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特許7587654感光性樹脂組成物、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241113BHJP
   G03F 7/029 20060101ALI20241113BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20241113BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/029
G03F7/031
G02B5/20 101
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023150387
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2021522258の分割
【原出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2023161048
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2019097698
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】奈良 裕樹
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-210453(JP,A)
【文献】特開2017-142372(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135370(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0346416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/029
G03F 7/031
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤と、樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、溶剤と、を含む感光性樹脂組成物であって、
前記着色剤は、カラーインデックスピグメントブルー15:3およびカラーインデックスピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料を含み、かつ、前記着色剤は、前記フタロシアニン顔料以外の着色剤の含有量が0.5質量%未満であり、
前記光重合開始剤は、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる少なくとも1種であり、
前記紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、ベンゾトリアゾール化合物及びトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種であり、
感光性樹脂組成物は、前記光重合開始剤100質量部に対して前記紫外線吸収剤を1~200質量部含み、前記重合性化合物100質量部に対して前記紫外線吸収剤を5~100質量部含み、かつ、前記感光性樹脂組成物の全固形分中に前記紫外線吸収剤を0.5~10質量%含有する、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記フタロシアニン顔料の平均二次粒子径が50~100nmである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記感光性樹脂組成物の全固形分中に前記着色剤を10質量%以上含む、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂は、アミン価が25~60mgKOH/gの樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記アミン価が25~60mgKOH/gの樹脂は、(メタ)アクリル樹脂である、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記光重合開始剤は、オキシム化合物およびα-アミノケトン化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
カラーフィルタの画素形成用である、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
シアン色の画素形成用である、請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
固体撮像素子用である、請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
【請求項13】
請求項12に記載の硬化膜を有するカラーフィルタ。
【請求項14】
請求項12に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
【請求項15】
前記硬化膜がシアン色画素であり、
更に、イエロー色画素とマゼンタ色画素とを含む、請求項14に記載の固体撮像素子。
【請求項16】
請求項12に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーインデックスピグメントブルー15:3およびカラーインデックスピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料を含む感光性樹脂組成物に関する。また、本発明は、感光性樹脂組成物を用いた硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。
【0003】
カラーフィルタとしては、赤色画素、緑色画素および青色画素を備えた加法混合方式のカラーフィルタや、シアン色画素、マゼンタ色画素およびイエロー色画素を備えた減法混色方式のカラーフィルタなどが知られている。カラーフィルタの各色の画素は、着色剤を含む感光性樹脂組成物などを用いて製造されている。
【0004】
特許文献1の段落番号0123~0130には、カラーインデックスピグメントブルー15:3を含む顔料分散体と、アクリル樹脂溶液と、光重合性単量体と、光重合開始剤と、レベリング剤溶液と、溶剤とを含むシアン色感光性着色組成物が記載されている。
【0005】
特許文献2には、カラーインデックスピグメントグリーン7と、青色色材と、黄色色材と、分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物が記載されている。特許文献2の段落番号0113には、青色色材として、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6等が用いられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-142372号公報
【文献】特開2018-045189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、カラーフィルタは複数色の画素を有している。このような複数色の画素を有するカラーフィルタは、1色ずつ画素を順次形成して製造される。例えば、感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法にて複数色の画素を有するカラーフィルタを形成する場合、感光性樹脂組成物を用いて支持体上に感光性樹脂組成物層を形成し、次いで、感光性樹脂組成物層をパターン状に露光し、次いで、感光性樹脂組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する操作を各色の画素毎行って製造される。このため、先の工程で形成した画素(以下、第1の画素ともいう)上にも、次工程で形成される他色の感光性樹脂組成物が適用される。先の工程で形成した画素(第1の画素)上に適用された他色の感光性樹脂組成物は、パターン形成時の現像処理によって除去されるが、第1の画素の硬化性などが不十分であると、第1の画素上に適用された他色の感光性樹脂組成物に含まれる着色剤などが第1の画素側へ移行して混色が生じることがある。このため、感光性樹脂組成物を用いて形成される画素については、他の色相の画素との混色が少ないものであることが望まれている。また、カラーフィルタに用いられる画素においては、分光特性に優れること、耐光性に優れることなども求められている。また、これらの特性について、近年ではより高い水準での並立が求められている。
【0008】
ところで、シアン色の画素形成用の感光性樹脂組成物については、これまで検討があまり進められておらず、従来公知のシアン色の画素形成用の感光性樹脂組成物では、シアン色に適した分光特性と、耐光性と、他の色相の画素との混色の抑制とを、近年要求されている高い水準で並立できる画素などの硬化膜を形成することは困難であった。また、本発明者の検討によれば、特許文献1、2に記載された組成物においても、これらの特性について更なる改善の余地があることが分かった。
【0009】
よって、本発明の目的は、シアン色の発現に適した分光特性を有し、耐光性に優れ、かつ、他の色相の画素との混色の発生を抑制できる硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者の鋭意検討の結果、感光性樹脂組成物に含まれる着色剤中のカラーインデックス(C.I.)ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料の含有量を高めることにより、シアン色に適した分光特性を有する硬化膜を形成できることを見出した。また、本発明者が、この感光性樹脂組成物を用いて得られた硬化膜について更に検討を進めたところ、耐光性について改善の余地があることが分かった。本発明者が更に検討を進めたところ、着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料を50質量%以上含むものを用い、かつ、紫外線吸収剤を感光性樹脂組成物の全固形分中に0.1~10質量%含有させることにより、シアン色に適した分光特性を有し、耐光性に優れ、かつ、他の色相の画素との混色の発生を抑制できる硬化膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下を提供する。
<1> 着色剤と、樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、溶剤と、を含む感光性樹脂組成物であって、
着色剤は、カラーインデックスピグメントブルー15:3およびカラーインデックスピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料を含み、かつ、着色剤中にフタロシアニン顔料を50質量%以上含み、
感光性樹脂組成物の全固形分中に紫外線吸収剤を0.1~10質量%含有する、感光性樹脂組成物。
<2> フタロシアニン顔料の平均二次粒子径が50~100nmである、<1>に記載の感光性樹脂組成物。
<3> 感光性樹脂組成物の全固形分中に着色剤を10質量%以上含む、<1>または<2>に記載の感光性樹脂組成物。
<4> 樹脂は、アミン価が25~60mgKOH/gの樹脂を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<5> アミン価が25~60mgKOH/gの樹脂は、(メタ)アクリル樹脂である、<4>に記載の感光性樹脂組成物。
<6> 上記樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<7> 光重合開始剤100質量部に対して、紫外線吸収剤を1~200質量部含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<8> 重合性化合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.1~100質量部含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<9> カラーフィルタの画素形成用である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<10> シアン色の画素形成用である、<9>に記載の感光性樹脂組成物。
<11> 固体撮像素子用である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
<13> <12>に記載の硬化膜を有するカラーフィルタ。
<14> <12>に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
<15> 上記硬化膜がシアン色画素であり、
更に、イエロー色画素とマゼンタ色画素とを含む、<14>に記載の固体撮像素子。
<16> <12>に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シアン色の発現に適した分光特性を有し、耐光性に優れ、かつ、他の色相の画素との混色の発生を抑制できる硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0013】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、
着色剤と、樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、溶剤と、を含む感光性樹脂組成物であって、
上記着色剤は、カラーインデックスピグメントブルー15:3およびカラーインデックスピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料を含み、かつ、上記着色剤中に上記フタロシアニン顔料を50質量%以上含み、
上記感光性樹脂組成物の全固形分中に上記紫外線吸収剤を0.1~10質量%含有することを特徴とする。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、シアン色の発現に適した分光特性を有し、耐光性に優れ、かつ、他の色相の画素との混色の発生を抑制できる硬化膜を形成できる。特に、波長400~530nmの範囲の光の平均透過率が高く、波長610~700nmの範囲の光の平均透過率の低い硬化膜を形成できる。着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料を50質量%以上含むものを用いたことにより、シアン色に適した分光特性を有する硬化膜を形成することができる。そして、着色剤として、上記フタロシアニン顔料を50%以上含むものを用いるとともに、感光性樹脂組成物の全固形分中に上記紫外線吸収剤を0.1~10質量%含有させることにより、耐光性に優れ、かつ、他の色相の画素との混色の発生を抑制できる硬化膜を形成できる。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、膜厚が0.4~1.0μmの硬化膜を形成した際に、膜の厚み方向における波長400~530nmの範囲の光の平均透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。また、膜の厚み方向における波長400~530nmの範囲の光の透過率の最小値は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。また、膜の厚み方向における波長610~700nmの範囲の光の平均透過率は30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。また、膜の厚み方向における波長610~700nmの範囲の光の透過率の最大値は40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物は、膜厚が0.4~1.0μmの硬化膜を形成した際に、膜の厚み方向における波長400~700nmの範囲の光に対する透過スペクトルにおいて、波長400~530nmの範囲に透過率のピーク値が存在することが好ましい。また、波長540~600nmの範囲に透過率がピーク値の50%になる波長(以下、この波長をλT50ともいう)が存在することが好ましい。また、波長560~620nmの範囲に透過率がピーク値の20%になる波長(以下、この波長をλT20ともいう)が存在することが好ましい。λT50は波長545~595nmの範囲に存在することが好ましく、波長550~590nmの範囲に存在することがより好ましい。λT20は波長565~615nmの範囲に存在することが好ましく、波長560~610nmの範囲に存在することがより好ましい。また、λT20とλT50との差(λT20-λT50)は、5~80nmであることが好ましく、7~50nmであることがより好ましく、10~30nmであることが更に好ましい。
