(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】画像形成装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/165 211
B41J2/165 101
(21)【出願番号】P 2020144726
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】永井 幸治
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-188860(JP,A)
【文献】特開平11-300989(JP,A)
【文献】特開2004-66665(JP,A)
【文献】特開2019-34547(JP,A)
【文献】特開2017-193064(JP,A)
【文献】特開2011-213095(JP,A)
【文献】特開2011-189529(JP,A)
【文献】特開2004-66554(JP,A)
【文献】特開2014-231168(JP,A)
【文献】特開2011-25599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、
前記空吐出で排出された前記液体の総量である空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を順次行うように、前記液体吐出部を制御する
画像形成装置。
【請求項2】
液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、
前記空吐出で排出された前記液体の総量である空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御する制御部と、を有し、
前記液体吐出部が前記空吐出を行った回数を計数して、前記空吐出総排出量の情報を取得する空吐出総排出量取得部を有し、
前記制御部は、前記空吐出総排出量取得部が取得した前記空吐出総排出量の情報に基づき、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御する
画像形成装置。
【請求項3】
液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、
前記空吐出で排出された前記液体の総量である空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御する制御部と、を有し、
前記第2の液体受け部は、前記複数の液体吐出ヘッドのそれぞれが有するノズルを保湿する保湿部を含み、
前記保湿部は、前記複数の液体吐出ヘッドごとに保湿キャップを含み、
複数の前記保湿キャップのうちの一部は、前記保湿キャップ内の前記液体を吸引する吸引機構を有する吸引キャップであり、
前記制御部は、前記空吐出総排出量が前記変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記吸引キャップに向けて前記空吐出を順次行うように、前記液体吐出部を制御する
画像形成装置。
【請求項4】
液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、
前記空吐出で排出された前記液体の総量である空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御する制御部と、を有し、
前記第1の液体受け部は、前記液体吐出部が前記空吐出を行った前記液体を貯留する貯留部を含み、
前記第2の液体受け部は、前記複数の液体吐出ヘッドのそれぞれが有するノズルを保湿する保湿部を含み、
前記変更閾値は、前記貯留部が満杯になる前記空吐出総排出量より所定量だけ少ない値であり、
前記制御部は、前記空吐出総排出量と、前記空吐出総排出量が前記変更閾値以上になった後で前記貯留部に貯留された前記液体の蒸発量と、に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御し、前記空吐出総排出量と前記蒸発量との差分値が前記変更閾値より小さい復帰閾値以下の場合に、画像形成の繁忙時間帯に関する情報に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御する
画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の液体受け部は、前記液体吐出部が前記空吐出を行った前記液体を貯留する貯留部を含み、
前記第2の液体受け部は、前記複数の液体吐出ヘッドのそれぞれが有するノズルを保湿する保湿部を含み、
前記変更閾値は、前記貯留部が満杯になる前記空吐出総排出量より所定量だけ少ない値であり、
前記制御部は、前記空吐出総排出量と、前記空吐出総排出量が前記変更閾値以上になった後で前記貯留部に貯留された前記液体の蒸発量と、に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御し、前記空吐出総排出量と前記蒸発量との差分値が、前記変更閾値より小さい復帰閾値以下になった場合に、前記第1の液体受け部に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御する
請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、高速モードと高解像モードの少なくとも2つの画像形成モードを有し、
前記第1の液体受け部は、前記液体吐出部が前記空吐出を行った前記液体を貯留する貯留部を含み、
前記第2の液体受け部は、前記複数の液体吐出ヘッドのそれぞれが有するノズルを保湿する保湿部を含み、
前記変更閾値は、前記貯留部が満杯になる前記空吐出総排出量より所定量だけ少ない値であり、
前記制御部は、前記空吐出総排出量と、前記空吐出総排出量が前記変更閾値以上になった後で前記貯留部に貯留された前記液体の蒸発量と、に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御し、前記空吐出総排出量と前記蒸発量との差分値が前記変更閾値より小さい復帰閾値以下で、且つ前記高速モードで画像形成する場合には、前記第1の液体受け部に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御する
請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、高速モードと高解像モードの少なくとも2つの画像形成モードを有し、
前記第1の液体受け部は、前記液体吐出部が前記空吐出を行った前記液体を貯留する貯留部を含み、
前記変更閾値は、前記貯留部が満杯になる前記空吐出総排出量より所定量だけ少ない値であり、
前記制御部は、前記空吐出総排出量と、前記空吐出総排出量が前記変更閾値以上になった後で前記貯留部に貯留された前記液体の蒸発量と、に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御し、前記空吐出総排出量と前記蒸発量との差分値が前記変更閾値より小さい復帰閾値以下で、且つ前記高解像モードで画像形成する場合には、前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御する
