(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】媒体積載装置及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
B65H31/00 B
(21)【出願番号】P 2020144722
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】山廣 健一郎
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-070287(JP,A)
【文献】特開2013-043770(JP,A)
【文献】特開2008-184309(JP,A)
【文献】国際公開第2019/190479(WO,A1)
【文献】特開2017-226531(JP,A)
【文献】特開2018-193142(JP,A)
【文献】特開2015-189559(JP,A)
【文献】特開2001-130814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を収容するバケット空間を形成するように撓んだバケット形態、及び媒体を上面で支持するように展張したスタッカ形態に変形可能な支持シートと、
前記支持シートの一端を支持する固定パイプと、
前記支持シートの他端を支持し、前記支持シートを前記バケット形態に変形させるバケット位置、及び前記バケット位置より前記固定パイプから離間して前記支持シートを前記スタッカ形態に変形させるスタッカ位置に移動可能な第1可動パイプと、
前記スタッカ形態の前記支持シートを下面側から押圧する押圧位置、及び前記支持シートの押圧を解除する解除位置に移動可能な第2可動パイプと、
前記第1可動パイプの移動に連動して前記第2可動パイプを移動させるパイプリンク機構とを備え、
前記パイプリンク機構は、
一端が前記第1可動パイプに固定されて、前記第1可動パイプの移動方向に沿って延設されたスライドパイプと、
前記第1可動パイプの移動方向に離間した位置において、前記スライドパイプに固定された第1係合部及び第2係合部と、
前記第1可動パイプが前記バケット位置から前記スタッカ位置に移動する過程で前記第1係合部に係合して第1方向に回動し、前記第1可動パイプが前記スタッカ位置から前記バケット位置に移動する過程で前記第2係合部に係合して前記第1方向と逆方向の第2方向に回動する第1アームと、
前記第2可動パイプに連結された第2アームとを備え、
前記第1係合部は、前記第2係合部より前記第1可動パイプの移動方向の上流側に配置され、
前記第2アームは、
前記第1アームの前記第1方向の回動が伝達されることによって、前記第2可動パイプを前記解除位置から前記押圧位置に公転させる方向に回動し、
前記第1アームの前記第2方向の回動が伝達されることによって、前記第2可動パイプを前記押圧位置から前記解除位置に公転させる方向に回動することを特徴とする媒体積載装置。
【請求項2】
前記パイプリンク機構は、
前記第1アームの回動中心に取り付けられた第1ギヤと、
前記第2アームに回動中心に取り付けられて前記第1ギヤに噛合する第2ギヤとを備え、
前記第1アームの回動が前記第1ギヤ及び前記第2ギヤを介して、前記第2アームに伝達されることを特徴とする請求項1に記載の媒体積載装置。
【請求項3】
前記スライドパイプ、前記第1アーム、前記第1ギヤ、前記第2ギヤ、及び前記第2アームは、前記第1可動パイプ及び前記第2可動パイプの一端及び他端それぞれに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の媒体積載装置。
【請求項4】
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのギヤ比は、前記第1アーム及び前記第2アームの回動角の比に応じて設定されることを特徴とする請求項2または3に記載の媒体積載装置。
【請求項5】
前記第1アームは、回動中心から互いに異なる方向に延設され且つ延設長さが異なる第1長尺アーム及び第1短尺アームを備え、
前記第2アームは、回動中心から互いに異なる方向に延設され且つ延設長さが異なる第2長尺アーム及び第2短尺アームを備え、
前記第1長尺アームの回動先端は、前記第1係合部及び前記第2係合部に係合し、
