(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】注射デバイスに取り付けるための補助デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/24 20060101AFI20241119BHJP
A61M 5/31 20060101ALN20241119BHJP
【FI】
A61M5/24 500
A61M5/31 520
(21)【出願番号】P 2020534560
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2018085386
(87)【国際公開番号】W WO2019121607
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-13
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】イラーリオ・メルツィ
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/041798(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03058970(EP,A1)
【文献】特表2017-522077(JP,A)
【文献】特開2005-253999(JP,A)
【文献】特開2016-189797(JP,A)
【文献】特表2017-524399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射デバイスに解放可能に取り付けられるように構成された補助デバイスであって:
少なくとも1つの無線通信ユニットと;
少なくとも1つのセンサと;
補助デバイスが注射デバイスに取り付けられたときに、注射デバイスの中へと延びる延長部であって、少なくとも1つのセンサが結合された延長部とを含み;
ここで、補助デバイスは、
少なくとも1つの無線通信ユニットを介して、外部デバイスから無線通信を受信したことに応答して、少なくとも1つのセンサを起動し、
起動に続いて、少なくとも1つのセンサを使用し、注射デバイスによる注射の開始を検出し、
少なくとも1つの無線通信ユニットを介して、注射の開始を外部デバイスに伝達するように構成され、
延長部およびセンサは、補助デバイスが注射デバイスに取り付けられ、延長部が注射デバイスの中へと延びたときに、センサが注射デバイス内の一部の動きを検出することによって注射の開始を検出することができるように配置されて
おり、
注射デバイスによる注射の開始が検出されたこと、および注射デバイスによる注射の終了が、注射の開始の所定時間内に検出されていないことを示すように構成される、前記補助デバイス。
【請求項2】
延長部は、可撓性のプリント回路板である、請求項1に記載の補助デバイス。
【請求項3】
注射デバイスによる注射の開始が検出されていないことを示すように構成される、請求項1または2に記載の補助デバイス。
【請求項4】
注射デバイスによる注射の開始が検出されたこと、および注射デバイスによる注射の終了が検出されていないことを示すように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項5】
外部デバイスへの
前記伝達に成功したかどうかを示すように構成される、請求項1~
4
のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項6】
温度センサをさらに含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項7】
注射デバイスに含まれる薬剤が所定の温度パラメータを満たすかどうかを示すように構成される、請求項
6に記載の補助デバイス。
【請求項8】
注射デバイスに含まれる薬剤が、所定の温度パラメータを満たさないと決定したことに応答してタイマを開始し、タイマが終了したとき、標示を提供するように構成される、請求項
6に記載の補助デバイス。
【請求項9】
システムであって:
請求項1~
8のいずれか1項に記載の補助デバイスと、
注射デバイスと
を含み、
補助デバイスは、解放可能に注射デバイスに取り付けられる、前記システム。
【請求項10】
注射デバイスは、使い捨ての自動注射器である、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
補助デバイスは、注射デバイスに取り付けられたとき、補助デバイスのハウジングが、注射デバイスのハウジングと同一面上にあるように形成されるハウジングを含む、請求項
9または
10に記載のシステム。
【請求項12】
幅が均一であるが長手方向長さが注射デバイスよりも大きいものである、請求項
9~
11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
補助デバイスは、注射デバイスの遠位端に位置する凹部内に取り付けられるように構成される、請求項
9~
12のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、注射デバイスに解放可能に取り付けられるように構成された補助デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による規則的な治療を必要とする様々な病気が存在する。このような注射は、注射デバイスを用いることにより実施することができ、それは、医療人員により、または患者自身で行われる。
【0003】
注射デバイス(すなわち、医薬品容器から薬剤を送達できるデバイス)は、注射される治療の自己投与を患者がより容易に行えるようにすることを目的としている。自己投与注射により送達される現在の治療は、糖尿病に対する薬物(インスリンと新しいGLP-1クラスの薬物の両方)、偏頭痛、アレルギー、ホルモン治療、抗凝血などに対する薬物を含む。注射デバイスは、特定の救命薬の1回の用量を送達するために使用することができる。例えば、それらは、アナフィラキシーの危険のある人々に処方されることが多い。それらはまた、化学兵器から人員を保護するために、軍で使用されることも多い。代替として、注射デバイスは、例えば、多発性硬化症、関節リュウマチ、または貧血症の人々に対して、処方された治療スケジュールに従って薬剤を投与するために使用される。
【0004】
注射デバイスは、薬剤の1回の用量を送達するためにだけ使用することができ、また使用後に処分する必要のある使い捨ての、または1回使用のデバイスとすることができる。他のタイプの注射デバイスは、再使用可能である。それらは、通常、ユーザが標準のシリンジを着脱することができるように配置される。再使用可能な注射デバイスは、複数の非経口薬物送達を実施するために使用することができるが、シリンジは、消費されて注射デバイスから外された後、処分される。シリンジは、さらなる機能性を提供するために、さらなる部品を用いてパッケージ化することができる。典型的なシナリオでは、病気は、例えば、毎日、毎週、隔週、または毎月、注射デバイスを用いて薬剤用量を注射することにより、患者自身で治療することができる。
【0005】
注射デバイスは、通常、手動デバイスと自動注射デバイスの2つの範疇に含まれる。手動デバイスでは、ユーザは、針を通して液を送るために機械的エネルギーを与えなくてはならない。これは、通常、注射中にユーザが連続的に押す必要のある何らかの形態のボタン/プランジャにより行われる。
【0006】
自動注射デバイスは、標準シリンジからの非経口薬物送達に含まれる動作を完全に、または部分的に置き換えるデバイスである。これらの動作は、患者の皮膚内への針の挿入、薬剤の注射、針の取外し、針のシールド、およびデバイスの再使用の防止を含むことができる。自動注射デバイスは:ユーザの必要な力、握ることに関する問題、および不完全な用量を送達する可能性を低減することができる。トリガすることは、例えば、トリガボタン、または針がその注射深さに達したという動作など、数多くの手段により実施することができる。いくつかのデバイスでは、液を送達するためのエネルギーは、ばねにより提供される。
【0007】
針のない注射技術を用いて薬剤を送達する無針注射デバイスが開発されてきた。このようなシステムは、カニューレで皮膚を貫通させることを含まない機構を用いて皮膚を通して薬剤を送達する。
【0008】
注射デバイスの誤った扱いを防止するために、または使用データの経過を追うために、注射デバイスの状態および/または使用に関する情報を測定することが望ましい。注射器と共に使用するのに適しており、かつ注射器によって送達される用量をモニタする(またユーザに他の情報を提供する)再使用可能な、アドオン式デバイスが知られている。デバイスを注射デバイスに解放可能に取り付けるための嵌合ユニットを含む補助デバイスを提供することが、例えば、特許文献1で述べられている。そのデバイスは、カメラを含み、かつ注射ペンの投与量窓を介して視認できる取り込まれた画像に対して光学式文字認識(OCR)を実施し、それにより、注射デバイスへとダイヤルで設定されている薬剤の用量を決定するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
注射デバイスに関連付けられた使用情報を決定し、かつ伝達できる向上させたアドオン式デバイスが求められている。このようなアドオン式デバイスの電力消費量を最小化するための方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
注射デバイス10に関連付けられた使用量情報を決定し、外部デバイス1000に伝達できる、注射デバイス10に取り付けるための補助デバイス200が提供される。補助デバイス200は、使い捨て注射デバイスと共に使用されるとき、処分されることになる注射デバイスとは別個にデータを記録し、かつ記憶させることができ、1人のユーザに対して、複数の使い捨てデバイスからの使用データを組み合わせることができるので、特に有利である。
