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特許7585973電子機器、ネットワークシステム、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電子機器、ネットワークシステム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241112BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241112BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241112BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G06F3/12 336
B41J29/00 E
B41J29/38 401
G06F3/12 304
G06F3/12 331
G06F3/12 338
G06F3/12 385
G06F3/12 392
H04N1/00 127B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021092686
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185183
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 達也
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142124(JP,A)
【文献】特開2020-198106(JP,A)
【文献】特開2019-193977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互に通信可能な電子機器であって、
通信端末からの接続要求に応答して、該通信端末と接続する接続手段と、
前記通信端末により検出された1以上の電子機器を識別する機器識別情報と、該通信端末を使用するユーザのユーザ情報とを取得する取得手段と、
取得された前記機器識別情報により識別された前記1以上の電子機器に対し、前記通信端末と連携する電子機器を前記ユーザに選択させるために、前記ネットワークを介して前記ユーザ情報の表示を指示する制御手段と
を含む、電子機器。
【請求項2】
ユーザ認証を実行する認証手段を含み、
前記取得手段は、前記通信端末から前記ユーザの認証情報を取得し、
前記制御手段は、前記ネットワークを介して前記機器識別情報により識別された前記1以上の電子機器のうちの自機を除く他機へ取得された前記認証情報を送信し、
前記認証手段は、前記ユーザにより自機に表示した前記ユーザ情報が選択された場合に、前記認証情報を用いてユーザ認証を実行する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ユーザにより自機に表示した前記ユーザ情報が選択された場合に、前記機器識別情報により識別された前記1以上の電子機器のうちの自機を除く他機に対し、前記ネットワークを介して前記ユーザ情報の表示の停止を指示する、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ユーザにより前記機器識別情報により識別された前記1以上の電子機器のうちの自機を除く他機に表示された前記ユーザ情報が選択された場合、前記ユーザ情報が選択された他機からの前記ネットワークを介した指示に応答して、前記自機における前記ユーザ情報の表示を停止する、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記取得手段は、前記通信端末から前記機器識別情報を取得した後、取得した前記機器識別情報に基づき、前記ネットワークに接続され、機器識別情報とネットワークアドレス情報とを関連付けて記憶する外部記憶手段から、前記ネットワークを介して対応するネットワークアドレス情報を取得する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記取得手段は、前記通信端末から前記ユーザの認証情報を取得した後、取得した前記認証情報に基づき、認証情報とユーザ情報とを関連付けて記憶する前記外部記憶手段から、前記ネットワークを介して対応するユーザ情報を、前記ユーザのユーザ情報として取得する、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、機器識別情報とネットワークアドレス情報とを関連付けて記憶する記憶手段を含み、
前記取得手段は、前記通信端末から前記機器識別情報を取得した後、取得した前記機器識別情報に基づき、前記記憶手段から対応するネットワークアドレス情報を取得する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記取得手段は、前記通信端末から前記ユーザの認証情報を取得した後、取得した前記認証情報に基づき、認証情報とユーザ情報とを関連付けて記憶する前記記憶手段から、対応するユーザ情報を、前記ユーザのユーザ情報として取得する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記接続手段は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)を使用して前記通信端末から前記接続要求を受信し、
前記取得手段は、前記BLEを使用して前記通信端末から前記機器識別情報を取得する、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記接続手段は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)による無線通信可能な中継装置を介して前記通信端末から前記接続要求を受信し、
前記取得手段は、前記BLEによる無線通信可能な中継装置を介して前記通信端末から前記機器識別情報を取得する、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の電子機器を複数含み、前記各電子機器は、ネットワークを介して相互に通信可能とされ、通信端末により1以上の前記電子機器が検出され、検出された1以上の前記電子機器のうちの1つに対して前記通信端末から接続要求が送信される、ネットワークシステム。
【請求項12】
ネットワークを介して相互に通信可能な電子機器により実行される制御方法であって、
通信端末からの接続要求に応答して、該通信端末と接続するステップと、
前記通信端末により検出された1以上の電子機器を識別する機器識別情報と、該通信端末を使用するユーザのユーザ情報とを取得するステップと、
