(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241119BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G15/20 555
G03G21/16 185
(21)【出願番号】P 2021030700
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 仁
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101674(JP,A)
【文献】特開2020-181085(JP,A)
【文献】特開2012-234029(JP,A)
【文献】特開2016-161624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な無端状の定着部材と、
前記定着部材の外側から当接する加圧部材と、
前記定着部材の内側に配設され、前記定着部材を介して前記加圧部材とでニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記ニップ形成部材を支持する補強部材と、
一端が前記補強部材に固定された付勢部材と、
少なくとも前記定着部材を加熱する加熱部材と、を備え、
前記ニップ形成部材は、長手方向の両端部または両端部以外の領域の少なくとも1箇所に、前記補強部材の係合部と係合する被係合部を有し、長手方向の一方端部にのみ前記被係合部を有する場合よりも、前記補強部材との係合によ
る前記付勢部材からの付勢力に基づいた回転モーメントが小さいことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、
前記ニップ形成部材と前記補強部材とが対向する方向において前記ニップ形成部材を前記補強部材から離間する方向に付勢することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記加熱部材の温度を検知する温度検知部材を備え、
前記付勢部材が前記温度検知部材を前記ニップ形成部材に向けて付勢することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記付勢部材により付勢される領域と、前記ニップ形成部材の端部のうち前記付勢される領域と近い端部との長手方向における距離をL2、
前記付勢される領域と、前記ニップ形成部材の前記被係合部との長手方向における距離をL3としたとき、
L3<L2/2の関係を満たすことを特徴とする請求項
2に記載の定着装置。
【請求項5】
前記付勢部材により付勢される部位と、前記ニップ形成部材の前記被係合部とが、
前記ニップ形成部材と前記補強部材とが対向する方向において重なる位置にあることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記補強部材の前記係合部と前記ニップ形成部材の前記被係合部とが係合する係合部位を、
前記ニップ形成部材の長手方向に複数有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
前記係合部位は、前記付勢部材により付勢される領域を基準として、
前記ニップ形成部材の長手方向の一方端側に少なくとも1つ、及び他方端側に少なくとも1つ有することを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記補強部材の前記係合部と前記ニップ形成部材の前記被係合部とが係合する前記係合部位であって、係合により位置決め固定がなされる前記係合部位を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項
6または7に記載の定着装置。
【請求項9】
前記補強部材は、前記ニップ形成部材の被係合部に対してスナップフィットにより係合する係合部を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【請求項10】
前記加熱部材の温度を検知する温度検知部材を備え、
前記ニップ形成部材は、前記温度検知部材を収容する貫通孔状の収容部を有し、
前記収容部の内壁が前記温度検知部材と当接しないことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の定着装置。
【請求項11】
前記収容部は、前記ニップ形成部材の長手方向の径が短手方向の径よりも大きい形状であることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
【請求項12】
前記補強部材は、長手方向の中央部が長手方向の両端部よりも前記ニップ形成部材と対向する方向に突出していることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の定着装置。
【請求項13】
前記ニップ形成部材は、長手方向の中央部が長手方向の両端部よりも前記補強部材と対向する方向に突出していることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の定着装置。
