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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】撮像モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20241112BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/24 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021057129
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154212
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇揮
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-064883(JP,A)
【文献】特開2020-171361(JP,A)
【文献】特開2014-087705(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208171(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0089875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する板状の絶縁基材の一方面に形成された複数の電極接続パッド、及び前記絶縁基材の他方面に形成された複数の電線接続パッドを有するフレキシブル基板と、
前記複数の電極接続パッドにそれぞれ接続された複数の電極を有し、被写体像を撮像する撮像素子と、
前記複数の電線接続パッドにそれぞれ接続された複数の電線を有するケーブルと、を備え、
前記フレキシブル基板は、前記他方面における所定方向の両端部に前記複数の電線接続パッドが設けられ、前記一方面における前記所定方向の中央部に前記複数の電極接続パッドが設けられており、かつ前記絶縁基材の前記他方面における前記両端部が互いに向かい合うように湾曲している、
撮像モジュールの製造方法であって、
前記フレキシブル基板を折り曲げて前記複数の電線接続パッドを一列に配置する配置工程と、
前記複数の電線接続パッドと前記複数の電線とをパルスヒートによって接続する接続工程と、
を備えた撮像モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記絶縁基材における前記所定方向の両端部に、貫通孔が形成された突出部が設けられ、
前記配置工程において、前記貫通孔に前記パルスヒートの載置台に設けられた突起を挿通させて前記フレキシブル基板を固定する、
請求項に記載の撮像モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記突出部は、前記複数の電線接続パッドが設けられた部位から前記所定方向に対して垂直な方向の両側に突出している、
請求項に記載の撮像モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内視鏡のカメラヘッドに設けられる撮像モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者の体内を撮像するための内視鏡は、被検者の口又は鼻から挿入されるカメラヘッドに超小型のイメージセンサ(撮像素子)を有する撮像モジュールが設けられている。イメージセンサからの画像信号は、複数の電線を有するケーブルによって体外に配置されたカメラコントロールユニットに送られる。イメージセンサとして具体的には、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが挙げられる。
【0003】
近年、被検者の負担軽減のために内視鏡カメラヘッドの小型細径化が進んでおり、イメージセンサとして例えば1mm角のものが用いられるようになっている。このようなイメージセンサの電極とケーブルの電線とを直接接続することは極めて困難であるため、例えば特許文献1及び2に記載されているように、イメージセンサの電極に接続されるパッドを有するフレキシブル基板を介し、イメージセンサと電線とを電気的に接続することが行われている。
【0004】
特許文献1に記載の内視鏡では、矩形状のフレキシブル基板が側方視において略三角形状となるように二箇所で曲げられており、曲げの外側にあたる第1の主面の長手方向両端部に導線が接続されている。
【0005】
特許文献2に記載の内視鏡では、特許文献1に記載のものと同様にフレキシブル基板が二箇所で曲げられているが、この曲げ部分の曲率半径を小さくするため、曲げ部分がフライングリード構造(ベースやカバーレイが除去された配線パターンのみの構造)とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-94237号公報(図5、段落[0022]参照)