【0012】
本開示の態様によれば、注射デバイスに解放可能に取り付けられるように構成された補助デバイスが提供され、補助デバイスは:少なくとも1つの無線通信ユニットと;少なくとも1つのセンサとを含み;ここで、補助デバイスは:少なくとも1つの無線通信ユニットを介して、外部デバイスから無線通信を受信したことに応答して、少なくとも1つのセンサを起動し;起動に続いて、少なくとも1つのセンサを使用し、注射デバイスによる注射の開始を検出し;少なくとも1つの無線通信ユニットを介して、注射の開始を外部デバイスに伝達するように構成される。
【0013】
補助デバイスは、延長部を含むことができ、また少なくとも1つのセンサは、延長部上に位置することができる。延長部は、可撓性のプリント回路板とすることができる。
【0014】
補助デバイスは、注射デバイスによる注射の開始が検出されていないことを示すように構成することができる。
【0015】
補助デバイスは、注射デバイスによる注射の開始が検出されたこと、および注射デバイスによる注射の終了が検出されていないことを示すように構成することができる。
【0016】
補助デバイスは、注射デバイスによる注射の開始が検出されたこと、および注射デバイスによる注射の終了が、注射の開始の所定時間内に検出されていないことを示すように構成することができる。
【0017】
補助デバイスは、外部デバイスへの伝達に成功したかどうかを示すように構成することができる。
【0018】
補助デバイスは、温度センサをさらに含むことができる。
【0019】
補助デバイスは、注射デバイスに含まれる薬剤が、所定の温度パラメータを満たすかどうかを示すように構成することができる。
【0020】
補助デバイスは、注射デバイスに含まれる薬剤が、所定の温度パラメータを満たさないと決定したことに応答して、タイマを開始するように構成することができ、またタイマが終了したとき、標示を提供することができる。
【0021】
本開示の態様によれば、本明細書で定義されるいずれかの補助デバイスと、注射デバイスとを含むシステムが提供され、ここで、補助デバイスは、注射デバイスに解放可能に取り付けられる。
【0022】
注射デバイスは、使い捨ての自動注射器とすることができる。
【0023】
補助デバイスは、注射デバイスに取り付けられたとき、補助デバイスのハウジングが、注射デバイスのハウジングと同一平面上にあるように形成されたハウジングを含むことができる。
【0024】
システムは、幅が均一であるが長手方向長さが注射デバイスよりも大きいものである。
【0025】
補助デバイスは、注射デバイスの遠位端に位置する凹部内に取り付けられるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1B】キャップが外された状態の
図1Aの注射デバイスの側面図である。
【
図2B】キャップが外された状態の注射デバイス、補助デバイスを取り付ける過程にある注射デバイス、補助デバイスが取り付けられた状態の注射デバイスを示す図である。
【
図3】注射デバイスに取り付けられる補助デバイスの実施形態の内部の構成要素を示す図である。
【
図4】補助デバイス、注射デバイス、および外部デバイスの実施形態の間の通信を示す図である。
【
図5A】導電性ゴムパッドを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図5B】注射手順の開始を検出するために、注射デバイスと共に使用中の導電性ゴムパッドを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図5C】注射手順の開始を検出するために、注射デバイスと共に使用中の導電性ゴムパッドを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図6A】注射手順の前のマイクロスイッチを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図6B】注射手順中におけるマイクロスイッチを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図6C】注射手順の最後におけるマイクロスイッチを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図7A】注射手順前における光反射センサを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図7B】注射手順中における光反射センサを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図7C】注射手順の終了おける光反射センサを含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【
図8】温度測定に関して、補助デバイスの実施形態により実施される動作を示す流れ図である。
【
図9】温度測定に関して、補助デバイスの実施形態により実施される動作を示す流れ図である。
【
図10】温度測定に関して、補助デバイスの実施形態により実施される動作を示す流れ図である。
【
図11】注射手順の開始および終了を判定すること、およびこの判定に関するデータを外部デバイスに転送することに対して、補助デバイスの実施形態により実施される動作を示す流れ図である。
【
図12】薬剤に関連する情報を決定することに関して、補助デバイスの実施形態により実施される動作を示す流れ図である。
【
図13】補助デバイスが、注射デバイスに取り付けられたとき、延長部が、注射デバイスの凹部または空洞部内に位置するように構成された延長部を含む補助デバイスの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、諸実施形態がペン型注射器を参照して述べられる。しかし、本開示は、このような用途に限定されることなく、シリンジ、充填済みシリンジ、無針注射器、および吸入器などの他のタイプの薬物送達デバイスを用いても同様に良好に展開することができる。
【0028】
実施形態による注射デバイス10(本明細書では、薬物送達デバイス10とも呼ばれる)が、次に
図1Aおよび
図1Bを参照して述べられる。いくつかの実施形態では、注射デバイス10は、自動注射器などの1回使用の注射デバイス10である。いくつかの他の実施形態では、注射デバイス10は、再使用可能な注射デバイス、または廃棄される前に、いくつかの用量を注射するために使用できる注射デバイスである。注射デバイス10は、近位端Pおよび遠位端Dを有する。近位端Pは、注射中に患者の注射部位の方向を向いているが、遠位端Dは、注射部位から離れる方向を向いている。
【0029】
注射デバイス10は、本体9およびキャップ12(本明細書では、外側針キャップ12またはONC12とも呼ばれる)を含む。本体9は、外側ハウジング11を含む。外側ハウジング11は、細長い管である。外側ハウジング11は、液体薬剤16を含むカートリッジまたはシリンジ18を支持するカートリッジホルダまたはシリンジホルダ(図示せず)を含む。以降では、記述は、カートリッジホルダ(図示せず)により支持されるカートリッジ18を指すものとする。カートリッジ18は、
図1Bにおいて、破線で示され、ハウジング11における窓15の下に位置することができる。
【0030】
外側ハウジング11はまた、注射中に薬剤16を投薬させる投薬機構(図示せず)を収容する。
【0031】
中空の針17は、カートリッジ18の内部容積と通じており、注射中に液体薬剤16用の導管として働く。針17およびカートリッジ18は、互いに対して、かつ本体9に対して固定された位置にある。ストッパ、プランジャ、ピストン、または栓14は、投薬機構の動作下で、カートリッジ18内に含まれた薬剤を、針17を通して排出するように、カートリッジ18内で移動可能である。
【0032】
投薬機構は、カートリッジ18のピストン14に機械的に結合される。投薬機構は、針17を通して薬剤16を投薬するために、ピストンをカートリッジ18に沿って軸方向に、近位方向へと移動させるように構成される。投薬機構は、ユーザにより行われる作動入力に応答して、ピストン14に力を加えるように協動する構成要素を含む。ここで、ピストン14に力を加えることをトリガする作動入力は、注射デバイス10の遠位端に位置する用量投薬ボタン13により受け入れられる。投薬機構は、投薬ボタン13に対して機械的に連結される。
【0033】
ラベルがハウジング11上に設けられる。ラベルは、薬剤を識別する情報を含む、注射デバイス10内に含まれる薬剤に関する情報100を含む。薬剤を識別する情報100は、テキストの形式とすることができる。薬剤を識別する情報100はまた、色の形式とすることもできる。薬剤を識別する情報100はまた、バーコード、QRコード、または同様のものへとコード化することができる。薬剤を識別する情報100はまた、白黒のパターン、色パターン、またはシェーディングの形式とすることができる。
【0034】
図2aは、
図1の注射デバイス10に解放可能に取り付けるための補助デバイス200の実施形態の概略図である。
図2bは、補助デバイス200の実施形態に取り付ける前、取り付ける間、またその後における注射デバイスを示す。補助デバイス200は、
図1Aおよび
図1Bで示された注射デバイス、ならびに上記で論じた注射デバイスの他のタイプで使用するのに適している。補助デバイス200は、再使用可能な注射デバイスと、使い捨ての注射デバイスの両方を含む注射デバイスで使用するためのものとすることができる。補助デバイス200はまた、手動注射器および自動注射器で使用するのに適することができる。特定の実施形態では、補助デバイス200は、使い捨てのペン型自動注射器で使用するためのものとすることができる。
【0035】
