(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】表示装置、被照射部材、及び表示方法
(51)【国際特許分類】
G03B 35/18 20210101AFI20241112BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20241112BHJP
G02B 30/54 20200101ALI20241112BHJP
G03B 21/56 20060101ALI20241112BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241112BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241112BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20241112BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241112BHJP
H04N 13/363 20180101ALI20241112BHJP
H04N 13/393 20180101ALI20241112BHJP
【FI】
G03B35/18
G02B5/02 C
G02B30/54
G03B21/56
G09F9/00 361
G09G5/00 510B
G09G5/36 500
H04N5/74 Z
H04N13/363
H04N13/393
(21)【出願番号】P 2021005348
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩平
(72)【発明者】
【氏名】並木 友和
(72)【発明者】
【氏名】北川 岳寿
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0269372(US,A1)
【文献】米国特許第04922336(US,A)
【文献】米国特許第06064423(US,A)
【文献】特開平07-191276(JP,A)
【文献】米国特許第05854613(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0140631(US,A1)
【文献】特開2000-287225(JP,A)
【文献】特開2004-040667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 35/18
G02B 5/02
G02B 30/54
G03B 21/56
G09F 9/00
G09G 5/00
G09G 5/36
H04N 5/74
H04N 13/363
H04N 13/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材と、
前記軸周りに前記被照射部材を回転させる駆動部と、
回転される前記被照射部材に画像光を照射する照射部と、を有し、
前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する表示装置
であって、
前記被照射部材は、前記軸に交差する平面内での所定方向における位置をxとし、前記平面内で前記所定方向に直交する方向における位置をyとし、前記軸に沿う方向における位置をzとした場合に、以下の(1)乃至(5)式を満足する形状を含む表示装置。
x=a×r×cos(b×θ) ・・・(1)
y=a×r×sin(b×θ) ・・・(2)
z=c×θ+d×r ・・・(3)
0≦θ≦1 ・・・(4)
0≦r≦1 ・・・(5)
(a、b、c及びdは定数を表し、r及びθは変数を表す。)
【請求項2】
軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材と、
前記軸周りに前記被照射部材を回転させる駆動部と、
回転される前記被照射部材に画像光を照射する照射部と、を有し、
前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する表示装置であって、
前記被照射部材は、前記軸に交差する平面内での所定方向における位置をxとし、前記平面内で前記所定方向に直交する方向における位置をyとし、前記軸に沿う方向における位置をzとした場合に、以下の(6)乃至(10)式を満足する形状を含む表示装置。
x=a×r×cos(b×θ) ・・・(6)
y=a×r×sin(b×θ) ・・・(7)
z=c×θ+d×r ・・・(8)
d≧0のとき、-d/c≦θ≦1、且つ0≦Z≦c ・・・(9)
d<0のとき、0≦θ≦1-d/c、且つ0≦Z≦c ・・・(10)
(a、b、c及びdは定数を表し、r及びθは変数を表す。)
【請求項3】
軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材と、
前記軸周りに前記被照射部材を回転させる駆動部と、
回転される前記被照射部材に画像光を照射する照射部と、を有し、
前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する表示装置であって、
前記被照射部材は、前記軸に交差する平面内での所定方向における位置をxとし、前記平面内で前記所定方向に直交する方向における位置をyとし、前記軸に沿う方向における位置をzとした場合に、以下の(11)乃至(15)式を満足する形状を含む表示装置。
x=ac×[cos(bc×θ)×{1-cos(dc×φ)}-sin(bc×θ)×sin(d×φ)] ・・・(11)
y=a×[sin(bc×θ)×{1-cos(dc×φ)}+cos(bc×θ)×sin(dc×φ)] ・・・(12)
z=cc×θ ・・・(13)
0≦θ≦1 ・・・(14)
0≦φ≦1 ・・・(15)
(ac、bc、cc及びdcは定数を表し、θ及びφは変数を表す。)
【請求項4】
前記像は、3次元像である請求項1
乃至3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記画像光は、2次元画像を含む請求項1
乃至4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記照射部は、前記軸に沿う方向から前記被照射部材に前記画像光を照射し、
少なくとも前記軸に交差する方向から視認可能な前記像を表示する請求項1乃至
5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記照射部は、回転される前記被照射部材の位置に基づき生成された前記画像光を照射する請求項1乃至
6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記被照射部材は、複数の羽根部材を含み、
前記複数の羽根部材のそれぞれは、前記螺旋形状を含み、前記軸
に沿う方向
から視た場合に非重複となる位置に配置されている請求項1乃至