【請求項14】
前記ニップ形成部材は、前記加熱部材を保持することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の定着装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置に用いられる定着装置として、種々の型式のものが知られている。例えば、熱ローラ定着装置では、内部にハロゲンランプ等の熱源を備え、加熱されながら互いに押圧されて回転する2本の回転体(定着ローラ、加圧ローラ)で形成されるニップ部(定着ニップ部)に、未定着トナー像を載せた記録媒体(紙やOHP等)を通過させ、そこでトナー像を溶融し記録媒体上に定着させている。
【0003】
近年、定着装置の省エネ化や、ウェイトタイム短縮に対する要求が高まりから、ベルトや薄膜フィルム等の無端状のベルト部材を用いた加熱装置を採用することで、定着装置の低熱容量化を実現し、また記録媒体への熱伝達効率の改善を図り、加熱に要する待ち時間(ウォームアップ時間やファーストプリント時間)を大幅に短縮した、いわゆるオンデマンドタイプの定着装置が広く採用されている。
【0004】
その1つに、低熱容量の定着部材(例えば、薄肉定着ベルト等)を、基材と抵抗発熱体で構成された板状のヒータで加熱するものがある。板状のヒータとしては、例えば、定着部材の幅方向に配置された基材上に複数の抵抗発熱体を配設し、これら抵抗発熱体を電気的に接続したものがある。
【0005】
板状のヒータは、例えば、ニップ形成部材を兼ねたヒータホルダに保持される。ニップ形成部材は加圧部材に抗して押圧する補強部材(ステー)に保持される。このニップ形成部材(ヒータ保持部材)と補強部材とを固定する方法として、それぞれの部材の長手方向の一方端部に係合部を設け、該係合部を支点として回動させるように組付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された定着装置のように、ニップ形成部材(ヒーター保持部材)と補強部材とが長手方向の一方の端部でのみ係合保持されている態様では、定着装置の組立て工程や、組立て後の輸送時において、ニップ形成部材が補強部材から脱落してしまうおそれがある。
【0007】
ニップ形成部材が補強部材から脱落すると、ニップ形成部材が定着ベルトの内周面に接触して損傷を招くという問題がある。具体的には、ニップ形成部材が接触した定着ベルトには、変形によるキンクと呼ばれるシワ状の塑性変形が生じる。キンクの発生により、印刷時にはスジ状の画像不良が生じ、また使用を継続することによりキンクを起点とした定着ベルトの破断、そして破断に起因した記録媒体の詰まりが生じることがある。
【0008】
そこで本発明は、組立て工程や組立て後の輸送時おいてニップ形成部材が脱落することなく、脱落に起因した不具合や画像不良の発生を防止することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、回転可能な無端状の定着部材と、前記定着部材の外側から当接する加圧部材と、前記定着部材の内側に配設され、前記定着部材を介して前記加圧部材とでニップ部を形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材を支持する補強部材と、一端が前記補強部材に固定された付勢部材と、少なくとも前記定着部材を加熱する加熱部材と、を備え、前記ニップ形成部材は、長手方向の両端部または両端部以外の領域の少なくとも1箇所に、前記補強部材の係合部と係合する被係合部を有し、長手方向の一方端部にのみ前記被係合部を有する場合よりも、前記補強部材との係合による前記付勢部材からの付勢力に基づいた回転モーメントが小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、組立て工程や組立て後の輸送時においてニップ形成部材が脱落することなく、脱落に起因した不具合や画像不良の発生を防止することができる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
【
図3】本実施形態の定着装置が備えるヒータの一例を示す平面図である。
【
図4】従来例の温度検知部材の取付状態を示す側面図である。
【
図5】温度検知部材の取付状態の一例を示す側面図である。
【
図6】温度検知部材の取付状態の一例を示す側面図である。
【
図7】温度検知部材の取付状態の一例を示す側面図である。
【
図8】温度検知部材の取付状態の一例を示す側面図である。
【
図9】スナップフィット形式で係合する係合部の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
なお、以下の実施形態では「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」はこれに限定されず、OHPシート、布帛、金属シート、プラスチックフィルム、或いは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。現像剤やインクを付着させることができる媒体、記録紙、記録シートと称されるものも、すべて「記録媒体」に含まれる。また「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。
