IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧

<>
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図1
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図2
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図3
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図4
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図5
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図6
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図7
  • 特許-カメラボディ、およびカメラシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】カメラボディ、およびカメラシステム
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20210101AFI20241112BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20241112BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20241112BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20241112BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20241112BHJP
【FI】
G03B17/14
G02B7/28 N
G03B13/36
G02B7/08 C
H04N23/66
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022209210
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2018137273の分割
【原出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2023029467
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】木下 朗
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-149970(JP,A)
【文献】国際公開第2009/139188(WO,A1)
【文献】実開昭63-194313(JP,U)
【文献】特表2003-509700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G02B 7/28
G03B 13/36
G02B 7/08
H04N 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを備える交換レンズが着脱可能なカメラボディであって、
撮像面において前記交換レンズの光学系により結像される被写体像を撮像する撮像部と、
前記フォーカスレンズの位置に関するデータと、前記データの信頼性を示す識別子と、が入力される入力部と、
少なくとも前記入力部に入力された前記データと、前記撮像面と前記光学系の結像位置とのずれに関する情報とを用いて、前記フォーカスレンズの駆動に関する指示を作成する作成部と、
前記交換レンズとの間で第一通信を行い、前記指示を前記交換レンズに送信する第一通信部と、
前記交換レンズとの間で前記第一通信とは異なりかつ前記第一通信より短い周期の第二通信を行い、前記データと前記識別子とを前記交換レンズから受信する第二通信部と、
前記第一通信部による前記第一通信と、前記第二通信部による前記第二通信とを独立に制御する制御部と、
を備え、
前記第二通信部は、前記撮像部による1回の撮像の間に、前記データと前記識別子とを複数回受信し、
前記作成部は、1回の撮像の間に受信した少なくとも1以上の前記データを用いて前記指示を作成し、
前記作成部は、前記信頼性が有ることを示す前記識別子の前記データを用いて前記指示を作成し、前記信頼性が無いことを示す前記識別子の前記データは用いずに前記指示を作成する、
カメラボディ。
【請求項2】
前記第一通信のクロック信号は、前記カメラボディから前記交換レンズに出力され、
前記第二通信のクロック信号は、前記交換レンズから前記カメラボディに出力され、
前記入力部に、前記第二通信の前記クロック信号に同期して前記データと前記識別子とが繰り返し入力される、請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項3】
前記第二通信の開始指示と終了指示は、前記第一通信により前記交換レンズに送信され、
前記入力部は、前記第二通信を行うことにより、前記データと前記識別子とが入力される、請求項1または2に記載のカメラボディ。
【請求項4】
前記第一通信に用いられる端子と前記第二通信に用いられる端子とは異な
前記第一通信で前記指示を前記交換レンズに送信しているときに、前記第二通信で前記データと前記識別子とを前記交換レンズから受信することが可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項5】
前記識別子は、前記データの前記信頼性の有無を示すものである、請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項6】
前記第一通信部は、前記信頼性が低い前記データに基づいて作成された前記指示であることを示す情報を、前記指示に付して前記交換レンズに送信する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項7】
前記入力部には、前記フォーカスレンズの移動状態が入力され、
前記移動状態は、前記フォーカスレンズの移動の有無を示し、
前記作成部は、前記移動状態が前記フォーカスレンズの移動があることを示す場合、前記フォーカスレンズの移動により変化した前記光学系の焦点距離に基づいて前記指示を作成する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項8】
前記作成部は、前記信頼性に基づく情報を含めるように、前記指示を作成する、
請求項1からのいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のカメラボディと、前記交換レンズとを備えるカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラボディ、およびカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
交換レンズの状態を示す情報をカメラボディに送る技術が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、送られたデータの内容が不適切だと、そのデータを用いた制御の精度が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-105402号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によるカメラボディは、フォーカスレンズを備える交換レンズが着脱可能なカメラボディであって、撮像面において前記交換レンズの光学系により結像される被写体像を撮像する撮像部と、前記フォーカスレンズの位置に関するデータと、前記データの信頼性を示す識別子と、が入力される入力部と、少なくとも前記入力部に入力された前記データと、前記撮像面と前記光学系の結像位置とのずれに関する情報とを用いて、前記フォーカスレンズの駆動に関する指示を作成する作成部と、前記交換レンズとの間で第一通信を行い、前記指示を前記交換レンズに送信する第一通信部と、前記交換レンズとの間で前記第一通信とは異なりかつ前記第一通信より短い周期の第二通信を行い、前記データと前記識別子とを前記交換レンズから受信する第二通信部と、前記第一通信部による前記第一通信と、前記第二通信部による前記第二通信とを独立に制御する制御部と、を備え、前記第二通信部は、前記撮像部による1回の撮像の間に、前記データと前記識別子とを複数回受信し、前記作成部は、1回の撮像の間に受信した少なくとも1以上の前記データを用いて前記指示を作成し、前記作成部は、前記信頼性が有ることを示す前記識別子の前記データを用いて前記指示を作成し、前記信頼性が無いことを示す前記識別子の前記データは用いずに前記指示を作成する。
