(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】電子装置を有する薬物送達デバイス用のモジュラシステム、および対応するモジュール、ならびに方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A61M5/315
A61M5/315 550R
(21)【出願番号】P 2022535479
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2020085728
(87)【国際公開番号】W WO2021116387
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-12-08
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・オーブリー・プランプトリ
(72)【発明者】
【氏名】オリバー・チャールズ・ガゼレイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ヴィージー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ユーグル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ブランケ
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/036576(WO,A1)
【文献】特開2012-006419(JP,A)
【文献】特開2013-069780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置を有する薬物送達デバイス用のモジュラシステム(98)であって:
遠位端(D)および近位端(P)、ならびに
機械モジュール(100)の該遠位端(D)から薬物の用量を設定および/または送達するように構成された機構(106)を含む
機械モジュール(100)と、
送達予定のまたは送達済みの薬物の量を検出するための検出器ユニット(254、264、266)
、
該検出器ユニット(254、264、266)に動作可能に連結された電子ユニット(240)
、および
該電子ユニット(240)のためのコンパートメントを取り囲む環状壁(248、249)を含むシャーシ(222)を含む
電子モジュール(120、220、600~900)とを含み、
ここで、
該検出器ユニット(254、264、266)は光学センサ(266)および放射源(264)を含み、
該電子モジュール(120、220)は、機械モジュール(100)に該機械モジュール(100)の近位端領域内で取外し可能に機械的に連結されまたは連結可能であり、
該電子モジュール(120、220、600~900)は、電子ユニット(240)の少なくともいくつかの
電子部材を保持する基板(242)を含み、
該電子ユニット(240)は該基板(242)の遠位側に少なくとも2つの電子部材(274、270、271、272)を含み、
該基板(242)の
遠位側の該少なくとも2つの電子部材が、少なくとも部分的にポッティング化合物(282)によって覆われ、
該検出器ユニット(254、264)は該基板(242)の遠位側に配置され、
該シャーシ(222)は、
該検出器ユニット(254、264、266)の
該光学センサ(266)または
該放射源(264)から、
該ポッティング化合物(282)を分離
し、
該少なくとも2つの電子部材の一つは電気機械的スイッチ(274)である、前記モジュラシステム(98)。
【請求項2】
検出器ユニット(254、264、266)は、延長機能(254)を含み、または電子モジュール(120、220、600~900)から機械モジュール(100)の近位端(P)
を、少なくとも3mm、少なくとも4mm、もしくは少なくとも5mm越えて、遠位に延在する延長機能(254)上に配置される、請求項1に記載のモジュラシステム(98)。
【請求項3】
機械モジュール(100)は、少なくとも1つのアパーチャを有する近位部材を含み、
延長機能(254)は、アパーチャ内へもしくは該アパーチャを通って延在し、または少なくとも1つのアパーチャ付近の位置まで、たとえば該アパーチャまでの0.1mm~3mmの範囲内の距離を有する位置まで延在する、請求項2に記載のモジュラシステム(98)。
【請求項4】
近位部材は、機械モジュール(100)の筐体(102)または把持ボタン(108)または延長スリーブである、請求項3に記載のモジュラシステム(98)。
【請求項5】
シャーシ(222)は、検出器ユニット(254、264、266)の延長機能(254)から、ポッティング化合物(282)を分離するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載のモジュラシステム(98)。
【請求項6】
機械モジュール(100)は、機構(106)に連結された可動および/または回転可能インジケータ要素(204)を含み、
検出器ユニット(254、264、266)の少なくとも一部は、インジケータ要素(204)に配置され、
検出器ユニット(254、264、266)は、インジケータ要素(204)の動きおよび/または回転を検出して、用量送達動作中に機構(106)によって
、送達予定の薬物(Dr)の用量のサイズを判定し、また
は送達済みの薬物(Dr)の用量のサイズを判定するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のモジュラシステム(98)。
【請求項7】
電子モジュール(120、220)は:
シャーシ(222)を収容するハウジング部材(221)であって、
シャーシ(222)が、ハウジング部材(221)とは別個の構成要素であり、またはシャーシ(222)が、ハウジング部材(221)に一体である、ハウジング部材と、
少なくとも1つのアダプタ要素(210)であって
、少なくとも1つのスナップ嵌め接続(226)によって、ハウジング部材(221)に接続される、少なくとも1つのアダプタ要素と、
シャーシ(222)および/またはハウジング部材(221)から解放されるように構成された蓋(224)とを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のモジュラシステム(98)。
【請求項8】
電子モジュール(120、220、600~900)であって:
送達予定のまたは送達済みの薬物の量を検出するための検出器ユニット(254、264、266)と、
該検出器ユニット(254、264、266)に動作可能に連結された電子ユニット(240)とを含み、
ここで、電子モジュール(120、220)は、機械モジュール(100)に該機械モジュール(100)の近位端領域内で取外し可能に機械的に連結されるように構成され、
該電子モジュール(120、220、600~900)は、電子ユニット(240)の少なくともいくつかの部材を保持する基板(242)を含み、
該基板(242)の片側のみまたは両側が、少なくとも部分的にポッティング化合物(282)によって覆われ、
シャーシ(222)は、検出器ユニット(254、264、266)の
光学センサ(266)または放射源(264)から、ポッティング化合物(282)を分離するように構成され
、
該電子モジュール(120、220、600~900)は、さらに、:
基板(242)によって形成される回路キャリア上の少なくとも1つの構成要素面(SF1)と、
少なくとも1つの構成要素面(SF1)上に配置された回路網の第1の電気的に動作可能な構成要素と、
シャーシ(222)の少なくとも1つの側壁(248、248a)とを含み、
ここで、側壁(248、248a)は、回路キャリアに隣接して配置され、
側壁(248、248a)および回路キャリアは、ポッティング化合物(282)によって形成される充填層(620、720、820、920)のための受取り空間の範囲を定めるように協働し、
充填層(620、720、820、920)は、側壁(248、248a)、第1の電気的に動作可能な構成要素、または構成要素面(SF1)のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべてに接触し、
充填層(620)は、構成要素面(SF1)に直交する第1の断面に、第1のプロファイルを含み、
第1の断面において、充填層(620)の厚さは、中心領域と比べて、断面の2つの周辺領域内でより小さく、
第1の電気的に動作可能な構成要素は、断面の2つの周辺領域のうちの1つに配置される、前記電子モジュール(120、220、600~900)。
【請求項9】
回路網の第2の電気的に動作可能な構成要素を含み、
第1の電気的に動作可能な構成要素は、構成要素面(SF1)から測定された第1の構造高さ(H6c)を有し、
第2の電気的に動作可能な構成要素は、構成要素面(SF1)から測定された第2の構造高さ(H6d)を有し、
第2の構造高さ(H6d)は、第1の構造高さ(H6c)より大きく、
第1の電気的に動作可能な構成要素は、第1の構造高さ(H6c)以下まで、充填層(620、920)に埋め込まれ、
第2の電気的に動作可能な構成要素は、少なくとも第2の構造高さ(H6d)まで、または第1の構造高さ(H6c)より大きいが第2の構造高さ(H6d)より小さい第3の高さまで、充填層(620、920)に埋め込まれる、請求項
8に記載の電子モジュール(120、220、600、900)。
【請求項10】
充填層(620)は、構成要素面
(SF1)および第1の断面に直交する第2の断面に、第2のプロファイルを含み、
第2の断面において、充填層(620)の厚さは、中心領域と比べて、
さらに反対側の周辺領域内でより小さい、
請求項
8または
9に記載の電子モジュール(120、220、600)。
【請求項11】
該第1の電気的に動作可能な構成要素は、電気機械的スイッチ(274)であり、該電気機械的スイッチ(274)は、該スイッチ(274)の可動部材(MC)はポッティング化合物(283)によって覆われていないように、ポッティング化合物(283)によって部分的にのみ覆われ、
該スイッチ(274)は、周辺領域の少なくとも1つに配置されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の電子モジュール(120、220、600)。
【請求項12】
電子モジュール(120、220、600~900)であって:
送達予定のまたは送達済みの薬物の量を検出するための検出器ユニット(254、264、266)と、
該検出器ユニット(254、264、266)に動作可能に連結された電子ユニット(240)とを含み、
ここで、電子モジュール(120、220)は、機械モジュール(100)に該機械モジュール(100)の近位端領域内で取外し可能に機械的に連結されるように構成され、
該電子モジュール(120、220、600~900)は、電子ユニット(240)の少なくともいくつかの部材を保持する基板(242)を含み、
該基板(242)の片側のみまたは両側が、少なくとも部分的にポッティング化合物(282)によって覆われ、
シャーシ(222)は、検出器ユニット(254、264、266)の光学センサ(266)または放射源(264)から、ポッティング化合物(282)を分離するように構成され、
該電子モジュール(120、220、600~900)は、さらに、:
基板(242)によって形成される回路キャリア上の少なくとも1つの構成要素面(SF1)と、
少なくとも1つの構成要素面(SF1)上に配置された回路網の第1の電気的に動作可能な構成要素と、
シャーシ(222)の少なくとも1つの側壁(248、248a)とを含み、
ここで、側壁(248、248a)は、回路キャリアに隣接して配置され、
側壁(248、248a)および回路キャリアは、ポッティング化合物(282)によって形成される充填層(620、720、820、920)のための受取り空間の範囲を定めるように協働し、
充填層(620、720、820、920)は、側壁(248、248a)、第1の電気的に動作可能な構成要素、または構成要素面(SF1)のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべてに接触し、
該電子モジュール(120、220、700、800)は、さらに、回路網の第2の電気的に動作可能な構成要素を含み、
第1の電気的に動作可能な構成要素は、構成要素面から測定された第1の構造高さ(H6c)を有し、
第2の電気的に動作可能な構成要素は、構成要素面から測定された第2の構造高さ(H6d)を有し、
第2の構造高さ(H6d)は、第1の構造高さ(H6c)より大きく、
第1の構成要素およ
び第2の構成要素は、第1の構造高さ(H6c)以下まで、充填層(720、820)に埋め込まれ、
第2の電気的に動作可能な構成要素は、充填層(720、820)および該充填層(720、820)とは異なる少なくとも1つのさらなる封止要素の組合せによって封止される、請求項9に記載の電子モジュール(120、220、700、800)。
【請求項13】
さらなる封止要素は、被覆層(710)であり、
第2の電気的に動作可能な構成要素は、回路キャリアから最も離れた表面上、また少なくとも部分的にその側面上に、被覆層(710)を含み、
被覆層(710)は、充填層(720)まで延在し、かつ/または充填層(720)に接触
する、請求項12に記載の電子モジュール(120、220、700)。
【請求項14】
被覆層(710)は、構成要素面(SF1)まで延在し、かつ/または構成要素面(SF1)に接触する、請求項13に記載の電子モジュール(120、220、700)。
【請求項15】
さらなる封止要素は、
シャーシ(222)と一体の第2の電気的に動作可能な構成要素のための一体カバー(810)であり、
第2の電気的に動作可能な構成要素は、一体カバー(810)および少なくとも部分的に一体カバー(810)が埋め込まれた充填層(820)によって封止される、請求項
12に記載の電子モジュール(120、220、800)。
【請求項16】
該第1の電気的に動作可能な構成要素は、電気機械的スイッチ(274)であり、該電気機械的スイッチ(274)は、該スイッチ(274)の可動部材(MC)はポッティング化合物(283)によって覆われていないように、ポッティング化合物(283)によって部分的にのみ覆われる、請求項12~14のいずれか一項に記載の電子モジュール(120、220、800)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子装置を有する薬物送達デバイスのモジュラシステム、および対応するモジュールに関する。薬物送達デバイスは、自動注射器、または手動もしくは半自動式のデバイスとすることができる。自動注射器ならびに半自動式デバイスでは、注射動作のための駆動力を送達するために、エネルギー蓄積要素を使用することができる。エネルギー蓄積要素は、工場内でまたは使用前に使用者が付勢することができる。薬物は、インスリンまたはGLP-1(グルカゴン様ペプチド)を含むことができる。しかし、他の薬物を注射することもできる。さらに、他の医療デバイス、たとえば注射器、噴霧デバイス、または吸引デバイスもまた、本開示から利益を得ることができる。
【背景技術】
【0002】
通常、薬物送達デバイスは、多数の機械構成要素を含むことができる。しかし、機械構成要素とともに電子構成要素を使用することが求められることもある。モジュラシステムは、電子構成要素の多重使用を可能にするべきである。しかし、たとえば薬物送達デバイスに対して横方向に、電子モジュールを取り付けることは、非常に厄介なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、薬物送達デバイスのモジュラシステムを提供することである。モジュラシステムは、好ましくは、容易および/または快適に使用することができるべきである。モジュラシステムは、好ましくは、小さいサイズであるべきであり、かつ/またはゼロもしくはわずかな修正のみを含む知られている薬物送達デバイスの使用を可能にするべきである。好ましくは、モジュラシステムの電子構成要素および電気機械構成要素は、環境的侵入、たとえば塵、湿気、機械的操作などから、簡単かつ容易に保護されるべきである。さらに、対応するモジュールも与えられるものとする。対応する使用方法および製造方法も提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載のモジュラシステムによって解決される。さらなる実施形態は、従属請求項に与えられる。独立請求項の主題は、この目的も解決する。
【0005】
電子装置を有する薬物送達デバイス用の提案されるモジュラシステムは:
- 遠位端および近位端、ならびに
- 機械モジュールの遠位端から薬物の用量を設定および/または送達するように構成することができる機構を含む、機械モジュールと、
- 検出器ユニット、および
- 動作可能に、たとえば電気的に(たとえば、配線またはRF(無線周波数)を介して)、検出器ユニットに連結することができる電子ユニットを含む、電子モジュールとを含むことができる。
【0006】
実施形態:
電子装置を有する薬物送達デバイス用の提案されるモジュラシステムは:
- 遠位端および近位端、ならびに
- 機械モジュールの遠位端から薬物の用量を設定および/または送達するように構成することができる機構を含む、機械モジュールと、
- 検出器ユニット、および
- 動作可能に、たとえば電気的に(たとえば、配線またはRF(無線周波数)を介して)、検出器ユニットに連結することができる電子ユニットを含む、電子モジュールとを含むことができる。
【0007】
電子モジュールは、機械モジュールに機械モジュールの近位端領域内で機械的に連結することができ、または連結可能とすることができる。機械モジュールおよび電子モジュールは、互いに取外し可能に連結/接続することができ、または連結可能/接続可能とすることができる。
