(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】トナー、トナー収容ユニット、画像形成方法及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 9/087 20060101AFI20241114BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G9/087 331
G03G9/097 365
G03G9/097 368
(21)【出願番号】P 2020125599
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】阪下 真悟
(72)【発明者】
【氏名】武田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴史
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-233163(JP,A)
【文献】特開2015-232696(JP,A)
【文献】特開2019-117218(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118893(WO,A1)
【文献】特開2013-080200(JP,A)
【文献】特開2017-167370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂および着色剤を有するトナーであり、
前記トナーが層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を含有し、
前記結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、
前記ポリエステル樹脂が、アルコール成分に由来する骨格とカルボン酸成分に由来する骨格とを有し、
前記アルコール成分が、3価以上の脂肪族アルコールを含有し、
前記ポリエステル樹脂が結晶性ポリエステルを含有し、前記結晶性ポリエステルが二重結合(C=C結合)を有するカルボン酸を用いて合成されたものであり、
かつ該トナーをXPSで測定した際のAlの原子濃度が0.50at%以上2.00at%以下であり、かつ該トナーをXRFで測定した際のAlとICPで測定した際のAlとの比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.20以上であるトナー。
【請求項2】
前記XPSで測定した際のAlの原子濃度が1.00at%以上である、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.25以上である、請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナーのTMA変位量が10μm以下である、請求項1~
3のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項5】
前記結着樹脂としてテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有し、下記式(1)~(3)を満たす、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のトナー。
【数1】
4,000≦重量平均分子量(Mw)≦25,000・・・式(2)
0.5mol% ≦ 3価以上の脂肪族アルコール量 ≦ 6.5mol%・・・式(3)
(ただし、前記式(1)及び式(3)中の前記3価以上の脂肪族アルコール量とは、前記アルコール成分に対する前記3価以上の脂肪族アルコールのモル%である。)
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
【請求項7】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
トナーを用いて、前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着工程と、を有し、
前記トナーとして請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記トナーが、請求項1~
5のいずれか1項に記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、トナー収容ユニット、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
電子写真方式による画像形成において、超高速プリントシステムに使用するトナーは、画像形成装置の使用環境温度・湿度の変動や、大量枚数の画像の連続出力等、過酷な使用条件にさらされている。このような条件下でも、一定画質の画像を出力し続けるために、トナーに、トナー飛散防止のための安定した帯電特性を持たせることが重要である。また、加熱定着方式の画像形成装置においては、トナーを熱溶融させて紙等の記録媒体上に定着させる過程で多くの電力が必要となるため、省エネルギー化を図る観点から、トナーが低温定着性を有することもトナーの重要な特性の一つである。
【0003】
前記帯電特性の解決のために、外添剤の種類や種々の物性、処方部数に関する多くの発明が提案されている。例えば、トナーのX線光電子分光法(XPS)におけるAlの元素の原子濃度%(at%)を0.50at%以上にすることにより、帯電安定性を向上させたトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、トナーをXPSで測定した際の特定金属元素、例えばAlの原子濃度%をAとし、該トナーを溶融混練後XPSで測定した際の前記特定金属元素の原子濃度%をB[at%]としたとき、A>Bとすることで帯電安定性を向上させたトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、トナー飛散を抑制しつつ、低温定着性を発揮するトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明のトナーは以下の構成を備えたトナーである。
少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を有するトナーであり、かつ該トナーをXPSで測定した際のAlの原子濃度%が0.50at%以上2.50at%以下であり、かつ該トナーをXRFで測定した際のAlとICPで測定した際のAlの比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.20以上であるトナー。
但し、本発明におけるXPS、XRF、ICPという略号は以下の分析方法を意味するものとする。
XPS:X線光電子分光分析法
XRF:蛍光X線元素分析法
ICP:高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、トナー飛散を抑制しつつ、低温定着性を発揮するトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【
図5】
図5は、プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<トナー>
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する。
本発明のトナーにはAlが含有されており、X線光電子分光分析法(XPS)で測定したAlの原子濃度(at%)は0.50[at%]以上2.50[at%]以下であり、かつ蛍光X線元素分析法(XRF)で測定したAlの質量濃度と高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)で測定したAl質量濃度の比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])は1.20以上である。
【0009】
本発明で規定するように、特定金属元素の表面濃度の規定に加えて、特定金属元素の分散性を規定することにより、トナー飛散に対して有利なトナーを作製することができる。
トナー表面近傍の特定金属元素量の規定に関する従来技術は数多く存在するが、いずれも分散性の規定がなくトナー飛散の改善には不十分である。
上記構成を有する本発明のトナーは、特定金属元素の分散性を向上させることで、トナー飛散を抑制しつつ、低温定着性を発揮することができる。
【0010】
本発明者らは、トナー飛散の発生原因として、転写の前段階でトナーとキャリアとが混合される際に、新たに補給されたトナーとの混合で帯電のムラが生じるため、トナー飛散が発生することを見出した。それを防ぐためには、トナー表面近傍に存在する特定金属元素を均一に分散させ、トナーの硬度を上げて耐ストレス性を向上させることが有効であることを確認した。
【0011】
帯電特性を高めるための方法として、トナー内でのAl、Fe、Si、Mgなどの特定金属元素の分散を良好にすることが重要である。層状無機鉱物(特に有機変性層状無機鉱物)を用いることが好ましく、一種ないし複数種のベントナイトを配合するという手段が考えられる。また、トナー内での分散をよりよくするために、有機変性層状無機鉱物を樹脂内に予め分散させておくマスターバッチ化を行うなどの手法も挙げられる。
【0012】
本発明のトナーはX線光電子分光法(XPS)で測定したAlの原子濃度(at%)は0.50at%以上2.50at%以下であることが特徴であり、1.00at%以上2.00at%以下であることがより好ましい。
【0013】
Alの原子濃度が0.50at%より小さい場合、十分な帯電特性を得られず、トナー飛散が悪化する。またAlの原子濃度が2.50at%より大きい場合、定着の際にAlが阻害するため、低温定着性が悪化する。Alの原子濃度%が1.00at%以上2.00at%以下の範囲はトナー飛散も低温定着性も十分に満足できる領域となる。
【0014】
本発明のトナーは蛍光X線元素分析法(XRF)で測定したAlの質量%と高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)で測定したAl質量%の比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.20以上であることが特徴であり、1.25以上であることがさらに好ましい。
【0015】
Al質量%の比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.20未満である場合、Alの分散性が悪くなり、良好な帯電特性を得られず、トナー飛散が満足できない水準となる。Al質量%の比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.20以上の場合、良好な帯電特性が得られ、さらにトナー飛散が軽減される。
【0016】
<X線光電子分光分析法(XPS)>
X線光電子分光分析法(XPS)は、X線照射により放出される光電子の運動エネルギー分布を測定し、試料表面(数nm程度の深さ)に存在する元素の種類・存在量・化学結合状態に関する情報を得る手法である。
トナー表面近傍に存在するAl(アルミニウム)量のX線光電子分光分析法(XPS)による測定は、特に制限されるものではないが、例えば、以下のようにして行うことができる。XPSは通常粒子表面から数10nm程度の進度に対する原子濃度%を検出することが可能となる光電子X線である。
使用装置:PHI社製1600S型X線光電子分光装置
使用条件:X線源MgKα(100W)
分析領域0.8×2.0mm
試料については、試料ホルダー上のカーボンシート上にトナーを乗せ測定する。
【0017】
<蛍光X線元素分析法(XRF)>
蛍光X線元素分析法(XRF:X‐ray Fluorescence)は照射X線により発生する蛍光X線を検出し、エネルギーや分光結晶で分光することによって、元素分析や組成分析を行う手法である。
本発明における蛍光X線元素分析法(XRF)の測定は、特に制限されるものではないが、例えば、以下のようにして行うことができる。
トナー中の金属元素量(Al、Feなど)を蛍光X線分析(ZSX100e:理学社製の自動蛍光X線分析装置)により定量し、トナー全体に存在している金属元素量(Al)を算出する。なお、測定はトナーを3.0±0.1gのサンプルを6(MPa/cm2)で60秒間加圧し、40mmΦの円形のペレットを作製したものを用いる。
