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特許7589772アセタール構造を有する保護膜形成組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】アセタール構造を有する保護膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20241119BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20241119BHJP
   C08F 8/14 20060101ALI20241119BHJP
   C08F 20/32 20060101ALI20241119BHJP
   C08F 224/00 20060101ALI20241119BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20241119BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20241119BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/40 521
C08F8/14
C08F20/32
C08F224/00
H01L21/312 A
H01L21/306 B
H01L21/306 D
H01L21/306 E
H01L21/306 F
H01L21/306 G
H01L21/308
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023129136
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2019560547の分割
【原出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2023157924
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2017246143
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】染谷 安信
(72)【発明者】
【氏名】岸岡 高広
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-215727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
G03F 7/40
C08F 8/14
C08F 20/32
C08F 224/00
H01L 21/312
H01L 21/306
H01L 21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内にアセタール構造を少なくとも1つ以上含む化合物の重合体であってベンゾジオキソール基を側鎖に有する重合体と、溶剤とを含む、半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜としての保護膜を形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターン付き基板の製造方法であって、
前記半導体用ウエットエッチング液が塩基性過酸化水素水溶液である、
レジストパターン付き基板の製造方法
【請求項2】
前記重合体がアクリルポリマー、又はメタクリルポリマーである、請求項1に記載のレジストパターン付き基板の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜形成組成物が架橋触媒をさらに含む請求項1又は請求項2に記載のレジストパターン付き基板の製造方法。
【請求項4】
前記保護膜形成組成物が架橋剤をさらに含む請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレジストパターン付き基板の製造方法。
【請求項5】
前記保護膜形成組成物が界面活性剤をさらに含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のレジストパターン付き基板の製造方法。
【請求項6】
表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に、分子内にアセタール構造を少なくとも1つ以上含む化合物の重合体であってベンゾジオキソール基を側鎖に有する重合体と、溶剤とを含む半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、半導体用ウエットエッチング液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記半導体用ウエットエッチング液が塩基性過酸化水素水溶液である、
半導体装置の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造におけるリソグラフィープロセスにおいて、半導体用ウエットエッチング液、好ましくは塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性に優れた保護膜を形成するための組成物に関する。また、前記保護膜を適用したレジストパターン付き基板の製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、基板とその上に形成されるレジスト膜との間にレジスト下層膜を設け、所望の形状のレジストパターンを形成するリソグラフィープロセスは広く知られている。
特許文献1には、グリシジル基を有するポリマーと、ヒドロキシ基等で置換された芳香族基を有するポリマーとを含み、オーバーコートされたフォトレジストと共に用いるための反射防止コーティング組成物、及びそれによりフォトレジスト下層膜を成膜し、露光、現像、パターン形成を行う方法が開示されている。
特許文献2には、ヒドロキシ基等のエポキシ反応基を含む樹脂と、エポキシ基を含む架橋樹脂とを含む組成物を基材上に塗布し、その上にフォトレジスト層を形成することによるフォトレジストレリーフ像を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-107185号公報
【文献】特開2017-187764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レジスト下層膜をエッチングマスクとして用い、下地基板の加工をウェットエッチングで行う場合、レジスト下層膜には下地基板加工時にウェットエッチング液に対する良好なマスク機能が求められている。
従来、ウェットエッチング薬液の一種であるSC-1(アンモニア-過酸化水素溶液)に対する耐性を発現させるためには、ガリック酸を添加剤として適用する手法が用いられていた。
また、カテコール構造が半導体用ウエットエッチング液耐性改善効果を示すことが知られていたが(特許文献1及び2)、半導体用ウエットエッチング液耐性はまだ充分に満足できるものではなかった。
本発明の目的は、このような課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下を包含する。
[1] 分子内にアセタール構造を少なくとも1つ以上含む化合物、又はその重合体と、溶剤とを含む、半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