【0008】
電子モジュールを機械モジュールに近位に連結する技術的効果は、薬物送達デバイスの長さがわずかにしか長くならず、それによって薬物送達デバイスの幅または直径が変化しないことである。したがって、快適なペン形状が維持され、使用者の高度な快適性および容易な取扱いが可能になる。それにもかかわらず、モジュラシステムは一時的なアセンブリにすぎないため、この電子モジュールをいくつかの薬物送達デバイスとともに使用することができる。
【0009】
機械モジュールおよび電子モジュールを接続するために、クリップ接続または別の接続を使用することができる。機械モジュールと電子モジュールとの間に電子接続は不要であり、したがってインターフェースを簡略化することができ、すなわち機械インターフェースのみが必要とされ、電気インターフェースは不要である。
【0010】
機械接続は、さらなる工具を使用しなくても解放することができる。別法として、特に高齢者および/または器用さの低下した人にとって、両モジュールの分離および/または接続を容易にするために、特殊な工具を使用することもできる。工具を使用するか否かにかかわらず、両モジュールは、部材を破壊することなく、かつ/または1つ、2つ、3つ、もしくは4つの手の動きのみを使用することによって、取外し可能/解放可能とすることができ、たとえば両モジュールを30秒以内に分解することが可能である。
【0011】
検出ユニットは、用量の設定中に、送達予定の薬物の量を検出することができる。別法または追加として、検出ユニットは、薬物の注射中に、送達済み薬物の量を検出することができる。
【0012】
検出は、機構の機械部材間またはそのような部材と検出ユニットとの間の回転または相対回転の検出に基づいて行うことができる。別法または追加として、機構の部材間またはそのような部材と検出ユニットとの間の並進運動または相対並進運動を検出することができる。
【0013】
検出ユニットは、少なくとも1つのセンサを含むことができる。少なくとも1つのセンサは、広範囲の物理原理のうち、1つまたはいくつかの物理原理で機能することができる。たとえば、光センサ、電気機械センサ、磁気センサ(ホールセンサ)、容量センサ、誘導センサ、超音波センサ、および/または圧力センサを、検出ユニット内で使用することができる。
【0014】
機械モジュールは、薬物送達デバイスの多くの構成要素を含むことができる:
- 薬物を排出するために薬物送達デバイスのシリンジもしくはカートリッジ内のプランジャを押圧することができるプランジャロッド要素、および/または
- 場合により、エネルギー蓄積要素、たとえば機械ばねを含む駆動機構、および/または
- 場合により、シリンジもしくはカートリッジ、好ましくは可変のシリンジもしくはカートリッジ、もしくは機械モジュールの一部である充填済み容器、および/または
- 場合により、送達予定の薬物の量を示す数字を有する数字スリーブ。数字スリーブは、ダイヤルスリーブまたはダイヤル要素を回転させることによって、数字スリーブの中心軸に沿って、回転可能および/または軸方向に可動とすることができる。
【0015】
電子モジュールは:
- バッテリもしくは再充電可能な蓄電池ホルダ、ならびに/または
- 場合により、バッテリもしくは再充電可能な蓄電池、ならびに/または
- 場合により、1つのみもしくは少なくとも1つの回路板、ならびに/または
- 電子回路もしくは回路網を形成することができる電子部材、たとえば抵抗器および/もしくは少なくとも1つの集積回路であり、
- 少なくとも1つのセンサ要素、たとえば光センサを含むことができる、電子部材、ならびに/または
- マイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラもしくは別の制御ユニット、ならびに/または
- 場合により、たとえばスマートフォンもしくは他のコンピュータデバイスと通信するための、たとえばBluetoothプロトコル(登録商標)、WiFiプロトコル(登録商標)、もしくはUSBプロトコル(ユニバーサルシリアルバス(登録商標))に基づく、受信および/もしくは伝送(送信)ユニット、ならびに/または
- センサのための延長部、たとえば回路板に取り付けられたたとえば光ガイド、ならびに/または
- たとえば電力管理のための、少なくとも1つのスイッチを含むことができる。
【0016】
機械モジュールの遠位端および機械モジュールの近位端は、機械モジュールの長手方向軸上に配置することができる。第2のモジュールは、機械モジュールの延長した長手方向軸上に配置することができる。したがって、長手方向軸に沿った直列連結を実現することができる。
【0017】
検出器ユニットは、延長機能を含むことができ、または電子モジュールから機械モジュールの近位端を越えて遠位に延在する延長機能上に配置することができる。別法として、検出器ユニットは、電子モジュールから機械モジュールの近位端を越えて遠位に延在する検出範囲を有することができる。延長機能は、機械モジュールの近位端を少なくとも3mm(ミリメートル)、少なくとも4mm、または少なくとも5mm越えて延在することができる。この距離は、たとえば20mm未満とすることができる。延長機能は、光ガイドまたは光学ガイドとすることができる。延長機能は、機械モジュールの近位端部と互いにかみ合うことができる。延長機能は、機械モジュール内のより深くで、選択または送達済み薬物の検出に使用される可動および/または回転可能部材を有する機械モジュールを使用することを可能にすることができる。これにより、機械モジュールの設計に関する自由を与えることができる。さらに、純粋に機械的な薬物送達デバイスを、さらなる修正なく、電子モジュールとともに使用することができる。
【0018】
機械モジュールは、少なくとも1つのアパーチャを有する近位部材を含むことができる。延長機能は、アパーチャ内へもしくはアパーチャを通って延在することができ、または少なくとも1つのアパーチャ付近の位置まで、たとえばアパーチャに対して0.1mm(ミリメートル)~3mmの範囲内の距離を有する位置まで延在することができる。アパーチャは、機械モジュールの筐体内に配置することができる。アパーチャは、電気モジュールが機械モジュールに取り付けられていない場合でも、機械モジュールの筐体の高い保護機能を可能にするために、検出ユニットによる検出に必要な限り小さくすることができる。
【0019】
近位部材は、機械モジュールの筐体または把持ボタンまたは延長部/ダイヤルスリーブとすることができる。延長部/ダイヤルスリーブは、用量の量がダイヤル設定された場合、薬物送達デバイスの筐体から延在することができる。延長部スリーブは、注射中に、機械モジュールの筐体の内側に手動で戻すことができる。別法として、使用者は、用量の量のダイヤル設定中に、エネルギー蓄積要素を付勢することができる。エネルギー蓄積要素のエネルギーは、薬物の選択済み用量を注射するために使用することができる。延長機能が薬物送達デバイスの近位部材内へまたは近位部材を通って回転機能まで延在する場合、軸方向に延在する延長機能によって、機械モジュールの可動部材、たとえばインジケータ要素に、容易かつ簡単に到達することができるという技術的効果を得ることができる。
【0020】
検出器ユニットは、少なくとも1つの光センサユニットおよび少なくとも1つの光源ユニットを含むことができる。検出器ユニットは、好ましくは、延長機能の一部でありまたは延長機能を形成する光学ガイドユニットを含むことができる。光センサは、機械的に接触することなく、たとえば回転および/または線形可動部材の動きを邪魔することなく、検出を可能にすることができる。さらに、光センサは、環境に対してわずかな放射の影響のみを有することができ、わずかなエネルギーを使用して動作することができ、したがってたとえばバッテリまたは蓄電池の長い動作時間を有効にすることができる。
【0021】
光学ガイドとして使用される延長機能は、機械的に安定した円錐形状または錐台形状を有することができ、たとえばその底部の直径と比べて、その自由端の直径はより小さい。追加または別法として、円錐形状は、機械モジュールへの延長機能の挿入を容易にすることができる。別法として、円筒形の光学ガイドを使用することもできる。
【0022】
延長機能は、機械モジュールの長手方向中間軸から横方向に配置することができ、それによって中間軸の周りを回転することができる回転部材上、たとえば径方向に突出する機能(歯、波形機能など)を含む回転部材上で、容易な検出を可能にすることができる。各検出ユニットに対して、すなわち電磁放射を順方向および後方向に案内するために、1つの光学ガイドのみを使用することが可能である。別法として、たとえばノイズの低減および/または検出ユニットの応答性の向上のために、2つの光学(光)ガイドを使用することもできる。光学ガイドは、中実のガイドおよび/または中空のパイプを含むことができる。
【0023】
光学ガイドは、全反射によって電磁放射を案内することができる境界面を含むことができる。したがって、エネルギーの損失なく放射を反射することができ、検出ユニットの応答性の向上が可能になる。光学ガイドは、光源ユニットから放射された電磁放射を、光学ガイドを通って案内するように構成することができる。この光学ガイドまたはさらなる光学ガイドは、電磁放射の少なくとも一部を光センサユニットへ後方に案内するように構成することができる。光センサユニットへ後方に案内される電磁放射は、反射または伝送放射、たとえば反射光または伝送光であり、たとえば400nm~700nmまたは780nmの範囲内(可視光)、または780nm~1mmの範囲内(赤外光)の波長を有することができる。反射放射は、伝送放射、たとえば光より容易に感知することができる。同じ放射源を使用した場合、伝送放射は反射放射より明るい。
【0024】
光学ガイドは、光源ユニットの筐体を形成するレンズ、たとえば合成樹脂またはプラスチックから作られた透明の筐体を有するたとえばLED(発光ダイオード)とは異なる。LEDの筐体と光学ガイドとの間には、空気間隙が存在することができる。
【0025】
少なくとも1つの光学ガイドは、少なくとも1つの光学ガイドの材料またはコア材料とは異なる被覆材料で、たとえばその完全な円周に沿って、横方向に被覆することができる。被覆材料は:
- 金属、たとえば光/光学ガイド/パイプの構造を補強するための金属、および/または
- 光学ガイドの材料より柔軟な軟質被覆材料であり、衝撃負荷を吸収し、光パイプもしくは光学ガイドへの機械的応力を小さくするように構成することができる軟質被覆材料、および/または
- たとえば炭素繊維もしくは炭素繊維強化ポリマー/プラスチックによって強化された強化被覆を含むことができる。
【0026】
3つすべての被覆材料が、外部からの負荷、衝撃、汚れ、流体、たとえば液体および/または気体が、光学ガイド、特に全反射に使用される境界面に悪影響を与えることを防止することができる。たとえば2つまたは3つの異なる被覆層を使用することで、被覆のうちの2つまたは3つすべての選択肢の組合せが可能である。
【0027】
炭素繊維を含む炭素繊維強化ポリマー/プラスチック/熱可塑性物質(CFRP、CRP、CFRTP)を使用することができる。結合ポリマー、たとえばエポキシなどの熱硬化樹脂を使用することができる。他の熱硬化性または熱可塑性のポリマー、たとえばポリエステル、ビニルエステル、またはナイロンも同様に使用することができる。複合材料は、炭素繊維に加えて、アラミド(Kevlar(商標)またはTwaron(商標)を含むことができ、または含有することができる。
【0028】
被覆材料は、全反射に使用される境界面が被覆自体によって損なわれないように調節することができる。被覆は、延長機能の側壁を、完全な長さまたは少なくとも80パーセントの長さに沿って保護することができる。延長機能に基づいて、延長機能、たとえば光パイプまたは光学ガイドを取り囲むカップ状の構造によって、保護を与えることができる。
【0029】
電子モジュールは、電子ユニットの部材または少なくともいくつかの部材を保持する基板を含むことができる。基板の片側のみまたは両側が、少なくとも部分的に、または電子部材によって覆われていないすべての場所で、ポッティング化合物または共形の被覆層によって覆うことができる。共形の被覆層を作製するために、共形の被覆または堆積方法を使用することができる。共形とは、被覆層、たとえば縁部(細長い縁部)および隅部において、表面のトポグラフィ(3次元プロファイル)が保存されることを意味することができる。逆に、非共形とは、たとえば非常に高粘性のポッティング化合物またはポッティング材料が使用された場合のように、トポグラフィが維持されていないことを意味することができる。
【0030】
検出器ユニットの少なくとも一部を保持しかつ/または含むシャーシは、検出器ユニットの電気センサおよび/もしくは放射源ならびに/または検出器ユニットの延長機能から、ポッティング化合物を分離するように構成することができる。ポッティング材料またはポッティング化合物としては、シリコーン、ポリウレタンなどを使用することができる。ポッティング材料/化合物は、環境の影響、たとえば塵または湿気から、電子装置を保護することができる。ポッティング材料/化合物は、電子モジュールを機械的に安定させることができ、かつ/または電子モジュールの異なる部材間の接続を強化もしくは作成することができる。
【0031】
いくつかの保護策、たとえばポッティングおよび/または延長機能の被覆および/または後述する阻止/キーイング機能を組み合わせることができる。
【0032】
基板は、エポキシおよびガラス繊維または別の材料の繊維を含むことができる絶縁体または非導電性基板、たとえばFR4(難燃性)材料に積層された1つまたはそれ以上の金属シート層を含むことができる。基板は、片側基板または両側基板とすることができ、両側基板は、基板の全体的な寸法を低減させることができる。したがって、基板は、プリント回路板とすることができる。
【0033】
電子モジュールは、突出要素を含むことができる。突出要素は、使用者による延長機能および/または電子モジュールの他の内部部材への望ましくない接触および故意の接触を阻止するように構成することができる。追加または別法として、突出要素は、機械モジュールの逆の形状のキーイング要素と互いにかみ合うキーイング要素として構成することができる。これらのキーイング要素は、環状リングおよび環状ノッチまたは十字突出機能および十字溝とすることができる。しかし、他の適当な形状、たとえばプリズムも同様に使用することができる。2つの別個の突出要素が存在することができる、たとえば一方は阻止のため、他方はキーイングのために存在することができる。
【0034】
突出するキーイング/阻止機能は、たとえば電子モジュール内の回路キャリア/回路板もしくは基板に対して測定される延長機能と同じ長さまで延在することができ、または電子ユニットの基板から延長機能の遠位端の長さもしくは距離に対して+10もしくは20パーセントの範囲内で延在することができる。したがって、阻止/キーイング機能は、延長機能を機械的に保護することができる。
【0035】
異なる薬物送達デバイスに対して異なるキーイング部材を使用することもできる。異なるキーイング機能を有する電子モジュールは、互いに比較した場合、異なる形で動作することができる。薬物の選択および/または注射済み量は、電子ユニットのタイプ、および対応する、たとえば嵌合する薬物送達デバイスのタイプに応じて、様々な方法で計算することができる。
【0036】
機械モジュールは、機構に連結された可動および/または回転可能インジケータ要素を含むことができる。インジケータ要素には、検出器ユニットの少なくとも一部を配置することができる。検出器ユニットは、可動および/または回転可能インジケータ要素の動き(並進運動および/または回転)を検出して、用量送達動作中に機構によって、送達予定の薬物の用量のサイズ(たとえば、用量設定中に用量のサイズまたは量が検出される)を判定し、または送達済みの薬物の用量のサイズ(たとえば、用量送達中に用量のサイズまたは量が検出される)を判定するように構成することができる。インジケータ要素は、光放射に対して異なる吸収または反射率の波形または溝付きの表面および/または区域を含むことができる。インジケータ要素/インジケータ面の回転および/または並進運動の検出は、突出機能、たとえばクラッチスプロケットまたはクラッチスプロケットスリーブの歯を使用することで、はるかに簡単にすることができる。
【0037】
機械モジュールは、近位ボタン、好ましくは刻み付きの外周面を含むボタン、または機械モジュールの長手方向軸を含む1つもしくはそれ以上の平面内に延在する少なくとも1つの溝もしくは少なくとも10個の溝をその外周面に含むボタンを含むことができる。100個未満の溝が存在することができる。電子モジュールは、ボタンの外面とは逆の形状であり、たとえば溝に対応する突起を有する内周面を含むことができるアダプタ要素を含むことができる。アダプタ要素は、ボタンに形状嵌めおよび/または圧力嵌めされるように構成することができる。アダプタ要素は、別個の部材とすることができ、たとえば電子モジュールの筐体からの成形をより簡単にすることができる。別法として、アダプタ要素は、電子モジュールの筐体の一部とすることができ、たとえば部材をより少なくすること、配送を簡単にすることなどなどができる。形状嵌めおよび圧力嵌めは、簡単な接続手段である。しかし、他の取外し可能な接続、たとえばねじ留め、たとえば電子モジュール上の内側ねじ山および機械モジュール上の外側ねじ山を使用して、電気モジュールを機械モジュールにねじ留めすること、またはその逆を使用することもできる。
【0038】
