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特許7588210イオンエネルギー分布を制御する装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】イオンエネルギー分布を制御する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241114BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
H05H1/46 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023503136
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2021054806
(87)【国際公開番号】W WO2022103543
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】17/099,342
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サイ, リンイン
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ, ジェームズ
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195588(JP,A)
【文献】特表2019-523993(JP,A)
【文献】特表2020-501351(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンエネルギー分布関数(IEDF)の幅を制御する方法であって、
IEDF幅制御モジュールに結合された主パルサを作動することによって、処理チャンバの電極に電圧を導入することと、
前記IEDF幅制御モジュールの第1の電圧微分を変更することと、
前記IEDF幅制御モジュールの電流を測定し、前記主パルサと前記電極の間の点における第2の電圧微分を測定することと、
前記IEDF幅制御モジュールの前記電流の測定値および前記第2の電圧微分の測定値に基づいて、前記処理チャンバのイオン電流および前記処理チャンバ内の基板の上プラズマシース容量を計算することと、
前記主パルサのDC電圧に対するセットポイント、前記IEDF幅制御モジュールの前記第1の電圧微分に対するセットポイント、または両方を決定することと、
前記主パルサの前記DC電圧、前記IEDF幅制御モジュールの前記第1の電圧微分、または両方を、決定した前記セットポイントに合わせて調節して、前記IEDFの前記幅を制御することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記電極が基板電極である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電極がエッジリング電極である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記IEDF幅制御モジュールの前記第1の電圧微分を変更すること及び前記主パルサと前記電極の間の点における前記第2の電圧微分を測定することは、
前記IEDF幅制御モジュールのDC電圧を2つの異なる値に設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、全体として、基板をプラズマ処理する装置および方法に関し、具体的には、プラズマ処理の間のイオンエネルギー分布を制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板のプラズマ処理の間、イオンは、基板の表面処理、エッチング、および堆積に重要な役割を果たす。基板表面に衝突するイオンは、イオンエネルギー分布関数(IEDF)によって説明される、様々なエネルギーを有する場合がある。IEDFに対する制御は、様々な基板処理スキームの重要な因子であり得る。しかしながら、IEDFの制御にはまだ課題がある。例えば、周期的に交番する電圧がチャンバの電極に印加されると、基板の上方にプラズマシースが発達する場合がある。基板に向かって流れるイオンは、電極に印加される電圧と相関するプラズマシース電圧によって加速される。同時に、イオン電流が基板を帯電させ、基板電位を変化させる場合があり、それが次いでプラズマシース電圧に影響を及ぼして、基板表面のIEDFも影響を受け、例えば拡幅される。かかる事例およびその他においてIEDFを制御する最新技術の方法は、非効率的な反復ループに基づいている。
【0003】
IEDFを制御する新しい改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、全体として、基板をプラズマ処理する装置および方法に関し、具体的には、プラズマ処理の間のイオンエネルギー分布を制御する装置および方法に関する。
【0005】
一実施形態では、イオンエネルギー分布関数(IEDF)を制御する方法が提供される。方法は、IEDF幅制御モジュールに結合された主パルサを作動することによって、処理チャンバの電極に電圧を導入することと、IEDF幅制御モジュールの電流、およびIEDF幅制御モジュールの電圧または電圧微分を測定することとを含む。方法はさらに、IEDF幅制御モジュールの電流および電圧または電圧微分に基づいて、処理チャンバのイオン電流および処理チャンバの容量を計算することを含む。方法はさらに、主パルサのDC電圧に対するセットポイント、IEDF幅制御モジュールの電圧もしくは電圧微分に対するセットポイント、または両方を決定することと、主パルサのDC電圧、IEDF幅制御モジュールの電圧もしくは電圧微分、または両方を、決定したセットポイントに合わせて調節して、IEDFの幅を制御することとを含む。
【0006】
別の実施形態では、イオンエネルギー分布を制御する装置が提供される。装置は、基板に基板電圧を印加する基板電極が埋め込まれた基板支持体部分を有する本体を有する、基板支持体を含む。本体はさらに、基板支持体部分に隣接して配設されたエッジリング部分であって、エッジリングにエッジリング電圧を印加するエッジリング電極が埋め込まれたエッジリング部分を含む。装置はさらに、基板電極に結合された基板電圧制御回路と、エッジリング電極に結合されたエッジリング電圧制御回路とを含む。基板電極が、基板に達するイオンのエネルギー分布関数幅を能動的に制御するように構成されたパワーモジュールに結合されるか、またはエッジリング電極が、エッジリングに達するイオンのエネルギー分布関数幅を能動的に制御するように構成されたパワーモジュールに結合されるか、またはそれらの組み合わせである。基板電圧制御回路、エッジリング電圧制御回路、または両方が、電流リターンパスに結合された主パルサを備え、電流リターンパスは、パワーモジュールおよび処理チャンバに結合され、パワーモジュールは、電圧源、電流源、またはそれらの組み合わせを備える。
【0007】
別の実施形態では、イオンエネルギー分布を制御する装置が提供される。装置は、基板に基板電圧を印加する基板電極が埋め込まれた基板支持体部分を有する本体を有する、基板支持体を含む。本体はさらに、基板支持体部分に隣接して配設されたエッジリング部分であって、エッジリングにエッジリング電圧を印加するエッジリング電極が埋め込まれたエッジリング部分を含む。装置はさらに、基板電極に結合された基板電圧制御回路と、エッジリング電極に結合されたエッジリング電圧制御回路とを含む。基板電極が、基板に達するイオンのエネルギー分布関数幅を能動的に制御するように構成されたパワーモジュールに結合されるか、またはエッジリング電極が、エッジリングに達するイオンのエネルギー分布関数幅を能動的に制御するように構成されたパワーモジュールに結合されるか、またはそれらの組み合わせである。基板電圧制御回路、エッジリング電圧制御回路、または両方が、パワーモジュールに結合された主パルサを備え、パワーモジュールは処理チャンバに結合され、パワーモジュールは、電圧源、電流源、またはそれらの組み合わせを備える。
【0008】
別の実施形態では、イオンエネルギー分布を制御する装置が提供される。装置は、基板に基板電圧を印加する基板電極が埋め込まれた基板支持体部分を有する本体を有する、基板支持体を含む。本体はさらに、基板支持体部分に隣接して配設されたエッジリング部分であって、エッジリングにエッジリング電圧を印加するエッジリング電極が埋め込まれたエッジリング部分を含む。装置はさらに、基板電極に結合された基板電圧制御回路と、エッジリング電極に結合されたエッジリング電圧制御回路とを含む。基板電極が、基板に達するイオンのエネルギー分布関数幅を能動的に制御するように構成されたパワーモジュールに結合されるか、またはエッジリング電極が、エッジリングに達するイオンのエネルギー分布関数幅を能動的に制御するように構成されたパワーモジュールに結合されるか、またはそれらの組み合わせである。基板電圧制御回路、エッジリング電圧制御回路、または両方が、パワーモジュールに結合された主パルサを備え、パワーモジュールは処理チャンバに結合され、パワーモジュールは、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュールと並列であり、パワーモジュールは、電圧源、電流源、またはそれらの組み合わせを備える。
【0009】
本開示の上記に列挙した特徴を詳細に理解することができるような形で、上記に概説した本開示が、実施形態を参照してさらに詳細に説明されることがあり、その一部が添付図面に例証される。しかしながら、添付図面は本開示の例示的実施形態を例証しているにすぎず、したがって、本開示は他の等しく有効な実現形態を許容することができるので、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことに注目すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の少なくとも一実施形態による、処理チャンバ例を示す概略断面図である。