前記第2長尺アームの回動先端には、前記第2可動パイプが連結され、
前記第1アーム及び第2アームは、前記第1短尺アーム及び前記第2短尺アームの一方に設けられた長孔に、前記第1短尺アーム及び前記第2短尺アームの他方に設けられた突起が進入することによって、相対回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の媒体積載装置。
【請求項6】
積層された複数の媒体の端部位置を位置決めするメディア位置決め部材と、
前記支持シートの上面に対して前記メディア位置決め部材を出没させる位置決め部材リンク機構とを備え、
前記位置決め部材リンク機構は、
前記第1可動パイプが前記スタッカ位置から位置決め位置に押し下げられたことに連動して、前記支持シートに設けられたスリットを通じて、前記メディア位置決め部材を前記支持シートの上面側に突出させ、
前記第1可動パイプが前記位置決め位置から前記スタッカ位置に押し上げられたことに連動して、前記スリットを通じて、前記メディア位置決め部材を前記支持シートの下面側に没入させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の媒体積載装置。
【請求項7】
前記メディア位置決め部材は、一端が前記第2可動パイプに連結され、他端が前記第2可動パイプの自転に伴って前記支持シートの上面に対して出没し、
前記パイプリンク機構は、一端が前記第1可動パイプに固定されたスライドパイプを備え、
前記位置決め部材リンク機構は、前記スライドパイプの他端が上下方向に移動するのに連動して、前記メディア位置決め部材が前記支持シートの上面側に突出する方向及び前記メディア位置決め部材が前記支持シートの下面側に没入する方向に、前記第2可動パイプを自転させるリンクアームを備えることを特徴とする請求項6に記載の媒体積載装置。
【請求項8】
媒体に液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部から吐出された液体が着弾した媒体を積載する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の媒体積載装置とを備える液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体積載装置及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、媒体に液体を吐出する装置の一形態として、媒体に画像を形成する画像形成部と、画像形成部から排出された媒体を積載する媒体積載装置とを備える画像形成装置が知られている。また、媒体積載装置は、画像形成装置の用途に応じて、ユーザの手動操作によって使用形態を変更することが可能に構成されている。
【0003】
例えば、媒体を積載するシート部材を支持する複数のシャフトを、複数のフックのいずれかに掛けることによって、運搬モード、第1後方排紙モード、第2後方排紙モード、前方排紙モードなどに変更することができる媒体積載装置が存在する(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のモード変更操作は、マニュアルで手順を確認しなければならないほど煩雑である。そのため、モード変更操作を諦めるユーザが多く、媒体積載装置の機能を十分に活用できないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡単な操作で使用形態を変更可能な媒体積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、媒体を収容するバケット空間を形成するように撓んだバケット形態、及び媒体を上面で支持するように展張したスタッカ形態に変形可能な支持シートと、前記支持シートの一端を支持する固定パイプと、前記支持シートの他端を支持し、前記支持シートを前記バケット形態に変形させるバケット位置、及び前記バケット位置より前記固定パイプから離間して前記支持シートを前記スタッカ形態に変形させるスタッカ位置に移動可能な第1可動パイプと、前記スタッカ形態の前記支持シートを下面側から押圧する押圧位置、及び前記支持シートの押圧を解除する解除位置に移動可能な第2可動パイプと、前記第1可動パイプの移動に連動して前記第2可動