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特許7589793遅延測定装置、遅延測定方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】遅延測定装置、遅延測定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/0852 20220101AFI20241119BHJP
   H04L 43/0876 20220101ALI20241119BHJP
【FI】
H04L43/0852
H04L43/0876
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023500237
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2021006173
(87)【国際公開番号】W WO2022176123
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-06-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年2月27日に2020年電子情報通信学会のウェブサイト(https://www.ieice.org/ken/paper/20200306p1Wk/)で講演抄録および講演論文(資料番号NS2019-231)を公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上醉尾 一真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢
(72)【発明者】
【氏名】森 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】大町 麗奈
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192584(JP,A)
【文献】特開2013-175913(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111324886(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端点が互いに接続されて構成されるネットワーク(NW)の遅延を測定する遅延測定装置であって、
トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を測定し、NW状態情報としてNW状態保持部に保持させるNW測定部と、
前記トポロジ、前記各リンクの遅延量、前記ジッタ、および前記パケットロス率を含む前記NW状態情報をもとに、前記端点間のリンク品質を重みとして算出するリンク品質計算部と、
前記リンク品質計算部が算出した前記端点間のリンク品質の重みを前記トポロジに反映した重み付きトポロジに基づいて、測定経路を算出する経路計算機能部と、を備え、
前記NW測定部は、前記経路計算機能部が計算した前記測定経路をもとに、始点端点に測定パケット送信し、前記NWの測定対象区間の遅延量を測定し、
前記リンク品質計算部は、パケットロス影響の回避を第1優先、ジッタ影響の回避を第2優先とした係数を設定して算出した重みを第1指標として、各端点間のリンク品質の重みを算出する
ことを特徴とする遅延測定装置。
【請求項2】
前記リンク品質計算部は、最小ホップパスを基準とした許容ホップ数差分を測定経路の算出における第2指標とし、
前記経路計算機能部は、前記第2指標に基づいて、前記端点間のリンク品質の重みを算出し、当該端点間のリンク品質の重みを前記トポロジに反映した重み付きトポロジに基づいて、測定経路を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の遅延測定装置。
【請求項3】
前記経路計算機能部は、前記リンク品質の重みが最小和になる経路を、前記測定経路として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の遅延測定装置。
【請求項4】
複数の端点が互いに接続されて構成されるネットワーク(NW)の遅延を測定する遅延測定装置の遅延測定方法であって、
前記遅延測定装置は、
トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を測定し、NW状態情報としてNW状態保持部に保持させるステップと、
前記トポロジ、前記各リンクの遅延量、前記ジッタ、および前記パケットロス率を含む前記NW状態情報をもとに、前記端点間のリンク品質を重みとして算出するとともに、パケットロス影響の回避を第1優先、ジッタ影響の回避を第2優先とした係数を設定して算出した重みを第1指標として、各端点間のリンク品質の重みを算出するステップと、
算出した前記端点間のリンク品質の重みを前記トポロジに反映した重み付きトポロジに基づいて、測定経路を算出するステップと、
計算した前記測定経路をもとに、始点端点に測定パケット送信し、前記NWの測定対象区間の遅延量を測定するステップと、を実行する
ことを特徴とする遅延測定方法。
【請求項5】
コンピュータに、請求項に記載の遅延測定方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの利用状況に応じた適切なネットワーク構成を設定する遅延測定装置、遅延測定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