電子モジュールは、シャーシを含むことができる。シャーシは、環状壁を含むことができ、環状壁は、電子ユニットのためのコンパートメントを形成することができる。シャーシは、電子ユニットを保持することができる。シャーシは、電子ユニットのハウジング部材によって収容することができる。シャーシは、ハウジング部材とは別個の構成要素または要素とすることができ、後述するようにハウジング部材と組み立てることができる。別法として、シャーシは、ハウジング部材に一体とすることができ、たとえば1つの成形部材として形成することができる。別個のシャーシの使用は、別個のシャーシを使用しない組立てと比べて、電子モジュールの組立てをより容易にすることができる。シャーシは、プラスチック材料から作ることができ、好ましくは射出成形によって作製することができる。材料は、検出ユニットによって、たとえば赤外放射に使用される光放射の伝送を可能にするために、印加される波長の放射に対して透明とすることができる。しかし、シャーシに2つの異なる材料を使用することもでき、光学ガイドに使用される材料は、光または電磁放射の関連する波長について、他の材料より高い透過性を有する。
【0039】
少なくとも1つのアダプタ要素を使用することができ、アダプタ要素は、好ましくは少なくとも1つのスナップ嵌め接続によって、ハウジング部材に接続される。アダプタ要素は、電子モジュールを、たとえば上述したような機械モジュール、たとえば刻み付きの表面および/または溝に適合させるために使用することができる。別法として、アダプタ要素は、ハウジング部材と一体形成することができる。シャーシおよび/またはハウジング部材から解放されるように構成された蓋を使用することができる。蓋および/またはアダプタ部材は、たとえばバッテリおよび/または蓄電池を交換するために、電子モジュールから取外し可能とすることができる。
【0040】
本開示のさらなる態様は、機械モジュール、好ましくは前述の実施形態のいずれか1つによるモジュラシステムの機械モジュールに関し、この機械モジュールは:
- 遠位端および近位端と、
- 機械モジュールの遠位端から薬物の用量を設定および/または送達するように構成された機構とを含み、
ここで、機械モジュールは、電気モジュールに機械モジュールの近位端領域内で取外し可能に機械的に連結されるように構成される。
【0041】
したがって、モジュラシステムおよびその実施形態にとって有効な構成、利点、および技術的効果は、機械モジュールにとっても有効である。
【0042】
本開示の次の態様は、電子モジュール、好ましくは前述の実施形態のいずれか1つによるモジュラシステムの電子モジュールに関し、この電子モジュールは:
- 検出器ユニットと、
- 検出器ユニットに動作可能に連結された電子ユニットとを含み、
ここで、電子モジュールは、機械モジュールに機械モジュールの近位端領域内で取外し可能に機械的に連結されるように構成される。
【0043】
したがって、モジュラシステムおよびその実施形態にとって有効な構成、利点、および技術的効果は、電子モジュールにとっても有効である。
【0044】
本開示の一態様は、第1のモジュラシステム内で、薬物送達のために第1の機械モジュール、好ましくは上述した実施形態のいずれか1つによる機械モジュールとともに、電子モジュールを使用すること、好ましくは上述した1つまたはそれ以上の実施形態のいずれか1つによる電子モジュールを使用すること、その後、第2のモジュラシステム内で、第1の機械モジュールと同じタイプである第2の機械モジュールとともに、電子モジュールを使用することに関する。
【0045】
電子モジュールは、第1の機械モジュールがその寿命の終わりに到達した後、たとえば第1の機械モジュールが、設計されたすべての機械的薬物送達動作を行った後、第2の機械モジュールに接続することができる。第1の機械モジュールの寿命の終わりを示す信号を、電子モジュールによって生成することができ、電子モジュールは、薬物送達動作の数を記録または追跡することができ、追跡した数と、電子モジュールのメモリ内に記憶することができる最大数とを比較することができる。電子モジュールは、3つ以上、3つ、4つ、または5つ以上の機械モジュールまたは薬物送達デバイスに使用することができる。電子モジュールを使用することができる薬物送達デバイスの数は、特に単一用量/使用の自動注射器とともに使用される場合、1000または10000以下とすることができる。
【0046】
延長機能および/または光ガイドは、好ましくは同じ材料および均質の材料密度を含む1つの部材として、電子モジュールのシャーシ部材と一体形成することができる。シャーシと延長機能および/または光ガイドとの間には、境界面、好ましくは互いに向けられた法線ベクトルを有する境界面は存在しない。したがって、各電子モジュールについて、1つの単一のシャーシ/光学ガイド部材を作製するだけでよい。
【0047】
キーイング/阻止機能は、電子モジュールの筐体および/または電子モジュールのシャーシとは別個の構成要素とすることができる。キーイング/阻止機能は、電子モジュールおよび/または電子モジュールのシャーシに締結することができる。キーイングおよび/または阻止機能は、少なくとも1つの水密封止要素を含むことができる。水または湿気がPCB(プリント回路板)またはPCBアセンブリ(PCBA)に侵入することを防止することができる。キーイングおよび/または阻止機能を筐体および/またはシャーシに接続するために、プレス嵌め、形状嵌め、滑り嵌め、圧力嵌め、または他の接続手段を使用することもできる。
【0048】
電子モジュールのシャーシは、光パイプと、上述した電子ユニットのためのコンパートメントとの間に、少なくとも1つの壁要素を含むことができる。壁は、ポッティング材料またはポッティング化合物を、延長機能から、たとえば光学ガイドから阻止することができる。壁の底部と、コンパートメント内に配置することができる電子ユニットの基板、たとえばPCB(プリント回路板)との間に、間隙が存在することができる。間隙は、ポッティング材料またはポッティング化合物で充填することができ、シャーシおよびPCBまたは基板を互いに固定することができる。
【0049】
電子ユニットの電子要素のいくつかを、ポッティング化合物によって部分的にのみ取り囲むことができる。独自のハウジングまたはパッケージを含む電子構成要素の場合、完全に覆う必要はない。使用される成形化合物を減らすことができる。成形化合物/材料の硬直化をより速くすることなどができる。
【0050】
インジケータ要素は、機械モジュール、たとえば薬物送達デバイスのクラッチ要素の一部とすることができる。薬物送達デバイス内では、そのようなクラッチ要素が最も近位の可動要素であり、これは選択および/または送達済みの用量のサイズの検出に特に適当である。
【0051】
次の態様は、薬物送達デバイス用のモジュラシステム、好ましくは前述の実施形態または請求項のいずれか1つによるモジュラシステムを使用する方法に関し、この方法は:
- 第1の機械モジュールおよび電子モジュールを組み立て、それによって第1のモジュラシステムを提供することであって、第1の機械モジュールが薬物を含むことと、
- 薬物送達のために第1のモジュラシステムを使用することと、
- 薬物送達後、たとえば分解後、第1の機械モジュールおよび電子モジュールを分離することと、
- 電子モジュール、および第1の機械モジュールと同じタイプの第2の機械モジュールを組み立て、それによって第2のモジュラシステムを提供することと、
- 第2の機械モジュール内に含まれる薬物の薬物送達のために、第2のモジュラシステムを使用することとを含む。
【0052】
好ましくは、電子モジュールは、機械モジュールに機械モジュールの近位端領域内で機械的に連結することができ、または連結可能とすることができる。機械モジュールおよび電子モジュールは、互いに取外し可能に連結/接続することができ、または互いに連結可能/接続可能とすることができる。
【0053】
電子モジュールは、後述する特殊な充填方法を使用して製造された本発明のさらなる態様による電子モジュールとすることができる。したがって、後述する同じ技術的効果、たとえば電気機械または光電子部材/構成要素ならびに電子部材/構成要素の優れた保護が、電子モジュールにも適用される。
【0054】
第1の機械モジュールは、第2の機械モジュールに構造的および/または機能的に同一または類似のものとすることができる。したがって、モジュラシステムおよびその実施形態にとって有効な構成、利点、および技術的効果は、モジュラシステムを使用する方法にとっても有効である。
【0055】
第2部
概要:
さらに、薬物送達デバイスのための電子モジュール、好ましくは上述した実施形態による電子モジュールが提供され、この電子モジュールは:
- 少なくとも1つの構成要素面を含む回路キャリアと、
- 少なくとも1つの構成要素面上に配置された回路網の第1の電気的に動作可能な構成要素と、
- 少なくとも1つの側壁を含むモジュール部材とを含み、
ここで、側壁は、回路キャリアに隣接して配置され、
側壁および回路キャリアは、充填層のための受取り空間の範囲を定めるように協働し、
充填層は、側壁、第1の電気的に動作可能な構成要素、または構成要素面のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべてに接触する。
【0056】
実施形態:
提案される薬物送達デバイスのための電子モジュールは:
- 少なくとも1つの構成要素面を含む回路キャリアと、
- 少なくとも1つの構成要素面上に配置された回路網の第1の電気的に動作可能な構成要素と、
- 少なくとも1つの側壁を含むモジュール部材とを含むことができ、
ここで、側壁は、回路キャリアに隣接して配置され、
側壁および回路キャリアは、充填層のための受取り空間の範囲を定めるように協働し、
充填層は、側壁、第1の電気的に動作可能な構成要素、または構成要素面のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべて、たとえば構成要素面の少なくとも1つの区域/領域に接触する。
【0057】
充填層は、側壁から、第1の電気的に動作可能な構成要素および/または回路キャリアへ延在することができる。充填層は、好ましくは、側壁から、第1の電気的に動作可能な構成要素および/または側壁から回路キャリアへ、連続しておよび/または途切れなく延在することができる。したがって、充填層は、回路キャリアによって保持された第1の電気的に動作可能な構成要素および/またはさらなる電気的に動作可能な構成要素に対する優れた保護を提供することができる。
【0058】
充填層は、下にある表面または隣接する表面のトポグラフィを維持しない非共形の層とすることができる。充填層の厚さは、トポグラフィを維持する共形層の厚さより大きくすることができる。充填層は、電気的に動作可能な構成要素へのアクセスを防止することができ、かつ/または環境的侵入、たとえば塵、湿気などからの保護を提供することができる。
【0059】
充填層の機械的に接触する表面は、回路キャリアおよび/または第1の電気的に動作可能な構成要素の輪郭に共形となることができる。充填層は、電気絶縁層とすることができる。以下の共形機能が存在することができる:
- 充填層の側面は、接触される側壁の表面と同じ輪郭を有することができ、たとえばどちらも円弧状とすることができ、および/または
- 充填層の側面は、たとえば電気的に動作可能な構成要素の円周の全体もしくは少なくとも一部の周りに、電気的に動作可能な構成要素の側面と同じ輪郭を有することができ、たとえば方形の縁部には、充填層内の凹状の縁部と、電気的に動作可能な構成要素上の凸状の縁部とが存在することができ、および/または
- 回路キャリアに隣接する充填層の表面領域(区域)は、回路キャリアの構成要素面と同じ形状/形式を有することができ、たとえばどちらも平面の表面領域とすることができる。
【0060】
モジュール部材は、機械モジュール部材、たとえば導電性構成要素を含まないモジュール部材とすることができる。モジュール部材は、外側ハウジング部材または内側ハウジング部材(モジュールシャーシ)とすることができる。モジュール部材はまた、キャリアとすることができ、たとえばモジュール部材は、機械的接続要素および/または光パイプなどを保持することができる。たとえば、後述する図の説明を参照されたい。
【0061】
モジュール部材および回路キャリアは、互いに別個に製造された2つの部材とすることができる。モジュール部材および回路キャリアは、互いに比較した場合、異なる材料を含むことができる。どちらの部材も、組立てプロセスで組み立てることができる。充填層は、両方の部材を互いに締結することができる。したがって、充填材料は、回路キャリアおよび/またはモジュール部材および/または第1の電気的に動作可能な構成要素に粘着することができる。
【0062】
モジュール部材の側壁は、回路キャリアに対して斜めの側壁、および/または径方向内向きの側壁を含むことができる。したがって、両方の部材が、硬化後に固体充填層を形成する液体充填材料によって少なくとも部分的に充填されるのに適当なウェルを形成することができる。回路キャリアは、ウェルの底部を形成することができる。ウェルは、構成要素側が上向きになるように回路キャリアが配置された場合、底部(回路キャリア)と、モジュール部材の側壁とを含むことができる。充填層の使用は、いくつかの薬物送達デバイス上で電子モジュールを数回使用することを可能にすることができる。したがって、電子モジュール内の電子部材の環境的衝撃およびコストを大幅に低減させることができる。
【0063】
「電気的に動作可能」とは、動作のための電流および/または電圧を使用することを伴うことができる。電気的に動作可能な構成要素は、能動電子要素、たとえばトランジスタ、または受動電子要素(たとえば、キャパシタ、抵抗器、インダクタ)、またはスイッチ、たとえば電気的に動作可能、たとえば電気機械的に動作可能なマイクロスイッチとすることができ、たとえば電流および/または電圧を使用して、スイッチの状態(オンまたはオフ)を検出することが可能である。
【0064】
境界要素と回路キャリアとの間の関係は、充填層および/または追加の機械的支持部材によって、回転不能に固定することができ、かつ/または軸方向に並進運動しないように固定することができる。
【0065】
回路キャリアは、構成要素側から離れる方を向いている回路キャリアの表面上、および/または構成要素側に隣接している表面上に、電気回路網の複数の導電経路を含むことができる。別法または追加として、導電経路は、回路キャリアの2つの主表面間に配置することができる。主表面は、たとえば回路キャリアの側面と比較して、最も大きい表面積を有する表面とすることができる。主表面は、互いに平行にまたは互いに本質的に平行に配置することができる。可撓性または剛性の回路キャリアを使用することができる。
【0066】
回路キャリアは、FR4(難燃性)、たとえばガラス繊維およびエポキシ樹脂材料を含むことができ、またはそのような材料からなることができる。単層または多層の回路板を使用することができる。回路板をプリント回路板と呼ぶことができる。金属、たとえば銅の1つまたはそれ以上のシート層から、導電性のトラック、パッド、および他の機能をエッチングし、非導電性の基板層上および/または非導電性の基板層間に積層することができる。これは、印刷されたように見える。別法として、印刷技術を使用して、プリント回路板を作製することもできる。本説明の第1部では、回路キャリアは基板と呼ばれていた。
【0067】
SMD(表面実装デバイス)を使用して、電子構成要素を回路板にはんだ付けすることができる。別法として、他の接続技法を使用することもできる。
【0068】
側壁は、円周方向に閉じることができ、かつ/またはたとえば側壁の円周全体もしくは円周の少なくとも2分の1に沿って、充填層に隣接することができる。円周は、内周とすることができる。
【0069】
電子モジュールは、回路網の第2の電気的に動作可能な構成要素、および/または回路網の少なくとも1つのさらなる電気的に動作可能な構成要素を含むことができる。以下の構成を実現することができる:
- 第1の構成要素は、構成要素面から測定された第1の構造高さを有し、
- 第2の構成要素は、構成要素面から測定された第2の構造高さを有し、
- 第2の構造高さは、第1の構造高さより大きく、
- 第1の電気的に動作可能な構成要素は、第1の構造高さ以下まで、充填層に埋め込まれ、
- 第2の電気的に動作可能な構成要素は、少なくとも第2の構造高さまで、または第1の構造高さより大きいが第2の構造高さより小さい第3の高さまで、充填層に埋め込まれる。
【0070】
構成要素面は、平面とすることができる。異なる構造高さの結果、構成要素の頂面の特有のトポグラフィまたは3次元プロファイルを得ることができる。このトポグラフィは、平面とは異なることができる。したがって、従来の鋳込みまたはポッティング技法を使用して、充填層を作製することは可能でない。たとえば、充填層が、機械的可動部材の高さを上回る高さまで充填層によって覆わなければならないまたは充填層に埋め込まなければならない他の構成要素より低い構造高さを有する機械的可動部材および/または光部材に到達することを防止する必要がある。
【0071】
第2の高さおよび/または第3の高さは、第1の高さの少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも50パーセント、少なくとも75パーセント、または少なくとも100パーセント、第1の高さより高くすることができる。しかし、一例のみを挙げると、第2の高さは、第1の高さの1000パーセント未満とすることができる。
【0072】
したがって、第1の構成要素(より浅い構成要素)は、充填層の充填材料によって覆われない。第2の構成要素(より高い構成要素)は、充填層の充填材料によって覆うことができる。
【0073】
構造高さは、構成要素が回路キャリアの構成要素面に距離をあけずに取り付けられた場合、カタログに与えられる高さと同一とすることができ、またはそのような高さに対応することができる。構成要素の下面と構成要素面との間に空間が存在する場合、たとえば組立てを容易にするために、たとえばより長いコンタクト配線が使用される場合、カタログに与えられる高さに対する逸脱が存在することができる。
