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特許7589498出力システム、情報処理システム、認証方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】出力システム、情報処理システム、認証方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241119BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241119BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241119BHJP
   G06F 21/35 20130101ALI20241119BHJP
【FI】
G06F3/12 338
G06F3/12 322
G06F3/12 367
G06F3/12 336
G06F3/12 387
B41J29/00 Z
H04N1/00 838
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
G06F21/35
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020178671
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069802
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 直彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 成剛
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0092233(US,A1)
【文献】特開2015-108925(JP,A)
【文献】特開2014-215620(JP,A)
【文献】特開2009-245418(JP,A)
【文献】特開2013-033437(JP,A)
【文献】特開2013-214140(JP,A)
【文献】特開2015-217659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
G06F 21/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力装置及び情報処理装置と通信可能な出力システムであって、
無線通信により前記情報処理装置から前記出力装置が受信したユーザーの識別情報を指定して前記出力装置から1度目の認証要求を受けた場合、パスワードが添付されていない場合に認証失敗と判断し、文字列情報を生成する認証部と、
前記パスワードを要求する旨と認証失敗を前記出力装置に送信し、前記文字列情報を前記ユーザーの識別情報で特定される前記情報処理装置に送信する第一通信部と、を有し、
前記出力システムからの前記パスワードの要求に応じて前記出力装置が送信した、前記情報処理装置が前記出力装置に無線通信で送信した前記文字列情報、及び、前記ユーザーの識別情報を指定した2度目の認証要求を前記出力装置から受信した場合、前記認証部は、前記文字列情報と前記ユーザーの識別情報に基づいて前記ユーザーの認証を行い、
前記認証部による認証結果を前記出力装置に送信する第二通信部、
を有することを特徴とする出力システム。
【請求項2】
前記第一通信部は、前記文字列情報を前記ユーザーの識別情報に関連する前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の出力システム。
【請求項3】
前記情報処理装置から送信された認証情報による認証が成功した場合に前記認証部が発行したユーザーの権限情報を保持しておき、
前記2度目の認証要求の認証結果が成功の場合、前記第二通信部はユーザーの権限情報を前記出力装置に送信し、
前記第二通信部が、前記出力装置から前記ユーザーの権限情報を指定してデータの出力要求を受信した場合、前記データを前記出力装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の出力システム。
【請求項4】
前記第一通信部は、前記文字列情報を前記情報処理装置にプッシュ通知することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の出力システム。
【請求項5】
前記認証部は、前記ユーザーの権限情報によりユーザーを認証するURLをプッシュ通知により前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置が前記ユーザーの権限情報を指定して前記URLに接続した場合、前記第一通信部はHTTPS通信により前記文字列情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の出力システム。
【請求項6】
前記2度目の認証要求の認証結果が成功の場合、前記認証部は前記文字列情報を削除することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の出力システム。
【請求項7】
前記認証部が前記文字列情報を発行してから予め定められた有効期限が徒過した場合、前記認証部は前記文字列情報を削除することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の出力システム。
【請求項8】
出力装置及び情報処理装置と通信可能な出力システムと、前記出力装置とを有する情報処理システムであって、
前記出力装置は、
前記情報処理装置から受信したユーザーの識別情報を指定して1度目の認証要求を前記出力システムに送信する第三通信部を有し、
前記出力システムは、
無線通信により前記情報処理装置から前記出力装置が受信したユーザーの識別情報を指定して前記出力装置から1度目の認証要求を受けた場合、パスワードが添付されていない場合に認証失敗と判断し、文字列情報を生成する認証部と、
前記パスワードを要求する旨と認証失敗を前記出力装置に送信し、前記文字列情報を前記ユーザーの識別情報で特定される前記情報処理装置に送信する第一通信部と、を有し、
前記出力システムからの前記パスワードの要求に応じて前記出力装置が送信した、前記情報処理装置が前記出力装置に無線通信で送信した前記文字列情報、及び、前記ユーザーの識別情報を指定した2度目の認証要求を前記出力装置から受信した場合、前記認証部は、前記文字列情報と前記ユーザーの識別情報に基づいて前記ユーザーの認証を行い、
前記認証部による認証結果を前記出力装置に送信する第二通信部、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
前記出力装置は近距離無線通信により前記情報処理装置から前記ユーザーの識別情報を受信することを特徴とする請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第三通信部は、前記近距離無線通信とは異なる通信方法で前記ユーザーの識別情報と前記1度目の認証要求を前記出力システムに送信することを特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
出力装置及び情報処理装置と通信可能な出力システムと、前記出力装置と、前記情報処理装置で動作するプログラムと、を有する情報処理システムであって、
前記プログラムは前記情報処理装置を、
ユーザーの識別情報を前記出力装置に送信する第四通信部として機能させ、
前記出力装置は、
前記情報処理装置から受信したユーザーの識別情報を指定して1度目の認証要求を前記情報処理装置に送信する第三通信部を有し、
前記出力システムは、
無線通信により前記情報処理装置から前記出力装置が受信したユーザーの識別情報を指定して前記出力装置から1度目の認証要求を受けた場合、パスワードが添付されていない場合に認証失敗と判断し、文字列情報を生成する認証部と、
前記パスワードを要求する旨と認証失敗を前記出力装置に送信し、前記文字列情報を前記ユーザーの識別情報で特定される前記情報処理装置に送信する第一通信部と、を有し、
前記出力システムからの前記パスワードの要求に応じて前記出力装置が送信した、前記情報処理装置が前記出力装置に無線通信で送信した前記文字列情報、及び、前記ユーザーの識別情報を指定した2度目の認証要求を前記出力装置から受信した場合、前記認証部は、前記文字列情報と前記ユーザーの識別情報に基づいて前記ユーザーの認証を行い、
前記認証部による認証結果を前記出力装置に送信する第二通信部、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項12】
前記プログラムは前記情報処理装置を、
前記第四通信部が前記出力装置と通信を開始してから、前記文字列情報を送信するまでの間、前記情報処理装置を前記出力装置に接近させる旨を表示する表示制御部として機能させ、
前記第四通信部が前記文字列情報を送信するまでに前記出力装置との通信が途絶した場合、前記表示制御部は、再度、前記出力装置に接近させる旨を表示することを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記出力装置
前記情報処理装置と通信を開始した場合、前記文字列情報を受信するまでの間、前記情報処理装置を前記出力装置に接近させる旨を表示することを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項14】
出力装置及び情報処理装置と通信可能な出力システムが行う認証方法であって、
無線通信により前記情報処理装置から前記出力装置が受信したユーザーの識別情報を指定して前記出力装置から1度目の認証要求を受けた場合、認証部が、パスワードが添付されていない場合に認証失敗と判断し、文字列情報を生成するステップと、
