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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】光変調デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20241119BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20241119BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20241119BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1337
G02F1/13363
G02F1/1335 510
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023500446
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 KR2021009692
(87)【国際公開番号】W WO2022025583
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0093729
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギム、ミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ウン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ハン ミン
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-518017(JP,A)
【文献】特表2018-507443(JP,A)
【文献】特開2009-181063(JP,A)
【文献】特表2020-517987(JP,A)
【文献】特開2010-039281(JP,A)
【文献】特開平01-186911(JP,A)
【文献】特開2020-067498(JP,A)
【文献】特開2008-046662(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0148071(US,A1)
【文献】特開2011-164273(JP,A)
【文献】特開2013-148632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1337
G02F 1/1333
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1表面と第2表面を有し、互いに対向するように配置されている第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に存在し、ツイスト配向を具現できるように形成された液晶層と、を含む光変調フィルム層と、
前記第1基板の前記第1表面の上に形成された粘着剤層または接着剤層と、
前記第1基板の前記第1表面と前記粘着剤層または前記接着剤層との間に配置された第1電極層と、
前記第2基板の前記第1表面の上に形成された第2電極層と、
前記第2電極層の上に形成された隔壁型スペーサと、
前記隔壁型スペーサの上に形成された液晶配向膜と、
を含み、
前記第1基板および前記第2基板は、前記第1表面が互いに対向するように配置され、
下記数式1のK値が0.19~0.4の範囲内である光変調デバイス:
[数式1]
K=△n×p/t
数式1で、△nは、前記液晶層の屈折率異方性であり、pは、前記ツイスト配向でのピッチであり、tは、前記液晶層の厚さである。
【請求項2】
記液晶配向膜は、ラビング配向膜または光配向膜であり、前記第2基板の前記第1表面と前記液晶配向膜との間に第2電極層が配置されている、請求項1に記載の光変調デバイス。
【請求項3】
粘着剤層または接着剤層は、シリコーン粘着剤層または接着剤層である、請求項1または2に記載の光変調デバイス。
【請求項4】
第1基板には、前記液晶配向膜が形成されていない、請求項1から3のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項5】
前記液晶配向膜は、垂直配向膜である、請求項1から4のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項6】
液晶層の屈折率異方性△nが0.01~0.5の範囲内にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項7】
ツイスト配向のピッチpは、1μm~100μmの範囲内にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項8】
液晶層の厚さtは、0.5μm~50μmの範囲内にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項9】
ツイスト配向のピッチpおよび液晶層の厚さtの比率t/pが1未満である、請求項1から8のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項10】
液晶層は、初期状態で垂直配向状態であり、電圧印加時にツイスト配向を具現できるように形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項11】
液晶層は、液晶化合物とキラルドーパントを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項12】
前記第1基板または前記第2基板は、波長550nmの光に対する面内位相差が500nm以上である、請求項1から11のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項13】
前記第1基板または前記第2基板の第2表面上に配置された偏光層をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項14】
前記第1基板または前記第2基板の第2表面上に配置された偏光層をさらに含み、前記第1基板または前記第2基板は、波長550nmの光に対する面内位相差が500nm以上であり、前記第1基板または前記第2基板の遅相軸と前記偏光層の吸収軸との間の小角度は80度~100度の範囲内にある、請求項1から13のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項15】
前記第1基板または前記第2基板と液晶層の間に存在し、下記数式3を満たす光学異方性フィルムをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の光変調デバイス:
[数式3]
nz<ny
数式3で、nyは、光学異方性フィルムの進相軸方向の波長550nmに対する屈折率であり、nzは、光学異方性フィルムの厚さ方向の波長550nmに対する屈折率である。
【請求項16】
対向配置されている第1外郭基板および第2外郭基板と、前記第1外郭基板および前記第2外郭基板の間でカプセル化剤でカプセル化された請求項1から15のいずれか一項に記載の光変調デバイスと、を含む光学デバイス。
【請求項17】
対向配置されている第1外郭基板および第2外郭基板の間にある請求項1から15のいずれか一項に記載の光変調デバイスをカプセル化剤を使用した加圧工程を通じてカプセル化する段階を含む光学デバイスの製造方法。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか一項に記載の光変調デバイスを含むウィンドウ。
【請求項19】
請求項1から15のいずれか一項に記載の光変調デバイスを含むサンルーフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月28日付で提出された韓国特許出願第10-2020-0093729号に基づいて優先権を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、光変調デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
二つの基板の間に液晶化合物などを含む光変調層を位置させた光変調デバイスは、多様な用途に使用されている。
【0004】
光変調デバイスが目的とする用途に適した性能を示すためには、前記基板の間で前記液晶化合物の配向状態を目的に合わせて制御することが重要である。光変調層が液晶層である場合には、通常、液晶化合物の配向(特に初期配向)を調節するために、液晶化合物を適用するデバイスは、対向する前記二つの基板の表面共に配向膜を形成する。
【0005】
光変調デバイスをカプセル化剤などでカプセル化して光学デバイスを構成する技術が知られていて、前記カプセル化過程では、光学デバイスに圧力が加えられる(例えば、特許文献1)。
【0006】
このようにカプセル化工程では、大部分光変調デバイスに圧力が加えられることになる。したがって、このように加えられた圧力により光変調デバイスの光学特性が設計された特性と異なるように変更されたり、前記圧力により対向配置された基板の位置がずれて、光学的欠陥が発生する問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開第2018-0119517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、光変調デバイス、光学デバイスまたはその製造方法を提供する。本出願では、オートクレーブ工程などのように圧力が加えられるカプセル化工程後にも、設計された光学特性を安定的に維持できる光変調デバイス、光学デバイスまたはその製造方法を提供することを目的とする。また、本出願では、上下基板間の接着力を効果的に確保しつつ、光変調層の配向状態も安定的に維持できる光変調デバイス、それを含む光学デバイスまたはその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書において角度を定義する垂直、平行、直交または水平の用語と角度の数値は、目的効果を損傷させない範囲での実質的な垂直、平行、直交または水平と前記数値を意味する。前記垂直、平行、直交または水平と数値の範囲は、製造誤差(error)または偏差(variation)などの誤差を含むものである。例えば、前記それぞれの場合は、約±10度以内の誤差、約±9度以内の誤差、約±8度以内の誤差、約±7度以内の誤差、約±6度以内の誤差、約±5度以内の誤差、約±4度以内の誤差、約±3度以内の誤差、約±2度以内の誤差、約±1度以内の誤差、約±0.8度以内の誤差、約±0.6度以内の誤差または約±0.4度以内の誤差を含んでもよい。
