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特許7586837酸化ケイ素薄膜の高温原子層堆積のための有機アミノジシラザン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】酸化ケイ素薄膜の高温原子層堆積のための有機アミノジシラザン
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20241112BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20241112BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241112BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L21/316 X
C23C16/40
C23C16/455
C07F7/10 F
C07F7/10 S
C07F7/10 T
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021563071
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 US2020028691
(87)【国際公開番号】W WO2020219349
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】62/838,854
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ミン リー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アール.マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】メイリャン ワン
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0085452(US,A1)
【文献】特開2013-236073(JP,A)
【文献】特開2011-049468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0295779(US,A1)
【文献】lwona Blaszczyk-Lezak, Aleksander M. Wrobel, Mika P. M. Kivitorma, and J. Juhani Vayrynen,Silicon Carbonitride Films Produced by Remote Hydrogen Microwave Plasma CVD Using a (Dimethylamino) dimethylsilane Precursor,Chemical Vapor Deposition,ドイツ,WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim,2005年01月31日,Vol. 11, No. 1,pp. 44-52,https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cvde.20040636316
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
C23C 16/40
C23C 16/455
C07F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に酸化ケイ素膜を堆積するプロセスであって、
a)反応器中に基材を提供する工程;
b)以下の式IA:
【化1】
を有し、式中、R1及びR2が、C1~C6アルキル基から独立に選択され;R3が、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C6アルキル基及びC6~C10アリール基から選択され;R1及びR2が、連結して環状環構造を形成しているか、又はR1及びR2が、連結して環状環構造を形成してはいないかのいずれかである少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体を、前記反応器中に導入する工程;
c)パージガスを用いて前記反応器をパージして、未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージする工程;
d)前記反応器中に酸素源を導入して、前記前駆体と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程;並びに
e)パージガスを用いて前記反応器をパージして、未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの前記酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返され、500~800℃の1つ又は複数の温度で、かつ50ミリTorr(mT)~760Torrの1つ又は複数の圧力で行われる、プロセス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体が、1-ジメチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-2,5-ジメチルピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記パージガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記酸素源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、オゾン源及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記酸素源がプラズマを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記プラズマを、インサイチュで発生させる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記プラズマを、遠隔で発生させる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記酸化ケイ素膜が、約2.0g/cm3以上の密度を有する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸化ケイ素膜が、炭素をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酸化ケイ素膜が、少なくとも約1.8g/cm3の密度を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記酸化ケイ素膜の前記炭素の含有量が、X線光電子分光法によって測定した場合に、少なくとも0.5原子重量パーセント(at%)である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
気相堆積プロセスを使用して酸化ケイ素膜又は炭素ドープされた酸化ケイ素膜を堆積するための組成物であって、式IA:
【化2】
