(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】マイクロカプセル化された重付加触媒
(51)【国際特許分類】
C08F 4/58 20060101AFI20241113BHJP
C08F 4/02 20060101ALI20241113BHJP
C08G 18/16 20060101ALI20241113BHJP
B01J 13/16 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
C08F4/58
C08F4/02
C08G18/16
B01J13/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023736
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2019548630の分割
【原出願日】2018-03-08
【審査請求日】2023-03-17
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ハイモ ヴェルフレ
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ヒンリッヒ シュタッフ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ ブラント
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ ハビエル ロペス ビジャヌエバ
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-144126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0304678(US,A1)
【文献】特表2002-513045(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00839902(EP,A1)
【文献】特表2003-504490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0078741(US,A1)
【文献】特開平06-073163(JP,A)
【文献】特開平05-247179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02-13/22
C08C 19/00-19/44
C08F 2/00-2/60
C08F 6/00-301/00
C08G 18/00-71/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重付加触媒を含む疎水性コア材料を含むカプセルコアと、カプセルシェルとしてアクリルコポリマーとを含むマイクロカプセル化された重付加触媒であって、前記重付加触媒は、有機金属塩から選択され、
前記有機金属塩は、ジラウリン酸ジブチルスズ及びネオデカン酸ビスマスから選択され、
前記疎水性コア材料は、ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラートであり、
前記アクリルコポリマーは、
(a)
メタクリル酸無水物5~50重量%、
(b)
メチルメタクリラートのモノマー30~90重量%、
(c)
1,4-ブタンジオールジアクリラートのモノマー5~20重量%および
(d)1種以上の、単位(a)~(c)とは異なる他のモノマー0~30重量%
の単位から構成され、いずれの場合も、モノマーの総重量に基づいており、モノマー(a)から(d)の合計は100%であり
、
(d)前記1種以上の
、単位(a)~(c)とは異なる他のモノマ
ーは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸無水物、2-ヒドロキシエチルアクリラートおよび2-ヒドロキシエチルメタクリラート、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリラートおよびジエチルアミノエチルメタクリラートから選択される、マイクロカプセル化された重付加触媒。
【請求項2】
前記疎水性コア材料が、水中油型エマルジョンの油相を形成する、請求項
1記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
【請求項3】
前記マイクロカプセルの直径D(0.5)は、1~50μmである、請求項1
又は2記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
【請求項4】
前記マイクロカプセル化された重付加触媒は、乾燥粉末、顆粒または凝集体として存在する、請求項1から
3までのいずれか1項記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
【請求項5】
安定な水中油型エマルジョンの油相中でのカプセルシェルを構成するモノマー混合物のラジカル重合によって請求項1から
4までのいずれか1項記載のマイクロカプセル化された重付加触媒を製造する方法であって、前記油相は、重付加触媒を含み、かつ前記モノマー混合物は、
(a)
メタクリル酸無水物5~50重量%、
(b)
メチルメタクリラートのモノマー30~90重量%、
(c)
1,4-ブタンジオールジアクリラートのモノマー5~20重量%および
(d)1種以上の、単位(a)~(c)とは異なる他のモノマー0~30重量%
を含み、いずれの場合も、モノマーの総重量に基づいており、モノマー(a)から(d)の合計は100%である、方法。
【請求項6】
前記水中油型エマルジョンは、保護コロイドおよび/またはピカリング安定剤によって安定化されている、請求項
5記載の方法。
【請求項7】
ポリオール化合物とポリイソシアナート化合物との反応を触媒するための、請求項1から
4までのいずれか1項記載のマイクロカプセル化された重付加触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロカプセル化された重付加触媒、その製造方法およびその使用に関する。
【0002】
建設および製造業界では、一成分または二成分系として存在する化学硬化性樹脂を使用して、コンポーネントの固定または表面のコーティングがよく行われている。これらの樹脂を使用する際に望ましいのは、2つの時点から成る硬化時間の最適化である。いわゆる開放時間(ゲル時間またはポットライフとも呼ばれる)は、反応系が影響を受けずに処理され得る期間であり、また乾燥時間は、粘着性がなくなった硬化の時点を示す。ポットライフは、一方で、例えば、樹脂を広範囲に塗布することによる合理的な作業と、場合により操作に必要な時間内でのコンポーネントのその後の接合とを可能にするために、可能な限り長いことが望ましい。他方で、硬化時間は、接合部が急速に硬化し、コンポーネントの位置がずれず、その後の汚れが回避され、かつ/または早期使用、例えばフロアコーティングのアクセシビリティーなどが可能になるように、可能な限り短いことが望ましい。
【0003】
樹脂の硬化は、通常、反応性樹脂成分間の重付加反応などの重合反応を触媒する触媒を使用して行われている。従来の大部分の樹脂系では、粘度の連続的な増加が観察され、ユーザーにとって不都合なほどに短い時間の後に開放時間に達することが多く、それにもかかわらず乾燥時間は望ましくない長さまで延びている。
【0004】
重付加触媒をカプセル化する試みはすでになされており、そうすることで触媒の放出が遅延し、触媒が放出されたときにのみ急速硬化が起こる。壁の大きさ、種類、厚さなどに関するカプセルの性質によって、放出までの時間、すなわち開放時間を定義および最適化することができる。
【0005】