図2】本開示の少なくとも一実施形態による、処理チャンバ例の概要図である。
図3A】本開示の少なくとも一実施形態による、基板上における3つの異なるバイアス電圧波形を示す例示のグラフである。
図3B】本開示の少なくとも一実施形態による、図3Aに示される基板上における3つの異なるバイアス電圧波形に対するIEDF対イオンエネルギーの例示のプロットを示す図である。
図4A】本開示の少なくとも一実施形態による、回路例の概要図である。
図4B】本開示の少なくとも一実施形態による、回路例の概要図である。
図4C】本開示の少なくとも一実施形態による、回路例の概要図である。
図4D】本開示の少なくとも一実施形態による、回路例の概要図である。
図5A】本開示の少なくとも一実施形態による、基板支持体アセンブリの電極を駆動するIEDF幅制御回路を示す一例の概略回路図である。
図5B】本開示の少なくとも一実施形態による、図5Aに示される一例の概略回路図に対するV2電圧波形および基板電圧波形の例示のプロットを示す図である。
図5C】本開示の少なくとも一実施形態による、制御回路例を示す図である。
図5D】本開示の少なくとも一実施形態による、制御回路例を示す図である。
図5E】本開示の少なくとも一実施形態による、例示の鋸歯状電圧出力を示す図である。
図6A】本開示の少なくとも一実施形態による、基板支持体アセンブリの電極を駆動するIEDF幅制御回路を示す一例の概略回路図である。
図6B】本開示の少なくとも一実施形態による、制御回路例を示す図である。
図6C】本開示の少なくとも一実施形態による、制御回路例を示す図である。
図7】本開示の少なくとも一実施形態による、基板支持体アセンブリの電極を駆動するIEDF幅制御回路を示す一例の概略回路図である。
図8】本開示の少なくとも一実施形態による、基板支持体アセンブリの電極を駆動するIEDF幅制御回路を示す一例の概略回路図である。
図9】本開示の少なくとも一実施形態による、基板支持体アセンブリの電極を駆動するIEDF幅制御回路を示す一例の概略回路図である。
図10】本開示の少なくとも一実施形態による、基板支持体アセンブリの電極を駆動するIEDF幅制御回路を示す一例の概略回路図である。
図11】本開示の少なくとも一実施形態による、IEDF幅を制御する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合、図面に共通である同一の要素を指定するのに、同一の参照番号を使用している。ある実施形態の要素および特徴は、追加して記述することなく、他の実施形態で有益に利用されてもよいことが想到される。
【0012】
本開示の実施形態は、全体として、基板をプラズマ処理する装置および方法に関し、具体的には、プラズマ処理の間のイオンエネルギー分布を制御する装置および方法に関する。本明細書に記載する方法および装置、例えば回路は、パルスDC電力供給装置の電圧波形の形状(例えば、狭い、または調節可能な幅)に対する制御を可能にする。本明細書に記載する実施形態はさらに、例えば、単エネルギーイオン加速を含むイオンエネルギー分布関数(IEDF)に対する制御を可能にする。
【0013】
IEDFは、高アスペクト比の特徴をエッチングするためのパラメータである。一般的に、パルスDCバイアスは、以下のメカニズムによる正弦波RFバイアスと比較して、より狭いIEDFを提供することができる。イオンは、パルスDC期間内で時間変動が少ない電界によって加速されるので、シース内のイオンによって獲得されるエネルギーも、正弦波RFバイアスを変動させた場合よりも時間変動が少ない。結果として、パルスDCバイアスによって加速されるイオンは、正弦波RFバイアスよりも狭いIEDFを有する。しかしながら、バルクプラズマから基板へのイオン電流は、基板で電圧波形を歪ませ、イオンエネルギー分布を拡幅する。本明細書に記載する方法および装置は、例えば、このイオン電流を補償し、イオンエネルギー分布の幅を能動的に制御することができる。
【0014】
従来の方法および装置は、イオンエネルギー分布の幅を制御するのに反復制御ループを使用する。制御アルゴリズムの収束前は、プラズマパラメータ(例えば、イオン電流、シース厚さ、およびIEDF幅)の推定は不正確である。さらに、反復を使用することによるIEDFの幅の制御は低速であり、制御アルゴリズムが収束しない場合がある。
【0015】
対照的に、本明細書に記載する方法および装置は、反復しない1つのループを利用して、イオン電流および補償電流を決定して所与のIEDF幅を達成する。したがって、本明細書に記載する方法および装置は、最新技術よりも高速でIEDFの所望の状態に、例えば狭いIEDFに達する。これは、例えば、補償電流の解を決定する際に反復を使用しないことによるものである。
【0016】
簡潔には、いくつかの実施形態では、基板支持体は本体を含み、本体は、基板支持体部分および/またはエッジリング部分を含む。基板電極は、基板電圧を基板に印加するため、基板支持体部分に埋め込まれる。基板電圧制御回路は基板電極に結合される。エッジリング部分は、エッジリング電圧をエッジリングに印加する、埋め込まれたエッジリング電極を含む。エッジリング電圧制御回路はエッジリング電極に結合される。少なくとも1つの整形DCパルス源が、基板電圧制御回路および/またはエッジリング電圧制御回路に結合される。基板電圧回路および/またはエッジリング電圧制御回路は、調整可能である。例えば、基板電圧制御回路および/またはエッジリング電圧制御回路の調整を介して、電圧振幅を調節することにより、イオンエネルギー分布が調節され制御される。
【0017】
いくつかの実施形態では、IEDF幅の制御回路は基板支持体に結合される。IEDF幅の制御回路は、主パルスDC電力供給装置内部に統合するか、または別個のモジュールとするか、またはバイアス補償モジュールと統合されたモジュールとすることができる。
【0018】
処理システム構成例
図1は、本開示の少なくとも一実施形態による、処理チャンバ100の概略断面図である。処理チャンバ100は、本明細書に記載するスキームを実践するように構成される。この実施形態では、処理チャンバは、反応性イオンエッチング(RIE)プラズマチャンバなどのプラズマ処理チャンバである。他のいくつかの実施形態では、処理チャンバは、プラズマ強化堆積チャンバ、例えば、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)チャンバ、プラズマ強化物理気相堆積(PEPVD)チャンバ、またはプラズマ強化原子層堆積(PEALD)チャンバである。他のいくつかの実施形態では、処理チャンバは、プラズマ処理チャンバ、またはプラズマベースのイオン埋込みチャンバ、例えばプラズマドーピング(PLAD)チャンバである。
【0019】
処理チャンバ100は、ともに内容積124を画成する、チャンバ本体101とその上に配設された蓋102とを含む。チャンバ本体101は、一般的に、電気接地103に結合される。基板支持体アセンブリ104は、内容積の中に配設されて、処理中は基板105をその上で支持する。エッジリング106は、基板支持体アセンブリ104上に位置付けられ、基板105の周囲を取り囲む。処理チャンバ100はまた、処理チャンバ100内で反応種のプラズマを発生させる誘導結合型プラズマ装置107と、処理チャンバ100のシステムおよびサブシステムを制御するように適合されたコントローラ108とを含む。いくつかの実施形態では、誘導結合型プラズマ装置107は、接地されたシャワーヘッドに置き換えることができ、RF電力は、基板の下方にある電極から送達されて、容量結合プラズマを発生させる。
【0020】
基板支持体アセンブリ104は内容積124に配設される。基板支持体アセンブリ104は一般に、基板支持体152を含む。基板支持体152は、処理される基板105の下に敷いて支持するように構成された基板支持体部分154と、エッジリング106を支持するように構成されたエッジリング部分156とを備える、静電チャック150を含む。基板支持体アセンブリ104はさらに、ヒータアセンブリ169を含むことができる。基板支持体アセンブリ104はまた、冷却ベース131を含むことができる。あるいは、冷却ベース131は基板支持体アセンブリ104と別個であることができる。基板支持体アセンブリ104は、支持ペデスタル125に取り外し可能に結合することができる。支持ペデスタル125はチャンバ本体101に装着される。支持ペデスタル125は任意に、設備プレート180を含むことができる。基板支持体アセンブリ104は、基板支持体アセンブリ104の1つまたは複数の構成要素を修理調整できるように、支持ペデスタル125から周期的に外されてもよい。従来知られているように基板移送を容易にするため、基板支持体アセンブリ104を通して昇降ピン146が配設される。
【0021】
設備プレート180は、静電チャック150および冷却ベース131からの複数の流体接続を受け入れるように構成される。設備プレート180はまた、静電チャック150およびヒータアセンブリ169からの複数の電気接続を受け入れるように構成される。複数の電気接続は、基板支持体アセンブリ104の外部または内部を通ることができ、設備プレート180は、それぞれの終端に接続するための境界面を提供する。
【0022】
