(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】周期的自己制限的エッチングプロセス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20241114BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20241114BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241114BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20241114BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20241114BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L21/306 G
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L29/78 613B
(21)【出願番号】P 2022559551
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(86)【国際出願番号】 US2021012069
(87)【国際公開番号】W WO2021201940
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-11-17
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シェピス,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】カン,ホヨン
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-037099(JP,A)
【文献】特開2007-173840(JP,A)
【文献】特開2004-121907(JP,A)
【文献】特開2004-343013(JP,A)
【文献】特開平02-081429(JP,A)
【文献】特開平01-107545(JP,A)
【文献】特表2018-534783(JP,A)
【文献】特表2016-525797(JP,A)
【文献】特表2017-533580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064500(US,A1)
【文献】国際公開第2019/244373(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/061553(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H10B 43/27
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
基板を通して高アスペクト比(HAR)チャネルを形成することであって、前記HARチャネルが50:1よりも大きいアスペクト比を有する、ことと、
前記HARチャネルの側壁上に多結晶シリコンの層を堆積させることと、
前記多結晶シリコンの前記層の覆われていない表面を酸化するために前記HARチャネル内に酸化剤
溶液を送達することであって、前記酸化剤
溶液は酸化された層を形成させ、前記酸化された層は前記多結晶シリコンの層の前記覆われていない表面上で均一な厚さを有する、ことと、
前記HARチャネルから前記酸化された層を除去するために前記HARチャネル内に除去剤
溶液を送達することと、
前記多結晶シリコンの層の所定量を除去するまで、前記覆われていない表面を酸化する工程と前記酸化された層を除去する工程とを繰り返すことと、を含む方法。
【請求項2】
覆われていない表面を酸化させることは、前記酸化剤
溶液を含む溶液を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記除去剤
溶液は、HFを含む溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記HARチャネルを形成することは、NANDメモリ製造プロセスの一部として、誘電体材料の交互層のスタックを通してチャネルを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化剤
溶液は、過酸化水素水溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤
溶液は、オゾンを含む溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記多結晶シリコンがリンでドープされている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化された層を除去する前に、前記酸化された層を脱イオン水でリンスすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化された層を除去した後に、前記酸化された層を脱イオン水でリンスすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多結晶シリコンの層の前記所定量を除去した後、前記側壁上の前記多結晶シリコンの層は、5 nm~50 nmの最終厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
3D NANDデバイスを形成する方法であって、前記方法は、
3D NAND誘電体スタック内に高アスペクト比(HAR)チャネルを形成することと、
前記HARチャネルの側壁上に、第1の厚さを有するポリシリコンの層を堆積させることと、
周期的エッチングプロセスを実施することと、を含み、各周期は、
前記HARチャネル内の前記ポリシリコンの層の露出した表面を、酸化剤を含む第1の溶液で湿潤させることにより、前記ポリシリコンの層の上に酸化物層を形成させることと、
酸化物エッチング剤を含む第2の溶液を用いて、前記ポリシリコンの層から前記HARチャネル内の酸化された層を除去することであって、前記周期的エッチングプロセスは、前記ポリシリコンの層が、前記HARチャネルの前記側壁上に第2の厚さを有した後に停止され、前記第2の厚さは前記第1の厚さよりも所定厚さだけ薄い、ことと、を含む、方法。
【請求項12】