[2] 前記アセタール構造が、芳香族基の互いに隣り合うヒドロキシ基を保護する構造である、[1]に記載の保護膜形成組成物。
[3] 前記化合物が式(1):
【化1】
(式(1)中、
及びRはそれぞれ水素原子、又は置換されてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基若しくは炭素原子数6乃至40のアリール基であり、
は0、1、又は2であり、
は1、又は2であり、
は水素原子、又はヒドロキシ基を示し、
は、-CH(R)-A基を示し、
は、水素原子、1乃至3個のヒドロキシ基で置換されていてもよいフェニル基、又はベンゾジオキソール基を示し、
、及びAはそれぞれ同一又は異なる1価の有機基を示す。)
で示される部分構造を含む、[1]に記載の保護膜形成組成物。
[4] 前記式(1)中、nが0であり、且つnが1である、[3]に記載の保護膜形成組成物。
[5] 前記式(1)中、R及びRがそれぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基である、[3]に記載の保護膜形成組成物。
[6] 前記式(1)中、R及びRが水素原子である、[3]に記載の保護膜形成組成物。
[7] 架橋触媒をさらに含む[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物。
[8] 架橋剤をさらに含む[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物。
[9] 界面活性剤をさらに含む[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物。
[10] [1]から[9]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物からなる塗布膜の焼成物であることを特徴とする保護膜。
[11] [1]乃至[9]のいずれか1項に記載の保護膜組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜としての保護膜を形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターン付き基板の製造方法。
[12] 表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に[1]乃至[9]のいずれか1項に記載の半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、半導体用ウエットエッチング液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、ポリマー中に互いに隣り合うヒドロキシ基がアセタールによって保護された構造を導入することにより、高い半導体用ウエットエッチング液耐性を発現できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[保護膜形成組成物]
本発明に係る半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物は、分子内にアセタール構造を少なくとも1つ以上含む化合物、又はその重合体と、溶剤とを含むものである。以下に順に説明する。
【0008】
[分子内にアセタール構造を少なくとも1つ以上含む化合物]
前記アセタール構造は、好ましくは、芳香族基の互いに隣り合うヒドロキシ基を保護する構造である。このとき、化合物は、分子内に、互いに隣り合うヒドロキシ基がアセタールによって保護された芳香族基を少なくとも1つ以上含む。
かかるアセタール構造は、好ましくは、式(1):
【化2】
(式(1)中、
及びRはそれぞれ水素原子、又は置換されてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基若しくは炭素原子数6乃至40のアリール基であり、
は0、1、又は2であり、
は1、又は2であり、
は水素原子、又はヒドロキシ基を示し、
は、-CH(R)-A基を示し、
は、水素原子、1乃至3個のヒドロキシ基で置換されていてもよいフェニル基、又はベンゾジオキソール基を示し、
、及びAはそれぞれ同一又は異なる1価の有機基を示す。)
で示される部分構造である。
【0009】
置換されてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0010】
炭素原子数6乃至40のアリール基としては、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基及び9-フェナントリル基が挙げられる。
【0011】
これらのアルキル基、アリール基の置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)や、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0012】
式(1)中、好ましくはnが0であり、且つnが1である。
【0013】
式(1)中、好ましくはR及びRがそれぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基である。より好ましくは、R及びRが共に水素原子である。
【0014】
[1価の有機基]
1価の有機基は特に限定されるものではない。各種ポリマー若しくはオリゴマーに由来するものであってもよく、低分子化合物に由来するものであってもよい。1価の有機基は、式(1)で表される化合物に由来するものであってもよい。特にAが式(1)で表される化合物を示す場合には、同一又は異なる式(1)で表される化合物が-CH(R)-基によって連結されたオリゴマー、又はポリマーを意味することになる。
【0015】
[ポリマー由来の1価の有機基]
ポリマー由来の有機基を採用することにより、本発明の保護膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜のドライエッチング速度(単位時間当たりの膜厚の減少量)、減衰係数及び屈折率等を調整することができる。
ポリマーとしては特に制限はなく、種々の有機ポリマーを使用することができる。例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリビニルエーテル、フェノールノボラック、ナフトールノボラック、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の付加重合ポリマー及び縮重合ポリマーや開環重合ポリマーを使用することができる。
【0016】
そのような有機ポリマーとしては、例えば、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレン、ベンジルビニルエーテル及びN-フェニルマレイミド等の付加重合性モノマーをその構造単位として含む付加重合ポリマーや、フェノールノボラック及びナフトールノボラック等の縮重合ポリマーが挙げられる。
【0017】
上記有機ポリマーとして付加重合ポリマーが使用される場合、そのポリマーは単独重合体でもよく共重合体であってもよい。付加重合ポリマーの製造には付加重合性モノマーが使用される。そのような付加重合性モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、マレイン酸無水物、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0018】