【0018】
一般的には蛍光X線元素分析法(XRF)は元素の定量として使用されるが、元素の絶対量が同じである場合でも分散が高いものに関しては、反射強度が上がり、XRFでの検出値が高くなることが知られており、本発明では分散性と絶対量の指標として用いる。
【0019】
<高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)>
高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)はドーナツ型に形成されるArの高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma)内に、溶液状試料、気体状試料、あるいは気体中に微粒子状で存在する試料を導入し、その際に試料が発する発光を利用して定性・定量分析を行う方法である。
ICPは試料中の元素濃度を検出することが可能となる分析方法である。
トナー中に存在するAl(アルミニウム)の絶対量のICPによる測定は、特に制限はされないが例えば、以下のようにして行うことができる。
使用装置:ICP発光分光分析装置日立ハイテクサイエンス製PS3520VDDII
試料処理:トナーを硝酸および硫酸で加熱分解し、希硝酸で加温溶解して不溶解分をろ別した。不溶解分は加熱灰化したのち、炭酸ナトリウムで融解し希硝酸で溶解してろ液とあわせて定容とした。
【0020】
XRFは分散性と絶対量とを併せ持った数値であることを前述したが、ICPでの質量%の比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])にすることにより、絶対量の影響をなくすことができ、純粋な分散性の指標として用いることができる。
【0021】
<熱機械分析(TMA)>
熱機械分析は試料の温度を一定のプログラムによって変化させながら、圧縮、引張り、曲げなどの非振動的荷重を加えてその物質の変形を温度又は時間の関数として測定する方法である。
本発明におけるTMA測定は特に制限されるものではないが、例えば、以下のようにして行うことができる。トナーを0.2g計量し、6.0kg/cm2で1分間加圧成型し、直径10mmのペレットを作成する。TMA/SS7100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)にて50℃54%、1400mN/60minでの変位量を算出する。
【0022】
本発明のトナーは熱機械分析(TMA)で測定した変位量が10μm以下であることが好ましい。
熱機械分析(TMA)で測定した変位量が10μm以下である場合、定かではないが、トナー表面の硬さが上昇し、外添剤の埋没が抑制されることで、経時での帯電特性の変化が小さくなり、補給されたトナーとの帯電ムラの発生も抑えられ、トナー飛散が改善すると考えられる。
【0023】
本発明のトナーは結着樹脂としてポリエステル樹脂及びテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂は、アルコール成分に由来する骨格とカルボン酸成分に由来する骨格とを有する。前記アルコール成分は、3価以上の脂肪族アルコールを含有することが好ましく、下記式(1)、(2)及び(3)を満たすことが好ましい。
【数1】
4,000≦重量平均分子量(Mw)≦25,000・・・式(2)
0.5mol% ≦ 3価以上の脂肪族アルコール量 ≦ 6.5mol%・・・式(3)
(ただし、前記式(1)及び式(3)中の前記3価以上の脂肪族アルコール量(以下、「分岐成分量」ということがある。)とは、前記アルコール成分に対する前記3価以上の脂肪族アルコールのモル%である。)
【0024】
ここで、前記3価以上の脂肪族アルコールが前記アルコール成分において2種以上の場合、前記「3価以上の脂肪族アルコールの価数」は、3価以上の脂肪族アルコールのモル分率から求められる平均価数である。例えば、前記3価以上の脂肪族アルコールにおいて、3価の脂肪族アルコールと、4価の脂肪族アルコールとが、各50モル%含まれる場合、前記「3価以上の脂肪族アルコールの価数」は、3×0.5+4×0.5=3.5となる。また、例えば、前記3価以上の脂肪族アルコールにおいて、3価の脂肪族アルコールが60モル%、及び6価の脂肪族アルコールが40モル%含まれる場合、前記「3価以上の脂肪族アルコールの価数」は、3×0.6+6×0.4=4.2となる。
【0025】
前記トナー用ポリエステル樹脂が、前記式(1)~(3)を満たしていることにより、トナーにおいて、低温定着性、耐ストレス性、及びトナー画像の耐ブロッキング性を向上させることができる。
【0026】
前記式(1)の下記部分は、ポリエステル樹脂の分岐間の平均距離(以下、「分岐間距離」ということがある。)を表している。
【数2】
【0027】
前記トナー用ポリエステル樹脂は、前記式(1)を満たすことが好ましい。前記分岐間距離が、4,000以下であることにより、溶融粘性が高くなりすぎることがなく、低温定着性に対して有利になる。前記分岐間距離が、500以上であることにより分岐間の距離が短くなることがなく、分子サイズが小さくなることがなく、トナーの耐ストレス性が低下することがない。また、高温状態から冷却された際に分子の絡み合いの開始が遅れることがなく、出力したトナー画像の耐ブロッキング性が低下することがない。
【0028】
前記トナー用ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、前記式(2)を満たすことが好ましい。
前記トナー用ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、4,000以上であると、トナーの耐高温高湿保存性、及びトナーの耐ストレス性が良好となり、25,000以下であると、溶融粘性が高くなりすぎることがないため、トナーの低温定着性が発現できる。
【0029】
前記トナー用ポリエステル樹脂は、前記式(3)を満たすことが好ましい。「3価以上の脂肪族アルコール量」(分岐成分量)が、0.5mol%以上であると、トナーの耐高温高湿保存性、及び耐フィルミング性が良好であり、6.5mol%以下であると、画像光沢、及び低温定着性が良好となる。
【0030】
分岐構造を有するポリエステル樹脂は、ガラス転移温度を維持したまま高温域における溶融粘性を下げることが可能となるため、低温定着性を向上させることが可能となる。一方で、内部に分岐成分量を増やすことにより緻密な3次元構造部分を有するため、大きなストレスがかかった場合でも変形が抑制され、トナー粒子が硬くなりトナーの耐ストレス性が向上し、トナー飛散が抑制されると考えられる。
【0031】
前記トナー用ポリエステル樹脂の製造方法としては、3価以上の脂肪族アルコールを含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを反応させる方法が好ましい。そうすることで、分岐構造を有するポリエステル樹脂を形成できる。
【0032】
<アルコール成分>
前記アルコール成分としては、例えば、2価のアルコール、3価以上のアルコールなどが挙げられる。
前記アルコール成分は、3価以上の脂肪族アルコールを含有する。
【0033】
前記2価のアルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール、オキシアルキレン基を有するジオール、脂環式ジオール、脂環式ジオールにアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)を付加したもの、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0034】
前記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどが挙げられる。前記オキシアルキレン基を有するジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどが挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものなどが挙げられる。
【0035】
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、前記3価以上の脂肪族アルコールなどが挙げられる。前記3価以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0036】
前記3価以上の脂肪族アルコールとしては、3価~4価の脂肪族アルコールが好ましい。
【0037】
<カルボン酸成分>
前記カルボン酸成分としては、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物を用いてもよいし、低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物を用いてもよいし、ハロゲン化物を用いてもよい。
【0038】
前記2価のカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0039】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
【0040】
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
【0041】
これらのカルボン酸成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
トナーは、結着樹脂及び着色剤を含有すると共に所定量のAlを含有する。このAlは例えば、トナー成分として有機変性層状無機鉱物を配合した場合には、この有機変性層状無機鉱物に由来する。その他のトナー成分は目的に応じて適宜選択することができるが、通常、結着樹脂として、単量体、重合体、活性水素基を有する化合物及び活性水素基に対する反応性を有する重合体のいずれかを含有し、必要に応じて、離型剤、その他の成分をさらに含有してもよい。
【0043】
上記有機変性層状無機鉱物について説明する。
層状無機鉱物は厚さ数nmの層が重ね合わさってできている無機鉱物の事を言い、変性するとはその層間に存在するイオンに有機物イオンを導入することを言う。具体的には、特表2003-515795号公報、特表2006-500605号公報、特表2006-503313号公報に述べられている。これを広義にはインターカレーションという。層状無機鉱物としては、スメクタイト族(モンモリロナイト、サポナイトなど)、カオリン族(カオリナイトなど)、マガディアイト、カネマイトが知られている。有機変性層状無機鉱物はその変性された層状構造により親水性が低い。その為、層状無機鉱物を変性すること無しに水系媒体中に分散して造粒するトナーに用いると、水系媒体中に層状無機鉱物が移行し、トナーを異形化することが出来ないが、変性することにより、親水性が高くなって、造粒時に容易に異形化し、分散して微細化し、電荷調整機能を十分に発揮する。かかる有機変性層状無機鉱物は、トナー粒子の表面部分に特に多く存在し、電荷調節機能を果たすと共に、低温定着にも貢献する。このとき、トナー材料中の有機変性層状無機鉱物の含有量は、0.05~2重量%であることが好ましい。
【0044】
本発明に用いる有機変性層状無機鉱物は、スメクタイト系の基本結晶構造を持つものを有機カチオンで変性したものが好ましい。また、層状無機鉱物がハイドロタルサイト類などの場合にその2価金属の一部を3価の金属に置換する事によりイオンバランスがアニオンを導入する事が出来るバランスとなる。この状態の層状無機鉱物に有機アニオンを導入することで有機アニオンにより変性した層状無機鉱物を用いることもできる。前記層状無機鉱物が有するイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の、有機物イオン変性剤としては第4級アルキルアンモニウム塩、フォスフォニウム塩やイミダゾリウム塩などが挙げられるが、第4級アルキルアンモニウム塩が好ましい。前記第4級アルキルアンモニウムとしては、トリメチルステアリルアンモニウム、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、オレイルビス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0045】