酸化されたシリコン系材料をエッチングする前に、酸化されたシリコン系材料を脱イオン水でリンスすることと、前記酸化されたシリコン系材料をエッチングして除去した後に、前記シリコン系材料を脱イオン水でリンスすることと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の溶液は
、1~30重量%の濃度を有する過酸化水素水溶液である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の溶液は
、0.1~10重量%の濃度を有するフッ化水素水溶液である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
3D NANDデバイスを形成する方法であって、前記方法は、
3D NAND誘電体スタック内に高アスペクト比(HAR)チャネルを形成することと、
前記HARチャネルの側壁上に、第1の厚さを有するポリシリコンの層を堆積させることと、
周期的エッチングプロセスを実施することと、を含み、各周期は、
前記HARチャネル内の前記ポリシリコンの層の露出した表面を、酸化剤を含む第1の溶液で湿潤させることにより、前記ポリシリコンの層の上に酸化物層を形成させることと、
前記酸化物層を脱イオン水でリンスすることと、
酸化物エッチング剤を含む第2の溶液を用いて、前記ポリシリコンの層から前記HARチャネル内の酸化された層を除去することと、
前記ポリシリコンを脱イオン水でリンスすることであって、前記周期的エッチングプロセスは、前記ポリシリコンの層が、前記HARチャネルの前記側壁上に第2の厚さを有した後に停止され、前記第2の厚さは前記第1の厚さよりも所定厚さだけ薄い、ことと、を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の溶液は
、1~30重量%の濃度を有する過酸化水素水溶液である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の溶液は
、0.1~10重量%の濃度を有するフッ化水素水溶液である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリシリコンの層の前記露出した表面は、第1の浴中に浸漬することにより前記第1の溶液で湿潤され、前記酸化物層は、第2の浴中に浸漬することにより酸化物エッチング溶液で湿潤される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリシリコンの層の前記露出した表面は、浴中に浸漬することにより前記第1の溶液で湿潤され、前記酸化物層は、ウェットスプレーエッチングツールにおいて酸化物エッチング溶液で湿潤される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリシリコンの層の前記露出した表面は、ウェットスプレーエッチングツールにおいて前記第1の溶液で湿潤され、前記酸化物層は、前記ウェットスプレーエッチングツールにおいて前記第2の溶液で湿潤される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/002,771号、及び2020年12月14日に出願された米国非仮特許出願第17/121,546号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、全般的には、シリコンをエッチングする方法に関し、特定の実施形態では、シリコン系材料の疑似原子層エッチングのための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プレーナNANDは、2013年頃に193nmの液浸システムにおいて物理的なスケーリング限界に達した。性能を向上させ、ビット需要に適応し続けるために、産業界は、128層を超える高アスペクト比構造を組み込んだ3D設計に向かっている。このような3Dアーキテクチャの集積化は、多くの新規な課題を導入した。
【0004】
プレーナ集積化から垂直集積化への動きにより、3D NAND製造プロセスにおけるエッチングに対していくつかの厳しい要求が生じている。従来の3D NANDデバイスは、積層され垂直チャネルを介して接続された多層の不揮発性トランジスタを含む。設計密度の増加に伴い、ワード線スタックに追加された追加の不揮発性トランジスタゆえに、結果として生じるアスペクト比は増加している。アスペクト比のこの増加は、この垂直チャネル内においてポリシリコントランジスタチャネルを画定することに関して本質的な課題を提示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板を処理する方法は、基板を通してチャネルを形成することと、チャネルの側壁上に多結晶シリコンの層を堆積させることと、多結晶シリコンの覆われていない表面を酸化剤で酸化することであって、酸化剤は酸化された層を形成し、酸化された層は多結晶シリコンの覆われていない表面上に均一な厚さを有する、ことと、除去剤を用いてチャネルから酸化された層を除去することと、多結晶シリコンの所定量の層を除去するまで、覆われていない表面を酸化するステップと酸化された層を除去するステップとを繰り返すことと、を含む。
【0006】
基板を処理する方法は、第1の厚さを有するシリコン系材料の層を半導体基板上に形成することと、シリコン系材料の層を酸化性溶液で湿潤させることにより、シリコン系材料の層の上に、酸化されたシリコン系材料の層を成長させることと、酸化されたシリコン系材料の層を酸化物エッチング溶液で湿潤させることにより、酸化されたシリコン系材料の層をエッチングすることと、シリコン系材料の層が所定厚さよりも薄い第2の厚さを有するまで、成長させるステップとエッチングするステップとを繰り返すことと、を含む。
【0007】
3D NANDデバイスを形成する方法は、3D NAND誘電体スタック内にチャネルを形成することと、チャネルの側壁上に、第1の厚さを有するポリシリコンの層を堆積させることと、周期的エッチングプロセスを実施することであって、各周期は、酸化剤を含む第1の溶液でポリシリコンの層の露出した表面を湿潤させることによりポリシリコンの層の上に酸化物層を形成させることを含む、ことと、酸化物エッチング剤を含む第2の溶液を用いて、ポリシリコンの層から酸化された層を除去することと、を含み、周期的エッチングプロセスは、ポリシリコンの層がチャネルの側壁上に第2の厚さを有した後に停止され、第2の厚さは第1の厚さよりも所定厚さだけ薄い。
【0008】