【0074】
充填層は、構成要素面に直交する第1の断面に、第1のプロファイルを含むことができる。第1の断面において、充填層の厚さは、中心領域と比べて、2つの周辺領域内でより小さくすることができる。第1の電気的に動作可能な構成要素は、周辺領域のうちの1つに配置することができる。充填層は、構成要素面および第1の断面に直交する第2の断面に、第2のプロファイルを含むことができる。第2の断面において、充填層の厚さは、中心領域と比べて、2つの周辺領域内でより小さくすることができる。第2の電気的に動作可能な構成要素は、中心領域内に配置することができる。充填層の第1のプロファイルは、高粘性充填材料および/または中心領域から周辺領域へ流れる前に硬直化もしくは硬化させられた充填材料を使用した結果である。したがって、容易に実現できるポッティング方法が提供され、たとえば中心領域または充填材料が最初に充填される別の周辺領域と比べて、周辺領域内の充填高さをより低くすることが有効になる。充填層の自由面、たとえば構成要素面から離れる方を向いている表面の形状は、高粘性の充填層を使用し、かつ/または第1の構成要素上の第1の高さに到達する前に充填層を硬化した結果である。一実施形態では、充填層の各周辺領域は、ある中心領域またはこの中心領域と比べて、より低い高さの充填層を有することができる。
【0075】
別法として、充填層は、構成要素面に直交する第1の断面に、第1のプロファイルを含むことができる。第1の断面において、充填層の厚さは、周辺領域のうちの第1の周辺領域内の第1の厚さから、中心領域内の第2の厚さ、周辺領域のうちの第2の周辺領域内の第3の厚さまで増大することができる。第1の電気的に動作可能な構成要素は、周辺領域のうちの第1の周辺領域内に、たとえばより低い充填する高さまたは厚さの充填層を有する領域内に配置することができる。好ましくは、充填層は、構成要素面および第1の断面に直交する第2の断面に、第2のプロファイルを含むことができる。第2の断面において、充填層の厚さは、一定とすることができ、またはたとえば構成要素面から測定された充填層の最大充填高さ/厚さから、2パーセント以下もしくは5パーセント以下だけ逸脱することができる。
【0076】
したがって、充填層は、構成要素面から離れる方を向いている表面を含むことができる。構成要素面から離れる方を向いている充填層の表面と、構成要素面との間の傾斜角は、少なくとも5度、少なくとも10度、または少なくとも15度とすることができる。一例のみを挙げると、傾斜角は40度未満とすることができる。傾斜角および/または第1のプロファイルは、水平面に対する回路キャリアの傾斜角を使用した回路キャリア上への充填材料の鋳込みの結果である。これは、異なる厚さの充填層を有するため、および同等に浅い構成要素、たとえば機械的可動部材を有する構成要素が、充填層によって覆われないことを確実にするための、簡単な方策である。
【0077】
傾斜面は、本質的に平面とすることができ、かつ/または少なくとも2つの電気的に動作可能な構成要素を介して横方向に延在することができ、かつ/または回路キャリアもしくは構成要素面に対して平行もしくは本質的に平行(製造公差範囲内)とすることができる第2の電気的に動作可能な構成要素の平面を介して横方向に延在することができる。
【0078】
代替実施形態では、電子モジュールは、この場合も、回路網の第2の電気的に動作可能な構成要素を含むことができる。第1の電気的に動作可能な構成要素は、この場合も、構成要素面から測定された第1の構造高さを有することができる。第2の電気的に動作可能な構成要素は、この場合も、構成要素面から測定された第2の構造高さを有することができる。第2の構造高さは、第1の構造高さより大きくすることができる。第1の電気的に動作可能な構成要素および/または第2の電気的に動作可能な構成要素は、第1の構造高さ以下まで、充填層に埋め込むことができる。第2の電気的に動作可能な構成要素は、充填層と少なくとも1つのさらなる封止要素との組合せによって封止することができ、少なくとも1つのさらなる封止要素は、充填層とは異なり、好ましくは充填層の材料および/もしくは充填層の厚さに関して異なり、かつ/または充填層と比べて別の構成要素、たとえば別のタイプの保護機能である。2つの封止機能の組合せは、小さい厚さの充填層を可能にする高度な封止技法の実現を可能にすることができる。
【0079】
第2の高さは、第1の高さの少なくとも10、20、30、50、75、または100パーセント、第1の高さより高くすることができる。一例のみを挙げると、第2の高さは、1000パーセント以下で第1の高さより高くすることができる。構造高さは、構成要素が構成要素面に距離をあけずに取り付けられた場合、電気的に動作可能な構成要素に対してカタログに与えられる構造高さと同一とすることができ、またはそのような構造高さに対応することができる。たとえばより長いコンタクト配線の使用のために、構成要素の下面と構成要素面との間に空間が存在する場合、カタログに与えられる構造高さに対する逸脱が存在することができる。
【0080】
さらなる封止要素は、被覆層とすることができる。第2の電気的に動作可能な構成要素は、回路キャリアから最も離れた表面上、また少なくとも部分的にその側面上に、被覆層を含むことができる。被覆層は、充填層まで延在することができ、かつ/または充填層に接触することができる。構成要素の頂面は、回路キャリアの表面の方を向いているまたは表面キャリアに隣接している底面とは反対に位置する表面とすることができる。被覆層は、第2の構成要素の底面を覆わない。
【0081】
場合により、被覆層は、構成要素面まで延在することができ、かつ/または構成要素面に接触することができる。これは、第2の電気的に動作可能な構成要素が、回路キャリア上、たとえば構成要素面上にすでに取り付けられた状態で、第2の電気的に動作可能な構成要素に被覆層が施されている場合に当てはまる。
【0082】
被覆層は、第2の電気的に動作可能な構成要素が取り付けられる前に施すことができ、または第2の電気的に動作可能な構成要素が回路キャリアに取り付けられた後に施すことができる。被覆層は、構成要素の側壁を、部分的にのみ、たとえば不完全に、または完全に覆うことができる。第2の構成要素が回路キャリア上に取り付けられた後に被覆層が施された場合、第2の構成要素の突出した機能を被覆層によって保護し、構成要素面に近い領域、特に隣接する構成要素間のスロットまたは狭い空間内の領域を、充填層によって保護することが可能である。
【0083】
共形被覆方法を使用して、被覆層を作製することができる。共形とは、表面のトポグラフィ(3次元プロファイル)が、被覆層、たとえば縁部(細長い縁部)および隅部内で維持されていることを意味することができる。被覆層と充填層を組み合わせて使用することで、高度な封止もしくは保護手法を有効にすることができ、かつ/または充填層を作製するための充填材料の量を低減させることを可能にすることができる。さらに、追加の被覆層を使用することで、たとえば機械および/または光学要素を含む浅い構成要素を覆わないように、また同等に大きい構造高さを有する少なくとも1つの構成要素を封止しないように、小さい厚さを有する充填層を使用することを可能にすることができる。
【0084】
被覆層は、簡単な製造を有効にするために、好ましくは1つの被覆材料のみの被覆材料を含むことができ、またはそのような被覆材料からなることができる。被覆材料は、シリコーンを含むことができ、またはシリコーンからなることができる。シリコーンは、耐水性を有し、かつ/または機械的衝撃を減衰させる。被覆層、たとえばMasterBond(商標)、たとえば医療デバイスおよび/または薬物送達デバイスでの適用に適当なUV(紫外線硬化性)10-MEDを作製するために、噴霧を使用することができる。
【0085】
別法として、さらなる封止要素は、モジュール部材と一体の第2の電気的に動作可能な構成要素のための一体カバーとすることができる。第2の構成要素は、一体カバー、ならびに少なくとも部分的および/または完全に一体カバーが埋め込まれた充填層によって封止することができる。
【0086】
それにもかかわらず、モジュール部材が回路キャリアの片側のみに配置された場合、および/または回路キャリアが、一体カバーを含む側とは反対に位置する側から境界要素に挿入された場合、一体カバーは容易な組立てを可能にすることができる。
【0087】
他の実施形態では、他の方策によって第2の構成要素の周りに充填材料を施す前、第2の構成要素のカバーは、モジュール部材と一体ではなく保持されている。充填材料が施された後、充填材料によってカバーを保持または固定することができる。いずれの場合も、カバーと第2の構成要素との間の少なくとも一方の側またはすべての側に、横方向および/または軸方向の空間が存在することができる。
【0088】
カバーと充填層を組み合わせることで、構造高さの著しい差を有する構成要素の容易な封止を可能にすることができる。
【0089】
一体カバーは、少なくとも1つの平坦面を含むことができる。平坦面は、マーキングを含むことができ、かつ/またはラベル、たとえば紙のラベル、および/もしくはプラスチックのラベル、もしくはプラスチックで被覆されたラベルを保持することができる。平坦面は、回路キャリアの主表面に平行に、たとえば構成要素面に平行に配置することができる。マーキングは、レーザマーキング、たとえばレーザを使用してカバーの材料に溶け込ませたマーキングとすることができる。マーキングは、印刷することができ、たとえばパッド印刷プロセスによって施されたマーキングとすることができる。マーキングおよび/またはラベルを保持する表面は、カバーの外面とすることができる。マーキングは、モジュールのタイプおよび/または品質クラスおよび/またはシリアル番号を識別することができる。
【0090】
充填層とは異なるさらなる封止要素を使用する実施形態では、充填材料は、回路キャリアに平行または本質的に平行とすることができる自由平面を形成することができる。したがって、充填層の充填材料の鋳込み中にモジュールを傾斜させる必要がなく、かつ/または急速硬化を使用する必要がない。本質的に平行とは、自由面と構成要素面との間の傾斜角が0~3度または0~1.5度の範囲内であることを指すことができる。
【0091】
自由面および/または平面は、回路キャリアから離れる方を向くことができる。この自由面は、回路キャリアと充填材料との間の境界を形成する、回路キャリアの構成要素面に隣接している充填材料の下部境界面とは異なることができる。
【0092】
モジュール部材は、回路キャリア上の少なくとも1つの発光構成要素によって生成された光を案内するように構成することができる少なくとも1つの光学案内構造を含みまたは保持することができる。したがって、使用者によって設定された用量、および/または電子モジュールが取り付けられたもしくは電子モジュールがその一部である薬物送達デバイスによって注射された用量を検出するセンサを実装するために、光ガイドまたは光パイプを使用することができる。密集した部材を含む薬物送達デバイスの可動部材の動きの検出を可能にする狭い孔またはスリットのみが存在する。
【0093】
第1の構成要素は、電気機械構成要素のハウジングまたは電気機械構成要素の別の部材に対して可動である少なくとも1つの可動部材を含む電気機械構成要素とすることができる。第1の構成要素は、たとえばスイッチ、機械スイッチ、マイクロスイッチなどとすることができ、またはそのようなスイッチを含むことができる。別法として、第1の電気的に動作可能な構成要素は、電気光学構成要素とすることができる。電気光学構成要素は、発光ダイオード(LED)、赤外ダイオード(IR)、フォトセンサなどとすることができ、またはこれらを含むことができる。
【0094】
第2の電気的に動作可能な構成要素は、電子構成要素、たとえば可動および/または光学部材を含まない構成要素とすることができる。したがって、第2の構成要素は、好ましくは、純粋に電子の構成要素、たとえば抵抗器、キャパシタ、インダクタ、トランジスタ、集積回路とすることができる。別法として、第2の構成要素は、集積回路、たとえばBluetooth(商標)もしくはZigBee(商標)の送信器および/もしくは受信器、ならびに/または別の伝送プロトコルによる送信ユニットとすることができ、またはこれらを含むことができる。
【0095】
第1の構成要素は、周辺部に配置することができ、または第2の構成要素の場所と比べて、回路キャリアのより周辺部に配置することができる。第2の構成要素は、第1の構成要素の場所と比較した場合、より中心に配置することができる。したがって、好ましくは粘性の充填材料を使用する変形形態または充填中に傾斜を伴う変形形態の場合、充填材料を中心に注ぐまたは落とすことができる。どちらの変形形態も上述した。技術的効果は、たとえば第1の構成要素の可動構成要素が充填材料によって阻止されないことである。それにもかかわらず、充填層によって、他の構成要素の適当な封止を提供することができる。
【0096】
電子モジュールは:
- モジュール部材もしくは機械キャリアによって保持された電源、および/または
- モジュール部材もしくは機械キャリアによって保持された薬物送達デバイスからの薬物の送達を開始するために押圧されるように構成された送達面を含む送達ボタンであって、
送達面が、好ましくは、回路キャリアに本質的に平行に配置され、もしくは回路キャリアに平行に配置される、送達ボタン、および/または
- 送達のための薬物(Dr)の用量を設定するために使用されるように構成された横方向設定面であって、
好ましくは、設定面が電子モジュールの軸から径方向に向いている、横方向設定面、のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてを含むことができる。
【0097】
送達面は、軸方向(近位)に向いている表面とすることができる。電子モジュールが薬物送達デバイス上に配置されている場合、電子モジュールの主軸は、薬物送達デバイスの長手方向軸の線形延長部上に配置することができる。したがって、電子モジュールの主軸を長手方向軸と呼ぶこともできる。しかし、電子モジュールの長手方向の長さは、たとえばその直径と比べて、同等に短くすることができ、たとえばより短くすることができる。
【0098】
電源は、バッテリ(再充電不能)もしくは蓄電池(再充電可能)を含むことができ、またはバッテリ(再充電不能)もしくは蓄電池(再充電可能)とすることができる。送達面は、たとえば、回路キャリアおよび/またはバッテリ/蓄電池の主表面に平行に配置することができる。したがって、電子モジュールの構成要素は、隣接する構成要素間にわずかな距離だけをあけて密集させることができる。このようにして、全体的な組立て空間を小さく抑えることができる。
【0099】
設定面は、たとえば送達面に対して、たとえば80度~100度の範囲内の角度で傾斜させることができる。したがって、たとえば電子モジュールを含みまたは電子モジュールが取り付けられた薬物送達デバイスの主軸に対応することができる電子モジュールの主軸の周りで、設定面を回転させることによって、薬剤または薬物の用量の設定を可能にすることができる。
【0100】
本発明のさらなる態様は、薬物送達デバイスのための電子モジュールを製造する方法に関し、この方法は:
- 少なくとも1つの構成要素面を含む回路キャリアを提供することであって、
回路キャリアが、少なくとも1つの構成要素面上に回路網の第1の電気的に動作可能な構成要素を保持することと、
- 少なくとも1つの側壁を含むモジュール部材を提供することと、
- 回路キャリアに隣接して側壁を配置することによって、ウェルを形成することと、
- 第1の構成要素と側壁との間のウェル内へ、充填層の充填材料を鋳込みまたは流込みまたは充填することとを含む。
【0101】
液体または粘性の充填材料を使用して、充填層を形成することができる。電子モジュールは、充填層を提供した後または充填層を提供する前に組み立てることができる。
【0102】
モジュール部材は、筐体/ハウジングまたはシャーシ、たとえば電子モジュールの外側ハウジングによって取り囲まれた内側筐体、内側支持構造、または内側ハウジングとすることができる。
【0103】
対応する機能が実現される場合、電子モジュールに関して上述した同じ技術的効果をこの方法にも適用することができる。
【0104】
回路キャリアはまた、回路網の第2の電気的に動作可能な構成要素を保持することができる。
【0105】
この方法は:
(a)第1の電気的に動作可能な構成要素が、第1の構造高さ以下まで、充填層に埋め込まれたこと、および第2の電気的に動作可能な構成要素が、少なくとも第2の構造高さ、もしくは第1の構造高さより大きいが好ましくは第2の構造高さより小さい少なくとも第3の高さまで、充填層に埋め込まれたことを確実にすること、または
(b)第2の電気的に動作可能な構成要素が、充填層および充填層とは異なる少なくとも1つのさらなる封止要素の組合せによって封止されたことを確実にすることをさらに含むことができる。
【0106】
この方法は、上述した実施形態の1つによる電子モジュールを作製するために使用することができる。
【0107】
この方法は:
(a1)高粘性の充填層および/またはエネルギー放射硬化を使用して、第1の構成要素のレベルまで上昇する前に、充填層が硬化および/または硬直化することを確実にすることと、
(a2)充填層の鋳込み中にウェルおよび/またはモジュールおよび/または回路キャリアを傾斜させることと、
(b1)第2の電気的に動作可能な構成要素上で被覆層を使用することと、
(b2)モジュール部材上で一体カバーを使用して、第2の電気的に動作可能な構成要素を封止することと、のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または4つすべてを含むことができる。
【0108】
たとえばa1)およびa2)の組合せを使用することができる。変形形態a1、a2、b1、および/またはb2の他の組合せも同様に可能である。