によって表され、式中、R1及びR2が、C1~C6アルキル基から選択され;R3が、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C6アルキル基及びC6~C10アリール基から選択され;R1及びR2が、連結して環状環構造を形成しているか、又はR1及びR2が、連結して環状環構造を形成してはいないかのいずれかである構造を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を含む、組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、1-ジメチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-2,5-ジメチルピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、ハライド、金属イオン、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を実質的に含有しない、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
ハライド化合物、金属イオン、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を実質的に含有しない、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ハライド化合物が、塩化物含有種を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記塩化物の濃度が、ICによって測定した場合に、50ppm未満である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記塩化物の濃度が、ICによって測定した場合に、10ppm未満である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記塩化物の濃度が、ICによって測定した場合に、5ppm未満である、請求項16に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年4月25日に提出された米国特許出願第62/838854号明細書の利益を主張する。米国特許出願第62/838854号明細書の開示は、参照によって、本明細書に組み込まれる。
【0002】
酸化ケイ素膜の形成のための組成物及び方法が、本明細書において説明される。より具体的には、約500℃以上の1つ又は複数の堆積温度における、及び原子層堆積(ALD)プロセスを使用する、酸化ケイ素の形成のための組成物及び方法が、本明細書において説明される。
【背景技術】
【0003】
熱酸化は、半導体用途において、高純度かつ高コンフォーマル性の酸化ケイ素膜、例えば二酸化ケイ素(SiO2)を堆積するために一般に使用されるプロセスである。しかし、熱酸化プロセスは、熱酸化プロセスを大量製造プロセスのために実際的でないものにする非常に低い堆積速度、例えば700℃で0.03Å/sを有する(例えば、Wolf,S.,“Silicon Processing for the VLSI Era Vol.1-Process Technology”,Lattice Press,CA,1986を参照せよ)。
【0004】
原子層堆積(ALD)及びプラズマ強化原子層堆積(PEALD)は、低温(<500℃)で、二酸化ケイ素(SiO2)のコンフォーマルな膜を形成するのに使用されるプロセスである。ALD及びPEALDプロセスにおいて、前駆体と反応性ガス(例えば酸素又はオゾン)とは、特定の回数のサイクルで分離してパルスされて、それぞれのサイクルにおいて、二酸化ケイ素(SiO2)の単層を形成する。しかし、これらのプロセスを使用して低温で堆積された二酸化ケイ素(SiO2)は、半導体用途に対して有害なレベルの不純物、例えば炭素(C)、窒素(N)又はその両方、を含有する場合がある。このことを改善するために、1つのあり得る解決手段は、堆積温度を500℃以上に上昇させることである。しかし、これらのより高い温度においては、半導体産業によって用いられる従来の前駆体は、自己反応し、熱的に分解し、ALDモードというよりも化学気相堆積(CVD)モードで堆積する。CVDモードの堆積は、とりわけ半導体用途における高いアスペクト比の構造において、ALD堆積と比較してコンフォーマル性を減少させる。加えて、CVDモードの堆積は、ALDモードの堆積よりも低い膜の制御性、又はより小さい材料の厚さをもたらす。
【0005】
特開2010-275602号公報及び特開2010-225663号公報は、300~500℃の温度における化学気相堆積(CVD)プロセスによって、Si含有薄膜、例えば酸化ケイ素を形成するための原材料の使用を開示している。その原材料は、式:(a) HSi(CH3)(R1)(NR23) (式中、R1が、NR45若しくは1C~5Cアルキル基を表し;R2及びR4が、1C~5Cアルキル基若しくは水素原子をそれぞれ表し;かつR3及びR5が、1C~5Cアルキル基をそれぞれ表す);又は(b) HSiCl(NR12)(NR34) (式中、R1及びR3が、独立に、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、若しくは水素原子を表し;かつR2及びR4が、独立に、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表す)によって表される有機ケイ素化合物である。その有機ケイ素化合物は、H-Si結合を有する。
【0006】
米国特許第7084076号明細書は、ハロゲン化されたシロキサン、例えばヘキサクロロジシロキサン(HCDSO)を開示していて、それは、500℃未満でのALD堆積のために、触媒としてのピリジンと組み合わせて使用して、二酸化ケイ素を形成する。
【0007】
米国特許第6992019号明細書は、少なくとも2つのケイ素原子を有するケイ素化合物からなる第一の反応体成分を使用すること、若しくは触媒成分として第三級アミンを使用すること、又は両方を組み合わせることによって、半導体基材上に優れた特性を有する二酸化ケイ素層を形成する、触媒補助原子層堆積(ALD)のための方法を、関連するパージ方法及びシーケンシングとともに、開示している。使用される前駆体はヘキサクロロジシランである。堆積温度は25~150℃である。
【0008】
米国特許第9460912号明細書は、約500℃の1つ又は複数の堆積温度における、酸化ケイ素含有膜の形成のための方法を開示している。1つの態様において、組成物及びプロセスは、記載される以下の式I、II(R12 mSi(NR34np (I);R12 mSi(OR3n(OR4qp(II))、及びそれらの組み合わせを有する化合物から選択される1つ又は複数のケイ素前駆体を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
熱ベースの堆積プロセスに取って代えるために、原子層堆積(ALD)プロセス又はALDに類似のプロセス、例えば、以下に限定するものではないが、サイクル性化学気相堆積プロセス、を使用して、高品質、低不純物、高コンフォーマル性の酸化ケイ素膜を形成するためのプロセスを開発する要求が存在する。さらに、ALD又はALDに類似のプロセスにおいて、高温堆積(例えば500℃の1つ又は複数の温度での堆積)を開発して、1つ又は複数の膜特性を、例えば純度及び/又は密度を改善することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
原子層堆積(ALD)又はALDに類似のプロセスにおける、高温での、例えば500℃以上の1つ又は複数の温度での、酸化ケイ素の材料又は膜の堆積のためのプロセスが、本明細書において説明される。
【0011】
1つの実施態様は、酸化ケイ素を堆積するためのプロセスであって、
a.反応器中に基材を提供する工程;
b.反応器中に少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体を導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.反応器中に酸素源を導入する工程;及び
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの酸化ケイ素が堆積されるまで繰り返され;プロセスが、500~800℃の1つ又は複数の温度で、かつ50ミリTorr(mT)~760Torrの1つ又は複数の圧力で行われる、プロセスを提供する。