【文献】特開2021-35466号公報(図2、段落[0033]~[0037]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された内視鏡では、フレキシブル基板の曲げの外側に導線が接続されるので、この接続部分が周辺の部材と干渉して断線等が発生しないよう、導線の接続部分と周辺の部材との間に十分な間隔をあける必要がある。また、フレキシブル基板の曲げ部分の曲率半径が小さくなると、導体膜のエッチングによって形成されたパターンが曲げ部分の外側部分で引き延ばされて断裂しやすくなるため、このような断裂のおそれがない程度の大きさに曲げ部分の曲率半径を確保しなければならない。これらの制約は、内視鏡の小型化を図る上での支障となる。
【0008】
特許文献2に記載の内視鏡では、フレキシブル基板の曲げ部分の曲率半径を小さくしてカメラヘッドを小型化することが可能であるが、曲げ部分をフライングリード構造とするための加工コストが嵩んでしまう。また、フライングリード構造とした部分で強度が低下してしまうおそれもある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮像素子と複数の電線とを接続するフレキシブル基板のコストの上昇や強度の低下を抑えながらも、小型化を図ることが可能な撮像モジュール及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、可撓性を有する板状の絶縁基材の一方面に形成された複数の電極接続パッド、及び前記絶縁基材の他方面に形成された複数の電線接続パッドを有するフレキシブル基板と、前記複数の電極接続パッドにそれぞれ接続された複数の電極を有し、被写体像を撮像する撮像素子と、前記複数の電線接続パッドにそれぞれ接続された複数の電線を有するケーブルと、を備え、前記フレキシブル基板は、前記他方面における所定方向の両端部に前記複数の電線接続パッドが設けられ、前記一方面における前記所定方向の中央部に前記複数の電極接続パッドが設けられており、かつ前記絶縁基材の前記他方面における前記両端部が互いに向かい合うように湾曲している、撮像モジュールを提供する。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記の撮像モジュールの製造方法であって、前記フレキシブル基板を折り曲げて前記複数の電線接続パッドを一列に配置する配置工程と、前記複数の電線接続パッドと前記複数の電線とをパルスヒートによって接続する接続工程と、を備えた撮像モジュールの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る撮像モジュール及びその製造方法によれば、撮像素子と複数の電線とを接続するフレキシブル基板のコストの上昇や強度の低下を抑えながらも、小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る撮像モジュールを有する内視鏡カメラヘッドを示し、(a)はカメラヘッドの先端面を示す端面図であり、(b)は(a)のA-A線断面でカメラヘッドの内部を示す断面図である。
図2】撮像モジュールを示す斜視図である。
図3】(a)は、撮像モジュールを側方から見た構成図であり、(b)は、撮像素子の背面図である。
図4】フレキシブル基板を示す平面図であり、(a)は絶縁基材の一方面側を、(b)は絶縁基材の他方面側を、それぞれ示す。
図5】フレキシブル基板の一部を示す斜視断面図である。
図6】(a)は、配置工程によって第1乃至第4の電線接続パッドが一列に配置されたフレキシブル基板を示している。(b)は、第1乃至第4の電線接続パッドの上に第1乃至第4の電線の芯線を重ねて配置した状態を示している。(c)は、パルスヒート方式の接続を行うパルスヒートユニットの一部を示す説明図である。
図7】(a)及び(b)は、変形例に係るフレキシブル基板を示す平面図である。(c)は、配置工程によって第1乃至第4の電線接続パッドが一列に配置されたフレキシブル基板を示す平面図である。
図8】変形例に係るパルスヒートによる接続工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(内視鏡カメラヘッドの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像モジュールを有する内視鏡カメラヘッドを示している。(a)は、カメラヘッドの先端面を示す端面図であり、(b)は、(a)のA-A線断面でカメラヘッドの内部を示す断面図である。
【0015】
このカメラヘッド1は、レンズユニット2を有する撮像モジュール10と、撮像モジュール10を収容する硬質な樹脂からなる円筒状の外筒体11と、外筒体11の先端面を閉塞するカバー体12とを有して構成されている。また、カメラヘッド1には、生理食塩水等の液体を撮像対象部位に導くチューブ13が挿通されている。
【0016】
