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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】インジェクター
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20241119BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241119BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 B
C23C16/455
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021002042
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2021111788
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】62/958,476
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ジー・エム・デ・リーデル
(72)【発明者】
【氏名】クラース・ペー・ボーンストラ
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・ジー・エム・オーステルレークン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506300(JP,A)
【文献】特表2008-532283(JP,A)
【文献】特表2019-503086(JP,A)
【文献】特開2013-069851(JP,A)
【文献】特開2009-215589(JP,A)
【文献】特開2014-179550(JP,A)
【文献】国際公開第2018/184023(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバー(92)内にガスを導入するために、バッチ炉アセンブリー(90)のプロセスチャンバー(92)内に配置されるように構成されたインジェクター(10)であって、前記インジェクター(10)が、導入チャンバーを収容する細長い円筒状の筐体(18、20、22、24)を含み、前記筐体(18、20、22、24)が、
ガスをガス源(94)から前記導入チャンバー(12)に供給するためのガス流入開口部(14)と、
前記ガスを前記導入チャンバー(12)から前記プロセスチャンバー(92)に供給するための少なくとも1つのガス供給開口部(16)と、
前記筐体(18、20、22、24)の長手方向に延在し、第1の横方向壁半体(18)及び第2の横方向壁半体(20)を含む周壁(18、20)であって、横方向半体(18、20)がともに前記長手方向において、前記筐体(18、20、22、24)の長さに実質的にわたる、周壁(18、20)と、を含み、
前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)が、機械的締結によって互いに締結される、インジェクター。
【請求項2】
前記筐体(18、20、22、24)がさらに、前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)に取り付け可能な底部キャップ(22)及び上部キャップ(24)を含み、前記底部キャップ(22)及び前記上部キャップ(24)が、前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)に取り付けられたときに機械的締結を提供するように構成された、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項3】
前記底部キャップ(22)がガス流入開口部(14)を有して提供される、請求項2に記載のインジェクター。
【請求項4】
前記上部キャップ(24)が、前記少なくとも1つのガス供給開口部(16)の1つのガス供給開口部(16)を有して提供され、前記ガス供給開口部(16)が、前記開口部(16)を通して前記ガスの放出を可能にするように構成された、請求項2または3に記載のインジェクター。
【請求項5】
前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)の少なくとも1つが、前記少なくとも1つのガス供給開口部(16)を有して提供される、請求項1から4のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項6】
前記第1の横方向壁半体(18)が、2つの端部(26、28)の間で第1の長手方向に延在するプロファイルであり、前記2つの端部(26、28)の間に一定の断面積を有し、前記第2の横方向壁半体(20)が、2つの端部(30、32)の間で第2の長手方向に延在するプロファイルであり、前記2つの端部(30、32)の間に一定の断面積を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項7】