【0012】
別の実施態様は、酸化ケイ素を堆積するためのプロセスであって、
a.反応器中に基材を提供する工程;
b.反応器中に少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体を導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.反応器中に酸素源を導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.反応器中に水蒸気又はヒドロキシル源を導入する工程;及び
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの酸化ケイ素が堆積されるまで繰り返され;プロセスが、500~800℃の1つ又は複数の温度で、かつ50ミリTorr(mT)~760Torrの1つ又は複数の圧力で行われる、プロセスを提供する。この実施態様又は他の実施態様において、酸素源は、酸素、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、窒素酸化物及びオゾンからなる群から選択される。
【0013】
上記の方法のそれぞれについて、本明細書において説明される少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体は、
【化1】
からなる群から選択され、式中、R1及びR2は、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基及びC6~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され;R3は、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基及びC6~C10アリール基から選択され、ただし、R1及びR2は、両方ともに水素であることはできず;R1及びR2は、連結して環状環構造を形成しているか、又はR1及びR2は、連結して環状環構造を形成してはいない。上で説明される1つ又は複数の実施態様において、パージガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
上で説明される1つ又は複数の実施態様において、酸素源は、酸素、酸素及び水素を含む組成物、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、亜酸化窒素、オゾン並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ALD又はALDに類似のプロセス、例えば、以下に限定するものではないが、サイクル性化学気相堆積プロセス(CCVD)における、500℃以上の1つ又は複数の温度での、酸化ケイ素含有膜、例えば酸窒化ケイ素膜、化学量論比若しくは非化学量論比の酸化ケイ素膜、酸化ケイ素膜又はそれらの組み合わせの形成に関する組成物及びプロセスが、本明細書において説明される。
【0016】
先行技術における典型的なALDプロセスは、酸素源又は酸化剤、例えば酸素、酸素及び水素を含む組成物、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、亜酸化窒素並びにオゾンを直接的に使用して、25~500℃のプロセス温度において、酸化ケイ素を形成する。堆積工程は、
a.反応器中に基材を提供する工程;
b.反応器中に有機アミノジシラザンを導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.反応器中に酸素源を導入する工程;及び
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含む。先行技術のプロセスにおいて、工程b~eは、所望の厚さの膜が堆積されるまで繰り返される。
【0017】
500℃超、好ましくは600℃超、最も好ましくは650超の高温プロセスは、膜の純度及び密度の点で、より良い質をもたらすことができる。ALDプロセスは、良好な膜ステップカバレッジを提供する。しかし、ALD又はPEALDにおいて使用される典型的な有機ケイ素前駆体は、特定の温度範囲においてのみ、ALDモードで膜を堆積する。温度がこの範囲よりも高いとき、前駆体の熱分解が起こり、それは気相反応又は連続的な基材表面反応のいずれかを引き起こし、それは堆積プロセスを、望ましいALDモードというよりはむしろ、CVDモードに変える。
【0018】
理論によって拘束されるものではないが、500℃超、600℃超又は650℃超の1つ又は複数の温度におけるALD又はALDに類似の堆積プロセスについて、本明細書において説明される有機アミノジシラザン分子は、基材表面上の特定の反応性サイトと反応してケイ素種の単層を固定する、少なくとも1つの固定官能基を有するべきである。固定官能基は、有機アミノ基、好ましくは、より小さいアミノ基、例えばジメチルアミノ、エチルメチルアミノ又はジエチルアミノ基、から選択することができる。なぜなら、より小さい有機アミノ基は、有機アミノジシラザンが、低沸点と、より高い反応性とを有することを可能とするからである。有機アミノジシラザンは、自己制御プロセスを引き起こすさらなる表面反応を妨げるように化学的に安定である不活性官能基をさらに有するべきである。不活性化官能基は、異なるアルキル基、例えばメチル、エチル及びフェニル基、好ましくはメチル基、から選択される。次いで、表面上の残余基は酸化されて、Si-O-Si結合並びにヒドロキシル基を形成する。加えて、ヒドロキシル源、例えばH2O又は水プラズマもまた、反応器中に導入して、次のALDサイクルのための反応性サイトとして、さらなるヒドロキシル基を形成することができる。
【0019】
1つの実施態様において、本明細書において説明される少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体は、式(I):
【化2】
によって表され、式中、R1及びR2は、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基及びC6~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され;R3は、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基及びC6~C10アリール基から選択され、ただし、R1及びR2は、両方ともに水素であることはできず;R1及びR2は、連結して環状環構造を形成しているか、又はR1及びR2は、連結して環状環構造を形成してはいない。
【0020】
1つの好ましい実施態様において、本明細書において説明される少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体は、式(IA):
【化3】
によって表され、式中、R1及びR2は、C1~C6アルキル基から選択され;R3は、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C6アルキル基及びC6~C10アリール基から選択され;R1及びR2は、連結して環状環構造を形成しているか、又はR1及びR2は、連結して環状環構造を形成してはいない。
