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  • 特許-気相反応器システムおよびその使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】気相反応器システムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 25/14 20060101AFI20241113BHJP
   C30B 31/16 20060101ALI20241113BHJP
   C30B 25/08 20060101ALI20241113BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241113BHJP
   H01L 21/365 20060101ALI20241113BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241113BHJP
   B01J 19/24 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
C30B25/14
C30B31/16
C30B25/08
H01L21/205
H01L21/365
C23C16/455
B01J19/24 Z
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020074751
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2020179392
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】62/838,175
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・トリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョー・マルゲティス
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0267299(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0094350(US,A1)
【文献】特表2011-520253(JP,A)
【文献】特表2004-507861(JP,A)
【文献】特開平02-215122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00-32
C23C 16/00-56
C30B 25/00-22、31/00-22
H01L 21/20-208、36-368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器システムであって、
反応チャンバーと、
コントローラーと、
固体原料化学物質を含有し、前記反応チャンバーに流体連結された、固体前駆体供給源容器と、
前記固体前駆体供給源容器に流体連結されたガス分配システムであって、複数の第一のガス出口に連結された第一のガスラインを備えるガス分配システムと、
フランジを備えるフランジ組立品であって、前記フランジが開口部と複数の出口ポートとを備え、前記複数の出口ポートの各出口ポートが前記複数の第一のガス出口のうちの一つの第一のガス出口に連結されている、フランジ組立品と、
前記固体前駆体供給源容器と前記反応チャンバーの間の加熱されたラインと、を備え、
前記コントローラーが、前記加熱されたラインの温度を前記固体前駆体供給源容器の温度よりも5℃~15℃高い温度に制御するように構成されていて、
前記フランジ組立品が、前記開口部の上方において前記開口部の上側に沿ってヒーターを備え、
前記複数の出口ポートが、前記開口部の上方において前記開口部の上側に近接して前記開口部と前記ヒーターとの間に位置する、反応器システム。
【請求項2】
前記フランジ組立品が、前記開口部の下方において前記開口部の下側に沿ってもう一つのヒーターをさらに備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項3】
前記フランジ組立品が、少なくとも一つの冷却チャネルを備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項4】
前記フランジ組立品が、シール部材を受容する陥凹部を備える第一の表面を備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項5】
前記シール部材が、パーフルオロエラストマーおよびフッ素ポリマーから成る群から選択される材料で形成されている、請求項4に記載の反応器システム。
【請求項6】
前記反応チャンバーが、エピタキシャル反応チャンバーを備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項7】
前記固体前駆体供給源容器が、
ハウジングベースと、
ハウジングリッドと、
前記ハウジングリッド上に取り付けられた、かつ第一の蛇行経路と流体連通する第一の入口弁と、
前記ハウジングリッド上に取り付けられた、かつ前記第一の蛇行経路と流体連通する第一の出口弁と、
前記ハウジングリッド上に取り付けられた、かつ第二の蛇行経路と流体連通する第二の入口弁と、
前記ハウジングリッド上に取り付けられた、かつ前記第二の蛇行経路と流体連通する第二の出口弁と、
前記第一の蛇行経路および前記第二の蛇行経路のうちの少なくとも一つに取り付けられた、かつそれらと流体連通する通気弁と、を備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項8】
前記固体前駆体供給源容器と前記反応チャンバーの間を流れる前駆体の量をモニターするために、前記固体前駆体供給源容器と前記反応チャンバーの間にモニターをさらに備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項9】
前記固体原料化学物質が、第III族元素、第IV族元素、および第V族元素のうちの一つ以上を含む、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項10】
前記ガス分配システムが、複数の第二のガス出口に連結された第二のガスラインをさらに備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項11】
