(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】RF電力増幅器のためのオンパッケージインピーダンス整合ネットワークと一体化された多段デカップリングネットワーク
(51)【国際特許分類】
H03F 1/56 20060101AFI20241119BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20241119BHJP
H03F 1/42 20060101ALI20241119BHJP
H03F 1/32 20060101ALI20241119BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H03F1/56
H03F1/02 188
H03F1/42
H03F1/32
H03F3/24
(21)【出願番号】P 2022577521
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2021037864
(87)【国際公開番号】W WO2021257853
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-09
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】チドゥララ マドゥ
(72)【発明者】
【氏名】マーベル マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】チューリン ニクラス
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-253785(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130608(WO,A1)
【文献】特開2009-017494(JP,A)
【文献】特開2016-220207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅回路であって、
ソース端子、ゲート端子、およびドレイン端子を有し、前記ソース端子がRF信号接地に接続されている、少なくとも第1のRF増幅器(18、18a)と、
前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ゲート端子に電気的に結合された第1のRF入力コネクタと、
前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ドレイン端子に電気的に結合された第1のRF出力コネクタと、
前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ゲート端子に電気的に結合された第1の入力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a)、および前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ドレイン端子に電気的に結合された第1の出力インピーダンス整合ネットワーク(20、20a)のうちの少なくとも1つと、
を備え、
少なくとも1つの第1のインピーダンス整合ネットワーク(16、20)が2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを備え、前記多段デカップリングネットワークの各デカップリング段が前記増幅回路の動作帯域を下回る異なる
特性周波数において
共振することによってインピーダンスを低減するように構成され、前記デカップリング段が前記RF増幅器(18、18a)とともにパッケージングされた集積受動デバイス(IPD)を備え、
各デカップリング段が、シャントキャパシタンスを伴う、直列に接続された抵抗およびインダクタンスを備え、各デカップリング段が、前記多段デカップリングネットワークにおいて直列構成で接続されている、
増幅回路。
【請求項2】
前記増幅回路の前記動作帯域がRバンドにある、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記増幅回路の前記動作帯域がSバンドにある、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記増幅回路の動作帯域がXバンドにある、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記増幅回路の動作帯域がKuバンドにある、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記増幅回路の前記動作帯域がKバンドにある、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記増幅回路の前記動作帯域がKaバンドにある、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記増幅回路の前記動作帯域がVバンドにある、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記多段デカップリングネットワークが、前記2つ以上のデカップリング段のうちのいずれか1つの共振周波数範囲よりも広い、前記増幅回路の前記動作帯域を下回る周波数範囲にわたってインピーダンスを低減するように構成されている、請求項
1に記載の増幅回路。
【請求項10】
第1のデカップリング段が、約100MHz~約300MHzの範囲の周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、請求項1~
9のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項11】
第2のデカップリング段が、約1MHz~約30MHzの範囲の周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、請求項1~
10のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項12】
第3のデカップリング段が、約100KHz~約900KHzの範囲の周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、請求項1~
11のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項13】
各デカップリング段が、直列に接続された抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスを備え、各デカップリング段が、前記デカップリングネットワークにおいてシャント構成で接続されている、請求項
1に記載の増幅回路。
【請求項14】
多段デカップリングネットワークを備える前記第1の入力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a)と、多段デカップリングネットワークを備える前記第1の出力インピーダンス整合ネットワーク(20、20a)の両方を備える、請求項1~
13のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項15】
前記第1の入力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a)および前記第1の出力インピーダンス整合ネットワーク(20、20a)の両方を備え、前記第1の入力および第1の出力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)の一方のみが、多段デカップリングネットワークを備える、請求項1~
13のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項16】
前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ゲート端子に電気的に結合された第1のゲートバイアス電圧コネクタ、および
前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ドレイン端子に電気的に結合された第1のドレインバイアス電圧コネクタ
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1~
15のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項17】
多段デカップリングネットワークを含む1つまたは複数の第1のインピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)を有する前記第1のRF増幅器(18、18a)の端子に電気的に結合されたバイアス電圧コネクタが、前記第1のインピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)と前記多段デカップリングネットワークとの間に結合されている、請求項
16に記載の増幅回路。
【請求項18】
多段デカップリングネットワークを含む1つまたは複数の第1のインピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)を有する前記第1のRF増幅器(18、18a)の端子に電気的に結合されたバイアス電圧コネクタが、前記インピーダンス整合ネットワーク(16、20)および少なくとも1つのデカップリング段が前記第1のRF増幅器(18、18a)の端子と前記バイアス電圧コネクタとの間に介在するように結合されている、請求項
16に記載の増幅回路。
【請求項19】
ソース端子、ゲート端子、およびドレイン端子を有し、前記ソース端子がRF信号接地に電気的に結合されている、第2のRF増幅器(18b)と、
前記第2のRF増幅器(18b)の前記ゲート端子に電気的に結合された第2のRF入力コネクタと、
前記第2のRF増幅器(18b)の前記ドレイン端子に電気的に結合された第2のRF出力コネクタと、
をさらに備える、請求項1~
18のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項20】
前記第1および第2のRF増幅器(18a、18b)がドハティ増幅器として構成されている、請求項
19に記載の増幅回路。
【請求項21】
前記第2のRF増幅器(18b)の前記ゲート端子に電気的に結合された第2の入力インピーダンス整合ネットワーク(16b)、および
前記第2のRF増幅器(18b)の前記ドレイン端子に電気的に結合された第2の出力インピーダンス整合ネットワーク(20b)
のうちの少なくとも1つをさらに備え、