前記有機物イオン変性剤としては分岐、非分岐または環状アルキル(C1~C44)、アルケニル(C1~C22)、アルコキシ(C8~C32)、ヒドロキシアルキル(C2~C22)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を有する硫酸塩、スルフォン酸塩、カルボン酸塩、またはリン酸塩が上げられる。エチレンオキサイド骨格を持ったカルボン酸が好ましい。層状無機鉱物を少なくとも一部を有機物イオンで変性することにより、適度な疎水性を持ち、トナー組成物及び/又はトナー組成物前駆体を含む油相が非ニュ-トニアン粘性を持ち、トナーを異形化することが出来る。このとき、トナー材料中の一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の含有量は、0.05~2重量%であることが好ましい。一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物は、適宜選択することができるが、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト及びこれらの混合物等が挙げられる。中でも、トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができ、添加量を少量とすることができることから変性モンモリロナイト又はベントナイトが好ましい。
【0046】
一部を有機カチオンで変性した層状無機鉱物の市販品としては、Bentone3、Bentone38、Bentone38V(以上、レオックス社製)、チクソゲルVP(UnitedcatAlyst社製)、クレイトン34、クレイトン40、クレイトンXL(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18ベントナイト;Bentone27(レオックス社製)、チクソゲルLG(UnitedcatAlyst社製)、クレイトンAF、クレイトンAPA(以上、サザンクレイ社製)等のステアラルコニウムベントナイト;クレイトンHT、クレイトンPS(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18/ベンザルコニウムベントナイトが挙げられる。特に好ましいのはクレイトンAF、クレイトンAPAがあげられる。また一部を有機アニオンで変性した層状無機鉱物としてはDHT-4A(協和化学工業社製)を下記一般式(3)で表される有機アニオンで変性させたものが特に好ましい。下記一般式(3)で表されるものとしては例えばハイテノール330T(第一工業製薬社製)が挙げられる。
一般式(3): R1(OR2)nOSO3M
[式中、R1は炭素数13を有するアルキル基、R2は炭素数2から6を有するアルキレン基を表す。nは2から10の整数を表し、Mは1価の金属元素を表す]
有機変性層状無機鉱物は適度な疎水性を持つため、液滴界面に存在しやすくなることにより、表面に偏在し、上記フィルミングの発生を抑制できる。
【0047】
有機変性層状無機鉱物は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はないが、結着樹脂との相溶性の点から、結着樹脂、又は結着樹脂と類似した構造の樹脂を用いることが好ましい。
マスターバッチ化する際、温湿度や分散条件により、有機変性層状無機鉱物のトナー中での分散性を制御することが可能である。
【0048】
<トナーの製造方法>
本発明のトナーの製造方法や材料は、条件を満たしていれば公知のものが全て使用可能であり、特に限定されるものではない。例えばいわゆる粉砕法として知られるトナーにおいてもトナー表面に樹脂粒子をドライコートすることにより、離型剤の露出量を制御することが可能である。
一方で、水系中で作成される、いわゆるケミカル工法によるトナーは、水系中でトナーを油相として造粒する上で、トナー粒子内で離型剤の位置制御を行なうことが比較的容易であるため好ましい。
以下にトナーの製造方法についての詳細に説明する。
【0049】
<トナー原料>
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂と離型剤とを含有するトナー母体に、必要に応じてその他の成分を含有させることができ、必要に応じて外添剤を添加するものである。
【0050】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温定着性に優れ、低分子量化しても十分な可撓性を有する点で、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂と上記他の結着樹脂とを組み合わせた樹脂が好ましい。
【0051】
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、未変性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
(未変性ポリエステル樹脂)
未変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、下記一般式(1)で表されるポリオールと、下記一般式(2)で表されるポリカルボン酸とをポリエステル化した樹脂などが挙げられる。
【0053】
【0054】
ただし、前記一般式(1)中、Aは、炭素数1~20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有してもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、mは、2~4の整数を表す。また、前記一般式(2)中、Bは、炭素数1~20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有してもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、nは、2~4の整数を表す。
【0055】
前記一般式(1)で表されるポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
前記一般式(2)で表されるポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
<変性ポリエステル樹脂>
前記変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能なポリエステル(以下、「ポリエステルプレポリマー」と称することがある)とを、伸長反応及び/又は架橋反応して得られる樹脂などが挙げられる。前記伸長反応及び/又は架橋反応は、必要に応じて、反応停止剤(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、ケチミン化合物等のモノアミンをブロックしたものなど)により停止させてもよい。
【0058】
<活性水素基含有化合物>
前記活性水素基含有化合物は、水相中で、前記ポリエステルプレポリマーが伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
【0059】
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、前記ポリエステルプレポリマーが後述するイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーである場合、高分子量化が可能となる点で、アミン類が好ましい。
【0060】
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0061】
前記活性水素基含有化合物である前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。
【0062】
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’-ジアミノ-3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。
前記3価以上のポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタンとしては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。前記アミノ酸としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものとしては、例えば、これらのアミン類(ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸等)のいずれかとケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。
【0063】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記アミン類は、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のポリアミンとの混合物が特に好ましい。
【0064】
(活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な基を少なくとも有する重合体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも溶融時の高流動性、透明性に優れ、高分子成分の分子量を調節しやすく、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着性、離型性に優れる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が好ましく、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーがより好ましい。
【0065】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物、活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネートと反応させてなるものなどが挙げられる。
【0066】
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等)、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等のジオール;多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、3価以上のフェノール類(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等の3価以上のポリオール;ジオールと3価以上のポリオールとの混合物;などが挙げられる。
【0067】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリオールは、前記ジオール単独、前記ジオールと少量の前記3価以上のポリオールとの混合物が好ましい。
【0068】
前記ジオールとしては、炭素数2~12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物等)が好ましい。
【0069】
前記ポリオールのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、0.5質量%~40質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましく、2質量%~20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0070】
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);3価以上のポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