基板電極109は、基板電圧を基板支持体アセンブリ104の上面160上に配設された基板105に印加するため、静電チャック150の基板支持体部分154内に埋め込まれる。エッジリング部分156には、エッジリング電圧をエッジリング106に印加するため、エッジリング電極111が埋め込まれる。エッジリングIEDF幅制御回路155はエッジリング電極111に結合される。基板IEDF幅制御回路158は基盤電極109に結合される。一実施形態では、第1の整形DCパルス電圧源159は、エッジリングIEDF幅制御回路155および基板IEDF幅制御回路158のうち一方または両方に結合される。別の実施形態では、図1に示されるように、第1の整形DC電圧源159はエッジリングIEDF幅制御回路155に結合され、第2の整形DC電圧源161は基板IEDF幅制御回路158に結合される。エッジリングIEDF幅制御回路155および基板IEDF幅制御回路158は独立して調整可能である。基板電極109はさらに、チャック電源115に結合されて、処理中に静電チャック150によって基板105を上面160にチャックするのを容易にする。
【0023】
誘導結合型プラズマ装置107は、蓋102の上方に配設され、RF電力を処理チャンバ100内のガスに誘電結合して、プラズマ116を発生させるように構成される。誘導結合型プラズマ装置107は、蓋102の上方に配設された第1のコイル118および第2のコイル120を含む。各コイル118、120の相対位置、直径比、および/または各コイル118、120の巻き数はそれぞれ、形成されるプラズマ116のプロファイルまたは密度を制御するように、所望に応じて調節することができる。第1および第2のコイル118、120はそれぞれ、RF給電構造123を介して、整合ネットワーク122を通してRF電力供給装置121に結合される。RF電力供給装置121は、例示的には、50kHz~13.56MHzの範囲の調整可能周波数で約4000Wまで(ただし、約4000Wに限定されない)を生成することができるが、特定の用途のため、他の周波数および電力を所望に応じて利用することができる。
【0024】
いくつかの例では、分圧キャパシタなどの電力分配器126を、RF給電構造123とRF電力供給装置121との間に設けて、第1および第2のコイル118、120それぞれに提供されるRF電力の相対量を制御することができる。他の実施形態では、容量結合型プラズマ装置(図示なし)を蓋102の上方で使用することができる。ヒータ素子128を蓋102の上に配設して、処理チャンバ100の内部を加熱するのを容易にすることができる。ヒータ素子128は、蓋102と第1および第2のコイル118、120との間に配設することができる。いくつかの例では、ヒータ素子128は、抵抗加熱素子を含み、ヒータ素子128の温度を所望の範囲内で制御するのに十分なエネルギーを提供するように構成された、AC電力供給装置などの電力供給装置130に結合される。
【0025】
動作中、半導体基板、またはプラズマ処理に適した他の基板などの基板105は、基板支持体アセンブリ104上に配置される。基板昇降ピン146は、基板支持体アセンブリ104に移動可能に配設されて、基板105を基板支持体アセンブリ104上へと移送するのを支援する。基板105を位置付けた後、処理ガスが、ガスパネル132から入口ポート134を通ってチャンバ本体101の内容積124内へと供給される。処理ガスは、電力をRF電力供給装置121から第1および第2のコイル118、120に印加することによって、処理チャンバ100内で点火されてプラズマ116となる。処理チャンバ100の内容積124内の圧力は、バルブ136および真空ポンプ138を使用して制御することができる。
【0026】
処理チャンバ100は、処理中の処理チャンバ100の動作を制御するコントローラ108を含む。コントローラ108は、中央処理装置(CPU)140と、メモリ142と、CPU140のための支援回路144とを備え、処理チャンバ100の構成要素の制御を容易にする。コントローラ108は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するため、産業設備で使用することができる、汎用コンピュータプロセッサの任意の形態のものであることができる。メモリ142は、本明細書に記載する方式で処理チャンバ100の動作を制御するのに実行または起動することができる、ソフトウェア(ソースもしくはオブジェクトコード)を格納する。コントローラ108は、第1の整形DC電圧源159、第2の整形DC電圧源161、エッジリングIEDF幅制御回路155、および基板IEDF幅制御回路158を制御するように構成される。
【0027】
図2は、本開示の少なくとも一実施形態による、処理チャンバ200の概要図である。処理チャンバ200は、本明細書に記載するスキームを実践するように構成される。処理チャンバ100と同様に、処理チャンバ200は、上述したものなどのプラズマ処理チャンバである。
【0028】
処理チャンバ200は、図1に記載したように、基板支持体アセンブリ104上に配設される基板105を含む。エッジリング106は、基板支持体アセンブリ104上に位置付けられ、基板105の周囲を取り囲む。図示されないが、容量結合型プラズマ装置が基板の上方(一般的には、チャンバ蓋の上方)に配設される。容量結合型プラズマ装置は、イオン抑制器およびシャワーヘッドを含むことができ、RF電力は、基板の下方にある電極から送達されて、容量結合プラズマを発生させる。コントローラ108は、処理チャンバのシステムおよびサブシステムを制御するように適合される。コントローラ108は、中央処理装置(CPU)140と、メモリ142と、CPU140のための支援回路144とを備え、処理チャンバ100の構成要素の制御を容易にする。コントローラ108は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するため、産業設備で使用することができる、汎用コンピュータプロセッサの任意の形態のものであることができる。メモリ142は、本明細書に記載する方式で処理チャンバ100の動作を制御するのに実行または起動することができる、ソフトウェア(ソースもしくはオブジェクトコード)を格納する。コントローラ108は、第1の整形DC電圧源159、第2の整形DC電圧源161、エッジリングIEDF幅制御回路155、および/または基板IEDF幅制御回路158を制御するように構成される。後述する図4A図4Dは、IEDF幅制御モジュールをパルサに接続する異なる構成を示している。
【0029】
基板支持体アセンブリ104、設備プレート180、基板電極109、およびエッジリング電極111は、図1において考察したものと同じであり得る。エッジリングIEDF幅制御回路155はエッジリング電極111に結合される。基板IEDF幅制御回路158は基盤電極109に結合される。一実施形態では、第1の整形DCパルス電圧源159は、エッジリングIEDF幅制御回路155および基板IEDF幅制御回路158のうち一方または両方に結合される。別の実施形態では、第1の整形DC電圧源159はエッジリングIEDF幅制御回路155に結合され、第2の整形DC電圧源161は基板IEDF幅制御回路158に結合される。エッジリングIEDF幅制御回路155および基板IEDF幅制御回路158は、独立して調整可能である。基板電極109はさらに、チャック電源115に結合されて、処理中に静電チャック150によって基板105を上面160にチャックするのを容易にする。
【0030】
処理チャンバ200の動作および基板105の処理は、処理チャンバ100と同様の方式で実施することができる。いくつかの実施形態では、処理システムの構成は、基板に達するプラズマ励起種のタイプおよび量を制御する、処理チャンバ内部に位置付けられたイオン抑制器を含む。いくつかの実施形態では、イオン抑制器ユニットは、プラズマ発生ユニットの電極としても作用してもよい有孔プレートである。これらおよび他の実施形態では、イオン抑制器は、ガスおよび励起種を基板と接触している反応領域に分配する、シャワーヘッドであることができる。いくつかの実施形態では、イオン抑制は、プラズマ励起種が両方を通り抜けて反応領域に達する、有孔プレートイオン抑制器およびシャワーヘッドによって実現される。
【0031】
電圧が整形DC電圧源159によって基板(またはウェハ)に印加されると、波形が発達する。図3Aは異なるバイアス電圧波形を示している。波形は、イオン電流段階およびシース崩壊段階の2つの段階を含む。イオン電流段階の始めに、ウェハ電圧の降下によって基板の上方に高電圧シースが生じ、それによって基板に向かう陽イオンが加速される。陽イオンは、基板表面上に正電荷を堆積させ、基板電圧を正方向に徐々に増加させる傾向がある。方形波が整形DC電圧源159によって供給された場合、基板に向かうイオン電流は、トレース305によって示されるように、基板電圧の正の傾斜を作る。イオン電流位相の始まりと終わりとの電圧差によって、IEDF幅が決まる。電圧差が大きいほどIEDF幅は広くなる(図3B)。単一エネルギーイオンおよびより狭いIEDF幅を達成するため、イオン電流位相の基板電圧波形(例えば、トレース310)を平坦にする動作が実施される。いくつかの実施形態では、トレース315の基板波形によって示されるような、特定のIEDF幅を達成するために、電圧を印加することができる。
【0032】
イオン電流段階の終わりに、基板電圧はバルクプラズマ電圧まで上昇し、シースが崩壊することにより、電子がプラズマから基板表面まで移動し、基板表面の正電荷が中性化する。結果として、基板の表面が次のサイクルのためにリセットされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1および第2の整形DC電圧源159および161は正パルサである。正パルサは正電圧のパルスを発生させ、これはシース崩壊段階に対応する。各正パルスがオフになると、イオン電流段階が始まる。いくつかの実施形態では、第1および第2の整形DC電圧源159および161は負パルサである。負パルサは負電圧のパルスを発生させ、これはイオン電流段階に対応する。各負パルスがオフになると、シース崩壊段階が始まる。
【0034】
回路例
図4Aは、一例の回路465の概要図である。後述するように、いくつかの実施形態では、図4Aに示される回路例は、図5Aおよび図6Aの回路図に相当する。図5Aおよび図6Aは、例えば、第2のパワーモジュールの回路によって異なる。
