IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電信電話株式会社の特許一覧

特許7586329コア間の電力結合係数を算出する装置、方法及びシステム
<>
  • 特許-コア間の電力結合係数を算出する装置、方法及びシステム 図1
  • 特許-コア間の電力結合係数を算出する装置、方法及びシステム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】コア間の電力結合係数を算出する装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20241112BHJP
   G01M 11/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G02B6/02 481
G01M11/02 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023539399
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2021028654
(87)【国際公開番号】W WO2023012875
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】中村 篤志
(72)【発明者】
【氏名】古敷谷 優介
(72)【発明者】
【氏名】本田 奈月
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/198365(WO,A1)
【文献】特開2018-021869(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161825(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0039627(US,A1)
【文献】坂本泰志 ほか,結合型マルチコアファイバにおける空間モード分散係数の測定,2015年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会講演論文集2,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2015年08月25日,p.308
【文献】SAITOH, Kunimasa,Multi-core Fiber Technology for SDM: Coupling Mechanisms and Design,OFC2021,米国,IEEE,2021年06月06日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02- 6/036
G02B 6/44
G01M 11/00-11/08
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の群遅延時間差を取得し、
前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の空間モード分散を取得し、
前記群遅延時間差、前記空間モード分散、及び前記結合型2コアファイバの長さを数C1に適用することで、前記結合型2コアファイバの全長に亘る平均的な前記特定波長のコア間の電力結合係数を算出する、
装置。
【数C1】
ここで、Δτは前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の空間モード分散、dΔβ/dωは前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の群遅延時間差、Lは前記結合型2コアファイバのファイバ長、hはコア間の電力結合係数を表す。
【請求項2】
結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の群遅延時間差を取得し、
前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の空間モード分散を取得し、
前記群遅延時間差、前記空間モード分散、及び前記結合型2コアファイバの長さを数C2に適用することで、前記結合型2コアファイバの全長に亘る平均的な前記特定波長のコア間の電力結合係数を算出する、
方法。
【数C2】
ここで、Δτは前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の空間モード分散、dΔβ/dωは前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の群遅延時間差、Lは前記結合型2コアファイバのファイバ長、hはコア間の電力結合係数を表す。
【請求項3】
結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の群遅延時間差を取得する群遅延時間差取得装置と、
前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の固有モード間の空間モード分散を取得する空間モード分散取得装置と、
前記群遅延時間差、前記空間モード分散、及び前記結合型2コアファイバの長さを数C3に適用することで、前記結合型2コアファイバの全長に亘る前記特定波長のコア間の平均的な電力結合係数を算出する電力結合係数算出装置と、
を備えるコア間の電力結合係数を算出するシステム。
【数C3】
ここで、Δτは前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の空間モード分散、dΔβ/dωは前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の群遅延時間差、Lは前記結合型2コアファイバのファイバ長、hはコア間の電力結合係数を表す。
【請求項4】
前記結合型2コアファイバは、距離の平方根に比例してインパルス応答幅が広がる長さである
ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記群遅延時間差取得装置は、異なる波長毎に前記群遅延時間差を取得し、
前記空間モード分散取得装置は、異なる波長毎に前記空間モード分散を取得し、
前記電力結合係数算出装置は、前記群遅延時間差及び前記空間モード分散の両方が取得された波長の前記電力結合係数を算出する
ことを特徴とする請求項又はに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、結合型2コアファイバにおけるコア間の電力結合係数を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
結合型マルチコアファイバは、将来の大容量光通信を実現するための媒体として有望な光ファイバの一つである。結合型マルチコアファイバにおけるモード間損失差やモード間遅延時間差、非線形特性などの重要な特性は、コア間の光強度の結合度に依存する。したがって、結合型マルチコアファイバの設計最適化や伝送特性把握のために、コア間の光強度の結合度を表す電力結合係数を把握することが重要となる。特に、結合型2コアファイバにおける結合度の把握は、3コア以上を有する結合型マルチコアファイバの設計や伝送路把握を行うために重要である。
【0003】
非特許文献1および非特許文献2では、非結合型マルチコアファイバの電力結合係数を測定する方法が開示されている。これらの方法は、特定のコアに試験光パルスを入射した際の当該コアおよび隣接コアからの後方散乱光強度を測定し、それらの比から電力結合係数を算出する。
【0004】
非特許文献1および非特許文献2の方法は、その測定原理的に結合型マルチコアファイバの電力結合係数の測定にも適用することができる。
【0005】
一方、結合型マルチコアファイバの電力結合係数は、非結合型マルチコアファイバの電力結合係数に比べて極めて大きく、試験光パルスを特定の一つのコアに入射したとしても、数メートルから数十メートル程度伝搬すると当該コアと隣接コアからの後方散乱光強度は等しくなる。このような場合、非特許文献1および非特許文献2の方法では、各コアの後方散乱光強度が等しくなるまでの数メートルから数十メートル程度の区間における電力結合係数しか得ることができない。つまり、長尺の光ファイバの全長にわたる電力結合係数を測定することができない、という問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】M. Nakazawa, M. Yoshida, and T. Hirooka, “Nondestructive measurement of mode couplings along multi-core fiber using a synchronous multi-channel OTDR,” Optics Express, vol. 20, no. 11, pp. 12530-12540, 2012.