Adv.Mater.2016,DOI:10.1002/adma.201600830は、熱潜在性触媒ナノカプセルの製造について記載している。カプセルのコアは、イソオクタンおよびネオデカン酸ジメチルスズから成り、カプセルシェルは、ブタンジオールジメタクリラートを介して架橋されているポリ(メチルメタクリラート-co-ブチルメタクリラート-co-メタクリル酸)からなる。カプセルはミニエマルジョン技術によって製造される。触媒放出について記載されている唯一の刺激は、カプセルの熱開口であり、これは、例えばフロアコーティングまたはシーリング膜の周囲温度での使用を妨げる。
【0006】
本発明の課題は、化学刺激によって、例えば、ポリオールまたは水などのイソシアナート硬化性物質との接触時に放出されるマイクロカプセル化された重付加触媒を提供することである。
【0007】
この課題は、重付加触媒を含むカプセルコアと、カプセルシェルとしてアクリルコポリマーとを含むマイクロカプセル化された重付加触媒によって解決され、ここで、アクリルコポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸の分子間無水物の共重合単位を含む。重付加触媒は、非環式第三級アミン、脂環式第三級アミン、N-アルキルイミダゾール、ホスフィンおよび有機金属塩から選択される。
【0008】
エチレン性不飽和カルボン酸の分子間無水物の共重合単位は、一時的な架橋剤として作用し、その架橋作用は、適用環境での無水物結合の加溶媒分解により停止され、それによってカプセルシェルは不安定化され、重付加触媒を含むカプセル内容物が放出される。
【0009】
本発明に従って使用されるマイクロカプセルの平均粒度D(0.5)(光散乱により決定される体積加重平均)は、有利には1~50μm、好ましくは1~20μm、特に2~10μmである。ここで、D(0.5)は、累積粒子体積が50%に達している粒径として定義される。この直径を有するカプセルは、損傷させずに取り扱うことができ、かつ硬化すべき組成物に組み込むことができるのに十分な機械的安定性を有している。大きさは、個々のカプセルの意図しない破損が許容され得るように選択される。なぜなら、個々のカプセルの意図しない破損は、少量の重付加触媒しか放出せず、これは組成物の早期硬化をもたらさないからである。他方で、完全な硬化に十分な量の触媒が、良好に取扱い可能なカプセルの体積によって導入される。
【0010】
特定の実施形態では、マイクロカプセル化された重付加触媒は、乾燥粉末、顆粒または凝集体として存在する。
【0011】
カプセルコアとカプセルシェルの重量比は、一般的に50:50~95:5、好ましくは60:40~94:6、特に好ましくは70:30~93:7である。
【0012】
重付加触媒として、ポリウレタン化学で通常使用されるウレタン化触媒を使用することができる。これらは、イソシアナート反応性成分の反応性水素原子と有機ポリイソシアナートとの反応を促進する化合物である。
【0013】
重付加触媒として考慮されるのは、非環式第三級アミン、脂環式第三級アミン、N-アルキルイミダゾール、ホスフィンおよび有機金属塩である。
【0014】
脂環式第三級アミンは、環状構造の一部ではない少なくとも1個の第三級アミン官能基を有する化合物である。その例には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン(BDMA)、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ビス-(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルアミノプロピル-N’-メチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ビス-(ジメチルアミノプロピル)アミノ-2-プロパノール、N,N-ジメチルアミノプロピル-ジプロパノールアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチル-エーテル、N,N-ジメチルアミノプロピル尿素、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキシレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン(PMDPTA)、N,N,N-トリス-(3-ジメチルアミノプロピル)-アミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)-エーテル(BDMAEE)、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-尿素、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ならびに2-エチルヘキサン酸とのその塩およびそれらの異性体;ならびに1,3,5-トリス(3-[ジメチルアミノ]プロピル)-ヘキサヒドロ-トリアジンなどのトリス-(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジンが含まれる。
【0015】
非環式第三級アミンは、非芳香族環状構造の一部である少なくとも1個の第三級アミン官能基を有する化合物である。その例には、1,4-ジメチルピペラジン(DMP)、1-メチル-4-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1-アザ-ビシクロ-[3.3.0]-オクタン、1,4-ジアザ-ビシクロ-[2.2.2]-オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-ノナ-7-エン(DBN)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリンおよび2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)が含まれる。
【0016】
適切なN-アルキルイミダゾールには、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、N-(2-ヒドロキシプロピル)-イミダゾール、N-(2-ヒドロキシエチル)-イミダゾールおよびN-(2-アミノプロピル)-イミダゾールが含まれる。
【0017】
重付加触媒として考慮されるホスフィンは、有利には、トリフェニルホスフィンまたはメチルジフェニルホスフィンなどの第三級ホスフィンである。
【0018】
重付加触媒として考慮される有機金属塩は、有利には、一般式
LmMn+ nA-
[式中、
配位子Lは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールおよびアシルから選択される有機基または有機化合物であり、ここで、配位子Lは、1~20個のC原子を有し、m個の配位子Lは、同一または異なっていてもよく、
mは、0、1、2、3、4、5または6であり、
Mは、金属であり、
nは、1、2、3、または4であり、かつ
アニオンA-は、カルボキシラートイオン、アルコキシラートイオンまたはエノラートイオンである]を有する。
【0019】
金属Mは、有利には、リチウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、インジウム、スズ、鉛、ビスマス、セリウム、コバルト、鉄、銅、ランタン、マンガン、水銀、スカンジウム、チタン、亜鉛およびジルコニウム;特に、リチウム、カリウム、セシウム、スズ、ビスマス、チタン、亜鉛およびジルコニウムから選択される。
【0020】
配位子Lは、有利には、1~20個のC原子を有するアルキルである。特に好ましくは、Lは、1~10個のC原子、特に1~4個のC原子を有するアルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルである。
【0021】
カルボキシラートイオンは、有利には、式R1-COO-を有し、式中、R1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールおよびアシルから選択され、かつ基R1は、20個までのC原子、有利には6~20個のC原子を有する。特に好ましいカルボキシラートイオンは、ネオデカン酸、イソオクタン酸およびラウリン酸などの天然および合成脂肪酸のアニオン、ならびに樹脂酸およびナフテン酸のアニオンから選択される。
