(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】半導体プロセスデバイスにおける載置装置及び半導体プロセスデバイス
(51)【国際特許分類】
C23C 16/458 20060101AFI20241114BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241114BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C23C16/458
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2023568750
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2022093044
(87)【国際公開番号】W WO2022242594
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】202110560026.1
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ シュ
(72)【発明者】
【氏名】イャォ ミンクェァ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ ハイユン
(72)【発明者】
【氏名】マー ヂェングゥォ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ イェンバオ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037508(JP,A)
【文献】特開2013-046002(JP,A)
【文献】特開2019-208016(JP,A)
【文献】特開平09-055374(JP,A)
【文献】特開2005-277369(JP,A)
【文献】特開2016-029642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを載置するためのベースと、前記ベースの周囲に取り囲まれたエッジリングと、を含む半導体プロセスデバイスにおける載置装置であって、前記ベースは、前記ウェハを載置するためのベース本体を含み、前記ベース本体の外径が、前記ウェハの直径よりも小さく、前記エッジリングの外径が、前記ウェハの直径よりも大きく、
前記ベース本体の外周面と前記エッジリングの内周面とは、互いに間隔をおいて対向し、ガス供給システムに連通するための第1リング状ガス通路を形成し、前記ベース本体に前記ウェハが載置される際に、前記エッジリングの上面と前記ウェハの下面とは、互いに間隔をおいて対向し、第2リング状ガス通路を形成し、前記第1リング状ガス通路は、前記第2リング状ガス通路に連通しており、
前記ベースの径方向における前記第1リング状ガス通路の第1幅及び前記ベースの軸方向における前記第2リング状ガス通路の第2幅が、いずれも、前記半導体プロセスデバイスが所定のプロセスを実行する際に生成されるプラズマシースの厚さの2倍以下であ
り、
前記エッジリングの表面には第1リング状凸部が凸設され、前記第1リング状凸部は、表面が前記ウェハの表面と面一になり、内周面が前記ウェハの側面との間に径方向距離を有し、前記径方向距離が前記プラズマシースの厚さの2倍よりも大きく、
前記ベースの径方向における前記第1リング状ガス通路の第1幅と、前記ベースの軸方向における前記第2リング状ガス通路の第2幅とは、いずれも1mm以下であることを特徴とする半導体プロセスデバイスにおける載置装置。
【請求項2】
前記エッジリングは、互いに連結されるリング状本体及びガス通路構成部を含み、
前記ベース本体の外周面と前記リング状本体の内周面とが互いに間隔をおいて、前記ガス通路構成部は、前記ベース本体の外周面と前記リング状本体の内周面との間に設けられ、前記ガス通路構成部の外周面は前記リング状本体の内周面に当接され、前記ガス通路構成部の内周面と前記ベース本体の外周面とが互いに間隔をおいて対向し、前記第1リング状ガス通路を形成し、前記ガス通路構成部の前記ウェハに向かう表面と、前記ウェハの前記ガス通路構成部に向かう表面とが互いに間隔をおいて対向し、前記第2リング状ガス通路を形成し、前記リング状本体は、前記ガス通路構成部の表面に対して突出する突出部を有し、前記突出部は前記第1リング状凸部であることを特徴とする請求項
1に記載の載置装置。
【請求項3】
前記第1リング状ガス通路の軸方向断面形状は、折れ線状であることを特徴とする請求項
2に記載の載置装置。
【請求項4】
前記ベース本体は、本体部と、前記本体部の外周面から突出する第2リング状凸部とを含み、
前記ガス通路構成部の内周面は、前記本体部の外周面と互いに間隔をおいて対向して第1リング状サブガス通路を形成する第1サブ表面と、前記第2リング状凸部の前記本体部に向かう端面と互いに間隔をおいて対向して第2リング状サブガス通路を形成する第2サブ表面と、前記第2リング状凸部の外周面と互いに間隔をおいて対向して第3リング状サブガス通路を形成する第3サブ表面と、を含み、
前記第1リング状サブガス通路、前記第2リング状サブガス通路、及び前記第3リング状サブガス通路は、順に連通することを特徴とする請求項
3に記載の載置装置。
【請求項5】
前記第2リング状凸部の前記ウェハに向かう端面と前記第2リング状凸部の外周面との間には、第1面取り斜面が形成され、前記第2サブ表面と前記第1サブ表面との間には、前記第1面取り斜面と互いに間隔をおいて対向する第2面取り斜面が形成されることを特徴とする請求項
4に記載の載置装置。
【請求項6】
前記ガス通路構成部は、下から上へ順に重ね合わせられた第1リング部と第2リング部とを含み、前記第2リング部の内周面は前記第1サブ表面であり、第1リング部の内周面は前記第3サブ表面であり、