これらの中でも、前記ポリカルボン酸は、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。なお、前記ポリカルボン酸の代わりに、ポリカルボン酸の無水物、低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)などを用いてもよい。
【0072】
前記ポリオールと前記ポリカルボン酸の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリオールの水酸基[OH]と前記ポリカルボン酸のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]として、2/1~1/1が好ましく、1.5/1~1/1がより好ましく、1.3/1~1.02/1が特に好ましい。
【0073】
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン-4,4´-ジイソシアネート、4,4´-ジイソシアナト-3,3´-ジメチルジフェニル、3-メチルジフェニルメタン-4,4´-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4´-ジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α´,α´-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類(トリス-イソシアナトアルキル-イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル-イソシアヌレート等);これらのフェノール誘導体;オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記ポリイソシアネートと、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(水酸基含有ポリエステル樹脂)との混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリイソシアネートのイソシアネート基[NCO]と前記水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、5/1~1/1が好ましく、4/1~1.2/1がより好ましく、3/1~1.5/1が特に好ましい。前記当量比[NCO]/[OH]が、1/1未満であると、耐オフセット性が悪化することがあり、5/1を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0075】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー中の前記ポリイソシアネートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。0.5質量%~40質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましく、2質量%~20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0076】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーの1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2~5がより好ましく、1.5~4がより好ましい。前記平均数が、1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0077】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと、前記アミン類との混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類中のアミノ基[NHx]の混合当量比[NCO]/[NHx]が、1/3~3/1が好ましく、1/2~2/1がより好ましく、1/1.5~1.5/1が特に好ましい。前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0078】
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。テトラヒドロフラン(t)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000~40,000が好ましく、4,000~30,000がより好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0079】
前記重量平均分子量(Mw)の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流し、試料濃度を0.05~0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50μL~200μL注入して測定する。試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、PressureChemicAlCo.又は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×102、4×102、1.75×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、及び4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
【0080】
<結晶性ポリエステル>
また、着色樹脂粒子の低温定着性を向上させるために、結晶性ポリエステルを用いても良い。結晶性ポリエステルは、結晶性をもつがゆえに定着開始温度付近において、急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。つまり、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性が良く、溶融開始温度では急激な粘度低下(シャープメルト性)を起こし、定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性を兼ね備えたトナーを設計することが出来る。
また、離型幅(定着下限温度とホットオフセット発生温度の差)についても、良好な結果を示す。結晶性ポリエステルは、アルコール成分として炭素数2~6のジオール化合物、特に1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよびこれらの誘導体を80モル%以上、好ましくは85~100モル%含有したものと、少なくとも酸性分としてフマル酸もしくは、二重結合(C=C結合)を有するカルボン酸、およびこれらの誘導体を用いて合成される下記一般式(4)で表される構造を有する結晶性ポリエステルが好ましい。
一般式(4)[-O-CO-(CR1=CR2)l-CO-O-(CH2)n-]m
(ここでn、mは繰り返し単位の数である。lは1~3の整数である。R1、R2は水素原子もしくは炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0081】
また、結晶性ポリエステルの結晶性および軟化点を制御する方法として、ポリエステル合成時にアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステルなどを設計、使用するなどの方法が挙げられる。
【0082】
本発明の結晶性ポリエステルの分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができるが、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1もしくは990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを例としてあげることができる。
【0083】
分子量については、上記の分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れるという観点から、o-ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5~4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で1000~30000、数平均分子量(Mn)で500~6000、Mw/Mnが2~8であることが好ましい。
【0084】
融解温度および1/2流出温度(F1/2温度)については耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが好ましく、好ましくはDSC吸熱ピーク温度が50~150℃である。融解温度およびF1/2温度が50℃以上の場合は耐熱保存性が良好であり、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しにくく、150℃以下の場合には定着下限温度が高くないため低温定着性が得られる。
【0085】
結晶性ポリエステルの酸価は、紙と樹脂との親和性の観点から、目的とする低温定着性を達成するためにはその酸価が5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であることが好ましく、一方、ホットオフセット性を向上させるには45mgKOH/g以下のものであることが好ましい。更に、結晶性高分子の水酸基価については、所定の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには0~50mgKOH/g、より好ましくは5~50mgKOH/gのものが好ましい。
【0086】
<有機溶剤>
有機溶剤は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。有機溶媒中に溶解あるいは分散させる樹脂がポリエステル骨格を有する樹脂である場合、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系の溶媒もしくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系の溶媒を用いたほうが溶解性が高く好ましく、このなかでは溶媒除去性の高い酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
【0087】
(水系媒体)
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0088】
(界面活性剤)
水系媒体中に油相を分散させて液滴を作製するために界面活性剤が用いられる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。
【0089】
好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2~10のフルオロアルキルカルボン酸、及び、その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3-[ω-フルオロアルキル(C6~C11)オキシ]-1-アルキル(C3~C4)スルホン酸ナトリウム、3-[ω-フルオロアルカノイル(C6~C8)-N-エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11~C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7~C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4~C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N-プロピル-N-(2-ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6~C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6~C10)-N-エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6~C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6~C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