7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8の何れか1項に記載の表示装置が有する被照射部材。
【請求項10】
軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材を、前記軸周りに回転させる工程と、
回転される前記被照射部材に画像光を照射する工程と、を行い、
前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する表示方法
であって、
前記被照射部材は、前記軸に交差する平面内での所定方向における位置をxとし、前記平面内で前記所定方向に直交する方向における位置をyとし、前記軸に沿う方向における位置をzとした場合に、以下の(1)乃至(5)式を満足する形状を含む表示装置。
x=a×r×cos(b×θ) ・・・(1)
y=a×r×sin(b×θ) ・・・(2)
z=c×θ+d×r ・・・(3)
0≦θ≦1 ・・・(4)
0≦r≦1 ・・・(5)
(a、b、c及びdは定数を表し、r及びθは変数を表す。)
【請求項11】
軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材を、前記軸周りに回転させる工程と、
回転される前記被照射部材に画像光を照射する工程と、を行い、
前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する表示方法であって、
前記被照射部材は、前記軸に交差する平面内での所定方向における位置をxとし、前記平面内で前記所定方向に直交する方向における位置をyとし、前記軸に沿う方向における位置をzとした場合に、以下の(6)乃至(10)式を満足する形状を含む表示方法。
x=a×r×cos(b×θ)・・・(6)
y=a×r×sin(b×θ)・・・(7)
z=c×θ+d×r・・・(8)
d≧0のとき、-d/c≦θ≦1、且つ0≦Z≦c・・・(9)
d<0のとき、0≦θ≦1-d/c、且つ0≦Z≦c・・・(10)
(a、b、c及びdは定数を表し、r及びθは変数を表す。)
【請求項12】
軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材を、前記軸周りに回転させる工程と、
回転される前記被照射部材に画像光を照射する工程と、を行い、
前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する表示方法であって、
前記被照射部材は、前記軸に交差する平面内での所定方向における位置をxとし、前記平面内で前記所定方向に直交する方向における位置をyとし、前記軸に沿う方向における位置をzとした場合に、
以下の(11)乃至(15)式を満足する形状を含む表示装置。
x=ac×[cos(bc×θ)×{1-cos(dc×φ)}-sin(bc×θ)×sin(d×φ)] ・・・(11)
y=a×[sin(bc×θ)×{1-cos(dc×φ)}+cos(bc×θ)×sin(dc×φ)] ・・・(12)
z=cc×θ ・・・(13)
0≦θ≦1 ・・・(14)
0≦φ≦1 ・・・(15)
(ac、bc、cc及びdcは定数を表し、θ及びφは変数を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示装置、被照射部材、及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被照射部材を回転軸周りに回転させながら、被照射部材に2次元画像を照射し、残像効果を利用して像を表示する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の構成における被照射部材は、回転軸に直交する直線を回転軸周りに回転させながら回転軸に沿って移動させることで形成される形状を含むものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の構成では、像の一部を表示できなくなる場合がある。
【0004】
本発明は、像全体を表示可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置は、軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材と、前記軸周りに前記被照射部材を回転させる駆動部と、回転される前記被照射部材に画像光を照射する照射部と、を有し、前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する表示装置であって、前記被照射部材は、前記軸に交差する平面内での所定方向における位置をxとし、前記平面内で前記所定方向に直交する方向における位置をyとし、前記軸に沿う方向における位置をzとした場合に、以下の(1)乃至(5)式を満足する形状を含む。
x=a×r×cos(b×θ) ・・・(1)
y=a×r×sin(b×θ) ・・・(2)
z=c×θ+d×r ・・・(3)
0≦θ≦1 ・・・(4)
0≦r≦1 ・・・(5)
(a、b、c及びdは定数を表し、r及びθは変数を表す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、像全体を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る表示装置の全体構成例のブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る表示装置の情報処理部の構成例のブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る表示装置の情報処理部の機能構成例のブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る情報処理部による処理例を示すフローチャートである。
【
図6】比較例に係る螺旋スクリーンの構成を示す図であり、
図6(a)は回転軸の交差方向から視た図、
図6(b)は回転軸に沿う方向から視た図である。
【
図8】比較例に係る表示装置が表示する3次元像を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る螺旋スクリーンの構成例を示す図であり、
図9(a)は回転軸の交差方向から視た図、
図9(b)は回転軸に沿う方向から視た図である。
【
図11】第1実施形態に係る表示装置が表示する3次元像の一例を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る螺旋スクリーンの構成例を示す図であり、
図12(a)は回転軸の交差方向から視た図、
図12(b)は回転軸に沿う方向から視た図である。
【
図13】第2実施形態に係る螺旋スクリーンの構成例を示す図であり、
図13(a)乃至
図13(c)は様々な方向から螺旋スクリーンを視た図である。
【