【0010】
本明細書において言及する物性のうち測定温度が当該物性に影響を及ぼす場合に、特に別に規定しない限り、前記物性は、常温で測定した物性である。用語「常温」は、特に加温または減温されない状態での温度であり、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、かつ、約27℃以下の温度を意味し得る。また、特に別に規定しない限り、本明細書において言及する温度の単位は、℃である。
【0011】
本明細書において言及する位相差、屈折率および屈折率異方性は、特に別に規定しない限り、波長約550nmの光に対する位相差、屈折率および屈折率異方性を意味する。
【0012】
特に別に規定しない限り、本明細書において言及するいずれか二つの方向が成す角度は、前記二つの方向が成す鋭角または鈍角のうち鋭角であるか、または時計回りにおよび反時計回りに測定された角度のうち小さい角度でありうる。したがって、特に別に規定しない限り、本明細書において言及する角度は、正数である。ただし、場合によって、時計回りにまたは反時計回りに測定された角度間の測定方向を表示するために、前記時計回りに測定された角度および反時計回りに測定された角度のうちいずれか一つの角度を正数で表記し、他の一つの角度を負数で表記することもできる。
【0013】
本出願は、光変調デバイスに関する。用語「光変調デバイス」は、少なくとも二つ以上の異なる光の状態の間をスイッチングできるデバイスを意味し得る。前記で異なる光の状態は、少なくとも透過率、反射率、色および/またはヘイズが異なる状態を意味し得る。
【0014】
光変調デバイスが具現できる状態の例としては、透過、遮断、高反射、低反射および/または特定色を示す色モード状態などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
一例として、前記光変調デバイスは、少なくとも前記透過および遮断モード状態の間をスイッチングできるデバイスでありうる。
【0016】
前記透過モード状態での光変調デバイスの透過率が少なくとも10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上または80%以上程度でありうる。前記透過モードでの透過率は、他の例として、100%以下、95%以下、90%以下または85%以下程度であってもよい。しかしながら、透過モードでの透過率は、高いほど有利であるから、その上限が特に限定されるものではない。
【0017】
前記遮断モード状態で光変調デバイスの透過率は、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下でありうる。前記遮断モードでの透過率は、他の例として、0%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上または25%以上程度であってもよい。しかしながら、遮断モードでは、透過率が低いほど有利であるから、前記遮断モード状態の透過率の下限は、特に限定されない。
【0018】
前記透過率は、例えば、直進光透過率でありうる。直進光透過率は、前記デバイスに入射した光に対する前記入射方向と同一方向に透過した光の比率の百分率である。例えば、前記デバイスがフィルムまたはシート形態であれば、前記フィルムまたはシート表面の法線方向に並んでいる方向に入射した光のうち、前記法線方向に並んでいる方向に前記デバイスを透過した光の百分率を前記透過率と定義できる。
【0019】
前記透過率は、それぞれ可視光領域、例えば、約400~700nmまたは約380~780nmの範囲内のいずれか一つの波長に対する透過率であるか、前記可視光領域全体に対する透過率であるか、前記可視光領域全体に対する透過率のうち最大または最小透過率であるか、または、前記可視光領域内の透過率の平均値でありうる。
【0020】
本出願の光変調デバイスは、一例として、前記透過モードおよび遮断モード状態で選択されたいずれか一つの状態および他の一つの状態の間をスイッチングできるように設計可能である。必要に応じて、前記状態の他に、他の第3の状態またはそれ以上の状態も具現されてもよい。
【0021】
前記光変調デバイスのスイッチングは、外部シグナルの印加、例えば、電圧シグナルの印加の有無によって調節できる。例えば、電圧のような外部シグナルの印加がない状態で光変調デバイスは、前記に記述した状態のうちいずれか一つの状態を維持し、電圧が印加されると、他の状態にスイッチングされることができる。印加される電圧の強度、周波数および/または形態を変更することによって、また、モードの状態を変更したり、あるいは前記第3の他のモード状態を具現することもできる。
【0022】
本出願の光変調デバイスは、対向配置された二つの基板と前記基板の間に位置する光変調層を有する光変調フィルム層を基本単位として含んでもよい。図1は、前記光変調フィルム層の一例を示す図である。図示のように、光変調フィルム層は、対向配置された第1基板100と第2基板200を含む。前記第1および第2基板は、第1表面と第2表面を有することができる。前記で第1表面は、基板の一つの主表面であり、第2表面は、それと反対側の主表面を意味し得る。
【0023】
図示のように、第1基板100の一つの表面(例えば、第1表面)上には、機能性層が形成され、他の第2基板200の一つの表面(例えば、第1表面)には、液晶配向膜2001が形成されていてもよい。前記で機能性層は、液晶配向膜であってもよく、他の例として、後述する接着剤層または粘着剤層でありうる。前記対向配置された第1基板100と第2基板200の間に光変調層600が位置する。光変調層が液晶層である場合に、通常、第1および第2基板100、200の両表面ともに液晶配向膜が形成されるが、第1基板100上に液晶配向膜の代わりに粘着剤層または接着剤層を形成し、第2基板200にのみ液晶配向膜を形成することによって、特定用途(例えば、smart windowやeye wear)に非常に有用な液晶化合物の配向状態が得られることもできる。このような場合には、前記第1基板には、液晶配向膜が形成されていなくてもよい。また、図示してはいないが、光変調フィルム層の第1および第2基板のうちいずれか一つの基板には、第1および第2基板の間隔(cell gap)を維持するスペーサーが存在するが、第1基板100上の機能性層が粘着剤層または接着剤層1001である場合に、前記スペーサーに前記粘着剤層または接着剤層1001が付着されて、第1および第2基板間の合着力を大きく改善できる。
【0024】
前記基板としては、特に限定されずに、公知の基板素材が使用できる。例えば、基板としては、ガラス基板、結晶性または非結晶性シリコーン基板または石英基板などの無機基板やプラスチック基板などが使用できる。プラスチック基板としては、TAC(triacetyl cellulose)基板;ノルボルネン誘導体基板などのCOP(cyclo olefin copolymer)基板;PMMA(poly(methyl methacrylate)基板;PC(polycarbonate)基板;PE(polyethylene)基板;PP(polypropylene)基板;PVA(polyvinyl alcohol)基板;DAC(diacetyl cellulose)基板;Pac(Polyacrylate)基板;PES(poly ether sulfone)基板;PEEK(polyetheretherketon)基板;PPS(polyphenylsulfone)、PEI(polyetherimide)基板;PEN(polyethylenemaphthatlate)基板;PET(polyethyleneterephtalate)基板などのポリエステル基板;PI(polyimide)基板;PSF(polysulfone)基板;PAR(polyarylate)基板または非晶質フッ素樹脂などを含む基板が使用できるが、これらに限定されるものではない。このような基板の厚さは、特に限定されず、好適な範囲で選択できる。
【0025】
一例において、前記基板としては、光学的非等方性のフィルムを適用することもできる。このような光学的非等方性を有するフィルムは、通常、機械的物性も非等方性であり、このような非等方性を活用してさらに優れた耐久性などを有する光変調デバイスを提供できる。
【0026】
一例として、前記非等方性フィルムは、面内位相差が、約500nm以上でありうる。前記面内位相差は、波長550nmの光に対する値であり、下記数式2に規定される物理量である。前記位相差フィルムの面内位相差は、他の例として、600nm以上、700nm以上、800nm以上、900nm以上、1000nm以上、1100nm以上、1200nm以上、1300nm以上、1400nm以上、1500nm以上、2000nm以上、2500nm以上、3000nm以上、3500nm以上、4000nm以上、4500nm以上、5000nm以上、5500nm以上、6000nm以上、6500nm以上、7000nm以上、7500nm以上、8000nm以上、8500nm以上、9000nm以上または9500nm以上であるか、100000nm以下、90000nm以下、80000nm以下、70000nm以下、60000nm以下、50000nm以下、40000nm以下、30000nm以下、20000nm以下、15000nm以下、14000nm以下、13000nm以下、12000nm以下、10000nm以下、9500nm以下、9000nm以下、8500nm以下、8000nm以下、7500nm以下、7000nm以下、6500nm以下、6000nm以下、5500nm以下、5000nm以下または4500nm以下程度であってもよい。
【0027】
本出願において基板に適用できる前記フィルムの具体的な種類は、前記言及した範囲の面内位相差を示す限り、特に限定されない。例えば、延伸により光学的異方性を付与した異方性高分子フィルムなどが適用可能である。高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリノルボルネンフィルムなどの環状オレフィンポリマー(COP:Cycloolefin polymer)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアクリレートフィルム、PVA(poly(vinyl alcohol))フィルムまたはTAC(Triacetyl cellulose)フィルムなどのセルロースエステル系ポリマーフィルム、ポリエステルフィルムまたはポリカーボネートフィルムや前記ポリマーを形成する単量体のうち2種以上の単量体の共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0028】