補助デバイス200は、注射デバイス10に取り付けることができる。例えば、補助デバイス200は、注射デバイスに取り付けるための手段210を含むことができる、または注射デバイスは、補助デバイス200に取り付けるための手段を含むことができる。補助デバイス200は、補助デバイス200の取付け用に構成された、注射デバイスの一部に取り付けるように構成された手段210を含むことができる。注射デバイス10および補助デバイス200は、場合により、補助デバイス200が、注射デバイス10に対して、確実に、正しく方向付けられかつ位置決めされるようにするために、協動する位置合せ機能を含むことができる。説明用の例では、補助デバイス200は、フック211を含むことができ、また注射デバイスは、凹部31を含むことができ、ここで、補助デバイス200のフック211は、定位位置にカチッと留めることができ、したがって、補助デバイス200を注射デバイス上に保持できるように構成される。他の取付け手段は:接着面、磁気的構成要素、クリップ、ねじが切られた構成要素、または任意の適切な手段を含むことができる。
【0036】
注射デバイスは、補助デバイス200の取付け位置に、その上に、またはそれを覆って位置するキャップ30を含むことができる。キャップ30は、例えば、補助デバイス200のものと同様のフックを含み、同様に取り付けることができる。キャップ30は、補助デバイス200を取り付ける前に取り外すことのできる取外し可能なキャップとすることができる。
【0037】
取付け手段210は、取り付けたとき、注射デバイス10に対する補助デバイス200の方向付け、位置、または位置合せが所定のものになるようにすることができる。所定の方向付け、位置、または位置合せは、センサなどの任意の構成を、その動作用の正しい場所に配置するようにするものである。例えば、補助デバイス200は、注射デバイス10上の凹部31と係合するフック211を含むことができ、フック211および凹部31は、補助デバイス200が、例えば、任意のセンサを、検出用に最適な場所に位置決めできるようにするなど、デバイスの正しい機能を可能にするようにだけ取り付けることができるように構成することができる。補助デバイス200は、その取付けが注射デバイス10の動作と干渉しない限り、注射デバイス10の任意の部分に取り付けることができる。例えば、注射デバイス10は、自動注射器とすることができ、補助デバイス200は、自動注射器の遠位端に取り付けることができる。
【0038】
補助デバイス200は、ハウジング220を含む。ハウジング220は、補助デバイス200の少なくとも一部に対して、外側カバーを提供することができる。
【0039】
場合により、補助デバイス200のハウジング220は、注射デバイス10の遠位端に取り付けたとき、補助デバイス200のハウジング220が、
図2bで示されるように、注射デバイス10のハウジングと同一面になるように形成される。補助デバイス200を注射デバイス10に取り付けることは、したがって、均一な幅の組立体をもたらすが、注射デバイス10単独よりも長さが長くなる。この効果を達成するために、補助デバイス200は、注射デバイス10の横幅または直径と、同じ幅または直径を有するように形成することができる。代替として、または加えて、補助デバイス200のハウジング220は、注射デバイス10の遠位端に取り付けたとき、補助デバイスのハウジング220が、注射デバイスハウジング11に対して平行であり、かつ同じ高さであるように構成することができる。補助デバイスのハウジング220は、注射デバイス10に取り付けたとき、補助デバイスのハウジング220の縁部の少なくとも一部分が、注射デバイスハウジング11の縁部の少なくとも一部と接触し、かつ一致するように構成された縁部を有することができる。特定の実施形態では、補助デバイスのハウジング220の縁部の全体は、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、注射デバイスハウジング11の縁部の全体と接触し、かつ一致するように構成される。
【0040】
代替として、補助デバイス200は、注射デバイス10の遠位端になるように取り付けられ、かつ注射デバイス10よりも広くなるように構成することができ、したがって、得られた組立体は、より広い遠位端を備えた注射デバイスになる。
【0041】
補助デバイス200は、注射デバイス10に取り付けられたとき、補助デバイス200の少なくとも一部が、注射デバイス10の中へと延びるように形成することができる(
図13Aを参照のこと)。こうすることは、例えば、注射デバイス10に対する情報の決定を可能にする場所に、センサまたは構成要素の位置決めを可能にする。注射デバイス10の中へと延びる補助デバイス200の一部は、例えば、可撓性のプリント回路板(PCB)延長部など、可撓性または剛性の延長部280とすることができる。可撓性または剛性の延長部280は、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、可撓性または剛性の延長部280が、注射デバイス10の凹部または空洞部内に位置するように構成することができる(
図13Bまたは
図13C)。この空洞部または凹部は、前記キャップが注射デバイス10に取り付けられたとき、取外し可能なキャップ30により覆われるように配置することができる。可撓性または剛性の延長部280は、本明細書で論じられる、例えば、注射の開始および終了を検出するためのセンサ250、導電性ゴムパッド260、マイクロスイッチ261、光反射センサ263、光センサ254、または温度センサ255などのセンサを有することができ、それらは、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、それらの役割(例えば、注射デバイス10の一部の動きを検出すること)を実施できるように、延長部280上に位置する。
【0042】
いくつかの実施形態では、補助デバイス200は、注射デバイス10の遠位端に取り付けられるが、注射デバイス10のハウジング11を越えて延びないように形成される。この状況において、注射デバイス10は、例えば、取り付けたときに補助デバイス200が中に配置される、取外し可能なキャップ30の下に位置する凹部を有することができる。視覚的なインジケータ231など、使用中に露出される必要のある注射デバイス10のいずれかの構成要素は、取り付けられたときなお露出されている補助デバイス200の表面上に位置することができ、したがって、この表面は、実質的に、注射デバイス10の遠位端を形成する。いくつかの実施形態では、補助デバイス200は、涙滴形状の横断面を有し、涙滴形状の横断面は、本明細書で論じる可撓性または剛性の延長部280を含むことができる(
図13C)。例えば、延長部280は、デバイスが取り付けられていないとき涙滴形状を形成するように補助デバイス200に対して位置し、かつ注射デバイス10に取り付けるために補助デバイス200を準備するとき、延長部280が、取り付けたときに注射デバイス10の凹部または空洞部内に配置されるような位置へと折り畳むことのできる可撓性のPCBとすることができる。
【0043】
図3は、いくつかの内部および外部構成要素を示す補助デバイス200の実施形態の概略図である。内部には、補助デバイス200は、主電子回路24を含む。主電子回路24は、少なくともプロセッサ25を含む。プロセッサ25は、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または同様のものとすることができる。プロセッサ25は、プログラムコード(例えば、ソフトウェア、またはファームウェア)を実行する。主電子回路24は、いくつかの実施形態では、軟質(flex)PCB上に位置することができる。
【0044】
補助デバイス200は、メモリを含むことができる。主電子回路24は、プログラムメモリと主メモリの両方を含むことができる。プロセッサは、プログラムメモリに記憶されているプログラムコードを実行することができ、主メモリを使用して、例えば、中間結果を記憶する。プログラムメモリは、例えば、読出し専用メモリ(ROM)とすることができ、また主メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)とすることができる。デバイスは、例えば、補助デバイス200内に含まれる任意のセンサから導出された情報など、情報を記憶するための不揮発性メモリを含むことができる。
【0045】
補助デバイス200はまた、1つまたはそれ以上のセンサを含む。1つまたはそれ以上のセンサは、主電子回路24に結合され、かつ制御される。
【0046】
補助デバイス200はまた、別のデバイスとの間で情報を送信および/または受信するように構成された通信ユニットを含む。通信ユニット240は、無線ユニット241とすることができる。このような送信は、例えば、無線送信または光送信に基づくことができる。いくつかの実施形態では、無線ユニット241は、Bluetooth送受信機である。代替として、無線ユニット241は、例えば、ケーブルまたはファイバ接続により、結線された状態で、別のデバイスとの間で情報を送信および/または受信するように構成された有線ユニット(図示せず)により置き換える、または補完することができる。データが送信されたとき、転送されるデータのユニット(値)は、明示的に、または暗黙的に定義することができる。無線ユニット241は、主電子回路24に結合され、かつそれにより制御することができる。特定の例では、外部デバイス1000は、近距離通信(NFC)により補助デバイス200を起動することができ、この例では、補助デバイス200は、近距離通信アンテナ242を含むことになる。いくつかの例では、補助デバイス200は、Bluetooth通信とNFCの両方が可能な通信ユニット240を含むことになる。
【0047】
