(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】電子顕微鏡ステージ
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H01J37/20
H01J37/20 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020189052
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-08-02
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト フィッシェル
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/023354(WO,A1)
【文献】特表2017-528899(JP,A)
【文献】特開昭59-184442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0016766(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジショニングシステムであって、
ワークピースを保持するためのホルダを備える第1のキャリッジであって、前記ワークピースを第1の軸、第2の軸、および第3の軸に沿って並進させる、かつ、前記ワークピースを前記第2の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の第1の駆動ユニットに結合された第1のキャリッジと、
前記1つ以上の第1の駆動ユニットを収容する第2のキャリッジであって、前記ワークピースを前記第1の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の回転駆動ユニットに結合された第2のキャリッジと、を備え
、
前記第1のキャリッジは、複数の弾性支柱部材を介して前記第2のキャリッジに結合されており、
前記複数の弾性支柱部材は、各々が第1の端部部分および第2の端部部分を有する、第1の弾性支柱部材、第2の弾性支柱部材、および第3の弾性支柱部材を備え、前記弾性支柱部材は、各支柱部材の前記第1の端部部分が前記第1のキャリッジに結合され、各支柱部材の前記第2の端部部分が前記第2のキャリッジに結合されるように、三角形に配置されている、ポジショニングシステム。
【請求項2】
前記1つ以上の第1の駆動ユニットは、1つ以上の支柱部材によって前記第1のキャリッジに結合されている、請求項1に記載のポジショニングシステム。
【請求項3】
前記第2のキャリッジから延在し、本体部分および先端部分を有するカラムをさらに備え、前記第1のキャリッジは、前記先端部分に隣接して配置され、前記支柱部材は、前記本体部分を通って延在する、請求項2に記載のポジショニングシステム。
【請求項4】
ポジショニングシステムであって、
ワークピースを保持するためのホルダを備える第1のキャリッジであって、前記ワークピースを第1の軸、第2の軸、および第3の軸に沿って並進させる、かつ、前記ワークピースを前記第2の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の第1の駆動ユニットに結合された第1のキャリッジと、
前記1つ以上の第1の駆動ユニットを収容する第2のキャリッジであって、前記ワークピースを前記第1の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の回転駆動ユニットに結合された第2のキャリッジと、を備え、
前記1つ以上の第1の駆動ユニットは、共通平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第1の駆動ユニット、第2の駆動ユニット、および第3の駆動ユニットと、前記共通平面に平行な平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第4の駆動ユニットと、を備える、
ポジショニングシステム。
【請求項5】
前記第1の
駆動ユニットおよび
前記第2の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第1
の軸および
前記第2の軸に沿って動かすように構成され、前記第3の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第3の軸に沿って動かすように構成され、前記第4の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第2の軸の周りで回転させるように構成されている、請求項
4に記載のポジショニングシステム。
【請求項6】
前記第1の駆動ユニット、第2の駆動ユニット、第3の駆動ユニット、および第4の駆動ユニットは、それぞれ第1の弾性部材、第2の弾性部材、第3の弾性部材、および第4の弾性部材によって前記第1のキャリッジに結合されている、請求項
4に記載のポジショニングシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の第1の駆動ユニットは、第5の駆動ユニットをさらに備え、前記第5の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第3の軸の周りで回転させるように構成されている、請求項
6に記載のポジショニングシステム。
【請求項8】
前記第5の駆動ユニットは、第5の弾性部材によって前記第1のキャリッジに結合され、前記第5の弾性部材は、接合部によって第2の部分に結合された第1の部分を備え、したがって、前記第5の弾性部材はL字形を有する、請求項
7に記載のポジショニングシステム。
【請求項9】
荷電粒子ビームシステムであって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内まで延在するポジショニングシステムと、を備え、前記ポジショニングシステムは、
ワークピースを保持するためのホルダを備える第1のキャリッジであって、前記ワークピースを第1の軸、第2の軸、および第3の軸に沿って並進させる、かつ、前記ワークピースを前記第2の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の第1の駆動ユニットに結合された前記第1のキャリッジと、
前記1つ以上の第1の駆動ユニットを収容する第2のキャリッジであって、前記ワークピースを前記第1の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の回転駆動ユニットに結合された前記第2のキャリッジと、を備え
、
前記1つ以上の第1の駆動ユニットは、共通平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第1の駆動ユニット、第2の駆動ユニット、および第3の駆動ユニットと、前記共通平面に平行な平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第4の駆動ユニットとを備え、前記第1および第3の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第1および第2の軸に沿って動かすように構成され、前記第2の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第3の軸に沿って動かすように構成され、前記第4の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第1の軸の周りで回転させるように構成されている、システム。
【請求項10】
前記ポジショニングシステムは、前記真空チャンバ内に配置されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポジショニングシステムは、前記真空チャンバの外面上に配置されたハウジングと、前記真空チャンバの内部にまで延在するカラムとを備える、請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
前記カラムは、本体部分および先端部分を備え、前記第1のキャリッジは、前記先端部分内に配置されている、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
ワークピースを保持する第1のキャリッジ要素に結合された1つ以上の第1の駆動ユニットを作動させて、前記ワークピースを第1の軸、第2の軸、および第3の軸に沿って選択された位置にポジショニングする、かつ、前記ワークピースを前記第2の軸の周りの選択された位置まで回転させることと、
第2のキャリッジ要素に結合された1つ以上の回転駆動ユニットを作動させて、前記ワークピースを前記第1の軸の周りの選択された位置まで回転させることと、を含み、
前記1つ以上の第1の駆動ユニットは、共通平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第1の駆動ユニット、第2の駆動ユニット、および第3の駆動ユニットと、前記共通平面に平行な平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第4の駆動ユニットとを備え、前記第1および第3の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第1および第2の軸に沿って動かすように構成され、前記第2の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第3の軸に沿って動かすように構成され、前記第4の駆動ユニットは、前記ワークピースを前記第1の軸の周りで回転させるように構成されている、
む方法。
【請求項14】
