(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20241112BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20241112BHJP
【FI】
H04W16/18
H04W24/02
(21)【出願番号】P 2023529197
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023339
(87)【国際公開番号】W WO2022269666
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】村山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中山 章太
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/075058(WO,A1)
【文献】特開2020-107955(JP,A)
【文献】特開2019-161464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽物を検知した情報を取得する遮蔽物検知情報取得部と、
前記遮蔽物を検知した情報に基づいて
、特定端末の位置候補を算出する特定端末位置候補算出部と、
前記特定端末の位置候補ごとに
、基地局からの前記特定端末の見通しの有無を判定する見通し判定部と、
前記見通しの有無の判定結果に基づいて、前記特定端末の位置を決定し、前記基地局の位置
を示すパラメータを含む移動制御パラメータを算出する基地局移動制御パラメータ算出部と、を備える、
制御装置。
【請求項2】
前記特定端末は監視カメラであって、
前記基地局移動制御パラメータ算出部は、前記監視カメラの監視エリア面積を算出し、算出された前記監視エリア面積を最大化するように、前記特定端末の位置を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記基地局移動制御パラメータ算出部は、前記基地局のカバーエリア品質を算出し、算出された前記カバーエリア品質を最大化するように、前記
移動制御パラメータを算出する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記見通し判定部は、前記基地局からのフレネルゾーンを算出して、算出されたフレネルゾーンのうち、予め定められた割合の領域が遮断されないポイントを見通し有りと判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記特定端末の位置を示す端末位置情報を取得する端末位置情報取得部をさらに備え、
前記見通し判定部は、前記端末位置情報に基づいて、前記基地局からの前記特定端末の見通しの有無を判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
算出された前記
移動制御パラメータに基づいて、前記基地局の移動を制御する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
制御装置が、
遮蔽物を検知した情報を取得する遮蔽物検知情報取得ステップと、
前記遮蔽物を検知した情報に基づいて
、特定端末の位置候補を算出する特定端末位置候補算出ステップと、
前記特定端末の位置候補ごとに
、基地局からの前記特定端末の見通しの有無を判定する見通し判定ステップと、
前記見通しの有無の判定結果に基づいて、前記特定端末の位置を決定し、前記基地局の位置
を示すパラメータを含む移動制御パラメータを算出する基地局移動制御パラメータ算出ステップと、
を実行する、
制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
5G等の無線通信システムであって、特にAbove-6GHz等の直進性の高い周波数を用いる通信システムが開発されている。例えば、非特許文献1には、28および39GHzの屋外実験結果が示されている。FR2は広帯域を使用できることもあり、電波品質が良い条件であれば超高速通信を実現可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ミリ波を用いた超高速・長距離伝送の5G屋外実験、岸山、奥村、他、ドコモテクニカルジャーナル(Vol.26-1, P25-32)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信システムを利用して高精細映像をアップロードする監視カメラ等のような特定の端末に常に良好な通信状態を維持させたいという要望がある。しかしながら、従来の技術では、5Gやローカル5Gなどで利用可能な28GHz帯などのAbove-6と呼ばれる周波数帯の無線信号は直進性が高く、遮蔽によるロスが大きいため、遮蔽物が多く、また遮蔽物が移動するような構内環境では良好な通信状態を維持させることが難しいという問題がある。