前記第2リング部は、前記第1リング部の内周面に対して突出する突出部を有し、前記突出部の前記第1リング部に向かう端面が前記第2サブ表面であることを特徴とする請求項
4に記載の載置装置。
【請求項7】
前記第1リング部と、リング本体とは一体式構造とされ、前記第2リング部と、前記第1リング部及び前記リング本体の両方とは別体式構造とされることを特徴とする請求項
6に記載の載置装置。
【請求項8】
前記ベースは、前記ベース本体の底部に設けられて前記ベース本体の外周面に対して突出する第1階段部をさらに含み、前記エッジリングは、前記第1階段部に設けられ、前記第1階段部には、排気端が前記第1リング状ガス通路に連通し、吸気端が前記ガス供給システムに連通するための吸気ガス通路が設けられることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の載置装置。
【請求項9】
プラズマ環境に曝される前記エッジリングの表面は、絶縁処理された表面であることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の載置装置。
【請求項10】
前記ベースと前記エッジリングのそれぞれが有する角部はいずれもR面取りであることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の載置装置。
【請求項11】
プロセスチャンバと、上部電極機構と、下部電極機構と、を含み、前記上部電極機構は、前記プロセスチャンバ内の頂部に設けられるシャワーヘッドと、前記シャワーヘッドに電気的に接続される上部電極電源と、を含み、前記下部電極機構は、ウェハを載置するための載置装置を含む半導体プロセスデバイスであって、前記載置装置は接地され、請求項1~
7のいずれか1項に記載の載置装置を採用することを特徴とする半導体プロセスデバイス。
【請求項12】
プロセスチャンバと、上部電極機構と、下部電極機構と、を含み、前記上部電極機構は、前記プロセスチャンバ内の頂部に設けられるシャワーヘッドと、前記シャワーヘッドに電気的に接続される上部電極電源と、を含み、前記下部電極機構は、ウェハを載置するための載置装置を含む半導体プロセスデバイスであって、前記載置装置は接地され、請求項8に記載の載置装置を採用することを特徴とする半導体プロセスデバイス。
【請求項13】
プロセスチャンバと、上部電極機構と、下部電極機構と、を含み、前記上部電極機構は、前記プロセスチャンバ内の頂部に設けられるシャワーヘッドと、前記シャワーヘッドに電気的に接続される上部電極電源と、を含み、前記下部電極機構は、ウェハを載置するための載置装置を含む半導体プロセスデバイスであって、前記載置装置は接地され、請求項9に記載の載置装置を採用することを特徴とする半導体プロセスデバイス。
【請求項14】
プロセスチャンバと、上部電極機構と、下部電極機構と、を含み、前記上部電極機構は、前記プロセスチャンバ内の頂部に設けられるシャワーヘッドと、前記シャワーヘッドに電気的に接続される上部電極電源と、を含み、前記下部電極機構は、ウェハを載置するための載置装置を含む半導体プロセスデバイスであって、前記載置装置は接地され、請求項10に記載の載置装置を採用することを特徴とする半導体プロセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体加工技術の分野に関し、具体的には、半導体プロセスデバイスにおける載置装置及び半導体プロセスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
金属有機物化学気相成長法(Metal-organic Chemical Vapor Deposition、以下、MOCVDと略称)は、金属又は金属窒化物バリア層と接着層を形成するプロセスにおいて、優れたステップカバレッジと抵抗率特性を示し、先進的なバリア層と接着層プロセスの重要な実現方法になっており、MOCVDデバイスも集積回路製造の主流デバイスとなっている。
【0003】
MOCVD法は、金属又は金属窒化物源として金属有機物を用い、高温で源が熱分解反応を起こし、炭素、水素、酸素等の副生成物をガス状に分離し、金属又は金属窒化物を成長させて薄膜を形成する。通常、熱分解により形成される薄膜は多くの不純物を含有しており、抵抗率が高く、薄膜中の不純物を除去して抵抗率を下げるためにプラズマを用いて薄膜を処理する必要がある。生産効率を向上させるために、上記薄膜製造方法を実現するMOCVDデバイスは、薄膜の熱成長とその場プラズマ処理を同一チャンバ内で完了する必要があり、プラズマは通常、容量結合RF放電によって生成されるため、チャンバがCVDプロセスの流れ場と熱場の要件を満たすほか、RFシステムと異常放電防止の要件を満たすことが求められる。
【0004】
MOCVDデバイスで成膜プロセスを行う際には、源が安定した熱分解反応を起こすようにウェハを一定の温度に加熱する必要があり、ウェハを載置するベースには加熱機能を備えることが求められる。このようなベースは、通常ヒータを含み、該ベースの周囲にはエッジリングが周設され、また、ベースとエッジリングとが互いに正対する領域には、エッジパージ用ガス通路が形成されるようにリング状のスリットが設けられ、ウェハがベース上に載置される際に、そのエッジ部分が上記エッジパージ用ガス通路の開口部の一部を遮蔽する。熱成長を行う過程において、エッジパージ用ガス通路は、ウェハのエッジにガスを吹くことを可能にするためにガスを流し、ウェハの裏面及び側面の薄膜の成長を回避すると同時に、エッジリングの温度を低下させ、エッジリングの表面の薄膜の成長を減少させる。