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特許7587548温度調整用流量制御ユニットおよび半導体製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】温度調整用流量制御ユニットおよび半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/19 20060101AFI20241113BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241113BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
G05D23/19 J
H01L21/302 101G
H01L21/68 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022072310
(22)【出願日】2022-04-26
(65)【公開番号】P2023161767
(43)【公開日】2023-11-08
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優子
(72)【発明者】
【氏名】西川 桂一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】吉村 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】片桐 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】村上 良
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-026561(JP,A)
【文献】特開2009-117443(JP,A)
【文献】特開2014-063972(JP,A)
【文献】特開2008-251681(JP,A)
【文献】特開2020-160731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 23/19
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置の備えるサセプタに温調用流体を循環させることで、前記サセプタの温度を、所定の第1温度から所定の第2温度に調整する温度調整用流量制御ユニットにおいて、
前記温調用流体を前記サセプタに出力する出力配管と、
前記出力配管から出力される前記温調用流体の温度を測定する第1温度測定部と、
前記出力配管から前記サセプタに出力され、前記サセプタを循環した温調用流体である循環後温調用流体が入力される入力配管と、
前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を指示する温度制御値を生成する制御装置と、
前記温度制御値に基づき、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を調整する流体制御部と、
前記循環後温調用流体の現在温度を測定する第2温度測定部と、
を備えること、
前記温度制御値は、前記第2温度よりも高い温度を指示する所定の第1温度制御値と、前記第2温度と同一の温度を指示する第2温度制御値と、を含むこと、
前記流体制御部は、
前記現在温度が前記第2温度よりも低い場合、
前記現在温度が前記第2温度よりも低い所定の閾値に上昇するまで、前記第1温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第1の調整をし、
前記現在温度が前記閾値まで上昇したとき、前記第2温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第2の調整をすること、
前記第2の調整における前記温度制御値は、前記第1温度制御値から前記第2温度制御値まで漸次変動をするものであること、
前記漸次変動は、前記現在温度が前記閾値を下回らない傾きに設定されること、
を特徴とする温度調整用流量制御ユニット。
【請求項2】
半導体製造装置の備えるサセプタに温調用流体を循環させることで、前記サセプタの温度を、所定の第1温度から所定の第2温度に調整する温度調整用流量制御ユニットにおいて、
前記温調用流体を前記サセプタに出力する出力配管と、
前記出力配管から出力される前記温調用流体の温度を測定する第1温度測定部と、
前記出力配管から前記サセプタに出力され、前記サセプタを循環した温調用流体である循環後温調用流体が入力される入力配管と、
前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を指示する温度制御値を生成する制御装置と、
前記温度制御値に基づき、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を調整する流体制御部と、
前記循環後温調用流体の現在温度を測定する第2温度測定部と、
を備えること、
前記温度制御値は、前記第2温度よりも低い温度を指示する所定の第1温度制御値と、前記第2温度と同一の温度を指示する第2温度制御値と、を含むこと、
前記流体制御部は、
前記現在温度が前記第2温度よりも高い場合、
前記現在温度が前記第2温度よりも高い所定の閾値に低下するまで、前記第1温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第1の調整をし、
前記現在温度が前記閾値まで低下したとき、前記第2温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第2の調整をすること、
前記第2の調整における前記温度制御値は、前記第1温度制御値から前記第2温度制御値まで漸次変動をするものであること、
前記漸次変動は、前記現在温度が前記閾値を上回らない傾きに設定されること、
を特徴とする温度調整用流量制御ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温度調整用流量制御ユニットにおいて、
前記流体制御部は、
前記温調用流体の温度を低下させるための低温流体が流れる低温配管と、前記温調用流体の温度を上昇させるための高温流体が流れる高温配管と、前記出力配管と前記入力配管と前記低温配管と前記高温配管とに接続されるスプール弁と、を備え、
前記スプール弁により、前記循環後温調用流体と前記低温流体と前記高温流体の流量分配比率を制御し、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を調整すること、
を特徴とする温度調整用流量制御ユニット。
【請求項4】
請求項1または2に記載の温度調整用流量制御ユニットにおいて、
前記入力配管は、前記温調用流体を循環させるポンプを備え、
前記第2温度測定部は、前記ポンプよりも上流側に設けられること、
を特徴とする温度調整用流量制御ユニット。
【請求項5】
請求項1または2に記載の温度調整用流量制御ユニットにおいて、
前記入力配管と前記サセプタとを接続する結合配管を更に備え、
前記第2温度測定部は、前記結合配管に設けられること、
を特徴とする温度調整用流量制御ユニット。
【請求項6】
前記サセプタと、
前記サセプタに接続された請求項1または2に記載の温度調整用流量制御ユニットと、を備えること、
を特徴とする半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置の備えるサセプタに温調用流体を循環させることで、サセプタの温度を、所定の第1温度から所定の第2温度に調整する温度調整用流量制御ユニットおよびそのような温度調整用流量制御ユニットを備える半導体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造に用いられるRIE(Reactive Ion Etching)型のプラズマ処理装置は、処理容器内のサセプタによりウエハを保持した状態で、処理容器内にプロセスガスを導入し、ウエハのエッチング処理を行う。エッチング処理には、複数種のプロセスガスが用いられるところ、プロセスガス毎に異なる処理条件が設定されている。この処理条件には処理対象となるウエハの温度も含まれており、ウエハの温度を処理条件に合致したものとするために、ウエハを保持するサセプタの温度を制御することが行われている。
【0003】
ここで、サセプタの温度を制御する技術としては、特許文献1に開示されるような、温調用流体をサセプタに循環させることでサセプタの温度を調整する温度調整用流量制御ユニットが知られている。このような従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットは、図6に示すように、サセプタの温度を調整する。図6は、従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットにおける、温調用流体の温度とサセプタの温度の関係を表すグラフである。波形C4は、サセプタの温度を第2温度T12に調整する場合における、温調用流体の温度を制御するための温度制御値を表している。波形W71は、温度調整用流量制御ユニットがサセプタに入力する温調用流体の温度変化を表している。波形W81は、サセプタの温度変化を表している。