【0090】
(水系媒体に含まれる樹脂微粒子)
本発明で乳化剤として使用している樹脂微粒子について説明する。樹脂微粒子はトナー粒子形成前の水系媒体に乳化剤として添加することによって、油滴同士の合一を抑制し、造粒性を向上させることが出来る。水系媒体に含まれる樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂又はそれらの併用樹脂からなるものが好ましい。ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸-アクリル酸エステル重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。樹脂微粒子において、その平均粒径は35~55nmである。
【0091】
(保護コロイド)
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α-シアノアクリル酸、α-シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β-ヒドロキシエチル、メタクリル酸β-ヒドロキシエチル、アクリル酸β-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β-ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ-ヒドロキシプロピル、アクリル酸3-クロロ2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0092】
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
【0093】
(着色剤のマスターバッチ化)
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた結着樹脂、変性樹脂の他にポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0094】
(マスターバッチ作製方法)
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得る事ができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。
また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0095】
(離型剤)
また、着色樹脂粒子を静電潜像現像用トナーとして用いる際に、定着離型性を高める目的で離型剤を有機溶媒中に分散させておいても良い。離型剤としては、ワックスやシリコーンオイルなどの、定着プロセスで加熱されたときに十分に粘度が低く、かつ着色樹脂粒子のほかの物質と定着部材表面に相溶あるいは膨潤しにくい物質が使用され、着色樹脂粒子そのものの保存安定性を考えると、通常保管時に着色樹脂粒子中で固体として存在するワックスを用いるのが好ましい。
【0096】
ワックスとしては、長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックスなどがあり、長鎖炭化水素としては、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);石油系ワックス(パラフィンワックス、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックスなど);のほか、フィッシャートロプシュワックスも挙げられる。
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。この中で、特に離型性がよい長鎖炭化水素が好ましい。更に、長鎖炭化水素を離型剤として用いる場合、カルボニル基含有ワックスを併用してもよい。
【0097】
(帯電制御剤)
更に必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、フェノール系縮合物のE-89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEGVP2036、コピーチャージNXVP434(以上、ヘキスト社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0098】
また。本発明は、いわゆる粉砕法として用いられるトナーでも可能であるが、水系中で作成されるトナーとして使用されるほうが好ましい。混練粉砕工程を経る、いわゆる粉砕トナーでは混練工程である程度添加物は均一に分散され、トナー中に存在することとなる。このため、粉砕界面になる材料が表面に来る場合はあるが、表面偏在を制御することは難しい。このため表面偏在が必要である上記トナーで表面に特定金属元素を得るためには添加量を増やす必要があるが、副作用として、定着性/スペント性の点で問題が発生し、十分な品質が得られない。表面偏在についてはXPSを用いることにより検証できる。
【0099】
水系では水系中でトナーを油相として造粒する上で、トナー粒子内部で表面付近に偏在して存在するのに好適なレベルに層間の有機イオンによる変性を行い、トナーの表面付近の偏在を可能にできる。つまり該有機変性層状無機鉱物は、油滴中の表面側へ移動が発生し、トナー表面へ偏在しやすくなるという特性をもつ。層間の有機イオンでの変性量が少ないような場合は、層状無機鉱物の疎水性が不足し、層状無機鉱物の層間の剥離が困難になるためトナー中での分散が困難となり、表面の原子濃度%がとして十分に観測されない。層状無機鉱物の有機イオンでの変性量を多くしたり、イオン種を変更したり、疎水性を上げるための表面処理を行った場合は、トナー内に均一に分散したりトナー中央部に偏在したりする傾向を有す。本発明は、偏在の状態が規定された状態となるように、水相、油相、層状無機鉱物を適宜選択して達成することが可能となる。
【0100】
<製造方法>
次に、トナーの製造方法について説明する。特にこれに限られるものではないが、
乳化凝集法であれば、Al系の無機金属塩、2価以上の金属錯体を凝集剤として用いる場合はpH、反応温度、処方量など適宜調整することで達成可能であり、粉砕法であればAlを含有する帯電制御剤のマスターバッチのドライミックス後の溶融によるシェル化や、Alを含有する帯電制御剤の後添加による外添でも達成可能である。好ましくはエステル伸長重合法(仮)である。エステル伸長重合法での製造方法については下記に示す。
【0101】
(油相作製工程)
有機溶媒中に樹脂、着色剤などを溶解あるいは分散させた油相を作製する方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら樹脂、着色剤などを徐々に添加していき、溶解あるいは分散させればよい。ただし、着色剤として顔料を用いる場合や、離型剤などの有機溶媒に溶解しにくいようなものを添加する場合、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておくことが好ましい。
特に離型剤においては粒径を微小化することによって、離型剤がトナー内部に内包されやすくなりトナー表面への露出量が減少するため、先立って粒子を微小化しておくことが好ましい。例えば有機溶媒中で、分散助剤を添加し、離型剤とともに攪拌しながら加熱を行い一旦溶解させた後、攪拌もしくはせん断しながら冷却を行うことによって晶析を行い、分散質の微結晶を生成させる方法を行っても良い。また分散された後、さらに別の方法により追加で分散を行っても良い。分散に際しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。追加分散を行う際に、前記分散助剤を追加で加えることにより、離型剤粒子の分散効率の向上と微小化を一層進めることが可能となる。
【0102】
(乳化工程)
少なくとも界面活性剤を有する水系媒体中に前述の工程で得られた油相を分散させ、油相からなるトナー粒子が分散した分散液を作製する方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2~20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000~30000rpm、好ましくは5000~15000rpmである。
【0103】
(脱溶工程)
得られた着色樹脂分散体から有機溶剤を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、得られた着色樹脂分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶剤を完全に除去することも可能である。もしくは、着色樹脂分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去しても良い。
後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分に目的とする品質が得られる。
【0104】
(熟成工程)
末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行っても良い。熟成時間は通常10分~30時間、好ましくは2~15時間である。反応温度は、通常、20~65℃、好ましくは35~50℃である。
【0105】
(洗浄、乾燥工程)
水系媒体に分散されたトナー粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温~約40℃程度のイオン交換水に再分散させる。更には再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、酸でpH調整実施する。これらの処理後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いても良いし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
【0106】
(外添処理)
得られた乾燥後のトナー粉体と前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えたりすることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー(日本ニューマチック社製)、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、などがあげられる。
【0107】
(現像剤)
本発明の現像剤は、前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
【0108】
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯粒子と、該芯粒子を被覆する樹脂層(被覆層)とを有するものが好ましい。
【0109】
<<芯粒子>>
前記芯粒子としては、磁性を有する芯粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金、化合物等の磁性体を樹脂中に分散させた樹脂粒子などが挙げられる。これらの中でも、環境面への配慮の点で、Mn系フェライト、Mn-Mg系フェライト、Mn-Mg-Sr系フェライトなどが好ましい。
【0110】
<<被覆層>>
前記被覆層は、少なくとも樹脂を含有しており、必要に応じてフィラー等の他の成分を含有していてもよい。
-樹脂-
キャリアの被覆層を形成するための樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)やその変性品、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル等を含む架橋性共重合物;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等による変性品);ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂;アイオノマー樹脂;ポリイミド樹脂、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が好ましい。