請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記変更閾値は、前記貯留部が満杯になる前記空吐出総排出量と等しい値である
請求項
4乃至
6の何れか1
項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、
前記空吐出で排出された前記液体の総量である空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御する制御部と、を有し、
前記第1の液体受け部は、前記液体吐出部が前記空吐出を行った前記液体を貯留する貯留部を含み、
前記変更閾値は、前記貯留部が満杯になる前記空吐出総排出量より所定量だけ少ない値であり、
前記空吐出総排出量が前記変更閾値以上になった時からの経過時間と、前記液体の種類と、前記第1の液体受け部の周辺の温度及び湿度と、に基づいて、前記貯留部に貯留された前記液体の蒸発量の情報を取得する蒸発量取得部を有し、
前記制御部は、前記空吐出総排出量と、前記蒸発量取得部が取得した前記蒸発量の情報と、に基づき、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御する
画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記繁忙時間帯では前記第1の液体受け部に向けて前記空吐出を行い、前記繁忙時間帯以外の時間帯では前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記変更閾値の入力操作を受け付ける受付部を有する
請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、
前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、を有する画像形成装置で用いられるプログラムであって、
前記第1の液体受け部は、前記液体吐出部が前記空吐出を行った前記液体を貯留する貯留部を含み、
前記第2の液体受け部は、前記複数の液体吐出ヘッドのそれぞれが有するノズルを保湿する保湿部を含み、
制御部により、前記空吐出で排出された前記液体の総量である空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御し、
前記変更閾値は、前記貯留部が満杯になる前記空吐出総排出量より所定量だけ少ない値であり、
前記制御部は、前記空吐出総排出量と、前記空吐出総排出量が前記変更閾値以上になった後で前記貯留部に貯留された前記液体の蒸発量と、に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御し、前記空吐出総排出量と前記蒸発量との差分値が前記変更閾値より小さい復帰閾値以下の場合に、画像形成の繁忙時間帯に関する情報に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように前記液体吐出部を制御する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置では、画像に寄与しない空吐出を行う場所を、該場所に貯留された液体量に応じて切り替える技術が知られている。
【0003】
また、空吐出を行う場所に貯留された液体が満杯になった際に、画像形成装置が動作を停止することを防止するために、予め定められた複数の場所の中から、空吐出を行う場所を設定する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、空吐出を行った際に発生するミストが画像形成装置又は記録媒体を汚染する場合がある。
【0005】
本発明は、ミストを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、前記空吐出で排出された前記液体の総量である空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を非並行に行うように、前記液体吐出部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、前記複数の液体吐出ヘッドが前記第2の液体受け部に向けて前記空吐出を順次行うように、前記液体吐出部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ミストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成例のブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る主制御部の機能構成例のブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る画像形成装置の動作の一例のフローチャートである。
【
図5】空吐出キャップ排出シーケンスを示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る画像形成装置の動作の他の例のフローチャートである。
【
図7】蒸発量換算テーブル例を示す図であり、(a)は、一のインク種類における蒸発量換算テーブル、(b)は他のインク種類における蒸発量換算テーブルを示す。
【
図8】第2実施形態に係る主制御部の機能構成例のブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る画像形成装置の動作例のフローチャートである。
【
図10】第3実施形態に係る主制御部の機能構成例のブロック図である。
【
図11】繁忙時間帯情報の一例を説明する図である。
【
図12】第3実施形態に係る画像形成装置の動作例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像形成装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0010】
実施形態に係る画像形成装置は、液体を吐出して普通紙、光沢紙又はフィルム等の記録媒体に画像を形成する装置である。該画像形成装置は、複数の液体吐出ヘッドを含み、液体を吐出する液体吐出部を有する。また複数の液体吐出ヘッドが画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された液体を受ける第1の液体受け部と、複数の液体吐出ヘッドが空吐出を非並行に行うことで吐出された液体を受ける第2の液体受け部とを有する。
【0011】
実施形態では、空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、複数の液体吐出ヘッドが第2の液体受け部に向けて空吐出を非並行に行うように液体吐出部を制御する。これにより、例えば第1の液体受け部が満杯になった場合に、空吐出を行う場所を第2の液体受け部に切り替えることで、画像形成装置が動作を停止することを防止する。また複数の液体吐出ヘッドが第2の液体受け部に向けて空吐出を非並行に行うことで、複数の液体吐出ヘッドの全てが並行して空吐出を行う場合と比較して、一度に空吐出される液体量を抑え、液体の跳ね返り等に伴って発生するミストを抑制する。
【0012】