本発明の第2の態様によるカメラシステムは、上記に記載のカメラボディと、前記交換レンズとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】カメラシステムの要部構成を説明するブロック図である。
図2】複数のフォーカシングレンズの移動軌跡を例示する図である。
図3】コマンドデータ通信とホットライン通信を例示するタイミングチャートである。
図4】コマンドデータ通信のタイミングを例示する図である。
図5】ホットライン通信のタイミングを例示する図である。
図6】ホットラインデータに含まれる情報を例示する図である。
図7】フォーカスレンズ位置と焦点距離と撮影距離の関係を示す図である。
図8】自動焦点調節のタイミングを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
図1はカメラシステム1の要部構成を説明するブロック図である。交換レンズ3は、カメラボディ2に対してバヨネット構造により着脱可能である。カメラボディ2と交換レンズ3が結合すると、ボディ側マウントに設けられた端子とレンズ側マウントに設けられた端子同士が物理的に接触し、電気的に接続される。
【0007】
<カメラボディ>
カメラボディ2は、ボディ側制御部230、ボディ側通信部240、電源部250、撮像素子260、信号処理部270、操作部材280、および表示部285を有する。
【0008】
撮像素子260は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子である。撮像素子260は、ボディ側制御部230からの制御信号により、撮像面260Sの被写体像を光電変換して信号を出力する。
撮像素子260は、画像生成用の光電変換部と焦点検出用の光電変換部を有する。画像生成用の光電変換部で生成される撮像用画素信号は、信号処理部270によって画像データの生成に用いられる。また、焦点検出用の光電変換部で生成される検出用画素信号は、信号処理部270によって交換レンズ3による結像状態、換言すると交換レンズ3の焦点を検出する焦点検出処理に用いられる。
【0009】
信号処理部270は、撮像素子260から出力された撮像用画素信号に対して所定の画像処理を行って画像データを生成する。生成された画像データは、不図示の記憶媒体に所定のファイル形式で記録されたり、表示部285による画像表示に用いられたりする。また、信号処理部270は、撮像素子260から出力された検出用画素信号に対して所定の焦点検出処理を行ってデフォーカス量(交換レンズ3の焦点位置と撮像面260Sとのずれ量)を算出する。信号処理部270は、ボディ側制御部230、撮像素子260、および表示部285と接続される。
【0010】
ボディ側通信部240は、交換レンズ3のレンズ側通信部340との間で所定の通信を行う。ボディ側通信部240は、ボディ側第1通信部240aと、ボディ側第2通信部240bとを含む。ボディ側第1通信部240aは後述のコマンドデータ通信を行い、ボディ側第2通信部240bは後述のホットライン通信を行う。
ボディ側第1通信部240aはボディ側制御部230と接続され、コマンドデータ通信でカメラボディ2から交換レンズ3に送信される情報は、ボディ側制御部230により作成される。ボディ側第2通信部240bはボディ側制御部230と接続され、ホットライン通信で交換レンズ3からカメラボディ2に送信される情報は、ボディ側制御部230に送信される。
【0011】
ボディ側制御部230は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。ボディ側制御部230は、記憶部235に記憶されている制御プログラムを実行してカメラボディ2内の各部を制御する。ボディ側制御部230は、ボディ側通信部240、電源部250、撮像素子260、信号処理部270、操作部材280、表示部285と接続される。
ボディ側制御部230は、記憶部235を含む。記憶部235は、ボディ側制御部230によってデータの記録と読み出しが制御される。記憶部235は、ボディ側制御部230が実行する制御プログラム等を記憶する。
ボディ側制御部230は、画像処理などカメラボディ2全体の制御や交換レンズ3に含まれる移動部材への指示の作成を行う。ボディ側第1制御部230は、ボディ側通信部240から送信された情報に基づいて交換レンズ3に含まれるフォーカシングレンズ361aの位置を算出する第1算出部231と、信号処理部270から出力されたデフォーカス量と第1算出部231で算出されたフォーカシングレンズ361aの位置とに基づいて、フォーカシングレンズ361aの駆動量を算出する第2算出部232とを備える。
【0012】
電源部250は、不図示の電池の電圧をカメラシステム1の各部で使用される電圧に変換し、カメラボディ2の各部、および、交換レンズ3へ供給する。電源部250は、ボディ側制御部230の指示により、給電先ごとに給電のオンとオフとを切換え可能である。
【0013】
レリーズボタンや操作スイッチ等を含む操作部材280は、カメラボディ2の外装面に設けられる。ユーザは、操作部材280を操作することにより、撮影指示や撮影条件の設定指示等を行う。操作部材280は、ユーザの操作に応じた操作信号をボディ側制御部230へ送出する。
表示部285は、例えば液晶表示パネルによって構成される。表示部285は、ボディ側制御部230からの指示により、信号処理部270によって処理された画像データに基づく画像や、操作メニュー画面等を表示する。
【0014】
<交換レンズ>
交換レンズ3は、レンズ側制御部330、レンズ側通信部340、レンズ側記憶部350、撮像光学系360、レンズ駆動部370、ズーム操作環375、絞り駆動部380を有する。
【0015】
レンズ側制御部330は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ側制御部330は、レンズ側記憶部350に記憶されている制御プログラムを実行して交換レンズ3の各部を制御する。レンズ側制御部330は、レンズ側通信部340、レンズ側記憶部350、レンズ駆動部370、ズーム操作環375および絞り駆動部380と直接または間接的に接続される。
【0016】
レンズ側記憶部350は、不揮発性の記憶媒体によって構成される。レンズ側記憶部350は、レンズ側制御部330によってデータの記録と読み出しが制御される。レンズ側記憶部350は、レンズ側制御部330が実行する制御プログラム等を記憶する他に、交換レンズ3の機種名を示すデータや、撮像光学系360の光学特性を示すデータ等を記憶することができる。光学特性の一例として、焦点距離および撮影距離に応じたフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置、などが挙げられる。
【0017】
撮像光学系360は、結像面(撮像面260S)に被写体像を結像させる。撮像光学系360の光軸Oは、撮像面260Sの中心位置と略一致する。撮像光学系360の少なくとも一部は、移動部材として、交換レンズ3内での位置を移動可能に構成されている。
撮像光学系360は、例えば、移動部材としてのフォーカシングレンズ361a、移動部材としてのズームレンズ361cおよび絞り362とによって構成される。