【0004】
例えば、プロセスガスの切り替えを行うために、サセプタの温度を第1温度T11から、第1温度T11よりもΔTaだけ高い第2温度T12まで上昇させるとした場合、従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットは、図6の波形C4に示すように、温調用流体の温度を第2温度T12と同一の温度とするよう指示する温度制御値を生成する。そして、この温度制御値に基づき、サセプタに入力される温調用流体の温度がサセプタの第2温度T12と同一の温度に制御する(波形W71)。これにより、サセプタは、第2温度T12となった温調用流体に加熱されるため、サセプタの温度が時間に比例して第2温度T12まで上昇していく(波形W81)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-160731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットは、サセプタの温度の調整に時間がかかるという点で問題である。ここで、図7は、第1温度T11と第2温度T12の差であるΔTaの値毎に、サセプタの温度が第2温度T12に到達するまでの時間(時点X1から時点X6までの時間ΔXd)についてまとめた表である。例えば、ΔTaが30℃であり、目標温度T52が40℃であるときの25秒という値は、サセプタの温度を30℃上昇させて40℃に到達させたとき(すなわち、サセプタの温度を10℃から40℃まで上昇させたとき)の時間ΔXdが25秒であることを意味する。なお、ΔTaを30℃と40℃の場合を示しているのは、一般的なエッチング処理の処理条件においては、ΔTaが30~40℃である場合が多いためであり、あくまで例示である。
【0007】
ΔTaが30℃または40℃であるとき、時間ΔXdは、図7に示すように、25~48秒となる。プロセスガスを切り替える度に、このような時間を要していると、プロセスガスの種類や処理条件の数に応じて時間が累積し、1枚のウエハのエッチング処理を行うごとに数分間のロスが発生することになりかねず、半導体製造効率の低下が懸念される。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、サセプタの温度の調整を高速に行うことが可能な温度調整用流量制御ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様における温度調整用流量制御ユニットは、次のような構成を有している。
【0010】
半導体製造装置の備えるサセプタに温調用流体を循環させることで、前記サセプタの温度を、所定の第1温度から所定の第2温度に調整する温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記温調用流体を前記サセプタに出力する出力配管と、前記出力配管から出力される前記温調用流体の温度を測定する第1温度測定部と、前記出力配管から前記サセプタに出力され、前記サセプタを循環した温調用流体である循環後温調用流体が入力される入力配管と、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を指示する温度制御値を生成する制御装置と、前記温度制御値に基づき、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を調整する流体制御部と、前記循環後温調用流体の現在温度を測定する第2温度測定部と、を備えること、前記温度制御値は、前記第2温度よりも高い温度を指示する所定の第1温度制御値と、前記第2温度と同一の温度を指示する第2温度制御値と、を含むこと、前記流体制御部は、前記現在温度が前記第2温度よりも低い場合、前記現在温度が前記第2温度よりも低い所定の閾値に上昇するまで、前記第1温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第1の調整をし、前記現在温度が前記閾値まで上昇したとき、前記第2温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第2の調整をすること、を特徴とする。
【0011】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記第2の調整おける前記温度制御値は、前記第1温度制御値から前記第2温度制御値まで漸次変動するものであること、とするのが好ましい。
【0012】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記流体制御部は、前記温調用流体の温度を低下させるための低温流体が流れる低温配管と、前記温調用流体の温度を上昇させるための高温流体が流れる高温配管と、前記出力配管と前記入力配管と前記低温配管と前記高温配管とに接続されるスプール弁と、を備え、前記スプール弁により、前記循環後温調用流体と前記低温流体と前記高温流体の流量分配比率を制御し、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を調整すること、とするのが好ましい。
【0013】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記入力配管は、前記温調用流体を循環させるポンプを備え、前記第2温度測定部は、前記ポンプよりも上流側に設けられること、とするのが好ましい。
【0014】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記入力配管と前記サセプタとを接続する結合配管を更に備え、前記第2温度測定部は、前記結合配管に設けられること、とするのが好ましい。
【0015】
上記の温度調整用流量制御ユニットは、第2温度測定部により、循環後温調用流体の現在温度を測定している。循環後温調用流体は、サセプタを循環した後の温調用流体であるため、その温度は、サセプタの温度と同視することができる。例えば、RIE型のプラズマ処理装置におけるサセプタは、プラズマ化したプロセスガスの影響等により、温度を直接測定することが困難である。そこで、サセプタを循環した後の循環後温調用流体の現在温度を測定することで、安定してサセプタの温度を監視することが可能になる。
【0016】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットは、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタの温度)が第2温度よりも低い場合、サセプタの温度を所定の第2温度に調整するために、循環後温調用流体の現在温度(サセプタの温度)が第2温度よりも低い所定の閾値に上昇するまで、前記第2温度よりも高い温度を指示する所定の第1温度制御値により、温調用流体の温度を調整(第1の調整)する。よって、サセプタは第2温度よりも高い温度の温調用流体により加熱され、サセプタの温度が、第1温度から第2温度に高速に上昇する。そして、循環後温調用流体の現在温度(サセプタの温度)が閾値まで上昇したとき、第2温度と同一の温度を指示する第2温度制御値により、温調用流体の温度を調整(第2の調整)するため、サセプタの温度を第2温度に安定させることが可能である。
【0017】
ここで、所定の第1温度制御値について説明する。第1温度制御値は、第2温度よりも高く設定されるほど、より高速に、サセプタの温度が第1温度から第2温度に上昇する。したがって、第1温度制御値は、サセプタの温度を第1温度から第2温度に上昇させるためにかける目標時間に応じて、適宜設定される。
【0018】
また、所定の第1温度、所定の第2温度 所定の閾値について説明する。例えば、RIE型のプラズマ処理装置によりウエハのエッチング処理を行う工程において、プロセスガスの切り替えのために、処理条件を第1条件から第2条件に変更するものとした場合、所定の第1温度とは、第1条件におけるサセプタの目標温度であり、所定の第2温度とは、第2条件のためのサセプタの目標温度である。また、所定の閾値とは、第1条件から第2条件に変更する際、サセプタの温度が第2温度に達する前であっても、第2条件による処理を開始することが可能な温度に設定される。
【0019】
また、本発明の他の態様における温度調整用流量制御ユニットは、次のような構成を有している。
【0020】