ここで、空吐出とは、画像形成に寄与しない吐出をいう。なお、空吐出という用語は、予備吐出、フラッシング、パージ、又はダミージェット等の用語に置き換えることができる。液体吐出ヘッドに空吐出を行わせることで、液体吐出ヘッド内部の増粘した液体等を排出し、またノズルの乾燥を防いで、不吐出ノズル等がない正常な状態にヘッドを維持することが可能になる。空吐出総排出量とは、空吐出により排出された液体の総量(累積量)をいう。
【0013】
またミストとは極小で浮遊する霧状の液体という。ミストが発生すると、画像形成装置の内部がミストで汚れたり、画像形成装置内に存在する記録媒体がミストで汚れたりする。また空吐出を並行に行うとは、複数の液体吐出ヘッドの空吐出を一度に行うことをいい、空吐出を非並行に行うとは、複数の液体吐出ヘッドの空吐出を一度に行わないこと、換言すると各液体吐出ヘッドでタイミングをずらして空吐出を行うことをいう。
【0014】
以下では、液体吐出ヘッドを含む液体吐出部が移動する、いわゆるシリアル型インクジェット方式の画像形成装置を一例として、実施形態を説明する。
【0015】
なお、実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷は何れも同義語とする。また、液体は、液体吐出ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0016】
液体吐出ヘッドとは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0017】
<実施形態に係る画像形成装置の構成例>
まず
図1を参照して、実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1は、画像形成装置1の構成の一例を説明する図である。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1は、キャリッジ2と、液体吐出ユニット3と、インクカートリッジ4と、固定廃液タンク5と、維持ユニット7と、交換廃液タンク8とを有する。
【0019】
キャリッジ2は、X軸方向に対応する主走査方向に往復移動可能である。ここで、主走査方向とは、Y軸方向に対応する用紙9の搬送方向(副走査方向)に直行する方向をいう。キャリッジ2には、液体吐出ユニット3が固定され、キャリッジ2の往復移動により液体吐出ユニット3が往復移動できるようになっている。
【0020】
液体吐出ユニット3は、複数の液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dを含み、複数の液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dのそれぞれが有するノズルからインクを吐出する液体吐出部の一例である。液体吐出ヘッド3aはブラック(K)のインクを、液体吐出ヘッド3bはシアン(C)のインクを吐出する。また液体吐出ヘッド3cはマゼンタ(M)のインクを、液体吐出ヘッド3dはイエロー(Y)のインクを吐出する。
【0021】
インクカートリッジ4は、インクカートリッジ4a、4b、4c及び4dを含む。インクカートリッジ4aは液体吐出ヘッド3aにインクをKのインクを供給し、インクカートリッジ4bは液体吐出ヘッド3bにインクをCのインクを供給する。またインクカートリッジ4cは液体吐出ヘッド3cにインクをMのインクを供給し、インクカートリッジ4dは液体吐出ヘッド3dにインクをYのインクを供給する。
【0022】
画像形成装置1は、用紙9を副走査方向に搬送しながら、主走査方向に液体吐出ユニット3を往復移動させ、各色のインクを吐出させることで、用紙9に画像を形成することができる。
【0023】
固定廃液タンク5は、液体吐出ユニット3において、空吐出によるインクの排出場所である。固定廃液タンク5は、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dが画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出されたインクを受ける第1の液体受け部の一例である。また固定廃液タンク5は、液体吐出ユニット3が空吐出を行ったインクを貯留する貯留部を含む。
【0024】
画像形成装置1は、画像形成装置1内のX軸負方向側に固定廃液タンク5を設けている。固定廃液タンク5は、液体吐出ヘッドの数に合わせたスリットを有する。液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dは、固定廃液タンク5に向けて並行して空吐出を行うことで、インクを排出できる。
【0025】
維持ユニット7は、キャップ6a、6b、6c及び6d(区別しない場合は「キャップ6」という)を含み、液体吐出ユニット3による正常な吐出を維持する動作を行う。画像形成装置1は、画像形成装置1内のX軸正方向側に維持ユニット7を設けている。画像形成装置1は、画像形成終了時に液体吐出ユニット3を維持ユニット7がある退避位置に移動させ、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dをキャップ6によりキャップする。
【0026】
キャップ6のうちのキャップ6aは、液体吐出ユニット3の維持動作を行う際に、ヘッドからインクを吸引するための吸引機構を備えた吸引キャップとなっている。キャップ6aにより吸引されたインクは連結されたチューブを通り、インクカートリッジ下部に設置された交換廃液タンク8に到達する。交換廃液タンク8は、交換可能なタンクであり、到達したインクを貯留する。
【0027】
キャップ6aは、空吐出を行ったインクの排出場所としても利用できる。画像形成装置1は、キャップ6aに空吐出を行う場合には、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dのそれぞれを順次、キャップ6aの位置に移動させ、それぞれにより空吐出を行う。キャップ6aは、液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部の一例に対応する。またキャップ6のそれぞれは、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dのそれぞれが有するノズルを保湿する保湿部の一例である。
【0028】
なお、本実施形態では、1つの吸引キャップが設けた構成を例示するが、2以上の吸引キャップを設けてもよい。但し、2以上の吸引キャップを設けた場合にも、画像形成装置1は、キャップ6aに空吐出を行う場合には、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dのそれぞれで非並行に空吐出を行う。
【0029】
全ての液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dで並行して空吐を行うと、ミストの飛散量が多くなり維持ユニット7を汚損する場合がある。維持ユニット7は図示しないワイパー等のヘッド清掃部材を有するため、ミストによる汚損は最小限にした方が好ましい。キャップ6aのみ吸引機構をもたせ、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dを1つずつ空吐出させることでミストによる汚損を防止できるようになっている。
【0030】
またキャップ6aのみを吸引キャップにすることで吸引機構を1つだけにし、コストを抑えることができる。さらに、吸引キャップを1つだけとすることで、吸引キャップ内にある図示しない吸収体を十分に湿らせることができ、ヘッドキャッピング時のノズル内のインク乾燥を防止することができる。