前記ワークピースを選択された位置にポジショニングすることは、前記ワークピースを荷電粒子ビーム(CPB)に対してポジショニングすることを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記CPBを使用して前記ワークピースを画像化することをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のキャリッジ要素は、前記1つ以上の第1の駆動ユニットを収容している、請求項
13に記載の方法。
【請求項17】
追加の第1の駆動ユニットを作動させて、前記ワークピースを前記第3の軸の周りの選択された位置にポジショニングすることをさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークピースをビームシステム内に保持するためのポジショニングシステムおよびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高解像度画像化および/またはデバイス処理は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、イオンカラム、レーザー、および/または他のビーム生成機器などの1つ以上の機器を用いて達成することができる。このような機器では、画像を獲得するか、または所望の領域を処理するために、ワークピースを正確にポジショニングする必要がある。一般に、ポジショニングシステムは、ワークピース(または画像化される被検体)を取り付けることができる担持要素と、担持要素を動かすように構成されたモータなどの一組のアクチュエータとを含む。
【0003】
アクチュエータの不正確なポジショニングおよび/または振動によって引き起こされる位置の乱れは、ワークピースの画像化および/または処理の品質に影響を与える可能性がある。したがって、ワークピースをポジショニングするための改善されたポジショニングシステムが必要である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載されているのは、ビームシステムとともに使用するためのポジショニングシステムの実施形態、ならびにそのようなシステムを使用してワークピースを動かしてポジショニングするための方法である。
【0005】
代表的な実施形態では、ポジショニングシステムは、第1のキャリッジおよび第2のキャリッジを備えることができる。第1のキャリッジは、ワークピースを保持するためのホルダを備えることができ、ワークピースを第1、第2、および第3の軸に沿って並進させるように、およびワークピースを第2の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の第1の駆動ユニットに結合させることができる。第2のキャリッジは、1つ以上の第1の駆動ユニットを収容することができ、ワークピースを第1の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の回転駆動ユニットに結合させることができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1の駆動ユニットは、1つ以上の支柱部材によって第1のキャリッジに結合される。ポジショニングシステムは、第2のキャリッジから延在し、本体部分および先端部分を有するカラムをさらに備えることができる。第1のキャリッジは、先端部分に隣接して配置することができ、支柱部材は、本体部分を通って延在することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のキャリッジは、複数の弾性支柱部材を介して第2のキャリッジに結合される。複数の弾性支柱部材は、各々が第1の端部部分および第2の端部部分を有する、第1、第2、および第3の弾性支柱部材を備えることができる。弾性支柱部材は、各支柱部材の第1の端部部分が第1のキャリッジに結合され、各支柱部材の第2の端部部分が第2のキャリッジに結合されるように、三角形に配置することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1の駆動ユニットは、共通平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第1、第2、および第3の駆動ユニットと、共通平面に平行な平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第4の駆動ユニットとを備えることができる。このような実施形態では、第1および第2の駆動ユニットは、ワークピースを第1および第2の軸に沿って動かすように構成することができ、第3の駆動ユニットは、ワークピースを第3の軸に沿って動かすように構成することができ、第4の駆動ユニットは、ワークピースを第2の軸の周りで回転させるように構成することができる。
【0009】
第1、第2、第3、および第4の駆動ユニットは、それぞれ第1、第2、第3、および第4の弾性部材によって第1のキャリッジに結合させることができる。いくつかの実施形態では、ポジショニングシステムは、第5の弾性部材によって第1のキャリッジに結合された第5の駆動ユニットをさらに備えることができる。第5の弾性部材は、接合部によって第2の部分に結合された第1の部分を備えることができ、したがって、第5の弾性部材は、L字形を有する。
【0010】
別の代表的な実施形態では、荷電粒子ビームシステムが、真空チャンバおよびポジショニングシステムを備えることができる。ポジショニングシステムは、真空チャンバ内まで延在することができ、第1のキャリッジおよび第2のキャリッジを備えることができる。第1のキャリッジは、ワークピースを保持するためのホルダを含むことができ、ワークピースを第1、第2、および第3の軸に沿って並進させる、かつワークピースを第2の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の第1の駆動ユニットに結合させることができる。第2のキャリッジは、1つ以上の第1の駆動ユニットを収容することができ、ワークピースを第1の軸の周りで回転させるように構成された1つ以上の回転駆動ユニットに結合させることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ポジショニングシステムは、真空チャンバ内に配置することができる。他の実施形態では、ポジショニングシステムは、真空チャンバの外面に配置されたハウジングと、真空チャンバの内部にまで延在するカラムとを備えることができる。カラムは、本体部分および先端部分を備えることができ、第1のキャリッジは、先端部分内に配置することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1の駆動ユニットは、共通平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第1、第2、および第3の駆動ユニットと、共通平面に平行な平面内に配置された軸に沿って作動するように構成された第4の駆動ユニットとを備えることができる。第1および第3の駆動ユニットは、ワークピースを第1および第2の軸に沿って動かすように構成することができ、第2の駆動ユニットは、ワークピースを第3の軸に沿って動かすように構成することができ、第4の駆動ユニットは、ワークピースを第1の軸の周りで回転させるように構成することができる。
【0013】
代表的な実施形態では、方法は、ワークピースを保持する第1のキャリッジに結合された1つ以上の第1の駆動ユニットを作動させて、ワークピースを第1、第2、および第3の軸に沿った選択された位置にポジショニングする、かつ、ワークピースを第2の軸の周りの選択された位置まで回転させることを含むことができる。方法は、第2のキャリッジ要素に結合された1つ以上の回転駆動ユニットを作動させて、ワークピースを第1の軸の周りの選択された位置まで回転させることをさらに含むことができる。
【0014】
ワークピースを選択された位置にポジショニングすることは、荷電粒子ビーム(CPB)に対してワークピースをポジショニングすることを含むことができる。そのような実施形態では、方法は、CPBを使用してワークピースを画像化することをさらに含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2のキャリッジは、1つ以上の第1の駆動ユニットを収容することができる。いくつかの実施形態では、方法は、追加の第1の駆動ユニットを作動させて、ワークピースを第3の軸の周りの選択された位置にポジショニングすることをさらに含むことができる。
【0016】
前述および他の開示の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】電子顕微鏡システムの側面に取り付けられたポジショニングシステムの代表的な実施形態の概略側断面図を示す。
【
図3A】電子顕微鏡システムの側面に取り付けられたポジショニングシステムの別の代表的な実施形態の概略側断面図を示す。
【
図3B】
図3の線A-Aに沿ったポジショニングシステムの断面図を示す。
【
図3C】試料キャリッジおよびα傾斜キャリッジの拡大図を示す。
【
図4】
図3の線B-Bに沿ったポジショニングシステムの一部の断面を上から見た図を示す。
【
図5】電子顕微鏡システムの側面に取り付けられたポジショニングシステムの別の代表的な実施形態の概略側断面図を示す。
【
図6】
図5のポジショニングシステムの一部を上から見た図を示す。
【
図7】
図5のポジショニングシステムの一部の側断面図を示す。
【
図8】ポジショニングシステムで使用する第1のキャリッジの代表的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
序論
