(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】判別装置、判別方法および判別プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/45 20220101AFI20241112BHJP
H04L 61/251 20220101ALI20241112BHJP
H04L 61/2592 20220101ALI20241112BHJP
H04L 61/4511 20220101ALI20241112BHJP
【FI】
H04L61/45
H04L61/251
H04L61/2592
H04L61/4511
(21)【出願番号】P 2023546605
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2021032917
(87)【国際公開番号】W WO2023037422
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 孟朗
(72)【発明者】
【氏名】鎌村 星平
(72)【発明者】
【氏名】林 裕平
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-180480(JP,A)
【文献】特開2004-104664(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103338151(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 61/45
H04L 61/251
H04L 61/2592
H04L 61/4511
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末とDNS(Domain Name System)サーバとの間の名前解決パケットを用いて、該ユーザ端末のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバのIPアドレスとのとの対応付けを記憶部に記憶させる第1の収集部と、
前記ユーザ端末と前記通信先サーバとの間のカプセル化されたパケットのカプセルの外側のヘッダ情報とカプセルの内側のヘッダ情報とを用いて、前記ユーザ端末のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバのIPアドレスとの対応づけを前記記憶部に記憶させる第2の収集部と、
を有することを特徴とする判別装置。
【請求項2】
前記ユーザ端末と前記通信先サーバとの間のカプセルの内側のパケットについて、前記記憶部を参照してドメイン名を判別する判別部を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の判別装置。
【請求項3】
前記DNSサーバはIPv6で通信し、前記通信先サーバはIPv4で通信することを特徴とする請求項1に記載の判別装置。
【請求項4】
判別装置が実行する判別方法であって、
ユーザ端末とDNS(Domain Name System)サーバとの間の名前解決パケットを用いて、該ユーザ端末のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバのIPアドレスとのとの対応付けを記憶部に記憶させる第1の収集工程と、
前記ユーザ端末と前記通信先サーバとの間のカプセル化されたパケットのカプセルの外側のヘッダ情報とカプセルの内側のヘッダ情報とを用いて、前記ユーザ端末のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバのIPアドレスとの対応づけを前記記憶部に記憶させる第2の収集工程と、
を含んだことを特徴とする判別方法。
【請求項5】
ユーザ端末とDNS(Domain Name System)サーバとの間の名前解決パケットを用いて、該ユーザ端末のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバのIPアドレスとのとの対応付けを記憶部に記憶させる第1の収集ステップと、
前記ユーザ端末と前記通信先サーバとの間のカプセル化されたパケットのカプセルの外側のヘッダ情報とカプセルの内側のヘッダ情報とを用いて、前記ユーザ端末のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバのIPアドレスとの対応づけを前記記憶部に記憶させる第2の収集ステップと、
をコンピュータに実行させるための判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判別装置、判別方法および判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク上で転送されるトラヒックについて、DNSクエリ/レスポンス等の名前解決パケットを収集することにより、トラヒックの通信先となるドメイン名を判別し、アプリケーション/サービス単位での分析を行っている。ここで、トラヒックのアプリケーション/サービスの識別には、ユーザ端末のアドレス情報、通信先サーバのアドレス情報、および通信先ドメイン名の組の情報が必要である。
【0003】
また、近年のユーザ宅内環境において、IPv4通信とIPv6通信との両方に対応可能なデュアルスタック環境での名前解決は、IPv6通信で行う場合が多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】“Genie Analytics Deep Trace”、[online]、Genie、[2021年7月27日検索]、インターネット<URL:https://www.genie-networks.com/genieanalytics-deep-trace/>
