(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ゆで麺装置用洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/20 20060101AFI20241112BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20241112BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20241112BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C11D3/20
C11D3/37
C11D1/75
C11D1/72
(21)【出願番号】P 2020012295
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397056042
【氏名又は名称】セッツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 義輝
(72)【発明者】
【氏名】上田 力也
(72)【発明者】
【氏名】村上 拡
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-326944(JP,A)
【文献】特開2018-024723(JP,A)
【文献】特開2016-172814(JP,A)
【文献】特開2017-095546(JP,A)
【文献】特開2017-125137(JP,A)
【文献】特開2019-059817(JP,A)
【文献】特開2019-044133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
B08B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸と、ノニオン界面活性剤と、スルホン酸系重合体とを含有し、実質的にメタンスルホン酸及びリンを含まないことを特徴とする
ゆで麺装置用洗浄組成物であって、前記有機酸の合計含有量が、前記ゆで麺装置用洗浄組成物の総重量に対して30~55重量%である、ゆで麺装置用洗浄組成物(ただし、糖アルコールまたは酵素を含むものを除く)。
【請求項2】
前記有機酸が、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、ギ酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸からなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【請求項3】
前記ノニオン界面活性剤が、オクチルジメチルアミンオキシドと、ポリオキシアルキレンデシルアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1乃至
2のいずれか1項に記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【請求項4】
前記スルホン酸系重合体は、スルホン酸系モノマーとアクリル酸系モノマーの共重合体、スルホン酸系モノマーとマレイン酸系モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【請求項5】
前記スルホン酸系重合体の分子量が3000~10000の範囲である請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ゆで麺装置用洗浄組成物が、製麺ラインで用いられるゆで麺装置に付着したスケール汚れを洗浄するためのものであることを特徴とする、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【請求項7】
前記ゆで麺装置用洗浄組成物が、ステンレスに対して低腐食性であることを特徴とする、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【請求項8】
前記ゆで麺装置用洗浄組成物が、洗浄後のアルカリ剤による中和時に実質的に沈殿を生じさせないことを特徴とする、請求項1乃至
7のいずれか1項に記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【請求項9】
ゆで麺装置内に残っている、ゆで麺に供していた温湯に加えて使用することを特徴とする、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゆで麺装置用洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
製麺工場や外食産業の厨房において、ゆで麺を製造する製造工程には、小麦粉、そば粉、米粉、こんにゃく、大麦、かたくり等を成分とする原料粉に練水を加えて混練した麺生地から生麺を製造した後、製造した生麺をゆで槽にてゆであげるゆで工程がある。
【0003】
このようなゆで工程には、バケットとゆで槽を備えるゆで麺装置が通常用いられており、このゆで麺装置によってゆであがったゆで麺は、客に提供されるか、または、冷却され、pH調整された後、包装される。
【0004】
このようなゆで麺装置を長時間ゆで工程に使用すると、カルシウムやマグネシウム等の塩類やシリカ等が、麺に含まれていた澱粉や小麦粉タンパク(グルテン)に由来する汚れと複合的に表面に強固に付着した、いわゆる「スケール(水垢)汚れ」が、バケットやゆで槽に堆積することがある。このため、ゆで麺装置においては定期的に洗浄することが求められる。そこで、例えば、このゆで麺装置は、次に示すような方法により洗浄される。