【0021】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アルキル」は、1~10、3~10又は1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の官能基を意味する。例示的な直鎖アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル(n-Pr又はPrn)、n-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシル基を含むが、これらに限定されない。例示的な分岐鎖アルキル基は、イソ-プロピル(i-Pr又はPri)、イソブチル(i-Bu又はBui)、sec-ブチル(s-Bu又はBus)、tert-ブチル(t-Bu又はBut)、イソ-ペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシル及びネオヘキシルを含むが、これらに限定されない。特定の実施態様において、アルキル基は、アルキル基に結合した1つ又は複数の官能基、例えば、以下に限定するものではないが、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はそれらの組み合わせを有することができる。他の実施態様において、アルキル基は、アルキル基に結合した1つ又は複数の官能基を有しない。アルキル基は、飽和であるか、又は代わりに不飽和であることができる。
【0022】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「環状アルキル」は、3~10個の炭素原子を有する環状官能基を意味する。例示的な環状アルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基を含むが、これらに限定されない。
【0023】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アリール」は、3~10個の炭素原子、5~10個の炭素原子又は6~10個の炭素原子を」有する芳香族の環状官能基を意味する。例示的なアリール基は、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル及びo-キシリルを含むが、これらに限定されない。
【0024】
特定の実施態様において、式I中の置換基R1及びR2は、ともに連結されて環構造を形成してよい。当業者が理解するように、R1及びR2がともに連結して環を形成する場合、R1は、R2に連結するための結合を含み、逆もまた同様である。これらの実施態様において、環構造は、不飽和(例えば環状アルキル環)又は飽和(例えばアリール環)であってよい。さらに、これらの実施態様において、環構造は、置換されているか、又は置換されていなくてもよい。例示的な環状環基は、ピロリジノ、2-メチルピロリジノ、2,5-ジメチルピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、ピロリル及びイミダゾリル基を含むが、これらに限定されない。しかし、他の実施態様において、置換基R1及びR2は連結されていない。
【0025】
特定の実施態様において、本明細書において説明される方法を使用して堆積されるケイ素膜は、酸素源、酸素を含む試薬又は前駆体を使用して、酸素の存在の下で形成される。酸素源は、少なくとも1つの酸素源の形態で反応器中に導入することができ、堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付随的に存在していてもよい。適した酸素源ガスは、例えば水(H2O)(例えば、脱イオン水、浄水及び/又は蒸留水)、酸素(O2)、酸素プラズマ、オゾン(O3)、N2O、NO2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)並びにそれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施態様において、酸素源は、約1~約2000標準立方センチメートル(sccm)又は約1~約1000sccmの流量で反応器中に導入される酸素源を含む。酸素源は、約0.1~約100秒の範囲の時間で導入することができる。1つの特定の実施態様において、酸素源は、10℃以上の温度を有する水を含む。ALD又はサイクル性CVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは、0.01秒より長いパルス期間を有してよく、酸素源は、0.01秒より短いパルス期間を有してよく、一方で水パルス期間は、0.01秒より短いパルス期間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ期間は、0秒程度に短くあってよく、又は間にパージを伴わずに連続的にパルスされる。少なくとも幾らかの炭素が堆積されたままの誘電体膜に保持されるように、酸素含有源又は試薬は、ケイ素前駆体に対して1:1の比より少ない分子の量で提供される。
【0026】
特定の実施態様において、酸化ケイ素膜は、窒素をさらに含む。これらの実施態様において、膜は、本明細書において説明される方法を使用して、窒素含有源の存在の下で堆積される。窒素含有源は、少なくとも1つの窒素含有源ガスの形態で反応器中に導入されるか、及び/又は堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付随的に存在していてよい。適した窒素含有源ガスは、例えばアンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ及びそれらの混合物を含んでよい。特定の実施態様において、窒素含有源は、約1~約2000平方立方センチメートル(sccm)又は約1~約1000sccmの流量で反応器中に導入されるアンモニアプラズマ又は水素/窒素プラズマ源ガスを含む。窒素含有源は、約0.1~約100秒の範囲の時間で導入することができる。ALD又はサイクル性CVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは、0.01秒より長いパルス期間を有してよく、窒素含有源は0.01秒より短いパルス期間を有してよく、一方で水パルス期間は、0.01秒より短いパルス期間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ期間は、0秒程度に短くてよく、又は間にパージを伴わずに連続的にパルスされる。
【0027】
本明細書において開示される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを含んでよい。未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージするために使用されるパージガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン、水素(H2)及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、パージガス、例えばArは、約10~約2000sccmの流量で、約0.1~1000秒間に、反応器中に供給され、それによって、反応器中に残っている場合がある未反応の材料及び任意の副生成物をパージする。
【0028】
前駆体、酸素源、窒素含有源及び/又は他の前駆体、供給源ガス及び/又は試薬を供給するそれぞれの工程を、それらを供給するための時間を変えて行って、得られる誘電体膜の化学量論比の組成を変えることができる。
【0029】
ケイ素前駆体、酸素含有源又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つにエネルギーが供給されて、反応が誘起され、基材上に誘電体膜又はコーティングを形成する。このようなエネルギーは、以下に限定するものではないが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子線、光子、遠隔プラズマ方法及びそれらの組み合わせによって提供することができる。特定の実施態様において、二次無線周波数源を使用して、基材表面におけるプラズマ特性を改質することができる。堆積がプラズマを含む実施態様において、プラズマ発生プロセスは、プラズマが反応器中で直接的に発生される直接プラズマ発生プロセス、又は代わりに、プラズマが反応器の外部で発生されて反応器中に供給される遠隔プラズマ発生プロセスを含んでよい。