プラズマ処理中、エッジパージ用ガス通路はガスを流さないが、該ガス通路はチャンバと連通しており、通常、絶縁材料で製作されるウェハ(金属又は金属窒化物薄膜は一般的に酸化シリコンベース上に成長する)の表面は電荷が蓄積されて高電位になり、ベースはゼロ電位に接地され、このようにして、プラズマ環境と一定の電界にあるエッジパージ用ガス通路でウェハの裏面が放電又は発火しやすくなるため、プロセスの安定性に影響を与え、粒子汚染を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも従来技術に存在している技術的課題の1つを解決することを目的とし、ウェハのエッジ部分の下方に位置するガス通路のスムーズさを確保できるとともに、該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生を抑制できる半導体プロセスデバイスにおける載置装置及び半導体プロセスデバイスを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ウェハを載置するためのベースと、前記ベースの周囲に取り囲まれたエッジリングと、を含み、前記ベースは、前記ウェハを載置するためのベース本体を含み、前記ベース本体の外径が、前記ウェハの直径よりも小さく、前記エッジリングの外径が、前記ウェハの直径よりも大きく、
前記ベース本体の外周面と前記エッジリングの内周面とは、互いに間隔をおいて対向し、ガス供給システムに連通するための第1リング状ガス通路を形成し、前記ベース本体に前記ウェハが載置される際に、前記エッジリングの上面と前記ウェハの下面とは、互いに間隔をおいて対向し、第2リング状ガス通路を形成し、前記第1リング状ガス通路は、前記第2リング状ガス通路に連通しており、
前記ベースの径方向における前記第1リング状ガス通路の第1幅及び前記ベースの軸方向における前記第2リング状ガス通路の第2幅が、いずれも、前記半導体プロセスデバイスが所定のプロセスを実行する際に生成されるプラズマシースの厚さの2倍以下である半導体プロセスデバイスにおける載置装置を提供する。
【0007】
任意選択的に、前記エッジリングの表面には第1リング状凸部が凸設され、前記第1リング状凸部は、表面が前記ウェハの表面と面一になり、内周面が前記ウェハの側面との間に径方向距離を有し、前記径方向距離が前記プラズマシースの厚さの2倍よりも大きい。
【0008】
任意選択的に、前記エッジリングは、互いに連結されるリング状本体及びガス通路構成部を含み、
前記ベース本体の外周面と前記リング状本体の内周面とが互いに間隔をおいて、前記ガス通路構成部は、前記ベース本体の外周面と前記リング状本体の内周面との間に設けられ、前記ガス通路構成部の外周面は前記リング状本体の内周面に当接され、前記ガス通路構成部の内周面と前記ベース本体の外周面とが互いに間隔をおいて対向し、前記第1リング状ガス通路を形成し、前記ガス通路構成部の前記ウェハに向かう表面と、前記ウェハの前記ガス通路構成部に向かう表面とが互いに間隔をおいて対向し、前記第2リング状ガス通路を形成し、前記リング状本体は、前記ガス通路構成部の表面に対して突出する突出部を有し、前記突出部は前記第1リング状凸部である。
【0009】
任意選択的に、前記第1リング状ガス通路の軸方向断面形状は、折れ線状とされる。
【0010】
任意選択的に、前記ベース本体は、本体部と、前記本体部の外周面から突出する第2リング状凸部と、を含み、前記ガス通路構成部の内周面は、前記本体部の外周面と互いに間隔をおいて対向して第1リング状サブガス通路を形成する第1サブ表面と、前記第2リング状凸部の前記本体部に向かう端面と互いに間隔をおいて対向して第2リング状サブガス通路を形成する第2サブ表面と、前記第2リング状凸部の外周面と互いに間隔をおいて対向して第3リング状サブガス通路を形成する第3サブ表面とを含み、
前記第1リング状サブガス通路、前記第2リング状サブガス通路、及び前記第3リング状サブガス通路は、順に連通する。
【0011】
任意選択的に、前記第2リング状凸部の前記ウェハに向かう端面と前記第2リング状凸部の外周面との間には、第1面取り斜面が形成され、前記第2サブ表面と前記第1サブ表面との間には、前記第1面取り斜面と互いに間隔をおいて対向する第2面取り斜面が形成される。
【0012】
任意選択的に、前記ガス通路構成部は、下から上へ順に重ね合わせられた第1リング部と第2リング部とを含み、前記第2リング部の内周面は前記第1サブ表面であり、第1リング部の内周面は前記第3サブ表面であり、
前記第2リング部は、前記第1リング部の内周面に対して突出する突出部を有し、前記突出部の前記第1リング部に向かう端面が前記第2サブ表面である。
【0013】
任意選択的に、前記第1リング部と、前記リング本体とは一体式構造とされ、前記第2リング部と、前記第1リング部及び前記リング本体の両方とは別体式構造とされる。
【0014】
任意選択的に、前記ベースは、前記ベース本体の底部に設けられて前記ベース本体の外周面に対して突出する第1階段部をさらに含み、前記エッジリングは、前記第1階段部に設けられ、前記第1階段部には、排気端が前記第1リング状ガス通路に連通し、吸気端が前記ガス供給システムに連通するための吸気ガス通路が設けられる。
【0015】
任意選択的に、前記ベースの径方向における前記第1リング状ガス通路の第1幅と、前記ベースの軸方向における前記第2リング状ガス通路の第2幅とは、いずれも1mm以下である。
【0016】
任意選択的に、プラズマ環境に曝される前記エッジリングの表面は、絶縁処理された表面である。
【0017】
任意選択的に、前記ベースと前記エッジリングのそれぞれが有する角部はいずれもR面取りである。
【0018】
別の技術的解決手段として、本発明の実施例は、プロセスチャンバと、上部電極機構と、下部電極機構と、を含み、前記上部電極機構は、前記プロセスチャンバ内の頂部に設けられるシャワーヘッドと、前記シャワーヘッドに電気的に接続される上部電極電源と、を含み、前記下部電極機構は、ウェハを載置するための載置装置を含み、前記載置装置は接地され、本発明の実施例による上記載置装置を採用する半導体プロセスデバイスをさらに提供する。