少なくとも1つの第2のインピーダンス整合ネットワーク(16b、20b)が多段デカップリングネットワークを備え、前記デカップリングネットワークの各デカップリング段が前記増幅回路の動作帯域を下回る異なる周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、
請求項
19または
20に記載の増幅回路。
【請求項22】
前記第2の入力インピーダンス整合ネットワーク(16b)および前記第2の出力インピーダンス整合ネットワーク(20b)の両方を備える、請求項
21に記載の増幅回路。
【請求項23】
前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ゲート端子に電気的に結合された第1のゲートバイアス電圧コネクタ、および
前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ドレイン端子に電気的に結合された第1のドレインバイアス電圧コネクタ
のうちの少なくとも1つをさらに備え、
前記第1のゲートバイアス電圧コネクタが前記第2のRF増幅器(18b)の前記ゲート端子にさらに結合されている、および
前記第1のドレインバイアス電圧コネクタが前記第2のRF増幅器(18b)の前記ドレイン端子にさらに結合されている、
の一方または両方である、
請求項
19~
22のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項24】
前記第2のRF増幅器(18b)の前記ゲート端子に結合された第2のゲートバイアス電圧コネクタ、および
前記第2のRF増幅器(18b)の前記ドレイン端子に結合された第2のドレインバイアス電圧コネクタ
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項
19~
22のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項25】
増幅回路を製造する方法であって、
ソース端子、ゲート端子、およびドレイン端子を有する少なくとも第1のRF増幅器(18、18a)を設け、前記ソース端子をRF信号接地に電気的に結合するステップと、
第1のRF入力コネクタを前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ゲート端子に電気的に結合するステップと、
第1のRF出力コネクタを前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ドレイン端子に電気的に結合するステップと、
第1の入力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a)を前記第1の増幅回路の前記ゲート端子に電気的に結合するステップ、および第1の出力インピーダンス整合ネットワーク(20、20a)を前記第1の増幅回路の前記ドレイン端子に電気的に結合するステップのうちの少なくとも1つを行うステップと、
を含み、
少なくとも1つの第1のインピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)が、2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを備え、前記多段デカップリングネットワークの各デカップリング段が前記増幅回路の動作帯域を下回る異なる
特性周波数において
共振することによってインピーダンスを低減するように構成され、前記デカップリング段が前記RF増幅器(18、18a)とともにパッケージングされた集積受動デバイス(IPD)を備え、
各デカップリング段が、シャントキャパシタンスを伴う、直列に接続された抵抗およびインダクタンスを備え、前記第1のインピーダンス整合ネットワークを電気的に結合するステップが、前記多段デカップリングネットワークにおいて各デカップリング段を直列構成で結合するステップを含む、
方法。
【請求項26】
前記増幅回路の前記動作帯域が、Rバンド、Sバンド、Xバンド、Kuバンド、Kバンド、Kaバンド、およびVバンドのうちの1つにある、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
第1のデカップリング段が約100MHz~約300MHzの範囲の周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、請求項
25または
26に記載の方法。
【請求項28】
第2のデカップリング段が約1MHz~30MHzの範囲の周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、請求項
25~
27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
第3のデカップリング段が約100KHz~約900KHzの範囲の周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、請求項
25~
28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記多段デカップリングネットワークが、前記2つ以上のデカップリング段のうちのいずれか1つの共振周波数範囲よりも広い、前記増幅回路の前記動作帯域を下回る周波数範囲にわたってインピーダンスを低減するように構成されている、請求項
25に記載の方法。
【請求項31】
各デカップリング段が、直列に接続された抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスを備え、前記第1のインピーダンス整合ネットワークを電気的に結合するステップが、前記デカップリングネットワークにおいて各デカップリング段をシャント構成で結合するステップを含む、請求項
25に記載の方法。
【請求項32】
第1の入力および出力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)のうちの少なくとも1つを電気的に結合するステップが、多段デカップリングネットワークを備える前記第1の入力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a)と、多段デカップリングネットワークを備える前記第1の出力インピーダンス整合ネットワーク(20、20a)の両方を電気的に結合するステップを含む、請求項
25~
31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
第1の入力および出力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)のうちの少なくとも1つを電気的に結合するステップが、前記第1の入力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a)および前記第1の出力インピーダンス整合ネットワーク(20、20a)の両方を電気的に結合するステップを含み、前記第1の入力および出力インピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)の一方のみが、多段デカップリングネットワークを含む、請求項
25~
31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
第1のゲートバイアス電圧コネクタを前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ゲート端子に電気的に結合するステップ、および
第1のドレインバイアス電圧コネクタを前記第1のRF増幅器(18、18a)の前記ドレイン端子に電気的に結合するステップ
のうちの少なくとも1つを行うステップをさらに含む、請求項
25~
33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
多段デカップリングネットワークを含むインピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)を有する前記第1のRF増幅器(18、18a)の端子にバイアス電圧コネクタを電気的に結合するステップが、前記インピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)と前記多段デカップリングネットワークとの間に前記バイアス電圧コネクタを結合するステップを含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項36】
多段デカップリングネットワークを含むインピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)を有する前記第1のRF増幅器(18、18a)の端子にバイアス電圧コネクタを結合するステップが、前記インピーダンス整合ネットワーク(16、16a、20、20a)および少なくとも1つのデカップリング段が前記第1のRF増幅器(18、18a)の端子と前記バイアス電圧コネクタとの間に介在するように前記バイアス電圧コネクタを結合するステップを含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項37】
ソース端子、ゲート端子、およびドレイン端子を有し、前記ソース端子をRF信号接地に電気的に結合する第2のRF増幅器(18b)を設けるステップと、
第2のRF入力コネクタを前記第2のRF増幅器(18b)の前記ゲート端子に電気的に結合するステップと、
第2のRF出力コネクタを前記第2のRF増幅器(18b)の前記ドレイン端子に電気的に結合するステップと、
をさらに含む、請求項
34~
36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1および第2のRF増幅器(18a、18b)がドハティ増幅器として構成されている、請求項
37に記載の方法。
【請求項39】
第2の入力インピーダンス整合ネットワーク(16b)を前記第2のRF増幅器(18b)の前記ゲート端子に電気的に結合するステップ、および
第2の出力インピーダンス整合ネットワーク(20b)を前記第2のRF増幅器(18b)の前記ドレイン端子に電気的に結合するステップ
のうちの少なくとも1つを行うステップをさらに含み、
少なくとも1つの第2のインピーダンス整合ネットワーク(16b、20b)が多段デカップリングネットワークを備え、前記デカップリングネットワークの各デカップリング段が前記増幅回路の動作帯域を下回る異なる周波数においてインピーダンスを低減するように構成されている、
請求項
37または
38に記載の方法。
【請求項40】
第2の入力および出力インピーダンス整合ネットワーク(16b、20b)の少なくとも1つを電気的に結合するステップが、前記第2の入力および出力インピーダンス整合ネットワーク(16b、20b)の両方を電気的に結合するステップを含む、請求項
39に記載の方法。
【請求項41】
