(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】接続異常検出装置及び分電盤接続異常検出システム
(51)【国際特許分類】
H02H 7/26 20060101AFI20241120BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02H7/26 D
H02B1/40 A
(21)【出願番号】P 2020169314
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000116622
【氏名又は名称】愛知県
(73)【特許権者】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】竹中 清人
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸男
(72)【発明者】
【氏名】林 文移
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/221493(WO,A1)
【文献】特開2015-145847(JP,A)
【文献】特開2019-184480(JP,A)
【文献】特開2013-251981(JP,A)
【文献】特開2018-132382(JP,A)
【文献】特開2016-151514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0316804(US,A1)
【文献】国際公開第2019/075217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/26,3/00
H02B 1/40
H02J 1/00
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電路の接続部に接続異常が発生したら、それに伴い発生する放電を検知して接続異常の発生を判断する接続異常検出装置であって、
電路上に配置されて、電路に発生する電磁ノイズを検出し、その周波数スペクトル情報を出力するノイズ計測部と、
計測した前記周波数スペクトル情報から、前記放電に伴う電磁ノイズを検出して接続異常の発生を判断する異常判断部とを有し、
前記異常判断部は、
特定の周波数を境に低周波領域と高周波領域とに2分割し、双方の周波数領域において、電磁ノイズの計測値が所定の閾値を超えたら接続異常発生と判断することを特徴とする接続異常検出装置。
【請求項2】
周波数帯を2分割する前記特定の周波数が1MHzであることを特徴とする請求項
1記載の接続異常検出装置。
【請求項3】
低周波領域の判断周波数が0.2MHz~0.9MHzであり、高周波領域の判断周波数が11MHz~13MHzであることを特徴とする請求項
1又は2に記載の接続異常検出装置。
【請求項4】
前記異常判断部は、前記低周波領域と前記高周波領域の双方の領域で、接続異常と判断する周波数スペクトルを畳み込みニューラルネットワークを用いて学習し設定することを特徴とする請求項1乃至
3の何れかに記載の接続異常検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れかに記載の接続異常検出装置を、分電盤への引き込み線に設置し、前記接続異常検出装置を設置した前記引き込み線の上流側に、前記引き込み線の上流で発生した電磁ノイズを遮断する第1フィルタ回路が配置されて成ることを特徴とする分電盤接続異常検出システム。
【請求項6】
前記分電盤により分岐出力された分岐電路毎に、前記分岐電路に接続された負荷で発生した電磁ノイズが前記分電盤に流れ込むのを遮断する第2フィルタ回路を配置して成ることを特徴とする請求項
5記載の分電盤接続異常検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤内等の電路を構成する導体接続部に接続異常が発生したら、それを検出する接続異常検出装置及び分電盤接続異常検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
分電盤では、主幹ブレーカに商用電源からの引き込み線を接続する主幹ブレーカの1次側端子、その2次側端子を始め、電路を構成する導体接続部にはネジが使用され、ネジの締着で接続が行われている。そのため、ネジの緩み等による電路異常で発熱する場合があり、放置しておくと発火の危険があるため、それを検知する装置がある。