【0022】
エノラートイオンは、有利には、式R2CH=CR3-O-を有し、式中、R2およびR3のそれぞれは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールおよびアシルから選択され、かつ基R2およびR3のそれぞれは、20個までのC原子を有する。特定の例は、エチルアセトナート、ヘプチルアセトナートまたはフェニルアセトナートである。エノラートイオンは、有利には、5~8個のC原子を有する1,3-ジケトンに由来する。可能な例には、アセチルアセトナート、2,4-ヘキサンジオンのエノラート、3,5-ヘプタンジオンのエノラートおよび3,5-オクタンジオンのエノラートが含まれる。
【0023】
アルコキシラートイオンは、有利には、式R4-O-を有し、式中、R4は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールおよびアシルから選択され、ここで、基R4は、20個までのC原子を有する。
【0024】
特定の実施形態では、有機金属化合物は、
アルカリ金属カルボン酸塩、例えばエチルヘキサン酸リチウム、ネオデカン酸リチウム、酢酸カリウム、エチルヘキサン酸カリウム、エチルヘキサン酸セシウム;
アルカリ土類金属カルボン酸塩、例えばエチルヘキサン酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、オクタン酸カルシウム(OMG BorchersからOcta-Soligen(登録商標)Calciumとして入手可能)、ステアリン酸マグネシウム、エチルヘキサン酸ストロンチウム、エチルヘキサン酸バリウム、ナフテン酸バリウム、ネオデカン酸バリウム;
アルミニウム化合物、例えばアセチルアセトン酸アルミニウム、ジオン酸アルミニウム(例えばKing Industries社のK-KAT(登録商標)5218);
亜鉛化合物、例えば、二酢酸亜鉛(II)、エチルヘキサン酸亜鉛(II)およびオクタン酸亜鉛(II)、ネオデカン酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛;
スズ化合物、例えばカルボン酸スズ(II)、例えば、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、ネオデカン酸スズ(II)、イソノナン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)ならびに
有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、二酢酸ジメチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、二酪酸ジブチルスズ、ビス(2-エチルヘキサン酸)ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズおよび二酢酸ジオクチルスズ、特にジラウリン酸ジブチルスズ;
チタン化合物、例えばチタン酸テトラ(2-エチルヘキシル);
ジルコニウム化合物、例えばエチルヘキサン酸ジルコニウム、ネオデカン酸ジルコニウム、アセチルアセトン酸ジルコニウム(例えばKing Industries社のK-KAT(登録商標)4205);
ジオン酸ジルコニウム(例えばKing Industries社のK-KAT(登録商標)XC-9213;XC-A 209およびXC-6212);ジルコニウム-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート;
ビスマス化合物、例えばカルボン酸ビスマス、特にオクタン酸ビスマス、エチルヘキサン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスまたはピバル酸ビスマス(例えばKing Industries社のK-KAT(登録商標)348、XC-B221;XC-C227、XC-8203、TIB ChemicalsのTIB KAT 716、716LA、716XLA、718、720、789、およびShepherd Lausanneの製品);
マンガン塩、例えばネオデカン酸マンガン、ナフテン酸マンガン;
コバルト塩、例えばネオデカン酸コバルト、エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト;
鉄塩、例えばエチルヘキサン酸鉄;
水銀化合物、例えばカルボン酸フェニル水銀
から選択される。
【0025】
好ましい有機金属化合物は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、二酢酸亜鉛(II)、二オクタン酸亜鉛(II)、アセチルアセトン酸ジルコニウムおよびジルコニウム-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート、ネオデカン酸ビスマス、ジオクタン酸ビスマスおよびエチルヘキサン酸ビスマスである。
【0026】
カプセルコアは、有利には、重付加触媒の他に疎水性コア材料を含む。疎水性コア材料の併用により、均一な大きさ分布の明確に定義されたカプセルの製造が可能になり、カプセルシェルが開くとすぐに、適用媒体に放出される重付加触媒の分布が軽減される。
【0027】
重付加触媒が占める割合は、有利には、重付加触媒と疎水性コア材料の総重量を基準として、10~100重量%、例えば20~90重量%、特に30~70重量%である。
【0028】
疎水性コア材料の例は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、飽和または不飽和C6~C30脂肪酸、脂肪アルコール、オキソアルコール、脂肪アルコールのエーテル、C6~C30脂肪アミン、脂肪酸エステル、トリグリセリド、脂肪族または芳香族ポリカルボン酸のエステル、天然および合成ワックス、ならびにトリアルキルリン酸エステルである。疎水性コア材料は、2種以上の物質の混合物として使用することもできる。
【0029】
適切な物質として、次のものが例示的に挙げられる:
- 脂肪族炭化水素、例えば、分枝状または好ましくは線状の飽和または不飽和C10~C40炭化水素、例えばn-テトラデカン、n-ペンタデカン、n-ヘキサデカン、n-ヘプタデカン、n-オクタデカン、n-ノナデカン、n-エイコサン、n-ヘネイコサン、n-ドコサン、n-トリコサン、n-テトラコサン、n-ペンタコサン、n-ヘキサコサン、n-ヘプタコサン、n-オクタコサン、および環状炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン;
- 芳香族炭化水素、例えばベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、o-またはm-ターフェニル、C1~C40アルキル置換芳香族炭化水素、例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、ヘキシルナフタレンまたはデシルナフタレン;
- ハロゲン化炭化水素、例えばクロロパラフィン、ブロモオクタデカン、ブロモペンタデカン、ブロモノナデカン、ブロモエイコサン、ブロモドコサン;
- 飽和または不飽和C6~C30脂肪酸、例えばラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸またはベヘン酸;
- 脂肪アルコール、例えばラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヤシ油脂肪アルコールなどの混合物、ならびにα-オレフィンのヒドロホルミル化および更なる反応によって得られるいわゆるオキソアルコール;
- C6~C30脂肪アミン、例えばデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはヘキサデシルアミン;