前記第1の長手方向及び前記第2の長手方向が、前記筐体(18、20、22、24)の長手方向と実質的に平行である、請求項6に記載のインジェクター。
【請求項8】
前記第1の横方向壁半体(18)が、前記第2の横方向壁半体(20)の第1の係合表面(38)と係合するように構成された第1の係合表面(34)を有し、前記第1の横方向壁半体(18)が、前記第2の横方向壁半体(20)の第2の係合表面(40)と係合するように構成された第2の係合表面(36)を有し、前記第1の係合表面(34、38)及び前記第2の係合表面(36、40)が整合表面を有し、前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)の前記第1の係合表面(34、38)が、前記筐体(18、20、22、24)の前記長手方向に対して垂直に延在する断面(42)における第1の断面プロファイル凹凸部(44)を画定し、前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)の前記第2の係合表面(36、40)が、前記断面(42)の第2の断面プロファイル凹凸部(46)を画定する、請求項6または7に記載のインジェクター。
【請求項9】
前記第1の断面プロファイル凹凸部(44)がZ形状を有し、前記第2の断面プロファイル凹凸部(46)がZ形状を有する、請求項8に記載のインジェクター。
【請求項10】
前記第1及び第2の断面プロファイル凹凸部(44、46)が、前記2つの横方向壁半体(18、20)が前記筐体(18、20、22、24)の前記長手方向に対して垂直な少なくとも1つの第1の方向及び前記筐体(18、20、22、24)の前記長手方向に対して平行な第2の方向に互いに対して分解するために移動可能であるような形状である、請求項8または9に記載のインジェクター。
【請求項11】
前記少なくとも第1の方向における移動が、前記底部キャップ(22)及び前記上部キャップ(24)によって遮断される、少なくとも請求項2に従属する請求項10に記載のインジェクター。
【請求項12】
前記第1の横方向壁半体(18)の前記プロファイルが、前記第2の横方向壁半体(20)の前記プロファイルと同一である、請求項6から11のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項13】
前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)が、少なくとも1つのナット及びボルトアセンブリー(48)によって互いに締結される、請求項1から12のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項14】
前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)が、接着剤によって互いに締結されない、請求項1から13のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項15】
前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)が、少なくとも1つの成膜層によって互いに締結される、請求項1から13のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項16】
前記第1の横方向壁半体(18)が、前記第2の横方向壁半体(20)の第1の係合表面(38)に係合するように構成された第1の係合表面(34)を有し、前記第1の横方向壁半体(18)が、前記第2の横方向壁半体(20)の第2の係合表面(40)と係合するように構成された第2の係合表面(36)を有し、前記第1の係合表面(34、38)及び前記第2の係合表面(36、40)が、第1及び第2の発散ギャップ(52、54)を画定する発散表面であり、前記少なくとも1つの成膜層が、前記発散ギャップ(52、54)内に提供される、請求項15に記載のインジェクター。
【請求項17】
前記第1及び第2の横方向壁半体(18、20)が、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)及びシリコンカーバイド(SiC)の群の少なくとも1つを含む材料から形成された、請求項1から16のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のインジェクター(10)を含むプロセスチャンバー(92)と、
前記インジェクター(10)の前記ガス流入開口部(14)に流体的に接続されたガス源(94)と、を含む、ウェハを処理するためのバッチ炉アセンブリー(90)。
【請求項19】