レンズ駆動部370は、移動部材を移動させるものであり、レンズ駆動部370a、370cを含む。レンズ駆動部370はそれぞれ、アクチュエータと駆動機構、移動部材の位置検出部を含む。本実施形態では、レンズ駆動部370の位置検出部やアクチュエータからの信号により、移動部材の位置情報が周期的に作成される。また、レンズ駆動部370の位置検出部やアクチュエータからの信号により、移動部材を移動駆動中であるか否か、移動部材の移動方向、移動部材が停止中であるか否か、などの移動状態が周期的に認識される。移動部材の位置情報が作成される周期および移動部材の移動状態が認識される周期は、ホットライン通信の周期より短くすることが可能である。
【0018】
フォーカシングレンズ361aは、レンズ駆動部370aにより、光軸O方向に進退移動が可能に構成されている。フォーカシングレンズ361aが移動することにより、撮像光学系360の焦点位置が調節される。フォーカシングレンズ361aの移動方向や移動量、移動速度などの駆動指示は、ボディ側制御部230からの指示によることとしてもよく、ボディ側制御部230からの指示を考慮してレンズ側制御部330が指示することとしてもよい。フォーカシングレンズ361aの位置は、レンズ駆動部370aにステッピングモータと原点検出部を用いる場合、ステッピングモータのパルス数(移動量)と原点検出部の検出結果とで検出可能に構成されている。
図1ではフォーカシングレンズ361aは1つとしたが、図2に示すように、複数のフォーカシングレンズ363,364を移動させることにより、撮像光学系360の焦点位置を調節するものとしてもよい。その場合、フォーカシングレンズ363,364それぞれを光軸O方向に駆動する複数のレンズ駆動部370aを備えることとしてもよい。図2では、焦点距離W~M~T(W<M<T)における撮影距離が無限遠でのフォーカシングレンズ363,364の位置を示す。図2で、各フォーカシングレンズ363,364の位置は、P(撮影距離に相当する数値、焦点距離に相当する記号)の座標で示す。
【0019】
ズームレンズ361cは、レンズ駆動部370cまたはズーム操作環375により、光軸O方向に進退移動が可能に構成されている。ズームレンズ361cが移動することにより、撮像光学系360の焦点距離が変化する。ズームレンズ361cの移動方向、移動量、移動速度などは、レンズ側制御部330から指示される、または、ズーム操作環375から機械的に伝達される駆動力による。ズームレンズ361cの位置は、レンズ駆動部370cのエンコーダ等によって検出可能に構成されている。
【0020】
絞り362は、移動部材としての複数の絞り羽根を有し、複数の絞り羽根を用いて形成される開口部により撮像素子260へ入射する光量を調節する。絞り駆動部380は、モータおよび絞り駆動機構によって構成され、絞り362は、絞り駆動部380や手動操作により、開口径(絞り値)を変化させることが可能に構成されている。絞り362の開口径は、絞り駆動部380のエンコーダ等によって検出可能に構成されている。移動部材としての絞り羽根の位置情報は、絞り駆動部380やレンズ側制御部330により開口径として作成される。
【0021】
ズーム操作環375は、例えば、交換レンズ3の外筒に設けられている。ユーザは、ズーム操作環375によって交換レンズ3の焦点距離を変更するズーム操作を行う。ユーザのズーム操作に応じた操作信号は、ズーム操作環375からレンズ側制御部330へ送出することとしてもよい。
【0022】
レンズ側通信部340は、ボディ側通信部240との間で所定の通信を行う。レンズ側通信部340は、レンズ側第1通信部340aと、レンズ側第2通信部340bとを含む。レンズ側第1通信部340aはコマンドデータ通信を行う端子と接続され、レンズ側第2通信部340bはホットライン通信を行う端子と接続される。
レンズ側第1通信部340aはレンズ側制御部330と接続され、コマンドデータ通信で交換レンズ3からカメラボディ2に送信される情報は、レンズ側制御部330により作成される。レンズ側第2通信部340bもレンズ側制御部330と接続され、ホットライン通信で交換レンズ3からカメラボディ2に送信される情報は、レンズ側制御部330やレンズ側第2通信部340bなどにより作成される。
【0023】
図1のレンズ側通信部340とボディ側通信部240との間の矢印は信号の流れを示す。
レンズ側第1通信部340aは、ボディ側第1通信部240aに向けて、交換レンズ3がコマンドデータ通信可能であるか否かを示す信号(以下、RDY信号)とデータ信号(以下、DATAL信号)を出力する。ボディ側第1通信部240aは、レンズ側第1通信部340aに向けて、コマンドデータ通信のクロック信号(以下、CLK信号)とデータ信号(以下、DATAB信号)を出力する。
レンズ側第2通信部340bは、ボディ側第2通信部240bに向けて、ホットライン通信のクロック信号(以下、HCLK信号)とデータ信号(以下、HDATA信号)を出力する。
ホットライン通信は、交換レンズ3からカメラボディ2への一方向のデータ通信であり、コマンドデータ通信は、交換レンズ3とカメラボディ2との双方向のデータ通信である。
【0024】
<通信の詳細>
カメラシステム1は、コマンドデータ通信とホットライン通信とによる2つの独立した通信系統を備えるので、それぞれの通信を並行して行うことができる。つまり、カメラボディ2および交換レンズ3は、コマンドデータ通信を行っているときにホットライン通信を開始することも終了することもできる。また、ホットライン通信を行っているときにコマンドデータ通信を行うことも可能である。従って、交換レンズ3は、コマンドデータ通信中であってもホットライン通信でカメラボディ2にデータを継続的に送信することができる。例えば、データ量の増大によりコマンドデータ通信に要する時間が長くなっても、ホットライン通信を必要なタイミングで行うことができる。
さらに、カメラボディ2は、ホットライン通信でデータを受信している間であっても、コマンドデータ通信で、交換レンズ3への種々の指示や要求を任意のタイミングで送信することができるとともに、交換レンズ3から任意のタイミングでデータを受けることができる。
【0025】
図3は、コマンドデータ通信とホットライン通信を例示するタイミングチャートである。カメラボディ2は、コマンドデータ通信によりホットライン通信の開始を指示した後、例えば時刻t1以降、ホットライン通信によって交換レンズ3からのデータを周期的に受信する。
また、カメラボディ2は、コマンドデータ通信により、交換レンズ3との間でデータを送受信する。詳しくは、カメラボディ2は、時刻t2からt3、および、時刻t9からt10の間で、交換レンズ3に送信指示した各種データを受信し、時刻t5からt6、および、時刻t12からt13において、交換レンズ3へ各種データを送信し、その合間の時刻t4、t7、t8およびt11において、それぞれ、振れ補正の開始指示、絞り駆動指示およびフォーカス駆動指示などの移動部材の移動制御に関する指示を交換レンズ3へ送信する。
【0026】
本実施形態において、コマンドデータ通信は、送受信するデータの種類が多く、また、交換レンズ3への指示頻度も高い。また、データの種類によっては送受信に要する時間が長くなってしまい、時刻t2からt3、時刻t5からt6、時刻t9からt10、および、時刻t12からt13で各種データを送受信する時間は、時刻t4、t7、t8およびt11で指示を送信する時間より長い。
【0027】
交換レンズ3は、例えば、コマンドデータ通信によって送られるカメラボディ2からの指示に応じて、交換レンズ3の情報(焦点距離、撮影距離、絞り値等)を示すデータをカメラボディ2へ送信する。交換レンズ3はさらに、カメラボディ2から送信されるカメラボディ2の情報(フレームレート、カメラボディ2の設定等)を示すデータを受信する。
【0028】
コマンドデータ通信は、1回の送受信に要する時間も長く、送受信の頻度も多いため、短い周期でのデータ通信を継続して行うことが難しい。
これに対し、ホットライン通信は、コマンドデータ通信に用いる通信用端子とは異なる通信用端子を用いるため、交換レンズ3からカメラボディ2へのデータ通信を短い周期で継続して行うことができる。例えば、ホットライン通信を、カメラボディ2の起動処理が終わってから露光中も含めて遮断処理まで、所望の期間に行うことができる。