【0030】
少なくとも1つのケイ素前駆体は、様々な手法で、反応チャンバーに、例えばサイクル性CVD又はALD反応器に輸送することができる。1つの実施態様において、液体輸送システムを利用することができる。代わりの実施態様において、液体輸送プロセスとフラッシュ蒸発プロセスとが組み合わせられたユニット、例えばMSP Corporation of Shoreview,MNによって製造されたターボ気化器を用いて、低揮発性材料が容量分析的に輸送されることを可能とし、このことは前駆体の熱分解を伴わない再現性のある輸送及び堆積をもたらす。液体輸送配合物において、本明細書において説明される前駆体は、ほぼ液体の形態で輸送することができるか、又は代わりに、その前駆体を含む溶媒配合物若しくは組成物で用いることができる。従って、特定の実施態様において、前駆体配合物は、基材に膜を形成する所与の最終仕様用途において望ましくかつ有利であることができる適した特性の少なくとも1つの溶媒成分含んでよい。
【0031】
溶媒と、本明細書において説明される式I又はIAを有する少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体とを含む組成物において、式I又はIAを有する少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体が使用される実施態様について、選択される溶媒又はそれらの混合物は、ケイ素前駆体と反応しない。組成物中の溶媒の量(wt%)は、0.5wt%~99.5wt%又は10wt%~75wt%である。この実施態様又は他の実施態様において、溶媒が式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体の沸点(b.p.)に近いb.p.を有するか、又は溶媒のb.p.と式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体のb.p.との差が40℃未満、30℃未満、20℃未満若しくは10℃未満である。代わりに、沸点の間の差は、以下の端点:0、10、20、30又は40℃のうち任意の1つ又は複数を端点とする範囲である。b.p.の差の適した範囲の例は、以下に限定するものではないが、0~40℃、20℃~30℃又は10℃~30℃である。組成物中の適した溶媒の例は、エーテル(例えば1,4-ジオキサン、ジブチルエーテル)、第三級アミン(例えばピリジン、1-メチルピペリジン、1-エチルピペリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)、ニトリル(例えばベンゾニトリル)、アルカン(例えばオクタン、ノナン、ドデカン、エチルシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、メシチレン)、第三級アミノエーテル(例えばビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル)又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0032】
先に記載されるように、式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体の純度レベルは、信頼性のある半導体製造のために許容可能であるのに十分に高い。特定の実施態様において、本明細書において説明される式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体は、2wt%未満、1wt%未満又は0.5wt%未満の、以下の不純物:遊離アミン、遊離ハライド又はハロゲンイオン、及びより高分子量の種、のうち1つ又は複数を含む。本明細書において説明される有機アミノジシラザンのより高い純度レベルは、以下のプロセス:精製、吸着及び/又は蒸留、のうち1つ又は複数を通じて得ることができる。
【0033】
本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体及び酸素源を使用して堆積が行われる、サイクル性堆積プロセス、例えばALDに類似のもの、ALD又はPEALDを使用することができる。ALDに類似のプロセスは、サイクル性のCVDプロセスであるが、高コンフォーマル性の酸化ケイ素膜を提供するプロセスとして定義される。
【0034】
特定の実施態様において、前駆体キャニスタから反応チャンバーへと連結するガスラインは、プロセスの要求に応じた1つ又は複数の温度に加熱され、式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体のコンテナは、バブリングのために1つ又は複数の温度に保たれる。他の実施態様において、式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体を含む溶液は、直接液体注入のための1つ又は複数の温度に保たれた気化器中に注入される。
【0035】
アルゴン及び/又は他のガスの流れをキャリアガスとして用いて、前駆体パルスの間に式Iの少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体の蒸気を反応チャンバーに輸送するのを促進することができる。特定の実施態様において、反応チャンバープロセスの圧力は約1Torrである。
【0036】
典型的なALD又はALDに類似のプロセス、例えばCCVDプロセスは、基材、例えば酸化ケイ素基材は、初期に有機アミノジシラザンにさらされる反応チャンバー中の加熱器ステージで加熱されて、その錯体が基材の表面に化学的に吸着することを可能とする。
【0037】
パージガス、例えばアルゴンは、未吸収の余剰の錯体をプロセスチャンバーからパージする。十分なパージの後、酸素源が反応チャンバー中に導入されて、吸収した表面と反応することができ、次いで別のガスパージがされて、チャンバーから反応副生成物を除去する。プロセスのサイクルは、所望の膜厚が達成されるように繰り返すことができる。幾つかの場合において、ポンピングが不活性ガスを用いたパージに代わるか、又は両方を用いることができ、未反応のケイ素前駆体を除去する。
【0038】
この実施態様又は他の実施態様において、本明細書において説明される方法の工程は、様々な順序で行うことができ、順次に行うことができ、同時に(例えば、別の工程の少なくとも一部の間に)行うことができ、及び任意の組み合わせで行うことができる。前駆体及び酸素源ガスを供給するそれぞれの工程は、それらを供給するための期間を変えて行って、得られる誘電体膜の化学量論的な組成を変えることができる。
【0039】
基材に酸化ケイ素膜を堆積するための、本明細書において説明される方法の1つの特定の実施態様は、
a.反応器中に基材を提供する工程;
b.反応器中に式Iを有する本明細書において説明される少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体を導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.反応器中に酸素源を導入する工程;及び
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eは、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返される。
【0040】
本明細書において説明される方法及び組成物の1つの特定の実施態様において、有機アミノジシラザンは、以下の式IA:
【化4】
