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特許7587387膜を選択的にエッチングするための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】膜を選択的にエッチングするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020171799
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2021068892
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】62/923,958
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フェイ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】アディティア・ワリンベ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-164559(JP,A)
【文献】国際公開第2019/046001(WO,A1)
【文献】特表2015-531547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に配置された膜を選択的にエッチングするための方法であって、
半導体処理デバイスの反応チャンバ内に第1の層および第2の層を有する基材を供給することと、
不活性ガスを遠隔プラズマユニット内に流すことによって、前記遠隔プラズマユニット内のプラズマを点火することと、
水素前駆体ガスおよびフッ素前駆体ガスをガス状混合物として、前記遠隔プラズマユニット内に同時に流すことと、
前記ガス状混合物を前記基材上に流すことによって、前記ガス状混合物と前記第1の層との間に反応を発生させ、前記第2の層を無傷に維持しながら、前記第1の層をエッチングすることと、を含み、
前記フッ素前駆体ガスが、三フッ化窒素(NF)と、四フッ化炭素(CF)と、六フッ化硫黄(SF)と、フッ化水素(HF)と、水蒸気を有するフッ化水素酸(HF)と、フッ素(F)とのうちの少なくとも1つを含み、
前記水素前駆体ガスが、水素(H)と、フッ化水素(HF)と、塩化水素(HCl)と、水(HO)とのうちの少なくとも1つを含み、
水素前駆体ガスおよびフッ素前駆体ガスを同時に流す前に、前記水素前駆体ガスまたは前記フッ素前駆体ガスを単独で前記遠隔プラズマユニット内に流すことをさらに含む方法。
【請求項2】
前記反応チャンバ内にアンモニア前駆体ガスを流すことによって、前記アンモニア前駆体ガスを前記ガス状混合物と混合することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンモニア前駆体ガスが、アンモニア(NH)と、ヒドラジン(N)と、尿素(NHCONH)とのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層が、酸化シリコンと、酸化ゲルマニウムと、酸化アルミニウムと、酸化コバルトと、酸化タングステンと、シリコンと、ゲルマニウムと、アルミニウムと、コバルトと、タングステンと、様々な金属の合金とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の層が、窒化シリコンと、金属窒化物と、窒化アルミニウムとのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記不活性ガスが、アルゴンと、クリプトンと、ヘリウムと、キセノンと、窒素とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基材上に配置された膜を選択的にエッチングするための半導体処理システムであって、
第1の層および第2の層を有する基材を保持および処理するように構成された反応チャンバと、
前記反応チャンバに連結された遠隔プラズマユニットと、
フッ素前駆体ガスを前記遠隔プラズマユニットに供給するように構成されたフッ素前駆体ガス源であって、前記フッ素前駆体ガスが、三フッ化窒素(NF)と、四フッ化炭素(CF)と、六フッ化硫黄(SF)と、フッ化水素(HF)と、水蒸気を有するフッ化水素酸(HF)と、フッ素(F)とのうちの少なくとも1つを含む、フッ素前駆体ガス源と、
水素前駆体ガスを前記遠隔プラズマユニットに供給するように構成された水素前駆体ガス源であって、前記水素前駆体ガスが、水素(H)と、フッ化水素(HF)と、塩化水素(HCl)と、水(HO)とのうちの少なくとも1つを含む、水素前駆体ガス源と、
不活性ガスを前記遠隔プラズマユニットに供給するように構成された不活性ガス源であって、前記不活性ガスが点火されて前記遠隔プラズマユニット内にプラズマが形成される、不活性ガス源と、を含み、
前記遠隔プラズマユニットが、前記フッ素前駆体ガスおよび前記水素前駆体ガスの流れを共に受けるように構成されていて、
ガス状混合物が前記基材上に流されることによって、前記第2の層を無傷に維持しながら、前記第1の層がエッチングされ、
前記遠隔プラズマユニットが、前記フッ素前駆体ガスおよび前記水素前駆体ガスの流れを共に受ける前に、前記水素前駆体ガスまたは前記フッ素前駆体ガスを単独で受けるようにさらに構成されている、システム。
【請求項8】