前記第二のガスラインが、エッチャントを含む第二のガス供給源と流体連結されている、請求項10に記載の反応器システム。
【請求項12】
前記ガス分配システムが、前記固体前駆体供給源容器から前記反応チャンバーへのガスの流れを制御するために複数の第一のガスモーターをさらに備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項13】
第二のガス供給源から前記反応チャンバーへのガスを制御するために複数の第二のガスモーターをさらに備える、請求項12に記載の反応器システム。
【請求項14】
気相反応物質を基板の表面に提供する方法であって、
気相反応器システムを提供する工程であって、
反応チャンバーと、
前記反応チャンバーに流体連結された固体前駆体供給源容器と、
前記固体前駆体供給源容器に流体連結されたガス分配システムであって、複数の第一のガス出口に連結された第一のガスラインを備えるガス分配システムと、
フランジを備えるフランジ組立品であって、前記フランジが開口部と複数の出口ポートとを備え、前記複数の出口ポートの各出口ポートが前記複数の第一のガス出口のうちの一つの第一のガス出口に連結されている、フランジ組立品と、
排気源と、を備え、
前記フランジ組立品が、前記開口部の上方において前記開口部の上側に沿ってヒーターを備え、
前記複数の出口ポートが、前記開口部の上方において前記開口部の上側に近接して前記開口部と前記ヒーターとの間に位置する、気相反応器システムを提供する工程と、
基板を前記反応チャンバー内に提供する工程と、
前記基板を前記固体前駆体供給源容器からの第一のガスに、および第二のガス供給源からの第二のガスに曝露する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
前記フランジ組立品を加熱する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガス分配システムを加熱する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記固体前駆体供給源容器から前記反応チャンバーに流れる前駆体の量をモニターする工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記固体前駆体供給源容器から前記反応チャンバーに流れる前駆体の量を制御する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記固体前駆体供給源容器と前記反応チャンバーの間のガスラインを加熱することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
請求項14に記載の前記方法を使用して、前記基板の表面上に材料層をエピタキシャルに成長させる方法。
【請求項21】
エピタキシャル層が一つ以上のドーパントを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記一つ以上のドーパントが、Al、Ga、In、およびSbから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、気相反応器システムおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学蒸着(CVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、原子層堆積(ALD)およびこれに類するものなどの気相反応器を、基板表面上の材料の堆積およびエッチングを含む様々な用途に使用することができる。例えば、基板上に層を堆積および/またはエッチングして、半導体デバイス、フラットパネルディスプレイデバイス、光起電力デバイス、微小電気機械システム(MEMS)およびこれに類するものを形成するために、気相反応器を使用することができる。
【0003】
典型的な気相反応器システムは一つ以上の反応器を含み、各反応器は一つ以上の反応チャンバーと、反応チャンバーに流体連結された一つ以上の前駆体ガス供給源および/または反応物質ガス供給源と、反応チャンバーに流体連結された一つ以上のキャリアガス供給源および/またはパージガス供給源と、ガス(例えば、前駆体ガス/反応物質ガスおよび/またはキャリアガスもしくはパージガス)を反応チャンバー内の基板の表面に送達するための一つ以上のガス分配システムと、反応チャンバーに流体連結された少なくとも一つの排気源と、を含む。
【0004】
室温および室内圧力で固体(固体原料化学物質)である前駆体を気相反応器システムで使用することは望ましい場合があり、その理由は、こうした前駆体が比較的搬送しやすい場合があり、および/または比較的安全に搬送できる場合があり、および/または望ましい膜特性を提供する場合があり、および/または比較的安価で使用できる場合があるためである。しかしながら、室温および室内圧力で固体である前駆体の使用は、反応チャンバーへの前駆体の流量を制御することが困難である場合があり、かつ/または前駆体の望ましくない凝縮が生じる可能性があるため、問題となる可能性がある。そのため、改善された気相反応器、反応器を含むシステム、およびこれらのシステムと反応器を使用する方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願第15/997445号
【文献】米国特許出願第14/218690号