- 脂肪酸エステル、例えば脂肪酸のC1~C10アルキルエステル、例えばパルミチン酸プロピル、ステアリン酸メチルまたはパルミチン酸メチルおよび好ましくはそれらの共融混合物またはケイ皮酸メチル;
- 直鎖状および分枝状C3~C21カルボン酸のトリグリセリド、例えばオリーブ油、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ油、落花生油、パーム油、ココナッツ油および小麦胚芽油;
- 脂肪族または芳香族ポリカルボン酸のエステル、特にアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、クエン酸、アセチルクエン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸またはフタル酸のエステル、例えばアジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、アジピン酸ジ-n-ヘキシル、アジピン酸ジ-n-オクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジ-n-デシル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸エチルヘキシル、セバシン酸ジイソデシル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジ-n-ヘキシル、フタル酸ジ-n-デシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルシクロヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸イソオクチルイソデシル;
- 天然および合成ワックス、例えばモンタン酸ワックス、モンタンエステルワックス、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、酸化ワックス、ポリビニルエーテルワックス、エチレン酢酸ビニルワックスまたはフィッシャー・トロプシュハードワックス;
- トリアルキルリン酸エステル、例えばリン酸トリメチル。
【0030】
これらのうち、脂肪族または芳香族ポリカルボン酸のエステル、特にアジピン酸エステル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸エステル、フタル酸エステル、トリグリセリドおよびトリアルキルリン酸エステルは、それらの容易な入手可能性および硬化すべき組成物との適合性のために一般的に好ましい。特に好ましい疎水性コア材料は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルである。
【0031】
カプセルシェルを構成するアクリルコポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸の分子間無水物、特にエチレン性不飽和C3~C12カルボン酸の分子間無水物、特に好ましくはエチレン性不飽和C3~C8カルボン酸の分子間無水物の共重合単位を含む。分子間酸無水物とは、無水物結合の切断時に2個の酸分子を生成するものを意味する。分子間無水物は、エチレン性不飽和カルボン酸の対称または非対称無水物を含み得る。適切なエチレン性不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ビニル安息香酸などである。エチレン性不飽和ジカルボン酸の相互またはエチレン性不飽和モノカルボン酸とのモノエステルの対称もしくは非対称無水物も考慮される。アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物および4-ビニル安息香酸無水物が好ましく、それらのうちメタクリル酸無水物が最も好ましい。
【0032】
エチレン性不飽和カルボン酸の分子間無水物の単位の他に、アクリルコポリマーは、一般に、無水物とは異なる1種以上のエチレン性不飽和モノマーの共重合単位を含む。
【0033】
一般的に、アクリルコポリマーは、
(a)エチレン性不飽和C3~C12カルボン酸の少なくとも1種の分子間無水物5~50重量%、有利には10~30重量%、
(b)アクリル酸のC1~C24アルキルエステル、メタクリル酸のC1~C24アルキルエステルおよびビニル芳香族から選択される少なくとも1種のモノマー30~90重量%、有利には35~80重量%、
(c)少なくとも2個のエチレン性不飽和を有する少なくとも1種のモノマー5~20重量%、有利には10~15重量%および
(d)それぞれモノマーの総重量を基準として、1種以上の他のモノマー0~30重量%、有利には0~20重量%
の単位から構成される。
【0034】
好ましいモノマー(a)は、上記の、特にアクリル酸無水物、メタクリル酸無水物および4-ビニル安息香酸無水物であり、それらのうちメタクリル酸無水物が最も好ましい。
【0035】
モノマー(b)として適しているのは、アクリル酸および/またはメタクリル酸のC1~C24アルキルエステルである。適切なモノマー(b)は、イソプロピルアクリラート、イソブチルアクリラート、sec-ブチルアクリラートおよびtert-ブチルアクリラートならびに対応するメタクリラート、ならびに特に好ましくは、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n-プロピルアクリラートおよびn-ブチルアクリラートおよび対応するメタクリラートである。一般に、メタクリラートが好ましい。更なる適切なモノマー(b)は、スチレンまたはα-メチルスチレンなどのビニル芳香族である。
【0036】
特定の実施形態では、モノマー(b)は、70℃以上のガラス転移温度Tgを有する少なくとも1種のモノマーと、50℃以下のガラス転移温度Tgを有する少なくとも1種のモノマーとの組合せを含む。70℃以上のガラス転移温度Tgを有する好ましいモノマーは、メチルメタクリラートである;50℃以下のガラス転移温度Tgを有する好ましいモノマーは、n-ブチルアクリラートまたはn-ブチルメタクリラートである。
【0037】
モノマー(c)は、少なくとも2個のエチレン性不飽和を有する。それらは重合中にカプセルシェルの架橋を引き起こし、カプセルシェルに機械的安定性を付与する。適切なモノマー(c)は、2、3、4個またはそれ以上の非共役エチレン性不飽和を有するエチレン性不飽和モノマーである。ビニル基、アリル基、アクリル基および/またはメタクリル基を有するモノマーを使用することが好ましい。好ましいモノマーは、水に不溶性または難溶性であるが、親油性物質への溶解度が良好ないし制限されているものである。難溶性とは、20℃で60g/l未満の溶解度を意味する。
【0038】
2個のエチレン性不飽和を有する適切なモノマーは、ジビニルベンゼンおよびジビニルシクロヘキサン;ジオールとアクリル酸またはメタクリル酸とのジエステル、さらにこれらのジオールのジアリルエーテルおよびジビニルエーテルである。例示的に、エタンジオールジアクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、1,3-ブチレングリコールジメタクリラート、メタリルメタクリルアミド、アリルアクリラートおよびアリルメタクリラートが挙げられる。特に好ましいのは、プロパンジオールジアクリラート、ブタンジオールジアクリラート、ペンタンジオールジアクリラートおよびヘキサンジオールジアクリラートならびに対応するメタクリラートである。
【0039】
3、4個またはそれ以上の非共役エチレン性不飽和を有する好ましいモノマーは、多価アルコールとアクリル酸および/またはメタクリル酸とのエステル、さらにこれらの多価アルコールのアリルエーテルおよびビニルエーテル、トリビニルベンゼンおよびトリビニルシクロヘキサンである。ここで、多価アルコールとして挙げられるのは、特に、トリメチロールおよびペンタエリスリトールである。特に好ましいのは、トリメチロールプロパントリアクリラートおよびトリメチロールプロパントリメタクリラート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリラートおよびペンタエリスリトールテトラアクリラートならびにそれらの工業用混合物である。したがって、ペンタエリスリトールテトラアクリラートは、一般に、工業用混合物ではペンタエリスリトールトリアクリラートと少量のオリゴマー化生成物との混合物で存在する。
