IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 創意電子股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-温度感知装置及び温度感知方法 図1
  • 特許-温度感知装置及び温度感知方法 図2
  • 特許-温度感知装置及び温度感知方法 図3
  • 特許-温度感知装置及び温度感知方法 図4
  • 特許-温度感知装置及び温度感知方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】温度感知装置及び温度感知方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/01 20060101AFI20241118BHJP
   G01K 7/00 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
G01K7/01 C
G01K7/00 321C
G01K7/00 321G
H01L27/04 F
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023047497
(22)【出願日】2023-03-24
(65)【公開番号】P2024089595
(43)【公開日】2024-07-03
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】111149090
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】507185945
【氏名又は名称】創意電子股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】汪 鼎豪
(72)【発明者】
【氏名】呉 俊宛
(72)【発明者】
【氏名】林 倍如
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113503988(CN,A)
【文献】国際公開第2010/021307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の条件に基づき、温度に対応する第1感知信号を生成し、前記第1の条件とは異なる第2の条件に基づき、前記温度に対応する第2感知信号を生成するよう構成され、前記第1感知信号が前記第2感知信号とは異なる、センサと、
前記センサに結合され、結果差分値を取得するため前記第1感知信号と前記第2感知信号に減算演算を実行し、前記結果差分値と前記第1感知信号に基づき補償値を算出し、乗算値を取得するため前記結果差分値と前記補償値とを乗算し、第1の値を生成するため前記第1感知信号から前記乗算値を減算し、第2の値を生成するため前記第1感知信号に前記乗算値を加算し、出力値を生成するため前記第1の値を前記第2の値で除算し、前記出力値を出力デジタルコード値へと変換するよう構成された、変換回路と
を含み、
前記第2の値が定数である、
温度感知装置。
【請求項2】
前記第1感知信号が前記温度に対応する第1の勾配を有し、
前記第2感知信号が前記温度に対応する第2の勾配を有し、
前記第1の勾配と前記第2の勾配がそれぞれ負の値であり、
前記第1の勾配の絶対値が前記第2の勾配の絶対値よりも大きい、
請求項1に記載の温度感知装置。
【請求項3】
前記乗算値が前記温度に対応する演算勾配を有し、
前記演算勾配が前記第1の勾配の負の値である、
請求項2に記載の温度感知装置。
【請求項4】
前記変換回路が、前記結果差分値を取得するため前記第2感知信号から前記第1感知信号を減算する、
請求項1に記載の温度感知装置。
【請求項5】
前記変換回路が、基準差値を取得するため0に等しくない実数である定数から前記第1感知信号を減算し、前記補償値を取得するため前記基準差値が前記結果差分値で除算される、
請求項4に記載の温度感知装置。
【請求項6】
前記センサが、
第1電流源と、
第1バイポーラトランジスタと、
第2電流源と、
複数の第2バイポーラトランジスタと
を含み、
前記第1バイポーラトランジスタのベースが、前記第1バイポーラトランジスタのコレクタ、前記変換回路、及び前記第1電流源に結合され、前記第1バイポーラトランジスタのエミッタが基準低電位に結合され、