【0017】
得られる硬化膜の透過率の値は、着色剤に含まれるC.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料の含有量、並びに、感光性樹脂組成物中の着色剤の含有量などを変更することで適宜調整することができる。
【0018】
本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの画素形成用の感光性樹脂組成物として好ましく用いることができ、カラーフィルタのシアン色の画素形成用の感光性樹脂組成物としてより好ましく用いることができる。
【0019】
本発明の感光性樹脂組成物は、画像表示装置用の感光性樹脂組成物として好ましく用いることができる。より詳しくは、画像表示装置用のカラーフィルタの画素形成用の感光性樹脂組成物として好ましく用いることができ、画像表示装置用のカラーフィルタのシアン色の画素形成用の感光性樹脂組成物としてより好ましく用いることができる。画像表示装置の種類としては特に限定はないが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの有機半導体素子を光源として有する表示装置などが挙げられる。
【0020】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、固体撮像素子用の感光性樹脂組成物として用いることもできる。より詳しくは、固体撮像素子用のカラーフィルタの画素形成用の感光性樹脂組成物として好ましく用いることができ、固体撮像素子用のカラーフィルタのシアン色の画素形成用の感光性樹脂組成物としてより好ましく用いることができる。
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物によって形成される硬化膜および画素の厚さは、0.5~3.0μmであることが好ましい。下限は0.8μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、1.1μm以上がさらに好ましい。上限は2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.8μm以下がさらに好ましい。また、本発明の感光性樹脂組成物によって形成される画素の線幅(パターンサイズ)は、2.0~10.0μmであることが好ましい。上限は7.5μm以下が好ましく、5.0μm以下がより好ましく、4.0μm以下がさらに好ましい。下限は2.25μm以上が好ましく、2.5μm以上がより好ましく、2.75μm以上がさらに好ましい。
【0022】
以下、本発明の感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
【0023】
<<着色剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は着色剤を含有する。本発明の感光性樹脂組成物に用いられる着色剤は、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4から選ばれる少なくとも1種のフタロシアニン顔料を含む。以下、C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントブルー15:4とを合わせて特定フタロシアニン顔料ともいう。
【0024】
特定フタロシアニン顔料の平均二次粒子径は、可視光の透過性を高めて、シアン色に適した分光特性を有する硬化膜が得られやすいという理由から50~100nmであることが好ましい。下限は、耐光性の観点から55nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましい。上限は、分光特性の観点から95nm以下であることが好ましく、90nm以下であることがより好ましい。
【0025】
なお、本明細書において、顔料の平均二次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、電子顕微鏡写真から顔料の二次粒子の大きさを直接計測して測定した。具体的には、個々の顔料の二次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料の粒径とした。次に、100個の顔料のそれぞれについて、それぞれの顔料の体積を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均二次粒子径とした。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる着色剤は、特定フタロシアニン顔料を50質量%以上含有し、55質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましく、65質量%以上含有することが更に好ましい。上限は100質量%であってもよく、95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよい。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる着色剤は、特定フタロシアニン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントブルー15:4との両者を含むものであってもよく、いずれか一方のみを含むものであってもよい。本発明の感光性樹脂組成物がC.I.ピグメントブルー15:3を含む場合は、感光性樹脂組成物の塗布性を向上させやすい。本発明の感光性樹脂組成物がC.I.ピグメントブルー15:4を含む場合は、感光性樹脂組成物の保存安定性や、得られる硬化膜の耐熱性を向上させやすい。また、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる着色剤が、C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントブルー15:4とを含む場合は、C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントブルー15:4との質量比は、C.I.ピグメントブルー15:3の100質量部に対して、C.I.ピグメントブルー15:4が10~1000質量部であることが好ましく、25~400質量部であることがより好ましく、50~200質量部であることが更に好ましい。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる着色剤は、上記特定フタロシアニン顔料以外の着色剤(以下、他の着色剤ともいう)を含有していてもよい。他の着色剤を含有する場合は、より優れた耐光性や、他色の画素との色分離の向上という効果が期待できる。本発明の感光性樹脂組成物に用いられる着色剤が更に他の着色剤を含有する場合、着色剤中における他の着色剤の含有量は、50質量%未満であることが好ましく、45質量%未満であることが更に好ましく、40質量%未満であることが更に好ましく、35質量%未満であることがより一層好ましく、30質量%未満であることが特に好ましい。下限は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる着色剤は、他の着色剤を実質的に含有しないことも好ましい。この態様によれば、透過光量を高め、より高感度な画素を得ることもできる。なお、着色剤が、他の着色剤を実質的に含有しない場合とは、着色剤中における他の着色剤の含有量が0.5質量%未満であることを意味し、0.1質量%未満であることが好ましく、他の着色剤を含有しないことが更に好ましい。
【0029】
他の着色剤としては、赤色着色剤、緑色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤、オレンジ色着色剤などの有彩色着色剤が挙げられ、緑色着色剤、青色着色剤および黄色着色剤であることが好ましく、より優れた耐光性が得られやすいという理由から黄色着色剤であることがより好ましい。他の着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。顔料と染料とを併用してもよい。また、顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでもよい。また、顔料には、無機顔料または有機‐無機顔料の一部を有機発色団で置換した材料を用いることもできる。無機顔料や有機‐無機顔料の一部を有機発色団で置換することで、色相設計をしやすくできる。顔料としては以下に示すものが挙げられる。
【0030】
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,231,232(メチン系),233(キノリン系)等(以上、黄色顔料)、
C.I.ピグメントオレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(アゾ系),296(アゾ系)等(以上、赤色顔料)、
C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58,59,62,63等(以上、緑色顔料)、
C.I.ピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン系)等(以上、青色顔料)。
【0031】
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物および特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物を用いることもできる。
【0032】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落番号0022~0030、特開2011-157478号公報の段落番号0047に記載の化合物が挙げられる。
【0033】
また、黄色顔料として、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432077号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-054339号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、下記式(QP1)で表される化合物、下記式(QP2)で表される化合物を用いることもできる。
【化1】
【0034】
式(QP1)中、X~X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Zは炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
【化2】
【0035】
式(QP2)中、Y~Yは、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。n、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。式(QP2)で表される化合物の具体例としては、特許6432077号公報の段落番号0047~0048に記載されている化合物が挙げられる。
【0036】
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
【0037】
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。例えば、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が挙げられる。また、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物も好ましく用いることができる。また、黄色染料として、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物などを用いることもできる。
【0038】
他の着色剤は、色素多量体であってもよい。色素多量体は、一分子中に、色素構造を2以上有するものであり、色素構造を3以上有することが好ましい。上限は、特に限定はないが、100以下とすることもできる。一分子中に有する複数の色素構造は、同一の色素構造であってもよく、異なる色素構造であってもよい。色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、2000~50000が好ましい。下限は、3000以上がより好ましく、6000以上がさらに好ましい。上限は、30000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。色素多量体は、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報、国際公開第2016/031442号等に記載されている化合物を用いることもできる。
【0039】
着色剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分中10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
【0040】
<<樹脂>>
本発明の感光性樹脂組成物は樹脂を含む。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途や、バインダーの用途で配合される。なお、主に粒子等を組成物中で分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外を目的として樹脂を使用することもできる。
【0041】
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0042】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、4000以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物は、アミン価を有する樹脂を含むことも好ましい。この態様によれば、顔料を微細に分散でき、感光性樹脂組成物を用いて微細な画素(パターン)を形成した場合であっても、欠陥の少ない画素(パターン)を欠陥することができる。上記樹脂のアミン価は25~60mgKOH/gであることが好ましく、26~59mgKOH/gであることがより好ましく、27~58mgKOH/gであることが更に好ましい。アミン価を有する樹脂は上述した特定フタロシアニン顔料の分散剤として好ましく用いられる。
【0044】
アミン価を有する樹脂の酸価は感光性樹脂組成物の解像性と顔料の分散性の両立の観点から0~250mgKOH/gであることが好ましい。上限は、200mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以下であることがより好ましい。下限は、アルカリ可溶解性を向上して解像性を向上しやすいという理由から5mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、アミン価を有する樹脂の酸価は0mgKOH/gでもよい。アミン価を有する樹脂の酸価が0mgKOH/gの場合は、顔料の分散安定性を良好にするという効果が得られる。
【0045】
アミン価を有する樹脂の数平均分子量としては、500~50000が好ましく、3000~30000がより好ましい。
【0046】