基板を処理する方法は、シリコン系材料の層を基板上に堆積させることと、シリコン系材料の覆われていない表面を酸化剤で酸化することであって、酸化剤は酸化された層を形成し、酸化された層はシリコン系材料の覆われていない表面上に均一な厚さを有する、ことと、除去剤を用いてシリコン系材料から酸化された層を除去することと、シリコン系材料の層の所定量を除去するまで、覆われていない表面を酸化するステップと酸化された層を除去するステップとを繰り返すことと、を含む。
【0009】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、ここで、以下の記載を添付図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施形態に従って形成された3D-NANDメモリアレイの断面の投影図である。
【
図1B】本発明の実施形態に従って形成された3D-NANDメモリアレイ内のメモリトランジスタのスタックの断面図である。
【
図2A】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2B】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2C】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2D】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2E】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2F】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2G】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2H】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2I】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図2J】3D NANDメモリアレイ内のチャネル開口部内にポリシリコントランジスタチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に従って形成された完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタの断面図である。
【
図5A】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図5B】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図5C】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図5D】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図5E】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図5F】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図5G】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【
図5H】完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ内にチャネルを形成する際の主要処理ステップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な実施形態が、原子層の精度を有する自己制限的エッチング法を提供する。本明細書に記載されているエッチング技術は、多数の様々な半導体デバイス製造スキームに適用可能であり、シリコンベースのエッチングを含むいかなる集積化スキームに対しても有用である。例えば、本明細書におけるエッチング技術は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、及び酸化され得る任意の他のシリコン含有層の、層又は構造をエッチングするために使用することができる。本明細書におけるエッチング技術は、多くの様々なエッチングスキームに適用できるが、本明細書で実施形態を説明する便宜上、議論は、主に2つのサンプルケース、すなわち、3Dメモリアーキテクチャにおけるポリシリコンのエッチング、及びプレーナ型の完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)集積回路における単結晶シリコンのエッチングへの適用に重点を置くことにする。しかしながら、本明細書の実施形態は、他のタイプの3Dスタック式のメモリ及びロジックデバイスだけでなく、貫通ビア及びディープトレンチ構造などの他の高アスペクト比フィーチャの形成にも適用できる。
【0012】
3Dアーキテクチャは、3D構造のトポロジにより提示される固有の課題を有する。この高アスペクト比の垂直チャネル内におけるポリシリコントランジスタチャネルの厚さ及び均一性を制御することは、トランジスタの性能を維持しトランジスタ間の変動を減らすために重要である。本開示に記載されている様々な実施形態は、チップメーカーがポリシリコンエッチングを原子レベルの精度で厳密に制御することを可能にする。
【0013】
FDSOIアーキテクチャは、非常に薄い単結晶シリコンチャネルを非常に均一な厚さで形成することが必要であるという課題を有する。完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタでは、単結晶シリコンの薄層がFDSOIトランジスタチャネルを形成する。FDSOIトランジスタチャネルの厚さ及び均一性を制御することは、FDSOIトランジスタの性能を維持しトランジスタ間の変動を減らすために重要である。本開示に記載されている様々な実施形態は、チップメーカーが、FDSOIトランジスタチャネルの単結晶シリコンエッチングを原子レベルの精度で厳密に制御することを可能にする。
【0014】
実施形態が、3D NANDへの適用、更にはFDSOIへの適用に関する特定の状況で記載されているが、様々な実施形態が、半導体製造における任意のシリコンベースのエッチングに適用することができる。それに応じて、様々な実施形態が、半導体製造プロセスにおけるシリコン系材料の、原子レベルの精度及び制御を伴うエッチングについて開示している。様々な実施形態が、自己制限的であってエッチング液濃度に依存せず(輸送制限的ではなく)、それにより原子レベルの制御がもたらされるエッチング方法を提供する。