を有し、式中、R1及びR2は、C1~C6アルキル基から選択され;R3は、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C6アルキル基及びC6~C10アリール基から選択され;R1及びR2は、連結して環状環構造を形成しているか、又はR1及びR2は、連結して環状環構造を形成してはいない。下の表1は、固定官能基、すなわち有機アミノ基を有し、かつアルキル基から選択され、好ましくはメチル又はMe基である不活性官能基を有する例示的なケイ素前駆体の構造を示している。理論によって拘束されるものではないが、Si-Me基は、500℃よりも高い温度においてエチル基よりも安定であり、従って、とりわけ600℃よりも高い温度において自己制御ALD又はALDに類似のプロセスをもたらす、さらに表面反応を妨げる不活性官能基を提供する。
【0041】
表1.少なくとも1つの固定官能基及び少なくとも1つの不活性官能基(例えば3つのメチル基)を有する有機アミノジシラザン前駆体であって、ここで、R3は、低沸点を提供する水素、メチル及びメチルから選択され、従って有機アミノジシラザン前駆体が、酸化ケイ素の堆積のための反応チャンバー中に容易に輸送されることを可能とする有機アミノジシラザン前駆体
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0042】
式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物は、例えば下記の非対称ジシラザン又は塩素化非対称ジシラザンの、有機アミンとの触媒デヒドロカップリング(例えば式(1)又は(2))によって、合成することができる。
【化5】
【化6】
【0043】
非対称又は塩素化非対称ジシラザンは、それぞれ、下記の式(3)の、対称ジシラザンの、ジメチルクロロシラン又はジメチルジクロロシランとの処理によって調製することができる。
【化7】
【0044】
式(1)の本発明の方法において用いられる触媒は、ケイ素-窒素の結合の形成を促進する触媒である。本明細書において説明される方法とともに使用することができる例示的な触媒は、アルカリ土類金属触媒;ハライドを含有しない典型元素族、遷移金属、ランタノイド及びアクチノイド触媒;並びにハライドを含有する典型元素族、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド触媒を含むが、これらに限定されず、純貴金属、例えばルテニウム、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウムを担体に取り付けることもできる。担体は、大きい表面積を有する固体である。典型的な担体材料は、アルミナ、MgO、ゼオライト、炭素、モノリスコージライト、珪藻土、シリカゲル、シリカ/アルミナ、ZrO及びTiO2を含むが、これらに限定されない。好ましい担体は、炭素(例えば、炭素上の白金、炭素上のパラジウム、炭素上のルテニウム)、アルミナ、シリカ及びMgOである。
【0045】
好ましくは、本発明による式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物、及び本発明による式I又はIAを有するケイ素前駆体化合物を含む組成物は、実質的にハライドイオンを含有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に含有しない」は、ハライドイオン(又はハライド)、例えば塩化物(すなわち塩化物含有種、例えばHCl、又は少なくとも1つのSi-Cl結合を有するケイ素化合物)、フッ化物、臭化物及びヨウ化物、に関するとき、イオンクロマトグラフィー(IC)によって測定して5ppm(重量で)未満、好ましくはICによって測定して3ppm未満、より好ましくはICによって測定して1ppm未満、最も好ましくはICによって測定して0ppmを意味する。塩化物は、式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物についての分解触媒として作用することが知られている。最終生成物中の有意な量の塩化物は、ケイ素前駆体化合物を分解させる場合がある。有機アミノジシラザン化合物の緩やかな分解は、半導体製造者が膜の仕様を満たすことを困難にする膜の堆積プロセスに直接的に影響を与える場合がある。加えて、貯蔵寿命又は安定性は、より高い式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物の分解速度によって負に影響を受け、それによって、1~2年の貯蔵寿命を保証することを困難にする。従って、式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物の加速された分解は、これらの可燃性であるか、及び/又は自発的に燃焼するガス状の副生成物の形成に関する安全性及び性能の懸念をもたらす。好ましくは、式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物は、金属を実質的に含有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に含有しない」は、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Nin関するとき、ICP-MSによって測定して5ppm未満(重量で)、好ましくは3ppm未満、より好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0.1ppmを意味する。幾つかの実施態様において、式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物は、金属を含有しない。好ましくは、式I又はIAを有する有機アミノジシラザン化合物は、前駆体として使用されて高品質の酸化ケイ素又は炭素ドープされた酸化ケイ素を堆積するとき、GCによって測定して98wt%以上、より好ましくは99wt%以上の純度を有する。
【0046】
本明細書において説明される方法の別の実施態様は、酸化工程の後に、ヒドロキシル又はOH源、例えばH2O蒸気を導入する。この実施態様の目的は、表面に有機アミノジシラザンを固定して単層を形成する反応サイト又は固定官能基を再配置することである。堆積工程は、
a.反応器中に基材を提供する工程;
b.反応器中に上記の1つの有機アミノジシラザン前駆体を導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.反応器中に酸化剤を導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.反応器中に水蒸気又はヒドロキシル源を導入する工程:及び
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
から構成され、工程b~gは、所望の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0047】
本明細書において説明される代わりの実施態様において、堆積工程は、
a.反応器中に基材を提供する工程;
b.反応器中に上記の1つの有機アミノジシラザン前駆体を導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程:
d.反応器中に酸素源を導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.反応器中に水蒸気又はOH源を導入する工程;及び
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
から構成され、工程b~gは、所望の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0048】
さらに別の実施態様は、過酸化水素又は酸素プラズマを使用して、不活性官能基、又はメチルなどの基を除去する。堆積工程は以下の通りである。
a.反応器中に基材を提供する工程;