5Gやe-sportsの浸透により、超低遅延・低ジッタなどの厳しいネットワーク(以下、適宜NWという)要件が求められてきている。要件を満たしたネットワークを提供するためには、遅延量、ジッタ(遅延量のずれ)、パケットロス率などの品質を高精度に把握する技術が必要となる。
NW内の遅延量・ジッタを測定する手法としては、測定対象区間の両端に測定装置を配備して、測定装置間でICMP(Internet Control Message Protocol)パケット等の測定パケットを送受信させる方法や、ネットワーク内のルータ間で測定パケットを交換するTWAMP(Two-Way Active Measurement Protocol)を用いる方法がある(非特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1には、ネットワークの経路を明示的に指定することが可能なルーティング方式であるSR(Segment Routing)を用いることにより、ネットワークの一か所に測定システムを接続してネットワーク全体の任意区間の遅延量、ジッタを測定する手法が提案されている。
【0004】
図15は、SRの仕組みを用いた遅延量・ジッタの測定手法に基づく遅延測定システムの構成を示すブロック図である。
図15に示すように、遅延測定システムは、遅延の測定対象ネットワーク10に接続されており、測定対象ネットワーク10は、入出力点である端点(A-F)(図15のブロックで囲んだA-F参照。以下、各図において同様に表記する。)、端点(A-F)間のリンク(図15の装置A-Fを結ぶ実線参照。以下、各図において同様に表記する。)を備える。なお、端点(A-F)は、ルータ(A-F)または装置(A-F)と呼称してもよい。
【0005】
図15では、遅延測定システムは、始点端点(以下、始点と呼ぶ。)Dから終点端点(以下、終点と呼ぶ。)Eまでの遅延量・ジッタを測定する場合を例に採る。ただし、遅延測定システムは、端点Bに接続されているので、端点D-Eの遅延量・ジッタを測定する場合には、端点B-Dの遅延等の影響を受ける。
【0006】
図15の測定手法では、遅延測定システムから測定対象区間の始点Dまでの経路を区間折り返しでパケット送信する測定<1>(図15の太実線矢印a参照)と、遅延測定システムから始点Dを経由して端点Eまでの経路を区間折り返しでパケット送信する測定<2>(図15の細実線矢印b参照)と、を実行する。測定<1>と測定<2>とのそれぞれにおいて、往復するパケットを送信することにより、RTT(Round Trip Time)を測定する。区間前折り返しと区間折り返しのRTT差分を計算することにより、測定対象区間の遅延量を測定する。
【0007】
測定<1>による測定結果が20μs、測定<2>による測定結果が40μsである場合、D-E間測定結果は、次式(1)で算出される。
【0008】
(測定<1>-測定<2>)/2 …(1)
【0009】
図15の場合、式(1)より、B-D間遅延:10μs、D-E間遅延:10μsとなる。なお、B-D間遅延:10μs、D-E間遅延:10μsは、実際の品質である。
【0010】
次に、図16図18を参照して、品質劣化による影響について説明する。
品質劣化には、測定始点までのジッタによる影響と、測定始点までのパケットロスによる影響とがある。
<ジッタによる影響>
図16は、図15の遅延測定システムから測定始点までの経路(B-D区間)において、ジッタが増加した場合による影響を示す図である。
測定始点までジッタによる影響がある場合、測定対象(D-E区間)の区間前折り返し(測定<1>)、区間折り返しの測定(測定<2>)の遅延量がジッタの影響により変動する。
例えば、測定<1>による測定結果が20μs、測定<2>による測定結果が220μsであったとする。この場合、上記式(1)より、D-E間遅延:100μsとなり、実際の品質であるD-E間遅延:10μsと乖離している。すなわち、図16の符号bに示すように、測定始点Dまでのジッタ影響、ここではB-D間遅延:10~100μs(ジッタ大)があるため、測定結果(100μs)が実際の値(10μs)と乖離している。
【0011】
図17は、測定結果と実遅延との乖離を説明するイメージ図である。
図17太実線の実遅延に対して、図17細実線の測定結果は、B-D間遅延:10~100μsで変動し、この遅延の変動は測定時間上で、ジッタ大で表わされる。
このように、図15の遅延測定システムでは、測定始点までのジッタ影響により、測定結果が実際の値と乖離する可能性がある。
【0012】
<パケットロスによる影響>
図18は、図15の遅延測定システムから測定始点までの経路(B-D区間)において、パケットロスによる影響を示す図である。
測定始点までの経路において品質劣化によるパケットロスが発生している場合には、測定パケットのロスにより測定に失敗することや、本来のパケットロス率よりも高いロス率が記録されることが考えられる。
例えば、測定<1>による測定結果が20μs、測定<2>ではパケットロスによる測定失敗(図18の符号c参照)したとする。
【0013】
図18の符号bに示す破線矢印のように、測定始点Dまでのパケットロス影響、ここではB-D間パケットロス率:30%がある。このため、測定対象区間であるD-E間では、パケットロス率:0%であるにもかかわらず、測定に失敗している。また、パケットロスが高い場合、図16の場合と同様に、測定結果が実際の値と乖離することがある。