図14】第3実施形態に係る螺旋スクリーンの構成例を示す図であり、
図14(a)及び
図14(b)は回転軸の交差方向から視た図、
図14(c)は回転軸に沿う方向から視た図である。
【
図15】第3実施形態に係る螺旋スクリーンの構成例を示す斜視図であり、
図15(a)乃至
図15(c)は各方向から視た図である。
【
図16】第4実施形態に係る螺旋スクリーンの構成例を示す図であり、
図16(a)は回転軸の交差方向から視た図、
図16(b)は回転軸に沿う方向から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための表示装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0010】
実施形態に係る表示装置は、軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材と、軸周りに被照射部材を回転させる駆動部と、回転される被照射部材に画像光を照射する照射部とを有し、画像光のうち、被照射部材により反射された光で像を表示するものである。表示される像は、例えば3次元像である。
【0011】
軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を被照射部材が含むことで、例えば、軸に沿う方向から被照射部材に画像光を照射し、軸に交差する方向から視認可能な像を表示する場合にも、表示される像に視点と平行となる部分が生じない。これにより、表示される像において、視点と平行となる部分等の像を表示できない部分をなくし、像全体を表示可能にする。軸は、例えば螺旋形状を含む被照射部材の螺旋軸であるが、螺旋軸以外の軸であってもよい。
【0012】
ここで、実施形態の用語における3次元像とは、3次元空間上に表示され、人間が視認可能な体積を持った立体的な像をいう。
【0013】
螺旋とは、回転しながら回転面に垂直な方向へ移動する3次元曲線の一種をいう。
【0014】
螺旋軸とは、螺旋において3次元曲線が回転する際の回転の中心軸をいう。
【0015】
螺旋形状とは、外形が螺旋を描くように形成され、螺旋面を含む形状をいう。
【0016】
また被照射部材により反射された光には、被照射部材の一方の面から入射して被照射部材の内部を透過した後、被照射部材の他方の面で反射される光を含む。
以下、実施形態に係る表示装置について説明する。
【0017】
なお、以下に示す図でX軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合があるが、X軸に沿うX方向は、実施形態に係る表示装置が備える螺旋スクリーンの螺旋軸に略直交する平面内での所定方向を示す。Y軸に沿うY方向は、上記平面内で上記の所定方向に直交する方向を示す。Z軸に沿うZ方向は、上記の螺旋スクリーンの螺旋軸に沿う方向を示す。
【0018】
また、X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。表示装置は+Z方向に画像光を照射するものとする。但し、これらは表示装置の向きを制限するものではなく、表示装置は任意の向きで配置可能である。
【0019】
[第1実施形態]
<表示装置1の全体構成例>
まず、
図1及び
図2を参照して、第1実施形態に係る表示装置1の全体構成について説明する。
図1は、表示装置1の全体構成の一例を説明するブロック図である。
【0020】
図1に示すように、表示装置1は、情報処理部10と、プロジェクタ20と、螺旋スクリーン30と、モータ40と、モータ制御部41とを有する。
【0021】
表示装置1は、3次元モデルデータ901を受信して、表示装置1のユーザに3次元像を視認させる。3次元モデルデータ901は、ユーザに3次元像を視認させるための3次元モデルを示すデータであって、例えば、3次元ボクセルごとの画素値を示すデータである。具体的には、3次元モデルデータ901は、情報処理部10に入力される。
【0022】
情報処理部10は、入力された3次元モデルデータ901に基づく画像情報903を生成する。具体的には、情報処理部10は、モータ制御部41に回転指示信号201を送信し、回転の開始を指示する。指示を受けたモータ制御部41は、例えば規定された略一定の速度で螺旋スクリーン30を回転させるように、回転制御信号202を送信してモータ40を駆動させる。
【0023】
螺旋スクリーン30は、螺旋軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材の一例である。この螺旋スクリーン30については、別途
図9及び
図10を参照して詳述する。
【0024】
モータ40は、螺旋軸周りに螺旋スクリーン30を回転させる駆動部の一例である。モータ40には、ステッピングモータ、DC(Direct Current)モータ又はAC(Alternating Current)モータ等を適用できる。
【0025】
モータ40にはロータリエンコーダが取り付けられている。ロータリエンコーダは、モータ40の回転軸の回転角度を示すエンコーダ信号203をモータ制御部41に送信する。モータ制御部41は、受信したエンコーダ信号203に基づいて、螺旋スクリーン30の回転角度を示す回転角度情報904を生成し、情報処理部10に送信する。
【0026】
情報処理部10は、受信した回転角度情報904に基づいて、螺旋スクリーン30の回転角度に応じた画像情報903を生成し、プロジェクタ20に送信する。画像情報903は、2次元画像を示す情報である。
【0027】
プロジェクタ20は、回転される螺旋スクリーン30に画像光Lを照射する照射部の一例である。プロジェクタ20は、情報処理部10から出力された画像情報903に基づく画像光Lを螺旋スクリーン30に照射できる。換言すると、プロジェクタ20は、回転される螺旋スクリーン30の位置に基づき生成された画像光Lを照射することができる。
【0028】
表示装置1は、高速に回転される螺旋スクリーン30に照射された画像光Lのうち、螺旋スクリーン30により反射された光で、残像効果を利用して、カラーの3次元像をユーザに視認させることができる。
【0029】
次に
図2は、表示装置1の全体構成の一例を説明する斜視図である。
図2に示すように、表示装置1は、情報処理部10、プロジェクタ20、モータ40、モータ制御部41及び回転テーブル70を筐体50の内部に設けている。また表示装置1は、筐体50の+Z方向側に、螺旋スクリーン30及びスクリーンケース60を設けている。
【0030】
筐体50は、板金等を含むパネル板を組み合わせて構成された箱状部材である。筐体50は、筐体50の内部に連通する貫通孔52を上面パネル51に設けている。
【0031】
スクリーンケース60は円筒状の部材であり、螺旋スクリーン30を支持する支持部の一例である。スクリーンケース60は、円筒の内側に螺旋スクリーン30を接着剤等により固定し、支持している。スクリーンケース60は、透明な樹脂又はガラス等の材料を含んで構成されている。スクリーンケース60の内側に支持された螺旋スクリーン30は、外側から視認可能になっている。