アンモニア前駆体ガスを前記反応チャンバに供給するように構成されたアンモニア前駆体ガス源をさらに含む、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記アンモニア前駆体ガスが、アンモニア(NH)と、ヒドラジン(N)と、尿素(NHCONH)とのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の層が、酸化シリコンと、酸化ゲルマニウムと、酸化アルミニウムと、酸化コバルトと、酸化タングステンと、シリコンと、ゲルマニウムと、アルミニウムと、コバルトと、タングステンと、様々な金属の合金とのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の層が、窒化シリコンと、金属窒化物と、窒化アルミニウムとのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記不活性ガスが、アルゴンと、クリプトンと、ヘリウムと、キセノンと、窒素とのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、半導体ウェーハを処理するための装置に関する。より具体的には、本開示は、追加的な処理の前に半導体ウェーハ上に特定の膜を選択的にエッチングするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの形成中に、複数の膜が形成される可能性が多くある。例えば、NMOSまたはPMOSデバイスを形成するために、いくつかの膜の堆積中に金属酸化物および酸化シリコンが形成され得る。特定の用途では、金属酸化物および酸化シリコンの除去は、追加的な膜が発生する前に必要とされ得る。
【0003】
金属酸化物および酸化シリコンの除去は、参照により本明細書に組み込まれる、「Plasma Pre‐Clean Module and Process」という名称の米国特許第9514927号(特許文献1)に記載されるように、特定の化学物質の流れによって達成され得る。特定の化学物質は、金属酸化物および酸化シリコン膜以外の追加的な膜のエッチングをもたらし得る。追加的な膜のエッチングは、最終的な半導体デバイスの形成のために追加的な膜が必要になる場合があるため、望ましくない。
【0004】
結果として、ある特定の膜を別の膜よりもエッチングする選択性を示す装置および方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9514927号明細書
【文献】米国特許出願第15/974948号
【発明の概要】
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施形態によると、基材上に配置された膜(例えば、半導体デバイスの形成に使用される膜)を選択的にエッチングするための方法が開示される。方法は、半導体処理デバイスの反応チャンバ内に基材を供給することであって、基材が、第1の層および第2の層を有する、供給することと、不活性ガスを遠隔プラズマユニット内に流すことによって、遠隔プラズマユニット内のプラズマを点火することと、水素前駆体ガスおよびフッ素前駆体ガスをガス状混合物として、遠隔プラズマユニット内に同時に流すことと、ガス状混合物を基材上に流すことであって、それによって反応がガス状混合物と第1の層との間に発生し、結果として第2の層を無傷に維持しながら、第1の層がエッチングされる、流すことと、を含むことができ、フッ素前駆体ガスは、三フッ化窒素(NF)、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、フッ化水素(HF)、水蒸気を有するフッ化水素(HF)、またはフッ素(F)のうちの少なくとも1つを含み、水素前駆体ガスは、水素(H)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、または水(HO)のうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、基材上に配置された膜を選択的にエッチングするためのシステムが開示される。システムは、基材を保持および処理するように構成された反応チャンバであって、基材が、第1の層および第2の層を有する、反応チャンバと、反応チャンバに連結された遠隔プラズマユニットと、フッ素前駆体ガスを遠隔プラズマユニットに供給するように構成されたフッ素前駆体ガス源であって、フッ素前駆体ガスが、三フッ化窒素(NF)、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、フッ化水素(HF)、水蒸気を有するフッ化水素(HF)、またはフッ素(F)のうちの少なくとも1つを含む、フッ素前駆体ガス源と、水素前駆体ガスを遠隔プラズマユニットに供給するように構成された水素前駆体ガス源であって、水素前駆体ガスが、水素(H)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、または水(HO)のうちの少なくとも1つを含む、水素前駆体ガス源と、不活性ガスを遠隔プラズマユニットに供給するように構成された不活性ガス源であって、不活性ガスが点火されて、遠隔プラズマユニット内にプラズマを形成する、不活性ガス源と、を含み、遠隔プラズマユニットは、フッ素前駆体ガスおよび水素前駆体ガスの流れを共に受けるように構成されており、遠隔プラズマユニットは、窒素前駆体ガスをフッ素前駆体ガスおよび水素前駆体ガスと混合してガス状混合物を形成するように構成されており、ガス状混合物が基材上に流され、結果として第2の層を無傷に維持しながら、第1の層がエッチングされる。
【0008】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するように提供する。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、更に詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図することも、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0009】