第一通信部が、前記パスワードを要求する旨と認証失敗を前記出力装置に送信し、前記文字列情報を前記ユーザーの識別情報で特定される前記情報処理装置に送信するステップと、
前記出力システムからの前記パスワードの要求に応じて前記出力装置が送信した、前記情報処理装置が前記出力装置に無線通信で送信した前記文字列情報、及び、前記ユーザーの識別情報を指定した2度目の認証要求を前記出力装置から受信した場合、前記認証部は、前記文字列情報と前記ユーザーの識別情報に基づいて前記ユーザーの認証を行うステップと、
第二通信部が、前記認証部による認証結果を前記出力装置に送信するステップと、
を有することを特徴とする認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力システム、情報処理システム、及び、認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが操作する情報処理装置が印刷ジョブをネットワーク上の出力システムに送信しておき、ユーザーが任意の出力装置から出力システムの印刷ジョブをダウンロードして印刷するプルプリントサービス(ロケーションフリー印刷、セキュア印刷等ともいう)が知られている。
【0003】
ネットワーク上のサーバに登録されている印刷ジョブをユーザーが容易に指定できる技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、サーバが印刷ジョブの取得に応じて一時コードを情報処理装置に送信し、情報処理装置を所持するユーザーが出力装置に一時コードを入力することで、出力装置が一時コードに基づいてサーバから対応する印刷ジョブを受信して印刷するシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、認証のために情報処理装置が出力装置に認証情報を送信する必要があるという問題があった。例えば、ユーザーが直接、出力装置を操作して出力システムから印刷ジョブを取得して印刷する場合、ユーザーは認証情報を出力装置に入力する。しかし、複数のユーザーで共有されることが多い出力装置に触れずに印刷を実行したいという要望があり、これを実現するためには、情報処理装置と出力装置が通信することが有効である。一方、ユーザーが携帯する情報処理装置と、例えば企業側の設備である出力装置は、セキュリティ上の理由から、同じネットワーク(無線LAN、4G、5G等)には接続していない。そこで、情報処理装置が出力装置と同じネットワークに接続することなく、情報処理装置と出力装置とが通信可能な近距離無線通信で通信することが検討される。しかし、近距離無線通信では、出力装置になりすました端末などがあると情報処理装置が送信する認証情報が漏洩するおそれがある。認証情報が漏洩した場合、ユーザーに代わって様々な操作が可能になるというセキュリティリスクが生じる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、情報処理装置が出力装置に認証に必要な情報の少なくとも一部を送信しなくてもユーザーを認証することができる出力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、出力装置及び情報処理装置と通信可能な出力システムであって、 無線通信により前記情報処理装置から前記出力装置が受信したユーザーの識別情報を指定して前記出力装置から1度目の認証要求を受けた場合、パスワードが添付されていない場合に認証失敗と判断し、文字列情報を生成する認証部と、前記パスワードを要求する旨と認証失敗を前記出力装置に送信し、前記文字列情報を前記ユーザーの識別情報で特定される前記情報処理装置に送信する第一通信部と、を有し、前記出力システムからの前記パスワードの要求に応じて前記出力装置が送信した、前記情報処理装置が前記出力装置に無線通信で送信した前記文字列情報、及び、前記ユーザーの識別情報を指定した2度目の認証要求を前記出力装置から受信した場合、前記認証部は、前記文字列情報と前記ユーザーの識別情報に基づいて前記ユーザーの認証を行い、前記認証部による認証結果を前記出力装置に送信する第二通信部、 を有することを特徴とする。

【発明の効果】
【0007】
情報処理装置が出力装置に認証に必要な情報の少なくとも一部を送信しなくてもユーザーを認証することができる出力システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理装置が印刷サービスから取得した印刷ジョブの一覧を表示し、印刷要求を出力装置に送信する動作を説明する図の一例である。
図2】出力装置が認証サービスに認証を要求してから印刷するまでの動作を示す図の一例である。
図3】情報処理システムのシステム構成図の一例である。
図4】情報処理装置のハードウェア構成図の一例である。
図5】出力システムのハードウェア構成図の一例である。
図6】出力装置のハードウェア構成図の一例である。
図7】情報処理システムが有する情報処理装置、出力システム、出力装置、及び、ストレージシステムの機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
図8】ユーザーが操作する情報処理装置が文書を出力システムに登録する処理を説明するシーケンス図の一例である。
図9】出力システムに登録しておいた印刷ジョブ(文書)をユーザーが出力装置から印刷する手順を示すシーケンス図の一例である。
図10】情報処理装置が表示する画面の遷移例を示す図である。
図11】情報処理装置が表示する画面の遷移例を示す図である。
図12】出力装置が情報処理装置から印刷要求を受信すると出力装置が表示する認証中画面、ログイン画面の一例を示す図である。
図13】情報処理装置が行う処理を説明するフローチャート図の一例である。
図14】出力装置が行う処理を説明するフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、出力システムと出力システムが行う認証方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<本実施例の出力システムの概略>
図1は、情報処理装置10が印刷サービス101から取得した印刷ジョブの一覧を表示し、印刷要求を出力装置30に送信する動作を説明する図の一例である。ユーザーは情報処理装置10を携帯しており、印刷サービス101と出力装置30を利用したプルプリントにより印刷ジョブを実行する。
【0011】
クラウド上の印刷サービス101に蓄積されている印刷ジョブを出力装置30が印刷するためには、「誰が」印刷しようとしているのかを、印刷サービス101、情報処理装置10、及び、出力装置30の三者がそれぞれ知る必要がある。クラウドサービス104上で稼働する認証サービス103が「誰が(ユーザー)」を一元管理する。
【0012】
また、各ユーザーは印刷ジョブを印刷サービス101に蓄積する。ユーザーによる印刷ジョブの投入の受け付け、印刷ジョブの実際の蓄積、及び、出力装置による印刷ジョブの引き取り要求の受け付け、がクラウドサービス104で行われる。
【0013】
(1) 情報処理装置10は多くの場合、ユーザー個人が占有するデバイスである。ユーザーは情報処理装置10を操作して、予めそのユーザー自身のユーザーID(ここではクラウド上で個人を特定するための識別情報)で認証サービス103にログインしている。
【0014】
(2) 認証サービス103にログインしている場合、そのユーザーIDを用いて同じクラウドサービス上で展開している出力システム50から、ユーザーは自分のユーザーIDに対応付けられている印刷ジョブの一覧を情報処理装置10に表示することができる。ここで、印刷ジョブの一覧とは、たとえば文書名、印刷日時、部数、及び、有効期限等、印刷ジョブを特定するために必要な情報のテーブルである。
【0015】
(3) ユーザーは、出力システム50から取得した印刷ジョブ一覧を情報処理装置10上で確認し、印刷したい印刷ジョブを選択することができる。
【0016】
(4) ユーザーは、情報処理装置10を使って出力装置30に対して印刷を要求する。情報処理装置10は、例えば、ユーザーを一意に特定するためのユーザーIDと、印刷ジョブを一意に特定するための文書ID(ファイルID)を出力装置30に送信する。
【0017】
情報の送信方法として、ここではBLE(Bluetooth Low Energy(登録商標)、近距離無線通信技術)を用いることを想定しているが、他の無線通信方法でもよい。情報処理装置10と出力装置30がお互い同一ネットワーク上にある場合、IPアドレスとポート番号をユーザーが指定したうえでTCP/IP通信などで行ってもよい。
【0018】
図2は、出力装置30が認証サービス103に認証を要求してから印刷するまでの動作を示す図の一例である。
【0019】
(1) 印刷要求を受信した出力装置30は、情報処理装置10から受信したユーザーIDを指定して、認証サービス103へ認証要求を行う。
【0020】
(2) 認証サービス103は、出力装置30からの認証要求にパスワードが付与されていないため、パスワードを出力装置30に要求する。また、認証サービス103は、ワンショットパスワードを発行する。
【0021】
(3) 認証サービス103は、ワンショットパスワードの発行を、該当のユーザーIDでログイン済みの情報処理装置10にプッシュ通知する。
【0022】
(4) 情報処理装置10は、受信したワンショットパスワードを出力装置30に伝達する。
【0023】
(5) 出力装置30は情報処理装置10から受信したワンショットパスワードと印刷要求で受信したユーザーIDを認証サービス103に送信することで、再認証を認証サービス103に要求する。
【0024】