上記アクリル酸エステル化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリクロロエチルアクリレート、2-ブロモエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、5-アクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン及びグリシジルアクリレート等が挙げられる。
【0019】
上記メタクリル酸エステル化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2-トリクロロエチルメタクリレート、2-ブロモエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、5-メタクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート及びブロモフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0020】
上記アクリルアミド化合物としては、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド及びN-アントリルアクリルアミド等が挙げられる。
【0021】
上記メタクリルアミド化合物としては、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-ベンジルメタクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド及びN-アントリルアクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
上記ビニル化合物としては、ビニルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニル酢酸、ビニルトリメトキシシラン、2-クロロエチルビニルエーテル、2-メトキシエチルビニルエーテル、ビニルナフタレン及びビニルアントラセン等が挙げられる。
【0023】
上記スチレン化合物としては、スチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、シアノスチレン及びアセチルスチレン等が挙げられる。
【0024】
上記マレイミド化合物としては、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド及びN-ヒドロキシエチルマレイミド等が挙げられる。
【0025】
ポリマーとして縮重合ポリマーが使用される場合、そのようなポリマーとしては、例えば、グリコール化合物とジカルボン酸化合物との縮重合ポリマーが挙げられる。
【0026】
上記グリコール化合物としてはジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。
【0027】
上記ジカルボン酸化合物としては、コハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、酒石酸、リンゴ酸、無水マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
【0028】
また、例えば、ポリピロメリットイミド、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミドが挙げられる。
【0029】
ポリマーとして開環重合ポリマーが使用される場合、そのようなポリマーとしては、例えば、ジエポキシ化合物とジカルボン酸化合物との縮重合ポリマーが挙げられる。
【0030】
ジエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、下記[3-1]~[3-16]で表される化合物:
【化3-1】

【化3-2】

等の化合物を挙げることができる。
【0031】
上記ジカルボン酸化合物としては、上記記載のジカルボン酸化合物が挙げられる。
【0032】
ポリマーとしては、重量平均分子量が、例えば1,000乃至100,000であり、又は1,500乃至50,000であり、又は2,000乃至30,000であり、又は3,000乃至20,000であるポリマーを使用することができる。
【0033】
好ましくは、上記ポリマーは、式(10):
【化4】

(式(10)中、Aは直接結合又は-C(=O)-を表し、Arは炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、シアノ基、アセチル基、アセチルオキシ基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロソ基、アミド基、イミド基、炭素数1~6のアルコキシスルホニル基もしくはスルホンアミド基で置換されていてもよいベンゼン環、ナフタレン環、又はアントラセン環を表す。)の構造を有するものである。
【0034】
なお、式(10)におけるアルキル基としてはメチル基、エチル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子であり、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アルキルチオ基としてはメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等が挙げられ、アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられ、アルコキシスルホニル基としてはメトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基等が挙げられる。
【0035】
上記ポリマーは、例えば特許第5041175号公報に記載の方法により製造することができる。
【0036】
[低分子化合物由来の1価の有機基]
1価の有機基が由来する低分子化合物も特に限定されるものではないが、焼成時の揮発のリスクを考慮すると分子量が300以上であることが好ましい。分子量の上限は例えば999である。好ましい具体例をいくつか挙げると以下のとおりである。*は結合手を表す。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】
【0037】
また、1価の有機基は、上記低分子化合物にスペーサーを加えたものであってもよい。
スペーサーの例としては-CH-、-(CH-(n=1~20)、-CH=CH-、-CH≡CH-、-N=N-、-NH-、-NHR-、-NHCO-、-NRCO-、-S-、-COO-、-O-、-CO-、-CH=N-、-CH(OH)-及びフェニレンの一種又は二種以上の組合せが挙げられる。これらのスペーサーは2つ以上連結していてもよい。
【0038】
[式(1)で示される部分構造を有する好ましい化合物の具体例]
式(1)で示される部分構造を有する好ましい化合物を例示すると、以下のとおりである。
【0039】
式(1)で示される部分構造を有する重合体は、下記式(A-1)乃至(A-6)で表される構造単位を例示することができる。
【化11】
【0040】
式(1)で示される部分構造を有する重合体は、さらに下記式(A-7)乃至(A-18)で表される構造単位を有する、共重合体であってもよい。