前記バッチ炉アセンブリー(90)が、垂直バッチ炉アセンブリーである、請求項18に記載のバッチ炉アセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してプロセスチャンバー内にガスを導入するための、バッチ炉アセンブリーのプロセスチャンバー内に配置されるように構成されたインジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのバッチ炉アセンブリーは、プロセスチャンバー内のウェハに処理を適用するためのプロセスチャンバーを有して提供される。そのようなプロセスチャンバーは、典型的にはプロセスチャンバー内にガスを導入するためのインジェクターを有して提供される。既知のインジェクターは、プロセスチャンバーの筐体を通して延在する円筒形筐体からなりうる。そのような円筒形筐体は、典型的には一部品からなりうる。そのような一部品インジェクターは、ガスを導入するための堅牢な手段を提供しうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、概念の選択を単純化された形態で紹介するために提供される。これらの概念は、以下の開示の例示的な実施形態の詳細な説明において、さらに詳細に説明される。この概要は、特許請求される対象の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図されるものではなく、特許請求される対象の範囲を限定するために使用されることを意図されるものでもない。
【0004】
一部品の円筒形筐体は、例えば大きすぎるために製造できない状況がありうることが理解される。
【0005】
したがって、バッチ炉のプロセスチャンバー内で優勢である状況、すなわち温度条件が変わる状況及び反応性の高い可能性のあるガスの状況下で耐久性があり、プロセスチャンバーを汚染し得る吸着性の化学種を全く使用せず、または最小限の使用で組み立てられうる複数部品の筐体を有するインジェクターを提供することを目的としうる。
【0006】
そのために、請求項1に記載のインジェクターが提供されうる。より具体的には、プロセスチャンバー内にガスを導入するために、バッチ炉アセンブリーのプロセスチャンバー内に配置されるように構成されたインジェクターが提供されうる。インジェクターは、導入チャンバーを収容する細長い円筒状の筐体を含みうる。筐体は、ガスをガス源から導入チャンバーに供給するためのガス流入開口部と、ガスを導入チャンバーからプロセスチャンバーに供給するための少なくとも1つのガス供給開口部と、を含みうる。筐体は、筐体の長手方向に延在する周壁を含みうる。周壁は、第1の横方向壁半体及び第2の横方向壁半体を含みうる。横方向壁半体はともに長手方向において、筐体の長さに実質的にわたりうる。第1及び第2の横方向壁半体は、機械的締結によって互いに締結されうる。
【0007】
ウェハを処理するためのバッチ炉アセンブリーも提供されうる。バッチ炉アセンブリーは、上記記載のインジェクターを含むプロセスチャンバーを含み、インジェクターのガス流入開口部に流体的に接続されたガス源を含みうる。
【0008】
本発明及び先行技術に対して達成された利点を要約する目的のために、本発明の特定の目的及び利点は、前述のように本明細書において説明された。もちろん、必ずしもすべてのそのような目的または利点は、本発明のいずれかの特定の実施形態に従って達成されうるわけではないことは理解されるべきである。そのため、例えば、当業者であれば、本発明は、本明細書で教示または示唆されうるようなその他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示または示唆されるような1つの利点または一群の利点を達成または最適化するように実施または実行されうることを認識するであろう。
【0009】
様々な実施形態が従属請求項に記載されており、これらはさらに図面に示された例を参照して解明されるであろう。実施形態は、組み合わされてもよく、互いに別個に適用されてもよい。
【0010】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示された発明の範囲内にあることを意図される。これら及びその他の実施形態は、添付の図面を参照した特定の実施形態の以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかであり、本発明は開示されたいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0011】
明細書は、本発明の実施形態とみなされるものを特に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲で結論付けるが、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読めば、本開示の実施形態の特定の例の説明から、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本説明に従うインジェクターの例の分解側面図を示す。
図2】本説明に従う周壁の一部の例の斜視図を示す。
図3】インジェクターの筐体の長手方向に対して垂直な面内の、インジェクターの例の断面図を示す。
図4】インジェクターの筐体の長手方向に対して垂直な面内の、インジェクターの別の例の断面図を示す。
図5】筐体の長手方向に対して平行な面に沿ったインジェクターの筐体の周壁の上部及び上部キャップの例の断面図を示す。