【文献】米国特許出願第15/283120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の様々な実施形態は、反応器システムと、基板の表面に気相反応物質を提供する方法と、膜(例えば、非晶質膜、多結晶膜、またはエピタキシャル膜)を形成する方法とに関する。システムおよび方法は、電子デバイスの製造に使用することができる。本開示の様々な実施形態が従来の方法およびシステムの欠点に対処するやり方が以下に、より詳細に考察されている一方で、一般的に本開示の様々な実施形態は、室温および室内圧力で固相(固体原料化学物質)である前駆体との使用に適切な、改善されたシステムおよび方法を提供する。例えば、システムおよび方法は、電子デバイスの形成中に堆積された膜の形成に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一つの実施形態によると、反応器システムは、反応チャンバーと、反応チャンバーに流体連結された固体前駆体供給源容器と、固体前駆体供給源容器に流体連結されたガス分配システムと、ガス分配システムからガスを受容するフランジ組立品とを含む。反応器システムは、固体前駆体供給源容器と反応チャンバーの間に加熱されたラインを含むことができる。ガス分配システムは、複数の第一のガス出口に連結された第一のガスラインを含むことができる。第一のガス出口(例えば、第一のガス出口の各々)は、フランジ組立品内の複数の出口ポートのうちの一つの出口ポートに流体連結されることができる。本開示の実施例によると、フランジ組立品は少なくとも一つのヒーターを含むことができる。フランジ組立品は追加的に、または別の方法として、少なくとも一つの冷却チャネルを含むことができる。フランジ組立品は、フランジ組立品の第一の表面内に形成された陥凹部内に少なくとも部分的に位置することができるシール部材を使用して、反応チャンバーに連結されることができる。シール部材は、例えばシリコーン、パーフルオロエラストマー、またはフッ素ポリマー(例えば、FKM)で形成することができる。本明細書に記載の例示的な反応器システムとしては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭化ケイ素(SC)、および/またはシリコンゲルマニウム炭化物(SiGeC)などのエピタキシャル膜を堆積するために使用することができるエピタキシャル反応チャンバーを挙げることができる。エピタキシャル膜は、例えばAl、Ga、In、およびSbから成る群から選択される一つ以上のドーパントでドープすることができる。一つ以上のドーパントのドーピングレベルは個別にまたは累積的に、約1E17at/cm~1E22at/cmの範囲、または約2E20at/cm~7E21at/cmの範囲とすることができる。
【0008】
本開示の追加的な実施形態によると、基板の表面に気相反応物質を提供する方法は、本明細書に記載の反応器システムなどの気相反応器システムを提供することと、反応器システムの反応チャンバー内に基板を提供することと、固体前駆体供給源容器からの第一のガスおよび第二のガス供給源からの第二のガスに基板を曝露することと、を含む。例示的な方法は、フランジ組立品、固体前駆体供給源容器、ガス分配システム、および/または一つ以上のラインを加熱すること(例えば、一つ以上のヒーターを使用すること)をさらに含むことができる。追加的にまたは代替的に、例示的な方法は冷却流体をフランジ組立品に提供することを含むことができる。これらの実施形態のさらなる態様によると、固体前駆体供給源容器から流れる前駆体の量をモニターすることができる。固体前駆体供給源容器から反応チャンバーへの前駆体の量を、例えばモニターおよび制御弁を使用して制御することができる。本明細書に記載のものなどのドープされたエピタキシャル層を含むエピタキシャル層を堆積するために、例示的な方法を使用することができる。
【0009】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態によると、基板の表面上に材料層をエピタキシャルに成長させる方法は、本明細書に記載の反応器システムおよび/または方法の使用を含むことができる。エピタキシャル層は、例えばSi、Ge、SiGe、SiC、SiGeCを含むことができる。ドーパントは、Al、Ga、In、およびSbから成る群から選択される一つ以上のドーパントを含むことができる。
【0010】
これらの実施形態および他の実施形態は、添付の図面を参照する特定の実施形態の以下の、発明を実施するための形態から当業者に容易に明らかとなることになり、本発明は開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0011】
本開示の例示的な実施形態のより完全な理解は、以下の図示的な図面に関連して考慮される時に、発明を実施するための形態および特許請求の範囲を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の少なくとも一つの実施形態による反応器システムを図示する。
図2】本開示の少なくとも一つの実施形態による、ガス分配システムおよびフランジ組立品を含む組立品を図示する。
図3】本開示の少なくとも一つの実施形態による別のフランジ組立品を図示する。
図4】本開示の少なくとも一つの実施形態による固体前駆体供給源容器を図示する。
図5】本開示の少なくとも一つの実施形態による固体供給源組立品を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために図示されていて、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0014】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、具体的に開示された実施形態および/または本発明の使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が拡大することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0015】
本開示は概して、気相反応器システムおよび方法に関する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、例えば電子デバイスを形成するための半導体ウエハなどの基板を処理するために使用することができる。例として、基板の表面上にエピタキシャル層(例えば、一つ以上のドープされた半導体層)を形成するまたは成長させるために、本明細書に記載のシステムおよび方法を使用することができる。
【0016】
本明細書で使用される「基板」という用語は、デバイス、回路、もしくは膜を形成するのに使用されうる任意の下地材料または材料、またはデバイス、回路、もしくは膜が上に形成されうる任意の下地材料または材料を指す場合がある。基板は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)などのバルク材料、ゲルマニウムなどの他の第IV族材料、またはGaAsなどの複合半導体材料を含むことができる、かつバルク材料の上または下にある一つ以上の層を含むことができる。さらに、基板は、基板の層の少なくとも一部分の中またはその上に形成される様々なトポロジー(陥凹部、ラインおよびこれに類するものなど)を含むことができる。