本開示は、シングルビームシステムまたはマルチビームシステム内で、ウェハステージアセンブリなどのポジショニングシステムを動かすためのシステムおよび方法に関する。本明細書に記載のシステムは、システムのニーズに従って、ツールおよび/またはワークピースをさまざまな角度でポジショニングし得るプロセスチャンバ(例えば、真空チャンバ)内で、半導体ウェハなどのワークピースを1つ以上のツール(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、イオンカラム、レーザービームなど)に対して正確にポジショニングすることを可能にする。以下のシステムおよび方法は、半導体処理アプリケーションを参照していくつかの実施例で説明されるが、本明細書に記載の位置システムおよび制御方法は、生物学的試料の調製および分析など、正確なポジショニングおよび/または画像化が使用される他の分野にも適用可能とすることができる。
【0019】
実施例1
図1を参照すると、代表的な実施形態では、マルチビームシステムは、全体が102で示された走査型電子顕微鏡(SEM)と、全体が104で示されたイオンビームカラムとを備えるデュアルビームシステム100として構成することができる。SEM102は、集光レンズ116および対物レンズ106などの、1つ以上の荷電粒子ビーム(CPB)レンズを備えることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のCPBレンズは、磁気レンズとすることができ、特に、対物レンズ106は、磁気対物レンズとすることができる。イオンビームカラムは、集束イオンビーム(FIB)をワークピースWに提供するように構成され、SEM102は、ワークピースWの画像を生成するように位置している。
【0020】
SEM102およびイオンビームカラム104は、ワークピースWを保持するための可動ポジショニングシステム110を収容する真空チャンバ108に取り付けることができる。真空チャンバ108は、真空ポンプ(図示せず)を使用して真空排気することができる。以下でさらに詳細に説明するように、ポジショニングシステム110は、座標系150に関して示されるような、X軸、Y軸、および/またはZ軸に沿って可動とすることができ、ここで、Y軸はページ平面に垂直である。
【0021】
いくつかの実施形態では、SEM102は、ワークピースWの上方に垂直に配置することができ、ワークピースWを画像化するために使用することができ、イオンビームカラム104は、角度を付けて配置することができ、ワークピースWを機械加工および/または処理するために使用することができる。
図1は、SEM102およびイオンビームカラム104の例示的配向を示す。
【0022】
SEM102は、電子源112を備えることができ、電子源112からの「生の」放射線ビームを操作して、それに、フォーカシング、収差軽減、(絞りを使用しての)トリミング、フィルタリングなどの動作を実行するように構成することができる。SEM102は、粒子光軸115に沿って伝播する入力荷電粒子のビーム114(例えば、電子ビーム)を生成することができる。SEM102は、一般に、ビーム114をワークピースW上に集中させるための集光レンズ116および対物レンズ106などの1つ以上のレンズ(例えば、CPBレンズ)を備えることができる。いくつかの実施形態では、SEM102に、ビーム115を誘導ように構成することができる偏向ユニット118を設けることができる。例えば、ビーム114は、調査されている試料または処理されるワークピースを横切るスキャン動作(例えば、ラスタまたはベクトルスキャン)において誘導することができる。
【0023】
デュアルビームシステム100は、とりわけ、偏向ユニット118、荷電粒子ビーム(CPB)レンズ106、116、および検出器(図示せず)を制御するため、および検出器から収集された情報を表示ユニットに表示するために、コンピュータ処理装置および/またはコントローラ128をさらに備えることができる。場合によっては、制御コンピュータ130が、さまざまな励起を確立し、画像データを記録し、SEMおよびFIBの両方の動作を全般的に制御するために提供される。
【0024】
さらに
図1を参照すると、イオンビームカラム104は、イオン源(例えば、プラズマ源120)およびイオンビーム光学素子122を備えることができる。図示の実施形態では、イオンビームカラム104はプラズマ集束イオンビーム(PFIB)であるが、他の実施形態では、イオンビームカラム104は、液体金属イオン源(LMIS)、または集束イオンビームカラムと互換性のある任意の他のイオン源を有する標準的な集束イオンビーム(FIB)とすることができる。イオンビームカラム104は、イオンビーム124をイオン光軸125に沿って生成および/または方向付けすることができる。上記したように、イオンカラム104は、切断、フライス加工、エッチング、堆積など、ワークピースに画像化、処理、および/または機械加工動作を実行するために使用することができる。
【0025】
イオンビームがPFIBである実施形態では、イオン源120は、それぞれのバルブによってイオン源120に結合されたガス源を含むガスマニホルド140を介して、複数のガスに流体結合させることができる。イオン源120の動作中、ガスが導入され、そこで帯電またはイオン化され、それによってプラズマを形成することができる。プラズマから抽出されたイオンは、次いで、イオンビームカラム104を通して加速され、イオンビームになることができる。他の実施形態では、システム100は、1つ以上のレーザー、または他のタイプのフライス加工もしくは診断ツールを備えることができる。
【0026】
上記したように、そのようなマルチビームシステムは、ワークピースWを保持およびポジショニングするように構成されたポジショニングシステム(例えば、ステージ)を備えることができる。ポジショニングシステムは、(例えば、ワークピースの分析のために特定の領域を選択するための)線形運動、および/または(例えば、機器に対するワークピースの選択された角度を達成するための)角運動もしくは回転運動を含む、多自由度で担持要素をポジショニングすること/動かすことができる。
【0027】
実施例2
図2は、全体が208で示された荷電粒子顕微鏡(CPM)として構成されたビームシステムに結合されたポジショニングシステム200の例示的実施形態の断面図を示す。ポジショニングシステム200は、1つ以上の駆動ユニットを備えることができる。例えば、図示の実施形態では、システムは、3つの駆動ユニットを備えることができ、そのうちの2つの駆動ユニット202および204を
図2に見ることができる。図示の実施形態では、駆動ユニット202、204は、Heinmade BVから入手可能なHeinmade Piezo Stepper(HMPS)アクチュエータなどのウォーキングまたはステッピングピエゾ駆動ユニットとして構成されている。しかしながら、他の実施形態では、駆動ユニットは、他のタイプのピエゾアクチュエータ、ボイスコイルモータ、ラックアンドピニオンシステム、リニアモータなどの他のタイプのアクチュエータを備えることができる。
【0028】
第1および第2の駆動ユニット202、204は、ワークピースWを、ビームシステム208に対して定義される座標系206の少なくともX軸およびZ軸に沿ってポジショニングするように構成することができる。上述したように、ポジショニングシステムは、3つ以上の駆動ユニットを備えることができ、X軸、Y軸、およびZ軸に沿ったワークピースの動きを可能にする。いくつかの特定の実施形態では、ポジショニングシステムは、さらなる実施例でより詳細に説明されるように、各駆動ユニットが他の駆動ユニットから120度オフセットされるように配向された3つの駆動ユニットを備えることができる。
【0029】
上述したように、ポジショニングシステム200は、CPM208などのマルチビームシステムとともに使用することができる。CPM208は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、または走査透過型電子顕微鏡(STEM)とすることができる。CPM208は、ビーム源210、上極対物レンズ212、下極対物レンズ214、検出器216(例えば、カメラ、光電子増倍管、フォトダイオード、CMOS検出器、CCD検出器、太陽電池など)を備えることができる。構成部品は、少なくとも部分的に、真空チャンバ218内に配置することができる。その上にポジショニングされたワークピースWを含む担持要素220が、ポジショニングシステム200から真空チャンバ218内まで延在して示されている。
【0030】
ポジショニングシステム200は、CPM208の外面224(例えば、真空チャンバ218の外面)に結合されたフレームまたはハウジング222を備えることができる。ハウジング222は、ハウジング222が表面224対して(例えば、x軸の周りで)傾斜または回転することを可能にする1つ以上の軸受け226を使用して、表面224に結合させることができる。いくつかの実施形態では、
図2に示されるように、軸受け226は、CPM208の表面224に配置された取り付け要素228に結合させることができる。
【0031】
ハウジング222は、ワークピースWを保持するための担持要素220を備えるハウジングの部分が、CPM208の側面の開口部を通って延在して、少なくとも部分的に真空チャンバ218内に入るように配置することができる。ポジショニングシステム200は、以下でより詳細に説明するように、駆動ユニット(例えば、第1および第2の駆動ユニット202、204)を使用して担持要素220の位置を調整することにより、ビーム230に対するワークピースWの位置を調整するように構成することができる。
【0032】