【化12】
【0041】
式(1)で示される部分構造を有する重合体の、式(1)の部分構造を有する単位構造が占める重合体全体に対するモル比率は、1~100モル%であり、好ましくは10~100モル%である。式(1)で示される部分構造を有する単位構造は、1種でも2種以上であってもよい。
重合体が式(1)以外で示される部分構造を有する単位構造を有する共重合体である場合、そのモル比率は、共重合体全体に対し、式(1)で示される部分構造を有する単位構造が占める部分の残部であり、式(1)以外で示される部分構造を有する単位構造は、1種でも2種以上であってもよい。
【0042】
さらに、前記式(1)で示される部分構造を有する化合物、又は重合体は、下記式(B)で表されるエポキシ化合物、又は樹脂と、下記式(C)で表される前記式(1)で示される部分構造を有するプロトン発生化合物とから得られる反応物(D)を例示することができる。
【0043】
エポキシ化合物(B)は例えば、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジル基含有イソシアヌレート、エポキシシクロヘキシル化合物、エポキシ基置換シクロヘキシル化合物、及びこれらの樹脂を挙げることができる。本願発明に用いられるエポキシ化合物(B)は例えば以下に例示することができる。
【化13】
【0044】
式(B-1)は日産化学工業(株)製、商品名TEPIC-SSとして入手することができる。
式(B-2)は四国化成工業(株)製、商品名MA-DGICとして入手することができる。
式(B-3)はナガセケムテック(株)製、商品名EX-411として入手することができる。
式(B-4)はナガセケムテック(株)製、商品名EX-521として入手することができる。
式(B-7)は日本化薬(株)製、商品名RE-810NMとして入手することができる。
式(B-8)は昭和電工(株)製、商品名BATGとして入手することができる。
式(B-9)はナガセケムテック(株)製、商品名EX-711として入手することができる。
式(B-10)はDIC(株)製、商品名YD-4032Dとして入手することができる。
式(B-11)はDIC(株)製、商品名HP-4770として入手することができる。
式(B-12)は新日鉄住金化学(株)製、商品名YH-434Lとして入手することができる。
式(B-13)はDIC(株)製、商品名EPICLON HP-4700として入手することができる。
式(B-14)は旭有機材工業(株)製、商品名TEP-Gとして入手することができる。
式(B-15)は(株)ダイセル製、商品名エポリード GT401であり、a、b、c、dはそれぞれ0又は1であり、a+b+c+d=1である。
式(B-16)は(株)ダイセル製、商品名EHPE-3150として入手することができる。
式(B-17)はDIC(株)製、商品名HP-7200Lとして入手することができる。
式(B-18)は日本化薬(株)製、商品名EPPN-201として入手することができる。
式(B-19)は旭化成エポキシ(株)製、商品名ECN-1229として入手することができる。
式(B-20)は日本化薬(株)製、商品名EPPN-501Hとして入手することができる。
式(B-21)は日本化薬(株)製、商品名NC-2000Lとして入手することができる。
式(B-22)は日本化薬(株)製、商品名NC-3000Lとして入手することができる。
式(B-23)は日本化薬(株)製、商品名NC-7000Lとして入手することができる。
式(B-24)は日本化薬(株)製、商品名NC-7300Lとして入手することができる。
式(B-25)は日本化薬(株)製、商品名NC-3500として入手することができる。
式(B-26)はDIC(株)製、商品名EPICLON HP-5000として入手することができる。
式(B-27)は日本化薬(株)製、商品名FAE-2500として入手することができる。
式(B-28)は日本化薬(株)製、商品名NC-6000として入手することができる。
【0045】
また、前記式(1)で示される部分構造を有するプロトン発生化合物(C)は、例えば以下に例示することができる。好ましくは5-ヒドロキシ-1,3-ベンゾジオキソール(セサモール)又はピペロニル酸である。
【化14】
【0046】
前記式(1)で示される部分構造を有する反応物(D)の具体例として下記を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【化15】
【0047】
さらに、前記式(1)で示される部分構造を有する化合物、又は重合体は、フェノール性水酸基含有化合物若しくは芳香族アミンと、前記式(1)で示される部分構造を有するアルデヒドから、又は前記式(1)で示される部分構造を有するフェノール性水酸基含有化合物とアルデヒドから得られるノボラック樹脂(E)を例示することができる。
【0048】
前記式(1)で示される部分構造を有するアルデヒドとしては、好ましくはヘリオトロピン(ピペロナール)であり、前記式(1)で示される部分構造を有するフェノール性水酸基含有化合物としては、好ましくは5-ヒドロキシ-1,3-ベンゾジオキソール(セサモール)である。
【0049】
前記式(1)で示される部分構造を有する反応物(E)の具体例として下記を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【化16】

【化17】
【0050】
[架橋剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は架橋剤成分を含むことができる。その架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。
【0051】
また、上記架橋剤としては耐熱性の高い架橋剤を用いることができる。耐熱性の高い架橋剤としては分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を用いることができる。
【0052】
この化合物は下記式(5-1)の部分構造を有する化合物や、下記式(5-2)の繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【化18】

上記R11、R12、R13、及びR14は水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、これらのアルキル基は上述の例示を用いることができる。
m1は1≦m1≦6-m2、m2は1≦m2≦5、m3は1≦m3≦4-m2、m4は1≦m4≦3である。
【0053】
式(5-1)及び式(5-2)の化合物、ポリマー、オリゴマーは以下に例示される。
【化19】

【化20】
【0054】
上記化合物は旭有機材工業(株)、本州化学工業(株)の製品として入手することができる。例えば上記架橋剤の中で式(6-22)の化合物は旭有機材工業(株)、商品名TMOM-BPとして入手することができる。
【0055】
[架橋触媒]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、架橋反応を促進させるために、架橋触媒を含有することができる。当該架橋触媒としては、酸性化合物、塩基性化合物に加え、熱により酸又は塩基が発生する化合物を用いることができるが、架橋酸触媒であることが好ましい。酸性化合物としては、スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物を用いることができ、熱により酸が発生する化合物としては、熱酸発生剤を用いることができる。