【0017】
ここで図面に目を移すと、図1は本開示の少なくとも一つの実施形態による反応器システム100を図示する。反応器システム100は、反応チャンバー102、ガス分配システム104、固体前駆体供給源容器106、排気源108、およびコントローラー110を含む。図示する例において、反応器システム100はまた、第一のフランジ組立品または入口フランジ組立品112、第二のフランジ組立品または出口フランジ組立品114、モニター116、通気ライン118、第二のガス供給源120、および一つ以上の弁122を含む。
【0018】
反応チャンバー102は、気相反応のために適切な反応チャンバーとすることができる、またはこの反応チャンバーを含むことができる。反応チャンバー102は、石英などの適切な材料で形成されることができ、以下に、より詳細に記載の通り、第一のフランジ組立品112および/または第二のフランジ組立品114と連結するように構成されることができる。反応器システム100は、任意の適切な数の反応チャンバー102を含むことができる、かつ一つ以上の基板取り扱いシステムを随意に含むことができる。例として、反応チャンバー102は、クロスフロー低温壁エピタキシャル反応チャンバーを含む。水平流反応器を含む例示的な反応器システムは、ASMからシステムとして入手可能である。
【0019】
図2に関連して以下に、より詳細に記載の通り、ガス分配システム104は、一つ以上の前駆体、一つ以上の反応物質、および/または一つ以上のパージガスおよび/または担体ガスを反応チャンバー102に(例えば、第一のフランジ組立品112を介して)提供するように構成されている。ガス分配システム104は、反応チャンバー102への一つ以上の前駆体ガス、反応物質ガス、パージガス、および/または担体ガスのガス流量を計測および制御するために使用することができる。例えば、ガス分配システム104を、固体前駆体供給源容器106および/または第二のガス供給源120から反応チャンバー102へのガス(各々はキャリアガスを伴う、またはキャリアガスを伴わない)を計測するために使用することができる。
【0020】
固体前駆体供給源容器106は、室温および室内圧力で固体である前駆体を保持するように、かつ反応チャンバー102への前駆体の気相の送達のために固体前駆体を気化するように構成されている。室温および室内圧力で固体である例示的な前駆体としては、第III族元素、第IV族元素、および/または第V族元素を含む前駆体が挙げられる。例示的な固体前駆体供給源容器は、図4に関連して以下に、より詳細に記載されている。
【0021】
排気源108は、例えば一つ以上の真空源を含むことができる。例示的な真空源としては、一つ以上のドライ真空ポンプおよび/または一つ以上のターボ分子ポンプが挙げられる。
【0022】
コントローラー110は、本明細書に記載の通りの様々な機能および/または工程を実施するために構成されることができる。コントローラー110は、様々な機能を実施するために一つ以上のマイクロプロセッサ、メモリー素子、および/またはスイッチング素子を含むことができる。コントローラー110は単一のユニットとして図示されているが、別の方法として複数のデバイスを備えることができる。例として、ガス流を(例えば、流量をモニターすること、かつ弁を制御することによって)制御したり、モーター(以下に、より詳細に記載されたモーター230~249など)を制御したりするために、および/またはフランジ組立品の冷却管またはチャネルに入る冷却剤および/もしくはこれらから出る冷却剤の流れを制御するため、および/または本明細書に記載のヒーターのうちの一つ以上などのヒーターを制御するために、コントローラー110を使用することができる。
【0023】
第一のフランジ組立品112は、ガス分配システム104から(例えば、固体前駆体供給源容器106から)第一のガスを受容するように、かつ第一のガスを、ガス分配システムのそれぞれの(例えば、第一のガスの)出口に連結された第一のフランジ組立品112内の一つ以上の拡張ポート284、286、288、290、292を通して反応チャンバーに導入するように構成されている。第一のフランジ組立品112は、ガス分配システム104から(例えば、第二のガス供給源120から)第二のガスを受容するように、かつ第二のガスを、ガス分配システムのそれぞれの(例えば、第二のガスの)出口に連結された第一のフランジ組立品112内の一つ以上の拡張ポート294、296、297、298、299を通して反応チャンバーに導入するようにさらに構成されることができる。第一のフランジ組立品112は、追加的なガスを分配するように、例えば追加的な拡張ポートを使用して、同様に構成されることができる。第一のフランジ組立品112は、第一のガスおよび第二のガスの各々のための5つの拡張ポートとともに図示されているが、一つ以上のガスのための一つ以上の拡張ポートを含むことができる。図2に関連して以下に、より詳細に考察されている通り、第一のフランジ組立品112は加熱および/または冷却されることができる。
【0024】
第二のフランジ組立品114は、反応チャンバー102からのガスの排気を容易にするために使用することができる。加熱および/または冷却されることができる例示的な第二のフランジ組立品114は、図3に関連して以下に、より詳細に記載されている。
【0025】
モニター116は、固体前駆体供給源容器106と反応チャンバー102の間を流れる気化された前駆体の量または濃度を測定するために使用することができる。例として、モニター116は、圧電濃度モニターもしくはこれに類するものとすることができる、またはこれを含むことができる。モニター116は、情報(例えば、固体前駆体供給源容器106から反応チャンバー102に流れる前駆体の濃度を示す)を、コントローラー110などのコントローラーに提供することができる。こうした情報は、固体前駆体供給源容器106から反応チャンバー102に流れる前駆体の濃度、量、または流量(体積流量)を(例えば、弁122などの制御弁を制御することによって)制御するために、コントローラーによって使用されることができる。
【0026】
通気ライン118は、反応チャンバー102にガスが達する前に、前駆体ガスおよび/またはキャリアガスを通気するために使用することができる。図示した例において、通気するために、または前駆体が反応チャンバー102に流れることを可能にするために弁122を使用することができる。別の方法として、こうした機能を実施するために、2つ以上の弁を使用することができる。