補助デバイス200は、ユーザにフィードバックを提供するための構成要素230を含むことができる。例えば、補助デバイス200は、LED232などの1つの視覚的インジケータ231、または複数の視覚的インジケータ231を含むことができる。視覚的なインジケータ231は、特定の状態をユーザに示すために光を放出することができる。デバイスが、複数の視覚的インジケータ231を含む場合、光を発するインジケータの特定の組合せが、異なる状況を示すことができる。代替として、または加えて、個々の視覚的インジケータ231は、示された状況に応答して、異なる出力または表示を有することができる。例えば、視覚的インジケータ231は、異なる状況を示すために異なる色の光を出力することができる。1つまたはそれ以上の視覚的インジケータは、RGB LED233とすることができる。
【0048】
補助デバイス200はまた、補助デバイス200のユーザに可聴フィードバックを提供するように構成された可聴モジュール104など、1つまたはそれ以上の可聴インジケータ234を含むことができる。1つまたはそれ以上の可聴インジケータ234は、例えば、スピーカ、ブザー、圧電電子ブザー、または任意の適切な可聴インジケータとすることができる。これは、視覚的インジケータ231に対する代替のものとすることができ、または視覚的インジケータ231に対する付加的なものとすることができる。1つまたはそれ以上の視覚的インジケータ231と、1つまたはそれ以上の可聴インジケータ234の両方は、主電子回路24に結合され、それにより制御することができる。
【0049】
補助デバイス200は、場合により、取付け機構がロック位置にあるか、それともロック解除位置にあるかを感知するように構成されたロッキングセンサ106を含むことができる。
【0050】
以下でさらに論じるように、ユーザにフィードバックを提供するための構成要素230は、例えば、注射の開始の検出に失敗したことなど、注射の開始に関する情報を、例えば、注射の終了の検出に失敗したことなど、注射の終了に関する情報を、または例えば、データ送信の成功または不成功など、データの送信状況に関する情報を提供するために使用することができる。
【0051】
補助デバイス200は、電池などの電源212を含むことができる。電源212は、例えば、主電子回路24、メモリ34、無線ユニット241、1つまたはそれ以上のセンサ、視覚的インジケータ231、および/または可聴インジケータ234など、補助デバイス200の電気的な構成要素に電力を供給することができる。
【0052】
図4は、例示的なシステムを示しており、また補助デバイス200と他のデバイスの間の通信を示す。
【0053】
補助デバイス200は、休止状態を有しており、その場合、電子的な構成要素は低電力モードにあり、非本質的な電気的プロセスはすべて電源が切られている。例えば、補助デバイス200が、センサ、可聴インジケータ234、または視覚的インジケータ231を含む場合、休止状態において、これらの構成要素は、アクティブではない、または電力が供給されることはない。これは、補助デバイス200の電力消費量を最小化する利点を有する。
【0054】
補助デバイス200は、外部デバイス1000から受信された信号1001により、起動される、すなわち、休止状態からアクティブ状態へと移行させることができる。信号1001は、ウェイクアップ信号を含むことができる。外部デバイス1000は、有線または無線接続を含む任意の適切な手段を介して送られ、かつ補助デバイス200の通信ユニット240に伝達された信号により、補助デバイス200を起動することができる。補助デバイス200の通信ユニット240は、例えば、低電力モードにある間、別の電源を必要としないことにより、または補助デバイス200の電源へのアクセスを維持することにより、補助デバイス200が低電力モードにある間、信号を受信できるようにすることができる。特定の例では、外部デバイスは、近距離通信によって補助デバイス200を起動することができ、この例では、補助デバイス200は、近距離通信アンテナ242を含むことになる。
【0055】
活動化されると、補助デバイス200は、アクティブ状態になることができる。この状態において、例えば、1つまたはそれ以上の任意のセンサは、検出することができる。補助デバイス200は、この状態において、外部デバイス1000にデータを転送することができる。
【0056】
注射デバイス10は、補助デバイス200の状況にかかわらず、注射を投与することができる。例えば、注射デバイス10は、自動注射器とすることができ、それは、補助デバイス200が取り付けられていない、もしくは取り付けた状態で、または補助デバイス200が休止状態、もしくはアクティブ状態にあるとき、注射を送達することができる。
【0057】
外部デバイス1000は、補助デバイス200と通信することができ、また補助デバイス200から受信したデータを記憶し、処理し、表示し、または送信することのできる任意のデバイスとすることができる。例えば、外部デバイス1000は、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、コンピュータ、または任意の適切なデバイスとすることができる。
【0058】
補助デバイス200および/または注射デバイス10は、注射デバイス10による注射の開始271を検出できる少なくとも1つのセンサ251を含むことができる。センサ251は、スイッチ、導電性ゴムパッド、ホール効果センサ、圧電センサ、光センサ、または任意の適切なセンサを含むことができる。センサ251は、注射それ自体に関連付けられた注射デバイス10の一部の動きを検出することができ、例えば、センサ251は、プランジャ14の動きを、またはプランジャにリンクされた、もしくは関連付けられた構成要素の動きを検出することができる。注射の開始を検出するために、センサ251は、前述の構成要素の動きの開始を検出することができる。
【0059】
例えば、センサ251は、補助デバイス200内に含まれる導電性ゴムパッド260とすることができ、それは、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、注射手順に含まれる注射デバイス10の構成要素の動きを検出するように構成することができる。したがって、導電性ゴムパッド260は、注射デバイス10による注射手順の開始を検出することができる。ゴムパッド260は、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、プランジャ、または関連する構成要素からの突起部が、導電性ゴムパッドに対して押されるように配置することができる。この突起部は、プランジャが進むと注射デバイス10の中に後退するように構成され、したがって、注射が開始すると、突起部はもはやゴムパッドの中に押されることはない。代替として、または加えて、導電性ゴムパッド260は、例えば、可撓性のPCBなど、本明細書で述べられる剛性もしくは可撓性の延長部280上に位置することができ、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、注射デバイス10に対する情報の決定を可能にする位置に、導電性ゴムパッド260を位置決めできるようにする。
【0060】
導電性ゴムパッド260は、
図5Aで示すようなものとすることができる。ゴムパッドは、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、パッドの中に押し込まれ、圧力のかかった状態になるように配置される突起部を含む(
図5B)。突起部は、プランジャ14からの突起部などのプランジャ14の一部、またはプランジャに取り付けられた、もしくは関連付けられた構成要素により、この位置へと強制される。プランジャが移動したとき(
図5C)、ゴムパッドの突起部上を押す部分は、ゴムパッドから移動して離れ、突起部を解放し、突起部がゴムパッドから離れて弛緩できるようにする。したがって、この動きを検出することができ、注射の開始を決定することができる。
【0061】
代替として、または加えて、センサは、注射手順に含まれる注射デバイス10の構成要素の動きを検出するように構成されたスイッチとすることができる。スイッチは、マイクロスイッチ261とすることができる。スイッチは、補助デバイスそれ自体内に含まれる。代替として、スイッチまたはマイクロスイッチ261は、注射デバイス10内に位置することができ、注射手順の開始を補助デバイス200に伝達することができる。この伝達は、例えば、有線接続など、任意の適切な手段をよることができる。代替として、または加えて、スイッチまたはマイクロスイッチ261は、例えば、可撓性のPCBなど、本明細書で述べられる剛性または可撓性の延長部280上に位置することができ、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、注射デバイス10に関する情報の決定を可能にする場所に、スイッチまたはマイクロスイッチ261を位置決めできるようにする。
【0062】
実施形態では、マイクロスイッチ261は、
図6で示されるようにすることができる。マイクロスイッチは、補助デバイス200内に位置するが、注射デバイス10内に位置するレバー32の動きを検出することができる。レバー32は、注射手順の開始前には、プランジャ内のスロットまたはギャップ33内に位置することができ(
図6A)、スロットまたはギャップ33の方向に付勢される。代替として、レバー32は、プランジャと共に移動するように、プランジャに取り付けられた構成要素のスロットまたはギャップ33内に位置し、かつその方向に付勢される。プランジャ、またはプランジャに関連付けられた構成要素が動いたとき、レバー32は、スロットまたはギャップ33の外に押し出され、マイクロスイッチは、注射の開始を決定するために、この動きを検出することができる(
図6B)。
【0063】
