(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】割当コスト決定装置、割当コスト決定方法及び割当コスト決定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20241112BHJP
【FI】
G06Q10/0631
(21)【出願番号】P 2023501696
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2021006773
(87)【国際公開番号】W WO2022180662
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高津 諭
(72)【発明者】
【氏名】柴田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昌史
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-171824(JP,A)
【文献】特開2013-45414(JP,A)
【文献】特開2014-191390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者がそれぞれどの作業を行ったかを示す過去割当表と、前記作業者それぞれの状況又は状態を示すヒト情報及び前記作業に関わるタスクを示すタスク情報を含む割当時考慮準備情報と、を含む入力準備情報、並びに、割当者による修正前後の前記作業者それぞれの割当作業を示す修正前割当表及び修正後割当表と、前記作業者及び前記作業の内で今回割当てる対象作業者及び対象作業を示す希望割当表と、を含む入力情報、を受信する取得部と、
前記ヒト情報の各属性及び前記タスク情報の各タスクを組み合わせて業務ルールを作成するルール作成部と、
前記過去割当表において前記業務ルールがそれぞれどの程度採用されたかの割合を示す平均採用割合を生成する割合生成部と、
前記修正前割当表と前記修正後割当表とを比較し、前記対象作業者に対して前記修正前割当表において割当てられた作業と前記修正後割当表において割当てられた作業が同じである場合に対応する修正無業務ルール、前記作業者に対して前記修正前割当表において割当られた作業であり且つ前記修正後割当表において割当られていない場合に対応する修正前業務ルール、及び前記作業者に対して前記修正前割当表において割当てられていない作業であり且つ前記修正後割当表において割当てられた場合に対応する修正後業務ルールに仕分ける仕分け部と、
前記修正前業務ルールに対応する前記業務ルールの前記平均採用割合を減少させ、前記修正無業務ルール及び前記修正後業務ルールに対応する前記業務ルールの前記平均採用割合を同じ又は増加させるように修正する割合修正部と、
前記修正した平均採用割合に基づいて、前記対象作業者を前記対象作業に割当てるための割当コスト値を算出する割当コスト決定部と、
を備える、割当コスト決定装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記割当時考慮準備情報と同じ又は異なるヒト情報及びタスク情報を含む割当時考慮情報及び前記希望割当表に示される所望の時間の間に前記対象作業者が対応することが可能な作業の数を表す通常対応可能な件数をさらに受信し、
前記割当時考慮情報のヒト情報の属性及びタスク情報のタスクと前記割当時考慮準備情報のヒト情報の属性及びタスク情報のタスクとを比較することで、前記入力情報が属するデータ分類を判定する判定部をさらに備える、請求項1に記載の割当コスト決定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記割当時考慮情報の前記ヒト情報の属性又は前記タスク情報のタスクが変更或いは増加したと判定した場合、前記入力情報のデータ分類が方針変更時のデータ群であると判定し、
前記変更或いは増加したと判定された前記割当時考慮情報の前記ヒト情報の属性又は前記タスク情報のタスクに対応する新規の業務ルールを前記平均採用割合に追加するルール追加部をさらに備える、請求項2に記載の割当コスト決定装置。
【請求項4】
前記割合修正部は、前記新規に追加された業務ルールが前記修正無業務ルール、前記修正前業務ルール、又は前記修正後業務ルールのいずれに対応するのかに応じて、前記新規に追加された業務ルールの平均採用割合を修正する、請求項3に記載の割当コスト決定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記割当時考慮情報の前記ヒト情報の属性又は前記タスク情報のタスクが同じであると判定した場合、前記入力情報のデータ分類が通常時のデータ群であると判定し、
前記取得部は、前記入力情報を複数回受信し、
前記判定部において、前記通常時のデータ群であると判定される入力情報よりも前記方針変更時のデータ群であると判定される入力情報が多い場合、前記割当コスト決定装置は、前記割当時考慮準備情報を前記割当時考慮情報に置き換える、請求項3又は4に記載の割当コスト決定装置。
【請求項6】
前記入力情報は、前記修正後割当表の組み合わせのいずれかに事故が発生したことを示すフラグをさらに含み、
前記割合修正部は、前記フラグが示す作業者と作業の組み合わせに対応する業務ルールは、前記平均採用割合を0にする、或いは所定の閾値より前記対応する業務ルールの平均採用割合が小さい場合は、前記対応する業務ルールの平均採用割合を0にし、前記所定の閾値より前記対応する業務ルールの平均採用割合が大きい場合は、前記対応する業務ルールの平均採用割合を修正しない、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の割当コスト決定装置。
【請求項7】
割当コスト決定装置のプロセッサが実行する割当コスト決定方法であって、
複数の作業者がそれぞれどの作業を行ったかを示す過去割当表と、前記作業者それぞれの状況又は状態を示すヒト情報及び前記作業に関わるタスクを示すタスク情報を含む割当時考慮準備情報と、を含む入力準備情報、並びに、割当者による修正前後の前記作業者それぞれの割当作業を示す修正前割当表及び修正後割当表と、前記作業者及び前記作業の内で今回割当てる対象作業者及び対象作業を示す希望割当表と、を含む入力情報、を受信することと、
前記ヒト情報の各属性及び前記タスク情報の各タスクを組み合わせて業務ルールを作成することと、
前記過去割当表において前記業務ルールがそれぞれどの程度採用されたかの割合を示す平均採用割合を生成することと、
前記修正前割当表と前記修正後割当表とを比較し、前記対象作業者に対して前記修正前割当表において割当てられた作業と前記修正後割当表において割当てられた作業が同じである場合に対応する修正無業務ルール、前記作業者に対して前記修正前割当表において割当られた作業であり且つ前記修正後割当表において割当られていない場合に対応する修正前業務ルール、及び前記作業者に対して前記修正前割当表において割当てられていない作業であり且つ前記修正後割当表において割当てられた場合に対応する修正後業務ルールに仕分けることと、
前記修正前業務ルールに対応する前記業務ルールの前記平均採用割合を減少させ、前記修正無業務ルール及び前記修正後業務ルールに対応する前記業務ルールの前記平均採用割合を同じ又は増加させるように修正することと、
前記修正した平均採用割合に基づいて、前記対象作業者を前記対象作業に割当てるための割当コスト値を算出することと、
を備える、割当コスト決定方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の割当コスト決定装置の前記各部としてプロセッサを機能させる割当コスト決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、割当コスト決定装置、割当コスト決定方法及び割当コスト決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者に作業を割当てる割当者は、様々な業務ルールを考慮しながら作業者の業務スキル値等を作成している。そして、割当者は、業務スキル値のような考慮情報と業務難易度等を結合させて割当コスト値を作成している。しかしながら、作成した割当コスト値を用いて最適化計算を行って作成された割当表が実際には活用できないという問題がある。例えば、作成された割当表では、割当たって欲しい業務に作業者が割当たらない、又は作成した業務スキル値と実際の作業者の業務スキルが異なり、作業者の業務スキルが足らずに事故が生じる等の問題が発生する。割当表が実際に活用できなくなる主な原因は、例えば、考慮情報が状況に応じて変化するため、求めた割当コスト値の精度が低い、割当者が手作業で修正等を行った割当表についての情報を、割当コスト値を作成する際に用いる各種値に反映できていない、等である。
【0003】
例えば、特許文献1は、各作業者の能力差を考慮して割当表を作成する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、業務ルールについて考慮していない。そのため上述の割当表が実際に活用できなくなる原因を解消していない。
【0006】
この発明の課題は、割当コスト値を計算する各種値に、割当者が手作業で修正した割当表を反映させることで、割当コスト値を実際に活用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の割当コスト決定装置は、複数の作業者がそれぞれどの作業を行ったかを示す過去割当表と、前記作業者それぞれの状況又は状態を示すヒト情報及び前記作業に関わるタスクを示すタスク情報を含む割当時考慮準備情報と、を含む入力準備情報、並びに、割当者による修正前後の前記作業者それぞれの割当作業を示す修正前割当表及び修正後割当表と、前記作業者及び前記作業の内で今回割当てる対象作業者及び対象作業を示す希望割当表と、を含む入力情報、を受信する取得部と、前記ヒト情報の各属性及び前記タスク情報の各タスクを組み合わせて業務ルールを作成するルール作成部と、前記過去割当表において前記業務ルールがそれぞれどの程度採用されたかの割合を示す平均採用割合を生成する割合生成部と、前記修正前割当表と前記修正後割当表とを比較し、前記対象作業者に対して前記修正前割当表において割当てられた作業と前記修正後割当表において割当てられた作業が同じである場合に対応する修正無業務ルール、前記作業者に対して前記修正前割当表において割当られた作業であり且つ前記修正後割当表において割当られていない場合に対応する修正前業務ルール、及び前記作業者に対して前記修正前割当表において割当てられていない作業であり且つ前記修正後割当表において割当てられた場合に対応する修正後業務ルールに仕分ける仕分け部と、前記修正前業務ルールに対応する前記業務ルールの前記平均採用割合を減少させ、前記修正無業務ルール及び前記修正後業務ルールに対応する前記業務ルールの前記平均採用割合を同じ又は増加させるように修正する割合修正部と、前記修正した平均採用割合に基づいて、前記対象作業者を前記対象作業に割当てるための割当コスト値を算出する割当コスト決定部と、を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の一態様によれば、割当コスト値を計算する各種値に、割当者が手作業で修正した割当表を反映させることで、割当コスト値をより活用し易くできる。したがって、割当コスト値に基づいて割当者が適切な作業を作業者に割当てることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、割当者と、この発明の一実施形態に係る割当コスト決定装置を含む割当作業決定装置との一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、割当作業決定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、割当作業決定装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、割当作業決定装置の業務ルールの平均採用割合生成動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6A】