アミン価を有する樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリイミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、樹脂の透明性および耐熱性が良好であるという理由から(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。塩基性樹脂の具体例としては、N,N-ジ置換アミノ基含有ビニルモノマーと、アルキル(メタ)アクリレートモノマーと、その他のビニル系モノマーとの共重合体などが挙げられる。N,N-ジ置換アミノ基含有ビニルモノマーとしては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、又はN,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はラウリル(メタ)アクリレート等の不飽和モノカルボン酸と炭素数1~18のアルキルアルコールとの反応で得られる(メタ)アクリルエステル類等が挙げられる。その他のビニル系モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル等のニトロ基含有ビニル系モノマー類、スチレン、α-メチルスチレン、又はベンジル(メタ)アクリレート等のビニル系芳香族モノマー類、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又はポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル系モノマー類、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、又はダイアセトンアクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー類、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、又はジメチロール(メタ)アクリルアミド等のビニル系モノマー類、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、又はN-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアルコキシメチル基含有ビニル系モノマー類、エチレン、プロピレン、又はイソプレン等のオレフィン類、クロロプレン、又はブタジエン等のジエン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0047】
アミン価を有する樹脂の市販品としては、DISPERBYK161、162、163、164、166、167、168、174、182、183、184、185、2000、2001、2050、2150、2163、2164、BYK-LPN6919(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、SOLSPERSE11200、13240、13650、13940、24000、26000、28000、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、37500,38500,39000,53095、56000、7100(以上、日本ルーブリゾール社製)、Efka PX 4300、4330、4046、4060、4080(以上、BASF社製)等が挙げられる。
【0048】
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物がアルカリ可溶性樹脂を含むことにより、感光性樹脂組成物の現像性が向上し、本発明の感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法でパターン形成した際においては、現像残渣の発生などを効果的に抑制できる。アルカリ可溶性樹脂としては、酸基を有する樹脂が挙げられる。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。アルカリ可溶性樹脂が有する酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、アルカリ可溶性樹脂は、分散剤として用いることもできる。
【0049】
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~70モル%含むことがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
【0050】
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂であることも好ましい。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位と、側鎖に酸基を有する繰り返し単位とを含む樹脂であることが好ましい。
【0051】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
【0052】
【化3】
【0053】
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化4】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の詳細については、特開2010-168539号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0054】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落番号0317の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0055】
アルカリ可溶性樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載、特開2018-105911号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0056】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、400mgKOH/g以下が好ましく、300mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましい。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂としてマレイミド構造を有する樹脂を用いることもできる。なお、本明細書において、マレイミド構造とは、マレイミド化合物に由来する構造のことである。マレイミド化合物としては、マレイミドおよび、N-置換マレイミドが挙げられる。N-置換マレイミドとしては、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、n-ブチルマレイミド、ラウリルマレイミド等が挙げられる。
【0058】
マレイミド構造を有する樹脂は、マレイミド構造を有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。マレイミド構造は繰り返し単位の主鎖に含まれていてもよく、繰り返し単位の側鎖に含まれていてもよい。色ムラの抑制された硬化膜を形成しやすいという理由から、マレイミド構造は繰り返し単位の主鎖に含まれていることが好ましい。
【0059】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂として式(I)で表される化合物由来の繰り返し単位(以下、繰り返し単位i1-1ともいう)を含む樹脂i(以下、樹脂iともいう)を含有することも好ましい。本発明の感光性樹脂組成物が樹脂iを含むことで、色ムラの抑制された硬化膜が得られやすい。樹脂iの全繰り返し単位中における繰り返し単位i1-1の含有量は5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることが更に好ましい。
【化5】
【0060】
式中、Xiは、OまたはNHを表し、Oであることが好ましい。
Riは水素原子またはメチル基を表す。
Liは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭化水素基、複素環基、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられる。複素環基は、非芳香族の複素環基であってもよく、芳香族複素環基であってもよい。複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基を構成するヘテロ原子の種類は窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。複素環基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。炭化水素基および複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
Ri10は置換基を表す。Ri10が表す置換基としては、以下に示す置換基Tiが挙げられ、炭化水素基であることが好ましく、アリール基を置換基として有していてもよいアルキル基であることがより好ましい。
mは0~2の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
pは0以上の整数を表し、0~4が好ましく、0~3がより好ましく、0~2が更に好ましく、0または1がより一層好ましく、1が特に好ましい。
【0061】
(置換基Ti)
置換基Tiとしては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭化水素基、複素環基、-ORti、-CORti、-COORti、-OCORti、-NRtiRti、-NHCORti、-CONRtiRti、-NHCONRtiRti、-NHCOORti、-SRti、-SORti、-SOORti、-NHSORtiまたは-SONRtiRtiが挙げられる。RtiおよびRtiは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基または複素環基を表す。RtiとRtiが結合して環を形成してもよい。
【0062】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~12がより好ましく、2~8が特に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
アルキニル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~25がより好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
炭化水素基および複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した置換基Tiで説明した置換基が挙げられる。
【0063】
式(I)で表される化合物は、下記式(I-1)で表される化合物であることが好ましい。
【化6】
【0064】
Xiは、OまたはNHを表し、Oであることが好ましい。
Riは水素原子またはメチル基を表す。
Ri、RiおよびRi11はそれぞれ独立して炭化水素基を表す。
RiおよびRiが表す炭化水素基は、アルキレン基またはアリーレン基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素数は1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましく、2または3であることが特に好ましい。Ri11が表す炭化水素基は、アリール基を置換基として有していてもよいアルキル基であることが好ましく、アリール基を置換基として有するアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましい。なお、アルキル基が置換基としてアリール基を有する場合におけるアルキル基の炭素数は、アルキル部位の炭素数のことを意味する。
Ri12は置換基を表す。Ri12が表す置換基としては、上述した置換基Tiが挙げられる。
nは0~15の整数を表し、0~5の整数であることが好ましく0~4の整数であることがより好ましく、0~3の整数であることが更に好ましい。
mは0~2の整数を表し、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
p1は0以上の整数を表し、0~4が好ましく、0~3がより好ましく、0~2が更に好ましく、0~1がより一層好ましく、0が特に好ましい。
q1は1以上の整数を表し、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましく、1が特に好ましい。
【0065】
式(I)で表される化合物は、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【化7】
式中、Riは水素原子またはメチル基を表し、Ri21およびRi22はそれぞれ独立してアルキレン基を表し、nは0~15の整数を表す。Ri21およびRi22が表すアルキレン基の炭素数は1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましく、2または3であることが特に好ましい。nは0~5の整数であることが好ましく、0~4の整数であることがより好ましく、0~3の整数であることが更に好ましい。
【0066】
式(I)で表される化合物としては、パラクミルフェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。市販品としては、アロニックスM-110(東亞合成(株)製)などが挙げられる。
【0067】
樹脂iは、更に、アルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位(以下、繰り返し単位i1-2ともいう)を含むことが好ましい。樹脂iが更に繰り返し単位i1-2を有する場合においては、感光性樹脂組成物の溶剤溶解性を向上させる効果が得られる。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル部位の炭素数は、3~10であることが好ましく、3~8であることがより好ましく、3~6であることが更に好ましい。アルキル(メタ)アクリレートの好ましい具体例としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどがあげられ、より優れた溶剤溶解性が得られやすいという理由からn-ブチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。樹脂iの全繰り返し単位中における繰り返し単位i1-2の含有量は5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることが更に好ましい。
【0068】
樹脂iは、更に、酸基を有する繰り返し単位を含むことも好ましい。この態様によれば、感光性樹脂組成物の現像性を向上させる効果が得られる。樹脂iの全繰り返し単位中における酸基を有する繰り返し単位の含有量は5モル%以上であることが好ましく10モル%以上であることがより好ましく15モル%以上であることが更に好ましい。上限は60モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましい。酸基を有する繰り返し単位を含む樹脂iはアルカリ可溶性樹脂でもある。
【0069】
樹脂iは、更に、エチレン性不飽和結合含有基を有する繰り返し単位を含むことも好ましい。樹脂iの全繰り返し単位中におけるエチレン性不飽和結合含有基を有する繰り返し単位の含有量は5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることが更に好ましい。上限は50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
【0070】
本発明の感光性樹脂組成物は、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(以下、樹脂Acともいう)を含むことも好ましい。樹脂Acを用いることで現像時の顔料の色抜けが生じにくく、かつ優れた現像性を有する硬化膜を形成できる。
【0071】
樹脂Acにおいて、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていてもよく、繰り返し単位の側鎖に含まれていてもよい。上述した効果がより顕著に得られやすいという理由から、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていることが好ましい。詳細は不明だが、主鎖近くに芳香族カルボキシル基が存在することで、これらの特性がより向上するものと推測される。なお、本明細書において、芳香族カルボキシル基とは、芳香族環にカルボキシル基が1個以上結合した構造の基のことである。芳香族カルボキシル基において、芳香族環に結合したカルボキシル基の数は、1~4個であることが好ましく、1~2個であることがより好ましい。
【0072】
樹脂Acは、式(b-1)で表される繰り返し単位および式(b-10)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
【化8】
式(b-1)中、Arは芳香族カルボキシル基を含む基を表し、Lは、-COO-または-CONH-を表し、Lは、2価の連結基を表す。
式(b-10)中、Ar10は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L11は、-COO-または-CONH-を表し、L12は3価の連結基を表し、P10はポリマー鎖を表す。
【0073】