代替として、または加えて、センサは、光反射センサ263とすることができる。このセンサ263は、注射手順に含まれる注射デバイス10の構成要素の動きを感知することができる。例えば、光反射センサ263は、プランジャ14の動きを連続的に感知することができる。この検出を容易にするために、注射デバイス10のプランジャは、プランジャ14の特定部分を識別できるように、パターン化またはコード化することができる。光反射センサ263は、補助デバイス200それ自体の内部に含めることができる。代替として、光反射センサ263は、注射デバイス10内に位置することができ、注射手順の開始を補助デバイス200に伝達することができる。この伝達は、例えば、有線接続など、任意の適切な手段によることができる。代替として、または加えて、光反射センサ263は、例えば、可撓性のPCBなど、本明細書で述べる剛性または可撓性の延長部280上に位置することができ、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、注射デバイス10に関する情報の測定を可能にする位置に、光反射センサ263を位置決めできるようにする。
【0064】
図7Aは、注射手順を開始する前の注射デバイス10に取り付けられた、光反射センサ263を含む例示的な補助デバイス200を示す。この例では、注射手順が開始されると(
図7B)、光反射センサ263は、プランジャがセンサにより検出できる独特の光特性を備えた交互に変化するセクションを含むため、プランジャがセンサを通過すると、注射の進行を連続して検出することができる。注射が終了すると(
図7C)、交互に変化するセクションがもはやセンサを通過することはないため、またはセンサにより検出されるように位置するプランジャの最後のセクションが、その識別を可能にする特有の光学的特性を有するため、センサは、注射の終了を検出することができる。
【0065】
補助デバイス200が、外部デバイス1000により起動された後、所定の時間内に注射の開始を検出しない場合、補助デバイス200は、本明細書で開示されるいずれかのフィードバック手段を介して、ユーザに通知することができる。
【0066】
注射の開始を検出できる少なくとも1つのセンサは、補助デバイス200内に含まれるプロセッサ25またはコントローラにこの情報を伝達することができる。
【0067】
補助デバイス200および/または注射デバイス10は、注射デバイス10による注射の終了272を検出できる少なくとも1つのセンサ250を含むことができる。このセンサ250はまた、上記で論じるように、注射の開始271を感知することができる。代替として、例えば、注射手順の開始271を検出するためのセンサ251、および注射手順の終了272を検出するための別個のセンサ252など、複数のセンサが存在することができる。センサ250は、注射それ自体に関連付けられた注射デバイス10の一部の動きを検出することができ、例えば、センサは、プランジャ14の動きを、またはプランジャにリンクされた、もしくは関連付けられた構成要素の動きを検出することができる。注射の終了272を検出するために、センサ250は、前述の構成要素の動きの終了を検出することができる、または注射の終了に関連付けられた位置への構成要素の動きを検出することができる。例えば、センサ250は、プランジャが注射に必要な全部の長さを移動したとき検出することができる。
【0068】
センサ250は、スイッチ、導電性ゴムパッド、ホール効果センサ、圧電センサ、光センサ、または任意の適切なセンサを含むことができる。
【0069】
センサ250は、注射手順に含まれる注射デバイス10の構成要素の位置または動きを検出するように構成されたスイッチとすることができる。スイッチは、例えば、プランジャ、またはプランジャに関連付けられた構成要素などの構成要素の、注射の終了に関連付けられた位置への動きを検出することができる。例えば、スイッチは、プランジャが、注射に必要な全部の長さを移動したとき、検出することができる。スイッチは、マイクロスイッチ261とすることができる。スイッチは、補助デバイス200それ自体の内部に含めることができる。代替としては、スイッチまたはマイクロスイッチ261は、注射デバイス10の内部に位置することができ、また注射手順の開始を補助デバイス200に伝達することができる。この伝達は、例えば、有線接続など任意の適切な手段によることができる。スイッチまたはマイクロスイッチ261は、例えば、可撓性のPCBなど、本明細書で述べられる剛性または可撓性の延長部280上に位置することができる。
【0070】
実施形態では、マイクロスイッチ261は、
図6で示されたものとすることができる。注射手順中、マイクロスイッチ261は、
図6Bで示されるように、レバー32によって起動されるが、それは、プランジャ14によって起動位置へと強制されており、レバー32は、プランジャ14に対して付勢される。注射手順の最後に、プランジャ14は、レバー32が弛緩する位置に移動できる位置へと移動するようになり、したがって、もはやマイクロスイッチ261を起動することはなく(
図6C)、注射手順の終了272を判定できるようにする。
【0071】
注射デバイス10による注射の終了272を検出できる少なくとも1つのセンサ250は、導電性ゴムパッド260とすることができ、それは、注射の終了に関連付けられた位置への構成要素の動きが検出されるように位置する。導電性ゴムパッド260は、例えば、可撓性のPCBなど、本明細書で述べられる剛性または可撓性の延長部280上に位置することができる。
【0072】
代替として、または加えて、センサ250は、光反射センサ263とすることができる。このセンサ263は、注射手順に含まれる注射デバイス10の構成要素の動きを感知することができる。例えば、光反射センサは、例えば、プランジャなど、注射に関連付けられた構成要素の動きを連続的に感知し、かつこの動きが終わったとき272を検出することができる。代替として、光反射センサは、前述の構成要素の一部が、注射の終了に関連付けられた所定の位置に達したときを感知することができる(
図7C)。例えば、光反射センサは、プランジャが注射に必要な全部の長さを移動したことを示す位置へと、プランジャの一部が移動したときを検出することができる。これらの検出を容易にするために、注射デバイス10のプランジャは、プランジャの特定部分を識別できるように、パターン化またはコード化される。光反射センサは、補助デバイス200それ自体の内部に含めることができる。代替として、光反射センサは、注射デバイス10内に配置され、注射手順の開始を補助デバイス200に伝達することができる。この伝達は、例えば、有線接続など、任意の適切な手段によることができる。光反射センサ263は、例えば、可撓性のPCBなど、本明細書で述べられる剛性または可撓性の延長部280上に位置することができ、補助デバイス200が注射デバイス10に取り付けられたとき、注射デバイス10に対する情報の決定を可能にする位置に、光反射センサ263を位置決めできるようにする。
【0073】
補助デバイス200が、外部デバイス1000により起動された後、所定の時間内に注射の終了を検出しない場合272、補助デバイス200は、ユーザに通知することができる。
【0074】
注射の終了を検出できる少なくとも1つのセンサ250は、補助デバイス200内に含まれるプロセッサ25またはコントローラにこの情報を伝達することができる。
【0075】
補助デバイス200は、注射の開始を検出するためのセンサ251と、注射の終了を検出するための別個のセンサ252とを含むことができる。代替として、補助デバイス200は、注射の開始と終了の両方を判定できる単一のセンサ250を含むことができる。第3の代替形態として、補助デバイス200は、注射手順の進行を連続的に検出できるセンサ263を含むことができる。
【0076】
補助デバイス200は、例えば、センサ253により、注射デバイス10内の薬剤に関する情報を決定することができる。例えば、補助デバイス200は、薬剤のタイプ、薬剤の識別、ID番号、バッチ番号、有効期限、経過時間、または同様の情報を決定することができる。補助デバイス200は、薬剤に関連する情報を決定するために、注射デバイス10の一部、または薬剤カートリッジなど、注射デバイス10に関連付けられた、もしくはそれに取り付けられた構成要素の光学的特性を決定できるセンサ254を含むことができる。代替として、または加えて、センサ253は、薬剤に関連する情報を導出できるコードを検出することができる。
【0077】
補助デバイス200は、注射デバイス10内の薬剤に関する情報を決定できる光センサ254を含むことができる。例えば、薬剤を識別する情報100は、注射デバイス10のハウジング11の色、またはハウジングのエリアの、もしくはハウジングに添付されたラベルの色とすることができる。これらの実施形態では、光センサ254は、色を検出するように構成された単純な光度計とすることができる。いくつかの他の実施形態では、薬剤を識別する情報100は、QRコード、または他の同様のコード化された情報とすることができ、光センサ254は、カメラまたはQRコードリーダとすることができる。さらに、1つまたはそれ以上の光源を、光センサ254の読み取りを向上させるために提供することができる。光源は、光センサ254による色検出を向上させるために、一定の波長またはスペクトルの光を提供することができる。光源は、例えば、ハウジング11の湾曲に起因する、望ましくない反射が回避される、または低減されるように配置することができる。例示的な実施形態では、光センサ254は、注射デバイス10に、かつ/またはそこに含まれる薬剤に関連するコード100(例えば、1次元、もしくは2次元バーコードとすることのできるバーコードなど)を検出するように構成されたカメラユニットである。このコード100は、例えば、ほんの数例を挙げるとすれば、ハウジング11上に、または注射デバイス10に含まれる薬剤容器上に位置することができる。このコード100は、例えば、注射デバイス10および/または薬剤のタイプ、ならびに/または他の特性(例えば、有効期限)を示すことができる。このコード100は、QRコード100とすることができる。QRコードは、一般に、白黒であり、したがって、光センサ254の側で、色検出する必要はない。こうすることは、光センサ254の製作を簡単に、かつ安価にすることができる。他の実施形態では、補助デバイス200は、RFIDの検出など、他の手段により、注射デバイス10内の薬剤に関する情報を決定できるセンサ(図示せず)を含むことができる。