【0035】
一例の回路465は、直列の直列インダクタ468および抵抗器469を通して第2のパワーモジュール470に結合された、パルスDC電力供給装置466を含む。第2のパワーモジュール470はイオンエネルギー分布関数(IEDF)の幅を変調する。任意の阻止キャパシタ471が、プラズマチャンバ負荷472と回路465の残りとの間に存在してもよい。ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実現されてもよい、図示されないコントローラが、図4Aに示される様々な構成要素を制御するのに利用される。
【0036】
整形DC電力供給装置466は、低電圧レベルおよび高電圧レベルの2つの電圧レベルを有する電圧波形を発生させる。低電圧レベルはイオン電流段階に相当する。高電圧レベルはシース崩壊段階に相当する。イオン電流段階では、第2のパワーモジュール470は、図3Aにトレース305、310、および315として示される、電圧対時間の傾斜を変調する。図3Bに示されるように、異なる傾斜は異なるIEDF幅をもたらす。最も平坦な傾斜(図3Aのトレース305)は、図3Bの最も狭いIEDF幅に相当する。
【0037】
図4Bは、一例の回路475の概要図である。図示されるように、直列インダクタ468および抵抗器469をスイッチ479と置き換えたことによって、図4B図4Aと異なる。スイッチ479は、パルスDC電力供給装置476および第2のパワーモジュール478と直列で接続される。イオン電流段階の間、スイッチ479は閉じている。シース崩壊段階の間、スイッチは開くかまたは閉じるかどちらかであり得る。ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実現されてもよい、図示されないコントローラが、図4Bに示される様々な構成要素を制御するのに利用される。
【0038】
図4Cは、一例の回路485の概要図である。後述するように、いくつかの実施形態では、図4Cに示される一例の回路485は、図7Aおよび図8の回路図に相当する。一例の回路485は、接地に結合された整形DC電圧源486を含む。任意の阻止キャパシタ487が、整形DC電圧源486と第2のパワーモジュール488との間に存在してもよい。第2のパワーモジュール488はIEDFの幅を変調する。第2のパワーモジュール488はさらに、プラズマチャンバ負荷489に結合される。ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実現されてもよい、図示されないコントローラが、図4Cに示される様々な構成要素を制御するのに利用される。
【0039】
整形DC電圧源486は、低電圧レベルおよび高電圧レベルの2つの電圧レベルを有する電圧波形を発生させる。低電圧レベルはイオン電流段階に相当する。高電圧レベルはシース崩壊段階に相当する。イオン電流段階では、第2のパワーモジュール488は時間に対する電圧の傾斜を作り出す。結果として得られる基板上における電圧波形は、整形DC電圧源486および第2のパワーモジュール488の出力電圧の和であり、これを変調することができ、それによってIEDF幅が変調される。
【0040】
図4Dは、本開示の少なくとも一実施形態による、一例の回路490の概要図である。後述するように、いくつかの実施形態では、一例の回路490は、図9および図10の回路図に相当する。一例の回路490は、接地に結合された整形DC電圧源491と、第2のパワーモジュール492と、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール493とを含む。スイッチ495は、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール493と直列で接続される。第2のパワーモジュール492ならびに基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール493は、並列で接続され、一端が整形DC電圧源491に結合され、他端がプラズマチャンバ負荷494に結合される。第2のパワーモジュール492はIEDFの幅を変調する。第2のパワーモジュール492ならびに基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール493はさらに、プラズマチャンバ負荷494に結合される。ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実現されてもよい、図示されないコントローラが、図4Dに示される様々な構成要素を制御するのに利用される。
【0041】
整形DC電圧源491は、低電圧レベルおよび高電圧レベルの2つの電圧レベルを有する電圧波形を発生させる。低電圧レベルはイオン電流段階に相当する。高電圧レベルはシース崩壊段階に相当する。イオン電流段階では、第2のパワーモジュール492は時間に対する電圧の傾斜を作り出す。結果として得られる基板上における電圧波形は、整形DC電圧源491および第2のパワーモジュール492の出力電圧の和であり、これを変調することができ、それによってIEDF幅が変調される。スイッチ495は、イオン電流段階では開いているので、チャッキングおよびバイアス補償モジュール493はプラズマチャンバ負荷の電圧を変調しない。シース崩壊段階では、スイッチ495は閉じており、チャッキングおよびバイアス補償モジュール493は基板チャッキング電圧をセットポイントにリセットする。
【0042】
図5Aは、基板支持体アセンブリ104の基板電極109および/またはエッジリング電極111を駆動する、エッジリング電圧制御回路/基板電圧制御回路500の一実施形態を示す概略回路図である。回路500は、各イオン電流位相の始まりに基板電圧をリセットする(図3Aの電圧ドループに相当)主パルサ502を含む。主パルサ502は、接地501に結合された第1または第2の整形DC電圧源159、161であることができる。主パルサ502は、電流リターンパス503に結合される。電流リターンパス503は、抵抗器506と直列でIEDF幅制御モジュール508(例えば、図4Aおよび図4Bの第2のパワーモジュール)に結合されたインダクタ504を含む。IEDF幅制御モジュール508は、イオンエネルギー分布関数(IEDF)幅を変調する。
【0043】
IEDF幅制御モジュール508は、スイッチ512と並列に結合されたトランジスタトランジスタロジック(TTL)信号510と、任意のダイオード514と、接地517に結合された任意の容量(キャパシタンス)516と、第3の整形DCパルス電圧源518とを備える、回路としてモデル化することができる。ダイオード514は、スイッチ512および第3の整形DCパルス電圧源518を保護するフライバックダイオードである。いくつかの実施形態では、容量520が電流リターンパス503とチャンバ容量536との間に存在する。容量536は、例えば、基板電極109と基板との間、またはエッジリング電極111とエッジリングとの間のインピーダンスであることができる。いくつかの実施形態では、容量は、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522にも結合される。
【0044】
基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522は、抵抗器526に直列に結合されたダイオード524と、DC電圧源528と、容量532および接地534に直列に結合された抵抗器530とを含む回路である。容量536はさらに、浮遊容量538、およびプラズマシース540に結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522はさらに、浮遊容量538に結合される。プラズマシース540は、電流源544と並列に結合されたシース容量542と、接地548に結合されたダイオード546とを備える回路として、モデル化(プラズマシースモデル)されてもよい。いくつかの実施形態では、電流リターンパスにおける直列インダクタ504および抵抗器506をスイッチ179(図4B)に置き換えることができる。スイッチ179は、イオン電流段階の間は閉じている。
【0045】
使用の際、図5Aに示される構成の場合、第3の整形DCパルス電圧源518は、イオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する。スイッチ512は、図5Bのプロット550に示されるように、主パルサ502と同期されたTTL信号510によって制御される。スイッチ512は、主パルサ502の電圧が上昇してシース崩壊段階に入る前に閉じることができる。スイッチ512は、シース崩壊段階の間は閉じたままにして、電流リターンパス503を接地に接続することができる。主パルサ502の電圧が降下してイオン電流段階に入った後、イオン電流段階の間、第3の整形DCパルス電圧源518が機能してIEDFを変調するように、スイッチ512を開くことができる。任意の容量516は、第3の整形DCパルス電圧源518に対する基板電圧波形の感度を調節するのに使用することができる。容量542は、異なる処理条件では異なる、プラズマシース容量であり、電流源544は、やはり可変である、基板に向かうイオン電流である。容量536および浮遊容量538は、チャンバに関連する容量であり、一定である。容量520は、阻止キャパシタであり、やはり一定である。
【0046】
図5Cおよび図5Dに示されるように、イオン電流段階の間、IEDF幅制御モジュール508(図5A)が基板またはエッジリング波形を能動的に制御しているとき、回路モデルの能動構成要素は、イオン電流544(I0)と、シース容量542(C1)と、チャンバ容量536(C2)と、浮遊容量538(C3)と、阻止容量520(C4)と、第3の整形DCパルス電圧源518(V1)と並列の任意の容量516(C5)とを含む。電流リターンパスのインダクタ504および抵抗器506は、IEDF幅変調にほとんど影響しないので、インダクタ504および抵抗器506は、図5Cの制御回路560および図5Dの制御回路570の短絡として処理される。