取得された前記機器識別情報により識別された前記1以上の電子機器に対し、前記通信端末と連携する電子機器を選択させるために、前記ネットワークを介して前記ユーザ情報の表示を指示するステップと
を含む、制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の制御方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して相互に通信可能な電子機器、ネットワークシステム、制御方法およびその制御をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが使用する通信端末は、MFP(Multi-Function Peripheral)等の電子機器との連携動作を無線通信により行うことができる。無線通信には、近距離無線通信規格の1つであるBluetooth(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)の拡張仕様の1つであるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等が使用される。
【0003】
BLEを使用した無線通信では、通信端末が通信可能な範囲内に複数の電子機器が存在する場合でも、通信端末と電子機器とが一対一で接続し、接続する電子機器は任意に選ばれる。このため、通信端末が、ユーザが所望しない電子機器と接続し、連携動作を行う場合がある。
【0004】
ユーザが意図しない電子機器との連携を防止することを目的として、画像形成装置からの無線通信の電波強度を通信端末が計測し、閾値以上の強度を有する画像形成装置と連携を開始するボタンを通信端末上に表示させ、ユーザがそのボタンを押下した場合に連携動作を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、閾値以上の強度を有する電子機器が複数存在する場合、通信端末において複数の電子機器の中からユーザが意図する電子機器を選択しなければならず、その選択に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、ユーザが意図する電子機器の選択の手間を省略することができる電子機器、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ネットワークを介して相互に通信可能な電子機器であって、
通信端末からの接続要求に応答して、該通信端末と接続する接続手段と、
通信端末により検出された1以上の電子機器を識別する機器識別情報と、該通信端末を使用するユーザのユーザ情報とを取得する取得手段と、
取得された機器識別情報により識別された1以上の電子機器に対し、通信端末と連携する電子機器をユーザに選択させるために、ネットワークを介してユーザ情報の表示を指示する制御手段と
を含む、電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが意図する電子機器の選択の手間を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ネットワークシステムの構成例を示した図。
図2】電子機器としての画像形成装置のハードウェア構成の一例を示した図。
図3】通信端末のハードウェア構成の一例を示した図。
図4】画像形成装置の機能構成の一例を示したブロック図。
図5】通信端末の機能構成の一例を示したブロック図。
図6】通信端末と1の画像形成装置との接続までの流れを説明する図。
図7】複数の画像形成装置にユーザ情報を表示させるまでの流れを説明する図。
図8】ユーザ情報が選択された後の流れを説明する図。
図9】通信端末と接続した画像形成装置が、ユーザが使用する画像形成装置と異なる場合の制御の一例を示したシーケンス図。
図10】通信端末と接続した画像形成装置が、ユーザが使用する画像形成装置と同じ場合の制御の一例を示したシーケンス図。
図11】ネットワークシステムの別の構成例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、ネットワークシステムの構成例を示した図である。ネットワークシステムは、有線LAN等のネットワーク10に接続された複数の電子機器を含む。電子機器は、ネットワーク10を介して相互に通信可能な機器であれば、いかなる機器であってもよい。したがって、電子機器は、例えばMFP(Multi-Function Peripheral)やプリンタ等の画像形成装置、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC、デスクトップPC等であってもよい。以下、電子機器を画像形成装置11として説明する。
【0012】
オフィス等では、1もしくは複数のフロアに複数の画像形成装置11が設置される。ユーザは、自身が使用するPC等から印刷したいデータを送信し、1の画像形成装置11から印刷出力させることができる。その際、データは、複数の画像形成装置11を管理するサーバ12へ送信され、サーバ12にジョブとして蓄積される。サーバ12は、画像形成装置11におけるユーザの操作によりジョブ実行の要求を受けて、当該画像形成装置11へ要求されたジョブを送信し、ジョブを実行させる。ここでは、サーバ12を使用したジョブの実行について説明したが、サーバ12を設けず、データを1の画像形成装置11へ直接送信し、当該1の画像形成装置11や他の画像形成装置11から印刷出力させてもよい。
【0013】
ユーザは、ネットワークシステムを利用するため、ユーザ認証を行い、システムにログインすることで、複数の画像形成装置11の1つを使用して印刷を実行させることができる。ユーザは、データをサーバ12へ送信した後、意図する画像形成装置11が設置されている場所へ移動し、当該画像形成装置11の操作部に認証情報を入力し、ユーザ認証(ログイン)を行う。ログインが成功した場合、意図する画像形成装置11の操作部には、ログイン後の画面として、ユーザのジョブとともに印刷開始ボタンが表示される。ユーザは、印刷開始ボタンを押下することにより、意図する画像形成装置11を使用してユーザのジョブとしてのデータの印刷を実行させることができる。なお、ユーザのジョブが複数存在する場合、任意のジョブを選択し、選択したジョブのみを実行させることもできる。
【0014】
近年、スマートフォン等の通信端末13が普及し、通信端末13を所有する割合が高くなっており、大企業等では、通信端末13を従業員に支給しているケースも見られる。画像形成装置11や通信端末13には、BLEにより無線通信を行う機能を搭載したものが増えてきている。
【0015】