ホットライン通信の開始指示と終了指示は、コマンドデータ通信によってカメラボディ2から交換レンズ3へ送信されるがこの限りではない。
【0029】
<コマンドデータ通信の説明>
次に、図4を用いて、コマンドデータ通信について説明する。図4は、RDY信号、CLK信号、DATAB信号、DATAL信号のタイミングを例示する。
1回のコマンドデータ通信では、カメラボディ2から交換レンズ3へ1つのコマンドパケット402を送信した後に、カメラボディ2と交換レンズ3との間で相互に1つずつのデータパケット406,407が送受信される。
【0030】
レンズ側第1通信部340aは、コマンドデータ通信の開始時(t21)にはRDY信号の電位をLレベルとする。ボディ側第1通信部240aは、RDY信号がLレベルであると、CLK信号401の出力を開始する。CLK信号401の周波数は、例えば8MHzである。ボディ側第1通信部240aは、クロック信号401に同期して、所定長のコマンドパケット402を含むDATAB信号を出力する。コマンドパケット402は、HレベルとLレベルの切り替えで示される。ボディ側第1通信部240aは、コマンドパケット402のデータ長に相当する期間のCLK信号401を出力したら、その後CLK信号の出力を終了する(t22)。
コマンドパケット402には、例えば、同期用データ、何番目のコマンドデータ通信なのかを識別するためのデータ、カメラボディ2からの指示を示すデータ、後続のデータパケット406のデータ長を示すデータ、通信エラーチェック用のデータなどが含まれる。コマンドパケット402に含まれる指示は、例えば、カメラボディ2から交換レンズ3への移動部材の駆動指示、カメラボディ2から交換レンズ3へのデータの送信指示、などがある。
交換レンズ3は、コマンドパケット402に含まれる通信エラーチェック用のデータに、受信したコマンドパケット402から算出された値が一致するか否かにより、通信エラーの有無を判断すればよい。
コマンドパケット402の受信を完了すると、レンズ側第1通信部340aがRDY信号をHレベルにするとともに、レンズ側制御部330がコマンドパケット402に基づく第1制御処理404を開始する(t22)。
【0031】
レンズ側第1通信部340aは、レンズ側制御部330による第1制御処理404が完了すると、RDY信号をLレベルにすることができる(t23)。ボディ側第1通信部240aは、入力されるRDY信号がLレベルになると、CLK信号405を出力する。
【0032】
ボディ側第1通信部240aは、CLK信号405に同期して、データパケット406を含むDATAB信号を出力する。また、レンズ側第1通信部340aは、CLK信号405に同期して、所定長のデータパケット407を含むDATAL信号を出力する。データパケット406,407は、HレベルとLレベルの切り替えで示される。ボディ側第1通信部240aは、データパケット406のデータ長に相当する期間のCLK信号405を出力したら、その後CLK信号の出力を終了する(t24)。
データパケット406、407は、コマンドパケット402によって示されたデータ数を有するmバイトの可変長データである。データパケット406、407には、同期用のデータ、カメラボディ2の情報を示すデータ、交換レンズ3の情報を示すデータ、通信エラーチェック用のデータなどが含まれる。
カメラボディ2から交換レンズ3に送信されるデータパケット406は、移動部材の駆動量を示すデータ、カメラボディ2内での設定や動作状態を伝えるためのデータなどを含む。
交換レンズ3からカメラボディ2に送信されるデータパケット407は、交換レンズ3の機種名情報を示すデータ、交換レンズ3内での移動部材の移動状態を示すデータ、交換レンズ3の焦点距離等の光学特性に関するデータ、などを含む。
受信側の機器(交換レンズ3またはカメラボディ2)は、データパケット406、407に含まれる通信エラーチェック用のデータに、受信したデータパケット406,407から算出された値が一致するか否かにより、通信エラーの有無を判断すればよい。
データパケット406,407の送受信が完了すると、レンズ側第1通信部340aはRDY信号をHレベルにするとともに、レンズ側制御部330はデータパケット406,407に基づいて第2制御処理408を開始する(t24)。
【0033】
(第1および第2制御処理の説明)
次に、コマンドデータ通信の第1制御処理404および第2制御処理408の一例を説明する。
例えば、コマンドパケット402が、フォーカシングレンズ361aの駆動指示を含むとする。レンズ側制御部330は、第1制御処理404として、フォーカシングレンズ361aの駆動指示を受信したことを示すデータパケット407を生成する。
【0034】
次に、レンズ側制御部330は、第2制御処理408として、データパケット406によって示された移動量だけフォーカシングレンズ361aを移動させるように、レンズ駆動部370aへ指示を出す。これにより、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向への移動が開始される。レンズ側第1通信部340aは、レンズ側制御部330からレンズ駆動部370aへフォーカシングレンズ361aの移動指示が出されると、第2制御処理408を完了したとしてRDY信号をLレベルにする(t25)。
【0035】
また、例えば、コマンドパケット402が、ホットライン通信の開始指示を含むとする。レンズ側制御部330は、第1制御処理404として、ホットライン通信の開始指示を受信したことを示すデータパケット407を生成する。次に、レンズ側制御部330は、第2制御処理408として、レンズ側第2通信部340bによりホットライン通信を開始させる。レンズ側第1通信部340aは、ホットライン通信を開始すると、第2制御処理408を完了したとしてRDY信号をLレベルにする(t25)。
【0036】
<ホットライン通信の説明>
次に、図5を用いて、ホットライン通信について説明する。図5は、HCLK信号とHDATA信号のタイミングを例示する。1回のホットライン通信では、交換レンズ3からカメラボディ2に対して、1つのHCLK信号502に同期させて1つのHDATA信号503が送信される。
【0037】
本実施の形態によるカメラシステム1では、ホットライン通信の開始指示を送受信する前に予め交換レンズ3とカメラボディ2との間で、ホットライン通信に関することが取り決められている。ホットライン通信に関することとして、例えば、1回のホットライン通信により送信するHDATA信号のデータ長(バイト数)、HDATA信号に含めるデータとその順序、HCLK信号のクロック周波数、周期(図5のTinterval)、1周期における通信時間(図5のTtransmit)等がある。本実施形態では、HCLK信号の周波数は2.5MHz、1回のホットライン通信のデータ長はコマンドパケット402より長く、1回のホットライン通信の周期は1ミリ秒、1周期における通信時間は送信間隔の75%未満とするが、この限りではない。なお、1回のホットライン通信とは、ホットライン通信の1周期で行われるデータ送信のことをいい、カメラボディ2からのコマンドデータ通信によるホットライン通信開始指示からホットライン通信終了指示までとは異なる。
【0038】
まず、ホットライン通信におけるレンズ側第2通信部340bの動作について説明する。レンズ側第2通信部340bは、時刻t31以前にコマンドデータ通信によりホットライン通信の開始の指示が受信されると、カメラボディ2へのHCLK信号の出力を開始する(t31)。HCLK信号は周期的に交換レンズ3から出力されるものであり、図5では、HCLK信号502、502´、…として示される。
【0039】
レンズ側第2通信部340bは、HCLK信号に同期して、HDATA信号を出力する。HDATA信号は、HレベルとLレベルの切り替えで示される。1つのHDATA信号は所定のデータ長であり、図5ではD0からD7の8ビットを含む1バイトがN個分あるものとして表す。1つのHDATA信号は、固定長とするために未使用のビット領域や未使用のバイト領域を含めてもよい。未使用のビット領域や未使用のバイト領域には、予め定められた初期値が入力される。HDATA信号はHCLK信号502、502´、…に同期させて周期的に交換レンズ3から出力されるものであり、図5では、HDATA信号503、503´、…として表す。