このように、図15の遅延測定システムでは、測定始点までのパケットロス影響により、測定結果が実際の値と乖離することや、測定に失敗する可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】森弘樹,他4名, “ネットワーク内の遅延時間を高精度に測定する遅延測定システムの提案,” 信学技報, NS2019-231(2020-03), pp.301-306, 2020年3月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
非特許文献1の手法では、測定始点までの経路に最小ホップ経路を採用しており、遅延量、ジッタ、パケットロスなどの品質は考慮されていない。そのため、測定始点までの品質劣化により、測定対象区間の遅延量、ジッタ、パケットロスが本来の値よりも大きく算出されるなど測定精度の低下が懸念される。例えば、図16および図17で説明したように、遅延測定システムから測定始点までの経路においてジッタが増加した場合には、測定対象区間の遅延量およびジッタが実際よりも大きく算出され、正確な情報を測定できないことが懸念される。また、図18で説明したように、測定始点までの経路において品質劣化によるパケットロスが発生している場合には、測定パケットのロスにより測定に失敗することや、本来のパケットロス率よりも高いロス率が記録されることが考えられる。
【0016】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、測定対象外の品質劣化の影響を極小化する遅延測定装置、遅延測定方法およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記した課題を解決するため、本発明は、複数の端点が互いに接続されて構成されるネットワーク(NW)の遅延を測定する遅延測定装置であって、トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を測定し、NW状態情報としてNW状態保持部に保持させるNW測定部と、前記トポロジ、前記各リンクの遅延量、前記ジッタ、および前記パケットロス率を含む前記NW状態情報をもとに、前記端点間のリンク品質を重みとして算出するリンク品質計算部と、前記リンク品質計算部が算出した前記端点間のリンク品質の重みを前記トポロジに反映した重み付きトポロジに基づいて、測定経路を算出する経路計算機能部と、を備え、前記NW測定部は、前記経路計算機能部が計算した前記測定経路をもとに、始点端点に測定パケット送信し、前記NWの測定対象区間の遅延量を測定し、前記リンク品質計算部は、パケットロス影響の回避を第1優先、ジッタ影響の回避を第2優先とした係数を設定して算出した重みを第1指標として、各端点間のリンク品質の重みを算出することを特徴とする遅延測定装置とした。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測定対象外の品質劣化の影響を極小化する遅延測定装置、遅延測定方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る遅延測定装置の構成例を示す図である。
図2A】本実施形態に係る遅延測定装置の遅延測定方法の全体処理を示すフローチャートである。
図2B図2AのステップS2のサブルーチンである。
図2C図2BのステップS11のサブルーチンである。
図3】本実施形態に係る遅延測定装置の<初回測定時>における動作を説明する図である。
図4図3の動作図において、リンク品質計算部の重み付けの一例を示す図である。
図5図3の動作図において、経路計算機能部の測定経路算出の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る遅延測定装置の<測定時>における動作を説明する図である。
図7図6の動作図において、NW状態保持DBに保存された各リンク測定結果の一例を示す図である。
図8図6の動作図において、リンク品質計算部の重み付けの一例を示す図である。
図9図6の動作図において、経路計算機能部の測定経路算出の一例を示す図である。
図10】本実施形態に係る遅延測定装置の過去測定結果をもとに行った重み計算の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係る遅延測定装置の第1指標と第2指標を設けた経路導出例を示す図である。
図12図11の経路導出例をもとに測定経路を決定する例を示す図である。
図13】本実施形態の変形例に係る遅延測定装置の構成例を示す図である。
図14】本発明の実施形態に係る遅延測定方法の処理を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
図15】SRの仕組みを用いた遅延量・ジッタの測定手法に基づく遅延測定システムの構成を示すブロック図である。
図16図15の遅延測定システムから測定始点までの経路(B-D区間)において、ジッタが増加した場合による影響を示す図である。
図17図16の測定結果と実遅延との乖離を説明するイメージ図である。
図18図15の遅延測定システムから測定始点までの経路(B-D区間)において、パケットロスによる影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)における遅延測定装置等について説明する。本明細書の全図において機能が対応する構成部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る遅延測定装置100の構成例を示す図である。図15と同一構成部分には同一符号を付している。