前記複数の第2バイポーラトランジスタが互いに並列に接続され、前記複数の第2バイポーラトランジスタのベースがそれぞれ、前記複数の第2バイポーラトランジスタのコレクタ、前記変換回路、及び前記第2電流源に結合され、前記複数の第2バイポーラトランジスタのエミッタが前記基準低電位にそれぞれ結合される、
請求項1に記載の温度感知装置。
【請求項7】
前記第1電流源により提供される電流値が前記第2電流源により提供される電流値よりも大きい、
請求項6に記載の温度感知装置。
【請求項8】
センサにより、第1の条件に基づき、温度に対応する第1感知信号を生成し、前記第1の条件とは異なる第2の条件に基づき、前記温度に対応する第2感知信号を生成することであって、前記第1感知信号が前記第2感知信号とは異なることと、
結果差分値を取得するため、変換回路を介して、前記第1感知信号と前記第2感知信号に減算演算を実行することと、
前記変換回路を介して、前記結果差分値と前記第1感知信号に基づき補償値を算出することと、
前記変換回路を介して、乗算値を取得するため前記結果差分値と前記補償値に乗算演算を実行し、第1の値を生成するため前記第1感知信号から前記乗算値を減算し、第2の値を生成するため前記第1感知信号に前記乗算値を加算し、出力値を生成するため前記第1の値を前記第2の値で除算し、前記出力値を出力デジタルコード値へと変換することと
を含み、
前記第2の値が定数である、
温度感知方法。
【請求項9】
前記第1感知信号が前記温度に対応する第1の勾配を有し、
前記第2感知信号が前記温度に対応する第2の勾配を有し、
前記第1の勾配と前記第2の勾配がそれぞれ負の値であり、
前記第1の勾配の絶対値が前記第2の勾配の絶対値よりも大きい、
請求項8に記載の温度感知方法。
【請求項10】
前記乗算値が前記温度に対応する演算勾配を有し、
前記演算勾配が前記第1の勾配の負の値である、
請求項9に記載の温度感知方法。
【請求項11】
前記結果差分値を取得するため、前記変換回路を介して、前記第1感知信号と前記第2感知信号に減算演算を実行するステップが、
前記結果差分値を取得するため、前記変換回路を介して、前記第2感知信号から前記第1感知信号を減算すること
を含む、
請求項8に記載の温度感知方法。
【請求項12】
前記変換回路を介して、前記結果差分値と前記第1感知信号に基づき前記補償値を算出するステップが、
基準差値を取得するため、0に等しくない実数である定数から前記第1感知信号を減算することと、前記補償値を取得するため、前記基準差値が前記結果差分値で除算されることと
を含む、
請求項11に記載の温度感知方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は感知装置及び感知方法に関するものであり、具体的には、温度感知装置及び温度感知方法に関するものである。
【0002】
一般的に、温度感知装置は、温度に対応する少なくとも1つの感知信号を生成するため、センサを介して温度を感知する。感知信号は、変換回路を介して出力デジタルコードに変換される。変換回路は、2つの感知信号の除算演算又は減算演算を用いて電源の電圧変化によるエラーを低減させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、2つの感知信号は共に変数であるため、温度感知装置の感知線形性が著しく低下する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、高い感知線形性を有する温度感知装置及び温度感知方法を提供する。
【0005】
本発明の温度感知装置は、センサと変換回路とを含む。センサは、第1の条件に基づき、温度に対応する第1感知信号を生成し、第1の条件とは異なる第2の条件に基づき、温度に対応する第2感知信号を生成する。第1感知信号は第2感知信号とは異なる。変換回路はセンサに結合される。変換回路は、結果差分値を取得するため、第1感知信号と第2感知信号に減算演算を実行し、結果差分値と第1感知信号に応じて補償値を算出し、乗算値を取得するため結果差分値と補償値とを乗算し、第1の値を生成するため第1感知信号から乗算値を減算し、第2の値を生成するため第1感知信号に乗算値を加算し、出力値を生成するため第1の値を第2の値で除算し、出力値を出力デジタルコード値へと変換する。第2の値は定数である。
【0006】