【0005】
例えば、特許文献1には、次のような洗浄方法が紹介されている。まず、ゆで槽内に、水を投入し、加熱する(お湯張り工程)。次に、ゆで槽内に洗浄組成物を投入し(洗浄組成物投入工程)、約2時間放置(洗浄工程)の後、ゆで層内の水を中和(中和工程)し、中和されたゆで槽内の水(洗浄水)を排水する(排水工程)。そして、バケット、コンベア、及び、ゆで槽を高圧水等によりすすぎ(前すすぎ工程)した後、再度、ゆで槽に水を投入し、100℃程度まで加熱する(再お湯張り工程)。そして、約1~2時間放置した後(本すすぎ工程)、ゆで槽内の水を排水し(排水工程)、及びゆで槽を高圧水等ですすぐ(後すすぎ工程)。以上のような工程を含む洗浄方法である。
【0006】
また、これまでスケール汚れに対する洗浄組成物に関しては、メタンスルホン酸、硝酸及びリン酸を含むゆで麺装置用酸洗浄組成物(特許文献1)が提案されており、硬質材料表面に付着したスケールを除去する酸性洗浄組成物としては、メタンスルホン酸とクエン酸等のヒドロキシカルボン酸との混合物が提案されている(特許文献2、3)
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたような洗浄組成物には、リンが多く含まれるために環境への負荷が大きく、なるべくリンを含まない組成にすることが求められていた。また、特許文献1~3に記載されたような洗浄組成物には、メタンスルホン酸が含まれている。メタンスルホン酸は、政府機関の審議の結果、今後劇物に指定されるという見方もある。劇物に指定された場合、保管方法や使用にかかる制約が生じるため、メタンスルホン酸を含まない処方とすることが好ましい。
また、洗浄後の廃液は酸性が強いため、廃液処理として中和が必要であるが、中和時にスケール汚れの成分が析出、沈降した場合、すすいだ後に、前記成分がゆで麺装置内部に残ることがある。そこで、このような中和時にスケール汚れの成分が析出、沈降するという問題を軽減することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-32396号公報
【文献】特開2013-31823号公報
【文献】特開2019-59817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、環境への負荷が小さく、劇物指定の懸念を持つ材料を実質的に用いなくてもスケール汚れの洗浄性に優れ、中和時にスケール汚れの成分が析出、沈降しにくいことによってすすぎ性が向上した、ゆで麺装置用洗浄組成物を提供することである。さらに、ステンレスに対して低腐食性であり、中和時において低発泡性である、ゆで麺装置用洗浄組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者は、上記課題を解決するために、リンおよびメタンスルホン酸を実質的に含まず、中和時の析出物が析出、沈降しにくい洗浄組成物の組成について鋭意検討した結果、有機酸と、ノニオン界面活性剤と、スルホン酸系重合体とを含有するゆで麺装置用洗浄組成物が、低環境負荷であり、かつ、リンおよびメタンスルホン酸を実質的に含まなくてもスケール汚れの洗浄性に優れ、また、中和した時にスケール汚れの成分が析出、沈降しにくいことを見出し、本発明を完成させた。また、このようなゆで麺装置用洗浄組成物は、さらに、ステンレスに対して低腐食性であり、中和時においても発泡が少ないことを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]有機酸と、ノニオン界面活性剤と、スルホン酸系重合体とを含有し、実質的にメタンスルホン酸及びリンを含まないことを特徴とする、ゆで麺装置用洗浄組成物。
[2]前記有機酸が、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、ギ酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸からなる群から選ばれる1種または2種以上である、[1]記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
〔3〕前記有機酸の合計含有量が、前記ゆで麺装置用洗浄組成物の総重量に対して10~70重量%である〔1〕又は〔2〕に記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
〔4〕前記ノニオン界面活性剤が、オクチルジメチルアミンオキシドと、ポリオキシアルキレンデシルアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種または2種以上である、〔1〕乃至〔3〕のいずれか1つに記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
〔5〕前記スルホン酸系重合体は、スルホン酸系モノマーとアクリル酸系モノマーの共重合体、スルホン酸系モノマーとマレイン酸系モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種または2種以上である、〔1〕乃至〔4〕のいずれか1つに記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