【0005】
開示の技術は、遮蔽物が移動する環境においても特定の端末に良好な通信状態を維持させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、遮蔽物を検知した情報を取得する遮蔽物検知情報取得部と、前記遮蔽物を検知した情報に基づいて、特定端末の位置候補を算出する特定端末位置候補算出部と、前記特定端末の位置候補ごとに、基地局からの前記特定端末の見通しの有無を判定する見通し判定部と、前記見通しの有無の判定結果に基づいて、前記特定端末の位置を決定し、前記基地局の位置を示すパラメータを含む移動制御パラメータを算出する基地局移動制御パラメータ算出部と、を備える制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
遮蔽物が移動する環境においても特定の端末に良好な通信状態を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】無線通信システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】実施例1に係る制御装置の機能構成例を示す図である。
【
図3】制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】特定端末の位置候補の算出方法の一例を説明するための図である。
【
図5】実施例1に係る見通しの判定方法の一例を説明するための第一の図である。
【
図6】実施例1に係る見通しの判定方法の一例を説明するための第二の図である。
【
図7】実施例2に係る各装置の機能構成例を示す図である。
【
図8】実施例2に係る見通しの判定方法の一例を説明するための図である。
【
図9】コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0010】
(本実施の形態の概要)
本実施の形態に係る無線通信システムは、遮蔽物を検知した情報に基づく遮蔽物マップに基づいて、監視カメラの複数の位置候補のそれぞれの基地局からの見通しの有無を判定し、見通しのある基地局の位置・方向と監視カメラの位置のうち、監視カメラによる監視エリア面積と基地局のカバーエリア品質を最大化する組み合わせを決定する。
【0011】
(無線通信システムのシステム構成例)
図1は、無線通信システムのシステム構成例を示す図である。無線通信システム1は、制御装置10と、基地局20と、遮蔽物検知器30と、監視カメラ40と、端末50と、を備える。また、無線通信システム1の通信エリアは、監視カメラ40の監視対象のエリアであって、遮蔽物60、壁70等を含む。
【0012】
制御装置10は、基地局20および遮蔽物検知器30と、有線または無線により通信可能に接続されている。制御装置10は、遮蔽物検知器30により検知された情報を取得して遮蔽物マップを生成し、基地局20の位置および方向を決定して、基地局20を制御する。
【0013】
基地局20は、無線通信の基地局である。基地局20は、制御装置10による制御を受けて位置および方向を変更することができる可動式の基地局である。基地局20の可動域は、スライド式の一次元方向の可動域であっても良いし、ドローンやAGV(Automated guided vehicle)等に基地局を搭載する方式の二次元方向の可動域であっても良い。
【0014】
遮蔽物検知器30は、カメラまたはLiDAR(Light Detection And Ranging)システム等であって、遮蔽物を検知した情報を制御装置10に送信する。
【0015】
監視カメラ40は、監視対象のエリアを撮影した高精細な映像を、無線通信により基地局20に送信する。なお、監視カメラは、基地局20との良好な通信状態を維持すべき特定端末の一例であって、他でも良い。例えば、特定端末は、無線通信を中継するための中継器であっても良い。
【0016】
端末50は、基地局20との間での無線通信を利用する端末である。
【0017】
以下、本実施の形態の実施例として、実施例1および実施例2について説明する。
【0018】
(実施例1に係る制御装置の機能構成例)
図2は、実施例1に係る制御装置の機能構成例を示す図である。制御装置10は、遮蔽物検知情報取得部11と、遮蔽物マップ生成部12と、特定端末位置候補算出部13と、見通し判定部14と、基地局移動制御パラメータ算出部15と、を備える。