図1に示すように、遅延測定装置100は、測定部110と、経路計算部120と、を備える。遅延測定装置100は、複数の端点が互いに接続されて構成される測定対象ネットワーク10(ネットワーク)の遅延を測定する。
なお、遅延測定装置100を構成する測定部110および経路計算部120は、それぞれを独立の装置で実現してもよいし、一装置で実現してもよい。また、各構成要素内の機能配備は一例であり、装置間の機能配備を変更してもよい。
【0021】
<測定対象ネットワーク>
測定対象ネットワーク(通信ネットワーク)10は、ノードとノード間をつなぐ物理的なリンクで構成される。
測定対象ネットワーク10上では、測定対象ネットワーク10内で動作するルーティングプロトコルの情報(OSPF/BGP-LS)等のルーティングプロトコルによりトポロジ情報が広告されている。遅延測定装置100は、測定対象ネットワーク10上で、MPLS/Segment Routing(SR)やOpenflow(登録商標)のようにフローやVirtual Private Network(VPN)単位で経路制御が可能なプロトコルによる転送を行う。
【0022】
<測定部110>
測定部110は、NW測定部111と、NW状態保持DB(Data Base)112(NW状態保持部)と、を備える。
NW測定部111は、トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を含むNW状態情報(測定結果)を測定・収集し、NW状態保持DB112(NW状態保持部)に格納させる。NW状態情報(測定結果)には、トラフィック量、リンク帯域等の他の情報を含んでもよい。
図1では、NW測定部111は、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を測定し、その測定結果50をNW状態保持DB112に格納する。
NW測定部111は、経路計算機能部122が計算した測定経路をもとに、始点端点に測定パケット送信し、NWの測定対象区間の遅延量を測定する。
【0023】
上記トポロジ(NWトポロジ)は、測定対象NW内で動作するルーティングプロトコルの情報(OSPF/BGP-LS)等から収集する。トポロジは、各リンクの遅延量を算出するために用いられる。
各リンクの遅延量、ジッタは、遅延測定用のパケット等で測定を行う。
【0024】
トラフィック量は、NW装置(以下単に、装置という)内部のトラフィックカウンタの情報や装置情報を取得するSimple Network Management Protocol(SNMP)/Telemety(登録商標)により取得する。
リンク帯域は、装置のconfig等から収集する。また、NWトポロジと帯域のように動的に変化しない情報については手動で入力してもよい。
【0025】
NW状態保持DB112は、トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を保持し、過去データ51として経路計算部120のリンク品質計算部121に送信する。
【0026】
<経路計算部120>
経路計算部120は、リンク品質計算部121と、経路計算機能部122と、を備える。
リンク品質計算部121は、トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、および/またはパケットロス率をもとに、端点間のリンク品質を重みとして算出する。
また、リンク品質計算部121は、パケットロス影響の回避を第1優先、ジッタ影響の回避を第2優先とした係数を設定して算出した重みを第1指標として、各リンクの重みを算出する。リンク品質計算部121は、最小ホップパスを基準とした許容ホップ数差分を第2指標として、各リンクの重みを算出する。
【0027】
経路計算機能部122は、リンク品質計算部121が算出したリンク品質の重みをトポロジに反映した重み付きトポロジに基づいて、測定経路を算出する。
また、経路計算機能部122は、リンク品質の重みが最小和になる経路を、測定経路として算出する。
【0028】
以下、上述のように構成された遅延測定装置100の動作、および遅延測定方法について説明する。
測定対象ネットワーク10上では、OSPFやBGP等のルーティングプロトコルによりトポロジ情報が広告されており、MPLS/Segment Routing(SR)やOpenflow(登録商標)のようにフローやVirtual Private Network(VPN)単位に経路制御が可能なプロトコルによる転送が可能なものとする。
【0029】
[手順]
図2A-Cを参照して、遅延測定装置100の遅延測定方法の手順について説明する。
【0030】
<全体フロー>
図2A-Cは、遅延測定装置100の遅延測定方法の手順を示すフローチャートである。
図2Aは、遅延測定装置100の全体処理を示すシステム処理フローAである。
システム起動されると、遅延測定装置100は、ステップS1のループ始端とステップS3のループ終端間で、ステップS2のシステム処理フローB(図2B参照)を、一定時間間隔(例えば、30秒間隔)で繰り返し実行する。一定時間間隔で繰り返し実行後、本フローの処理を終える。
【0031】
<システム処理フローB>
図2Bは、遅延測定装置100の遅延測定方法の手順を示すフローチャート(システム処理フローB)である。本システム処理フローBは、図2AのステップS2のサブルーチンである。