【0027】
第二のガス供給源120は、任意の適切な材料を含むことができる。例として、第二のガス供給源120は、塩素(Cl)または塩酸(HCl)のうちの少なくとも一つなどのエッチャントを含むことができる。あるいは、第二のガス供給源120および/または別のガス供給源(例えば、固体原料化学物質)および/または、ホウ化水素(例えば、Ga(BH、YGa(BH3-x、式中x=0、1、2;Y=H、D、Cl、Br、I;Al(BH、YAl(BH3-x、式中x=0、1、2;Y=H、D、Cl、Br、I;またはIn(BH、YIn(BH3-x、式中x=0、1、2;Y=H、D、Cl、Br、I)と、有機化合物(例えば、ZGaY3-x、式中x=0、1、2、3;Z=H、D;Y=Cl、Br、I、結合した二量体構造(ZGaY3-xを含む;ZAlY3-x、式中x=0、1、2、3;Z=H、D;Y=Cl、Br、I、結合した二量体構造(ZAlY3-xを含む;およびZInY3-x、式中x=0、1、2、3;Z=H、D;Y=Cl、Br、I、結合した二量体構造(ZInY3-xを含む)と、RGaY3-x、式中x=1、2、3;R=CH、C、C、CF3SO3、NH;Y=Cl、Br、I;RAlY3-x、式中x=1、2、3;R=CH、C、C、CFSO、NH;Y=Cl、Br、I;およびRInY3-x、式中x=1、2、3;R=CH、C、C、CFSO、NH;Y=Cl、Br、Iなどの有機ハロゲン化物とから成る群から選択されるドーパント前駆体を含むことができる。リガンドがホウ化水素である場合、Ga(またはAl、In)だけでなくBも組み込まれる可能性がある。これらの分子は、第IV族層および合金(例えば、Si、Ge、Si1-xGe、Si1-x-yGe、Ge1-xSn、Ge1-x-ySiSn、Ge1-x-ySiSn、Si1-xSn、Si1-x-ySn材料)内のドーパントとして使用することができる。
【0028】
反応器システム100はまた、一つ以上のヒーター124~128、136および/または図2図3図5に関連して、より詳細に記載のヒーターを含むことができる。ヒーター124~128、136は、可撓性の(例えば、シリコーン)ヒーターテープなどのトレースラインヒーターを含むことができる。(加熱された)ライン118、130、134などのラインを、固体前駆体供給源容器106および/または第二のガス供給源120からの前駆体または反応物質の昇華温度または凝縮温度よりも高い温度などの望ましい温度に加熱するために、ヒーター124~128、136を使用することができる。ライン118、130、134における温度は、固体前駆体供給源容器106の温度よりも高く(例えば、約5℃~約15℃さらに高い温度に)することができる。ヒーター124~128、136のうちの一つ以上の温度を、コントローラー110および/または一つ以上の他のコントローラーを使用して制御することができる。
【0029】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、ガス分配システム104としての使用のために適切なガス分配システム204と、第一のフランジ組立品112としての使用のために適切な第一のフランジ組立品206とを含む組立品200を図示する。組立品200は、固体前駆体供給源容器106に連結された第一のガス供給(加熱された)ライン208(これはライン130と同一である、または類似していることができる)、および第二のガス供給源120に連結された第二のガス供給(加熱された)ライン210(これはライン134と同一である、または類似していることができる)を含む。反応器システム100および組立品200のガスラインおよび構成要素に言及する時、「連結された」という用語は、流体連結されていることを指し、また別段の記載がない限り、ラインまたは構成要素は直接的に流体連結されている必要はなく、むしろ反応器システム100および/または組立品200は他の介在要素(弁、メーター、モニター、またはこれに類するもの)を含む可能性がある。
【0030】
ガス分配システム204は、第一のガス供給ライン208に連結された第一のガスマニホールド212と、第二のガス供給ライン210に連結された第二のガスマニホールド214とを含む。第一のガスマニホールド212は複数の第一のガス出口216~224を含み、第二のガスマニホールド214は複数の第二のガス出口を含む。図示した例において、第二のガスマニホールド214は5つの第二のガス出口を含み、2つの第二のガス出口226、228のみが見える。第一のガスマニホールド212および第二のガスマニホールド214は、一つ以上のガスライン(例えば、第一および第二のガスライン208、210)からガスを受容するように、かつそれぞれのガスを、第一のガス出口216~224および第二のガス出口226、228によってそれぞれ部分的に画定されている一つ以上のチャネルの中に分配するように構成されている。本開示によるガス分配システムは、第一のガス出口216~224および第二のガス出口226、228の各々のうちの5つを有して図示されているが、それぞれのガスのチャネルの数に対応する任意の適切な数の第一、第二、および/または他のガス出口を含むことができる。
【0031】
ガス分配システム204は、第一および第二のガス出口216~228に連結された複数の流量センサー(別個に図示されていない)を含むことができる。しかしながら、場合によっては、流量センサーに連結されていない一部のガス出口を有すること、および/または2つ以上の流量センサーに連結されている一部のガス出口を有することが望ましい場合がある。各チャネルについてのリアルタイムの流量情報および/または過去の流量情報を(例えばグラフィカルユーザーインターフェースを使用して)ユーザーに提供するために、流量センサーを使用することができる。追加的にまたは代替的に、流量センサーは、コントローラー(例えば、コントローラー110)に、ならびに第一のガスモーター230~238および第二のガスモーター240~248に連結されることができ、これらは次に弁(別個に図示されていない)に連結されて、弁を通るガスの制御された流量を提供する。例示的な流量センサーは質量流量計である。各ガスチャネルに流量センサーを定置することによって、各チャネルを通るガスの流量を、ガス組成に関係なく、独立して測定および制御することができる。ガス分配システム104または204として使用するために適切な例示的な注入マニホールドは、2018年6月4日に出願された「GAS DISTRIBUTION SYSTEM AND REACTOR SYSTEM INCLUDING SAME」と題する米国特許出願第15/997445号(特許文献1)に記載されていて、その内容は、こうした内容が本開示と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