半導体製造装置の備えるサセプタに温調用流体を循環させることで、前記サセプタの温度を、所定の第1温度から所定の第2温度に調整する温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記温調用流体を前記サセプタに出力する出力配管と、前記出力配管から出力される前記温調用流体の温度を測定する第1温度測定部と、前記出力配管から前記サセプタに出力され、前記サセプタを循環した温調用流体である循環後温調用流体が入力される入力配管と、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を指示する温度制御値を生成する制御装置と、前記温度制御値に基づき、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を調整する流体制御部と、前記循環後温調用流体の現在温度を測定する第2温度測定部と、を備えること、前記温度制御値は、前記第2温度よりも低い温度を指示する所定の第1温度制御値と、前記第2温度と同一の温度を指示する第2温度制御値と、を含むこと、前記流体制御部は、前記現在温度が前記第2温度よりも高い場合、前記現在温度が前記第2温度よりも高い所定の閾値に低下するまで、前記第1温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第1の調整をし、前記現在温度が前記閾値まで低下したとき、前記第2温度制御値により、前記温調用流体の温度を調整する第2の調整をすること、を特徴とする。
【0021】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記第2の調整おける前記温度制御値は、前記第1温度制御値から前記第2温度制御値まで漸次変動するものであること、とするのが好ましい。
【0022】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記流体制御部は、前記温調用流体の温度を低下させるための低温流体が流れる低温配管と、前記温調用流体の温度を上昇させるための高温流体が流れる高温配管と、前記出力配管と前記入力配管と前記低温配管と前記高温配管とに接続されるスプール弁と、を備え、前記スプール弁により、前記循環後温調用流体と前記低温流体と前記高温流体の流量分配比率を制御し、前記出力配管から出力する前記温調用流体の温度を調整すること、とするのが好ましい。
【0023】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記入力配管は、前記温調用流体を循環させるポンプを備え、前記第2温度測定部は、前記ポンプよりも上流側に設けられること、とするのが好ましい。
【0024】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットにおいて、前記入力配管と前記サセプタとを接続する結合配管を更に備え、前記第2温度測定部は、前記結合配管に設けられること、とするのが好ましい
【0025】
上記の温度調整用流量制御ユニットは、第2温度測定部により、循環後温調用流体の現在温度を測定している。循環後温調用流体は、サセプタを循環した後の温調用流体であるため、その温度は、サセプタの温度と同視することができる。例えば、RIE型のプラズマ処理装置におけるサセプタは、プラズマ化したプロセスガスの影響等により、温度を直接測定することが困難である。そこで、サセプタを循環した後の循環後温調用流体の現在温度を測定することで、安定してサセプタの温度を監視することが可能になる。
【0026】
また、上記の温度調整用流量制御ユニットは、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタの温度)が第2温度よりも高い場合、サセプタの温度を所定の第2温度に調整するために、循環後温調用流体の現在温度(サセプタの温度)が第2温度よりも高い所定の閾値に低下するまで、前記第2温度よりも低い温度を指示する所定の第1温度制御値により、温調用流体の温度を調整(第1の調整)する。よって、サセプタは第2温度よりも低い温度の温調用流体により冷却され、サセプタの温度が、第1温度から第2温度に高速に低下する。そして、循環後温調用流体の現在温度(サセプタの温度)が閾値まで低下したとき、第2温度と同一の温度を指示する第2温度制御値により、温調用流体の温度を調整(第2の調整)するため、サセプタの温度を第2温度に安定させることが可能である。
【0027】
ここで、所定の第1温度制御値について説明する。第1温度制御値は、第2温度よりも低く設定されるほど、より高速に、サセプタの温度が第1温度から第2温度に低下する。したがって、第1温度制御値は、サセプタの温度を第1温度から第2温度に低下させるためにかける目標時間に応じて、適宜設定される。
【0028】
また、所定の第1温度、所定の第2温度、所定の閾値について説明する。例えば、RIE型のプラズマ処理装置によりウエハのエッチング処理を行う場合であって、プロセスガスの切り替えのために、処理条件を第1条件から第2条件に変更するものとした場合、所定の第1温度とは、第1条件におけるサセプタの目標温度であり、所定の第2温度とは、第2条件のためのサセプタの目標温度である。また、所定の閾値とは、第1条件から第2条件に変更する際、サセプタの温度が第2温度に達する前であっても、第2条件による処理を開始することが可能な温度に設定される。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様における半導体製造装置は、前記サセプタと、前記サセプタに接続された上記の温度調整用流量制御ユニットと、を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明の温度調整用流量制御ユニットおよび半導体製造装置によれば、サセプタの温度の調整を高速に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニットの回路図である。
図2】第1の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニットにおける、温調用流体の温度と循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタの温度)の関係を表すグラフである。
図3】第2の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニットにおける、温調用流体の温度と循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタの温度)の関係を表すグラフである。
図4】第1温度と第2温度の差であるΔTaの値毎に、サセプタの温度が第2温度に到達するまでの時間についてまとめた表である。
図5】第3の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニットにおける、温調用流体の温度と循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタの温度)の関係を表すグラフである。
図6】従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットにおける、温調用流体の温度とサセプタの温度の関係を表すグラフである。
図7】従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットにおいて、第1温度と第2温度の差であるΔTaの値毎に、サセプタの温度が第2温度に到達するまでの時間についてまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施形態)
本発明に係る温度調整用流量制御ユニットの第1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
(概略構成について)
図1は、本発明の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニット1(以下「ユニット1」ともいう)の回路図である。本形態のユニット1は、例えば、半導体製造装置1000の温度を制御する温度制御システム1001に用いられる。
【0034】
本形態の半導体製造装置1000は、RIE(Reactive Ion Etching)型のプラズマ処理装置として構成される。半導体製造装置1000は、図示しない処理容器の中に配設されたサセプタ1002にウエハWが載置され、所定の温度に制御されたウエハWにエッチング処理を施す。
【0035】
エッチング処理には、複数種のプロセスガスが用いられるところ、プロセスガス毎に異なる処理条件が設定されている。この処理条件には処理対象となるウエハWの温度も含まれており、ウエハWの温度を処理条件に合致したものとするために、ウエハWを保持するサセプタ1002の温度を、温度制御システム1001により制御する。
【0036】
温度制御システム1001は、温度調整部1003(以下「調温部1003」と略記する)と、ユニット1と、チラーユニット1004とを備える。
【0037】