そこで、ユーザが意図する画像形成装置11の設置場所へ到着する前(例えば、当該設置場所への移動中)に、通信端末13と連携先の画像形成装置11とをBLEにより接続し、通信端末13から画像形成装置11へ認証情報を送信してログインを行うことができる。これにより、ユーザが意図する設置場所に到着した後は、既にログイン後の画面が表示されているので、印刷開始ボタンを押下するのみで印刷を実行させることができる。ここでは、機器と機器との接続をペアリングと呼ぶ。また、通信端末13と画像形成装置11とは、無線通信によりペアリングを行い、互いを接続することができれば、BLEに限定されるものではなく、Bluetooth(登録商標)等を使用してもよい。
【0016】
通信端末13がBLEにより通信可能な範囲(BLE通信範囲)内に複数の画像形成装置11が存在する場合、通信端末13は、最後に接続した画像形成装置11等の任意の画像形成装置11と一対一でペアリングを行う。このため、必ずしもユーザが意図する画像形成装置11とペアリングを行うことができるとは限らない。これでは、ユーザが意図する画像形成装置11にログインし、当該画像形成装置11に印刷を実行させることができない。
【0017】
そこで、通信端末13との間でペアリングを行った機器が、ユーザが意図する画像形成装置11でない場合であっても、ユーザが意図する画像形成装置11を指定し、指定した画像形成装置11へ通信端末13からの認証情報を転送し、ログインを行わせることができれば、ユーザが意図する画像形成装置11により印刷を実行させることができると考えられる。
【0018】
通信端末13は、BLE通信範囲内に存在する1以上の画像形成装置11から応答を受信し、応答に含まれる、機器を識別するための機器識別情報を取得することができる。機器識別情報は、機器を識別するために使用されるアドレス情報(BLEアドレス情報)等であり、BLEアドレス情報は、MAC(Media Access Control)アドレス等である。
【0019】
ユーザが意図する画像形成装置11は、通信端末13のBLE通信範囲内に存在する1以上の画像形成装置11の1つであって、通信端末13とペアリングした画像形成装置11であるか、通信端末13とペアリングできなかった画像形成装置11である。このため、これらの画像形成装置11を、上記のBLEアドレス情報を使用して一覧(リスト)にし、通信端末13に表示させ、ユーザに選択させることにより、ユーザが意図する画像形成装置11を指定することができる。
【0020】
しかしながら、リストで表示される情報は、BLEアドレス情報であり、その情報を見ただけでは、ユーザが意図する機器がどの機器かを見分けることは難しい。また、機器を選択するにも手間がかかる。
【0021】
そこで、本システムでは、各画像形成装置11が、自身が通信端末13とペアリングを実施した場合、通信端末13が取得したBLEアドレス情報をもつ全ての画像形成装置11に対し、ユーザの氏名や顔画像等の一目で誰を意味しているのかが分かるユーザ情報を送信し、その操作部にユーザ情報の表示を指示するように構成される。これにより、ユーザは、自分が意図する画像形成装置11の設置場所へ行き、その画像形成装置11の操作部に表示された自身のユーザ情報を選択するのみで、その画像形成装置11を、印刷を実行させる画像形成装置11として指定することができる。その際、ユーザ情報を表示した全ての画像形成装置11には、ユーザの認証情報も送信されるため、ユーザ情報の選択により指定された画像形成装置11において自動で認証情報を用いてログインを行うことができる。
【0022】
ユーザ情報の選択により指定された画像形成装置11は、自動でログインを行った後、ユーザ情報に関連付けられたジョブを表示させ、印刷開始ボタンの押下を受けて印刷を実行することができる。
【0023】
図1では、ネットワーク10は、有線LAN等の有線ネットワークとされているが、無線ネットワークであってもよい。ネットワーク10には、複数の画像形成装置11を管理するサーバ12のみが接続されているが、サーバ12以外のHDD等の記憶装置等が接続されていてもよい。
【0024】
画像形成装置11の詳細な機能や制御について説明する前に、図2を参照して、画像形成装置11のハードウェア構成について、図3を参照して、通信端末13のハードウェア構成について説明する。
【0025】
図2は、画像形成装置11としてのMFPのハードウェア構成の一例を示した図である。MFPは、コントローラ20、近距離通信回路21、エンジン制御部22、操作パネル23、ネットワークI/F24を備える。
【0026】
コントローラ20は、CPU30、システムメモリ(MEM-P)31、ノースブリッジ(NB)32、サウスブリッジ(SB)33、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)34、ローカルメモリ(MEM-C)35、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ36、HD(Hard Disk)37を備え、NB32とASIC34との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス38により接続した構成となっている。
【0027】
CPU30は、MFP全体の制御を行う。NB32は、CPU30と、MEM-P31、SB33、AGPバス38とを接続するためのブリッジであり、MEM-P31に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを備える。
【0028】
MEM-P31は、コントローラ20の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM(Read Only Memory)31aと、プログラムやデータの展開およびメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM(Random Access Memory)31bとから構成される。なお、RAM31bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0029】
SB33は、NB32とPCIデバイスおよび周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC34は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス38、PCIバス39、HDDコントローラ36、MEM-C35をそれぞれ接続するブリッジの役割を果たす。ASIC34は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC34の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C35を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びにスキャナ部40およびプリンタ部41との間でPCIバス39を介したデータ転送を行うPCIユニットとから構成される。なお、ASIC34には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0030】