ライン内のガスを望ましい温度に維持するために(例えば、ガスの凝縮を防止または軽減するために)、ライン208および210を、ヒーター278、280、282(例えば、可撓性の(例えば、シリコーン)ヒーターテープ)を使用して加熱することができる。追加的にまたは代替的に、組立品200内のガスの凝縮を防止および/または軽減するために、ヒーター276をガス分配システム104/204の周りに、および/もしくはこれらに近接して提供することができる、および/またはヒーター282を固体前駆体供給源容器106および/もしくはライン208、210の近くに定置することができる。
【0033】
第一のフランジ組立品206は、(例えば、第一の)フランジ250と、ヒーター252および254と、チャネル256、258として図示された冷却チャネルとを含む。第一のフランジ組立品206はまた、反応チャンバー102とのシールを形成する第一のシール部材260と、ゲート弁(図示せず)とのシールを形成するための第二のシール部材(これは図示されていないが、シール部材260と同一であるか類似していることができる)も含む。第一のフランジ組立品206はまた、第一のフランジ組立品206内の様々な場所で温度を測定するための一つ以上の熱電対262を含む。一つ以上の熱電対262からの温度情報を使用して、情報をコントローラー110に提供すること、および/またはヒーターおよび/もしくは第一のフランジ組立品206に対する冷却を制御することができる。第一のフランジ組立品206はまた、以下に記載の通り、一つ以上のヒーターリテーナーを含むことができる。
【0034】
第一のフランジ250は、ステンレス鋼などの任意の適切な材料で形成されることができる。図示した例において、第一のフランジ250は、反応器または反応チャンバーに連結するための第一の表面264と、カバープレートおよび/またはゲート弁に連結するための第二の表面266と、第一の表面264と第二の表面266の間の開口部268とを含む。第一の表面264は、シール部材260を受容するための陥凹部270を含む。同様に、第二の表面266は、別のシール部材(例えば、シール部材260と同一または類似のシール部材)を受容するための陥凹部を含むことができる。さらに、第一のフランジ250は、その中に形成された冷却チャネル256、258を含む。冷却チャネル256、258は、チャネル内に直接的にまたは管(例えば、パイプ)を介して冷却流体を受容するように構成されることができる。フランジ250はまた、一つ以上のヒーター254および252を受容するための陥凹部272および274を含む。フランジ250はまた、こうしたガスがフランジ250および/または反応チャンバー102内に形成される拡張ポート284、286、288、290、292、294、296、297、298、299に達するまで、反応物質/前駆体を分離したまま保持するように構成された様々な導管も含むことができる。例示的なフランジ導管構成およびポートは、2014年3月18日に出願された、「GAS DISTRIBUTION SYSTEM,REACTOR INCLUDING THE SYSTEM,AND METHODS OF USING THE SAME」と題する米国特許出願第14/218690号(特許文献2)に開示され、こうした内容が、本開示と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
図3は、第二のフランジ組立品114としての使用のために適切な第二のフランジ組立品300を図示する。第二のフランジ組立品300は、第二のフランジ302、ヒーター303、304、305、および306、ならびに水などの冷却流体を受容する冷却チャネル307、309、311、313を含む。第二のフランジ組立品300はまた、反応チャンバー102とのシールを形成する第一のシール部材、およびカバープレート308とのシールを形成するシール部材315を含む。第二のフランジ組立品300はまた、第二のフランジ組立品300内の様々な場所で温度を測定するための一つ以上の熱電対310~316を含む。一つ以上の熱電対310~316からの温度情報を使用して、情報をコントローラー110に提供すること、および/またはヒーターおよび/もしくは第二のフランジ組立品300に対する冷却を制御することができる。第二のフランジ組立品300はまた、ヒーターを定位置に保持するために一つ以上のヒーターリテーナー318を含むことができる。
【0036】
フランジ302は、ステンレス鋼またはハステロイなどの任意の適切な材料で形成されることができる。フランジ302は、反応器または反応チャンバーに連結するための第一の表面320と、カバープレート308に連結するための第二の表面322と、第一の表面320と第二の表面322の間の開口部324とを含む。第一の表面320は、シール部材を受容するための陥凹部を含む。同様に、第二の表面322は、シール部材315を受容するための陥凹部317を含む。さらに、フランジ302は、その中に形成された冷却チャネル307、309、311、313を含む。冷却チャネル307~313は、冷却流体を直接的に、または管(例えば、パイプ)を介して受容するように構成されることができる。フランジ302はまた、一つ以上のヒーター303、304、305、および306を受容するための、一つ以上の陥凹部(そのうちの2つの陥凹部323、325が図示されている)を含む。ヒーター303、304、305、および306を受容するための陥凹部をフランジ302内に形成することは、フランジ302の内部(反応チャンバー側)の近くでの、例えば第一の表面220の近くでのヒーターの定置を可能にする。同様に、冷却チャネル307、309、311、313をフランジ302内に少なくとも部分的に形成することは、シール部材315および他のシール部材に近接する冷却チャネルの定置を可能にする。さらに、陥凹部およびリテーナーを使用することによって、図示の通り、ヒーター303、304、305、および306は、反応器システム100からフランジ302を取り外すことなく、望ましい時に簡単に取り外す、および交換することができ、一方でフランジ302内の望ましい場所でのヒーターの定置を可能にする。図示の通り、フランジ302はまた、熱電対310~316および/または保持デバイス(例えば、ねじまたはボルト)を受容するための一つ以上の陥凹部を含むことができる。本明細書に記載の陥凹部は機械加工することができ、すなわちフランジ302を形成するために使用される材料の削り出しとすることができる。ヒーターのための、単なるドリル穴ではない機械加工は、例えばそれぞれのフランジ内でのヒーターの望ましい定置を可能にすることができる。