【0015】
3D NANDデバイス設計における密度の増加は、3D NANDスタックの層数を増加させることにより実現される。層の各セットが、個々の不揮発性メモリトランジスタを形成する。この数年間、ワード線スタックの層数は32層から64層まで増加し、将来のアーキテクチャは、128層又はそれを超える層を含む可能性がある。これらの層は、典型的には、ポリシリコンと酸化物との交互層、又は誘電体材料、例えば二酸化シリコンと、窒化シリコンとの交互層で構成される。
【0016】
疑似原子層シリコン系材料エッチングプロセスの第1の実施形態が、
図3のフロー図に従って、
図2A~
図2Jを使用して製作されている、
図1に示す3D NAND構造の断面図を使用して説明される。次いで、疑似原子層シリコン系材料エッチングプロセスの第2の実施形態が、
図6のフロー図に従って、
図5A~
図5Hを使用して製作されている、
図4に示すFDSOI構造の断面図を使用して説明される。
【0017】
図1Aは、本発明の実施形態に従って形成された3D-NANDメモリアレイの断面の投影図である。
図1Bは、本発明の実施形態に従って形成された、金属ゲート(ワード線106)と二酸化シリコン104とが交互になった3D NANDワード線スタックの実施例の断面図を示す。
【0018】
図1Aは、共通ドレインビット線114が形成された半導体基板102を示す。この断面図は、誘電体材料、例えば二酸化シリコン104の交互層を示し、この層が、例えばタングステンでできているワード線106の層を電気的に絶縁している。例えばタングステンからなるワード線106は、3D NANDアレイにおけるスタックされたメモリトランジスタの交互になった金属ゲートである。例えばポリシリコンからなる共通ソースビット線122が、3D NANDメモリアレイの上面を、ワード線106(金属ゲート)に対して垂直に横断している。ドレインビット線114及びソースビット線122は、チャネル130の側壁上で、例えばポリシリコンでできている薄いトランジスタチャネル126(
図1Bに示される)に接続されている。ワード線106の層のメモリトランジスタは全て、共通ソースビット線122及び共通ドレインビット線114を共有している。
【0019】
図1Bに、続いて
図2A~
図2Jに示される、3D NANDメモリアレイにおけるSONOS不揮発性トランジスタのスタックの断面図は、
図1Aの点線の枠100により図示される。
【0020】
各SONOSトランジスタは、例えばタングステンを含む、金属ゲート(ワード線106)を含み、金属ゲートは、例えばポリシリコンを含む、トランジスタチャネル126から、ゲート誘電体層108により絶縁されている。SONOSトランジスタとして参照する場合があるが、SONOSトランジスタの各々は、金属/酸化物/窒化物/酸化物/シリコン(MONOS)スタックである。プログラミング時、ゲート誘電体層108内のシリコン窒化物層中に電子がトラップされることができる。トラップされた電子は、SONOS不揮発性トランジスタのターンオン電圧を上昇させる。シリコン窒化物層中に電子がトラップされているSONOSトランジスタは、論理状態「1」を記憶しているのに対し、電子がトラップされていないSONOSトランジスタは、論理状態「0」を記憶している。これらの論理状態は、3D NANDメモリが電源に接続されていない場合であっても10年以上にわたって保持される。
【0021】
ワード線スタックにおいて、複数のSONOSトランジスタが互いの上に積層されている。あるSONOSトランジスタの金属ゲート(ワード線106)は、上下に積層されている他の不揮発性SONOSトランジスタから二酸化シリコン104の層により絶縁されている。SONOSトランジスタのスタックは、共通ソース端子112を共有し、更に共通ドレイン端子116を共有している。低濃度ドープされた、例えば1014cm-3~1017cm-3でドープされた、ポリシリコン層110の薄層が、3D NANDメモリアレイにおいて積層されたSONOSトランジスタのためのチャネル126を形成する。低濃度ドープされたポリシリコン層110の薄層は、n型ドーパントによりインサイチュでドープされて、nチャネルトランジスタが形成されてもよい。低濃度ドープされたポリシリコン層110の薄層の一方の端部が、共通ソースビット線122に短絡されている一方で、低濃度ドープされたポリシリコン層110の薄層の反対側の端部が、共通ドレインビット線114に短絡されている。
【0022】
動作時、共通ソースビット線122(ソース端子112)を接地に保持した状態で、共通ドレインビット線114(ドレイン端子116)に電圧を印加することができる。ゲート端子118の電圧は、ゲート選択トランジスタ120のうちの1つをオンにすることにより、金属ゲート(ワード線106)のうちの1つに接続されることができる。SONOSトランジスタがゼロにプログラムされている(電子がトラップされていない)場合、ポリシリコンチャネルはオンになり、追加の電流がトランジスタのチャネル126を通って流れることになる。しかしながら、SONOSトランジスタが1にプログラムされている(電子がトラップされている)場合、チャネル126はOFFのままであり、追加の電流は流れないであろう。3D NANDメモリアレイにおける、あるSONOSトランジスタから次のSONOSトランジスタへの変動は、あるSONOSトランジスタから次のSONOSトランジスタへの、低濃度ドープされたポリシリコントランジスタチャネル126の厚さの均一性に依存する。
【0023】
本明細書において様々な実施形態で説明するように、
図2A~
図2J及び
図3を使用して更に説明するような周期的自己制限的堆積及びエッチングプロセスを使用して、均一な低濃度ドープされたポリシリコントランジスタチャネル126が形成される。
【0024】
ここで、3D NAND基板300の断面図を示す
図2Aを参照する。二酸化シリコン104及び窒化シリコン124の交互になった誘電体層が、半導体基板102の上に層状になっている。この処理段階では、半導体基板102は複数のデバイス領域を含み、このデバイス領域は、アレイプログラミング及びロジックトランジスタに関連する活性トランジスタ領域、並びに半導体基板102内で拡散領域として形成され3D NANDメモリの共通ビット線を形成するドレインビット線114を含む。