本発明の温度感知方法は、センサを介して、第1の条件に基づき、温度に対応する第1感知信号を生成することと、第1の条件とは異なる第2の条件に基づき、温度に対応する第2感知信号を生成することであって、第2感知信号が第1感知信号とは異なることと、結果差分値を取得するため、第1感知信号と第2感知信号に減算演算を実行することと、変換回路を介して、結果差分値と第1感知信号とに基づき補償値を算出することと、変換回路を介して、乗算値を取得するため、結果差分値と補償値に乗算演算を実行することと、第1の値を生成するため、第1感知信号から乗算値を減算することと、第2の値を生成するため、第1感知信号に乗算値を加算することと、出力値を生成するため、第1の値を第2の値で除算することと、出力値を出力デジタルコード値へと変換することとを含む。第2の値は定数である。
【発明の効果】
【0007】
上記に基づき、変換回路は、乗算値を取得するため結果差分値と補償値に乗算演算を実行し、第1の値を生成するため第1感知信号から乗算値を減算し、第2の値を生成するため第1感知信号に乗算値を加算し、出力値を生成するため第1の値を第2の値で除算する。第2の値は定数であることに注意されたい。このようにして、温度感知装置は高い感知線形性を有する。
【0008】
本発明の上記特徴及び利点をより理解し易くするため、添付図面と併せて実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態による温度感知装置の概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態による信号と温度との間の関係の概略図である。
図3】本発明の1つの実施形態による変換回路の回路図である。
図4】本発明の1つの実施形態によるセンサの回路図である。
図5】本発明の1つの実施形態による温度感知方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の一部を添付図面を参照して以下に詳細に説明する。以下では、異なる図における同一の符号は同一又は類似の要素を表すと見なされるべきである。これら実施形態は本発明の一部にすぎず、本発明の可能な全ての実装を開示するわけではない。より正確には、これら実施形態は本発明の特許請求の範囲における例に過ぎない。
【0011】
図1を参照し、図1は本発明の1つの実施形態による温度感知装置の概略図である。本実施形態において、温度感知装置100は、センサ110と、変換回路120とを含む。センサ110は、第1の条件に基づき、温度に対応する第1感知信号VSEN1を生成し、第2の条件に基づき、温度に対応する第2感知信号VSEN2を生成する。
【0012】
本実施形態において、第1の条件は第2の条件とは異なる。このため、第1感知信号VSEN1は第2感知信号VSEN2とは異なる。第1の条件と第2の条件は、それぞれセンサ110の第1感度と第2感度である。センサ110の第1感度は第2感度とは異なるよう設計される。本実施形態において、第1の条件の感度は第2の条件の感度よりも高く設計される。
【0013】
本実施形態を例として、第1感知信号VSEN1と第2感知信号VSEN2はそれぞれアナログ電圧信号であるが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、第1感知信号VSEN1と第2感知信号VSEN2はそれぞれアナログ電流信号である。
【0014】
本実施形態において、変換回路120はセンサ110に結合される。変換回路120は、センサ110から第1感知信号VSEN1と第2感知信号VSEN2を受け取る。変換回路120は、結果差分値ΔVを取得するため、第1感知信号VSEN1と第2感知信号VSEN2に減算演算を実行する。変換回路120は、結果差分値ΔVと第1感知信号VSEM1に基づき、補償値Kを算出する。補償値Kは、温度に関係する、又は定数である。変換回路120は、乗算値MUを取得するため、結果差分値ΔVと補償値Kを乗算する。補償値Kは温度に関係する。変換回路120は、第1の値V1を生成するため第1感知信号VSEM1から乗算値MUを減算し、第2の値V2を生成するため第1感知信号VSEM1に乗算値MUを加算し、出力値VOを生成するため第1の値V1を第2の値V2で除算する。第2の値V2は定数である。変換回路120は、出力値VOを出力デジタルコード値DOUTに変換する。
【0015】