図2AのステップS2のサブルーチンコールにより処理が開始され、ステップS11で経路計算部120は、重み付きトポロジの生成を行う。重み付きトポロジの生成については、重み付きトポロジの生成処理フローC(図2C参照)により後記する。
【0032】
ステップS12では、経路計算部120は、トポロジからリンクの把握を行う。
ステップS13で経路計算部120は、ステップS13のループ始端とステップS20のループ終端間で、ステップS14-ステップS19の処理を、一定時間間隔(例えば、1秒間隔)で繰り返し実行する。
ステップS14で経路計算部120は、ステップS14のループ始端とステップS18のループ終端間で、ステップS15-ステップS17の処理を、全リンクについて繰り返し実行する。
ステップS15では、経路計算部120の経路計算機能部122は、測定対象リンクへの測定経路を計算する。
ステップS16では、測定部110のNW測定部111は、測定パケットの送受信を実行する。
ステップS17では、NW測定部111は、測定結果をNW状態保持DB112へ保持する。
【0033】
上記ステップS15-ステップS17の処理を全リンク繰り返した場合、本ループを抜け、ステップS19で経路計算部120は、トポロジ更新されたか否かを判別する。なお、トポロジ更新は、例えば、30秒毎に更新される。トポロジ更新された場合(S19:Yes)、ステップS11に戻る。
トポロジ更新されていない場合(S19:No)、ステップS20に進む。ステップS20では、一定時間間隔繰り返されるまで、上記ステップS14-ステップS19の処理を繰り返す。
一定時間間隔で繰り返し実行後、本サブルーチンの処理を終え、図2AのステップS3に進む。
【0034】
<システム処理フローC>
図2Cは、遅延測定装置100の遅延測定方法の手順を示すフローチャート(システム処理フローC)である。本システム処理フローCは、図2BのステップS11のサブルーチンである。
【0035】
ステップS21では、経路計算部120は、測定対象ネットワーク10のトポロジ情報を取得する。上記トポロジ情報は、外部ファイルの読み込みやルータ等から収集する。
ステップS22では、経路計算部120は、取得したトポロジ情報からリンクの把握を行う。
ステップS23では、経路計算部120は、過去の測定情報(遅延/ジッタ/パケットロス)の読み込みを行う。
【0036】
ステップS24では、経路計算部120のリンク品質計算部121は、全リンク品質の算出を行う。
ステップS25では、経路計算部120の経路計算機能部122は、トポロジ情報にリンク品質を重みとして反映して、図2BのステップS12に進む。
【0037】
図3図12を参照して、遅延測定装置100の動作について説明する。
【0038】
<初回測定時>
図3は、図1の遅延測定装置100の<初回測定時>における動作を説明する図である。図4は、図3の動作図において、リンク品質計算部121の重み付けの一例を示す図である。図5は、図3の動作図において、経路計算機能部122の測定経路算出の一例を示す図である。
【0039】
図3に示すように、遅延測定装置100は、遅延の測定対象ネットワーク10に接続されており、始点Dから終点Eまでの遅延量・ジッタを測定する場合を例に採る。ただし、遅延測定装置100は、端点Bに接続されているので、端点D-Eの遅延量・ジッタを測定する場合には、端点B-Dの遅延等の影響を受ける。
【0040】
測定対象ネットワーク10の端点間の各リンク実遅延/パケットロス率は、図3に示す通りである。すなわち、A-B間の実遅延/パケットロス率は、10μs/0%、B-C間の実遅延/パケットロス率は、10μs/0%、B-D間の実遅延/パケットロス率は、100μs/30%、A-D間の実遅延/パケットロス率は、10μs/0%、D-E間の実遅延/パケットロス率は、10μs/0%、である。なお、遅延測定装置100は、<初回測定時>では、上記のような端点間の各リンク実遅延/パケットロス率を把握していない。
【0041】
経路計算部120のリンク品質計算部121は、NW状態保持DB112に格納されている、過去に測定したデータ(トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率)をもとに、リンク品質計算を計算する。このリンク品質計算は、測定結果をもとにした重み付けである。
しかし、<初回測定時>では、NW状態保持DB112には、測定結果である過去データが存在しない(図3の破線矢印参照)。このため、図4に示すように、リンク品質計算部121は、すべてのリンクの重みを同一(図4では、1)として重み付けトポロジ52を生成する。すなわち、リンク品質計算部121は、リンク品質を重みとしてトポロジに反映する。上記トポロジデータは、外部ファイルの読み込みやルータ等から収集する。
【0042】
経路計算部120の経路計算機能部122は、リンク品質を重みとしてトポロジに反映した重み付けトポロジ52をもとに、重みの最小和を最短経路とする経路計算を行う。
【0043】
<初回測定時>では、すべてのリンクの重みを同一として重み付けトポロジ52が生成されているので、重みの最小和で測定経路算出した場合、図5の符号d,eに示す測定経路(測定端点D-E:経路B-D-E)が算出される。
経路計算機能部122は、算出した測定経路情報53(測定端点D-E:経路B-D-E)を測定部110のNW測定部111に送る。
【0044】
測定部110のNW測定部111は、算出された測定経路情報53(測定端点D-E:経路B-D-E)を用いて測定パケットを、測定対象ネットワーク10の端点Bに送信して(図3の符号d,e参照)、測定対象ネットワーク10の各リンクの遅延、ジッタ、パケットロスを測定する。