調温部1003は、サセプタ1002の内部に設けられ、温度調整用流量制御ユニット1から出力される温調用流体をサセプタ1002に循環させる。温調用流体は、広い温度帯で物性変化が少ないフッ素系不活性流体である。温調用流体は、例えば、3M社製のフロリナートである。
【0038】
チラーユニット1004は、コールドチラー1020とホットチラー1010を備える。コールドチラー1020は、温調用流体の温度を低下させるために、例えば-30℃に制御された低温流体を循環させるものである。低温流体の循環圧力は、低温側制御弁1023により制御される。また、ホットチラー1010は、温調用流体の温度を上昇させるために、例えば120℃に制御された高温流体を循環させるものである。高温流体の循環圧力は、高温側制御弁1013により制御される。
【0039】
ユニット1は、サセプタ1002に温調用流体を入力するための第1結合配管1005と、サセプタ1002を循環した後の温調用流体(以下、循環後温調用流体と言う)が出力される第2結合配管1006とを備えうる。ユニット1は、第1結合配管1005と第2結合配管1006により、サセプタ1002に接続されている。
【0040】
ユニット1は、第1結合配管1005と接続する入力配管3と、第2結合配管1006と接続する出力配管4と、低温流体が流れる低温流体用入力配管5および低温流体用出力配管6と、高温流体が流れる高温流体用入力配管7および高温流体用出力配管8と、温調用流体を循環させるポンプ14と、流体制御部24と、制御装置1030とを備える。低温流体用入力配管5と低温流体用出力配管6は、低温配管の一例である。高温流体用入力配管7と高温流体用出力配管8は、高温配管の一例である。
【0041】
入力配管3には、上流側から順に、第3フィルタブロック43と、バッファタンク12と、ポンプ14と、が配設されている。
【0042】
入力配管3には、第1結合配管1005から循環後温調用流体が入力される。ここで、第1結合配管1005には、第2温度センサ61(第2温度測定部の一例)が配設されており、循環後温調用流体の現在温度を測定することが可能となっている。温度制御システム1001は、循環後温調用流体の現在温度を測定することでサセプタ1002の現在温度を得ている。循環後温調用流体は、サセプタ1002を循環した後の温調用流体であるため、その温度は、サセプタ1002の温度と同視することができるからである。また、第2温度センサ61は第1結合配管1005に配設されているため、ポンプ14の上流側に配設されることになる。このため、ポンプ14による発熱の影響を受けることなく、循環後温調用流体の温度を測定できる。RIE型のプラズマ処理装置におけるサセプタは、プラズマ化したプロセスガスの影響等により、温度を直接測定することが困難であるが、サセプタ1002を循環した後の循環後温調用流体の現在温度を測定することで、安定してサセプタ1002の温度を監視することが可能になる。なお、第2温度センサ61の配設する位置は、必ずしも第1結合配管1005上に限定されるものではなく、入力配管3に配設するものとしても良いが、循環後温調用流体の現在温度をサセプタ1002の現在温度と同視するためには、第2温度センサ61は、ポンプ14の上流側であって、かつサセプタ1002と可能な限り近い位置に配設されることが好ましい。
【0043】
出力配管4は、温調用流体を第2結合配管1006に出力する。出力配管4には、上流側から順に、流量センサ23と、第1温度センサ64(第1温度測定部の一例)が配設されている。第1温度センサ64は、出力配管4から出力する温調用流体の温度を測定する。流体制御部24は、入力配管3と出力配管4を介して調温部1003に接続し、図1中の破線矢印D1に示すように、温調用流体が調温部1003と流体制御部24との間を循環する。
【0044】
低温流体用入力配管5と低温流体用出力配管6は、流体制御部24をコールドチラー1020に接続しており、図1中の破線矢印D2に示すように、低温流体が流体制御部24に入出力される。流体制御部24に入力される低温流体の温度と圧力は、低温流体用入力配管5上に配設された第3温度センサ62と第1圧力センサ51により測定される。また、低温流体用入力配管5には、第1フィルタブロック41が配設されており、第1フィルタブロック41は、低温流体用入力配管5から流体制御部24に入力される低温流体の異物を除去する。
【0045】
高温流体用入力配管7と高温流体用出力配管8は、流体制御部24をホットチラー1010に接続しており、図1中の破線矢印D3に示すように、高温流体が流体制御部24に入出力される。流体制御部24に流入する高温流体の温度と圧力は、高温流体用入力配管7上に配設された第4温度センサ63と第2圧力センサ52により測定される。また、高温流体用入力配管7には、第2フィルタブロック42が配設されており、第2フィルタブロック42は、高温流体用入力配管7から流体制御部24に入力される高温流体の異物を除去する。
【0046】
流体制御部24は、入力配管3を第1分岐ラインL11と第2分岐ラインL12と第3分岐ラインL13に分岐させている分岐部Xを有する。第1分岐ラインL11は、スプール弁21に接続され、第1逆止弁25が配設されている。また、第1分岐ラインL11には、パージ開閉弁101を備えるパージ機構10が接続されており、例えば半導体製造装置1000のメンテナンス時等に、パージ開閉弁101を開くことで、ユニット1にパージエアを供給することが可能となっている。第2分岐ラインL12は、低温流体用出力配管6に接続され、第2逆止弁26が配設されている。さらに、第3分岐ラインL13は、高温流体用出力配管8に接続され、第3逆止弁27が配設されている。
【0047】
スプール弁21は、例えば、特許第5893419号公報に開示されている公知のスプール弁である。スプール弁21は、駆動部211と、バルブボディ216と、スプール弁体217と、を備える。
【0048】
スプール弁体217は、バルブボディ216の弁室215に摺動可能に装填されており、駆動部211の駆動力に応じて弁室215内を移動する。
【0049】
バルブボディ216は、対向する側面216a ,216bの一方の側面216aに、第1分岐ラインL11と接続する第1供給ポート213aと、低温流体用入力配管5と接続する第2供給ポート213bと、高温流体用入力配管7と接続する第3供給ポート213cと、が弁室215に連通して形成されている。また、バルブボディ216は、他方の側面216bに、第1排出ポート214aと第2排出ポート214bと第3排出ポート214cが弁室215に連通するように形成されている。
【0050】
スプール弁21は、スプール弁体217が弁室215内を移動することより、第1供給ポート213aを第1排出ポート214aに開放する流路面積と、第2供給ポート213bを第2排出ポート214bに開放する流路面積と、第3供給ポート213cを第3排出ポート214c に開放する流路面積とを変化させ、第1~第3排出ポート214a,214b,214cから排出する流体の流量(流量分配比率)を制御する。そして、第1~第3排出ポート214a,214b,214cから排出する流体は、合流部Yで混合され、合流部Yに接続されている出力配管4に出力される。
【0051】
合流部Yで混合され、出力配管4に出力される流体が、サセプタ1002の温度調整を行うための温調用流体である。つまり、スプール弁21は、入力配管3からスプール弁21に入力される循環後温調用流体と、低温流体用入力配管5からスプール弁21に入力される低温流体と、高温流体用入力配管7からスプール弁21に入力される高温流体との流量分配比率を調整することで、温調用流体の温度を調整し、出力配管4に出力するのである。
【0052】
スプール弁21が行う流量分配比率の調整(すなわち、出力配管4に出力される温調用流体の温度の調整)は、後述する制御装置1030において生成される温度制御値(例えば波形C1(図2参照))に基づいて制御される。
【0053】
なお、スプール弁21を用いるのではなく、循環後温調用流体と低温流体と高温流体のそれぞれの流体ごとに、例えばポペット弁により流量調整し、温調用流体の温度調整を行うことも可能である。しかし、複数台のポペット弁を用いることとすると、コスト増大が懸念されるほか、ユニット1の大型化につながる。また、ポペット弁と比べて小型のスプール弁21の方が熱容量が小さいため、温調用流体の熱がスプール弁21に奪われにくい。よって、温調用流体の温度制御の精度が高まる。したがって、スプール弁21を用いて温調用流体の温度調整を行うことが好ましい。
【0054】
第1~第3逆止弁25,26,27は、スプール弁21が制御する流量分配比率に応じて、弁開度が自動調整される。そのため、コールドチラー1020とホットチラー1010には、スプール弁21に供給した低温流体と高温流体とおおよそ同じ量の循環後温調用流体が戻される。
【0055】
ユニット1は、温度制御システム1001の動作を制御する制御装置1030を備え、制御装置1030は、ユニット1の各種センサおよびバルブ等と通信可能に接続されている。制御装置1030は、制御基板1031と、ポンプドライバ1033と、バルブコントローラ1032とを備える。