レンズ側第2通信部340bは、HDATA信号の送信が完了すると(t32)、次のHDATA信号の送信を開始する時刻t34までHCLK信号の出力を停止する。時刻t31からt32までを1回のホットライン通信とし、時刻t31からt34までをホットライン通信の1周期とする。レンズ側第2通信部340bは、時刻t34から2回目のホットライン通信を開始する。
レンズ側第2通信部340bは、コマンドデータ通信によってカメラボディ2からホットライン通信の終了の指示が送信されるまで、周期的にホットライン通信を続ける。
【0040】
レンズ側第2通信部340bは、内蔵するシリアル通信部により、HDATA信号503、503´、…をボディ側第2通信部240bに送信する。レンズ側第2通信部340bは、例えばDMA(Direct Memory Access)機能を用いて、不図示のメモリのデータ領域に格納されているデータをHDATA信号として効率良く転送する。DMA機能は、CPUの介在なしに自動でメモリ上のデータにアクセスする機能である。
【0041】
次に、ホットライン通信におけるボディ側第2通信部240bの動作について説明する。本実施形態では、ボディ側第2通信部240bは、電源オン時の初期化処理が終了すると、または、コマンドデータ通信によりホットライン通信の開始指示を送信すると判断すると、HDATA(B)端子とHCLK(B)端子を受信可能状態で待機させる。
【0042】
ボディ側第2通信部240bは、交換レンズ3からHDATA信号の送信が開始され、その開始時点t31から所定時間Terror0経過後(時刻t33)までに所定長のデータの受信を完了(t32)すると、正常に通信できたとして受信したデータを確定する。所定時間Terror0は、1周期における通信時間Ttransmitに余裕を持たせた時間であり、例えば、1周期の80%とする。ボディ側第2通信部240bは、HDATA信号を1回受信した後も、HDATA(B)端子とHCLK(B)端子を受信可能状態で待機させ、時刻t31から1周期が経過すると、次のHDATA信号の受信を開始する(t34)。
【0043】
ボディ側第2通信部240bは、レンズ側第2通信部340bによりHDATA信号の送信が開始されてから、所定時間Terror0以内に所定長のデータの受信を完了しない場合には、正常に通信できなかった(通信エラー)として受信したデータを破棄する。
なお、ホットライン通信において、1周期における通信時間(Ttransmit)は、各周期の間(時刻t33からt34の間)で通信エラー処理などが行えるように75%を超えないのが好ましいが、この限りではない。
【0044】
<ホットラインデータ>
ホットラインデータ90は、交換レンズ3内の移動部材の位置に関する情報(位置情報)と、移動部材の移動制御に用いる情報とを含む。これらの情報は、レンズ側制御部330やレンズ側第2通信部340bなどで数値や識別子の形で表現されてホットラインデータ90に含められる。
1回のホットライン通信で送信されるホットランデータ90は、位置情報と移動制御に用いる情報とを少なくとも一つずつ含むので、カメラボディ2は位置情報と移動制御に用いる情報とを1回のホットライン通信で取得できる。ここで、例えば、位置情報と移動制御に用いる情報とを別々の通信で受信する場合、カメラボディ2で位置情報が作成されたタイミングと移動制御に用いる情報が作成されたタイミングとを合わせる必要がある。しかしながら、本実施形態によれば、1回のホットライン通信で複数の情報を送るので、カメラボディ2で容易に複数の情報を考慮することができる。
【0045】
ホットラインデータ90は、例えば、フォーカシングレンズ361aに関する第1データ91を含む。本実施形態では、移動部材としてフォーカシングレンズ361aに関する情報をホットラインデータ90に含めることとしたが、その他の移動部材に関する情報を含めてもよい。また、複数の移動部材に関する情報(例えば、フォーカシングレンズ361aに関する情報と絞り362に関する情報)を1つのホットラインデータ90に含めることとしてもよい。
【0046】
(第1データ91の説明)
図6は、第1データ91に含まれる情報を説明する図である。
第1データ91は、位置情報としてのフォーカシングレンズ361aの位置に関するデータ91aを含む。また、第1データ91は、フォーカシングレンズ361aの移動制御に用いる情報として、データ91aの信頼性に関するデータ91b、フォーカシングレンズ361aの移動状態に関するデータ91c、フォーカシングレンズ361aが設計された位置にあるか否かに関するデータ91d、操作部材の操作状態に関するデータ91e、フォーカシング駆動指示に対する動作状況に関するデータ91f、の少なくとも1つを含む。ここで、フォーカシングレンズ361aの移動制御とは、フォーカス駆動制御などであり、フォーカシングレンズ361aの移動制御に用いる情報とは、カメラボディ2でフォーカス駆動指示の作成の際に考慮され得る情報である。また、フォーカシングレンズ361aの移動制御に用いる情報とは、自動焦点調節の結果に影響を与え得る情報であればよく、実際にカメラボディ2で考慮されるか否かによらない。
【0047】
データ91aは、レンズ駆動部370aにより検出されるフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置情報を表す数値を含む。位置情報は、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向における絶対的な位置でもよいし、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向における移動量などの相対的な位置でもよいし、フォーカシングレンズ361aの位置から判断される撮影距離でもよい。データ91aは、例えば、各焦点距離においてフォーカシングレンズ361aの無限遠から至近端までの各位置に0~255までの値を対応させて、フォーカシングレンズ361aの現在位置を示す値を含めてもよい。また、データ91aは、レンズ駆動部370aから出力されるパルス数で表すことも可能であり、その場合データ91aの作成が容易となり好ましい。また、複数のフォーカシングレンズ363,364で撮像光学系360の焦点位置を調節する場合、データ91aは、複数のフォーカシングレンズ363,364の中から選択された1つの位置情報としてもよく、複数のフォーカシングレンズ363,364の位置を考慮して1つの仮想レンズの位置情報としてもよい。複数のフォーカシングレンズ363,364を備える場合でも1つの移動部材の位置情報(データ91a)とすることにより、フォーカシングレンズの個数によらずホットラインデータ90のデータ長を固定とすることができる。したがって、ホットラインデータ90のデータ長を決定するために、カメラボディ2にフォーカシングレンズ363,364の個数を送信する必要もないという効果がある。
【0048】
データ91cは、フォーカシングレンズ361aの移動状態に関し、フォーカシングレンズ361aが移動中であるか否かを示す識別子、フォーカシングレンズ361aが移動可能な状況にあるか否かを示す識別子、フォーカシングレンズ361aの移動方向を示す識別子、などで表される。
【0049】
データ91dは、フォーカシングレンズ361aが設計された位置にあるか否かに関し、例えば、ズームトラッキング中か否かを示す識別子、設計された移動軌跡(光学性能優先時の移動軌跡)より速度を優先した移動軌跡に沿って移動しているか否かを示す識別子などを含む。フォーカシングレンズ361の設計された位置とは、例えば、焦点距離と撮影距離とから一義的に求められる光軸O方向の位置である。一般的に、交換レンズ3は、焦点距離と撮影距離とに応じたフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置を設定し、所望の光学性能を達成するように設計されている。しかしながら、ズームトラッキングや初期化動作など、フォーカシングレンズ361aの移動速度を光学性能より優先する場合、フォーカシングレンズ361aは本来設定された位置とは異なる位置を経由して移動し、設計された移動軌跡とは異なる移動軌跡となることもある。その場合、フォーカシングレンズ361aが例えば設計された移動範囲内にないとき(例えば、図7のグラフのL0曲線より下側の領域)等は、交換レンズ3の光学性能が低下する可能性もある。