パイプを移動させるパイプリンク機構とを備え、前記パイプリンク機構は、一端が前記第1可動パイプに固定されて、前記第1可動パイプの移動方向に沿って延設されたスライドパイプと、前記第1可動パイプの移動方向に離間した位置において、前記スライドパイプに固定された第1係合部及び第2係合部と、前記第1可動パイプが前記バケット位置から前記スタッカ位置に移動する過程で前記第1係合部に係合して第1方向に回動し、前記第1可動パイプが前記スタッカ位置から前記バケット位置に移動する過程で前記第2係合部に係合して前記第1方向と逆方向の第2方向に回動する第1アームと、一端が前記第1アームに連結され且つ他端が前記第2可動パイプに連結された第2アームとを備え、前記第1係合部は、前記第2係合部より前記第1可動パイプの移動方向の上流側に配置され、前記第2アームは、前記第1アームの前記第1方向の回動が伝達されることによって、前記第2可動パイプを前記解除位置から前記押圧位置に公転させる方向に回動し、前記第1アームの前記第2方向の回動が伝達されることによって、前記第2可動パイプを前記押圧位置から前記解除位置に公転させる方向に回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な操作で媒体積載装置の使用形態を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】支持シートに対する固定パイプの取り付け方法を示す斜視図。
【
図4】本実施形態に係るパイプリンク機構を示す斜視図。
【
図5】第1可動パイプ及び第2可動パイプの位置の変化を示す図。
【
図6】位置決め部材リンク機構によるメディア位置決め部材の位置の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態]
以下、
図1を参照して、液体吐出装置の一例である画像形成装置1について説明する。
図1は、画像形成装置1の構成を示す斜視図である。本実施形態に係る画像形成装置1は、用紙P(媒体)にインク(液体)を吐出することによって、当該用紙Pに画像を形成するインクジェット式画像形成装置である。
【0010】
但し、画像形成装置1の画像形成方式は、インクジェット方式に限定されず、電子写真方式などであってもよい。また、媒体の具体例は用紙Pに限定されず、OHPシート、糸、繊維、皮革、金属、プラスチックなど、シート状で且つ画像形成装置1による画像形成が可能であれば、どのようなものでもよい。さらに、液体の具体例はインクに限定されず、前処理液や後処理液などでもよい。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置1は、液体吐出部の一例である画像形成部10と、媒体積載装置20とを主に備える。また、画像形成装置1は、画像形成装置1にセットされた用紙Pを、画像形成部10に対面する位置に搬送し、さらに排出口2を通じて排出する搬送部を備える。搬送部は、例えば、用紙Pを挟持して回転する複数のローラ対によって構成される。以下、搬送部による用紙Pの搬送方向を「副走査方向X」と定義する。
【0012】
さらに、画像形成装置1には、各色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを貯留した複数のインクカートリッジ11が着脱可能に構成されている。そして、画像形成部10は、インクカートリッジ11に貯留されたインクを、搬送部によって搬送される用紙Pに向けて吐出することによって、当該用紙Pに画像を形成する。より詳細には、画像形成部10は、ガイドロッド12と、ガイドレール13と、キャリッジ14と、主走査モータ15とを主に備える。
【0013】
ガイドロッド12及びガイドレール13は、副走査方向Xに直交する主走査方向Yに延設されている。キャリッジ14は、ガイドロッド12及びガイドレール13に沿って、主走査方向Yに往復移動が可能に構成されている。主走査モータ15の駆動力が駆動力伝達機構を通じてキャリッジ14に伝達されることによって、キャリッジ14が主走査方向Yに移動する。また、キャリッジ14には、インクカートリッジ11に貯留された各色のインクを吐出する複数の記録ヘッドが搭載されている。そして、キャリッジ14が主走査方向Yに移動する過程で記録ヘッドにインクを吐出させることによって、画像形成部10に対面する用紙Pに画像が形成される。