(6) 認証サービス103は、出力装置30から受信したワンショットパスワードとユーザーIDと同じものを対応付けて保持しているかを判断する。認証サービス103がこれらを保持している場合、認証サービス103にログインしているユーザーが出力装置30を介してワンショットパスワードを送信したので、ユーザーの認証が成功したと判断できる。認証サービス103はログインしたユーザーの権限で処理を行うためのトークンを出力装置30に送信する。
【0025】
(7) 出力装置30は、該当のトークンを用いて、印刷ジョブを出力システム50から取得する。
【0026】
(8) 出力装置30は、取得した印刷ジョブの実行(印刷データの印刷)を開始する。
【0027】
このように、認証サービス103がユーザーIDに対しワンショットパスワードを発行して、情報処理装置10が出力装置30に送信したワンショットパスワードとユーザーIDで出力装置30が認証を要求する。したがって、情報処理装置10がパスワードなどの認証情報を出力装置30に送信する必要がなく、認証情報が漏洩するおそれもない。仮にワンショットパスワードが漏洩したとしても、任意のユーザーがワンショットパスワードでアクセスできるのは1回に限られるので、漏洩する情報も最小限ですむ。そもそもワンショットパスワードは有効期限が定められているので、ワンショットパスワードが漏洩した場合のリスクを小さくできる。また、ユーザーは不特定多数の人間が操作する出力装置30に触れる必要がない。また、ユーザーが情報処理装置10を出力装置30と同じネットワークに接続する必要もない。
【0028】
<用語について>
文字列情報とは、認証に使用される1つ以上の文字である。本実施形態ではワンショットパスワードという用語で説明される。ワンショットパスワードは認証が成功すると無効になる(認証失敗の場合は無効にならない)。また、ワンショットパスワードには有効期限が設定されてよい。ワンショットパスワードはこの有効期限が徒過すると削除される。なお、文字列には、数字、アルファベット及び記号等、文字コードで指定可能な情報が含まれる。
【0029】
トークンとはユーザーの権限情報である。トークンは認証情報でログインしたユーザーに対応付けられている。あるいは、トークンがユーザーを識別可能な情報を有していてよい。トークンによりユーザーが特定されることでユーザーの権限(印刷ジョブの表示、印刷、編集等)も定まる。トークンがユーザーの権限を有していてもよい。
【0030】
トークンはユーザーの端末(本実施形態では情報処理装置10)と認証サービス103(本実施形態では出力システム50)の両方に保持される。ユーザーはトークン発行から予め決まった時間(認証サービス103で決まっている)が経過するまでは認証情報なしにトークンのみでログインできる。この時間が経過すると、認証サービス103はトークンを無効化又は破棄するので、ユーザーは認証情報でログインする必要がある。
【0031】
認証情報とは、正式の利用者であることをコンピュータに通知する、予め取り決めた任意の文字列である。認証情報は、例えば、パスワード、パスコード、又は、合い言葉などをいう。これ以外にも、指紋などの生体認証情報、ユーザーが保持するICカード情報等も含まれる。
【0032】
印刷ジョブとは印刷を要求された文書データを出力装置30が印刷する際の実行単位となる処理である。印刷ジョブには少なくとも文書データが含まれ、更に印刷設定が含まれる場合がある。画像形成装置のジョブを印刷ジョブというが、その他の機器では機器の機能に応じた名称のジョブが実行される。文書データには、文字だけでなく画像や図形などが含まれてもよいし、画像のみであってもよい。
【0033】
<システム構成例>
図3は、本実施例における情報処理システム1のシステム構成図の一例である。図3の情報処理システム1は情報処理装置10、出力システム50、及び、出力装置30を有している。
【0034】
情報処理装置10と出力システム50は、ネットワークN1を介して通信する。本実施例のネットワークN1は、3G,4G、5G、LTEなどの公衆回線を利用したネットワークである。公衆回線とは、拠点間を結ぶ通信回線において、不特定のユーザーが物理的に同じ回線を共有して利用する回線である。例えば、携帯電話網、PHS通信網が挙げられる。なお、情報処理装置10は、Wi-Fiなどの無線LANでアクセスポイントに接続し、インターネットを介して出力システム50と通信することも、有線で通信することも可能である。
【0035】
情報処理装置10と出力装置30はネットワークN2を介して通信する。本実施例のネットワークN2は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)などの近距離無線通信を利用したネットワークである。情報処理装置10と出力装置30がTCP/IP通信することも可能である。ネットワークN2は、この他、赤外線通信、可視光通信などでもよい。
【0036】
出力装置30と出力システム50はネットワークN3を介して通信する。本実施例のネットワークN3は、出力装置30と出力システム50が設置されている施設などに構築されているLAN、複数のLANを有するWAN、及び、インターネット等が想定される。出力装置30と出力システム50が通信できればよい。ネットワークN3は有線又は無線のどちらで構築されてもよく、また、有線と無線が組み合わされていてもよい。また、出力装置30が、公衆回線に接続して出力システム50と通信してもよい。
【0037】
情報処理装置10はコンピュータとしての機能を有し、後述するアプリが動作している。アプリは、印刷ジョブを出力システム50に登録したり、印刷ジョブを取得して(ダウンロードして)一覧で表示したりする機能を有している。また、情報処理装置10は、印刷ジョブを編集又は削除する機能を有していてよい。なお、情報処理装置10ではこのアプリとは別にユーザーが文書データを作成することを支援したりインターネット上から取得したりするような一般的なアプリも動作する。また、情報処理装置10で動作するアプリは出力システム50に蓄積されている印刷ジョブを出力装置30に印刷させる機能(出力装置30と通信を開始して出力システム50が印刷ジョブを出力装置30に送信する)を有している。
【0038】
情報処理装置10は、具体的には、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC(Personal Computer)、PC、ゲーム機などであるがこれらには限られない。
【0039】
出力システム50は、例えばインターネット上の1つ以上の情報処理装置10である。ネットワーク上の情報処理装置10をサーバという場合がある。サーバとは、クライアントからの要求に対して情報や処理結果を提供する機能を果たすコンピュータやソフトウェアである。
【0040】
出力システム50は情報処理装置10から送信された印刷ジョブを蓄積し、また、出力装置30からの要求に応じて印刷ジョブを出力装置30に送信する。出力システム50はインターネット上に存在してもよいし、オンプレミスに存在してもよい。インターネット上に存在する場合はクラウドコンピューティングに対応しているとよい。クラウドとは、特定のハードウェア資源を意図しない場合に用いられる用語である。出力システム50はクラウドシステム、サーバシステムなどと呼ばれる場合がある。
【0041】
また、出力システム50は印刷ジョブを保存するためのストレージを有する。このストレージはインターネット上のディスクスペースをユーザーに提供するサービスで使用されるストレージでよい。出力システム50はオンラインストレージと呼ばれる場合もある。出力システム50は、一般ユーザーも企業も利用することができる。企業の場合、自社でファイルサーバ環境を構築する必要がなく、必要な分だけ容量を増減することができる。
【0042】
出力装置30は、印刷ジョブを実行するプリンタ、画像形成装置、画像処理装置、複写機、複合機、又は、MFP(Multi-function Peripheral/Product/Printer)などである。本実施例では出力装置30はプリンタ機能を有していればよい。
【0043】
また、出力装置30はプリンタ機能以外でデータを出力する機能を有する機器であってもよい。出力装置30は、例えば、プロジェクタ、HUD(Head Up Display)装置、電子黒板、デジタルサイネージなどである。これらの機器の場合、出力装置30は出力システム50から取得した映像、文書、音楽などのデータを出力する(表示、再生など)。
【0044】
この他、出力装置30は通信機能を備えた装置であれば、プリンタ等に限られない。出力装置30は、例えば、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【0045】
<ハードウェア構成>
続いて、図4図6を用いて情報処理システムのハードウェア構成について説明する。
【0046】
<<情報処理装置>>
図4は、情報処理装置10のハードウェア構成図である。図4に示されているように、情報処理装置10は、CPU401、ROM402、RAM403、EEPROM404、CMOSセンサ405、撮像素子I/F406、加速度・方位センサ407、メディアI/F409、GPS受信部411を備えている。
【0047】