【0025】
図2Aでは、6個の交互層が示されているが、3D NANDメモリは100個超の交互層を有することができる。開口部を有するチャネルパターン128が3D NAND基板上に形成され(ステップ140、
図3)、この開口部を通してチャネルがエッチングされて、誘電体スタックの表面が露出される。
【0026】
次に、
図2Bに示すように(ステップ142、
図3)、リソグラフィプロセスを使用してチャネルパターン128を形成した後に、二酸化シリコン104及び窒化シリコン124の積層された誘電体層を通してチャネル130が形成される。チャネルパターン128は、以降のプラズマエッチングプロセスからのエッチングに耐性を有するハードマスク層を含んでもよい。例えば、チャネルパターン128は、一実施形態では、窒化チタン層などの金属窒化物を含んでもよい。
【0027】
チャネル130は、下にある半導体基板102内のビット線114の拡散領域上で、又はエッチストップ層上で止まる。チャネル130は、プラズマツール内でプラズマエッチングプロセスを使用して形成することができる。様々な実施形態では、プラズマエッチングプロセスは、実質的に垂直な側壁を有するトレンチを形成する。プラズマエッチングプロセスは、実施形態では、二酸化シリコン104の層と窒化シリコン124の層との交互層を交互にエッチングするように設計された周期的プロセスを含むことができる。代わりに、プラズマエッチングプロセスは、二酸化シリコン及び窒化シリコンのエッチングに対して同じ選択性を有し下にある半導体基板102上でエッチングが止まるように調整されたプラズマエッチングを含んでもよい。
【0028】
様々な実施形態では、チャネル130は、50:1~100:1のアスペクト比を有してもよい。更なる実施形態では、チャネル130は、100:1を超える、例えば最大で500:1、のアスペクト比を有してもよい。残っているチャネルパターン128は全て、チャネルエッチング後に除去される。
【0029】
図2Cにおいて、SONOSゲート誘電体層108を堆積させた後に、低濃度ドープされたポリシリコン層110の層が堆積される(ステップ144、
図3)。チャネル130の垂直な側壁上に均一な厚さを有するように、SONOSゲート誘電体層108が堆積される。様々な実施形態では、SONOSゲート誘電体層108は、原子層堆積プロセスを使用して形成することができる。代わりに、SONOSゲート誘電体層108は、化学蒸着、プラズマ堆積などを含む他の堆積プロセスを使用して形成される。
【0030】
様々な実施形態では、SONOSゲート誘電体108は、約2nm~約10nmの厚さを有する。SONOSゲート誘電体層108は、一実施形態では、酸化物/窒化物/酸化物(ONO)スタックを備える。別の実施形態では、ゲート誘電体層108は、高k誘電体/窒化物/酸化物スタックを備える。
【0031】
様々な実施形態では、ポリシリコン層110は、典型的には、均一な厚さのポリシリコンで3D-NAND基板101の表面を覆うこと及びSONOSゲート誘電体層108を覆うことが可能な堆積プロセス、例えば化学蒸着(CVD)プロセスを使用して堆積される(ステップ144、
図4)。様々な実施形態では、ポリシリコン層110は、10
14cm
-3~10
18cm
-3のドーピング濃度でインサイチュでドープされ、リンを用いてn型にドープされてもよい。
【0032】
図1Bに関して前述したように、ポリシリコン層110は非常に薄くなければならない。薄くすることは、薄膜トランジスタの劣化及び制御の喪失を回避し、トランジスタのサブスレッショルド特性を改善する。様々な実施形態では、ポリシリコン層110は、必要な厚さよりも僅かに厚く堆積し、次いで、実施形態による疑似原子層シリコンエッチングプロセスを使用して、SONOSトランジスタの要求に応じて薄くすることができる。様々な実施形態において、薄くした後のポリシリコン層110は、約5nm~約50nm、例えば一実施形態では10nm~20nm、である。
【0033】
一般に、ポリシリコン層110は、ウェットエッチングプロセスにより薄くされなければならない。しかしながら、チャネル130の高いアスペクト比、例えば50:1~500:1は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの現在のエッチング溶液に大きな課題を提起する。なぜなら、TMAHを用いるエッチングは輸送制限的になり、エッチングレートがチャネルの底部における濃度により妨げられる結果となるからである。反応副生成物の排出及びエッチング液の補充が制限されることにより、ポリシリコン層110が不均一に薄くなり、デバイス性能を損なう結果となる可能性がある。例えば、ポリシリコン層110の厚さは、チャネル130の底部でより大きくなり、チャネル130の上部でより小さくなる場合がある。
【0034】
本明細書の実施形態が、これらの限界を自己制限的周期的プロセスを用いて克服する。
図2Dを参照すると、3D-NAND基板101を酸化性溶液132の浴中に浸漬させることにより3D-NAND基板101は湿潤され、次いで、酸化性溶液は表面張力効果に起因してチャネル130内へと浸透する(ステップ146、
図3)。代わりに、ポリシリコン層110の表面は、ウェットスプレーエッチングツールを使用して酸化性溶液132で湿潤される。一実施形態では、酸化性溶液132は、1~30重量%の範囲の濃度を有する過酸化水素水溶液であり得る。別の実施形態では、酸化性溶液132は、オゾンを含んでもよい。
【0035】
酸化性溶液132がポリシリコン層110の表面に接触すると、酸化性溶液132は表面を急速に酸化して、酸化物の層134が形成される(ステップ146、
図3)。形成される酸化物の層134の厚さは、自己制限的であってエッチング液濃度に依存せず(輸送制限的ではなく)、その結果、原子レベルの制御がもたらされる。具体的には、酸化物の層134は、酸化性溶液132の拡散に対する、及びポリシリコン層110からのシリコン原子の拡散に対する、拡散障壁を形成する。この拡散障壁は、ポリシリコン層110の露出された表面の全てが酸化物の層134で覆われた後に、更なる酸化を防止する。いったんポリシリコン層110の表面が酸化物の層134で覆われると、更なる酸化性溶液132、例えば過酸化水素が、ポリシリコン層110の表面から遮断され、ポリシリコン層110の表面の更なる酸化が実質的に止まる。
【0036】