図6Aは、割当時考慮準備情報に含まれるヒト情報の一例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、割当時考慮準備情報に含まれるタスク情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、業務ルールの作成手法の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図5で示した作業者と作業の過去の組み合わせにおいて採用された業務ルールを決定するための一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図5で示した作業者Aと作業Iの組み合わせにおける業務ルールの採用判定結果の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、採用された業務ルールの採用数の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、各業務ルールの採用割合を計算した結果の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、各業務ルールの平均採用割合の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、割当コスト決定動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図14】
図14は、修正前割当表及び修正後割当表の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、割当コスト決定動作の処理がAへと進んだ後の動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図20】
図20は、作業者と作業を組み合わせた場合に該当する業務ルールを示す図である。
【
図21】
図21は、業務ルールの仕分けの一例を示す図である。
【
図24】
図24は、割当コスト決定動作の処理がCへと進んだ後の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、ヒト情報、タスク情報、新規に追加された業務ルールを加えた平均採用割合を示す図である。
【
図26】
図26は、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の具体的な一例を示す図である。
【
図28】
図28は、入力情報に含まれる割当時考慮情報のヒト情報、タスク情報、平均採用割合の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、割当コスト決定動作の処理がEへと進んだ後の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図30】
図30は、希望割当表の各セルに対する該当する業務ルールの決定手法の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、作業者が作業を割当てる際に決定される割当コスト値の3つのパターンを示す図である。
【
図32】
図32は、希望割当表のセルにおいて該当する業務ルールが許容ルールのみである場合の業務ルール及びコスト値の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、希望割当表のセルにおいて該当する業務ルールが絶対ルール及び許容ルールが混在している場合の業務ルール及び算出される割当コスト値の一例を示す図である。
【
図34】
図34は、割当コスト決定部により算出された割当コスト値の一例を示す図である。
【
図35】
図35は、ソルバー計算から算出された割当案の一例を示す図である。
【
図36A】
図36Aは、方針変更時の割当時考慮情報のヒト情報及び平均採用割合の例を示す図である。
【
図36B】
図36Bは、方針変更時の割当時考慮情報のヒト情報及び平均採用割合の例を示す図である。
【
図37】
図37は、過去に事故が起きたデータのない場合に平均採用割合を修正する一例を示す図である。
【
図38】
図38は、過去に事故が起きたデータを有する場合に平均採用割合を修正する一例を示す図である。
【
図39】
図39は、許容可能な平均採用割合を設定する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図40】
図40は、事故発生頻度に応じた事故の起こりやすさの度合いの設定の一例を示す図である。
【
図41】
図41は、人的被害及び設備被害に応じた影響度の設定の一例を示す図である。
【
図42】
図42は、事故の起こりやすさの度合い及び影響度のうちの許容できない範囲の一例を示す図である。
【
図43】
図43は、平均採用割合のうちのいずれを許容可能な平均採用割合として設定するかの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[構成]
図1は、割当者1と、この発明の一実施形態に係る割当コスト決定装置を含む割当作業決定装置2との一例を示す模式図である。
【0011】
割当作業決定装置2は、スマートフォン等の携帯端末型の情報処理装置であっても良いし、パーソナルコンピュータ等の据え置き型の情報処理装置であっても良い。また、
図1では、図面の簡略化のため、割当作業決定装置2は、1つの情報処理装置として示しているが、多数の情報処理装置を含んでも良い。例えば、割当作業決定装置2は、携帯端末型の第1の情報処理装置と据え置き型の第2の情報処理装置とから構成され、第1の情報処理装置は、割当者1から入力された情報を第2の情報処理装置に送信し、その第2の情報処理装置によって算出された割当表を受信して、割当者1に割当表を表示するようにしても良い。
【0012】
図2は、割当作業決定装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
割当作業決定装置2は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のハードウェアプロセッサ201を有する。そして、このプロセッサ201に対し、プログラムメモリ202、データメモリ203、通信インタフェース204及び入出力インタフェース205が、バス206を介して接続されている。なお、
図2では、「入出力インタフェース」を「入出力IF」と記載している。
【0013】
プログラムメモリ202は、記憶媒体として、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて使用することができる。プログラムメモリ202は、各種処理を実行するために必要なプログラムを格納している。すなわち、割当作業決定装置2における処理機能部は、いずれも、プログラムメモリ202に格納されたプログラムを上記プロセッサ201により読み出して実行することにより実現され得る。
【0014】
データメモリ203は、記憶媒体として、例えば、HDD、メモリカード等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したストレージである。データメモリ203は、プロセッサ201がプログラムを実行して各種処理を行う過程で取得及び生成されたデータを記憶するために用いられる。
【0015】
通信インタフェース204は、1つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース204は、他の装置と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。さらに通信インタフェース204は、Wi-Fiアクセスポイント及び基地局等と無線接続する無線通信モジュールを含んでも良い。さらに、通信インタフェース204は、近距離無線技術を利用して他の装置と無線接続するための無線通信モジュールを含んでも良い。すなわち、通信インタフェース204は、プロセッサ201の制御の下、他の装置等との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0016】
入出力インタフェース205には、入力部207及び表示部208が接続されている。
【0017】
入力部207は、例えば、表示部208である表示デバイスの表示画面上に配置された、静電方式又は圧力方式を採用した入力検知シートであり、割当者1のタッチ位置を入出力インタフェース205を介してプロセッサ201に出力する。
【0018】
表示部208は、例えば液晶、有機EL(Electro Luminescence)、等を使用した表示デバイスであり、入出力インタフェース205から入力された信号に応じた画像及びメッセージを表示する。
【0019】
図3は、割当作業決定装置2の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
割当作業決定装置2は、取得部301と、業務ルール作成部302と、業務ルール分析部303と、平均採用割合生成部304と、出力部305と、割当時考慮情報判定部306と、業務ルール検出部307と、業務ルール仕分け部308と、平均採用割合修正部309と、業務ルール追加部310と、採用割合算出部311と、業務ルール分類部312と、割当コスト決定部313と、重み値決定部314と、割当案作成部315と、を含む。ここで、取得部301、業務ルール作成部302、業務ルール分析部303、平均採用割合生成部304、出力部305、割当時考慮情報判定部306、業務ルール検出部307、業務ルール仕分け部308、平均採用割合修正部309、業務ルール追加部310、採用割合算出部311、業務ルール分類部312、割当コスト決定部313、重み値決定部314、及び割当案作成部315は、プロセッサ201がプログラムメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される処理機能部である。また、取得部301、業務ルール作成部302、業務ルール分析部303、平均採用割合生成部304、割当時考慮情報判定部306、業務ルール検出部307、業務ルール仕分け部308、平均採用割合修正部309、業務ルール追加部310、採用割合算出部311、業務ルール分類部312、割当コスト決定部313、及び重み値決定部314は、この発明の一実施形態に係る割当コスト決定装置21を構成することができる。
【0021】
取得部301は、入力部207から、割当者1によって入力された入力準備情報及び入力情報を受信する。入力準備情報は、過去割当表及び割当時考慮情報を含む。割当者1は、これら過去割当表及び割当時考慮準備情報を準備し、それらを入力準備情報として入力部207から入力する。取得部301は、入力部207から受信した入力準備情報を業務ルール作成部302に送信する。
【0022】
過去割当表は、例えば、どの作業者がどの作業に割当てられたかを表す表形式のデータである。ここで、過去割当表は、割当者1が実際に過去に作業者に作業を割振った割当表であっても良いし、所定のシミュレーションによって作成された割当表であっても良い。例えば、過去割当表は、割当者1が手書き又はデータとして過去に作成した割当表でも、災害等のシミュレーションデータにより割当者1が過去の経験から予想して手作業で過去に作成した割当表でも、AI(Artificial Intelligence)等の機械学習やソルバー等により過去に作成した割当表でも良い。すなわち、過去割当表は、複数の作業者がそれぞれどの作業を行ったかを示す、割当表であれば、任意のものであって良い。また、過去割当表は、1以上の整数であるN枚の割当表を含む。また、災害時等の緊急事に作成した割当表がある場合、割当者1は、これを過去割当表に含めても良いが、過去の緊急事の割当表のみを含む緊急時過去割当表として別にまとめるようにしても良い。なお、緊急時過去割当表を使用する場合、Nは、2以上の整数であるとする。
【0023】
割当時考慮準備情報は、ヒト情報及びタスク情報を含む。ヒト情報は、作業者のスキルといった作業者の状況・状態を表す複数の属性に各作業者が該当するかどうかを示し、タスク情報は、作業に関わる複数のタスクに各作業が該当するかどうかを示す。なお、これらヒト情報及びタスク情報を含む割当時考慮準備情報は、割当者1にとって既知の情報であるため割当者1が準備可能な情報であるとする。ここで、ヒト情報及びタスク情報は、例えば、所望の日時における作業者及び作業と属性及びタスクとで表わされる表形式のデータとすることができ、各属性及び各タスクにそれぞれ作業者及び作業が該当するかどうかは、ビット値で表わされるとする。例えば、該当すればビット値を「1」とし、該当しなければビット値を「0」又はブランクで表現する。また、以下の説明では、ビット値が「1」である場合をビット値が立つと記載する。なお、ヒト情報及びタスク情報を含む割当時考慮準備情報のより詳細な説明は、後述する。