【文献】M. Ohashi, K. Kawazu, A. Nakamura, and Y. Miyoshi, “Simple backscattered power technique for measuring crosstalk of multi-core fibers,” in Proceedings of the 17th Opto-Electronics and Communications Conference (OECC), pp. 357-358, 2012.
【文献】坂本他, “Nondestructive measurement of mode couplings along multi-core fiber using a synchronous multi-channel OTDR,” 電子情報通信学会総合大会 講演論文集, p. 506, 2015.
【文献】T. Sakamoto, T. Mori, M. Wada, T. Yamamoto, F. Yamamoto, and K. Nakajima, “Strongly-coupled multi-core fiber and its optical characteristics for MIMO transmission systems,” Optical Fiber Technology, vol. 35, pp. 8-18, 2017.
【文献】C. D. Poole, “Statistical treatment of polarization dispersion in single-mode fiber,” Optics Letters, vol. 13, no. 8, pp. 687-689, 1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記課題を解決するために、本開示は、長尺の結合型2コアファイバであっても、結合型2コアファイバの全長に亘る平均的なコア間の電力結合係数を算出する装置、方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、本開示に係る装置は、
結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の群遅延時間差を取得し、
前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の空間モード分散を取得し、
前記群遅延時間差、前記空間モード分散、及び前記結合型2コアファイバの長さを用いて、前記結合型2コアファイバの全長に亘る平均的な前記特定波長のコア間の電力結合係数を算出する。
【0009】
具体的には、本開示に係る方法は、
結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の群遅延時間差を取得し、
前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の前記固有モード間の空間モード分散を取得し、
前記群遅延時間差、前記空間モード分散、及び前記結合型2コアファイバの長さを用いて、前記結合型2コアファイバの全長に亘る平均的な前記特定波長のコア間の電力結合係数を算出する。
【0010】
具体的には、本開示に係るシステムは、
結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の群遅延時間差を取得する群遅延時間差取得装置と、
前記結合型2コアファイバにおける前記特定波長の固有モード間の空間モード分散を取得する空間モード分散取得装置と、
前記群遅延時間差、前記空間モード分散、及び前記結合型2コアファイバの長さを用いて、前記結合型2コアファイバの全長に亘る前記特定波長のコア間の平均的な電力結合係数を算出する電力結合係数算出装置と、
を備えるコア間の電力結合係数を算出する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、長尺の結合型2コアファイバであっても、結合型2コアファイバの全長に亘る平均的なコア間の電力結合係数を算出する装置、方法及びシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るシステムの概略構成の一例を示す。
図2】実施形態に係る装置の概略構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0014】
(実施形態)
本実施形態に係るコア間の電力結合係数を算出するシステムの概略構成の一例を図1に示す。コア間の電力結合係数を算出するシステム10は、固有モード間の群遅延時間差を取得する群遅延時間差取得装置11と、固有モード間の空間モード分散を取得する空間モード分散取得装置12と、測定対象の結合型2コアファイバの全長での平均的なコア間の電力結合係数を算出する電力結合係数算出装置13と、を備える。
【0015】