本明細書で開示される本発明のこれらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、ある特定の実施形態の図面を参照して以下に記載され、これは例示することを意図しており、本発明を限定することを意図してはいない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の少なくとも1つの実施形態による半導体デバイスの断面図である。
図1B】本発明の少なくとも1つの実施形態による半導体デバイスの断面図である。
図2A】本発明の少なくとも1つの実施形態による、膜を選択的にエッチングするための方法のフローチャートである。
図2B】本発明の少なくとも1つの実施形態による、膜を選択的にエッチングするための方法のフローチャートである。
図2C】本発明の少なくとも1つの実施形態による、膜を選択的にエッチングするための方法のフローチャートである。
図2D】本発明の少なくとも1つの実施形態による、膜を選択的にエッチングするための方法のフローチャートである。
図3】本発明の少なくとも1つの実施形態による半導体処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当然のことながら、図内の要素は、単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちのいくつかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0012】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、それらは、本発明が具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0013】
本明細書に示される図は、任意の特定の材料、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態を説明するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0014】
様々な実施形態は、基材の露出した表面から、酸化シリコン、酸化ゲルマニウム、または金属酸化物材料を除去するための洗浄プロセスに関する。実施形態はまた、シリコン、その元素形態の金属、様々な金属の合金、様々な金属の合金に関連する酸化物、シリコン、またはゲルマニウムのうちの少なくとも1つを除去するために使用され得る。結果として得られる洗浄された表面は、例えば、エピタキシャル成長シリコンなどの高品質半導体層の形成を可能にすることが理解されるであろう。
【0015】
図1Aは、洗浄プロセスを受ける前の半導体デバイス100を示している。半導体デバイス100は、基材110、中間層120、窒化物層130、および酸化物層140を含む。基材110は、シリコンまたはシリコンゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。中間層120は、例えば、窒化シリコン、炭窒化シリコン、またはホウ窒化シリコンなどの誘電体層を含んでもよい。中間層120は、例えば、炭化シリコンまたはオキシ炭化シリコンなどの他の材料も同様に含んでもよい。窒化物層130は、窒化シリコン、または窒化アルミニウムなどの金属窒化物を含んでもよい。酸化物層140は、例えば、酸化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、または酸化タングステンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
層の形成は、例えば、エピタキシャル堆積、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、またはプラズマ強化化学蒸着(PECVD)を介して行われてもよい。洗浄プロセスは、酸化物層140を完全に除去することができるが、窒化物層130、中間層120、および基材110は無傷のままに保たれることが望ましい。そのような結果が図1Bに示されている。
【0017】
洗浄プロセスの一部として、使用する化学物質によっては、一酸化窒素(NO)が形成される可能性があり、それは窒素含有誘電体膜の表面窒素に損傷を与える可能性がある。このため、本発明の実施形態は、(1)一酸化窒素の形成を防止すること、(2)酸化物層の高いエッチング選択性を維持すること、(3)窒化物層および誘電体層への損傷を回避すること、ならびに(4)シリコンとシリコンゲルマニウム層、金属と金属酸化物層、および非窒素含有誘電体層の表面の窒化を回避することを目的とする。
【0018】
さらに、特定の化学物質は、基材上の特定の膜に窒素不純物を導入する場合がある。例えば、炭化シリコン(SiC)または酸炭化シリコン(SiOC)を含む膜は、基材の近くに浮遊窒素原子、窒素ラジカル、またはイオンがある場合に、悪影響を受ける可能性がある。窒素原子は、膜内に組み込まれて、炭窒化シリコン(SiCN)または炭窒酸化シリコン(SiOCN)を形成することがあり、このことはデバイスの形成にとって潜在的に望ましくない。
【0019】
図2Aは、(1)反応チャンバ内に基材を供給するためのステップ210、(2)プラズマ点火のためのステップ220、(3)遠隔プラズマユニット(RPU)内にフッ素前駆体を流すためのステップ230A、(4)RPU内にフッ素前駆体および水素前駆体を共に流すためのステップ240、(5)フッ素-水素前駆体混合物にアンモニア前駆体を追加し、得られた混合物を基材上に流すための任意選択的なステップ250、および(6)基材に追加の処理を実施するためのステップ270を含み得る、エッチングプロセス200Aを示している。エッチングプロセス200Aのステップは、任意選択的な繰り返しサイクル260を介して再び行われてもよい。
【0020】