【0040】
特に好ましいモノマー(c)は、1,4-ブタンジオールジアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラートおよびトリエチレングリコールジメタクリラートである。
【0041】
考慮される任意のモノマー(d)は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸無水物、2-ヒドロキシエチルアクリラートおよび2-ヒドロキシエチルメタクリラート、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリラートおよびジエチルアミノエチルメタクリラートなど、モノマー(a)~(c)とは異なる他のモノマーである。
【0042】
アクリルコポリマーは様々な方法で入手可能であるが、有利には水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンにおけるフリーラジカル懸濁重合によって得られる。カプセル化すべき触媒の親水性または親油性に従って、水中油型または油中水型の選択が当業者によってなされるであろう。
【0043】
油中水型エマルジョンにおけるフリーラジカル懸濁重合の一つの方法が、例えば、国際公開第2013/092158号(WO 2013/092158)および国際公開第2014/198531号(WO 2014/198531)に記載されており、それらの内容全体が参照される。
【0044】
マイクロカプセルは、有利には、安定な水中油型エマルジョンの油相中でのカプセルシェルを構成するモノマー混合物の重合によって得られ、ここで、油相は、重付加触媒を含む疎水性材料から成る。この製造方法は、それ自体公知であり、例えば独国特許出願公開第4321205号明細書(DE 4321205)または国際公開第2014/127951号(WO 2014/127951)に記載されている。
【0045】
マイクロカプセルのコアは、水中で乳化可能な疎水性材料で形成されている。疎水性材料は、重合によるカプセルシェルの製造時に使用されるモノマー混合物の溶媒または分散剤として同時に機能する。次いで、安定した水中油型エマルジョンの油相中で重合が行われる。このエマルジョンは、例えば、最初にモノマーおよび重合開始剤ならびに場合により連鎖移動剤を疎水性材料に溶解し、そうすることで得られた溶液を乳化剤および/または保護コロイドを含む水性媒体に乳化することによって得られる。しかしながら、最初に水相中で疎水性相またはその成分を乳化し、次いでモノマーまたは重合開始剤および場合によりさらに併用すべき助剤、例えば保護コロイドまたは連鎖移動剤をエマルジョンに加えることも可能である。この方法の別の変形例では、疎水性材料とモノマーを水中で乳化させ、引き続き重合開始剤のみを加えることも可能である。疎水性材料は可能な限り完全にエマルジョン中でマイクロカプセル化されるため、有利には、水への溶解度が制限されている疎水性材料のみが使用される。溶解度は、有利には25℃で5重量%を超えないことが望ましい。水中油型エマルジョンの油相中で疎水性材料を完全にカプセル化するには、疎水性材料へのその溶解度に応じてモノマーを選択することが有用である。モノマーは実質的に油に可溶であるが、個々の油滴で重合すると、水中油型エマルジョンの油相にも水相にも溶けずに、油滴と水相との間の界面に移行するオリゴマーおよびポリマーが生成する。そこで更なる重合の過程で、それらは壁材を形成し、これが最終的にマイクロカプセルのコアとして疎水性材料を包み込む。
【0046】
安定した水中油型エマルジョンを形成するには、一般に、保護コロイドおよび/またはピカリング安定剤が併用される。保護コロイドとピカリング安定剤の両方は、イオン性または中性であってもよい。保護コロイドおよびピカリング安定剤は、個々に使用することも、同一または異なる電荷を持つ複数の代表物質の混合物で使用することもできる。
【0047】
保護コロイドは、好ましくは、水の表面張力を最大73mN/mから45~70mN/mに下げ、ひいては閉じたカプセル壁の形成を保証する水溶性ポリマーである。
【0048】
アニオン性保護コロイドは、アルギン酸ナトリウム、ポリメタクリル酸およびそれらの共重合体、スルホエチルアクリラートおよびスルホエチルメタクリラートの共重合体、スルホプロピルアクリラートおよびスルホプロピルメタクリラートの共重合体、N-(スルホエチル)-マレインイミドの共重合体、2-アクリルアミド-2-アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸およびビニルスルホン酸の共重合体である。好ましいアニオン性保護コロイドは、ナフタレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物、ならびに特にポリアクリル酸およびフェノールスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物である。
【0049】
中性保護コロイドは、例えば、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、アラビアゴム、キサンタン、カゼイン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、および部分加水分解されたポリ酢酸ビニルならびにメチルヒドロキシプロピルセルロースである。好ましい中性保護コロイドは、ポリビニルアルコールおよび部分加水分解されたポリ酢酸ビニルならびにメチルヒドロキシ-(C1~C4)-アルキルセルロースである。
【0050】
メチルヒドロキシ-(C1~C4)-アルキルセルロースとは、メチル化度だけでなくアルコキシル化度も非常に多岐にわたったメチルヒドロキシ-(C1~C4)-アルキルセルロースを意味する。好ましいメチルヒドロキシ-(C1~C4)-アルキルセルロースは、1.1~2.5の平均置換度DSおよび0.03~0.9のモル置換度MSを有する。
【0051】
適切なメチルヒドロキシ-(C1~C4)-アルキルセルロースの例は、メチルヒドロキシ-エチルセルロースまたはメチルヒドロキシプロピルセルロースである。メチルヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい。これらの種類のメチルヒドロキシ-(C1~C4)-アルキルセルロースは、例えば、Hercules/Aqualon社からCulminal(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0052】
ピカリング安定剤は無機固体粒子である。このようなピカリング系は、固体粒子のみから成るか、または水中での粒子の分散性もしくは親油性相による粒子の濡れ性を高める助剤からさらに成っていてもよい。作用様式およびその投入は、欧州特許出願公開第1029018号明細書(EP-A-1 029 018)および欧州特許出願公開第1321182号明細書(EP-A-1 321 182)に記載されており、それらの内容は明示的に参照により組み込まれる。
【0053】
無機固体粒子は、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、チタン、アルミニウム、ケイ素、バリウムおよびマンガンの塩、酸化物および水酸化物などの金属塩であってもよい。それらには、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび硫化亜鉛が含まれる。ケイ酸塩、ベントナイト、ヒドロキシアパタイトおよびハイドロタルサイトも同様に挙げられる。SiO2ベースのシリカ、ピロリン酸マグネシウムおよびリン酸三カルシウムが特に好ましい。
【0054】