【0111】
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段のから選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
【0112】
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、本発明のトナーを用いて画像形成が行われるため、トナー飛散を抑制しつつ、低温定着を可能にすることができる。
【0113】
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。本発明の画像形成装置は、より好ましくは、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含む。また、本発明の画像形成方法は、より好ましくは、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含む。前記現像手段、及び前記現像工程において、前記トナーが使用される。好ましくは、前記トナーを含有し、更に必要に応じて、キャリアなどのその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、前記トナー像を形成するとよい。
【0114】
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。
【0115】
<静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成手段としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段などが挙げられる。
【0116】
<現像手段>
前記現像手段としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0117】
<その他の手段>
前記その他の手段としては、例えば、転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
【0118】
次に、本発明の画像形成装置により画像を形成する方法を実施する一の態様について、以下図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100Aは、静電潜像担持体としての感光体ドラム(静電潜像担持体)10と、帯電手段としての帯電ローラー20と、露光手段としての露光装置(不図示)と、現像手段としての現像器40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電手段としての除電ランプ70とを有する。
【0119】
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されている3個のローラー51で張架されており、矢印方向に移動することができる。3個のローラー51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラーとしても機能する。また、中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。さらに、記録紙95にトナー像を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することが可能な転写手段としての転写ローラー80が中間転写体50に対向して配置されている。また、中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器52が、感光体ドラム10と中間転写体50の接触部と、中間転写体50と記録紙95の接触部との間に配置されている。ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像器40は、現像ベルト41、現像剤収容部42と、現像剤供給ローラー43と、現像ローラー44を備える。
画像形成装置100Aでは、帯電ローラー20により感光体ドラム10を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)により露光光Lを感光体ドラム10上に像様に露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像器40から現像剤を供給して現像してトナー像を形成した後、ローラー51から印加された転写バイアスにより、トナー像が中間転写体50上に転写(一次転写)される。さらに、中間転写体50上のトナー像は、コロナ帯電器58により電荷を付与された後、記録紙95上に転写(二次転写)される。トナー像が転写された記録紙95は、定着装置の加熱ローラーと加圧ローラーとにより加圧しながら加熱されることにより、加熱溶融し、記録紙95上に定着される。一方、感光体ドラム10上に残存したトナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体ドラム10は除電ランプ70により一旦、除電される。
【0120】
図2に、本発明の画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Bは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400を有する。複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。中間転写体50は、支持ローラー14、15及び16に張架されており、矢印方向に回転することができる。支持ローラー15の近傍には、中間転写体50上に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置17が配置されている。また、支持ローラー14と支持ローラー15により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの4個の画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。
各色の画像形成手段18は、
図3に示すように、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラー20と、感光体ドラム10に形成された静電潜像をブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像剤で現像してトナー像を形成する現像器40と、各色のトナー像を中間転写体50上に転写させるための転写ローラー80と、クリーニング装置60と、除電ランプ70を備える。また、タンデム型現像器120の近傍には、露光装置30が配置されている。露光装置30は、感光体ドラム10上に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。
さらに、中間転写体50のタンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、一対のローラー23に張架されている無端ベルトである二次転写ベルト24からなり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写体50が互いに接触可能となっている。二次転写装置22の近傍には、定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置される加圧ローラー27を有する。定着ベルト26の張架ローラーのうち、一つは加熱ローラーである。また、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成するために記録紙を反転させる反転装置28が配置されている。
【0121】
このような構成の画像形成装置100Bにおけるフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。次に、スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に、原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像情報が得られる。さらに、露光装置30により、得られた各色の画像情報に基づいて、各色の静電潜像が感光体ドラム10に形成された後、各色の静電潜像は、各色の現像器40から供給された現像剤で現像され、各色のトナー像が形成される。形成された各色のトナー像は、支持ローラー14、15及び16により回転移動する中間転写体50上に、順次重ねて転写(一次転写)され、中間転写体50上に複合トナー像が形成される。給紙テーブル200においては、給紙ローラー142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録紙を繰り出し、分離ローラー145で1枚ずつ分離して給紙路146に送り出し、搬送ローラー147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラー49に突き当てて止める。あるいは、手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラー52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、レジストローラー49に突き当てて止める。なお、レジストローラー49は、一般に接地して使用されるが、記録紙の紙粉除去のために、バイアスが印加された状態で使用してもよい。
そして、中間転写体50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラー49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22の間に記録紙を送り出し、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25に送り出される。そして、定着装置25において、定着ベルト26及び加圧ローラー27により、加熱加圧されて複合トナー像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切換爪55で切り換えて排出ローラー56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導かれて、裏面にも画像を形成した後、排出ローラー56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。なお、複合トナー像が転写された後に中間転写体50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
【0122】
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を本発明の現像剤で現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも有する。なお、本発明のプロセスカートリッジは、必要に応じて、他の手段をさらに有していてもよい。
現像手段としては、本発明の現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器内に収容された現像剤を担持すると共に搬送する現像剤担持体を少なくとも有する。なお、現像手段は、担持する現像剤の厚さを規制するため規制部材等をさらに有してもよい。
図4に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジは、感光体ドラム10、コロナ帯電器52、現像器40、転写ローラー80及びクリーニング装置90を有する。
【実施例】
【0123】
以下本発明を実施例及び比較例にて更に詳細に説明する。なお本発明は、ここに例示される実施例及び比較例に限定されるものではない、なお実施例中の部は特に記載がなければ質量部を表す。
【0124】