【0047】
IEDFを拡幅する固有因子はイオン電流I0であり、基板上に正電荷を堆積させることによって、基板の電圧を徐々に増加させ、基板に衝撃するイオンエネルギーを降下させる(例えば、図3Aのトレース305)。IEDF拡幅の量は、例えば、イオン電流I0、シース容量C1、ならびに/あるいはチャンバC2、C3、およびC4と関連付けられた他の容量、ならびに制御回路560、570の電力供給モジュールV1およびC5に応じて決まる。IEDF拡幅のイオン電流効果を補償する、および/またはIEDF幅を能動的に制御するために、この制御回路(図5C)のすべての構成要素の値が決定される。チャンバおよび電力供給モジュールC2~C5と関連付けられた容量は、チャンバ部分の寸法を使用した製品仕様書または推定によって、あるいはマルチメータを使用するかまたはSパラメータもしくはZパラメータ測定値から容量値を抽出するインピーダンスの直接測定などの以前の測定によって、決定することができる。イオン電流I0およびシース容量C1は、変動するプラズマ処理条件で変動し、プラズマプロセス中のリアルタイム測定によって決定される。整形DCパルス電圧源V1は鋸歯状電圧出力を有する(図5E)。電圧出力の傾斜dV1/dtを変動させて、イオン電流I0およびシース容量C1を決定し、ならびに/あるいはIEDF幅を変調することができる。図5Aの構成では、トレース584が示すように、シース崩壊段階における整形DCパルス電圧源V1の出力電圧はゼロである。トレース582および586は、後述するような、整形DCパルス電圧源V1に対する他の可能な波形を示している。
【0048】
IEDF変調の方法は、(1)イオン電流I0およびシース容量C1を決定することと、(2)標的IEDF幅を達成する整形DCパルス電圧源の傾斜dV1/dtを決定することとの2つの部分を含む。鋸歯状電圧源V1および整形DC電圧源159または161が、基板105またはエッジリング106に電力を供給するので、基板またはエッジリングにおけるIEDF幅は、イオン電流段階の始まりから終わりまでの基板またはエッジリング電圧の変化である(図3Aおよび図3B)。図5Cの制御回路560および図5Dの制御回路570では、IEDF幅は、イオン電流段階の始まりから終わりまでのシース容量C1の両端間の電圧の変化に相当し、これは、シース容量C1を通る充電または放電電流I1によって決まる。
ΔV=I1×T/C1 (1)
式中、ΔVはIEDF幅、Tはイオン電流段階の持続時間である。標的IEDF幅(ΔV)を得るためには、シース容量C1、およびシース容量を通る所望の電流I1が決定されるべきである。
【0049】
シース容量C1およびイオン電流I0を決定するため、制御回路における電流と電圧の関係が分析される。図示されるように、キャパシタC1~C4を通過する電流はI1~I4と呼ばれ、回路概略図における矢印は正方向を指している。キルヒホッフの電流則に基づいて、イオン電流I0は、キャパシタC1およびC2を通る電流の和に等しい。
I0=I1+I2 (2)
【0050】
キャパシタC2を通る電流は、キャパシタC3およびC4を通る電流の和に等しい。
I2=I3+I4 (3)
【0051】
キルヒホッフの電圧則に基づいて、閉ループC1、C2、およびC3の電圧和はゼロである。C1、C2、およびC3の電圧和の時間微分もゼロである。キャパシタC2およびC3の交点における電圧をV3とする。キャパシタC3の両端間の電圧の時間微分は、dV3/dt=I3/C3である。同様の関係がキャパシタC1およびC2に対して存在し、キルヒホッフの電圧則によって式(4)が得られる。
I1/C1=I2/C2+I3/C3 (4)
【0052】
キルヒホッフの電圧則を、キャパシタC3およびC4と電圧源V1との閉ループに適用することで、式(5)が得られる。
I3/C3=I4/C4+dV1/dt (5)
【0053】
式(2)~(5)では、C2、C3、およびC4は、チャンバ部分の寸法に基づいた製品仕様書または推定によって、あるいはマルチメータを使用するかまたはSパラメータもしくはZパラメータ測定値から容量値を抽出するインピーダンスの直接測定などの以前の測定によって、事前決定される。電流I4は、電流プローブおよび/または統合電圧電流(VI)センサなどのセンサによって直接測定することができる。電圧V3は、電圧プローブおよび/または統合VIセンサなどのセンサによって直接測定することができる。電流I3は、I3=C3×dV3/dtとして計算することができる。電圧傾斜dV1/dtは、ゼロまたは1ボルト/ナノ秒(V/nsec)など、ユーザ制御であって分かっている。整形DCパルス電圧源V1を2つの異なる傾斜dV1/dtおよびdV1’/dtに設定することによって、電流I4、I4’、および電圧の時間微分dV3/dt、dV3’/dtを決定することができる。2つの傾斜dV1/dtおよびdV1’/dtにおける式(2)~(5)のセットは8つの式を形成し、それらの解を求めることで得られるのが、次式のシース容量
および次式のイオン電流である。
【0054】
標的IEDF幅(ΔV)を得るには、シースキャパシタC1を通る合計電流は次式の通りである。
I1=C1×ΔV/T (8)
【0055】
式(6)~(8)を式(2)~(5)に代入することで、IDEF幅ΔVを達成する鋸歯状電圧源V1の電圧傾斜が与えられる。
【0056】
最も狭いIEDF(ΔV=0)の場合、鋸歯状電圧源V1の電圧傾斜は次式の通りである。
【0057】
図6Aは、基板支持体アセンブリ104の基板電極109および/またはエッジリング電極111を駆動する、エッジリング電圧制御回路/基板電圧制御回路600の一実施形態を示す概略回路図である。回路600は、各イオン電流位相の始まりに基板電圧をリセットする(図3Aの電圧ドループに相当)主パルサ502を含む。主パルサ502は、接地501に結合された第1または第2の整形DC電圧源159、161であることができる。主パルサ502は、電流リターンパス503に結合される。電流リターンパス503は、抵抗器506と直列でIEDF幅制御モジュール602(例えば、図4Aおよび図4Bの第2のパワーモジュール)に結合されたインダクタ504を含む。IEDF幅制御モジュール602はIEDF幅を変調する。IEDF幅制御モジュール602は、図5Aの構成とは異なり、スイッチ512と並列に結合されたTTL信号510と、ダイオード514と、接地517に結合された任意の容量516と、抵抗器606に直列で結合されたDC電圧源604とを備える、回路としてモデル化されてもよい。ダイオード514は、スイッチ512およびDC電圧源604を保護するフライバックダイオードである。いくつかの実施形態では、阻止容量520が電流リターンパス503とチャンバ容量536との間に存在する。容量536は、例えば、基板電極109と基板との間、またはエッジリング電極111とエッジリングとの間のインピーダンスであることができる。いくつかの実施形態では、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522も、阻止容量520およびチャンバ容量536に結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522はさらに、浮遊容量538に結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522は、抵抗器526に直列に結合されたダイオード524と、DC電圧源528と、容量532および接地534に直列に結合された抵抗器530とを含む回路である。
【0058】
プラズマシース540は、電流源544と並列に結合されたシース容量542と、接地548に結合されたダイオード546とを備える回路として、モデル化(プラズマシースモデル)されてもよい。
【0059】
使用の際、図6Aに示される構成の場合、第3の整形DCパルス電圧源518がイオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する、図5Aに示される構成とは対照的に、DC電圧源604が抵抗器606とともに、イオン電流段階における基板またはエッジリング電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する。スイッチ512は、図5Bに示されるように、主パルサ502と同期されたTTL信号510によって制御することができる。スイッチ512は、主パルサ502の電圧が上昇してシース崩壊段階に入る前に閉じることができる。スイッチ512は、シース崩壊段階の間は閉じたままにして、電流リターンパス503を接地に接続することができる。主パルサ502の電圧が降下してイオン電流段階に入った後、イオン電流段階において、DC電圧源604が機能してIEDFを変調するように、スイッチ512を開くことができる。任意の容量516は、DC電圧源604に対する基板電圧波形の感度を調節するのに使用することができる。容量542はプラズマシース容量であり、可変である。電流源544は、基板に向かうイオン電流であり、やはり変動する。容量536は、例えば、基板電極109と基板との間、またはエッジリング電極111とエッジリングとの間の容量であることができる。容量538は、基板電極109と接地との間、またはエッジリング電極111と接地との間の容量であることができる。容量520は阻止キャパシタであり、やはり一定である。
【0060】