これらのうち、CPU401は、情報処理装置10全体の動作を制御する。ROM402は、CPU401やIPL等のCPU401の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。EEPROM404は、CPU401の制御にしたがって、情報処理装置10用のプログラム(アプリ)等の各種データの読み出し又は書き込みを行う。CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ405は、CPU401の制御にしたがって被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、CMOSセンサは、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段であってもよい。撮像素子I/F406は、CMOSセンサ405の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ407は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F409は、フラッシュメモリ等の記録メディア408に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部411は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0048】
また、情報処理装置10は、遠距離通信回路412、CMOSセンサ413、撮像素子I/F414、マイク415、スピーカ416、音入出力I/F417、ディスプレイ418、外部機器接続I/F(Interface)419、近距離通信回路420、近距離通信回路420のアンテナ420a、及びタッチパネル421を備えている。
【0049】
これらのうち、遠距離通信回路412は、ネットワークN1を介して、他の機器と通信する回路である。CMOSセンサ413は、CPU401の制御にしたがって被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F414は、CMOSセンサ413の駆動を制御する回路である。マイク415は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ416は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。音入出力I/F417は、CPU401の制御にしたがってマイク415及びスピーカ416との間で音信号の入出力を処理する回路である。ディスプレイ418は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。外部機器接続I/F419は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。近距離通信回路420は、NFCやBluetooth(登録商標)等の通信回路である。タッチパネル421は、利用者がディスプレイ418を押下することで、情報処理装置10を操作する入力手段の一種である。
【0050】
また、情報処理装置10は、バスライン410を備えている。バスライン410は、図4に示されているCPU401等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0051】
<<出力システム>>
図5は、出力システム50のハードウェア構成図である。図5に示されているように、出力システム50は、コンピュータによって構築されており、図5に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0052】
これらのうち、CPU501は、出力システム50全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークN1,N3を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0053】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のために使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWは、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0054】
<<出力装置>>
図6は、出力装置30のハードウェア構成図である。図6では出力装置30として画像形成装置が想定されている。図6に示されているように、出力装置30は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0055】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0056】
これらのうち、CPU901は、出力装置30の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0057】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0058】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されていてもよい。
【0059】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0060】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0061】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。コントローラ910は、出力装置30全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0062】
なお、出力装置30は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時には出力装置30はドキュメントボックスモードとなる。コピー機能の選択時には出力装置30はコピーモードとなる。プリンタ機能の選択時には出力装置30はプリンタモードとなる。ファクシミリモードの選択時には出力装置30はファクシミリモードとなる。
【0063】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークN3を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0064】
<情報処理システムの機能について>
続いて、図7を参照して情報処理システム1が提供する機能について説明する。図7は、情報処理システム1が有する情報処理装置10、出力システム50、及び、出力装置30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0065】
<<情報処理装置の機能について>>
情報処理装置10は第四通信部11、ジョブ登録部12、表示制御部13、第一近距離通信部14、ジョブ一覧取得部15、及び、操作受付部16を有する。情報処理装置10が有するこれら各機能部は、図4に示された各構成要素のいずれかが、EEPROM404からRAM403に展開されたプログラム(アプリ又はWebブラウザ)に従ったCPU401からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。図7ではアプリ8により図示する機能が実現される。
【0066】
第四通信部11は、ネットワークN1に接続し、第一記憶部19に記憶されている登録先情報23を使用して、出力システム50と通信を行う。登録先情報23は、印刷ジョブの登録先を示す情報である。詳細は表1で説明する。第四通信部11は、上記のように、公衆回線(3G/4G/LTEなど)や無線LAN等に接続し、印刷ジョブを出力システム50に送信する。なお、無線に限定されることはなく有線LANなどを経由して送信してもよい。また、第四通信部11は印刷ジョブの一覧を出力システム50から受信する。
【0067】
ジョブ登録部12は、文書データを出力装置30が印刷するための印刷ジョブとして出力システム50に送信する。印刷ジョブが文書データ+印刷設定とすると、ジョブ登録部12はユーザーが設定した印刷設定又はデフォルトの印刷設定を文書データと共に送信する。ただし、本実施例では、情報処理装置10が出力システム50に送信する段階で印刷ジョブと称するものの、これは説明を容易にするためであり、情報処理装置10は単に文書データのみを印刷ジョブとして出力システム50に送信してもよい。この場合は、印刷時に情報処理装置10又は出力装置30にユーザーが印刷設定するか、又は、デフォルトの印刷設定が用いられる。
【0068】
ジョブ一覧取得部15は、第四通信部11を介して、ユーザーIDに対応付けられている印刷ジョブの一覧を取得する。
【0069】
表示制御部13は、UI(ユーザインタフェース)となる画面の生成及びディスプレイ418への表示を行う。画面例を図10等に示す。情報処理装置10がアプリを実行する場合、予め決まっているレイアウト用の部品に出力システム50から取得した情報を配置して画面を生成する。情報処理装置10がWebブラウザを実行する場合、出力システム50から送信される画面情報を解析してディスプレイ418に表示する。
【0070】
操作受付部16は、情報処理装置10に対する各種の操作を受け付ける。操作受付部16は、例えば、印刷ジョブとして登録する文書データの選択、一括印刷、実行する印刷ジョブの選択、及び、出力装置30との通信開始などの指示をユーザーから受け付ける。
【0071】
第一近距離通信部14は、近距離無線(NFC/Bluetooth(登録商標)/Bluetooth(登録商標) LE、赤外線通信、可視光通信など)により出力装置30と通信を行う(特許請求の範囲に記載の第四通信部の一例)。QRコード(登録商標)のようなバーコード又は二次元バーコードをユーザーが情報処理装置10に読み取らせて、第四通信部11がTCP/IPで情報を出力装置30に送信してもよい。
【0072】
また、情報処理装置10は、図4に示したEEPROM404,RAM403又はROM402の1つ以上により構成される第一記憶部19を有している。第一記憶部19には文書データ記憶部21が構築されると共に、及び、登録先情報23が記憶される。このうち文書データ記憶部21にはユーザーが生成した文書データ又はインターネット等から取得した文書データ等が記憶される。文書データ記憶部21はネットワーク上にあってもよい。ユーザーが選択した文書データは印刷ジョブとして出力システム50に登録される。