高アスペクト比のチャネル130を酸化性溶液132で完全に満たすことを容易にするために、二酸化炭素を使用して3D-NAND基板101を最初にクリーニングすることができる。例えば、高圧二酸化炭素ガスを、3D-NAND基板101の表面に向かって導くことができる。二酸化炭素ガスの膨張により、二酸化炭素ガスは冷却され、固体二酸化炭素として固体化され、3D-NAND基板101及びチャネル130の表面上に堆積される。固体二酸化炭素を暖めると昇華し、体積が800倍にも増加する。このプロセス中、二酸化炭素は緩み、粒子を払いのける。
【0037】
図2Fを参照すると、酸化性溶液132が除去される(ステップ148、
図3)。3D-NAND基板101は、酸化性溶液132の除去を手助けするために、溶媒でリンスされることができる。様々な実施形態では、3D-NAND基板101は、浴中に浸漬させることにより、又はウェットスプレーエッチングツールにおいて溶媒でリンスすることにより、リンスされる。一実施形態では、溶媒は脱イオン水である。
【0038】
次に
図2Gに示されるように、3D-NAND基板101は酸化物除去剤136に曝露される(ステップ150、
図3)。図面では、酸化物除去剤136は、酸化物の層134を湿潤させる。酸化物除去剤136は、フッ化水素を水で希釈して0.1~10重量%の範囲の濃度にしたものであり得る。いったん酸化物の層134が除去されると、下にあるポリシリコン層110が露出し、エッチングは止まる。有利には、酸化物除去剤は、ポリシリコン層110をエッチングしないように選択される。
【0039】
図2Hは、酸化物の層134が酸化物除去剤136を使用して除去された後の3D-NAND基板101を示す(ステップ150、
図3)。
【0040】
図2Iを参照すると、酸化物除去剤136が除去される(ステップ152、
図3)。次いで、3D-NAND基板101は、酸化物除去剤136の除去を支援するために、溶媒でリンスされることができる。様々な実施形態では、3D-NAND基板101は、浴中に浸漬させることにより、又はウェットスプレーエッチングツールにおいて溶媒でリンスすることにより、リンスされる。一実施形態では、溶媒は脱イオン水である。
【0041】
ポリシリコン層110の所定厚さを除去するために、ステップ146~ステップ152を必要な回数だけ繰り返すことができる(ステップ154、
図3)。ポリシリコン層110の表面が酸化性溶液132により湿潤されている間、全ての周期において、シリコン原子の表面層が酸化物の層134(例えば、二酸化シリコン)に変換される。酸化物の層134が酸化物除去剤136によりエッチングされて除去されると、シリコン原子のこの表面層は除去される。ステップ146~152を繰り返すことにより、シリコン原子は非常に制御された均一な形で一度に1層ずつ除去される一方で、同時に、残っているポリシリコン層110の表面粗さは低減される。ポリシリコン層110の所定厚さを、このように制御された均一な形で除去することにより、3D-NANDメモリアレイにおけるSONOSトランジスタの性能を精密に定めることができ、SONOSトランジスタ間の変動を最小限に抑えることができる。様々な実施形態では、ポリシリコン層110の所定厚さは、ポリシリコン層110の目標表面粗さ又は目標厚さ均一性を実現するように選択されてもよい。例示的な一実施形態では、ポリシリコン層110の所定厚さは、ポリシリコン層110の初期厚さの一部、例えば、ポリシリコン層110の初期厚さの5%~20%であってもよい。
【0042】
仕様に合うようにポリシリコン層110が薄くされた後、窒化シリコン124をCVD-タングステンで置換してSONOSトランジスタゲートを形成することと、共通ソースビット線122とソース端子112への電気接続部とを形成することによりビット線を形成することと、共通ドレインビット線114とドレイン端子116への電気接続部とを形成することと、ゲート端子118への電気接続部を形成することと、ゲート選択トランジスタ120を形成することと、を含む、追加の処理を実施して、
図1A及び
図1Bに示す3D NAND構造を構築することができる。
【0043】
図4は、本出願の一実施形態に従って形成された完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ200の断面図を示す。
【0044】
埋め込み酸化物(BOX)204の層が、トランジスタの単結晶シリコン206内に形成されたチャネルを、下にある基板202から絶縁している。FDSOIトランジスタ200における単結晶シリコン206は、単結晶シリコンの非常に薄い層であり、典型的には150nm未満である。超薄チャネルを有するFDSOIトランジスタでは、シリコンは25nm以下であり得る。トランジスタゲート210は、ゲート誘電体層208により、単結晶シリコン206内のチャネルから絶縁されている。単結晶シリコン206内のトランジスタチャネルに隣接するシリコン領域は高濃度ドープされて、トランジスタソース214及びトランジスタドレイン216を形成している。シャロートレンチアイソレーション212が、FDSOIトランジスタ200を、隣接するトランジスタ及び基板202内の他の半導体デバイスから電気的に絶縁している。FDSOIトランジスタの性能は、単結晶シリコン206内に形成されたチャネルの厚さに対して非常に敏感である。FDSOIトランジスタ間の変動性は、単結晶シリコン206内のトランジスタチャネルの、FDSOIトランジスタごとの厚さの変動に対して非常に敏感である。
【0045】
完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタ200の性能は、単結晶シリコン206内に形成された薄いチャネルの厚さに対して非常に敏感である。FDSOIトランジスタ200間の変動性は、トランジスタごとの、単結晶シリコン206内のトランジスタチャネルの厚さの変動に対して敏感である。FDSOIトランジスタ200における単結晶シリコン206の厚さは、典型的に150nm未満である。超薄FDSOIトランジスタでは、単結晶シリコン206は25nm以下であり得る。
【0046】
更に説明されるように、本発明の実施形態を、薄い単結晶シリコン206の厚さの均一性を制御するために適用することができる。
【0047】