言及すべき点として、変換回路120は、乗算値MUを取得するため、第1感知信号VSEM1と第2感知信号VSEN2との間の結果差分値ΔVと補償値Kに乗算演算を実行し、第1の値V1を生成するため第1感知信号VSEM1から乗算値MUを減算し、第2の値V2を生成するため第1感知信号VSEM1に乗算値MUを加算し、出力値VOを生成するため第1の値V1を第2の値V2で除算する。第2の値V2は定数であることに注意されたい。第2の値V2(即ち分母)は温度の変化に基づき変化しない、このようにして、温度感知装置100は高い感知線形性を有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、変換回路120は、試験段階又は初めて使用されるときに、補償値Kを取得し、補償値Kと温度との間の関係を格納してよい。このため、変換回路120は使用されるたびに補償値Kを再計算する必要はない。いくつかの実施形態において、変換回路120は、試験段階又は初めて使用されるときに、乗算値MUと温度との間の関係を取得し、乗算値MUと温度との間の関係を格納してよい。このため、変換回路120は使用されるたびに乗算値MUを再計算する必要はない。
【0017】
具体的な説明のため、図1図2を同時に参照されたい。図2は、本発明の1つの実施形態による信号と温度との間の関係の概略図である。図2は、第1感知信号VSEM1、第2感知信号VSEN2、結果差分値ΔV、第1の値V1、第2の値V2、乗算値MU、及び温度との間の関係の概略図を示す。
【0018】
本実施形態において、変換回路120は、結果差分値ΔVを取得するため、第1感知信号VSEM1と第2感知信号VSEN2に減算演算を実行する。本実施形態において、変換回路120は、結果差分値ΔVを取得するため、第2感知信号VSEN2から第1感知信号VSEM1を減算する。本実施形態において、温度T1で、第2感知信号VSEN2と第1感知信号VSEM1との間で温度T1に対応する差が生成される。温度T2で、第2感知信号VSEN2と第1感知信号VSEM1との間で温度T2に対応する差が生成される。温度T3で、第2感知信号VSEN2と第1感知信号VSEM1との間で温度T3に対応する差が生成される。温度T1、T2、T3に対応する差は互いに異なる。本実施形態を例として、温度T3は温度T2よりも高い。温度T2は温度T1よりも高い。温度T3に対応する結果差分値ΔVは、温度T2に対応する結果差分値ΔV2よりも大きい。温度T2に対応する結果差分値ΔVは、温度T1に対応する結果差分値ΔV2よりも大きい。
【0019】
第1感知信号VSEM1は、温度に対応する勾配SL1を有する第2感知信号VSEN2は、温度に対応する勾配SL2を有する。勾配SL1とSL2はそれぞれ負の値である。勾配SL1の絶対値は勾配SL2の絶対値よりも大きい。これは、第1の条件の感度が第2の条件の感度よりも高いことを意味する。結果として、結果差分値ΔVは温度の増加に伴い増加する。
【0020】
変換回路120は、乗算値MUを取得するため、第2感知信号VSEN2と第1感知信号VSEM1との間の結果差分値ΔVと補償値Kに乗算を実行する(即ち、MU=K×ΔV)。乗算値MUは、温度に対応する演算勾配を有する。演算勾配は勾配SL1の負の値である(即ち、「-SL1」)。変換回路120は、第2の値V2を生成するため、第1感知信号VSEM1に乗算値MUを加算する。このため、第2の値V2は定数である。
【0021】
本実施形態において、変換回路120は式1に基づき出力値VOを取得する。
【0022】
【数1】
【0023】
VS1は、第1感知信号VSEM1の信号値である。
【0024】
第2の値が定数値Cであると仮定し、変換回路120は式2及び式3に基づき補償値Kを取得する。
【0025】
【数2】
【0026】
【数3】
【0027】
換言すれば、変換回路120は、基準差値を取得するため定数値Cから第1感知信号VSEM1を減算し、補償値Kを取得するため基準差値を結果差分値ΔVで除算する。数値Cは「0」に等しくない任意の実数であってよい。例えば、定数値Cは「1」であってよいが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
このため、出力値VOは式4に示すように表現される。
【0029】
【数4】
【0030】
乗算値MUの演算勾配は勾配SL1の負の値であることに注意されたい。第1の値V1は、第1感知信号VSEM1の勾配SL1の2倍に実質的に等しい(即ち、「-2×SL1」)。第2の値V2は定数である。このため、出力値VOの感度は第1の感度の2倍に実質的に等しい。
【0031】