本実施形態では、ズームトラッキング中は一律にフォーカシングレンズ361aが設計された位置にないことを示す識別子を選択して識別子の選択を容易に行うようにしたが、この限りではない。交換レンズ3は、フォーカシングレンズ361aが設計された位置にあるか否かをホットライン通信で送信することが可能であり、カメラボディ2はフォーカシングレンズ361aが設計された位置にないこと、つまり光学性能の低下の可能性を考慮した処理が可能である。
【0050】
データ91bは、位置情報であるデータ91aの信頼性に関し、データ91aが有効であるか否かを示す識別子を含む。ボディ側制御部230は、データ91bにより、データ91a(位置情報)の信頼性を知ることができる。
また、複数のフォーカシングレンズ363,364で焦点位置を調節する場合、フォーカシングレンズ363,364の光軸O方向の相対位置が設計された位置と異なると、レンズ側制御部330は撮影距離を定義することができず、データ91aの信頼性が低下する。つまり、図2で、焦点距離Wから焦点距離Mを経由して焦点距離Tにズーム操作された場合、フォーカシングレンズ363は光学性能優先時の移動軌跡と速度優先時の移動軌跡とが一致するので、P(0,W)からP(0,M)を経由してP(0,T)へ移動し、光軸O方向の位置を示す数値が0のまま変化しない。一方、フォーカシングレンズ364は光学性能優先時の移動軌跡と速度優先時の移動軌跡とが一致せず、ズームトラッキングなど速度優先で移動する場合、P´(0,W)からP´(191,M)を経由してP´(0,T)へ移動し、光軸O方向の位置を示す数値が0から191などに変化する。すると、フォーカシングレンズ363とフォーカシングレンズ364とで、光軸O方向の位置を示す数値が一致せず、撮影距離を定義することができない。このような場合、レンズ側制御部330は、データ91aを制限範囲上下限の値に決定し、データ91dをズームトラッキング中を示す識別子とし、データ91bを位置情報無効を示す識別子とする。本実施形態では、複数のフォーカシングレンズ363,364を備える場合は、ズームトラッキング中は一律にデータ91bで位置情報無効を示す識別子を選択して識別子の選択を容易に行うようにしたが、この限りではない。
【0051】
データ91eは、ズーム操作環375などの操作部材の操作状態に関する。操作部材の操作状態は、操作部材が操作中であるか否かを示す識別子、操作部材の操作方向を示す識別子、操作部材の操作速度を示す識別子、などで表される。レンズ側制御部330は、ズーム操作環375が回転されてズーム操作されると、データ91eで操作部材が操作中であることを示す識別子と操作方向を示す識別子を選択するとともに、ズームレンズ361cが光軸O方向に移動されて撮像光学系360の焦点距離が変化したと認識する。レンズ側制御部330の選択されたデータ91eはホットライン通信で送信され、レンズ側制御部330の認識する焦点距離は、コマンドデータ通信でもカメラボディ2からの送信指示に基づいて送信される。ボディ側制御部230は、コマンドデータ通信で撮像光学系360の焦点距離を繰り返し受信する場合、各コマンドデータ通信の間にホットライン通信のデータ91eでズーム操作環375が操作中であることを示す識別子を受信すると、そのデータ91eに含まれる操作部材の操作方向を示す識別子も考慮して、ボディ側制御部230で認識している焦点距離(図7の焦点距離0~5の数値)を変化させることとしてもよい。このように、ボディ側制御部230は、ホットライン通信で焦点距離の変化も認識するので、例えば、フォーカス駆動指示の作成の際に参照する焦点距離のテーブルを適切なものとすることができ、各種制御の精度を向上させることができる。
ここで、ズーム操作される場合、焦点距離を変えつつ撮影距離を変えないために、いわゆるズームトラッキングを行う必要がある。図7に、焦点距離(ワイドが0に相当し、テレが5に相当)と撮影距離(無限遠がL0に相当し、至近がL4に相当)とフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置(設計値)との関係を示す。レンズ側記憶部350には、焦点距離0~5毎に、撮影距離とフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置との関係を示すテーブルが記憶されている。本実施形態において、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置は、レンズ駆動部370aのパルス数に相当する数値で表される。例えば、レンズ駆動部370aは、ズーム操作前にフォーカシングレンズ361aが図7のP(0,1)にあった場合、ズームトラッキングで、フォーカシングレンズ361aを図7のP(0,2)、P(0,3)、…などの位置に移動させなければならない。このように、ズーム操作されるとズームトラッキングを行う必要があり、ズームトラッキング中はフォーカシングレンズ361aを速度優先で移動させる可能性がある。その場合、例えば、フォーカシングレンズ361aを図7のP(0,1)とP(0,5)を結んだ直線上を通るように移動させると、曲線L0上の設計された位置を通らず、撮像光学系360の光学性能が低下するおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、カメラボディ2はホットライン通信でズーム操作中を認識し、フォーカシングレンズ361aが設計された位置にない可能性があることを認識することができる。
【0052】
データ91fは、フォーカシング駆動指示に対する動作状況に関し、交換レンズ3が駆動指示を実行中であるか否かを示す識別子、交換レンズ3が駆動指示を受信可能な状態であるか否かを示す識別子、交換レンズ3が駆動指示を実行完了したか否かを示す識別子、などで表される。本実施形態では、ズームトラッキング中は一律に駆動指示を実行できない受信不可状態であることを示す識別子を選択することとしたが、この限りではない。本実施形態によれば、カメラボディ2は、駆動指示を実行完了したことを早い周期のホットライン通信で認識することができ、実行完了後の処理を早く行うことができる。実行完了後の処理は、例えばフォーカス駆動指示の場合、駆動指示後に被写体にピントが合っていることをユーザに報知する処理などがあり、ユーザは被写体にピントが合ったことを早く認識してシャッターチャンスを逃すことを防止することができる。
また、カメラボディ2が送信する駆動指示を認識するためのID番号などをデータ91に含めることとしてもよい。交換レンズ3が、カメラボディ2からの駆動指示に基づいて駆動制御されている場合、当該駆動指示のコマンドパケット402に含まれるID番号などを、データ91に含めることとしてもよい。フォーカス駆動指示など、カメラボディ2から周期的に同じ種類の駆動指示を送信する場合でも、どのタイミングで出力された駆動指示に基づいて交換レンズ3が動作しているのかをカメラボディ2に送信することが可能である。
【0053】
<自動焦点調節の説明>
以下、ズームトラッキングを伴う自動焦点調節の一例について図8を用いて説明する。図8は、自動焦点調節のタイミングを例示するタイミングチャートである。図8は、ライブビュー画像と呼ばれるモニター用画像を撮像する動作を、例えば1/60秒のフレームレート毎に繰り返す例である。