ステップ210は、エピタキシャル堆積、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、またはプラズマ強化化学蒸着(PECVD)を実施するための反応チャンバで行うことができる。ステップ210はまた、垂直炉内で行われてもよい。
【0021】
プラズマ点火のためのステップ220は、不活性ガスを流すこと、および遠隔プラズマユニット内でプラズマを点火することを含んでもよい。不活性ガスは、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、キセノン、または窒素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。不活性ガスは、0~300℃、10~150℃、または20~80℃の範囲の温度で遠隔プラズマに入ることができる。不活性ガスの圧力は、0.1~50Torr、0.1~20Torr、または0.1~10Torrの範囲であってもよい。不活性ガスは、0標準リットル/分(slm)~30slm、0slm~10slm、または0.5slm~5slmの範囲の流量で遠隔プラズマユニットに入ることができる。遠隔プラズマユニットは、MKS Instrumentsによって製造されたものの1つを含み得る。不活性ガスは、後続のステップ中に流れ続け得る。
【0022】
フッ素前駆体を流すためのステップ230は、三フッ化窒素(NF)、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、フッ化水素(HF)、水蒸気を有するフッ化水素酸(HF)、またはフッ素(F)のうちの少なくとも1つを流すことを含むことができる。フッ素前駆体ガスは、-100~200℃、0~150℃、または20~80℃の範囲の温度で遠隔プラズマに入ることができる。フッ素前駆体の圧力は、0.5~50Torr、0.5~20Torr、または1.5~10Torrの範囲であってもよい。フッ素前駆体ガスの流量は、0~5000標準立方センチメートル/分(sccm)、0~1000sccm、または0~100sccmの範囲であり得る。フッ素前駆体がRPUに達すると、フッ素ラジカルおよび窒素ラジカルが形成され得る。ステップ230の間、不活性ガスは、同様にRPUへと流れ続けることができる。
【0023】
フッ素前駆体および水素前駆体を共に流すためのステップ240は、三フッ化窒素(NF)、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、フッ化水素(HF)、水蒸気を有するフッ化水素酸(HF)、またはフッ素(F)のうちの少なくとも1つを含むフッ素前駆体としての流れをもたらし得る。共に流すステップ240はまた、水素(H)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、アンモニア(NH)、または水(HO)のうちの水素前駆体少なくとも1つとしての流れを含んでもよい。共に流されるガスは、0~200℃、0~100℃、または20~80℃の範囲の温度で遠隔プラズマに入ることができる。共に流されるガスの圧力は、0.1~50Torr、0.1~20Torr、または0.1~10Torrの範囲であってもよい。共に流されるガスの流量は、0~5000sccm、0~1000sccm、または0~300sccmの範囲であってもよい。
【0024】
水素前駆体はフッ素前駆体と相互作用して、フッ化アンモニウム(NHF)、アンモニア(NH)、フッ素ラジカル、フッ化水素(HF)、NHラジカルおよびイオン、NHラジカルおよびイオン、NFラジカルおよびイオン、NFラジカルおよびイオンの混合物を形成する。さらに、水素前駆体は、窒素ラジカルがバックグラウンド酸素と反応して、望ましくない一酸化窒素(NO)を形成し得る前に、RPU内のいくつかの窒素ラジカルをクエンチすることにより、RPUの安定化に役立つ。ステップ240の間、不活性ガスは、同様にRPUへと流れ続けることができる。
【0025】
アンモニア前駆体を添加し、得られた混合物を基材250上に流すステップは、任意選択的であり、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、または尿素(NHCONH)のうちの少なくとも1つを含むアンモニア前駆体の流れをもたらし得る。ステップ250は、エッチングされる層が、例えば、酸化シリコン、または酸化アルミニウム、酸化コバルト、もしくは酸化タングステンなどの金属酸化物を含む場合に使用され得る。アンモニア前駆体をRPUと反応チャンバとの間の導管に挿入して、以前に流れた水素前駆体とフッ素前駆体を混合することができる。その後、得られたガス混合物は、処理される基材を保持する反応チャンバ内に流れる。エッチングされる層が、例えば、元素シリコン、またはアルミニウム、コバルト、もしくはタングステンなどの元素金属のうちの少なくとも1つを含む場合、ステップ250は使用されなくてもよい。
【0026】
得られたガス混合物と酸化物層140との間に、反応が発生する。本発明の一実施形態では、NFは、HおよびNHと共に流して酸化シリコン層をエッチングし、結果として得られる化学反応経路は、以下の通りであり得る。
NF+H+NH→NHF(またはNHHF
NHF+SiO→(NHSiF
【0027】
エッチングプロセスが完了した後、エッチングプロセス200Aの特定のステップは、繰り返しサイクルステップ260を介して再び行うことができ、または基材は、追加の処理を実施するステップ270において他の処理を受けられ得る。追加的な処理ステップ270は、例えば、エピタキシャル堆積、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、またはプラズマ強化化学蒸着(PECVD)などの堆積プロセスを含み得る。別の方法として、追加的な処理ステップ270は、第3の材料を潜在的に除去するための異なるエッチングプロセスを含んでいてもよく、例えば、異なるエッチングプロセスを使用して、炭素含有層を除去してもよい。