(樹脂微粒子分散液の製造)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業製)11部、ドデカノールエチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(キャリポンEN-200、三洋化成工業製)5部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して系内温度75℃まで昇温し、2時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を滴下にて加え、75℃で8時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の固形分20%の樹脂微粒子A分散液を得た。体積平均粒径は38nmであった。
【0125】
(低分子ポリエステルAの合成)
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部、及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応した。
次いで、10~15mmHgの減圧下で5時聞反応した後、反応容器内に無水トリメリット酸45部を入れ、常圧下、180℃で2時間反応し、低分子ポリエステルAを合成した。得られた低分子ポリエステルAは、重量平均分子量6,700、ガラス転移温度(Tg)43℃であった。
【0126】
(低分子ポリエステルBの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物(BisA-EO)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物(BisA-PO)、トリメチロールプロパン(TMP)、テレフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物と、トリメチロールプロパンとが、モル比(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物/トリメチロールプロパン)で38.6/57.9/3.5であり、テレフタル酸とアジピン酸とが、モル比(テレフタル酸/アジピン酸)で85/15であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.12となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg~15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、低分子ポリエステルBを得た。得られた低分子ポリエステルBは、重量平均分子量13,000、ガラス転移温度(Tg)61℃であった。
【0127】
(低分子ポリエステルCの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物(BisA-EO)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物(BisA-PO)、トリメチロールプロパン(TMP)、テレフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物と、トリメチロールプロパンとが、モル比(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物/トリメチロールプロパン)で38.6/57.9/3.5であり、テレフタル酸とアジピン酸とが、モル比(テレフタル酸/アジピン酸)で85/15であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.06となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg~15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、低分子ポリエステルCを得た。得られた低分子ポリエステルCは、重量平均分子量18,000、ガラス転移温度(Tg)65℃であった。
【0128】
(低分子ポリエステルDの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物(BisA-EO)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物(BisA-PO)、トリメチロールプロパン(TMP)、テレフタル酸、及びアジピン酸を、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物と、トリメチロールプロパンとが、モル比(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物/トリメチロールプロパン)で38.6/57.9/3.5であり、テレフタル酸とアジピン酸とが、モル比(テレフタル酸/アジピン酸)で95/5であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.20となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg~15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、低分子ポリエステルDを得た。得られた低分子ポリエステルDは、重量平均分子量7,500、ガラス転移温度(Tg)61℃であった。
【0129】
(結晶性ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管のついた反応容器中に、1,4-ブタンジオール2070部、フマル酸2535部、無水トリメリット酸291部、ハイドロキノン4.9部を入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて結晶性ポリエステルを得た。
【0130】
(結晶性ポリエステル分散液の作製)
結晶性ポリエステルを36重量%で酢酸エチル中に混合し、55℃で1時間溶解させた後、冷却水を用いた外部熱交換器を使用して、20℃以下になるまで冷却し、結晶性ポリエステルを析出させて晶析液を得た。前記結晶性ポリエステル晶析液をビーズミル装置(LMZ25、アシザワファインテック製)を用いて循環粉砕し、結晶性ポリエステル分散液を得た。メディアはビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
【0131】
(離型剤晶析液の作製)
エステルワックス(LW-13;三洋化成製)12.2部、分散剤(スチレンアクリル;三洋化成社製)7.3部、前記低分子ポリエステル36.6部、を酢酸エチル81.0部に加え、60℃で3時間加熱溶融した後、外部熱交換器で30℃以下になるまで冷却し、晶析液2を作製した。
【0132】
(離型剤分散液の作製)
前記晶析液2をビーズミル装置(LMZ60、アシザワファインテック製)を用いて循環分散し、離型剤分散液を1得た。メディアはビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
【0133】
(低分子ポリエステル溶解液の作製)
前記低分子ポリエステルA、B、Cを70重量%で酢酸エチルに溶解させ、溶解温度を40℃に制御して、低分子ポリエステル溶解液A、B、Cを得た。
【0134】
(マスターバッチAの作製)
有機変性層状無機鉱物(クレイトンAPA(ビックケミー・ジャパン社製))55部、45部のポリエステル樹脂A及びイオン交換水15部を混合した後、2本ロールを用いて90℃で混練し、有機変性層状無機鉱物のマスターバッチAを得た。上記有機変性層状無機鉱物には、Al、Fe、Si、Mgが含有されており、蛍光X線元素分析法(XRF)の測定により、それを確認した。
【0135】
(マスターバッチBの作製)
有機変性層状無機鉱物(クレイトンAPA(ビックケミー・ジャパン社製))55部、45部のポリエステル樹脂A及びイオン交換水15部を混合した後、2本ロールを用いて85℃で混練し、有機変性層状無機鉱物のマスターバッチBを得た。上記有機変性層状無機鉱物には、Al、Fe、Si、Mgが含有されており、蛍光X線元素分析法(XRF)の測定により、それを確認した。
【0136】
(マスターバッチCの作製)
有機変性層状無機鉱物(クレイトンAPA(ビックケミー・ジャパン社製))55部、45部のポリエステル樹脂A及びイオン交換水15部を混合した後、2本ロールを用いて80℃で混練し、有機変性層状無機鉱物のマスターバッチCを得た。上記有機変性層状無機鉱物には、Al、Fe、Si、Mgが含有されており、蛍光X線元素分析法(XRF)の測定により、それを確認した。
【0137】
(マスターバッチDの作製)
有機変性層状無機鉱物(クレイトンAPA(ビックケミー・ジャパン社製))55部、45部のポリエステル樹脂A及びイオン交換水15部を混合した後、2本ロールを用いて100℃で混練し、有機変性層状無機鉱物のマスターバッチDを得た。上記有機変性層状無機鉱物には、Al、Fe、Si、Mgが含有されており、蛍光X線元素分析法(XRF)の測定により、それを確認した。
【0138】
[実施例1]
(油相の作製)
前記離型剤分散液1を307部、前記低分子ポリエステルAの溶解液を212部、黒色顔料C-60を26部、結晶性ポリエステル分散液を78部、マスターバッチAを6.8部、酢酸エチル22部をタンク内に投入し、3時間溶解、分散して油相1を得た。
【0139】
(プレポリマーの合成)
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物を795部、イソフタル酸200部、テレフタル酸65部、及びジブチルチンオキサイド2部をそれぞれ投入し、常圧窒素気流下、210℃で8時間縮合反応した。次に、10~15mmHgの減圧下で脱水しながら5時間反応を継続し、その後80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行い、プレポリマー1を得た。得られたプレポリマーの重量平均分子量は5,000であった。
【0140】
(水相の作製)
水1180部、樹脂微粒子分散液51部、50重量%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON-7、三洋化成工業株式会社製)262部、及び酢酸エチル138部を、それぞれ投入し、混合撹拌して、水相1を得た。
【0141】
(乳化)
油相1を383部、プレポリマー1を64部、及びイソホロンジアミンの50質量%酢酸エチル溶液3.5部を混合し、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して油相2を得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に水相1を550部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)にて11,000rpmで攪拌しながら油相2を添加し、1分間乳化して乳化スラリー1を得た。
【0142】
(脱溶・熟成)
得られた乳化スラリーを、温水ジャケット及び減圧ラインを具備するSUS製のタンク内に溜め、攪拌翼外周端周速10.5m/秒の攪拌下、突沸を回避しつつ、徐々に減圧を行い、最終的に-95kPaの減圧条件で脱溶剤を行った。この時、スラリー中の有機溶剤濃度が、時間推移に従って以下のような濃度推移になるように減圧条件を調整しながら実施した。乳化スラリー中の残存有機溶媒濃度はガスクロマトグラフィー(GC-2010、島津製作所製)で測定することにより求めた。
STEP1:スラリー温度30℃で40分溶剤を除去し、有機溶媒濃度が15質量%となった。
STEP2:スラリー温度30℃で80分溶剤を除去し、有機溶媒濃度が5質量%となった。
STEP3:スラリー温度を36℃に昇温しつつ180分溶剤を除去し、有機溶媒濃度が0.1質量%となった。
その後、50℃で4時間熟成を行い、分散スラリー1を得た。
【0143】
(洗浄・乾燥工程)