MEM-C35は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD37は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ36は、CPU30の制御の下、HD37に対するデータの読み出し、または書き込みを制御する。AGPバス38は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインターフェースであり、MEM-P31に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0031】
近距離通信回路21は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う通信回路である。近距離通信回路21は、BLEにより無線通信を行う通信回路を含む。
【0032】
エンジン制御部22は、スキャナ部40およびプリンタ部41により構成される。スキャナ部40は、原稿台に載置された原稿を光学的に読み取り、画像データとして出力する。プリンタ部41は、印刷データに基づき、用紙に印字して出力する。
【0033】
操作パネル23は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部23a、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーやコピー開始指示等を受け付けるスタートキー等から構成される入力部23bを備える。
【0034】
ネットワークI/F24は、ネットワーク10を利用して他の画像形成装置11やサーバ12とデータ通信を行うためのインターフェースである。近距離通信回路21とネットワークI/F24は、PCIバス39を介してASIC34に電気的に接続されている。
【0035】
コントローラ20は、MFP全体の制御を行い、例えば描画、通信、操作パネル23からの入力等を制御する。スキャナ部40、プリンタ部41は、誤差拡散やガンマ変換等の画像処理部分を含んでいてもよい。
【0036】
MFPは、操作パネル23のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を順次切り替えて選択することができる。ドキュメントボックス機能の選択時には、ドキュメントボックスモードとなり、プリンタ機能の選択時には、プリンタモードとなる。
【0037】
図3は、通信端末13としてのスマートフォンのハードウェア構成の一例を示した図である。スマートフォンは、CPU50、ROM51、RAM52、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)53、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ54、撮像素子I/F55、加速度・方位センサ56、メディアI/F57、GPS(Global Positioning System)受信部58を備える。
【0038】
CPU50は、スマートフォン全体の動作を制御する。ROM51は、CPU50やIPL(Initial Program Loader)等のCPU50の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM52は、CPU50に対して作業領域を提供する。EEPROM53は、CPU50の制御の下、スマートフォン用プログラム等の各種データの読み出し、または書き込みを行う。CMOSセンサ54は、CPU50の制御の下、被写体(主に自画像)を撮像し、画像データとして出力する内蔵型の撮像手段の一種である。なお、撮像手段は、CMOSセンサ54に限られるものではなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ等であってもよい。撮像素子I/F55は、CMOSセンサ54の駆動を制御する回路である。
【0039】
加速度・方位センサ56は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種のセンサである。メディアI/F57は、フラッシュメモリ等の記録メディア59に対するデータの読み出し、または書き込みを制御する。GPS受信部58は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0040】
スマートフォンは、遠距離通信回路60、CMOSセンサ61、撮像素子I/F62、マイク63、スピーカ64、音入出力I/F65、ディスプレイ66、外部機器接続I/F67、近距離通信回路68、タッチパネル69を備える。遠距離通信回路60および近距離通信回路68は、アンテナ60a、68aを備えている。
【0041】
遠距離通信回路60は、ネットワーク10を介して、サーバ12等の他の機器と通信する回路である。CMOSセンサ61は、CPU50の制御の下、被写体を撮像して画像データを出力する内蔵型の撮像手段の一種であり、CMOSセンサ54とは異なり、自画像ではなく、ユーザの周囲にあるものを撮像するためのセンサである。撮像素子I/F62は、CMOSセンサ61の駆動を制御する回路である。マイク63は、音を電気信号に変換する内蔵型の回路である。スピーカ64は、電気信号を物理振動に変換し、音楽や音声等の音を生成する内蔵型の回路である。音入出力I/F65は、CPU50の制御の下、マイク63およびスピーカ64との間で音信号の入出力を処理する回路である。
【0042】
ディスプレイ66は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示手段の一種である。外部機器接続I/F67は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。近距離通信回路68は、NFCやBluetooth(登録商標)等の通信回路である。近距離通信回路68は、BLEにより無線通信を行う通信回路を含む。タッチパネル69は、ユーザがディスプレイ66に指を接触させ、所定の位置をタッチすることで、スマートフォンを操作する入力手段の一種である。
【0043】
スマートフォンは、バスライン70を備える。バスライン70は、CPU50等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0044】
図4は、画像形成装置11の機能構成の一例を示したブロック図である。画像形成装置11は、上記で説明した各機能を有するが、各機能は1または複数の処理回路により実現することが可能である。ここで、処理回路は、電子回路により実装されるCPU等のプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようにプログラミングされたプロセッサや、各機能を実行するように設計されたASIC、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0045】