第2のゲートバイアス電圧コネクタを前記第2のRF増幅器(18b)の前記ゲート端子に電気的に結合するステップ、および
第2のドレインバイアス電圧コネクタを前記第2のRF増幅器(18b)の前記ドレイン端子に電気的に結合するステップ
のうちの少なくとも1つを行うステップをさらに含む、請求項
37~
40のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月17日に出願された米国特許出願第16/903,771号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に増幅器に関し、詳細にはRF電力増幅器とともにパッケージに一体化された多段入力および/または出力デカップリングネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
現代の無線通信ネットワークは、一般に(基地局、eNB、gNBなどとして知られている)固定アクセスポイントと多数の携帯端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット、ラップトップなどのユーザ機器またはUE)との間で、高周波(RF)信号に変調された音声およびデータコンテンツを送信することによって動作する。双方向の信号伝送には、RF電力増幅器が必要である。どちらの場合も、効率(出力電力を入力電力で割ったもの)は、重要な考慮事項である。効率の悪い増幅器は、消費電力の多くを単に熱に変えるだけであり、運用コストを上昇させ、熱を放出するための物理的な設計が必要となるため、アクセスポイントには効率の良い電力増幅器が望まれている。携帯端末の電力増幅器は、バッテリ電力の主要な消費源であり、1回の充電で有効なデバイス寿命を延ばすために、高い効率が望まれている。
【0004】
増幅器は、増幅器が常にオンになっているか、または強く導通している点である圧縮点またはその近傍で最も効率的に動作する。圧縮点より下で動作する増幅器は線形領域で動作し、出力信号は入力信号の増幅されたバージョンである。部分的にまたは全体的に圧縮状態で動作する増幅器は、周波数/位相変調信号、またはオンオフキーイング変調信号(例えば、モールス符号)を、高出力、高効率で送信することができる。これらの用途では、線形性は必要とされず、すなわち、増幅器は、信号に変調された情報に影響を及ぼすことなく信号振幅を歪ませることができる。しかしながら、搬送波信号の振幅を変調することによって、部分的にでも情報を符号化する通信信号では、振幅変調(AM)情報を保持するために、電力増幅器を高い線形性で動作させる必要がある。
【0005】
例えば、様々なレベルの直交振幅変調(16-QAM、64-QAM、256-QAM)などの、現代の無線通信ネットワークで使用するために標準化された信号変調方式の多くは、増幅器が圧縮状態で動作した場合に生じる振幅変調情報の損失を回避するために線形増幅器が必要である。多くのこのような信号の特性は、平均的な信号電力は比較的低いが、信号の断続的なピークが、平均と比較して高い電力を有することである。この特性は、PAPR(ピーク対平均電力比:Peak to Average Power Ratio)として定量化される。高PAPR信号を送信する単一の電力増幅器は、まれにしか発生しない信号ピークに合わせてサイズ調整されなければならず、平均して非常に低い電力で動作するため、低い効率を示す。すなわち、電力増幅器は、平均して使用されない大きな「ヘッドルーム」を有するように設計されなければならない。増幅器の動作点は、その圧縮点よりもはるかに低いため、効率が悪い。これは、増幅器が消費する電力の多く(携帯端末の場合にはバッテリからの)が熱として浪費されることを意味する。
【0006】
William Dohertyは、高PAPR AM無線信号を送信しながら効率を向上させた電力増幅器を設計して、1936年にこの問題を解決した。
図1にブロック図の形態で表されたドハティ増幅器10は、多くの場合「主」または「キャリア」増幅器と呼ばれる、大部分の信号を増幅するために使用される第1の増幅器18aと、多くの場合「補助」または「ピーク」増幅器と呼ばれる、信号ピークを増幅するために使用される第2の増幅器18bとを備える。本明細書では、より一般的な用語である「第1の」および「第2の」増幅器を使用する。多くの場合、第1の増幅器18aにはAB級増幅器が使用され、この増幅器は、線形領域内であるが圧縮に近い(すなわち、ヘッドルームが低い)平均信号を増幅するようにバイアスされ得る。信号ピークは、例えば、第2の増幅器18bとしてのC級増幅器によって増幅され、この増幅器は、ほとんどの時間非アクティブであり、入力信号の導通角のごく一部にわたって線形であればよい。AB級またはC級増幅器としてのトランジスタの動作は、ゲート端子およびドレイン端子に印加されるバイアス電圧によって確立される。
【0007】
ドハティ増幅器の特徴は、第1および第2の増幅器18a、18bの出力接続であり、これは、1/4波長伝送線路を使用して実装されることが多く、90度の位相シフトを有するインピーダンスインバータ22を介して行われる。低い入力信号電力レベルでは、第2の増幅器18bは、非アクティブであり、インピーダンスインバータ22は、第1の増幅器18aに高出力インピーダンスを与え、その効率を改善する。第2の増幅器18bが信号ピークを増幅し始めると、その出力電流は、負荷インピーダンスの両端間の電圧を増加させ、インピーダンスインバータ22は、この負荷インピーダンスを減少するインピーダンスとして第1の増幅器18aに与え、入力信号電力が増加するにつれてその出力電力を増加させることを可能にする。これは、負荷変調として知られており、この負荷変調の結果、ドハティ増幅器10は入力信号電力の全範囲にわたって高効率を示すことになる。
【0008】
図1を参照すると、電力分割回路12は、RF入力信号を、その瞬時電力レベルに応答して第1の増幅器18aと第2の増幅器18bとに分割する。移相器14は、第2の増幅器18bの入力の位相を90度遅延させ、出力インピーダンスインバータ22が第1の増幅器18aの出力にかける90度の遅延と合わせるようにする。一部の実施形態では、電力分割器12および移相器14は、入力信号を分割し、90度位相シフトを第2の増幅器18b入力に適用する直交電力分割器にまとめることができる。入力RFインピーダンス整合回路16a、16bは、インピーダンス整合を実行し、例えば、標準的な50Ωシステムインピーダンスを第1および第2の増幅器18a、18bの低入力インピーダンスに整合させる。同様に、出力RFインピーダンス整合回路20a、20bは、第1および第2の増幅器18a、18bの出力インピーダンスを、増幅器18a、18bから見た負荷インピーダンスZ
loadに整合させる。入力および出力インピーダンス整合回路16、20は両方とも、ドハティ増幅器10の動作帯域幅全体にわたって動作するように設計されている。
【0009】
上述したように、ドハティ構成における第1および第2の増幅器18a、18bの出力には、90度の位相遅延を有するインピーダンスインバータ22が接続されている。インピーダンスインバータ22は、1/4波長伝送線路を用いて実装されることが多い。ドハティ増幅器10の出力は、典型的にはインピーダンスインバータ22の第2の増幅器18b側の、いわゆる加算ノードで取り出される。インピーダンス変成器などの出力インピーダンス整合ネットワーク(OMN)24は、負荷インピーダンスZloadを標準の50Ωシステムインピーダンスに整合させる。
【0010】
図2は、ドハティ増幅器10の中核部分の簡略化された回路モデルであり、第1および第2の増幅器18a、18bは、理想的な電流源としてモデル化されている。インピーダンスインバータ22は、位相を90度シフトさせる1/4波長伝送線路である。合成された出力電力は、加算ノードから取り出され、負荷は抵抗器R
sumによって表されている。入力電力分割器12、移相器14、ならびに入力および出力インピーダンス整合回路16、20は、明瞭にするために省略されている。
【0011】
横方向拡散金属酸化膜半導体(LDMOS)、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)、または高電子移動度トランジスタ(HEMT)デバイスなどの現実世界のRF電力増幅器18a、18bは、必要な帯域幅にわたって、特に100MHz付近などのビデオ周波数において歪みを生成する。この歪みを軽減するための1つの知られている手法は、デカップリングコンデンサを使用することである。
図3Aは、入力および出力RFインピーダンス整合ネットワーク16、20を有する増幅器18を示す。
図3Aには、トランジスタ18を所望の動作クラス(例えば、第1の増幅器18aについてはAB級、第2の増幅器18bについてはC級)にバイアスするために必要なゲートおよびドレインバイアス給電回路も示されている。これらのバイアス給電回路は、RFキャパシタンスC
RF、デカップリングコンデンサC
DC、およびλ/4伝送線路を含む。例えば10~20pFの範囲にあってもよいRFキャパシタンスC
RFは、インピーダンス整合のために1/4波長のための短絡回路を提供する。すなわち、ゲートバイアス給電回路上では、例えば、C
RFは、RF周波数では事実上短絡回路である。デカップリングコンデンサC
DCは、例えば10μFの範囲であってもよく、より低い周波数、例えば100MHz未満での歪みを軽減する。
【0012】
図3Bは、回路パッケージ上の
図3Aの回路の実施態様を示す。当技術分野で知られているように、回路パッケージは、1つまたは複数のRF増幅回路(例えば、トランジスタ増幅器)、ならびにインピーダンス整合回路、電力分配回路、クロック生成および分配回路などの他の回路を含んでもよい。回路パッケージは、例えばプリント回路板(PCB)への物理的、機械的、および電気的接続を提供することによって、増幅回路を別の回路に組み込むことを容易にする。電子デバイスのサイズが縮小し続けるにつれて、多くの場合、パッケージのサイズは、パッケージ上の回路をPCBと接続するピン、パッド、または同様のインターフェース要素(本明細書では「コネクタ」)の数および相対的なサイズによって制限される。増幅器18は、トランジスタ(例えば、LDMOSまたはGaN HEMT)として実装される。入力および出力RFインピーダンス整合回路16、20は、パッケージ上に形成されたLCネットワークとして実装されるが、他の実施形態では、LC回路の一部または全部がパッケージの外部にあってもよい。キャパシタンスC
RFおよびC
DCは、一般にパッケージの外部にある。λ/4伝送線路は、ゲートまたはドレインバイアス電圧をそれぞれのRFインピーダンス整合回路16、20に接続するボンドワイヤの給電インダクタンスL
Fとして表されている。
【0013】