【文献】“Arbor Sightline”、[online]、NETSCOUT、[2021年7月27日検索]、インターネット<URL:https://www.netscout.com/product/arbor-sightline>
【文献】“InfiniStreamNG Smart Visibility”、[online]、NETSCOUT、[2021年7月27日検索]、インターネット<URL:https://www.netscout.com/product/isng-platform>
【文献】“Deepfield”、[online]、NOKIA、[2021年7月27日検索]、インターネット<URL:https://www.nokia.com/networks/solutions/deepfield/>
【文献】“Mapping of Address and Port with Encapsulation (MAP-E)”、[online]、rfc7597、[2021年7月27日検索]、インターネット<URL:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc7597.html>
【文献】“Dual-Stack Lite Broadband Deployments Following IPv4 Exhaustion”、[online]、rfc6333、[2021年7月27日検索]、インターネット<URL:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc6333.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、デュアルスタック環境のトラヒックについて、アプリケーション/サービス単位で分析することが困難であった。つまり、IPv6通信で行われる名前解決結果とIPv4通信で行われる実通信との突合が困難であるために、ドメイン名を判別することができず、アプリケーション/サービス単位での分析が困難であった。例えば、デュアルスタック環境で、IPv6のIPアドレスを利用して名前解決を行う場合には、IPv6ヘッダがデカプセルされているISP側では、ユーザ端末のアドレス情報、通信先サーバのアドレス情報、および通信先ドメイン名の組の情報を得ることができないため、アプリケーション/サービスを識別できない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デュアルスタック環境のトラヒックについて、アプリケーション/サービス単位で分析することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る判別装置は、ユーザ端末とDNS(Domain Name System)サーバとの間の名前解決パケットを用いて、該ユーザ端末のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバのIPアドレスとのとの対応付けを記憶部に記憶させる第1の収集部と、前記ユーザ端末と前記通信先サーバとの間のカプセル化されたパケットのカプセルの外側のヘッダ情報とカプセルの内側のヘッダ情報とを用いて、前記ユーザ端末のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバのIPアドレスとの対応づけを前記記憶部に記憶させる第2の収集部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デュアルスタック環境のトラヒックについて、アプリケーション/サービス単位で分析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、判別装置の概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、判別装置の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、判別装置の概要を説明するための図である。
【
図4】
図4は、判別装置の概略構成を例示する模式図である。
【
図5】
図5は、判別処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、判別プログラムを実行するコンピュータを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0011】
[判別装置の概要]
まず、
図1~
図3を参照して、本実施形態の判別装置の概要について説明する。
図1~
図3は、判別装置の概要を説明するための図である。
図1に示すように、従来、インターネット上の通信の際、サービスそのものの実通信の前に、DNS(Domain Name System)による名前解決が行われる。具体的には、トラヒックのアプリケーション/サービスの識別には、ユーザ端末のアドレス情報、通信先サーバのアドレス情報、および通信先ドメイン名の組の情報が必要である。
【0012】
図1に示す例では、IPアドレス:Aのユーザ端末1がIPアドレス:BのDNSサーバ2にDNSクエリを送信し、ドメイン名「www.example.com」のIPアドレス:Cであることを通知するDNSレスポンスを取得している。そして、この名前解決パケット(DNSクエリ/DNSレスポンス)を収集して、IPアドレス:Aのユーザ端末1とIPアドレス:Cの通信先サーバ3のドメイン名「www.example.com」とを対応付けた名前解決情報収集DBが構築されている。また、IPアドレス:AとIPアドレス:Cとの間の実通信のペイロードを、ドメイン名「www.example.com」のアプリケーション/サービスのパケットと識別して収集し分析することが可能となっている。