【0024】
入力情報は、修正前割当表、修正後割当表、希望割当表、割当時考慮情報、各業務ルールの平均採用割合(以下では単に平均採用割合と記載する場合がある)、及び作業者が通常対応可能な件数を含む。割当者1は、これら修正前割当表、修正後割当表、割当時考慮情報、各業務ルールの平均採用割合、作業者が通常対応可能な件数を準備し、それらの入力情報として入力部207から入力する。取得部301は、入力部207から受信した入力情報を割当時考慮情報判定部306に送信する。
【0025】
修正前割当表は、割当者1が修正を行う前の割当表であり、複数の作業者がそれぞれどの作業を行う予定だったかを示す。修正前割当表は、過去割当表と同様に、例えば、どの作業者がどの作業に割当てられたかを表す表形式のデータである。ここで、修正前割当表は、過去に割当作業決定装置2により算出された割当表、所定のシミュレーションによって作成された割当表等の任意の割当表であって良い。
【0026】
修正後割当表は、割当者1が修正前割当表等の割当表の修正を行った割当表であり、複数の作業者がそれぞれどの作業を行ったかを示す。過去割当表と同様に、例えば、どの作業者がどの作業に割当てられたかを表す表形式のデータである。すなわち、修正前割当表及び修正後割当表は、割当者1による修正前後の作業者それぞれの割当作業を示す。ここで、修正前割当表及び修正後割当表は、過去割当表の後に行われた作業に対する割当表であって良い。すなわち、修正前割当表及び修正後割当表は、直近の作業に対する割当表であって良い。
【0027】
希望割当表は、今回割当てる対象作業者及び対象作業を示す表形式のデータである。例えば、希望割当表は、所望の日時における作業者と作業者のいずれかに割当てたい作業とで表わされる。なお、入力される希望割当表において、各セルの値はブランクとなっている。
【0028】
割当時考慮情報は、割当時考慮準備情報と同様にヒト情報及びタスク情報を含む。なお、割当時考慮情報は、割当時考慮準備情報と同じヒト情報及びタスク情報を含んでも良いし、異なるヒト情報及びタスク情報を含んでも良い。
【0029】
各業務ルールの平均採用割合は、割当時考慮準備情報のヒト情報の各属性及びタスク情報の各タスクに基づいて生成された業務ルールのうち過去割当表からどの業務ルールがどれだけ採用されたかの割合を示す値である。なお、業務ルールの生成方法及び平均採用割合の算出方法は、後述する。また、算出された平均採用割合は、データメモリ203で記憶されることが可能である。そのため、入力情報に含まれる業務ルールの平均採用割合は、割当者1が準備したものでなく、データメモリ203に記憶された業務ルールの平均採用割合を使用するようにしても良い。
【0030】
作業者が通常対応可能な件数は、希望割当表に示される所望の時間の間に作業者が対応することが可能な作業の数である。例えば、割当者1が過去割当表等から単位時間あたり作業者が対応可能な件数を割出す。そして、作業者が通常対応可能な件数である、希望割当表に示される所望の時間の間に作業者が対応可能な件数は、当該割出した値に基づいて算出された値であって良い。
【0031】
業務ルール作成部302は、入力準備情報に含まれる割当時考慮準備情報に基づいて業務ルールを作成する。業務ルールは、ヒト情報の各属性とタスク情報の各タスクとの組み合わせの総当たりにより作成される。業務ルール作成部302は、作成した業務ルールと取得部301から受信した入力準備情報とを含む各種情報を業務ルール分析部303に送信する。
【0032】
業務ルール分析部303は、業務ルールと入力準備情報に含まれるN枚の過去割当表とに基づいて、過去の作業において、どのような業務ルールが採用されていたかを分析する。具体的には、業務ルール分析部303は、過去割当表それぞれにおいて各業務ルールがどれだけ採用されたかをカウントする。業務ルール分析部303は、分析した情報及び入力準備情報を含む各種情報を平均採用割合生成部304に送信する。
【0033】
平均採用割合生成部304は、それぞれの過去割当表でのカウント数に基づいて、どの業務ルールがN枚の過去割当表でどの程度採用されたかを示す平均採用割合を算出する。ここで、平均採用割合の算出方法は、後述する。平均採用割合生成部304は、算出された平均採用割合を出力部305に送信する。
【0034】
出力部305は、平均採用割合生成部304で作成された平均採用割合を表示部208により割当者1に表示する。また、割当作業決定装置2は、入力準備情報に含まれる割当時考慮準備情報を通常割当時考慮情報として、及び平均採用割合を通常平均採用割合としてデータメモリ203に記憶する。
【0035】
割当時考慮情報判定部306は、入力情報に含まれる割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の各列についての情報を、データメモリ203に記憶されている通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の各列と比較する。そして、比較の結果、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報が通常列時のデータであるか方針変更時のデータであるかを判定する。
【0036】
さらに割当時考慮情報判定部306は、入力情報に含まれる割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の行数、すなわち作業件数と作業者数を読み取る。そして作業件数が作業者数と通常対応可能な件数を掛け合わせた値よりも小さい場合、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮準備情報が通常時のデータであると判定する。逆に、作業件数が作業者と通常対応可能な件数を掛け合わせた値よりも大きい場合、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報が緊急時のデータであると判定する。
【0037】
そして、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報の列と行の判定から入力情報を以下の4つのデータ分類のいずれに該当するか判定する。(1)ヒト情報及びタスク情報の列の比較により通常列時のデータであると判定し且つヒト情報及びタスク情報の行数から通常時のデータであると判定した場合、入力情報が、通常列時のデータ群である。(2)ヒト情報及びタスク情報の列の比較により通常時のデータであると判定し且つヒト情報及びタスク情報の行数から緊急時のデータであると判定した場合、入力情報が、緊急時のデータ群である。(3)ヒト情報及びタスク情報の列の比較により方針変更時のデータであると判定し且つヒト情報及びタスク情報の行数から通常時のデータであると判定した場合、入力情報が、方針変更時のデータ群である。(4)ヒト情報及びタスク情報の列の比較により方針変更時のデータであると判定し且つヒト情報及びタスク情報の行数から緊急時のデータであると判定した場合、入力情報が方針変更且つ緊急時のデータ群である。割当時考慮情報判定部306は、入力情報が通常時のデータ群又は緊急時のデータ群であると判定した場合、入力情報が通常時のデータ群である又は緊急時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を含む各種情報を業務ルール検出部307に送信する。一方、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が方針変更時のデータ群又は方針変更且つ緊急時のデータ群であると判定した場合、入力情報が方針変更時のデータ群である又は方針変更且つ緊急時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を含む各種情報を業務ルール追加部310に送信する。
【0038】
業務ルール検出部307は、修正前割当表及び修正後割当表の作業者と作業を組み合わせた場合に該当する業務ルールを検出する。業務ルール検出部307は、データメモリ203に記憶されている通常平均採用割合を用いて、各割当表の作業者と作業の組み合わせに該当する業務ルールを検出する。そして、業務ルール検出部307は、検出した情報及び入力情報を含む各種情報を業務ルール仕分け部308に送信する。
【0039】
業務ルール仕分け部308は、業務ルール検出部307で検出された情報から各割当表の作業者と作業の組み合わせに対応する業務ルールを比較し、業務ルールを仕分ける。例えば、業務ルール仕分け部308は、比較の結果、作業者に対して修正前割当てられた作業と修正後割当表において割当てられた作業が同じである場合に対応する修正無業務ルール、作業者に対して修正前割当表において割当られた作業であり且つ修正後割当表において割当られていない場合に対応する修正前業務ルール、作業者に対して修正前割当表において割当てられていない作業であり且つ修正後割当表において割当てられた場合に対応する修正後業務ルールへと仕分ける。そして業務ルール仕分け部308は、仕分け結果についての情報及び入力情報を含む各種情報を平均採用割合修正部309に送信する。
【0040】
平均採用割合修正部309は、仕分け結果についての情報に基づいて該当する業務ルールの平均採用割合を修正する。例えば、平均採用割合修正部309は、修正前業務ルールを、不採用になった業務ルールであるとして割合を減らすように修正し、修正後業務ルールを、採用になった業務ルールであるとして割合を増加させるように修正する。なお、業務ルールの平均採用割合の修正方法は、後述する。平均採用割合修正部309は、修正した平均採用割合を修正後平均採用割合としてデータメモリ203に記憶すると共に、修正後平均採用割合及び入力情報を業務ルール分類部312に送信する。
【0041】
業務ルール追加部310は、入力情報に含まれる割当時考慮情報と平均採用割合を用いて新規の業務ルールを追加する。例えば、業務ルール追加部310は、入力情報に含まれる割当時考慮情報のヒト情報の各行の属性とタスク情報の各タスクにおける組み合わせの総当たりを行い業務ルールを生成する。そして、業務ルール追加部310は、データメモリ203に記憶された通常平均採用割合の業務ルールと生成した業務ルールを比較し、通常平均採用割合の業務ルールに無いルール、すなわち新規の業務ルールを平均採用割合の業務ルールに追加する。業務ルール追加部310は、追加した業務ルールを有する通常平均採用割合についての情報及び入力情報を含む各種情報を採用割合算出部311に送信する。
【0042】
採用割合算出部311は、新規に追加された業務ルール毎の採用割合を算出する。採用割合の算出方法は、平均採用割合を算出する方法と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。採用割合算出部311は、新規に追加された業務ルールの採用割合を有する通常平均採用割合についての情報及び入力情報を含む各種情報を業務ルール検出部307に送信する。新規に追加された業務ルールの採用割合を有する通常平均採用割合を受信した業務ルール検出部307、業務ルール仕分け部308、及び平均採用割合修正部309は、上で説明した構成と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。なお、新規に追加された業務ルールの採用割合の修正方法は、後述する。
【0043】
業務ルール分類部312は、修正平均採用割合に基づいて、業務ルールを絶対ルール、違反ルール、及び許容ルールに分類する。ここで、絶対ルールは、過去割当表において常に採用された業務ルールであり、修正平均採用割合が最大値である業務ルールである。違反ルールは、過去割当表において1度も採用されなかった業務ルールであり、修正平均採用割合が最小値である業務ルールである。許容ルールは、割当表において採用された場合と採用されなかった場合が有った業務ルールであり、修正平均採用割合が最小値より大きく最大値より小さい業務ルールである。業務ルール分類部312は、この業務ルールの分類についての情報、平均採用割合修正部309から受信した修正平均採用割合、及び入力情報を含む各種情報を割当コスト決定部313に送信する。
【0044】
