極層及び粘着剤層の組み合わせを上部基板と呼ぶ。
【0120】
第2の基材層として、厚さが約145μmであり、横×縦面積が900mm×600mmのPETフィルムを用意した。第2の基材層上にITO(indium-tin-oxide)を50nmの厚さで蒸着して第2の電極層を形成した。第2の電極層上にアクリル系樹脂組成物(KAD-03、ミニュータテック社)をコーティングした後、フォトリソグラフィ法によりハニカム型スペーサ(隔壁型スペーサ)を形成した。ハニカムを構成する正六角形(閉度形)のピッチが約450μmであり、高さが約6μmであり、線幅が約30μmである。前記隔壁型スペーサによって形成される閉度形(正六角形)の面積は、約2.14mm2であった。前記スペーサ上に垂直配向膜(5661、Nissan chemical社)を約300nmの厚さでコーティングした後、一方向にラビング処理した。第2の基材層、第2の電極層、スペーサ及び垂直配向膜の組み合わせを下部基板と呼ぶ。
【0121】
下部基板の垂直配向膜上に液晶組成物をコーティングして液晶層を形成した後、上部基板の粘着剤層を前記液晶組成物のコーティング面と対向させて合紙した。前記液晶組成物は、液晶化合物(JNC社、T12)、キラルドーパント(HCCH社、S811)を含み、形成された液晶層のピッチpは、約20μmであり、セルギャップdとピッチpの比d/pは、約0.3であった。前記液晶素子は、電圧未印加時に垂直配向状態であるRTNモード液晶セルである。液晶素子の総厚さは、約306μmである。
【0122】
光学デバイスの製造
第1の外郭基板、第1の中間層、第1の偏光子、第2の中間層、前記製造された液晶素子、第3の中間層、第2の偏光子、第4の中間層及び第2の外郭基板を順次含み、液晶素子の側面を囲む外郭層を含む積層体を用意した。第1の外郭基板に比べて第2の外郭基板を重力方向に配置した。
【0123】
第1の外郭基板としては厚さが約3mmであり、面積が横×縦=1100mm×800mmであり、曲率半径が約2,470Rのガラス基板を使用した。第2の外郭基板としては、厚さが約3mmであり、面積が横×縦=1100mm×800mmであり、曲率半径が約2,400Rのガラス基板を使用した。第1の偏光子及び第2の偏光子は、それぞれPVA系偏光子であり、第1の偏光子の光透過軸と第2の偏光子の光透過軸は、約90度をなすように配置した。第1の中間層と第4中間層は、それぞれ1層の厚さが380μmのTPU層(Argotec社)単層である。第2の中間層と第3中間層は、それぞれ1層の厚さが380μmのTPU層(Argotec社)3つの積層体である。第1~第4中間層を形成するために使用されたTPU層(Argotec社)の熱膨張係数は、307ppm/Kであり、貯蔵弾性率は2.18MPaである。外郭層としては、貯蔵弾性率が2000MPaであり、厚さが300μmのPCフィルム(Keiwa社)を使用した。
【0124】
前記積層体に約110℃の温度と約2気圧の圧力でオートクレーブ工程を行い、
図2の構造の光学デバイスを製造した。
【0125】
実施例2
外郭層にMD方向の貯蔵弾性率が約6,000MPaであり、TD方向の貯蔵弾性率が約3,000MPaであり、厚さが145μmのPETフィルム2枚を、貯蔵弾性率が約0.1MPaであり、厚さが10μmの粘着剤層(KR-3700、信越社)を介して付着した積層体を使用したことを除いては、実施例1と同様に工程を行って光学デバイスを製造した。実施例2において外郭層の全厚は、約300μmであった。
【0126】
実施例3
外郭層に貯蔵弾性率が約100MPaであり、厚さが約380μmのTPUフィルム(Argotec社)を使用したことを除いては、実施例1と同様に工程を行って光学デバイスを製造した。
【0127】
比較例1
外郭層に貯蔵弾性率が約100MPaであり、厚さが約150μmのTPUフィルム(Argotec社)を使用したことを除いては、実施例1と同様に工程を行って光学デバイスを製造した。
【0128】
比較例2
外郭層に貯蔵弾性率が約100MPaであり、厚さが約380μmのTPUフィルム(Argotec社)と貯蔵弾性率が約100MPaであり、厚さが約150μmのTPUフィルム(Argotec社)の積層体を使用したことを除いては、実施例1と同様に工程を行って光学デバイスを製造した。比較例2において外郭層の全厚は、約530μmであった。
【0129】
評価例1.合着工程不良の評価
実施例1及び比較例1で製造された光学デバイスを電圧が印加されていない状態で押さえ及び集中不良が発生するかどうかを観察した。実施例1では押さえ不良及び集中不良が観察されなかったが、
図4及び
図5に示すように、比較例1は、押さえ及び集中不良が観察された。
図4は、比較例1の光学デバイスのカメラ写真であり、
図5は、比較例1の光学デバイスの顕微鏡イメージである。
図4において赤色で示すように(左側表示)、集中不良領域の場合、周辺領域より二色性染料の濃度が高いので周辺領域より暗く見え、
図4に緑色で示すように(右側表示)、押さえ不良領域の場合、周辺領域より二色性染料の濃度が低いので、周辺領域よりも明るく見える。比較例2は、合着工程においてガラス基板が破損した。
図5(A)は、比較例1の押さえ不良を示し、
図5(B)は、比較例1の集中不良を示す。
【符号の説明】
【0130】
100a:第1の外郭基板
100b:第2の外郭基板
200a、200b、200c、200d:中間層
300:液晶素子
400:外郭層
500a:第1の偏光子
500b:第2の偏光子
10a:第1の基材層
10b:第1の電極層
10c:粘着剤層
20a:第2の基材層
20b:第2の電極層
20c:スペーサ
20d:配向膜