【0019】
遮蔽物検知情報取得部11は、遮蔽物を検知した情報を、遮蔽物検知器30から受信することによって取得する。
【0020】
遮蔽物マップ生成部12は、遮蔽物を検知した情報に基づいて、通信エリアにおける遮蔽物の位置および大きさを示す遮蔽物マップを生成する。遮蔽物マップは、3Dでも2Dでも良い。遮蔽物マップが3Dの場合、見通し判定部14は、高さも考慮して見通しを判定する。
【0021】
特定端末位置候補算出部13は、監視カメラ40の位置候補を算出する。監視カメラ40の位置候補は、遮蔽物の位置および大きさに応じて、監視対象エリアを監視可能な位置の候補である。位置候補の算出方法の具体例については後述する。
【0022】
見通し判定部14は、監視カメラ40の位置候補ごとに、基地局20からの監視カメラ40の見通しの有無を判定する。なお、複数の基地局20がある場合は、見通し判定部14は、いずれかの基地局20への見通しが有れば、見通し有りと判定する。見通しの有無の判定方法の具体例については後述する。
【0023】
基地局移動制御パラメータ算出部15は、基地局20の移動制御のためのパラメータを算出する。算出されるパラメータは、具体的には、基地局20の位置および方向を示すパラメータである。
【0024】
制御装置10は、算出されたパラメータに基づいて基地局20を移動制御する。なお、基地局20は、可動式でなくても良い。その場合、制御装置10は算出結果を示す情報を出力する。ユーザは、算出された結果に基づいて基地局20を設置すれば良い。基地局20が複数ある場合には、これらの制御を組み合わせても良い。例えば、複数の基地局のうち、一部が可動式で一部が固定の基地局であっても良い。
【0025】
(無線通信システムの動作例)
次に、無線通信システム1の動作例について、図面を参照して説明する。遮蔽物検知器30によって検知されると、制御装置10は、制御処理を開始する。
【0026】
図3は、制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。遮蔽物検知情報取得部11は遮蔽物を検知した情報(遮蔽物検知情報)を取得する(ステップS101)。次に、遮蔽物マップ生成部12は、遮蔽物検知情報に基づいて遮蔽物マップを生成する(ステップS102)。
【0027】
特定端末位置候補算出部13は、監視カメラ40(特定端末)の複数の位置候補を算出する(ステップS103)。そして、基地局移動制御パラメータ算出部15は、監視カメラ40(特定端末)の位置候補を選択する(ステップS104)。
【0028】
続いて、基地局移動制御パラメータ算出部15は、基地局の位置および方向のパラメータの組み合わせを選択する(ステップS105)。具体的には、基地局移動制御パラメータ算出部15は、基地局の位置および方向のパラメータとして取り得る値の範囲を示す情報をあらかじめ記憶していて、当該範囲内となる複数の組み合わせから1つを選択する。
【0029】
次に、見通し判定部14は、選択されたパラメータと位置候補に基づいて、基地局20から監視カメラ40(特定端末)の位置候補への見通しがあるか否かを判定する(ステップS106)。見通し判定部14が見通し無しと判定すると(ステップS106:No)、ステップS105の処理に戻り、基地局移動制御パラメータ算出部15が、基地局20の位置および方向のパラメータの組み合わせとしてすでに選択された組み合わせとは異なる組み合わせを選択する。
【0030】
また、見通し判定部14が見通し有りと判定すると(ステップS106:Yes)、基地局移動制御パラメータ算出部15は、監視カメラ40(特定端末)の監視エリア面積Acを算出する(ステップS107)。なお、基地局移動制御パラメータ算出部15は、特定端末が中継器である場合には、中継器のカバーエリアをAcとして算出すれば良い。
【0031】
続いて、基地局移動制御パラメータ算出部15は、基地局20のカバーエリア品質Qeを算出する(ステップS108)。制御装置10は、算出されたAcおよびQeを記憶する。そして、制御装置10は、基地局20の位置および方向のパラメータをすべて選択したか否かを判定する(ステップS109)。制御装置10が、基地局20の位置および方向のパラメータのいずれかを選択していないと判定すると(ステップS109:No)、ステップS105の処理に戻り、基地局移動制御パラメータ算出部15が、基地局20の位置および方向のパラメータの組み合わせとしてすでに選択された組み合わせとは異なる組み合わせを選択する。
【0032】
また、制御装置10は、基地局20の位置および方向のパラメータをすべて選択したと判定すると(ステップS109:Yes)、監視カメラ40(特定端末)の位置候補をすべて選択したか否かを判定する(ステップS110)。