【0014】
図2~
図6を参照して、媒体積載装置20の詳細を説明する。
図2は、支持シート21の形態の変化を示す図である。
図3は、支持シート21に対する固定パイプ25の取り付け方法を示す斜視図である。
図4は、本実施形態に係るパイプリンク機構30を示す斜視図である。
図5は、第1可動パイプ26及び第2可動パイプ27の位置の変化を示す図である。
図6は、位置決め部材リンク機構40によるメディア位置決め部材28の位置の変化を示す図である。
【0015】
媒体積載装置20は、排出口2から排出された(すなわち、画像形成部10から吐出されたインクが着弾した)用紙Pを積載する。また、媒体積載装置20は、オペレータの操作によって使用形態を変更可能に構成されている。
図1~
図6に示すように、媒体積載装置20は、支持シート21と、固定パイプ22、23、24、25と、第1可動パイプ26と、第2可動パイプ27と、メディア位置決め部材28と、パイプリンク機構30と、位置決め部材リンク機構40とを主に備える。
【0016】
支持シート21は、可撓性を有する布状の部材である。副走査方向Xにおける支持シート21の長さは、例えば、画像形成装置1にセット可能な用紙Pの副走査方向Xの最大長さより長い。また、主走査方向Yにおける支持シート21の幅は、例えば、画像形成装置1にセット可能な用紙Pの主走査方向Yの最大幅より長い。但し、支持シート21サイズと画像形成装置1にセット可能な用紙Pのサイズとの関係は、前述の例に限定されない。
【0017】
支持シート21は、
図2(A)に示すバケット形態と、
図2(B)に示すスタッカ形態とに変形可能に構成されている。バケット形態は、支持シート21が下に凸になるように撓んで、排出口2から排出された用紙Pを収容可能なバケット空間を形成する形態である。すなわち、バケット空間は、上方が開口した空間である。スタッカ形態は、支持シート21が展張して、排出口2から排出された用紙Pを上面で積層支持する形態である。
【0018】
固定パイプ22~25は、各々が主走査方向Yに延設された状態で、媒体積載装置20のフレームに固定されている。また、固定パイプ22~25それぞれは、副走査方向X及び上下方向Zに離間した位置において、支持シート21の下面に取り付けられている。すなわち、固定パイプ22~25は、支持シート21を支持する。固定パイプ22は、支持シート21の副走査方向Xの上流側の端部(一端)を支持している。
【0019】
固定パイプ22~25を支持シート21に取り付ける方法は、特に限定されない。例えば
図3に示すように、固定パイプ25は、支持シート21を貫通し且つ副走査方向Xに延びるスリット21aに挿通されていてもよい。これにより、支持シート21の形態に応じて、副走査方向Xの適切な位置で支持シート21を支持することができる。他の固定パイプ22~24についても同様である。
【0020】
第1可動パイプ26は、主走査方向Yに延設されている。また、第1可動パイプ26は、支持シート21の副走査方向Xの下流側の端部(他端)を支持している。さらに、第1可動パイプ26は、副走査方向Xに沿って移動可能な状態で、後述するスライドパイプ31a、31bに支持されている。より詳細には、第1可動パイプ26は、固定パイプ22に最も近づいたバケット位置(
図2(A))と、固定パイプ22から最も離間したスタッカ位置(
図2(B))との間を、副走査方向Xに沿って移動する。
【0021】
第1可動パイプ26は、画像形成装置1のユーザによって媒体積載装置20から引き出されることによって、バケット位置からスタッカ位置に移動する。これにより、支持シート21がバケット形態からスタッカ形態に変形する。また、第1可動パイプ26は、画像形成装置1のユーザによって媒体積載装置20に押し込まれることによって、スタッカ位置からバケット位置に移動する。これにより、支持シート21がスタッカ形態からバケット形態に変形する。
【0022】
第2可動パイプ27は、主走査方向Yに延設されている。また、第2可動パイプ27は、後述する第2ギヤ36a、36bの回転中心O
2を中心として公転(移動)可能な状態で、後述する第2アーム37a、37bに支持されている。より詳細には、第2可動パイプ27は、スタッカ形態の支持シート21を下面側から押圧する押圧位置(
