(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】紫外光照射システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20241119BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A61L2/10
G02B6/26
(21)【出願番号】P 2022556319
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 JP2020039661
(87)【国際公開番号】W WO2022085142
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】岩城 亜弥子
(72)【発明者】
【氏名】中島 和秀
(72)【発明者】
【氏名】半澤 信智
(72)【発明者】
【氏名】松井 隆
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 悠途
(72)【発明者】
【氏名】深井 千里
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-007232(JP,A)
【文献】特開2015-087614(JP,A)
【文献】特開2016-057447(JP,A)
【文献】特開2011-237782(JP,A)
【文献】特開昭56-051713(JP,A)
【文献】特開2020-170520(JP,A)
【文献】特開2005-013723(JP,A)
【文献】特開2019-075450(JP,A)
【文献】特開2014-081596(JP,A)
【文献】特開2015-045705(JP,A)
【文献】特開2005-043673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
G02B 6/26
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を伝搬する
複数のコアを有する光伝送部と、
それぞれの
コアへ紫外光を入力する紫外光源部と、
一定周期かつラウンドロビンで各コアに対して前記紫外光が入力されるように前記紫外光源部を制御し、または、対象箇所の状況に応じて各コアに対して前記紫外光が入力されるように前記紫外光源部を制御する、出力制御部と、
前記複数の
コアで伝搬された前記紫外光を
集約し対象箇所に照射する
単一の照射部と、
を備える紫外光照射システム。
【請求項2】
前記
光伝送部は、
マルチコア光ファイバ、又は
複数のシングルコア光ファイバが束ねられた第1の光ケーブル、又は
マルチコア光ファイバが束ねられた第2の光ケーブル、
の少なくともいずれかを用いて構成され、
前記マルチコア光ファイバ、前記第1の光ケーブル又は前記第2の光ケーブルの少なくともいずれかが、単一の前記照射部に接続されている、
請求項1に記載の紫外光照射システム。
【請求項3】
複数の前記照射部を備え、
前記光伝送部は、前記マルチコア光ファイバ、前記第1の光ケーブル又は前記第2の光ケーブルに備わるコアごとに備わり、前記マルチコア光ファイバ、前記第1の光ケーブル又は前記第2の光ケーブルに備わる各コアで伝搬された紫外光を複数に分配する第1の光分配部をさらに備え、
複数の前記照射部のそれぞれが、前記第1の光分配部と接続され、前記第1の光分配部で分配された各紫外光を対象箇所に照射する、
請求項2に記載の紫外光照射システム。
【請求項4】
前記光伝送部は、マルチコア光ファイバが束ねられた第2の光ケーブルを前記第2の光ケーブルに備わる各マルチコア光ファイバにファンアウトする第2の光分配部をさらに備え、
前記第2の光分配部でファンアウトされた各マルチコア光ファイバが、異なる前記照射部に接続されている、
請求項2又は3に記載の紫外光照射システム。
【請求項5】
前記
光伝送部が、
クラッドよりも屈折率の高いコアを有する充実コア型光ファイバ、又は
複数のコア間の光波結合で光を導波する結合コア型光ファイバ、又は
クラッドよりも屈折率の高いコアの外周に複数の空孔を有する空孔アシスト型光ファイバ、又は
空孔で囲まれる領域に光を導波する空孔構造光ファイバ、又は
空孔で囲まれる中空コアに光を導波する中空コア型空孔構造光ファイバ、又は
これらの少なくともいずれかの光ファイバが同一光ファイバ断面内に複数個配置されたマルチコア光ファイバ
を用いて構成されている、
請求項1から4のいずれかに記載の紫外光照射システム。
【請求項6】
複数のコアを有する光伝送部を用いて紫外光源部が出力する紫外光を照射部から対象箇所に照射するときに、