適切なSiO2ベースのピカリング安定剤は、高分散シリカである。それらは水中に微細な固体粒子として分散させることができる。しかしながら、水中でのシリカのいわゆるコロイド分散を使用することも可能である。このようなコロイド分散液は、シリカのアルカリ性水性混合物である。アルカリ性のpH範囲では、粒子は膨潤し、水中で安定する。これらの分散液をピカリング安定剤として使用する場合、水中油型エマルジョンのpH値を酸でpH2~7に調整すると有利である。シリカの好ましいコロイド分散液は、9.3のpHで70~90m2/gの範囲の比表面積を有する。
【0055】
好ましいSiO2ベースのピカリング安定剤は、8~11の範囲のpH値で平均粒度が40~150nmの範囲にある高分散シリカである。例示的に、Levasil(登録商標)50/50(H.C.Starck)、Koestrosol(登録商標)3550(CWK Bad Koestritz)およびBindzil(登録商標)50/80(Akzo Nobel Chemicals)が言及される。
【0056】
重合は、一般に、ラジカル形成重合開始剤の存在下で行われる。このために、例えば、重合すべきモノマーの重量を基準として、例えば0.1~5重量%の通常使用される量で、すべての慣用のペルオキソ化合物およびアゾ化合物を使用することができる。好ましい重合開始剤は、油相またはモノマーに可溶なものである。そのような例は、t-ブチルペルオキシネオデカノアート、t-ブチルペルオキシピバラート、t-アミルペルオキシピバラート、ジラウロイルペルオキシド、t-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノアートなどである。
【0057】
水中油型エマルジョンの重合は、通常20~100℃、有利には40~90℃で実施される。重合は、通常、標準圧力下で行われるが、例えば、0.5~20バールの範囲の減圧下または高圧下で行われてもよい。有用な手順は、高速分散機を使用して、水、保護コロイドおよび疎水性材料、重合開始剤およびモノマーからの混合物を疎水性材料の所望の液滴サイズに乳化し、重合開始剤の分解温度まで撹拌しながら安定したエマルジョンを加熱して行うことである。ここで、重合速度は、温度と重合開始剤の量を選択することによって、既知の方法で制御することができる。重合温度に達した後、モノマーの変換を完了するために、例えば2~6時間などの更なる時間にわたって重合を継続することが有用である。
【0058】
特に好ましい操作では、重合反応混合物の温度を、重合中に連続的または周期的に上げる。これは、温度が上昇するプログラムによって行われる。この目的のために、全体の重合時間を2つ以上の期間に分けることができる。最初の重合期間は、重合開始剤のゆっくりとした分解によって特徴付けられる。2つ目の重合期間および場合により更なる重合期間では、重合開始剤の分解を促進するために、反応混合物の温度が上げられる。温度は、一段階で、または二段階以上で、または連続的に線形または非線形で高めてもよい。重合の開始時と終了時との間の温度差は、50℃までとすることができる。一般的に、この差は、3~40℃、有利には3~30℃である。重合の終了後、マイクロカプセル分散液は室温に冷却される。
【0059】
マイクロカプセル分散液が比較的長期間保管される場合は、Rheovis(登録商標)AS 1125、Rheovis(登録商標)AT 120、Rheovis(登録商標)AS 1130(ドイツのBASF SEから入手可能)またはキサンタンなどの増粘剤の添加によって、懸濁液は安定化され、クリーミングが防がれる。
【0060】
上記の手順で得られたマイクロカプセル分散液は、通常の方法で噴霧乾燥することができる。噴霧乾燥されたマイクロカプセルの再分散を軽減するために、噴霧乾燥前に分散液に追加の量の乳化剤および/または保護コロイドを場合により加えてもよい。マイクロカプセル分散液の噴霧乾燥は、通常の方法で行うことができる。一般的に、この手順は、一般に窒素または空気である乾燥ガスの入口温度が100~200℃、有利には120~160℃の範囲であり、かつ乾燥ガスの出口温度が30~90℃、有利には60~80℃の範囲であるように行われる。乾燥ガス流での水性マイクロカプセル分散液の噴霧は、例えば、一流体もしくは多流体ノズルによって、または回転ディスクを介して行うことができる。通常、マイクロカプセル分散液は、2~200バールの範囲で供給される。有利には、渦流発生器を備えた一流体ノズルが使用される。渦流発生器の選択により、液滴サイズと噴霧角度にさらに影響を与えることができる。例えば、噴霧角度に影響を与える渦流室と、スループットに影響を与える多孔板とから成る典型的な構造を有するDelavan社の一流体ノズルを使用することができる。
【0061】
粒状マイクロカプセル組成物の堆積は、通常、サイクロンまたはフィルターセパレーターを使用して行われる。噴霧された水性マイクロカプセル分散液および乾燥ガス流は、有利には、並行して誘導される。乾燥ガス流は、好ましくは、マイクロカプセル分散液と並流で上から塔内に吹き込まれる。
【0062】
噴霧塔として、例えば、塔の高さが12~30メートル、幅が3~8メートルのAnhydro、MiroまたはNubilosa社の乾燥器を使用することができる。このような噴霧塔の乾燥ガスのスループットは、典型的には20~30t/hの範囲である。その場合のマイクロカプセル分散液のスループットは、一般に1~1.5t/hである。
【0063】
この方法の変形例によれば、場合により残留水分を除去するために、乾燥器の下流に流動床を挿入することが可能である。噴霧乾燥の後に流動床乾燥が続く方法が有利である。なぜなら、それらは、より小さな微粉画分を有するマイクロカプセル組成物をもたらすからである。
【0064】
本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、例えばポリウレタン系、ポリ尿素系またはエポキシ系などの付加樹脂の硬化に適している。
【0065】
本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、建設産業、好ましくはフロアコーティング、シーラント、接着剤およびシーリング膜での使用に適している。
【0066】
本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアナート化合物との反応を触媒するのに特に適している。
【0067】
最も重要なポリイソシアナート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の異性体混合物およびプレポリマーである。さらに、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)およびイソホロンジイソシアナート(IPDI)のオリゴマーおよび/または付加物ならびにトルエンジイソシアナート(TDI)およびイソホロンジイソシアナート(IPDI)のプレポリマーも利用される。
【0068】
反応パートナーとして、ポリヒドロキシ化合物が利用可能であるが、芳香族および立体障害脂肪族アミンならびに潜在性硬化剤も利用可能である。後者は、水分に曝されることによって反応性生成物に変換される。さらに、古典的な一成分系(1K-PUR)では、ポリウレタンプレポリマーと水分の反応を利用してポリマーが形成される。
【0069】
本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、ポリオール分散液との使用にも適している。この場合、広範囲の層厚をカバーすることが可能である。層厚が高い場合、一般に、水に曝されたときに生成される二酸化炭素を捕捉するために、セメントおよび/または消石灰(いわゆる3K系)が併用される。この種のコーティングは、非常に高い耐薬品性を有することによって際立つ。
【0070】