b.反応器中に上記の1つの有機アミノジシラザン前駆体を導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.反応器中にオゾン、過酸化水素又は酸素プラズマを導入する工程;及び
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程。
ここで、工程b~eは、所望の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0049】
本明細書において説明される方法についてのプロセス温度は、500℃~1000℃;500℃~750℃;600℃~750℃;600℃~800℃;又は650℃~800℃の範囲の1つ又は複数の温度である。
【0050】
堆積圧力の範囲は、50ミリTorr(mT)~760Torr又は500mT~100Torrの1つ又は複数の圧力である。パージガスは、不活性ガス、例えば窒素、ヘリウム又はアルゴンから選択することができる。酸化剤は、酸素、酸素及び水素を含む組成物、過酸化水素、プラズマプロセスに由来する分子酸素又はオゾンから選択される。
【実施例
【0051】
例1:1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンの調製
【0052】
1Lフラスコ中で、添加漏斗によって、ジメチルジクロロシラン(1.13モル、146g)を、ヘプタメチルジシラザン(1.13モル、198g)に添加した。混合物を撹拌して、約60℃に加熱した。GC分析によって決定して反応が終了したとき、反応混合物を蒸留した。減少圧力(68℃/25Torr)の下で、71%の収率で、157gの1-クロロ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンを得た。
【0053】
THF(1.0モル、500mL)中のジメチルアミン(2M)の溶液を、添加漏斗によって、1-クロロ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(0.67モル、131g)と、トリエチルアミン(0.80モル、81g)と、ヘキサンとの混合物に、徐々に添加した。添加が完了した後、得たスラリーを撹拌して、次いで約50℃で2時間、加熱した。混合物をろ過し、溶媒を減少した圧力の下で除去し、粗生成物を蒸留によって精製し、68%の収率で、93.0gの1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(b.p.は185℃)を得た。
【0054】
比較例2:ジメチルアミノトリメチルシランを用いた、酸化ケイ素膜の原子層堆積
【0055】
以下のケイ素前駆体:ジメチルアミノトリメチルシラン(DMATMS)を使用して、酸化ケイ素膜の原子層堆積を行った。実験室スケールのALD処理ツールで、堆積を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。全てのガス(例えばパージガス及び反応体ガス、又は前駆体源及び酸素源)を、堆積領域に入れる前に、100℃に予備加熱した。ガス及び前駆体の流速を、高速作動のALDダイヤフラムバルブを用いて制御した。堆積において使用した基材は、12インチ長さのケイ素ストリップであった。サンプルホルダーに熱電対を取り付けて、基材温度を確認した。酸素源ガスとしてオゾンを使用して、堆積を行った。堆積のパラメータを表2に与える。
表2:DMATMSを使用した、オゾンを用いる、酸化ケイ素膜の原子層堆積のためのプロセス
【表2】
【0056】
工程2~6を、所望の厚さに到達するまで繰り返した。FilmTek 2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを既定の物理モデル(例えばLorentz Oscillatorモデル)に合わせることによって、膜の厚さ及び屈折率を測定した。脱イオン水中の49wt%フッ化水素(HF)酸の1wt%溶液を使用して、湿式エッチング速度を行った。それぞれのバッチについて、参照として熱酸化物ウエハを使用して、溶液濃度を確認した。H2O中の1wt%HF溶液についての、典型的な熱酸化物ウエハの湿式エッチング速度は、0.5Å/sである。エッチングの前及び後の膜厚を使用して、湿式エッチング速度を計算した。膜における炭素及び窒素濃度を、ダイナミック二次イオン質量分析(SIMS)法によって分析した。非均質性の%を、6点の測定から、以下の式:非均質性(%)=((最大-最小)/(2・平均))を使用して、計算した。膜の密度を、X線反射率法(XRR)を用いて特性評価した。表3は、600~650℃のウエハ温度における、DMATMS前駆体の固定した投入(8秒)で堆積したSiO2膜の特性をまとめている。
表3:DMATMSを用いて堆積された酸化ケイ素膜の特性
【表3】
DMATMSから堆積された酸化ケイ素についての膜密度は2.08~2.23g/ccである。
【0057】
例3:1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン対DMATMSの前駆体熱安定性
【0058】
ケイ素前駆体としての1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン及びDMATMSを、以下の工程:(a)12秒の間にケイ素前駆体を導入する工程;(b)窒素ガスを用いてパージする工程、でALDチャンバー中に導入した。工程(a)及び(b)を、300サイクル繰り返した。FilmTek 2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを既定の物理モデル(例えばLorentz Oscillatorモデル)に合わせることによって、膜の厚さ及び屈折率(RI)を測定した。表4は、それぞれ600℃及び650℃の温度における、シラザン前駆体の熱堆積によって形成される膜をまとめていて、1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンは、DMATMSよりもわずかに少ない分解を有し、従って、高温ALD用途のために、より良好な前駆体であることを示している。
表4:シラザン前駆体対DMATMSの熱分解
【表4】
【0059】
例4:1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンを用いた、酸化ケイ素膜の原子層堆積
【0060】
以下のケイ素前駆体:1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンを使用して、酸化ケイ素膜の原子層堆積を行った。実験室スケールのALD処理ツールで、堆積を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。堆積プロセス及びパラメータを、表2に与える。工程2~6を、所望の厚さに到達するまで、500サイクル繰り返した。堆積のプロセスパラメータ、堆積速度と、屈折率と、脱イオン水の49%フッ化水素(HF)酸の1%溶液を使用した湿式エッチング速度(WER)とを、表5に与える。
表5:1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンについてのプロセスパラメータ及び結果のまとめ
【表5】
ケイ素前駆体、1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンは、所与の温度において、DMATMSよりも、わずかに高い堆積速度(Å/サイクル)及び低いWERをもたらすことが分かる。
【0061】
本開示は、特定の好ましい実施態様を参照して説明されたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更をすることができること、及び透過物が、その要素を代替することができることを理解するであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの変更をして、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させることができる。従って、本発明は特定の実施態様に限定されないが、本発明は添付の特許請求の範囲にある全ての実施態様を含むことを意図している。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