〔6〕前記スルホン酸系重合体の分子量が3000~10000の範囲である〔1〕乃至〔5〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔7〕前記ゆで麺装置用洗浄組成物が、製麺ラインで用いられるゆで麺装置に付着したスケール汚れを洗浄するためのものであることを特徴とする、〔1〕乃至〔6〕のいずれか1つに記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
〔8〕前記ゆで麺装置用洗浄組成物が、ステンレスに対して低腐食性であることを特徴とする、〔1〕乃至〔7〕のいずれか1つに記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
〔9〕前記ゆで麺装置用洗浄組成物が、洗浄後のアルカリ剤による中和時に実質的に沈殿を生じさせないことを特徴とする、〔1〕乃至〔8〕のいずれか1つに記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
〔10〕ゆで麺装置内に残っている、ゆで麺に供していた温湯に加えて使用することを特徴する、〔1〕乃至〔9〕のいずれか1つに記載のゆで麺装置用洗浄組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、環境に負荷をかけずに、ゆで槽内部に付着したスケール汚れを良好に除去することができ、また、中和時にスケール汚れの成分が析出、沈降しにくいためにすすぎ洗いが効率的に行える。
そして、無機酸等を含まないため、通常ゆで槽を構成しているステンレス表面を痛めることがない。また、実質的にリンを含まないため、環境への負荷が小さく、リン排出制限の厳しい地域でも使用することができる。さらに、使用している界面活性剤の組み合わせによって、洗浄後の中和において、低発泡性で、作業時にゆで麺装置から泡が吹きこぼれる恐れが少なく、ゆで麺装置周囲の汚染を防ぐことができ、作業が安全に行える。
また、洗浄に際して、ゆで麺装置内に残留している水(温湯)をそのまま使用しても洗浄性能を発揮できるため、これまで必要だった、新しく水を追加して加熱する時間(お湯張り工程の時間)を短縮することができ、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例及び比較例で用いた材料を示す図である。
【
図2】ゆで麺装置用洗浄組成物及び評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のゆで麺装置用洗浄組成物の各成分について説明する。
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、有機酸と、ノニオン界面活性剤と、スルホン酸系重合体とを含み、かつ、実質的にメタンスルホン酸及びリンを含まないことを特徴とする。
特に、製麺ラインで用いられるゆで麺装置に付着したスケール汚れを除去するためのゆで麺装置用洗浄組成物であり、ステンレスに対して低腐食性である、ゆで麺装置用洗浄組成物であり、洗浄後のアルカリ剤による中和時に実質的に沈殿が生じない、ゆで麺装置用洗浄組成物である。
【0015】
(ゆで麺装置用洗浄組成物)
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物に配合される「有機酸」は、特に限定されるものではないが、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、ギ酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、及びコハク酸からなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。上記「有機酸」の中でも、特に、乳酸、及びクエン酸からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることがより好ましく、殊更に乳酸のみを用いることが最も好ましい。
【0016】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、実質的にメタンスルホン酸を含まないことに特徴がある。ここで、前記「実質的に」とは、ゆで麺装置用洗浄組成物に含まれるメタンスルホン酸の含量が3重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、殊更に最も好ましくは0.3重量%未満であることをいう。
実質的にメタンスルホン酸を含まないことにより、前記ゆで麺装置用洗浄組成物が劇物指定を受ける懸念がなく、保管や使用に係る制約をできるだけ小さくすることができる。
【0017】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物において、洗浄対象のゆで麺装置を構成する金属としては、主にステンレスが挙げられる。なかでも、ステンレスの種類として、SUS304、SUS316を用いた場合、腐食することなく好適に本発明のゆで麺装置用洗浄組成物を用いることができる。
【0018】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、洗浄対象のゆで麺装置を構成する金属に対して低腐食性であることを特徴とする。
洗浄対象のゆで麺装置を構成する金属に対して低腐食性であることにより、ゆで麺装置を痛めることなく洗浄を行うことができる。
ここで、前記「低腐食性」とは、洗浄対象のゆで麺装置を構成する金属にサビを発生させにくいことや、腐食による金属の重量変化が起こしにくいことをいう。
【0019】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、洗浄後の中和において、低発泡性であることを特徴とする。