【0019】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0020】
本発明の実施例による半導体プロセスデバイスにおける載置装置では、ベース本体の外周面とエッジリングの内周面とが互いに間隔をおいて対向し、第1リング状ガス通路を形成し、ベース本体がウェハを載置する際に、エッジリングの上面とウェハの下面とが互いに間隔をおいて対向し、第2リング状ガス通路を形成し、第1リング状ガス通路と第2リング状ガス通路とが連通してエッジパージ用ガス通路を構成し、該エッジパージ用ガス通路は、ガスを流す時にウェハの裏面及び側面をパージすることができ、それによりウェハの裏面及び側面の薄膜の成長を回避し、膜厚の均一性を向上させ、エッジリングの温度を低下させ、エッジリング表面の薄膜の成長を減少させる。上記エッジパージ用ガス通路を構成した上で、ベースの径方向における上記第1リング状ガス通路の第1幅と、ベースの軸方向における第2リング状ガス通路の第2幅とを、いずれも半導体プロセスデバイスが所定のプロセスを実行する際に生成するプラズマシースの厚さの2倍以下とすることにより、ウェハのエッジ部分の下方に位置するガス通路のスムーズさを確保した上で、上記エッジパージ用ガス通路で構成される空間を小さくすることができ、それにより該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生を抑制することができ、このようにして、プロセスの安定性を向上させ、粒子汚染を低減することができる。
【0021】
本発明の実施例による半導体プロセスデバイスは、本発明の実施例による上記載置装置を採用することにより、ウェハのエッジ部分の下方に位置するガス通路のスムーズさを確保できるとともに、該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生を抑制でき、それによりプロセスの安定性を向上させ、粒子汚染を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本発明の実施例による半導体プロセスデバイスの構造概略図である。
【
図3A】
図3Aは本発明の実施例による半導体プロセスデバイスにおける載置装置の部分断面図である。
【
図3B】
図3Bは本発明の実施例による半導体プロセスデバイスにおける載置装置の別の部分断面図である。
【
図3C】
図3Cは本発明の実施例による半導体プロセスデバイスにおける載置装置のさらなる部分断面図である。
【
図4A】
図4Aは本発明の実施例の一変形実施例による半導体プロセスデバイスにおける載置装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者が本発明の技術的解決手段をより良く理解できるようにするために、以下、図面を参照して本発明の実施例による半導体プロセスデバイスにおける載置装置及び半導体プロセスデバイスを詳細に説明する。
【0024】
本発明の実施例は、例えば、金属有機物化学気相成長(Metal-organic Chemical Vapor Deposition、以下、MOCVDと略称)デバイスである半導体プロセスデバイスを提供する。
【0025】
図1を参照して、MOCVDデバイスを例とすると、該デバイスはウェハ8を処理するためのチャンバ本体1で構成される反応チャンバを含み、チャンバ本体1内の頂部には、シャワーヘッド2が設けられ、該シャワーヘッド2は、プロセスガスを反応チャンバ内に均一に送るためのものであり、同時に上部電極として機能し、整合器4を介してRF電源5(常用の周波数は13.56MHz、2MHz、及び400kHz等)に電気的に接続される。チャンバ本体1は金属材料で接地されており、チャンバ本体1内には、電気的絶縁を実現するように、シャワーヘッド2の周囲を取り囲んで高電圧のシャワーヘッド2をチャンバ本体1から隔離するための絶縁ライナー3がさらに設けられる。また、チャンバ本体1には、チャンバへの抽気や圧力制御を実現するように、真空システム(図示せず)に連通するための抽気口11がさらに設けられる。
【0026】
チャンバ本体1内には、ベース6と、該ベース6の周囲に取り囲まれたエッジリング7とを含む載置装置が設けられ、ここで、ベース6はウェハ8を載置するためのものであり、該ベース6は、ウェハ8を、薄膜が熱成長する温度まで加熱するヒータとしても機能しており、該ベース6は金属材料(アルミニウムやステンレス等であってもよい)で製作され、接地される。エッジリング7は、金属材料(アルミニウム、ステンレス等であってもよい)で製作され、プロセス中に薄膜がベース6の表面(裏面を含む)に成長することを防止するためのものである。
【0027】
図2を参照して、上記載置装置では、ベース6は、ウェハ8を載置するためのベース本体と、該ベース本体の底部に設けられてベース本体の外周面に対して突出する第1階段部6cとを含み、エッジリング7は上記第1階段部6cには設けられる。ここで、上記ベース本体の外径がウェハ8の直径よりも小さく、エッジリング7の外径がウェハ8の直径よりも大きい。
【0028】
本実施例では、任意選択的に、エッジリング7の表面(例えば、
図2のエッジリング7の上面)に第1リング状凸部7aが凸設され、該第1リング状凸部7aの表面がウェハ8の表面と面一になる。任意選択的に、第1リング状凸部7aの外周面がエッジリング7の外周面と面一になり、第1リング状凸部7aの内周面の直径がエッジリング7の内周面の直径よりも大きい。
【0029】
本実施例では、任意選択的に、上記ベース本体は、本体部6aと、該本体部6aの外周面から突出する第2リング状凸部6bと、を含む。任意選択的に、