カバー体12には、レンズユニット2が嵌合固定された第1の貫通孔121、チューブ13が嵌合固定された第2の貫通孔122、及び撮像対象部位を照射する照射光を発する照射窓123が設けられている。照射窓123には、不図示の光ファイバによって照射光が導かれる。なお、光ファイバによって導かれる光によって撮像対象部位を照射することに替えて、小型のLED(発光ダイオード)をカメラヘッド1内に配置し、このLEDから発せられる光を照射窓123から放射してもよい。
【0017】
(撮像モジュールの構成)
図2は、撮像モジュール10を示す斜視図である。図3(a)は、撮像モジュール10を側方から見た構成図であり、図3(b)は、撮像素子4の背面図である。
【0018】
撮像モジュール10は、レンズユニット2と、配線部材として用いられるフレキシブル基板3と、レンズユニット2とフレキシブル基板3との間に配置された撮像素子4と、撮像素子4からの画像信号を伝送するケーブル5とを備えている。レンズユニット2、フレキシブル基板3、及び撮像素子4は、カメラヘッド1に設置されている。
【0019】
レンズユニット2は、円筒状の筒体21と、筒体21の先端部に固定された透明カバー22と、筒体21の内部に配置された複数のレンズ23~26とを有している。筒体21は、その先端部がカバー体12の第1の貫通孔121に嵌合固定されており、後端部には、撮像素子4が取り付けられている。複数のレンズ23~26は、撮像素子4に被写体増を結像させる。
【0020】
撮像素子4は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。撮像素子4は、複数のレンズ23~26によって結像された被写体像を撮像し、撮像した画像を電気信号に変換した画像信号を出力する。画像信号は、ケーブル5によって被検者の体外に設置された画像処理装置に送られる。画像処理装置は、画像信号を復号した画像をディスプレーに表示する。
【0021】
図3(b)に示すように、撮像素子4は、素子本体41の背面(レンズユニット2とは反対側の面)41aに、第1乃至第4の電極421~424が設けられている。第1の電極421は、例えば画像信号を出力する信号出力電極であり、第2の電極422は、例えば画像信号に同期したクロック信号を出力するクロック出力電極である。第3の電極423は、例えば動作電源を入力するための電源電極であり、第4の電極424は、例えばグランド電極である。
【0022】
素子本体41の背面41aは、レンズユニット2の光軸20(図1に示す)に対して垂直な平面であり、第1乃至第4の電極421~424は、本体41の背面41aから突出して設けられている。第1乃至第4の電極421~424は、それぞれの中心点を結ぶ線分が矩形状となるように、二列に配置されている。光軸20に沿って見た場合の本体41の大きさは、例えば1mm角である。
【0023】
ケーブル5は、管状のシース50と、シース50に収容された第1乃至第4の電線51~54とを有している。第1乃至第4の電線51~54は、複数の素線が撚り合わされた撚線からなる芯線511,521,531,541が絶縁体512,522,532,542に被覆された絶縁電線である。なお、第1乃至第4の電線51~54としては、絶縁電線に限らず、公知の様々な形態のものを用いることができる。例えば、第4の電極424に接続される第4の電線54を絶縁体に被覆されていない金属導体からなるドレインワイヤとし、他の第1乃至第3の電線51~53をジャケットの無い同軸線としてもよい。この場合、第1乃至第3の電線51~53の外側導体をシールド導体として第4の電線54(ドレインワイヤ)に接触させて電気的に接地することにより、耐ノイズ性を高めることができる。
【0024】
フレキシブル基板3は、例えばポリイミド等の絶縁性の樹脂を主材料とする絶縁基材30を有している。絶縁基材30は、可撓性を有しており、二箇所で湾曲して外筒体11内に配置されている。絶縁基材30の厚さは、0.165mm以下であることが望ましく、より好ましくは0.100mm以下である。本実施の形態では、一例として、絶縁基材30の厚さが86.5μmである。また、フレキシブル基板3は、レンズユニット2の光軸20に平行な方向に沿って撮像素子4側から投影して見た場合に、素子本体41の投影面の外縁からはみださない範囲に配置されている。次に、図4及び図5を参照し、フレキシブル基板3の構成について詳細に説明する。
【0025】
図4は、フレキシブル基板3を示す平面図であり、(a)は絶縁基材30の一方面30a側を、(b)は絶縁基材30の他方面30b側を、それぞれ示している。図5は、フレキシブル基板3の一部を破断して示す斜視断面図である。
【0026】
ここで、一方面30aは、絶縁基材30の一方の主面であり、他方面30bは、一方面30aの裏面にあたる絶縁基材30の他方の主面である。図4(a)に示す一点鎖線は、二本の第1の山折り線MFL及び二本の第2の山折り線MFLである。図4(b)に示す破線は、二本の第1の谷折り線VFL及び二本の第2の谷折り線VFLである。
【0027】