一例において、前記フィルムとしては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのようなポリエステルフィルムが適用可能である。すなわち、前述した範囲の面内位相差を示すフィルムは、当業界において公知となっており、高分子フィルムの場合、前記のようなフィルムは、光学的に大きい非等方性はもちろん、製造過程での延伸などにより機械的物性も非対称性を示す。当業界に公知となったこのような位相差フィルムの代表的な例としては、延伸PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのような延伸ポリエステルフィルムである。
【0029】
したがって、一例において、前記フィルムとしては、PETフィルムのようなポリエステルフィルムを適用できるが、本出願において基板に適用可能なフィルムの種類がこれらに限定されるものではない。
【0030】
また、前記面内位相差は、下記数式2による物理量である。
【0031】
[数式2]
Rin=d×(nx-ny)
【0032】
数式2で、Rinは、面内位相差であり、nxは、フィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyは、フィルムの進相軸方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。前記で遅相軸と進相軸の意味は、当業界において公知となっている。
【0033】
また、前記非等方性フィルムが第1および第2基板に同時に適用される場合に、それら間の遅相軸が互いに平行または垂直となるように前記基板が配置されていてもよい。
【0034】
前記基板の間に存在する光変調層は、外部シグナルの印加の有無によって、単独であるいは他の構成要素と連携して、光の透過度、反射度、ヘイズおよび/または色などを変更できる機能性層である。このような光変調層は、本明細書において能動光変調層と呼ばれる。
【0035】
本明細書において外部シグナルとは、光変調層(例えば、液晶層)内に含まれる光変調物質(例えば、液晶化合物)の挙動に影響を与えることができる外部の要因、例えば電圧などの電気的シグナルを意味し得る。したがって、外部シグナルがない状態とは、外部で電気的シグナルの印加がない状態を意味し得る。
【0036】
本出願において光変調層の種類は、前記に記述した機能を有するものであれば、特に限定されず、公知の光変調層が適用可能である。前記光変調層は、例えば、液晶層、電気変色物質層、光変色物質層、電気泳動物質層または分散粒子配向層でありうる。
【0037】
一例において、光変調層としては、前記液晶層が適用可能である。液晶層は、液晶化合物を含む層である。本明細書において用語「液晶層」の範囲には、液晶化合物を含んでいる層が全部含まれ、例えば、後述するように、液晶化合物(液晶ホスト)と二色性染料を含むいわゆるゲストホスト層やキラルドーパントなどその他添加剤を液晶化合物と共に含む層も、本明細書において規定する液晶層の一種である。前記液晶層は、光変調フィルム層であってもよく、したがって、前記液晶化合物は、外部シグナルの印加の有無によって配向方向が変わるように液晶層内に存在できる。液晶化合物としては、外部シグナルの印加によってその配向方向が変更されうるものであれば、すべての種類の液晶化合物が使用できる。例えば、液晶化合物としては、スメクチック(smectic)液晶化合物、ネマチック(nematic)液晶化合物またはコレステリック(cholesteric)液晶化合物などが使用できる。また、外部シグナルの印加によってその配向方向が変更されうるように、液晶化合物は、例えば重合性基または架橋性基を有しない化合物でありうる。
【0038】
液晶層は、誘電率異方性が正数または負数の液晶化合物を含んでもよい。液晶の誘電率異方性の絶対値は、本出願の目的を考慮して適宜選択できる。用語「誘電率異方性βε」は、液晶の水平誘電率ε//と垂直誘電率ε⊥の差ε//-ε⊥を意味し得る。本明細書において用語「水平誘電率ε//」は、液晶分子のディレクターと印加電圧による電場の方向が実質的に水平となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味し、垂直誘電率ε⊥は、液晶分子のディレクターと印加電圧による電場の方向が実質的に垂直となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味し得る。
【0039】
液晶層の駆動モードは、例えば、DS(Dynamic Scattering)モード、ECB(Electrically Controllable Birefringence)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe-Field Wwitching)モード、OCB(Optially Compensated Bend)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モード、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モードまたはR-TN(Reversed Twisted Nematic)モードなどが挙げられる。
【0040】
本出願の液晶層は、前記モードのうち少なくともツイスト(twisted)配向を具現できるように設計(形成)されていてもよい。前記ツイスト配向は、液晶層内の液晶化合物が仮想のらせん軸を基準としてねじれた形態で配向された状態を意味し、このようなツイスト配向は、液晶層の液晶化合物が水平配向された状態、垂直配向された状態、傾斜配向された状態またはスプレー配向された状態で具現されてもよい。また、前記ツイスト配向は、液晶層の初期状態で具現されたり、あるいは外部シグナルが印加された状態で具現されることもできる。前記で初期状態とは、液晶層に液晶化合物の配向を制御できる外部シグナルが印加されていない状態を意味し得る。
【0041】
一例として、前記液晶層は、初期状態で垂直配向状態であり、外部シグナル(例えば、電圧などの電気的シグナル)が印加されると、前記ツイスト配向が具現される光変調層でありうる。
【0042】
液晶層である光変調層は、前記液晶化合物を基本的に含み、必要な場合にさらなる成分も含んでもよい。
【0043】
例えば、光変調層である液晶層は、液晶化合物と共にいわゆるキラルドーパント(chiral dopant)を含むこともできる。このようなキラルドーパントは、液晶化合物にらせん構造の配向、すなわち前記ツイスト配向を誘導できる。
【0044】
キラルドーパント(Chiral dopant)としては、液晶性、例えば、ネマチック規則性を損傷させないで目的とする回転(twisting)を誘導できるものであれば、特に限定されずに使用できる。液晶分子に回転を誘導するためのキラルドーパントは、分子構造中にキラルリティ(chirality)を少なくとも含む必要がある。キラルドーパントは、例えば、一つまたは二つ以上の非対称炭素(asymmetric carbon)を有する化合物、キラルアミンまたはキラルスルホキシドなどのヘテロ原子上に非対称点(asymmetric point)を有する化合物またはクムレン(cumulene)またはビナフトール(binaphthol)などの軸不斉を有する光学活性部位(axially asymmetric,optically active site)を有する化合物が挙げられる。キラルドーパントは、例えば、分子量が1,500以下の低分子化合物でありうる。キラルドーパントとしては、市販のキラルネマチック液晶、例えば、Merck社製の市販のキラルドーパント液晶S811またはBASF社のLC756などが適用可能である。
【0045】
キラルドーパントの比率も特に限定されないが、光変調層の厚さt(cell gap)と前記キラルドーパントの添加によって発生する液晶化合物のらせん構造のピッチ(前記ツイスト配向のピッチ)pの比率t/pが後述するK値を満足させることができるように添加できる。
【0046】
キラルドーパントが適用されたいわゆるツイスト配向の光変調層(液晶層)のピッチpは、Wedge cellを利用した計測方法で測定でき、D.PodolskyyなどのSimple method for accurate measurements of the cholesteric pitch using a stripe-wedge Grandjean-Cano cell(Liquid Crystals,Vol.35,No.7,July 8、2008,789-791)に記載された方式で測定できる。また、キラルドーパントの含有量(重量%)は、100/(HTP(Helixcal Twisting power)×ピッチ(nm)の数式によって計算され、目的とするピッチpを考慮して適正比率で選択できる。
【0047】
一例として、前記光変調層は、下記数式1のK値が0.15~0.4の範囲内とするように設計(形成)できる。
【0048】
[数式1]
K=△n×p/t
【0049】
数式1で、△nは、前記液晶層の屈折率異方性であり、pは、前記ツイスト配向でのピッチであり、tは、前記液晶層の厚さである。
【0050】
前記数式1で、前記液晶層の厚さtは、当業界においていわゆるcell gapと知られた厚さである。数式1で、屈折率異方性は、単位がなく、ピッチpおよび液晶層の厚さtの単位は、同一なので、前記K値の単位が存在しない。
【0051】
数式1に関連した屈折率異方性は、実施例に記載された方式で測定できる。
【0052】
数式1のK値が0.15~0.4の範囲になるようにすることによって、オートクレーブ工程などのように圧力が加えられるカプセル化工程後にも、設計された光学特性を安定的に維持できる光変調デバイスを提供できる。
【0053】
K値が前記範囲になるように光変調層を設計する方式は、特に限定されず、例えば、液晶層の屈折率異方性△nと厚さt(cell gap)を考慮して所望のK値が示すことができるピッチpが現れるように、キラルドーパントの比率を調節する方式を適用できる。
【0054】
前記K値は、他の例として、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.2以上または0.2超過であるか、0.39以下、0.38以下、0.37以下、0.36以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.3以下または0.3未満でありうる。