図6Bおよび図6Cに示されるように、イオン電流段階の間、IEDF幅制御モジュール602(図6A)が基板またはエッジリング波形を能動的に制御しているとき、回路モデルの能動構成要素は、イオン電流544(I0)と、シース容量542(C1)と、チャンバ容量536(C2)と、浮遊容量538(C3)と、阻止容量520(C4)と、DC電圧源604(V0)および抵抗器606(R)と並列の任意の容量516(C5)とを含む。電流リターンパスのインダクタ504および抵抗器506は、IEDF幅変調にほとんど影響しないので、インダクタ504および抵抗器506は、図6Bの制御回路650および図6Cの制御回路660の短絡として処理される。図6Aの制御回路は図6Bに示され、後述する図7Aの制御回路が図6Cに示される。
【0061】
IEDFを拡幅する固有因子はイオン電流I0であり、基板上に正電荷を堆積させることによって、基板の電圧を徐々に増加させ、基板に衝撃するイオンエネルギーを降下させる(図3Aのトレース305)。IEDF拡幅の量は、例えば、イオン電流I0、シース容量C1、およびチャンバ(C2、C3、およびC4)と関連付けられた他の容量、ならびに図6Bおよび図6Cそれぞれの制御回路650および制御回路660の電力供給モジュール(V0、R、およびC5)に応じて決まる。IEDF拡幅のイオン電流効果を補償する、およびIEDF幅を能動的に制御するために、制御回路650および制御回路660のすべての構成要素の値が決定される。チャンバおよび電力供給モジュールC2~C5と関連付けられた容量は、チャンバ部分の寸法を使用した製品仕様書または推定によって、あるいはマルチメータを使用するかまたはSパラメータもしくはZパラメータ測定値から容量値を抽出するインピーダンスの直接測定などの以前の測定によって、決定することができる。抵抗器Rも、製品仕様書によって、またはマルチメータを利用する直接測定によって事前決定される。イオン電流I0およびシース容量C1は、変動するプラズマ処理条件で変動し、プラズマプロセス中のリアルタイム測定によって決定される。DC電圧源V0は、能動制御ノブであり、イオン電流I0を決定し、シース容量C1を決定し、および/またはIEDF幅を変調するために変動させることができる。
【0062】
IEDF変調の方法は、(1)イオン電流I0およびシース容量C1を決定することと、(2)標的IEDF幅を達成するDC電圧V0を決定することとの2つの部分を含む。IEDF幅は、イオン電流段階の始まりから終わりまでの基板またはエッジリング電圧の広がりである(図3Aおよび図3B)。図6Bの制御回路650および図6Cの制御回路660では、IEDF幅は、イオン電流段階の始まりから終わりまでのシース容量C1の両端間の電圧の変化に相当し、これは、シース容量C1を通る充電または放電電流I1によって決まる。
式中、ΔVはIEDF幅、Tはイオン電流段階の持続時間である。標的IEDF幅(ΔV)を得るためには、シース容量C1、およびシース容量を通る所望の電流I1が決定されるべきである。
【0063】
シース容量C1およびイオン電流I0を決定するため、制御回路における電流と電圧の関係が分析される。ここで、例えば、キャパシタC1~C5を通過する電流はI1~I5と呼ばれ、回路概略図における矢印は正方向を指している。キャパシタC2およびC3の交点における電圧がV3である。Vthと呼ばれるDC電圧源V0に対する閾値電圧があり、それを下回ると、ダイオードD3はDC電圧源V0および抵抗器Rの直列を迂回するので、IEDF幅制御モジュールの出力電圧はゼロである。Vthは、プラズマ条件に依存し、例えば、電流I4または電圧V3がDC電圧出力V0に影響される地点までDC電圧V0を徐々に増加させることによって、実験的に決定することができる。
【0064】
V0<Vthの場合、キルヒホッフの電流則に基づいて、イオン電流I0は、キャパシタC1およびC2を通る電流の和に等しい。
I0=I1+I2 (12)
【0065】
キャパシタC2を通る電流は、キャパシタC3およびC4を通る電流の和に等しい。
I2=I3+I4 (13)
【0066】
キルヒホッフの電圧則に基づいて、閉ループC1、C2、およびC3の電圧和はゼロである。C1、C2、およびC3の電圧和の時間微分もゼロである。キャパシタC3の両端間の電圧の時間微分は、dV3/dt=I3/C3である。同じ関係がキャパシタC1およびC2に当てはまる。キルヒホッフの電圧則をキャパシタC1およびC2に使用することで、式(14)が得られる。
I1/C1=I2/C2+I3/C3 (14)
【0067】
キルヒホッフの電圧則を、キャパシタC3およびC4、ならびにダイオード迂回IEDF幅制御モジュールの閉ループに適用することで、式(15)が得られる。
I3/C3=I4/C4 (15)
【0068】
V0>Vthの場合、式(12)~(14)が依然として当てはまる。キルヒホッフの電圧則を、キャパシタC3、C4、およびC5の閉ループに適用することで、式(16)が得られる。
I3/C3=I4/C4+I5/C5 (16)
【0069】
キルヒホッフの電圧則を、キャパシタC5、DC電圧源V0、および抵抗器Rの閉ループに適用することによって、式(17)が得られる。
式中、(I4-I5)は、ダイオードD3が不活性のときにDC電圧源V0および抵抗器Rを通る電流である。
【0070】
いくつかの実施形態では、キャパシタC5はない。かかる事例では、式(17)はなく、式(16)が次式になる。
I3/C3=I4/C4+R×dI4/dt (18)
【0071】
式(12)~(18)では、C2、C3、C4、およびC5は、チャンバ部分の寸法に基づいた製品仕様書または推定によって、あるいはマルチメータを使用するかまたはSパラメータもしくはZパラメータ測定値から容量値を抽出するインピーダンスの直接測定などの以前の測定によって、事前決定される。電流I4は、電流プローブおよび/または統合VIセンサなどのセンサによって直接測定することができる。電圧V3は、電圧プローブおよび/または統合VIセンサなどのセンサによって直接測定することができる。電流I3は、I3=C3×dV3/dtとして計算することができる。DC電圧V0は、DC電圧出力V0をゼロから数kVの値に設定するなど、ユーザ制御であって分かっている。DC電圧V0を2つの異なる値V0およびV0’に設定し、それらの少なくとも一方を閾値電圧Vthよりも高くすることによって、電流I4、I4’、および電圧の時間微分dV3/dt、dV3’/dtを決定することができる。式(12)~(18)のセットの解を求めることで得られるのが、次式のシース容量C1
および次式のイオン電流I0である。
I0=(C1/C2+C1/C3+1)×I3+(C1/C2+1)×I4 (20)
【0072】
式(12)~(18)のセットのシース容量C1およびイオン電流I0に代入することで、任意のDC電圧V0に対して電流I1~I5を計算することができる。
【0073】
I1の表現式で、分かっている容量C1~C5、抵抗R、およびDC電圧V0による式(11)に代入することで、IEDF幅(ΔV)とDC電圧V0との関係を得ることができる。したがって、標的IEDF幅(ΔV)に対して、必要なDC電圧V0が決定される。
【0074】
いくつかの実施形態では、抵抗器Rは十分に大きく(例えば、約10kΩ)、DC電圧源V0を通る電流は、イオン電流段階ではほぼ時間的に一定であり、V0/Rに等しい。これらの実施形態では、式(17)は次式となる。
I4=I5+V0/R (21)
【0075】
式(12)、(13)、(14)、(16)、および(21)の解を求めることで、シースキャパシタC1を通る合計電流が式(22)として得られる。
式中、
k=C3C4+C4C5+C5C3
である。
【0076】
定電流I1のこの近似例に対する式(8)を使用して、標的IEDF幅(ΔV)を得るのに利用されるDC電圧V0を、式(23)を使用して見出すことができる。
【0077】
最も狭いIEDF(ΔV=0)の場合、DC電圧V0は次式となる。
【0078】
図7Aは、基板支持体アセンブリ104の基板電極109および/またはエッジリング電極111を駆動する、エッジリング電圧制御回路/基板電圧制御回路700の一実施形態を示す概略回路図である。回路700は、各イオン電流位相の始まりに基板電圧をリセットする(図3Aの電圧ドループに相当)主パルサ502を含む。主パルサ502は、接地501に結合された第1または第2の整形DC電圧源159、161であることができる。主パルサ502は、直接または容量701を通して、IEDF幅制御モジュール702(例えば、図4Cの第2のパワーモジュール)に結合される。
【0079】
IEDF幅制御モジュール702は、スイッチ706と並列で結合されたTTL信号704を含む回路としてモデル化されてもよい。TTL信号704は接地716と直列で結合される。スイッチ706は、ダイオード708、DC電圧源710、および任意の容量714に並列で結合される。DC電圧源710は抵抗器712に直列で結合される。IEDF幅制御モジュール702はチャンバ容量536に結合される。容量536は、例えば、基板電極109と基板との間、またはエッジリング電極111とエッジリングとの間のインピーダンスであることができる。いくつかの実施形態では、IEDF幅制御モジュール702は、上述した基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522にも結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522はさらに、浮遊容量538に結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522は、抵抗器526に直列に結合されたダイオード524と、DC電圧源528と、容量532および接地534に直列に結合された抵抗器530とを含む回路である。ダイオード708は、スイッチ706およびDC電圧源710を保護するフライバックダイオードである。
【0080】
プラズマシース540は、電流源544と並列に結合されたシース容量542と、接地548に結合されたダイオード546とを備える回路として、モデル化(プラズマシースモデル)されてもよい。