【0031】
仮に全てのキャップ6を吸引キャップにして空吐出を行った場合、キャップ6ごとで、空吐出により吐出されるインク量である空吐出総排出量が少なくなる。キャップ6に排出されたインクは吸引されるものの、キャップ6内にある繊維状の吸収体表面にしみ込んだ状態で残る。吸収体に付着したインクは乾燥すると吸湿作用を持ち、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dをキャップした場合にノズル面のインク乾燥を促進する場合がある。
【0032】
空吐出総排出量が少ないと、吸収体のインクが乾燥しやすくなるため、ノズル面に付着したインクを乾燥させる不具合を引き起こす場合がある。吸引キャップが1つの場合には、吸引キャップに吐出されるインクが相対的に多くなるため、キャップ吸引後も吸収体が十分に湿った状態で乾燥しにくくなり、キャッピング時のノズル面のインク乾燥を好適に防止することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、キャップ6b乃至6dは、保湿専用キャップで、吸収体を持たずインク吐出も行われないため、キャッピング時の乾燥の懸念はない。
【0034】
<画像形成装置1のハードウェア構成例>
次に
図2を参照して、画像形成装置1のハードウェア構成について説明する。
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【0035】
図2に示すように、画像形成装置1は、制御部500を備える。画像形成装置1は、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)501と、CPU501に対して、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、不揮発性メモリ(NVRAM:Non‐Volatile RAM)504と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)505とを接続する。CPU501とROM502、RAM503、NVRAM504は本体制御を行う主制御部500Aとして機能する。
【0036】
ROM502は、CPU501が実行するプログラムや、その他の固定データ等を格納する。RAM503は、画像データ等を一時格納する。NVRAM504は画像形成装置1の電源が遮断されている間もデータを保持する。ASIC505は、原稿画像データを印刷画像データに変換する各種信号処理や並び替え等の画像処理を行う画像処理部、及び記録媒体の色情報に基づいて画像データの補正を行う画像補正部を兼ね、且つその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0037】
また、制御部500は、ホストI/F506と、印刷制御部508と、モータ駆動部510と、供給系駆動部512、吐出検知部515とを備える。また、制御部500は、操作パネル514と、I/O513を通して温度センサ572やその他のセンサ群570とを接続する。
【0038】
ホストI/F506は、ホスト側との間でデータや信号を送受するインタフェースである。具体的には、ホストI/F506は、情報処理装置、画像読取装置、撮像装置等のホストのプリンタドライバが生成した印刷データ等を、ケーブルやネットワーク等を介して受信する。つまり、制御部500に対する印刷データの生成出力は、ホスト側のプリンタドライバによって行なわれても良い。CPU501は、ホストI/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。そして、ASIC505にて画像処理やデータの並び替え処理等が行なわれ、画像データが印刷制御部508やヘッドドライバ509に転送される。
【0039】
印刷制御部508は、液体吐出ユニット3を駆動するための駆動波形を生成するとともに、液体吐出ヘッド3がノズルから液体を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データを、ヘッドドライバ509に出力する。
【0040】
印刷制御部508は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ構成となっていても良い。印刷制御部508は、CPUがROM等に記憶されたプログラムを実行することによって所望の機能を発揮する。
【0041】
印刷制御部508のCPUが実行するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0042】
さらに、印刷制御部508のCPUが実行するプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることで提供するように構成しても良い。また、印刷制御部508のCPUが実行するプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
【0043】
モータ駆動部510は、主走査モータ50及び副走査モータ15、維持回復モータ556を駆動する。主走査モータ50は、駆動により、液体吐出ユニット3を備えたキャリッジ2を主走査方向に移動させる。副走査モータ15は、駆動により、液体吐出ユニット3による液体の吐出対象となる用紙を搬送する搬送ベルト12を動作させる。維持回復モータ556は、駆動により維持メンテナンスもしくは空吐出によりキャップ6a上に排出されたインクを吸引し、交換廃液タンク8に送液する。供給系駆動部512は送液ポンプ540を駆動しインクカートリッジ4(
図1参照)から液体吐出ユニット3へインクを供給する。
【0044】
I/O513は、温度センサ572やその他のセンサ群570からの情報を取得し画像形成装置1の各部の制御に要する情報を抽出する。例えばセンサ群570には、交換廃液タンク8の容量を検知する液面検知センサ等が含まれても良い。操作パネル514は、ユーザからの各種情報の入力や表示を行なう。
【0045】
[第1の実施形態]
<主制御部500Aの機能構成例>
次に
図3を参照して、主制御部500Aの機能構成について説明する。
図3は、主制御部500Aの機能構成の一例を説明するブロック図である。
図3に示すように、主制御部500Aは、空吐出カウント部51と、空吐出総排出量取得部52と、経過時間計測部53と、蒸発量取得部54と、決定部55と、格納部56と、受付部57とを有する。
【0046】
これらのうち、空吐出カウント部51、空吐出総排出量取得部52、経過時間計測部53、蒸発量取得部54、決定部55及び受付部57の各機能は、
図2のCPU501が所定のプログラムを実行すること等により実現される。格納部56の機能は、NVRAM504等により実現される。
【0047】
空吐出カウント部51は、画像形成装置1が空吐出を行うたびにカウントして、空吐出の回数情報を取得する。
【0048】
空吐出総排出量取得部52は、空吐出総排出量を取得する。空吐出総排出量取得部52は、温度や駆動波形種類等の各種条件に応じて予め設定され、格納部56に格納されている空吐出滴量テーブルから得られる滴量と、吐出する滴数を乗じた計算上の空吐出総排出量、すなわちソフトカウントとして空吐出総排出量の情報を取得し、格納部56に格納する。