低発泡性であるとは、中和時の反応により気体が発生しても、効率的に破泡するために、作業時にゆで麺装置から泡が吹きこぼれる恐れが少ないことを言う。
【0020】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物の洗浄対象のゆで麺装置でゆでる麺としては、中華麺、うどん、そば、パスタ等があげられる。特に、中華麺が好ましい。
【0021】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物の洗浄対象のゆで麺装置としては、例えば、マルゼン社製MRシリーズ、MRKシリーズ、MRYシリーズ、MRHシリーズ、また、フジマック社製FGNBシリーズ、FENBシリーズ、また、タニコー社製TKUシリーズ、TYUー90などが挙げられる。
【0022】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、実質的にリンを含まないことが好ましい。
ここで、前記「実質的に」とは、ゆで麺装置用洗浄組成物に含まれるリンの含量が3重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、殊更に最も好ましくは0.3重量%未満であることをいう。
実質的にリンを含まないことにより、環境への負荷が小さくなり、リン排出制限の厳しい地域でも、好適に使用することができる。
【0023】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、洗浄後の中和時にスケール汚れの成分が析出、沈降しにくいため、中和時に実質的に沈殿が生じないようにすることができる。
ここで、前記「実質的に」とは、析出物が生じたとしても、分散性が高いために前記析出物が水中に留まったまま沈降しないことをいう。
実質的に沈殿が生じないことにより、中和後のすすぎ工程において、すすぎ性が向上し、すすぎ後に析出物がゆで麺装置内部に残存する恐れを小さくすることができる。
【0024】
上記に加えて、本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、硝酸を含まないことが好ましい。硝酸を含まないことにより、ゆで麺装置用洗浄組成物からの発煙が起こらず、ゆで麺装置に投入時に発煙が生じることもないため、製麺工場や厨房などでの洗浄において好適に使用することができる。
【0025】
前記有機酸の合計含有量としては、特に限定されるものではないが、ゆで麺装置用洗浄組成物の総重量に対して10~70重量%であることが好ましく、20~60重量%であることがより好ましく、30~55重量%であることが更に好ましい。
【0026】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物に配合される「ノニオン界面活性剤」は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルジエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキサイド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。
上記「ノニオン界面活性剤」の中でも、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム或いはブロック付加体等のポリアルキレンオキサイド付加物、アルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、アルキルジメチルアミンオキシドであることが好ましい。
上記「ノニオン界面活性剤」の合計量は、洗浄剤組成物全量に対して、0.1~40質量%含有することが好ましく、0.5~30質量%含有することがより好ましく、1~15質量%含有することが最も好ましい。
前記「ノニオン界面活性剤」が0.1質量%以上にすることで、洗浄性や抑泡性が好適となる。40質量%を超えない範囲であることにより、安定性と性能を両立することができて好ましい。
ここで、上記アルキルジメチルアミンオキシドのアルキル基の炭素数は、8~16であることが好ましく、8~12であることがより好ましく、8~10であることが最も好ましい。アルキルジメチルアミンオキシドのアルキル基の炭素数が8以上であることにより、低発泡性と洗浄性を特に好ましく両立できる。
また、上記アルキルジメチルアミンオキシドを含むことで、固着しているスケールへの浸透力が向上し、洗浄力を向上させることができる。
また、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むことで、洗浄組成物の水溶液がより低泡性となる。洗浄組成物の水溶液が低泡性であれば、仮に洗浄後の中和反応によって発泡が起きても、吹きこぼれが起きる可能性が減少する。
【0027】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物に配合される「スルホン酸系重合体」とは、スルホン酸系重合体を構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも一つのスルホン酸基を有する単量体(モノマー)に由来する構成単位Xを含む重合体をいう。スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、2‐(メタ)アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸等が挙げられる。スルホン酸系重合体は、上記スルホン酸基含有単量体に由来する構成単位Xを、1種または2種以上含んでいることが好ましい。また、スルホン酸基含有単量体以外の単量体に由来する成分を含有していてもよい。