【0109】
現在好ましい実施形態の作製および使用について、以下に詳細に論じる。しかし、本開示は、多種多様な特有の状況で実施することができる多くの適用可能な概念を提供することを理解されたい。論じる特有の実施形態は、開示する概念を作製および使用するための特有の方法の単なる例示であり、特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。
【0110】
さらに、別途記載のない限り、同じ参照番号は同じ技術的機能を指す。本出願で「may」が使用される限り、それを行う可能性ならびに実際の技術的実装を意味する。本開示の概念について、より特有の状況、すなわち薬物送達デバイス、特に人間または動物用の薬物送達デバイスにおける好ましい実施形態に関して以下に説明する。しかし、開示する概念はまた、他の状況および/または配置にも同様に適用することができる。
【0111】
上記では、本開示の実施形態の構成および技術的利点について、かなり大まかに概説した。本開示の実施形態、たとえば従属請求項の主題の追加の構成および利点については、以下に説明する。開示する概念および特有の実施形態は、本明細書に具体的に論じる概念と同じまたは類似の目的を有する概念を実現するように他の構造またはプロセスを修正または設計するための基本として容易に利用することができることを、当業者には理解されたい。また同等の構造も、添付の特許請求の範囲に画成される本開示の精神および範囲から逸脱しないことを、当業者には認識されたい。
【0112】
本明細書に開示する概念およびその利点のより徹底的な理解のために、以下の説明を添付の図面とともに次に参照されたい。これらの図面は原寸に比例して描かれていない。図面では以下の内容が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】第1の実施形態によるモジュラシステムの図である。
【
図2】第2の実施形態のモジュラシステムの図である。
【
図3】第3の実施形態のモジュラシステムの図である。
【
図4】第4の実施形態のモジュラシステムの図である。
【
図6】高粘性の充填材料を使用する、第1の充填実施形態によるモジュラシステムの電子モジュールの製造中の方法工程の図である。
【
図7】充填前に施された共形の被覆を使用する、第2の充填実施形態によるモジュラシステムの電子モジュールの製造中の方法工程の図である。
【
図8】追加のカバー、好ましくはシャーシに一体のカバーを使用する、第3の充填実施形態によるモジュラシステムの電子モジュールの製造中の方法工程の図である。
【
図9】充填中に電子モジュールの傾斜を伴う、第4の充填実施形態によるモジュラシステムの電子モジュールの製造中の方法工程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1は、第1の実施形態によるモジュラシステム98を示す。モジュラシステム98は、薬物送達デバイス100を含むことができ、薬物送達デバイス100は、容器保持部材101および主ハウジング部材102を含むことができる。容器保持部材101は、薬物Drを含むことができる。主ハウジング部材102は、容器保持部材101を完全または部分的に収容しまたは取り囲むことができ、薬物送達デバイス100のさらなる部材を含むことができる。別法として、主ハウジング部材102は、容器保持部材101に接続されるが、容器保持部材101を取り囲んでおらず、さらには容器保持部材101(
図1の破線参照)の部材も取り囲まない。
【0115】
主ハウジング部材102内には、以下の構成要素を配置することができる:
- 容器保持部材101内に配置することができるピストンを動かすように適用されたピストンロッド104、
- ピストンロッド104のための駆動機構106。駆動機構106は、エネルギー蓄積要素、たとえば各使用前に手動で負荷が加えられるばねを含むことができる。別法として、たとえば薬物送達デバイス100の組立て中に、エネルギー蓄積要素に負荷を加えることができる。別法として、手動駆動式の駆動機構を使用することができ、たとえばピストンロッド104を駆動するために使用されるエネルギー蓄積要素を含まない。
- たとえば、近位端Pに位置し、容器保持部材101内へのピストンロッド104の動きの開始のために使用され、それによって駆動機構106が使用される、作動要素108。別法として、可動のニードルシュラウド(図示せず)の軸方向運動によって作動される自動注射デバイスを使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物Drの用量のサイズまたは量をダイヤル設定するために、作動要素または投薬要素を使用することができる。
- 主ハウジング部材102または薬物送達デバイス100の別の部材に取り付けることができるキャップ112。キャップ112は、外側キャップとすることができ、外側キャップは、針110を直接保護するより小さい内側キャップを含むことができる。
【0116】
薬物送達デバイス100が自動注射器ではない場合、ダイヤルスリーブを主ハウジング102から繰り出すことができ、使用者は、プランジャ104を遠位に動かして薬物Drを注射するように、ダイヤルスリーブを押圧することができる。
【0117】
薬物送達デバイス100は、1回だけ使用できるまたは複数回使用できるデバイスとすることができる。
【0118】
薬物Drは、針110を通って、または薬物送達デバイス100の遠位端Dに接続可能および/もしくは接続済みのノズルを通って、容器から投薬することができる。針110は、各使用前に交換することができ、または複数回使用することができる。
【0119】
モジュラシステム98は、薬物送達デバイス100の近位端領域P、たとえば作動要素108の近位端領域Pに機械的に接続された電子モジュール120を含むことができる。モジュラシステム98について、以下により詳細に説明する。
図2および対応する説明を参照されたい。
【0120】
電子モジュール120は、薬物送達デバイス100だけではなく、薬物送達デバイス100に類似または同一の他の薬物送達デバイスにも使用することができる。したがって、電子モジュール120は、異なるモジュラシステム98内の異なる薬物送達デバイスなどとともに複数回使用される。さらに、薬物送達デバイス100の直径は、電子モジュール120によって増大されず、モジュラシステム98、特に薬物送達デバイス100の優れた取扱いが促進される。
【0121】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0122】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0123】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0124】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0125】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0126】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0127】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0128】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0129】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0130】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0131】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0132】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0133】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0134】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本開示に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0135】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0136】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0137】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0138】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するAPI、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびそのあらゆる均等物も包含することが、当業者には理解されよう。
【0139】
例示的な薬物送達デバイスは、ISO11608-1:2014(E)の第5.2章の表1に記載されている針ベースの注射システムを伴うことができる。ISO11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注射システムは、多用量の容器システムと、単用量(部分または全放出)の容器システムとに大まかに区別することができる。容器は、交換可能な容器または一体化された交換不能の容器とすることができる。
【0140】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、多用量の容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注射デバイスを伴うことができる。そのようなシステムでは、各容器が複数の用量を保持し、複数の用量のサイズは、固定または可変(使用者による事前設定)とすることができる。別の多用量の容器システムは、一体化された交換不能の容器を有する針ベースの注射デバイスを伴うことができる。そのようなシステムでは、各容器が複数の用量を保持し、複数の用量のサイズは、固定または可変(使用者による事前設定)とすることができる。
【0141】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、単用量の容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注射デバイスを伴うことができる。そのようなシステムに対する一例では、各容器が単一の用量を保持し、それによって送達可能な体積全体が排出される(全放出)。さらなる例では、各容器が単一の用量を保持し、それによって送達可能な体積の一部分が排出される(部分放出)。同じくISO11608-1:2014(E)に記載されているように、単用量の容器システムは、一体化された交換不能の容器を有する針ベースの注射デバイスを伴うことができる。そのようなシステムに対する一例では、各容器が単一の用量を保持し、それによって送達可能な体積全体が排出される(全放出)。さらなる例では、各容器が単一の用量を保持し、それによって送達可能な体積の一部分が排出される(部分放出)。
【0142】
図2は、第1の実施形態と同じにすることができる第2の実施形態のモジュラシステム200を示す。しかし、さらなる詳細を
図2に示す。モジュラシステム200は、たとえば、上述したハウジング部材102に対応することができるハウジング部材102cを含むことができる。作動要素108cは、上述した作動要素108に対応することができる。
【0143】
モジュラシステム200の近位部材Pは:
- 径方向に突出する機能204、たとえばスプロケットまたはスプロケットスリーブの歯を含むことができるクラッチ要素202または他の回転可能もしくは可動要素と、
- 作動要素108の側壁を囲むことができる本質的に環状のアダプタ要素210と、
- 電子モジュール120に対応することができ、以下により詳細に説明する電子ユニット240を含むことができる、電子モジュール220と、
- 電子モジュール220の環状の筐体またはハウジング221と、
- 電子モジュール220内のシャーシ222であって、電子ユニット240および/またはいくつかの他の部材のためのコンパートメントを取り囲む環状壁249を含むことができる、シャーシ222と、
- 電子モジュール220の蓋224とを含むことができる。
【0144】
ハウジング221およびアダプタ要素210を接続するために、フックを使用することができる。たとえば、フック226、たとえばスナップ嵌め接続を参照されたい。別法として、他の接続手段を使用することもでき、またはハウジング221およびアダプタ要素210を1つの単一の部材として一体形成することもできる。
【0145】
電子モジュール220内には:
- バッテリ230または再充電可能な蓄電池と、
- PCBA(プリント回路板アセンブリ)を形成することができる電子ユニット240とを含むことができる。
【0146】
電子ユニット240は:
- 特許請求の範囲で基板と呼ぶことができるプリント回路板242(PCB)と、
- 少なくとも1つの光源264、たとえばIR(赤外)光源、または2つの光源と、
- 少なくとも1つの光センサ266または少なくとも2つの光センサと、
- 送信器ユニット270、たとえばスマートフォンまたは他のコンピュータデバイスとの通信のために、Bluetooth(登録商標)プロトコルに従って動作するたとえば送信器ユニット270と、
- 受信器ユニット272、たとえばスマートフォンまたは他のコンピュータデバイスとの通信のために、たとえばBluetooth(登録商標)プロトコルに従って動作する受信器ユニット272と、
- 任意選択のスイッチ274、たとえばマイクロスイッチとを含むことができる。
【0147】
図2は、モジュラシステム200の長手方向軸Aを示す。電子モジュール220は、対応する薬物送達デバイスの作動要素108cの近位に配置することができる。電子モジュール220および作動要素108cは、軸Aに対して対称に配置され、それによって電子モジュール220および作動要素108cは、主にアダプタ要素210を介して、互いに物理的に接触する。アダプタ要素210は、作動要素108cに機械的に差し込むことができる。
【0148】
シャーシ222は:
- 環状壁249の3つの環状壁部分244、246、および248と、
- シャーシ222、同時に環状壁部分248の遠位端250と、
- シャーシ222の壁252と、
- 少なくとも1つの光学ガイド254、または光学ガイド254と同じ形状および/もしくは被覆を有することができる少なくとも2つの光学ガイドとを含むことができる。
【0149】
光学ガイド254は、被覆256(たとえば、説明の第1部参照)、たとえば金属被覆および/または炭素繊維被覆および/または軟質被覆で被覆することができる。
【0150】
壁252および環状壁部分248の一部によって、光学ガイド254の近位部材またはベース部材の周りに、カップ状の構造を形成することができる。カップ状の構造は、カップ状の構造の底部であると見なすことができる横方向に延在するより薄い部分259を含むことができる。より薄い部分259は、光源264、たとえばIR、および光センサ266の近くであるが遠位に配置することができる。より薄い部分259にリブ260を配置することができ、リブ260は、プリント回路板242まで近位Pに延在することができる。リブ260は、光源264、たとえばIR、および/または光センサ266に隣接することができる。プリント回路板242と、壁252のより薄い部分259および/または近位部分もしくは底部との間に、間隙262が存在することができる。間隙262は、ポッティング化合物/材料282で充填することができる。リブ260は、ポッティング化合物/材料282が溶融状態にある場合、光源264、たとえばIR、および/または光センサ266をポッティング化合物/材料282から保護することができる。したがって、間隙262によって、ポッティング化合物/材料282とシャーシ222との間の接触面を増大させることができ、シャーシ222とポッティング化合物282またはポッティング材料との間の機械的接続が促進される。
【0151】
一連の環状壁部分244、246、および248は、環状壁249の近位端Pから遠位端へこの順序で存在することができる。環状壁部分244は、蓋224の直径に対応する第1の直径を有することができる。環状壁部分246は、第1の直径より小さい第2の直径を有することができる。第2の直径は、プリント回路板242(PCB)の直径に対応することができる。さらに、環状壁部分248は、第2の直径より小さい第3の直径を有することができる。
【0152】
PCB242から測定される充填高さ280は、2mm~7mmの範囲内とすることができる。ポッティング化合物282または材料の充填高さ280は、適当に選択することができ、たとえば電子ユニット240の電気部材のうちのいくつかの一部のみを覆うように選択することができる。環状壁部分248の遠位端250の内側は、ポッティング化合物282または別のポッティング材料によって覆われていない。しかし、環状壁部分248の内側のより近位の領域は、ポッティング化合物282または別のポッティング材料への接触を有することができる。ポッティング中、表面印刷板242はポッティング化合物282の下に位置し、環状壁部分248が、溶けたまたは可鍛性のポッティング化合物に対する横方向の境界を形成する。ポッティング化合物282の硬直化後、この場合もすべての方向に、たとえば