【0049】
経過時間計測部53は、空吐出総排出量が変更閾値以上になった時からの経過時間を計測する。ここで、変更閾値とは、空吐出を行う排出場所として固定廃液タンク5を使用できるか否かを判定するための閾値をいう。画像形成装置1は、空吐出総排出量が変更閾値を上回った場合に、空吐出を行う排出場所として固定廃液タンク5を使用不能と判断し、経過時間計測部53は、経過時間の計測を開始する。
【0050】
蒸発量取得部54は、固定廃液タンク5に貯留されたインクの蒸発量情報を取得する。例えば、蒸発量取得部54は、経過時間計測部53から受け取った経過時間と、インクの種類と、温度センサ572及びセンサ群570が検出した固定廃液タンク5の周辺の温度及び湿度とに基づいて、蒸発量の情報を取得する。格納部56は、経過時間と、インクの種類と、固定廃液タンク5の周辺の温度及び湿度との対応関係を示す蒸発量換算テーブルを格納しており、蒸発量取得部54は、経過時間計測部53から受け取った経過時間に基づき、蒸発量換算テーブルを参照して蒸発量情報を取得できる。
【0051】
決定部55は、空吐出総排出量と、固定廃液タンク5に貯留されたインクの蒸発量とに基づき、空吐出におけるインクの排出場所を固定廃液タンク5、又はキャップ6aの何れか一方に決定する。決定結果に応じて印刷制御部508及びモータ駆動部510が協働して、固定廃液タンク5又はキャップ6aの何れか一方に向けて空吐出を行う。
【0052】
受付部57は、操作パネル514を介してユーザの設定操作等の操作を受け付けることができる。
【0053】
<画像形成装置1の動作例>
次に
図1乃至
図3を参照しながら、画像形成装置1の動作について説明する。
【0054】
空吐出でインクを排出する排出場所は、印刷前や印刷中等の空吐出の実行タイミングに応じて使い分けることができる。例えば印刷中は印刷速度を低減させないため、全ての液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dが並行して空吐出を行える固定廃液タンク5に空吐出を行い、印刷前や印刷後等の実際の印刷時間に影響が少ない場合は、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dが順次空吐出を行えるキャップ6aに空吐出を行うように使い分けることができる。
【0055】
画像形成装置1は、固定廃液タンク5では変更閾値、キャップ6aでは復帰閾値をそれぞれ設定している。画像形成装置1は、空吐出総排出量のソフトカウントが変更閾値を上回った場合に固定廃液タンク5を使用不能と判断し、空吐出総排出量が復帰閾値を上回った場合にキャップ6aを使用不能と判断する。キャップ6aは交換廃液タンク8と連通しているため、交換廃液タンク8が使用不能と判断された場合には、操作パネル514を用いてユーザに交換廃液タンク8が満杯であることを通知し、交換を要求する。
【0056】
空吐出総排出量が変更閾値以上で、空吐出におけるインクの排出場所として固定廃液タンク5を使用不能と判断された場合には、画像形成装置1は、キャップ6aに排出場所を変更する。排出場所を変更することで、交換不能な固定廃液タンク5が使用不能になった場合でも、サービスマンを呼ぶことなくマシンを継続して使用できる。
【0057】
固定廃液タンク5が満杯で使用不能と判定された後、経過時間に応じて取得されるインクの蒸発量を固定廃液タンク5の空吐出総排出量から差分して、新たに得られたソフトカウント値がNVRAM504に記憶される。
【0058】
そのソフトカウント値が固定廃液タンク5を使用不能と判断する変更閾値より小さい復帰閾値未満となった場合には、画像形成装置1は、固定廃液タンク5に貯留された空吐出総排出量が蒸発により減少し、再度排出可能になったと判断する。そして、キャップ6aから再び固定廃液タンク5に排出場所を変更する。変更閾値と復帰閾値、及び閾値に応じた排出場所は、ユーザにより変更設定可能であり、使用状況に応じて任意にカスタマイズできる構成となっている。
【0059】
複数の種類のインクが使用される画像形成装置1の場合には、使用されるインクの処方毎に蒸発性も異なることから、画像形成装置1は、使用するインクの種類ごとにインクの蒸発カウントを設定する。またインクの蒸発量は周囲環境の温度及び湿度により変化することから、画像形成装置1は、周囲環境の温度及び湿度毎の蒸発カウントを設定する。
【0060】
インクの蒸発量は、装置が使用される状況により様々に影響を受ける為、予め装置に設定してある蒸発カウントを変更操作により変更し、NVRAM504に記憶させることで、ユーザによるばらつき補正を可能とする。使用状況に応じてカスタマイズして精度良く動作させることが可能な構成になっている。
【0061】
ここで
図4は、画像形成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図4は、空吐出の開始をトリガーにした動作を示している。また適宜
図1乃至
図3を参照して説明する。
【0062】
まずステップS41で、空吐出総排出量取得部52は、空吐出総排出量の情報を取得し、決定部55は、空吐出総排出量は変更閾値以上であるか否かを判定する。
【0063】
ステップS41で、変更閾値以上でないと判定された場合には(ステップS41、No)、ステップS42において、画像形成装置1はキャリッジ2を固定廃液タンク5の位置に移動させる。
【0064】
続いて、ステップS43において、全ての液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dは、固定廃液タンク5に向けて並行して空吐出を行う。
【0065】
一方、ステップS44で、変更閾値以上であると判定された場合には(ステップS41、Yes)、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dは、キャップ6aに向けて順次空吐出を行う。
【0066】
このようにして、画像形成装置1は空吐出を行うことができる。
【0067】
次に
図5は、順次空吐出のシーケンスを示すフローチャ-トである。
図5は、順次空吐出の実行開始をトリガーにした画像形成装置1の動作を示している。なお、
図5では、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dを、ヘッド3a、3b、3c及び3dとして省略して表記する。
【0068】
まず、ステップS51において、画像形成装置1は、ヘッド3dをキャップ6aの位置に移動させ、ステップS52において、ヘッド3dの空吐出を実行する。
【0069】
続いて、ステップS53において、画像形成装置1は、ヘッド3cをキャップ6aの位置に移動させ、ステップS54において、ヘッド3cの空吐出を実行する。
【0070】
続いて、ステップS55において、画像形成装置1は、ヘッド3bをキャップ6aの位置に移動させ、ステップS56において、ヘッド3bの空吐出を実行する。
【0071】
続いて、ステップS55において、画像形成装置1は、ヘッド3bをキャップ6aの位置に移動させ、ステップS56において、ヘッド3bの空吐出を実行する。
【0072】
続いて、ステップS57において、画像形成装置1は、ヘッド3aをキャップ6aの位置に移動させ、ステップS57において、ヘッド3aの空吐出を実行する。
【0073】