【0056】
スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物として、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ピリジニウム-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、4-ニトロベンゼンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
【0057】
熱酸発生剤として、例えば、K-PURE〔登録商標〕CXC-1612、同CXC-1614、同TAG-2172、同TAG-2179、同TAG-2678、同TAG2689(以上、King Industries社製)、及びSI-45、SI-60、SI-80、SI-100、SI-110、SI-150(以上、三新化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0058】
これら架橋触媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、塩基性化合物としては、アミン化合物又は水酸化アンモニウム化合物を用いることができ、熱により塩基が発生する化合物としては、尿素を用いることができる。
【0059】
アミン化合物として、例えば、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリノルマルプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリノルマルブチルアミン、トリ-tert-ブチルアミン、トリノルマルオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、フェニルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、及びジアザビシクロオクタン等の第3級アミン、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミンが挙げられる。また、ベンジルアミン及びノルマルブチルアミン等の第1級アミン、ジエチルアミン及びジノルマルブチルアミン等の第2級アミンもアミン化合物として挙げられる。これらのアミン化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
水酸化アンモニウム化合物としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化セチルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリエチルアンモニウムが挙げられる。
【0061】
また、熱により塩基が発生する化合物としては、例えば、アミド基、ウレタン基又はアジリジン基のような熱不安定性基を有し、加熱することでアミンを生成する化合物を使用することができる。その他、尿素、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、コリンクロリドも熱により塩基が発生する化合物として挙げられる。
【0062】
前記保護膜形成組成物が架橋触媒を含む場合、保護膜形成組成物の全固形分に対して、0.0001乃至20重量%、好ましくは0.01乃至15重量%、さらに好ましくは0.1乃至10質量%である。
【0063】
[界面活性剤]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、半導体基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-30N、同R-40、同R-40-LM(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。前記保護膜形成組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、保護膜形成組成物の全固形分に対して、0.0001乃至10重量%、好ましくは0.01乃至5重量%である。
【0064】
[溶剤]
本発明の保護膜形成組成物は、上記各成分を、有機溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。
【0065】
本発明に係る保護膜形成組成物の溶剤としては、上記分子内に互いに隣接する2つの水酸基を少なくとも1組以上含む化合物、又はその重合体を溶解できる溶剤であれば、特に制限なく使用することができる。特に、本発明に係る保護膜形成組成物は均一な溶液状態で用いられるものであるため、その塗布性能を考慮すると、リソグラフィー工程に一般的に使用される溶剤を併用することが推奨される。
【0066】
前記有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2―ヒドロキシイソ酪酸メチル、2―ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等が好ましい。特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
【0068】
[その他の成分]
本発明の保護膜形成組成物には、吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤などを添加することができる。レオロジー調整剤は、保護膜形成組成物の流動性を向上させるのに有効である。接着補助剤は、半導体基板またはレジストと下層膜の密着性を向上させるのに有効である。
【0069】
吸光剤としては例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.Disperse Yellow 1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.D isperse Orange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.Disperse Red 1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.Disperse Violet 43;C.I.Disperse Blue 96;C.I.Fluorescent Brightening Agent 112,135及び163;C.I.Solvent Orange2及び45;C.I.Solvent Red 1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.Pigment Green 10;C.I.Pigment Brown 2等を好適に用いることができる。 上記吸光剤は通常、保護膜形成組成物の全固形分に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下の割合で配合される。
【0070】
レオロジー調整剤は、主に保護膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、レジスト下層膜の膜厚均一性の向上やホール内部への保護膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、保護膜形成組成物の全固形分に対して通常30質量%未満の割合で配合される。