ゲートおよびドレインバイアス電圧給電回路に関する知られている問題は、コンデンサとインダクタンスの組合せによって引き起こされる共振が動作帯域に近く、これが線形性の向上を制限することである。したがって、ドハティ増幅器の高線形広帯域動作に対する主要な課題は、バイアス電圧給電インダクタンスLFを最小にして、共振を動作帯域から遠ざけておくことである。この必要性は、例えば、先進の無線通信ネットワークのデータレートの向上に起因して、RF電力増幅器に対する帯域幅要件が増大し続けているため、さらに悪化する。したがって、拡大された帯域幅全体にわたって増幅器の線形動作を維持することが課題である。
【0014】
別の課題は、特に通信システムで使用される増幅器に関して、スペース、重量、および電力消費を最小限に抑えることである。例えば、先進アンテナシステム(AAS)は、既存の4Gおよび将来の5G無線通信ネットワークにおける大規模な展開を対象としている。AASは、ビームフォーミングおよび多入力多出力(MIMO)技術などの先進のアンテナ技術を採用して、エンドユーザ体験、容量、およびカバレッジを向上させている。AASは、機器ごとに多数のアンテナ(例えば、基地局の数百のアンテナ)だけでなく、個々に制御可能な(すなわち、ビームフォーミングのための)アンテナエレメントの大規模なアレイを含むアンテナも想定している。各アンテナまたはアンテナエレメントには、一般に、個別のRF電力増幅器が必要である。したがって、RF電力増幅器および関連付けされた回路は、非常に小型で高集積でなければならず、電力消費は、最小限に抑えられなければならない。
【0015】
本明細書の背景技術の項は、本発明の実施形態を技術的および動作的な文脈に位置付け、当業者がその範囲および有用性を理解する手助けをするために提供されている。背景技術の項で説明した手法は、追究することは可能であるが、必ずしも以前に考え出された、または追究された手法ではない。明示的にそのように特定されない限り、本明細書のいかなる記述も、単に背景技術の項に含まれることによって従来技術であると認められるものではない。
【発明の概要】
【0016】
以下は、当業者に基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。本概要は、本開示の広範な概説ではなく、本発明の実施形態の主要な/重要な要素を特定すること、または本発明の範囲を線引きすることを意図したものではない。本概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、本明細書で開示される一部の概念を簡略化された形態で提示することである。
【0017】
本明細書に記載され、特許請求される1つまたは複数の実施形態によると、電子パッケージは、1つまたは複数のRF増幅回路を収容する。パッケージ上に集積され、増幅回路のゲートまたはドレインバイアス電圧接続部にそれぞれ接続された入力または出力インピーダンス整合ネットワークのうちの少なくとも1つは、多段デカップリングネットワークを含む。各多段デカップリングネットワークは、2つ以上のデカップリング段を含む。多段デカップリングネットワークの各デカップリング段は、抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスを含み、増幅回路の動作帯域を下回る異なる周波数において増幅回路から見たインピーダンスを低減するように構成される。各デカップリング段の部品値は、デカップリング段が増幅回路の動作帯域を下回る異なる特性周波数において共振するように選択され、共振周波数およびその近傍でRF信号接地への低インピーダンス経路を与える。組み合わせることで、複数のデカップリング段は、パッケージの内部に実装された基準面のドレインおよびゲートバイアス給電ネットワークの低周波インピーダンスを効果的に低減する。これにより、広い信号帯域幅を有するドハティRF電力増幅器(主および補助の両方)の設計が可能になる。したがって、小型の電力RF増幅器は、広帯域線形性およびRF電力増幅器サイズの低減を達成する。各デカップリング段は、シャントキャパシタンスを伴う、直列に接続された抵抗およびインダクタンスとして構成されてもよく(本明細書では「タイプ1」段と呼ばれる)、デカップリング段は直列に接続される。代替として、各デカップリング段は、直列に接続された抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスとして構成されてもよく(本明細書では「タイプ2」段と呼ばれる)、デカップリング段はシャント構成で接続される。バイアス電圧接続は共有されてもよく、多段デカップリングネットワークに沿った任意の場所に接続されてもよい。
【0018】
一実施形態は、増幅回路に関する。増幅回路は、ソース端子、ゲート端子、およびドレイン端子を有する少なくとも第1のRF増幅回路を含み、ソース端子はRF信号接地に接続される。増幅回路は、第1の増幅回路のゲート端子に接続された第1のRF入力コネクタと、第1の増幅回路のドレイン端子に接続された第1のRF出力コネクタとをさらに含む。増幅回路はまた、第1の増幅回路のゲート端子に接続された第1の入力インピーダンス整合ネットワーク、および第1の増幅回路のドレイン端子に接続された第1の出力インピーダンス整合ネットワークのうちの少なくとも1つを含む。少なくとも1つの第1のインピーダンス整合ネットワークは、2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを含む。多段デカップリングネットワークの各デカップリング段は、増幅回路の動作帯域を下回る異なる周波数においてインピーダンスを低減するように構成される。
【0019】
別の実施形態は、増幅回路を製造する方法に関する。ソース端子、ゲート端子、およびドレイン端子を有する少なくとも第1のRF増幅回路が設けられ、ソース端子はRF信号接地に接続される。第1のRF入力コネクタは、第1の増幅回路のゲート端子に接続される。第1のRF出力コネクタは、第1の増幅回路のドレイン端子に接続される。第1の入力インピーダンス整合ネットワークが第1の増幅回路のゲート端子に接続される、および第1の出力インピーダンス整合ネットワークが第1の増幅回路のドレイン端子に接続される、そのうち少なくとも1つが行われる。少なくとも1つの第1のインピーダンス整合ネットワークは、2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを備える。多段デカップリングネットワークの各デカップリング段は、増幅回路の動作帯域を下回る異なる周波数においてインピーダンスを低減するように構成される。
【0020】
ここで、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照して本発明を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完璧かつ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されている。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来のドハティ増幅回路のブロック図である。
【
図2】
図1のドハティ増幅回路の等価回路モデルである。
【
図3A】バイアス電圧給電回路を有する増幅器のブロック図である。
【
図4A】パッケージングされたRF増幅器の側断面図である。
【
図7】熱的に強化されたICデバイスパッケージの側断面図である。
【
図8】単一のデカップリング段を有する増幅回路および多段デカップリングネットワークを有する増幅回路について、1MHz~1GHzの周波数範囲における増幅器から見たインピーダンスのグラフである。
【
図9】それぞれがタイプ1の多段デカップリングネットワークを含む入力および出力インピーダンス整合回路を有する増幅器を収容する電子回路パッケージの概略回路図である。
【
図10】それぞれがタイプ2の多段デカップリングネットワークを含む入力および出力インピーダンス整合回路を有する増幅器を収容する電子回路パッケージの概略回路図である。
【
図11】異なるバイアス電圧接続位置を示す
図4の概略回路図である。
【
図12】ドハティ増幅器を収容する電子回路パッケージの概略回路図であり、両方の増幅回路は、入力および出力インピーダンス整合回路を含み、それぞれがタイプ1の多段デカップリングネットワークを含む。
【
図13】ドハティ増幅器を収容する電子回路パッケージの概略回路図であり、両方の増幅回路は、入力および出力インピーダンス整合回路を含み、それらの全部ではないが一部がタイプ2の多段デカップリングネットワークを含む。
【
図14】ドハティ増幅器を収容する電子回路パッケージの概略回路図であり、両方の増幅回路は、入力および出力インピーダンス整合回路を含み、それらの全部ではないが一部がタイプ1の多段デカップリングネットワークを含む。
【
図15】RF電力増幅回路を製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
分かりやすく説明する目的で、本発明は、その例示的な実施形態を主に参照することによって記載される。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細に限定されることなく実施され得ることは、当業者には容易に明らかであろう。本説明では、本発明を不必要に不明瞭にしないように、よく知られている方法および構造については詳細に説明していない。
【0023】
高周波(RF)増幅器は、モバイル無線通信ネットワークを構成する機器またはモバイル無線通信ネットワークで動作する機器、ならびにその他のアプリケーションにおいて広く使用されている。RF増幅器は、典型的には、半導体集積回路チップとして形成される。ほとんどのRF増幅器は、シリコンで、または炭化ケイ素(「SiC」)およびIII族窒化物材料などのワイドバンドギャップ半導体材料を使用して実装される。本明細書で使用される場合、「III族窒化物」という用語は、窒素と、周期律表のIII族の元素、通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、および/またはインジウム(In)との間で形成される半導体化合物を指す。III族窒化物は、多くの他の半導体材料と比べてバンドギャップが大きいため、より高い電力およびより高い周波数の用途に適している。バンドギャップが異なる材料から形成された層の接合部には、ヘテロ接合が形成される。GaNが特に重要であるが、一般に、RF増幅器(特に、HEMT)用のIII族窒化物ヘテロ接合は、III族金属と窒素の二元、三元、または四元合金から形成されることがある。この式は、AlxInyGa1-x-yN(式中、0≦x≦1および0≦y≦1)、すなわち、アルミニウム、インジウム、およびガリウムの一部または全部が窒素と任意の組合せで合金化されたものとして表すことができる。特に、様々な合金の密度を変えて、半導体の特性を制御することができる。例えば、アルミニウムは、GaNのバンドギャップを増大させるが、インジウムは、バンドギャップを減少させる。