【0055】
数式1での液晶層の屈折率異方性△n、ピッチpおよび液晶層の厚さtの範囲は、前記K値を示すことができる範囲で選択できる。
【0056】
例えば、前記液晶層の屈折率異方性△nは、0.01~0.5の範囲内にありえる。前記屈折率異方性は、他の例として、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上または0.085以上であるか、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下または0.1以下程度でありうる。
【0057】
また、前記ツイスト配向のピッチpは、1~100μmの範囲内にありえる。前記ピッチは、他の例として、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上または9.5μm以上であるか、95μm以下、90μm以下、85μm以下、80μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、60μm以下、55μm以下、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下または25μm以下程度であってもよい。
【0058】
また、前記液晶層の厚さt(cell gap)は、0.5μm~50μmの範囲内にありえる。前記厚さt(cell gap)は、他の例として、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上または3.5μm以上であるか、48μm以下、46μm以下、44μm以下、42μm以下、30μm以下、38μm以下、36μm以下、34μm以下、32μm以下、30μm以下、28μm以下、26μm以下、24μm以下、22μm以下、20μm以下、18μm以下、16μm以下、14μm以下、12μm以下または10μm以下程度であってもよい。
【0059】
また、前記ツイスト配向のピッチpと光変調層(液晶層)の厚さt(cell gap)の比率t/pは、1未満でありうる。前記比率t/pは、他の例として、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下または0.35以下であるか、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上または0.4以上程度であってもよい。
【0060】
前記のような設計を通じて、本出願の目的がより効率的に達成される光変調デバイスを提供できる。
【0061】
前記光変調層(液晶層)には、その他必要なさらなる成分(例えば、二色性色素など)が含まれていてもよい。
【0062】
第1および/または第2基板の第1表面上に形成されてもよい液晶配向膜の種類は、特に限定されない。前記配向膜としては、目的とする初期配向などを考慮して公知の垂直あるいは水平配向膜やその他配向膜を適用できる。配向膜の類型も、ラビング配向膜のような接触式配向膜や、光配向膜のような非接触式配向膜が適用可能である。一例において、前記配向膜としては、垂直配向膜が使用できる。例えば、垂直配向膜と後述する粘着剤層または接着剤層の組み合わせは、多様な用途に適した液晶化合物の配向状態を誘導できる。
【0063】
光変調フィルム層において第1基板の第1表面上に接着剤層または粘着剤層を形成する場合に、当該粘着剤層または接着剤層の種類は、特に限定されない。例えば、当業界においていわゆるOCA(Optically Clear Adhesive)またはOCR(Opticall Clear Resin)と公知となった多様な類型の粘着剤または接着剤は、液晶配向膜と組み合わせて液晶化合物の好適な配向を誘導できる。前記粘着剤または接着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、エポキシ系またはウレタン系の粘着剤または接着剤が適用可能である。
【0064】
好適な粘着剤または接着剤として、シリコーン系粘着剤または接着剤が挙げられる。シリコーン系粘着剤または接着剤が有する特有の表面特性は、液晶配向膜(特に、垂直配向膜)と組み合わせて目的に適した液晶化合物の配向状態を誘導できる。
【0065】
前記シリコーン系粘着剤または接着剤は、硬化性シリコーン接着剤または粘着剤組成物(以下、単に硬化性シリコーン組成物と呼ぶ)の硬化物が使用できる。硬化性シリコーン組成物の種類は、特に限定されず、例えば加熱硬化性シリコーン組成物または紫外線硬化性シリコーン組成物が使用できる。
【0066】
一例において、前記硬化性シリコーン組成物は、付加硬化性シリコーン組成物として、(1)分子中に二つ以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンおよび(2)分子中に二つ以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンを含んでもよい。前記のようなシリコーン化合物は、例えば、白金触媒などの触媒の存在下で、付加反応により硬化物を形成できる。
【0067】
前記(1)オルガノポリシロキサンは、シリコーン硬化物を構成する主成分として、1分子中に少なくとも二つのアルケニル基を含む。この際、アルケニル基の具体的な例には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などが含まれ、このうち、ビニル基が通常適用されるが、これらに限定されるものではない。前記(1)オルガノポリシロキサンにおいて、前述したアルケニル基の結合位置は、特に限定されない。例えば、前記アルケニル基は、分子鎖の末端および/または分子鎖の側鎖に結合されていてもよい。また、前記(1)オルガノポリシロキサンにおいて、前述したアルケニルの他に含まれ得る置換基の種類としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、これらのうち、メチル基またはフェニル基が通常適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
前記(1)オルガノポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、環状、網状または一部が分岐状を成す直鎖状などのように、いかなる形状でも有することができる。通常、前記のような分子構造のうち、特に直鎖状の分子構造を有するものが適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
前記(1)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、R SiO2/2で表されるシロキサン単位とR SiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R SiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、RSiO2/2で表されるシロキサン単位とRSiO3/2で表されるシロキサン単位またはRSiO3/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち二つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記で、Rは、アルケニル基以外の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などでありうる。また、前記でRは、アルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などでありうる。
【0070】
前記付加硬化性シリコーン組成物において、(2)オルガノポリシロキサンは、前記(1)オルガノポリシロキサンを架橋させる役割を行うことができる。前記(2)オルガノポリシロキサンにおいて、水素原子の結合位置は、特に限定されず、例えば、分子鎖の末端および/または側鎖に結合されていてもよい。また、前記(2)オルガノポリシロキサンにおいて、前記ケイ素結合水素原子の他に含まれ得る置換基の種類は、特に限定されず、例えば、(1)オルガノポリシロキサンにおいて言及したような、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、これらのうち、通常、メチル基またはフェニル基が適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
前記(2)オルガノポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、環状、網状または一部が分岐状を成す直鎖状などのように、いかなる形状でも有することができる。前記のような分子構造のうち、通常、直鎖状の分子構造を有することが適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
前記(2)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、R SiO1/2で表されるシロキサン単位とR HSiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R HSiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、RHSiO2/2で表されるシロキサン単位とRSiO3/2で表されるシロキサン単位またはHSiO3/2で表されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち二つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記で、Rは、アルケニル基以外の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などでありうる。
【0073】
前記(2)オルガノポリシロキサンの含有量は、好適な硬化が行われ得るほどに含まれると、特に限定されない。例えば、前記(2)オルガノポリシロキサンは、前述した(1)オルガノポリシロキサンに含まれる一つのアルケニル基に対して、ケイ素結合水素原子が0.5~10個となる量で含まれ得る。このような範囲で硬化を十分に進行させ、耐熱性を確保できる。
【0074】
前記付加硬化性シリコーン組成物は、硬化のための触媒として、白金または白金化合物をさらに含んでもよい。このような、白金または白金化合物の具体的な種類は、特に限定されない。触媒の比率も、好適な硬化が行われ得るレベルに調節すればよい。