絶縁基材30は、平面視において長方形状である。絶縁基材30の長手方向(長辺方向)の長さは1cm以下であり、長手方向に対して垂直な短手方向(短辺方向)の幅は、長手方向の長さの半分以下である。一例として、絶縁基材30の長手方向の長さLは5mmであり、短手方向の幅さWは1mmである。絶縁基材30の長手方向は、特許請求の範囲における所定方向に相当する。
【0028】
フレキシブル基板3は、絶縁基材30の一方面30aに形成された第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341、及び絶縁基材30の他方面30bに形成された第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345を有している。また、フレキシブル基板3は、第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341及び第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345が形成された部分を除き、一方面30a側及び他方面30b側の全体が不図示のカバーレイ(保護層)に覆われている。
【0029】
第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341には、撮像素子4の第1乃至第4の電極421~424がそれぞれ接続される。第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345には、第1乃至第4の電線51~54の芯線511,521,531,541がそれぞれ接続される。
【0030】
第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341は、絶縁基材30の一方面30aにおける長手方向の中央部に設けられている。第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345は、絶縁基材30の他方面30bにおける長手方向の両端部に設けられている。より具体的には、絶縁基材30の他方面30bにおける長手方向の一方の端部に第1及び第2の電線接続パッド315,325が設けられ、長手方向の他方の端部に第3及び第4の電線接続パッド335,345が設けられている。
【0031】
フレキシブル基板3は、図3に示すように、絶縁基材30の他方面30bにおける長手方向の両端部が互いに向かい合うように湾曲している。これにより、フレキシブル基板3は、絶縁基材30の湾曲の内側で第1及び第2の電線接続パッド315,325と第3及び第4の電線接続パッド335,345とが互いに向かい合っており、湾曲の外側にあたる一方面30aには電線接続パッドが形成されていない。
【0032】
フレキシブル基板3は、絶縁基材30の短手方向に沿った第1の山折り線MFL及び第1の谷折り線VFLの周辺部において長手方向に湾曲しており、その湾曲の曲率が第1の山折り線MFL及び第1の谷折り線VFLの部分において最も大きくなっている。図3では、第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341が形成された部分よりも第1及び第2の電線接続パッド315,325側において最も曲率が大きい部位である第1の最大曲率部位301、及び第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341が形成された部分よりも第3及び第4の電線接続パッド335,345側において最も曲率が大きい部位である第2の最大曲率部位302を矢印で指し示している。
【0033】
第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341のそれぞれと、第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345とは、スルーホールを含む配線パターンによって接続されている。これについて詳述すると、第1の電極接続パッド311と第1の電線接続パッド315とは、第1の一方面側線路312と、第1のスルーホール313と、第1の他方面側線路314とによって接続されている。第2の電極接続パッド321と第2の電線接続パッド325とは、第2の一方面側線路322と、第2のスルーホール323と、第2の他方面側線路324とによって接続されている。第3の電極接続パッド331と第3の電線接続パッド335とは、第3の一方面側線路332と、第3のスルーホール333と、第3の他方面側線路334とによって接続されている。また、第4の電極接続パッド341と第4の電線接続パッド345とは、第4の一方面側線路342と、第4のスルーホール343と、第4の他方面側線路344とによって接続されている。
【0034】
第1乃至第4のスルーホール313,323,333,343は、絶縁基材30の一方面30aと他方面30bとの間を貫通している。第1乃至第4の一方面側線路312,322,332,342は、第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341と第1乃至第4のスルーホール313,323,333,343とを一方面30a側で接続している。第1乃至第4の他方面側線路314,324,334,344は、第1乃至第4のスルーホール313,323,333,343と第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345とを他方面30b側で接続している。