ポリシリコンチャネルを有する薄膜トランジスタ(TFT)も製造できる。例えば、それらは液晶ディスプレイにおいて使用される。ポリシリコンチャネルを有するこれらのトランジスタは絶縁基板上に形成され、ポリシリコンチャネルの厚さに応じて、部分空乏型シリコンオンインシュレータ(PDSOI)トランジスタ又は完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)トランジスタに類似した特性を有する。単結晶シリコントランジスタチャネルを有するPDSOI及びFDSOIトランジスタのように、ポリシリコンチャネルを有するTFTの性能は、ポリシリコントランジスタチャネルの厚さ及び厚さ均一性に対して敏感である。原子層を有するポリシリコントランジスタチャネルの厚さ及び厚さ均一性を制御するための実施形態の技術が、ポリシリコンTFTトランジスタに同様に適用可能である。
【0048】
図5Aは、完全空乏型シリコンオンインシュレータ(FDSOI)基板202の断面図を示す。次いで、FDSOIトランジスタのトランジスタチャネルを形成する電気的に絶縁された単結晶シリコン206は、実施形態の疑似原子層シリコン系材料エッチングプロセスを使用して高い精度で薄くすることができる。このようにして、単結晶シリコン206におけるトランジスタチャネルの厚さは、FDSOIトランジスタ性能のために必要とされる最終的な薄さに減らすことができる。
【0049】
FDSOIトランジスタチャネルパターン128をFDSOI基板202上に形成して、1つのFDSOIトランジスタの単結晶シリコン206においてチャネル領域を露出させ、他のFDSOIトランジスタのトランジスタチャネル領域を露出させないようにできる。このようにして、単結晶シリコン206の厚さを、異なるFDSOIトランジスタに対して異なる厚さにエッチングして、異なる性能特性を有するFDSOIトランジスタを作製できる(ステップ230、
図6)。
【0050】
図5Bでは、単結晶シリコンチャネルの表面が酸化性溶液132で湿潤される(ステップ232、
図6)。
【0051】
図5Cでは、単結晶シリコン206を酸化性溶液132に曝露させることにより、単結晶シリコン206上に、酸化物層220、例えば二酸化シリコンが形成される(ステップ232、
図6)。FDSOI基板202は、酸化性溶液132の浴中に浸漬することにより湿潤させることができる。代わりに、単結晶シリコン206の表面を、ウェットスプレーエッチングツールを使用して酸化性溶液132で湿潤させることができる。酸化性溶液132は、約1~30重量%の範囲の濃度を有する過酸化水素水溶液であり得る。過酸化水素が単結晶シリコン206の表面に接触すると、過酸化水素は表面を急速に酸化して酸化物層220を形成する。形成される酸化物層220は、自己制限的である。いったん単結晶シリコン206の表面が酸化物層220で覆われると、更なる過酸化水素が表面から遮断され、単結晶シリコン206の表面の更なる酸化が実質的に止まる。有益には、酸化は、単結晶シリコン206の表面上の突起又はトレンチを平滑化し、単結晶シリコン206の表面粗さを減らすことになる。
【0052】
図5Dにおいて、酸化性溶液132が除去される(ステップ234、
図6)。FDSOI基板202は、酸化性溶液132の除去を手助けするために、溶媒でリンスされることができる。基板は、浴中に浸漬することにより、又はウェットスプレーエッチングツールにおいて溶媒でリンスすることにより、リンスされることができる。溶媒は、典型的には脱イオン水である。
【0053】
図5Eは、酸化物層220が酸化物除去剤136に曝露されているFDSOI基板202を示す(ステップ236、
図6)。図では、酸化物除去剤136が酸化物層220を湿潤させている。
【0054】
図5Fは、酸化物除去剤136により表面酸化物層220が表面からエッチングされた後のFDSOI基板202を示す(ステップ236、
図6)。酸化物除去剤136は、約0.1~10重量%の範囲の濃度を有するフッ化水素水溶液であり得る。いったん酸化物層220が除去されると、下にある単結晶シリコン206が露出し、エッチングは止まる。酸化物除去剤136は、単結晶シリコン206をエッチングしない。
【0055】
図5Gにおいて、酸化物除去剤136は除去される(ステップ238、
図6)。FDSOI基板202は、酸化物除去剤136の除去を手助けするために、溶媒でリンスされることができる。基板は、浴中に浸漬することにより、又はウェットスプレーエッチングツールにおいて溶媒でリンスすることにより、リンスされることができる。溶媒は、典型的には脱イオン水である。
【0056】
SOI単結晶シリコン206の所定厚さを除去するために、ステップ232~238を必要な回数だけ繰り返すことができる(ステップ240、
図6)。SOI単結晶シリコン206の表面が酸化性溶液132により湿潤された後はいつでも、シリコン原子の表面層が酸化物層220に変換される。次いで、酸化物層220が酸化物除去剤136に曝露されると、シリコン原子のこの表面層は除去される。ステップ232~238を繰り返すことにより、シリコン原子の表面層は、非常に制御された形で一度に1層ずつ除去される。SOI単結晶シリコン206の所定厚さを、このように厳しく制御された均一な形で除去することにより、FDSOIトランジスタの性能を精密に定めることができ、FDSOIトランジスタ間の変動を最小限に抑えることができる。
【0057】
仕様を満たすようにSOI単結晶シリコン206を薄くした後、ゲート誘電体208を堆積させることと、FDSOIトランジスタゲート210を堆積及びエッチングすることと、ソース214及びドレイン216をドープすることと、を含む追加処理を実施して、
図4に示すFDSOIトランジスタ200を生産することができる。
【0058】
本発明の例示的な実施形態を、ここに要約する。他の実施形態もまた、本明細書全体並びに本明細書で請求された特許請求の範囲から理解することができる。
【0059】
実施例1.基板を処理する方法であって、基板を通してチャネルを形成することと、チャネルの側壁上に多結晶シリコンの層を堆積させることと、多結晶シリコンの覆われていない表面を酸化剤で酸化させることであって、酸化剤は酸化された層を形成し、酸化された層は多結晶シリコンの覆われていない表面上に均一な厚さを有する、ことと、除去剤を用いてチャネルから酸化された層を除去することと、多結晶シリコンの所定量の層を除去するまで、覆われていない表面を酸化するステップと酸化された層を除去するステップとを繰り返すことと、を含む方法。
【0060】
実施例2.覆われていない表面を酸化させることは、酸化剤を含む溶液を用いて実行される、実施例1に記載の方法。
【0061】
実施例3.除去剤は、HFを含む溶液を含む、実施例1又は2に記載の方法。
【0062】