図8のタイミングチャートの前に、ホットライン通信が開始されており、時刻t61,62、…の周期的にホットラインデータ90が交換レンズ3からカメラボディ2に送信されているものとする。また、図8の時刻t61で、交換レンズ3は動作ID2のフォーカス駆動指示を実行中であり、ユーザによりズーム操作環375が操作されているものとする。時刻t61からズーム操作環375は回転操作され続けて撮影距離が変化し続け、時刻t65、t71でズーム操作環375の操作信号が出力されてレンズ側制御部330の認識する焦点距離が階段状に変化する。また、図8では被写体とカメラボディ2との距離は変化せず、フォーカシングレンズ361aはズーム操作環375の操作に伴うズームトラッキングにより光軸O方向の位置を調整されるものとする。また、図8では、データ91aの位置情報は、至近端0~無限端255の数値で表すこととしたので、レンズ側制御部330の認識する焦点距離が階段状に変化する時刻t65の直後(時刻t65´)では、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置が変わっていなくてもデータ91aの数値が大幅に変化する。
【0054】
以下、図8の時刻t65´でデータ91aが変化する理由を、図7を用いて説明する。図7では、各焦点距離においてフォーカシングレンズ361aの無限遠から至近端までの各位置に0~255までの値を対応させて、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置を示すこととする。従って、図7のP(0,0)、P(0,1)、…、P(0,5)では、データ91aに含まれる数値は0となる。同様に、図7のP(4,0)、P(4,1)、…、P(4,5)では、データ91aに含まれる数値は255となる。
時刻t64までは、焦点距離2かつ撮影距離L0で、図7のP(0,2)に示す位置にフォーカシングレンズ361aが位置している場合、フォーカシングレンズ361aの位置情報としてのデータ91aの値は0となる。従って、時刻t64まではデータ91aの値は0となる。
次に、フォーカシングレンズ361aの位置が変化しないまま時刻t65で焦点距離が1に変化した場合、参照するテーブルの変化により、データ91aの値は、図7のP(0,2)に相当する0からP(1,1)に相当する63に変化し、時刻t65´で送信されるデータ91aの数値は急激に変化する。つまり、レンズ側制御部330は、焦点距離1のテーブルを参照して撮影距離はL1に変化したと認識する。そして、レンズ側制御部330は、ズームトラッキングでズーム操作前の撮影距離L0に戻すために、フォーカシングレンズ361aをデータ91aの値が0に相当するP(0,1)に移動させる。時刻t65´からt66の間にズームトラッキングが行われ、データ91aの値は63から0に変化する。
また、ホットライン通信の周期とコマンドデータ通信のタイミングとがずれるほど、ズーム操作の検出を示すデータ91eの送信のタイミング(t65)とズームトラッキング開始のタイミング(t65´)とがずれてしまうこともあるが、本実施形態の場合、ズームトラッキング開始を示すデータ91dやデータ91aの他に、データ91eも送信可能であるので、カメラボディ2はズームトラッキング動作をより精度よく認識することが可能である。
【0055】
信号処理部270は、1回の蓄積が終わるごとに撮像素子260から出力された撮像用画素信号に対して所定の画像処理を行って、ライブビュー画像を生成する。また、信号処理部270は、1回の蓄積が終わるごとに撮像素子260から出力された焦点検出用画素信号に基づいてデフォーカス量を算出し、第2算出部232に出力する。
ボディ側制御部230の第1算出部231は、ホットライン通信で送信されるホットラインデータ90に基づいて、フォーカシングレンズ361aの位置を算出し、第2算出部232に出力する。第2算出部232は、入力されたデフォーカス量とフォーカシングレンズ361aの位置(現在位置)とにより、フォーカシングレンズ361aの駆動量を算出する。
ここで、本実施形態では、時刻t63までの蓄積で出力された焦点検出用画素信号に基づいて駆動量を算出する場合、蓄積時間に含まれる時刻t61、t62、…で示すホットライン通信で送信されるフォーカシングレンズ361aの位置情報を少なくとも一つ用いる。このように、蓄積時間に含まれる時刻のフォーカシングレンズ361aの位置情報を用いてフォーカシングレンズ361aの駆動量を算出できるので、焦点調節の精度が向上する。ボディ側制御部230は、時刻t63までの蓄積で出力された焦点検出用画素信号と時刻t61~t63の間のホットラインデータ90に基づく駆動量を、時刻t64のコマンドデータ通信で動作ID4のフォーカス駆動指示として送信する。
次に、時刻t63~t64の間の蓄積で出力された焦点検出用画素信号に基づいて駆動量を算出する場合、蓄積時間に含まれる時刻t61、t62、…で示すホットライン通信で送信されるフォーカシングレンズ361aの位置情報を少なくとも一つ用いる。また、ボディ側制御部230は、蓄積後から算出完了までの間(例えば時刻t65)で、ホットライン通信でズーム操作環375が操作されていることを示すデータ91eを受信すると、データ91eに含まれるズーム操作環375の操作方向の識別子を考慮して、参照する撮像光学系360の焦点距離のテーブルを変更する。したがって、ボディ側制御部230は、時刻t65以降は、変更後の焦点距離のテーブルに応じて駆動量を算出することができ、次のフォーカス駆動指示の精度を向上させることができる。
本実施形態によれば、時刻t63、t64、t67、t68、t70、t73で示すように、ボディ側制御部230は、蓄積毎に動作IDを付してフォーカス駆動指示を送信する。交換レンズ3は、新たな動作IDのフォーカス駆動指示に基づいてフォーカシングレンズ361aの駆動を開始させ、実行中の動作IDをホットライン通信で送信する。ここで、図8では図示省略するが、カメラボディ2は、蓄積毎にコマンドデータ通信を行って焦点検出処理に必要な焦点距離などの情報を交換レンズ3から取得するものとしてもよい。また、動作IDや動作状況は、コマンドデータ通信とホットライン通信との両方でカメラボディ2に送信することとしてもよい。
【0056】
時刻t65でズーム操作環375の操作信号が出力されると、レンズ側制御部330は、データ91eの識別子を変更してズーム操作があったことをホットライン通信でカメラボディ2に送信する。また、レンズ側制御部330は、ズームトラッキング中の時刻t65´~t66は、データ91dの識別子を変更し、ズームトラッキング中であることをホットライン通信でカメラボディ2に送信する。また、レンズ側制御部330は、ズーム操作を検出してからズームトラッキングが終了するまでの時刻t65~t66は、データ91fの識別子を変更し、フォーカス駆動指示を実行できない状態であることをホットライン通信でカメラボディ2に送信する。
ボディ側制御部230は、時刻t64~t67に蓄積された焦点検出用画素信号に基づくフォーカシングレンズ361aの駆動量算出時には、ズームトラッキング中であることを示すデータ91dまたはフォーカス駆動指示を実行できない状態であることを示すデータ91fを含むホットラインデータ90の位置情報(データ91a)を用いずに駆動量を算出してもよい。つまり、ボディ側制御部230は、時刻t64~t65、t66~t67の間に送信された信頼性の高い位置情報を用いて駆動量を算出してもよい。または、ボディ側制御部230は、時刻t64~t67に蓄積された焦点検出用画素信号に基づくフォーカス駆動指示に、信頼性の低い位置情報から作成されたフォーカス駆動指示であることを示す情報(図8の「不適」)を付して交換レンズ3に出力してもよい。その場合、交換レンズ3は、受信したフォーカス駆動指示を破棄し、動作IDは一つ前の動作ID5のままとして時刻t69に動作IDが完了したことを示してもよい。また、ボディ側制御部230は、焦点検出用画素信号の蓄積された時刻t64~t67の間に、信頼性の低い位置情報のホットラインデータが含まれる場合、次のコマンドデータ通信のタイミングでのフォーカス駆動指示を出力しないこととしてもよい。
【0057】