図6図5の線VI-VIに沿った断面図を示す。
図7】筐体の長手方向に対して平行な面に沿った周壁の上部及び上部キャップの別の例の断面図を示す。
図8図7の線VIII-VIIIに沿った断面図を示す。
図9】インジェクターの筐体の長手方向に対して垂直な面内のインジェクターの第5の例の断面図を示す。
図10】本開示に従うインジェクターを含むバッチ炉アセンブリーの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願において、同様の、または対応する特徴は、同様の、または対応する参照符号で示されている。様々な実施形態の説明は、図に示された例に限定されず、詳細な説明及び特許請求の範囲において使用される参照符号は、実施形態の説明を限定することを意図されたものではなく、実施形態を明確にするために含まれるものである。
【0014】
特定の実施形態及び例が以下に開示されるが、本発明は、具体的に開示された実施形態並びに/または本発明及び自明な改良、その等価物の使用の範囲を超えることを当業者であれば理解するであろう。そのため、開示された発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。本明細書における例示は、いかなる特定の材料、構造またはデバイスの実際の外観であることを意味されず、単に開示の実施形態を説明するために使用される理想化された表示に過ぎない。
【0015】
本明細書で使用されるように、「ウェハ」との用語は、使用されうる、またはその上にデバイス、回路もしくは膜が形成されうる任意の1つまたは複数の下地材料を指しうる。
【0016】
もっとも一般的な用語において、本開示は、インジェクター10を提供しうる。インジェクターは、プロセスチャンバー92内にガスを導入するために、バッチ炉アセンブリー90のプロセスチャンバー92内に配置されるように構成されうる。インジェクター10は、導入チャンバー12を収容する細長い円筒形の筐体18、20、22、24を含みうる。筐体18、20、22、24は、ガスをガス源94から導入チャンバー12へ供給するためのガス流入開口部14と、ガスを導入チャンバー12からプロセスチャンバー92へ供給するための少なくとも1つのガス供給開口部16と、を含みうる。円筒形の筐体は、周壁18、20を含みうる。周壁18、20は、筐体18、20、22、24の長手方向に延在し、第1の横方向壁半体18及び第2の横方向壁半体20を含みうる。横方向壁半体18、20はともに、長手方向において筐体18、20、22、24の長さに実質的にわたりうる。第1及び第2の横方向壁半体18、20は、機械的に締結する手段によって互いに締結されうる。
【0017】
前述のインジェクター10の利点は、一部品インジェクターよりもずっと大きく形成され得ることである。一部品インジェクターを製造するためには、そのようにするための工具が、導入チャンバーの境界を形成する一部品インジェクターの内側側部全体に到達できるようにすべきである。そのため、そのような工具は、そうするために導入チャンバー内に十分遠くへ延在することができるようにすべきである。これは、現在一般的なものよりも大きなインジェクターを構築することを非常に非現実的なものとし、または不可能にすらしうる。これは、特にインジェクター10が比較的長く狭くなる場合に当てはまりうる。本発明に従うインジェクター10は第1の横方向壁半体18及び第2の横方向壁半体20を含みうるため、これらの壁半体18、20はそれぞれ個別に構築されうる。2つの横方向壁半体18、20を組み立てた後にのみインジェクター10が形成され、その結果、その場合にのみ導入チャンバー12が形成されうる。壁半体18、20は横方向壁半体18、20であるため、いずれも到達が困難な内面をそれ自体には含まない。その結果、横方向壁半体18、20の全ての表面は、一部品インジェクターの表面よりもはるかに加工性が良くなりうる。
【0018】
横方向壁半体18、20が互いに接続される技術は、インジェクターを取り扱う際の2つの横方向壁半体18、20の間の力に耐えられることが必要であり、またプロセスチャンバー92内の状況に耐えられることが必要でありうる。例えば、プロセスチャンバー92内の高い温度差は、2つの横方向壁半体18、20の収縮及び膨張をもたらし、それらを互いに対して移動させうる。横方向壁半体18、20の間の接続は、内部応力が様々なプロセス条件下で最小化されるように構成されうる。
【0019】
機械的締結は、プロセスチャンバー92内の温度差に耐えられうる適切な接続を提供し、2つの横方向壁半体18、20内の内部応力を最小化しうる。
【0020】
接着接合技術に対する機械的締結の利点は、望ましくない化学種がプロセスチャンバーに侵入しないこと、及び変化する温度状況において機械的締結の耐久性が、一般に、接着剤接合のそれよりもはるかに良好であることである。2つの横方向壁半体18、20の間の、溶接などの熱接合接続は、横方向壁半体18、20が製造されうる材料の種類のために、一般には実施可能ではない。2つの横方向壁半体18、20は、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)及びシリコンカーバイド(SiC)の群の少なくとも1つを含む材料からなりうる。これらの材料の熱接合は不可能でありうる。