出力制御部が、一定周期かつラウンドロビンで各コアに対して前記紫外光が入力されるように前記紫外光源部を制御し、または、対象箇所の状況に応じて各コアに対して前記紫外光が入力されるように前記紫外光源部を制御し、
前記複数のコアからの前記紫外光を集約し前記対象箇所に照射する単一の照射部に前記紫外光を伝搬することを特徴とする紫外光照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は紫外光を用いた殺菌に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紫外光を用いた殺菌に、紫外光を照射する自律移動型ロボットや、屋内の所定の場所に設置し屋内の空気を循環させながら殺菌する据え置き型空気清浄機、紫外光源を搭載したポータブル殺菌器、がある。しかし、従来の紫外光を用いた殺菌は、大掛かりになり高価であったり、必要な場所に直接照射できなかったり、使用にあたって高いスキルを要するといった課題あった。
【0003】
これらに対して、細くて曲げやすい光ファイバを用いたシステムが考えられる(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、紫外光の伝送に光ファイバを用いる場合、光ファイバの伝送特性が劣化する課題がある。具体的には、紫外領域の高エネルギーの光を伝送することで、コアガラス内の欠陥が発生し、伝送損失特性が経時劣化してしまう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】馬場ら,「紫外専用耐熱光ファイバの開発(2)」,三菱電線工業時報,第100号,pp.84-88,2003年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、紫外光の伝送によるファイバの伝送特性の劣化を緩和し、劣化が生じた光ファイバの頻繁な取り換えによる運用の煩雑を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る紫外光照射システムは、
複数の光伝送路を用いて紫外光を伝搬する光伝送部と、
任意のパワーでそれぞれの光伝送路へ紫外光を入力する紫外光源部と、
前記複数の光伝送路で伝搬された前記紫外光を対象箇所に照射する照射部と、
を備える。
【0007】
本開示に係る紫外光照射方法は、
紫外光源部が出力する紫外光を照射部から対象箇所に照射するときに、
複数の光伝送路を用いて単一の照射部に前記紫外光を伝搬する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、紫外光の伝送によるファイバの伝送特性の劣化を緩和することができ、劣化が生じた光ファイバの頻繁な取り換えによる運用の煩雑を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5A】シングルコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図5B】シングルコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図5C】シングルコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図5D】シングルコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図5E】シングルコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図6A】マルチコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図6B】マルチコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図6C】マルチコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図6D】マルチコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【
図6E】マルチコア光ファイバの構成パターンの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態の紫外光照射システムは、
紫外光を発生させる紫外光源部10と、
前記紫外光を対象箇所steに照射する照射部20と、
紫外光源部10から照射部20へ紫外光を伝搬する光伝送部30と、
を備える。
【0012】
光伝送部30は、光伝送路として機能するK本のコア31-1,31-2,・・・31-Kを有する。紫外光源部10は、任意のタイミング、任意のパワーで、光伝送部30に備わる各コア31-1,31-2,・・・31-Kに紫外光を入力する。コア31の数Kは、2以上の任意の数である。本開示では、コア31-1,31-2,・・・31-Kを区別する必要のない場合にはコア31と記載する。
