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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ドローン防護システム
(51)【国際特許分類】
   B64D 45/02 20060101AFI20241120BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20241120BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20241120BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241120BHJP
   B64U 20/75 20230101ALI20241120BHJP
【FI】
B64D45/02
B64C39/02
B64C27/08
B64U10/13
B64U20/75
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023554105
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2021037542
(87)【国際公開番号】W WO2023062675
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】荒井 稔登
(72)【発明者】
【氏名】枡田 俊久
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雅人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 潤
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0161204(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0033625(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/02
B64C 39/02
B64C 27/08
B64U 10/13
B64U 20/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雷撃からドローンを防護するドローン防護システムにおいて、
ドローンを囲うファラデーケージと、
前記ファラデーケージに接続する端部が前記ファラデーケージとの接続を維持しつつ前記ファラデーケージ上で移動可能なワイヤと、
を備えるドローン防護システム。
【請求項2】
前記ファラデーケージは、外側に溝を有する線状導体であり、
前記端部は、
前記溝に填まる形状を備える請求項1に記載のドローン防護システム。
【請求項3】
前記溝は、
逆さT状の断面形状を備える請求項2に記載のドローン防護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン防護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
雷撃からドローンを防護する技術が知られている。例えば、ドローンにファラデーケージを装着してドローン全体を囲い、そのファラデーケージをワイヤで大地に接地させることで、雷撃によるドローンの墜落を防止する技術がある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】枡田、外3名、“ドローンの耐雷性向上に関する基礎的検討”、2021年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会、2021年9月14日~17日オンライン、通信講演論文集1、B-4-6、p.179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ファラデーケージとワイヤとの接続が一点で固定されているため、ドローンの移動可能範囲が狭くなるという課題があった。複数のドローン間(複数のファラデーケージ間)をワイヤで接続する場合も、同様の理由でドローンの移動可能範囲が狭くなる。
【0005】
また、ワイヤがピンと張った場合には、ワイヤの張力によりファラデーケージが傾斜し、ドローンも傾斜するため、ドローン機体を水平に安定させることが難しいという課題もあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ドローンを水平に保持可能であり、かつ、ドローンの移動可能範囲を拡張可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のドローン防護システムは、雷撃からドローンを防護するドローン防護システムにおいて、ドローンを囲うファラデーケージと、前記ファラデーケージに接続する端部が前記ファラデーケージとの接続を維持しつつ前記ファラデーケージ上で移動可能なワイヤと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドローンを水平に保持可能であり、かつ、ドローンの移動可能範囲を拡張可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ドローンを含むファラデーケージの構造例を示す図である。
図2図2は、ワイヤの構造例を示す図である。
図3図3は、ファラデーケージとワイヤとの接続状態を示す図である。
図4図4は、ドローン防護システムの使用例を示す図である。
図5図5は、ドローン防護システムの使用例を示す図である。
図6図6は、ドローン防護システムの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0011】