【0033】
制御装置10が、監視カメラ40(特定端末)の位置候補のいずれかを選択していないと判定すると(ステップS110:No)、ステップS104の処理に戻り、基地局移動制御パラメータ算出部15が、監視カメラ40(特定端末)の位置候補としてすでに選択された位置候補とは異なる位置候補を選択する。
【0034】
制御装置10が、監視カメラ40(特定端末)の位置候補をすべて選択したと判定すると(ステップS110:Yes)、基地局移動制御パラメータ算出部15は、Acを最大化する監視カメラ40(特定端末)の位置候補および基地局20の位置・方向パラメータの組み合わせを選択する(ステップS111)。さらに、基地局移動制御パラメータ算出部15は、選択された基地局20の位置・方向パラメータの組み合わせの中から、Qeを最大化する基地局20の位置・方向パラメータを選択する(ステップS112)。
【0035】
(特定端末の位置候補の算出方法)
次に、制御処理のステップS103における監視カメラ40(特定端末)の位置候補の算出方法について説明する。
【0036】
第一の算出方法は、遮蔽物マップに基づいて、各監視カメラ40(特定端末)の位置候補から見通すことができる監視対象エリアの要素を判別する方法である。この方法では、特定端末位置候補算出部13は、見通し内になる監視対象エリアの要素数を最大にする(または全ての監視対象エリアの要素が見通し内になる)ように位置候補を算出する。ここで、見通しの有無の判定に距離制限を設けても良い。
【0037】
第一の算出方法によれば、見通し有無の判別により、監視できる要素数を最大にする監視カメラ40の候補位置をすべて算出することができる。また、見通し条件に距離制限を考慮すると、カメラ解像度等の制約を考慮して、より確実な監視を可能とすることができる。なお、特定端末が中継器の場合は、監視可能な要素数に代えて、中継可能な要素数とすれば良い。
【0038】
図4は、特定端末の位置候補の算出方法の一例を説明するための図である。第二の算出方法では、
図4に示す三角形101-1等のように、特定端末位置候補算出部13は、監視対象エリアを複数の三角形に分割する。
【0039】
そして、特定端末位置候補算出部13は、結合可能な三角形同士(2頂点を共有する三角形同士、例えば、三角形101-1と三角形101-2、三角形102-1と三角形102-2、三角形103-1と三角形103-2)を結合させる。
【0040】
続いて、特定端末位置候補算出部13は、結合された三角形で覆われたエリアを1台の監視カメラ40を置く位置候補とする。
【0041】
第二の算出方法によれば、より簡易的な算出方法で、各監視カメラ40(特定端末)の位置候補を算出することができる。
【0042】
(見通しの判定方法)
次に、制御処理のステップS106における見通しの判定方法について説明する。
【0043】
図5は、実施例1に係る見通しの判定方法の一例を説明するための第一の図である。第一の見通し判定方法では、見通し判定部14は、基地局20のアンテナ21の中心位置の点から壁70または遮蔽物60に衝突するまでの線分110が通る領域111を見通し内のエリアとする。
【0044】
第一の見通し判定方法によれば、監視カメラ40(特定端末)の位置に依らず、エリア形状と遮蔽物の位置および形状のみで簡易に見通し内のエリアを算出可能である。
【0045】
図6は、実施例1に係る見通しの判定方法の一例を説明するための第二の図である。第二の見通し判定方法では、見通し判定部14は、基地局20のアンテナ21の中心位置の点から、予め定められたグリッド上の各点120に対して、フレネルゾーン121を算出する。そして、見通し判定部14は、フレネルゾーン121のうち予め定められたX%が遮蔽されないポイントを見通し内の位置とし、その周囲のエリアを見通し内のエリアとする。
【0046】
第二の見通し判定方法によれば、第一の見通し判定方法と同様に、監視カメラ40(特定端末)の位置に依らず、エリア形状と遮蔽物の位置および形状のみで簡易に見通し内のエリアを算出可能であり、第一の見通し判定方法よりも実際の通信状態に近い判定結果を得ることができる。
【0047】
なお、フレネルゾーンの算出方法の一例は、以下の通りである。送信と受信側の最短距離をd(m)、回転楕円体の中央部の半径(フレネル半径)をr1(m)、送信側と回転楕円体中央までの距離をd1(m)、受信側と回転楕円体中央までの距離をd2(m)、フレネル半径部分で反射する反射波と直接波の経路差をd3(m)、波長をλ(m)とすると、以下の式によって、d3(m)およびr1(m)を算出する。
【0048】
【0049】
【0050】
(実施例2)