図2に示すように、本体部6aと第2リング状凸部6bとは別体式構造であってもよく、且つ本体部6aは第2リング状凸部6bの上面に重ね合わせられ、且つ第2リング状凸部6bの外周面の直径が本体部6aの外周面の直径よりも大きく、それにより第2リング状凸部6bの一部が本体部6aの外周面から突出するようにする。しかし、本発明の実施例はこれに限定されるものではなく、実用上、本体部6aと第2リング状凸部6bとは一体式構造であってもよい。
【0030】
また、
図2に示すように、本体部6aの外周面と第1リング状凸部7aの内周面との間の径方向距離はW1であり、第2リング状凸部6bの外周面とエッジリング7の内周面との間の径方向距離はW2であり、ウェハ8が本体部6aの上面に載置される際に、ウェハ8のエッジが本体部6aの外周面に対して突出し、且つウェハ8の側面と第1リング状凸部7aの内周面との間の径方向距離がW3であり、ウェハ8の裏面と第2リング状凸部6bの上面との間の上下方向間隔がH1であり、ウェハ8の裏面と第1階段部6cの上面との間の上下方向間隔がH2であり。上記ベース6、エッジリング7、及びウェハ8同士が包囲してリング状スリット9を形成し、該リング状スリット9は、エッジパージ用ガス通路として機能して第1階段部6cに設けられる吸気ガス通路61に連通し、該吸気ガス通路61はガス供給システムに連通するためのものであり、該ガス供給システムによって供給されるガスは吸気ガス通路61及び上記エッジパージ用ガス通路を順に通過して反応チャンバに流入可能である。
【0031】
成長プロセスを行う際には、吸気ガス通路61はエッジパージ用通路内にガスを吹き込み、気流がエッジパージ用通路を通ってウェハ8のエッジから吹き出され、ウェハ8の裏面とエッジに薄膜が成長することを防止する。プラズマ処理プロセスを行う際には、吸気ガス通路61はガスを吹き込まないが、エッジパージ用通路が反応チャンバに連通するため、絶縁性ウェハ8はプラズマ環境下で充電され高電位になり、エッジリング7及びベース6はいずれもゼロ電位に接地され、両者とウェハ8との間には電圧差があるため、エッジリング7とウェハ8の底面及び側面に発火が発生することを防止する必要がある。しかし、上記ベース6、エッジリング7、ウェハ8の上記寸法は、H1、H2、W1、W2がいずれも1.3mmより大きく、H2、W1が4mmに近いため、エッジパージ用ガス通路全体の内部空間が大きくなり、半導体プロセスデバイスがプラズマ処理プロセス等のような所定のプロセスを実行する際に、反応チャンバ内に印加されるRF電力が大きくなるにつれて、プロセスガスの気圧が高くなり、ウェハ表面の電圧が高くなり、プロセスで生成するプラズマシースの厚さが薄くなり(500μm以下に下がる可能性がある)、この場合、空間が大きいエッジパージ用ガス通路内で放電が非常に発生しやすくなるため、プロセス安定性に影響を与え、粒子汚染を引き起こす可能性がある。また、W3が1mm未満であるため、ウェハ8のエッジと第1リング状凸部7aとの間の距離が近くなり、両者間の電界強度が高くなり、アーク放電が発生しやすくなる。
【0032】
上記課題を解決するために、本発明は、半導体プロセスデバイスにおける載置装置を提供し、該載置装置は、例えばMOCVDデバイスに適用される。具体的には、
図3A及び
図3Bを併せて参照して、載置装置は、ベース6と、該ベース6の周囲に取り囲まれたエッジリング11と、を含み、ここで、ベース6はウェハ8を載置することに用いられ、該ベース6は、ウェハ8を、薄膜が熱成長する温度まで加熱するヒータとしても機能しており、該ベース6は金属材料(アルミニウムやステンレス等であってもよい)で製作され、接地される。エッジリング11は、金属材料(アルミニウムやステンレス等であってもよい)で製作され、プロセス中に薄膜がベース6の表面(裏面を含む)に成長することを防止するためのものである。
【0033】
該ベース6は、ベース本体と、該ベース本体の底部に設けられてベース本体の外周面に対して突出する第1階段部6cと、を含む。本実施例では、任意選択的に、上記ベース本体は、本体部6aと、該本体部6aの外周面から突出する第2リング状凸部6bと、を含む。もちろん、実用上、ベース本体の構造はこれに限定されるものではなく、実用上、ベース本体に上記第2リング状凸部6bを設けなくてもよく、本発明の実施例では特にこれに限定されない。
上記エッジリング11は第1階段部6cに設けられ、且つ上記ベース本体(本体部6aと第2リング状凸部6bを含む)の外径がウェハ8の直径よりも小さく、エッジリング11の外径がウェハ8の直径よりも大きい。そして、上記ベース本体の外周面とエッジリング11の内周面とが互いに間隔をおいて対向し、第1リング状ガス通路13aを形成し、ベース本体にウェハ8が載置される際には、エッジリング11の上面とウェハ8の裏面(すなわち下面)とが間隔をおいて対向し、第2リング状ガス通路13bを形成し、ここで、第1リング状ガス通路13aと第2リング状ガス通路13bとが連通するとともに、上記第1階段部6cには吸気ガス通路61が設けられ、該吸気ガス通路61の排気端が第1リング状ガス通路13aに連通している。上記第1リング状ガス通路13aは、第2リング状ガス通路13bとともにエッジパージ用ガス通路を構成する。成長プロセスを行う際には、吸気ガス通路61は上記エッジパージ用通路内にガスを吹き込み、気流がエッジパージ用通路を通ってウェハ8のエッジから吹き出され、ウェハ8の裏面及びエッジに薄膜が成長することを防止する。プラズマ処理プロセスを行う際には、吸気ガス通路61はガスを吹き込まない。
【0034】
なお、実用上、上記第1階段部6cを省略することも可能であり、この場合、他の任意の方法でエッジリング11をベース6に対して相対的に固定することができ、且つ第1リング状ガス通路13aを直接又は他の管路構造を利用して上記ガス供給システムに連通させることができる。
【0035】