割当コスト決定部313は、入力情報に含まれる希望割当表の作業者及び作業の各セルにおいて、ヒト情報の該当作業者のビットが立っており、且つタスク情報の該当作業のビット値が立っている業務ルールがどのようなものであるかを決定する。さらに、割当コスト決定部313は、各セルの該当した業務ルールがそれぞれ絶対ルール、許容ルール、及び違反ルールのいずれかであるかを決定する。そして、割当コスト決定部313は、決定した3つのルールに基づいて割当コスト値を算出できるかどうかを判定する。割当コスト値は「各作業に作業者を割当てたい度合い」を数値で表したものである。その為、割当コスト値の値が高いほど、その作業に適しているとみなすことが可能である。一実施形態では、割当コスト値は、0~100で表わす。例えば、割当コスト決定部313が該当する業務ルール全てが絶対ルールであると決定した場合、割当コスト値は、最大値である100となる。さらに、割当コスト決定部313が該当する業務ルールに1つでも違反ルールが含まれていると決定した場合、割当コスト値は、最小値である0となる。これらの場合、割当コスト決定部313は、割当コスト値を一意に決定することができる。一方、業務ルールが許容ルールのみ、又は、許容ルール及び絶対ルールであると決定した場合、割当コスト値は、最小値より大きく且つ最大値より小さい値のいずれか(すなわち0<割当コスト値<100)になる。そして、割当コスト決定部313は、割当コスト値がどの値になるか決定できない。割当コスト決定部313が希望割当表の全てのセルで割当コスト値を算出できると判定した場合、割当コスト決定部313は、各セルの割当コスト値を決定する。一方、希望割当表の全てのセルの割当コスト値を決定できない場合、割当コスト決定部313は、割当コスト値を決定できないセルにおける平均採用割合等の各種情報を重み値決定部314に送信する。
【0045】
重み値決定部314は、割当コスト値を決定できないセルにおける業務ルールの平均採用割合、当該セルにおける業務ルールの数、及び当該セルにおける業務ルールの平均採用割合の最大値に基づいて、各業務ルールの重み値kを決定する。なお、重み値kの決定手法は、後述する。重み値決定部314は、割当コスト値を決定できない各セルについて重み値を決定し、決定した重み値を割当コスト決定部313に送信する。
【0046】
割当コスト決定部313は、この重み値決定部314から受信した重み値に基づいて、希望割当表の各セルの割当コスト値を決定することができる。そして、割当コスト決定部313は、決定した希望割当表の各セルの割当コスト値についての情報等を含む各種情報を割当案作成部315に送信する。
【0047】
割当案作成部315は、受信した希望割当表の割当コスト値に対して、例えば、ソルバー計算を行うことで割当案を作成する。割当案作成部315は、決定した割当案を出力部305に送信する。
【0048】
出力部305は、割当案作成部315で作成された割当案を表示部208により割当者1に表示する。割当者1は、表示部208に表示された割当案に基づいて作業者に作業を割当てることができる。
【0049】
[動作]
(平均採用割合生成)
図4は、割当作業決定装置2の業務ルールの平均採用割合生成動作の一例を示すフローチャートである。割当作業決定装置2のプロセッサ201がプログラムメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0050】
割当作業決定装置2の取得部301は、割当者1が入力部207によって入力した過去割当表及び割当時考慮準備情報を含む入力準備情報を受信する(401)。取得部301は、受信した入力準備情報を業務ルール作成部302に送信する。
【0051】
図5は、過去割当表の一例を示す図である。
図5に示す例によれば、ある日の9:00~12:00の間、作業者Aは、作業Iを行い、作業者Bは、作業IIを行い、作業者Cは、作業IIIを行ったことを示している。すなわち、過去割当表は、各作業者がある期間に何の作業を行ったかを示す情報である。ここで、過去割当表は、1以上の整数であるN枚あるとする。そのため、入力準備情報に含まれる過去割当表は、
図5に示すような表をN枚含む。
【0052】
図6Aは、割当時考慮準備情報に含まれるヒト情報の一例を示す図である。
図6Aでは、各行に作業者に関わる属性の一例が示され、各列に各作業者が示されている。
図6Aに示される各属性は、ベテラン、新人、手先が器用が示されている。そして、
図6Aの例では、各作業者が各属性に該当するかどうかがビット値で表わされている。
図6Aの例では、作業者Aは、ベテランであるため、ベテランの属性にビット値が立っており、作業者Bは、新人であるため、新人の属性にビット値が立っており、作業者Cは、手先が器用であるため、手先が器用の属性にビット値が立っている。
【0053】
図6Bは、割当時考慮準備情報に含まれるタスク情報の一例を示す図である。
図6Bでは、各行に各作業のタスクの一例が示され、各列に作業の種類の一例が示されている。
図6Bに示される各タスクは、作業種別、エリア、必要装備品等である。
図6Bに示される例では、簡単化のため、作業種別のみを示しており、その作業種別は、例えば、作業種別1(電柱点検)、作業種別2(マンホール点検)、作業種別3(支線点検)である。
【0054】
なお、
図6A及び
図6Bに示される属性及びタスクは単なる例であり、属性は、作業者に関わるものであれば任意のもので良く、タスクは、作業に関わるものであれば任意のもので良い。
【0055】
割当作業決定装置2の業務ルール作成部302は、受信した入力準備情報に含まれる割当時考慮準備情報から業務ルールを作成する(402)。
図7は、業務ルールの作成手法の一例を示す図である。
図7に矢印で示すように、業務ルール作成部302は、割当時考慮準備情報に含まれるヒト情報の各属性とタスク情報の各タスクとの組み合わせの総当たりにより業務ルールを作成する。例えば、ヒト情報におけるベテランとタスク情報の3つのタスクそれぞれとを組み合わせることで、業務ルール1~3の3つの業務ルールが作成される。すなわち、業務ルール1:ベテランの作業者は、作業種別1(電柱点検)の作業に割当てる、業務ルール2:ベテランの作業者は、作業種別2(マンホール点検)の作業に割当てる、業務ルール3:ベテランの作業者は、作業種別3(支線点検)の作業に割当てる、である。業務ルール作成部302は、ヒト情報におけるその他の属性である新人及び手先が器用であるについての業務ルールも上記と同様に作成する。なお、業務ルール作成部302は、ルール作成部としても動作することが可能である。業務ルール作成部302は、作成した業務ルール及び入力情報準備を含む各種情報を業務ルール分析部303に送信する。
【0056】
業務ルール分析部303は、受信した業務ルールを分析する(403)。
最初に、業務ルール分析部303は、N枚の過去割当表それぞれについて、業務ルール作成部302によって作成された業務ルールのうち、どの業務ルールがヒト情報及びタスク情報の両方で採用されたかをカウントする。業務ルール分析部303は、ヒト情報及びタスク情報の両方でビット値が立っている業務ルールが、過去に割当てられた作業者と作業の組み合わせにおいて採用された業務ルールであると決定する。
【0057】
図8は、
図5で示した作業者と作業の過去の組み合わせにおいて採用された業務ルールを決定するための一例を示す図である。ヒト情報及びタスク情報は、
図6A及び
図6Bに示した通り、
図8に示すようなビット値を有している。例えば、上記業務ルール1については、ヒト情報及びタスク情報の双方のビット値が立っている。そして、
図5で示した作業者と作業の組み合わせにおける作業者Aと作業Iの組み合わせは、この業務ルール1に合致するため、業務ルール分析部303は、業務ルール1は過去に採用された業務ルールであると決定する。対照的に上記業務ルール2については、ヒト情報のビット値が立っているが、タスク情報のビット値がブランクであり、
図5で示した作業者と作業の組み合わせに合致するものがない。したがって、業務ルール分析部303は、業務ルール2は、過去に採用されなかった業務ルールであると決定する。業務ルール分析部303は、このような決定を、業務ルール作成部302によって作成された業務ルールの全てについて行う。
【0058】
図9は、
図5で示した作業者Aと作業Iの組み合わせにおける業務ルールの採用判定結果の一例を示す図である。業務ルール分析部303は、
図9に示されるように、作業者Aと作業Iの組み合わせにおいて業務ルール1、3等が採用された業務ルール、業務ルール2等が採用されなかった業務ルールと判定する。採用された業務ルールであると判定された業務ルールは、採用数を+1し、採用されなかった業務ルールであると判定された業務ルールは、採用数を据え置くものとして、業務ルール分析部303は、各業務ルールの採用数をデータメモリ203に記憶する。業務ルール分析部303は、上述した判定及び記憶を
図5に示された作業者数分繰り返して、過去割当表1枚あたりどの作業ルールが採用されたかをカウントすることにより、採用数の合計を決定することができる。
【0059】
図10は、採用された業務ルールの採用数の一例を示す図である。
図10に示されるように、上述のカウントにより、
図5に示される作業者と作業の組み合わせの過去割当表1枚あたりどの業務ルールがどれだけの数だけ採用されたかの合計数が決定される。
【0060】
業務ルール分析部303は、この決定を、N枚の過去割当表それぞれについて行う。そして、業務ルール分析部303は、過去割当表毎の業務ルールの採用合計数、業務ルール、及び入力情報等を含む各種情報を平均採用割合生成部304に送信する。
【0061】
平均採用割合生成部304は、平均採用割合を生成する(404)。なお、平均採用割合生成部304は、割合生成部としても動作可能である。
最初に、平均採用割合生成部304は、割当時考慮準備情報に含まれるヒト情報及びタスク情報において、ビット値が立っているセルの数に基づいて過去割当表1枚あたりの業務ルールの最大数を算出する。例えば、過去割当表1枚あたりの業務ルール1:「ベテランの作業者は、作業種別1(電柱点検)の作業に割当てる」の最大数を決定する場合、平均採用割合生成部304は、
図6Aに示されるヒト情報のベテランの列と
図6Bに示されるタスク情報の作業種別1の列とのそれぞれにおいて、ビット値の合計を算出する。ベテランの列の合計ビット値は、ヒト情報における業務ルール1の最大数であり、作業種別1の列の合計ビット値は、タスク情報における業務ルール1の最大数となる。
【0062】
次に、平均採用割合生成部304は、ヒト情報における業務ルール1の最大数とタスク情報における業務ルール1の最大数とを比較し、値の小さい方を過去割当表1枚あたりの業務ルール1の最大数とする。なお、最大数が等しい場合は、その数を過去割当表1枚あたりの業務ルールの最大数とする。比較の結果、小さい方を過去割当表1枚あたりの業務ルールの最大数とするのは、業務ルールが採用されることがヒト情報の属性とタスク情報のタスクそれぞれのビット値が立っている場合に該当することに起因する。すなわち、各列のビット値の合計をヒト情報とタスク情報で比較した場合、小さい方の数以上に採用された業務ルールが存在しないということに基づく。例えば、ヒト情報のベテランの列において、ビット値が立っている作業者が5人であり、タスク情報の作業種別1の列においてビット値が立っている作業が2つである場合、ヒト情報とタスク情報を組み合わせた業務ルールが採用される組み合わせは、最大でも2つにしかならない。そのため、割当表1枚あたりの業務ルールの最大数は、値の小さい方を採用し、採用された値は、業務ルールが採用される組み合わせの最大数を表す。例えば、
図6A及び
図6Bを参照して、割当表1枚あたりの業務ルール1の最大数は、ヒト情報の業務ルール1の最大数及びタスク情報の業務ルール1の最大数が共に1であるため、1となる。平均採用割合生成部304は、割当表1枚あたりの全ての業務ルールそれぞれについての最大数を算出する。
【0063】
次に、平均採用割合生成部304は、各業務ルールの採用割合を、業務ルールの採用割合(%)=100*割当表1枚あたりの業務ルールの採用合計数/割当表1枚あたりの業務ルールの最大数、により算出する。例えば、
図10を参照して、割当表1枚あたりの業務ルール1の採用合計数は1であり、業務ルール1の最大数も前述のように1である。したがって、業務ルール1の採用割合は100%になる。平均採用割合生成部304は、同様にその他の業務ルールの採用割合を計算する。
【0064】
図11は、各業務ルールの採用割合を計算した結果の一例を示す図である。