【0028】
図2Bは、図2Aに示すものと類似したエッチングプロセス200Bを示している。主な違いは、エッチングプロセス200Bでは、RPU内にフッ素前駆体および水素前駆体を共に流すステップの前に、RPU内に水素前駆体ガスを流すためのステップ230Bがあることである。RPU内に水素前駆体ガスを流すためのステップ230Bは、水素(H)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、アンモニア(NH)、または水(HO)のうちの少なくとも1つを水素前駆体としての流れを含んでもよい。水素前駆体ガスの圧力は、0.1~50Torr、0.1~20Torr、または0.1~10Torrの範囲であり得る。水素前駆体ガスの流量は、0~5000sccm、0~1000sccm、または0~300sccmの範囲であり得る。
【0029】
図2Cは、図2Aまたは図2Bに示すものと類似したエッチングプロセス200Cを示している。主な違いは、エッチングプロセス200Cでは、RPU内にフッ素前駆体および水素前駆体を共に流すステップの前に、水素前駆体ガスまたはフッ素前駆体ガスのいずれかをRPU内に流すステップがないことである。
【0030】
図2Dは、図2Aに示すものと類似したエッチングプロセス200Dを示している。エッチングプロセス200Dはまた、基材に炭素除去プロセスを実施するためのステップ215を含んでいてもよい。炭素除去プロセスは、不活性ガスを使用して、RPU内に水素(H)またはアンモニア(NH)を流して、基材の表面から炭素層、炭素含有層、または炭素質汚染物質を除去する水素ラジカルを生成することによって達成され得る。
【0031】
このステップ215を実施するための装置は、炭素除去プロセスだけでなく図2A図2Cに示すエッチングプロセス200A~200Cを実施するように構成された集積半導体処理デバイスであり得る。炭素層、炭素含有層、または炭素質汚染物質を除去するためのそのような装置および方法の実施例は、参照により本明細書に組み込まれ、かつ付録として本明細書に添付される、米国特許出願第15/974948号(「Apparatus for Use with Hydrogen Radicals and Method of Using Same」という名称で、2018年5月8日に出願)(特許文献2)に開示されている。
【0032】
上述のプロセスの結果として、界面不純物が低減され得る。界面不純物は、基材上の露出した表面に埋め込まれ得る窒素原子/ラジカル/イオンが浮動することによって引き起こされ得る。界面不純物の減少は、0~100%、50~100%、または90~99%の範囲の割合で低減され得る。
【0033】
同時に、上述のプロセスは、非エッチング層を維持して非エッチング層の大幅な損失を防止し得る。例えば、基材が酸化シリコン層および窒化シリコン層の両方を有する状況では、上述のプロセスは、窒化シリコン層のエッチングと比較して、酸化シリコン層のより選択的なエッチングを可能にし得る。酸化シリコン層をエッチングするための酸化シリコン層のエッチングの選択性は、20:1を超える比、または100:1を超える比、または200:1を超える比で説明され得る。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、基材処理システム300が図3に開示されている。基材処理システム300は、反応チャンバ310と、遠隔プラズマユニット320と、フッ素前駆体ガス源330Aと、水素前駆体ガス源330Bと、窒素前駆体ガス源330Bと、不活性ガス源330Dと、遠隔プラズマユニット320と反応チャンバ310との間に配置された経路340と、ガス源330A~330Dと遠隔プラズマユニット320をリンクする複数のガスライン350A~350Dと、を含む。様々な実施形態では、基材処理システムは複数の遠隔プラズマユニット(例えば、フッ素ラジカルを生産するためにフッ素源に連結されたもの、および水素ラジカルを生産するために水素源に連結されたもの)を含んでもよい。
【0035】
示され説明された特定の実施形態は、本発明およびその最良の形態の例示であり、態様および実施形態の範囲をなんら限定することを意図しない。実際、簡潔さのために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に説明していない場合がある。さらに、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的連結を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加の機能的関係、もしくは物理的接続は実際のシステムに存在してもよく、および/または幾つかの実施形態では存在しなくてもよい。
【0036】
本明細書に記載の構成および/または方法は本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるため、限定的な意味とみなされるべきではないと理解すべきである。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの1つ以上を表す場合がある。したがって、例示された様々な動作は、例示された順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、または場合によっては省略されてもよい。
【0037】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性の、全ての新規かつ自明でない組合せおよび部分的組合せ、ならびにその任意のおよび全ての均等物を含む。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3