【0032】
なお、スクリーンケース60は円筒状の部材に限定されるものではなく、断面が楕円状や断面が多角形状の筒状部材であってもよい。また筒の中心軸に沿う方向における画像光Lが入射する側とは反対側の端部は、開放されていてもよいし、平板や中空の半球状部材等で閉鎖されていてもよい。
【0033】
スクリーンケース60は、筐体50の貫通孔52を通じて一部が筐体50の内部に挿入され、筐体50の内部に収容された回転テーブル70の+Z方向側の面にスクリーンケース60の-Z方向側の端部が接触し、接着剤等により固定されている。
【0034】
回転テーブル70は、螺旋スクリーン30の回転軸Aに沿う中心軸を有する環状の形状に形成され、螺旋スクリーン30の回転軸A周りにスクリーンケース60を回転させる回転機構の一例である。螺旋スクリーン30の螺旋軸と回転軸Aは略一致している。
【0035】
回転テーブル70は、筐体50の内部に収容され、筐体50の底面パネル上に支柱を介して回転可能に固定されている。回転テーブル70の材質に特段の制限はないが、例えば樹脂材料又は金属材料等を適用可能である。
【0036】
回転テーブル70は、外周部に歯形G2が形成又は取り付けられ、モータ40の軸心40aに取り付けられたギアG1と歯形G2が噛み合っている。ギアG1は、モータ40による駆動力を回転テーブル70に伝達する伝達部材の一例である。
【0037】
回転テーブル70は、ギアG1と歯形G2を介して駆動力が伝達されることで、Z軸に沿う軸周りに回転する。回転テーブル70の回転によりスクリーンケース60が回転し、螺旋スクリーン30がスクリーンケース60とともにZ軸に沿う回転軸A周りに回転可能になっている。螺旋スクリーン30の回転軸Aは、プロジェクタ20が照射する画像光Lの中心軸に沿うように構成されている。
【0038】
プロジェクタ20は、回転テーブル70を挟んで螺旋スクリーン30とは反対側に設けられ、回転テーブル70に形成された環状領域71を通過するようにして、回転軸Aに沿う方向に画像光Lを照射する。環状領域71は、環状の形状に形成された回転テーブル70における内側の中空部分を指す。
【0039】
プロジェクタ20が照射する画像光Lは、回転テーブル70の-Z方向側から環状領域71を通過し、回転テーブル70の+Z方向側に設けられた螺旋スクリーン30に照射される。
【0040】
情報処理部10は、画像光Lの照射方向に沿うZ軸を含む3次元座標によって、螺旋スクリーン30の位置を特定する。具体的には、情報処理部10は、各xy座標(x,y)における螺旋スクリーン30の+Z方向の高さz(x,y)を算出する。
【0041】
算出される高さz(x,y)は、螺旋スクリーン30の回転軸Aに沿った高さであり、螺旋スクリーン30の表面に画像光Lが照射される位置に対応する。情報処理部10は、螺旋スクリーン30の回転に応じて変化する高さz(x,y)をリアルタイムに算出して、高さz(x,y)に応じた画像情報903を生成する。
【0042】
なお、本実施形態では、情報処理部10、プロジェクタ20、モータ40、モータ制御部41及び回転テーブル70が筐体50の内部に設けられた構成を例示するが、これに限定されるものではなく、これらの一部又は全部が筐体50の外部に設けられていてもよい。
【0043】
<情報処理部10のハードウェア構成例>
次に
図3を参照して、情報処理部10のハードウェア構成について説明する。
図3は情報処理部10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0044】
情報処理部10は、コンピュータによって構築されており、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、外部機器接続I/F(Interface)105と、ネットワークI/F106とを有する。
【0045】
CPU101は、各種の演算処理を含む制御処理を実行する。ROM102は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。HDD104は、プログラム等の各種データを記憶する。
【0046】
外部機器接続I/F105は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、プロジェクタ20、モータ制御部41等の機器である。
【0047】
ネットワークI/F106は、通信ネットワーク等を介して、他の機器との間でデータ通信をするためのインターフェースである。例えば、情報処理部10は、ネットワークI/F106を介して、3次元モデルデータ901を受信する。
【0048】
<情報処理部10の機能構成例>
次に
図4を参照して、情報処理部10の機能構成について説明する。
図4は情報処理部10の機能構成の一例を示す図である。
【0049】
図4に示すように、情報処理部10は、記憶部11と、回転角度取得部12と、算出部13と、画像生成部14と、出力部15とを有する。
【0050】
記憶部11は、各種の情報を記憶する。具体的には、記憶部11は、3次元モデルデータ901、3次元ボクセルデータ902及び画像情報903を記憶する。これらのうち、3次元モデルデータ901は、外部から入力されるポイントクラウドデータである。3次元ボクセルデータ902は、3次元モデルデータ901をボクセルごとの輝度に変換した画像データである。画像情報903は、画像生成部14によって生成される情報である。
【0051】
記憶部11は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行し、RAM103またはHDD104等を制御することによって実現される。
【0052】
回転角度取得部12は、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得する。具体的には、回転角度取得部12は、定期的に、例えば1秒ごとに、モータ制御部41から回転角度情報904を受信する。また、回転角度取得部12は、螺旋スクリーン30の回転速度が略一定であることを利用して、螺旋スクリーン30の回転を開始してから経過した時間に基づく回転角度の算出を行うことによって、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得してもよい。
【0053】
なお、回転角度取得部12は、モータ制御部41から受信した回転角度情報904と、経過時間に基づく回転角度の算出とを組み合わせることによって、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得してもよい。例えば、回転角度取得部12は、螺旋スクリーン30の回転を開始してから経過した時間に基づく回転角度の算出の結果を、定期的に受信する回転角度情報904に基づいて補正する。これによって、回転角度取得部12は、モータ40の実際の回転速度と規定の速度との間に誤差が生じても、定期的に受信する回転角度情報904に基づいて、現実の回転角度に修正することができる。