図2に示す方向または位置に、シャーシ222を配置することができる。ポッティング化合物282またはポッティング材料は、絶縁体とすることができる。壁252は、ポッティング中に光学ガイド254のベース部材をポッティング化合物/材料282から保護することができる。
【0153】
シャーシ222は、
図3および
図4に説明するキーイング/阻止機能に類似したキーイング/阻止機能を含むことができる。別法として、シャーシ222は、そのようなキーイング/阻止機能を含まないことがある。
【0154】
図3は、第1のモジュラシステム98または第2のモジュラシステム200に類似することができる第3の実施形態のモジュラシステム300を示す。モジュラシステム300は:
- シャーシ222(
図2参照)に類似または同一とすることができる電子モジュールのシャーシ222aと、
- シャーシ222aから遠位に延在するキーイングおよび/または阻止機能K1a、たとえば環状リングとを含むことができる。
【0155】
作動/調整要素108または108cに類似または同一とすることができる作動/調整要素108a上に、逆の形状のキーイング機能K1bが存在することができる。さらに、作動/調整要素108aを保持する薬物送達デバイスは、薬物送達デバイス100に類似または同一とすることができる。逆の形状のキーイング機能K1bは、環状溝とすることができ、この環状溝は、環状リングK1aと本質的に同じまたはそれよりわずかに小さい内径と、環状リングK1aと同じまたはそれよりわずかに大きい外径とを有する。
【0156】
環状リング311によって、光学ガイド254a、258aのための外側環状溝310を、キーイング機能K1bの環状溝から分離することができる。シャーシ222aおよび/または対応する電子モジュールが、作動/調整要素108aを保持する薬物送達デバイス上に、たとえば作動/調整要素108a上に、取り付けられまたは組み立てられている場合、光学ガイド254a、258aは、環状溝310内へ延在することができる。光学ガイド254a、258aは、たとえばシャーシ222a内の回路板から測定されるキーイング/阻止機能K1aと同じ長さだけ延在することができる。別法として、光学ガイド254a、258aは、キーイング/阻止機能よりわずかに短くすることができる。別法として、1つの光学ガイド254aまたは258aのみを使用することもできる。
【0157】
作動/調整要素108aを含む薬物送達デバイスの長手方向軸Aに、任意選択の中心円筒形部分312を配置することができる。中心円筒形部分312は、薬物送達デバイスへの塵、水、および/または湿気の侵入を防止することができる。
【0158】
シャーシ222a上では、フック320~324および/または回転阻止要素を使用することができる。フック320~324および/または他の回転阻止要素は、作動/調整要素108aの外周面にある溝330と協働することができる。別法として、アダプタ要素210(
図2参照)に対応するアダプタ要素を使用することができる。この実施形態では、互いに同じ円周方向または角度方向の距離を有する3つのフック320~324および/または回転阻止要素が使用される。しかし、4つ以上または2つ以下のフック320~324および/または回転阻止要素を使用することもできる。
【0159】
シャーシ222aを作動/調整要素108aに接続するために、任意選択のさらなるクリップ接続326aおよび326bまたは他の接続要素を使用することができる。クリップ接続326aは、シャーシ222aを作動/調整要素108aから解放するために、使用者が開くことができる。
【0160】
代替実施形態では、作動/調整要素108a、たとえば環状リング311上に、キーイング機能K1aを配置することができ、シャーシ222aが、対応する環状溝を含むことができる。
【0161】
図4は、第4の実施形態のモジュラシステム400を示す。以下の構成要素は、第3の実施形態のモジュラシステム300の構成要素に対応することができる:
- 電子モジュールのシャーシ222bは、シャーシ222aに対応することができ、
- 作動/調整要素108bは、作動/調整要素108aに対応することができ、
- 光学ガイド254b、258bは、光学ガイド254a、258aに対応することができ、
- 外側環状溝410は、外側環状溝310に対応することができ、
- 中心円筒形部分412は、後述する修正を除いて、中心円筒形部分312に対応することができ、
- 任意選択のフック420~424および/または回転阻止要素は、シャーシ222aのフック320~324および/または回転阻止要素に対応することができ、
- 任意選択のさらなるクリップ接続426aおよび426bは、任意選択のさらなるクリップ接続326aおよび326bに対応することができる。
【0162】
シャーシ222bは、突出するキーイング機能K2aを含むことができ、キーイング機能K2aは、十字形に配置された2つの板状要素を含むことができる。作動/調整要素108b上の逆の形状のキーイング機能K2bは、逆の形状のキーイング/阻止機能K2bへのキーイング/阻止機能K2aの挿入を可能にする2つの対応するスリット411a、411bを含むことができる。スリット410および411間の角度は、90度の値を有することができる。しかし、他の角度を使用することもできる。
【0163】
キーイング/阻止機能K2aおよび逆の形状のキーイング/阻止機能K2bは、シャーシ222のための回転防止機能を実現することができる。したがって、フック420~424および/または回転阻止要素は、任意選択とすることができる。
【0164】
代替実施形態では、作動/調整要素108b上にキーイング機能K2aを配置することができ、シャーシ222bが、対応するスリットを含むことができる。
【0165】
したがって、シャーシ222aは、キーイングおよび/または阻止機能K1b、すなわち環状溝を含む薬物送達デバイスのみに嵌り、キーイングおよび/または阻止機能K2b、すなわち2つの十字形のスリット410、411を含む薬物送達デバイスには嵌らない。同様に、シャーシ222bは、キーイングおよび/または阻止機能K2bを含む薬物送達デバイスのみに嵌り、キーイングおよび/または阻止機能K2aを含む薬物送達デバイスには嵌らない。
【0166】
図5は、電子ユニット500、たとえば電子ユニット240を概略的に示す。電子ユニット500は:
- 少なくとも1つのプロセッサPrまたは別の制御ユニットと、
- メモリMem、たとえば揮発性および/または不揮発性記憶メモリと、
- バッテリBatまたは再充電可能な蓄電池または任意の他の電源と、
- たとえばスマートフォンまたは他のコンピュータデバイスとの通信のための、出力デバイスOut、たとえば送信ユニットと、
- たとえばスマートフォンまたは他のコンピュータデバイスとの通信のための、任意選択の入力デバイスInと、
- スイッチSwと、
- 少なくとも1つのセンサSまたは少なくとも2つのセンサ、好ましくは光センサとを含むことができる。
【0167】
電子ユニット500内には、示されていないさらなる部材、たとえば放射源、特に光源を含むことができる。
【0168】
プロセッサPrは、メモリMに記憶されたプログラムの命令を実行するマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサとすることができる。別法として、プログラムの命令を実行しない有限状態機械を実装するために、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、PLA(プログラマブル論理アレイ)、PLD(プログラマブル論理デバイス)、または別の適当な回路網を使用することもできる。
【0169】
電子ユニット500は、直交エンコーダ、たとえば2つのセンサ信号間の180度の位相ずれ、たとえば逆位相センサ信号を有する2つのセンサの振幅変調を使用するエンコーダを実装することができる。別法として、他の感知方法を使用することもできる。
【0170】
様々な実施形態によれば、2つの代替の感知動作モードが存在することができる。第1の代替手段によれば、たとえばクラッチ要素202上のエンコーダリングの符号化領域の周期性の2分の1の角度オフセットを有する第1のセンサおよび第2のセンサ、たとえば光センサを提供することができる。第1の代替手段による実施形態では、センサは、同期して、すなわち同じ時間(t1;t2、t3、...)に、サンプリングするように動作することができる。これにより、信号検出および/または信号処理を容易にすることができる。
【0171】
第2の代替手段によれば、エンコーダリングの符号化領域の周期性の2分の1とは異なる角度オフセットを有する第1のセンサおよび第2のセンサ、たとえば光センサを提供することができる。したがって、センサIおよびIIは、サンプリング間に時間オフセット(Δt)を含む互い違いのモードで動作することができる。これは、同期動作で利用可能なものより均衡がとれた全体的なシステム電力消費を実現するために使用することができる。
【0172】
以下の感知モードのうちの1つを使用することができる:
- 1)静的閾値処理、
- 2)動的閾値処理、
- 3)センサ信号の低高遷移を検出するために閾値を使用しない。しかし、2つのセンサ信号の電圧差の閾値を使用することができる。さらに、平均および振幅のためのスケール因子を使用することができる。スケール因子は、製造中、たとえば較正方法中に設定することができる。
- 4)3)と同じであるが、各用量送達後にスケール因子を計算することができるという点で異なる。
- 5)好ましくはセンサ信号の低高遷移を検出するために閾値の設定を使用せず、好ましくは平均および振幅を整合させるために信号のスケーリングを使用しない、ピーク検出方法。
【0173】
図6~
図9は、たとえば上述した電子モジュール120、300、または異なる構造高さを有する構成要素を含む他の電子モジュールの、電子モジュール600、700、800、および900を製造する方法を指す。
【0174】
電子モジュール120、220、600、700、800、および900は:
- 少なくとも1つの構成要素面SF1を含む回路キャリア242(たとえば、PCB)と、
- 少なくとも1つの構成要素面SF1上に配置された回路網の第1の電気的に動作可能な構成要素、たとえばスイッチ274と、
- 少なくとも1つの側壁248、248aを含むモジュール部材と、
- 充填層620、720、820、920、たとえばポッティング化合物282とを含むことができ、
ここで、側壁248、248aは、回路キャリア242に隣接して配置され、
側壁248、248aおよび回路キャリアは、充填層282、620、720、820、920のための受取り空間の範囲を定めるように協働し、
充填層282、620、720、820、920は、側壁248、248a、第1の電気的に動作可能な構成要素、または構成要素面SF1の少なくとも1つの区域/領域のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはすべてに接触する。
【0175】
図2による例では、モジュール部材は、プリント回路板242(回路キャリア)、バッテリ230、および蓋224を保持するシャーシ222であり、蓋224は、送達面DSFを含む送達蓋と呼ぶこともできる。溝330、430は、用量を設定するために使用される設定面SF0の一部とすることができる。
【0176】
図6~
図8による例では、モジュール部材は、回路キャリア242の一方の側のみに配置された管状壁部分248aを含むシャーシである。より具体的には、壁部分248aの近位端部248bが、回路キャリア242に隣接している。回路キャリア242の反対側には、さらなるシャーシ部材が配置される。さらなるシャーシは、バッテリ/蓄電池230を保持する別個の管状壁部分246aを含む。
【0177】
さらに、
図2に示す例は、電子モジュール220のハウジング221から離れている別個の蓋224を含む。逆に、
図6~
図9では、一体の送達面DSFを有するハウジング221が使用されており、たとえば別個の蓋224は使用されていない。ハウジング221はまた、上述したアダプタ210に類似したアダプタ要素、たとえば薬物送達デバイス100の設定ノブへの締結を可能にするアダプタ要素を含む、または一体に含むことができる。
【0178】
しかし、特に電子構成要素の封止に関連して、
図1~
図5に示す例にも、同じ方法を適用することができる。しかし、これらの設計の詳細は、ポッティング化合物282または充填層620、720、820、920を提供するために使用されるポッティング(充填)方法から独立している。
【0179】
図6は、充填層620の高粘性の充填材料を使用する、第1の充填実施形態によるモジュラシステム98の電子モジュール600の製造中の方法工程を示す。
【0180】
以下の部材は、
図6~
図9の4つすべてに示されている:
- 構成要素270は、送信器(送信)、たとえばBluetooth(商標)送信器、または受信器272、たとえばBluetooth(商標)受信器とすることができる。構成要素270、271、272は、特許請求の範囲で第2の電気的に動作可能な構成要素と呼ばれている。
- 構成要素270に対する別法または追加として、構成要素271、たとえばキャパシタ271を使用することができる。構成要素271もまた、特許請求の範囲で第2の電気的に動作可能な構成要素と呼ばれている。
- 特許請求の範囲で第1の電気的に動作可能な構成要素と呼ばれており、可動構成要素MCを含むことができるスイッチ274、
- バッテリ230、たとえばボタン電池またはコイン電池。バッテリ230の直径は、2cm(センチメートル)未満または1.5cm未満とすることができる。別法として、再充電可能な蓄電池または別のエネルギー源を使用することができる。
- バッテリ230/蓄電池の第1の接点231a(陽極、プラス電位、正の端子)、
- バッテリ230/蓄電池の第2の接点231b(陰極、負の端子、負の電位、接地)、
- 光学ガイド254または対応する光学ガイド254a、258a、254b、258b、
- 壁252、および
- 環状壁248。
【0181】
しかし、
図6~
図9に示す例では、さらなる部材を提供することもできる:
- 任意選択のキーイング機能K1a、K2a;K2a、K2b、および/または
- 任意選択のフック320、322、324;420、422、424、および/または
- 任意選択のクリップ接続326a、326b;426a、426bなど。
【0182】
設定面SF0が、径方向外方へ向けられており、電子モジュール600、700、800、および900のハウジング221の周りに円周方向に延在することができる。
【0183】
電子モジュール600は、回路網の第2の電気的に動作可能な構成要素、たとえば構成要素270、271、および/または272のうちの少なくとも1つを含むことができる。第1の構成要素、たとえばスイッチ274は、構成要素面SF1から測定された第1の構造高さH6cを有することができる。第1の構造高さH6cは、第1の構成要素の最大の構造高さとは異なることができる。したがって、最大の構造高さは、スイッチ274のハウジングの底部から、スイッチ274(可動構成要素MC参照)のボタンの自由端まで延在することができる。第1の構造高さH6cは、スイッチ274のハウジングの高さに対応することができる。第1の構成要素が電気光学構成要素、たとえばLED(発光ダイオード)または多色LED IC(集積回路)である場合、第1の高さH6cは、LEDのハウジング上の基準点まで、またはLED集積回路のハウジングの頂縁部まで延在することができる。LEDまたはLED ICの最大の構造高さは、第1の構造高さより大きくすることができ、たとえばLEDまたはLED ICの光学レンズを含むことができる。
【0184】
第2の構成要素270、271、および/または272は、構成要素面SF1から測定された第2の構造高さH6dを有することができる。第2の構造高さH6dは、第2の構成要素270、271、および/もしくは272の最大の構造高さに対応することができ、または第2の構成要素270、271、および/もしくは272の最大の構造高さより小さくすることができる。
【0185】
第1の構造高さH6cはまた、以下により詳細に説明する電子モジュール700、800、および900(
図7~
図9参照)内の第1の構成要素274、たとえばスイッチにも有効である。同様に、第2の構造高さH6dはまた、電子モジュール700、800、および900(
図7~
図9参照)内の第2の構成要素270および/または271および/または272、たとえば送信器またはキャパシタにも有効である。
【0186】
第2の構造高さH6dは、たとえば上記の説明の第1部に記載した量のうちの1つの量だけ、第1の構造高さH6cより大きくすることができる。第1の電気的に動作可能な構成要素274は、第1の構造高さH6c以下まで、充填層620に埋め込むことができる。第2の電気的に動作可能な構成要素270および/または271および/または272は、少なくとも第2の構造高さH6dまで、または第1の構造高さH6cより大きいが第2の構造高さH6dより小さい第3の高さまで、充填層620に埋め込むことができる。したがって、第2の電気的に動作可能な構成要素270および/または271および/または272はまた、充填層620によって覆うことができ、たとえば充填層620の材料はまた、第2の電気的に動作可能な構成要素270および/または271および/または272の頂面の上に延在することができる。
【0187】
充填層620は、構成要素面SF1に直交する第1の断面に、第1のプロファイルを含むことができ、第1の断面は、
図6に示す平面に対応することができる。第1の断面において、充填層620の厚さは、中心領域内の厚さH6aと比べて、2つの周辺領域または少なくとも1つの周辺領域(たとえば厚さH6b参照)内でより小さくすることができる。第1の電気的に動作可能な構成要素、たとえばスイッチ274は、周辺領域のうちの1つ(