本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、ポリイソシアナート化合物に混合することができる。あるいは、本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、適用時に樹脂系の成分と混合することができる。好ましい一実施形態では、本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、骨材系または充填剤系に混合される。骨材系または充填剤系は、一般に粉末状で存在し、適用時に樹脂系の液体成分と混合される。
【0071】
本発明によりマイクロカプセル化された重付加触媒は、十分に長いポットライフと短い硬化時間の設定を可能にする。
【0072】
以下の実施例により、本発明をより詳細に説明する。
【0073】
マイクロカプセルの粒度分布は、Malvern Mastersizer 2000、サンプル分散ユニットHydro 2000Sを使用して、文献に記載されている標準的な測定方法で測定した。特定した値は、平均値、すなわちD(0.5)である。
【0074】
凍結乾燥のために、サンプルを深さ25mmの金属製トレイ内のドライアイス上で凍結した。乾燥は、温度コントローラーLDC-1Mを備えたChrist社のAlpha 2-4型凍結乾燥器で1.013mbarにて行う。サンプル温度は-20℃に調整した。氷凝縮器の温度は-60℃未満であった。乾燥プロセスは、サンプルと設置面の両方の温度が0℃未満になったときに終了した。乾燥継続時間は、乾燥すべき材料の量と物理的性質に依存する。乾燥後、装置を周囲の空気で通気し、サンプルはスパチュラを用いて型からこすり取って移す。
【0075】
例1
水相
蒸留水463.15g
ポリビニルアルコールの10重量%水溶液150g(Kuraray Europe GmbHのMowiol 18/88、20℃での4重量%溶液の粘度:DIN 53015に従って測定して18mPas、および加水分解度88%)
亜硝酸ナトリウムの2.5重量%水溶液2g
水酸化ナトリウムの25重量%水溶液0.12g
フィード1
ジラウリン酸ジブチルスズ200g
ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート200g
フィード2
1,4-ブタンジオールジアクリラート10g
メチルメタクリラート50g
メタクリル酸無水物40g
フィード3
tert-ブチルペルオキシネオデカノアート2.05g
フィード4
tert-ブチルヒドロペルオキシドの10重量%水溶液10g
フィード5
アスコルビン酸の3.85重量%水溶液26g
【0076】
水相を25℃で受け容器に入れる。フィード1とフィード2を加え、混合物を3500rpmで40分間撹拌した。安定したエマルジョンが形成された。フィード3の添加後、次の温度プログラムを実行した:180分間で75℃に加熱し、この温度を60分間保持する。その後、フィード4を加え、20℃に冷却する過程で、フィード5を60分間かけて加えた。
【0077】
これにより45.2重量%の固形分を有し、2.54μmの平均粒度D(0.5)を有する分散液が得られた。引き続き、分散液を凍結乾燥することで水を除去した。この場合、無色の粉末が得られた。
【0078】
例2
例1を繰り返したが、次の成分の量を以下のとおり変更した:
メチルメタクリラート70g
メタクリル酸無水物20g
【0079】
これにより44.8重量%の固形分を有し、2.25μmの平均粒度D(0.5)を有する分散液が得られた。引き続き、分散液を凍結乾燥することで水を除去した。この場合、無色の粉末が得られた。
【0080】
例3
水相
蒸留水570.7g
約80m2/gの比表面積を有するシリカゾルの50重量%水溶液150g
26000g/モルの平均分子量を有するメチルヒドロキシプロピルセルロースの5重量%水溶液7g
亜硝酸ナトリウムの2.5重量%水溶液2g
硝酸の20重量%水溶液3.85g
フィード1
ジラウリン酸ジブチルスズ200g
ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート200g
フィード2
1,4-ブタンジオールジアクリラート10g
メチルメタクリラート50g
メタクリル酸無水物40g
フィード3
脂肪族炭化水素中のtert-ブチルペルピバラートの75重量%溶液1.35g
フィード4
ペルオキソ二硫酸ナトリウムの2重量%水溶液50g
フィード5
水酸化ナトリウムの10重量%水溶液14.4g
【0081】
水相を25℃で受け容器に入れる。フィード1とフィード2を加え、混合物を3500rpmで40分間撹拌した。安定したエマルジョンが形成された。フィード3の添加後、次の温度プログラムを実行した:60分間で65℃に加熱し、60分間で90℃に加熱し、この温度を150分間保持する。この期間の最初の90分間で、フィード4を加えた。20℃に冷却後、フィード5を加えた。
【0082】
これにより44.6重量%の固形分を有し、4.00μmの平均粒度D(0.5)を有する分散液が得られた。引き続き、分散液を凍結乾燥することで水を除去した。この場合、無色の粉末が得られた。
【0083】
例4
例3を繰り返したが、次の成分の量を以下のとおり変更した:
メチルメタクリラート70g
メタクリル酸無水物20g
水酸化ナトリウム0.73g
【0084】
これにより44.7重量%の固形分を有し、4.16μmの平均粒度D(0.5)を有する分散液が得られた。引き続き、分散液を凍結乾燥することで水を除去した。この場合、無色の粉末が得られた。
【0085】
例5
水相
蒸留水570.7g
約80m2/gの比表面積を有するシリカゾルの50重量%水溶液150g
26000g/モルの平均分子量を有するメチルヒドロキシプロピルセルロースの5重量%水溶液7g
亜硝酸ナトリウムの2.5重量%水溶液2g
硝酸の20重量%水溶液3.85g
フィード1
ネオデカン酸ビスマス200g
ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート200g
フィード2
1,4-ブタンジオールジアクリラート10g
メチルメタクリラート70g
メタクリル酸無水物20g
フィード3
脂肪族炭化水素中のtert-ブチルペルピバラートの75重量%溶液1.35g
フィード4
ペルオキソ二硫酸ナトリウムの2重量%水溶液50g
フィード5
水酸化ナトリウムの10重量%水溶液0.73g
【0086】
この方法は、実験4で述べた方法と同じであった。これにより42.5重量%の固形分を有し、3.64μmの平均粒度D(0.5)を有する分散液が得られた。引き続き、分散液を凍結乾燥することで水を除去した。この場合、無色の粉末が得られた。
【0087】
例1~5を、以下の手順でテストした:
テスト系:マスターバッチを、Desmodur N3600(HDI三量体)91g(NCO 0.5モル)とLupranol 1200(数平均分子量450のポリプロピレングリコール)124g(OH 0.55モル)から調製した;触媒0.15g、または触媒含有量が触媒の自由量に対応する量のマイクロカプセルを、1%(w/w)の触媒負荷に対応する15gのマスターバッチに使用した。
【0088】
測定:
1)適切な量の触媒を、撹拌子を含むスナップ蓋付きガラス容器に秤量する
2)Bayer Material Scienceの成分Desmodur N3600とBASFの成分Lupranol 1200を、400rpmで5分間にわたり、ゆっくりとした窒素流下で混合することによってマスターバッチを製造する
3)混合物をガラス製サンプル容器に詰め込み、撹拌子で撹拌する
4)ポットライフ(「Potlife」):撹拌子が静止したままのとき
5)硬化時間(「Curing time」):ガラス容器を傾けたときに樹脂の表面がもはや動かなくなった後に、スパチュラを使用して硬化樹脂をもはや押し込むことができなくなったらすぐに、最終的な硬化時間を決定した。
【表1】
本開示は以下も包含する。
[1]
重付加触媒を含むカプセルコアと、カプセルシェルとしてアクリルコポリマーとを含むマイクロカプセル化された重付加触媒であって、前記アクリルコポリマーは、エチレン性不飽和C
3
~C
12
カルボン酸の分子間無水物の共重合単位を含み、かつ前記重付加触媒は、非環式第三級アミン、脂環式第三級アミン、N-アルキルイミダゾール、ホスフィンおよび有機金属塩から選択される、マイクロカプセル化された重付加触媒。