【0054】
回転角度情報904は、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報である。
【0055】
回転角度取得部12は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行し、外部機器接続IF105等を制御することによって実現される。
【0056】
算出部13は、螺旋スクリーン30の回転角度に基づいて、螺旋スクリーン30の回転角度ごとで、各xy座標におけるZ軸方向の高さを算出する。
【0057】
画像生成部14は、3次元モデルデータ901を3次元ボクセルデータ902に変換する。具体的には、例えば、算出部13は、ポイントクラウドのポイントごとの各座標の輝度値を、対応する各座標のボクセルにコピーする。また、画像生成部14は、ディザリング処理によって、3次元ボクセルデータ902を減色する。
【0058】
また、画像生成部14は、算出部13によって算出された高さに応じた輝度を有する画像情報903を生成する。具体的には、画像生成部14は、3次元モデルデータ901に示される3次元像を人に視認させるために、各xy座標に応じた輝度を決定し、2次元で画像情報903を生成する。
【0059】
算出部13および画像生成部14は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行することによって実現される。
【0060】
出力部15は、画像生成部14によって生成された画像情報903を出力する。具体的には、出力部15は、画像情報903をプロジェクタ20に送信する。
【0061】
出力部15は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行し、外部機器接続IF105等を制御することによって実現される。
【0062】
<表示装置1の動作例>
次に、表示装置1の動作について説明する。
【0063】
情報処理部10は、3次元モデルデータ901を受信し、ユーザ等の操作を受けて制御処理を開始する。
【0064】
図5は、情報処理部10による処理の一例を示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS11において、画像生成部14は、3次元モデルデータ901をボクセル化する。3次元モデルデータ901は、例えば、点群情報(ポイントクラウド)及びメッシュ情報を含む。点群情報(ポイントクラウド)は、xyz座標とRGB輝度の点データの集合である。メッシュ情報は、立体を構成する三角形あるいは四角形の頂点のxyz座標と、三角形または四角形の面の色またはテクスチャ等を示す情報である。
【0066】
画像生成部14は、ポイントクラウドのポイントごとの各座標の輝度値を、対応する各座標のボクセルにコピーすることによって、3次元ボクセルデータ902を生成する。
【0067】
続いてステップS12において、画像生成部14は、3次元ボクセルデータ902をディザリングする。具体的には、画像生成部14は、RGB各8bitの色深度を持つボクセルを、RGB1bitを持つボクセルに変換する。例えば、画像生成部14は、誤差拡散によるディザリングをRGBチャンネルごとに行う。その際、画像生成部14は、一般的な2次元の誤差拡散ではなく、高精度な3次元の誤差拡散を行うことが望ましい。
【0068】
なお、誤差拡散は、像の色数や階調数を減らす際に擬似的に中間色を表現するディザリング手法の一つで、ある点を減色する際に元の色との誤差を近傍の点の色情報に上乗せする方式である。画像生成部14は、2次元画像では、誤差を平面近傍のxy座標の2次元方向のピクセルに上乗せするが、3次元で行う場合には、誤差をxyz座標の3次元方向近傍のボクセルに上乗せする。ただし、計算負荷が問題になる場合には、画像生成部14は、3次元の誤差拡散ではなく、2次元の誤差拡散をZ軸方向にXY平面ごとに独立に行ってもよい。
【0069】
続いて、ステップS13において、情報処理部10は、モータ40の回転開始をモータ制御部41に指示する。モータ制御部41は、螺旋スクリーン30を予め規定された略一定の速度で回転させるように、モータ40を制御する。
【0070】
以下、情報処理部10は、ステップS14からステップS19までの処理を、表示を終了するまで繰り返し実行する。動画像を表示する場合には、生成される画像情報は、時刻ごとに表示される内容が変化するため、それぞれの処理においては、時刻tにおいて表示される画像情報を生成および送信する。時刻tは、生成された画像情報に基づく画像光をプロジェクタ20が照射する時刻である。
【0071】
続いて、ステップS14において、回転角度取得部12は、時刻tにおける回転角度情報904を取得する。具体的には、回転角度取得部12は、モータ制御部41から螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得する。なお、回転角度取得部12は、予め規定された速度に基づいて、回転角度を算出してもよく、それによって回転角度を示す情報を取得してもよい。また、測定時刻と時刻tとにずれがある場合は、回転角度取得部12は、測定時刻と時刻tとの差分に基づいて、時刻tにおける螺旋スクリーン30の回転角度を予測して算出する。
【0072】
続いて、ステップS15において、算出部13は、各xy座標における高さz(x,y)を算出する。具体的には、算出部13は、螺旋スクリーン30の回転角度に基づく演算によって、高さz(x,y)を算出する。
【0073】
続いて、ステップS16において、画像生成部14は、画像情報903を生成する。具体的には、画像生成部14は、時刻tにおいて表示する画像情報903として、算出された高さz(x,y,t)に応じた輝度を有する画像情報903を生成する。
【0074】
例えば、3次元ボクセルデータ902が静止画像の場合、画像生成部14は、Voxel(x,y,z)を、Pixel(x,y,t)に変換する。Voxel(x,y,z)は、ボクセルごとの輝度、色または透過率等を示す値である。また、Pixel(x,y,t)は、時刻tにおいて照射する画像光の基になる画像情報903に含まれる画素値である。
【0075】
他方、3次元ボクセルデータ902が動画像の場合、時刻tを含むボクセルごとの輝度、色または透過率等を示す値であるVoxel(x,y,z,t)をPixel(x,y,t)に変換する。
【0076】
3次元ボクセルデータ902が静止画像および動画像のいずれの場合であっても、画像生成部14は、時刻tにおける各xy座標の螺旋スクリーン30の高さz(x,y,t)および色Color(x,y,t)に基づいて、時刻tにおける画素値Pixel(x,y,t)を算出する。画像生成部14は、生成した画像情報903を記憶部11に記憶させる。
【0077】