図6の左側参照)に配置することができる。さらに、好ましくは、充填層620は、構成要素面および第1の断面に直交する第2の断面内に、第2のプロファイルを含むことができる。第2の断面において、充填層620の厚さはまた、中心領域内の充填層620の厚さ(たとえば、厚さH6a参照)と比べて、2つの周辺領域または少なくとも1つの周辺領域内でより小さくすることができる。
【0188】
したがって、壁部分248aおよび回路キャリア242からウェルWが形成される。ウェルWは、充填層620の液体または粘性の充填材料を収容するために使用され、充填材料は、中心領域内でウェルWに注ぐことができ(矢印610参照)、または別の適当な領域内で注ぐことができる。充填材料を急速に硬直化する結果、上述した充填層620のプロファイルを得ることができ、たとえば右側から中心領域への充填層620の自由面の第1の勾配G1、および左側から中心領域への充填層620の自由面の第2の勾配G2が存在することができる。勾配G1およびG2は、同じにすることができ、または互いに異なることができる。勾配G1は、表面SF1に対して角度A6bを含むことができる。勾配G2は、表面SF1に対して角度A6aを含むことができる。一例のみを挙げると、角度A6bおよび/またはA6aは、5度~30度の範囲内とすることができる。
【0189】
高い粘性、たとえば10、100、または1000、または10000mPa*秒(ミリパスカル秒)(cP、センチポアズ)より大きい粘性を有する材料を使用することができる。いくつかの例のみを挙げると、粘性は、10^10mPa*秒(Cp)または10^12mPa*秒(Cp)より小さくすることができる。これらの値は、20℃(摂氏度)の温度で有効である。温度がより高い場合、粘性をより低くすることができる。
【0190】
充填層620の充填材料をウェルWに充填するために、自動充填機械を使用することができる。別法として、充填材料をウェルWに手動で充填するために、シリンジを使用することもできる。組立てモジュール600または部分組立てモジュール600(たとえば、バッテリ230、ハウジング221、および/または壁部分246aを含まない)を、充填層620の充填材料で充填することができる。
【0191】
図7は、たとえば充填前に共形の被覆によって施された共形の被覆層710を使用する、第2の充填実施形態によるモジュラシステム98の電子モジュール700の製造中の方法工程を示す。
【0192】
充填層720に加えて、さらなる封止要素、たとえば被覆層710を使用することができる。第2の電気的に動作可能な構成要素270および/または271および/または272は、回路キャリア242から最も離れた表面上、また少なくとも部分的にその側面(
図7参照)、左側面および右側面上に、被覆層710を含むことができる。被覆層710は、充填層720まで延在することができ、かつ/または充填層620に接触することができる。
【0193】
被覆層710は、被覆材料を含むことができ、または被覆材料からなることができる。被覆材料は、シリコーンを含むことができ、またはシリコーンからなることができる。構成要素270および/または271および/または272を回路キャリア242上へ取り付ける前に、または取り付けた後に、第2の構成要素270および/または271および/または272に被覆層710を施すために、噴霧または液体を使用することができる。第2の構成要素270/271を回路キャリア242に取り付けた後に、被覆層710が施された場合、被覆層710の被覆材料が可動部材に到達してその動きを阻止することを防止するために、可動部材MCを保護構造で覆うことができる。MasterBond(商標)UV10-Medは、使用することができる噴霧の一例である。他の噴霧または液体、特にISO(国際標準化機関)10993を満たす材料も、同様に使用することができる。
【0194】
回路キャリア242および壁部分248aを組み立てた後、たとえばウェルWを形成した後、充填層720の充填材料をウェルWに充填することができる。その結果得られる充填層720は、回路キャリア242にわたって一定の厚さH7を有することができる。厚さH7は、第1の構成要素274の第1の高さH6c以下とすることができる。組立てモジュール700または部分組立てモジュール700(たとえば、バッテリ230、ハウジング221、および/または壁部分246aを含まない)を、充填層720の材料で充填することができる。第2の構成要素270/271は、被覆層710および充填層720の材料によって封止される。第2の構成要素270/271は、第1の高さH6cに等しいまたは第1の高さH6cより小さい高さまでのみ、充填層720の材料に埋め込むことができる。
【0195】
この場合も、充填層720の充填材料をウェルWに充填するために、自動充填機械を使用することができる。別法として、充填材料をウェルWに手動で充填するために、シリンジを使用することもできる。充填層720の充填材料の粘性は、
図6の実施形態と比べて、より低くすることができ、たとえば20℃(摂氏度)で10mPa*秒(ミリパスカル秒)未満とすることができる。
【0196】
図8は、追加のカバー810、好ましくはシャーシ222(特許請求の範囲におけるモジュール部材)の一体カバー810を使用する、第3の充填実施形態によるモジュラシステム98の電子モジュール800の製造中の方法工程を示し、シャーシ222はまた、壁部分248および/または248aおよび/または252を含む。
【0197】
一体カバー810、またはシャーシ222(特許請求の範囲におけるモジュール部材)ならびに/もしくは壁部分248および/もしくは壁部分248aとは別個のカバーを、第2の構成要素270および/または271および/または272に対する追加の封止要素として使用することができる。第2の構成要素270および/または271および/または272は、一体カバー810および充填層820によって封止することができ、一体カバー810を充填層820に少なくとも部分的に埋め込むことができる。第2の構成要素270/271は、第1の高さH6cに等しいまたは第1の高さH6cより小さい高さまでのみ、充填層720の材料に埋め込むことができる。
【0198】
一体カバー810は、カバー頂壁に少なくとも1つの平坦面SF8を含むことができる。平坦面SF8は、マーキングを含むことができ、かつ/またはラベルを保持することができる。表面SF8上の材料、たとえばプラスチック材料に混合および/または溶融されたレーザマーキングを使用することができる。
【0199】
カバー810の3つの側壁が、第2の構成要素270、271、および/または272を取り囲むことができる。これら3つの側壁のうちの1つが、
図8で構成要素270/271の右側に示されている。壁部分248によって、第4の側壁を形成することができる。別法として、たとえば支持構造を介して、壁部分248に第4の側壁を接続することもできる。たとえばカバー810により少ない材料を使用するために、カバー810の側壁の高さを、構成要素270/271/272の側壁の高さより小さくすることができる。別法として、カバー810の側壁の高さを、構成要素270/271の側壁の高さ以上にすることもできる。カバー810の側壁の下端は、充填層820に埋め込まれており、かつ/または充填層820に、たとえばその外面で接触することができる。
【0200】
回路キャリア242および壁部分248aを組み立てた後、たとえばウェルWを形成した後、充填層820の充填材料をウェルWに充填することができる。その結果得られる充填層820は、回路キャリア242にわたって一定の厚さH8を有することができる。厚さH8は、第1の構成要素274の第1の高さH6c以下とすることができる。組立てモジュール800または部分組立てモジュール800(たとえば、バッテリ230、ハウジング221、および/または壁部分246aを含まない)を、充填層820の充填材料で充填することができる。
【0201】
充填層820の充填材料をウェルWに充填するために、自動充填機械を使用することができる。別法として、充填材料をウェルWに手動で充填するために、シリンジを使用することもできる。充填層820の充填材料の粘性は、
図6の実施形態と比べて、より低くすることができ、たとえば20℃(摂氏度)で10mPa*秒(ミリパスカル秒)未満とすることができる。
【0202】
図9は、ウェルWへの充填層920の材料の充填中に電子モジュール900の傾斜を伴う、第4の充填実施形態によるモジュラシステム98の電子モジュール900の製造中の方法工程を示す。
【0203】
充填層920は、構成要素面SF1に直交する第1の断面に、第1のプロファイルを含むことができ、第1の断面は、
図9に示す平面に対応することができる。第1の断面において、充填層920の厚さは、周辺領域のうちの第1の周辺領域内の第1の厚さH9cから、中心領域内の第2の厚さH9b、さらに周辺領域のうちの第2の周辺領域内の第3の厚さH9aまで、好ましくは連続して増大することができる。第1の電気的に動作可能な構成要素274は、周辺領域のうちの第1の周辺領域内に配置することができる。充填層920の第1の厚さH9cは、第1の構成要素274の第1の高さH6c以下とすることができる。したがって、第1の構成要素274の可動構成要素MCは充填層920によって覆われていない。
【0204】
充填層920は、構成要素面SF1および第1の断面に直交する第2の断面内に、第2のプロファイルを含むことができ、または第2のプロファイルを有することができる。第2の断面において、充填層920の厚さは、一定とすることができ、または充填層920の最大の充填高さもしくは厚さH9aから2パーセント以下のみ逸脱することができる。第2の断面はまた、周辺部分および中心領域を通って延在することができる。
【0205】
充填層920は、水平面に対する回路キャリア242および/もしくはウェルWならびに/またはモジュール920の傾斜角A9a、A9bを使用した回路キャリアへの充填材料920の鋳込みまたは流込みの結果である自由面を含むことができる。傾斜角A9a、A9bは、少なくとも5度、少なくとも10度、または少なくとも15度とすることができる。
【0206】
組立てモジュール900または部分組立てモジュール900(たとえば、バッテリ230、ハウジング221、および/または壁部分246aを含まない)は、
図9に示すように傾斜させられる。その後、液体充填材料が、ウェルW、たとえば中心部分に充填され(矢印910参照)、または別の適当な部分に充填される。
【0207】
充填層920の自由面、たとえば他の部材によって覆われていないまたは他の部材に隣接していない表面と、構成要素面SF1との間には、1つの連続する勾配G9のみが存在することができる。勾配G9は、充填層920の充填材料によるウェルWの充填中に使用された傾斜角A9a、A9bに対応する。
【0208】
上述したすべての例(
図2、
図6、
図7、
図8、および
図9)に、以下の方法工程が存在することができる:
- 回路キャリア242および壁部分248aを組み立て、たとえばウェルWを形成する。
- アセンブリまたはプリアセンブリを傾斜させる(
図9の例のみ)。
- 充填層282、620、720、820、920の充填材料をウェルWに充填することができる。
- 場合により、充填層が固体になるまで待機することと比較して、テンパー工程を使用して、充填層282、620、720、820、920の充填材料を硬直化させる。
- 場合により、モジュール120、220、620、720、820、または920のさらなる組立て工程を実行する。
【0209】
充填層920の充填材料をウェルWに充填するために、自動充填機械を使用することができる。別法として、充填材料をウェルWに手動で充填するために、シリンジを使用することもできる。充填層の充填材料の粘性は、
図6の実施形態と比べて、より低くすることができ、たとえば20℃(摂氏度)で10mPa*秒(ミリパスカル秒)未満とすることができる。
【0210】
4つすべての実施形態で、用量の設定および/または患者の体内への薬剤もしくは薬物Drの設定用量の送達を監視するために、モジュール620、720、820、920を医療用薬物送達デバイス100に接続することができる。
【0211】
言い換えれば、本開示の一部は、光パイプ/ガイド254、または好ましくは負荷からの光学パイプの保護に関する。光学パイプは、光ファイバ、チューブ、または他の光学案内手段とすることができる。光パイプの外側からくる負荷からの損傷を防止するために、光パイプの外面上に追加の被覆256を使用することもできる。1つの選択肢は、光パイプの構造を補強するための金属被覆または類似の頑強な材料の被覆である。第2の選択肢は、衝撃負荷を吸収し、光パイプの応力を小さくするための軟質被覆である。別の選択肢は、強化被覆、たとえば炭素繊維強化ポリマー(ドイツ語:CFK)充填材料である。これらの選択肢のうちの2つまたは3つの組合せも同様に可能である。
【0212】
本開示の第2部は、再利用可能なクリップ式のeモジュール(電子モジュール120、220、600~900)を損傷、汚れおよび水の侵入、ならびに他の環境的影響から保護するために使用される機能に関する。本開示の第2部は、再利用可能なクリップ式のeモジュール120、220を損傷、汚れおよび水の侵入などから保護するために使用される機能について説明する。本明細書の実施形態は、使い捨ての注射デバイスのための光学式のアドオンモジュール120、220、600~900に関して示されているが、注射デバイスに取り付けられた任意のモジュール120、220、600~900に適用可能である。本明細書は、使い捨てのデバイス機構自体または光学式のアドオンモジュールの完全な説明を含むわけではない。
【0213】
記載する方法は、アドオンモジュール120、220、600~900の状況(たとえば、サイズ、コスト、実用性など)において適用可能であることを意図したものである。
【0214】
本開示の第2部は、ペンから送達された用量を記録する目的で、好適に構成されたペン注射器に取り付けることができるアドオンモジュールの機能に関する。eモジュール120、220、600~900は、メモリ補助として、正確な用量履歴ロギングに使用することができる。eモジュール120、220、600~900は、用量履歴をモジュールから周期的にダウンロードすることを有効にするために、移動デバイスなどに接続可能になるように構成することができると想定することができる。この情報は、最終使用者、医療従事者が、またはより広い範囲で研究のために使用することができる。さらに、eモジュール120、220、600~900を使用して、薬物送達デバイスが設計された用量送達動作の数を超過した場合、または薬物送達デバイスが設計された用量送達動作の数に到達した場合、eモジュール120、220、600~900に接続された薬物送達デバイスを交換することを、使用者に気付かせることができる。
【0215】
提案される光学エンコーダなどの再利用可能なeモジュール120、220、600~900は、複数の使い捨てデバイスにわたって動作可能とすることができ、薬物送達デバイスに取り付けられていないとき、物理的な損傷ならびに汚れおよび水の侵入に耐えることができる。本開示の第2部に説明した構成は、そのような条件においてエンコーダの損傷のリスクを様々な形で最小化しようとするものである。
【0216】
方法1-物理的な阻止機能
図3および
図4に示す構成要素である「光パイプシャーシ」(
図2の222参照)の一部として成形された阻止機能を利用することが可能である。
図3および
図4は、ボタン108a、108b内の阻止リブK1a、K2aおよび対応するアパーチャK1b、K2bを示す。このようにして、把持リング(たとえば、
図2の210)およびエンドキャップ(たとえば、
図2に示す筐体またはハウジング221)の構成要素と組み立てられるとき、使用者は、モジュラシステム300、400の電子モジュール120、220が組み立てられたとき、光パイプ254a、258a、254b、258bまたは電子PCBAに接触することができないはずである。
図3および
図4に示すように、ボタン108a、108bのボタン頂面内の対応するアパーチャが必要とされることがある。
【0217】
この方法は、光パイプシャーシの成形自体を使用して阻止機能K1a、K2a(
図2の222参照)を形成することによって、いかなる追加の構成要素も必要としないという利点を有することができる。この阻止機能K1a、K2aはまた、機械的な「専用」またはキーイング機能として作用することができる。
【0218】
別法として、この阻止機能K1a、K2aは、光パイプシャーシ(
図2の222参照)の下面にクリップ留めされた別個の構成要素上に形成することもできる。これにより、より頑強な阻止機能K1a、K2aの提供、およびPCBAへの水の侵入を防止するための水密封止を形成する可能性を可能にすることができる。
【0219】
方法2-エラストマポッティング化合物
水および塵の侵入の防止を標的として、eモジュール120、220、600~900(
図2参照)の組立てに続いて、シリコーンまたはポリウレタンなどのエラストマ「ポッティング」化合物282または充填層620~920を、光パイプシャーシ222の下面に施すことができる。ポッティング化合物282は、再利用可能なクリップ式のeモジュール120、220、600~900の下面に施すことができる。ポッティング化合物282、620~920は、充填高さ280と基板242との間に施すことができる。
【0220】
好ましくは低硬度(たとえば、シャーシ222の硬度もしくはA80もしくはA75のショア硬度、および/またはDymax MD1072-M(ショア硬度A70)より低い)のポッティング化合物282を、PCBAに直接施すことができ、したがって板上の壊れやすい構成要素、たとえば抵抗器、キャパシタ、インダクタ、および/またはマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラに対して、良好な応力緩和特性を有することができる。しかし、ポッティング化合物282は、その溶融状態で、間隙からの漏れを防止するのに十分な粘性を有することができる。