担持要素220は、第1および第2のガイド232、234に結合させることができる。各ガイド232、234は、それぞれの接合部236(例えば、ヒンジ、ナックル接合部、ボール接合部など)を介してそれぞれの支柱部材238、240にさらに結合させることができる。支柱238は、動体要素または部材242にピボット接合部239で枢動可能に結合させることができ、支柱240は、動体要素または部材244にピボット接合部241で枢動可能に結合させることができる。第1および第2の駆動ユニット202、204は、動体要素242および244とそれぞれ係合するように構成することができる。駆動ユニット202は、以下でより詳細に説明するように、一連のステップ運動において動体要素242をその軸に沿って、ハウジング222の後壁243に近づけるおよび遠ざけたりするように構成することができる。駆動ユニット204は、動体要素242と同様に、動体要素244をその軸に沿って、ハウジング222の後壁245に近づけるおよび遠ざけたりするように構成することができる。(動体要素および駆動ユニットとともに)支柱238、240は、後壁243から遠ざかる動体要素242の動きが、後壁245に近づく動体要素244の動きとともに、担持要素220をXY平面の外に傾斜させるように、相互に相対的な角度でポジショニングすることができる。壁243および245から遠ざかり、CPM208に近づく動体要素242および244の動きにより、担持要素200をX軸に沿って動かすことができる。図示の実施形態では、動体要素242および244は、互いに対して90°の角度で配置されている。特定の実施形態では、3つの駆動ユニットおよび対応する動体要素を、担持要素220の軸の周りに120°の角度間隔で配列することができる。
【0033】
各動体要素242、244は、それぞれのエンコーダスケール246を備えることができる。ハウジング222に取り付けられた第1および第2の位置エンコーダ248および250(例えば、光学エンコーダ)は、エンコーダスケール246に基づいて、各動体要素242、244の位置をそれぞれ決定するように構成することができる。エンコーダスケール246は、動体242、244に結合させるかまたはそれと一体的に形成することができる。
【0034】
各エンコーダ248、250は、それぞれの動体要素242、244の位置を決定するように構成することができる。エンコーダ248、250によって生成された位置データは、コントローラ252によって使用されて、動体要素242、244を選択された位置にポジショニングし、それによってワークピースWを選択された位置にポジショニングするようにアクチュエータ202、204を動作させることができる。各動体要素242、244は、それぞれのエンコーダスケール246を備えることができる。ハウジング222に取り付けられた第1および第2の位置エンコーダ248および250は、エンコーダスケール246に基づいて、各動体要素242、244の位置をそれぞれ決定するように構成することができる。エンコーダスケール246は、動体242、244に結合させるかまたはそれと一体的に形成することができる。
【0035】
ワークピースWを担持要素220上に装填するために、担持要素220を矢印254で示される方向にポジショニングシステム200を通して引っ張ることにより、担持要素をポジショニングシステム200から取り出すことができる。次いで、ワークピースを担持要素220の端部部分上に装填することができ、担持要素を、CPMの側面にある開口部から再挿入することができる。
【0036】
駆動ユニット202、204は、各々が第1および第2のセットのアクチュエータを備えるピエゾ駆動ユニットとすることができる。第1および第2のセットのアクチュエータは、第1のセットのアクチュエータがそれぞれの動体要素(例えば、動体要素242または244)と係合して力を加えるときに、第2のセットの要素は、動体要素を係合解除または解放する、およびその逆になるなど、交互のステッピングまたは「ウォーキング」動作で作動させることができる。両方のセットのアクチュエータが動体242、244と接触している短い時間がステップ間に存在する可能性がある。これは、一方のセットのアクチュエータが他方のセットのアクチュエータから「引き継ぐ」ときの、「引き継ぎ」状態と称される。1つのセットの1つのアクチュエータが動体要素の第1の表面に係合し、そのセットの第2および第3のアクチュエータが動体要素の第2の表面に係合するこの構成は、動作中の歪みを軽減する助けとなり、動体要素のよりスムーズな動きを提供することができる。2つのセットのアクチュエータ間の交互の引き継ぎ動作は、アクチュエータと動体要素との間の滑りを有利に最小化する。さらに、この構成は、剛性または運動性能に影響することなく、駆動ユニットの行程長の延長を可能にする。ピエゾモータのさらなる詳細は、本願とともに出願され、代理人参照番号9748-102339-01によっても参照される「Systems and Methods of Clamp Compensation」と題された出願、および本願とともに出願され、代理人参照番号9748-102338-01によっても参照される「Systems and Methods of Hysteresis Compensation」と題された出願に見ることができ、各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
実施例3
図3A~
図4は、ポジショニングシステム300の別の例示的実施形態を示す。ポジショニングシステム300は、CPM(図示せず)とともに使用することができる。CPMは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)(または上述の他のさまざまなビームシステムのいずれか)とすることができ、真空チャンバ302を備えることができる。
【0038】
図3Aを参照すると、ポジショニングシステム300は、例えば、ボルト374を使用して、CPMの外面306(例えば、真空チャンバ302の外面)に取り付けられたフレームまたはハウジング304を備えることができる。ハウジング304は、カラム308が、CPMの側面にある開口部を通って延在して、少なくとも部分的に真空チャンバ302内に入るように配置することができる。カラム308は、実質的に剛性の本体部分310と、ワークピースWを保持するように構成された可動ホルダ314を含む先端部分312とを備えることができる。ポジショニングシステム300は、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の駆動ユニットを使用してワークピースWの位置を調整するように構成することができる。
【0039】
図示の実施形態では、本体部分310は円筒形を有し、先端部分312は、少なくとも部分的に、切頭円錐形を有する。しかしながら、他の実施形態では、本体および先端部分は、さまざまな形状のうちのいずれかを有することができる。例えば、本体および/または先端部分は、断面が正方形、長方形、三角形などの形状を有することができる。いくつかの実施形態では、本体は、本体が高い機械的共振周波数を有するように、トラス様構造をさらに備えることができる。高い機械的共振周波数は、ワークピースの振動を防止または軽減して、ワークピースの改善された高解像度画像化を可能にすることができる。
【0040】
ポジショニングシステム300は、ホルダ314内に配置されたワークピースWを、5自由度に関連付けられた5つの運動方向で動かすように構成することができる(例えば、X軸、Y軸、Z軸に沿った並進、ならびにそれぞれX軸およびY軸の周りの回転αおよびβ)。場合によっては、並進運動は、結合回転運動を含むことができる。例えば、Y軸に沿った並進は、小さなγ傾斜と結合させることができ、Z軸に沿った並進は、低度のβ傾斜と結合させることができる。場合によっては、低度の傾斜は、反対の動きによって軽減および/または補償することができる。例えば、特定の実施形態では、Z軸に沿った並進中の不注意または望ましくないβ傾斜運動は、駆動ユニット320dを使用して反対のβ傾斜を生成することによって補償することができる。座標系328を参照すると、X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交しており、α傾斜はX軸の周りの回転であり、β傾斜はY軸の周りの回転であり、γ傾斜はZ軸の周りの回転である。
【0041】
ポジショニングシステム300は、1つ以上の駆動ユニットに結合された1つ以上のキャリッジ要素を備えることができる。図示の実施形態では、ポジショニングシステムは、試料キャリッジとも称される第1のキャリッジ316と、α傾斜キャリッジとも称される第2のキャリッジ318とを備える。いくつかの実施形態では、第1のキャリッジ316は、例えば、三角形に配置された3つの支柱部材371と、第2のキャリッジの長さに沿って軸方向に延在する3つの追加支柱部材322とを備える、スチュワートプラットフォームなどのプラットフォーム315(
図3Bを参照)を含むことができる。本明細書で使用される「プラットフォーム」とは、1以上の自由度に関して運動を可能にするように構成された支柱または他の支持部材の構成を意味する。3つの支柱部材371は、第1のキャリッジ316に結合され、固定長を有し、支柱部材322と併せて、ワークピースWの3方向の動きを可能にするように構成することができる。プラットフォーム315は、以下でより詳細に説明するように、(参照を容易にするためにO平面とも称する)Z-Y平面内に配置することができ、第1のキャリッジ316および第2のキャリッジ318に結合させることができる。
【0042】
図示の実施形態では、第1のキャリッジ316は、ワークピースWが取り付けられる被検体キャリッジ375(
図4を参照)を備えることができる。被検体キャリッジ375は、回転滑り軸受け(図示せず)を介してホルダ314に結合させることができる。軸受けは、ワークピースWをY軸の周りでポジショニングすること(例えば、β傾斜)を可能にする。これにより、第1のキャリッジは、β傾斜のための追加調整メカニズムを提供する7番目の独立位置調整を受けることができる。
【0043】
ここで