【0045】
<測定時>
図6は、図1の遅延測定装置100の<測定時>における動作を説明する図である。図7は、図6の動作図において、NW状態保持DB112に保存された各リンク測定結果の一例を示す図である。図8は、図6の動作図において、リンク品質計算部121の重み付けの一例を示す図である。図9は、図6の動作図において、経路計算機能部122の測定経路算出の一例を示す図である。
【0046】
図6に示すように、測定部110のNW測定部111は、図3図5で述べた<初回測定時>の測定により、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を測定し、その測定結果50(図6参照)をNW状態保持DB112に格納する。ここでは、図7に示すように、NW測定部111は、NW状態保持DB112に、測定対象ネットワーク10の各リンク測定結果50として、
A-B間の実遅延/パケットロス率:10μs/0%、
B-C間の実遅延/パケットロス率:30μs/0%、
B-D間の実遅延/パケットロス率:100μs/30%、
A-D間の実遅延/パケットロス率:10μs/0%、
D-E間の実遅延/パケットロス率:100μs/30%、
C-E間の実遅延/パケットロス率:100μs/30%、
C-F間の実遅延/パケットロス率:50μs/0%、
E-F間の実遅延/パケットロス率:10μs/0%を格納する。
【0047】
図6に示すように、NW状態保持DB112は、測定結果である過去データ51(トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を含むNW状態情報)を測定・収集し、)をリンク品質計算部121に送る。
【0048】
図6に示すように、リンク品質計算部121は、過去データ51(トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率)をもとに、リンクの重み付けを更新して重み付けトポロジ52を生成する。ここでは、図8に示すように、リンク品質計算部121は、図7に示す測定結果をもとに、<初回測定時>で「1」であったすべてのリンクの重みを下記のように更新する。
A-B間のリンクの重み:1⇒10
B-C間のリンクの重み:1⇒30
B-D間のリンクの重み:1⇒100
A-D間のリンクの重み:1⇒10
D-E間のリンクの重み:1⇒100
C-E間のリンクの重み:1⇒100
C-F間のリンクの重み:1⇒50
E-F間のリンクの重み:1⇒10
【0049】
経路計算部120の経路計算機能部122(図1参照)は、リンク品質を重みとしてトポロジに反映した重み付けトポロジ52をもとに、重みの最小和を最短経路とする経路計算を行う。ここでは、図9に示す重みの最小和の最短経路が計算される。すなわち、下記である。
A-B間のリンクの重みの最小和:10
B-C間のリンクの重みの最小和:30
B-D間のリンクの重みの最小和:100
A-D間のリンクの重みの最小和:10
D-E間のリンクの重みの最小和:100
C-E間のリンクの重みの最小和:100
C-F間のリンクの重みの最小和:50
E-F間のリンクの重みの最小和:10
【0050】
ここで、重みの算出に用いる計算式、係数は採用するネットワークの要件に応じて決定する。例えば、重みの算出に用いる計算式は、次式(2)で示される。
【0051】
重み計算結果=平均遅延×遅延係数+平均ジッタ×ジッタ係数+平均パケットロス×パケットロス係数 …(2)
【0052】
上記平均遅延、平均ジッタ、および平均パケットロスは、例えば、直近30秒に測定した値の平均値を用いることができる。係数について、一例を挙げると、下記の通りである。
遅延:0
ジッタ:1
パケットロス:10
許容ホップ数差分(後記):2
【0053】
経路計算機能部122(図6参照)は、測定影響を加味して、それぞれの項目の係数を決定する。
【0054】
<測定時>では、図9に示す重みの最小和で測定始点への経路が算出された結果、図9の符号f,gに示す測定経路(測定端点B-A-D:経路B-A-D-E)が算出される。
経路計算機能部122は、算出した測定経路情報53(測定端点B-A-D:経路B-A-D-E)を測定部110のNW測定部111に送る。
【0055】
測定部110のNW測定部111は、算出された測定経路情報53(測定端点B-A-D:経路B-A-D-E)を用いて測定パケットを、測定対象ネットワーク10の端点Bに送信する。ここで、A-B間,A-D間のリンクの重みの最小和は、いずれも「10」であり(図9参照)、端点Aを経由したとしても、A-D間のリンクの重みの最小和の「100」より小さいので、端点Aを経由する測定経路が採用される。
【0056】
このように、<測定時>では、図3の<初回測定時>と異なり、端点Aを経由する測定経路(測定端点B-A-D:経路B-A-D-E)で測定パケットが送信され、経路計算機能部122は、測定対象ネットワーク10の各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロスを測定する。
<測定時>における測定結果50(図6参照)は、NW状態保持DB112に格納される。
上記手順が各リンクに対して測定毎に繰り返され、NW状態保持DB112に保存される測定データ51は更新される。
【0057】
図3図9で説明したように、遅延測定装置100は、算出したリンク品質の重みをトポロジのリンクに反映して、重み付きのトポロジ情報を生成する。本実施形態では、測定経路を算出する際には、指標の一つとして、重みが最小和になる経路を始点までの経路として採用する。これにより、品質の高い経路を経由した測定が可能になる。