図2(B))と、支持シート21の押圧を解除する解除位置(
図2(A))との間を、回転中心O
2周りに公転する。
【0023】
メディア位置決め部材28は、スタッカ形態の支持シート21上に支持された用紙Pの先端を支持する。これにより、スタッカ形態の支持シート21上に複数の用紙Pが積層された場合に、当該用紙Pの端部位置を揃える(位置決め)することができる。メディア位置決め部材28は、一端が第2可動パイプ27に連結され、第2可動パイプ27の自転に伴って他端が支持シート21の上面に対して出没する。より詳細には、メディア位置決め部材28は、支持シート21に設けられたスリットを通じて、支持シート21の上面側に突出し(
図2(B))、支持シート21の下面側に没入する(
図2(A))。
【0024】
パイプリンク機構30は、第1可動パイプ26の移動に連動して、第2可動パイプ27を移動させる。より詳細には、パイプリンク機構30は、第1可動パイプ26のバケット位置からスタッカ位置への移動に連動して、第2可動パイプ27を解除位置から押圧位置へ移動させる。また、パイプリンク機構30は、第1可動パイプ26のスタッカ位置からバケット位置への移動に連動して、第2可動パイプ27を押圧位置から解除位置へ移動させる。
【0025】
図4に示すように、パイプリンク機構30は、一対のスライドパイプ31a、31bと、一対の第1係合部32a、32bと、一対の第2係合部33a、33bと、一対の第1アーム34a、34bと、一対の第1ギヤ35a、35bと、一対の第2ギヤ36a、36bと、一対の第2アーム37a、37bとを主に備える。
【0026】
スライドパイプ31a、31bの一端は、第1可動パイプ26の主走査方向Yの端部に連結されている。また、スライドパイプ31a、31bは、副走査方向X(すなわち、バケット位置及びスタッカ位置の間の第1可動パイプ26の移動方向)に延設されている。そして、スライドパイプ31a、31bは、副走査方向Xにスライド可能な状態で、媒体積載装置20のフレームに支持されている。さらに、スライドパイプ31a、31bの他端は、後述する位置決め部材リンク機構40に接離可能に構成されている。
【0027】
第1係合部32a、32b及び第2係合部33a、33bは、スライドパイプ31a、31bの表面から主走査方向Yに突出する突起である。第1係合部32a、32b及び第2係合部33a、33bは、副走査方向Xに離間した位置に設けられている。より詳細には、第1係合部32a、32bは、第2係合部33a、33bより副走査方向Xの上流側に配置されている。
【0028】
第1アーム34a、34bは、一端がスライドパイプ31a、31bに係合し、他端が主走査方向Yに延びる回動軸線回りに回動可能な状態で媒体積載装置20のフレームに支持されている。より詳細には、第1アーム34a、34bの一端は、スライドパイプ31a、31bを挿入可能な長孔であって、第1係合部32a、32b及び第2係合部33a、33bに係合可能に構成されている。また、第1アーム34a、34bの他端には、第1ギヤ35a、35bが固定されている。そして、第1アーム34a、34bの回動中心O1と、第1ギヤ35a、35bの回転中心O1とは一致している。
【0029】
第2ギヤ36a、36bは、第1ギヤ35a、35bに噛合されると共に、第2アーム37a、37bに固定されている。第2アーム37a、37bは、一端が第2可動パイプ27の主走査方向Yの端部に連結され、他端が主走査方向Yに延びる回動軸線回りに回動可能な状態で媒体積載装置20のフレームに支持されている。そして、第2アーム37a、37bの回動中心O2と、第2ギヤ36a、36bの回転中心O2とは一致している。
【0030】
パイプリンク機構30は、以下のように動作することによって、第1可動パイプ26の移動に連動して第2可動パイプ27を移動させる。なお、第1可動パイプ26及び第2可動パイプの一端及び他端それぞれに設けられたパイプリンク機構30の構成部品の動作は共通している。そこで、スライドパイプ31b、第1係合部32b、第2係合部33b、第1アーム34b、第1ギヤ35b、第2ギヤ36b、第2アーム37bの動作を詳細に説明する。
【0031】
まず、
図5(A)に示すように、第1アーム34bは、第1可動パイプ26がバケット位置からスタッカ位置に向けて移動する過程で第1係合部32bに係合して、回動中心O