このように、画像形成装置1は、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dのそれぞれに対して順次空吐出を実行することができる。
【0074】
なお、キャップ6aへの空吐出は、キャリッジ2がキャップ6の位置に配置された時、搬送側に遠い側のヘッド3dから順次行う。印字を行う場合、搬送ベルト12上でキャリッジ2が規定速度に達していることが好ましく、そのためには画像形成装置1の右端からキャリッジ2の加速を行うことが好ましい。キャップ6の位置での空吐出において、最後にヘッド3aの空吐出を行うことで、空吐出終了時のキャリッジ2の位置を画像形成装置1の右端とし、続けて印字を行う場合に十分な加速距離を確保可能となる。
【0075】
次に
図6は、画像形成装置1の動作の他の例を示すフローチャートである。
図4に示した例では、空吐出総排出量のみに基づいて、空吐出におけるインクの排出場所を決定したが、
図6に示す例では、空吐出総排出量と固定廃液タンク5におけるインクの蒸発量とに基づいて空吐出におけるインクの排出場所を決定する。
【0076】
なお、
図6は、空吐出の開始をトリガーにした動作を示している。また
図6におけるステップS61の動作は、
図4におけるステップS41の動作と同じであり、
図6におけるステップS64乃至S66の動作は、
図4におけるステップS42乃至44の動作と同じである。そのため、ここでは重複する説明を省略する。適宜
図1乃至
図3を参照して説明する。
【0077】
ステップS61で空吐出総排出量が変更閾値以上であると安定された場合には(ステップS61、Yes)、ステップS62において、経過時間計測部53は、空吐出総排出量が変更閾値以上になった時からの経過時間を計測し、蒸発量取得部54は、計測時間に基づき固定廃液タンク5に貯留されたインクの蒸発量情報を取得する。
【0078】
続いて、ステップS63において、決定部55は、空吐出総排出量とインク蒸発量との差分が復帰閾値以上であるか否かを判定する。そして、ステップS63で、復帰閾値以上でないと判定された場合には(ステップS63、No)、画像形成装置1は、蒸発量が少ないため、固定廃液タンク5の再利用をできないと判断し、ステップS64乃至S65を実行する。一方、ステップS63で復帰閾値以上であると判定された場合には(ステップS63、Yes)、画像形成装置1は、インクの蒸発により固定廃液タンク5に再利用可能な容積が確保されたと判断し、ステップS66を実行する。
【0079】
このようにして、画像形成装置1は空吐出を実行することができる。
【0080】
ここで
図7は、格納部56が格納する蒸発量換算テーブルの一例を示す図である。(a)は、一のインク種類における蒸発量換算テーブル、(b)は他のインク種類における蒸発量換算テーブルを示している。
【0081】
図7は、経過時間とインク蒸発量との関係を示している。また、温度が高い状態(H)及び低い状態(L)ごとと、湿度が高い状態(H)及び低い状態(L)ごとでのインク蒸発量を示している。温度が高く、湿度が高い場合は「HH」、温度が高く、湿度が低い場合は「HL」、温度が低く、湿度が高い場合は「LH」、温度が低く、湿度が低い場合は「LL」と表示している。
【0082】
画像形成装置1は、このような蒸発量換算テーブルをインクの種類ごとに予め定め、格納部56に格納することができる。
【0083】
<画像形成装置1の作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、複数の液体吐出ヘッドが第2の液体受け部(キャップ6a)に向けて空吐出を非並行に行うように液体吐出部を制御する。例えば複数の液体吐出ヘッドのそれぞれが、第2の液体受け部に向けて順次空吐出を行うように制御する。
【0084】
これにより、例えば第1の液体受け部(固定廃液タンク5)が満杯になった場合に、空吐出を行う場所を第2の液体受け部に切り替えることで、画像形成装置が動作を停止することを防止できる。
【0085】
また複数の液体吐出ヘッドが第2の液体受け部に向けて空吐出を非並行に行うことで、複数の液体吐出ヘッドの全てが並行して空吐出を行う場合と比較して、一度に空吐出される液体量を抑え、液体の跳ね返り等に伴って発生するミストを抑制できる。これにより、画像形成装置の内部や、画像形成装置内に設けられた各種センサ、エンコーダ等が汚損することを防止し、また画像形成装置の外部にミストが飛散して装置外の記録媒体等を汚損することを防止できる。
【0086】
また本実施形態では、第2の液体受け部は、液体吐出ヘッドのノズルを保湿する保湿部(キャップ6)を含み、保湿部に含まれる複数の保湿キャップのうちの一部は、保湿キャップ内の液体を吸引する吸引機構を有する吸引キャップ(キャップ6a)である。そして、画像形成装置は、空吐出総排出量が所定の変更閾値以上である場合に、複数の液体吐出ヘッドが吸引キャップに向けて空吐出を順次行うように制御する。
【0087】
このように、保湿キャップのうちの1つのみを吸引キャップにすることで吸引機構を一つだけにし、コストを抑えることができる。さらに、吸引キャップを1つにすることで、吸引キャップ内にある吸収体を十分に湿らせることができ、ヘッドキャッピング時のノズル内の液体の乾燥を防止することができる。
【0088】
また本実施形態では、液体吐出部(液体吐出ユニット3)が空吐出を行った回数を計数して、空吐出総排出量の情報を取得し、取得した空吐出総排出量の情報に基づき、複数の液体吐出ヘッドが第2の液体受け部に向けて空吐出を非並行に行うように、液体吐出部を制御する。このようにすることで、第1の液体受け部が貯留する液体量を計測する手段を不要とし、簡単且つ低コストに画像形成装置を構成することができる。
【0089】
また本実施形態では、空吐出総排出量と、液体の蒸発量と、に基づいて、第1又は第2の液体受け部の何れか一方に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。これにより、液体の蒸発によって、第1の液体受け部の貯留部に液体を貯留するための容積が確保できた場合に、この容積を再利用することができる。
【0090】
また本実施形態では、空吐出総排出量が変更閾値以上になった時からの経過時間と、液体の種類と、第1の液体受け部の周辺の温度及び湿度とに基づいて、蒸発量の情報を取得する。そして空吐出総排出量と、蒸発量取得部が取得した蒸発量の情報とに基づき、第1又は第2の液体受け部の何れか一方に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。これにより、液体の蒸発量を計測するための手段を不要とし、簡単且つ低コストに画像形成装置を構成することができる。
【0091】
また本実施形態では、変更閾値の入力操作を受け付ける受付部を有する。これにより、ユーザによる変更閾値の変更設定を可能とし、画像形成装置の使用状況に応じて任意にカスタマイズできる。
【0092】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像形成装置1aについて説明する。なお、第1実施形態で説明したものと同一の構成部には、同一の部品番号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以下に示す実施形態においても同様とする。
【0093】