[発明の概要]
本発明は、ドローンに装着するファラデーケージの形状を工夫し、更にドローン間又はドローンとドローン以外の物体(大地や大地に接続された接地極等)との間を接続するワイヤの端部(ファラデーケージに接続する部分)の形状を工夫することで、上記課題を解決する。
【0012】
具体的には、本発明は、ワイヤの端部をファラデーケージとの接続を維持しつつファラデーケージ上で移動可能にする。例えば、ファラデーケージの外側表面にレール状の溝を具備し、ワイヤの端部を当該溝に填まる形状にする。
【0013】
[ドローン防護システムの構成]
本実施形態に係るドローン防護システムは、雷撃からドローンを防護するドローン防護システムである。ドローン防護システムは、ファラデーケージと、ワイヤと、を備える。
【0014】
図1は、ファラデーケージ1の構造例を示す図である。ファラデーケージ1は、図1に示したように、ドローン2を内側に装着し、ドローン2の全体を囲い、アルミニウムや銅等の導電性材料からなる導体である。
【0015】
本実施形態に係るファラデーケージ1は、径が同じ輪状の3つの線状導体11を格子状に組み、全体形状を球体とした構造を備える。各線状導体11の外側表面には、逆さT状の断面形状を備えるレール状の溝12を有する。
【0016】
溝12を有する方法としては、図1の下側に示したように線状導体11の外側表面に当該溝を直接形成することで実現してもよいし、線状導体11の外側表面に対して当該溝を具備する導電性材料の構造物を付加することで実現してもよい。
【0017】
また、図1では、ファラデーケージ1の構造の視認性を考慮して、径が同じ輪状の線状導体11を3つ用いた場合を示したが、径が次第に小さくなる複数の線状導体を更に組んで、線状導体の密度を高めてもよい。また、矩形の線状導体を格子状に組んで、ファラデーケージ1の全体形状を立方体としてもよい。つまり、既存の又は将来開発される任意のファラデーケージに適用可能である。
【0018】
図2は、ワイヤ3の構造例を示す図である。本実施形態に係るワイヤ3は、1つのワイヤ部31と、ワイヤ部31をファラデーケージ1に接続する2つの接続部32(端部)と、を備える。
【0019】
ワイヤ部31は、アルミニウムや銅等の導電性材料からなる線状導体である。
【0020】
2つの接続部32は、ワイヤ部31の備える2つの端部(線状導体の両端部)にそれぞれ具備され、ファラデーケージ1との接続を維持しつつ、ファラデーケージ1上で移動可能な構造を備える。具体的には、接続部32は、ファラデーケージ1の備える逆さT状の溝12に填まる形状を備える。例えば、接続部32は、図2に示したようなH状の断面形状、又は図示しないT状の断面形状を備える。
【0021】
つまり、接続部32は、ファラデーケージ1の溝12に填まるT状の突起部321を備える。突起部321の最も太い部分321aは、逆さT状の溝12の最も細い部分(Tの「I」の部分)よりも太く、逆さT状の溝12の最も太い部分(Tの「-」の部分)よりも細い。また、突起部321の最も細い部分321bは、逆さT状の溝12の最も細い部分よりも細い。
【0022】
なお、接続部32は、アルミニウムや銅等の導電性材料で構成してもよいし、プラスチック等の絶縁物で構成してもよい。絶縁物で構成してもよい理由は、雷は一般に高電圧であるため、短長な絶縁物で接続部32を構成しても電流が通過するためである。
【0023】
図3は、ファラデーケージ1とワイヤ3との接続例を示す図である。ファラデーケージ1の外側に具備する逆さT状の溝12に対して、ワイヤ3の接続部32を填める。ワイヤ3の接続部32は、ファラデーケージ1の溝12に沿って移動可能となる。それゆえ、ドローン2が移動すると、それに連動してファラデーケージ1とワイヤ3との接続部分(接続位置)が移動する。
【0024】
例えば、図4に示すように、2つのドローン2a、2bに係る2つのファラデーケージ1a、1b同士を1つのワイヤ3で接続した場合、一方のドローン2aが右回転すると、ワイヤ3はファラデーケージ1aの水平方向の線状導体11aの溝に沿ってスライドする。
【0025】
例えば、図5に示すように、3つのドローン2a、2b、2cに係る3つのファラデーケージ1a、1b、1c同士を3つのワイヤ3a、3b、3cで接続した場合、1つのドローン2aが上回転すると、ワイヤ3aは、ファラデーケージ1aの垂直方向の線状導体11bの溝に沿ってスライドする。
【0026】
例えば、図6に示すように、ドローン2のファラデーケージ1をワイヤ3で大地4に接続した場合、そのドローン2が前進すると、ワイヤ3は、ファラデーケージ1の垂直方向の線状導体11bの溝に沿ってスライドする。
【0027】
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、ワイヤ3の端部をファラデーケージ1との接続を維持しつつファラデーケージ1上で移動可能にすること、つまり、ドローン2を雷撃から防護するためのファラデーケージ1の外側にレール状の溝12を具備させ、ドローン2間又はドローン2とドローン以外の物体(大地4等)との間を接続するワイヤ3に当該溝12に填まる突起のついた接続部32を具備させるので、ドローン2の移動に応じてファラデーケージ1とワイヤ3との接続部分(接続位置)が移動することから、ワイヤ3がピンと張った場合でもドローン機体を水平に保つことが容易になり、ドローン2が落下する可能性を低減することができる。また、同様の理由でドローン2の移動可能範囲を広げることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 :ファラデーケージ
11 :線状導体
12 :溝
2 :ドローン
3 :ワイヤ
31 :ワイヤ部
32 :接続部
321:突起部
4 :大地
図1
図2
図3
図4
図5
図6