【0071】
接着補助剤は、主に基板あるいはレジストと保護膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにする目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルメチロールクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメチロールエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、メチロールトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、保護膜形成組成物の全固形分に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0072】
[保護膜形成組成物]
本発明に係る保護膜形成組成物の固形分は通常0.1乃至70質量%、好ましくは0.1乃至60質量%とする。固形分は保護膜形成組成物から溶媒を除いた全成分の含有割合である。固形分中におけるポリマーの割合は、1乃至100質量%、1乃至99.9質量%、50乃至99.9質量%、50乃至95質量%、50乃至90質量%の順で好ましい。
【0073】
[レジストパターン付き基板及び半導体装置の製造方法]
以下、本発明に係る保護膜形成組成物を用いたレジストパターン付き基板の製造方法及び半導体装置の製造方法について説明する。
【0074】
本発明に係るレジストパターン付き基板は、上記した保護膜形成組成物を半導体基板上に塗布し、焼成することにより製造することができる。
本発明の保護膜形成組成物が塗布される半導体基板としては、例えば、シリコンウエハ、ゲルマニウムウエハ、及びヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム等の化合物半導体ウエハが挙げられる。
表面に無機膜が形成された半導体基板を用いる場合、当該無機膜は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相堆積)法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコーティング法(スピンオングラス:SOG)により形成される。前記無機膜として、例えば、ポリシリコン膜、酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜、窒化チタン膜、窒化酸化チタン膜、タングステン膜、窒化ガリウム膜、及びヒ化ガリウム膜が挙げられる。
【0075】
このような半導体基板上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の保護膜形成組成物を塗布する。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることにより保護膜を形成する。ベーク条件としては、ベーク温度100℃乃至400℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、ベーク温度120℃乃至350℃、ベーク時間0.5分乃至30分間、より好ましくは、ベーク温度150℃乃至300℃、ベーク時間0.8分乃至10分間である。形成される保護膜の膜厚としては、例えば0.001μm乃至10μm、好ましくは0.002μm乃至1μm、より好ましくは0.005μm乃至0.5μmである。ベーク時の温度が、上記範囲より低い場合には架橋が不十分となり、形成される保護膜の、レジスト溶剤又は塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性が得られにくくなることがある。一方、ベーク時の温度が上記範囲より高い場合は、保護膜が熱によって分解してしまうことがある。
【0076】
露光は、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して行われ、例えば、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)またはEB(電子線)が使用される。現像にはアルカリ現像液が用いられ、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。アルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジーn-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。アルカリ現像液に代えて、酢酸ブチル等の有機溶媒で現像を行い、フォトレジストのアルカリ溶解速度が向上していない部分を現像する方法を用いることもできる。
【0077】
次いで、形成したレジストパターンをマスクとして、前記保護膜をドライエッチングする。その際、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されている場合、その無機膜の表面を露出させ、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されていない場合、その半導体基板の表面を露出させる。
【0078】
さらに、ドライエッチング後の保護膜(その保護膜上にレジストパターンが残存している場合、そのレジストパターンも)をマスクとして、半導体用ウエットエッチング液を用いてウエットエッチングすることにより、所望のパターンが形成される。
半導体用ウエットエッチング液としては、半導体用ウエハをエッチング加工するための一般的な薬液を使用することが出来、例えば酸性を示す物質、塩基性を示す物質、何れも使用することができる。
酸性を示す物質としては、例えば過酸化水素、フッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、バッファードフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸又はこれらの混合液が挙げられる。
塩基性を示す物質としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン等の有機アミンと過酸化水素水とを混合し、pHを塩基性にした、塩基性過酸化水素水を挙げることができる。具体例としては、SC-1(アンモニア-過酸化水素溶液)が挙げられる。その他、pHを塩基性にすることができるもの、例えば、尿素と過酸化水素水を混合し、加熱により尿素の熱分解を引き起こすことでアンモニアを発生させ、最終的にpHを塩基性にするものも、ウエットエッチングの薬液として使用できる。
これらの中でも、酸性過酸化水素水又は塩基性過酸化水素水であることが好ましく、塩基性過酸化水素水であることが特に好ましい。
これらの薬液は、界面活性剤等の添加剤が含まれていてもよい。
半導体用ウエットエッチング液の使用温度は25℃乃至90℃であることが望ましく、40℃乃至80℃であることがさらに望ましい。ウエットエッチング時間としては、0.5分乃至30分であることが望ましく、1分乃至20分であることがさらに望ましい。
【実施例
【0079】
以下に実施例等を参照して本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例等によってなんら制限を受けるものではない。