1を中心として反時計回り(第1方向)に回動する。これにより、第1ギヤ35bが回転中心O
1を中心として反時計回りに回転し、第1ギヤ35bに噛合した第2ギヤ36bが回転中心O
2を中心として時計回りに回転し、第2アーム37bが回動中心O
2を中心として時計回りに回動する。
【0032】
すなわち、第1アーム34bの反時計回りの回動が第1ギヤ35b及び第2ギヤ36を介して第2アーム37bに伝達される。そして、第2アーム37bの回動先端に取り付けられた第2可動パイプ27は、回動中心O2を中心として解除位置から押圧位置に公転する。その結果、支持シート21がバケット形態からスタッカ形態に変形すると共に、スタッカ形態の支持シート21を下面側から第2可動パイプ27で押圧する。
【0033】
また、
図5(B)に示すように、第1アーム34bは、第1可動パイプ26がスタッカ位置からバケット位置に向けて移動する過程で第2係合部33bに係合して、回動中心O
1を中心として時計回り(第1方向と逆方向の第2方向)に回動する。これにより、第1ギヤ35bが回転中心O
1を中心として時計回りに回転し、第1ギヤ35bに噛合した第2ギヤ36bが回転中心O
2を中心として反時計回りに回転し、第2アーム37bが回動中心O
2を中心として反時計回りに回動する。
【0034】
すなわち、第1アーム34bの時計回りの回動が第1ギヤ35b及び第2ギヤ36を介して第2アーム37bに伝達される。そして、第2アーム37bの回動先端に取り付けられた第2可動パイプ27は、回動中心O2を中心として押圧位置から解除位置に公転する。その結果、支持シート21がスタッカ形態からバケット形態に変形すると共に、第2可動パイプ27による支持シート21の押圧が解除される。
【0035】
なお、互いに噛合する第1ギヤ35a、35b及び第2ギヤ36a、36bのギヤ比は、第1アーム34a、34b及び第2アーム37a、37bの回動角の比に応じて適宜設定される。
【0036】
また、第1可動パイプ26は、スタッカ位置と、スタッカ位置より下方で且つ副走査方向Xの下流側の位置決め位置との間で上下方向及び副走査方向Xに移動可能に構成されている。より詳細には、スタッカ位置の第1可動パイプ26をユーザが引きながら下げることによって、位置決め位置に移動する。また、位置決め位置の第1可動パイプ26をユーザが押しながら上げることによって、スタッカ位置に移動する。そして、スライドパイプ31a、31bの他端は、第1可動パイプ26がスタッカ位置から位置決め位置に移動することによって上昇しながら副走査方向Xの下流側に移動し、第1可動パイプ26が位置決め位置からスタッカ位置に移動することによって下降しながら副走査方向Xの上流側に移動する。
【0037】
位置決め部材リンク機構40は、スライドパイプ31a、31bの他端の上下方向及び副走査方向Xの移動に連動して、押圧位置の第2可動パイプ27を主走査方向Yに延びる回動軸線回りに自転させる。その結果、メディア位置決め部材28は、支持シート21に設けられたスリットを通じて、支持シート21の上面側に対して出没する。
図6に示すように、位置決め部材リンク機構40は、リンクアーム41、42、43、44と、コイルバネ45(付勢部材)とを主に備える。なお、
図6には、位置決め部材リンク機構40の構成部品のうち、スライドパイプ31b側の構成部品のみを図示するが、スライドパイプ31a側にも同様の構成部品が存在する。
【0038】
リンクアーム41~44それぞれは、主走査方向Yに延びる回動軸線回りに回動可能または主走査方向Yに直交する方向にスライド可能な状態で、媒体積載装置20のフレームに支持されている。また、リンクアーム41は、上下方向及び副走査方向Xに移動するスライドパイプ31bの他端に押されて、
図6の時計回り及び反時計回りに回動する。さらに、リンクアーム41は、コイルバネ45によって現在の位置を保持するように下向きに付勢されている。リンクアーム44は、第2可動パイプ27に固定されている。そして、リンクアーム42、43は、リンクアーム41の回動に連動して、リンクアーム44を回動させる。その結果、第2可動パイプ27が自転する。
【0039】