本実施形態では、画像形成装置1aは、高速モードと高解像モードの少なくとも2つの画像形成モードを有し、空吐出総排出量とインクの蒸発量との差分値が変更閾値より小さい復帰閾値以下で、且つ高速モードで画像形成する場合には、第1の液体受け部に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。これにより、インクの蒸発により再利用が可能になった第1の液体受け部を利用し、全ての液体吐出ヘッドが並行して空吐出を行うことで、高速の画像形成に対応可能にする。
【0094】
また、空吐出総排出量と蒸発量との差分値が変更閾値より小さい復帰閾値以下で、且つ高解像モードで画像形成する場合には、第2の液体受け部に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。これにより、複数の液体吐出ヘッドが非並行に空吐出を行うことで、ミストの発生を抑制しつつ、高解像度の画像形成を行えるようにする。
【0095】
<画像形成装置1aの機能構成例>
画像形成装置1aは、第1実施形態で示した画像形成装置1と同様の構成を有するが、画像形成装置1aが有する主制御部500Aの機能構成が主に異なる。
【0096】
図8は、このような主制御部500Aaの機能構成の一例を説明するブロック図である。
図8に示すように、主制御部500Aaは、動作モード取得部58と、決定部55aを有する。画像形成装置1aは、高速モードと高解像モードの少なくとも2つの画像形成モードで動作可能である。
【0097】
動作モード取得部58は、画像形成装置1aの動作モードを示す情報を取得し、決定部55aに提供できる。
【0098】
決定部55aは、空吐出総排出量とインクの蒸発量との差分値が復帰閾値以下で、且つ高速モードで画像形成する場合には、第1の液体受け部に向けて空吐出を行うように決定する。また空吐出総排出量とインクの蒸発量との差分値が復帰閾値以下で、且つ高解像モードで画像形成する場合には、第2の液体受け部に向けて空吐出を行うように決定する。
【0099】
<画像形成装置1aの動作例>
画像形成装置1aでは、固定廃液タンク5を使用不能と判断する変更閾値を、固定廃液タンク5が満杯になるインク量と等しい値にする場合と、満杯になるインク量よりも所定量だけ少ない値にする場合がある。変更閾値が満杯より少ない値である場合には、満杯まで排出可能な余力を残しておくことで、条件に応じて固定廃液タンク5を排出場所として選択可能にする。
【0100】
例えば固定廃液タンク5を選択する条件の一つとして、印刷画像の解像度設定が上げられる。印刷画像はキャリッジ2が主走査方向に走査を繰り返すことで形成される。低解像度の場合は形成する画像ドットの密度が低いため、走査数は少なく、高解像度の場合は画像ドットを高密度で配置するために走査数が多くなる。解像度設定は、ユーザが指定する印字モードで設定可能であり、印刷完了までに要する時間は、印字モード毎に走査数が異なるため印字モード毎に異なる。
【0101】
高速印字モードが設定される場合には、印刷画像品質よりも印刷速度が重視され、高解像度印字モードが設定される場合には、印刷速度よりも印刷画質が重視される。そのため空吐出の排出位置も印字モードに応じて適切な位置を選択可能になっている。
【0102】
固定廃液タンク5の空吐出総排出量が変更閾値以上となり、空吐出の排出場所をキャップ6aに切り替えた場合、キャップ6aに1つの液体吐出ヘッドずつ順次繰り返し空吐出するため、固定廃液タンク5に排出する場合よりも吐出に時間を要する。
【0103】
そのため、キャップ6aに空吐出を行う状態になっている場合でも、高速印字モードがユーザにより選択された場合には、空吐出の排出場所をキャップ6aから固定廃液タンク5に切り替えることにより、全ての液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dが並行して吐出可能となり、空吐出に要する時間を低減することが可能となる。
【0104】
逆に固定廃液タンク5に空吐出を行う状態になっている場合でも、高解像度印字モードが選択された場合には、もともと低生産性であり画像品質が優先されるモードであることから、キャップ6aに排出しても画像品質の低下は無く、高品質な印刷画像を求めるユーザへの影響は少ない。
【0105】
ここで、
図9は画像形成装置1aの動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図9は、空吐出の開始をトリガーにした動作を示している。また
図9におけるステップS91乃至95の動作は、
図6におけるステップS61乃至65の動作と同じであり、
図9におけるステップS97の動作は、
図6におけるステップS66の動作と同じであるため、ここでは重複する説明を省略する。適宜
図1乃至
図2及び
図8を参照して説明する。
【0106】
ステップS96において、動作モード取得部58は、画像形成装置1aの動作モードを示す情報を取得し、決定部55aは、動作モードが高解像モードであるか否かを判定する。
【0107】
ステップS96で高解像モードでないと判定された場合には(ステップS96、No)、動作モードは高速モードであるため、画像形成装置1aはステップS94乃至S95を実行し、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dの空吐出を並行して行うことで、高速印字に対応させる。
【0108】
一方、ステップS96で高解像モードであると判定された場合には(ステップS96、Yes)、画像形成装置1aはステップS97を実行し、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dの空吐出を順次行うことで、ミストの発生を抑制しつつ、高解像モードで印字する。
【0109】
このようにして、画像形成装置1aは空吐出を行うことができる。
【0110】
<画像形成装置1aの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、画像形成装置1aは、高速モードと高解像モードの少なくとも2つの画像形成モードを有し、空吐出総排出量とインクの蒸発量との差分値が変更閾値より小さい復帰閾値以下であり、且つ高速モードで画像形成する場合には、第1の液体受け部に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。これにより、インクの蒸発により再利用が可能になった第1の液体受け部を利用し、全ての液体吐出ヘッドが並行して空吐出を行うことで、高速の画像形成に対応することができる。
【0111】
また、空吐出総排出量と蒸発量との差分値が変更閾値より小さい復帰閾値以下であり、高解像モードで画像形成する場合には、第2の液体受け部に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。これにより、複数の液体吐出ヘッドが非並行に空吐出を行うことで、ミストの発生を抑制しつつ、高解像度の画像形成を行うことができる。
【0112】
なお、これ以外の作用効果は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0113】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る画像形成装置1bについて説明する。
【0114】