【0221】
ポッティング化合物282または充填層620~920がこのように施された状態で、PCBAの導電性区域への塵および水の侵入が防止される。
【0222】
ポッティング化合物282が、
図2に示すレベル280まで充填された場合、マイクロスイッチ274は、満足のいく化合物を有しており、スイッチャアームまたはピンによって動作させることが可能になる。加えて、光センサ266および/または光放射(光)源264の光学的に影響を受けやすい区域に到達するポッティング化合物282へのバリアを形成するために、PCBAを光パイプシャーシ222上へ軸方向に付勢することができることから、光センサをポッティング区域から分離されたままにすることができる。このレベル280まで充填されると、機能252(壁)、260(リブ)などによって、ポッティング化合物282が光センサ266および/または光放射源264に接触することを防止することができる。
【0223】
方法1および2を組み合わせることもできる。
【0224】
エラストマポッティングの変形形態
エラストマポッティングは、たとえば露出されたスイッチ274またはマイクロスイッチを除いて、すべての電子構成要素を覆うために、複数の方法で電子モジュール120、220、600~900に施すことができる。マイクロスイッチ274は、他の構成要素より低い高さとすることができるが、マイクロスイッチ274の確実な機能が妨げられるため、ポッティング化合物282および/または充填層620~920で覆われる必要はない。
【0225】
変形形態2a-最も高い構成要素の上へのポッティング化合物またはカプセル化剤の適用(
図6)
この変形形態では、マイクロスイッチ274の高さが、他の近くの電子構成要素(たとえば、キャパシタ)の高さを下回る。エラストマポッティングは、高粘性または十分な粘性を有するように選択され、たとえば最も高い構成要素の上に直接施される。そのような配置では、ポッティング化合物282を硬化させて(たとえば、UV(紫外)照射を使用)、ポッティング化合物282/充填材料620、720、820、920がマイクロスイッチ274のレベルまで上昇する前に硬化することを確実にすることができる。
【0226】
この概念により、マイクロスイッチ274または別の機械的、電気機械的、もしくは光電子的な構成要素を露出されたままにしながら、周辺の電子構成要素を完全に、またはたとえばマイクロスイッチ274と比べてより大きい程度に覆うことが可能になる。最も高い構成要素の上に、エラストマポッティングを直接施すことができる。最も高い構成要素の上にポッティング化合物を施すことを示す
図6の矢印610を参照されたい。同じ効果で、ポッティング化合物の代わりにカプセル化剤を使用することができる。
【0227】
変形形態2b-ポッティング前の共形の被覆の適用(
図7)
この変形形態では、この場合も、マイクロスイッチ274の高さまたは別の同等に浅い構成要素の高さが、他の近くの電子構成要素(たとえば、キャパシタ、Bluetooth(商標)モジュール)の高さを下回る。エラストマポッティングまたは充填材料720を施す前に、共形の被覆(たとえば、Master Bond UV10-MEDなどのシリコーン噴霧)または非共形の被覆を板上の最も高い構成要素に施し、硬化させることができる。ポッティング材料は、マイクロスイッチ上の限界の高さを下回る高さまで充填することができる。したがって、共形または非共形の被覆によって、水および塵の侵入からの高い電子構成要素の分離が確実になる。
図7は、ポッティング前の最も高い構成要素への共形の被覆の適用を示す。
【0228】
変形形態2c-最も高い構成要素に対する一体「カバー」の使用(
図8)
この変形形態では、この場合も、マイクロスイッチ274の高さまたは別の構成要素の高さが、他の近くの電子構成要素(たとえば、キャパシタ)の高さを下回る。光パイプシャーシ構成要素222上に、「カバー」機能810を形成することができる。この構成要素または機能810は、最も高い構成要素への下面からの物理的な接触を防止することができる。このカバー機能810の周辺に、エラストマポッティング282または他の充填材料820を施して、封止を形成することができる。この方法により、ポッティング化合物282または充填層820をより低いレベルまで施すことが可能になり、これは、マイクロスイッチ284または他の構成要素を露出させたままにしながら、最も高い構成要素を水および塵の侵入から保護することができることを意味する。この一体カバー810はまた、必要とされる場合、レーザマーキングまたはラベル付けのための平坦面SF8を提供することができる。
図8は、最も高い構成要素との接触を防止するために使用されるカバー構成要素/機能810を示す。光パイプシャーシ222に一体のキャパシタカバーを使用することができる。
【0229】
変形形態2d-ポッティング高さを制御するためのモジュールの傾斜(
図9)
この変形形態では、この場合も、マイクロスイッチ274または他の構成要素の高さが、他の近くの電子構成要素(たとえば、キャパシタ)の高さを下回る。したがって、モジュール120、220、900は、水平に対して傾斜した角度で保持され、したがって施されたときのエラストマポッティング282または他の充填材料920のレベルが、PCB242に対してゼロ以外の角度A9a、A9bになる。この方法により、マイクロスイッチ274または別の構成要素を露出させたままにしながら、より高い構成要素を覆うことが可能になる。
図9は、ポッティング適用中に水平に対して角度A9a、A9bで保持されたモジュール120、220を示し、たとえばポッティングは、モジュールが角度A9a、A9bで保持されているときに施される(矢印910参照)。
【0230】
本開示の第2部に説明する概念は、再利用可能なクリップ式のエンコーダまたは電子モジュール120、220に適用される阻止および/または侵入防止機能の使用であると考えられる。本明細書では、本開示の第2部の具体的に有用な実装形態を示した。最も広い総称では、本開示の第2部ならびに本開示のすべての他の部分を、再利用可能な電子モジュール120、220、600~900が取り付けられて取り外される任意の注射デバイス100に適用可能である。
【0231】
本開示の第3部は、たとえば光学式のアドオンeモジュール120、220、600~900を使用する、注射デバイス100における送達済み用量の記録に関する。本開示の第3部は、注射デバイス100から送達された用量を記録することについて説明する。これは、数字スリーブおよび/またはダイヤルスリーブが、注射中に用量ボタン108、108a、108bに対して回転することができるが、ダイヤル設定中はその構成要素に対して回転することができない、薬物送達デバイスに適用可能である。別法として、用量の記録をダイヤル設定中に実行することができ、たとえば数字スリーブおよび/またはダイヤルスリーブの回転を判定することができる。本明細書の実施形態は、特有の使い捨ての注射デバイス100に関して示されているが、他の薬物送達デバイス、たとえば示されている構成要素の動きを伴う任意のデバイスにも適用可能である。本明細書は、(使い捨ての)薬物送達デバイス機構自体の完全な説明を含むわけではない。注射デバイス100は、電子モジュールのアドオンのための保持機能に加えて、好ましくは可撓性のスイッチ要素および/または1つもしくはそれ以上の「光パイプ」のために、用量ボタンまたは別のボタン108による軸方向のアクセスを提供するように適用されることが必要とされることがある。電子モジュール120、220、600~900のアドオンは、「光パイプシャーシ」222を含むことができ、「光パイプシャーシ」222は、たとえば数字スリーブ構成要素および/もしくはダイヤルスリーブ構成要素、またはダイヤルスリーブ構成要素に挿入されたクラッチ要素の溝付き頂面の光学感知を容易にするために、1つまたはそれ以上の光パイプまたは光学ガイド254を含む単一の光透過性プラスチック成形とすることができる。ダイヤルスリーブ構成要素または要素は、選択された用量に応じて、より大きい用量が設定されるにつれて、ダイヤル設定中にシャーシからさらに延在することができる。加えて、この「光パイプシャーシ」222は、用量を送達するために用量ボタンまたは別のボタン(解放)が押し下げられたとき、軸方向モードシフトを示すように、マイクロスイッチ274または別の適当なスイッチ要素をトリガするために、可撓性または剛性の要素を含むことができる。電子機器は、「光パイプシャーシ」222内に取り付けることができ、次いで「光パイプシャーシ」222を「オーバーキャップ」221、210によって覆うことができる。
【0232】
用量ボタンと、数字スリーブおよび/もしくはダイヤルスリーブ、ならびに/またはダイヤルスリーブ内のクラッチとの間の相対回転は、たとえば2つの反射センサ254、たとえばIR(赤外)センサを有するたとえばインクリメンタルエンコーダ(たとえば、直交エンコーダ)を使用して、光学的に符号化することができ、これらのセンサは、数字スリーブおよび/もしくはダイヤルスリーブ、ならびに/またはダイヤルスリーブ内のクラッチの頂面のキャスタレーションを軸方向に見る。
【0233】
直交エンコーダは、動きの方向の感知が必要とされる、2つの位相ずれ出力チャネルを有するインクリメンタルエンコーダとすることができる。各チャネルは、特有の数の等しく隔置されたPPR(pulse per revolution)を提供することができ、他のチャネルに先行または後続の1つのチャネルの位相関係によって、運動方向を検出することができる。
【0234】
また、本開示の第3部は、ペンから送達された用量を記録する目的で、好適に構成されたペン注射器に追加することができるアドオンeモジュール120、220、600~900の機能に関する。この機能は、メモリ補助として、または用量履歴の詳細なロギングに対応するために、多種多様なデバイス使用者に有用である。eモジュール120、220、600~900は、用量履歴をモジュールから周期的にダウンロードすることを有効にするために、移動デバイス、たとえばスマートフォンなどに接続可能になるように構成することができると想定することができる。さらに、eモジュール120、220、600~900を使用して、薬物送達デバイス100が設計された用量送達動作の数を超過した場合、または薬物送達デバイス100が設計された用量送達動作の数に到達した場合、eモジュール120、220、600~900に接続された薬物送達デバイスを交換することを、使用者に気付かせることができる。
【0235】
好適に構成された使い捨てのペン注射器に取り付けることができる電子モジュール120、220、600~900アドオンデバイスが開示される。アドオンデバイスは、新しい注射ペンが必要とされるたびに高値な電子機器を処分することを必要とすることなく、使い捨てまたは使い捨てでない注射器の既存のコア機構の最小の交換で、用量履歴情報の記録を可能にすることができる。
【0236】
アドオン電子モジュール120、220、600~900の保持を容易にするために、外面上の軸方向の保持突起機能によって、(使い捨て)ボタンを実施することができる。加えて、頂面内に環状溝が存在することができ、環状溝は、用量ボタンまたは他のボタン(たとえば、自動注射器の解放ボタン)を介して、下の数字スリーブおよび/もしくはダイヤルスリーブ、ならびに/またはダイヤルスリーブ内のクラッチ要素へのアクセスを可能にするために、たとえば1つのみのアパーチャまたは2つ以上のアパーチャ、たとえば4つのアパーチャを有する。
【0237】
数字スリーブおよび/もしくはダイヤルスリーブ、ならびに/またはダイヤルスリーブ内のクラッチ要素は、たとえば、用量ボタンまたは薬物送達デバイスの近位端にある別の部材に係合することができる24個のクラッチ歯によって実施することができる。これらのクラッチ歯または他のインジケータ機能は、光パイプまたは光学ガイド254、254a、258aなどの遠位端に配置することができる溝付き機能とすることができ、その回転を符号化して、薬物Drの送達済み用量サイズを記録することができる。
【0238】
用量ボタンおよび/または解放ボタンは、用量ボタンまたは別のボタンが押し下げられたとき、光パイプまたは光学ガイドとクラッチ歯との間の繰返し可能な小さい軸方向距離を確実にするために、数字スリーブおよび/もしくはダイヤルスリーブ、ならびに/またはダイヤルスリーブ内のクラッチ要素で最も低い位置にくるように設計することができる。
【0239】
アドオン電子モジュール120、220、600~900内に、以下の構成要素を含むことができる:
- 用量ボタンもしくは別のボタンに、または自動注射器筐体のみに、軸方向および回転不能に連結することができるシャーシ222、
- PCB、電子構成要素、およびコイン電池(シャーシ内に収容される)、
- 場合によりアダプタ要素210を含む2つの部材の形式の、「オーバーキャップ」または筐体221。
【0240】
「オーバーキャップ」は、電子機器を保持および/もしくは収容するため、ならびに/または使用者のための視覚および触覚機能をその外面に提供するために使用することができる。
【0241】
図2に示す「光パイプシャーシ」222の実施形態は、2つの光パイプまたは光学ガイド254、254a、254b、258a、258b(
図3および
図4参照)を含むことができ、その上に、
図2に示す反射性または透過性の光センサ266、たとえばIRセンサを取り付けることができる。これらの光パイプまたは光学ガイド254、254a、254b、258a、258bは、用量ボタンまたは別のボタンが押下されたとき、光センサ266(たとえば、光パイプの近位端Pで、「光パイプシャーシ」またはシャーシ222内に軸方向に取り付けられる)が、光パイプまたは光学ガイド254、254a、254b、258a、258bの遠位端Dで、キャスタレーション機能の存在などを検出することを可能にすることができる。代替として、解放ボタンを含まないが、薬物送達デバイス100が注射部位に押し付けられた場合に機構106を解放するニードルシュラウドを含む自動注射器を使用することができる。
【0242】
用量ボタン108もしくは投薬面DSFが押圧されたとき、および/または薬物Drの選択もしくは送達済みの量を判定しなければならないとき、キャスタレーション機能または他の適当な機能からよく制御された小さい軸方向距離をあけて、光パイプの遠位端を保持することができる。加えて、実施形態は、場合により、用量ボタン108または別のボタンが押下されたとき、数字スリーブおよび/もしくはダイヤルスリーブ、または薬物送達デバイスの別の部材の頂面に接触する、単一の可撓性または剛性の要素を含むことができる。別法として、ニードルシュラウドをトリガ要素として使用することもできる。この可撓性または剛性の要素は、マイクロスイッチ274または「光パイプシャーシ」内のPCB上に軸方向に取り付けられた別のスイッチに接触するように偏向または動くことができ、電子モジュール120、220、600~900、特に電子モジュール120、220の電力ユニットを起動するための軸方向モードシフトトリガとして働くことができる。この可撓性または剛性の要素は、小さい軸方向移動後に、マイクロスイッチ274に接触することができるが、このトリガ点を越えた大幅な過剰移動に対応することも可能である。
【0243】
本開示の第3部の実施形態は、アドオン電子モジュール120、220、600~900が、用量ボタン108、ペン注射器の別のボタン、または直接ペン注射器に組み立てられたとき、軸方向保持機能として作用することが意図されたクリップ機能を含むことができる。アドオン電子モジュール120、220、600~900は、用量ボタン108に固有の回転方向で組み立てられるように設計することができる。さらに、「光パイプシャーシ」もしくはシャーシ222、または別のシャーシもしくはモジュール部材の外径は、「オーバーキャップ」を回転不能に連結することができる機能を有することができ、したがってこれらの構成要素はとも動く。「光パイプシャーシ」構成要素は、赤外放射または光センサの波長の範囲内の他の光放射に対して透過性を有するポリカーボネートまたは類似のポリマーで成形することができると想定することができる。
【0244】
本開示の3部のうちの2つまたは本開示の3部すべてを組み合わせることができる。
【0245】
本開示の実施形態およびその利点について、詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって画成される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換え、および修正を本明細書に加えることができることを理解されたい。たとえば、本明細書に記載する構成、機能、プロセス、および方法の多くは、本開示の範囲内に留まったまま変更することができることが、当業者には容易に理解されよう。さらに、本出願の範囲は、本開示に記載するシステム、プロセス、製造、方法、または工程の特定の実施形態に限定されることを意図したものではない。本開示の開示から当業者には容易に理解されるように、本開示によれば、本明細書に記載する対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行しまたは実質的に同じ結果を実現する、現在存在するまたは後に開発されるシステム、プロセス、製造、方法、または工程を利用することができる。それに応じて、添付の特許請求の範囲は、そのようなシステム、プロセス、方法、または工程をその範囲内に含むことを意図したものである。説明の第1部に記載した実施形態は、互いに組み合わせることができる。図の説明の実施形態もまた、互いに組み合わせることができる。さらに、説明の第1部に記載した実施形態と、
図1~
図9に関する説明の第2部の例とを組み合わせることが可能である。