【0024】
シリコンベースのRF増幅器は、典型的には、横方向拡散金属酸化膜半導体(「LDMOS」)トランジスタを使用して実装される。シリコンLDMOS RF増幅器は、高レベルの線形性を示すことができ、比較的安価に製造することができる。III族窒化物ベースのRF増幅器は、典型的には、高電子移動度トランジスタ(「HEMT」)を使用して実装され、主に、LDMOSトランジスタ増幅器が固有の性能限界を有し得る、高電力および/または高周波動作を必要とする用途において使用される。
【0025】
RF増幅器は、1つまたは複数の増幅段を含むことができ、各段は、典型的には、トランジスタ増幅器として実装される。出力電力および電流処理能力を増加させるために、RF増幅器は、典型的には、多数の個々の「単位セル」トランジスタが電気的に並列に配置された「単位セル」構成で実装される。RF増幅器は、単一の集積回路チップまたは「ダイ」として実装されてもよく、または複数のダイを含んでもよい。複数のRF増幅器ダイが使用される場合、それらは、直列および/または並列に接続されてもよい。
【0026】
図1、
図3A、および
図3Bを参照して上述したインピーダンス整合回路16、20に加えて、RF増幅器は、2次および3次高調波などの、デバイス動作中に生成され得る高調波を少なくとも部分的に終端するように設計された高調波終端回路をさらに含むことができる。加えて、本明細書でさらに説明するように、インピーダンス整合回路16、20は、増幅器の動作帯域未満などの低周波においてRF信号接地への低インピーダンス経路を与える多段デカップリングネットワークを含むことができる。RF増幅器ダイ、ならびにインピーダンス整合回路、高調波終端回路、および多段デカップリングネットワークは、パッケージに封入されてもよい。RF増幅器を入力および出力RF伝送線路ならびにバイアス電圧源などの外部回路要素に電気的に接続するために使用される電気リードが、パッケージから延びている場合がある。
【0027】
上述したように、III族窒化物ベースのRF増幅器は、高電力および/または高周波用途で使用されることが多い。典型的には、動作中にIII族窒化物ベースのRF増幅器ダイ内で高レベルの熱が生成される。RFダイが熱くなりすぎると、RF増幅器の性能(例えば、出力電力、効率、線形性、利得など)が劣化することがあり、および/またはRF増幅器ダイが損傷することがある。したがって、III族窒化物ベースのRF増幅器は、典型的には、熱除去のために最適化され得るパッケージ内に取り付けられる。
図4Aおよび
図4Bは、パッケージングされたIII族窒化物ベースのRF増幅器の一実施形態を示す。特に、
図4Aは、パッケージングされたIII族窒化物ベースのRF増幅器100の側断面図であり、
図4Bは、パッケージングされたIII族窒化物ベースのRFトランジスタ増幅器100に含まれるRFトランジスタ増幅器ダイの平面断面図であり、この断面は、
図4Aの線4B-4Bに沿って取られている。
図4Aおよび
図4B(および他の様々な図)は非常に簡略化された図であり、実際のRF増幅器は、本明細書の簡略化された図に示されていない、より多くの単位セルならびに様々な回路および素子を含み得ることが理解されよう。
【0028】
図4Aに示すように、III族窒化物ベースのRF増幅器100は、オープンキャビティパッケージ170内に取り付けられたRF増幅器ダイ110を含む。パッケージ170は、ゲートリード172と、ドレインリード174と、金属フランジ176と、セラミック側壁および蓋178と、を含む。RFトランジスタ増幅器ダイ110は、金属フランジ176とセラミック側壁および蓋178とによって形成されたキャビティ内で金属フランジ176の上面に取り付けられている。RF増幅器ダイ110は、頂部側112および底部側114を有する。RF増幅器ダイ110は、順次積層された底部側(「裏」面とも呼ばれる)メタライゼーション構造120、半導体層構造130、および頂部側メタライゼーション構造140を含む。裏面メタライゼーション構造120は、ソース端子126を備える。RF増幅器100は、HEMTベースのRF増幅器とすることができ、この場合、半導体層構造130は、少なくともチャネル層およびバリア層を含むことができ、これらは、典型的には、半導体または絶縁性成長基板(SiCまたはサファイア基板など)上に形成される。頂部側メタライゼーション構造140は、とりわけ、ゲート端子142およびドレイン端子144を含む。
【0029】
入力整合回路190および/または出力整合回路192も、ハウジング170内に取り付けられてもよい。整合回路190、192は、RFトランジスタ増幅器100に入力されるまたはRFトランジスタ増幅器100から出力されるRF信号の基本波成分のインピーダンスを、RFトランジスタ増幅器ダイ110の入力または出力におけるインピーダンスに整合させるインピーダンス整合回路であってもよい。インピーダンス整合回路は、増幅器の動作周波数未満などの低周波信号をRF信号接地にシャントする多段デカップリングネットワークを含むことができる。加えてまたは代替として、整合回路190、192は、RFトランジスタ増幅器ダイ110の入力または出力に存在し得る基本波RF信号の高調波、例えば2次または3次高調波を接地に短絡するように構成された高調波終端回路であってよい。
【0030】
図4Aに概略的に示すように、入力および出力整合回路190、192は、金属フランジ176上に取り付けられてもよい。ゲートリード172は、1つまたは複数の第1のボンドワイヤ182によって入力整合回路190に接続されてもよく、入力整合回路190は、1つまたは複数の第2のボンドワイヤ183によってRF増幅器ダイ110のゲート端子142に接続されてもよい。同様に、ドレインリード174は、1つまたは複数の第4のボンドワイヤ185によって出力整合回路192に接続されてもよく、出力整合回路192は、1つまたは複数の第3のボンドワイヤ184によってRF増幅器ダイ110のドレイン端子144に接続されてもよい。RFトランジスタ増幅器ダイ110のソース端子126は、金属フランジ176上に直接取り付けられてもよい。金属フランジ176は、ソース端子126への電気的接続を提供することができ、放熱構造として機能することもできる。第1~第4のボンドワイヤ182~185は、入力および/または出力整合回路の一部を形成してもよい。ハウジング178は、セラミックハウジングを含むことができ、ゲートリード172およびドレインリード174は、ハウジング178を貫いて延びることができる。ハウジング178は、側壁の下方部分を形成し、ゲートおよびドレインリード172、174を支持するフレーム、ならびにフレームの上に配置される蓋などの複数の部品を備えることができる。デバイスの内部は、空気が充填されたキャビティを備えることができる。
【0031】
図4Bは、頂部側メタライゼーション構造140の一部を通って取られたRF増幅器ダイ110の平面断面図である。頂部側メタライゼーション構造140の様々な導電性要素を互いに絶縁する誘電体層は、図面を簡略化するために
図4Bには示されていない。
【0032】
図4Bに示すように、RF増幅器ダイ110は、それぞれがゲートフィンガ152、ドレインフィンガ154、およびソースフィンガ156を含む複数の単位セルトランジスタ116を有するIII族窒化物ベースのHEMT RF増幅器を含む。ゲートフィンガ152は、共通のゲートバス146に電気的に接続され、ドレインフィンガ154は、共通のドレインバス148に電気的に接続されている。ゲートバス146は、ゲートボンドパッド(
図4A参照)として実装されたゲート端子142に(例えば、ゲートバス146から上向きに延在する導電性ビアを介して)電気的に接続され、ドレインバス148は、ドレインボンドパッド(
図4A参照)として実装されたドレイン端子144に(例えば、ドレインバス148から上向きに延在する導電性ビアを介して)電気的に接続されている。ソースフィンガ156は、半導体層構造130を貫いて延在する複数の導電性ソースビア166を介してソース端子126に電気的に接続されている。導電性ソースビア166は、半導体層構造130を完全に貫いて延在する金属めっきビアを含むことができる。
【0033】
再び
図4Aを参照すると、金属フランジ176は、RF増幅器ダイ110で生成される熱を放散するヒートシンクとして機能することができる。熱は、比較的高い電流密度が、例えば、単位セルトランジスタ116のチャネル領域において生成される、RF増幅器ダイ110の上部において主に生成される。この熱は、ソースビア166および半導体層構造130の両方を通って金属フランジ176に伝達され得る。
【0034】
図5は、従来のHEMTデバイス1000の側断面図である。例えば、
図5は、単位セルトランジスタ116によって概略が示された
図4Bの断面とすることができる。III族窒化物半導体HEMT用の半導体構造などの半導体構造1090は、SiまたはSiC基板、さらにはサファイア基板などの基板1022上に形成されてもよい。基板1022は、例えば4Hポリタイプの炭化ケイ素であってもよい半絶縁性SiC基板であってもよい。他の炭化ケイ素候補のポリタイプとしては、3C、6H、および15Rポリタイプが挙げられる。基板は、Cree,Inc.から入手可能な高純度半絶縁性(HPSI)基板であってもよい。「半絶縁性」という用語は、絶対的な意味ではなく、本明細書では記述的に使用される。
【0035】
本発明の一部の実施形態では、基板1022のSiまたはSiCバルク結晶は、室温で約1×105Ωcm以上の抵抗率を有することがある。本発明の一部の実施形態において使用されることがある例示的なSi基板またはSiC基板は、例えば、本発明の譲受人である、Durham,N.C.のCree,Inc.によって製造されている。このような基板を製造する方法は、例えば、米国特許第Re.34,861号、米国特許第4,946,547号、米国特許第5,200,022号、および米国特許第6,218,680号に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。基板材料としてSiまたはSiCを使用することができるが、本出願の実施形態は、任意の適切な基板を利用することができる。基板1022は、SiまたはSiCウエハとすることができ、HEMTデバイス1000は、少なくとも部分的に、ウエハレベル処理を介して形成することができ、その後、ウエハは、ダイシングされ、複数の個々のHEMT1000を提供することができる。
【0036】
図5に示すように、基板1022の上面1022Bにはチャネル層1024が形成され、チャネル層1024の上面にはバリア層1026が形成されている。チャネル層1024およびバリア層1026は、一部の実施形態では、それぞれエピタキシャル成長によって形成することができる。第III族窒化物のエピタキシャル成長のための技術は、例えば、米国特許第5,210,051号、米国特許第5,393,993号、および米国特許第5,523,589号に記載されており、これらの開示も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。チャネル層1024およびバリア層1026は、III族窒化物ベースの材料を含むことができる。