また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することも意味する。
【0014】
(画像形成装置)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、画像形成装置としては、プリンタのほか、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機などであってもよい。本発明に係る画像形成装置は、後述する本発明に係る定着装置を備えている。
【0015】
図1に示す画像形成装置100は、画像形成部である4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkを備える。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、画像形成装置本体103に対して着脱可能に構成され、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。具体的には、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電する帯電装置3と、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング装置5と、を備える。
【0016】
また、画像形成装置100は、各感光体2の表面を露光し静電潜像を形成する露光装置6と、記録媒体としての用紙Pを供給する給紙装置7と、各感光体2に形成されたトナー画像を用紙Pに転写する転写装置8と、用紙Pに転写されたトナー画像を定着する定着装置9と、用紙Pを装置外に排出する排紙装置10と、を備える。
【0017】
転写装置8は、複数のローラによって張架された中間転写体としての無端状の中間転写ベルト11と、各感光体2上のトナー画像を中間転写ベルト11へ転写する一次転写部材としての4つの一次転写ローラ12と、中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像を用紙Pへ転写する二次転写部材としての二次転写ローラ13と、を有する。複数の一次転写ローラ12は、それぞれ、中間転写ベルト11を介して感光体2に接触している。
これにより、中間転写ベルト11と各感光体2とが互いに接触し、これらの間に一次転写ニップが形成されている。一方、二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して中間転写ベルト11を張架するローラの1つに接触している。これにより、二次転写ローラ13と中間転写ベルト11との間には二次転写ニップが形成されている。
【0018】
また、画像形成装置100内には、給紙装置7から送り出された用紙Pが搬送される用紙搬送路14が形成されている。この用紙搬送路14における給紙装置7から二次転写ニップ(二次転写ローラ13)に至るまでの途中には、一対のタイミングローラ15が設けられている。
【0019】
(画像形成装置の印刷動作)
次に、
図1を参照して画像形成装置の印刷動作について説明する。
印刷動作開始の指示があると、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkにおいては、感光体2が
図1の時計回りに回転駆動され、帯電装置3によって感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。
【0020】
次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に基づいて、露光装置6が各感光体2の表面を露光することで、露光された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4からトナーが供給され、各感光体2上にトナー画像が形成される。
【0021】
各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、
図1の反時計回りに回転駆動する中間転写ベルト11に順次重なり合うように転写される。そして、中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、二次転写ニップにおいて搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0022】
この用紙Pは、給紙装置7から供給されたものである。給紙装置7から供給された用紙Pは、タイミングローラ15によって一旦停止された後、中間転写ベルト11上のトナー画像が二次転写ニップに至るタイミングに合わせて二次転写ニップへ搬送される。
かくして、用紙P上にフルカラーのトナー画像が担持される。また、トナー画像が転写された後、各感光体2上に残留するトナーは各クリーニング装置5によって除去される。