続いて、ステップS17において、出力部15は、画像生成部14によって生成された画像情報903をプロジェクタ20に送信する。
【0078】
続いて、ステップS18において、情報処理部10は、表示を終了するか否かを判定する。ユーザによる表示終了を示す操作を受けるか、3次元モデルデータ901が動画像の場合においてすべての動画像に基づく画像情報903の送信が完了した場合に、情報処理部10は、表示を終了すると判定する。
【0079】
ステップS18で表示を終了しないと判定された場合には(ステップS18、No)、情報処理部10は処理をステップS14に戻し、次の時刻t、例えば1秒後の時刻tにおいて表示される画像情報903に関する処理を実行する。
【0080】
一方、ステップS18で表示を終了すると判定された場合には(ステップS18、Yes)、情報処理部10は処理を終了する。
【0081】
このような情報処理部10による処理により、表示装置1は3次元像を表示できる。
【0082】
<比較例に係る螺旋スクリーン30Xの構成例>
次に、螺旋スクリーン30の詳細構成の説明に先立ち、比較例に係る表示装置1Xが有する螺旋スクリーン30Xの構成について説明する。
図6は、螺旋スクリーン30Xの構成を説明する図である。
図6(a)は回転軸AXの交差方向から螺旋スクリーン30Xを視た図、
図6(b)は回転軸AXに沿う方向から螺旋スクリーン30Xを視た図である。
【0083】
図6に示すように、螺旋スクリーン30Xは、回転軸AXに直交する直線31Xを回転軸AX周りに反時計回りに回転させながら回転軸AXに沿って移動(例えば+Z方向から-Z方向に移動)させた際に、直線31Xが通る軌跡で形成される形状を含む。換言すると、螺旋スクリーン30Xは、回転軸Aに直交する平面で切断した断面が直線状である螺旋形状を含む。
【0084】
なお、螺旋スクリーン30Xは厚みを有する部材であるため、螺旋スクリーン30Xの形状は、螺旋スクリーン30Xの厚みに等しい直径で中心軸が直線31Xに一致する丸棒状部材を回転軸AX周りに反時計回りに回転させながら回転軸AXに沿って移動させた際に、丸棒状部材が通る軌跡で形成される形状であるということもできる。
【0085】
回転軸AXと直線31Xとがなす角度ρXは略90[deg]である。
【0086】
X方向における位置をx、Y方向における位置をy、Z方向における位置をzとすると、螺旋スクリーン30Xは、以下の式を満足する形状を含む。
x=aX×rX×cos(bX×θX)
y=aX×rX×sin(bX×θX)
z=cX×θX
【0087】
但し、上式において、θX及びrXは0以上1以下の変数を表す。aX乃至cXは定数を表す。より詳しくは、aXは回転軸AXに交差する方向(X方向)における直線31Xの交差方向最大長さ、bXは直線31Xの最大回転角度、cXは回転軸AXに沿う方向(Z方向)における螺旋スクリーン30Xの回転軸方向最大長さをそれぞれ表す。
図6では、最大回転角度bXを180[deg]としている。
【0088】
図7は、
図6(a)における螺旋スクリーン30XのB-B矢視断面図である。換言すると、
図7は螺旋スクリーン30Xを回転軸AX(螺旋軸)に直交する平面で切断した断面を+Z方向側から視た図である。
【0089】
図7に示すように、螺旋スクリーン30Xの断面形状32Xは直線状になっている。なお、断面形状32Xは、厚みを有する螺旋スクリーン30Xの一方の面の表面形状、或いは厚み方向における螺旋スクリーン30Xの中心軸に沿う形状に対応する。
【0090】
表示装置1Xは、螺旋スクリーン30Xを回転軸AX周りに回転させながら、例えば-Z方向側から回転軸AXに沿って画像光Lを照射することで、画像光Lのうち、螺旋スクリーン30Xにより反射された光で3次元像を表示できる。
【0091】
しかし、表示装置1Xでは、螺旋スクリーン30Xの断面形状32Xが直線状であるため、例えばユーザが回転軸AXに交差する+Y方向側から像を視認した際に、回転軸AX付近では螺旋スクリーン30Xの形状が回転に伴って変化しない。これにより、回転軸AX付近では螺旋スクリーン30Xで反射された光が視認されず、表示装置1Xは、3次元像のうちの回転軸AX付近の部分を表示できなくなる。
【0092】
換言すると、表示装置1Xでは、螺旋スクリーン30Xの断面形状32Xが直線状であるため、回転軸AX上で直線31Xがユーザの視点と平行となる部分が生じる。これにより、回転軸AX付近では螺旋スクリーン30Xで反射された光光が視認されず、表示装置1Xは、3次元像のうちの回転軸AX付近の部分を表示できなくなる。
【0093】
図8は、表示装置1Xが表示する3次元像33Xを説明する図である。
図8は、回転軸AX周りに螺旋スクリーン30Xが回転している状態で+Y方向側から視認される3次元像33Xを示している。
図8に示すように、回転軸AX付近において、螺旋スクリーン30Xで反射された光が視認されなくなり、3次元像33Xにスジ状の表示不可部分34Xが生じる。
【0094】
<実施形態に係る螺旋スクリーン30の構成例>
次に
図9は、第1実施形態に係る表示装置1が有する螺旋スクリーン30の構成の一例を説明する図である。
図9(a)は回転軸Aの交差方向から螺旋スクリーン30を視た図、
図9(b)は回転軸Aに沿う方向から螺旋スクリーン30を視た図である。
【0095】
図9に示すように、螺旋スクリーン30は、回転軸Aに非直交である直線31を回転軸A周りに反時計回りに回転させながら回転軸Aに沿って移動(例えば+Z方向から-Z方向に移動)させた際に、直線31が通る軌跡で形成される形状を含む。換言すると、螺旋スクリーン30は、回転軸Aに直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む。
【0096】
なお、螺旋スクリーン30は厚みを有する部材であるため、螺旋スクリーン30の形状は、螺旋スクリーン30の厚みに等しい直径で中心軸が直線31に一致する丸棒状部材を、回転軸A周りに反時計回りに回転させながら回転軸Aに沿って移動させた際に、丸棒状部材が通る軌跡で形成される形状であるということもできる。
【0097】
回転軸Aと直線31とがなす角度ρは90[deg]より小さい。但し、角度ρを90[deg]より大きくしてもよい。
【0098】
X方向における位置をx、Y方向における位置をy、Z方向における位置をzとすると、螺旋スクリーン30は、以下の(1)乃至(5)式を満足する形状を含む。
x=a×r×cos(b×θ) ・・・(1)
y=a×r×sin(b×θ) ・・・(2)
z=c×θ+d×r ・・・(3)
0≦θ≦1 ・・・(4)
0≦r≦1 ・・・(5)
【0099】