図11に示した例では、業務ルール1の採用割合は、上記したように100%になり、業務ルール2の採用割合は、0%になり、業務ルール3の採用割合は、50%になる。
【0065】
平均採用割合生成部304は、N枚の過去割当表全てについて、この採用割合を算出する。そして、平均採用割合生成部304は、それらN枚分の採用割当から各業務ルールの平均採用割合を算出する。例えば、業務ルール1の平均採用割合は、平均採用割合=(1枚目の過去割当表における採用割合+2枚目の過去割当表における採用割合+・・・+N枚目の過去割当表における採用割合)/N、により算出される。
【0066】
図12は、各業務ルールの平均採用割合の一例を示す図である。
図12に示した例では、業務ルール1の平均採用割合は、100%になり、業務ルール2の平均採用割合は、0%になり、業務ルール3の平均採用割合は、40%になる。
【0067】
平均採用割合生成部304は、
図12に示すような算出した各業務ルールの平均採用割合の表についての情報を出力部305に送信する。出力部305は、当該平均採用割合を表示部208により割当者1に表示する。また、割当作業決定装置2は、入力準備情報に含まれる割当時考慮準備情報を通常割当時考慮情報として、及び平均採用割合を通常平均採用割合としてデータメモリ203に記憶する。
【0068】
(平均採用割合修正)
図13は、割当コスト決定動作の一例を示すフローチャートの一部である。割当作業決定装置2のプロセッサ201がプログラムメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0069】
割当作業決定装置2の取得部301は、割当者1が入力部207によって入力した修正前割当表、修正後割当表、希望割当表、割当時考慮情報、通常平均採用割合、及び作業者が通常対応可能な件数を含む入力情報を受信する(1301)。なお、通常平均採用割合は、データメモリ203に記憶されたものを使用しても良いため、割当者1が入力した入力情報に含まれていなくとも良い。
【0070】
図14は、修正前割当表及び修正後割当表の一例を示す図である。
図14の(a)が修正前割当表であり、(b)が修正後割当表である。修正前割当表と修正後割当表を比較すると、作業者Bが作業IIから作業IIIに作業者Cが作業IIから作業IIに割当てが変更されている。
【0071】
割当時考慮情報判定部306は、入力情報に含まれる割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報における列情報に基づいて割当時考慮情報が通常列時のデータであるかどうかを判定する(1302)。割当時考慮情報判定部306は、データメモリ203に記憶された通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の列に入力されている各属性と列数をそれぞれ比較する。そして、割当時考慮情報判定部306は、各属性と列数に変化が無ければ通常列時のデータであると判定し、各属性と列数のいずれかに変化が有れば方針変更時のデータであると判定する。
【0072】
図15は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
図15の(a)は、通常割当時考慮情報のヒト情報の一例を示した図であり、(b)は、割当時考慮情報のヒト情報の一例を示した図であり、(c)は、通常割当時考慮情報のタスク情報の一例を示した図であり、(d)は、割当時考慮情報のタスク情報の一例を示す図である。
図15の(a)及び(b)を比較すると、列に入力されている各属性と列数に変化が無い。さらに
図15の(c)及び(d)を比較すると、列に入力されている各属性と列数に変換が無い。したがって、割当時考慮情報判定部306は、
図15に示される例では、割当時考慮情報の各属性と列数に変化が無いので、割当時考慮情報を通常列時のデータである、すなわち業務ルールに変更がないと判定する。
【0073】
図16は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
図16は、
図15と同様に、
図16の(a)は、通常割当時考慮情報のヒト情報の一例を示した図であり、(b)は、割当時考慮情報のヒト情報の一例を示した図であり、(c)は、通常割当時考慮情報のタスク情報の一例を示した図であり、(d)は、割当時考慮情報のタスク情報の一例を示す図である。
図16の(a)及び(b)を比較すると、装備品(マスク)という新たな列が追加され列数が増加している(
図16(b)において太線で囲われている箇所)。さらに
図16の(c)及び(d)を比較すると、第1列に入力されている属性が作業種別1(電柱点検)から作業種別4(穴掘り)に変更されている(
図16(d)において太線で囲われている箇所)。このように列に入力されている属性又は列数のいずれかに変化が生じた場合、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報を方針変更時のデータである、すなわち業務ルールに変更が生じたと判定する。
【0074】
割当時考慮情報が通常列時のデータであると判定した場合、割当時考慮情報判定部306は、通常列時の割当時考慮情報が通常時のデータであるかどうかを判定する(1303)。割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報のヒト情報の行数、すなわち作業者数と、タスク情報の行数、すなわち作業の数とを認識する。そして、認識した作業件数が作業者数と通常対応な件数とを掛けた値以下であるかどうかを判定する。割当時考慮情報判定部306は、作業件数が作業者の数と通常対応可能な件数を掛け合わせた数以下であると判定した場合、割当時考慮情報を通常時のデータと判定する。一方、割当時考慮情報判定部306は、作業件数が作業者の数と通常対応可能な件数を掛け合わせた数より大きい場合、割当時考慮情報を緊急時のデータと判定する。
【0075】
図17は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
図17の(a)は、割当時考慮情報のヒト情報の一例を示した図であり、(b)は、割当時考慮情報のタスク情報の一例を示す図である。
図17の(a)に示されるように、割当時考慮情報のヒト情報の行数(作業者数)は、3であり、
図17の(b)に示されるように、割当時考慮情報のタスク情報の行数も3である。また、例えば、通常対応可能な件数が1件であるとすると、作業件数(3件)≦作業者(3人)×通常対応可能な件数(1件)となる。この場合、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報を通常時のデータであると判定する。
【0076】
図18は、通常割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報と、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の一例を示す図である。
図18の(a)は、割当時考慮情報のヒト情報の一例を示した図であり、(b)は、割当時考慮情報のタスク情報の一例を示す図である。
図18の(a)に示されるように、割当時考慮情報のヒト情報の行数(作業者数)は、3であり、
図18の(b)に示されるように、割当時考慮情報のタスク情報の行数は、4である。また、例えば、通常対応可能な件数が1件であるとすると、作業件数(4件)>作業者(3人)×通常対応可能な件数(1件)となる。この場合、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報を緊急時のデータであると判定する。
【0077】
割当時考慮情報を通常時のデータであると判定した場合、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が通常時のデータ群であると判定する。そこで、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が通常時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を業務ルール検出部307へ送信する(1304)。そして、処理は、Aへと進む。一方、入力情報が緊急時のデータ群であると判定した場合、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が緊急時のデータ群であると判定する。そこで、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が緊急時のデータ群であること示す情報及び入力情報を業務ルール検出部307へと送信する(1305)。そして、処理は、Aへと進む。
【0078】
1302で、割当時考慮情報が方針変更時のデータであると判定した場合、割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報が通常時のデータであるかどうかを判定する(1306)。割当時考慮情報判定部306は、割当時考慮情報のヒト情報の行数、すなわち作業者数と、タスク情報の行数、すなわち作業の数とを認識する。そして、認識した作業件数が作業者数と通常対応な件数とを掛けた値以下であるかどうかを判定する。割当時考慮情報判定部306は、作業件数が作業者の数と通常対応可能な件数を掛け合わせた数以下であると判定した場合、割当時考慮情報を方針変更時のデータと判定する。一方、割当時考慮情報判定部306は、作業件数が作業者の数と通常対応可能な件数を掛け合わせた数より大きい場合、割当時考慮情報を方針変更且つ緊急時のデータと判定する。なお、これらの動作は、1303での判定と同じである。
【0079】
割当時考慮情報を通常時のデータであると判定した場合、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が方針変更時のデータ群であると判定する。そこで、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が方針変更時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を業務ルール追加部310へ送信する(1307)。そして、処理は、Cへと進む。一方、入力情報が緊急時のデータ群であると判定した場合、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が方針変更且つ緊急時のデータ群であると判定する。そこで、割当時考慮情報判定部306は、入力情報が方針変更且つ緊急時のデータ群であること示す情報及び入力情報を業務ルール追加部310へと送信し(1308)、処理は、Cへと進む。
【0080】
図19は、1304において入力情報が通常時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を業務ルール検出部307に送信した後、割当コスト決定動作の処理がAへと進んだ場合の動作の一例を示すフローチャートの一部である。割当作業決定装置2のプロセッサ201がプログラムメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0081】
業務ルール検出部307は、割当時考慮情報と通常平均採用割合を用いて作業者と作業を組み合わせた場合に該当する業務ルールを検出する(1901)。業務ルール検出部307は、通常平均採用割合を用いて、各割当表の作業者と作業の組み合わせに該当する業務ルールを検出する。例えば、
図12、
図15の(b)及び(d)等を参照して、ベテランである作業者Aが作業Iを行う場合、該当する業務ルールは、業務ルール1と業務ルール3になる。同様に作業者Aが作業IIを行う場合、該当する業務ルールは、業務ルール2である。同様に全ての作業者と作業の組み合わせに対して該当する業務ルールを検出する。そして、業務ルール検出部307は、検出した業務ルールについての情報及び入力情報を含む各種情報を業務ルール仕分け部308に送信する。
【0082】
図20は、作業者と作業を組み合わせた場合に該当する業務ルールを示す図である。
図20では、簡単化のため、作業者と作業を組み合わせた場合に該当する業務ルールを単に番号で示している。
【0083】