【0078】
プロセッサ25は、例えば、ユーザが正しい薬剤を注射していることを検証するために、事前に記憶された情報に対してセンサ253により読み取られた情報100を調べるように構成することができる。プロセッサ25が、情報100を認識しない場合、または例えば、情報が、ユーザがその時間に受けるべきものとは異なる薬剤を示す場合など、情報100が、注射手順が不適切である可能性のことを示すと認識した場合、補助デバイス200は、警報信号を生成することができる。警報信号は、補助デバイス200に関連付けられたインジケータ230、または情報をユーザに表示できる外部デバイス1000への通信を含む、本明細書で開示されるフィードバック方法のいずれかの使用を含むことができる。
【0079】
場合により、補助デバイス200は、温度センサ255を含むことができる。温度センサ255は、補助デバイス200それ自体の温度を検出することができ、またこの情報は、注射デバイス10に存在する薬剤の温度を推定するために使用することができる。温度センサ255を含む補助デバイス200により実施できる動作を示す流れ図が、
図8で示される。
【0080】
温度センサ255は、注射デバイス10に存在する薬剤の温度を推定するのに適した場所に温度センサ255を配置できるようにするために、例えば、可撓性のPCBなど、本明細書で述べられる剛性または可撓性の延長部280上に位置することができる。
【0081】
温度センサ255は、601で、補助デバイス200が起動された後、検出を開始することができ、したがって、温度センサ255は、補助デバイス200のアクティブ状態において起動される。起動させた後、温度センサ255は、温度を測定することができる602。
【0082】
冷たすぎる、または熱すぎる薬剤の注射は、ユーザにとって不快なものになるおそれがあるので、例えば、室温など、特定の温度で薬剤を送達することが好ましい。しかし、いくつかの薬剤は、低温で保管される。したがって、補助デバイス200は、温度が、室温など所定の温度より低いと決定したとき603、薬剤は、正しい温度ではないことをユーザに通知することができる604。正しい温度に達したとき、補助デバイス200は、ユーザに通知することができる605。フィードバック方法は、補助デバイス200に関連付けられたインジケータ230、またはユーザに情報を表示できる外部デバイス1000への通信を含む、本明細書で開示される任意のものとすることができる。
【0083】
代替として、または加えて、補助デバイス200は、周囲温度または正しくない温度を検出したとき、
図9で示されるようにタイマを開始することができる606。タイマは、薬剤が必要な温度に達するのに必要な時間の長さにわたって動作することができる。この時間の長さは、薬剤のタイプもしくは識別に応答して、または薬剤の容積などの他の特性に応答して調整することができる。時間が経過した後607、補助デバイス200に関連付けられたインジケータ230により、またはユーザに情報を表示できる外部デバイス1000への通信により、ユーザに通知することができる605。
【0084】
他の実施形態では、補助デバイス200は、温度を測定できる612温度感性パッチを含むことができる(
図10を参照のこと)。温度感性パッチは、周囲温度が、所定の温度に一致するかどうか613に基づいて、温度が、注射に適していない614、および/または注射に適している615ときを示すように構成することができる。例えば、温度感性パッチは、温度が適していないとき、赤色など、特定の色とすることができる。他の例では、温度感性パッチは、温度が適している場合、例えば、緑色など、異なる色とすることができる。こうすることは、薬剤の温度が注射手順を開始するのに適しているかどうかをユーザに判定できるようにする。
【0085】
温度センサ255は、補助デバイス200のプロセッサ25に情報を提供することができる。プロセッサ25は、受信した情報を処理し、かつ受信した情報を、例えば、通信ユニット240を介して外部デバイス1000に送信することができる。代替としては、または加えて、補助デバイス200のプロセッサ25は、提供された情報に基づいて、注射デバイス10内の薬剤の温度を確かめるために、特定のアルゴリズムを使用することができる。この情報は、例えば、通信ユニット240を介して外部デバイス1000に送信することができる。他の実施形態では、プロセッサ25により受信された情報は、処理されて外部デバイス1000に送信されるようになり、また注射デバイス10内の薬剤の温度の推定を含むいずれかの計算が、外部デバイス1000により実施されるようになる。
【0086】
温度センサ255情報の、外部デバイス1000への通信は、本明細書で開示されるように、任意の方法により、またはいずれかの送信と同時に行うことができる。
【0087】
通信ユニット240は、データ1002を外部デバイス1000に送信することができる;送信は、有線または無線通信などの任意の適切な手段によることができる。外部デバイス1000は、補助デバイス200を起動するのに使用される同じ外部デバイスとすることができる。転送は、近距離通信により起動することができ、かつ/または転送は、近距離通信により進めることができる。いくつかの実施形態では、データ転送は、Bluetoothを介することになる。他の実施形態では、近距離通信は、補助デバイス200を起動するために使用され、Bluetoothは、収集された情報を送信するために使用されることになる。補助デバイス200は、データ転送が成功したか、それとも完了したかを感知することができ、そうではない場合、補助デバイス200は送信を再度試みる、かつ/またはユーザにデータの送信に失敗したことを通知することができる。
【0088】
送信されるデータは、注射の開始、注射の終了、温度、および/または薬剤関連の情報に関する情報を含むことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、データは、注射の開始が検出された後に送信され、他の実施形態では、データは、注射の終了が検出された後に送信される。ユーザには、本明細書で開示される任意の手段または方法により通知することができる。
【0090】
場合により、補助デバイス200は、センサにより測定された情報の記憶に適したメモリ34を含むことができる。この情報は、注射の開始、注射の終了、薬剤、温度に関する情報、または任意の他の導出された情報を含むことができる。外部デバイス1000に送信されるデータは、メモリ34内に記憶されたデータとすることができる。
【0091】
外部デバイス1000は、受信されたデータを処理し、かつ表示することができる。外部デバイス1000は、クラウドサービスなど、サードパーティデバイスにデータを送信することができる。
【0092】
外部デバイス1000は、注射の開始前に、例えば、薬剤の識別に関して本明細書で論じるものなど、警告またはアラートをユーザに表示することができる。外部デバイス1000はさらに、または代替として、推奨される治療に対する指示を表示することができる。
【0093】
注射の後、外部デバイス1000は、受信された情報に基づいて、履歴の記録、次回の投与の日付、治療に対する標示、および同様のものなど情報または指示を表示することができる。
【0094】
図11は、補助デバイス200の例示的な実施形態により実施できる動作を示す流れ図を示す。この実施形態は、近距離通信アンテナ242と、使い捨て自動注射器による注射手順の開始を検出するためのセンサ251と、場合により、注射手順の終了を検出するための別個のセンサ252と、プロセッサ25と、補助デバイス200を使い捨て自動注射器上の所定の位置に取り付けるように構成されたフック211とを含む補助デバイス200である。
【0095】
この実施形態のセンサは、別個の構成要素により、注射の開始および注射の終了を検出するように構成される。注射の開始は、
図5で示され、本明細書で述べられたように、導電性ゴムパッド260によって検出される。注射の終了は、本明細書で開示される任意の手段またはセンサにより検出することができる。
【0096】
この実施形態の補助デバイス200は、以下のように動作する。補助デバイス200は、自動注射器により含まれる凹部31の中にカチッと留まるフック211を介して、使い捨てのペン型自動注射器に接続され、したがって、補助デバイス200、およびセンサが所定の位置に取り付けられる。補助デバイス200は、得られた組立体が、注射デバイス10単独のものと比較して、延びた長さのものになるように取り付けられる。取付け後、補助デバイス200の電子回路は、次いで、近距離通信により、スマートフォンなどの外部デバイス1000により起動される(ステップ501)。これは、注射の開始センサ251と注射の終了センサ252の両方を含むセンサを起動する。
【0097】
この実施形態の補助デバイス200はまた、本明細書で述べられる温度感性ラベルを含む。温度感性ラベルは、
図10で示され、かつ本明細書で述べられるように、薬剤が、注射に対して適切な温度にあるかどうかをユーザに示すことになる。温度が適切な温度ではない場合、ユーザは、注射手順を開始する前に、温度が正しい温度であることをパッチが示すまで待つことになる。
【0098】