但し、(1)乃至(5)式において、θ及びrは0以上1以下の変数を表す。a乃至dは定数を表す。定数a乃至dで最大値を規定し、変数θ及びrにより0乃至最大値までの途中を埋めている。より詳しくは、aは回転軸Aに交差する方向(X方向)における直線31の交差方向最大長さ、bは直線31の最大回転角度、cは回転軸Aに沿う方向(Z方向)における螺旋スクリーン30の回転軸方向最大長さ、dは直線31のZ方向の長さ成分をそれぞれ表す。長さ成分dの値が正の値の場合には-Z方向側に凸、負の値の場合には+Z方向側に凸の形状となる。なお、凸とは螺旋スクリーン30における回転軸A側の領域が、螺旋スクリーン30における外周側の領域より、回転軸Aに沿って高くなっていることを意味する。
【0100】
図9では、最大回転角度bを180[deg]としているが、最大回転角度bは180[deg]より大きくてもよいし、180[deg]より小さくてもよい。但し、回転軸Aに沿う方向から螺旋スクリーン30を視た際に、螺旋スクリーン30同士が重ならない(非重複になる)ように、最大回転角度bは360[deg]以下であることが望ましい。
【0101】
図10は、
図9(a)における螺旋スクリーン30のC-C矢視断面図である。換言すると、
図10は螺旋スクリーン30を回転軸A(螺旋軸)に直交する平面で切断した断面を+Z方向側から視た図である。
【0102】
図10に示すように、螺旋スクリーン30の断面形状32は曲線状になっている。なお、断面形状32は、厚みを有する螺旋スクリーン30の一方の面の表面形状、或いは厚み方向における螺旋スクリーン30の中心軸に沿う形状に対応する。
【0103】
表示装置1は、螺旋スクリーン30を回転軸A周りに回転させながら、例えば-Z方向側から回転軸Aに沿って画像光Lを照射することで、画像光Lのうち、螺旋スクリーン30で反射された光及び螺旋スクリーン30を透過した光により3次元像を表示できる。
【0104】
表示装置1では、螺旋スクリーン30の断面形状32が曲線状であるため、例えばユーザが回転軸Aに交差する+Y方向側から像を視認した際に、回転軸A上においても螺旋スクリーン30の形状が回転に伴って変化する。これにより、回転軸A付近においても、螺旋スクリーン30で反射された光が視認され、表示装置1は、3次元像の全体を表示できる。
【0105】
換言すると、表示装置1では、螺旋スクリーン30の断面形状32が曲線状であるため、回転軸A上で直線31がユーザの視点と平行となる部分が生じない。これにより、回転軸A付近においても、螺旋スクリーン30で反射された光が視認され、表示装置1は、3次元像の全体を表示できる。
【0106】
図11は、表示装置1が表示する3次元像33の一例を説明する図である。
図11は、回転軸A周りに螺旋スクリーン30が回転しており、3次元像33が+Y方向側から視認されている様子を示している。
図11に示すように、
図8における表示不可部分34Xがなくなり、3次元像33の全体が表示される。
【0107】
<表示装置1の作用効果>
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置1は、回転軸A(螺旋軸)に直交する平面で切断した断面が曲線状である断面形状32(螺旋形状)を含む螺旋スクリーン30と、回転軸A周りに螺旋スクリーン30を回転させるモータ40(駆動部)とを有する。また、回転される螺旋スクリーン30に画像光Lを照射するプロジェクタ20(照射部)を有する。そして、画像光Lのうち、螺旋スクリーン30で反射された光で3次元像33(像)を表示する。
【0108】
螺旋スクリーン30が断面形状32を含むことで、例えば、回転軸Aに沿う方向から螺旋スクリーン30に画像光Lを照射し、回転軸Aに交差する方向から視認可能な3次元像33を表示する場合にも、3次元像33に視点と平行となる部分が生じない。これにより、3次元像33において、視点と平行となる部分等の像を表示できない部分をなくし、3次元像33の全体を表示することができる。
【0109】
なお、本実施形態では、-Z方向側から螺旋スクリーン30に画像光Lを照射する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば+Z方向側等の他の方向から螺旋スクリーン30に画像光Lを照射することもできる。
【0110】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る表示装置1aについて説明する。なお、第1実施形態で説明したものと同一の構成部には、同一の部品番号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は以降で説明する実施形態においても同様である。
【0111】
図12は、表示装置1aが有する螺旋スクリーン30aの構成の一例を説明する図である。
図12(a)は回転軸Aの交差方向から螺旋スクリーン30aを視た図、
図12(b)は回転軸Aに沿う方向から螺旋スクリーン30aを視た図である。また
図13(a)乃至
図13(c)は、様々な方向から螺旋スクリーン30aを視た図である。
【0112】
図12及び
図13に示すように、螺旋スクリーン30aは、3つの羽根部材30aa、30ab及び30acを有する。3つの羽根部材30aa、30ab及び30acのそれぞれは、螺旋形状を含み、回転軸A方向に沿って螺旋スクリーン30aを視た場合に非重複となる位置に配置されている。例えば、3つの羽根部材30aa、30ab及び30acの最大回転角度bは、それぞれ120[deg]である。
【0113】
ここで、第1実施形態における螺旋スクリーン30のように、1つの羽根部材を含む螺旋スクリーンでは、螺旋スクリーン30内の1つの位置で画像光Lを反射及び透過した後、次に同じ位置で画像光Lを反射及び透過するのは、螺旋スクリーン30が1回転した後になる。螺旋スクリーン30が1回転して元の状態になるまでの間には、該位置では画像光Lの反射光及び透過光を視認されないため、表示される3次元像33がちらついて視える場合がある。
【0114】
これに対し、螺旋スクリーン30aは、螺旋スクリーン30が1回転する間に、螺旋スクリーン30内の1つの位置で、3つの羽根部材30aa、30ab及び30acがそれぞれ画像光Lを反射及び透過するため、該位置で画像光Lの反射光及び透過光が視認されない期間を短縮できる。これにより、表示される3次元像33のちらつきを低減することができる。
【0115】
なお、上記以外の効果は第1実施形態で説明したものと同様である。
【0116】
また、
図12及び
図13では、螺旋スクリーン30aが3つの羽根部材30aa、30ab及び30acを有する構成を例示したが、これに限定されるものではない。螺旋スクリーン30aは、回転軸A方向(螺旋軸方向)に沿って螺旋スクリーン30aを視た場合に非重複となる位置に配置されるように、4つ以上の羽根部材を備えてもよい。
【0117】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る表示装置1bについて説明する。
【0118】
図14は、表示装置1bが有する螺旋スクリーン30bの構成の一例を説明する図である。
図14(a)は、-d/c≦θ≦1の条件を満足する螺旋スクリーン30bを回転軸Aと交差する方向から視た図、
図14(b)は、