【0013】
照射部20は、各コア31で伝送された紫外光を、殺菌を行う対象箇所steに照射する。照射部20は、対象箇所steに照射可能な任意の構成を備え、例えば紫外領域の波長を透過するよう設計されたレンズなどの光学系を備える。
【0014】
図2から
図4に、光伝送部30の構成例を示す。光伝送部30は、複数のコア31を有する任意の形態を用いることができる。例えば、
図2に示すような複数のシングルコア光ファイバ33を有する光ケーブル35、
図3に示すような複数のコア31を有するマルチコア光ファイバ34、
図4に示すような複数のマルチコア光ファイバ34を有する光ケーブル36、が例示できる。光ケーブル35が第1の光ケーブルとして機能し、光ケーブル36が第2の光ケーブルとして機能する。なお、光ケーブル35及び36内の光ファイバは、テープ状になっていてもよい。また一つのケーブル内にシングルコア光ファイバとマルチコア光ファイバが備わっていてもよい。
【0015】
光伝送部30は、複数のコア31を用いて、紫外光をそれぞれの照射部20まで伝送する。本開示の光伝送部30は、細くて曲げやすいため、従来技術のロボット/装置が入り込めない細かい場所などにも敷設することができる。
【0016】
シングルコア光ファイバ33は、導波領域であるコア31が1つの光ファイバである。マルチコア光ファイバは、少なくとも2つ以上の導波領域を有する光ファイバであって、前記導波領域を選択的に利用することを特徴とする光ファイバである(マルチコア光ファイバもしくは結合型マルチコア光ファイバ)。このように、本開示では、光ファイバに備わる1以上の導波領域を用いて、複数の光伝送路を構成する。
【0017】
図5A~
図5Eに、シングルコア光ファイバ33の構成例を記載する。
シングルコア光ファイバ33は、例えば、
図5Aに示すような、導波領域が、クラッド32よりも屈折率の高い単一のコア31で構成される充実コア型光ファイバである。「充実」とは「空洞ではない」という意味である。尚、充実コアは、クラッド内に円環状の低屈折率領域を形成することでも実現できる。
【0018】
シングルコア光ファイバ33は、例えば、
図5Bに示すような、導波領域が、コア間結合を有する少なくとも2個以上のコア31で構成され、複数のコア31間の光波結合で光を導波する結合コア型光ファイバである。
【0019】
シングルコア光ファイバ33は、例えば、
図5Cに示すような、導波領域が、独立した1個のコア31と、前記1個のコア31の外周に等間隔に配置された複数個の空孔37とで構成される空孔アシスト型光ファイバである。空孔の媒質は空気であり、空気の屈折率は石英系ガラスに比べ十分小さい。このため、空孔アシスト型光ファイバは、曲げなどでコアから漏れた光を再びコアに戻す機能があり、曲げ損失が小さいという特徴がある。
【0020】
シングルコア光ファイバ33は、例えば、
図5Dに示すような、導波領域が、クラッド32内に設けられた複数の空孔37で構成され、複数の空孔37で囲まれたクラッド32がコア31として機能する空孔構造光ファイバである。本構造は、フォトニック結晶ファイバと呼ばれる。本構造では、屈折率を変化させた高屈折率コアが存在しない構造をとることができ、空孔に取り囲まれた領域を実効的なコア領域として、光を閉じ込めることができる。充実コアを有する光ファイバに比べ、フォトニック結晶ファイバは、コアの添加剤による吸収や散乱損失の影響を低減することができるとともに、曲げ損失の低減や非線形効果の制御等、充実型光ファイバでは実現し得ない光学特性を実現できる。
【0021】
シングルコア光ファイバ33は、例えば、
図5Eに示すような、導波領域が、クラッド32内に設けられた空孔37で囲まれる空洞38に光を導波する中空コア型空孔構造光ファイバである。この光ファイバは、コア領域が空気で形成される。クラッド領域に複数の空孔によるフォトニックバンドギャップ構造もしくはガラス細線によるアンチレゾナント構造をとることによって光をコア領域に閉じ込めることができる。この光ファイバは、非線形効果が小さく、高出力または高エネルギーレーザ供給が可能である。
【0022】
図6A~
図6Eに、6個の導波領域を有するマルチコア光ファイバ34の構成例を記載する。マルチコア光ファイバ34は、
図5A~
図5Eに示す少なくともいずれかの導波領域が同一光ファイバ断面内に複数個配置された構造を有する。
マルチコア光ファイバは、例えば、
図6Aに示すような、各導波領域が、独立した1個のコア31で構成される光ファイバである。この光ファイバは、充実コア52間で光波結合を十分小さくして光波結合の影響が無視できる状態で光を導波する。