【0021】
1つの実施形態において、筐体18、20、22、24はさらに、底部キャップ22及び上部キャップ24を含んでもよく、その例が図1に示されている。底部キャップ22及び上部キャップ24は、第1及び第2の横方向壁半体18、20に取り付けられうる。底部キャップ22及び上部キャップ24は、第1及び第2の横方向壁半体18、20に取り付けられたときに機械的締結を提供するように構成されうる。第1及び第2の横方向壁半体に取り付けられた上部キャップ24の例は、図5から8に示される。上部キャップ24の取り付けのために示される一般的な原理は、底部キャップ22にも適用される。底部及び上部キャップ22、24は、例えば、2つの横方向壁半体18、20の周囲に延在し、2つの横方向壁半体18、20をロックする保持リング48を提供しうる。代替的に、底部及び上部キャップ22、24は、少なくとも第1及び第2の横方向壁半体18、20の間の係合表面が、様々な実施形態が以下に説明される適切な方法で構成される場合に、横方向壁半体18、20をロックし得る内側段差部50を提供しうる。代替的に、または追加的に、横方向壁半体18、20は、例えばボルトまたは接着剤によって、この内側段差部50または上部もしくは底部キャップ22、24の壁に固定されうる。このようにして、2つの横方向壁半体18、20もロックされる。内側段差部50は様々な方法で実現されてもよく、例えば周壁18、20に沿って延在する単一の部品として、図7及び8に示されるような2部品の内側段差部として、または2つの横方向壁半体18、20に沿って間隔を開けられた複数のピンとして実現されうる。もちろん、底部キャップ22及び上部キャップ24が異なる方法で機械的締結を提供することもまた可能である。上部キャップ24は、例えば、第1及び第2の横方向壁半体18、20がロックされる保持リングを提供してもよく、その一方底部キャップ22は内側段差部50を有して提供されてもよい。
【0022】
1つの実施形態において、底部キャップ22は、ガス流入開口部14を有して提供されうる。
【0023】
底部キャップ22にガス流入開口部14を提供することにより、ガス源94から供給されたガスは、筐体18、20、22、24の長手方向と平行に、導入チャンバー12へ入りうる。このようにして、ガス源94から供給されるガスは、導入チャンバー12に入る間、可能な限り最小の抵抗を有しうる。そのため、ガスはほとんど妨げられることなく導入チャンバー12に入りうる。
【0024】
1つの実施形態において、上部キャップ24は、少なくとも1つのガス供給開口部16のガス供給開口部16を有して提供されうる。ガス供給開口部16は、開口部16を通したガスの放出を可能にするように構成されうる。
【0025】
1つの実施形態において、第1及び第2の横方向壁半体18、20の少なくとも1つは、少なくとも1つのガス供給開口部16を有して提供されうる。
【0026】
2つの横方向壁半体18、20の少なくとも1つに少なくとも1つのガス供給開口部16を有することにより、導入チャンバー12からプロセスチャンバー92に供給されるガスは、導入チャンバーを筐体18、20、22、24の長手方向に対して直交した状態にし、そのため導入チャンバー12内の流動方向に対しても直交した状態にしうる。少なくとも1つのガス供給開口部16は、第1及び第2の横方向壁半体18、20の長さ方向に沿って離隔された複数のガス供給開口部16を含むことが好適でありうる。この場合、プロセスチャンバー92内へのガスのより正確な流入が達成されうる。
【0027】
1つの実施形態において、第1の横方向壁半体18は、2つの端部26、28の間で第1の長手方向に延在しうるプロファイルであり、2つの端部26、28の間で一定の断面を有しうる。第2の横方向壁半体20は、2つの端部30、32の間で第2の長手方向に延在しうるプロファイルであり、2つの端部30、32の間で一定の断面を有しうる。第1の長手方向及び第2の長手方向は、筐体18、20、22、24の長手方向と実質的に平行でありうる。
【0028】
プロファイルであることによって、第1及び第2の横方向壁半体18、20はより容易に製造されうる。これは、例えば、押出成形、モールディング、ミリングなどによってなされうる。2つの横方向壁半体18、20の端部26、28、30、32は、底部及び上部キャップ22、24に取り付けることができるように、後処理されうる。例えば、第1及び第2の横方向壁半体18、20は、一定の断面積を有する1つの部品に製造されうる。その後、端部26、28、30、32の一部は、上部及び/または底部キャップ22、24の保持リングまたは内側段差部に対して整合部を作り出すようにミリングによって除去されうる。
【0029】