業務ルール仕分け部308は、修正前割当表と修正後割当表を比較し、業務ルールを仕分ける(1902)。ここで、業務ルール仕分け部308は、仕分け部としても動作可能である。業務ルール検出部307で検出された情報から各割当表の作業者と作業の組み合わせに対応する業務ルールを比較し、業務ルールを仕分ける。比較の結果、業務ルール仕分け部308は、(A)業務ルールが修正前後割当表で同じである業務ルールに対応する修正無業務ルール、(B)修正前割当表では該当したが修正後割当表では該当しない業務ルールに対応する修正前業務ルール、及び(C)修正前割当表では該当しないが修正後割当表では該当した業務ルールに対応する修正後業務ルールに、業務ルールを仕分ける。業務ルール仕分け部308は、仕分けされた結果についての情報及び入力情報を含む各種情報を平均採用割合修正部309に送信する。
【0084】
図21は、業務ルールの仕分けの一例を示す図である。
図21の(a)は、修正前割当表を示した図であり、(b)は、修正後割当表を示した図であり、(c)は、業務ルールの仕分けの一例を示す図である。
図21の(a)と(b)を比較すると、作業者Aが作業Iと変更がない一方、作業者Bが作業IIから作業IIIへ作業者Cが作業IIIから作業IIにそれぞれ変更されている。したがって、
図21の(c)で示すように、業務ルール仕分け部308は、作業者Aと作業Iの組み合わせに対応する業務ルール1及び3を修正無業務ルールと仕分けし、作業者Bと作業II及び作業者Cと作業IIIに該当する業務ルール5及び9を修正前業務ルールと仕分け、作業者Bと作業III及び作業者Cと作業IIに該当する業務ルール6及び8を修正後業務ルールと仕分ける。
【0085】
平均採用割合修正部309は、仕分けした業務ルールに基づいて平均採用割合を修正する(1903)。ここで、平均採用割合修正部309は、割合修正部としても動作可能である。平均採用割合修正部309は、修正平均採用割合を(業務ルールごとの通常平均採用割合*N+修正採用割合)/(過去の割当表の数+1)により算出する。修正平均採用割合は、通常平均採用割合の各業務ルールにおける平均採用割合にNを掛け、修正後割当表によって割当表が1枚増加するため、分母に「+1」し、修正採用割合を分子に足すことにより算出される。なお、修正平均採用割合が最大値(例えば100%)を超える又は最小値(例えば0%)を下回った場合、平均採用割合修正部309はそれぞれ、修正平均採用割合を最大値又は最小値であると算出する。
【0086】
ここで、平均採用割合修正部309は、修正採用割合を(Aa-Bb+Cc)/(Aa+Bb+Cc)で算出する。ここで、A、B、及びCはそれぞれ修正無業務ルール、修正前業務ルール、及び修正後業務ルールが有るか無いかのビット値であり、対応する業務ルールが有れば「1」になり、無ければ「0」となる値である。さらに、a、b、及びcはそれぞれ、修正無業務ルール、修正前業務ルール、及び修正後業務ルールの個数である。修正無業務ルールに対応する業務ルールは、修正が無く採用されるべき業務ルールであるので、正の値として修正採用割合に反映される。修正前業務ルールに対応する業務ルールは、修正後に不採用になった業務ルールであり、当該業務ルールが採用されるべきでなかったので、負の値として修正採用割合に採用される。そして、修正後業務ルールに対応する業務ルールは、修正後に採用された業務ルールであり、当該業務ルールが採用されるべきであったので、正の値として修正採用割合に反映される。
【0087】
平均採用割合修正部309は、修正平均採用割合を算出する(1904)。平均採用割合修正部309は、業務ルール仕分け部308によって修正無業務ルール、修正前業務ルール、及び修正後業務ルールに該当する業務ルールについての平均採用割合をそれぞれ算出することにより、修正平均採用割合を算出する。平均採用割合修正部309は、算出された修正平均採用割合及び入力情報を含む各種情報を業務ルール分類部312に送信する。そして処理は、Eへと進む。
【0088】
図22は、
図21の仕分け結果を当てはめた場合の平均採用割合の表を示す図である。
図22に示されるように、平均採用割合修正部309は、業務ルール1及び3が修正無業務ルールであり、業務ルール5及び9が修正前業務ルールであり、業務ルール6及び8が修正後業務ルールであると決定する。また、平均採用割合修正部309は、仕分け結果により、修正無業務ルール、修正前業務ルール、及び修正後業務ルールのいずれにも該当しない業務ルール2、4、7について平均採用割合の修正を行わない。
【0089】
図23は、修正平均採用割合の一例を示す図である。
図23に示すように、修正無業務ルール及び修正後業務ルールに該当する修正平均採用割合は、平均採用割合と比較して同じ値又は増加している。同様に、修正前業務ルールに該当する修正平均採用割合は、平均採用割合と比較して減少している。
【0090】
1305において入力情報が緊急時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を業務ルール検出部307に送信した後に処理がAへと進んだ場合の割当コスト決定動作も、
図19に示されるようになる。例えば、
図18(b)で示すように修正後割当表において作業IVのように新たな作業が追加されている場合であっても、業務ルールは、追加されない。そのため、業務ルール検出部307は、各作業者と作業IVに対応する業務ルールを検出することが可能である。したがって、割当コスト決定装置21は、入力情報が通常時のデータ群である場合と同様の処理を行うことが可能であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0091】
図24は、1307において入力情報が方針変更時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を業務ルール追加部310に送信した後、割当コスト決定動作の処理がCへと進んだ場合の動作の一例を示すフローチャートである。割当作業決定装置2のプロセッサ201がプログラムメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0092】
業務ルール追加部310は、入力情報に含まれる割当時考慮情報と平均採用割合を用いて新規の業務ルールを追加する(2401)。例えば、業務ルール追加部310は、入力情報に含まれる割当時考慮のヒト情報の各行の属性とタスク情報の各タスクにおける組み合わせの総当たりを行い業務ルールを生成する。そして、業務ルール追加部310は、データメモリ203に記憶された通常平均採用割合の業務ルールと生成した業務ルールを比較し、通常平均採用割合の業務ルールに無いルール、すなわち新規の業務ルールを平均採用割合の業務ルールに追加する。そして、業務ルール追加部310は、新規に追加された業務ルールが加えられた平均採用割合についての情報及び入力情報を含む各種情報を採用割合算出部311に送信する。
【0093】
図25は、ヒト情報、タスク情報、新規に追加された業務ルールを加えた平均採用割合を示す図である。
図25の(a)は、ヒト情報を示し、(b)は、タスク情報を示し、(c)は、新規に追加された業務ルールを加えた平均採用割合を示す。
図25(a)に示すようにヒト情報には、割当時考慮準備情報のヒト情報と比較して装備品(マスク)という属性が追加されている。また、(b)に示すようにタスク情報には、割当時考慮準備情報のタスク情報と比較して作業種別1(電柱点検)が作業種別(穴掘り)とタスクが変更され、さらに、マスク必須というタスクが追加されている。業務ルール追加部310は、これらの追加又は変更されたタスクによって新規に追加された業務ルールを通常時平均採用割合に追加する。
【0094】
採用割合算出部311は、新規に追加された業務ルール毎の採用割合を算出する(2402)。採用割合算出部311は、割当時考慮準備情報のヒト情報に新規に追加された属性の列におけるビット値の合計を算出する。採用割合算出部311は、同様に割当時考慮情報のタスク情報に新規に追加されたタスクの列におけるビット値の合計を算出する。そして、採用割合算出部311は、合計値の小さい方を修正後割当表1枚あたりの業務ルールの最大数とする。なお、合計数のうちの小さい方を採用する理由は、平均採用割合生成部304が平均採用割合を算出する場合に用いる、ヒト情報の業務ルールの最大数及びタスク情報の業務ルールの最大数のうちの小さい方を使用する理由と同じある。
【0095】
図26は、割当時考慮情報のヒト情報及びタスク情報の具体的な一例を示す図である。
図26に示すように、ヒト情報に新規に追加された属性である装備品(マスク)の列に含まれるビット値の合計とタスク情報における新規に追加されたタスクであるマスク必須の列に含まれるビット値の合計は共に2である。そのため、採用割合算出部311は、修正後割当表1枚あたりの業務ルールの最大数を「2」と算出する。
【0096】
次に、採用割合算出部311は、新規に追加した業務ルールの採用割合を、業務ルールの採用割合(%)=100*修正後割当表1枚あたりの業務ルールの採用合計数/修正後割当表1枚あたりの業務ルールの最大数、により算出する。なお、この算出方法は、平均採用割合生成部304が平均採用割合を算出する際に用いた方法と同様であり、ここでの更なる詳細な説明は省略する。採用割合算出部311は、算出した新規に追加した業務ルールの採用割合を有する通常平均採用割合及び入力情報を含む各種情報を業務ルール検出部307に送信する。
【0097】
業務ルール検出部307は、割当時考慮情報と通常平均採用割合を用いて作業者と作業を組み合わせた場合に該当する業務ルールを検出する(2403)。業務ルール検出部307は、新規に追加した業務ルールの採用割合を有する通常平均採用割合を用いて、各割当表の作業者と作業の組み合わせに該当する業務ルールを検出する。なお、業務ルール検出部307は、通常平均採用割合として新規に追加した業務ルールの採用割合を有する通常平均採用割合を使用する以外は
図19を用いて説明した1901と同様の処理を行うため、ここでの更なる説明を省略する。
【0098】
業務ルール仕分け部308は、修正前割当表と修正後割当表を比較し、業務ルールを仕分ける(2404)。業務ルール検出部307で検出された情報から各割当表の作業者と作業の組み合わせに対応する業務ルールを比較し、業務ルールを仕分ける。なお、業務ルール仕分け部308は、通常平均採用割合として新規に追加した業務ルールの採用割合を有する通常平均採用割合を使用する以外は
図19を用いて説明した1902と同様の処理を行うため、ここでの更なる説明を省略する。
【0099】
平均採用割合修正部309は、仕分けした業務ルールに基づいて平均採用割合を修正する(2405)。平均採用割合修正部309は、修正平均採用割合を(業務ルールごとの通常平均採用割合*N+修正採用割合)/(過去の割当表の数+1)により算出する。修正平均採用割合は、通常平均採用割合の各業務ルールにおける平均採用割合にNを掛け、修正後割当表によって割当表が1枚増加するため、分母に「+1」し、修正採用割合を分子に足すことにより算出される。なお、修正平均採用割合が最大値(例えば100%)を超える又は最小値(例えば0%)を下回った場合、平均採用割合修正部309はそれぞれ、修正平均採用割合を最大値又は最小値であると算出する。但し、新規に追加した業務ルールの平均採用割合を算出する際、過去のデータがないため、Nを0として修正平均採用割合を算出する。また、修正採用割合の算出方法は、
図19の1903で説明した修正採用割合の算出方法と同じであるため、ここでの更なる説明を省略する。
【0100】
平均採用割合修正部309は、修正平均採用割合を算出する(2406)。平均採用割合修正部309は、業務ルール仕分け部308によって修正無業務ルール、修正前業務ルール、及び修正後業務ルールに該当する業務ルールについての平均採用割合をそれぞれ算出することにより、修正平均採用割合を算出する。平均採用割合修正部309は、算出された修正平均採用割合及び入力情報を含む各種情報を業務ルール分類部312に送信する。そして処理は、Eへと進む。
【0101】
図27は、修正平均採用割合の一例を示す図である。
図27に示すように、新規に追加した業務ルール10及び11の平均採用割合を算出することができる。
【0102】
1308において入力情報が方針変更且つ緊急時のデータ群であることを示す情報及び入力情報を業務ルール検出部307に送信した後に処理がCへと進んだ場合の割当コスト決定動作も、
図24に示されるようになる。例えば、
図18(b)で示すように修正後割当表において作業IVのように新たな作業が追加されている場合であっても、業務ルールは、追加されない。そのため、業務ルール検出部307は、各作業者と作業IVに対応する業務ルールを検出することが可能である。したがって、割当コスト決定装置21は、入力情報が方針変更時のデータ群である場合と同様の処理を行うことが可能であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0103】