図14(a)で0≦z≦cの範囲のみを示した螺旋スクリーン30bを回転軸Aと交差する方向から視た図、
図14(c)は螺旋スクリーン30bを回転軸Aに沿う方向から視た図である。また
図15(a)乃至
図15(c)は、様々な方向から螺旋スクリーン30bを視た図である。
【0119】
X方向における位置をx、Y方向における位置をy、Z方向における位置をzとすると、螺旋スクリーン30bは、以下の(6)乃至(10)式を満足する形状を含む。
x=a×r×cos(b×θ) ・・・(6)
y=a×r×sin(b×θ) ・・・(7)
z=c×θ+d×r ・・・(8)
d≧0のとき、-d/c≦θ≦1、且つ0≦Z≦c ・・・(9)
d<0のとき、0≦θ≦1-d/c、且つ0≦Z≦c ・・・(10)
【0120】
但し、(6)乃至(10)式におけるa乃至d、θ及びrは、(1)乃至(5)式におけるa乃至d、θ及びrと同様である。
【0121】
本実施形態では、変数θは直線31abの回転角度とZ方向における直線31abの高さを規定する。変数θの最小値又は最大値を変更することで、Z方向における直線31abの高さ及び直線31abの回転角度が変更される。
【0122】
本実施形態では、螺旋スクリーン30b上で斜めになる部分をなくしつつ、定数b及びcで定めた最大値になるようにZ方向における螺旋スクリーン30bの範囲を制限する。これにより、螺旋スクリーン30bをXY平面で切断した際に、螺旋スクリーン30bの上端及び下端における窪みをなくすことができる。なお、窪みとは螺旋スクリーン30における回転軸A側の領域が、螺旋スクリーン30における外周側の領域より、回転軸Aに沿って低くなっていることを意味する。
【0123】
螺旋スクリーン30bが、(6)乃至(10)式を満足することで、回転軸Aに交差する方向から螺旋スクリーン30bを視た場合にも、Z方向における上下の窪みがなくなり、3次元像33の表示範囲を広くすることができる。
【0124】
なお、上記以外の効果は、上述した実施形態と同様である。
【0125】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る表示装置1cについて説明する。
【0126】
図16は、表示装置1cが有する螺旋スクリーン30cの構成の一例を説明する図である。
図16(a)は回転軸Aの交差方向から螺旋スクリーン30cを視た図、
図16(b)は回転軸Aに沿う方向から螺旋スクリーン30cを視た図である。
【0127】
図16に示すように、螺旋スクリーン30cは、回転軸Aに交差する円弧31cを回転軸A周りに反時計回りに回転させながら回転軸Aに沿って移動(例えば+Z方向から-Z方向に移動)させた際に、円弧31cが通る軌跡で形成される形状を有する。
【0128】
なお、螺旋スクリーン30cは厚みを有する部材であるため、螺旋スクリーン30cの形状は、螺旋スクリーン30cの厚みに等しい直径で中心軸が円弧31cに一致する丸棒状部材を、回転軸A周りに反時計回りに回転させながら回転軸Aに沿って移動させた際に、丸棒状部材が通る軌跡で形成される形状ということもできる。
【0129】
X方向における位置をx、Y方向における位置をy、Z方向における位置をzとすると、螺旋スクリーン30cは、以下の(11)乃至(15)式を満足する形状を含む。
x=ac×[cos(bc×θ)×{1-cos(dc×φ)}-sin(bc×θ)×sin(dc×φ)] ・・・(11)
y=ac×[sin(bc×θ)×{1-cos(dc×φ)}+cos(bc×θ)×sin(dc×φ)] ・・・(12)
z=cc×θ ・・・(13)
0≦θ≦1 ・・・(14)
0≦φ≦1 ・・・(15)
【0130】
但し、(11)乃至(15)式において、θ及びφは0以上1以下の変数を表す。ac乃至dcは定数を表す。定数dcで最大値を規定し、変数θ及びφは、0乃至dcの間を埋めるための変数である。より詳しくは、ac×{1-cos(dc)}は回転軸Aに交差する方向(X方向)における円弧31cの交差方向最大長さ、bcは円弧31cの最大回転角度、ccは回転軸Aに沿う方向(Z方向)における螺旋スクリーン30cの回転軸方向最大長さ、dcは円弧31cを含む扇形の角度を表す。
【0131】
本実施形態では、螺旋スクリーン30cが(11)乃至(15)式を満足することで、螺旋スクリーン30cは、螺旋軸周りに直線を回転させて形成される螺旋形状ではなく、螺旋軸周りに円弧を回転させて形成される螺旋形状を有する。これにより、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0132】
なお、
図16では、b
c=180[deg]、d
c=30[deg]の場合を例示したが、これに限定されるものではない。複数の羽根部材を組み合わせて螺旋スクリーン30cを構成してもよい。また、最大回転角度b
cは180[deg]より大きくてもよいし、小さくてもよい。角度d
cは30[deg]より大きくてもよいし、小さくてもよい。但し、回転軸Aに沿う方向から螺旋スクリーン30cを視た場合に、複数の羽根部材が非重複となる位置に複数の羽根部材を配置することが望ましい。
【0133】
なお、上記以外の効果は上述した実施形態で説明したものと同様である。
【0134】
以上、実施形態を説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0135】
また、実施形態は表示方法を含む。例えば、表示方法は、螺旋軸に直交する平面で切断した断面が曲線状である螺旋形状を含む被照射部材を、前記螺旋軸周りに回転させる工程と、回転される前記被照射部材に画像光を照射する工程と、を行い、前記画像光のうち、前記被照射部材により反射された光で像を表示する。このような表示方法により上述した表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0136】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0137】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 表示装置
10 情報処理部
11 記憶部
12 回転角度取得部
13 算出部
14 画像生成部
15 出力部
20 プロジェクタ(照射部の一例)
30 螺旋スクリーン(被照射部材の一例)
31 直線
31c 円弧
32 断面形状
33 3次元像
40 モータ(駆動部の一例)
41 モータ制御部
50 筐体
51 上面パネル
52 貫通孔
60 スクリーンケース
70 回転テーブル(回転機構の一例)
71 環状領域
901 3次元モデルデータ
902 3次元ボクセルデータ
903 画像情報
A 回転軸(螺旋軸の一例)
a、ac、b、bc、c、cc、d、dc 定数
θ、r、φ 変数
ρ 角度
L 画像光
G1 ギア(伝達部材の一例)
G2 歯形
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】