【0056】
制御基板1031は、後述する第2温度T12およびΔTbの値に基づき、温度制御値(波形C1(図2参照))を生成する。そして、温度センサ61,62,63,64が測定した温度測定値と第1及び第2圧力センサ51,52が測定した圧力測定値をユニット1から取得して、温調用流体の温度が温度制御値に沿うようにバルブ操作信号を生成し、バルブコントローラ1032を介してユニット1に送信する。ユニット1は、スプール弁21がバルブ操作信号に従って動作することにより、温調用流体と低温流体と高温流体の流量分配比率が調整され、温調用流体の温度を設定温度T3に調整する。よって、温調用流体の温度は、フィードバック制御され、均一にされる。
【0057】
また、制御基板1031は、流量センサ23が測定した流量測定値をユニット1から取得して、温調用流体の流量を所望の設定流量に制御するようにポンプ操作信号を生成し、ポンプドライバ1033を介してユニット1に送信する。ユニット1は、ポンプ14がポンプ操作信号に従って動作することにより、温調用流体の流量を設定流量に調整する。よって、温調用流体の循環流量は、フィードバック制御され、均一にされる。
【0058】
(温度制御について)
以上の構成を有するユニット1により、サセプタ1002の温度を所定の第1温度T11から、第1温度T11よりもΔTaだけ温度の高い所定の第2温度T12に調整する場合について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニット1における、温調用流体の温度と循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタ1002の温度)の関係を表すグラフである。なお、サセプタ1002の温度を所定の第1温度T11から所定の第2温度T12に調整する場合とは、例えば、ウエハWのエッチング処理を行う工程において、プロセスガスの切り替えのために、処理条件を第1条件から第2条件に変更するものとした場合である。つまり、所定の第1温度T11とは、第1条件におけるサセプタ1002の目標温度であり、所定の第2温度T12とは、第2条件のためのサセプタの目標温度である。そのほか、半導体製造装置1000が動作を開始する場合であれば、動作開始時のサセプタ1002の温度が第1温度T11であり、動作開始後の最初の処理条件におけるサセプタ1002の目標温度が第2温度T12である。
【0059】
また、図2中の第3温度T13(所定の閾値の一例)は、エッチング処理の処理条件を第1条件から第2条件に変更する際、サセプタ1002の温度が第2温度T12に達する前であっても、第2条件による処理を開始することが可能な温度であり、エッチング処理の処理条件により適宜設定される。
【0060】
また、図2中の波形C1は、サセプタ1002の温度を第1温度T11から第2温度T12に調整する場合の温調用流体の温度を制御するための温度制御値の変化を表している。この温度制御値には、第1温度制御値C11と第2温度制御値C12とが含まれている。第1温度制御値C11は、温調用流体の温度を、第2温度T12よりもΔTbだけ高い第4温度T14に制御するための温度制御値である。また、第2温度制御値C12は、温調用流体の温度を、第2温度T12と同一の温度に制御するための温度制御値である。
【0061】
また、図2中の波形W11は、温度調整用流量制御ユニット1がサセプタ1002に入力する温調用流体の、波形C1により温度を制御されたときの温度変化を表している。なお、この温調用流体の温度は、第1温度センサ64により測定される値である。波形W21は、第2温度センサ61により測定される循環後温調用流体の温度変化、すなわちサセプタ1002の温度変化を表している。
【0062】
時点X1は、第1温度T11から第2温度T12への温度の調整を開始する時点である。この時点X1において、サセプタ1002に入力されている温調用流体の温度と、循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタ1002の温度)は、波形W11および波形W21に示す通り、ともに第1温度T11である。
【0063】
そして、時点X1から、第1温度制御値C11により温調用流体の温度が制御される。第1温度制御値C11は、温調用流体の温度を、第2温度T12よりもΔTbだけ高い第4温度T14に制御するよう指示する。これにより、サセプタ1002に入力される温調用流体の温度は、波形W11に示されるように、第4温度T14に調整される(第1の調整)。
【0064】
第4温度T14に調整された温調用流体により、サセプタ1002が加熱されるため、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)は、波形W21に示す通り、時点X1から時間経過に比例して上昇している。
【0065】
そして、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が、第3温度T13(閾値)まで上昇したことを条件として、温度制御値が、第1温度制御値C11から第2温度制御値C12に切り替えられる(時点X2)。第2温度制御値C12は、温調用流体の温度を、第2温度T12と同一の温度に制御するよう指示する。これにより、サセプタ1002に入力される温調用流体の温度は、第2温度T12に調整される(第2の調整)。温調用流体の温度は、波形W11に示されるように、第4温度T14から第2温度T12よりも低い温度にオーバーシュートした後、第2温度T12に安定する。
【0066】
循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)は、波形W21に示す通り、温度制御値が第1温度制御値C11から第2温度制御値C12に切り替えられた直後に微小に低下している。しかし、第2温度T12に調整された温調用流体により、サセプタ1002が加熱されているため、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が再び上昇し、時点X3で第2温度T12に到達する。
【0067】
以上のように、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が第3温度T13(閾値)に上昇するまで、第2温度T12よりも高い温度を指示する第1温度制御値C11により温調用流体の温度を調整するため、サセプタ1002に温度を、第1温度T11から第2温度T12に高速に上昇させることができる。サセプタ1002の温度が第2温度T12に到達するまでの時間(時点X1から時点X3までの時間ΔXa)は、従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットによってサセプタの温度を第2温度T12に上昇させた場合にかかる時間ΔXd(図6参照)に比べ、60%程度の長さになっている。なお、第4温度T14(第1温度制御値C11)は、第2温度T12より高く設定されるほど(すなわちΔTbの値が大きいほど)、より高速に、サセプタ1002の温度が第1温度T11から第2温度T12に上昇するする。したがって、ΔTbは、サセプタ1002の温度を第1温度T11から第2温度T12に上昇させるためにかける目標時間に応じて、適宜設定され、設定されたΔTbの値と、第2温度T12により、第4温度T14(第1温度制御値C11)が定まる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニットについて説明する。第2の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニットは、第1の実施形態に係るユニット1と同一の構成であり、温調用流体の温度を制御するための温度制御値のみ異なる。
【0069】
第1の実施形態においては、時点X2において温度制御値が第1温度制御値C11から第2温度制御値C12に切り替えられた直後、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が低下し、第3温度T13(閾値)を下回るおそれがある。第3温度T13(閾値)とは、エッチング処理の処理条件を第1条件から第2条件に変更する際、サセプタ1002の温度が第2温度T12に達する前であっても、第2条件による処理を開始することが可能な温度に設定されている。つまり、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が、第3温度T13(閾値)に達した時点X2から第2条件による処理が開始されるのであるが、処理が開始された後に、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が、処理開始の条件である第3温度T13(閾値)を下回ってしまうことは、エッチング処理の不良を招くおそれがあり、好ましくない。
【0070】