【0058】
[適用例]
図10図12を参照して、適用例について説明する。
図10は、過去測定結果をもとに行った重み計算の一例を示す図である。図10は、リンク毎に、平均遅延[μs]、平均ジッタ[μs]、平均パケットロス[%]、重み計算結果を記憶する。図10に示すように、例えば、測定対象区間であるD-Eについて着目すると、B-D間のリンクの重み計算結果は、「350」であり、測定始点Dに繋がるA-B,A-D間のリンクの重み計算結果の「1」と比べて格段に大きい。このため、図5の符号d,eに示す測定経路(測定端点D-E:経路B-D-E)を迂回して、図9の符号f,gに示す測定経路(測定端点B-A-D:経路B-A-D-E)を採用すればよいことが分かる。
【0059】
ただし、極端な迂回経路を採用しないように、許容ホップ数差分を設ける。
図11は、第1指標と第2指標を設けた経路導出例を示す図である。図11は、遅延測定装置100から測定始点への経路導出(端点Bから始点Dまたは始点E)例を示す。
図11では、パケットロス影響の回避を第1優先、ジッタ影響の回避を第2優先とした係数を設定して算出した重みを第1指標として、各リンクの重みを算出している。
また、経路の迂回に伴う測定影響のリスクを抑えるために、最小ホップパスを基準とした許容ホップ数差分を第2指標として算出している。
【0060】
図12は、図11の経路導出例をもとに測定経路を決定する例を示す図である。
図12では、図11の算出結果をもとに、第1指標の重みが最小和、かつ第2指標のホップ数差分である経路(B-A-D)が測定始点までの経路として採用される。
【0061】
[変形例]
図13は、実施形態の変形例に係る遅延測定装置100の構成例を示す図である。図13は、測定対象ネットワークに大型装置を用いた場合の例を示す。図1と同一構成部分には同一符号を付している。
図13に示すように、遅延測定装置100は、測定対象ネットワーク10に接続されている。測定対象ネットワーク10は、図1の端点Aが装置Aにより構成される。
装置Aは、図13の破線に示す筐体内に、ルータやゲートウェイ機能を有する収容パッケージ21,22(PKG1,PKG2)と、収容パッケージ21,22(PKG1,PKG2)を収容・接続する収容インタフェース23と、を備える。
【0062】
装置Aは、同じ測定経路であっても収容インタフェース23、収容パッケージ21,22(PKG1,PKG2)の使用状況等によっては、通信品質に影響することが想定される。図13の符号hに示す経路は、同一パッケージ(PKG1のみ)の経路であり、図13の符号iに示す経路は、パッケージ跨り(PKG1,PKG2,収容インタフェース23)の経路である。
【0063】
変形例では、装置A内遅延、ジッタ等による測定影響を極小化できるように収容パッケージ21,22(PKG1,PKG2)、収容インタフェース23を考慮した測定経路の最適化を図る。このため、遅延測定装置100は、装置Aから装置情報54(装置Aのインタフェース情報、パッケージ収容情報、キュー、バッファ情報)を取得し、測定経路の最適化を図る。例えば、装置Aの端点を、収容パッケージ21(PKG1)および収容インタフェース23を経由する場合の端点A1(図示省略)と、収容パッケージ22(PKG2)および収容インタフェース23を経由する場合の端点A2(図示省略)とに分けて、それぞれについて、測定対象区間までの経路品質を考慮して算出した経路を算出する。
【0064】
また、他の変形例として、ジッタ、パケットロスは装置内部の処理影響によって発生することから、パケットの送受信タイミングによって測定結果に影響すると想定される。そこで、遅延測定装置100は、測定パケットを送信した時刻、受信した時刻、測定結果を、図示しない測定経路最適化装置にフィードバックし、測定経路最適化装置が、測定経路最適化を行う態様も可能である。
【0065】
[ハードウェア構成]
本実施形態に係る遅延測定方法は、例えば図14に示すような構成の物理装置であるコンピュータ900によって実現される。
図14は、本発明の実施形態に係る遅延測定方法の処理を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
コンピュータ900は、CPU901、ROM902、RAM903、HDD904、通信インターフェイス(I/F:Interface)906、入出力インターフェイス(I/F)905、およびメディアインターフェイス(I/F)907を有する。
【0066】
CPU901は、ROM902またはHDD904に格納されたプログラムに基づいて動作し、図1に示す遅延測定装置100の各部の制御を行う。ROM902は、コンピュータ900の起動時にCPU901によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0067】
CPU901は、入出力I/F905を介して、マウスやキーボード等の入力装置910、および、ディスプレイ等の出力装置911を制御する。CPU901は、入出力I/F905を介して、入力装置910からデータを取得するともに、生成したデータを出力装置911へ出力する。なお、プロセッサとしてCPU901とともに、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いてもよい。
【0068】