【0073】
登録先情報23について表1を用いて説明する。
【0074】
【表1】

表1は、登録先情報23の一例を模式的に示す。登録先情報23は、印刷ジョブの登録先を含む情報である。登録先情報23は、一例として、出力システム50ID、URL、ユーザー名及びパスワードを有する。出力システム50IDは、出力システム50を特定するための情報であり、出力システム50を一意に識別するための情報とも言える。なお、IDとは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値などの組み合わせをいう。IDは識別情報と呼ばれる場合ある。
【0075】
URLは、ネットワーク上でアクセス可能なファイルやサービスなどの資源の場所と通信方式を表す情報である。URLは、資源の場所を示すアドレス情報を含んでよい。本実施例では出力システム50のアドレスが含まれる。ユーザー名とパスワードはユーザーが出力システム50にログインするためのログイン情報である。
【0076】
<<出力システムの機能について>>
続いて出力システム50の機能について説明する。出力システム50は、第一通信部51、認証部52、処理制御部53、印刷処理部54、及び、第二通信部55を有する。出力システム50が有するこれら各機能部は、図5に示された各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。
【0077】
第一通信部51は、ネットワークN1に接続して、情報処理装置10と各種のデータの送受信を行う。本実施例では第一通信部51は、主に情報処理装置10から文書を受信し、印刷ジョブの一覧を情報処理装置10に送信する。また、第一通信部51はワンショットパスワード又はその所在を情報処理装置10にプッシュ通知する。この他、第一通信部51は認証情報を情報処理装置10から受信する。出力システム50はデータセンタなどに存在するので、第一通信部51は高速なLANなどに接続されている。したがって、第一通信部51は、直接、公衆回線に接続しておらず、電話会社のゲートウェイを介して情報処理装置10と通信する。
【0078】
第二通信部55は、ネットワークN3に接続して、出力装置30と各種のデータの送受信を行う。本実施例では第二通信部55は、主に情報処理装置10からユーザーID、文書ID、及び、ワンショットパスワードを受信し、トークンや印刷ジョブを出力システム50に送信する。
【0079】
処理制御部53は、ユーザーからの要求に応じてアプリの実行を制御する。ユーザーがプルプリントを情報処理装置10に要求する場合は、ユーザーがプルプリントに対応したアプリを実行する。処理制御部53は実行要求されたアプリ(プルプリント)の一連の制御を行う。したがって、処理制御部53はユーザーが選択したアプリに応じて処理の全体的な流れを制御する。また、アプリが複数の処理を有する場合、アプリをワークフロー(一連の処理)と呼ぶ場合がある。処理制御部53は一連の処理を決まった処理の順で実行する。
【0080】
印刷処理部54は、情報処理装置10から受信した文書を、印刷可能な印刷データに変換して印刷ジョブ記憶部57に記憶させる。また、印刷処理部54は出力装置30からの要求に基づいて、印刷ジョブを返却する。なお、印刷処理に関して、第一通信部51は、情報処理装置10と通信する機能、Webブラウザと通信する機能、及び、メールを受信する機能を有する。また、第二通信部55はポートモニタ(プリンタドライバの出力を送信するモジュール)の機能を有する。処理制御部53と印刷処理部54は図1の印刷サービス101に相当する。
【0081】
認証部52は認証情報58に基づいて、ユーザー認証、及び、権限の認可、などを行い、認証結果を情報処理装置10又は出力装置30に送信する。認証とはユーザーが正当な権限者か否かを判断することをいう。本実施例の場合は、出力システム50を使用する権限があるかどうかである。権限の認可はユーザーが可能な操作の権限印刷ジョブの表示、印刷、編集等)をユーザーに与えることである。なお、認証が成功するとユーザーは出力システム50にログインする。ログインとは、コンピュータやインターネット上の様々なサービスを利用する際に、予め登録しておいた認証情報を用いてシステムのリソースにアクセスする認証行為をいう。認証情報58は、ユーザーIDとパスワード、ICカードの番号、生体認証情報などである。本実施形態では、更にワンショットパスワード等が含まれる。認証情報58の詳細を表3で説明する。なお、認証部52は、図1の認証サービス103に相当する。
【0082】
認証部52は、出力装置30から送信される認証要求(ユーザーID)にパスワード又はワンショットパスワードが含まれていない場合、ワンショットパスワードを発行する。ユーザーIDとワンショットパスワードは認証情報58に対応付けて管理される(表3参照)。そして、認証部52は第一通信部51を介してワンショットパスワードを情報処理装置10に送信する。認証部52は、ユーザーIDとワンショットパスワードを指定して出力装置30から要求される認証要求に対し、ユーザーIDとワンショットパスワードの整合性に基づいてユーザーを認証する。
【0083】
また、出力システム50は、図5に示したHD504,RAM503又はROM502の1つ以上により構成される第二記憶部59を有している。第二記憶部59には印刷ジョブ記憶部57が構築される。表2に印刷ジョブ記憶部57に記憶される情報を示す。第二記憶部59は図1のストレージ102に相当する。
【0084】
【表2】

表2は、印刷ジョブ記憶部57に記憶されている印刷ジョブ情報を模式的に示す。印刷ジョブ情報には、文書ID、テナントID、ユーザーID、文書名、印刷データパス、及び、ページ数等の各項目が登録されている。
・文書ID…文書IDは印刷ジョブを識別する識別情報である。表2の1つの印刷ジョブは1つの文書と対応する。
・テナントID…テナントIDはテナントを識別する識別情報である。テナントとは、複数の顧客で同じソフトウェアを共有する顧客、即ち、顧客の集合である企業等を示す情報のことを意味する。テナントで契約したアプリをテナント内の各ユーザーが利用することができ、テナントのテナント管理者等はシステム内に複数存在するソフトウェアインスタンス(アプリや複数のアプリをまとめたパッケージ)の利用権限をユーザーに与えることができる。表2のテナントIDはユーザーが所属するテナントである。
・ユーザーID…ユーザーIDは印刷ジョブを登録したユーザーの識別情報である。
・文書名…文書名は文書のファイル名である。
・印刷データパス…印刷データパスは文書データが蓄積されている場所(ネットワーク上のURL)を示す。印刷データパスは、ファイルパスでもよいし、文書データが印刷ジョブ記憶部57に保存されていてもよい。
・ページ数…ページ数は文書が有するページ数である。
【0085】
【表3】
表3は、認証部52が管理する認証情報58の一例を示す。認証情報58は、ユーザーIDごとにワンショットパスワード、トークン、デバイストークン、及び、パスワード、が対応付けられている。したがって、認証部52は、ワンショットパスワードを通常のパスワードの代わりに使用してユーザー認証することができる。
・ユーザーID…ユーザーIDはユーザーの識別情報である。
・ワンショットパスワード…ワンショットパスワードは任意の文字列である。ある程度の文字数があるため、短時間に第三者が特定することが困難である。また、認証部52は、ワンショットパスワードを用いた認証成功により、ワンショットパスワード(認証情報)を削除する。したがって、ワンショットパスワードを取得した情報処理装置10のユーザーしか認証成功しない可能性が高くなり、セキュリティを向上できる。また、認証部52はワンショットパスワードを用いた認証が成功しなくても、発行から有効期限の経過後、ワンショットパスワード(認証情報)を削除する。したがって、仮にワンショットパスワードが漏洩しても、時間が経過することで、第三者のログインを抑制できる。
・トークン…トークンはユーザーが認証情報(ユーザーIDとパスワード)でログインすることで生成される。
・デバイストークン…デバイストークンはプッシュ通知で使用される。デバイストークンとユーザーIDが対応付けられており、ユーザーIDと情報処理装置10が関連している。詳細は後述する。
・パスワード…パスワードは、ユーザーがログインに使用する情報(通常は秘匿される情報)である。
【0086】
<<出力装置の機能について>>
続いて出力装置30の機能について説明する。出力装置30は、第二近距離通信部31、機器認証部32、第三通信部33、印刷ジョブ取得部34、及び、出力部35を有している。出力装置30が有するこれら各機能部は、図6に示された各構成要素のいずれかが、HD905からRAM902bに展開されたプログラムに従ったCPU901からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。
【0087】
第二近距離通信部31は、ネットワークN2に接続し、近距離無線(NFC/Bluetooth(登録商標)/Bluetooth(登録商標) LEなど)により情報処理装置10と通信する。第二近距離通信部31は、自分の存在を示す電波を定期的に周囲に送信している。情報処理装置10が電波の到達範囲に接近するとこの電波を検出して、情報処理装置10の第一近距離通信部14と第二近距離通信部31との間で自動的に通信が開始する。本実施例では、第二近距離通信部31は、情報処理装置10からユーザーID、文書ID、及び、ワンショットパスワード等を受信する。
【0088】