【0037】
特に、一実施形態では、チャネル層1024は、GaNで形成されてもよく、バリア層1026は、AlGaNで形成されてもよい。本明細書で使用される場合、AlGaNは、式AlxGa1-xN(0≦x<1)の省略形であり、合金中のAlの濃度が変化し得ることを意味する。AlGaNの層は、格子中のAl原子の濃度が深さの関数として変化するように傾斜させることもできる。
【0038】
GaN層1024とAlGaN層1026のヘテロ接合では、バンドギャップがより高いAlGaNとGaNとの間のバンドギャップエネルギーの差により、より高い電子親和力を有する、バンドギャップがより小さいGaN層1024内に二次元電子ガス(2DEG)1025が生成される。2DEG1025は、非常に高い電子濃度を有する。加えて、AlGaN層1026内のAl含有量は、界面に圧電電荷を生成し、電子をGaN層1024内の2DEG1025に移動させ、高い電子移動度を可能にする。例えば、AlGaN/GaN HEMTの2DEG1025のシート密度は、1013cm-2を超えることができる。2DEG1025における高いキャリア濃度および高い電子移動度により、大きな相互コンダクタンスが生成され、高周波においてHEMTの高い性能がもたらされる。よく知られているように、HEMTでは、2DEG1025の相互コンダクタンスは、ゲート端子1010に印加される電圧によって制御される。
【0039】
半導体構造1090は、例示の目的でチャネル層1024およびバリア層1026とともに示されているが、半導体構造1090は、チャネル層1024と基板1022との間のバッファおよび/または核形成層、ならびに/あるいはバリア層1026上のキャップ層などの追加の層/構造/要素を含むことができる。基板、チャネル層、バリア層、および他の層を含む高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造は、一例として、米国特許第5,192,987号、米国特許第5,296,395号、米国特許第6,316,793号、米国特許第6,548,333号、米国特許第7,544,963号、米国特許第7,548,112号、米国特許第7,592,211号、米国特許第7,615,774号、および米国特許第7,709,269号に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、AlNバッファ層を基板1022の上面1022Bに形成して、SiC基板1022とHEMTデバイス1000の残りの部分との間に適切な結晶構造遷移を設けることができる。加えて、歪み平衡遷移層もまた、および/または代替として、例えば、同一出願人による米国特許第7,030,428号に記載されるように設けることができ、その開示は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。任意選択のバッファ/核形成/遷移層は、MOCVD、MBE、および/またはHVPEによって堆積させることができる。
【0040】
ソースコンタクト1015およびドレインコンタクト1005は、バリア層1026の上面1026Aに形成することができ、互いに横方向に間隔を空けて配置することができる。ゲートコンタクト1010は、ソースコンタクト1015とドレインコンタクト1005との間のバリア層1026の上面1026Aに形成することができる。ゲートコンタクト1010の材料は、バリア層1026の組成に基づいて選択することができ、一部の実施形態では、ショットキーコンタクトであってもよい。
【0041】
ソースコンタクト1015は、例えば接地電圧などの基準信号に結合することができる。基準信号への結合は、基板1022の下面1022Aから基板1022を貫いてバリア層の上面1026Aまで延在するビア1025によって提供することができる。ビア1025は、ソースコンタクト1015のオーミック部分1015Aの底面を露出させることができる。バックメタル層1035は、基板1022の下面1022Aおよびビア1025の側壁に形成することができる。バックメタル層1035は、ソースコンタクト1015のオーミック部分1015Aに直接接触することができる。バックメタル層1035およびこれに結合された信号は、ソースコンタクト1015に電気的に接続することができる。
【0042】
HEMTデバイス1000は、第1の絶縁層1050および第2の絶縁層1055を含むことができる。第1の絶縁層1050は、半導体構造1090の上面に直接接触する(例えば、バリア層1026の上面1026Aに接触する)ことができる。第2の絶縁層1055は、第1の絶縁層1050上に形成することができる。一部の実施形態では、3つ以上の絶縁層を含むことができることも理解されるであろう。第1の絶縁層1050および第2の絶縁層1055は、HEMTデバイス1000のパッシベーション層として機能することができる。
【0043】
ソースコンタクト1015、ドレインコンタクト1005、およびゲートコンタクト1010は、第1の絶縁層1050内に形成することができる。一部の実施形態では、ゲートコンタクト1010の少なくとも一部は、第1の絶縁層上にあってもよい。一部の実施形態では、ゲートコンタクト1010は、T字形ゲートおよび/またはガンマゲートとして形成することができ、その形成は、一例として、米国特許第8,049,252号、米国特許第7,045,404号、および米国特許第8,120,064号に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。第2の絶縁層1055は、第1の絶縁層1050上と、ドレインコンタクト1005、ゲートコンタクト1010、およびソースコンタクト1015の一部の上に形成されてもよい。
【0044】
一部の実施形態では、フィールドプレート1060を第2の絶縁層1055上に形成することができる。フィールドプレート1060の少なくとも一部は、ゲートコンタクト1010上にあってもよい。フィールドプレート1060の少なくとも一部は、ゲートコンタクト1010とドレインコンタクト1005との間にある第2の絶縁層1055の一部の上にあってもよい。フィールドプレートおよびフィールドプレートを形成するための技術は、一例として、米国特許第8,120,064号で検討されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
フィールドプレート1060は、高電界動作の下での電界効果トランジスタ(FET)デバイスの性能を向上させるための既知の技術である。フィールドプレート1060は、FETの通常の動作中にゲート-ドレインアクセス領域に生じる大きな電界に対処する。高電界で動作するデバイスは、絶縁破壊電圧、トラッピング効果、信頼性の低下を被ることが知られているが、これらのすべては、フィールドプレート1060によって少なくとも部分的に緩和される。
【0046】
フィールドプレーティング(Field plating)は、FETデバイスの活性領域の垂直方向の空乏化に依存しており、これにより、水平方向の空乏化領域をより大きく広げることができる。これにより、所与のバイアス電圧に対してデバイス活性領域の電界が低くなり、高電界でFETデバイスを動作させることによる有害な影響の少なくとも一部が緩和される。加えて、ゲートドレインアクセス領域に配置されたフィールドプレート1060は、デバイス活性領域を変調する追加の能力を有する。これは、大きなRF信号の下でFETデバイスの動作を損なう表面トラップ効果を減じる。FETデバイス上、特にIII族窒化物HEMTデバイス上にフィールドプレートを製造する方法は、米国特許第7,812,369号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
米国特許第7,812,369号は、III族窒化物HEMT1000のバリア層1026から絶縁され、ゲート端子1010に少なくとも部分的に重なり、ゲート端子1010からドレイン端子1005までの距離の一部(しかし、全部ではない)にわたって延在する、フィールドプレート1060と同様のフィールドプレートの形成について記載している。フィールドプレート1060は、ソース端子1015に電気的に接続されてもよい。この構成により、HEMTデバイス1000内のピーク電界が低減され、その結果、絶縁破壊電圧が上昇し、トラッピングが低減され、リーク電流が低減され、信頼性が向上する。さらに、ソース接続されたフィールドプレート1060のシールド効果は、ゲート-ドレイン間容量Cgdを低減し、これにより、入力-出力間分離が強化される。
【0048】
金属コンタクト1065は、第2の絶縁層1055内に配置することができる。金属コンタクト1065は、ドレインコンタクト1005、ゲートコンタクト1010、およびソースコンタクト1015と、HEMTデバイス1000の他の部分との間の相互接続を提供することができる。金属コンタクト1065のそれぞれは、ドレインコンタクト1005および/またはソースコンタクト1015のそれぞれに直接接触することができる。
【0049】
図6は、
図4Aを参照して上述したRFトランジスタ増幅器と同様の従来のパッケージングされたIII族窒化物ベースのRFトランジスタ増幅器100’の側断面図である。RFトランジスタ増幅器100’は、異なるパッケージ170’を含むという点でRFトランジスタ増幅器100とは異なる。パッケージ170’は、金属サブマウント176(金属ヒートシンクとして機能し、金属スラグとして実装することができる)、ならびにゲートリード172’およびドレインリード174’を含む。一部の実施形態では、金属サブマウント176ならびに/またはゲートリード172’およびドレインリード174’を提供するように処理された金属リードフレームが形成されてもよい。RFトランジスタ増幅器100’は、RFトランジスタ増幅器ダイ110、リード172’、174’、および金属サブマウント176を少なくとも部分的に取り囲むプラスチックオーバモールド178’も含む。プラスチックオーバモールド178’は、RFトランジスタ増幅器100に含まれるセラミック側壁および蓋178に取って代わるものである。
【0050】