以下に図面を参照して、実施例2について説明する。実施例2は、見通しの判定に特定端末の位置情報を使用する点と遮蔽物の検知を特定端末が行う点が、実施例1と相違する。よって、以下の実施例2の説明では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と同様の機能構成を有するものには、実施例1の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0051】
(実施例2に係る各装置の機能構成例)
図7は、実施例2に係る各装置の機能構成例を示す図である。本実施例に係る制御装置10は、実施例1に係る制御装置10に端末位置情報取得部16を追加した構成である。
【0052】
端末位置情報取得部16は、基地局20から特定端末の位置を示す端末位置情報を取得する。
【0053】
基地局20は、基地局移動機構21と、無線送受信部22と、信号復調部23と、を備える。基地局移動機構21は、制御装置10による制御を受けて、基地局を移動させる機構(アクチュエータ)である。
【0054】
無線送受信部22は、監視カメラ40(特定端末)との間で無線通信の信号を送受信する。具体的には、無線送受信部22は、端末位置情報および遮蔽物を検知した遮蔽物検知情報を、監視カメラ40(特定端末)から受信する。
【0055】
なお、基地局20は、端末位置情報を受信する代わりに、カメラ映像等を使用して監視カメラ40(特定端末)の位置を推定してもよい。
【0056】
信号復調部23は、無線送受信部22が受信した無線信号を復調する。基地局20は、復調された信号を制御装置10に送信する。
【0057】
監視カメラ40(特定端末)は、無線送受信部41と、位置情報取得部42と、遮蔽物検知部43と、を備える。
【0058】
無線送受信部41は、基地局20との間で無線通信の信号を送受信する。具体的には、無線送受信部41は、端末位置情報および遮蔽物検知情報を基地局20に送信する。
【0059】
位置情報取得部42は、GPS(Global Positioning System)またはセンシング等により自己位置を特定することによって、位置情報を取得する。
【0060】
遮蔽物検知部43は、カメラまたはLidar等によって遮蔽物を検知し、遮蔽物検知情報を取得する。
【0061】
(実施例2に係る見通しの判定方法)
次に、本実施例に係る見通しの判定方法について説明する。
【0062】
図8は、実施例2に係る見通しの判定方法の一例を説明するための図である。本実施例に係る見通し判定方法では、見通し判定部14は、基地局20のアンテナ21の中心位置の点から各監視カメラ40(特定端末)に対して、フレネルゾーン130を算出する。そして、見通し判定部14は、フレネルゾーン130のうち予め定められたX%が遮蔽されない監視カメラ40(特定端末)を見通し有りと判定する。
【0063】
本実施例に係る見通し判定方法によれば、監視カメラ40(特定端末)の位置がある程度静的である場合に、エリア形状、遮蔽物の位置および形状、監視カメラ40(特定端末)の位置を考慮可能である。
【0064】
なお、本実施例と同様に、制御処理のステップS108のカバーエリア品質Qeの算出処理において、端末50の位置情報を考慮して算出するようにしても良い。具体的には、各端末50が基地局20を介して位置情報を送信し、制御装置10が各端末50の位置情報を受信する。
【0065】
そして、制御装置10の基地局移動制御パラメータ算出部15は、カバーエリア品質Qeの算出において、各端末50の位置情報に基づいて、基地局20から各端末50への見通しの有無を判定し、エリア内の要素数を算出する。これによって、各端末50がある程度静的である場合に、各端末50の位置に応じたカバーエリア品質Qeを算出することができる。
【0066】
(本実施の形態に係るハードウェア構成例)
制御装置10は、例えば、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。なお、この「コンピュータ」は、物理マシンであってもよいし、クラウド上の仮想マシンであってもよい。仮想マシンを使用する場合、ここで説明する「ハードウェア」は仮想的なハードウェアである。
【0067】
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0068】
図9は、上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図9のコンピュータは、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008等を有する。