前記「スルホン酸系重合体」の中でも、特に、スルホン酸系モノマーとアクリル酸系モノマーの共重合体、スルホン酸系モノマーとマレイン酸系モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
前記「スルホン酸系重合体」を配合することにより、スケールの分散性が向上する。特に、中和後にスケール成分が析出しても、沈降することなく、水中に分散した状態のまま安定しているため、すすぎ性が向上する。
【0028】
前記「スルホン酸系重合体」の分子量は、特に限定されるものではないが、1000~20000の範囲であることが好ましく、3000~10000の範囲であることが更に好ましい。
上記「スルホン酸系重合体」の分子量が1000以上であることで十分な効果を得られる。また、分子量が10000以下であることで保存時の安定性が向上する。
【0029】
上記「スルホン酸系重合体」は、洗浄剤組成物全量に対して、0.1~10質量%含有することが好ましく、0.3~7質量%含有することがより好ましく、0.5~5質量%含有することがさらに好ましい。
前記「スルホン酸系重合体」が0.1質量%以上含有することで、スケール成分が析出した場合に、該析出物を水中に安定に分散する効果が十分得られ、該析出物が安定に分散される。また、濃度範囲が上記範囲内であることで、長期保存時の安定性が増す。
【0030】
そして、本発明のゆで麺装置用洗浄組成物の残部としては水が用いられる。前記水としては、例えば、水道水、軟水、イオン交換水、純水、精製水があげられ、好ましくは、軟水、イオン交換水、純水が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記「水」は、ゆで麺装置用洗浄組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と外から加えられる水との総和であり、本洗浄剤組成物全体が100質量%となるよう配合される。
【0031】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物で洗浄を行う対象は、製麺ラインまたは外食または中食で用いられるゆで麺装置に付着したスケール汚れであることが好ましい。
【0032】
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物は、ゆで麺装置内に残っている、ゆで麺に供していた温湯に加えてそのまま使用することができる。
これまで、一般的には、洗浄のために、一日のゆで麺作業終了後に、麺をゆでていたゆで汁(温湯)を捨て、水道水を新たにゆで麺装置に満たして、その水を加熱して洗浄を行っていた。このため、作業時間と加温時間がかかり、閉店後の作業としては負担が大きい。しかし、本発明のゆで麺装置用洗浄組成物では、前記の工程を省略できるため、人件費や光熱費を削減することができる。
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物が、ゆで麺に供していた温湯をそのまま使用できるメカニズムは必ずしも明らかではないが、ノニオン界面活性剤とスルホン酸系重合体の組み合わせにより、低泡性と分散性が向上した相乗効果によるものと考えられる。
【0033】
(ゆで麺装置用洗浄組成物の製造方法)
本発明のゆで麺装置用洗浄組成物を製造する方法は、特に制限されないが、好ましくは、上述した有機酸、ノニオン界面活性剤、スルホン酸系重合体及び、水、その他の成分を混合する工程を含む方法が挙げられる。前記「混合する工程」は常法であってよく、従来公知の装置を用いて行うことができ、例えば、アジホモミキサー、ディスパーミキサー等を用いることができる。前述した成分が均一に分散されるまで混合を行う。
【0034】
(ゆで麺装置の洗浄方法)
続いて、本発明の、ゆで麺装置の洗浄方法について説明する。
本発明のゆで麺装置の洗浄方法は、製麺工場や厨房で用いられるステンレス製ゆで麺装置を、本発明のゆで麺装置用洗浄組成物を用いて洗浄することを特徴とする。
【0035】
温湯に、本発明のゆで麺装置用洗浄組成物を投入する。前記温湯としては、水道水を沸かしたものを使用してもよいが、ゆで麺に供していたゆで麺装置内に残っている温湯をそのまま使用しても良い。ゆで麺装置用洗浄組成物の投入量は、お湯の量1リットルあたり30~150mL程度が好ましい。投入量は汚れの程度によって適宜増減することができる。続いて、加熱により煮沸し、好ましくは10~60分、より好ましくは20~50分、さらに好ましくは25~35分ほど煮沸洗浄を行う。
【0036】
その後、中和剤を加えてゆで槽内の液を中和し、pHを中性付近に調整した後に排水する。中和剤としては、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムを好適に使用することができる。続いて、ゆで槽をすすぐ工程を行うことによって本発明のゆで麺装置の洗浄方法を終了する。
【0037】
ここで、前記すすぎ工程は、ゆで槽内に付着した汚れ、ゆで麺装置用洗浄組成物、中和剤等をすすぎ除去することができれば、その具体的な方法は特に限定されるものではない。例えば、高圧水ですすぐ工程、水をためる工程、すすぎ残しがないことを目視で確認する工程を含むすすぎ工程等を行うことが好ましい。
【0038】