【0023】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置9へと搬送され、定着装置9によって用紙Pにトナー画像が定着される。その後、用紙Pは排紙装置10によって装置外に排出されて、一連の印刷動作が完了する。
【0024】
(定着装置)
図2は、本発明の一実施形態に係る定着装置9の概略構成図である。
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、回転可能な無端状の定着部材(以下、「定着ベルト」ともいう)20と、定着部材20の外側から当接する加圧部材(以下、「加圧ローラ」ともいう)21と、定着部材20の内側に配設され、定着部材20を介して加圧部材21とでニップ部Nを形成するニップ形成部材23と、ニップ形成部材23を支持する補強部材(以下、「ステー」ともいう)24と、一端が補強部材24に固定された付勢部材40と、少なくとも定着部材20を加熱する加熱部材(以下、「ヒータ」ともいう)22と、を備えている。
図2に示す例では、さらに温度検知部材25を備えている。
図2中、定着ベルト20と加圧ローラ21の回転方向を矢印で示している。また、用紙Pの搬送方向をDで示している。
【0025】
定着ベルト20は、例えば外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト20の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFEなどのフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。
【0026】
基体と離型層の間に厚さ50~500μmのゴムなどからなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト20の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト20の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
【0027】
加圧ローラ21は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金21aと、この芯金21aの表面に形成された弾性層21bと、弾性層21bの外側に形成された離型層21cとで構成されている。弾性層21bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。
【0028】
弾性層21bの表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層21cを形成するのが望ましい。なお、定着ベルト20の外周面に対向する対向部材として、加圧ローラ21に代えて無端状の加圧ベルトなどの部材を適用することも可能である。
【0029】
ヒータ22は、定着ベルト20の幅方向に渡って長手状に設けられ、定着ベルト20の内周面に接触するように配置されている。ヒータ22は、定着ベルト20に対して非接触、あるいは低摩擦シートなどを介して間接的に接触する場合であってもよいが、ヒータ22を定着ベルト20に対して直接接触させる方が定着ベルト20への熱伝達効率がよくなる。
【0030】
また、ヒータ22を定着ベルト20の外周面に接触させることもできるが、定着ベルト20の外周面がヒータ22との接触により傷付くと定着品質が低下する虞があるため、ヒータ22は定着ベルト20の内周面に接触している方がよい。ヒータ22は、基材層50と、発熱部60を有する導体層51と、絶縁層52と、がニップ形成部材23側からニップ部N側に向かって順次積層されて構成されている。
【0031】
本実施形態において、ニップ形成部材23は板状のヒータ22を保持するヒータホルダを兼ねている。
ニップ形成部材23の形状や機能はこれに限定されず、例えば、ハロゲンヒータ等で直接定着部材を加熱するDH定着方式やFBN方式の定着装置においてはパッド部材、ニップ板加熱方式の定着装置においてはニップ板部材としての態様が挙げられる。
【0032】
ニップ形成部材23及びステー24は、定着ベルト20の内周側に配置されている。
ステー24は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着装置9の両側壁部に支持されている。ステー24によってニップ形成部材23のヒータ22側とは反対側の面が支持されていることで、ヒータ22及びニップ形成部材23は加圧ローラ21の加圧力に対して大きく撓むことなく保たれ、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。
【0033】
ニップ形成部材23は、ヒータ22の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが望ましい。例えば、ニップ形成部材23をLCPやPEEKなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ22からニップ形成部材23への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト20を加熱することが可能である。