【0037】
ヒーター303、304、305、および306は、任意の適切な材料で形成されることができる。例として、ヒーター303、304、305、および306は、SAKAGUCHI E.H.VOC CORP、およびWatlowから入手可能なものなどの抵抗ヒーターである。例示的なヒーターは、約500~約1000ワットまたは約700ワットの出力を有する。図示しないが、ヒーター303、304、305、および306は、コントローラー110に、および/または適切な電力供給源に連結するケーブルを含むことができ、これをコントローラー110の一部としてまたはコントローラー110からは分離して含むことができる。例として、ヒーター303、304、305、および306は、フランジ302の区域を約150~約200℃の温度、または約180~約200℃の温度に加熱するように構成されることができる。
【0038】
本明細書に記載のシール部材315および他のシール部材は、シリコーンなどの耐熱性の弾性材料、Kalrez(登録商標)などのパーフルオロエラストマー(例えば、FFKM)、または例えばViton(商標)などのフッ素ポリマー(例えば、FKM)などの弾性材料で形成されることができる。
【0039】
本明細書に記載の熱電対310~316および他の熱電対は、任意の適切な熱電対を含むことができる。本明細書に記載の熱電対310~316および他の熱電対としての使用のために適切な例示的な熱電対は、OMEGA Engineeringから入手可能である。
【0040】
カバープレート308および/またはヒーターリテーナー318は、フランジ302と同一の材料で形成されることができる。例として、カバープレート308およびヒーターリテーナー318は、ステンレス鋼で形成されている。
【0041】
ここで図4を参照すると、固体前駆体供給源容器106としての使用のために適切な例示的な固体前駆体供給源容器400が図示されている。図示された固体前駆体供給源容器400は、ハウジングベース402、ハウジングリッド404、第一のトレイ406、および第二のトレイ408を含む。本開示による固体前駆体供給源容器は、2つのトレイ406、408を有して図示されているが、一つ以上のトレイを含む任意の適切な数のトレイを含むことができる。
【0042】
ハウジングリッド404およびハウジングベース402は、例えば取り付けデバイス(例えば、ボルト、ねじ、またはこれに類するもの)のうちの一つ以上を使用して、相互に機械的に取り付けられるように構成されることができる。ある特定の実施形態において、ハウジングリッド404およびハウジングベース402は、気密式で機械的に取り付けられている。
【0043】
固体前駆体供給源容器400が複数のトレイを含む時、トレイ406、408の流体構成は、互いに分離された流路の一部をトレイが形成するように、すなわち流路が固体前駆体供給源容器400内で互いに直接的に流体連通しないようにすることができる。しかしながら、トレイ406、408は別の方法として、直列または並列で互いに連通することができる。米国特許出願第15/283120号(特許文献3)は、固体前駆体供給源容器400としての使用のために適切な固体前駆体供給源容器の様々な構成を記載している。米国特許出願第15/283120号の内容は、その内容が本開示と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
図4に図示の通り、固体前駆体供給源容器400は、一つ以上の弁420、424、428、432、436を含むことができる。本開示の範囲内の他の構成は、5つの弁を有して図示されているが、より多数またはより少数の弁を可能にする。一部の実施形態において、弁はハウジングリッド404に取り外し可能に取り付けられることができる。
【0045】
一部の構成において、ハウジングリッド404は、一つ以上の(例えば、第一および第二の)入口弁420、424、一つ以上の(例えば、第一および第二の)出口弁432、436、および/または一つ以上の通気弁428を含む。一部の実施形態において、これらの弁はハウジングリッド404に取り付けられることができるが、ハウジングリッド404から分離されることができる。一部の実施形態において、弁はハウジングリッド404に取り外し可能に取り付けられることができる。
【0046】
第一のトレイ406および/または第二のトレイ408は、金属、特にステンレス鋼またはアルミニウムから成ることができる。同様に、一部の実施形態において、ハウジングリッド404および/またはハウジングベース402のうちの一つ以上は金属から成ることができる。第一のトレイ406および第二のトレイ408、ハウジングリッド404、および/またはハウジングベース402は各々、モノリシックの金属部品とすることができる。
【0047】
固体前駆体供給源容器400は、ハウジングベース402の中にフライス加工することができる一つ以上のポート用陥凹部410、412、414、416、および418を含むことができる。ある特定の構成において、ポート用陥凹部410、412、414、416、および418は、ハウジングベース402に機械的に取り付けられうる、対応する弁420、424、428、432、436に関連付けられたフィルターを受容するように適合されることができる。一つ以上の容器入口421、422、容器出口425、426、および/または容器通気ポート429を、ハウジングベース402の中にフライス加工することができる。一部の構成において、容器通気ポート429は、通気弁428と流体連通するように構成されることができる。一部の実施形態において、一つ以上のトレイ406、408は、一つ以上のトレイ入口430、431、一つ以上のトレイ出口440、442および/または一つ以上のトレイ通気チャネル441を含むことができる。