【0075】
前記付加硬化性シリコーン組成物は、貯蔵安定性、取り扱い性および作業性向上の観点から、必要な好適な添加剤を適正比率でさらに含むこともできる。
【0076】
他の例として、前記シリコーン組成物は、縮合硬化性シリコーン組成物であり、例えば(a)アルコキシ基含有シロキサンポリマー;および(b)水酸基含有シロキサンポリマーを含んでもよい。
【0077】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、下記化学式1で表される化合物でありうる。
【0078】
[化学式1]
SiO(OR
【0079】
化学式1で、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換あるいは非置換の一価炭化水素基を示し、Rは、アルキル基を示し、R、RおよびRがそれぞれ複数個存在する場合には、互いに同じでも異なっていてもよく、aおよびbは、それぞれ独立して、0以上、1未満の数を示し、a+bは、0超過、2未満の数を示し、cは、0超過、2未満の数を示し、dは、0超過、4未満の数を示し、a+b+c×2+dは、4である。
【0080】
化学式1の定義において、一価炭化水素基は、例えば、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基またはトリル基などであってもよく、この際、炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基またはオクチル基などでありうる。また、化学式1の定義において、一価炭化水素基は、例えば、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基またはウレイド基などの公知の置換基で置換されていてもよい。
【0081】
化学式1の定義において、Rのアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基などが挙げられる。アルキル基のうち、メチル基またはエチル基などが通常適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
化学式1のポリマーのうち、分岐状または3次架橋されたシロキサンポリマーが使用できる。また、この(a)シロキサンポリマーには、目的を損傷させない範囲内で、具体的には、脱アルコール反応を阻害しない範囲内で水酸基が残存していてもよい。
【0083】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造できる。この分野における平均的技術者は、目的とする(a)シロキサンポリマーによって好適な多官能アルコキシシランまたはクロロシランを容易に選択でき、それを使用した加水分解および縮合反応の条件も、容易に制御することができる。一方、前記(a)シロキサンポリマーの製造時には、目的によって、好適な一官能のアルコキシシランを併用使用することもできる。
【0084】
前記(a)シロキサンポリマーとしては、例えば、信越シリコーン社のX40-9220またはX40-9225、GE東レシリコーン社のXR31-B1410、XR31-B0270またはXR31-B2733などのような、市販のオルガノシロキサンポリマーが使用できる。
【0085】
前記縮合硬化性シリコーン組成物に含まれる、(b)水酸基含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記化学式2で表される化合物が使用できる。
【0086】
[化学式2]
【化1】
【0087】
化学式2で、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換あるいは非置換の一価炭化水素基を示し、RおよびRがそれぞれ複数個存在する場合には、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、nは、5~2,000の整数を示す。
【0088】
化学式2の定義において、一価炭化水素基の具体的な種類としては、例えば、前記化学式1の場合と同じ炭化水素基が挙げられる。
【0089】
前記(b)シロキサンポリマーは、例えば、ジアルコキシシランおよび/またはジクロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造できる。この分野における平均的技術者は、目的とする(b)シロキサンポリマーによって好適なジアルコキシシランまたはジクロロシランを容易に選択でき、それを使用した加水分解および縮合反応の条件も、容易に制御することができる。前記のような(b)シロキサンポリマーとしては、例えば、GE東レシリコーン社のXC96-723、YF-3800、YF-3804などのような、市販の二官能オルガノシロキサンポリマーが使用できる。
【0090】
前記に記述した付加硬化型あるいは縮合硬化型シリコーン組成物は、本出願において適用されるシリコーン粘着剤または接着剤を形成するための材料の一例である。すなわち、基本的に当業界においてOCAまたはOCRなどと知られたシリコーン粘着剤または接着剤が全部本出願において適用可能である。
【0091】
前記粘着剤または接着剤あるいはそれを形成する硬化性組成物の類型は、特に限定されず、目的とする用途によって適宜選択できる。例えば、固状、半固状または液状の粘着剤または接着剤または硬化性組成物が使用できる。固状または半固状の粘着剤または接着剤または硬化性組成物は、接着対象が合着される前に硬化することができる。液状の粘着剤または接着剤または硬化性組成物は、いわゆる光学透明レジン(OCR;Optical Clear Resin)と呼ばれ、接着対象が合着された後に硬化することができる。一例によれば、前記粘着剤または接着剤または硬化性組成物としては、いわゆるポリジメチルシロキサン系(Polydimethyl siloxane-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物またはポリメチルビニルシロキサン系(Polymethylvinyl siloxane-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物またはアルコキシシリコーン系(Alkoxy silicone-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物などが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
粘着剤層または接着剤層の厚さは、特に限定されず、目的とする接着力または粘着力の確保のための適正範囲で選択できる。前記厚さは、略1μm~50μmの範囲内でありうる。前記厚さは、他の例として、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上または10μm以上や、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下または10μm以下程度であってもよい。
【0093】
第1基板の第1表面に前記のような粘着剤層または接着剤層が形成される場合に、第1基板には、液晶配向膜が形成されなくてもよい。
【0094】
光変調層である液晶層において前記液晶配向膜および/または粘着剤層または接着剤層と液晶配向膜により形成される、液晶化合物の初期配向は、垂直配向、水平配向、傾斜配向またはスプレー配向でありうる。また、前記垂直配向、水平配向、傾斜配向状態またはスプレー配向状態で液晶化合物は、ツイストされて、前記ツイスト配向またはコレステリック配向状態で存在したり、そうでなくてもよい。前記初期配向は、液晶化合物を含む光変調層に外部シグナルが印加されていない状態での配向を意味する。
【0095】
前記水平配向、傾斜配向、垂直配向またはスプレー配向の意味は、当業界において公知となった通りである。光変調層の液晶化合物は、初期状態で前記水平配向、傾斜配向、垂直配向またはスプレー配向の状態を維持し、外部シグナルによってそれとは異なる配向状態に変更されうる。
【0096】
一例において、前記光変調層における液晶化合物の初期配向は、垂直配向または垂直配向と類似した配向状態であり、外部シグナルの印加時に前記ツイスト配向が具現されてもよい。このような配向状態は、前記液晶配向膜として垂直配向膜を適用することによって得られる。このような配向は、いわゆるR-TN(Reversed Twisted Nematic)配向を具現する素子において有用である。
【0097】
前記垂直配向または垂直配向と類似した配向状態で光変調層の面内位相差(波長550nm基準)は、例えば、約30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下または5nm以下であるか、0nm以上または0nm超過でありうる。
【0098】
前記面内位相差は、前記数式2によって求められ、この場合、数式2で、nx、nyおよびdは、それぞれ光変調層の遅相軸方向の屈折率、進相軸方向の屈折率および厚さである。
【0099】
光変調フィルム層は、前記第1および第2基板の間隔(spacer)を維持するスペーサーをさらに含んでもよい。スペーサーとしては、通常的に適用されるスペーサーであり、ボールスペーサー、カラムスペーサーまたは隔壁型スペーサーあるいは前記のうち二つ以上の組み合わせが適用可能である。好適な例として、前記スペーサーとしては、前記隔壁型スペーサーが使用でき、特に前記隔壁が少なくとも一つの閉図形を形成している隔壁型スペーサーが適用可能である。前記隔壁型スペーサーが形成する閉図形としては、六角形(例えば、正六角形など)や四角形(例えば、正方形または矩形)が挙げられる。前記閉図形が六角形、特に正六角形である隔壁型スペーサーは、いわゆるハニカム(honeycomb)型スペーサーとも呼ばれる。このようなハニカム型または四角形の隔壁型スペーサーは、公知のように、基板上に形成された隔壁型スペーサーの形態を基板の法線方向から観察したとき、前記隔壁型スペーサーにより形成される図形がハニカム型または四角形である場合を意味する。前記ハニカム型は、通常、正六角形の組み合わせからなり、四角形の場合、正方形、矩形または正方形と矩形の組み合わせなどがありえる。第1および第2基板間の付着力を考慮して、スペーサーとしては、隔壁型スペーサーを適用できるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