プラズマ中では、電子の質量がイオンの質量よりもはるかに小さい一方、電子の運動速度がイオンの運動速度よりも速いため、電子は先に電極の表面に付着して負の電位を形成し、負の電気を帯びた電極は電子を反発してイオンを吸引し、電極の近傍には、電子密度がイオン密度よりもはるかに小さい領域が形成され、該領域はプラズマシースと呼ばれ、その厚さはプラズマシース厚さと呼ばれる。限られた領域のプラズマは通常、シース-電気的中性プラズマ-シースの「サンドイッチ」構造を形成し、電極(又は壁面)間の距離がプラズマシースの厚さの2倍未満になると、電極間には重なったプラズマシースしか収容できなくなり、電気的中性プラズマ領域が空乏化し、自由電子が急激に減少するため、衝突イオン不足を引き起こし、放電を維持することができなくなる。したがって、プラズマ環境下では、放電現象の発生を防ぐために、溝の幅とチューブの直径の両方をプラズマシースの厚さの2倍よりも小さくする必要がある。電位差が大きい2つの部品は、距離が近いほど、それらの間の電場が強くなり、発火しやすくなるため、十分な絶縁距離を保つ必要がある。
【0036】
上記原理に基づき、エッジリング11がウェハ8の底面及び側面に発火することを防止するために、ベース6の径方向における上記第1リング状ガス通路13aの第1幅及びベース6の軸方向における第2リング状ガス通路13bの第2幅が、いずれも、半導体プロセスデバイスが所定のプロセス(例えば、プラズマ処理プロセス)を実行する際に生成するプラズマシースの厚さの2倍以下である。このようにして、ウェハのエッジ部分の下方に位置するガス通路のスムーズさを確保した上で、上記エッジパージ用ガス通路で構成される空間を小さくすることができ、それにより該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火を抑制することができ、このようにして、プロセスの安定性を向上させ、粒子汚染を低減することができ、さらに、プロセスチャンバは高出力、高気圧条件下で使用されることができるようになり、プロセスウィンドウが拡大される。
【0037】
本実施例では、任意選択的に、
図3Aに示すように、エッジリング11の表面(例えば、
図3Aのエッジリング11の上面)に第1リング状凸部12が凸設され、該第1リング状凸部12の表面をウェハ8の表面と面一にすることにより、ウェハの上方の電界分布の均一性を確保する。第1リング状凸部12の内周面とウェハ8の側面との間には、上記プラズマシースの厚みの2倍よりも大きい径方向距離を有する。このようにして、ウェハ8のエッジと第1リング状凸部12の内周面との間に形成される凹溝内でプラズマを安定して放電させることができるとともに、上記距離を十分に大きくすることができ、それにより電位が等しくない2つの部材であるウェハ8とエッジリング11との間の空間電界を低減することができ、さらにアーク放電の発生を回避する。任意選択的に、上記距離は1mmより大きい。また、任意選択的に、第1リング状凸部12の外周面はエッジリング11の外周面と面一になる。
【0038】
本実施例では、任意選択的に、
図3Bに示すように、エッジリング11は、互いに連結されるリング状本体11a及びガス通路構成部11bを含み、ここで、ベース本体の外周面とリング状本体11aの内周面とが互いに間隔をおいて、上記ガス通路構成部11bは両者の間に設けられ、ガス通路構成部11bの外周面がリング状本体11aの内周面に当接され、ガス通路構成部11bの内周面と上記ベース本体の外周面とが互いに間隔をおいて対向し、上記第1リング状ガス通路13aを形成し、ガス通路構成部11bのウェハ8に向かう表面と、ウェハ8のガス通路構成部11bに向かう表面とが互いに間隔をおいて対向し、上記第2リング状ガス通路13bを形成し、そして、リング状本体11aは、ガス通路構成部11bの表面に対して突出する突出部を有し、該突出部は上記第1リング状凸部12である。上記ガス通路構成部11bをベース本体の外周面とリング状本体11aの内周面との間の間隔に設けることにより、該間隔における空き空間を小さくすることができ、それによりベース6の径方向における上記第1リング状ガス通路13aの第1幅と、ベース6の軸方向における第2リング状ガス通路13bの第2幅とが、いずれも上記プラズマシースの厚みの2倍以下になるようにし、それだけでなく、上記ガス通路構成部11bがリング状体11aの内周面に当接することにより、ベース本体とリング状体11aとの構造を決定した上で、ガス通路構成部11bの構造を柔軟に設計することができ、それにより該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生を抑制する要件を満たし、しかも取り付けの利便性を向上させることができる。
【0039】
本実施例では、任意選択的に、上記第1リング状ガス通路3aの軸方向断面形状は折れ線状とされる。このようにして、「ラビリンス状」のエッジパージ用ガス通路を形成することができ、それによりプラズマの進入をある程度阻止することができ、さらに該ガス通路内でのウェハ裏面の放電又は発火の発生をさらに抑制することができる。
【0040】
上記折れ線状とされる第1リング状ガス通路3aの構造は種々なものがあってもよく、例えば、本実施例では、
図3Cに示すように、上記ベース本体は、本体部6aと、該本体部6aの外周面から突出する第2リング状凸部6bと、を含み、任意選択的に、第2リング状凸部6bの外周面は本体部6aの外周面よりも下方に位置し、第2リング状凸部6bの上端面は第2リング状凸部6bの外周面と本体部6aの外周面との間に接続される。さらに任意選択的に、本体部6aと第2リング状凸部6bとは別体式構造であってもよく、本体部6aは第2リング状凸部6bの上面に重ね合わせられ、且つ第2リング状凸部6bの外周面の直径が本体部6aの外周面の直径よりも大きく、それにより第2リング状凸部6bの一部が本体部6aの外周面から突出するようにする。しかし、本発明の実施例はこれに限定されるものではなく、実用上、本体部6aと第2リング状凸部6bとは一体式構造であってもよい。