マルチコア光ファイバは、例えば、
図6Bに示すような、各導波領域が、コア間結合を有する少なくとも2個以上のコア31で構成される結合コア型マルチコア光ファイバである。
マルチコア光ファイバは、例えば、
図6Cに示すような、各導波領域が、独立した1個のコア31と、前記1個のコア31の外周に等間隔に配置された複数個の空孔37とで構成される空孔アシスト型マルチコア光ファイバである。
マルチコア光ファイバは、例えば、
図6Dに示すような、各導波領域が、クラッド32内に設けられた複数の空孔37で構成され、複数の空孔37で囲まれたクラッド32がコア31として機能する空孔構造マルチコア光ファイバである。
マルチコア光ファイバは、例えば、
図6Eに示すような、各導波領域が、クラッド32内に設けられた空孔37で囲まれる空洞38で構成されている中空コア型空孔構造マルチコア光ファイバである。
なお、マルチコア光ファイバ34のコア数は2以上の任意の数を採用することができる。
【0023】
図7A及び
図7Bを参照して紫外光源部10の構成について説明する。紫外光源部10は、菌やウイルスの不活性化や分解に有効である紫外領域を含む光を出力する。紫外光源部10の出力する波長は、紫外領域に限らず、白色光などの人によって視認可能な波長領域を含んでいてもよい。紫外光源部10は、出力、波長、波形(パルスなど)についてのパラメータを持ち、パラメータに応じた出力、波長、波形の紫外光を出力する。
【0024】
図7Aは、紫外光源部10が複数の光源11で構成される例を示す。紫外光源部10は、複数の光源11と、複数の光学系12と、出力制御部13とを備える。光学系12は、それぞれの光源11の出力光をレンズなどの光学系を用いてコア31に入力させる。コア31は、光ケーブル35内の1つのシングルコア光ファイバ33、又は、マルチコア光ファイバ34内の1つのコア31である。
【0025】
図7Bは、紫外光源部10が単一の光源11で構成される例を示す。紫外光源部10は、単一の光源11と、単一の光源11の出力を制御する光スイッチ14と、複数の光学系12と、出力制御部13と、を備える。光スイッチ14は、複数の出力ポートを有し、光源11から入力された紫外光を出力制御部13からの制御に応じた出力ポートに出力する。
【0026】
光源11は、紫外領域の光を出力可能な任意の手段であり、LDやLEDなどの半導体光源や、非線形光学を用いた光源、ランプ光源を用いることができる。出力制御部13は、以下のような方法で、各コア31への紫外光送信のon/offやパワー制御を行う。
・それぞれのコア31に対して、一定周期かつラウンドロビンで紫外光が出力されるよう制御する。
・殺菌・不活性化する対象箇所steの状況に応じて、各コア31への紫外光出力のon/offやパワーを制御する。
【0027】
なお、各コア31への入力パワーは同じであってもよいし、異なっていてもよい。また光学系12は、コア31からの戻り光が光源11へ戻ることを防ぐアイソレータを含んでいてもよい。また、本実施形態の光伝送部30に用いる光ファイバは、高エネルギーを伝送可能な大口径マルチモードファイバであってもよい。
【0028】
(第2の実施形態)
図8に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態の紫外光照射システムは、光伝送部30に第1の光分配部として機能する光分配部40Aが備わる。
【0029】
紫外光源部10と光分配部40Aは光伝送部30Aで接続され、光分配部40AはN個の照射部20-1、・・・20-NとN本の光伝送部30B-1、・・・30B-Nで接続されている。本開示では、照射部20-1、・・・20-Nを区別する必要のない場合には照射部20と記載し、光伝送部30B-1、・・・30B-Nを区別する必要のない場合には光伝送部30Bと記載する。
【0030】
光分配部40Aは、光伝送部30Aに備わる各コア31で伝搬された紫外光をコア31ごとにN分配する。このため、光伝送部30Bは、光伝送部30Aと同様に、複数のコア31を備える。光伝送部30A及び30Bは、第1の実施形態で説明した光伝送部30と同様、複数のシングルコア光ファイバ33を束ねた光ケーブル35、又は、複数のコア31を有するマルチコア光ファイバ34、又はマルチコア光ファイバ34を束ねた光ケーブル36を用いることができる。
【0031】
図9に、光分配部40Aの構成例を示す。光分配部40Aは、コア31ごとに光分配器41を備える。各光分配器41は、光伝送部30Aに備わる各コア31Aからの光をN分岐し、各光伝送部30B-1~30B-Nに備わるコア31Bに出力する。光分配器41は、光スプリッタなどの紫外光を分岐可能な任意のデバイスを用いることができる。
【0032】