画像形成装置11は、各機能を実現するための機能部として、接続部80と、取得部81と、制御部82、認証部83とを含む。なお、画像形成装置11は、その他の機能を実現するために、その他の機能部を備えていてもよい。
【0046】
接続部80は、通信端末13からの接続要求に応答して、通信端末13と接続する。通信端末13は、BLE通信範囲内に存在する画像形成装置11に対し、BLEにより応答を要請する。BLE通信範囲内に存在する画像形成装置11の接続部80は、通信端末13に対し、BLEにより応答を返す。通信端末13は、応答を返してきた複数の画像形成装置11の中から1つを自動で選び、選んだ1つの画像形成装置11に対し、BLEにより接続要求(ペアリング要求)を送信する。選ばれた画像形成装置11の接続部80は、通信端末13からのペアリング要求に応答して、ペアリングを開始させる。
【0047】
取得部81は、ペアリングした通信端末13から、BLEにより、通信端末13が検出した画像形成装置11の機器識別情報としてのBLEアドレス情報と、ユーザの認証情報としてのユーザID、パスワードとを取得する。ここでは、認証情報をユーザID、パスワードとしているが、これに限られるものではなく、指紋や顔等の生体情報であってもよい。
【0048】
サーバ12は、認証情報とユーザの氏名や顔画像等のユーザ情報とを関連付けた第1のテーブルと、各画像形成装置11のBLEアドレス情報と各画像形成装置11のネットワークアドレス情報とを関連付けた第2のテーブルとを保持する。ネットワークアドレス情報は、各画像形成装置11がネットワーク10として有線LANに接続される場合、有線LANのIP(Internet Protocol)アドレス情報等である。
【0049】
取得部81は、サーバ12に対し、通信端末13が検出した全ての画像形成装置11のBLEアドレス情報を指定して問い合わせを行い、BLEアドレス情報に関連付けられたネットワークアドレス情報を取得する。そして、取得部81は、BLEアドレス情報とネットワークアドレス情報とを紐付ける。また、取得部81は、認証情報に関連付けられたユーザ情報を取得する。
【0050】
制御部82は、取得部81が取得したネットワークアドレス情報を使用し、ネットワーク10を介して画像形成装置11へアクセスし、当該画像形成装置11の操作部(操作パネル23)への取得したユーザ情報の表示を指示する。取得したネットワークアドレス情報が3つである場合、3つの画像形成装置11に対し、操作部へのユーザ情報の表示を指示する。このとき、制御部82は、各画像形成装置11へ認証情報を送信する。
【0051】
ユーザは、自身が意図する画像形成装置11が設置されている場所へ行き、操作部に表示された自身のユーザ情報を選択する。表示されたユーザ情報は、ユーザの氏名や顔画像等の一目で見分けがつく情報であるため、容易に選択することができる。認証部83は、自機に表示したユーザ情報が選択されたことに応答して、受信した認証情報を使用して、ユーザ認証を行う。ユーザ認証によりログインが成功した場合、制御部82は、通信端末13により検出された画像形成装置11のうちの自機を除く全ての他機に対し、ネットワーク10を介してユーザ情報の表示の停止を指示する。
【0052】
一方、ユーザ情報が選択されなかった画像形成装置11の制御部82は、ユーザ情報が選択された画像形成装置11からのネットワーク10を介した指示の受信に応答して、自機のユーザ情報の表示を停止する。
【0053】
ユーザ情報が選択された画像形成装置11の制御部82は、ログイン後、自身の操作部のユーザ情報の表示を停止し、ログイン完了後の画面を表示させる。ログイン完了後の画面は、例えばユーザ情報に関連付けられたジョブ情報と、印刷開始ボタンとを含み、ユーザは印刷開始ボタンを押下して、自身のジョブを実行させることができる。ジョブが複数である場合は、ログイン完了後の画面は、ジョブ一覧として表示することができる。
【0054】
ユーザ情報が選択された画像形成装置11の制御部82は、ユーザ情報を取得し、送信してきた画像形成装置11に対し、通信端末13とのペアリングを解除するように指示する。ペアリング解除の指示を受けた画像形成装置11の接続部80は、その指示に従い、通信端末13とのペアリングを解除する。
【0055】
図5は、通信端末13の機能構成の一例を示したブロック図である。通信端末13は、上記で説明した各機能を有するが、画像形成装置11と同様、各機能は1または複数の処理回路により実現することが可能である。ここで、処理回路は、電子回路により実装されるCPU等のプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようにプログラミングされたプロセッサや、各機能を実行するように設計されたASIC、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0056】
通信端末13は、各機能を実現するための機能部として、接続要求部90と、取得部91と、情報送信部92とを含む。なお、通信端末13は、その他の機能を実現するために、その他の機能部を備えていてもよい。
【0057】
接続要求部90は、BLE通信範囲内に存在する画像形成装置11に対し、BLEにより応答を要請する。接続要求部90は、BLEにより応答を返した画像形成装置11の中から1つを選択し、BLEによりペアリング要求を送信する。
【0058】
取得部91は、画像形成装置11から返された応答に含まれるBLEアドレス情報を取得する。情報送信部92は、取得部91が取得したBLEアドレス情報と、ユーザの認証情報とを、BLEによりペアリングした画像形成装置11へ送信する。
【0059】
接続要求部90は、ペアリングした画像形成装置11からのペアリング解除に応答して、ペアリングを解除する。
【0060】
図6を参照して、通信端末13と1の画像形成装置11とを接続するまでの制御について説明する。ユーザAは、図6(a)に示すように、自身が所有する通信端末13に実装された印刷アプリケーションを起動させる。ここでは、印刷アプリケーションを用いるものとして説明するが、これに限られるものではない。このとき、ユーザAは、A3サイズの用紙に印刷したいと考えており、A3サイズに対応した画像形成装置11はMFP_Aのみであるので、MFP_Aを使いたいと考えているものとする。
【0061】