このような本発明のゆで麺装置の洗浄方法によると、ステンレス製のゆで麺装置を腐食させることなく、ゆで麺装置に付着したスケール汚れの洗浄を確実に行うことができる。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明の実施例及び比較例においては
図1に示した材料を使用した。また、カッコ内の数値は純分の濃度を表す。
【0040】
(実施例1)
乳酸(有機酸:LAA)を50.0重量% 、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%、スルホン酸系重合体(POL1)を2.0重量%に、合計が100重量%となる水(44.5重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(実施例1)を調製した。
【0041】
(実施例2)
乳酸(有機酸:LAA)を50.0重量% 、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%、スルホン酸系重合体(POL2)を2.5重量%に、合計が100重量%となる水(44.0重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(実施例2)を調製した。
【0042】
(実施例3)
乳酸(有機酸:LAA)を35.0重量% 、クエン酸(有機酸:CIA)を20.0重量%、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%、スルホン酸系重合体(POL1)を2.0重量%、合計が100重量%となる水(39.5重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(実施例3)を調製した。
【0043】
(比較例1)
乳酸(有機酸:LAA)を8.5重量% 、メタンスルホン酸(有機酸:MSA)を5.0重量%、ラウリルジメチルアミノ酸ベタイン(両性界面活性剤:RDAB)を1.7重量%に、合計が100重量% となる水(84.8重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(比較例1)を調製した。
【0044】
(比較例2)
塩酸(酸:HCA)を26.4重量% 、リン酸(酸:PHA)を10.6重量%、合計が100重量% となる水(63.0重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(比較例2)を調製した
【0045】
(比較例3)
乳酸(有機酸:LAA)を35.0重量% 、メタンスルホン酸(有機酸:MSA)を14.0重量%、ラウリルジメチルアミノ酸ベタイン(両性界面活性剤:RDAB)を3.4重量%、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%に、ポリアクリル酸/スルホン酸共重合体(スルホン酸系重合体:POL1)を2.0重量%に、合計が100重量% となる水(45.5重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(比較例3)を調製した。
【0046】
(比較例4)
乳酸(有機酸:LAA)を50.0重量% 、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%に、合計が100重量%となる水(46.5重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(比較例4)を調製した。
【0047】
(比較例5)
乳酸(有機酸:LAA)を50.0重量% 、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%、2-ホスホノブタン-1,2,4-
トリカルボン酸(キレート剤:POL3)を2.0重量%に、合計が100重量%となる水(44.5重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(比較例5)を調製した。
【0048】
(比較例6)
乳酸(有機酸:LAA)を50.0重量% 、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%、ポリカルボン酸系共重合体(非スルホン酸系重合体:POL4)を2.2重量%に、合計が100重量%となる水(44.3重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(比較例6)を調製した。
【0049】
(比較例7)
乳酸(有機酸:LAA)を50.0重量% 、オクチルジメチルアミンオキシド(ノニオン界面活性剤:ODA)を3.4重量%、ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノニオン界面活性剤:PODE)を0.1重量%、ポリアクリル酸/マレイン酸共重合体(非スルホン酸系重合体:POL5)を2.5重量%に、合計が100重量%となる水(44.0重量%)を混合して、ゆで麺装置用洗浄組成物(比較例7)を調製した。
以上、実施例1~3、比較例1~7の配合を
図2にまとめて示した。
【0050】
(スケール除去性の評価)
実施例1~3及び比較例1~7で調製したゆで麺装置用洗浄組成物を用いて、スケール溶解試験を以下の手順に従って行い、スケール除去性を評価した。
(1)スケール汚れが付着した中華麺用ゆで麺装置(槽容量63リットル)のステンレス部品(SUS304製)を用意し、縦20mm、横70mmに切断した金属片を試験用金属片とした。