HDD904は、CPU901により実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信I/F906は、通信網(例えば、NW(Network)920)を介して他の装置からデータを受信してCPU901へ出力し、また、CPU901が生成したデータを、通信網を介して他の装置へ送信する。
【0069】
メディアI/F907は、記録媒体912に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM903を介してCPU901へ出力する。CPU901は、目的の処理に係るプログラムを、メディアI/F907を介して記録媒体912からRAM903上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体912は、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto Optical disk)等の光磁気記録媒体、磁気記録媒体、導体メモリテープ媒体又は半導体メモリ等である。
【0070】
例えば、コンピュータ900が本実施形態に係る一装置として構成される遅延測定装置100として機能する場合、コンピュータ900のCPU901は、RAM903上にロードされたプログラムを実行することにより遅延測定装置100の機能を実現する。また、HDD904には、RAM903内のデータが記憶される。CPU901は、目的の処理に係るプログラムを記録媒体912から読み取って実行する。この他、CPU901は、他の装置から通信網(NW920)を介して目的の処理に係るプログラムを読み込んでもよい。
【0071】
[効果]
以下、本発明に係る遅延測定装置等の効果について説明する。
本発明に係る遅延測定装置100は、複数の端点が互いに接続されて構成されるネットワーク(図1の測定対象ネットワーク10)の遅延を測定する遅延測定装置であって、トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、パケットロス率を測定し、NW状態情報としてNW状態保持部に保持させるNW測定部111(図1参照)と、トポロジ、各リンクの遅延量、ジッタ、およびパケットロス率を含むNW状態情報をもとに、端点間のリンク品質を重みとして算出するリンク品質計算部121(図1参照)と、リンク品質計算部121が算出したリンク品質の重みをトポロジに反映した重み付きトポロジに基づいて、測定経路を算出する経路計算機能部122(図1参照)と、を備え、NW測定部111は、経路計算機能部122が計算した測定経路をもとに、始点端点に測定パケット送信し、NWの測定対象区間の遅延量を測定する。
【0072】
このように、本発明は、NW状態情報(遅延量、ジッタ、パケットロス率を含む測定結果)を測定し、過去の測定結果を測定経路算出にフィードバックすることにより、ネットワークの品質劣化による影響を極小化することができる。例えば、遅延測定装置100から測定始点までの経路においてジッタが増加した場合であっても、測定対象区間の遅延量およびジッタが実際よりも大きく算出されることを防ぐことができ、正確な情報を測定することができる。また、測定始点までの経路において品質劣化によるパケットロスが発生している場合であっても、測定パケットのロスにより測定に失敗することや、本来のパケットロス率よりも高いロス率が記録されること防ぐことができる。
【0073】
また、遅延測定装置100において、経路計算機能部122は、リンク品質の重みが最小和になる経路を、測定経路として算出することを特徴とする。
【0074】
このようにすることで、品質の高い経路を経由した測定が可能になる。また、重み付けの計算方式を変えることにより、ネットワーク設計、運用者のポリシーに合わせたネットワークモニタリングが可能になる。
【0075】
また、遅延測定装置100において、リンク品質計算部121は、パケットロス影響の回避を第1優先、ジッタ影響の回避を第2優先とした係数を設定して算出した重みを第1指標として、各リンクの重みを算出することを特徴とする。
【0076】
このようにすることによって、パケットロス影響を回避しつつ、ネットワークの品質劣化による影響を極小化することができる。
【0077】
また、遅延測定装置100において、リンク品質計算部121は、最小ホップパスを基準とした許容ホップ数差分を第2指標として、各リンクの重みを算出することを特徴とする。
【0078】
このようにすることによって、基準パスとのホップ数差分が一定値以下である経路が選定されることで、迂回経路を制限しつつ、品質の高い経路を経由した測定が可能になる。
【0079】
[その他]
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述文書中や図面中に示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0080】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)カード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0081】
10 測定対象ネットワーク(ネットワーク)
52 重み付きトポロジ
100 遅延測定装置
110 測定部
111 NW測定部
112 NW状態保持DB(NW状態保持部)
120 経路計算部
121 リンク品質計算部
122 経路計算機能部
A~F 端点
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18