本実施形態では、結合型2コアファイバを被試験光ファイバとする。結合型2コアファイバを構成する2つのコアはそれぞれ基本モードのみを伝搬するシングルモードコアとする。被試験光ファイバは2つのモードを有する光ファイバであればこれに限定されない。本実施形態では、結合型2コアファイバの2つのコアのそれぞれの基本モード同士が結合して生じる偶モード及び奇モードを結合型2コアファイバの固有モードとして説明する。なお、後述するように、コア1の基本モードのみが励起されたモード1及びコア2の基本モードのみが励起されたモード2を固有モードとしてもよい。
【0016】
電力結合係数算出装置13は、群遅延時間差の情報a1および空間モード分散の情報a2を受信し、それらの情報と電力結合係数の評価式である数1を用いて電力結合係数を算出し、電力結合係数の情報a3を出力する。情報a1は、結合型2コアファイバにおける固有モード間の群遅延時間差の情報である。情報a2は、結合型2コアファイバにおける固有モード間の空間モード分散の情報である。情報a1及び情報a2は、それぞれ求める電力結合係数の波長ごとに取得する。
【0017】
群遅延時間差と空間モード分散とからコア間の電力結合係数を算出するための電力結合係数の評価式を表す数1について説明する。光ファイバ中で固有モード間の結合がない場合、距離に比例してインパルス応答幅が広がる。これに対し、光ファイバ中で固有モード間の結合が頻繁に生じる場合、偏波モード分散と同様に、インパルス応答幅が距離の平方根に比例する。このため、結合型2コアファイバのあるコアにインパルスを一端に入射したときに他端から出力される光パルスの幅(空間モード分散)は、後述するように、シングルモードファイバにおける偏波モード分散と同様の手順で導出することができ、式(1)で表すことができる(非特許文献5の式(11b)を参照。)。
【数1】
ここで、Δτは結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の空間モード分散、dΔβ/dωは結合型2コアファイバにおける特定波長の固有モード間の群遅延時間差、Lは結合型2コアファイバのファイバ長、hは電力結合係数を表す。また、Δβは固有モード間の伝搬定数差、ωは光周波数を表す。
【0018】
ファイバ長Lは、距離の平方根に比例してインパルス応答幅が広がる任意の長さである。本実施形態では、結合型2コアファイバにおいて固有モード間の結合が頻繁に生じる長さであり、電力結合係数hとファイバ長Lの積が1よりも十分大きくなる長さである。通常1km以上の長さがあれば十分である。
【0019】
2コアファイバにおいて、コア1の基本モードのみが励起されたモード1の電場E及びコア2の基本モードのみが励起されたモード2の電場Eを成分にもつ電場の空間依存性は次式で表される。
【数2】
ここで、βは伝搬係数、κは結合係数を表す。
【0020】
式(2)を起点に引用文献5に記載の手順に従って計算をすると、引用文献5の式(11b)を導出することができる。引用文献5の式(11b)が本実施形態における数1に相当し、引用文献5の式(11b)におけるδτ、Δβ´、z及びhがそれぞれ、数1のΔτ、dΔβ/dω、L及びhに対応する。なお、式(2)を起点に引用文献5に記載の手順に従って導出された数1は、モード1及びモード2の電場E及びEを用いて計算しているため、式(1)のΔτ及びdΔβ/dωは、モード1及びモード2間の空間モード分散及び群遅延時間差を表す。
【0021】
一方で、次式を用いると、モード1及びモード2間の群遅延時間差を偶モード及び奇モード間の群遅延時間差に置き換えることができる。
【数3】
ただし、Δβ=β-βである。ここで、β及びβはモード1及びモード2の伝搬定数である。
【0022】
また、式(2)に示すモード1及びモード2間の電場は、対角化することで、互いに直交する偶モード及び奇モードの電場に変換することができる。つまり、偶モード及び奇モードの電場は、モード1及びモード2間の電場を直交成分表示に変換したものである。そのため、式(1)のΔτは、偶モード及び奇モードの電場を用いてもモード1及びモード2間の電場と同様に算出することができる。
【0023】
従って、式(1)のΔτ及びdΔβ/dωは、モード1及びモード2間の空間モード分散及び群遅延時間差を用いてもよいし、偶モード及び奇モード間の空間モード分散及び群遅延時間差を用いてもよい。以下、偶モード及び奇モード間の空間モード分散及び群遅延時間差を用いて説明する。
【0024】
電力結合係数算出装置13は、情報a1として取得した空間モード分散、情報a2として取得した群遅延時間差、及び被試験光ファイバのファイバ長を式(1)に代入することにより、コア間の電力結合係数を算出することができる。
【0025】
なお、結合型2コアファイバの群遅延時間差及び空間モード分散は波長依存性があるため、数1において、同一波長における群遅延時間差及び空間モード分散を使用することが必要である。また、波長を変化させて様々な波長で群遅延時間差及び空間モード分散を取得し、各波長における群遅延時間差及び空間モード分散から電力結合係数を算出することで、電力結合係数の波長依存性を解析することもできる。
【0026】