前記耐熱性樹脂は、LCP樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂から選択することができる。これら耐熱性樹脂でニップ形成部材23を成形する場合、耐熱性樹脂をホルダ長手方向に押し出した押出成形品とすることができる。
【0034】
加圧ローラ21と定着ベルト20とは互いに圧接されている。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。また、加圧ローラ21は、画像形成装置本体103に設けられた駆動手段から駆動力が伝達されて回転駆動する駆動ローラとして機能する。
一方、定着ベルト20は、加圧ローラ21の回転に伴って従動回転するように構成されている。回転時、定着ベルト20はヒータ22に対して摺動するので、定着ベルト20の摺動性を高めるため、ヒータ22と定着ベルト20との間にオイルやグリースなどの潤滑剤を介在させてもよい。
【0035】
印刷動作が開始されると、加圧ローラ21が回転駆動され、定着ベルト20が従動回転を開始する。また、ヒータ22に電力が供給されることで、定着ベルト20が加熱される。そして、定着ベルト20の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、
図2に示すように、未定着トナー画像が担持された用紙Pが、定着ベルト20と加圧ローラ21との間(ニップ部N)に搬送されることで、未定着トナー画像が加熱及び加圧されて用紙Pに定着される。
【0036】
(ヒータの構成)
図3は、加熱部材であるヒータ22の平面図である。なお、以下の説明において、ヒータ22に対する、定着ベルト20側(ニップ部N側)を「表側」と称し、ニップ形成部材23側を「裏側」と称して説明する。
ヒータ22は、板状の基材層50と、基材層50の表側に設けられた導体層と、導体層の表側を被覆する絶縁層52との、複数の構成層が積層されて構成されている。
導体層は、面状の抵抗発熱体で構成された複数の発熱部60と、基材層50の長手方向両端部側に設けられた複数の電極部61と、電極部61と発熱部60とを接続する複数の給電線62と、で構成されている。
図3に示すように、各電極部61は、後述のコネクタとの接続を確保するため、少なくとも一部が絶縁層52によって被覆されておらず露出した状態となっている。
【0037】
基材層50は、アルミナや窒化アルミナなどのセラミック、ガラスなど絶縁材料で構成されている。また、基材層50を、ステンレス(SUS)や鉄、銅、アルミニウムなどの金属材料で構成し、基材層50と導体層との間に別途絶縁層を設けて絶縁性を確保してもよい。
金属材料は、急速加熱に対する耐久性に優れ、加工もしやすいため、低コスト化を図るのに好適である。中でも、アルミニウムや銅は熱伝導性が高く、温度ムラが発生しにくい点で好ましい。また、ステンレスはこれらに比べて安価に製造できる利点がある。
【0038】
絶縁層52は、耐熱性ガラスで構成されている。その他に、絶縁層52の材料として、セラミックあるいはポリイミド(PI)などを用いることも可能である。
【0039】
各発熱部60は、例えば、銀パラジウム(AgPd)やガラス粉末などを調合したペーストをスクリーン印刷などにより基材層50に塗工し、その後、当該基材層50を焼成することによって形成することができる。発熱部60の材料として、これら以外に、銀合金(AgPt)や酸化ルテニウム(RuO2)の抵抗材料を用いてもよい。
【0040】
給電線62は、発熱部60よりも小さい抵抗値の導体で構成されている。給電線62や電極部61の材料としては、銀(Ag)もしくは銀パラジウム(AgPd)などを用いることができる。このような材料をスクリーン印刷するなどによって給電線62や電極部61を形成することが可能である。
【0041】
本実施形態では、発熱部60が基材層50の表側に設けられているが、反対に、発熱部60を基材層50の裏側に設けてもよい。その場合、発熱部60の熱が基材層50を介して定着ベルト20に伝達されることになるため、基材層50は窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料で構成されることが望ましい。また、基材層50を熱伝導率の良い材料で構成することで、発熱部60を基材層50の裏側に配置しても、定着ベルト20を十分に加熱することが可能である。
【0042】
また、本実施形態では、発熱部60や電極部61及び給電線62に銀やパラジウムなどの合金を用い、PTC特性(正の抵抗温度係数)を有するものとした。PTC特性とは、温度が高くなると抵抗値が高くなる(一定電圧をかけた場合に、ヒータ出力が下がる)特性である。
PTC特性を有する発熱部60とすることで、低温では高出力によって高速で立ち上がり、高温では低出力により過昇温を抑制することができる。例えば、PTC特性のTCR係数を300~4000ppm/度程度にすれば、ヒータに必要な抵抗値を確保しながら、低コスト化を図れる。