画像形成装置11としてのMFP_A、MFP_B、MFP_Cと、サーバ12とが有線LANに接続され、有線LANを介して相互に通信可能となっている。この例では、上記の第1のテーブル、第2のテーブルを格納するために、有線LANにサーバ12が接続されているが、これらのテーブルを格納することができれば、有線LANに接続される画像形成装置11以外の機器はサーバ12に限定されるものではない。したがって、有線LANには、HDD等の不揮発性メモリ等が接続されていてもよい。また、有線LANに接続される画像形成装置11以外の機器の個数は、1つに限らず、2つ以上であってもよい。有線LANに接続される画像形成装置11の数も、3つに限られるものではなく、複数であれば、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0062】
ユーザAが通信端末13の印刷アプリケーションを起動すると、図6(b)に示すように起動したアプリケーションが自動でBLE通信範囲内に存在するMFPに対し、BLEにより応答を要請し、BLEアドレス情報を要求する。図6(b)に示す例では、BLE通信範囲内にMFP_A、MFP_B、MFP_Cの3つの機器が存在し、それら3つの機器に対し、BLEアドレス情報を要求している。
【0063】
BLEアドレス情報の要求を受けた3つの機器は、図6(c)に示すように、通信端末13に対し、各々が保持するBLEアドレス情報を応答に含めてBLEにより返信する。これにより、通信端末13は、BLE通信範囲内にMFP_A、MFP_B、MFP_Cの3つの機器が存在し、それぞれの機器が各BLEアドレス情報により識別される機器であることを認識する。
【0064】
通信端末13は、印刷アプリケーションがBLEアドレス情報を返信してきたMFPの中から1台を自動で選び、選んだMFPに対し、BLEによりペアリング要求を送信し、ペアリングを実行する。ここでは、MFP_Cが選ばれたとする。ユーザAは、MFP_Aを使用したいと考えているが、ペアリングは、ユーザAが意図しないMFP_Cとの間で実施されている。
【0065】
図7を参照して、複数の画像形成装置11にユーザ情報を表示させるまでの制御について説明する。現在、通信端末13とMFP_Cとの間でペアリングが実施されている。通信端末13は、MFP_A、MFP_B、MFP_Cからの応答によりBLEアドレス情報を取得している。そこで、通信端末13は、図7(a)に示すように、ペアリングしたMFP_Cに対し、取得した全てのBLEアドレス情報をBLEにより送信する。BLEアドレス情報は、MFP_A、MFP_B、MFP_CのBLEアドレス情報の全てであってもよいし、ペアリングした機器であるMFP_CのBLEアドレス情報を除いたMFP_A、MFP_BのBLEアドレス情報であってもよい。ペアリングした機器は、自身がBLE通信範囲内に存在する機器であることを認識しており、自身のBLEアドレス情報を保持しているため、通信端末13がわざわざ送信する必要はないからである。この例では、MFP_A、MFP_BのBLEアドレス情報のみを送信している。また、通信端末13は、BLEアドレス情報のほか、MFP_CへユーザAの認証情報(ユーザID、パスワード)もBLEにより送信する。
【0066】
通信端末13とペアリングしたMFP_Cは、通信端末13からBLEアドレス情報を受け取った後、図7(b)に示すように、サーバ12にアクセスし、MFP_A、MFP_BのBLEアドレスに関連付けられたネットワークアドレス情報と、認証情報に関連付けられたユーザ情報とを取得する。ネットワークアドレス情報は、MFP_Cが有線LANを使用してMFP_A、MFP_Bへアクセスするために使用するアドレス情報であり、ユーザ情報は、ユーザAであることが一目で分かるユーザの氏名や顔画像等である。
【0067】
MFP_Cは、サーバ12からネットワークアドレス情報とユーザ情報とを取得した後、図7(c)に示すように、ネットワークアドレス情報を使用してMFP_A、MFP_Bへアクセスし、ネットワーク10である有線LANを介してユーザ情報と認証情報とを送信し、操作部にユーザ情報を表示させるように指示する。図7(d)は、MFP_A、MFP_B、MFP_Cの操作部にユーザ情報としてユーザAを表示させたところを示した図である。MFP_Cの制御部82は、ペアリングした機器であるMFP_Cに対してもユーザ情報を表示させるように指示するため、MFP_Cの操作部にも、ユーザAが表示される。
【0068】
本システムは、1のユーザのみが使用するものではないため、操作部に表示されるユーザ情報は1のユーザ情報のみとは限らない。図7(d)では、ユーザAのほか、ユーザBも機器の選択のために表示されている。
【0069】
図8を参照して、ユーザ情報が選択された後の制御について説明する。図6および図7の制御は、ユーザAが意図するMFPの設置場所への移動中に行われる。ユーザAが意図するMFP_Aの設置場所へ到着すると、図8(a)に示すように、ユーザAは、操作部に表示されたユーザ情報のうち、自身のユーザ情報である「ユーザA」を選択する。操作部がタッチパネルである場合、画面上の「ユーザA」と表示されたフィールドをタッチすることにより選択する。
【0070】
MFP_Aは、自身が指定されたことを検知し、MFP_Cから送信されたユーザAの認証情報を使用してログインを行う。各ユーザの認証情報は、各MFPが保持していてもよいし、サーバ12が管理していてもよい。ログインでは、各MFPが保持する、もしくはサーバ12が管理する認証情報と、MFP_Cから受信した認証情報とを比較し、一致する場合、ログイン成功となる。ログインが失敗した場合、エラーを表示し、認証情報を入力させる画面を表示することができる。なお、これは一例であるので、これに限られるものではない。
【0071】
ログイン中、ユーザ情報が選択されたMFP_Aの操作部は、図8(b)に示すように、ログイン中であることを示す画面を表示する。MFP_Aは、ログイン中、選択されなかった他のMFPであるMFP_B、MFP_Cに対し、「ユーザA」の表示を停止させるように指示する。
【0072】
MFP_B、MFP_Cは、MFP_Aからの指示に応答して、図8(c)に示すように、MFP_B、MFP_Cの操作部に表示された「ユーザA」の表示を停止し、MFP_Aに対し、表示を停止した旨を通知する。MFP_Aは、その通知により表示の停止を確認した後、ログイン中を示す画面からログイン完了後の画面へ切り替える。
【0073】
このとき、通信端末13は、MFP_Cとのペアリングを維持したままの状態である。この場合、MFP_Cは、他の通信端末からの応答要請に対して応答することができず、他のユーザは自身の通信端末とMFP_Cとを連携させることができない。ユーザ情報が選択されたMFP_Aは、実質的に通信端末13と連携動作する状態となっており、図8(d)に示すように、通信端末13とペアリングしたMFP_Cに対し、ペアリングを解除するように指示する。MFP_Cは、この指示に応答して、通信端末13とのペアリングを解除する。これにより、MFP_Cは、他の通信端末からの応答要請に対して応答することが可能となる。
【0074】