例えば,特許文献1では、引き込み線と分岐ブレーカが接続される主幹バーとの間の電位差を検出して、電位差が一定値を超えたら接続異常発生と判断する過熱検出器を分岐ブレーカに隣接して配置した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の接続異常検出形態は、1台の過熱検出器を設置するだけで、複数の端子部の監視を一括して行うことができたため、分電盤内の接続異常監視に有効であった。
しかしながら、上記電位差情報により接続異常発生を判断する構成は、閾値設定が難しく、接続異常が発生してもそれを検知できなかったり、誤動作して電路を遮断する場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、電路の接続異常の発生を高い精度で一括監視できる接続異常検出装置、及び分電盤接続異常検出システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、電路の接続部に接続異常が発生したら、それに伴い発生する放電を検知して接続異常の発生を判断する接続異常検出装置であって、電路上に配置されて、電路に発生する電磁ノイズを検出し、その周波数スペクトル情報を出力するノイズ計測部と、計測した周波数スペクトル情報から、放電に伴う電磁ノイズを検出して接続異常の発生を判断する異常判断部とを有し、異常判断部は、特定の周波数を境に低周波領域と高周波領域とに2分割し、双方の周波数領域において、電磁ノイズの計測値が所定の閾値を超えたら接続異常発生と判断することを特徴とする。
この構成によれば、2つの異なる周波数の電磁ノイズがそれぞれ所定の大きさを超えたら接続異常発生と判断するため、接続異常発生に伴う特有の現象を判断でき、高い精度で接続異常を検知できる。
【0007】
加えて、特定の周波数を境に2分割して、その双方の周波数領域で所定の大きさの電磁ノイズが発生したら接続異常発生と判断するため、接続異常発生に伴う特有の現象を更に高精度で判断できる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、周波数帯を2分割する特定の周波数が1MHzであることを特徴とする。
この構成によれば、1MHzを境とした低周波領域と高周波領域の双方で発生する電磁ノイズの特性から接続異常発生を判断することで、接続異常特有のノイズを的確に検知できる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、低周波領域の判断周波数が0.2MHz~0.9MHzであり、高周波領域の判断周波数が11MHz~13MHzであることを特徴とする。
この構成によれば、ネジの緩み特有の接続異常を的確に検知でき、負荷特有の高周波ノイズ等の外部からのノイズによる誤検知を無くす事ができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、異常判断部は、低周波領域と高周波領域の双方の領域で、接続異常と判断する周波数スペクトルを畳み込みニューラルネットワークを用いて学習し設定することを特徴とする。
この構成によれば、判断する周波数が畳み込みニューラルネットワークを用いた学習データに基づいて設定されるため、負荷の種類により接続異常に伴う電磁ノイズの周波数スペクトル特性が異なっても、的確な判断が可能となる。
【0011】
請求項5の発明に係る分電盤接続異常検出システムは、請求項1乃至4の何れかに記載の接続異常検出装置を、分電盤への引き込み線に設置し、接続異常検出装置を設置した引き込み線の上流側に、引き込み線の上流で発生した電磁ノイズを遮断する第1フィルタ回路が配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、引き込み線の上流側で発生した電磁ノイズを検出しないため、下流側、即ち分電盤内或いはその下流側の電路に発生する電磁ノイズのみを検出する。よって、分電盤内或いはそれより下流の接続異常を検出することが可能となり、接続異常の検出範囲を限定できる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成において、分電盤により分岐出力された分岐電路毎に、分岐電路に接続された負荷で発生した電磁ノイズが分電盤に流れ込むのを遮断する第2フィルタ回路を配置して成ることを特徴とする。
この構成によれば、分岐電路には電磁ノイズをカットする第2フィルタ回路が配置されているため、分岐電路先に接続された負荷或いは分岐電路のコンセント等の接続部で発生した電磁ノイズにより接続異常検出装置が誤動作することがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2つの異なる周波数の電磁ノイズがそれぞれ所定の大きさ超えたら接続異常発生と判断する。よって、接続異常発生に伴う特有の現象を判断でき、高い精度で接続異常を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る接続異常検出装置の一例を示す構成図である。