(応用例1)
以下では、一実施形態における応用例1について説明する。
割当作業決定装置2は、例えば、入力情報を複数回受信することが可能である。この場合、
図13乃至
図27を参照して上で説明したように、割当作業決定装置2は、受信した各入力情報に含まれる割当時考慮情報に基づいて修正平均割合を算出する。この際、割当時考慮情報が方針変更時のデータまたは方針変更且つ緊急時のデータであると判定された数が通常時のデータ又は緊急時のデータであると判定された数より大きくなる場合がある。この場合、割当コスト決定装置21は、修正平均採用割合を通常平均採用割合に変更することが可能である。このデータは、割当者1等がマニュアルを作成する又はデータを分析する際に使用することができ、割当者1等が現状を把握することを容易にすることが可能になる。
【0104】
(応用例2)
以下では、一実施形態における応用例2について説明する。
図28は、入力情報に含まれる割当時考慮情報のヒト情報、タスク情報、平均採用割合の一例を示す図である。
図28の(a)は、ヒト情報を示し、(b)は、タスク情報を示し、(c)は、平均採用割合を示す。この例において、
図28(a)の4列目の黒電話(ダイヤル式)という属性又は(b)の4列目の黒電話対応可能というタスクは、ビット値が所定の回数立っていないとする。ここで、所定の回数は、例えば、過去の割当情報の枚数であるNであっても良い。割当時考慮情報のヒト情報又はタスク情報は、4列目の属性又はタスクが必要ないことを示している。そこで、
図13の1302において、ビット値が所定の回数立っていない場合、割当時考慮情報判定部306は、4列目の情報を列ごと削除することが可能である。この際、割当時考慮情報判定部306は、
図28(c)に示す点線の枠で囲った、使用されない通常時平均採用割合の対応する業務ルール11も削除する。このように定期的に使用しなくなった列情報及び通常時平均採用割合を削除することで、使われなくなったデータの情報がデータベースに蓄積されたままになることを防ぐことができる。
【0105】
(割当コスト算出)
図29は、割当コスト決定動作の処理がEへと進んだ後の動作の一例を示すフローチャートである。割当作業決定装置2のプロセッサ201がプログラムメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0106】
業務ルール分類部312は、修正平均採用割合に基づいて業務ルールを3つのルールに分類する(2901)。業務ルール分類部312は、算出した各業務ルールの修正平均採用割合により、各業務ルールを絶対ルール、違反ルール、又は許容ルールのいずれかに分類する。絶対ルールは、修正平均採用割合が最大値である100%のものであり、違反ルールは、修正平均採用割合が最小値である0%のものであり、許容割合は、修正平均採用割合が最小値より大きく最大値より小さいものである。
図23の例では、修正平均採用割合100%の業務ルール1が絶対ルールに分類され、平均採用割合0%の業務ルール2が違反ルールに分類され、平均採用割合が0%を超え100%未満である業務ルール3等が許容ルールに分類される。そして、業務ルール分類部312は、業務ルールの分類結果についての情報、業務ルールの採用数、業務ルール、及び入力情報等を含む各種情報を割当コスト決定部313に送信する。
【0107】
割当コスト決定部313は、受信した情報に基づいて、以下のようにして希望割当表の各セルの割当コスト値が算出できるかどうか判定する(2902)。
最初に、割当コスト決定部313は、割当時考慮情報に基づいて希望割当表の各セルに該当する業務ルールを決定する。
図30は、希望割当表の各セルに対する該当する業務ルールの決定手法の一例を示す図である。同図において、(a)は、希望割当表の一例であり、(b)及び(c)は、
図15の(c)及び(d)に示した割当時考慮情報に含まれるヒト情報及びタスク情報それぞれの一部を抜粋した図である。(a)の希望割当表について示される吹き出しは、割当時考慮情報において作業者Aと作業Iのいずれもビット値が立っている業務ルールを示したものである。吹き出しに示されるセル、すなわち、作業者Aを作業Iに割当てる際に該当する業務ルールは、業務ルール1:「ベテラン」の作業者は「作業種別1」の作業に割当てる、業務ルール3:「ベテラン」の作業者は「作業種別3」の作業に割当てる、の2つである。割当コスト決定部313は、
図30の(a)に示すその他のセルについても、どの業務ルールが当てはまるか決定する。
【0108】
次に、割当コスト決定部313は、各セルに当てはまった業務ルールを基にして割当コスト値を決定する。
図31は、作業者が作業を割当てる際に決定される割当コスト値の3つのパターンを示す図である。例えば、割当コスト値は、該当する業務ルールが全て絶対ルールであった場合、100になり(パターン1)、1つでも違反ルールが有れば、0になる(パターン2)。そして、該当業務ルールが全て許容ルールであった場合、又は、許容ルール及び絶対ルールが混在していた場合、割当コスト値は、最小値より大きく最大値より小さいいずれかの値(パターン3)となる。割当コスト値が最小値より大きく最大値より小さいいずれかの値になる場合、割当コスト決定部313は、割当コスト値が1つの値に定まらないため、割当コスト値を決定することが出来ない(なお、
図31では、これを「??」で示している)。
【0109】
割当コスト決定部313は、各セルが絶対ルール又は違反ルールである場合、各セルの割当コスト値を決定することができるため、2902において希望割当表の各セルの割当コスト値が算出できると判定し、処理は、2905に進む。一方、各セルのうちの1つが許容ルールのみ、又は許容ルール及び絶対ルールであった場合、割当コスト決定部313は、希望割当表の各セルの割当コスト値が算出できないと判定し、処理は、2903へ進む。
【0110】
割当コスト決定部313は、希望割当表の各セルの割当コスト値を算出できないと判定した場合、各セルにおける業務ルールの平均採用割合等を含む各種情報を重み値決定部314に送信する。重み値決定部314は、受信した希望割当表のセルにおいて該当する業務ルールが許容ルールのみ、又は、許容ルール及び絶対ルールであるセルの割当コスト値のための重み値kを算出する(2903)。
【0111】
図32は、希望割当表のセルにおいて該当する業務ルールが許容ルールのみである場合の業務ルール及びコスト値の一例を示す図である。
図32で示すように、作業者Aに作業Iを割当てる際の業務ルールの数が2つである場合、重み値決定部314は、各業務ルールにおける平均採用割合を参照して、以下の式により、許容ルールである各業務ルールにおける重み値kを求める。
業務ルールにおける重み値k=業務ルール平均採用割合/(該当セルにおける業務ルールの数*平均採用割合の最大値)
例えば、
図32に示される業務ルール1の重み値を算出する場合、修正平均採用割合は、41%であり、該当業務ルールの数は、2であり、該当セルにおける平均採用割合の最大値は、49%である。これらの値を上の式に当てはめると業務ルール1における重み値k1は、0.42となる。重み値決定部314は、その他の業務ルールについても上記式に当てはめて、それぞれの業務ルールにおける重み値を決定する。例えば、業務ルール3の重み値k2は、0.5と算出される。そして、重み値決定部314は、決定した重み値についての情報を割当コスト決定部313に送信する。
【0112】
割当コスト決定部313は、重み値に基づいて、割当コスト値を決定する(2904)。割当コスト決定部313は、各kの値を足して100(規格化のための値)を掛けることにより割当コスト値を決定する。例えば、上記した作業者Aに作業Iを割当てる場合の割当コスト値は、
図32に示すように、100*(k1+k2)=92となる。
【0113】
図33は、希望割当表のセルにおいて該当する業務ルールが絶対ルール及び許容ルールが混在している場合の業務ルール及び算出される割当コスト値の一例を示す図である。
図33に示す例では、業務ルール1は許容ルールであるが、業務ルール3が絶対ルールである。この場合、重み値決定部314は、許容ルールである業務ルールの重み値を、前述した業務ルールが許容ルールのみである場合と同様に計算する。そして、重み値決定部314は、決定した重み値を割当コスト決定部313に送信する。
【0114】
割当コスト決定部313は、受信した重み値に基づいて割当コスト値を決定する(2904)。最初に、割当コスト決定部313は、絶対ルールにおける割当コスト値を、100*該当セルにおける絶対ルールの数/該当セルにおける全ルールの数、で算出する。
図33の例では、該当セルにおける絶対ルールの数は1、該当セルにおける全ルールの数は2であるので、絶対ルールにおける割当コスト値は、100/2になる。次に、割当コスト決定部313は、絶対ルールにおける割当コスト値である100/2と重み値に基づく割当コスト値である(100-100/2)*(k1)とを加算することにより、希望割当表のセルにおける割当コスト値を算出する。例えば、
図32と同様にk1=0.42であるとすると、割当コスト値は、
図33に示されるように71となる。
【0115】
割当コスト決定部313は、このようにして重み値に基づいて算出した、希望割当表の各セルの割当コスト値についての情報を割当案作成部315に送信する。
【0116】
また、割当コスト決定部313は、希望割当表の各セルの割当コスト値が算出できると判定した場合には、割当コスト値を算出し、希望割当表の各セルの割当コスト値についての情報を割当案作成部315に送信する。
【0117】
図34は、こうして割当コスト決定部313により算出された割当コスト値の一例を示す。割当コスト決定部313は、算出された割当コスト値についての情報を割当案作成部315へ送信する。
【0118】
割当案作成部315は、受信した割当コスト値に基づいて割当案を作成する(2905)。割当案作成部315は、算出された割当コスト値を用いて、例えば、ソルバー計算を行う。例えば、割当案作成部315は、割当コスト値の合計値を目的関数とし、目的関数の最大値を求めることで最適解を算出する。
図35は、ソルバー計算から算出された割当案の一例を示す図である。割当案作成部315は、算出された割当案を出力部305に送信する。
【0119】
出力部305は、表示部208により割当者1に割当案を表示する(2906)。割当者1は、表示された割当案を用いて各作業者に作業を割振ることになる。
【0120】
(割当コスト算出の応用例1)
以下では割当コスト算出時の応用例1について説明する。
図36A及び36Bは、方針変更時の割当時考慮情報のヒト情報及び平均採用割合の例を示す図である。それぞれの図において、(a)はヒト情報を示し、(b)は平均採用割合を示す。
図36Aは、ヒト情報の属性が削除された場合であり、
図36Bは、ヒト情報の属性が追加された場合である。
図36Aに示すようにヒト情報の属性が削除された場合、割当コスト決定部313は、当該削除された属性に対応する平均採用割合の値を考慮せずに割当コスト値を計算する。逆に
図36Bに示すようにヒト情報の属性が追加された場合、割当コスト決定部313は、上で説明した修正平均採用割合を用いて割当コスト値を計算する。
【0121】
(事故データを有する修正後割当表が入力された場合)
以下では、修正後割当表に事故データを含む場合に割当コスト決定動作の処理について説明する。修正後割当表が事故データを含む場合、割当コスト決定動作は、
図13、
図19、
図24、及び
図29を参照して説明した各種動作と平均採用割合修正部309における動作以外同じであるため、これの動作の説明を省略する。また、過去に事故の起きた割当表を割当コスト決定装置21が有している場合と有していない場合で平均採用割合修正部309の動作が異なるため、以下では2つの場合に分けて説明する。
【0122】
(割当コスト決定装置21が過去に事故の起きた割当表を記憶していない場合)
図37は、過去に事故が起きたデータのない場合に平均採用割合を修正する一例を示す図である。
図37の(a)は、修正後割当表を示した図であり、(b)は、修正後割当表の作業及び作業者に対応する業務ルールを示した図であり、(c)は、事故による平均採用割合の修正の一例を示した図である。この例では、過去に事故が起きたことがない場合について説明する。すなわち、以下では、過去に事故の起きた割当表をデータメモリ203が記憶していない場合について説明する。事故は、