基材に酸化ケイ素膜を堆積するプロセスであって、
a)反応器中に基材を提供する工程;
b)以下の式IA:
【化8】
を有し、式中、R 1 及びR 2 が、C 1 ~C 6 アルキル基から独立に選択され;R 3 が、水素、直鎖又は分岐鎖のC 1 ~C 6 アルキル基及びC 6 ~C 10 アリール基から選択され;R 1 及びR 2 が、連結して環状環構造を形成しているか、又はR 1 及びR 2 が、連結して環状環構造を形成してはいないかのいずれかである少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体を、前記反応器中に導入する工程;
c)パージガスを用いて前記反応器をパージして、未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージする工程;
d)前記反応器中に酸素源を導入して、前記前駆体と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程;並びに
e)パージガスを用いて前記反応器をパージして、未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの前記酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返され、500~800℃の1つ又は複数の温度で、かつ50ミリTorr(mT)~760Torrの1つ又は複数の圧力で行われる、プロセス。
(付記2)
前記少なくとも1つの有機アミノジシラザン前駆体が、1-ジメチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-2,5-ジメチルピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載のプロセス。
(付記3)
前記パージガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載のプロセス。
(付記4)
前記酸素源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、オゾン源及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載のプロセス。
(付記5)
前記酸素含有源がプラズマを含む、付記1に記載のプロセス。
(付記6)
前記プラズマを、インサイチュで発生させる、付記5に記載のプロセス。
(付記7)
前記プラズマを、遠隔で発生させる、付記5に記載のプロセス。
(付記8)
前記酸化ケイ素膜が、約2.0g/cm 3 以上の密度を有する、付記4に記載のプロセス。
(付記9)
前記酸化ケイ素膜が、炭素をさらに含む、付記1に記載のプロセス。
(付記10)
前記酸化ケイ素膜が、少なくとも約1.8g/cm 3 の密度を有する、付記9に記載のプロセス。
(付記11)
前記酸化ケイ素膜の前記炭素の含有量が、X線光電子分光法によって測定した場合に、少なくとも0.5原子重量パーセント(at%)である、付記9に記載のプロセス。
(付記12)
気相堆積プロセスを使用して酸化ケイ素膜又は炭素ドープされた酸化ケイ素膜を堆積するための組成物であって、式IA:
【化9】
によって表され、式中、R 1 及びR 2 が、C 1 ~C 6 アルキル基から選択され;R 3 が、水素、直鎖又は分岐鎖のC 1 ~C 6 アルキル基及びC 6 ~C 10 アリール基から選択され;R 1 及びR 2 が、連結して環状環構造を形成しているか、又はR 1 及びR 2 が、連結して環状環構造を形成してはいないかのいずれかである構造を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を含む、組成物。
(付記13)
前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、1-ジメチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,5-ジメチルピロリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピペリジノ-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ピロリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-イミダゾリル-1,1,2,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1-ジメチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ジエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-メチルエチルアミノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2-メチルピロリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-2,5-ジメチルピロリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピペリジノ-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-(2,6-ジメチルピペリジノ)-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-ピロリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン、1-イミダゾリル-2-エチル-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシラザン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記12に記載の組成物。
(付記14)
前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、ハライド、金属イオン、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を実質的に含有しない、付記12に記載の組成物。
(付記15)
ハライド化合物、金属イオン、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を実質的に含有しない、付記14に記載の組成物。
(付記16)
前記ハライド化合物が、塩化物含有種を含む、付記15に記載の組成物。
(付記17)
前記塩化物の濃度が、ICによって測定した場合に、50ppm未満である、付記16に記載の組成物。
(付記18)
前記塩化物の濃度が、ICによって測定した場合に、10ppm未満である、付記16に記載の組成物。
(付記19)
前記塩化物の濃度が、ICによって測定した場合に、5ppm未満である、付記16に記載の組成物。
(付記20)
付記1に記載の方法によって得られた、膜。
(付記21)
以下の特徴:少なくとも約2.0g/cm 3 の密度;1:100のHF:水の酸の溶液(0.5wt%dHF)において測定した場合に、約2.5Å/s未満である湿式エッチング速度;6MV/cm以下で約1×10 -8 A/cm 2 未満の漏電;及びSIMSによって測定した場合に、約4×10 21 at/cc未満の水素不純物、のうち少なくとも1つを備える、付記20に記載の膜。