【0013】
一方、
図2に示すように、IPv4通信とIPv6通信との両方に対応可能なデュアルスタック環境では、名前解決パケットと実通信とのプロトコルが一致しない場合に、実通信の通信先のドメイン名を判別することができない。例えば、デュアルスタック環境で、IPv6のIPアドレスを利用して名前解決を行う場合には、IPv6ヘッダがデカプセルされているISP側では、ユーザ端末のアドレス情報、通信先サーバのアドレス情報、および通信先ドメイン名の組の情報を得ることができないため、アプリケーション/サービスを識別できない。
【0014】
図2に示す例では、名前解決パケットはIPv6通信で行われ、実通信はIPv4通信で行われている。つまり、IPv6のIPアドレス:A
6のユーザ端末1がIPv6のIPアドレスB
6のDNSサーバ2にDNSクエリを送信し、ドメイン名「www.example.com」のIPv4のIPアドレス:C
4であることを通知するDNSレスポンスを取得している。そして、IPv6のIPアドレス:A
6、IPv4のIPアドレス:C
4の通信先サーバ3のドメイン名「www.example.com」を対応付けた名前解決情報収集DBが構築されている。また、ユーザ端末1はIPv
4のIPアドレス:A
4でIPv4のIPアドレス:C
4との実通信を行っている。そのため、名前解決情報収集DBの情報では、IPv4のIPアドレス:A
4とIPv4のIPアドレス:C
4との間の実通信のドメイン名を判別できない。
【0015】
そこで、
図3に示すように、本実施形態の判別装置では、アクセス網内でカプセルの内外のヘッダ情報を収集することにより、ユーザ端末のアドレス情報、通信先サーバのアドレス情報、および通信先ドメイン名の組の情報を取得して、アプリケーション/サービスを識別可能とする。
【0016】
具体的には、判別装置では、
図2と同様に、名前解決パケットを用いて、送信元IPv6アドレスと名前解決内容とを名前解決情報収集DB14aに保存しておく。また、IPv4 over IPv6の実通信パケットについて、IPv6のトンネル区間のカプセル化パケットのカプセル内側/外側のヘッダ情報を収集してInner-Outer紐づけDB14bに保存する。
図3に示す例では、ユーザ端末1のIPv6のIPアドレス:A
6とIPv4のIPアドレス:A
4と通信先サーバ3のIPv4のIPアドレス:C
4とを対応付けてInner-Outer紐づけDB14bが構築されている。
【0017】
そして、判別装置は、名前解決情報収集DB14aとInner-Outer紐づけDB14bとを参照することにより、カプセルの内側のIPv4のIPアドレス:A4とIPv4のIPアドレス:C4との間の実通信について、ドメイン名「www.example.com」を判別することが可能となる。
【0018】
[判別装置の構成]
図4は、判別装置10の概略構成を例示する模式図である。
図4に例示するように、判別装置10は、パソコン等の汎用コンピュータで実現され、通信制御部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0019】
通信制御部13は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、ネットワークを介したサーバ等の外部の装置と制御部15との通信を制御する。例えば、通信制御部13は、後述する判別処理の対象のユーザ端末1やDNSサーバ2、通信先サーバ3等と制御部15との通信を制御する。
【0020】
記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、後述する判別処理に用いられる名前解決情報収集DB14aやInner-Outer紐づけDB14b等が記憶される。なお、記憶部14は、通信制御部13を介して制御部15と通信する構成でもよい。
【0021】
名前解決情報収集DB14aは、
図3に例示したように、ユーザ端末1のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバ3のIPアドレスとを対応付けた情報である。
図3に示した例では、ユーザ端末1のIPv6のIPアドレス:A
6、通信先サーバ3のIPv4のIPアドレス:C
4、通信先サーバ3のドメイン名「www.example.com」が対応付けられている。
【0022】
また、Inner-Outer紐づけDB14bは、
図3に例示したように、カプセル化されたパケットのヘッダ情報のうち、ユーザ端末1のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバ3のIPアドレスとを対応づけた情報である。
図3に示した例では、IPv6のトンネル区間のカプセル化パケットのカプセル内側/外側のヘッダ情報のうち、ユーザ端末1のIPv6のIPアドレス:A
6、IPv4のIPアドレス:A
4、通信先サーバ3のIPv4のIPアドレス:C
4が対応付けられている。
【0023】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)やNP(Network Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。これにより、制御部15は、