【0081】
使用の際、図7Aに示される構成の場合、DC電圧源710は抵抗器712とともに、イオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する。スイッチ706は、図5Bのプロットに示されるように、主パルサ502と同期されたTTL信号704によって制御することができる。スイッチ706は、主パルサ502の電圧が上昇してシース崩壊段階に入る前に閉じることができる。スイッチ512は、シース崩壊段階の間は閉じたままにすることができる。主パルサ502の電圧が降下してイオン電流段階に入った後、イオン電流段階において、DC電圧源710が機能してIEDFを変調するように、スイッチ706を開くことができる。任意の容量714は、DC電圧源710に対する基板電圧波形の感度を調節するのに使用することができる。図7Aの制御メカニズムは図6Aの制御メカニズムと同様である。1つの違いは、図7Aの制御回路は上述した図6Cに示され、図6Aの制御回路は図6Bに示されている点である。
【0082】
図8は、基板支持体アセンブリ104の基板電極109および/またはエッジリング電極111を駆動する、エッジリング電圧制御回路/基板電圧制御回路800の一実施形態を示す概略回路図である。回路800は、各イオン電流位相の始まりに基板電圧をリセットする(図3Aの電圧ドループに相当)主パルサ502を含む。主パルサ502は、接地501に結合された第1または第2の整形DC電圧源159、161であることができる。主パルサ502は、直接または容量701を通して、IEDF幅制御モジュール802(例えば、図4Cの第2のパワーモジュール)に結合される。
【0083】
IEDF幅制御モジュール802は、スイッチ706と並列で結合されたTTL信号704を備える回路としてモデル化されてもよい。TTL信号704は接地716とも直列で結合される。スイッチ706は、ダイオード708、第3の整形DCパルス電圧源804、および任意の容量714に並列で結合される。IEDF幅制御モジュール802はチャンバ容量536に結合される。容量536は、例えば、基板電極109と基板との間、またはエッジリング電極111とエッジリングとの間のインピーダンスであることができる。いくつかの実施形態では、IEDF幅制御モジュール802は、上述した基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522にも結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522は、抵抗器526に直列に結合されたダイオード524と、DC電圧源528と、容量532および接地534に直列に結合された抵抗器530とを含む回路である。ダイオード708は、スイッチおよび第3の整形DCパルス電圧源804を保護するフライバックダイオードである。
【0084】
基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール522はさらに、チャンバ容量536に結合される。プラズマシース540は、電流源544と並列に結合されたシース容量542と、接地548に結合されたダイオード546とを備える回路として、モデル化(プラズマシースモデル)されてもよい。
【0085】
使用の際、図8に示される構成の場合、DC電圧源710が抵抗器712とともに、イオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する、図7Aに示される構成とは対照的に、第3の整形DCパルス電圧源804がイオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する。スイッチ706は、図5Bのプロットに示されるように、主パルサ502と同期されたTTL信号704によって制御することができる。スイッチ706は、主パルサ502の電圧が上昇してシース崩壊段階に入る前に閉じることができる。スイッチ706は、シース崩壊段階の間は閉じたままである。主パルサ502の電圧が降下してイオン電流段階に入った後、イオン電流段階において、第3の整形DCパルス電圧源804が機能してIEDFを変調するように、スイッチ706を開くことができる。任意の容量714は、第3の整形DCパルス電圧源804に対する基板電圧波形の感度を調節するのに使用することができる。図8の制御メカニズムは図5Aと同様である。1つの違いは、図8の制御回路は上述した図5Dに示され、図5Aの制御回路は図5Cに示されている点である。
【0086】
図5A図6A図7、および図8に示される構成の場合、本明細書に記載する実施形態の範囲から逸脱することなく、任意の好適な手法で基板チャッキングおよびバイアス補償モジュールを回路に接続できることが想到される。また、本明細書に記載する実施形態の範囲から逸脱することなく、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュールが追加のまたは異なる構成要素を含み得ることが想到される。
【0087】
図9は、基板支持体アセンブリ104の基板電極109および/またはエッジリング電極111を駆動する、エッジリング電圧制御回路/基板電圧制御回路900の一実施形態を示す概略回路図である。回路900は、各イオン電流位相の始まりに基板電圧をリセットする(図3Aの電圧ドループに相当)主パルサ502を含む。主パルサ502は、接地501に結合された第1または第2の整形DCパルス電圧源159、161であることができる。主パルサ502は、IEDF幅制御モジュール902(例えば、図4Dの第2のパワーモジュール)に結合される。
【0088】
IEDF幅制御モジュール902は、スイッチ906と並列で結合されたTTL信号904を含む回路としてモデル化されてもよい。TTL信号904は接地916にも直列で結合される。スイッチ906は並列でダイオード908に結合される。TTL信号904、スイッチ906、およびダイオード908の組み合わせは、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920が回路の別の部分に接続されるかどうかを制御する。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920は、抵抗器922およびDC電圧源924に並列で結合された容量926を含む回路である。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920は、TTL信号904、スイッチ906、およびダイオード908のアセンブリと直列で結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920ならびにスイッチ906は全体として、抵抗器912と直列のDC電圧源910に並列で結合され、また任意のキャパシタ914に並列で接続される。ダイオード908は、スイッチ906とDC電圧源910および924とを保護するフライバックダイオードである。
【0089】
容量536は、浮遊容量538とプラズマシース540との間に存在してもよく、それが例えば、基板電極109と基板との間、またはエッジリング電極111とエッジリングとの間のインピーダンスであることができる。IEDF幅制御モジュール902ならびに基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920は両方とも、基板電極109および/またはエッジリング電極111のどちらかに結合される。IEDF幅制御モジュール902は浮遊容量538にも結合される。プラズマシース540は、電流源544と並列に結合されたシース容量542と、接地548に結合されたダイオード546とを備える回路として、モデル化(プラズマシースモデル)されてもよい。
【0090】
使用の際、図9に示される構成の場合、DC電圧源910は抵抗器912とともに、イオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する。スイッチ906は、図5Bに示されるように、主パルサ502と同期されたTTL信号904によって制御することができる。スイッチ906は、主パルサ502の電圧が上昇してシース崩壊段階に入る前に閉じることができる。スイッチ512は、シース崩壊段階の間は閉じたままにすることができ、それにより、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920が回路の別の部分に接続され、基板チャッキング電圧をセットポイントにリセットする。主パルサ502の電圧が降下してイオン電流段階に入った後、イオン電流段階において、DC電圧源910が機能してIEDFを変調するように、スイッチ906を開くことができる。任意のキャパシタ914は、DC電圧源910に対する基板電圧波形の感度を調節するのに使用することができる。図9の制御メカニズムは上述した図6Bと同様である。1つの違いはキャパシタC4が取り除かれていることである。
【0091】
図10は、基板支持体アセンブリ104の電極109、111を駆動する、エッジリング電圧制御回路/基板電圧制御回路1000の一実施形態を示す概略回路図である。回路1000は、各イオン電流位相の始まりに基板電圧をリセットする(図3Aの電圧ドループに相当)主パルサ502を含む。主パルサ502は、接地501に結合された第1または第2の整形DCパルス電圧源159、161であることができる。主パルサ502は、IEDF幅制御モジュール1002(例えば、図4Dの第2のパワーモジュール)に結合される。
【0092】