図3を参照し、図3は本発明の1つの実施形態による変換回路の回路図である。本実施形態において、変換回路120は、減算器121と、演算回路122と、アナログ・デジタル変換器(ADC)123とを含む。減算器121は、第1感知信号VSEM1と第2感知信号VSEN2を受け取る。減算器121は、結果差分値ΔVを生成するため、第2感知信号VSEN2から第1感知信号VSEM1を減算する。演算回路122は減算器121に結合される。演算回路122は、第1感知信号VSEM1と結果差分値ΔVを受け取る。式(3)に基づき、演算回路122は結果差分値ΔVと第1感知信号VSEM1に基づき補償値Kを算出する。演算回路122は、乗算値MUを取得するため結果差分値ΔVと補償値Kを乗算する。更に、式(1)に基づき、演算回路122は第1の値V1を生成するため第1感知信号VSEM1から乗算値MUを減算し、第2の値V2を生成するため第1感知信号VSEM1に乗算値MUを加算し、出力値VOを生成するため第1の値V1を第2の値V2で除算する。ADC123は、出力値VOを受け取り、出力値VOを出力デジタルコード値DOUTへ変換する。
【0032】
図1図4の両方を参照されたい。図4は、本発明の1つの実施形態によるセンサの回路図である。本実施形態において、センサ110は第1電流源IS1と第1バイポーラトランジスタQ1とを含む。第1バイポーラトランジスタQ1のベースは、第1バイポーラトランジスタQ1のコレクタ、変換回路120、及び第1電流源IS1に結合される。第1バイポーラトランジスタQ1のエミッタは、基準低電位(例えばグランド)に結合される。本実施形態において、センサ110は、第1電流源IS1と第1バイポーラトランジスタQ1の構成を介して第1の条件を提供することができる。第1バイポーラトランジスタQ1のベースとコレクタは、センサ110の第1出力端として共同で用いられる。センサ110は、第1出力端を介して第1感知信号VSEM1を変換回路120へ提供する。本実施形態の第1バイポーラトランジスタQ1は、NPNバイポーラトランジスタにより実装される。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1バイポーラトランジスタQ1はダイオードに置き換えられてよい。例えば、ダイオードのアノードが第1電流源IS1と変換回路120に結合される。ダイオードのアノードはセンサ110の第1出力端として用いられる。ダイオードのカソードは基準低電位に結合される。
【0034】
いくつかの実施形態において、第1バイポーラトランジスタQ1は任意のタイプのN型電界効果トランジスタに置き換えられてよい。例えば、N型電界効果トランジスタのゲートがN型電界効果トランジスタのドレイン、第1電流源IS1、及び変換回路120に結合される。N型電界効果トランジスタのゲートとドレインは、センサ110の第1出力端として集合的に用いられる。N型電界効果トランジスタのソースは基準低電位に結合される。
【0035】
本実施形態において、センサ110は、第2電流源IS2と第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mとを更に含む。第2バイポーラトランジスタQ2_1のベースは、第2バイポーラトランジスタQ2_1のコレクタ、変換回路120、及び第2電流源IS2に結合される。第2バイポーラトランジスタQ2_1のエミッタは基準低電位に結合される。第2バイポーラトランジスタQ2_2のベースは、第2バイポーラトランジスタQ2_2のコレクタ、変換回路120、及び第2電流源IS2に結合される。。第2バイポーラトランジスタQ2_2のエミッタは基準低電位に結合される、というように続く。換言すれば、第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mはそれぞれダイオード接続方式で接続され、互いに並列に接続される。本実施形態において、センサ110は、第2電流源IS2と第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mの構成を介して、第1の条件とは異なる第2の条件を提供することができる。
【0036】
第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mのベースとコレクタは、センサ110の第2出力端として共同で用いられる。センサ110は、第2出力端を介して第2感知信号VSEN2を変換回路120へ提供する。本実施形態の第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mは、それぞれNPNバイポーラトランジスタにより実装される。
【0037】