まず式(b-1)について説明する。式(b-1)においてArが表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、芳香族トリカルボン酸無水物から由来する構造、芳香族テトラカルボン酸無水物から由来する構造などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物および芳香族テトラカルボン酸無水物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【化9】
【0074】
上記式中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、下記式(Q-1)で表される基または下記式(Q-2)で表される基を表す。
【化10】
【0075】
Arが表す芳香族カルボキシル基を含む基の具体例としては、式(Ar-1)で表される基、式(Ar-2)で表される基、式(Ar-3)で表される基などが挙げられる。
【化11】
【0076】
式(Ar-1)中、n1は1~4の整数を表し、1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(Ar-2)中、n2は1~8の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
式(Ar-3)中、n3およびn4はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ただし、n3およびn4の少なくとも一方は1以上の整数である。
式(Ar-3)中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、上記式(Q-1)で表される基または上記式(Q-2)で表される基を表す。
【0077】
式(b-1)においてLは、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0078】
式(b-1)においてLが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。Lが表す2価の連結基は、-O-L2a-O-で表される基であることが好ましい。L2aは、アルキレン基;アリーレン基;アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基;アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0079】
次に、式(b-10)について説明する。式(b-10)においてAr10が表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、式(b-1)のArと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0080】
式(b-10)においてL11は、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0081】
式(b-10)においてL12が表す3価の連結基としては、炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。L12が表す3価の連結基は、下記式(L12-1)で表される基であることが好ましく、式(L12-2)で表される基であることがより好ましい。
【化12】
【0082】
12aおよびL12bはそれぞれ3価の連結基を表し、XはSを表し、*1は式(b-10)のL11との結合位置を表し、*2は式(b-10)のP10との結合位置を表す。
【0083】
12aおよびL12bが表す3価の連結基としては、炭化水素基;炭化水素基と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられる。
【0084】
式(b-10)においてP10はポリマー鎖を表す。P10が表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位およびポリオール繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。ポリマー鎖P10の重量平均分子量は500~20000が好ましい。下限は1000以上が好ましい。上限は10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。P10の重量平均分子量が上記範囲であれば組成物中における顔料の分散性が良好である。芳香族カルボキシル基を有する樹脂が式(b-10)で表される繰り返し単位を有する樹脂である場合は、この樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0085】
本発明の感光性樹脂組成物は、式(OP1)で表される構造の樹脂(以下、樹脂OPともいう)を用いることも好ましい。この樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【化13】
式中、Rpは数平均分子量400~30000であり、エチレン性不飽和結合含有基を有するポリエーテル残基および/またはポリエステル残基を表し、yは1~2の数を表す。
【0086】
Rpの数平均分子量は、より好ましくは400~10000であり、更に好ましくは400~3000である。Rpの数平均分子量が上記範囲であれば顔料の分散性が良好であり、このような樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0087】
Rpが表すエチレン性不飽和結合含有基を有するポリエーテル残基および/またはポリエステル残基としては、スチレン基、(メタ)アクリロイル基、シアノアクリロイル基、ビニルエーテル基等を有するポリエーテル残基および/またはポリエステル残基が挙げられる。
【0088】
Rpは、下記式(Rp-1)で表される基であることが好ましい。
-Rp12-O-Rp13-(O-Rp14
式中、Rp12はアルキレン基を表し、Rp13は3価以上の多価アルコール残基を表し、Rp14は(メタ)アクリロイル基またはシアノアクリロイル基を表し、sは2以上を表す。
【0089】
Rp12は炭素数8以下のアルキレン基が好ましい。また、顔料分散性の観点からsは2以上が好ましい。この場合、Rp14は互いに異なる基を用いても良い。sは2~5が更に好ましく、2が特に好ましい。
【0090】
Rp13が表す3価以上の多価アルコールとしてはグリセリン、プロピルアルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。特に3~6価のものが好ましい。
【0091】
樹脂OPは、Rpが単一種のリン酸エステルでも良いし、異なるRpからなるリン酸エステルを複数種用いても良い。また、樹脂OPは、式(OP1)中のyが1である樹脂のみであってもよいし、式(OP1)中のyが1の樹脂と、式(OP1)中のyが2の樹脂との混合物であってもよい。また、式(OP1)で表される化合物のRpが、数平均分子量400~10000(より好ましくは400~3000)のポリカプロラクトン残基であると、顔料分散性が良好になり好ましい。
【0092】
本発明の感光性樹脂組成物は、分散剤としての樹脂を含有することができる。分散剤としては、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上である樹脂が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、10~105mgKOH/gが好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基が好ましい。
【0093】
分散剤として用いる樹脂は、上述したアミン価を有する樹脂であることが好ましい。
【0094】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0095】
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子は、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0096】
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0097】
分散剤として用いる樹脂は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上であることが好ましく、10~80モル%であることがより好ましく、20~70モル%であることが更に好ましい。また、分散剤は、特開2018-087939号公報に記載された樹脂を用いることもできる。
【0098】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYKシリーズ、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSEシリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリーズ等が挙げられる。また、特開2012-137564号公報の段落番号0129に記載された製品、特開2017-194662号公報の段落番号0235に記載された製品を分散剤として用いることもできる。
【0099】
感光性樹脂組成物の全固形分中における樹脂の含有量は、10~50質量%であることが好ましい。上限は40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。下限は15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
【0100】
また、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる樹脂中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は10~100質量%であることが好ましく、20~100質量%であることがより好ましく、30~100質量%であることが更に好ましい。
【0101】
また、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる樹脂中におけるアミン価を有する樹脂の含有量は0~100質量%であることが好ましい。上限は90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。下限は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。
【0102】
また、本発明の感光性樹脂組成物が樹脂として分散剤を含む場合、分散剤の含有量は特定フタロシアニン顔料100質量部に対して10~100質量部であることが好ましい。上限は80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましい。下限は20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることが更に好ましい。また、分散剤中におけるアミン価を有する樹脂の含有量は0~100質量%であることが好ましく、10~100質量%であることがより好ましく、20~100質量%であることが更に好ましい。また、樹脂中における分散剤の含有量は、10~100質量%であることが好ましい。上限は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。下限は20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。
【0103】
<<重合性化合物>>
本発明の感光性樹脂組成物は、重合性化合物を含有する。重合性化合物としては、ラジカル、酸または熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。本発明において、重合性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明で用いられる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0104】
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上がより好ましい。
【0105】
モノマータイプの重合性化合物のエチレン性不飽和結合含有基(以下、C=C価という)は、感光性樹脂組成物の経時安定性、および得られる硬化膜の耐光性などの観点から2~14mmol/gであることが好ましい。下限は、3mmol/g以上であることが好ましく、4mmol/g以上であることがより好ましく、5mmol/g以上であることが更に好ましい。上限は12mmol/g以下であることが好ましく、10mmol/g以下であることがより好ましく、8mmol/g以下であることが更に好ましい。エチレン性不飽和結合含有基のC=C価は、エチレン性不飽和結合含有基の1分子中に含まれるエチレン性不飽和結合含有基の数を重合性化合物の分子量で割ることで算出した。
【0106】
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報、特開2017-194662号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0107】
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
【0108】
また、重合性化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0109】
重合性化合物は、酸基を有する重合性化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の重合性化合物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-305、M-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0110】
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する重合性化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0111】
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0112】
重合性化合物は、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
【0113】
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0114】
重合性化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。また、重合性化合物は、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)などの市販品を用いることもできる。
【0115】
感光性樹脂組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量は0.1~50質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。重合性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0116】
<<光重合開始剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0117】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0118】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、Irgacure 127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、Irgacure 379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad 819、Omnirad TPO(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 819、Irgacure TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0119】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0120】
光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0121】