図4に例示するように、第1の収集部15a、第2の収集部15bおよび判別部15cとして機能する。なお、これらの機能部は、それぞれが異なるハードウェアに実装されてもよい。例えば、判別部15cは、第1の収集部15a、第2の収集部15bとは異なるハードウェアに実装されてもよい。また、制御部15は、その他の機能部を備えてもよい。また、判別装置10は、ユーザ端末1に実装されてもよい。
【0024】
第1の収集部15aは、ユーザ端末1とDNSサーバ2との間の名前解決パケットを用いて、該ユーザ端末1のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバ3のIPアドレスとのとの対応付けを記憶部14に記憶させる。
【0025】
具体的には、第1の収集部15aは、ユーザ端末1とDNSサーバ2との間の名前解決パケットとして、DNSクエリおよびDNSレスポンスを収集する。そして、第1の収集部15aは、
図3に示したように、ユーザ端末1のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバ3のIPアドレスとを対応付けて、名前解決情報収集DB14aに格納する。
【0026】
第2の収集部15bは、ユーザ端末1と通信先サーバ3との間のカプセル化されたパケットのカプセルの外側のヘッダ情報とカプセルの内側のヘッダ情報とを用いて、ユーザ端末1のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバ3のIPアドレスとの対応づけを記憶部14に記憶させる。
【0027】
具体的には、第2の収集部15bは、ユーザ端末1と通信先サーバ3との間のカプセル化されたパケットのカプセルの外側のヘッダ情報とカプセルの内側のヘッダ情報を収集する。そして、第2の収集部15bは、
図3に示したように、ユーザ端末1のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバ3のIPアドレスとを対応付けて、Inner-Outer紐づけDB14bに格納する。
【0028】
これにより、判別装置10は、名前解決情報収集DB14aと、Inner-Outer紐づけDB14bとを参照することにより、カプセル内側のパケットのIPアドレスに対応するドメイン名を判別することが可能となる。
【0029】
ここで、例えば、DNSサーバ2はIPv6で通信し、通信先サーバ3はIPv4で通信する。したがって、判別装置10は、
図3に例示した名前解決情報収集DB14aを参照し、ユーザ端末1のIPv6のIPアドレス:A
6、通信先サーバ3のIPv4のIPアドレス:C
4、通信先サーバ3のドメイン名「www.example.com」の対応付けを得る。また、判別装置10は、Inner-Outer紐づけDB14bを参照し、ユーザ端末1のIPv6のIPアドレス:A
6、IPv4のIPアドレス:A
4、通信先サーバ3のIPv4のIPアドレス:C
4の対応付けを得る。これにより、判別装置10は、カプセル内側のIPv4のIPアドレス:A
4と通信先サーバ3のIPv4のIPアドレス:C
4との間のパケットのドメイン名を判別することが可能となる。
【0030】
判別部15cは、ユーザ端末1と通信先サーバ3との間のカプセルの内側のパケットについて、記憶部14を参照してドメイン名を判別する。
【0031】
具体的には、判別部15cは、分析対象トラヒックとして、ユーザ端末1と通信先サーバ3との間のカプセルの内側のパケットを抽出する。そして、判別部15cは、上記したように、名前解決情報収集DB14aと、Inner-Outer紐づけDB14bとを参照することにより、カプセル内側のパケットのIPアドレスに対応するドメイン名を判別する。これにより、判別装置10は、デュアルスタック環境のトラヒックについて、実通信パケットのドメイン名を判別して、アプリケーション/サービス単位で分析することが可能となる。
【0032】
[判別処理]
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る判別装置10による判別処理について説明する。
図5は、判別処理手順を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、例えば、処理の開始が指示されたタイミングで開始される。
【0033】
まず、収集されたパケットがDNSパケットである場合に(ステップS1→ステップS2、Yes)、第1の収集部15aが、ユーザ端末1のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバ3のIPアドレスとを対応付けて、名前解決情報収集DB14aに格納する(ステップS3)。
【0034】
また、収集されたパケットがIPv4 over IPv6等のカプセル化されたパケットである場合に(ステップS2、No→ステップS4、Yes)、第2の収集部15bが、ユーザ端末1のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバ3のIPアドレスとを対応付けて、Inner-Outer紐づけDB14bに格納する(ステップS5)。
【0035】
また、判別部15cは、分析対象トラヒックとして、ユーザ端末1と通信先サーバ3との間のカプセルの内側のパケットを抽出する(ステップS6)。そして、判別部15cは、名前解決情報収集DB14aと、Inner-Outer紐づけDB14bとを参照することにより、カプセル内側のパケットのIPアドレスに対応するドメイン名を判別する(ステップS7)。
【0036】
また、収集されたパケットがIPv4 over IPv6等のカプセル化されたパケットではない場合には(ステップS2、No→ステップS4、No)、判別部15cは、名前解決情報収集DB14aを参照して、実通信のパケットのドメイン名を判別する(ステップS7)。これにより、一連の判別処理が終了する。