【
図2】
図1の接続異常検出装置を分電盤に対して取り付けた分電盤接続異常検出システムの構成図である。
【
図3】畳み込みニューラルネットワークに基づく学習の流れを示すフローチャートである。
【
図4】端子の緩みを検出するフローチャートである。
【
図5】畳み込みニューラルネットワークに基づく端子の緩みを学習するフローチャートである。
【
図6】計測した電磁ノイズの周波数スペクトルであり、(a)は電路が正常な状態、(b)はネジの緩みによる電路異常が発生した状態を示している。
【
図7】計測した電磁ノイズの周波数スペクトルであり、(a)は第2フィルタ回路がある状態、(b)は第2フィルタ回路が無い状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る接続異常検出装置の一例を示す構成図である。接続異常検出装置1は、ノイズを測定する測定器(ノイズ計測部)2と接続異常を検出する異常判断部としての検出部3とにより構成され、ここでは検出部3の検出結果を受けて電路を遮断する遮断機構部4、発報通知する発報部5、外部へ通知するための接点出力部6等が接続されている。
【0016】
測定器2は電路に設置されて、電路に発生する電磁ノイズを検出し、その周波数スペクトル情報を出力する。
検出部3は、畳み込みニューラルネットワーク(以下、「CNN」とする)に基づいた識別器(CNN識別器)31、測定データを蓄積するメモリ32、CNNによる深層学習を実施する学習部33、CNN識別器31の識別結果を基に接続異常を判定する判定部34を備えている。尚、検出部3は1つのMCU(Micro Controller Unit)により構成されている。
【0017】
測定器2からCNN識別器31及びメモリ32へは、検出した電磁ノイズの周波数スペクトル情報が出力される。この測定器2は、例えば変流器により電路上に発生する電磁ノイズを検出し、その周波数スペクトルデータが出力される。
CNN識別器31は、測定器2が計測した電磁ノイズの周波数スペクトルの中から、学習部33の情報に基づいて接続異常により生じた電磁ノイズの周波数スペクトル情報を抽出し、所定のプログラミング言語で判定部34へ出力する。
学習部33は、電磁ノイズの周波数スペクトルから、導電部のネジの緩み等の接続異常に伴って発生する特有の周波数スペクトルを選別するための情報を学習して蓄積する。
【0018】
図2は、分電盤7に対して接続異常検出装置1を取り付けた分電盤接続異常検出システムの構成を示し、接続異常検出装置1により分電盤7内の電路10の接続部に発生した異常を検出する構成を示している。接続異常検出装置1は、電路の一部を成す分電盤7の引き込み線Lに設置されている。
また、接続異常検出装置1の上流側となる商用電源Pの引き込み線Lには、商用電源P側で発生する電磁ノイズが接続異常検出装置1に流れ込んで誤動作しないよう遮断する第1フィルタ回路11が設けられている。更に、分電盤7から配設される個々の分岐電路10aには、分岐電路10aに接続された負荷15で発生する高周波ノイズが、分岐電路10aを介して分電盤7に流入して接続異常検出装置1が誤動作しないよう遮断する第2フィルタ回路12が設けられている。
【0019】
分電盤7には、主幹ブレーカ13、複数の分岐ブレーカ14が組み付けられており、主幹ブレーカ13の一次側端子、二次側端子等の電路接続部、分岐ブレーカ14の電路接続部、更には電路10を構成する銅バーの接続部等にネジが使用されている。このネジによる接続部に緩みが発生したら、それを検出するよう構成されている。
尚、接続異常検出装置1の設置位置は、主幹ブレーカ13の上流側(商用電源P側)であれば、分電盤7の内部であっても良い。
【0020】
この分電盤接続異常検出システムにおいて、接続異常検出装置1が電路10の接続異常を検出すると、警報を発して電路10の遮断等を実施する。
具体的に、判定部34が接続異常有りと判定すると、異常発生信号が出力される。この異常発生信号を受けて、遮断機構部4を構成する主幹ブレーカ13が遮断動作する。尚、主幹ブレーカ13は、外部信号入力部を備えており、異常発生信号を受けて遮断動作する。
そして、発報部5は、ブザー、LED等を備えており、ブザーが鳴動してLEDが発光する。また、接点出力部6は接点信号を出力する。
尚、発報部5、接点出力部6は、主幹ブレーカ13の一次側から電源が供給される。
【0021】
図3は、学習部33の説明図で、CNNに基づく学習の流れを示すフローチャートを示している。学習部33はCNNに基づいて学習し、CNNは入力層T1と出力層T6の間に、畳み込み層T2、プーリング層T3、活性化層T4、全結合層T5等を複数組み合わせた層を有して構成されている。