光重合開始剤として、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
【0122】
光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
【0123】
光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0124】
光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されるOE-01~OE-75が挙げられる。
【0125】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0126】
【化14】
【化15】
【0127】
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチルを用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0128】
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号に記載されているオキシム化合物などが挙げられる。
【0129】
感光性樹脂組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。光重合開始剤は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0130】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有する。紫外線吸収剤は、波長300~380nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましく、波長320~380nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることがより好ましい。また、紫外線吸収剤の波長365nmにおけるモル吸光係数は、5000L・mol-1・cm-1以上であることが好ましく、10000L・mol-1・cm-1以上であることがより好ましく、30000L・mol-1・cm-1以上であることが更に好ましい。上限は、例えば、100000L・mol-1・cm-1以下が好ましい。
【0131】
紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、クマリン化合物、アクリロニトリル化合物、ベンゾジチアゾール化合物、ケイ皮酸化合物、α-β不飽和ケトン、カルボスチリル化合物などが挙げられ、より優れた耐光性が得られやすいという理由から共役ジエン化合物、ベンゾトリアゾール化合物及びトリアジン化合物が好ましい。
【0132】
共役ジエン化合物は、下記式(UV-1)で表される化合物であることが好ましい。
【化16】
【0133】
式(UV-1)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基を表し、RとRとは互いに同一でも異なっていてもよい。ただし、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基である。R及びRは、R及びRが結合する窒素原子とともに、環状アミノ基を形成していてもよい。環状アミノ基としては、例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ヘキサヒドロアゼピノ基、ピペラジノ基等が挙げられる。R及びRは、各々独立に、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~5のアルキル基が更に好ましい。
【0134】
式(UV-1)において、R及びRは、各々独立に、電子求引性基を表す。R及びRは、各々独立に、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基又はスルファモイル基であることが好ましく、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基又はスルファモイル基であることがより好ましい。また、R及びRは、互いに結合して環状の電子求引性基を形成してもよい。RおよびRが互いに結合して形成する環状の電子求引性基としては、例えば、2個のカルボニル基を含む6員環が挙げられる。
【0135】
式(UV-1)のR、R、R、及びRの少なくとも1つは、連結基を介して、ビニル基と結合したモノマーより導かれるポリマーの形になっていてもよい。他のモノマーとの共重合体であっても良い。
【0136】
式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の置換基の説明は、特開2009-265642号公報の段落番号0024~0033の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の具体例としては、下記構造の化合物、特開2009-265642号公報の段落番号0034~0036に記載の化合物などが挙げられる。また、式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の市販品としては、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。
【化17】
【0137】
メチルジベンゾイル化合物は、下記式(UV-2)で表される化合物であることが好ましい。
【化18】
【0138】
式(UV-2)において、R101及びR102は、各々独立に、置換基を表し、m1およびm2は、それぞれ独立して0~4を表す。
【0139】
101及びR102が表す置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、-NRU1U2、-CORU3、-COORU4、-OCORU5、-NHCORU6、-CONRU7U8、-NHCONRU9U10、-NHCOORU11、-SOU12、-SOORU13、-NHSOU14及び-SONRU15U16が挙げられる。RU1~RU16は、各々独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又はアリール基を表す。
【0140】
101及びR102が表す置換基は、各々独立にアルキル基又はアルコキシ基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状が挙げられ、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。アルコキシ基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。アルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。
【0141】
式(UV-2)において、R101及びR102の一方がアルキル基で、他方がアルコキシ基である組み合わせが好ましい。
【0142】
m1およびm2は、それぞれ独立して0~4を表す。m1およびm2は、それぞれ独立して0~2が好ましく、0~1がより好ましく、1が特に好ましい。
【0143】
式(UV-2)で表される化合物の具体例としては、アボベンゾンなどが挙げられる。
【0144】
トリアジン化合物は、下記式(UV-3-1)、(UV-3-2)又は(UV-3-3)で表される化合物であることが好ましい。
【化19】
【0145】
式中、Rd1は、独立に水素原子、炭素数1~15のアルキル基、炭素数3~8のアルケニル基又は炭素数6~18のアリール基、炭素数7~18のアルキルアリール基または炭素数7~18のアリールアルキル基を表す。アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tiで説明した基が挙げられる。
式中、Rd2~Rd9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~15のアルキル基、炭素数3~8のアルケニル基又は炭素数6~18のアリール基、炭素数7~18のアルキルアリール基または炭素数7~18のアリールアルキル基を表す。アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tiで説明した基が挙げられる。
【0146】
トリアジン化合物の具体例としては、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどのモノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロピルオキシフェニル)-6-(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ヘキシルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどのビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジンなどのトリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物等が挙げられる。トリアジン化合物の市販品としては、TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 477、TINUVIN 479(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0147】
ベンゾトリアゾール化合物は、下記式(UV-4)で表される化合物であることが好ましい。
【化20】
式中、Re1~Re3は、独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~9のアルコキシ基、炭素数7~18のアルキルアリール基または炭素数7~18のアリールアルキル基を表す。アルキル基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tiで説明した基が挙げられ、炭素数1~9のアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0148】
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-アミル-5’-イソブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-プロピルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールなどが挙げられる。市販品としては、TINUVIN PS、TINUVIN 99-2、TINUVIN 109、TINUVIN 326、TINUVIN 328、TINUVIN 384-2、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 171、TINUVIN 1130(以上、BASF社製)などが挙げられる。ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズを用いてもよい。
【0149】
ベンゾフェノン化合物としては、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾフェノン化合物の市販品としては、ユビナールA、ユビナール3049、ユビナール3050(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0150】
サリシレート化合物としては、フェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサリシレートなどが挙げられる。
【0151】
クマリン化合物としては、例えば、クマリン-4、4-ヒドロキシクマリン、7-ヒドロキシクマリンなどが挙げられる。
【0152】
アクリロニトリル化合物としては、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0153】
感光性樹脂組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.1~10質量%である。上限は、9.5質量%以下であることが好ましく、9質量%以下であることがより好ましい。下限は0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.1質量%以上であれば、得られる硬化膜の耐光性を向上させることができる。また、紫外線吸収剤の含有量が10質量%以下であれば、他の色相の画素との混色の発生が抑制された硬化膜を形成することができる。更には、感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法にて画素を形成する際において、感光性樹脂組成物の解像性を向上させることもでき、矩形性の良い画素を形成することもできる。
【0154】
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤100質量部に対して、紫外線吸収剤を1~200質量部含むことが好ましい。この態様によれば、解像性と耐光性をより高い水準で両立することができる。上記紫外線吸収剤の含有量の上限は、190質量部以下であることが好ましく、170質量部以下であることがより好ましい。下限は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
【0155】
本発明の感光性樹脂組成物は、重合性化合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.1~100質量部含むことが好ましい。この態様によれば、解像性と耐光性をより高い水準で両立することができる。である。上記紫外線吸収剤の含有量の上限は、80質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。下限は1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。
【0156】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる紫外線吸収剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。本発明の感光性樹脂組成物が紫外線吸収剤を2種以上含む場合は、それらの合計が上記範囲である。
【0157】
<<溶剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤を含有する。溶剤としては、各成分の溶解性や感光性樹脂組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。溶剤としては有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤も好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0158】
本発明においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0159】
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0160】
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0161】
有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0162】
感光性樹脂組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0163】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、感光性樹脂組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、感光性樹脂組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶剤として用いられることがあり、残留溶剤として感光性樹脂組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶剤と同等の沸点を有する溶剤と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した感光性樹脂組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
【0164】
<<顔料誘導体>>