実施形態によっては、パッケージングされたRFトランジスタ増幅器100’は、例えば、RFトランジスタ増幅器ダイ110としてモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)を含むことができ、この場合、RFトランジスタ増幅器ダイ110は、複数のディスクリートデバイスを組み込む。RFトランジスタ増幅器ダイ110がMMIC実施態様である場合、入力整合回路190および/または出力整合回路192は、省略されてもよく(それらは代わりにRFトランジスタ増幅器ダイ110内に実装されてもよいため)、ボンドワイヤ182および/または185は、ゲートおよびドレインリード172’、174’からゲートおよびドレイン端子142、144に直接延在してもよい。一部の実施形態では、パッケージングされたRFトランジスタ増幅器100’は、直列に接続されて多段RFトランジスタ増幅器を形成する複数のRFトランジスタ増幅器ダイを含むことができ、および/または、複数の経路に(例えば、並列に)配置されて、ドハティ増幅器構成などの複数のRFトランジスタ増幅器ダイおよび複数の経路を有するRFトランジスタ増幅器を形成する複数のトランジスタダイを含むことができる。
【0051】
他の場合には、III族窒化物ベースのRF増幅器は、1つまたは複数のRF増幅器ダイが、それらの関連付けされたインピーダンス整合回路とともに実装されたMMICデバイスとして実装されてもよく、インピーダンス整合回路は、単一の集積回路ダイにおいて、多段デカップリングネットワークおよび/または高調波終端回路を含んでもよい。このようなIII族窒化物ベースのRF増幅器の実施形態は、例えば、米国特許第9,947,616号に開示されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
図7は、熱的に強化された集積回路デバイスパッケージ、より具体的にはT3PACパッケージ100’’の一例を示す断面図である。
図7のT3PACパッケージ100’’は、ベース176’’と、蓋部材178’’および側壁部材を有する上部ハウジングとを含むセラミックベースのパッケージとすることができる。蓋部材178’’および側壁は、同様に、導電性ベースまたはフランジ176’’上の増幅器ダイ110を取り囲む開放キャビティを画定し、フランジ176’’は、同様に、熱をパッケージ100’’の外側に放散または他の方法で伝達するための取り付け面および熱伝導性(例えば、ヒートシンク)の両方を提供する。
【0053】
フランジ176’’は、導電性材料、例えば、銅層/積層体またはその合金もしくは金属-マトリックス複合体とすることができる。一部の実施形態では、フランジ176’’は、銅-モリブデン(CuMo)層、CPC(Cu/MoCu/Cu)、もしくは銅-タングステンCuWなどの他の銅合金、および/または他の積層/多層構造を含むことができる。
図7の例では、フランジ176’’は、側壁および/または蓋部材178’’が、例えば導電性接着剤によって取り付けられた銅-モリブデン(RCM60)ベースの構造として示されている。
【0054】
フランジ176’’はまた、パッケージ100’’のためのソースリードを提供する。ゲートリードおよびドレインリードは、フランジ176’’に取り付けられた、側壁部材によって支持されたそれぞれの導電性配線構造によって提供される。
【0055】
モバイル無線通信ネットワークは、ビデオストリーミングなどのデータ集約型アプリケーションを満足させるために、高いデータレートをサポートしなければならない。高いデータ レートは、帯域幅全体にわたって線形に動作するRF電力増幅器を必要とするより広いスペクトルの広帯域通信システムを使用することによって達成される。このようなRF電力増幅器が動作しなければならない代表的な周波数には、Rバンド(0.5~1GHz)、Sバンド(3GHz)、Xバンド(10GHz)、Kuバンド(12~18GHz)、Kバンド(18~27GHz)、Kaバンド(27~40GHz)、およびVバンド(40~75GHz)が含まれる。一般に、現在、例えば500MHz以上(マイクロ波周波数を含む)で高い線形性を有するRFトランジスタ増幅器に対する高い需要がある。これらのRFトランジスタ増幅器は、高い信頼性、良好な線形性を示し、高い出力電力レベルを処理しなければならない。
【0056】
上述したように、情報を少なくとも部分的に信号振幅に変調するRF変調方式により、ドハティ電力増幅器は、スマートフォンとそれらを支える基地局の両方におけるRF増幅器ための一般的なアーキテクチャとして出現した。
【0057】
図1を参照すると、ドハティ増幅器10は、異なるクラスで動作するように第1(主)および第2(補助)の増幅器(18a、18b)にバイアスをかけることによって動作する。したがって、バイアス電圧回路(
図1には図示せず)が、各増幅器18a、18bの入力および出力に接続されている。増幅器デバイス18a、18bの特性インピーダンスをシステムまたは伝送線路のインピーダンス(典型的には50Ω)に整合させるために、インピーダンス整合ネットワーク16a、20a、16b、20bが、多くの場合、両方の増幅器デバイス18a、18bの入力(ゲート)および出力(ドレイン)の両方に追加されている。上述したように、インピーダンス整合ネットワーク16a、20a、16b、20bは、高調波終端回路をさらに含むことができ、以下でさらに説明するように、これらは、多段デカップリングネットワークをさらに含むことができる。
【0058】
図3Bに示すように、デカップリングコンデンサC
DCは、典型的には、増幅回路パッケージの外部で、シャント構成で接続されている。シャントコンデンサは、特性周波数において信号接地への低インピーダンス経路を提供する。したがって、デカップリングコンデンサは、典型的には、例えば、電源からの望ましくないスイッチングノイズを接地にシャントするために使用され、増幅回路の線形性を改善する。単一のデカップリングコンデンサを、例えば増幅器18の出力インピーダンス整合ネットワーク20にも使用して、選択された周波数において信号接地への低インピーダンス経路を同様に提供することができる。一般に、デカップリングコンデンサは、出力信号の、その動作帯域を下回る低周波部分(例えば、ストリーミングビデオコンテンツを搬送するために使用される周波数を下回る周波数)を信号接地にシャントするように設計される。
【0059】
しかしながら、増幅回路は、より広い帯域幅にわたって動作するため、単一のデカップリングコンデンサでは、所望の周波数範囲全体にわたって接地への所望の低インピーダンス経路を提供することができない。
図8は、1MHz~1GHzの周波数範囲にわたって増幅回路のインピーダンスをプロットしている。単一のデカップリングコンデンサは、最初の10MHzにわたってのみインピーダンスを低減するように動作する。10MHzからほぼ1GHzまで、インピーダンスは大幅に増加する。比較的低周波の帯域全体にわたって低インピーダンスを維持するために、多段デカップリングネットワークが、増幅回路の入力および出力インピーダンス整合ネットワークの一方または両方に追加される。
図8が示すように、この結果、例えばほぼ1GHzまでの周波数帯域全体にわたって低インピーダンスが持続することになる。多段デカップリングネットワークは、2つ以上のデカップリング段を備え、各段は、異なる周波数においてインピーダンスを低減するように構成されているが、そのいずれも低周波範囲全体にわたるものではない。各デカップリング段を異なる周波数において共振するように調整することによって、多段デカップリングネットワークは、
図8のプロットが示すように、広い周波数帯域にわたってインピーダンスの低減を達成する。
【0060】
図9は、入力インピーダンス整合回路16および出力インピーダンス整合回路20の両方を有するRF電力増幅器18を収容する電子回路パッケージを示す。各インピーダンス整合回路16、20は、2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを含む。各デカップリング段は、抵抗R
DCx、インダクタンスL
DCx、およびキャパシタンスC
DCx(x=1,2,.,nまたはx=1,2,.,m)を備え、各多段デカップリングネットワークは、異なる数の段を備えることができる。
図9に示すデカップリング段(本明細書では「タイプ1」デカップリング段と呼ぶ)では、抵抗R
DCxとインダクタンスL
DCxが直列に接続され、キャパシタンスC
DCxがRF信号接地にシャントで接続される。個々のデカップリング段は、互いに直列に接続されている。各デカップリング段の部品値は、特性周波数において共振を達成し、したがって低インピーダンスを達成するように選択される。この周波数は、多段デカップリングネットワークのデカップリング段ごとに異なるように選択される。このような各共振周波数は、増幅器18の動作範囲を下回る。段の数および各段の共振周波数を適切に選択することによって、RF信号接地に対する一貫した低インピーダンスが、増幅器18の低周波動作帯域全体にわたって達成される。
【0061】
図10も、入力および出力インピーダンス整合回路16、20の両方を有するRF電力増幅器18を収容する電子回路パッケージを示し、各インピーダンス整合回路16、20は、2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを含む。
図9と同様に、各デカップリング段は、抵抗R
DCx、インダクタンスL
DCx、およびキャパシタンスC
DCx(x=1,2,.,nまたはx=1,2,.,m)を備える。しかしながら、「タイプ2」デカップリング段と呼ばれる本実施形態では、抵抗R
DCx、インダクタンスL
DCx、およびキャパシタンスC
DCxがすべて直列に接続されている。各デカップリング段は、多段デカップリングネットワークにおいてシャント構成で接続されている。
【0062】
タイプ1およびタイプ2のデカップリング段のそれぞれは、増幅器18の設計動作帯域を下回る特性周波数において共振するように、したがって、その周波数でおよびその周波数の近傍でインピーダンスを低減するように構成することができる。タイプ1またはタイプ2のどちらのデカップリング段が採用されるかは、実施態様に依存する場合がある。例えば、シリコン集積受動デバイス(IPD)またはガラスIPDでは、どちらか一方の方が実装し易い場合がある。実際には、
図11に示すように、これらのデカップリング段は同じパッケージ上で使用されてもよい。
図11は、入力インピーダンス整合回路16と一体化されたタイプ1のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークと、出力インピーダンス整合回路20と一体化されたタイプ2のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークとを示す。ここでも、各多段デカップリングネットワークは、同じまたは異なる数(すなわち、m=nまたはm≠n)の段を備えることができる。
【0063】
ゲートおよびドレインバイアス電圧の取り付け点にも留意されたい。
図9および
図10では、ゲートバイアス電圧およびドレインバイアス電圧は両方とも、それぞれのインピーダンス整合ネットワークと多段デカップリングネットワークとの間のノードに取り付けられている。しかしながら、これは本発明の実施形態の限定ではない。