図6(A)に示すように、ユーザが第1可動パイプ26をスタッカ位置から位置決め位置に移動させると、引き上げられたスライドパイプ31bの他端がL字型のリンクアーム41の一端に当接して、リンクアーム41を時計回りに回動させる。そして、リンクアーム41の時計回りの回動がリンクアーム42、43、44を通じて伝達されることによって、押圧位置の第2可動パイプ27が反時計回りに自転する。その結果、メディア位置決め部材28は、支持シート21に設けられたスリットを通じて、支持シート21の上面側に突出する。
【0040】
すなわち、位置決め部材リンク機構40は、ユーザが第1可動パイプ26をスタッカ位置から位置決め位置に移動させる(すなわち、スライドパイプ31bの他端がリンクアーム41を時計回りに押す)ことに連動して、支持シート21に設けられたスリットを通じて、メディア位置決め部材28を支持シート21の上面側に突出させる。
【0041】
また、
図6(B)に示すように、ユーザが第1可動パイプ26を位置決め位置からスタッカ位置に移動させると、押し下げられたスライドパイプ31bの他端がL字型のリンクアーム41の他端に当接して、リンクアーム41を反時計回りに回動させる。そして、リンクアーム41の反時計回りの回動がリンクアーム42、43、44を通じて伝達されることによって、押圧位置の第2可動パイプ27が時計回りに自転する。その結果、コイルバネ45による現在位置の保持が解除されたメディア位置決め部材28は、支持シート21に設けられたスリットを通じて、自重で支持シート21の下面側に没入する。
【0042】
すなわち、位置決め部材リンク機構40は、ユーザがパイプ26を位置決め位置からスタッカ位置に移動させた(すなわち、スライドパイプ31bの他端がリンクアーム41を反時計回りに押す)ことに連動して、支持シート21に設けられたスリットを通じて、メディア位置決め部材28を支持シート21の下面側に没入させる。
【0043】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0044】
上記の実施形態によれば、バケット位置及びスタッカ位置の間で第1可動パイプ26をユーザに操作させることによって、支持シート21の形態の変更と、第2可動パイプ27の移動とを行うことができる。このように、簡単な操作で媒体積載装置20の使用形態を変更することができる。
【0045】
また、上記の実施形態によれば、スタッカ位置及び位置決め位置の間で第1可動パイプ26をユーザに操作させることによって、スタッカ形態の支持シート21の上面に対してメディア位置決め部材28を出没させることができる。このように、簡単な操作でメディア位置決め部材28を移動させることができる。
【0046】
さらに、上記の実施形態によれば、パイプリンク機構30及び位置決め部材リンク機構40によって、第1可動パイプ26、第2可動パイプ27、及びメディア位置決め部材28を連動して移動させることができる。このように、モータ等のアクチュエータを用いる必要がないので、第1可動パイプ26、第2可動パイプ27、及びメディア位置決め部材28の連動した移動をシンプルな構成で実現できる。
【0047】
なお、上記の実施形態では、パイプリンク機構30及び位置決め部材リンク機構40を、一対のスライドパイプ31a、31bの両方に設けた例を説明した。しかしながら、一対の第2アーム37a、37bの他端がステーなどで連結固定されていれば、パイプリンク機構30及び位置決め部材リンク機構40を、一対のスライドパイプ31a、31bの片方にだけ設けても前述の動作を実現することができる。
【0048】
[変形例]
次に、
図7を参照して、変形例に係るパイプリンク機構50の構成を説明する。
図7は、変形例に係るパイプリンク機構50を示す図である。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図7に示すように、変形例に係るパイプリンク機構50は、スライドパイプ31bと、第1アーム51と、第2アーム52とで構成されている。なお、
図7には、パイプリンク機構50の構成部品のうち、スライドパイプ31b側の構成部品のみを図示するが、スライドパイプ31a側にも同様の構成部品が存在する。
【0049】