【0069】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0070】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、当該装置に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。出力装置1008は演算結果を出力する。なお、上記コンピュータは、CPU1004の代わりにGPU(Graphics Processing Unit)またはTPU(Tensor processing unit)を備えていても良く、CPU1004に加えて、GPUまたはTPUを備えていても良い。その場合、例えば特殊な演算が必要な処理をGPUまたはTPUが実行し、その他の処理をCPU1004が実行する、というように処理を分担して実行しても良い。
【0071】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、遮蔽物を検知した情報に基づく遮蔽物マップに基づいて、特定端末の複数の位置候補のそれぞれの基地局からの見通しの有無を判定し、見通しのある基地局の位置・方向と特定端末の位置のうち、特定端末による監視エリア面積と基地局のカバーエリア品質を最大化する組み合わせを決定する。これによって、監視カメラ、中継器等の特定端末の位置と基地局の位置および方向を連動して制御することができ、カバーエリア品質を最大化しつつ、適切な特定端末の位置を決定し、効率的に配置できる。
【0072】
(実施の形態のまとめ)
本明細書には、少なくとも下記の各項に記載した制御装置、制御方法およびプログラムが記載されている。
(第1項)
基地局の位置および方向と、前記基地局と無線通信する特定端末の位置とを連動して制御するための制御装置であって、
遮蔽物を検知した情報を取得する遮蔽物検知情報取得部と、
前記遮蔽物を検知した情報に基づいて、前記特定端末の位置候補を算出する特定端末位置候補算出部と、
前記特定端末の位置候補ごとに、前記基地局からの前記特定端末の見通しの有無を判定する見通し判定部と、
前記見通しの有無の判定結果に基づいて、前記特定端末の位置を決定し、前記基地局の位置および方向を示すパラメータを算出する基地局移動制御パラメータ算出部と、を備える、
制御装置。
(第2項)
前記特定端末は監視カメラであって、
前記基地局移動制御パラメータ算出部は、前記監視カメラの監視エリア面積を算出し、算出された前記監視エリア面積を最大化するように、前記特定端末の位置を決定する、
第1項に記載の制御装置。
(第3項)
前記基地局移動制御パラメータ算出部は、前記基地局のカバーエリア品質を算出し、算出された前記カバーエリア品質を最大化するように、前記基地局の位置および方向を示すパラメータを算出する、
第1項または第2項に記載の制御装置。
(第4項)
前記見通し判定部は、前記基地局からのフレネルゾーンを算出して、算出されたフレネルゾーンのうち、予め定められた割合の領域が遮断されないポイントを見通し有りと判定する、
第1項から第3項のいずれか1項に記載の制御装置。
(第5項)
前記特定端末の位置を示す端末位置情報を取得する端末位置情報取得部をさらに備え、
前記見通し判定部は、前記端末位置情報に基づいて、前記基地局からの前記特定端末の見通しの有無を判定する、
第1項から第4項のいずれか1項に記載の制御装置。
(第6項)
算出された前記基地局の位置および方向を示す前記パラメータに基づいて、前記基地局の移動を制御する、
第1項から第5項のいずれか1項に記載の制御装置。
(第7項)
基地局の位置および方向と、前記基地局と無線通信する特定端末の位置とを連動して制御するための制御装置が実行する制御方法であって、
制御方法。
(第8項)
コンピュータを、第1項から第6項のいずれか1項に記載の制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
【0073】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 無線通信システム
10 制御装置
11 遮蔽物検知情報取得部
12 遮蔽物マップ生成部
13 特定端末位置候補算出部
14 見通し判定部
15 基地局移動制御パラメータ算出部
16 端末位置情報取得部
20 基地局
21 基地局移動機構
22 無線送受信部
23 信号復調部
30 遮蔽物検知器
40 監視カメラ
41 無線送受信部
42 位置情報取得部
43 遮蔽物検知部
50 端末
60 遮蔽物
70 壁
100 特徴点変化量データ
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
1008 出力装置