より好ましくは、TCR係数を500~2000ppm/度とするのがよい。TCR係数は、25度と125度とで抵抗値を測定することにより算出することができる。例えば、100度温度上昇して抵抗値が10%上昇していれば、TCR係数は1000ppm/度である。
【0043】
また、本実施形態では、発熱部60が、基材層50の長手方向に渡って3つ設けられている。3つの発熱部60のうちの1つは、基材層50の長手方向中央に配置された第1発熱部としての中央発熱部60Aであり、残りの2つは、中央発熱部60Aの長手方向両側に配置された第2発熱部としての端部発熱部60Bである。中央発熱部60Aと端部発熱部60Bとは、互いに独立して発熱制御可能に構成されている。
図3において、複数の電極部61を、左から順に、第1電極部61A、第2電極部61B、第3電極部61C、第4電極部61Dとすると、第2電極部61B及び第4電極部61Dに電圧を印加した場合、中央発熱部60Aのみが発熱する。また、第1電極部61A及び第2電極部61Bに電圧を印加した場合は、
図3の左側の端部発熱部60Bのみが発熱し、第2電極部61Bと第3電極部61Cに電圧を印加した場合は、
図3の右側の端部発熱部60Bのみが発熱する。
【0044】
また、第1電極部61Aと第3電極部61Cとを外部で並列に接続し同時に電圧を印加できるようにしておけば、これらの電極部61A,61Cと第2電極部61Bとに電圧を印加することで、両方の端部発熱部60Bを同時に発熱させることが可能である。なお、
図3中の矢印は、各発熱部60A,60Bの長手方向に流れる電流の方向を示す。
【0045】
通紙する用紙Pの幅が、中央発熱部60Aの幅W1以下である場合は、中央発熱部60Aのみ発熱させ、また、通紙する用紙Pの幅が、中央発熱部60Aの幅W1よりも大きい幅である場合は、中央発熱部60Aに加えて各端部発熱部60Bをそれぞれ発熱させることで、通紙領域の大きさに応じて発熱領域の大きさを変更することができる。さらに、中央発熱部60Aの幅W1を、小サイズの用紙幅(例えば、A4紙幅:215mm)に合わせ、一方の端部発熱部60Bから他方の端部発熱部60Bまでを含む発熱領域の幅W2を、大サイズの用紙幅(例えば、A3紙幅:301mm)に合わせることで、これらの用紙Pを通紙する際は、非通紙領域における過度な温度上昇が生じにくくなるので(発熱部60A,60B上の非通紙領域がほとんど生じないので)、印刷生産性を高めることができる。
【0046】
また、
図3に示すように、本実施形態において、各発熱部60A,60Bは、それぞれの両端部において、通紙方向(用紙Pの搬送方向D)に対して傾斜する傾斜部601を有している。また、互いに隣り合う傾斜部601の少なくとも一部は、ヒータ22の長手方向(
図3の左右方向)に渡って互いにオーバーラップしており、長手方向の同じ領域G(
図3の拡大図参照)内に配置されている。このように、傾斜部601同士がオーバーラップして配置されていることで、発熱部60A,60B同士の間での温度の低下を抑制でき、紙幅方向の定着ムラを低減できる。
【0047】
(温度検知部材)
温度検知部材25によって検知された温度情報は、各発熱部60A,60Bの発熱を制御する制御部へ送られ、送られた温度情報に基づき各発熱部60A,60Bが個別に制御される。これにより、ニップ部Nの温度が予め設定された目標の温度(定着温度)となるように制御される。
温度検知部材25の温度検知部は、中央発熱部60Aの幅W1内のさらに小サイズ通紙領域内に配置されていることが好ましい。
また、中央発熱部60Aの幅W1よりも小さい幅サイズの用紙が複数種類ある場合は、その中でも最小幅用紙の通紙領域内に、温度検知部材25の温度検知部を配置することで、中央発熱部60A上を通過するあらゆるサイズの通紙領域の温度を温度検知部材25によって検知することができるようになる。
【0048】
図2は、温度検知部材25がニップ形成部材23に対して取り付けられた状態の一例を示している。
温度検知部材25は、ニップ形成部材23に設けられた貫通孔状(枠状)又は溝状の収容部23a内に収容される。
温度検知部材25に設けられた凹状の係合部等に、ニップ形成部材23に設けられた凸状の係合部が挿入されることにより、ニップ形成部材23に対する温度検知部材25の位置が規制される位置決め機構を備える態様とすることができる。
【0049】
ニップ形成部材23に形成された収容部23a内に温度検知部材25が配置されることで、温度検知部材25がヒータ22に近接または当接する。温度検知部材25とヒータ22との間にアルミニウムやグラファイトなどで構成される高熱伝導部材を配置し、この高熱伝導部材(及び絶縁シート等)を介して接触する構成とすることができる。
【0050】
補強部材であるステー24は、温度検知部材25を付勢する付勢部材40としての一対のコイルばねを支持する部材である。
温度検知部材25は、付勢部材40によりニップ形成部材23やヒータ22に向かって付勢され、所定の圧力で接触する。