以上に説明した制御について、図9図10を参照して詳細に説明する。制御は、ペアリングを実施した画像形成装置11と、ユーザが意図する画像形成装置11とが同一個体であるか、同一個体でないかによって異なるため、図9を参照して同一個体でない場合について、図10を参照して同一個体である場合について説明する。
【0075】
図9に示す例では、ユーザAが通信端末13を起動し、印刷アプリケーションを開く(S1)。すると、通信端末13上では、印刷アプリケーションが起動される(S2)。通信端末13は、印刷アプリケーションが起動されると自動的にBLEを使用し、周辺の画像形成装置11に対し、通信端末13のBLEアドレス情報を送信して応答を要請し、応答を返信するように要求する(S3、S4)。
【0076】
通信端末13のBLE通信範囲内に存在する画像形成装置11であって、通信端末13からの応答要請に対して応答可能な画像形成装置11は、通信端末13に対し、BLEにより自身が保持するBLEアドレス情報を応答に含めて返信する(S5、S6)。ここで、応答可能としているのは、BLE通信範囲内に存在する画像形成装置11であっても、電源がOFF状態の機器や故障した機器等は、応答要請に対して応答できないからである。
【0077】
通信端末13は、応答を返信した画像形成装置11の中から自動的に1台の画像形成装置11を選出する(S7)。例えば、通信端末13が応答を受信して検出した画像形成装置11のうち、最後にペアリングした画像形成装置11や、通信端末13に最も近い画像形成装置11を選出することができる。なお、これらの選出方法は一例であり、これらの方法に限定されるものではない。図9に示す例では、画像形成装置Aが選出されている。
【0078】
通信端末13は、選出した1台の画像形成装置Aに対し、BLEによりペアリング要求を送信する(S8)。画像形成装置Aは、通信端末13からのペアリング要求に応答して、通信端末13と接続を確立し、ペアリングを開始する(S9)。通信端末13は、通信端末13の所有者であるユーザAが、画像形成装置Aにログインするための認証情報と、応答した全ての画像形成装置11のBLEアドレス情報とを、選出した画像形成装置AへBLEにより送信する(S10)。
【0079】
画像形成装置Aは、通信端末13から受信した画像形成装置11のBLEアドレス情報に関連付けられたネットワークアドレス情報とユーザ情報とを取得し、BLEアドレス情報とネットワークアドレス情報とを紐付ける(S11)。画像形成装置Aは、取得したネットワークアドレス情報を使用して通信端末13から取得した認証情報をネットワーク10である有線LANを介して送信し、取得したユーザ情報の表示を指示する(S12)。指示を受けた画像形成装置Bは、自身の操作部にユーザ情報「ユーザA」を表示する(S13)。また、指示した画像形成装置Aも、自身の操作部にユーザ情報「ユーザA」を表示する(S14)。
【0080】
ユーザAが使用したい画像形成装置11がペアリングした画像形成装置Aとは異なる画像形成装置であるため、ここでは、ユーザAが使用したい画像形成装置11を画像形成装置Bとする。ユーザAは、自身が使用したい画像形成装置Bの設置場所へ移動している。ユーザAは、画像形成装置Bの設置場所に到着すると、画像形成装置Bの操作部に表示されたユーザ情報「ユーザA」を選択する(S15)。画像形成装置Bは、ユーザAが選択されたことを検出する。
【0081】
ユーザAが選択されたことを検出した画像形成装置Bは、通信端末13へ応答を返信した画像形成装置11のうち、画像形成装置B以外の全ての画像形成装置(この例では画像形成装置A)に対し、有線LANを介して「ユーザA」の表示を停止するように指示する(S16)。指示を受けた画像形成装置Aは、操作部の「ユーザA」の表示を停止する(S17)。指示した画像形成装置Bも、操作部の「ユーザA」の表示を停止し、ログイン完了後の画面を表示する(S18)。
【0082】
画像形成装置Bは、ユーザ情報の表示を指示した、通信端末13とペアリングした画像形成装置Aに対し、通信端末13とのBLEによるペアリングを解除するように指示する(S19)。画像形成装置Aは、画像形成装置Bからの指示に応答して、通信端末13とのペアリングを解除する(S20)。
【0083】
次に、図10に示す例では、ユーザAが通信端末13を起動し、印刷アプリケーションを開く(S1)。すると、通信端末13上では、印刷アプリケーションが起動される(S2)。通信端末13は、印刷アプリケーションが起動されると自動でBLEを使用して周辺の画像形成装置11に対し、通信端末13のBLEアドレス情報を送信して応答を要請し、応答を返信するように要求する(S3、S4)。
【0084】
通信端末13のBLE通信範囲内に存在する画像形成装置11であって、通信端末13からの応答要請に対して応答可能な画像形成装置11は、通信端末13に対し、BLEにより自身が保持するBLEアドレス情報を応答に含めて返信する(S5、S6)。
【0085】
通信端末13は、応答を返信した画像形成装置11の中から自動的に1台の画像形成装置11を選出する(S7)。図10に示す例では、画像形成装置Aが選出されている。
【0086】
通信端末13は、選出した1台の画像形成装置Aに対し、BLEによりペアリング要求を送信する(S8)。画像形成装置Aは、通信端末13からのペアリング要求に応答して、通信端末13と接続を確立し、ペアリングを開始する(S9)。通信端末13は、通信端末13の所有者であるユーザAが、画像形成装置Aにログインするための認証情報と、BLEにより応答した全ての画像形成装置11のBLEアドレス情報とを、選出した画像形成装置AへBLEにより送信する(S10)。
【0087】
画像形成装置Aは、通信端末13から受信した画像形成装置11のBLEアドレス情報に関連付けられたネットワークアドレス情報とユーザ情報とを取得し、BLEアドレス情報とネットワークアドレス情報とを紐付ける(S11)。画像形成装置Aは、取得したネットワークアドレス情報を使用して、通信端末13から取得した認証情報を、有線LANを介して送信し、取得したユーザ情報の表示を指示する(S12)。指示を受けた画像形成装置Bは、自身の操作部にユーザ情報「ユーザA」を表示する(S13)。また、指示した画像形成装置Aも、自身の操作部にユーザ情報「ユーザA」を表示する(S14)。
【0088】
ユーザAが使用したい画像形成装置11がペアリングした画像形成装置Aと同一個体であるため、ユーザAが使用したい画像形成装置11は画像形成装置Aである。ユーザAは、画像形成装置Aの設置場所へ移動している。ユーザAは、画像形成装置Aの設置場所に到着すると、画像形成装置Aの操作部に表示されたユーザ情報「ユーザA」を選択する(S15)。画像形成装置Aは、ユーザAが選択されたことを検出する。
【0089】