【0037】
以上、説明したように、判別装置10において、第1の収集部15aが、ユーザ端末1とDNSサーバ2との間の名前解決パケットを用いて、該ユーザ端末1のIPアドレスとドメイン名と該ドメイン名に対応する通信先サーバ3のIPアドレスとのとの対応付けを記憶部14に記憶させる。また、第2の収集部15bが、ユーザ端末1と通信先サーバ3との間のカプセル化されたパケットのカプセルの外側のヘッダ情報とカプセルの内側のヘッダ情報とを用いて、前記ユーザ端末1のカプセルの外側のIPアドレスと、カプセルの内側のIPアドレスと、通信先サーバ3のIPアドレスとの対応づけを記憶部14に記憶させる。
【0038】
これにより、判別装置10は、名前解決情報収集DB14aと、Inner-Outer紐づけDB14bとを参照することにより、カプセル内側のパケットのIPアドレスに対応するドメイン名を判別することが可能となる。したがって、判別装置10は、デュアルスタック環境のトラヒックについて、実通信パケットのドメイン名を判別して、アプリケーション/サービス単位で分析することが可能となる。
【0039】
具体的には、DNSサーバ2はIPv6で通信し、通信先サーバ3はIPv4で通信する。したがって、判別装置10は、カプセル内側のIPv4のIPアドレスと通信先サーバ3のIPv4のIPアドレスとの間のパケットのドメイン名を判別することが可能となる。
【0040】
また、判別部15cが、ユーザ端末1と通信先サーバ3との間のカプセルの内側のパケットについて、記憶部14を参照してドメイン名を判別する。これにより、判別装置10は、デュアルスタック環境の実通信トラヒックを分析対象として抽出して、実通信パケットのドメイン名を判別して、アプリケーション/サービス単位で分析することが可能となる。
【0041】
[プログラム]
上記実施形態に係る判別装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。一実施形態として、判別装置10は、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして上記の判別処理を実行する判別プログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記の判別プログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置を判別装置10として機能させることができる。また、その他にも、情報処理装置にはスマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等のスレート端末等がその範疇に含まれる。また、判別装置10の機能を、クラウドサーバに実装してもよい。
【0042】
図6は、判別プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0043】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1031に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1041に接続される。ディスクドライブ1041には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース1050には、例えば、マウス1051およびキーボード1052が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1061が接続される。
【0044】
ここで、ハードディスクドライブ1031は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。上記実施形態で説明した各情報は、例えばハードディスクドライブ1031やメモリ1010に記憶される。
【0045】
また、判別プログラムは、例えば、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュール1093として、ハードディスクドライブ1031に記憶される。具体的には、上記実施形態で説明した判別装置10が実行する各処理が記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1031に記憶される。
【0046】
また、判別プログラムによる情報処理に用いられるデータは、プログラムデータ1094として、例えば、ハードディスクドライブ1031に記憶される。そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1031に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0047】
なお、判別プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1031に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1041等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、判別プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 ユーザ端末
2 DNSサーバ
3 通信先サーバ
10 判別装置
13 通信制御部
14 記憶部
14a 名前解決情報収集DB
14b Inner-Outer紐づけDB
15 制御部
15a 第1の収集部
15b 第2の収集部
15c 判別部