1つの実施形態において、第1の横方向壁半体18は、第2の横方向壁半体20の第1の係合表面38に係合するように構成されうる第1の係合表面34を有しうる。第1の横方向壁半体18は、第2の横方向壁半体20の第2の係合表面40に係合するように構成されうる第2の係合表面36を有しうる。第1の係合表面34、38及び第2の係合表面36、40は、整合表面を有しうる。第1及び第2の横方向壁半体18、20の第1の係合表面34、38は、筐体18、20、22、24の長手方向に対して垂直に延在しうる断面42における第1の断面プロファイル凹凸部44を画定しうる。第1及び第2の横方向壁半体18、20の第2の係合表面36、40は、この断面42において第2の断面プロファイル凹凸部46を画定しうる。
【0030】
整合表面を有することによって、第1及び第2の係合表面34、36、38、40は互いに近接してフィットし、第1及び第2の横方向壁半体18、20の間の強力な取り付けを可能にしうる。そのような取り付けは、第1及び第2の横方向壁半体18、20の間の気密接続さえも提供しうる。
【0031】
第1の断面プロファイル凹凸部44及び第2の断面プロファイル凹凸部46はともに、無制限な数の異なる形状を有しうる。1つの実施形態において、第1の断面プロファイル凹凸部44は、例えばZ形状を有してもよく、第2の断面プロファイル凹凸部46はZ形状を有してもよい。この凹凸形状の例は、図2から4に示されている。
【0032】
Z形状の断面プロファイルの凹凸部44、46は、第1及び第2の横方向壁半体18、20の間の明確に定められた相対位置を提供しうる。これは、例えば直線状または傾斜状の断面プロファイルの凹凸部44、46と比較して、組立時に横方向壁半体18、20の位置決めを比較的容易にしうる。さらに、Z形状のために、横方向壁半体18、20が互いから離れて移動し得る横方向の数が制限される。多くの方向において、Z形状は、形状近接ロック効果を提供する。図3の例において、第2の横方向壁半体20は、第1の横方向壁半体18に対して右方向または右方向に対して上方にのみ移動可能である。図4の例において、第2の横方向壁半体20は、第1の壁半体18に対して左方向または左方向に対して上方にのみ移動可能である。さらに、Z形状断面プロファイルの凹凸部44、46はまた、係合表面34、36、38、40の間のギャップを通して導入チャンバー12から生じうる漏洩をより良好に低減することが可能でありうる。Z形状は、例が図4に示される鋭い縁を有してもよく、またはZ形状は例が図3に示される丸められた縁を有してもよい。
【0033】
例が図3及び4に示された実施形態において、第1及び第2の断面プロファイルの凹凸部44、46は、2つの横方向壁半体18、20が筐体18、20、22、24の長手方向に対して垂直な少なくとも1つの第1の方向及び、筐体18、20、22、24の長手方向に対して平行な第2の方向に、互いに対して分解するために移動可能であるような形状とされうる。少なくとも1つの第1の方向の移動可能性は、底部キャップ22及び上部キャップ24によって遮断されうる。
【0034】
第1及び第2の断面プロファイルの凹凸部44、46のそのように説明された形状の利点は、第1及び第2の壁半体18、20が、より容易に分解され、また再び組み立てられうることでありうる。第1及び第2の壁半体は、横方向に単純に取り外され、互いに対して、筐体18、20、22、24の長手方向に対して垂直な第1の方向に動かされうる。この欠点は、第1及び第2の壁半体18、20を一体に保持するためには外力が必要なことでありうる。そのような外力は、底部及び上部キャップ22、24によってもたらされうる。
【0035】
例が図3及び4に示された実施形態において、第1の横方向壁半体18のプロファイルは、第2の横方向壁半体20のプロファイルと同一でありうる。
【0036】
これらの同一の横方向壁半体18、20では、ただ1つの異なるプロファイルを製造する必要があるのみであり、製造プロセスをより効率的にしうる。必要な場合に、後処理が異なりうるのみである。
【0037】
代替的に、第1及び第2の横方向壁半体18、20の一方が、第1及び第2の横方向壁半体18、20の他方よりも実質的に大きくてもよい。
【0038】
1つの実施形態において、第1及び第2の横方向壁半体18、20は、少なくとも1つのナット及びボルトアセンブリーによって互いに締結されてもよい。
【0039】
ナット及びボルトアセンブリーは、2つの横方向壁半体18、20の間に堅牢で強力な接続を提供しうる。筐体18、20、22、24の長手方向に離隔された、複数のナット及びボルトアセンブリーが提供されうる。
【0040】
1つの実施形態において、第1及び第2の横方向壁半体18、20は、接着剤によって互いに締結されなくてもよい。
【0041】
糊などの接着剤は、2つの横方向壁半体18、20の間の温度差及び応力に対してあまり適していない接合を提供しうる。さらに、接着剤は、望ましくないものでありうる化学種をプロセスチャンバー内に放出しうる。
【0042】
1つの実施形態において、第1及び第2の横方向壁半体18、20は、少なくとも1つの成膜層によって互いに締結されうる。
【0043】