本実施形態では、空吐出総排出量とインクの蒸発量との差分値が復帰閾値以下の場合に、画像形成装置1bの繁忙時間帯では第1の液体受け部に向けて空吐出を行い、繁忙時間帯以外の時間帯では第2の液体受け部に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。ここで繁忙時間帯とは、画像形成装置が使用される頻度が高い時間帯をいう。このようにすることで、繁忙時間帯においては、高速に空吐出を行えるようにする。
【0115】
図10は、画像形成装置1bが備える主制御部500Abの機能構成の一例を説明するブロック図である。
図10に示すように、主制御部500Abは、格納部56bと、繁忙時間帯取得部59と、決定部55bとを有する。
【0116】
格納部56bは、画像形成装置1bの繁忙時間帯に関する情報を格納する。例えば、格納部56bは、印刷日時と印刷枚数を印刷ログとして格納できるようになっている。
【0117】
繁忙時間帯取得部59は、格納部56bが格納する印刷ログに基づき、印刷時間を1時間ごとに分割し、1時間毎の印刷枚数を算出することで、画像形成装置1bが使用される状況での繁忙時間帯の情報を演算により取得する。
【0118】
繁忙時間帯取得部59が参照する印刷ログは、例えば前日の印刷ログでも良いし、ある一定期間の平均の印刷ログでもよい。取得する繁忙時間帯の情報は1日に1回の時間帯であってもよいし、複数回であってもよい。これらの繁忙時間帯の取得設定は予め画像形成装置1bで設定してあってもよいし、ユーザやサービスマンが設定可能な構成にしてもよい。
【0119】
決定部55bは、空吐出総排出量とインクの蒸発量との差分値が復帰閾値以下の場合に、画像形成装置1bの繁忙時間帯では、空吐出におけるインクの排出場所を固定廃液タンク5に決定し、繁忙時間帯以外の時間帯では、排出場所をキャップ6aに決定する。
【0120】
ここで、
図11は、画像形成装置1bの繁忙時間帯を示す情報を説明する図である。
図11は、1週間の印刷ログを平均化したものであり、ここから1日のうち3回の繁忙時間を求めると11時台、14時台、15時台の印刷枚数が多く、その時間は数多くの印刷ジョブを実行する必要があることが推定される。
【0121】
従って、これらの時間帯には、決定部55bは、空吐出におけるインクの排出場所を固定廃液タンク5に決定することで、空吐出の動作にかかる時間を短くでき、ユーザの待ち時間を低減可能になる。その他の時間は印刷枚数が少ないため、決定部55bは、並行に行う場合と比較して時間がかかる順次の空吐出を行うためのキャップ6aを排出場所に決定する。
【0122】
次に
図12は、画像形成装置1bの動作の一例を示すフローチャ-トである。なお、
図12は、空吐出の開始をトリガーにした動作を示している。また
図12におけるステップS121乃至125の動作は、
図9におけるステップS91乃至95の動作と同じであり、
図12におけるステップS128の動作は、
図9におけるステップS97の動作と同じである。そのため、ここでは重複する説明を省略する。適宜
図1乃至
図2及び
図10を参照して説明する。
【0123】
ステップS126において、繁忙時間帯取得部59は、格納部56bが格納する印刷ログに基づき、画像形成装置1bの繁忙時間帯の情報を演算により取得する。
【0124】
続いて、ステップS127において、決定部55bは、現在の時間帯が繁忙時間帯に該当するか否かを判定する。
【0125】
ステップS127で、繁忙時間帯に該当すると判定された場合には(ステップS127、Yes)、画像形成装置1bはステップS124乃至S125を実行し、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dの空吐出を並行に高速に行う。
【0126】
一方、ステップS127で、繁忙時間帯に該当しないと判定された場合には(ステップS127、No)、画像形成装置1bはステップS128を実行し、液体吐出ヘッド3a、3b、3c及び3dの空吐出を順次、ミストを抑制しつつ行う。
【0127】
このようにして画像形成装置1bは空吐出を行うことができる。
【0128】
<画像形成装置1aの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、空吐出総排出量とインクの蒸発量との差分値が復帰閾値以下の場合に、画像形成装置の繁忙時間帯では第1の液体受け部(固定廃液タンク5)に向けて空吐出を行い、繁忙時間帯以外の時間帯では第2の液体受け部(キャップ6a)に向けて空吐出を行うように液体吐出部を制御する。これにより、繁忙時間帯においては高速に空吐出を実行でき、画像形成装置の利用状況に応じて適切に空吐出を行うことができる。
【0129】
なお、これ以外の効果は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0130】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0131】
例えば、実施形態ではシリアル型の液体吐出方式の画像形成装置について述べたが、液体吐出ヘッドが主走査方向に移動しないライン型の液体吐出方式の画像形成装置にも、実施形態を適用可能である。
【0132】
なお、実施形態はプログラムを含む。例えばプログラムは、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、複数の液体吐出ヘッドを含み、前記液体を吐出する液体吐出部と、前記複数の液体吐出ヘッドが前記画像に寄与しない空吐出を並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第1の液体受け部と、前記複数の液体吐出ヘッドが前記空吐出を非並行に行うことで吐出された前記液体を受ける第2の液体受け部と、を有する画像形成装置で用いられるプログラムであって、前記液体吐出部が前記空吐出を行った空吐出総排出量に基づいて、前記第1又は前記第2の液体受け部の何れか一方に向けて前記空吐出を行うように、前記液体吐出部を制御する処理をコンピュータに実行させる。これにより、上述した画像形成装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0133】
また、実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0134】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0135】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0136】
1 画像形成装置
2 キャリッジ
3 液体吐出ユニット(液体吐出部の一例)
3a、3b、3c、3d 液体吐出ヘッド
4 インクカートリッジ
5 固定廃液タンク(第1の受け部の一例、貯留部の一例)
6 キャップ(保湿部の一例、保湿キャップの一例)
6a キャップ(保湿部の一例、吸引キャップの一例)
7 維持ユニット
8 交換廃液タンク
9 用紙
51 空吐出カウント部
52 空吐出総排出量取得部
53 経過時間計測部
54 蒸発量取得部
55 決定部
56 格納部
57 受付部
58 動作モード取得部
59 繁忙時間帯取得部
500 制御部
500A 主制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】