本発明の感光性樹脂組成物は顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体は顔料の分散助剤として用いられる。顔料誘導体としては、発色団の一部分を、酸基または塩基性基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。
【0165】
顔料誘導体を構成する発色団としては、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、フタロシアニン骨格、アンスラキノン骨格、キナクリドン骨格、ジオキサジン骨格、ペリノン骨格、ペリレン骨格、チオインジゴ骨格、イソインドリン骨格、イソインドリノン骨格、キノフタロン骨格、スレン骨格、金属錯体系骨格等が挙げられ、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、キノフタロン骨格、イソインドリン骨格およびフタロシアニン骨格が好ましく、アゾ骨格およびベンゾイミダゾロン骨格がより好ましい。
【0166】
顔料誘導体が有する酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基およびそれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
【0167】
顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基、ピリジル基およびそれらの塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が挙げられる。アミノ基としては、-NH、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基などが挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。
【0168】
顔料誘導体としては、可視透明性に優れた顔料誘導体(以下、透明顔料誘導体ともいう)を用いることもできる。透明顔料誘導体の波長400~700nmの範囲におけるモル吸光係数の最大値(εmax)は3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることがさらに好ましい。εmaxの下限は、例えば1L・mol-1・cm-1以上であり、10L・mol-1・cm-1以上でもよい。
【0169】
顔料誘導体の具体例としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落番号0082、特開2015-151530号公報の段落番号0171、特開2011-252065号公報の段落番号0162~0183、特開2003-081972号公報、特許第5299151号公報、特開2015-172732号公報、特開2014-199308号公報、特開2014-085562号公報、特開2014-035351号公報、特開2008-081565号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0170】
顔料誘導体の含有量は顔料100質量部に対して1~30質量部であることが好ましい。下限は2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。上限は、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることが更に好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0171】
<<エポキシ基を有する化合物>>
本発明の感光性樹脂組成物は、エポキシ基を有する化合物を含有することができる(以下、更にエポキシ化合物ともいう)。エポキシ化合物としては、1分子内にエポキシ基を1個以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2個以上有する化合物が好ましい。エポキシ化合物は、エポキシ基を1分子内に1~100個有することが好ましい。エポキシ基の数の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ基の数の下限は、2個以上が好ましい。エポキシ化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物、特開2017-179172号公報に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0172】
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)でもよい。エポキシ化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
【0173】
エポキシ化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0174】
感光性樹脂組成物の全固形分中におけるエポキシ化合物の含有量は、0.1~20質量%が好ましい。下限は、例えば、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、例えば、15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。感光性樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物は1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0175】
<<フリル基含有化合物>>
本発明の感光性樹脂組成物は、フリル基を含む化合物(以下、フリル基含有化合物ともいう)を含有することが好ましい。この態様によれば、低温での硬化性に優れた感光性樹脂組成物とすることができる。
【0176】
フリル基含有化合物は、フリル基(フランから1つの水素原子を除いた基)を含んでいれば特にその構造が限定されるものではない。フリル基含有化合物については、特開2017-194662号公報の段落番号0049~0089に記載された化合物を用いることができる。また、特開2000-233581号公報、特開1994-271558号公報、特開1994-293830号公報、特開1996-239421号公報、特開1998-508655号公報、特開2000-001529号公報、特開2003-183348号公報、特開2006-193628号公報、特開2007-186684号公報、特開2010-265377号公報、特開2011-170069号公報などに記載されている化合物を用いることもできる。
【0177】
フリル基含有化合物は、モノマーであってもよく、ポリマーであってもよい。得られる硬化膜の耐久性などを向上させやすいという理由からポリマーであることが好ましい。ポリマーの場合、重量平均分子量は、2000~70000が好ましい。上限は、60000以下が好ましく、50000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、4000以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。なお、ポリマータイプのフリル基含有化合物は、本発明の感光性樹脂組成物における樹脂にも該当する成分である。
【0178】
モノマータイプのフリル基含有化合物(以下、フリル基含有モノマーともいう)としては、下記式(fur-1)で表される化合物が挙げられる。
【化21】
式中、Rfは水素原子またはメチル基を表し、Rfは2価の連結基を表す。
【0179】
Rfが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0180】
フリル基含有モノマーは、下記式(fur-1-1)で表される化合物であることが好ましい。
【化22】
式中、Rfは水素原子またはメチル基を表し、Rf11は-O-または-NH-を表し、Rf12は単結合または2価の連結基を表す。Rf12が表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0181】
フリル基含有モノマーの具体例としては、下記構造の化合物が挙げられる。以下の構造式中、Rfは水素原子またはメチル基を表す。
【化23】
【0182】
ポリマータイプのフリル基含有化合物(以下、フリル基含有ポリマーともいう)としては、フリル基を含む繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましく、上記式(fur-1)で表される化合物由来の繰り返し単位を含む樹脂であることがより好ましい。フリル基含有ポリマー中のフリル基の濃度は、フリル基含有ポリマー1gあたり0.5~6.0mmolが好ましく、1.0~4.0mmolがさらに好ましい。フリル基の濃度が0.5mmol以上、好ましくは1.0mmol以上であると耐溶剤性などに優れた画素を形成しやすい。フリル基の濃度が6.0mmol以下、好ましくは4.0mmol以下であれば、感光性樹脂組成物の経時安定性が良好である。
【0183】
フリル基含有ポリマーは、フリル基を有する繰り返し単位の他に、酸基を有する繰り返し単位および/または重合性基を有する繰り返し単位を含んでいてもよい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。重合性基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合含有基が挙げられる。フリル基含有ポリマーが酸基を有する繰り返し単位を含む場合、その酸価は10~200mgKOH/gが好ましく、40~130mgKOH/gがより好ましい。
【0184】
フリル基含有ポリマーが重合性基を有する繰り返し単位を含む場合は、より耐溶剤性などに優れた画素を形成しやすい。
【0185】
フリル基含有ポリマーは、特開2017-194662号公報の段落番号0052~0101に記載された方法で製造することができる。
【0186】
感光性樹脂組成物の全固形分中におけるフリル基含有化合物の含有量は、0.1~70質量%であることが好ましい。下限は、2.5質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましく、7.5質量%以上であることが更に好ましい。上限は、65質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。また、フリル基含有化合物としてフリル基含有ポリマーを用いた場合、感光性樹脂組成物に含まれる樹脂中におけるフリル基含有ポリマーの含有量は、0.1~100質量%であることが好ましい。下限は、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましい。上限は、90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることが更に好ましい。フリル基含有化合物は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0187】
<<シランカップリング剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0188】
感光性樹脂組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0189】
<<硬化促進剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、分子内に2個以上のメルカプト基を有する多官能チオール化合物などが挙げられる。多官能チオール化合物は安定性、臭気、解像性、現像性、密着性等の改良を目的として添加してもよい。多官能チオール化合物は、2級のアルカンチオール類であることが好ましく、式(T1)で表される化合物であることがより好ましい。
式(T1)
【化24】
(式(T1)中、nは2~4の整数を表し、Lは2~4価の連結基を表す。)
【0190】
式(T1)において、連結基Lは炭素数2~12の脂肪族基であることが好ましく、nが2であり、Lが炭素数2~12のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0191】
また、硬化促進剤は、メチロール系化合物(例えば特開2015-034963号公報の段落番号0246において、架橋剤として例示されている化合物)、アミン類、ホスホニウム塩、アミジン塩、アミド化合物(以上、例えば特開2013-041165号公報の段落番号0186に記載の硬化剤)、塩基発生剤(例えば、特開2014-055114号公報に記載のイオン性化合物)、シアネート化合物(例えば、特開2012-150180号公報の段落番号0071に記載の化合物)、アルコキシシラン化合物(例えば、特開2011-253054号公報に記載のエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物)、オニウム塩化合物(例えば、特開2015-034963号公報の段落番号0216に酸発生剤として例示されている化合物、特開2009-180949号公報に記載の化合物)などを用いることもできる。
【0192】
感光性樹脂組成物の全固形分中における硬化促進剤の含有量は、0.3~8.9質量%が好ましく、0.8~6.4質量%がより好ましい。
【0193】
<<重合禁止剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。感光性樹脂組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。
【0194】
<<界面活性剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0195】
本発明において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。感光性樹脂組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい硬化膜を形成することもできる。
【0196】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、感光性樹脂組成物中における溶解性も良好である。
【0197】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0198】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報に記載されたフッ素系界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0199】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。また、特開2010-032698号公報の段落番号0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤や、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化25】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0200】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、DIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0201】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0202】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0203】
感光性樹脂組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0204】
<<酸化防止剤>>
本発明の感光性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。
【0205】
感光性樹脂組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0206】
<<その他成分>>
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、増感剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。また、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.ピグメントイエロー129を耐候性改良の目的で添加しても良い。
【0207】