図3Bを参照すると、プラットフォーム315は、1つ以上の弾性支柱部材371を備えることができる。図示の実施形態では、プラットフォーム315は、3つの弾性支柱部材371a、371b、371cを備える。弾性支柱部材371は、第1の軸に沿って(例えば、支柱の長さに沿って)実質的に剛性とすることができ、第1の軸を横切る1つ以上の軸に沿って実質的に可撓性とすることができる。弾性支柱部材371は、第1のキャリッジ316および第2のキャリッジ318を互いに結合させることができる。いくつかの特定の実施形態では、弾性支柱部材371は、ステンレスばね鋼弾性セクションを備えることができる。いくつかの特定の実施形態では、弾性支柱部材の端部部分369、373は、中央部分365よりも薄くすることができ、例えば、端部部分369、373は、約0.25mmの直径または厚さを有することができ、中央部分は、約1mmの厚さを有することができる。端部部分369、373は、支柱部材371の全長の約1/6の長さを有することができる。例えば、弾性支柱部材は、約22mmの長さを有することができ、端部部分369、373は、約3~3.5mmの長さを有することができる。いくつかの特定の実施形態では、カラム308は、約38mmの直径を有することができる。
【0044】
図3Cに示されるように、第1のキャリッジ316および第2のキャリッジ318は、ヘリカルまたはスパイラルカット367を介して互いに分離することができる。図示の実施形態では、第1および第2のキャリッジ316、318は、単一の部品として形成され、スパイラルカット367を介して別個の部品に切断された。他の実施形態では、第1および第2のキャリッジ316、318を、別個の部品として形成し、スパイラルカット367がそれらの間に規定されるように、互いに隣接させて配置することができる。スパイラルカット367は、
図3Bに示すように、各弾性部材371の第1の端部部分369が第1のキャリッジ316に結合でき、各弾性部材の第2の端部部分373が第2のキャリッジ318に結合できるように構成することができる。カット367の形状により、弾性支柱部材371を、第1のキャリッジ316および第2のキャリッジ318の両方に結合させながら、同じ平面(例えば、O平面)内に配置することができる。弾性部材371は、溶接、ろう付け、または他の手段を介して第1および/または第2のキャリッジに結合させることができる。
【0045】
弾性部材371a、371b、および371cの結合は、第1のキャリッジ316を第2のキャリッジ318に対して3つの方向(例えば、3自由度)で固定する。弾性部材371a、371b、371cは、固定長を有することができ、X方向、ならびにそれぞれY軸およびZ軸の周りのβ傾斜およびγ傾斜における第1のキャリッジ316の動きを可能にするように構成することができる。
【0046】
図3Aを参照すると、第1のキャリッジ316は、第2のキャリッジ318に対して静止している1つ以上の部材321(以降、「静止部材」321と称する)に対してX軸に沿って可動である4つの駆動ユニット320(例えば、駆動ユニット320a、320b、320c、および320d)に結合させることができる(例えば、
図4を参照)。第2のキャリッジ318は、以下でより詳細に説明するように、1つの駆動ユニット324に結合させることができる。
【0047】
図示の実施形態では、4つの駆動ユニット320はすべて、同じ静止部材321に対して可動である。しかしながら、他の実施形態では、各駆動ユニット320は、それぞれの静止部材321を有することができる。さらに他の実施形態では、駆動ユニット320dおよび320cは同じ静止部材に対して可動とすることができ、駆動ユニット320aおよび320bはそれぞれの静止部材に対して可動とすることができる。
【0048】
第2のキャリッジ318は、真空チャンバ302の外面306上に配置することができ、1つ以上の駆動ユニットを収納することができる。例えば、図示の実施形態では、第2のキャリッジ318は、駆動ユニット320a~320dを収容している。Oリング372を、ハウジング304とCPMの外面306との間に配置することができる。Oリング372は、真空チャンバ302内の真空を周囲大気圧から分離するように構成することができる。
【0049】
図3Aの図示の実施形態では、真空シール372は、ポジショニングシステム300全体の周りに真空を生成し、したがって、α傾斜軸受け326、エンコーダ、ピエゾモータ、およびすべてのケーブルなど、すべての構成部品は真空内にある。これらの構成部品は、真空を汚染するリスクをもたらす可能性があり、したがって、いくつかの実施形態では、これらの構成部品を真空チャンバの外に配置することが好ましい。代替実施形態では、真空密閉は、選択された構成部品(例えば、α傾斜軸受け326、エンコーダ、ピエゾモータ、およびケーブル)が周囲空気中に留まることができるように行われる。そのような実施形態では、静的真空シール372は、
図3Aから取り外すことができ、ハウジング306には、真空チャンバ302に向かって延在し、カラム308を取り囲む突起を設けることができる。この突起には、カラム308の円筒形外側ジャケットに面するリング状溝を設けることができる。前記溝内に、真空チャンバ302と周囲大気圧との間に真空シールを作り出すOリングを配置することができる。この真空シールは、軸受け326において必要なα傾斜回転を可能にする動的真空シールとすることができる。カラム308の内部で、真空壁に、支柱部材322が貫いて延在することができる孔を配置することができる。これらの支柱部材322の周囲に、鋼製とし得る、可能な限り小さい直径を有する軸方向コンプライアントベローズを設けて、真空シールを完成させることができる。
【0050】
第2のキャリッジ318は、駆動ユニット324によって作動されたときに第2のキャリッジがハウジング304に対して傾斜または回転することを可能にする1つ以上の軸受け326に結合させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のキャリッジ318は、ハウジング304に対してX軸の周りで排他的に傾斜または回転(例えば、α傾斜)することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つ以上の駆動ユニットは、ピエゾ駆動ユニット(上述の駆動ユニット202および204など}、および/またはピエゾモータを備えた円筒形駆動ユニット(例えば、円筒形セラミック駆動レール)とすることができる。例えば、図示の実施形態では、駆動ユニット320a~320dはピエゾ駆動ユニットであり、駆動ユニット324はピエゾモータを備えた円筒形駆動ユニットである。ピエゾモータを備えた円筒形駆動ユニットは、例えば、円筒形セラミック駆動レールに対して接線方向に第2のキャリッジ318を駆動することができる。ピエゾ駆動ユニット320a~320dは、Heinmade BVから入手可能なHeinmade Piezo Stepper(HMPS)アクチュエータなどの「ウォーキング」またはステッピングピエゾ駆動ユニットとすることができる。ピエゾ駆動ユニットは、各々がクランプおよび/または剪断要素を備える、第1および第2のセットのアクチュエータを備えることができる。アクチュエータセットは、第1のセットのアクチュエータが静止部材321と係合して力を加えるとき、第2のセットの要素は静止要素を係合解除または解放する、およびその逆になるなど、交互の動作で作動するように構成することができる。いくつかの実施形態では、図示したように、駆動ユニット320のピエゾ構成部品を静止部材321上に配置することができ、したがって、ピエゾ構成部品の動きが駆動ユニットを(例えば、軸方向または回転方向に)動かす。これにより、駆動ユニット320を動かすために、ピエゾ構成部品が駆動ユニット320に沿って「歩く」(例えば、相対的に動く)ことが可能になる。他の実施形態では、ピエゾ構成部品は、駆動ユニット320上に配置することができる。ピエゾ駆動ユニットのさらなる詳細は、本願とともに出願され、代理人参照番号9748-102339-01によっても参照される「Systems and Methods of Clamp Compensation」と題された出願、および本願とともに出願され、代理人参照番号9748-102338-01によっても参照される「Systems and Methods of Hysteresis Compensation」と題された出願に見ることができる。
【0052】
1つ以上の荷重ユニット376を、1つ以上の駆動ユニット320a~320dを1つ以上の静止部材321に対して付勢するように構成することができる。図示の実施形態は、駆動ユニット320a~320d上に配置された1つの荷重ユニット376を示しているが、他の実施形態では、追加荷重ユニット376を、駆動ユニット320a~320dの下方に配置することができる。荷重ユニット376は、付勢部材378(例えば、ばね)および1つ以上のローラ380を備えることができる。荷重ユニット376は、駆動ユニットが、動いている間、ピエゾ構成部品と接触したままであるように、1つ以上の駆動ユニットに対する付勢力を維持することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、駆動ユニット324によって加えられる力が第2のキャリッジ318に加えられるように、予荷重ばねなどの追加荷重ユニット325が、駆動ユニット324と第2のキャリッジ318との間に延在することができる。
【0054】
駆動ユニット320は、第1のキャリッジ316に複数の支柱部材322(例えば、支柱部材322a、322b、322c、322d)を介して結合させることができる。静止部材321に対する駆動ユニット320の動きは、支柱部材322の対応する動きを引き起こす。他の実施形態では、支柱部材322は、動体要素に結合させることができ、駆動ユニット320は、静止したままであることができる。そのような実施形態では、駆動ユニット320の作動により、動体要素の動き、したがって支柱部材の動きを引き起こすことができる。支柱322dの遠位端部分(すなわち、真空チャンバ302内まで延在する端部部分)は、第1のキャリッジ316に結合された回転滑り軸受けおよび/またはアクセルに結合させることができる。軸受けは、第1のキャリッジ316がY軸の周りで回転すること(例えば、β傾斜)を可能にするように構成されている。
【0055】
駆動ユニット320a、320b、および320d(