【0048】
一部の構成において、第一のトレイ406および第二のトレイ408の各々は、別個のトレイ通気チャネル441を含むように構成されることができる。一部の構成において、一つ以上のトレイ通気チャネル441は、対応する第一のトレイ406および/または第二のトレイ408の中にガスが流れ込むこと、および/またはこれらの外にガスが流れ出ることを許容するように構成されることができる。ある特定の実施形態において、一つ以上のトレイ通気チャネル441の各々は、容器通気ポート414と流体連通することができ、これは次に、通気弁428と流体連通することができる。一部の実施形態において、トレイ入口430、432は、対応する容器入口421、422と流体連通するように構成されることができる。同様に、トレイ出口440、442は、対応する容器出口425、426と流体連通するように構成されることができる。
【0049】
図4にさらに図示の通り、第一のトレイ406はその中に形成された第一の蛇行経路444を含むことができ、また第二のトレイ408はその中に形成された第二の蛇行する経路446を含むことができる。各蛇行経路444、446は、固体原料化学物質を保持するように、かつその上方にガス(例えば、キャリアガス)の流れを可能にするように適合されることができる。一部の構成において、各蛇行経路444、446は、第一のトレイ406および/または第二のトレイ408の中にフライス加工すること、かつ/または機械加工することができ、あるいは第一のトレイ406および/または第二のトレイ408は蛇行経路444、446を有するように成形されてもよい。一部の実施形態において、蛇行経路444、446は、固体(例えば、鋳造)金属ブロックからフライス加工で削り出すことができる。
【0050】
蛇行経路444、446は、対応するトレイ入口430、432、および/または対応するトレイ出口440、442、および/または対応するトレイ通気チャネル441と流体連通することができる。各蛇行経路444、446は、対応する入口弁420、424、および/または対応する出口弁432、436、および/または通気弁428と流体連通することができる。
【0051】
当然のことながら、より長い経路長さは、固体原料化学物質のガス曝露の表面積を増大させることができる。第一のトレイ406および第二のトレイ408の各々の蛇行経路444、446は、約2000mm~8000mmの範囲内の長さを有することができる。一部の実施形態において、蛇行経路444、446は、約3000mm~5000mmの範囲内の長さ、または約3973mmの長さを有することができる。従って、第一のトレイ406および第二のトレイ408の総経路長さは、約6000mm~10000mmの範囲内、または約7946mmとすることができる。
【0052】
図5は、(例えば、ガス分配システム104などのガス分配システムの)弁プレート504を加熱するように構成された弁プレートヒーター502と、関連付けられた弁506、508、510、512とを含む固体供給源組立品500を概略的に図示する。一部の実施形態において、弁プレートヒーター502は、放射熱を使用して弁プレート504を加熱するように構成されている、かつ位置付けられている。一部の実施形態において、容器ヒーター514は、固体前駆体供給源容器400およびそれに関連付けられた弁420、424、428、432、436を加熱するように構成されている。一部の実施形態において、容器ヒーター514は、放射熱を使用して固体前駆体供給源容器400を加熱するように構成されている。一部の実施形態において、別の容器ヒーター516は、ハウジングベース402の下方に配置することができる。一部の構成において、別の容器ヒーター516は、伝導によってハウジングベース402を加熱するように構成されている。
【0053】
引き続き図5を参照すると、ガスは固体前駆体供給源容器400から弁プレート504に流れることができる。一部の実施形態において、ガスは供給ポート1428、1432を介して一つ以上の高温フィードスルー1412、1416に方向付けられることができる。一部の実施形態は、一つ以上の高温フィードスルー1412、1416から一つ以上の反応チャンバー(例えば、反応チャンバー102)にガス流が方向付けられることができるように構成されている。
【0054】
一部の実施形態において、固体前駆体供給源容器400は、真空圧で動作することができる。一部の実施形態において、真空圧を、反応チャンバー102内の圧力より大きくすることができる。例えば、固体前駆体供給源容器400内の圧力は、約0.5Torr~20Torrの範囲内(5Torrなど)とすることができる。ある特定の実施形態において、固体供給源組立品内の真空圧は、一つ以上の圧力コントローラーを使用して調整することができる。
【0055】
一部の実施形態において、通気弁428を使用して、本明細書に記載のシステムおよび/または方法の一つ以上のトレイおよび/または一つ以上の弁から、加圧された不活性ガスを排出することができる。
【0056】
典型的な配設において、キャリアガスは、固体前駆体供給源容器400を通って(例えば、蛇行経路444、446内の固体化学物質床の上方を)流れる。しかしながら、他の実施形態において、ベンチュリ効果のように、容器の外側により低い圧力を作り出す外部ガス流によって前駆体蒸気を容器の外に引き出すことができる。例えば、容器の下流の経路に沿って一つ以上の反応チャンバー102に向かってキャリアガスを流すことによって、前駆体蒸気を引き出すことができる。一部の条件下で、これは容器とキャリアガスの流路との間に圧力差を作り出すことができる。この圧力差は、固体前駆体供給源容器400内の前駆体蒸気を一つ以上の反応チャンバー102に向かって流れさせる。
【0057】
上記に記載の開示の例示的な実施形態は、これらの実施形態が単に本発明の実施形態の実施例にすぎないため、本発明の範囲を限定しない。例えば、固体前駆体供給源容器を有して図示されていても、一部の実施例は固体供給源前駆体容器を含まない場合がある。任意の均等物の実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、記載の要素の代替的な有用な組み合わせなど、本明細書に示されかつ記載されたものに加えて、本開示の様々な修正は、記載内容から当業者には明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5