一般に、自動焦点調節処理では、蓄積中にズームトラッキングが行われると、フォーカシングレンズ361aの位置が変化するために駆動量の演算結果の精度が落ちることもある。しかしながら本実施形態によれば、カメラボディ2は、ホットラインデータ90に位置情報の信頼性に関する情報が含まれるので、例えば、信頼性の低い位置情報を駆動量算出時に用いない、信頼性の低下を示すホットラインデータ90を受信した際に蓄積された焦点検出用画素信号に基づいてフォーカス駆動指示を出力しない、信頼性の低下を示すホットラインデータ90を受信した際に蓄積された焦点検出用画素信号に基づいて作成されたことを示す情報を付してフォーカス駆動指示を出力する、など、適切に対処を行うことが可能になる。
【0058】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
カメラボディ2は、ホットライン通信で、移動部材の位置情報と、移動部材の移動状態または位置情報の信頼性とを受信するので、移動状態または信頼性の少なくとも一方を容易に考慮して移動部材の移動制御を行うことができる。
カメラボディ2は、移動状態または信頼性の少なくとも一方に基づいて、交換レンズ3への指示をコマンドデータ通信で送信するか否かを判断できるので、交換レンズ3への指示の要否判断が容易になるとともに、不要な指示を送信することを防止して通信処理の負担を軽減させることもできる。
カメラボディ2は、フォーカシングレンズ361aの位置情報と、フォーカシングレンズ361aの移動状態または位置情報の信頼性とをホットライン通信で毎回受信するので、フォーカシングレンズ361aの駆動に関する指示を容易に作成することができる。
カメラボディ2は、ホットライン通信でズーム操作があったことを受信するので、コマンドデータ通信よりも早いタイミングでズーム操作を認識することが可能であり、ズーム操作後の焦点距離に応じたフォーカスレンズ361aの位置を認識することができ、フォーカス駆動指示の精度を向上させることができる。
カメラボディ2は、蓄積中に受信したホットラインデータ90の中から信頼性が所定以上の位置情報を用いて交換レンズ3への指示を作成できるので、交換レンズ3への指示の精度を向上させることができる。また、カメラボディ2は、蓄積中に受信したホットラインデータ90に含まれる移動状態または信頼性を、交換レンズ3への指示に付加して送信することも可能である。交換レンズ3は、移動状態または信頼性を考慮して指示を実行する(または指示を破棄する)ことが可能である。したがって、カメラボディ2と交換レンズ3との少なくとも一方で、移動状態または信頼性を考慮した制御を行うことができ、交換レンズ3とカメラボディ2との処理負担の差を小さくすることができる。交換レンズ3は、カメラボディ2からの指示に移動部材が移動していることを示す情報が含まれている場合、例えば、最新の焦点距離に応じたテーブルを参照してフォーカシングレンズ361aの移動量を補正することも可能である。
【0059】
交換レンズ3は、移動部材の位置に関する情報と移動部材の移動制御に用いる情報とを、独立した通信系統でカメラボディ2に周期的に送信するので、カメラボディ2で行われる移動制御の精度を向上させることができる。
【0060】
交換レンズ3は、移動制御に用いる情報として位置情報の信頼性を位置情報と共にカメラボディ2に送信するので、カメラボディ2は位置情報の信頼性を容易に考慮することができる。また、交換レンズ3は、位置情報の信頼性として、位置情報が有効か無効かを示す識別子で表すこととしたので、交換レンズ3が識別子の選択を容易に行うことができるとともにカメラボディ2で位置情報の信頼性を容易に認識することができる。また、交換レンズ3は、撮像光学系360の光学性能が低下する可能性のあることを識別子で表して、容易にホットライン通信でカメラボディ2に送信することができる。カメラボディ2は、位置情報とともに移動部材の移動制御に用いる情報を考慮して、信頼性の低い位置情報は用いない、信頼性の低い位置情報から作成された駆動指示信号であることを示す、などの対応を取ることが可能である。
【0061】
交換レンズ3は、ホットラインデータ90に位置情報以外の複数種類の情報を含めることが可能であり、ホットライン通信でカメラボディ2に報知できる情報の数や種類を適宜選択可能である。カメラボディ2は、1回のホットライン通信で複数の情報を受信できるので、複数回の通信で複数の情報を受信する場合に比べて各情報取得のタイミングを考慮する必要がなく、容易に移動制御が可能である。
【0062】
交換レンズ3は、ホットライン通信のHCLK信号をHDATA信号とともに出力するので、ホットライン通信を主導で行うことができる。また、カメラボディ2は、コマンドデータ通信のCLK信号をDATAB信号とともに出力するので、コマンドデータ通信を主導で行うことができる。したがって、2つの独立した通信系統の主導を、カメラボディ2と交換レンズ3のそれぞれがとることができる。
【0063】
本発明は上述した内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0064】
(変形例1)
上記の説明では、ホットライン通信においてDMA機能を用いる例を説明した。DMA機能を用いる代わりに、CPUを介在させてホットラインデータ90を生成してもよい。変形例1では、HDATA信号の送信はレンズ側第2通信部340bにより行われ、ホットラインデータ90の生成はレンズ側制御部330により行われる。このように構成することによって、DMA機能を用いなくてもホットライン通信とホットラインデータ90の生成とを並列に行うことができる。ただし、ホットラインデータ90の生成は、ホットライン通信の1周期を超えない期間に行われる。
【0065】
(変形例2)
上述のホットライン通信の例では、HCLK信号線とHDATA信号線の2本のみを用いたクロック同期式通信のデータ転送方向を、交換レンズ3からカメラボディ2への1方向とする例を示したが、さらにもう1本信号ラインを追加して、双方向にデータ転送可能としても構わない。あるいは、HDATA信号線の入出力を切り替え可能に構成することにより、双方向にデータ通信を行うように構成しても構わない。
【0066】
ホットライン通信は、クロック同期式に限らず、UART(調歩同期式通信)を用いても構わない。また、クロック信号線およびデータ信号線に加えて、ハンドシェーク信号線、または、CS(チップセレクト)信号線を追加して、レンズ側制御部330とボディ側制御部230とが通信開始のタイミングを合わせるように構成してもよい。
【0067】
(変形例3)
データ91dは、上記の実施形態でズームトラッキング中か否かを示す識別子や速度優先で移動していることを示す識別子を含むとして説明したが、この限りではない。フォーカシングレンズ361aが設計された位置にないときの他の例として、レンズ駆動部370aの初期化処理中、交換レンズ3内でのエラー発生中、焦点調節以外の理由でフォーカシングレンズ361aを駆動している間、等がある。
【0068】
(変形例4)
データ91bは、上記の実施形態で、複数のフォーカシングレンズ363,364を備えかつズームトラッキング中は信頼性が無いことを示す識別子を含むものとして説明したが、この限りではない。データ91bは、データ91aの信頼性に応じた数値を含むものとしても良く、1つのフォーカシングレンズの位置情報の有効または無効を示す識別子を含むものとしても良い。また、レンズ側制御部330は、フォーカシングレンズの数に限られず、撮影距離に相当する情報(本実施形態では0~255の数値で示す)が判断不可な状態の際に、データ91dで「無効」を示す識別子を含むものとしてもよい。
【0069】
(変形例5)
カメラボディ2は、所定数のデータ91bに「無効」を示す識別子が含まれている場合、デフォーカス量の算出や駆動量の算出を行わずに演算処理を軽くするものとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…カメラシステム、2…カメラボディ、3…交換レンズ、90…ホットラインデータ、91…データ、230…ボディ側制御部、235…記憶部、240…ボディ側通信部、270…信号処理部、330…レンズ側制御部、340…レンズ側通信部、350…レンズ側記憶部、360…撮像光学系、370…レンズ駆動部、375…ズーム操作環
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8