機器認証部32は、認証要求を出力システム50に送信することで認証に関して出力システム50と連携する。実際の認証は出力システム50が行う。機器認証部32は、情報処理装置10から受信したユーザーIDを指定して出力システム50に認証要求し、ワンショットパスワードの要求を出力システム50から受信する。この要求に対し機器認証部32は、情報処理装置10から受信したワンショットパスワードとユーザーIDを指定して出力システム50に認証要求し、認証成功するとトークンを出力システム50から受信する。
【0089】
第三通信部33は、ネットワークN3を介して出力システム50と各種のデータを送受信する。本実施例では、第三通信部33は、ユーザーID、文書ID、及び、ワンショットパスワードを出力システム50に送信して、トークン、及び、印刷ジョブを出力システム50から受信する。第三通信部33は近距離無線通信とは異なる通信方法(例えば、TCP/IP及びHTTPなどの上位のプロトコル)で出力システム50と通信する。
【0090】
印刷ジョブ取得部34は、第三通信部33を介してトークンと文書IDを出力システム50に送信し、トークンでユーザーが認証されると、出力システム50から文書IDに対応付けられている印刷ジョブを取得する。
【0091】
出力部35は、出力装置30が本来持っている印刷機能である。出力部35は、印刷ジョブ取得部34が取得した印刷ジョブを実行することで、文書データを用紙などのシート材に印刷する。印刷することを出力するという場合がある。印刷要求を出力要求という場合がある。
【0092】
また、出力装置30はHD905又はRAM902bの少なくとも一方に構築される第三記憶部39を有している。第三記憶部39は、デバイス認証情報36を記憶している。デバイス認証情報36は、当該出力装置30がテナントに配置されたものであり認証済みであることを示す情報である。デバイス認証情報36は、テナント管理者等が出力装置30を操作して販売元から配布された認証情報を入力し、出力システム50が認証成功と判断することで第三記憶部39に記憶される。したがって、ユーザーが出力システム50にログインできても、デバイス認証情報36を有さない出力装置30から印刷できない。
【0093】
<動作手順>
続いて、図8を参照して、ユーザーが印刷ジョブを出力システム50に登録する流れを説明する。図8は、ユーザーが操作する情報処理装置10が文書を出力システム50に登録する処理を説明するシーケンス図の一例である。ユーザーは後で又はこれから出力装置30にて印刷したい文書を出力システム50に登録しておく。
【0094】
S1:ユーザーは、情報処理装置10で動作するアプリ8に、出力システム50へログインするための操作を行う(認証情報を入力又は送信指示)。なお、ユーザーはアプリ8でなくWebブラウザを使用してもよい。Webブラウザからのジョブ投入は、ポートモニタが用いられる。ポートモニタはプリンタドライバで作成したデータを送信するモジュールである。プリンタドライバは認証情報を送信する機能を有している。また、印刷ジョブの登録にメールが使用されてもよい。ログイン画面の一例を図10(a)に示す。
【0095】
S2:情報処理装置10の第四通信部11は、出力システム50に認証情報を送信して、ログインを要求する。出力システム50の第一通信部51は認証情報を受信し、認証部52が認証を行う。認証情報は、テナントID、ユーザーID、及び、パスワードなどである。認証情報はメールアドレスとパスワードでもよい。また、ログインは、メールアドレスを使った外部サービスと連携したログイン(シングルサインオン)であってもよい。
【0096】
認証が成功した場合、認証部52はトークンを生成し、第一通信部51がトークンを情報処理装置10に返す。情報処理装置10はユーザーIDに対応付けてトークンを認証情報58に保存しておく。出力システム50はトークンをユーザーと対応付けて保存するので、トークンによりユーザーが特定される。トークンが有効な間は、情報処理装置10は認証情報でなくトークンで認証を受け、出力システム50と通信できる。
【0097】
S3:出力システム50へのログインに成功した場合、情報処理装置10の表示制御部13はアプリのメニュー画面を表示する。
【0098】
S4:ユーザーはメニュー画面で印刷ジョブの登録を行うボタン等を押下し、出力システム50に登録する文書(ファイル)を選択する。情報処理装置10の操作受付部16はこれらの操作を受け付ける。
【0099】
S5:ユーザーが文書を送信する操作を入力すると、情報処理装置10の操作受付部16は操作を受け付ける。
【0100】
S6:情報処理装置10の第四通信部11は、トークンと選択した文書を出力システム50に印刷ジョブとして投入する。
【0101】
以上の処理で、印刷ジョブ記憶部57に印刷ジョブが登録される。アプリはトークンを保持するため、ユーザーは図8の処理を一回行えばよい。
【0102】
なお、ユーザーが文書を送信する操作がそのまま、図8で説明する印刷ジョブの実行要求となってよい。
【0103】
<<プルプリントの処理>>
続いて、図9を参照して、本実施形態のプルプリントの流れについて説明する。図9は、出力システム50に登録しておいた印刷ジョブ(文書)をユーザーが出力装置30から印刷する手順を示すシーケンス図の一例である。ユーザーは出力装置30にて印刷したい文書があると、情報処理装置10を操作して印刷を開始する。なお、ユーザーは出力装置30に手を触れることなく印刷できる。
【0104】
S11~S13:S11~S13は図8のステップS1~S3と同様である。ユーザーがステップS1~S3を実行済みの場合(トークンが有効な期間内)、ステップS11~S13は不要である。
【0105】
S14:ログインした状態でユーザーがアプリのプルプリントの機能を開く。操作受付部16がメニュー画面からプルプリントの開始を受け付ける。メニュー画面の一例を図10(b)に示す。
【0106】
S15:第四通信部11は、ログイン時に出力システム50から受け取っているトークンを用いて出力システム50にジョブ一覧を要求する。
【0107】
S16:出力システム50の第一通信部51はトークンによるジョブ一覧要求を受信し、印刷処理部54がトークンに対応付けられているユーザーIDを認証部52から取得する。印刷処理部54は印刷ジョブ記憶部57からユーザーIDに対応付けられている印刷ジョブを取得する。第一通信部51は印刷ジョブの一覧を情報処理装置10に返す。印刷ジョブの一覧とは、たとえば文書名、印刷日時、部数、有効期限、サムネイル画像等、情報処理装置10が画面上に書誌情報を表示し、ユーザーが印刷したい印刷ジョブを特定するために必要なテーブルである。
【0108】
S17:情報処理装置10の第四通信部11は印刷ジョブの一覧を受信し、表示制御部13が印刷ジョブの一覧を表示する。ジョブ一覧画面の一例を図10(c)に示す。
【0109】
S18:ユーザーが印刷したい印刷ジョブを選択する。操作受付部16は選択を受け付ける。
【0110】
S19:ユーザーは印刷設定等を追加で指定したうえで印刷を指示することができる。印刷条件設定画面の一例を図10(d)に示す。
【0111】
S20:次に、ユーザーは情報処理装置10を出力装置30と通信するために通信開始ボタンを押下する。操作受付部16は印刷の指示を受け付ける。通信開始ボタンの押下なく、情報処理装置10が自動的に通信を開始してもよい。
【0112】
なお、ステップS18の印刷ジョブの選択からステップS20の通信までの時間には特に制約がない。したがって、ユーザーは任意の場所で印刷ジョブを選択できる。
【0113】
S21:ユーザーが通信開始ボタンを押下すると、情報処理装置10は出力装置30を探索(サーチ)していることを示す探索中画面を表示する。図11(a)に探索中の画面の一例を示す。情報処理装置10の第一近距離通信部14は近くにある通信可能な出力装置30を探す。近くにあるとは電波強度が閾値以上であることをいう。Bluetooth Low Energy(登録商標)の場合、設計によってはペアリング(セントラルとペリフェラル間でデータ暗号化のための鍵の交換をすること)が不要であり、互いの電波が到達すると互いが接続できる。一般のBluetooth(登録商標)の場合、両者はすでにペアリング済みであるとする。
【0114】
S22:第一近距離通信部14が近くにある通信可能な出力装置30を検出すると、情報処理装置10は認証を開始する。図11(b)に認証中画面の一例を示す。第一近距離通信部14は印刷要求を出力装置30に送信する。印刷要求とは、「この文書IDの印刷ジョブを、このユーザーIDのユーザーが印刷しようとしている」という旨を、情報処理装置10が出力装置30の第二近距離通信部31に伝達することである。したがって、文書IDとユーザーIDが送信される。更に、印刷設定が送信されてよい。
【0115】
第一近距離通信部14と第二近距離通信部31がBluetooth Low Energy(登録商標)で通信する場合、非接触かつ印刷時に都度の設定を必要としないため、利便性がよい。なお、Bluetooth Low Energy(登録商標)であっても送信されるのはユーザーIDと文書IDなので、仮にこれらが漏洩しても第三者が印刷ジョブにアクセスすることは困難である。
【0116】
本実施例において、伝達方法は無線通信で行える技術であればよく例えば以下でもよい。
・伝達方法はNFCでもよい。NFCの場合、通信距離が短いので情報の漏洩リスクが少ないというメリットがあるが、通信が途絶するとユーザーが再度、情報処理装置10を出力装置30にかざす必要がある。Bluetooth Low Energy(登録商標)では、情報処理装置10と出力装置30の距離が数メートル程度であれば情報処理装置10と出力装置30が通信を維持できる。