【0035】
第1乃至第4のスルーホール313,323,333,343は、第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341のそれぞれの近傍に設けられている。第1乃至第4の一方面側線路312,322,332,342は、第1の山折り線MFLを越えない範囲に形成されている。すなわち、第1乃至第4のスルーホール313,323,333,343は、第1の最大曲率部位301及び第2の最大曲率部位302よりも第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341側に形成されており、第1の最大曲率部位301及び第2の最大曲率部位302の一方面30aには、配線パターンが形成されていない。
【0036】
(撮像モジュールの製造方法)
次に、図6を参照し、撮像モジュール10の製造方法について説明する。ここでは特に、ケーブル5の第1乃至第4の電線51~54をフレキシブル基板3の第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345に接続する工程について説明する。
【0037】
ケーブル5の第1乃至第4の電線51~54は、フレキシブル基板3を折り曲げて第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345を一列に配置する配置工程と、配置工程の後に行われるパルスヒートによる接続工程とによって、第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345にそれぞれ接続される。
【0038】
図6(a)は、配置工程によって第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345が一列に配置されたフレキシブル基板3を示している。この配置工程では、フレキシブル基板3を二本の第2の山折り線MFLで山折り(二本の第2の谷折り線VFLで谷折り)し、第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345を一列に配置する。
【0039】
図4(b)に示すように、二本の第2の谷折り線VFLは、絶縁基材30の長手方向に対して45°の角度で互いに逆方向に傾斜している。二本の第2の谷折り線VFLのうち、一方の第2の谷折り線VFLは、第1の他方面側線路314及び第2の他方面側線路324に交差し、他方の第2の谷折り線VFLは、第3の他方面側線路334及び第4の他方面側線路344に交差している。
【0040】
図6(b)は、配置工程によって一列に配置された第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345の上に第1乃至第4の電線51~54の芯線511,521,531,541を重ねて配置した状態を示している。
【0041】
図6(c)は、パルスヒート方式の接続を行うパルスヒートユニット6の一部を示す説明図である。パルスヒートユニット6は、接続対象物としてのフレキシブル基板3及び第1乃至第4の電線51~54を載置する載置台61と、載置台61に対して上下方向に移動するヒーターチップ62とを有している。
【0042】
フレキシブル基板3は、載置台61の平坦な載置面61aに載置される。ヒーターチップ62は、載置面61aに対向する平坦な加圧面62aを有している。ヒーターチップ62が載置台61に向かって下方に移動すると、載置面61aと加圧面62aとの間にフレキシブル基板3及び第1乃至第4の電線51~54の芯線511,521,531,541が挟まれて加圧される。また、ヒーターチップ62は、加圧時に電流が供給されることにより瞬間的に発熱する。すなわち、パルスヒートユニット6は、加圧と加熱を同時に行うことによって接続対象物の接続を行う。
【0043】
第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345と第1乃至第4の電線51~54とは、予め第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345に塗布したクリームはんだをヒーターチップ62による加熱によって溶解させることにより接続される。より具体的には、クリームはんだが塗布された第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345に第1乃至第4の電線51~54の芯線511,521,531,541をヒーターチップ62によって押し付けた状態でヒーターチップ62に電流を供給して加熱し、クリームはんだを熔解させる。その後、ヒーターチップ62への電流供給を遮断して熔解したはんだが固化した後、ヒーターチップ62を載置台61に対して上方に移動させて、フレキシブル基板3及び第1乃至第4の電線51~54をパルスヒートユニット6から取り外す。