起動した後、注射の開始センサ251が、所定時間内に注射の開始を検出しない場合502、ユーザに通知される504。ステップ502で、センサが、注射の開始を検出した場合、このことは、プロセッサ25に伝達される。その後に、注射の終了センサ252が、所定時間内に注射の終了を検出しなかった場合、ユーザに通知される504。注射の終了センサ252が注射の終了を検出した場合503、これは、プロセッサ25に伝達される。プロセッサ25は、注射の開始および終了情報を受信したとき、次いで、その情報を、近距離通信を介して、通信ユニット240により外部デバイス1000に送信することができる505。この送信は、近距離通信、またはBluetooth低エネルギーにより外部デバイス1000から受信された通信1001により起動される。情報送信に失敗した場合、または不完全である場合、補助デバイス200は、その情報を再送信することになる506。
【0099】
受信されたデータに基づいて、外部デバイス1000は、デバイスの使用履歴に基づきユーザに指示および情報を表示する。自動注射器は、次に廃棄することができる507。
【0100】
この実施形態の補助デバイス200は、注射の終了を検出しない可能性があり、この場合、注射の開始を検出するためのセンサ251を含むだけとなる。この状況において、動作の方法は、本明細書で述べられるようになるが、注射の終了の検出に関するステップを欠くことになる。
【0101】
図11は、補助デバイス200の例示的な実施形態により実施できる動作を示す流れ図である。この実施形態は、BLEウィスパーモードにより通信できる通信ユニット240と、使い捨て自動注射器による注射手順の開始および終了を検出するためのセンサ250と、プロセッサ25と、補助デバイス200を使い捨て自動注射器上の所定の位置に取り付けるように構成されたフック211とを含む補助デバイス200である。補助デバイス200はまた、補助デバイス200の本体から外方向に延びることのできる可撓性のPCBである延長部280を含む。注射デバイスに取り付けられたとき、この可撓性のPCBは、注射デバイスのハウジング内に位置し、かつ直角をなす方向に注射デバイスに沿って延びるようになる(
図13Bにより示される)。補助デバイス200は、ユーザへのフィードバックを可能にする多色LED233をさらに含む。
【0102】
この実施形態のセンサ250は、注射デバイス10のプランジャの動きにより、注射の開始と終了の両方を、単一のマイクロスイッチ261により検出するように構成される。センサ250は、注射デバイスに取り付けたとき、マイクロスイッチ261が
図6で示されるように位置するように、可撓性のPCB上に配置される。センサは、補助デバイス200内に含まれるプロセッサ25にこの情報を伝達するように構成される。
【0103】
この実施形態の補助デバイス200は、以下のように動作する。補助デバイス200は、自動注射器により含まれる凹部31の中にカチッと留まるフック211により、使い捨てのペン型自動注射器に接続されて、補助デバイス200を、したがって、センサを所定の位置に取り付ける。補助デバイス200の電子回路は、次いで、近距離通信を介して、スマートフォンなどの外部デバイス1000により起動される、これはステップ501である。こうすることは、注射手順の開始および終了を検出するためのセンサ250を起動する。
【0104】
この実施形態の補助デバイス200はまた、本明細書で述べられる温度感性ラベルを含む。温度センサラベルは、
図10で示され、かつ本明細書で述べられるように、薬剤が、注射に適した温度であるかどうかを、ユーザに示すことになる。温度が適切な温度ではない場合、ユーザは、注射手順を開始する前に、温度が正しい温度であることをパッチが示すまで待つことになる。
【0105】
起動した後、センサ250が、502で、所定の時間内に注射の開始を検出しなかった場合、ユーザには、多色LED233を介して通知される504。502で、センサ250が注射の開始を検出した場合、これは、プロセッサ25に伝達される。その後に、503で、センサ250が所定の時間内に注射の終了を検出しなかった場合、ユーザは、多色LED233を介して通知される504。503で、センサ250が注射の終了を検出した場合、これは、プロセッサ25に伝達される。プロセッサ25は、注射の開始および終了情報を受信したとき、次いで、通信ユニット240により、近距離通信を介して、外部デバイス1000に情報を送信することができる505。この送信は、近距離通信により外部デバイス1000から受信された通信により起動される。情報送信が失敗した場合、または不完全である場合、補助デバイス200は、その情報を再送信することになる506。
【0106】
受信されたデータに基づいて、外部デバイス1000は、デバイスの使用履歴に基づきユーザに指示および情報を表示する。自動注射器は、次に廃棄することができる507。
【0107】
図11は、補助デバイス200の例示的な実施形態により実施できる動作を示す流れ図を示す。この実施形態は、NFCとBluetoothの両方により外部デバイスと通信できる補助デバイス200である。補助デバイス200はまた、温度センサ255と、薬剤の識別を特定するためのセンサ253と、ユーザにデバイス状況を示すための複数のLED232と、プロセッサ25とを含む。補助デバイス200それ自体は、涙滴横断面を有し、かつ使い捨て自動注射器の遠位端に取り付けられるように構成される(
図13Cにより示される)。補助デバイス200はまた、補助デバイス200の本体から外方向に延びることのできる可撓性のPCBであるである延長部280を含む。注射デバイスに取り付けられたとき、この可撓性のPCBは、注射デバイスのハウジング内に位置するようになり、かつ直角方向に注射デバイスに沿って延びることになる。
【0108】
補助デバイス200は、
図7で示され、かつ本明細書で述べられるように、注射手順の進行を連続的に検出できる光反射センサ263を含む。光反射センサ263は、注射デバイスに取り付けられたとき、光反射センサ263が、
図7で示される位置にあるように、可撓性のPCB上に配置される。補助デバイス200は、プランジャ14、またはプランジャに関連付けられた構成要素を有する自動注射器と共に使用するように設計され、ここで、プランジャの少なくとも一部の光学的特性は、プランジャの位置を決定できるようにする。この例では、センサ263は、注射デバイス10のプランジャの動きをモニタすることができ、また注射デバイス10のプランジャは、モニタリングを支援するための交互に変化するパターンを有する。
【0109】
この実施形態の補助デバイス200は、以下のように動作する。補助デバイス200は、所定の位置において、使い捨てのペン型自動注射器に接続される。補助デバイス200の電子回路は、次いで、近距離通信を介して、スマートフォンなどの外部デバイス1000により起動される501。こうすることは、補助デバイス200により含まれるセンサを起動する。
【0110】
補助デバイス200は、次いで、本明細書で開示される任意の手段により使い捨て自動注射器内の薬剤の識別を決定することができる。薬剤の識別が、所定の薬剤識別に一致しない場合、補助デバイス200は、例えば、LEDの特定のパターンを光らせることにより、または1つまたはそれ以上のLEDにより特定の色を表示することにより、ユーザに警告することになる。これは、
図12によって示され、ここで、補助デバイス200は、薬剤情報測定センサ253を起動するように起動され551、薬剤に関連する情報を決定することができる552。補助デバイス200は、次いで、情報が、所定の薬剤識別と一致するかどうかを確認し553、不一致をユーザに通知することができる554。
【0111】
補助デバイス200はまた、温度センサ255により周囲温度を測定し、自動注射器内の薬剤の推定される温度を計算する。温度が、所定の温度に一致しない場合、補助デバイス200は、例えば、LEDの特定のパターンを光らせることにより、または1つまたはそれ以上のLEDにより特定の色を表示することにより、ユーザに警告することになる。その後に、補助デバイス200は、所定の温度が検出されており、したがって、注射を進められることをユーザに示すことになる、または補助デバイス200は、正しくない温度を検出したときタイマを起動させており、注射を進められることをユーザに示す前に、タイマが経過するまで待つことになる。これらのプロセスは、
図8および
図9で示され、かつ本明細書で述べられる。
【0112】
注射の開始が、光反射センサ263により検出された後、注射は、センサにより連続的にモニタされ、注射手順の開始502と終了503の両方を決定することができる。センサ263は、
図7で示され、本明細書で述べられるように、注射の終了が検出される503まで、注射をモニタし続ける。
【0113】
プロセッサ25は、注射の開始および終了情報を受信したとき、次いで、Bluetooth通信を介して、情報を外部デバイス1000に送信することができる505。情報送信が失敗した場合、または不完全である場合、補助デバイス200は、情報を再送信することになる506。
【0114】
受信されたデータに基づいて、外部デバイス1000は、デバイスの使用履歴に基づき指示および情報をユーザに表示する。自動注射器は、次に廃棄することができる507。
【0115】
用語「薬物」または「薬剤」は、本明細書において同意語として使用され、1つまたはそれ以上の医薬品有効成分または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、場合により、薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤を示す。医薬品有効成分(「API」)とは、最も広範な言い方で、ヒトまたは動物に生物学的影響を及ぼす化学構造のことである。薬理学では、薬物または薬剤が、疾患の処置、治療、予防、または診断に使用され、またはそれとは別に、身体的または精神的健康を向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限られた継続期間、または慢性疾患では定期的に、使用される。
【0116】