・伝達方法は無線LANを通じたTCP/IP通信でもよい。情報処理装置10は出力装置30に貼付されたQRコード(登録商標)を読み取り、出力装置30のIPアドレス、ポート番号、無線LANのアクセスポイントのSSID(Service Set Identifier)、及び、アクセスポイントのパスワードをデコードする。この場合は、情報処理装置10と出力装置30が同じネットワークに接続して通信する。
【0117】
S23:出力装置30側でも、第二近距離通信部31が情報処理装置10と通信を開始すると、出力装置30は認証を開始する。図12(a)に認証中画面の一例を示す。出力装置30の第二近距離通信部31は印刷要求を受信し、受信したユーザーID、文書ID、及び印刷設定を印刷ジョブ取得部34に渡す。
【0118】
S24:印刷ジョブの取得には、要求元(この場合ユーザ)が正規のユーザー本人であるかの認証が必要であり、印刷ジョブ取得部34はユーザーIDを指定して認証要求を機器認証部32に渡す。
【0119】
S25:機器認証部32は、印刷要求の受信を契機に、第三通信部33を介して、出力システム50に認証を要求する。この時点では、機器認証部32はユーザーIDしか保持していないので、機器認証部32はユーザーIDを出力システム50に送信する。
【0120】
出力システム50の第二通信部55は認証要求を受信する。認証部52はユーザーIDによる認証を試みるが、パスワード(又はワンショットパスワード)がないので、認証失敗と判断する。このため、第二通信部55はパスワード(又はワンショットパスワード)を要求する旨と認証結果(認証失敗)を出力装置30に送信する。
【0121】
S26:また、認証部52は、出力装置30からパスワードが送信されなかったので、ワンショットパスワードを発行する。認証部52は、認証要求で指定されたユーザーIDに対応付けて認証情報58にワンショットパスワードを保存する。このワンショットパスワードは本人であることを示す情報である。
【0122】
S27:出力システム50の第一通信部51はすでに本人であることが証明されている(トークンを生成済み)ユーザーIDを指定して、アプリ側にプッシュ通知する。
【0123】
本シーケンス図では、プッシュ通知にワンショットパスワードを含めているが、よりセキュリティを向上させるため、第一通信部51はプッシュ通知にワンショットパスワードを含めないことが好ましい。この場合、認証部52はURL(APIエンドポイント)を情報処理装置10に送信する。このURLへのアクセスには、SSL(Secure Sockets Layer)又はTLS(Transport Layer Security)により、通信が暗号化される通信プロトコル(HTTPS通信)が使用されることが好ましい。認証部52は、このURLへのアクセスをトークンで認証する。情報処理装置10は、認証部52が用意したURLに接続する際、トークンを送信し、このトークンがURLに対応付けられているトークンと一致すると認証部52が判断した場合、情報処理装置10がワンショットパスワードを受信する(ダウンロードできる)。
【0124】
プッシュ通知について簡単に説明する。
【0125】
a. まず、情報処理装置10のアプリはデバイストークンと呼ばれるIDが、アプリの配布元から与えられている。
【0126】
b. 情報処理装置10のOSメーカーが管理する配信サーバはデバイストークンと情報処理装置10(又はOS)の個体識別番号の対応表を管理している。
【0127】
c. 出力システム50はログインしたユーザーのユーザーIDに対応付けてアプリのデバイストークンを保持している。
【0128】
d. ユーザーにプッシュ通知したい場合、出力システム50はユーザーIDに対応付けられているデバイストークンとメッセージ(例えばワンショットパスワード又はURL)を指定して配信サーバにプッシュ通知の配信を依頼する。
【0129】
e. 依頼を受けた配信サーバは指定されたデバイストークンに対応付けられている個体識別番号に対しプッシュ通知を配信する。
【0130】
なお、プッシュ通知の配信方法はOSメーカーによって異なってよく、上記は一例に過ぎない。
【0131】
S28:情報処理装置10の第四通信部11がワンショットパスワードを受信したので、第一近距離通信部14に送信を要求する。第一近距離通信部14はワンショットパスワードを、出力装置30に送信する。
【0132】
仮に、第一近距離通信部14と第二近距離通信部31の通信が途絶した場合、情報処理装置10の第一近距離通信部14は再度、近くにある通信可能な出力装置30を探す。第一近距離通信部14と第二近距離通信部31が通信を継続している場合、再度、探す必要はない。図11(b)の認証中に通信が途絶した場合、情報処理装置10は図11(c)に示す再接続画面を表示する。
【0133】
S29:出力装置30の第二近距離通信部31はワンショットパスワードを受信し、ワンショットパスワードを機器認証部32に渡す。出力装置30はステップS22の印刷要求の受信から一定時間内にワンショットパスワードを受信しないと、印刷要求を無効化してよい(ユーザーIDと文書IDを破棄して印刷要求がなかったものにする)。こうすることで、出力装置30がいつまでも待機する必要がない。なお、ステップS22の印刷要求の受信からワンショットパスワードまでに必要な時間は、通信環境によるが通常は数秒以内と考えられる。したがって、一定時間は例えば30秒程度でよい。
【0134】
S30:情報処理装置10の第一近距離通信部14はワンショットパスワードを送信したので、通信を切断する。
【0135】
S31:機器認証部32は、出力システム50から要求されていたワンショットパスワードと、ステップS22で取得したユーザーIDを指定して、再度、出力システム50に対し、認証要求する。なお、出力装置30はユーザーIDを再度、受信してもよい。
【0136】
出力システム50の第二通信部55はワンショットパスワードとユーザーIDを指定する認証要求を受信し、認証部52に渡す。認証部52は、保持している認証情報58にワンショットパスワードとユーザーIDの組が存在するか否かに応じて、認証成功、又は認証失敗を判断する。認証成功の場合、認証部52は認証情報58のワンショットパスワードを削除する。また、認証成功の場合、出力システム50の第二通信部55はユーザーIDに対応付けられているトークンを指定して認証結果(認証成功)を出力装置30に送信する。トークンの送信にはHTTPS通信が使用されるのでトークンが漏洩する可能性を低減できる。なお、トークンは図8の認証成功でアプリが取得したものと同じである。
【0137】
S32:機器認証部32はトークンを印刷ジョブ取得部34に渡す。
【0138】
S33:印刷ジョブ取得部34はこのトークンと文書IDを用いて、出力システム50に印刷ジョブを要求する。出力システム50の第二通信部55は印刷ジョブの要求を受信し、認証部52はこのトークンが認証情報58に登録されていることにより正当なユーザーからの要求であると判断する。印刷処理部54は文書IDに対応付けられている印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部57から取得して、第二通信部55を介して出力装置30に送信する。
【0139】
S34:印刷ジョブ取得部34は取得した印刷ジョブを出力部35に渡す。
【0140】
S35:出力部35は印刷ジョブを実行する。すなわち、出力部35は印刷データを用紙に印刷する。
【0141】
S36:出力部35は印刷完了(排紙)を、ユーザーIDで特定されるメールアドレスに対し電子メールなどで送信する。ユーザーは印刷完了を知って、印刷結果を取得することができる。
【0142】
<画面例>
図10は情報処理装置10が表示する画面の遷移例を示す。まず、図10(a)はログイン画面300の一例を示す。ログイン画面300はログインボタン301を有している。ログインボタン301をユーザーが押下するとメールアドレスとパスワードを表示する画面を情報処理装置10が表示する。ユーザーが正しいメールアドレスとパスワードを送信して出力システム50に送信すると、ユーザーはログインできる。
【0143】
図10(b)はログイン後に情報処理装置10が表示するメニュー画面310の一例である。メニュー画面310は、バックアップ設定ボタン311、リストア設定ボタン312、及び、プリントボタン313を有している。バックアップ設定ボタン311は、文書ファイルのバックアップに関する設定をユーザーが行うためのボタンである。リストア設定ボタン312は、文書ファイルのリストア(文書ファイルの損失が起きた際に複製しておいたデータから戻すこと)に関する設定をユーザーが行うためのボタンである。
【0144】
プリントボタン313は、プルプリントをユーザーが開始するために押下するボタンである。プリントボタン313の押下により、情報処理装置10がトークンを出力システム50に送信し、情報処理装置10はユーザーに対応付けられている印刷ジョブのリストを受信できる。
【0145】
図10(c)はプリントボタン313が押下された場合に表示されるジョブ一覧画面320の一例である。ジョブ一覧画面320は、検索欄321、フォルダー322、及び、情報処理装置10がフォルダー322に保存している文書のリスト323を表示する。ユーザーは文書のリスト323から任意の文書ファイルを選択できる。図10(c)では文書が画像データになっているが、文書は各種のアプリケーションが作成したファイルでもよい。
【0146】
図10(d)は、文書が選択された場合に、情報処理装置10が表示する印刷条件設定画面330の一例を示す。印刷条件設定画面330は、図10(c)で選択された文書のイメージ336を表示する。また、印刷条件設定画面330は、部数欄331、カラー/白黒欄332、用紙サイズ欄333、印刷方向欄334、設定項目切り替えボタン335、及び、通信開始ボタン337を有している。
・部数欄331…部数欄331は印刷部数をユーザーが設定する欄である。
・カラー/白黒欄332…カラー/白黒欄332はカラー印刷又は白黒印刷をユーザーが設定する欄である。