【0041】
そして、上記ガス通路構成部11bの内周面は、第1サブ表面111と、第2サブ表面112と、第3サブ表面113と、を含み、ここで、第1サブ表面111は、本体部6aの外周面と互いに間隔をおいて対向し、第1リング状サブガス通路131を形成し、第2サブ表面112は、第2リング状凸部6bの本体部6aに向かう端面(すなわち、
図3Cにおける第2リング状凸部6bの上端面)と互いに間隔をおいて対向し、第2リング状サブガス通路132を形成し、第3サブ表面113は、第2リング状凸部6bの外周面と互いに間隔をおいて対向し、第3リング状サブガス通路133を形成する。上記第1リング状サブガス通路131、第2リング状サブガス通路132、及び第3リング状サブガス通路133は、上記吸気ガス通路61の排気端に近接する方向に沿って順に連通する。このようにして、上記第1リング状サブガス通路131、第2リング状サブガス通路132、第3リング状サブガス通路133は、上記第2リング状サブガス通路13bとともに4段式「ラビリンス状」エッジパージ用ガス通路を構成しており、このような「ラビリンス状」のガス通路はプラズマの進入をある程度阻止することができ、さらに該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生をさらに抑制することができる。
【0042】
任意選択的に、
図3Cに示すように、上記第2リング状凸部6bのウェハ8に向かう端面と第2リング状凸部6bの外周面との間に第1面取り斜面621を形成し、第2サブ表面112と第1サブ表面111との間には、第1面取り斜面621と互いに間隔をおいて対向する第2面取り斜面114を形成する。第1面取り斜面621及び第2面取り斜面114により、エッジパージ用通路が直角な曲がりを形成することを回避し、気流のスムーズさを確保するととともに、先端放電が発生する確率を低減することができる。もちろん、実用上、他の任意の面取り構造を採用することも可能であり、本発明の実施例は特にこれに限定されない。
【0043】
なお、本実施例では、
図3B及び
図3Cに示すように、ガス通路構成部11bは一体式構造とされ、リング状本体11aとは別体式構造をなしているが、本発明の実施例はこれに限定されるものではなく、例えば、
図4Aに示すように、上記ガス通路構成部11bは、下から上へ順に重ね合わせられた第1リング部11b1及び第2リング部11b2を含んでもよく、ここで、第2リング部11b2の内周面は、
図3Cに示す第1サブ表面111であり、第1リング部11b1の内周面は、
図3Cに示す第3サブ表面113であり、第2リング部11b2は、第1リング部11b1の内周面に対して突出する突出部を有し、該第2リング部11b2の突出部の第1リング部11b1に向かう端面は、
図3Cに示す第2サブ表面112である。つまり、上記ガス通路構成部11bは、分割式構造をなす第1リング部11b1と第2リング部11b2からなり、このようにして、加工の利便性を向上させることができるほか、エッジパージ用ガス通路の設計の自由度を向上させることもできる。
【0044】
任意選択的に、上記第1リング部11b1は、リング本体11aと一体式構造とされ、第2リング部11b2は、上記第1リング部11b1とリング本体11aの両方と分割式構造とされる。上記第1リング部11b1をリング状本体11aと一体式構造とすることにより、構造の安定性を向上させることができ、一方、第2リング部11b2を第1リング部11b1とリング状本体11aの両方と別体式構造とすることにより、加工の利便性を向上させることができるほか、エッジパージ用ガス通路の設計の自由度を向上させることもできる。
【0045】
図4Bは、
図3A~4Aの載置装置の寸法標識の概略図である。
図3C及び
図4Bに示すように、ベース6の径方向における上記第1リング状ガス通路13aの第1幅及びベース6の軸方向における上記第2リング状ガス通路13bの第2幅は、いずれも、半導体プロセスデバイスが所定のプロセス(例えば、プラズマ処理プロセス)を実行する際に生成するプラズマシースの厚さの2倍以下である。具体的には、第1サブ表面111と本体部6aの外周面との径方向間隔、すなわち、第1リング状サブガス通路131の径方向間隔B1は、上記プラズマシースの厚さの2倍以下であり、第1面取り斜面621と第2面取り斜面114との間の間隔、すなわち、第2リング状サブガス通路132の間隔B3は、上記プラズマシースの厚さの2倍以下であり、第3サブ表面113と第2リング状凸部6bの外周面との間の径方向間隔、すなわち、第3リング状サブガス通路133の径方向間隔B2は、上記プラズマシースの厚さの2倍以下である。また、ベース本体にウェハ8が載置される場合、ガス通路構成部11bの上面とウェハ8の裏面(すなわち下面)との間の上下方向間隔、すなわち、ベース6の軸方向における第2リング状ガス通路13bの第2幅C3は、上記プラズマシースの厚みの2倍以下である。このようにして、該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生を抑制することができ、それによりプロセスの安定性を向上させ、粒子汚染を低減することができる。
【0046】
任意選択的に、第1リング状凸部12の内周面とウェハ8の側面との間の径方向間隔B4は上記プラズマシースの厚さの2倍よりも大きい。このようにして、ウェハ8のエッジと第1リング状凸部12の内周面との間に形成される凹溝内でプラズマを安定して放電させることができるとともに、上記径方向間隔B4を十分に大きくすることができ、それにより電位が等しくない2つの部材であるウェハ8とエッジリング11の間の空間電界を小さくし、さらにアーク放電の発生を回避することができる。任意選択的に、上記径方向間隔B4は1mmよりも大きい。
【0047】