以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つのAPI、またはその組合せを含むことができる。APIの例としては、分子量が500Da以下である低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが含まれ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込まれる。1つまたはそれ以上の薬物の混合物もまた企図される。
【0117】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含まれる。薬物容器は、例えば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つもしくはそれ以上の薬物の保存(例えば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の固体もしくは可撓性の容器とすることができる。例えば、場合によって、チャンバは、少なくとも1日(例えば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を収納するように設計される。場合によって、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計される。保存は、室温(例えば約20℃)または冷蔵温度(例えば約-4℃から約4℃まで)で行うことができる。場合によって、薬物容器は、投与予定の医薬製剤の2つまたはそれ以上の成分(例えばAPIおよび希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成される。例えば、2つのチャンバは、これらが(例えば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成される。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成される。
【0118】
本明細書において説明される薬物送達デバイス内に含まれる薬物または薬剤は、数多くの異なるタイプの医学的障害の処置および/または予防に使用される。障害の例としては、例えば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症が含まれる。障害の別の例としては、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リュウマチがある。APIおよび薬物の例としては、例えば、それだけには限らないが、ハンドブックのRote Liste 2014、主グループ12(抗糖尿病薬物)または主グループ86(腫瘍薬物)、およびMerck Index、第15版などに記載されているものがある。
【0119】
1型もしくは2型の糖尿病、または1型もしくは2型の糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体もしくはGLP-1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの任意の混合物が含まれる。本明細書において使用される用語「類似体」および「誘導体」は、天然のペプチドの構造、例えばヒトのインスリンの構造から、天然のペプチド中に見出される少なくとも1つのアミノ酸残基を欠失させるおよび/もしくは交換することによって、ならびに/または少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基、または他の天然の残基もしくは完全に合成によるアミノ酸残基とすることができる。インスリン類似体は「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、用語「誘導体」は、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば、脂肪酸)が1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合している、天然のペプチドの構造、例えばヒトのインスリンの構造から式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然のペプチド中に見出される1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失され、かつ/もしくはコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されていてもよく、または、コード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が、天然のペプチドに付加されていてもよい。
【0120】
インスリン類似体の例としては、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置換されているヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンがある。
【0121】
インスリン誘導体の例としては、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標))、B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ω-カルボキシヘプタデカノイル-γ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))、B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンがある。
【0122】
GLP-1、GLP-1類似体およびGLP-1受容体アゴニストの例としては、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(エキセンディン-4、Dyetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンディン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン(Eligen)、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenがある。
【0123】
オリゴヌクレオチドの例としては、例えば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))がある。
【0124】
DPP4阻害剤の例としては、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。
【0125】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストが含まれる。
【0126】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、ハイランG-F20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0127】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例には、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが含まれる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(例えばネズミ)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。例えば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、これはFc受容体との結合を支持せず、例えば、突然変異した、または欠失したFc受容体結合領域を有する。用語の抗体はまた、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)および/または交差結合領域の配向性を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗体結合分子を含む。
【0128】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、単一特異性抗体フラグメント、または二重特異性、三重特異性、四重特異性および多重特異性抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの多重特異性抗体フラグメント、一価抗体フラグメント、または二価、三価、四価および多価抗体などの多価抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例が当技術分野で知られている。
【0129】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0130】
抗体の例としては、アンチPCSK-9mAb(例えばアリロクマブ)、アンチIL-6mAb(例えばサリルマブ)、およびアンチIL-4mAb(例えばデュピルマブ)がある。
【0131】
本明細書において説明される任意のAPIの薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける薬物または薬剤の使用に企図される。薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩および塩基性塩である。
【0132】
当業者であれば、本明細書で述べられたAPIの様々な成分、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の修正(追加および/または除去)は、本開示の完全な範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができ、それは、このような修正、およびその任意の、かつすべての等価な形態を包含することが理解されよう。