【0044】
そして、第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345と第1乃至第4の電線51~54との接続が完了した後、第2の山折り線MFLでの山折り(第2の谷折り線VFLでの谷折り)を元に戻す。その後、第1乃至第4の電極接続パッド311,321,331,341と撮像素子4の第1乃至第4の電極421~424との接続を行う。この接続は、例えばクリームはんだを用いたはんだ付けによって行われる。なお、フレキシブル基板3への撮像素子4の接続を、第1乃至第4の電線51~54の接続より先に行ってもよい。
【0045】
(実施の形態の効果)
以上説明した実施の形態によれば、フレキシブル基板3の曲げの外側に電線が配置されないので、カメラヘッド1の外筒体11の小型細径化が可能となる。また、第1の最大曲率部位301及び第2の最大曲率部位302の一方面30aに配線パターンが形成されていないので、絶縁基材30の曲げによって配線パターンが引き延ばされることがなく、フレキシブル基板3を大きな曲率で湾曲させることが可能となる。これによっても、カメラヘッド1の外筒体11の小型細径化が可能となる。またさらに、本実施の形態によれば、例えば上記のフライングリード構造を採用する場合のように、フレキシブル基板の製造工程が複雑化してコストが上昇したり、強度が低下してしまうこともない。
【0046】
(変形例)
次に、図7及び図8を参照して、実施の形態の変形例について説明する。図7及び図8において、上記の実施の形態において説明したものと共通する部材や部分には、図1乃至図6に付したものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0047】
図7(a)及び(b)は、変形例に係るフレキシブル基板3Aを示す平面図であり、(a)は絶縁基材30の一方面30a側を、(b)は絶縁基材30の他方面30b側を、それぞれ示している。図7(c)は、配置工程によって第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345が一列に配置されたフレキシブル基板3Aを示す平面図である。図8は、パルスヒートによる接続工程を示す説明図である。
【0048】
フレキシブル基板3Aは、大略上記の実施の形態に係るフレキシブル基板3と同様に構成されているが、フレキシブル基板3Aには、絶縁基材30における長手方向の両端部に第1乃至第4の突出部35~38が設けられており、第1乃至第4の突出部35~38のそれぞれに貫通孔350,360,370,380が形成されている。第1乃至第4の突出部35~38は、第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345が設けられた部位から絶縁基材30の短手方向の両側に突出している。
【0049】
第1の突出部35は、絶縁基材30における第1及び第2の電線接続パッド315,325が設けられた部位から短手方向の一方に突出し、第2の突出部36は、絶縁基材30における第1及び第2の電線接続パッド315,325が設けられた部位から短手方向の他方に突出している。また、第3の突出部37は、絶縁基材30における第3及び第4の電線接続パッド335,345が設けられた部位から短手方向の一方に突出し、第4の突出部38は、絶縁基材30における第3及び第4の電線接続パッド335,345が設けられた部位から短手方向の他方に突出している。
【0050】
フレキシブル基板3Aは、配置工程において二本の第2の山折り線MFLで山折り(二本の第2の谷折り線VFLで谷折り)され、第1乃至第4の電線接続パッド315,325,335,345が一列に配置されたとき、図7(c)に示すように、第2の突出部36の貫通孔360と第4の突出部38の貫通孔380とが連通する。
【0051】
接続工程では、図8に示すように、第1の突出部35の貫通孔350、第3の突出部37の貫通孔370、ならびに第2及び第4の突出部36,38の貫通孔360,380に、パルスヒートユニット6Aの載置台61に設けられた突起611,612,613をそれぞれ挿通させてフレキシブル基板3Aを固定する。ヒーターチップ62には、突起613との干渉を避けるための凹部620が形成されている。
【0052】
この固定構造によって、より安定的にフレキシブル基板3Aを載置台61に固定してパルスヒートによる接続を行うことができる。なお、第1乃至第4の突出部35~38は、接続工程の後に切除される。
【0053】
このようにして第1乃至第4の電線51~54との接続が行われたフレキシブル基板3Aは、上記の実施の形態に係るフレキシブル基板3と同様に、二箇所で湾曲した状態で撮像素子4と共にカメラヘッド1の外筒体11に収容される。
【0054】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0055】