図11は、入力インピーダンス整合ネットワーク16と一体化された多段デカップリングネットワークの外側ノードに接続されたゲートバイアス電圧を示す。ドレインバイアス電圧は、多段デカップリングネットワークの中間のノードに接続し、すなわち、出力インピーダンス整合ネットワークおよび少なくとも1つのデカップリング段が、増幅回路ドレイン端子とバイアス電圧コネクタとの間に介在している。一般に、バイアス電圧コネクタは、多段デカップリングネットワークに沿った任意の点に接続することができる。
【0064】
図12は、第1のまたは主増幅器18aと第2のまたは補助増幅器18bとを備えるドハティRF電力増幅器を収容する電子回路パッケージを示す。増幅器18a、18bは、異なるクラスにバイアスされており、それに応じて、それぞれが異なるゲートおよびドレインバイアス回路を有する。両方の増幅器は、入力インピーダンス整合回路16a、16bおよび出力インピーダンス整合回路20a、20bも含む。各インピーダンス整合回路16a、16b、20a、20bは、本実施形態ではすべてタイプ1のデカップリング段である2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを含むが、多段デカップリングネットワークは異なる数の段を有してもよい。増幅器18a、18bの出力は、インピーダンスインバータ22(
図1参照)によってオフパッケージで接続される。各多段デカップリングネットワーク内で、部品値R
DCx、L
DCx、およびC
DCxは、ドハティRF増幅器の動作帯域を下回る異なる特性共振周波数を達成するように選択される。
【0065】
図13は、異なるドハティRF電力増幅器を収容する電子回路パッケージを示し、やはり第1のまたは主増幅器18aおよび第2のまたは補助増幅器18bを備える。各増幅器18a、18bは、入力および出力インピーダンス整合回路16a、20a、16b、20bの両方を含む。これらのインピーダンス整合回路のうちの3つ、16a、20a、16bは、多段デカップリングネットワークを含む。しかしながら、第2の増幅器18bの出力インピーダンス整合回路20bは、単一のタイプ2のデカップリング段のみを含む。これにより、値R
DC1、L
DC1、およびC
DC1によって決まる特性周波数において、増幅器18bから見たインピーダンスは低減するが、低インピーダンス化は、低周波帯域幅全体には(すなわち、増幅器動作帯域までは)広がらない。
図8を参照されたい。一般に、多段デカップリングネットワークは、パッケージ上のインピーダンス整合ネットワーク16a、20a、16b、20bのすべてではないが1つまたは複数に含まれてもよい。
【0066】
本実施形態では、第1および第2の増幅器18a、18bのゲートノードは、独立したゲートバイアス電圧回路によって別々にバイアスされる。しかしながら、ドレインバイアス電圧は、オンパッケージで接続されている。一般に、任意の数の増幅回路は、独立したバイアス電圧給電を有することができ、または任意の組合せでバイアス電圧を共有することができる。
【0067】
最後に、バイアス電圧は、インピーダンス整合回路16b、20a、および20bに直接接続しているが、第1の増幅器18aの入力におけるゲートバイアス電圧は、多段デカップリングネットワークの2つのデカップリング段の間に接続していることに留意されたい。一般に、上述したように、バイアス電圧接続は、多段デカップリングネットワークに隣接するか、またはそれに沿った任意の場所で行うことができる。
【0068】
図14は、ドハティRF電力増幅器を収容する電子回路パッケージを示し、第1の増幅器18aの入力インピーダンス整合ネットワーク16aは、単一のタイプ1のデカップリング段を含む。他のすべてのインピーダンス整合ネットワーク20a、16b、20bは、少なくとも2つのタイプ1のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを含み、各段は、増幅器の動作帯域を下回る異なる周波数において共振するように調整されている。加えて、第1の増幅器18aおよび第2の増幅器18bは、独立したゲートバイアス電圧回路を有するが、出力インピーダンス整合ネットワーク20a、20bのオンパッケージ接続のために、同じドレインバイアス電圧を共有していることに留意されたい。
【0069】
図に示される多数の異なる構成、オプション、およびトポロジは、電子回路パッケージにパッケージングされた増幅器、特にドハティ増幅器の線形性の必要性を満たすための本発明の実施形態の柔軟性を示す。展開される多段デカップリングネットワークの数、それぞれのデカップリング段の数、デカップリング段のトポロジ(例えば、タイプ1またはタイプ2)、各デカップリング段の部品の値(したがって、それぞれの特性共振周波数)、バイアス電圧接続の位置、およびバイアス電圧が共有されるかどうかは、すべて、任意の特定のアプリケーションの低周波インピーダンスの必要性を満たすために当業者が利用することができる自由度である。これらの様々なパラメータの選択および最適化は、本開示の教示を考慮すれば、過度の実験を行うことなく、十分に当業者の技術の範囲内である。
【0070】
図8が示すように、パッケージングされたドハティ増幅器の低周波性能、したがって線形性は、本明細書に記載されるように、1つまたは複数の多段デカップリングネットワークを採用することによって大幅に向上する可能性がある。一般に、1つのデカップリング段のみの使用では、広域のスペクトル、例えば1MHz~1GHzにわたって必要な低インピーダンス化を実現するには不十分な場合がある。
【0071】
1つの非限定的な例として、Rバンド以上、すなわち約500MHz以上で動作する増幅回路を考える。入力および出力インピーダンス整合回路の一方または両方に3段のデカップリングネットワークが必要な場合がある。最小のL-C値を有する部品を備える第1のデカップリング段は、100MHz~300MHzの範囲で共振し、その周波数範囲の信号成分に対して低インピーダンス経路を提供することができる。より大きなL-C値を有する部品を備える第2のデカップリング段は、1MHz~30MHzの範囲で共振する(したがって、信号成分を抑制する)ことができる。最後に、最大のL-C値を有する第3のデカップリング段は、100KHz~900KHzの範囲で共振することができる。3つすべてのデカップリング段を組み合わせることで、100KHz~300MHzの範囲にわたる信号成分に対してRF信号接地への低インピーダンス経路を提供することができ、単一のデカップリングコンデンサを用いて、または任意の単一のデカップリング段によって達成され得るよりもはるかに広い周波数帯域を抑制することができる。当業者は、本開示の教示を考慮すれば、任意の特定の増幅回路の動作帯域を下回る周波数にわたって信号成分を抑制するのに適切なデカップリング段の数および各段の部品値(したがって、共振周波数範囲)を容易に確かめることができる。
【0072】
図15は、1つまたは複数の高周波(RF)電力増幅回路を収容する電子回路パッケージを製造する方法50のステップを示す。ソース、ゲート、およびドレイン端子を有する少なくとも第1のRF増幅回路が設けられ、ソース端子はRF信号接地に接続される(ブロック52)。第1のRF入力コネクタは、第1の増幅回路のゲート端子に接続される(ブロック54)。第1のRF出力コネクタは、第1の増幅回路のドレイン端子に接続される(ブロック56)。第1の入力インピーダンス整合ネットワークが第1の増幅回路のゲート端子に接続される(ブロック58)、および第1の出力インピーダンス整合ネットワークが第1の増幅回路のドレイン端子に接続される(ブロック60)のうちの少なくとも1つを行う。少なくとも1つの第1のインピーダンス整合ネットワークは、2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークを備える(ブロック62)。多段デカップリングネットワークの各デカップリング段は、増幅器の動作帯域を下回る異なる周波数においてインピーダンスを低減するように構成される。
【0073】
本発明の実施形態は、従来技術に勝る多数の利点を提示する。2つ以上のデカップリング段を備える多段デカップリングネットワークでは、各デカップリング段は、異なる周波数において共振するように調整することができ、すべての共振周波数は、増幅回路の動作帯域を下回る。これにより、1MHz~1GHzなどの広い低周波範囲にわたって、増幅回路から見たインピーダンスを低減することが可能になる。これは、高解像度ビデオをストリーミングするときなど、現代の無線通信機器に必要な広域のスペクトルにわたって増幅器の線形性を向上させる。
【0074】
一般に、本明細書で使用されるすべての用語は、異なる意味が明確に与えられない限り、および/またはその用語が使用される文脈から暗示されない限り、関連する技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「ように構成される」という用語は、特定の仕方で動作するように設定され、編成され、適合され、または配置されることを意味し、この用語は、「ように設計される」と同義である。本明細書で使用される場合、「約」、「実質的に」などの用語は、機械的公差、測定誤差、ランダムな変動、および同様の不正確さの原因を包含し、説明する。要素、装置、構成要素、手段、ステップなどへのすべての言及は、明示的に別段の定めがない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを指すものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、あるステップが別のステップに続くまたは先行するものとして明示的に記載されない限り、および/あるいはあるステップが別のステップに続くまたは先行しなければならないことが暗黙的である場合、開示される正確な順序で行われる必要はない。本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかの任意の特徴は、適切な場合はいつでも、任意の他の実施形態に適用されてもよい。同様に、実施形態のうちのいずれかの任意の利点は、任意の他の実施形態に適用されてもよく、その逆もまた同様である。同封の実施形態の他の目的、特徴、および利点は、本明細書から明らかになるであろう。
【0075】
本発明は、当然ながら、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載されたもの以外の仕方で実行されてもよい。本実施形態は、すべての点で例示的であって限定的ではないと考えられるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味および均等物の範囲内に入るすべての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。