スペーサーのピッチなども、目的とする付着力やセルギャップの維持効率などを考慮して適宜選択できる。例えば、隔壁型スペーサーが適用される場合、前記隔壁型スペーサーのピッチが50μm~2,000μmの範囲内でありうる。隔壁型スペーサーにおいてピッチを求める方式は公知となっている。例えば、隔壁型スペーサーがハニカム型であれば、前記ハニカムを成す六角形において向かい合う辺の間隔を通じてピッチを求め、四角形である場合に、四角形の辺の長さを通じてピッチを求める。前記ハニカムを成す六角形において向かい合う辺の間隔や、四角形の辺の長さが一定でない場合には、それらの平均値をピッチと規定することができる。
【0101】
前記隔壁型スペーサーが閉図形を構成する場合に、例えば、前記閉図形の面積(すなわち、例えば、六角形や四角形の面積)は、例えば、約1~200mmの範囲内でありうる。隔壁型スペーサーにより複数の閉図形が形成され、当該閉図形の面積がそれぞれ異なる場合には、前記面積は算術平均値である。
【0102】
前記隔壁型スペーサーの線幅、例えば、前記ハニカムを成す六角形や四角形の各辺の幅は、例えば、約5μm~50μmの範囲内にありえる。前記線幅は、他の例として、約10μm以上または15μm以上であるか、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下または20μm以下程度であってもよい。
【0103】
前記のような範囲でセルギャップが適切に維持され、基板間の付着力も良好に維持できる。例えば、第1基板に前記粘着剤層または接着剤層が形成される場合に、隔壁型スペーサーとの組み合わせは、非常に優れた基板間の接着力を付与できる。
【0104】
前記光変調フィルム層の各基板には、光変調層に外部シグナルを印加するための構成要素として、電極層が形成されていてもよい。例えば、第1基板において第1表面と前記機能性層(液晶配向膜、粘着剤または接着剤層の間(図1で100と1001の間))および/または第2基板において第1表面と液晶配向膜の間(図1で200と2001の間)(スペーサーが存在する場合、スペーサーおよび配向膜の間)には電極層が存在できる。第2基板の場合、第1表面にまず電極層を形成し、その上部にスペーサーおよび配向膜を順次形成することが一般的であるから、スペーサーが存在する場合、電極層は、第2基板の第1表面とスペーサーおよび配向膜の間に位置してもよい。
【0105】
前記電極層としては、公知の透明電極層が適用可能であり、例えば、いわゆる導電性高分子層、導電性金属層、導電性ナノワイヤー層またはITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物層が前記電極層に使用できる。その他にも、透明電極層を形成できる多様な素材および形成方法が公知となっており、これを限定せずに適用できる。
【0106】
光変調デバイスは、前記光変調フィルム層を基本的に含み、必要に応じてさらなる他の構成を含むこともできる。すなわち、駆動モードによっては、前記光変調フィルム層単独でも、前述した透過、遮断、高反射および/または低反射モードの具現およびそれら間のスイッチングが可能であるが、このようなモードの具現またはスイッチングを容易にするために、さらなる構成を含むことも可能である。
【0107】
例えば、前記デバイスは、前記光変調フィルム層の一側または両側に配置された偏光層(受動偏光層)をさらに含んでもよい。一例では、デバイスは、第1または第2の基板の第2の表面上に配置された偏光層をさらに備える。図2は、前記構造の例示であり、図1の構造において光変調フィルム層の一面にのみ偏光層400が配置された場合であり、図3は、図1の構造において光変調フィルム層の両面に偏光層400が配置された場合である。また、スペーサーとして前記隔壁型スペーサーが適用され、その形態が四角形(正方形または矩形)の場合に、前記四角形の辺と前記偏光層の吸収軸は、互いに実質的に垂直または水平を成すように配置されることが好適である。一例では、第1または第2の基板の遅軸と偏光層の吸収軸との間の小さな角度は、80度から100度の範囲であり得る。
【0108】
用語「偏光層」は、自然光または非偏光を偏光に変化させる素子を意味し得る。一例において、前記偏光層は、直線偏光層でありうる。直線偏光層は、選択的に透過する光がいずれか一つの方向に振動する直線偏光であり、選択的に吸収または反射する光が前記線偏光の振動方向と直交する方向に振動する直線偏光である場合を意味する。すなわち、前記直線偏光層は、面方向に互いに直交する透過軸および吸収軸または反射軸を有することができる。
【0109】
前記偏光層は、吸収型偏光層または反射型偏光層でありうる。前記吸収型偏光層としては、例えば、PVA(poly(vinyl alcohol))延伸フィルムなどのような高分子延伸フィルムにヨードを染着した偏光層または配向された状態で重合された液晶をホストとし、前記液晶の配向によって配列された二色性染料をゲストとするゲスト-ホスト型偏光層が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
前記反射型偏光層としては、例えば、いわゆるDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)と公知となっている反射型偏光層やLLC(Lyotropic liquid crystal)のような液晶化合物をコーティングして形成される反射型偏光層が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
図3のように、光変調フィルム層の両側共に前記偏光層が配置された構造であってもよい。このような場合に、前記両側に配置された偏光層の透過軸が成す角度は、85度~95度の範囲内または略垂直でありうる。
【0112】
一例として、前記光学デバイスは、偏光層を含まずに構成されることもできる。例えば、前記液晶層にさらなる成分として二色性染料を配合した後に、偏光層を適用せずに、光学デバイスが構成されることもできる。
【0113】
光変調デバイスは、前記構成にさらに必要な他の構成を含んでもよい。
【0114】
例えば、光変調デバイスは、下記数式3の屈折率の関係を満たす光学異方性フィルムをさらに含んでもよい。このようなフィルムは、基板や、光変調層を光学的に補償して、前記デバイスの性能をより改善できる。
【0115】
[数式3]
nz<ny
【0116】
数式3で、nyは、光学異方性フィルムの進相軸方向の波長550nmに対する屈折率であり、nzは、光学異方性フィルムの厚さ方向の波長550nmに対する屈折率である。
【0117】
前記数式3の関係を満たす光学異方性フィルムは、いわゆるネガティブ(Negative)Cプレートの性質を示すフィルムである。
【0118】
このような光学異方性フィルムの厚さ方向位相差は、例えば、-700nm~-10nmの範囲内でありうる。前記光学異方性フィルムは、光学デバイス内に1層または2層以上存在することもできるが、前記厚さ方向位相差は、光学異方性フィルムが1層存在する場合には、当該1層のフィルムの厚さ方向位相差であり、2層以上複数個存在する場合には、モードフィルムの厚さ方向位相差の合計である。
【0119】
また、前記厚さ方向位相差は、下記数式4によって定められる物理量である。
【0120】
[数式4]
Rth=d×(nz-ny)
【0121】
数式4で、Rthは、厚さ方向位相差であり、nzは、フィルムの厚さ方向の屈折率であり、nyは、フィルムの進相軸方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。前記で厚さ方向と進相軸の意味は、当業界において公知となっている。
【0122】
前記光学異方性フィルムとしては、公知の位相差フィルムであり、前記数式3を満たすフィルムを適用でき、当業界では、このような種類のフィルムとして、例えば、延伸高分子フィルムや液晶フィルムなどが多様に知られている。
【0123】
前記光学異方性フィルムは、第1および/または第2基板に存在できるが、例えば、第1および/または第2基板の第1表面上に形成されてもよい。この際、光学異方性フィルムは、第1および/または2基板と光変調層の間に存在でき、前記第1表面上に液晶配向膜や前記粘着剤層または接着剤層(液晶配向膜など)が形成される場合には、第1および/または2基板と前記液晶配向膜などの間に形成されてもよく、前記第1表面上に電極層が形成される場合には、第1および/または第2基板と前記電極層の間に形成されることもできる。
【0124】
光変調デバイスは、前記構成の他にも、必要な場合に他の構成を含むこともできる。例えば、前記第1基板の第1表面上に形成される粘着剤層または接着剤層の他に、他の構成要素を付着させるための粘着剤層や接着剤層、ハードコーティングフィルム、反射防止フィルムおよび/またはNIR(Near-Infrared)遮断(cut)層などのように、光変調デバイスの駆動または使用に必要な任意の他の構成を追加してもよい。
【0125】
前記光変調デバイスを製造する方式は、特に限定されず、各構成要素として前記要素が適用されること以外には、公知の方式を通じて前記デバイスを製造できる。
【0126】
本出願は、また、光学デバイスに関する。光学デバイスは、前記光変調デバイスがカプセル化剤でカプセル化された構造を有することができる。
【0127】
このような光学デバイスは、対向配置されている第1および第2外郭基板と、前記第1および第2外郭基板の間でカプセル化剤でカプセル化された前記光変調デバイスと、を含んでもよい。前記第1および第2外郭基板は、前記光変調フィルム層に含まれる基板と区別される別途の基板であり、したがって、これは、外郭基板と呼ぶ。したがって、前記光学デバイスは、前記光変調フィルム層に含まれる第1および第2基板と前記第1および第2外郭基板の少なくとも4個の基板を含んでもよい。
【0128】
前記基板の呼称において第1および第2の表現は、基板の区別のための便宜的な表現であり、この表現が前記基板または外郭基板の先後または上下関係を規定するものではない。前記光変調デバイスは、前記2枚の外郭基板の間でカプセル化されていてもよい。このようなカプセル化は、カプセル化剤を使用して行われ得、この際、カプセル化剤は、接着フィルムでありうる。
【0129】
前記外郭基板としては、例えば、ガラスなどからなる無機基板またはプラスチック基板が使用できる。プラスチック基板としては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルムまたはフッ素樹脂フィルムなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。外郭基板には、必要に応じて金、銀、二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在することもできる。
【0130】