第1アーム51は、回動中心O3を中心とし且つ主走査方向Yに延びる回動軸線回りに回動可能な状態で、媒体積載装置20のフレームに支持されている。第1アーム51は、回動中心O3から異なる方向に延設され且つ延設長さが異なる第1長尺アーム53及び第1短尺アーム54で構成されている。第1長尺アーム53の回動先端は、スライドパイプ31bに係合する。第1短尺アーム54の回動先端には、長孔55が形成されている。
【0050】
第2アーム52は、回動中心O4を中心とし且つ主走査方向Yに延びる回動軸線回りに回動可能な状態で、媒体積載装置20のフレームに支持されている。第2アーム52は、回動中心O4から異なる方向に延設され且つ延設長さが異なる第2長尺アーム56及び第2短尺アーム57で構成されている。第2長尺アーム56の回動先端には、第2可動パイプ27の主走査方向Yの端部が固定されている。第2短尺アーム57の回動先端には、長孔55に進入する突起58が形成されている。
【0051】
まず、
図7(A)に示すように、第1アーム51は、第1可動パイプ26がバケット位置からスタッカ位置に向けて移動する過程で第1係合部32bに係合して、回動中心O
3を中心として反時計回り(第1方向)に回動する。これにより、第2アーム52は、第1アーム51の反時計回りの回動に連動して、回動中心O
4を中心として時計回りに回動する。その結果、第2長尺アーム56の回動先端に取り付けられた第2可動パイプ27は、回動中心O
4を中心として解除位置から押圧位置に公転する。
【0052】
また、
図7(B)に示すように、第1アーム51は、第1可動パイプ26がスタッカ位置からバケット位置に向けて移動する過程で第2係合部33bに係合して、回動中心O
3を中心として時計回り(第2方向)に回動する。これにより、第2アーム52は、第1アーム51の時計回りの回動に連動して、回動中心O
4を中心として反時計回りに回動する。その結果、第2長尺アーム56の回動先端に取り付けられた第2可動パイプ27は、回動中心O
4を中心として押圧位置から解除位置に公転する。
【0053】
このとき、第1アーム51及び第2アーム52が相対回動する過程において、長孔55内における突起58の位置が変化する。より詳細には、
図7(A)及び
図7(B)に示すように、第1可動パイプ26がスタッカ位置及びバケット位置(換言すれば、第2可動パイプ27が押圧位置及び解除位置)に位置するとき、突起58は長孔55の回動中心O
3から最も遠い位置に配置される。そして、突起58は、回動中心O
3、O
4を結ぶ仮想線に近づくほど長孔55内で回動中心O
3に近づき、回動中心O
3、O
4を結ぶ仮想線から遠ざかるほど長孔55内で回動中心O
3から遠ざかる。これにより、第1アーム51及び第2アーム52の相対回動が可能になる。なお、長孔55が第2短尺アーム57に設けられ、突起58が第1短尺アーム54に設けられていてもよい。
【0054】
このように、パイプリンク機構30、50は、第1可動パイプ26の移動に連動して第2可動パイプ27を移動させることができれば、どのような構成であってもよい。同様に、位置決め部材リンク機構40は、第1可動パイプ26の移動に連動してメディア位置決め部材28を出没させることができれば、どのような構成であってもよい。
【0055】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 :画像形成装置
2 :排出口
10 :画像形成部
11 :インクカートリッジ
12 :ガイドロッド
13 :ガイドレール
14 :キャリッジ
15 :主走査モータ
20 :媒体積載装置
21 :支持シート
21a :スリット
22,23,24,25 :固定パイプ
26 :第1可動パイプ
27 :第2可動パイプ
28 :メディア位置決め部材
30 :パイプリンク機構
31a,31b :スライドパイプ
32a,32b :第1係合部
33a,33b :第2係合部
34a,34b :第1アーム
35a,35b :第1ギヤ
36a,36b :第2ギヤ
37a,37b :第2アーム
40 :位置決め部材リンク機構
41,42,43,44 :リンクアーム
45 :コイルバネ
50 :パイプリンク機構
51 :第1アーム
52 :第2アーム
53 :第1長尺アーム
54 :第1短尺アーム
55 :長孔
56 :第2長尺アーム
57 :第2短尺アーム
58 :突起
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】