[1]可撓性を有する板状の絶縁基材(30)の一方面(30a)に形成された複数の電極接続パッド(311,321,331,341)、及び前記絶縁基材(30)の他方面(30b)に形成された複数の電線接続パッド(315,325,335,345)を有するフレキシブル基板(3,3A)と、前記複数の電極接続パッド(311,321,331,341)にそれぞれ接続された複数の電極(421~424)を有し、被写体像を撮像する撮像素子(4)と、前記複数の電線接続パッド(315,325,335,345)にそれぞれ接続された複数の電線(51~54)を有するケーブル(5)と、を備え、前記フレキシブル基板(3,3A)は、前記他方面(30b)における所定方向(長手方向)の両端部に前記複数の電線接続パッド(315,325,335,345)が設けられ、前記一方面(30a)における前記所定方向の中央部に前記複数の電極接続パッド(311,321,331,341)が設けられており、かつ前記絶縁基材(30)の前記他方面(30b)における前記両端部が互いに向かい合うように湾曲している、撮像モジュール(10)。
【0056】
[2]前記複数の電極接続パッド(311,321,331,341)のそれぞれと前記複数の電線接続パッド(315,325,335,345)のそれぞれとが、前記絶縁基材(30)の前記一方面(30a)と前記他方面(30b)との間を貫通するスルーホール(313,323,333,343)を含む配線パターンによって接続されており、前記フレキシブル基板(3,3A)における最も曲率が大きい部位(301,302)の前記一方面(30a)には、前記配線パターンが形成されていない、上記[1]に記載の撮像モジュール(10)。
【0057】
[3]前記配線パターンは、前記複数の電極接続パッド(311,321,331,341)のそれぞれと前記スルーホール(313,323,333,343)とを前記一方面(30a)側で接続する複数の一方面側線路(312,322,332,342)と、前記複数の電線接続パッド(315,325,335,345)のそれぞれと前記スルーホール(313,323,333,343)とを前記他方面(30b)側で接続する複数の他方面側線路(314,324,334,344)とを有し、複数の前記スルーホール(313,323,333,343)が前記最も曲率が大きい部位(301,302)よりも前記複数の電極接続パッド(311,321,331,341)側に形成されている、上記[2]に記載の撮像モジュール(10)。
【0058】
[4]前記フレキシブル基板(3,3A)は、前記所定方向における長さが1cm以下である、上記[1]乃至[3]に記載の撮像モジュール(10)。
【0059】
[5]前記撮像素子(4)及び前記フレキシブル基板(3,3A)が内視鏡用カメラヘッド(1)に設置されている、上記[1]乃至[4]に記載の撮像モジュール(10)。
【0060】
[6]上記[1]乃至[5]の何れかに記載の撮像モジュール(10)の製造方法であって、前記フレキシブル基板(3,3A)を折り曲げて前記複数の電線接続パッド(315,325,335,345)を一列に配置する配置工程と、前記複数の電線接続パッド(315,325,335,345)と前記複数の電線(51~54)とをパルスヒートによって接続する接続工程と、を備えた撮像モジュール(10)の製造方法。
【0061】
[7]前記絶縁基材(30)における前記所定方向の両端部に、貫通孔(350,360,370,380)が形成された突出部(35~38)が設けられ、前記配置工程において、前記貫通孔(350,360,370,380)に前記パルスヒートの載置台(61)に設けられた突起(611~613)を挿通させて前記フレキシブル基板(3A)を固定する、上記[6]に記載の撮像モジュール(10)。
【0062】
[8]前記突出部(35~38)は、前記複数の電線接続パッド(315,325,335,345)が設けられた部位から前記所定方向に対して垂直な方向(短手方向)の両側に突出している、上記[7]に記載の撮像モジュール(10)。
【0063】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0064】
1…カメラヘッド
10…撮像モジュール
3,3A…フレキシブル基板
30…絶縁基材
30a…一方面
30b…他方面
311,321,331,341…第1乃至第4の電極接続パッド
312,322,332,342…第1乃至第4の一方面側線路
313,323,333,343…第1乃至第4のスルーホール
314,324,334,344…第1乃至第4の他方面側線路
315,325,335,345…第1乃至第4の電線接続パッド
35~38…第1乃至第4の突出部
350,360,370,380…貫通孔
4…撮像素子
421~424…第1乃至第4の電極
5…ケーブル
51~54…第1乃至第4の電線
61…載置台
611,612,613…突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8