外郭基板の厚さは、特に限定されず、例えば約0.3mm以上でありうる。前記厚さは、他の例として、約0.5mm以上、約1mm以上、約1.5mm以上または約2mm以上程度であってもよく、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または3mm以下程度であってもよい。
【0131】
前記外郭基板は、平たい(flat)基板であるか、あるいは曲面形状を有する基板でありうる。例えば、前記2枚の外郭基板は、同時に平たい基板であるか、同時に曲面形状を有したり、あるいはいずれか一つは、平たい基板であり、他の一つは、曲面形状の基板でありうる。
【0132】
前記で同時に曲面形状を有する場合には、それぞれの曲率または曲率半径は、同じであっても異なっていても構わない。
【0133】
光学デバイスは、前記光変調デバイスを前記外郭基板内でカプセル化しているカプセル化剤、例えば、接着フィルムをさらに含んでもよい。このような接着フィルムは、例えば、少なくとも前記外郭基板と前記光変調デバイスの間に存在できる。例えば、光変調デバイスが前記光変調フィルム層および偏光層の両方を含む場合に、前記カプセル化剤(接着フィルム)は、外郭基板と光変調フィルム層の間、光変調フィルム層と偏光層の間および偏光層と外郭基板の間のうち少なくとも一つの位置に存在できる。また、前記カプセル化剤は、前記光変調デバイスの側面(好適にはすべての側面)、例えば、光変調フィルム層と偏光層の側面(好適にはすべての側面)に存在できる。
【0134】
カプセル化剤である接着フィルムは、前記外郭基板と光変調デバイスの少なくとも一つの構成を互いに接着させることによって、前記光変調デバイスをカプセル化していてもよい。
【0135】
例えば、目的とする構造によって外郭基板、光変調デバイスおよびカプセル化剤(接着フィルム)を積層した後に加圧するオートクレーブ工程などを通して前記構造を具現できる。本出願は、このような加圧工程が行われた後にも、光変調デバイスの性能を設計通りに効率的に維持できる。
【0136】
前記カプセル化剤(接着フィルム)としては、特に限定されず、公知の素材が使用でき、例えば、公知の熱可塑性ポリウレタン接着フィルム(TPU:Thermoplastic Polyurethane)、TPS(Thermoplastic Starch)、ポリアミド接着フィルム、ポリエステル接着フィルム、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着フィルム、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン接着フィルムまたはポリオレフィンエラストマーフィルム(POEフィルム)などのうち好適なフィルムが選択できる。
【0137】
前記カプセル化剤(接着フィルムなど)の厚さは、特に限定されず、例えば約200μm~600μm程度の範囲内でありうる。前記で接着フィルムの厚さは、前記外郭基板と光変調デバイスの間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔などでありうる。
【0138】
光学デバイスは、前記構成の他にも、必要な構成を適切にさらに含んでもよく、このような構成の例には、バッファー層、位相差層、光学補償層、反射防止層および/またはハードコーティング層などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
前記光学デバイスは、対向配置されている前記第1および第2外郭基板の間にある前記光変調デバイスを前記カプセル化剤を使用した加圧工程を通じてカプセル化する段階を含んでもよい。
【0140】
この際、前記加圧工程の具体的な種類は、特に限定されない。例えば、前記加圧工程は、オートクレーブ工程でありうる。
【0141】
したがって、前記光学デバイスの製造方法は、対向配置されている第1および第2外郭基板の間にある前記光変調デバイスを接着フィルムを使用したオートクレーブ工程を通じてカプセル化する段階を含んでもよい。
【0142】
前記オートクレーブ工程は、外郭基板の間に目的とするカプセル化構造によって接着フィルムと光変調デバイスを配置し、加熱/加圧によって行うことができる。
【0143】
例えば、外郭基板、接着フィルム、光変調デバイス、接着フィルムおよび外郭基板を前記順に配置し、光変調デバイスの側面にも接着フィルムを配置した積層体をオートクレーブ工程で加熱/加圧処理して光学デバイスを形成できる。
【0144】
前記オートクレーブ工程の条件は、特別な限定がなく、例えば、適用されたカプセル化剤(接着フィルム)の種類によって好適な温度および圧力下で行うことができる。通常のオートクレーブ工程の温度は、約40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上または100℃以上であり、圧力は、2気圧以上であるが、これらに限定されるものではない。前記工程温度の上限は、約200℃以下、190℃以下、180℃以下または170℃以下程度であってもよく、工程圧力の上限は、約10気圧以下、9気圧以下、8気圧以下、7気圧以下または6気圧以下程度でありうる。
【0145】
このような光学デバイスは、多様な用途に使用でき、例えば、サングラスやAR(Argumented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)などのアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどに使用できる。
【発明の効果】
【0146】
本出願は、オートクレーブ工程などのように圧力が加えられるカプセル化工程後にも、設計された光学特性を安定的に維持できる光変調デバイス、光学デバイスまたはその製造方法を提供できる。また、本出願は、上下基板間の接着力を効果的に確保しつつ、光変調層の配向状態も安定的に維持できる光変調デバイス、それを含む光学デバイスまたはその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
図1】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
図2】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
図3】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
図4】光変調層の屈折率異方性を求める過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0148】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【0149】
1.位相差の評価
フィルムの面内位相差値(Rin)は、Agilent社のUV/VIS spectroscope 8453装備を利用して波長550nmの光に対して測定した。UV/VIS spectroscopeに2枚の偏光子を透過軸が互いに直交するように設置し、前記2枚の偏光子の間に高分子フィルムの遅相軸が2枚の偏光子の透過軸とそれぞれ45度を成すように設置した後、波長による透過度を測定した。波長による透過度グラフにおいて各ピーク(peak)の位相遅延次数(Phase retardation order)を求める。具体的に、波長による透過度グラフにおいて、波形は、下記数式Aを満たし、サイン(Sine)波形で最大ピークTmaxの条件は、下記数式Bを満たす。数式Aで、λmaxである場合、数式AのTと数式BのTは、同一なので、数式を展開する。n+1、n+2およびn+3に対しても数式を展開し、nとn+1数式を整理してRを消去してnをλnおよびλn+1数式で整理すると、下記数式Cが導き出される。数式AのTと数式BのTが同一であることに基づいてnとλを知ることができるので、各λn、λn+1、λn+2およびλn+3に対してRを求める。4ポイントに対して波長によるR値の直線傾向線を求め、数式550nmに対するR値を算定する。直線傾向線の関数は、Y=ax+bであり、aおよびbは、定数である。前記関数のxに550nmを代入したときのY値が波長550nmの光に対するRin値である。
【0150】
[数式A]
T=sin[(2πR/λ)]
【0151】
[数式B]
T=sin[((2n+1)π/2)]
【0152】
[数式C]
n=(λn-3λn+1)/(2λn+1+1-2λn)
【0153】
前記でRは、面内位相差Rinを意味し、λは、波長を意味し、nは、サイン波形の頂点の次数を意味する。
【0154】
2.光変調層(液晶層)の厚さの評価
光変調層の厚さ、すなわちセルギャップ(cell gap)は、スペーサーの高さと一致するので、スペーサーの高さを測定して、これをセルギャップとした。前記スペーサーの高さは、測定装備(Optical Profiler,Nano system社製、Nano View-E1000)を使用して確認した。
【0155】
3.光変調層(液晶層)の屈折率異方性の評価
屈折率異方性△nは、Abbe屈折計を使用して次の方式で評価する。Abbe屈折計の測定プリズム(Measuring Prism)と照射プリズム(illumination Prism)の面に垂直配向膜をコーティングし、測定しようとする液晶化合物をMeasuring Prismに塗布した後に、illumination Prismで覆うと、二つの界面の垂直配向力によって液晶化合物が垂直に配向される。前記過程で適用される液晶化合物は、二色性染料など他の物質と混合されない透過度可変層に適用される液晶化合物のみである。その後、図4に示されたように、接眼レンズ側に線形偏光板を適用し、光(Light)を照射して観測すると、図4に示されたように、θeおよびθoを求めることができ、Measuring prismの屈折率npと前記角度θeおよびθoを通じて異常屈折率(ne=npsinθe)と正常屈折率(no=npsinθo)を求めることができ、その差(ne-no)が屈折率異方性と規定できる。前記測定時の基準波長は、略550nmである。
【0156】
4.光変調層(液晶層)のピッチの評価
ツイスト配向でのピッチpは、Wedge cellを利用した計測方法で測定し、具体的には、D.PodolskyyなどのSimple method for accurate measurements of the cholesteric pitch using a stripe-wedge Grandjean-Cano cell(Liquid Crystals,Vol.35,No.7,July 8/2008,789-791)に記載された方式で測定した。
【0157】
実施例1.