そこで、例えば、図3に示す温度制御値(波形C2)により、サセプタ1002の温度を調整することが、好ましい。図3は、第2の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニット1における、温調用流体の温度と循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタ1002の温度)の関係を表すグラフである。なお、図3中の第1温度T11および第2温度T12、第3温度T13、第4温度T14は、図2に示す第1温度T11および第2温度T12、第3温度T13、第4温度T14と同一である。また、第2温度T12と第4温度T14との差であるΔTbも、図2に示すΔTbと同一である。
【0071】
波形C2は、サセプタ1002の温度を第1温度T11から第2温度T12に調整する場合の温調用流体の温度を制御するための温度制御値の変化を表している。この温度制御値は、制御基板1031により、第2温度T12と、後述するΔTbの値と、ΔXdの値に基づき生成される。また、温度制御値には、第1温度制御値C11と第2温度制御値C12と第3温度制御値C13が含まれている。第1温度制御値C11および第2温度制御値C12は、第1の実施形態と同一のものである。第3温度制御値C13については後述する。
【0072】
波形W12は、温度調整用流量制御ユニット1がサセプタ1002に入力する温調用流体の、波形C2により温度を制御されたときの温度変化を表している。なお、この温調用流体の温度は、第1温度センサ64により測定される値である。波形W22は、第2温度センサ61により測定される循環後温調用流体の温度変化、すなわちサセプタ1002の温度変化を表している。
【0073】
第1温度T11から第2温度T12への温度の調整を開始する時点X1においては、サセプタ1002に入力されている温調用流体の温度と、循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタ1002の温度)は、波形W12および波形W22に示す通り、ともに第1温度T11である。
【0074】
そして、時点X1から、第1温度制御値C11により温調用流体の温度が制御される。これにより、サセプタ1002に入力される温調用流体の温度は、波形W12に示されるように、第4温度T14に調整される(第1の調整)。
【0075】
第4温度T14に調整された温調用流体により、サセプタ1002が加熱されるため、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)は、波形W22に示す通り、時点X1から時間経過に比例して上昇している。
【0076】
そして、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が、第3温度T13(閾値)まで上昇したことを条件として、温調用流体の温度を制御する温度制御値が、第1温度制御値C11から第2温度制御値C12に切り替えられる(時点X2)。この第1温度制御値C11から第2温度制御値C12に切り替えは、第3温度制御値C13を介して行われる。第3温度制御値C13は、時点X2から時点X4までの間において、第4温度T14を指示する第1温度制御値C11から、第2温度T12を指示する第2温度制御値C12に向かって、指示する温度を漸次変動させている。
【0077】
第3温度制御値C13によって、温度制御値が漸次変動されるため、温調用流体の温度は、波形W12に示すように、第2温度T12に向かって滑らかに変動していく。このように温調用流体の温度が調整(第2の調整)されることで、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)は、波形W22に示す通り、温度制御値の切り替えによって温度が低下するような挙動(図2の波形W21参照)を見せずに、第2温度T12に向かって滑らかに上昇している。よって、エッチング処理の不良を防ぐことができる。
【0078】
なお、図3中の第3温度制御値C13の傾きは、第2温度T12と第4温度T14との差であるΔTbと、漸次変動させる時間(時点X2から時点X4までの時間ΔXc)とにより定まる。時間ΔXcがあまりに短く、第3温度制御値C13の傾きが急激になると、温度制御値の切り替えによって循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が低下し、第3温度T13(閾値)を下回るおそれがある。よって、時間ΔXcは、温度制御値の切り替えによって循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が第3温度T13(閾値)を下回ることがない程度の長さを実験により求め、その実験により求められた値以上の値に適宜設定される。
【0079】
さらには、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)は、波形W22に示すように、時点X5において第2温度T12に到達しており、サセプタ1002の温度が第2温度T12に到達するまでの時間(時点X1から時点X5までの時間ΔXb)は、従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットによってサセプタの温度を第2温度T12に上昇させた場合にかかる時間ΔXd(図6参照)に比べ、従来の25~40%程度の長さになっている。つまり、第2の実施形態における温度制御値(波形C2)によれば、第1の実施形態に係るユニット1に比して、より高速にサセプタ1002の温度を第1温度T11から第2温度T12に上昇させることができる。
【0080】
ここで、図4に、時間ΔXdの具体的な数値を例示する。図4は、第1温度T11と第2温度T12の差であるΔTaの値毎に、サセプタ1002の温度(循環後温調用流体の温度)が第2温度T12に到達するまでの時間ΔXbについてまとめた表である。例えば、ΔTaが30℃であり、第2温度T12が40℃であるときの10秒という値は、サセプタ1002の温度を30℃上昇させて40℃に到達させたとき(すなわち、サセプタ1002の温度を10℃から40℃まで上昇させたとき)の時間ΔXbが10秒であることを意味する。なお、ΔTaを30℃と40℃の場合を示しているのは、一般的なエッチング処理の処理条件においては、ΔTaが30~40℃である場合が多いためであり、あくまで例示である。
【0081】
ΔTaが30℃または40℃であるとき、時間ΔXbは、図4に示すように、10~12秒となっている。これらの値は、従来技術に係る温度調整用流量制御ユニットによってサセプタの温度を第2温度T12に上昇させた場合にかかる時間ΔXdが25~48秒であるのに対し(図7参照)、25~40%程度の長さになっていることが分かる
【0082】
なお、第1の実施形態と、第2実施形態とは、ユニット1の構成は同一であって、温調用流体の温度を制御するための温度制御値のみが異なるものであるため、プログラムの構成により、第1の実施形態と第2実施形態とを切り替え可能としても良い。つまり、温度制御値を、第4温度T14に対応する第1温度制御値C11から、第2温度T22に対応する第2温度制御値C12まで漸次変動させるか否か(すなわち、波形C1による温度制御値により温調用流体の温度を制御するのか、波形C2による温度制御値により温調用流体の温度を制御するのか)を選択可能としても良い。
【0083】
また、上記の波形C1または波形C2により温調用流体の温度の制御を行うのは、ΔTaの値の大きさが、所定の閾値を超える場合に行われるものとしても良い。例えば、ΔTaがある特定の値(値Aとする)以下の場合に、第4温度T14とされた温調用流体によりサセプタ1002を冷却すると、目標とする第2温度T12よりも高い温度にオーバーシュートしてしまう場合には、その値Aを閾値として、波形C1または波形C2により温調用流体の温度の制御を行うか否かを制御装置1030が判断する。具体的には、ΔTaが値Aを超える場合には、波形C1または波形C2により温調用流体の温度の制御を行い、ΔTaが値A以下となる場合には、温調用流体の温度が第2温度T12と同一温度となるような制御を、時点X1から開始する。
【0084】
(第3の実施形態)
上に説明した第1の実施形態および第2の実施形態においては、サセプタ1002の温度を上昇させる場合について説明しているが、プロセスガスの切り替えのために処理条件を変更する場合、当然にサセプタ1002の温度を低下させることも考えられる。サセプタ1002の温度を低下させる場合には、例えば、図5に示す温度制御値(波形C3)により温調用流体の温度を制御し、サセプタ1002の温度を調整する。
【0085】
図5は、第3の実施形態に係る温度調整用流量制御ユニット1における、温調用流体の温度と循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタ1002の温度)の関係を表すグラフであり、サセプタ1002の温度を所定の第1温度T21から、第1温度T11よりもΔTdだけ温度の低い所定の第2温度T22に調整する場合を説明するものである。