下記合成例で得られたポリマーの重量平均分子量の測定に用いた装置等を示す。
装置:東ソー株式会社製HLC-8320GPC
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕・Asahipak〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
流量:0.6mL/分
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)
標準試料:ポリスチレン(東ソー株式会社)
【0080】
<実施例1>
グリシジルメタクリレート16.00g、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)4.53g、プロピレングリコールモノメチルエーテル65.68gの溶液を滴下ロートに加え、プロピレングリコールモノメチルエーテル16.48gを加えた反応フラスコ中に窒素雰囲気下、100℃で滴下させ、13時間加熱撹拌した。得られた溶液30.00g(エポキシ価676g/eq)に、ピペロニル酸5.72g、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.32g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20.04gを加え、窒素雰囲気下、20時間加熱還流撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス株式会社)11g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ株式会社)11gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離することで、式(X-1)に相当する樹脂溶液が得られ、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4100であった。
【0081】
【化21】
【0082】
得られた樹脂溶液(固形分は17.93重量%)4.59gに、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.21g、架橋酸触媒としてK-PURE TAG-2689(キングインダストリーズ社製)0.02g、界面活性剤(DIC株式会社製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.79g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.40gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0083】
<実施例2>
グリセリンモノメタクリレート(製品名:ブレンマーGLM、日油株式会社製)5.50g、5-ビニルベンゾ[d][1,3]ジオキソール(Cool Pharm LTD.製)5.09g、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.66g、プロピレングリコールモノメチルエーテル35.99gの溶液を滴下ロートに加え、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.00gを加えた反応フラスコ中に窒素雰囲気下、100℃で滴下させ、17時間加熱撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス株式会社)11g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ株式会社)11gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離することで、式(X-2)に相当する樹脂溶液が得られ、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは10800であった。
【0084】
【化22】
【0085】
得られた樹脂溶液(固形分は16.12重量%)5.10gに、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.21g、架橋酸触媒としてK-PURE TAG-2689(キングインダストリーズ社製)0.02g、界面活性剤(DIC株式会社製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.27g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.40gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0086】
<実施例3>
グリシジルメタクリレート5.00g、5-ビニルベンゾ[d][1,3]ジオキソール(Cool Pharm LTD.製)5.21g、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.58g、プロピレングリコールモノメチルエーテル34.53gの溶液を滴下ロートに加え、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.63gを加えた反応フラスコ中に窒素雰囲気下、100℃で滴下させ、20時間加熱撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス株式会社)11g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ株式会社)11gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離することで、式(X-3)に相当する樹脂溶液が得られ、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9000であった。
【0087】
【化23】
【0088】
得られた樹脂溶液(固形分は17.35重量%)4.74gに、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.21g、架橋酸触媒としてK-PURE TAG-2689(キングインダストリーズ社製)0.02g、界面活性剤(DIC株式会社製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.64g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.40gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0089】
<比較例1>
ポリパラヒドロキシスチレン(製品名:VP-8000、日本曹達株式会社製)0.82g、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.21g、架橋酸触媒としてK-PURE TAG-2689(キングインダストリーズ社製)0.02g、界面活性剤(DIC株式会社製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.56g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.40gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0090】