本発明の感光性樹脂組成物は、得られる硬化膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO、ZrO、Al、SiO等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが更に好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
【0208】
本発明の感光性樹脂組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0209】
本発明の感光性樹脂組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性良化に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果も得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。感光性樹脂組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
【0210】
本発明の感光性樹脂組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、テレフタル酸エステルの含有量が、感光性樹脂組成物の全量中、1000質量ppb以下であることを意味し、100質量ppb以下であることがより好ましく、ゼロであることが特に好ましい。
【0211】
本発明の感光性樹脂組成物の含水率は、通常3質量%以下であり、0.01~1.5質量%が好ましく、0.1~1.0質量%の範囲であることがより好ましい。含水率は、カールフィッシャー法にて測定することができる。
【0212】
本発明の感光性樹脂組成物は、膜面状(平坦性など)の調整、膜厚の調整などを目的として粘度を調整して用いることができる。粘度の値は必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、25℃において0.3mPa・s~50mPa・sが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、東機産業製 粘度計 RE85L(ローター:1°34’×R24、測定範囲0.6~1200mPa・s)を使用し、25℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
【0213】
本発明の感光性樹脂組成物を液晶表示装置用途のカラーフィルタとして用いる場合、カラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。高い電圧保持率を得るための公知の手段を適宜組み込むことができ、典型的な手段としては純度の高い素材の使用(例えばイオン性不純物の低減)や、組成物中の酸性官能基量の制御が挙げられる。電圧保持率は、例えば特開2011-008004号公報の段落0243、特開2012-224847号公報の段落0123~0129に記載の方法等で測定することができる。
【0214】
<収容容器>
本発明の感光性樹脂組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や感光性樹脂組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、容器内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、感光性樹脂組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
【0215】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明の感光性樹脂組成物は、前述の成分を混合して調製できる。感光性樹脂組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して感光性樹脂組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して感光性樹脂組成物を調製してもよい。
【0216】
また、感光性樹脂組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0217】
感光性樹脂組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、感光性樹脂組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0218】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0219】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
【0220】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0221】
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、上述した本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜である。本発明の硬化膜は、カラーフィルタの着色画素として好ましく用いることができる。着色画素としては、シアン色画素が好ましい。本発明の硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0222】
本発明の硬化膜は、膜の厚み方向における波長400~530nmの範囲の光の平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。また、膜の厚み方向における波長400~530nmの範囲の光の透過率の最小値は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。また、膜の厚み方向における波長610~700nmの範囲の光の平均透過率は30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。また、膜の厚み方向における波長610~700nmの範囲の光の透過率の最大値は40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。
【0223】
本発明の硬化膜は、膜の厚み方向における波長400~700nmの範囲の光に対する透過スペクトルにおいて、波長400~530nmの範囲に透過率のピーク値が存在することが好ましい。また、波長540~600nmの範囲に透過率がピーク値の50%になる波長(以下、この波長をλT50ともいう)が存在することが好ましい。また、波長560~620nmの範囲に透過率がピーク値の20%になる波長(以下、この波長をλT20ともいう)が存在することが好ましい。λT50は波長545~595nmの範囲に存在することが好ましく、波長550~590nmの範囲に存在することがより好ましい。λT20は波長565~615nmの範囲に存在することが好ましく、波長560~610nmの範囲に存在することがより好ましい。また、λT20とλT50との差(λT20-λT50)は、5~80nmであることが好ましく、7~50nmであることがより好ましく、10~30nmであることが更に好ましい。
【0224】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の硬化膜を有する。より好ましくは、カラーフィルタの画素として、本発明の硬化膜を有する。更に好ましくは、カラーフィルタのシアン色画素として、本発明の硬化膜を有する。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0225】
本発明のカラーフィルタにおいて本発明の硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0226】
本発明のカラーフィルタは、画素の幅が0.5~20.0μmであることが好ましい。下限は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。上限は、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。また、画素のヤング率が0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
【0227】
本発明のカラーフィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は10Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0228】
また、本発明のカラーフィルタは、本発明の硬化膜の表面に保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがさらに好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al、Mo、SiO、Siなどが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂、SiO、Siを含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂、フッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0229】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる
【0230】
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤および近赤外線吸収剤としては、上述した素材が挙げられる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全重量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
【0231】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0232】
<カラーフィルタの製造方法>
次に、カラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の感光性樹脂組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法により感光性樹脂組成物に対してパターンを形成する工程と、を経て製造できる。
【0233】
フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて支持体上に感光性樹脂組成物層を形成する工程と、感光性樹脂組成物層をパターン状に露光する工程と、感光性樹脂組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、感光性樹脂組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0234】
感光性樹脂組成物層を形成する工程では、本発明の感光性樹脂組成物を用いて、支持体上に感光性樹脂組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
【0235】
感光性樹脂組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、感光性樹脂組成物の塗布方法は、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号に記載された方法を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0236】
支持体上に形成した感光性樹脂組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより硬化膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0237】
次に、感光性樹脂組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、感光性樹脂組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0238】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0239】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m以上であることが好ましく、100000000W/m以上であることがより好ましく、200000000W/m以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m以下であることが好ましく、800000000W/m以下であることがより好ましく、500000000W/m以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
【0240】
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、または、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
【0241】
次に、感光性樹脂組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。感光性樹脂組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の感光性樹脂組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0242】
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の感光性樹脂組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の感光性樹脂組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0243】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
【0244】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の硬化膜を有する。固体撮像素子の好ましい一態様としては、上述した本発明の硬化膜がシアン色画素であり、更に、イエロー色画素とマゼンタ色画素とを含む態様が挙げられる。
【0245】
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の硬化膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0246】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号、米国特許出願公開第2018/0040656号明細書に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0247】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の硬化膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例
【0248】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0249】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、以下の条件に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM-Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶剤:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度0.1質量%)
装置名:東ソー(株)製 HLC-8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン樹脂
【0250】
<酸価の測定方法>
測定サンプルをテトラヒドロフラン/水=9/1(質量比)混合溶液に溶解し、得られた溶液を25℃において、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
【0251】
<アミン価の測定方法>