分散スラリーを加圧濾過して得られた濾過ケーキ1に対し、以下の処理を行った。(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)で混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。(2)前記(1)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)で混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、攪拌下で1質量%塩酸をpH5.0程度になるまで加え、その状態で1時間攪拌を続けた後濾過した。(3)前記(2)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)で混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ1を得た。得られた濾過ケーキ1を循風乾燥機にて40℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子1を作製した。
【0144】
(混合)
上記トナー母体粒子1に対して疎水性シリカ(HDK-2000、ワッカー・ケミー社製)を母粒子100部に対して1.5部添加し、20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて周速33m/sにて5分間混合した。上記を500メッシュの篩により風篩し、トナー1を得た。
【0145】
[実施例2]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を7.2部としたこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー2を得た。
【0146】
[実施例3]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を7.3部としたこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー3を得た。
【0147】
[実施例4]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を7.8部としたこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー4を得た。
【0148】
[実施例5]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を8.3部としたこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー5を得た。
【0149】
[実施例6]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を8.4部としたこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー6を得た。
【0150】
[実施例7]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を8.9部としたこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー7を得た。
【0151】
[実施例8]
油相の作製工程において、低分子ポリエステルBの溶解液を使用したこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー8を得た。
【0152】
[実施例9]
油相の作製工程において、低分子ポリエステルCの溶解液使用したこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー9を得た。
【0153】
[実施例10]
低油相の作製工程において、低分子ポリエステルDの溶解液を使用したこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー10を得た。
【0154】
[実施例11]
油相の作製工程において、マスターバッチBを使用したこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー11を得た。
【0155】
[実施例12]
油相の作製工程において、マスターバッチCを使用したこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー12を得た。
【0156】
[比較例1]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を6.7部としたこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー13を得た。
【0157】
[比較例2]
油相の作製工程において、前記マスターバッチAの部数を9.0部とした以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー14を得た。
【0158】
[比較例3]
油相の作製工程において、マスターバッチDを使用したこと以外は実施例1と同様の方法、手順にてトナー15を得た。
【0159】
トナー1~15は、マスターバッチの種類とその添加量及び油相の作製において用いた低分子ポリエステルの種類が異なるので、その差異を下記表1に示す。
【0160】
<評価方法>
<低温定着性評価>
定着ローラーとしてテフロン(登録商標)ローラーを使用した株式会社リコー製複写機MF2200定着部を改造した装置を用いて、これに株式会社リコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行なった。定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)を求めた。従来の低温定着トナーの定着下限温度は140℃~150℃程度である。なお、低温定着の評価条件は、紙送りの線速度を120mm/sec~150mm/sec、面圧1.2Kgf/cm2、ニップ幅3mm、高温オフセットの評価条件は紙送りの線速度を50mm/sec、面圧2.0Kgf/cm2、ニップ幅4.5mmと設定した。各特性評価の基準は以下の通りである。なお定着温度が低いほど良好と判定する。
低温定着性(定着下限温度)(4段階評価)
◎:129℃以下
○:130~134℃、
△:135~139℃
×:140℃以上
【0161】
<トナー飛散性評価>
画像面積率20%のチャートを、市販のデジタルフルカラープリンター(imagioMPC6000、A4横カラー50枚/分、株式会社リコー製)を用い8万枚連続出力した際の機内のトナー汚染の程度を目視にて、下記基準により4段階で評価した。「△」以上が実用可能である。
[評価基準]
◎:トナー汚れがまったく観察されない
○:わずかにトナー汚れが観察される
△:少しトナー汚れが観察される
×:トナー汚れが観察される
【0162】
<総合判定>
低温定着性評価、トナー飛散性評価の評価結果を踏まえ、以下評価基準に従い総合判定を行った。「◎」、「○」、「△」を合格とし、「×」を不合格とした。
(別案)
◎:◎が1つ以上あり、かつ△及び×が存在しない。
○:◎がなく、かつ△及び×が存在しない。
△:△があるが、×が存在しない。
×:×が一つ以上存在する。
【0163】
【0164】
【0165】
表2の評価結果から明らかなように、実施例1~12のトナーは、低温定着性、トナー飛散性が、十分優れた結果を示している。特に実施例8~10、12のトナーは、特に優れた結果を示している。それに対して、比較例1~3のトナーは、低温定着性、トナー飛散性の少なくともいずれかが実施例に対して劣位の結果となっている。
【0166】
本願発明は下記(1)のトナーに係るものであるが、実施形態として次の(2)~(10)を含む。
(1)少なくとも結着樹脂および着色剤を有するトナーであり、かつ該トナーをXPSで測定した際のAlの原子濃度が0.50at%以上2.50at%以下であり、かつ該トナーをXRFで測定した際のAlとICPで測定した際のAlとの比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.20以上であるトナー。
(2)前記XPSで測定した際のAlの原子濃度が1.00at%以上2.00at%以下である、上記(1)に記載のトナー。
(3)前記比率(XRF[質量%]/ICP[質量%])が1.25以上である、上記(1)または(2)に記載のトナー。
(4)前記トナーが層間のイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を含有する、上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載のトナー
(5)前記トナーのTMA変位量が10μm以下である、上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載のトナー
(6)離型剤を含有する、上記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載のトナー。
(7)前記結着樹脂としてポリエステル樹脂及びテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有し、前記ポリエステル樹脂が、アルコール成分に由来する骨格とカルボン酸成分に由来する骨格とを有し、前記アルコール成分が、3価以上の脂肪族アルコールを含有し、下記式(1)~(3)を満たす、上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載のトナー。
【数1】
4,000≦重量平均分子量(Mw)≦25,000・・・式(2)
0.5mol% ≦ 3価以上の脂肪族アルコール量 ≦ 6.5mol%・・・式(3)
(ただし、前記式(1)及び式(3)中の前記3価以上の脂肪族アルコール量とは、前記アルコール成分に対する前記3価以上の脂肪族アルコールのモル%である。)
(8)上記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
(9)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
トナーを用いて、前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着工程と、を有し、
前記トナーとして上記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(10)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記トナーが、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0167】
10、10K、10Y、10M、10C 感光体ドラム、静電潜像担持体
14、15、16 支持ローラー
17 クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラー
22 二次転写装置
23 ローラー
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラー
28 反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 現像器
41 現像ベルト
42、42K、42Y、42M、42C 現像剤収容部
43、43K、43Y、43M、43C 現像剤供給ローラー
44、44K、44Y、44M、44C 現像ローラー
45、45K、45Y、45M、45C 現像ユニット
49 レジストローラー
50 中間転写体
51 ローラー
52 分離ローラー
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラー
57 排紙トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
70 除電ランプ
80 転写ローラー
90 クリーニング装置
95 記録紙
100A 画像形成装置
100B 画像形成装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラー
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラー
146 給紙路
147 搬送ローラー
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
L 露光光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0168】
【文献】特開2008‐233163号公報
【文献】特開2007‐279707号公報