本説明に従うインジェクター10が配置されうるプロセスチャンバー92は、ウェハの処理に使用されうる。この処理は、例えば原子層成膜または化学気相成膜を含んでもよく、前駆体ガスがインジェクターを介して提供されうる。この前駆体ガスは、インジェクターの内側、例えばインジェクターチャンバー12内、及びインジェクター10の外側、例えばプロセスチャンバー92内のいずれかまたは両方の、インジェクター上にも成膜しうる。成膜層はまた、2つの横方向壁半体18、20の係合表面34、36、38、40にも成膜されうる。この成膜層は、第1の係合表面34、38の間及び/または第2の係合表面36、40の間の任意のギャップを橋渡しし、それによって係合表面34、36、38、40を一体に接合しうる。
【0044】
第1の横方向壁半体18は、第2の横方向壁半体20の第1の係合表面38に係合するように構成された第1の係合表面34を有しうる。第1の横方向壁半体18は、第2の横方向壁半体20の第2の係合表面40に係合するように構成された第2の係合表面36を有しうる。第1の係合表面34、38及び第2の係合表面36、40は、発散ギャップ52、54を画定する発散表面でありうる。発散ギャップ52、54は、図9に示されるように、インジェクター10の内側、例えばインジェクターチャンバー12内、またはインジェクター10の外側にありうる。少なくとも1つの成膜層は、発散ギャップ52、54内に提供されうる。
【0045】
発散ギャップ52、54は、係合表面34、36、38、40の間の非常に信頼性のある接合が時間経過とともに成膜材料によって形成されうるように、成膜材料によって次第に「充填」されうる。
【0046】
1つの実施形態において、第1及び第2の横方向壁半体18、20は、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)及びシリコンカーバイド(SiC)の群の少なくとも1つを含む材料からなりうる。選択される材料は、少なくとも、プロセスチャンバー92内の高い温度差及び高い応力に耐えられる必要がありうる。前述の材料は、これらの要件を満たしうるが、この説明は、その他の適切な材料を使用から除外するものではない。
【0047】
本開示はまた、例が図9に示されたウェハを処理するためのバッチ炉アセンブリー90も提供しうる。バッチ炉アセンブリー90は、プロセスチャンバー92を含みうる。プロセスチャンバー92は、本説明に従うインジェクター10を含みうる。バッチ炉アセンブリー90はさらに、インジェクター10のガス流入開口部14に流体的に接続されたガス源94を含みうる。
【0048】
バッチ炉アセンブリー90の効果及び利点は、インジェクター10に関して前述した利点と同様であり、それらの効果及び利点は、参照によりここに挿入される。
【0049】
1つの実施形態において、バッチ炉アセンブリー90は、垂直バッチ炉アセンブリーでありうる。
【0050】
そのような垂直バッチ炉アセンブリーは、ウェハ処理装置の分野では慣例的であり、既知の利点を有する。例えば、比較的小さな設置面積を有し、そのため価値のある床面積の占有が小さい。
【0051】
本発明の例示的な実施形態が、添付した図面を参照して部分的に説明されたが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことは理解されるべきである。開示された実施形態に対する変更は、図面、開示、及び添付した特許請求の範囲から、特許請求される発明を実施するうえで当業者に理解され、実施されることができる。
【0052】
本明細書を通して、「1つの実施形態」または「ある実施形態」との記載は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。そのため、この説明を通して様々な場所において「1つの実施形態において」または「ある実施形態において」との語句は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すわけではない。
【0053】
さらに、前述の様々な実施形態の1つまたは複数の特定の特徴、構造または特性は、互いに独立して使用され、実施されてもよく、任意の適切な方法で組み合わされて新しく、明示されない実施形態を形成してもよい。詳細な説明及び特許請求の範囲で使用される参照符号は実施形態の説明を限定するものではなく、特許請求の範囲を限定するものでもない。参照符号は、単に明確化のために使用されるにすぎない。
【符号の説明】
【0054】
10 インジェクター
12 導入チャンバー
14 ガス流入開口部
16 ガス供給開口部
18 第1の横方向壁半体
20 第2の横方向壁半体
22 底部キャップ
24 上部キャップ
26 第1の横方向壁半体の第1の端部
28 第1の横方向壁半体の第2の端部
30 第2の横方向壁半体の第1の端部
32 第2の横方向壁半体の第2の端部
34 第1の壁半体の第1の係合表面
36 第1の壁半体の第2の係合表面
38 第2の壁半体の第1の係合表面
40 第2の壁半体の第2の係合表面
42 断面
44 第1の断面プロファイル凹凸部
46 第2の断面プロファイル凹凸部
48 保持リング
50 内側段差部
52 第1の発散ギャップ
54 第2の発散ギャップ
90 バッチ炉アセンブリー
92 プロセスチャンバー
94 ガス源
図1
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