光変調デバイスの製造
光変調デバイスの第1基板として、厚さ80μm程度のPET(poly(ethylene terephthalate))フィルム(Toyobo製、SRF製品)を使用した。前記PETフィルムの面内位相差(550nm)は、略9,000nm程度であった。前記PETフィルムの表面に光学異方性フィルム(数式3を満たすネガティブCフィルム)、ITO(Indium Tin Oxide)層およびシリコーン粘着剤層を順に形成した(第1基板/光学異方性フィルム/ITO層/粘着剤層の積層構造)。前記光学異方性フィルムは、ポリアミドコーティング液(テレフタル酸、イソフタル酸および2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを重合させたポリアミドをジメチルアセトアミド溶液に5.3重量%の濃度で希釈したコーティング液)を基板上にコーティング後、乾燥して形成し、その厚さ方向位相差は、略-220程度であった。前記ITO層は、公知の蒸着方法で形成し、粘着剤は、シリコーン粘着剤組成物(Shinetsu社、KR3700)をバーコーティングし、約150℃程度で5分間乾燥して、10μm程度の厚さで形成した。
【0158】
第2基板として、第1表面にITO(Indium Tin Oxide)層が蒸着されている厚さ145μm程度のPET(poly(ethylene terephthalate))フィルム(SKC製、高延伸PET製品)を使用した。前記PETフィルムの面内位相差(550nm)は、略10,000nm程度であった。前記PETフィルムのITO層上にハニカム型隔壁型スペーサーとして、ハニカムを構成する正六角形(閉図形)のピッチが約350μm程度であり、線幅が約10μm程度である隔壁型スペーサーを形成した。前記スペーサーの高さは、下記表1に整理された液晶層(光変調層)の厚さ(cell gap)が満たされるように形成した。前記スペーサー上に垂直配向膜(5661LB3、Nissan社)を約300nm程度の厚さで形成した。前記垂直配向膜は、一方向にラビング処理して形成した。前記ラビング方向は、第2基板の遅相軸方向に垂直となるようにした。
【0159】
次に、前記第2基板の垂直配向膜の表面に液晶組成物をコーティングし、前記第1基板の粘着剤層を前記液晶組成物のコーティングされた面と対向するようにしてラミネートして、光変調フィルム層を製造した。この際、第1および第2基板の遅相軸は、互いに平行するように位置を調節した。
【0160】
前記で液晶組成物としては、液晶化合物(Merck、MAT-19-753)およびキラルドーパント(Merck、S811)を含む組成物を使用した。前記キラルドーパントの含有量は、ツイスト配向のピッチ(キラルピッチ)pが下記表1を満たすことができるように調節した。
【0161】
光学デバイスの製作
前記製作された光変調フィルム層をPVA(poly(vinyl alcohol))偏光層と共に2枚の外郭基板の間に接着フィルム(カプセル化剤)を使用してカプセル化した。前記カプセル化のとき、前記PVA偏光層が光変調フィルム層の第1および第2基板の第2表面にそれぞれに存在するようにし、この際、前記第2基板の第2表面に存在するPVA偏光層の吸収軸は、第2基板の遅相軸に垂直となるようにし、第1基板の第2表面に存在するPVA偏光層の吸収軸は、第1基板の遅相軸に水平となるようにした。前記接着フィルムとしては、熱可塑性ポリウレタン接着フィルム(厚さ:約0.38mm、製造社:Argotec社、製品名:ArgoFlex)を適用し、外郭基板としては、厚さが約3mmレベルのガラス基板を使用した。第1外郭基板、前記接着フィルム、前記PVA偏光層、前記接着フィルム、前記光変調フィルム層、前記接着フィルム、前記PVA偏光層、前記接着フィルムおよび第2外郭基板を前記順に積層し、光変調フィルム層のすべての側面にも前記接着フィルムを配置して、積層体を製造した.その後、約100℃の温度および2気圧程度の圧力でオートクレーブ工程を行って、光学デバイスを製造した。
【0162】
実施例2~9.
光変調デバイスの製作時に、液晶層(光変調層)の厚さ(cell gap,t)とツイスト配向のピッチが下記表1のように調節されるようにしたことを除いては、実施例1と同一に光変調デバイスと光学デバイスを製作した(下記表1で、△nは、液晶層の屈折率異方性であり、tは、液晶層の厚さであり、pは、ピッチであり、Kは、△n×p/tによって計算される値である)。
【0163】
【表1】
【0164】
比較例1~7.
光変調デバイスの製作時に液晶層(光変調層)の厚さt(cell gap)とツイスト配向のピッチが下記表2のように調節されるようにしたことを除いては、実施例1と同一に光変調デバイスと光学デバイスを製作した(下記表2で、△nは、液晶層の屈折率異方性であり、tは、液晶層の厚さであり、pは、ピッチであり、Kは、△n×p/tによって計算される値である)。
【0165】
【表2】
【0166】
前記実施例および比較例それぞれの光変調デバイスおよび光学デバイスに約60Vの電圧を印加した状態での透過率を評価し、下記表3および4に整理して記載した。すなわち、光変調デバイスに対する透過率は、加圧工程(オートクレーブ)が行われる前の透過率であり、光学デバイスに対する透過率は、加圧工程(オートクレーブ)が行われた後の透過率である。前記加圧工程前後の透過率の変化率も、下記表3および表4に整理して記載した。前記透過率は、Hazemeter(NDH-5000SP)を使用して評価した。
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【0169】
表3および表4に整理されたように、実施例のデバイスは、光変調デバイスが適正な透過率を示し、加圧工程(オートクレーブ工程)後にも、当該透過率が安定的に維持された。
【0170】
一方、比較例の場合、加圧工程前後の透過率の変化が大きいか、透過率自体が目的数値に達しなかった。また、比較例5~7の場合、液晶化合物の配向自体が良好に行われないので、透過率の測定が不可能であった。
図1
図2
図3
図4