図4を参照)は、それらが共通平面(例えば、座標系328によって示されるようなX-Y平面)内でX軸に沿って作動するようにポジショニングすることができ、駆動ユニット320cは、共通平面に平行な(例えば、同一平面上にない)軸に沿って作動するようにポジショニングすることができる。換言すれば、駆動ユニット320cおよび支柱322cは、
図3に示された配向で、駆動ユニット320a、320b、および320dならびに支柱322a、322b、および322dの下方とすることができる。この構成により、すべての駆動ユニットを、ワークピースWが配置される平面にまたはその下方にポジショニングすることが可能となり、それは、ワークピースに影響を与える可能性のある振動を軽減する助けとすることができる。
【0056】
他の実施形態では、駆動ユニット320および支柱322は、Y-Z平面内のさまざまな位置にポジショニングすることができる。例えば、いくつかの特定の実施形態では、駆動ユニットは、各駆動ユニットが、カラム308の内周の周りで各隣接する駆動ユニットから90度であるようにポジショニングされる。さらに他の実施形態では、駆動ユニット320および支柱322は、それらがX軸と平行にならないようにポジショニングすることができる。例えば、駆動ユニット320および支柱322は、カラム308の本体部分310に対してある角度でポジショニングすることができる。
【0057】
駆動ユニット320a~320dは、ハウジング304の後壁330に対して動き、そうすると、支柱部材322a~322dがそれらの軸に沿って後壁330に近づくおよび遠ざかるように構成することができる。(支柱322a~322dとともに)駆動ユニット320a~320d(
図4を参照)は、駆動ユニット320a~322dの動きにより、第1のキャリッジ316、したがって(被検体キャリッジ375およびワークピースWを含む)ホルダ314をX軸、Y軸、およびZ軸に沿って動かすように、ならびにY軸の周りで回転(β傾斜)させるように構成することができる。例えば、4つの駆動ユニット320a~320dのすべての動きにより、第1のキャリッジをX軸に沿って後方および/または前方に動かすことができる。320cおよび320dを静止させたままで320aまたは320bのいずれかを動かすと、第1のキャリッジ316をY軸に沿って、またはX軸およびY軸の両方に沿って動かす結果とすることができる。
【0058】
駆動ユニット320cは、ハウジング304の後壁330に近づくまたはそれから遠ざかる駆動ユニット320cの動きにより、駆動ユニット320bの動きによって防止または軽減することができるY軸の周りの小さな回転(例えば、β傾斜)と併せて、第1のキャリッジをZ軸に沿って動かすように構成することができる。駆動ユニット320dは、ハウジング304の後壁330に近づくまたはそこから遠ざかる(支柱322dと一緒の)駆動ユニット320dの動きにより、第1のキャリッジ316によって保持されたワークピースWをY軸の周りで回転(β回転)させるように構成することができる。
【0059】
駆動ユニット324は、第2のキャリッジ318に結合させることができ、駆動ユニット324の動きにより、第2のキャリッジ318(したがって、駆動ユニット320a~320d)を座標系328によって示されるような、X軸の周りで回転(α回転)させるように構成することができる。
【0060】
駆動ユニット320a~320dおよび324を別々に、または任意の組み合わせで作動させることにより、ポジショニングシステム300は、ワークピースWを5自由度(X、Y、Z、α、およびβ)で動かすことができる。つまり、ポジショニングシステム300は、ワークピースを、少なくとも3つの線形軸(例えば、座標系328)に関して示されるような、X軸、Y軸、Z軸)に沿って、および少なくとも2つの回転軸の周り(例えば、X軸の周り(α傾斜)およびY軸の周り(β傾斜)の回転)で、ポジショニングするように構成することができる。したがって、ポジショニングシステム300は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)に対して選択された位置にワークピースWをポジショニングすることができる。
【0061】
各駆動ユニット320a~dは、それぞれの位置エンコーダ333を備えることができる。各位置エンコーダ333は、上述のエンコーダ248と同様とすることができ、それぞれのエンコーダスケールを備えることができる。他の実施形態では、エンコーダスケールの代わりに、またはエンコーダスケールに加えて、各駆動ユニットは、その端部部分に鏡面を備えることができる。エンコーダスケールおよび/または鏡面は、例えば、支柱部材322および/または駆動ユニット320上に取り付けることができる。位置エンコーダは、エンコーダスケールに基づいて、各支柱部材(322a~322d)および/または駆動ユニット(320a~320d)の位置をそれぞれ決定することができる。エンコーダスケールは、支柱部材322a~322dおよび/または駆動ユニット320a~320dに結合させるかまたはそれと一体的に形成することができる。ポジショニングシステム300は、レーザーファイバ337を含む追加位置エンコーダ335をさらに備えることができる。位置エンコーダ335は、X軸の周りの回転量(例えば、α傾斜量)を決定するように構成することができる。
【0062】
位置エンコーダ333、335は、例えば、光学エンコーダ、レーザーファイバ変位エンコーダ(例えば、ファイバブラッググレーティングセンサ)、および/またはレーザーファイバ速度エンコーダ(例えば、振動計)とすることができる。いくつかの実施形態では、位置エンコーダは、それぞれの位置エンコーダと位置エンコーダスケールおよび/または鏡面との間に適切な光学ギャップが形成されるようにポジショニングすることができる。
【0063】
各駆動ユニット320a~320dおよび324は、駆動ユニットに電力を供給するように構成された1本以上のワイヤまたはケーブル332に結合させることができる。ケーブル332および/または光ファイバ(例えば、位置エンコーダの一部として機能する光ファイバ)は、ハウジング304内に配置することができ、真空シール334を通ってハウジング304を出ることができる。シールは、例えば、1つ以上のマルチピンコネクタおよびファイバスループットを備えることができる。この構成は、真空チャンバ302への空気の導入を防ぐ助けとなることができる。ハウジング304は、ケーブル332を配置することができる中央チャンバ338を追加で備えることができる。チャンバ338は、駆動ユニット320が作動されたときにケーブル322の偏向および動きを可能にするようなサイズとすることができる。いくつかの特定の実施形態では、駆動ユニット320a~320dの行程は、約+/-2mmとすることができ、駆動ユニット324(α傾斜)の行程は、約+/-60°とすることができる。
【0064】
画像化および/または処理が完了すると、ワークピースWは、新しいワークピースに置き換えることができる。いくつかの実施形態では、ワークピースは、ポジショニングシステムが所定の位置に留まっている間に、新しいワークピースをホルダ314内に挿入することによって置き換えることができる。そのような実施形態では、古いワークピースWは、真空チャンバに結合されたロードロックを通して取り出すことができ、新しいワークピースW’は、ロードロックを通して挿入することができる。他の実施形態では、ポジショニングシステム300全体を真空チャンバ302から取り外すことができる。
【0065】
実施例4
図5~
図7は、ポジショニングシステム400の別の例示的実施形態を示す。ポジショニングシステム400は、上述のポジショニングシステム300と同様であるが、但し、ポジショニングシステム400は本体部分310を含まず、ポジショニングシステム400は、(駆動ユニットを含む)ポジショニングシステム全体をCPMの真空チャンバ402内に配置することができるように構成されている。したがって、ポジショニングシステム400は、ポジショニングシステム300よりもはるかに小さくすることができる。
【0066】
ポジショニングシステム400のより小さなサイズ、および(弾性部材418などの)選択された構成部品のより小さい長さにより、ワークピースの振動を防止または軽減して、ワークピースの改善された高解像度画像化を可能にすることができる。
【0067】
図5を参照すると、ポジショニングシステム400は、ハウジング401を含むことができ、CPMの内面404(例えば、真空チャンバ402の内面)上に取り付けることができる。図示の実施形態などのいくつかの実施形態では、ハウジング401は、円筒形部分405および円錐形部分407を備えることができる。他の実施形態では、ハウジング401は、さまざまな形状のうちのいずれかを有することができる。ハウジング401は、1つ以上のOリング409を使用して真空チャンバに取り付けることができる。ポジショニングシステム400は、ワークピースWを保持するように構成されたホルダ406を備えることができる(
図6を参照)。ポジショニングシステム400は、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の駆動ユニットを使用してワークピースWの位置を調整するように構成することができる。
【0068】
ポジショニングシステム400は、ホルダ406内に配置されたワークピースWを5つの方向で動かすように構成することができる(例えば、X軸、Y軸、Z軸に沿った並進、ならびにそれぞれX軸およびY軸の周りの回転αおよびβ)。座標系420を参照すると、X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交しており、α傾斜はX軸の周りの回転であり、β傾斜はY軸の周りの回転である。
【0069】
ポジショニングシステム400は、1つ以上の駆動ユニットに結合された1つ以上のキャリッジ要素を備えることができる。図示の実施形態では、ポジショニングシステムは、第1のキャリッジ408と、(αキャリッジとも称される)第2のキャリッジ410とを備える。第1のキャリッジ408は、4つの駆動ユニット412(例えば、駆動ユニット412a、412b、412c、および412d)に結合させることができる(例えば、