<比較例2>
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(製品名:PQMA、昭和電工株式会社製)14.00g、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)1.13g、プロピレングリコールモノメチルエーテル42.37gの溶液を滴下ロートに加え、プロピレングリコールモノメチルエーテル18.16gを加えた反応フラスコ中に窒素雰囲気下、100℃で滴下させ、14時間加熱撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス株式会社)15g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ株式会社)15gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離することで、式(Y-1)に相当する樹脂溶液が得られ、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11000であった。
【0091】
【化24】
【0092】
得られた樹脂溶液(固形分は18.41重量%)4.47g、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.21g、架橋酸触媒としてK-PURE TAG-2689(キングインダストリーズ社製)0.02g、界面活性剤(DIC株式会社製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.91g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.40gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0093】
<比較合成例3>
グリシジルメタクリレート16.00g、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)4.53g、プロピレングリコールモノメチルエーテル65.68gの溶液を滴下ロートに加え、プロピレングリコールモノメチルエーテル16.48gを加えた反応フラスコ中に窒素雰囲気下、100℃で滴下させ、13時間加熱撹拌した。得られた溶液30.00g(エポキシ価676g/eq)に、3,4-ジヒドロキシ安息香酸5.31g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.20g、プロピレングリコールモノメチルエーテル17.89gを加え、窒素雰囲気下、20時間加熱還流撹拌した。得られた溶液に陽イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス〔登録商標〕550A、ムロマチテクノス株式会社)11g、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライト〔登録商標〕15JWET、オルガノ株式会社)11gを加えて、室温で4時間イオン交換処理した。イオン交換樹脂を分離することで、式(Y-2)に相当する樹脂溶液が得られ、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは24400であった。
【0094】
【化25】
【0095】
得られた樹脂溶液(固形分は19.51重量%)4.47gに、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.21g、架橋酸触媒としてK-PURE TAG-2689(キングインダストリーズ社製)0.02g、界面活性剤(DIC株式会社製、品名:メガファック〔商品名〕R-40、フッ素系界面活性剤)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.16g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.40gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0096】
〔レジスト溶剤耐性試験〕
実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例3で調製された保護膜形成組成物のそれぞれをスピンコーターにてシリコンウェハー上に塗布(スピンコート)した。塗布後のシリコンウェハーをホットプレート上で215℃、1分間加熱し、膜厚200nmの被膜(保護膜)を形成した。次に、保護膜のレジスト溶剤耐性を確認するため、保護膜形成後のシリコンウェハーを、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを重量比7対3で混合した溶剤に1分間浸漬し、スピンドライ後に100℃、30秒間ベークした。混合溶剤を浸漬する前後の保護膜の膜厚を光干渉膜厚計で測定した。
レジスト溶剤耐性の評価は、((溶剤浸漬前の膜厚)-(溶剤浸漬後の膜厚))÷(溶剤浸漬前の膜厚)×100の計算式から、溶剤浸漬によって除去された保護膜の膜厚減少率(%)を算出、評価した。なお、膜厚減少率が約1%以下であれば許容範囲と言える。
【0097】
【表1】
【0098】
上記の結果から、実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例3はレジスト溶剤に浸漬後も膜厚変化が非常に小さく、良好なレジスト溶剤耐性を示した。よって、いずれの例も保護膜として機能するに十分なレジスト溶剤耐性を有している。
【0099】
[塩基性過酸化水素水への耐性試験]
塩基性過酸化水素水への耐性評価として、前記のレジスト溶剤耐性試験にて良好なレジスト溶剤耐性を示した実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例3で調製された保護膜形成組成物のそれぞれを50nm膜厚のTiN蒸着基板に塗布し、215℃、1分間加熱することで、膜厚200nmとなるように成膜した。次に、28%アンモニア水、33%過酸化水素、水をそれぞれ重量比1対1対2となるように混合し、塩基性過酸化水素水を調製した。前記の保護膜形成組成物を塗布したTiN蒸着基板を50℃に加温したこの塩基性過酸化水素水中に浸漬し、浸漬直後から保護膜が基板から剥離するまでの時間を測定した。この結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
上記の結果から、実施例1乃至実施例3は、比較例1乃至比較例3と比較して塩基性過酸化水素水に対して塗布膜が基板から剥離しにくいことが示された。すなわち、実施例1乃至実施例3は、比較例1乃至比較例3よりも良好な塩基性過酸化水素水への薬液耐性を示し、塩基性過酸化水素水への保護膜として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明によれば、半導体製造におけるリソグラフィープロセスにおいて、RCA洗浄に用いる塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性に優れた保護膜を形成するための組成物を提供することができる。