[2]
前記エチレン性不飽和C
3
~C
12
カルボン酸の分子間無水物は、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物および4-ビニル安息香酸無水物から選択される、態様1記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[3]
前記アクリルコポリマーは、
(a)エチレン性不飽和C
3
~C
12
カルボン酸の少なくとも1種の分子間無水物5~50重量%、
(b)アクリル酸のC
1
~C
24
アルキルエステル、メタクリル酸のC
1
~C
24
アルキルエステルおよびビニル芳香族から選択される少なくとも1種のモノマー30~90重量%、
(c)少なくとも2個のエチレン性不飽和を有する少なくとも1種のモノマー5~20重量%および
(d)それぞれ前記モノマーの総重量を基準として、1種以上の他のモノマー0~30重量%
の単位から構成される、態様1または2記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[4]
前記非環式第三級アミンは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン(BDMA)、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ビス-(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルアミノプロピル-N’-メチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ビス-(ジメチルアミノプロピル)アミノ-2-プロパノール、N,N-ジメチルアミノプロピル-ジプロパノールアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチル-エーテル、N,N-ジメチルアミノプロピル尿素、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキシレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン(PMDPTA)、N,N,N-トリス-(3-ジメチルアミノプロピル)-アミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)-エーテル(BDMAEE)、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-尿素、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ならびに2-エチルヘキサン酸とのその塩およびそれらの異性体、1,3,5-トリス(3-[ジメチルアミノ]プロピル)-ヘキサヒドロ-トリアジンから選択され;
前記脂環式第三級アミンは、1,4-ジメチルピペラジン(DMP)、1-メチル-4-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1-アザ-ビシクロ-[3.3.0]-オクタン、1,4-ジアザ-ビシクロ-[2.2.2]-オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-ノナ-7-エン(DBN)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリンおよび2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)から選択され;
前記N-アルキルイミダゾールは、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、N-(2-ヒドロキシプロピル)-イミダゾール、N-(2-ヒドロキシエチル)-イミダゾールおよびN-(2-アミノプロピル)-イミダゾールから選択される、
態様1から3までのいずれか記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[5]
前記有機金属塩は、一般式
L
m
M
n+
nA
-
[式中、
配位子Lは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールおよびアシルから選択される有機基または有機化合物であり、ここで、配位子Lは、1~20個のC原子を有し、m個の配位子Lは、同一または異なっていてもよく、
mは、0、1、2、3、4、5または6であり、
Mは、金属であり、
nは、1、2、3、または4であり、かつ
アニオンA
-
は、カルボキシラートイオン、アルコキシラートイオンまたはエノラートイオンである]を有する、態様1から4までのいずれか記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[6]
前記金属Mは、リチウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、インジウム、スズ、鉛、ビスマス、セリウム、コバルト、鉄、銅、ランタン、マンガン、水銀、スカンジウム、チタン、亜鉛およびジルコニウムから選択される、態様5記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[7]
前記アニオンA
-
は、式R
1
-COO
-
のカルボキシラートイオンであり、式中、R
1
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールおよびアシルから選択され、かつ前記基R
1
は、20個までのC原子を有する、態様5または6記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[8]
前記アニオンA
-
は、式R
2
CH=CR
3
-O
-
のエノラートイオンであり、式中、R
2
およびR
3
のそれぞれは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールおよびアシルから選択され、かつ前記基R
2
およびR
3
のそれぞれは、20個までのC原子を有する、態様5または6記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[9]
前記カプセルコアは、疎水性コア材料を含む、態様1から8までのいずれか記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[10]
前記疎水性コア材料は、脂肪族または芳香族ポリカルボン酸のエステル、トリグリセリドおよびトリアルキルリン酸エステルから選択される、態様9記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[11]
前記マイクロカプセルの直径D(0.5)は、1~50μmである、態様1から10までのいずれか記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[12]
前記マイクロカプセル化された重付加触媒は、乾燥粉末、顆粒または凝集体として存在する、態様1から11までのいずれか記載のマイクロカプセル化された重付加触媒。
[13]
安定な水中油型エマルジョンの油相中でのカプセルシェルを構成するモノマー混合物のラジカル重合によって態様1から12までのいずれか記載のマイクロカプセル化された重付加触媒を製造する方法であって、前記油相は、重付加触媒を含み、かつ前記モノマー混合物は、エチレン性不飽和C
3
~C
12
カルボン酸の分子間無水物を含む、方法。
[14]
前記水中油型エマルジョンは、保護コロイドおよび/またはピカリング安定剤によって安定化されている、態様13記載の方法。
[15]
ポリオール化合物とポリイソシアナート化合物との反応を触媒するための、態様1から12までのいずれか記載のマイクロカプセル化された重付加触媒の使用。