【0086】
図5中の波形C2は、サセプタ1002の温度を第1温度T21から第2温度T22に調整する場合の温調用流体の温度を制御するための温度制御値の変化を表している。この温度制御値は、制御基板1031により、第2温度T22と、ΔTdの値と、ΔXcの値に基づき生成される。また、温度制御値には、第1温度制御値C14と第2温度制御値C15と第3温度制御値C16が含まれている。第1温度制御値C14は、温調用流体の温度を、第2温度T12よりもΔTbだけ低い第4温度T24に制御するための温度制御値であり、第2温度制御値C15は、温調用流体の温度を、第2温度T22と同一の温度に制御するための温度制御値である。第3温度制御値C16は、第1温度制御値C11により指示される第4温度T14から第2温度制御値C12により指示される第2温度T12向かって、指示する温度を漸次変動させる温度制御値である。
【0087】
また、図5中の波形W13は、温度調整用流量制御ユニット1がサセプタ1002に入力する温調用流体の、波形C3により温度を制御されたときの温度変化を表している。なお、この温調用流体の温度は、第1温度センサ64により測定される値である。波形W23は、第2温度センサ61により測定される循環後温調用流体の温度変化、すなわちサセプタ1002の温度変化を表している。
【0088】
第1温度T21から第2温度T22への温度の調整を開始する時点X1においては、サセプタ1002に入力されている温調用流体の温度と、循環後温調用流体の温度(すなわちサセプタ1002の温度)は、波形W13および波形W23に示す通り、ともに第1温度T21である。
【0089】
そして、時点X1から、第1温度制御値C14により温調用流体の温度が制御される。これにより、サセプタ1002に入力される温調用流体の温度は、波形W13に示されるように、第4温度T24に調整される(第1の調整)。
【0090】
第4温度T24に調整された温調用流体により、サセプタ1002が冷却されるため、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)は、波形W23に示す通り、時点X1から時間経過に比例して低下している。
【0091】
そして、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が、第3温度T23(閾値)まで低下したことを条件として、温調用流体の温度を制御する温度制御値が、第1温度制御値C14から第2温度制御値C15に切り替えられる(時点X6)。第1温度制御値C14から第2温度制御値C15に切り替えは、第3温度制御値C16を介して行われる。第3温度制御値C16は、時点X2から時点X4までの間において、第4温度T24を指示する第1温度制御値C14から、第2温度T22を指示する第2温度制御値C15に向かって、指示する温度を漸次変動させている。なお、第3温度制御値C16の傾きは、第2温度T22と第4温度T24との差であるΔTdと、漸次変動させる時間(時点X6から時点X7までの時間ΔXd)とにより定まる。
【0092】
なお、図5中の第3温度制御値C16の傾きは、第2温度T22と第4温度T24との差であるΔTdと、漸次変動させる時間(時点X6から時点X7までの時間ΔXd)とにより定まる。時間ΔXdがあまりに短く、第3温度制御値C16の傾きが急激になると、温度制御値の切り替えによって循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が上昇し、第3温度T23(閾値)を上回るおそれがある。これは、エッチング処理の不良を招くおそれがある。よって、時間ΔXdは、温度制御値の切り替えによって循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が第3温度T23(閾値)を上回ることがない程度の長さを実験により求め、その実験により求められた値以上の値に設定される。
【0093】
第3温度制御値C16によって、第1温度制御値C14により指示される第4温度T24から第2温度制御値C15により指示される第2温度T22向かって、指示される温度が漸次変動されるため、温調用流体の温度は、波形W13に示すように、第2温度T22に向かって滑らかに変動していく。
【0094】
そして、第2温度T22とされた温調用流体によりサセプタ1002は冷却され、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)は、波形W23に示すように、時点X5において第2温度T22に到達する。
【0095】
以上のように、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の現在温度)が第3温度T23(閾値)に低下するまで、第2温度T22よりも低い温度を指示する第1温度制御値C14により温調用流体の温度を調整するため、サセプタ1002に温度を、第1温度T21から第2温度T22に高速に低下させることができる。なお、第4温度T24(第1温度制御値C14)は、第2温度T22より低く設定されるほど(すなわちΔTdの値が大きいほど)、より高速に、サセプタ1002の温度が第1温度T21から第2温度T22に低下するする。したがって、ΔTdは、サセプタ1002の温度を第1温度T21から第2温度T22に低下させるためにかける目標時間に応じて、適宜設定され、このΔTdの設定により、第4温度T24(第1温度制御値C14)が定まる。
【0096】
なお、時点X6における第1温度制御値C14から第2温度制御値C15への切り替えは、図2中の波形C1のように、第3温度制御値C16を介さずに行うこととしても良い。
【0097】
また、上記の波形C3により温調用流体の温度の制御を行うのは、ΔTcの値の大きさが、所定の閾値を超える場合に行われるものとしても良い。例えば、ΔTcがある特定の値(値Bとする)以下の場合に、第4温度T24とされた温調用流体によりサセプタ1002を冷却すると、目標とする第2温度T22よりも低い温度にオーバーシュートしてしまう場合には、その値Bを閾値として、波形C3により温調用流体の温度の制御を行うか否かを制御装置1030が判断する。具体的には、ΔTcが値Bを超える場合には、波形C3により温調用流体の温度の制御を行い、ΔTcが値B以下となる場合には、温調用流体の温度が第2温度T22と同一温度となるような制御を、時点X1から開始する。
【0098】
なお、第1の実施形態および第2実施形態と、第3の実施形態とは、ユニット1の構成は同一であって、温調用流体の温度を制御するための温度制御値のみが異なるものであるため、サセプタの温度を上昇させるのか低下させるのかに応じて、波形C1または波形C2を用いて温調用流体の温度の調整を行うのか、波形C3を用いて温調用流体の温度の調整を行うのかを、制御装置1030が自動的に判断するものとしても良い。具体的には、循環後温調用流体の現在温度(サセプタ1002の現在温度)が、目標とする第2温度T12,T22よりも低い場合には、サセプタの温度を上昇させる必要があるのであるから、波形C1または波形C2を用いて温調用流体の温度の調整を行い、循環後温調用流体の現在温度(サセプタ1002の現在温度)が、目標とする第2温度T12,T22よりも高い場合には、サセプタの温度を低下させる必要があるのであるから、波形C3を用いて温調用流体の温度の調整を行う。
【0099】
以上説明したように、温度調整用流量制御ユニット1によれば、半導体製造装置1000の備えるサセプタ1002に温調用流体を循環させることで、サセプタ1002の温度を、所定の第1温度T11から所定の第2温度T12に調整する温度調整用流量制御ユニット1において、温調用流体をサセプタ1002に出力する出力配管4と、出力配管4から出力される温調用流体の温度を測定する第1温度測定部(第1温度センサ64)と、出力配管4からサセプタ1002に出力され、サセプタ1002を循環した温調用流体である循環後温調用流体が入力される入力配管3と、出力配管4から出力する温調用流体の温度を指示する温度制御値(波形C1または波形C2)を生成する制御装置1030と、温度制御値(波形C1または波形C2)に基づき、出力配管4から出力する温調用流体の温度を調整する流体制御部24と、循環後温調用流体の現在温度を測定する第2温度測定部(第2温度センサ61)と、を備えること、温度制御値(波形C1または波形C2)は、第2温度T12よりも高い温度(第4温度T14)を指示する所定の第1温度制御値C11と、第2温度T12と同一の温度を指示する第2温度制御値C12と、を含むこと、流体制御部24は、前記現在温度が第2温度T12よりも低い場合、前記現在温度が第2温度T12よりも低い所定の閾値(第3温度T13)に上昇するまで、第1温度制御値C11により、温調用流体の温度を調整する第1の調整をし、前記現在温度が閾値(第3温度T13)まで上昇したとき、第2温度制御値C12により、温調用流体の温度を調整する第2の調整をすること、を特徴とする。