ユーザAが選択されたことを検出した画像形成装置Aは、通信端末13へ応答を返信した画像形成装置11のうち、画像形成装置A以外の全ての画像形成装置(この例では画像形成装置B)に対し、有線LANを介して「ユーザA」の表示を停止するように指示する(S16)。指示を受けた画像形成装置Bは、操作部の「ユーザA」の表示を停止する(S16)。指示した画像形成装置Aも、操作部の「ユーザA」の表示を停止し、ログイン完了後の画面を表示する(S18)。
【0090】
画像形成装置Aは、通信端末13とのペアリングを解除する(S19)。これにより、画像形成装置Aは、通信端末13や他の通信端末からの応答要請に対する応答が可能となり、通信端末13との再度のペアリングや他の通信端末とのペアリングが可能となる。
【0091】
これまでは、各画像形成装置11の近距離通信回路21がBLEにより無線通信を行うことが可能であるものとして説明してきたが、画像形成装置11によってはBLEに対応していない機器もある。BLE非対応の機器を使用してネットワークシステムを構成する場合、ネットワーク10に1以上のBLE対応の中継装置としてBLE対応ルータを設け、BLE対応ルータを介して1以上の画像形成装置11を検出し、検出した1以上の画像形成装置11のうちの1つと接続することができる。この場合、BLEモジュールを各画像形成装置11に実装しなくてもよいため、BLEモジュールの総数を減らすことができ、システムとしてのコストを削減することができる。
【0092】
例えば、図11に示すように、ネットワーク10に2つのBLE対応ルータ14、15が設けられた構成を考える。ルータ14、15は、ネットワーク10を介して互いに通信可能とされ、ルータ14は、画像形成装置11a、11bへの通信を中継し、ルータ15は、画像形成装置11c、11dへの通信を中継する。
【0093】
通信端末13を所有するユーザは、自身が意図する画像形成装置11aへ向けて移動する。通信端末13のBLE通信範囲内にルータ14、15の2つが入った場合、通信端末13は、BLEによりルータ14、15からの応答を受信し、ルータ14、15を検出する。通信端末13は、応答に含まれるルータ14、15のBLEアドレス情報を取得する。
【0094】
通信端末13は、接続するルータを選出し、選出したルータとペアリングを行う。通信端末13が、例えばルータ15とペアリングを実施した場合、通信端末13は、ルータ15を介して画像形成装置11c、11dのいずれかと接続し、接続した画像形成装置へBLEアドレス情報とユーザの認証情報とを送信する。通信端末13が選出したルータを介して通信を行うことができる機器であれば、どの機器と接続してもよい。接続する機器は、例えば予め指定した機器等とすることができる。ここでは、通信端末13は、ルータ15を介して画像形成装置11cと接続したとする。
【0095】
画像形成装置11cは、サーバ12へアクセスし、取得したBLEアドレス情報に関連付けられた画像形成装置11a、11b、11dのネットワークアドレス情報を取得する。そして、画像形成装置11cは、取得したネットワークアドレス情報を使用し、ネットワーク10を介して画像形成装置11a、11b、11dへユーザ情報の表示を指示する。このとき、画像形成装置11cは、ネットワーク10を介して画像形成装置11a、11b、11dへユーザの認証情報も送信する。これにより、画像形成装置11a、11b、11dは、それぞれの操作部にユーザ情報を表示する。通信端末13と接続された画像形成装置11c自身も、操作部にユーザ情報を表示する。このようにして、ルータ14、15につながる全ての画像形成装置11a、11b、11c、11dにユーザ情報を表示させる。
【0096】
ユーザは、到着した画像形成装置11aの操作部に表示された自身のユーザ情報を選択し、画像形成装置11aを、印刷を実行させる画像形成装置11として指定することができる。
【0097】
上記では、サーバ12が、BLEアドレス情報とネットワークアドレス情報とを関連付け、テーブルとして管理することを説明したが、これに限られるものではなく、ネットワーク10に接続されるHDD等の不揮発性メモリに記憶し、ペアリングした画像形成装置11が不揮発性メモリのテーブルを参照し、ネットワークアドレス情報を取得する形であってもよい。
【0098】
BLEアドレスとネットワークアドレスとを関連付けた情報は、サーバ12や1つの不揮発性メモリにおいてテーブルで管理することで、情報の更新の際、1箇所の情報のみを更新すればよく、更新時の手間を軽減することができる。
【0099】
BLEアドレスとネットワークアドレスとを関連付けた情報は、各画像形成装置11に接続される不揮発性メモリに格納されていてもよい。この場合、不揮発性メモリの数が増加し、更新時の手間がかかることになるが、サーバ12等へアクセスするための設定を行う必要がなくなり、システムの構築が容易になる。
【0100】
以上に説明してきたように、通信端末13とユーザが意図しない機器がペアリングしたとしても、ユーザが意図する機器でジョブを実行させることができ、ユーザが意図しない機器と連携することを防ぐことができる。また、ユーザが機器を選択することはないため、機器の選択の手間を省略することができる。
【0101】
これまで本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の構成要素を変更若しくは削除し、または本実施形態の構成要素を他の構成要素を追加するなど、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0102】
10…ネットワーク
11、11a~11d…画像形成装置
12…サーバ
13…通信端末
14、15…ルータ
20…コントローラ
21…近距離通信回路
22…エンジン制御部
23…操作パネル
23a…パネル表示部
23b…入力部
24…ネットワークI/F
30…CPU
31…MEM-P
31a…ROM
31b…RAM
32…NB
33…SB
34…ASIC
35…MEM-C
36…HDDコントローラ
37…HD
38…AGPバス
39…PCIバス
40…スキャナ部
41…プリンタ部
50…CPU
51…ROM
52…RAM
53…EEPROM
54…CMOSセンサ
55…撮像素子I/F
56…加速度・方位センサ
57…メディアI/F
58…GPS受信部
59…記録メディア
60…遠距離通信回路
60a…アンテナ
61…CMOSセンサ
62…撮像素子I/F
63…マイク
64…スピーカ
65…音入出力I/F
66…ディスプレイ
67…外部機器接続I/F
68…近距離通信回路
68a…アンテナ
69…タッチパネル
70…バスライン
80…接続部
81…取得部
82…制御部
83…認証部
90…接続要求部
91…取得部
92…情報送信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【文献】特開2018-173972号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11