測定サンプルを酢酸に溶解し、得られた溶液を25℃において、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業製)を用いて、0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
【0252】
<顔料の平均二次粒子径の測定方法>
顔料の平均二次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、電子顕微鏡写真から顔料の二次粒子の大きさを直接計測して測定した。具体的には、個々の顔料の二次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料の粒径とした。次に、100個の顔料のそれぞれについて、それぞれの顔料の体積を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均二次粒子径とした。
【0253】
<感光性樹脂組成物の調製>
下記表に記載の種類の着色剤と、下記表に記載の種類の分散剤と、下記表に記載の溶剤の一部とを混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して、固形分20重量%の顔料分散液を製造した。
次に、得られた顔料分散液と、下記表に記載の種類の溶剤の残りと、下記表に記載の種類の後添樹脂と、下記表に記載の種類の重合性化合物と、下記表に記載の種類の光重合開始剤と、下記表に記載の種類の紫外線吸収剤と、を混合して感光性樹脂組成物を調製した。下記表に、感光性樹脂組成物中の各成分の配合量を示す。各成分の数値は質量部である。併せて、着色剤中のC.I.ピグメントブルー15:3(PB15:3)とC.I.ピグメントブルー15:4(PB15:4)との合計の含有量(質量%)、感光性組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量(質量%)、光重合開始剤100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(質量部)、重合性化合物100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(質量部)を示す。なお、下記表に示すYellow組成物およびMagenta組成物は後述する混色評価用感光性樹脂組成物である。
【0254】
【表1】
【0255】
【表2】
【0256】
上記表中、略語で記載した原料は以下の通りである。
(着色剤)
PB15:3 : C.I.ピグメントブルー15:3(平均二次粒子径68nm)
PB15:4 : C.I.ピグメントブルー15:4(平均二次粒子径71nm)
PcAl : 下記構造の化合物(アルミニウムフタロシアニン、平均二次粒子径94nm)
【化26】
PY150 : C.I.ピグメントイエロー150(平均二次粒子径81nm)
PG7 : C.I.ピグメントグリーン7(平均二次粒子径80nm)
PR122 : C.I.ピグメントレッド122(平均二次粒子径67nm)
【0257】
(分散剤、後添樹脂)
P1:DISPERBYK-2001(ビックケミー・ジャパン社製、酸価19mgKOH/g、アミン価29mgKOH/g、アクリル樹脂)
P2:Efka PX 4300(BASF社製、アミン価57mgKOH/g、アクリル樹脂)
P3:下記構造の樹脂(重量平均分子量=10000、酸価31.5mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。)
【化27】
P4:下記構造の樹脂(重量平均分子量=24000、酸価52.5mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表し、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数を表す。)
【化28】
P5:下記構造の樹脂(重量平均分子量=21000、酸価36.0mgKOH/g、アミン価47mgKOH/g、x=48,y=12,a/b/c/d/e=36/4/35/1/24(モル比))
【化29】
P6:下記構造の樹脂(重量平均分子量=12000、酸価195.4mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。)
【化30】
【0258】
(重合性化合物)
M1:下記構造の化合物
【化31】
M2:下記構造の化合物の混合物(左側の化合物:右側の化合物=7:3(質量比))
【化32】
M3:下記構造の化合物(l+m+n+o+p+q=12)
【化33】
M4:下記構造の化合物
【化34】
【0259】
(光重合開始剤)
I1:下記構造の化合物(α-アミノケトン化合物)
I2:下記構造の化合物(オキシム化合物)
【化35】
【0260】
(紫外線吸収剤)
U1:下記構造の化合物(共役ジエン化合物)
U2:下記構造の化合物(トリアジン化合物)
U3:下記構造の化合物(ベンゾトリアゾール化合物)
【化36】
【0261】
(界面活性剤)
W1:下記構造の化合物(フッ素系界面活性剤、重量平均分子量=14000、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。)
【化37】
【0262】
(その他添加剤)
X1:2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(下記構造の化合物、エポキシ化合物)
【化38】
X2:下記構造の化合物(シランカップリング剤)
【化39】
【0263】
(溶剤)
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0264】
<評価>
(シアン色としての分光特性の評価)
ガラス基板上に、感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布し、次いで、ホットプレートを使用して100℃120秒加熱処理(プリベーク)し、次いでi線で1000mJ/cmの露光量で露光し、次いで、200℃で5分間加熱を行い、厚さ0.6μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜について、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。400~530nmの透過率の平均値をT1、610~700nmの透過率の平均値をT2、50%透過率をλ50としたときに、以下の基準でシアン色としての分光特性を判断した。以下3項目を全て満たしている場合をA、2項目のみ満たしている場合をB、1項目のみ満たしている場合をC、いずれも満たしていない場合をDとした。
・T1が70%以上である。
・T2が30%以下である。
・λ50が540~590nmの範囲内である。
【0265】
(耐光性の評価)
ガラス基板上に、感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布し、次いで、ホットプレートを使用して100℃120秒加熱処理(プリベーク)し、次いでi線で1000mJ/cmの露光量で露光し、次いで、200℃で5分間加熱を行い、厚さ0.6μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜について、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、波長400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。次に、上記で作製した硬化膜に対し、耐光試験機(スーパーキセノンウェザーメーターSX75、スガ試験機株式会社製)を用いて100000Luxの光を1000時間かけて照射した(総照射量1億Lux・hr)。光照射後の硬化膜の透過率を測定し、以下の基準にて耐光性を評価した。
A:光照射後の硬化膜の波長400~700nmの透過率の積算値が、光照射前の硬化膜の波長400~700nmの透過率の積算値の97%以上である。
B:光照射後の硬化膜の波長400~700nmの透過率の積算値が、光照射前の硬化膜の波長400~700nmの透過率の積算値の95%以上97%未満である。
C:光照射後の硬化膜の波長400~700nmの透過率の積算値が、光照射前の硬化膜の波長400~700nmの透過率の積算値の95%未満である。
【0266】
(矩形性の評価)
直径8インチ(1インチ=25.4mm)のシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に、下塗り用レジスト液(CT-4000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布し、さらに220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
感光性樹脂組成物を、上記で作製した下塗り層付シリコンウエハ基板の下塗り層上に塗布した。次いで、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長で、パターンを有するマスクを通して500mJ/cmの露光量で露光した。マスクは1.4μm×1.4μmのアイランドパターンを有するマスクを用いた。
次いで、照射された塗布膜が形成されている基板をスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、アルカリ現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて室温で60秒間パドル現像を行った。次いで、パドル現像後の基板を、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理(23秒×2回)を行い、次いで、スピン乾燥を行い、次いで、200℃で300秒間、ホットプレートを用いて加熱処理(ポストベーク)を行い、硬化膜のパターン(画素)を形成した。
得られた硬化膜のパターンを裁断し、硬化膜のパターンの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、20000倍に拡大して観察し、以下の基準で矩形性を評価した。
A:硬化膜のパターンの基板側(基板と接している側)の表面の幅が、基板と反対側の表面の幅の90%以上、130%以下である。
B:硬化膜のパターンの基板側(基板と接している側)の表面の幅が、基板と反対側の表面の幅の80%以上90%未満であるか、または、130%を超え160%未満である。
C:硬化膜のパターンの基板側(基板と接している側)の表面の幅が、基板と反対側の表面の幅の80%未満であるか、または、160%以上である。または、現像により剥がれてしまい、硬化膜のパターンを形成できなかった。
【0267】
(欠陥の評価)
直径8インチ(1インチ=25.4mm)のシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に、下塗り用レジスト液(CT-4000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布し、さらに220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
感光性樹脂組成物を、上記で作製した下塗り層付シリコンウエハ基板の下塗り層上に塗布した。次いで、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長で、パターンを有するマスクを通して500mJ/cmの露光量で露光した。マスクは1.4μm×1.4μmのアイランドパターンを2.8μm×2.8μmの周期で形成可能なものを用い、11mm×11mmのサイズのショットをウエハの外周3mmを除く全領域に露光した。
次いで、照射された塗布膜が形成されている基板をスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、アルカリ現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて室温で60秒間パドル現像を行った。次いで、パドル現像後の基板を、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理(23秒×2回)を行い、次いで、スピン乾燥を行い、次いで、200℃で300秒間、ホットプレートを用いて加熱処理(ポストベーク)を行い、硬化膜のパターン(画素)を形成した。得られた硬化膜のパターンの欠陥数について、ウエハ欠陥評価装置(ComPLUS3、AMAT社製)を用いて検査した。評価は以下の基準により欠陥の評価を行った。
A:8インチウエハ内の総欠陥数≦30
B:30<8インチウエハ内の総欠陥数≦100
C:100<8インチウエハ内の総欠陥数
【0268】
(混色の評価)
感光性樹脂組成物を、直径8インチ(1インチ=25.4mm)のシリコンウエハ上に塗布した。次いで、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長で500mJ/cmの露光量で露光した。マスクは2cm×2cmのアイランドパターンを有するマスクを用いた。次いで、照射された塗布膜が形成されている基板をスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、アルカリ現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて室温で60秒間パドル現像を行った。次いで、パドル現像後の基板を、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理(23秒×2回)を行い、次いで、スピン乾燥を行い、次いで、200℃で300秒間、ホットプレートを用いて加熱処理(ポストベーク)を行い、硬化膜のパターンを形成した。
得られた硬化膜のパターンについて、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、波長400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。
次に、上記で作製した硬化膜のパターン上に、混色評価用感光性樹脂組成物をスピンコートし、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行い厚さ0.6μmの塗布膜を形成した。混色評価用感光性樹脂組成物としては、上述したYellow組成物およびMagenta組成物を用いた。
次いで、混色評価用感光性樹脂組成物の塗布膜が形成されている基板をスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、アルカリ現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて室温で60秒間パドル現像を行い、混色評価用感光性樹脂組成物の塗布膜を剥離した。次いで、パドル現像後の基板を、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理(23秒×2回)を行い、次いで、スピン乾燥を行い混色評価試験を行った。
混色評価試験後の硬化膜のパターンについて、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、波長400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定し、透過率の積算値の変化量を求め、以下の基準にて混色を評価した。
A:透過率の積算値の変化量が1%未満である
B:透過率の積算値の変化量が1%以上1.5%未満である
C:透過率の積算値の変化量が1.5%以上である
【0269】
【表3】
【0270】
【表4】
【0271】
【表5】
【0272】
上記表に示す通り、実施例は、シアン色としての分光特性、耐光性および混色の評価が優れていた。
【0273】
(実施例100)
シリコンウエハ上に、Cyan組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量で2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピン・シャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、Cyan組成物をパターニングした。同様にYellow組成物、Magenta組成物を順次パターニングし、シアン、イエロー及びマゼンタの着色パターン(ベイヤーパターン)を形成してカラーフィルタを製造した。
Cyan組成物としては、実施例2の感光性樹脂組成物を使用した。
Yellow組成物、Magenta組成物としては、それぞれ上述したYellow組成物およびMagenta組成物を使用した。
得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。