図37の(a)の四角で囲われた作業者Cが作業IIを行った際に起きたものとする。また、簡単化のため、割当時考慮情報は、割当時考慮準備情報と同じであるとする。
【0123】
平均採用割合修正部309は、入力情報に含まれる修正後割当表から作業者Cが作業IIを行った際に事故が起きたことを認識する。例えば、入力情報が修正後割当表の該当箇所において事故が発生したことを示すフラグ情報を含むようにし、このフラグを認識することで、平均採用割合修正部309が事故を認識するようにしても良い。例えば、平均採用割合修正部309は、
図37の(b)の四角で囲われた業務ルール8が事故に対応する業務ルールであると認識する。その後、フラグを識別した平均採用割合修正部309は、データメモリ203を検索し、過去の事故データを有しているかどうか判定する。
【0124】
過去の事故データを有していないと判定した場合、平均採用割合修正部309は、平均採用割合を修正する際、事故の起きた作業者と作業に該当する業務ルールの平均採用割合を、0に修正する。
図37の(c)の例では、平均採用割合修正部309は、認識した業務ルール8の平均採用割合を30%から0%に修正する。
【0125】
(割当コスト決定装置21が過去に事故の起きた割当表を記憶している場合)
図38は、過去に事故が起きたデータを有する場合に平均採用割合を修正する一例を示す図である。
図38の(a)は、修正後割当表を示した図であり、(b)は、修正後割当表の作業及び作業者に対応する業務ルールを示した図であり、(c)は、各業務ルールに対応する事故データを示した図であり、(d)は、事故の発生確率及び平均採用割合をクラスタ分析によって3つのクラスタに分けた場合の漸近線の一例を示した図であり、(e)は、事故による平均採用割合の修正の一例を示した図である。この例では、過去に事故が起きたことがある場合について説明する。すなわち、以下では、過去に事故の起きた割当表をデータメモリ203が記憶している場合について説明する。事故は、
図38の(a)の四角で囲われた作業者Cが作業IIを行った際に起きたものとする。また、簡単化のため、割当時考慮情報は、割当時考慮準備情報と同じであるとする。
【0126】
平均採用割合修正部309は、入力情報に含まれる修正後割当表から作業者Cが作業IIを行った際に事故が起きたことを認識する。例えば、入力情報が修正後割当表の該当箇所において事故が発生したことを示すフラグを含むようにし、このフラグを認識することで、平均採用割合修正部309が事故を認識するようにしても良い。例えば、平均採用割合修正部309は、
図38の(b)の四角で囲われた業務ルール8が事故に対応する業務ルールであると認識する。その後、フラグを識別した平均採用割合修正部309は、データメモリ203を検索し、過去の事故データを有しているかどうか判定する。
【0127】
過去の事故データを有していると判定した場合、平均採用割合修正部309は、平均採用割合を修正する際、各業務ルールに対して過去の事故発生確率を、各業務ルールにおいて事故が起きた回数/過去に事故が起きたデータの数により算出する。
図38の(c)は、各業務ルールに対する事故の発生確率の一例を示した図である。
図38の(c)に示すように、事故の発生確率は、業務ルール1が0%であり、業務ルール2が95%であり、業務ルール3が30%であり、・・・、業務ルール8が20%であり、業務ルール9が50%であることを示している。そして平均採用割合修正部309は、過去の事故データに対してクラスタ分析を行い、所定の数のクラスタに分け、クラスタの中心点において、漸近線を描く。例えば、
図38の(d)は、事故の発生確率及び平均採用割合をクラスタ分析によって3つのクラスタに分けた場合の漸近線の例を示す。そして、事故の発生確率の設定値(例えば、30%)に基づいて許容可能な平均採用割合を閾値として設定する。なお、当該設定値の決定方法は、後述する。平均採用割合修正部309は、該当する業務ルールの平均採用割合が当該閾値以上である場合、平均採用割合の値を修正せず、該当する業務ルールの平均採用割合が当該閾値より小さい値である場合、該当する業務ルールの平均採用割合を0に修正する。
図38の(e)では、平均採用割合修正部309は、事故と認識した業務ルール8の平均採用割合が閾値(30%)以上である80%である場合、平均採用割合の値を修正せず、30%未満である25%である場合、平均採用割合を25%から0%に修正することを示す。
【0128】
図39は、許容可能な平均採用割合を設定する動作の一例を示すフローチャートである。割当作業決定装置2のプロセッサ201がプログラムメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。なお、許容可能な平均採用割合は、平均採用割合を修正する前又は修正中に設定することが可能である。また、事故の起きた日時、作業者と作業の組み合わせ、及び事故の人的被害及び設備被害等の各種データは、割当者1等によりデータメモリ203に記憶されているものとする。
【0129】
プロセッサ201は、事故の起こりやすさの度合いを設定する(3901)。プロセッサ201は、例えば、10年間の作業件数*作業者と作業を組み合わせた場合に該当する業務ルールの過去の事故発生確率により、事故の発生頻度(回/10年)を算出する。この例では、10年間の作業件数を用いているがこれに限られず、所定の期間の作業件数であれば任意の期間を用いても良い。そして、プロセッサ201は、事故発生頻度に応じて事故の起こりやすさの度合いを設定する。プロセッサ201は、事故の発生頻度を必要な数に等分し、等分した結果に応じて事故の起こりやすさの度合いを設定しても良いし、割当者1から入力された所定の設定値に基づいて事故の起こりやすさの度合いを設定しても良い。
【0130】
図40は、事故発生頻度に応じた事故の起こりやすさの度合いの設定の一例を示す図である。
図40に示すように、例えば、事故の発生頻度が10年に1回未満である場合、プロセッサ201は、事故の起こりやすさの度合いを最も低い値である「1」に設定する。事故の発生頻度が10年に1回以上5年に1回未満である場合、プロセッサ201は、事故の起こりやすさの度合いを「1」よりも高い「2」に設定する。事故の発生頻度が5年に1回以上1年に3回未満である場合、プロセッサ201は、事故の起こりやすさの度合いを「2」よりも高い「3」に設定する。事故の発生頻度が1年に3回以上である場合、プロセッサ201は、事故の起こりやすさの度合いを最も高い値である「4」に設定する。
【0131】
プロセッサ201は、事故による影響度を設定する(3902)。プロセッサ201は、データメモリ203に記憶された事故に対応する人的被害及び設備被害等に応じて事故の影響度を設定する。プロセッサ201は、事故の影響度を必要な数に等分し、等分した結果に応じて事故の影響度を設定しても良いし、割当者1から入力された所定の設定値に基づいて影響度を設定しても良い。
【0132】
図41は、人的被害及び設備被害に応じた影響度の設定の一例を示す図である。
図41に示すように、例えば、作業者に怪我が無い又は設備被害が無い場合、最も低い影響度を「1」に設定する。同様に作業者の怪我が擦り傷などの軽傷である又は設備被害額が1億円未満である場合、影響度を「1」よりも高い「2」に設定する。さらに、作業者の怪我が骨折などの重傷である又は設備被害額が1億円以上3億円未満である場合、影響度を「2」よりも高い「3」に設定する。さらに、作業者が死亡する又は設備被害額が3億円以上である場合、影響度を最も高い「4」に設定する。なお、プロセッサ201は、人的被害の影響度と設備被害の影響度のうちの高い方を採用するように設定しても良いし、人的被害の影響度を採用するように設定しても良い。また、
図41に示す人的被害及び設備被害は、単なる例であり、事故に関連する属性であれば任意の属性を設定可能であるのは勿論である。
【0133】
プロセッサ201は、許容できない範囲を設定する(3903)。プロセッサ201は、3901及び3902で設定した事故の起こりやすさの度合い及び影響度のうちどの範囲のものが許容できないかを設定する。なお、この範囲を決める前に割当者1等から入力された許容できない範囲についての入力があり、データメモリ203は、割当者1が設定する範囲について記憶しているものとする。プロセッサ201は、記憶された範囲を包含する度合い及び影響度を許容できない範囲として設定する。
【0134】
図42は、事故の起こりやすさの度合い及び影響度のうちの許容できない範囲の一例を示す図である。
図42の(a)は、事故の起こりやすさの度合いのうちの許容できない範囲を示した図であり、(b)は、影響度のうちの許容できない範囲を示した図である。
図42(a)及び(b)に示すように、許容できない範囲は、太線で囲われている。
図42(a)及び(b)の例では、プロセッサ201は、事故の起こりやすさの度合いが4である又は影響度が3又は4のいずれかである場合を許容できない範囲として設定する。
【0135】
プロセッサ201は、許容可能な平均採用割合を設定する(3904)。プロセッサ201は、3903で設定した許容できない範囲にある事故のあった割当表を検索し、検索された作業者及び作業に対応する業務ルールのうち最も平均採用割合が高い値を許容可能な平均採用割合として設定する。
【0136】
図43は、平均採用割合のうちのいずれを許容可能な平均採用割合として設定するかの一例を示す図である。
図43は、例えば、業務ルール2及び5が許容できない範囲にある業務ルールであるとする(
図43では、太線で囲われている)。プロセッサ201は、業務ルール2の平均採用割合が0%であり、業務ルール5の平均採用割合が10%であると判定する。そして、プロセッサ201は、業務ルール5の平均採用割合を許容可能な平均採用割合として設定する。
【0137】
[作用効果]
割当コスト決定装置21は、割当者1が手作業で修正した割当表を用いて各業務ルールの平均採用割合を修正することができる。割当コスト決定装置21はこの修正された各業務ルールの平均採用割合に基づいて割当コスト値を算出することで割当コスト値を適切な作業者に割当てることが可能になる。
【0138】
よって、実社会問題に則した適切な割当表を作成することが可能となる。この割当案は、適切な作業を作業者に割当てることを可能にする。
【0139】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、割当時考慮情報に含まれるヒト情報及びタスク情報は、上で説明したものに限られない。例えば、ヒト情報は、作業者に関わる様々な属性、例えば、夜勤可能、土日可能、体調良好、勤務エリア等の任意の属性を含んでも良い。さらに、タスク情報は、夜勤、土日、外作業等の任意のタスクを含んでも良い。ヒト情報及びタスク情報は、それぞれここに記載したものに限られず、作業者に関するもの又は作業に関するものであれば任意のものを含んで良い。
【0140】
また、前記実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウェア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記憶媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブル、データ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書で言う記憶媒体は、頒布用に限らず、計算機内部或いはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【0141】
要するに、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0142】
1…割当者
2…割当作業決定装置
21…割当コスト決定装置
201…プロセッサ
202…プログラムメモリ
203…データメモリ
204…通信インタフェース
205…入出力インタフェース
206…バス
207…入力部
208…表示部
301…取得部
302…業務ルール作成部
303…業務ルール分析部
304…平均採用割合生成部
305…出力部
306…割当時考慮情報判定部
307…業務ルール検出部
308…業務ルール仕分け部
309…平均採用割合修正部
310…業務ルール追加部
311…採用割合算出部
312…業務ルール分類部
313…割当コスト決定部
314…重み値決定部
315…割当案作成部