【0100】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、前記第2の調整おける温度制御値(波形C2)は、第1温度制御値C11から第2温度制御値C12まで漸次変動するものであること(第3温度制御値C13)、とするのが好ましい。
【0101】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、流体制御部24は、温調用流体の温度を低下させるための低温流体が流れる低温配管(低温流体用入力配管5および低温流体用出力配管6)と、温調用流体の温度を上昇させるための高温流体が流れる高温配管(高温流体用入力配管7および高温流体用出力配管8)と、出力配管4と入力配管3と低温配管(低温流体用入力配管5および低温流体用出力配管6)と高温配管(高温流体用入力配管7および高温流体用出力配管8)とに接続されるスプール弁21と、を備え、スプール弁21により、循環後温調用流体と低温流体と高温流体の流量分配比率を制御し、出力配管4から出力する温調用流体の温度を調整すること、とするのが好ましい。
【0102】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、入力配管3は、温調用流体を循環させるポンプ14を備え、第2温度測定部(第2温度センサ61)は、ポンプ14よりも上流側に設けられること、とするのが好ましい。
【0103】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、入力配管3とサセプタ1002とを接続する結合配管(例えば第1結合配管1005)を更に備え、第2温度測定部(第2温度センサ61)は、結合配管(第1結合配管1005)に設けられること、とするのが好ましい。
【0104】
上記の温度調整用流量制御ユニット1は、第2温度測定部(第2温度センサ61)により、循環後温調用流体の現在温度を測定している。循環後温調用流体は、サセプタ1002を循環した後の温調用流体であるため、その温度は、サセプタ1002の温度と同視することができる。例えば、RIE型のプラズマ処理装置におけるサセプタ1002は、プラズマ化したプロセスガスの影響等により、温度を直接測定することが困難である。そこで、サセプタ1002を循環した後の循環後温調用流体の現在温度を測定することで、安定してサセプタ1002の温度を監視することが可能になる。
【0105】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1は、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の温度)が第2温度T12よりも低い場合、サセプタ1002の温度を所定の第2温度T12に調整するために、循環後温調用流体の現在温度(サセプタ1002の温度)が第2温度T12よりも低い所定の閾値(第3温度T13)に上昇するまで、第2温度T12よりも高い温度(第4温度T14)を指示する所定の第1温度制御値C11により、温調用流体の温度を調整(第1の調整)する。よって、サセプタ1002は第2温度T12よりも高い温度の温調用流体により加熱され、サセプタ1002の温度が第2温度T12まで高速に上昇する。そして、循環後温調用流体の現在温度(サセプタ1002の温度)が閾値(第3温度T13)まで上昇したとき、第2温度T12と同一の温度を指示する第2温度制御値C12により、温調用流体の温度を調整(第2の調整)するため、サセプタ1002の温度を第2温度T12に安定させることが可能である。
【0106】
また、本発明の他の態様における温度調整用流量制御ユニット1によれば、 半導体製造装置1000の備えるサセプタ1002に温調用流体を循環させることで、サセプタ1002の温度を、所定の第1温度T21から所定の第2温度T22に調整する温度調整用流量制御ユニット1において、温調用流体をサセプタ1002に出力する出力配管4と、出力配管4から出力される温調用流体の温度を測定する第1温度測定部(第1温度センサ64)と、出力配管4からサセプタ1002に出力され、サセプタ1002を循環した温調用流体である循環後温調用流体が入力される入力配管3と、出力配管4から出力する温調用流体の温度を指示する温度制御値(波形C3)を生成する制御装置1030と、温度制御値(波形C3)に基づき、出力配管4から出力する温調用流体の温度を調整する流体制御部24と、循環後温調用流体の現在温度を測定する第2温度測定部(第2温度センサ61)と、を備えること、温度制御値(波形C3)は、第2温度T22よりも低い温度(第4温度T24)を指示する所定の第1温度制御値C14と、第2温度T22と同一の温度を指示する第2温度制御値C15と、を含むこと、流体制御部24は、前記現在温度が第2温度T22よりも高い場合、前記現在温度が第2温度T22よりも高い所定の閾値(第3温度T23)に低下するまで、第1温度制御値C14により、温調用流体の温度を調整する第1の調整をし、前記現在温度が閾値(第3温度T23)まで低下したとき、第2温度制御値C15により、温調用流体の温度を調整する第2の調整をすること、を特徴とする。
【0107】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、第2の調整おける温度制御値は、第1温度制御値C14から第2温度制御値C15まで漸次変動するものであること(第3温度制御値C16)、とするのが好ましい。
【0108】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、流体制御部24は、温調用流体の温度を低下させるための低温流体が流れる低温配管(低温流体用入力配管5および低温流体用出力配管6)と、温調用流体の温度を上昇させるための高温流体が流れる高温配管(高温流体用入力配管7および高温流体用出力配管8)と、出力配管4と入力配管3と低温配管(低温流体用入力配管5および低温流体用出力配管6)と高温配管(高温流体用入力配管7および高温流体用出力配管8)とに接続されるスプール弁21と、を備え、スプール弁21により、循環後温調用流体と低温流体と高温流体の流量分配比率を制御し、出力配管4から出力する温調用流体の温度を調整すること、とするのが好ましい。
【0109】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、入力配管3は、温調用流体を循環させるポンプ14を備え、第2温度測定部(第2温度センサ61)は、ポンプ14よりも上流側に設けられること、とするのが好ましい。
【0110】
また、上記の温度調整用流量制御ユニット1において、入力配管3とサセプタ1002とを接続する結合配管(例えば第1結合配管1005)を更に備え、第2温度測定部(第2温度センサ61)は、結合配管(第1結合配管1005)に設けられること、とするのが好ましい。
【0111】
上記の温度調整用流量制御ユニット1は、循環後温調用流体の現在温度(すなわちサセプタ1002の温度)が第2温度T22よりも高い場合、サセプタ1002の温度を第2温度T22に調整するために、循環後温調用流体の現在温度(サセプタ1002の温度)が第2温度T22よりも高い所定の閾値(第3温度T23)に低下するまで、第2温度T22よりも低い温度(第4温度T24)を指示する所定の第1温度制御値C14により、温調用流体の温度を調整(第1の調整)する。よって、サセプタ1002は第2温度T22よりも低い温度の温調用流体により冷却され、サセプタ1002の温度が第2温度T22に高速に低下する。そして、循環後温調用流体の現在温度(サセプタ1002の温度)が閾値(第3温度T23)まで低下したとき、第2温度T22と同一の温度を指示する第2温度制御値C15により、温調用流体の温度を調整(第2の調整)するため、サセプタ1002の温度を第2温度T22に安定させることが可能である。
【0112】
また、本発明の一態様における半導体製造装置1000は、サセプタ1002と、サセプタ1002に接続された上記の温度調整用流量制御ユニット1と、を備えること、を特徴とするので、サセプタ1002の温度の調整を高速に行うことが可能である。
【0113】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ユニット1を半導体製造装置1000に用いた例を説明しているが、半導体製造装置1000以外のものの温度制御に用いることとしても良い。
【符号の説明】
【0114】
1 温度調整用流量制御ユニット
3 入力配管
4 出力配管
24 流体制御部
61 第2温度センサ(第2温度測定部の一例)
64 第1温度センサ(第1温度測定部の一例)
1002 サセプタ
1030 制御装置
C1 温度制御値
C11 第1温度制御値
C12 第2温度制御値
T11 第1温度
T12 第2温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7