(2)5000mlビーカーに水を1,800g、ゆで麺装置用洗浄組成物を200g入れて、ウォーターバスを用意し、加熱した。
(3)水温が90℃となったら、試験用金属片を各4個入れて、加温を中止し、30分後、60分後で試験用金属片各2個を引き上げた。
(3)引き上げた試験用金属片は、ビーカーに貯めた水道水で10回水洗を行い、ドライヤーで乾燥した。
(4)スケールの溶解は目視観察にて判定した。スケールが30分以内で溶解した場合を評価結果が良好とし、◎で示した。スケール汚れが60分で溶解した場合は、○で示した。なお、60分経過後もスケール汚れが溶解しなかった場合は×とした。
【0051】
(低環境負荷性の評価)
実施例1~3及び比較例1~7で調製したゆで麺装置用洗浄組成物の低環境負荷性を、以下の手順に従って評価した。実施例1~3、比較例1~7のゆで麺装置用洗浄組成物のうち、リン化合物を含まないものを◎、1重量%以上5重量%未満含むものを○、リン化合物を5重量%以上、10重量%未満含むものを△、リン化合物を10重量%以上含むものを×とした。
【0052】
(低腐食性の目視評価)
実施例1~3及び比較例1~7で調製したゆで麺装置用洗浄組成物の、ステンレスに対する腐食性を、以下の手順に従って評価した。
100mlのガラス製ビーカーに水を45ml、ゆで麺装置用洗浄組成物を5ml入れて、ウォーターバスを用意し、90℃まで加熱した。
(2)ステンレス(SUS304、2B)の縦76mm、横25mm、厚さ0.8mmの小片をテストピースとし、ガラスビーカーにいれた。テストピースの一部が水上に出た状態で、1時間、90℃で保温した。
(3)水洗し、乾燥後に喫水面の光沢が変化していないか目視観察にて判定した。その結果、光沢が変わっていないものを◎で示した。光沢が落ちていたものを△、点腐食が生じていたものを×で示した。
【0053】
(低腐食性の重量減評価)
腐食が起こったときのステンレス小片の重量の減少を、以下の手順に従って評価した。
(1)上記(低腐食性の目視評価)において、浸漬の時間と温度を、1週間、50℃と変更した以外は同じように行った。
(2)洗浄前後のテストピースの重量を測定し、重量の減少が、0.9mg未満のものを◎、0.9mg以上かつ1.2mg未満のものを○、1.2mg以上かつ1.5mg未満のものを△、1.5mg以上のものを×と評価した。
【0054】
(低発泡性の評価)
実施例1~3、比較例1~7を10重量%に希釈した洗浄液50mLを、胴径50mmの100mLビーカーに入れ、スケール汚れの成分0.1gを入れて、常温静置して溶解したのち、炭酸ナトリウムで中和した。中和時の発泡により生じた泡の高さが8mm以下のものを◎、8mmを超えたものを△と評価した。
【0055】
(析出したスケール成分の分散性の評価)
実施例1~3、比較例1~7を10重量%に希釈した洗浄液50mLに、スケール汚れの成分0.1gを入れて、常温静置して溶解したのち、炭酸ナトリウムで中和した。析出したスケールの沈降を24時間静置したのち確認した。分散性良好で沈降が見られずに一様な分散溶液のままだったものを◎、一部沈降したが液相に白濁が残って分散が残ったものを△、分散せず、完全に沈降して液が透明になったものを×と評価した。
【0056】
(安定性評価)
実施例1~3、比較例1~7のゆで麺装置用洗浄組成物を40℃で3カ月間保管し、安定性を目視で評価した。調製直後から変化がないものを◎、分離又は沈殿が生じたものを×とした。
【0057】
(取扱容易性評価)
実施例1~3、比較例1~7のゆで麺装置用洗浄組成物について、劇物指定の懸念のないものを◎、劇物指定を受ける懸念のあるメタンスルホン酸を含み、保管方法や使用上の制約を受ける可能性があるものを×とした。
以上の評価結果を
図2にまとめて示した。◎と○を合格、△と×を不合格とした。
【0058】
実施例1~3に示すように、実質的にメタンスルホン酸及びリンを含まないにも関わらず、有機酸、ノニオン界面活性剤およびスルホン酸系重合体を含有すると、スケール汚れの除去性が良好であり、ステンレスの腐食が目視及び重量の両方で生じず、低発泡性であることがわかった。また、中和後の析出物の分散性も良好であり、保存安定性も高いものであることがわかった。
スケール汚れの除去性は、特に有機酸として、乳酸とクエン酸を含むものが優れ、更に、乳酸を含むものが最も優れていることがわかった。
【0059】
一方、比較例2のゆで麺装置用洗浄組成物は、無機酸を含むため、スケール除去性は良好であるが、腐食性に問題があることがわかった。
また、比較例1では、少量ではあるものの、劇物指定を受ける懸念のあるメタンスルホン酸を含んでいるため、保管方法や使用上の制約を受ける可能性があるという問題がある。
また、比較例1のゆで麺装置用洗浄組成物は、ノニオン界面活性剤の代わりに両面界面活性を用い、スルホン酸系重合体を含まないため、スケール除去性については問題がないものの、ステンレスの腐食が目視及び重量で見られ、低発泡性や析出物の分散性に問題があることがわかった。そして、比較例2では、リンを多く含むため、環境への負荷が大きいという問題がある。
【0060】
また、比較例3のゆで麺装置用洗浄組成物は、劇物指定を受ける懸念のあるメタンスルホン酸を多く含んでおり、保管方法や使用上の制約を受ける可能性があるので、本発明においては比較例となる。
また、比較例4~7のゆで麺装置用洗浄組成物はいずれも、スルホン酸系重合体を含まないため、析出物の分散性に問題があった。特に、比較例5~7では、スルホン酸系重合体ではない、他の重合体またはキレート剤を用いて実験を行ったが、析出物の分散性の向上は見られるものの、スルホン酸系重合体を含む、実施例1~3と比較例3には及ばない結果となった。