IEDF幅制御モジュール1002は、スイッチ906と並列で結合されたTTL信号904を含む回路としてモデル化されてもよい。TTL信号904は接地916にも直列で結合される。スイッチ906は並列でダイオード908に結合される。TTL信号904、スイッチ906、およびダイオード908の組み合わせは、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュールが回路の別の部分に接続されるかどうかを制御する。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920は、抵抗器922およびDC電圧源924に並列で結合された容量926を含む回路である。ダイオード908は、スイッチ、DC電圧源910、およびDC電圧源924を保護するフライバックダイオードである。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920は、TTL信号904、スイッチ906、およびダイオード908のアセンブリと直列で結合される。基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920ならびにスイッチ906は全体として、DCパルス電圧源1004に並列で、また任意のキャパシタ914に並列で結合される。
【0093】
容量536は、浮遊容量538とプラズマシース540との間に存在してもよく、それが例えば、基板電極109と基板との間、またはエッジリング電極111とエッジリングとの間のインピーダンスであることができる。IEDF幅制御モジュール1002ならびに基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920は両方とも、基板電極109および/またはエッジリング電極111のどちらかに結合される。IEDF幅制御モジュール1002は浮遊容量538にも結合される。プラズマシース540は、電流源544と並列に結合されたシース容量542と、接地548に結合されたダイオード546とを備える回路として、モデル化(プラズマシースモデル)されてもよい。
【0094】
使用の際、図10に示される構成の場合、DC電圧源910が抵抗器912とともに、イオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する、図9に示される構成とは対照的に、整形DCパルス電圧源1004がイオン電流段階における電圧波形の傾斜を制御する能動ノブとして作用する。スイッチ906は、図5Bのプロットに示されるように、主パルサ502と同期されたTTL信号904によって制御することができる。スイッチ906は、主パルサ502の電圧が上昇してシース崩壊段階に入る前に閉じることができる。スイッチ512は、シース崩壊段階の間は閉じたままにすることができ、それにより、基板チャッキングおよびバイアス補償モジュールが回路の別の部分に接続され、基板チャッキング電圧をセットポイントにリセットする。主パルサ502の電圧が降下してイオン電流段階に入った後、イオン電流段階において、DC電圧源910が機能してIEDFを変調するように、スイッチ906を開くことができる。任意のキャパシタ914は、整形DCパルス電圧源1004に対する基板電圧波形の感度を調節するのに使用することができる。
【0095】
図10の制御メカニズムは図5Aと同様である。1つの違いはキャパシタC4が取り除かれていることである。別の違いは、シース崩壊段階における整形DCパルス電圧源1004の出力電圧が、図5Eのトレース582(正のチャッキング電圧)およびトレース586(負のチャッキング電圧)のように、ゼロではなく基板チャッキングおよびバイアス補償モジュール920の出力電圧で保たれている点である。
【0096】
方法例
図11は、本開示の少なくとも一実施形態による、エッジリングIEDF幅制御回路155および/または基板IEDF幅制御回路158を使用してIEDF幅を制御する方法1100のフローチャートである。方法1100は、図5図10に示される回路構成のうち1つまたは複数を使用して実現することができる。方法1100はまた、処理チャンバ100または処理チャンバ200を操作する方法を提供する。
【0097】
方法1100は、パワーモジュール(例えば、IEDF幅制御モジュール)に結合された主パルサ(例えば、主パルサ502)を作動する、即ち電源を入れることによって、好適な処理チャンバに電圧を印加するかまたは別の方法で導入することで始まる。ここで、電圧は、基板電極、例えば基板電極109、および/またはエッジリング電極、例えばエッジリング電極111に導入される。基板電極および/またはエッジリング電極に対するバイアス電圧は、イオン電流段階において発達し、例えば、シース電圧にイオンの電荷を掛けた積のエネルギーでイオンを加速させる。無衝突シースモデルでは、イオンのほとんどが、基板電極および/またはエッジリング電極に衝撃するときにこの最大エネルギーに達することができる。しかしながら、例えば、イオン電流が正電荷を基板電極および/またはエッジリング電極上に堆積させることにより、基板電極および/またはエッジリング電極の電圧が時間とともに増加して、シース電圧を低減させ、イオンエネルギーを拡散させる。
【0098】
動作1110で、パワーモジュール(例えば、IEDF幅制御モジュール)の電流、および/またはIEDF幅制御モジュールの電圧もしくは電圧微分を、2つ以上の条件下で測定して、シース容量C1および/またはイオン電流I0が決定される。ここで、測定される電流は、図5A図6A図7、および図8のキャパシタC4を通る電流である、電流I4であることができる。加えてまたは代わりに、測定される電流は、図9および図10の主パルサの出力電流であることができる。電圧微分はdV3/dtであることができる。測定はイオン電流段階で実施することができる。2つ以上の条件は、IEDF幅制御モジュールの能動ノブ(例えば、DC電圧源V0および/または整形DCパルス電圧源dV1/dt)を、2つの異なる値に設定することによって達成することができる。
【0099】
一例として、図5図8、および図10の構成の場合、整形DCパルス電圧源は、イオン電流段階における任意の2つの異なる傾斜dV1/dtに設定することができる。別の例として、図6図7、および図9の構成の場合、I4がDC電圧V0に影響を受ける場合、I4をある地点までモニタリングしながらDC電圧V0を徐々に増加させることができる。このDC電圧は閾値電圧Vthである。DC電圧源V0に対する2つのセットポイントのうち少なくとも一方はVthよりも大きい。つまり、IEDF幅制御モジュールの電流、IEDF幅制御モジュールの電圧もしくは電圧微分、または両方を測定することは、DC電圧源、整形DCパルス電圧源、または両方を第1の値に設定することと、DC電圧源、整形DCパルス電圧源、または両方を第2の値に設定することとを含む。
【0100】
動作1115で、図5図8、および図10の構成の場合は式(6)および式(7)、または図6図7、および図9の構成の場合は式(19)および式(20)に基づいて、イオン電流I0およびシース容量C1が計算される。計算に対する入力値は次の通りである。I3=C3×dV3/dt;I3’=C3×dV3’/dt;およびI4、I4’。C3およびC3’の値は分かっており、dV3/dt、dV3’/dt、I4、およびI4’の値は動作1110で測定される。そのため、I3およびI3’を計算することができる。
【0101】
動作1120で、主パルサのDC電圧(V0)に対する所望のセットポイント、IEDF幅制御モジュールの電圧(V1)もしくは電圧微分(dV1/dt)に対する所望のセットポイント、または両方が、標的IEDF幅(ΔV)を達成するように決定される。この決定は、例えば、ユーザ指定のイオンエネルギー分布幅(ΔV)を達成するようなIEDF幅制御モジュールの所望の設定を決定することに基づく。主パルサのDC電圧(V0)および整形DCパルス電圧(V1)の傾斜(dV1/dt)はそれぞれ、式(23)および式(9)から決定することができる。動作1125で、IEDF幅制御モジュールのDC電圧(V0)および/または電圧(V1)または電圧微分(dV1/dt)が、決定されたセットポイントに合わせて調節される。
【0102】
IEDFを制御する従来のプロセスとは対照的に、本明細書に記載する方法は、IEDF幅制御モジュールの所望のセットポイントを決定するのにルーピングを含まない。しかしながら、いくつかの実施形態では、ルーピングを使用して所望のセットポイントを決定することができる。かかる実施形態では、コントローラは、イオン電流段階でI4およびV3をモニタリングして、プラズマ条件のあらゆる変化を検出し、IEDF幅制御モジュールのセットポイントを適宜調節することができる。
【0103】
本明細書に記載する方法および装置、例えば回路は、パルスDC基板電圧の波形の形状(例えば、狭い、または調節可能な幅)に対する制御を可能にする。本明細書に記載する実施形態はさらに、例えば、単エネルギーイオン加速を含むイオンエネルギー分布に対する制御を可能にする。
【0104】
上述の全体説明および特定の実施形態から明白であるように、本開示の形態について例証し記載してきたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。したがって、本開示はそれによる限定を意図しない。同様に、「備える」という用語は「含む」という用語と同義とみなされる。同様に、構成、要素、または要素群の後に移行句「備える」が続く場合は常に、同じ構成または要素群が、構成、要素、または複数の要素を列挙する前あるいは後に、「本質的に~から成る」、「~から成る」、「~から成る群から選択される」、または「である」という移行句を伴う場合も想到していることが理解される。
【0105】
上記は本開示の実施例を対象とするが、本開示の基本的範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例およびさらなる実施例が考案されてもよく、その範囲は後続の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11