本実施形態に係る群遅延時間差取得装置11は、固有モード間の群遅延時間差を取得できれば構成は任意である。また、本実施形態に係る空間モード分散取得装置12は、固有モード間の空間モード分散を取得できれば構成は任意である。以下、群遅延時間差取得装置11及び空間モード分散取得装置12の構成例について説明するが、これに限定されない。
【0027】
群遅延時間差取得装置11は、被試験光ファイバにおける固有モード間の群遅延時間差を測定する。固有モード間の群遅延時間差の取得を実現する手段として、例えば、干渉法のように、被試験光ファイバにおけるコア1およびコア2を通った光の干渉波形から群遅延時間差を取得する方法を用いることができる(例えば、非特許文献3を参照。)。
【0028】
群遅延時間差取得装置11の構成の一例を図2に示す。群遅延時間差取得装置11は、図2に示すように、光源21-1と、シングルコアファイバ21-2及び21-3と、受光部21-4と、演算部21-5を有する。
【0029】
シングルコアファイバ21-2は被試験光ファイバ20の一端と融着接続され、シングルコアファイバ21-3は被試験光ファイバ20の他端と融着接続される。図2における21-6及び21-7はそれぞれ、シングルコアファイバ21-2又はシングルコアファイバ21-3と被試験光ファイバ20との融着接続点を表す。シングルコアファイバ21-2及び21-3は、自身のコアの中心軸と被試験光ファイバのいずれかのコアの中心軸とが合うように被試験光ファイバ20に融着されてもよい。また、シングルコアファイバ21-2及び21-3のコア径は、被試験光ファイバ20を構成するコアのコア径と同じでもよい。
【0030】
群遅延時間差取得装置11は、光源21-1により特定波長の光を被試験光ファイバに入射する。群遅延時間差取得装置11は、被試験光ファイバを伝搬した光を受光部21-4で受光する。群遅延時間差取得装置11は、演算部21-5が受光部21-4で受光した特定波長の光について、時間毎の強度を解析し、強度のピーク間の時間差を特定波長における群遅延時間差としてもよい。また、群遅延時間差取得装置11は、演算部21-5が受光部21-4で受光した特定波長の光について、周波数を解析することで特定波長における群遅延時間差を取得してもよい。群遅延時間差取得装置11は、光源21-1により被試験光ファイバに入射する光の波長を変更することで、波長毎の群遅延時間差を取得してもよい。
【0031】
さらに、群遅延時間差取得装置11は、周波数掃引光干渉法(FMCW法)を用いてもよい。例えば、FMCW法としては、時間に対して線形に周波数掃引された連続光を分岐し、一方を被試験光ファイバに伝搬させる。そして、被試験光ファイバを伝搬した光と、分岐した他方の光とを干渉させた光について周波数を解析することで群遅延時間差を算出してもよい。ここで、FMCW法により得られた群遅延時間差は、FMCW法において掃引された周波数幅の中心周波数に対応する波長の群遅延時間差としてもよい。掃引する周波数領域や周波数幅を変えることで、波長毎の群遅延時間差を取得してもよい。
【0032】
空間モード分散取得装置12は、被試験光ファイバの全長での空間モード分散を測定する。被試験光ファイバの全長での空間モード分散の取得を実現する手段として、例えば、周波数掃引法のように、光周波数に対する透過光(被試験光ファイバを伝搬した光)強度の変化から空間モード分散を取得する方法を用いることができる(例えば、非特許文献4を参照。)。
【0033】
具体的には、空間モード分散取得装置12は、群遅延時間差取得装置11と同様に、図2に示す構成としてもよい。光源21-1としては、広帯域光源や波長可変光源を例示できる。受光部21-4としては、光スペクトルアナライザやパワーメータが例示できる。
【0034】
空間モード分散取得装置12は、受光部21-4により透過光を受光する。空間モード分散取得装置12は、演算部21-5で、波長に対する透過光強度のデータを周波数に対する透過光強度のデータに変換し、さらにフーリエ変換する。空間モード分散取得装置12は、フーリエ変換により、透過光について時間毎の頻度分布が取得できるので、その頻度分布の標準偏差を求めることで空間モード分散を取得してもよい。ここで、得られた空間モード分散は、入射した光の波長幅の中心波長の群遅延時間差としてもよい。入射した光の波長領域や波長幅を変えることで、波長毎の群遅延時間差を取得してもよい。
【0035】
本発明の装置はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示に係るコア間の電力結合係数を算出する装置、方法及びシステムは、情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10:電力結合係数測定システム
11:群遅延時間差取得装置
12:空間モード分散取得装置
13:電力結合係数算出装置
20:被測定光ファイバ
21-1:光源
21-2、21-3:シングルモードファイバ
21-4:受光部
21-5:演算部
21-6、21-7:融着接続点
図1
図2