また、上記ベース本体における本体部6aの上下方向の高さC1と第2リング状凸部6bの上下方向の高さC2とを、具体的なニーズに応じて自由に設定することができる。
【0048】
任意選択的に、上記エッジリング11のプラズマ環境に曝される表面が絶縁処理された表面である。このようにして、エッジリングの上面をプラズマ環境下で帯電させて負電位とすることができ、それによりエッジリングの上面の電位をウェハの上面の電位と一致させたり、電圧差を小さくしたりすることができるため、放電が発生する可能性をさらに低減することができる。上記絶縁処理の方法には、表面酸化やセラミック溶射など、種々なものがある。
【0049】
任意選択的に、上記ベース6及びエッジリング11のそれぞれが有する角部はいずれもR面取りである。このようにして、先端放電が発生する確率を低減することができ、また、R面取りの処理と上記表面絶縁の処理との2つの加工方法とがともに作用し、ウェハ8とエッジリング11との間のアーク放電を抑制することができる。
【0050】
任意選択的に、上記吸気ガス通路61の排気端は複数であり、上記第1リング状通路13aの周方向に沿って等間隔に分布する。このようにして、第1リング状ガス通路13a内にガスが均一に入ることができ、それによりプロセスの均一性を向上させることができる。具体的には、上記吸気ガス通路61は、例えば、複数の縦気孔と複数の横ガス通路を含み、ここで、複数の縦気孔の排気端は、上記吸気ガス通路61の排気端と上記第1リング状ガス通路13aとして機能し、上記第1リング状ガス通路13aの周方向に均等に分布する。各縦気孔の吸気端は、各横ガス通路の排気端に1対1で連通し、各横ガス通路の吸気端は、ベース6の中心位置に合流し、ガス供給システムに連通する。
【0051】
任意選択的に、ベース6は、金属材料又は絶縁材料で製作され、絶縁リング11は、金属材料又は絶縁材料で製作される。両方とも金属材料製のベース6及び絶縁リング11については、熱膨張量を考慮して両者を組み付ける必要があり、この場合、上記エッジパージ用ガス通路の幅が、プラズマシース厚さの2倍未満を満たすだけでなく、ベース6及び絶縁リング11の熱膨張量のために一定の空間を空けておく必要がある。また、成長する薄膜が金属材料である場合、金属材料製のベース6と絶縁リング11を用い、成長する薄膜が絶縁材料(酸化シリコン等)である場合、絶縁材料(セラミック等)製のベース6及び絶縁リング11を用いる。
【0052】
以上のように、本発明の実施例による半導体プロセスデバイスにおける載置装置では、ベース本体の外周面とエッジリングの内周面とが互いに間隔をおいて対向して第1リング状ガス通路を形成し、ベース本体がウェハを載置する際に、エッジリングの上面とウェハの下面とが互いに間隔をおいて対向して第2リング状ガス通路を形成し、第1リング状ガス通路は第2リング状ガス通路に連通して、第1階段部の吸気ガス通路とともにエッジパージ用ガス通路を構成し、該エッジパージ用ガス通路は、ガスを流す時にウェハの裏面と側面をパージすることができ、それによりウェハの裏面と側面の薄膜の成長を回避し、膜厚の均一性を向上させ、エッジリングの温度を低下させ、エッジリング表面の薄膜の成長を減少させる。上記エッジパージ用ガス通路を構成した上で、ベースの径方向における上記第1リング状ガス通路の第1幅と、ベースの軸方向における第2リング状ガス通路の第2幅とを、いずれも半導体プロセスデバイスが所定のプロセスを実行する際に生成するプラズマシースの厚さの2倍以下とすることにより、ウェハのエッジ部分の下方に位置するガス通路のスムーズさを確保した上で、上記エッジパージ用ガス通路で構成される空間を小さくすることができ、それにより該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生を抑制することができ、このようにして、プロセスの安定性を向上させ、粒子汚染を低減することができる。
【0053】
別の技術的態様として、本発明の実施形態は、半導体プロセスデバイスを提供し、該半導体プロセスデバイスは、
図1に示す半導体プロセスデバイスとは類似するものであり、同じようにチャンバ本体1で構成されるプロセスチャンバと、上部電極機構と、下部電極機構と、を含み、上部電極機構は、例えば、プロセスチャンバ内の頂部に設けられるシャワーヘッド2と、該シャワーヘッド2に電気的に接続される上部電極電源(例えば、無線周波数電源5)と、を含み、下部電極機構は、例えば、ウェハ8を載置するための載置装置を含み、該載置装置は、本発明の実施形態に係る上記載置装置を採用している。
図3Aに示す載置装置を例とすると、該載置装置は、ベース6と、該ベース6の周囲に取り囲まれたエッジリング11と、を含み、ベース6が接地され、ウェハ8を、薄膜が熱成長する温度まで加熱するヒータとしても機能しており該ベース6は金属材料(アルミニウム、ステンレス等であってもよい)で製作され、接地される。エッジリング11は、プロセス中にベース6の表面(裏面を含む)に薄膜が成長することを防止するための金属材料(アルミニウムやステンレス等であってもよい)で作製される。
【0054】
任意選択的に、半導体プロセスデバイスは、金属有機物化学気相成長装置である。
【0055】
本発明の実施例による半導体プロセスデバイスは、本発明の実施例による上記載置装置を採用することにより、ウェハのエッジ部分の下方に位置するガス通路のスムーズさを確保できるとともに、該ガス通路内でのウェハ裏面の放電や発火の発生を抑制でき、それによりプロセスの安定性を向上させ、粒子汚染を低減することができる。
【0056】
以上の実施形態は、本発明の原理を説明するために採用される例示的な実施形態にすぎないが、本発明はこれに限定されないことが理解されるべきである。当業者にとっては、本発明の精神及び本質から逸脱することなく、本発明の保護範囲ともみなされる様々な変形及び改良を行うことができる。