光伝送部30B-1、・・・30B-Nは、紫外光をそれぞれの照射部20-1、・・・20-Nまで伝送する。光伝送部30B-1、・・・30B-Nは、従来技術のロボット/装置が入り込めない細かい場所などにも敷設することができる。
【0033】
(第3の実施形態)
図10に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態の紫外光照射システムは、光伝送部30に第2の光分配部として機能する光分配部40Bが備わる。
【0034】
紫外光源部10と光分配部40Bは光伝送部30Cで接続され、光分配部40BはM個の照射部20-1、・・・20-MとM本の光伝送部30D-1、・・・30D-Mで接続されている。本開示では、照射部20-1、・・・20-Mを区別する必要のない場合には照射部20と記載し、光伝送部30D-1、・・・30D-Mを区別する必要のない場合には光伝送部30Bと記載する。
【0035】
本実施形態では、光伝送部30Cは複数のマルチコア光ファイバ34を束ねた光ケーブル36であり、光伝送部30D-1、・・・30D-Mはマルチコア光ファイバ34である。光分配部40Bは、光伝送部30Cに備わるマルチコア光ファイバ34をファンアウトする。これにより、光分配部40Bは、紫外光源部10から伝送された紫外光を、複数のマルチコア光ファイバに分配する。
【0036】
例えば、光伝送部30CにM本のマルチコア光ファイバ34が備わる場合、光分配部40Bの入力側の光伝送部30Cに備わる光ケーブル内のM本のマルチコア光ファイバと、光分配部40の出力側の光伝送部30Dに備わるそれぞれのマルチコア光ファイバ34とを1:1で接続する。なお、ファンアウトは、光ケーブルの外被を除去し、各マルチコア光ファイバを取り出した構成であってもよい。
【0037】
光伝送部30D-1、・・・30D-Mは、紫外光をそれぞれの照射部20-1、・・・20-Mまで伝送する。光伝送部30C及び30Dは、従来技術のロボット/装置が入り込めない細かい場所などにも敷設することができる。なお、光伝送部30D-1、・・・30D-Mは、複数のシングルコア光ファイバ33を束ねた光ケーブル35であってもよい。
【0038】
(第4の実施形態)
図11に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態は、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせた構成を備える。具体的には、本実施形態の紫外光照射システムは、光伝送部30に光分配部40A及び40Bが備わる。紫外光源部10と光分配部40Bが光伝送部30Cで接続され、光分配部40Bと光分配部40Aが光伝送部30Dで接続され、光分配部40Aは複数の照射部20と光伝送部30Bで接続されている。
【0039】
光伝送部30Cは、複数のマルチコア光ファイバ34を束ねた光ケーブル36である。光伝送部30Dは、マルチコア光ファイバ34である。光伝送部30Bは、複数のシングルコア光ファイバ33を束ねた光ケーブル35、又はマルチコア光ファイバ34である。光伝送部30Dは、複数のシングルコア光ファイバ33を束ねた光ケーブル35であってもよい。
【0040】
光伝送部30Bは、紫外光をそれぞれの照射部20まで伝送する。光伝送部30C、30D及び30Bは、従来技術のロボット/装置が入り込めない細かい場所などにも敷設することができる。
【0041】
以上説明したように、本開示は以下の構成を備える。
紫外光源部10と、殺菌・不活性化する対象箇所steの付近に設置する照射部20とを、複数の光ファイバ(単一コア又はマルチコア)を束ねた光ケーブル、又は、マルチコア光ファイバで接続するシステム構成とする。
さらに、紫外光源部10において、複数の光ファイバ又はコアに送信する紫外光のOn/Off制御又はパワー制御を行う構成とする。
これにより、本開示のシステムは、紫外光の伝送による光ファイバの伝送特性劣化の問題を緩和して、効率的な運用が可能となる。
【0042】
(本開示の効果)
紫外光を用いた殺菌・不活性化システムにおいて、複数の光ファイバ(単一コアもしくはマルチコア)を束ねた光ケーブル、又は、マルチコア光ファイバを活用することで、経済的に所望の箇所を殺菌・不活性化可能なシステムを実現できる。
【符号の説明】
【0043】
10:紫外光源部
20、20-1、20-2、・・・、20-M、20-N:照射部
30、30A、30B、30B-1、30B-2、30B-N、30C、30D、30D-1、30D-2、30D-M:光伝送部
31、31-1,31-2,・・・31-K、31A、31B:コア
32:クラッド
33:シングルコア光ファイバ
34:マルチコア光ファイバ
35、36:光ケーブル
37:空孔
40A、40A-1、40A-2、40A-M、40B:光分配部
41:光分配器