各付勢部材40の一端は補強部材に固定され、他端が温度検知部材25に固定される。付勢部材40の温度検知部材25に固定される端部は、例えば、温度検知部材に設けられた位置決め用の突起等に挿入されて位置決めされることで、位置ずれや座屈が防止され、安定した接触圧を付与することができる。
【0051】
<第一の実施形態>
図4及び
図5に基づき、ニップ形成部材23と補強部材(ステー)24との係合について説明する。
図4は従来例の係合を示す模式図であり、
図5は本発明に係る第一の実施形態の係合を示す模式図である。
なお、以下の各図において、ニップ形成部材23と補強部材24の長手方向の一方側面を示して説明するが、基本的に反対面側も同様の構成を有する。
【0052】
本実施形態において、ニップ形成部材23は、長手方向の両端部または両端部以外の領域の少なくとも1箇所に、補強部材(ステー)24の係合部Eと係合する被係合部23bを有し、長手方向の一方端部にのみ被係合部23bを有する場合(従来例)よりも、補強部材24との係合により付与される回転モーメントが小さい。
【0053】
付勢部材40は、短手方向においてニップ形成部材23を補強部材24から離間する方向に付勢する。
上述のように、加熱部材(ヒータ)22の温度を検知する温度検知部材25を備える態様において、付勢部材40が温度検知部材25をニップ形成部材23に向けて付勢する。
【0054】
ニップ形成部材23は、温度検知部材25を収容する貫通孔状の収容部23aを有し、
収容部23aの内壁は、温度検知部材25と当接しないことが好ましい。
【0055】
本実施形態の定着装置では、
図5に示すように、付勢部材40により付勢される領域と、ニップ形成部材23の端部のうち付勢される領域と近い端部との長手方向における距離をL2とし、付勢される領域と、ニップ形成部材23の被係合部23bとの長手方向における距離をL3としたとき、L3<L2/2の関係を満たしている。
なお、付勢部材により付勢される領域は、その長手方向の中央を基準とする。
L3の値は小さい程、係合時にニップ形成部材23に付与される回転モーメントが小さくなるため好ましい。
【0056】
図4に示す従来例において、ニップ形成部材23の被係合部23bと、補強部材24の係合部Eとが係合する係合部位における回転モーメントM
0は、以下の式で求められる。
M
0=F×L1
(L1は、付勢部材40により付勢される領域と、ニップ形成部材23の一方端部に設けられたと被係合部23bとの長手方向における距離である。)
一方、
図5に示す本実施形態における回転モーメントMは、以下の式で求められる。
M=F×L3
(L3は、付勢部材40により付勢される領域と、ニップ形成部材23の被係合部23bとの長手方向における距離である。)
各回転モーメントの値は、M
0>Mの関係を満たす。
【0057】
本実施形態に係る定着装置は、ニップ形成部材23の両端部以外の領域に補強部材24の係合部Eと係合する被係合部23bを有し、ニップ形成部材23の一方端部にのみ被係合部23bが設けられた従来例よりも、係合によりニップ形成部材23に付与される回転モーメントが小さい。
これにより、組立て工程や組立て後の輸送時おいて、補強部材24と係合したニップ形成部材23が安定に保持され、脱落が防止される。ニップ形成部材23の脱落が防止されることにより、キンクの発生、さらにキンクの発生に起因した印刷時の画像不良や定着ベルトの破断等を防止することができる。
【0058】
<第二の実施形態>
図6に基づき、ニップ形成部材23と補強部材(ステー)24との係合の第二の実施形態について説明する。
本実施形態は、第一の実施形態と同様、ニップ形成部材23が長手方向の両端部以外の領域に、補強部材(ステー)24の係合部Eと係合する被係合部23bを有し、長手方向の一方端部にのみ被係合部23bを有する場合(従来例)よりも、補強部材24との係合により付与される回転モーメントが小さい。
【0059】
図6に示すように、本実施形態では、付勢部材40により付勢される部位と、ニップ形成部材23の被係合部23aとが、短手方向において重なる位置にある。
これにより、係合部位における逆向きのFが釣り合い、回転モーメントはゼロとなる。
すなわち、
図4で示した従来の回転モーメントの値よりも小さい。
よって、第一の実施形態と同様、補強部材24と係合したニップ形成部材23が安定に保持され、脱落及びそれに伴う不具合の発生を防止することができる。
【0060】
<第三の実施形態>
本発明に係る定着装置において、補強部材24の係合部Eとニップ形成部材23の被係合部23bとが係合する係合部位を長手方向に有する構成とすることができる。
図7に基づき、ニップ形成部材23と補強部材(ステー)24との係合の第三の実施形態について説明する。
本実施形態は、ニップ形成部材23が、長手方向に補強部材(ステー)24の係合部Eと係合する被係合部23bを複数有し、長手方向の一方端部にのみ被係合部23bを有する場合(従来例)よりも、補強部材24との係合により付与される回転モーメントが小さい。
【0061】
係合部位は、
図7に示すように付勢部材40により付勢される領域を基準として、長手方向の一方端側に少なくとも1つ、及び他方端側に少なくとも1つ有していることが好ましい。具体的には、長手方向の両端部に設けられることが好ましい。