本実施形態において、第1電流源IS1により提供される電流値は、第2電流源IS2により提供される電流値よりも大きくてよい。その結果、第1感知信号VSEM1の変化量は第2感知信号VSEN2の変化量よりも大きくなり、温度感知装置200の温度T1、T2、T3の認識効果が向上する。
【0038】
いくつかの実施形態において、第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mはそれぞれダイオードに置き換えられてよい。例えば、複数のダイオードのアノードが共通して第2電流源IS2と変換回路120に結合される。複数のダイオードのアノードはセンサ110の第2出力端として集合的に用いられる。複数のダイオードのカソードは共通して基準低電位に結合される。
【0039】
いくつかの実施形態において、第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mは任意の形式のN型電界効果トランジスタに置き換えられてよい。例えば、複数のN型電界効果トランジスタのゲートがそれぞれN型電界効果トランジスタのドレイン、第2電流源IS2、及び変換回路120に結合される。複数のN型電界効果トランジスタのゲートとドレインは、センサ110の第2出力端として集合的に用いられる。複数のN型電界効果トランジスタのソースは基準低電位に結合される。
【0040】
説明し易いよう、本実施形態の第1バイポーラトランジスタQ1の数量は例として1つである。本発明の第1バイポーラトランジスタQ1の数量は複数であってよく、第1バイポーラトランジスタQ1の数量は第2バイポーラトランジスタの数量未満である。本発明の第1バイポーラトランジスタの数量は、本発明を限定することを意図していない。
【0041】
図1図5を同時に参照されたい。図5は、本発明の1つの実施形態による温度感知方法のフロー図である。ステップS110において、センサ110は、第1の条件に基づき、温度に対応する第1感知信号VSEM1を生成し、第2の条件に基づき、温度に対応する第2感知信号VSEN2を生成する。ステップS120において、変換回路120は、結果差分値ΔVを取得するため第1感知信号VSEM1と第2感知信号VSEN2に減算演算を実行する。ステップS130において、変換回路120は、結果差分値ΔVと第1感知信号VSEM1に基づき補償値Kを算出する。
【0042】
ステップS140において、変換回路120は、乗算値MUを取得するため結果差分値ΔVと補償値Kを乗算する。変換回路120は、第1の値V1を生成するため第1感知信号VSEN1から乗算値MUを減算し、第2の値V2を生成するため第1感知信号VSEN1に乗算値MUを加算し、出力値VOを生成するため第1の値V1を第2の値V2で除算する。第2の値V2は定数である。更に、変換回路120は、出力値VOを出力デジタルコード値DOUTに変換する。
【0043】
ステップS110~S140の実施の詳細は、図1図4の複数の実施形態において明確に説明しており、このためここでは繰り返し述べない。
【0044】
上記に基づき、変換回路は、乗算値を取得するため結果差分値と補償値に乗算演算を実行し、第1の値を生成するため第1感知信号から乗算値を減算し、第2の値を生成するため第1感知信号に乗算値を加算し、出力値を生成するため第1の値を第2の値で除算する。第2の値は定数である。このようにして、温度感知装置は高い感知線形性を有する。加えて、温度感知装置の感度が増加する。
【0045】
本発明を上記実施形態を参照して説明したが、当業者にとって、本発明の精神から逸脱することなく、説明した実施形態を改変可能であることは明白である。従って、本発明の範囲は、上記の詳細な説明ではなく、添付の特許請求の範囲により定義される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の温度感知装置及び温度感知方法は、温度感知に適用することができる。
【符号の設定】
【0047】
100:温度感知装置
110:センサ
120:変換回路
121:減算器
122:演算回路
123:アナログ・デジタル変換器
C:定数
DOUT:出力デジタルコード値
IS1:第1電流源
IS2:第2電流源
K:補償値
MU:乗算値
Q1:第1バイポーラトランジスタ
Q2_1~Q2_m:第2バイポーラトランジスタ
SL1:勾配
SL2:勾配
T1:温度
T2:温度
T3:温度
V1:第1の値
V2:第2の値
ΔV:結果差分値
VO:出力値
VS1:信号値
VSEN1:第1感知信号
VSEN2:第2感知信号
図1
図2
図3
図4
図5