・用紙サイズ欄333…用紙サイズ欄333は用紙のサイズをユーザーが設定する欄である。
・印刷方向欄334…印刷方向欄334は用紙の向きをユーザーが設定する欄である。
・設定項目切り替えボタン335…設定項目切り替えボタン335はユーザーが設定項目を切り替えるボタンである。情報処理装置10は別の設定項目を表示する。
・通信開始ボタン337…通信開始ボタン337は情報処理装置10に出力装置30との通信を開始させるボタンである。
【0147】
図11(a)は図10(d)で通信開始ボタン337が押下された場合に情報処理装置10が表示する探索中画面340の一例である。探索中画面340は「スマートフォンをプリンタに接近させてください」というメッセージ341を有する。ユーザーはメッセージ341に従って、情報処理装置10を出力装置30にかざすことができる。
【0148】
図11(b)は、情報処理装置10が出力装置30と通信を開始すると情報処理装置10が表示する認証中画面350の一例である。認証中画面350は「認証中です。スマートフォンをかざしたままにしてください」というメッセージ351を有する。ユーザーはメッセージにより、情報処理装置10が出力装置30と通信していること、及び、かざす状態を維持すべきことを把握できる。認証中画面350は、情報処理装置10がワンショットパスワードを出力装置30に送信すると終了し、画面は例えばジョブ一覧画面320に戻る。
【0149】
図11(c)は、認証中画面350の表示中に(ワンショットパスワードの送信前に)、情報処理装置10と出力装置30の通信が途絶した場合に表示される再接続画面360の一例である。再接続画面360は「もう一度、スマートフォンをプリンタに接近させてください」というメッセージ361を有する。ユーザーはメッセージ361により、情報処理装置10を出力装置30にかざすべきことを把握できる。
【0150】
図12(a)は、出力装置30が情報処理装置10から印刷要求を受信すると出力装置30が表示する認証中画面の一例である。認証中画面370は「認証中です。スマートフォンをかざしたままにしてください」というメッセージ371を有する。ユーザーはメッセージにより、情報処理装置10が出力装置30と通信していること、及び、かざす状態を維持すべきことを把握できる。認証中画面370は、出力装置30が認証成功(トークン)を受信すると、例えば印刷を行っていることを示す画面に遷移する。
【0151】
認証中画面370は、ログインボタン372を有している。ログインボタン372をユーザーが押下すると、図12(b)のログイン画面380に表示する。
【0152】
図12(b)は、出力装置30が表示するログイン画面380の一例である。ログイン画面380はユーザーID欄381とパスワード欄382を有する。
・ユーザーID欄381…ユーザーID欄381はユーザーIDを表示する。このユーザーIDは、情報処理装置10が出力装置30に送信済みなので、ユーザーが入力する必要がない。
・パスワード欄382…パスワード欄382はユーザーがパスワードを入力する欄である。したがって、情報処理装置10と出力装置30が通信できない場合、又は、出力装置30がトークンを受信できない場合でもユーザーはマニュアル操作でログインできる。
【0153】
<情報処理装置、出力装置の処理>
図13は情報処理装置10が行う処理を説明するフローチャート図の一例である。なお、処理の内容は図9のシーケンス図と重複する場合がある。
【0154】
情報処理装置10のアプリはユーザーの操作に応じて、出力システム50にログインし、トークンを保持する(S201)。
【0155】
トークンの有効期限内に、操作受付部16が印刷ジョブの選択を受け付ける(S202)。そして、ユーザー操作により、第一近距離通信部14が出力装置30との通信を開始し、ユーザーIDと文書ID(及び印刷設定も)を出力装置30に送信する(S203)。
【0156】
出力システム50がユーザーIDのみでは認証できないので、ワンショットパスワードを発行し、第四通信部11がプッシュ通知等によりワンショットパスワードを受信する(S204)。ステップS203からステップS204までの時間は数秒以内が想定される。一定時間内にワンショットパスワードを情報処理装置10が受信できない場合は、エラーを表示してよい。
【0157】
第一近距離通信部14はワンショットパスワードを出力装置30に送信する(S205)。このように、情報処理装置10を操作するユーザーとしては、印刷ジョブを選択し、出力装置30との通信を開始すればよく、出力装置30に触れることがない。
【0158】
図14は出力装置30が行う処理を説明するフローチャート図の一例である。なお、処理の内容は図9のシーケンス図と重複する場合がある。
【0159】
まず、第二近距離通信部31が情報処理装置10から印刷要求(ユーザーIDと文書ID)を受信する(S301)。これにより、プルプリントがスタートする。
【0160】
印刷要求の受信を契機に、機器認証部32が第三通信部33を介して、ユーザーIDと文書IDを出力システム50に送信して認証要求するが、パスワードがないのでパスワード(又はワンショットパスワード)の要求を出力システム50から受信する(S302)。
【0161】
機器認証部32は、第三通信部33がユーザーIDと文書IDを出力システム50に送信してから一定時間内にワンショットパスワードを受信するかどうかを監視する(S303)。
【0162】
第二近距離通信部31がワンショットパスワードを受信した場合、第三通信部33がユーザーIDとワンショットパスワードを送信して認証要求し、トークンを受信する(S304)。
【0163】
第三通信部33がトークンと文書IDを指定して印刷ジョブを要求し、この印刷ジョブを受信する(S305)。出力部35が印刷ジョブを印刷する(S306)。
【0164】
一方、第二近距離通信部31が一定期間内にワンショットパスワードを受信しない場合、印刷ジョブ取得部34は印刷要求を無効化する(S307)。すなわち、印刷ジョブ取得部34はユーザーIDと文書IDを破棄して印刷要求がなかったものとする。
【0165】
このように、出力装置30を操作するユーザーとしては、情報処理装置10を出力装置30にかざせばよく、出力装置30に触れることがない。
【0166】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態では、認証部52がユーザーIDに対しワンショットパスワードを発行して、情報処理装置10が出力装置30に送信したワンショットパスワードとユーザーIDで出力装置30が認証を要求する。したがって、情報処理装置10がパスワードなどの認証情報を出力装置30に送信する必要がなく、認証情報が漏洩するおそれもない。仮にワンショットパスワードが漏洩したとしても、任意のユーザーがワンショットパスワードでアクセスできるのは1回に限られるので、漏洩する情報も最小限ですむ。そもそもワンショットパスワードは有効期限が定められているので、ワンショットパスワードが漏洩した場合のリスクを小さくできる。また、ユーザーは不特定多数の人間が操作する出力装置30に触れる必要がない。また、ユーザーが情報処理装置10を出力装置30と同じネットワークに接続する必要もない。
【0167】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0168】
例えば、情報処理装置10だけでなく出力装置30が印刷ジョブの一覧を表示することもできる。ユーザーは出力装置30上で印刷する印刷ジョブを選択できる。また、この場合、印刷設定をユーザーは出力装置30で設定できる。
【0169】
また、本実施例では出力装置30として主に画像形成装置を説明に使用したが、出力装置30は画像形成装置に限られない。出力装置30は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置30、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【0170】
また、図7などの構成例は、情報処理装置10、出力システム50及び出力装置30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。情報処理装置10、出力システム50及び出力装置30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0171】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、出力システム50は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0172】
更に、出力システム50は、開示された処理ステップ、例えば図9等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、出力システム50が有する複数の情報処理装置10によって実行され得る。また、出力システム50は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0173】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【符号の説明】
【0174】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
30 出力装置
50 出力システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0175】
【文献】特開2017-111799号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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