【0062】
図7の図中左側の係合部位は、付勢部材40により付勢される領域から長手方向にL1の距離にあるニップ形成部材23の被係合部23bと、補強部材24の係合部E1とが係合する部位である。また、
図7の図中右側の係合部位は、付勢部材40により付勢される領域から長手方向にL4の距離にあるニップ形成部材23の被係合部23bと、補強部材24の係合部E2とが係合する部位である。
【0063】
係合部E1による係合部位における回転モーメントM1は、以下の式で求められる。
M1=F×L1-F×L1/(L1+L4)×(L1+L4)=0
また、係合部E2による係合部位における回転モーメントM2は、以下の式で求められる。
M2=F×L4-F×L4/(L1+L4)×(L1+L4)=0
以上のように、本実施形態では、長手方向の一方端部にのみ被係合部23bを有する場合(従来例)よりも、補強部材24との係合によりニップ形成部材23に付与される回転モーメントが小さい。
よって、第一の実施形態と同様、補強部材24と係合したニップ形成部材23が安定に保持され、脱落及びそれに伴う不具合の発生を防止することができる。
【0064】
<第四の実施形態>
上述の第一及び第二の実施形態は、長手方向に係合部位が1箇所設けられた例であり、第三の実施形態は、長手方向に係合部位が2箇所設けられた例である。
補強部材24の係合部Eとニップ形成部材23の被係合部23bとが係合するこれらの係合部位のうち、係合により位置決め固定がなされる係合部位を少なくとも1つ有することが好ましい。
【0065】
補強部材24とニップ形成部材23は、長手方向にスライド移動させて組立てが行われ、組立て工程後は位置決め固定されることが好ましい。
本実施形態では、少なくとも1つの係合部位において補強部材24とニップ形成部材23とが係合固定される構成を有する。
【0066】
位置決め固定の態様の一例を
図9に基づき説明する。
図9は、補強部材24が、ニップ形成部材23の被係合部23bに対してスナップフィットにより係合するスナップフィット係合部24aを有している係合部位の一例を示す部分拡大図である。
例えば、
図5に示す第一の実施形態、
図6に示す第二の実施形態、及び
図7に示す第三の実施形態において、図中符号24aで示す補強部材の係合部は、このようなスナップフィット係合部であることが好ましい。
【0067】
位置決め固定の方法としては、スナップフィット形式に限定されず、長手方向における補強部材24とニップ形成部材23との相対的な移動において、所定位置までスライド移動させると、その後は逆方向の移動が規制されるようなものであれば特に限定されない。
【0068】
ヒータ22の温度を検知する温度検知部材25を備える態様において、ニップ形成部材23は、温度検知部材25を収容する貫通孔状の収容部23aを有している。
この収容部23aの内壁は、温度検知部材25と組立て時及び組立て後において当接しないことが好ましい。
例えば、
図8に示すように、収容部23aの長手方向の全長はS1であるが、このうちS2は、組立て時におけるニップ形成部材のスライド移動において温度検知部材25と干渉しないように設けられたスペースである。
【0069】
また、収容部23aは、ニップ形成部材23の長手方向の径が短手方向の径よりも大きい形状であることが好ましい。
【0070】
本実施形態では、ニップ形成部材23が板状のヒータ22を保持し、該ヒータ22により定着ベルト20を加熱する態様を示したが、補強部材24とニップ形成部材23との係合形態については、他の加熱方式の定着装置においても適用することができる。
【0071】
本実施形態において、ニップ形成部材23は、補強部材24に設けられた付勢部材40により直接、または温度検知部材25を介して付勢されることにより、撓みが生じている。同様に、補強部材24も付勢部材40からの負荷を受けて撓みが生じている。
そこで、撓みによるニップ偏差を調整可能な形状を有することが好ましい。
【0072】
例えば、補強部材24を、長手方向の中央部が長手方向の両端部よりもニップ形成部材23と対向する方向に突出している形状とすることができる。
また、ニップ形成部材23は、長手方向の中央部が長手方向の両端部よりも補強部材24と対向する方向に突出している形状とすることができる。
【0073】
本発明に係る定着装置は、補強部材24とニップ形成部材23との係合態様として上述の実施形態に示す構成を有することにより、組立て工程や組立て後の輸送時おいてニップ形成部材23が脱落することなく、脱落に起因した不具合や画像不良の発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0074】
9 定着装置
20 定着部材(定着ベルト)
21 加圧部材(加圧ローラ)
22 加熱部材(ヒータ)
23 ニップ形成部材
23a 収容部
24 補強部材(ステー)
25 温度検知部材
25a 収容部
40 付勢部材
100 画像形成装置
N ニップ部
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】