図6を参照)。第2のキャリッジ410は、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の駆動ユニット414(例えば、図示の実施例では1つ)に結合させることができる。
【0070】
4つの駆動ユニット412は、第2のキャリッジ410に対して静止している1つ以上の部材413(以降、「静止部材」413と称する)に対して可動とすることができる。図示の実施形態では、4つの駆動ユニット412はすべて、同じ部材413に対して可動である。しかしながら、他の実施形態では、各駆動ユニット412は、それぞれの静止部材413を有することができる。さらに他の実施形態では、駆動ユニット412cおよび412dは両方とも、同じ静止部材413に対して可動とすることができ、駆動ユニット412aおよび412bは、それぞれの静止部材に対して可動とすることができる。
【0071】
第2のキャリッジ410は、駆動ユニット412a~412dを収容することができる。第2のキャリッジ410は、第2のキャリッジが真空チャンバ402の側壁403の内面404に対して傾斜または回転し、したがって、駆動ユニット412a~412dおよび第1のキャリッジ408を回転させることを可能にする、1つ以上の軸受け416に結合させることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、1つ以上の駆動ユニットは、ピエゾ駆動ユニット、および/またはピエゾモータを備えた円筒形駆動ユニットとすることができる。例えば、図示の実施形態では、駆動ユニット412a~412dは、静止部材413上に配置されたピエゾ構成部品を備えたピエゾ駆動ユニットであり、駆動ユニット414は、ピエゾモータを備えた円筒形駆動ユニットである。ピエゾ駆動ユニットおよび円筒形駆動ユニットは、前述の駆動ユニット320、324と同様とすることができる。いくつかの実施形態では、図示したように、駆動ユニット412のピエゾ構成部品を静止部材413上に配置することができ、したがって、ピエゾ構成部品の動きが駆動ユニットを(例えば、軸方向または回転方向に)動かす。他の実施形態では、ピエゾ構成部品は、駆動ユニット412上に配置することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、1つ以上の荷重ユニット(図示せず)を、1つ以上の駆動ユニット412a~412d、414を1つ以上の静止部材に対して付勢するように構成することができる。荷重ユニットは、上述の荷重ユニット376および325と同様とすることができ、付勢部材(例えば、ばね)および/または1つ以上のローラを備えることができる。荷重ユニットは、駆動ユニットが、動いている間、ピエゾ構成部品と接触したままであるように、1つ以上の駆動ユニットに対して付勢力を維持することができる。
【0074】
第1のキャリッジ408は、1つ以上の弾性部材418を備えることができる。駆動ユニット412は、駆動ユニット412の動きがキャリッジ408の、したがってワークピースWの動きとなるように、弾性部材418に結合させることができる。弾性部材418は、より薄い厚さまたは直径を有する部分を備えることができる。例えば、より薄い部分は、掘削またはワイヤ放電加工(ワイヤEDM)によって形成することができる。(
図6~
図7に示される部分413などの)より薄い部分は、ヒンジとして構成することができる。図示の実施形態では、第1のキャリッジ408は、各々が駆動ユニット412a~412dの1つにそれぞれ結合されている4つの弾性部材418a~418dを備える。いくつかの実施形態では、弾性部材は、ステンレスばね鋼を備えることができる。いくつかの特定の実施形態では、弾性部材は、弾性部材の隣接部分よりも薄いまたはより厚い部分を有することができる。
【0075】
駆動ユニット412a、412b、412d(
図6を参照)は、それらが共通平面(例えば、座標系420によって示されるようなX-Y平面)内の軸に沿って作動するようにポジショニングすることができ、駆動ユニット412cは、共通平面に平行な(例えば、同一平面上にない)軸に沿って作動するようにポジショニングすることができる。換言すれば、駆動ユニット412cは、
図5に示された配向で、駆動ユニット412a、412b、および412dの下方とすることができる。この構成により、すべての駆動ユニットを、ワークピースWが配置されている平面にまたはその下方にポジショニングすることが可能となり、それは、ワークピースに影響を与える可能性のある振動を軽減する助けとすることができる。
図5に示すように、弾性部材418cは、弾性部材418dが第1のキャリッジ408に向かって上向き延在し、それに結合されるように、角度φで駆動ユニット412cに結合させることができる。角度φを変えることにより、ワークピースを選択された量だけ動かすために駆動ユニット412dが必要とする動きの量を変えることができる。
【0076】
他の実施形態では、駆動ユニット412および支柱418は、Y-Z平面内のさまざまな位置にポジショニングすることができる。例えば、いくつかの特定の実施形態では、駆動ユニットは、各駆動ユニットが、円錐部分407の内周の周りで各隣接する駆動ユニットから90度になるようにポジショニングされる。さらに他の実施形態では、駆動ユニット320および支柱322は、それらがX軸と平行にならないようにポジショニングすることができる。例えば、駆動ユニット320および支柱322は、カラム308の本体部分310に対してある角度でポジショニングすることができる。
【0077】
ここで
図6を参照すると、各弾性部材は、1つ以上の接合部413を備えることができる。図示の実施形態では、接合部413は、弾性部材418が(例えば、駆動ユニットの中央長手方向軸からオフセットした)中心から外れた位置で駆動ユニット412に結合されることを可能にするように構成された弾性部材418の端部部分の切り欠きである。そのような構成では、軸、例えばX軸、に沿った駆動ユニットの動きが、例えば、X軸およびY軸に沿った弾性部材の動きを引き起こすことができる。図示の実施形態では、接合部は、駆動ユニットに直接隣接してポジショニングされているが、他の実施形態では、接合部は、弾性部材に沿ったさまざまな位置のいずれかにポジショニングすることができる(例えば、
図8を参照)。
【0078】
他の実施形態では、駆動ユニット412は、他の位置にポジショニングすることができる。例えば、いくつかの特定の実施形態では、駆動ユニットは、各駆動ユニットが各隣接する駆動ユニットから90度になるようにポジショニングされる。例えば、ポジショニングシステムが円錐形または円筒形のハウジングを備える場合、駆動ユニットは、ポジショニングシステムの内周の周りにポジショニングすることができる。
【0079】
駆動ユニット412a~412dは、弾性部材418a~418dがそれらの軸に沿って、内壁404に近づくおよび遠ざかるように、真空チャンバ402の内壁404に対して動くように構成することができる。(弾性部材418a~418dとともに)駆動ユニット412a~412d(
図6を参照)は、駆動ユニット412の動きにより、第1のキャリッジ408を、したがって(ワークピースWを含む)ホルダ406を、X軸、Y軸、およびZ軸に沿って動かし、ならびにY軸の周りで回転(β傾斜)させるように構成することができる。例えば、4つの駆動ユニット412a~412dのすべての動きにより、第1のキャリッジ408をX軸に沿って前方および/または後方に動かすことができる。412cおよび412dを静止させたままで412aまたは412bのいずれかを動かすと、第1のキャリッジ408をY軸に沿って、またはX軸およびY軸の両方に沿って動かす結果とすることができる。
【0080】
駆動ユニット412dは、CPMの内面404に近づくまたはそこから遠ざかる駆動ユニット412dの動きにより、第1のキャリッジ408をZ軸に沿って動かすように構成することができる。駆動ユニット412cは、真空チャンバ402の内壁404に近づくまたはそこから遠ざかる駆動ユニット412cの動きにより、第1のキャリッジをY軸の周りで回転(β回転)させるように構成することができる。弾性部材418dの端部部分は、β回転を作り出すために、滑り軸受けおよび/またはアクセルに結合させることができる。
【0081】
駆動ユニット414は、第2のキャリッジ410に結合させることができ、駆動ユニット414の動きにより、第2のキャリッジ410(したがって、駆動ユニット412a~412dおよび第1のキャリッジ408)をX軸の周りで回転(α回転)させるように構成することができる(例えば、
図5の座標系420を参照)。
【0082】
駆動ユニット412a~412dおよび414を別々に、または任意の組み合わせで作動させることによりポジショニングシステム400は、ワークピースWを5自由度(X、Y、Z、α、β)で動かすことができる。つまり、ポジショニングシステム400は、少なくとも3つの線形軸に沿って(例えば、座標系420に関して示されるような、X軸、Y軸、およびZ軸に沿った並進)、ならびに少なくとも2つの回転軸の周りで(例えば、X軸の周り(α傾斜)およびY軸の周り(β傾斜)の回転)、ワークピースをポジショニングするように構成することができる。したがって、ポジショニングシステム400は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)に対する所望の位置にワークピースWをポジショニングすることができる。
【0083】