実施例4.チャネルを形成することは、NANDメモリ製造プロセスの一部として、誘電体材料の交互層のスタックを通してチャネルを形成することを含む、実施例1~3のうちの1つに記載の方法。
【0063】
実施例5.チャネルは、50:1よりも大きいアスペクト比を有する、実施例1~4のうちの1つに記載の方法。
【0064】
実施例6.酸化剤は、過酸化水素水溶液を含む、実施例1~5のうちの1つに記載の方法。
【0065】
実施例7.基板を処理する方法であって、第1の厚さを有するシリコン系材料の層を半導体基板上に形成することと、シリコン系材料の層を酸化性溶液で湿潤させることにより、シリコン系材料の層の上に、酸化されたシリコン系材料の層を成長させることと、酸化されたシリコン系材料の層を酸化物エッチング溶液で湿潤させることにより、酸化されたシリコン系材料の層をエッチングすることと、シリコン系材料の層が所定厚さよりも薄い第2の厚さを有するまで、成長させるステップとエッチングするステップとを繰り返すことと、を含む方法。
【0066】
実施例8.シリコン系材料は、ポリシリコン又は単結晶シリコンである、実施例7に記載の方法。
【0067】
実施例9.シリコン系材料の露出した領域上に酸化されたシリコン系材料の層を成長させる前に、シリコン系材料上にパターンを形成することを更に含む、実施例7又は8に記載の方法。
【0068】
実施例10.酸化されたシリコン系材料をエッチングする前に、酸化されたシリコン系材料を第1のリンス溶液でリンスすることと、酸化されたシリコン系材料をエッチングして除去した後に、シリコン系材料を第2のリンス溶液でリンスすることと、を更に含む、実施例7~9のうちの1つに記載の方法。
【0069】
実施例11.第1のリンス溶液及び第2のリンス溶液は、脱イオン水である、実施例7~10のうちの1つに記載の方法。
【0070】
実施例12.酸化性溶液は、約1~30重量%の濃度を有する過酸化水素水溶液である、実施例7~11のうちの1つに記載の方法。
【0071】
実施例13.酸化物エッチング溶液は、約0.1~10重量%の濃度を有するフッ化水素水溶液である、実施例7~12のうちの1つに記載の方法。
【0072】
実施例14.シリコン系材料は、第1の浴中に浸漬することにより酸化性溶液で湿潤され、酸化されたシリコン系材料の層は、第2の浴中に浸漬することにより酸化物エッチング溶液で湿潤される、実施例7~13のうちの1つに記載の方法。
【0073】
実施例15.シリコン系材料は、浴中に浸漬することにより酸化性溶液で湿潤され、酸化されたシリコン系材料の層は、ウェットスプレーエッチングツールにおいて酸化物エッチング溶液で湿潤される、実施例7~14のうちの1つに記載の方法。
【0074】
実施例16.シリコン系材料は、ウェットスプレーエッチングツールにおいて酸化性溶液で湿潤され、酸化されたシリコン系材料の層は、ウェットスプレーエッチングツールにおいて酸化物エッチング溶液で湿潤される、実施例7~15のうちの1つに記載の方法。
【0075】
実施例17.3D NANDデバイスを形成する方法であって、本方法は、3D NAND誘電体スタック内にチャネルを形成することと、チャネルの側壁上に、第1の厚さを有するポリシリコンの層を堆積させることと、周期的エッチングプロセスを実施することであって、各周期は、酸化剤を含む第1の溶液でポリシリコンの層の露出した表面を湿潤させることによりポリシリコンの層の上に酸化物層を形成させることを含む、ことと、酸化物エッチング剤を含む第2の溶液を用いて、ポリシリコンの層から酸化された層を除去することと、を含み、周期的エッチングプロセスは、ポリシリコンの層がチャネルの側壁上に第2の厚さを有した後に停止され、第2の厚さは第1の厚さよりも所定厚さだけ薄い、方法。
【0076】
実施例18.酸化されたシリコン系材料をエッチングする前に、酸化されたシリコン系材料を脱イオン水でリンスすることと、酸化されたシリコン系材料をエッチングして除去した後に、シリコン系材料を脱イオン水でリンスすることと、を更に含む実施例17に記載の方法。
【0077】
実施例19.第1の溶液は、約1~30重量%の濃度を有する過酸化水素水溶液である、実施例17又は18に記載の方法。
【0078】
実施例20.第2の溶液は、約0.1~10重量%の濃度を有するフッ化水素水溶液である、実施例17~19のうちの1つに記載の方法。
【0079】
実施例21.基板を処理する方法であって、シリコン系材料の層を基板上に堆積させることと、シリコン系材料の覆われていない表面を酸化剤で酸化することであって、酸化剤は酸化された層を形成し、酸化された層はシリコン系材料の覆われていない表面上に均一な厚さを有する、ことと、除去剤を用いてシリコン系材料から酸化された層を除去することと、シリコン系材料の層の所定量を除去するまで、覆われていない表面を酸化するステップと酸化された層を除去するステップとを繰り返すことと、を含む方法。
【0080】
実施例22.覆われていない表面を酸化させることは、酸化剤を含む溶液を用いて実行される、実施例21に記載の方法。
【0081】
実施例23.酸化剤は、過酸化水素水溶液を含む、実施例21又は22に記載の方法。
【0082】
実施例24.除去剤は、HFを含む溶液を含む、実施例21~23のうちの1つに記載の方法。
【0083】
実施例25.トランジスタを形成することを更に含み、シリコン系材料はトランジスタのチャネルである、実施例21~24のうちの1つに記載の方法。
【0084】
実施例26.トランジスタは、単結晶シリコンチャネルを有するシリコンオンインシュレータトランジスタ(SOI)である、実施例21~25のうちの1つに記載の方法。
【0085】
実施例27.SOIトランジスタは、完全空乏型SOIトランジスタ又は部分空乏型SOIトランジスタである、実施例21~26のうちの1つに記載の方法。
【0086】
実施例28.トランジスタは、ポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)である、実施例21~27のうちの1つに記載の方法。
【0087】
実施例29.トランジスタは、ポリシリコントランジスタチャネルを有するNAND不揮発性トランジスタである、実施例21~28のうちの1つに記載の方法。
【0088】
実施例30.ポリシリコントランジスタチャネルは、3D NANDメモリアレイにおけるチャネルの側壁上に形成される、実施例21~29のうちの1つに記載の方法。
【0089】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。