各駆動ユニット412、414は、それぞれの位置エンコーダ422を備えることができる。各位置エンコーダ422は、上述のエンコーダ248と同様とすることができ、それぞれのエンコーダスケールを備えることができる。エンコーダスケールは、例えば、静止部材413および/または駆動ユニット412、414上に取り付けることができる。位置エンコーダは、例えば、光学エンコーダおよび/またはレーザーファイバ変位エンコーダとすることができる。位置エンコーダは、エンコーダスケールに基づいて、各駆動ユニット412および/または弾性部材418の位置をそれぞれ決定することができる。エンコーダスケールは、静止部材413および/または駆動ユニット412、414に結合させるかまたはそれと一体的に形成することができる。ポジショニングシステム400は、レーザーファイバ425を含む1つ以上の追加位置エンコーダ423をさらに備えることができる。位置エンコーダ423は、X軸の周りの第2のキャリッジ410の回転量(例えば、α傾斜量)を決定するように構成することができる。
【0084】
ポジショニングシステム300に関して上述したように、位置エンコーダ422、423は、例えば、光学エンコーダ、レーザーファイバ変位エンコーダ(例えば、ファイバブラッググレーティングセンサ)、および/またはレーザーファイバ速度エンコーダ(例えば、振動計)とすることができる。いくつかの実施形態では、位置エンコーダは、それぞれの位置エンコーダと位置エンコーダスケールおよび/または鏡面との間に適切な光学ギャップが形成されるようにポジショニングすることができる。
【0085】
各駆動ユニット412a~412d、414は、駆動ユニットに電力を供給するように構成された1本以上のワイヤまたはケーブル427に結合させることができる。ケーブルおよび/または光ファイバ(例えば、位置エンコーダ422、423に使用されるファイバ)は、例えば、第1および第2のマルチピンコネクタ424、426を備える真空シールを通って真空チャンバを出ることができる。ケーブル427および/またはファイバは、第2のキャリッジ410内に配置することができ、第1のマルチピンコネクタ424に結合させることができる。第1のマルチピンコネクタ424は、側壁403を通って延在し、電源(図示せず)に結合させることができる第2のマルチピンコネクタ426に結合させることができる。この構成は、真空チャンバ402への空気の導入を防ぐ助けとすることができる。
【0086】
画像化および/または処理が完了すると、ワークピースWは新しいワークピースに置き換えることができる。いくつかの実施形態では、ワークピースは、ワークピースWを取り出し、新しいワークピースW’をホルダ406内に挿入するための、真空チャンバのロードロックを使用して置き換えることができる。他の実施形態では、ポジショニングシステム400全体を真空チャンバ402から取り外して、ワークピースを置き換えることができる。
【0087】
実施例5
図8は、上述のポジショニングシステム300および400などのポジショニングシステムのための第1のキャリッジ500および関連駆動ユニット502の例示的実施形態を示す。第1のキャリッジ500は、ワークピースWを保持するように構成されたホルダ504を備える。第1のキャリッジ500は、上述の円錐形ハウジング407と同様のハウジング501内に収容することができる。図示の実施形態などのいくつかの実施形態では、ハウジング501は、円錐形または部分的に円錐形の形状を備えることができる。他の実施形態では、ハウジング501は、さまざまな形状のうちのいずれかを有することができる。
【0088】
第1のキャリッジ500は、ワークピースWが6つの方向で動くことができるように可動であるように構成することができる(例えば、座標系506によって示されるようなX軸、Y軸、Z軸に沿った並進、ならびにそれぞれβ回転、α回転、およびγ回転と称することができるX軸、Y軸、およびZ軸の周りの回転)。
【0089】
図示されたように、第1のキャリッジ500は、5つの駆動ユニット502a~502eに結合させることができる。駆動ユニット502a~502dは、ポジショニングシステム400の駆動ユニット412a~412dに関して前述したようにポジショニングすることができ、ポジショニングシステム400の弾性部材418a~418dと同様の弾性部材508a~508dを介して、第1のキャリッジ500に結合させることができる。駆動ユニット502cおよび弾性部材508cは、
図8に示された構成では駆動ユニット502dおよび弾性部材508dの下方にある(例えば、Z軸に沿ってページ平面内まで延在する)。第1のキャリッジ500は、弾性部材508eを介して第1のキャリッジ500に結合させることができる追加駆動ユニット502eをさらに備えることができる。
【0090】
追加駆動要素502eおよび弾性部材508eは、ホルダ504(したがって、ワークピースW)をZ軸の周りで回転(例えば、γ傾斜)させるように構成することができる。弾性部材508eは、接合部510を備える、実質的にL字形の構成を有することができる。弾性部材508eの形状により、駆動ユニット502eの長手方向の動き(例えば、X軸に沿った動き)は、弾性ヒンジ505および507を介してホルダ504(およびワークピースW)のγ傾斜を引き起こす。場合によっては、γ傾斜は、他の部材508a~dを使用して補償することができるY軸に沿った少量の並進と結合させることができる。図示の実施形態では、接合部510は、実質的に弾性部材508の中央に配置されて、弾性部材508eの2つの同様の大きさの部分512aおよび512bを規定する。しかしながら、他の実施形態では、接合部510は、駆動ユニット502eに対してより近くまたはより遠くにポジショニングすることができ、それは、ワークピースWを動かすのに必要な動きの量を変えるために使用することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1の部分512aは、駆動ユニット508eがZ軸の周りのγ傾斜を提供することを可能にするように構成されたボール接合部(図示せず)に結合させることができる。いくつかの特定の実施形態では、ボール接合部は、30mmの半径を有することができる。
【0092】
図示の実施形態では、弾性部材508eの第1の部分512aは、弾性部材508aの上方にポジショニングされている。しかしながら、他の実施形態では、第1の部分512aは、弾性部材508aの下方にポジショニングされ得る。さらに他の実施形態では、第1の部分512aは、弾性部材502bの上方または下方にポジショニングされ得る。
【0093】
一般的な考慮事項
本説明の目的で、本開示の実施形態の特定の態様、利点、および新規特徴を本明細書に記載する。開示された方法、装置、およびシステムは、どのようにも限定的であると解釈されるべきではない。むしろ、本開示は、単独で、ならびにさまざまな互いの組み合わせおよび部分的組み合わせで、開示されたさまざまな実施形態のすべての新規および非自明的な特徴および態様を対象とする。方法、装置、およびシステムは、任意の特定の態様または特徴またはそれらの組み合わせに限定されないし、開示された実施形態は、任意の1つ以上の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要としない。
【0094】
いくつかの開示された実施形態の動作は、便宜上、特定の順番で説明されているが、この説明方法は、以下に記載される具体的な表現によって特定の順序が要求されない限り、並び替えを包含することを理解されたい。例えば、順に記載される動作は、いくつかの場合では、並び替えられるかまたは同時に実施されてもよい。さらに、単純化のために、添付の図面は、開示された方法を他の方法とともに使用することができるさまざまなやり方を示さないことがある。加えて、説明は、開示された方法を説明するために、「提供する」または「達成する」などの用語を使用することがある。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施に応じて、さまざまであり、当業者には容易に認識される。
【0095】
本明細書に記載のすべての特徴は、互いに独立しており、構造的に不可能な場合を除いて、本明細書に記載の任意の他の特徴と組み合わせて使用することができる。
【0096】
本出願および特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。加えて、「含む」という用語は「備える」を意味する。さらに、「結合された」および「関連付けられた」という用語は、概して、電気的、電磁的、および/または物理的(例えば、機械的または化学的)に結合またはリンクされていることを意味し、特定の反対の表現のない限り、結合または関連付けられたアイテム間の中間要素の存在を排除しない。
【0097】
以下の説明では、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」などの特定の用語が使用され得る。これらの用語は、該当する場合、相対的な関係を扱うときに説明を明確にするために使用される。ただし、これらの用語は、絶対的な関係、位置、および/または配向を示唆することを意図していない。例えば、対象物に関しては、対象物を裏返すだけで、「上方」表面を「下方」表面にすることができる。それでもなお、それは同じ対象物である。
【0098】
特に明記しない限り、明細書または特許請求の範囲で使用される、材料の量、角度、圧力、分子量、パーセンテージ、温度、時間などを表すすべての数値は、「約」という用語によって修飾されるとして理解されるべきである。したがって、特に明記しない限り、暗黙的または明示的に、記載された数値パラメータは、当業者によく知られた試験条件/方法下で求められる所望の特性および/または検出限界に依存し得る近似である。検討された先行技術から実施形態を直接的かつ明示的に区別するとき、「約」という語が記載されない限り、実施形態の数値は近似ではない。さらに、本明細書に記載のすべての代替態様が同等であるわけではない。
【0099】
本開示の原理が適用できる多数の可能な実施形態の観点では、図示された実施形態は好ましい実施例のみであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないと認識すべきである。むしろ、開示の範囲は、少なくとも以下の特許請求の範囲ほどに広範である。したがって、本発明者らは、特許請求の範囲および精神に含まれるあらゆるものを特許請求する。