畳み込み層T2は、入力された周波数スペクトルデータの畳み込みを行う。プーリング層T3は、カーネル領域のデータを最大値や平均値に置き換えてデータを縮小する。活性化層T4は、活性化関数により入力値を非線形変換する処理を行う。これらの層を複数組み合わせて、入力値が全てのノードと結合する処理である全結合層T5を通して出力される。
このCNNにより学習することで、検出したノイズの周波数スペクトルの個々の波形の中で、電化製品等の負荷特有の伝導性ノイズの周波数と端子の緩み(ネジの緩み)等に起因する接続異常に伴う伝導性ノイズの周波数を区別し、接続部の異常検出が可能となる。
【0022】
図4は、端子の緩みを検出するフローを示している。判定部34は、CNN識別器31の識別結果を受けて接続異常の有無を判定する。
測定器2で計測された周波数スペクトルは、CNN識別器31に入力され(S1)、学習部33が蓄積している学習データと比較して解析される(S2)。この解析により、接続異常に伴う周波数スペクトルデータが抽出されて判定部34に出力される。
【0023】
判定部34では、1MHzを境に分離した2つの周波数帯、例えば0.15MHz~1MHzの低周波領域、1MHz~30MHzの高周波領域の双方の領域において、CNN識別器31が出力する周波数スペクトルデータに基づき判定する。
このとき、双方の周波数帯のピーク値が共に所定の閾値を超えたら、接続異常発生と判断する(S3でYes)。接続異常発生と判断したら、上述した警報の発報、電路10の遮断等が実施される(S4)。緩みが無いと判断した場合(S3でNo)は、測定器2による周波数スペクトルの監視を継続する。
尚、接続異常、特にネジの緩みによる接続異常が発生した場合、電磁ノイズの特徴として、0.3MHz付近、0.8MHz付近、12MHz付近でノイズが発生することが確認されており、この周波数を中心に判定しても良い。
【0024】
図6は計測した電磁ノイズの周波数スペクトルであり、(a)は電路10が正常な状態、(b)はネジの緩みによる接続異常が発生した状態を示している。
図6(b)に示すQ1は0.3MHz、Q2は0.8MHz、Q3は12MHzの位置をそれぞれ示している。
図6に示すように、ネジの緩みによる接続異常が発生すると、複数箇所の特定の周波数を中心としてノイズが発生するため、0.15MHz~1MHzの低周波領域をさらに0.2MHz~0.9MHzの範囲とし、1MHz~30MHzの高周波領域を11MHz~13MHzの範囲と限定して判断しても良い。
尚、
図6において、負荷Aはヒータ、負荷Bはドライヤ、負荷Cはホットプレートである。
【0025】
このように、低周波領域の判断周波数を0.2MHz~0.9MHzとし、高周波領域の判断周波数を11MHz~13MHzとしても良く、ネジの緩み特有の接続異常を的確に検知でき、負荷特有の高周波ノイズ等の外部からのノイズによる誤検知を無くす事ができる。
【0026】
この一連の接続異常検出の流れにおいて、学習部33の学習結果は以下のように更新される。
図5はCNNに基づく端子の緩みを判断するための周波数スペクトルを学習するフローであり、このフローを参照して説明する。
測定器2で計測された周波数スペクトルは、CNN識別器31で解析され(S11)、判定部34で判定される(S12)。この結果を受けて、接続異常有りと判定されたら(S12でYes)、接続異常有りのデータとして周波数スペクトルデータが更新される(S13)。一方、接続異常無しと判定されたら(S12でNo)、接続異常無しのデータとして更新される(S14)。
【0027】
このように、検出した電磁ノイズスペクトルを1MHzを境に2分割して、その双方の周波数領域で所定の大きさの電磁ノイズが発生したら接続異常発生と判断する。よって、接続異常発生に伴う特有の現象に基づいて判断でき、高精度で接続異常を検知できる。そして、1MHzを境とした低周波と高周波の双方の特性で判断することで、接続異常特有のノイズを的確に検知できる。
また、判断する周波数が畳み込みニューラルネットワークを用いた学習データに基づいて設定されるため、負荷の種類により接続異常に伴う電磁ノイズの周波数スペクトル特性が異なっても、的確な判断が可能となる。
更に、分電盤7への引き込み線Lの上流側に、上流側で発生した電磁ノイズを遮断する第1フィルタ回路11を設けることで、上流側で発生した電磁ノイズにより接続異常検出装置1が誤動作することがない。
ここで、
図7(a)は第2フィルタ回路がある状態で計測した電磁ノイズの周波数スペクトルであり、
図7(b)は第2フィルタ回路が無い状態で計測した電磁ノイズの周波数スペクトルを示している。この
図7に示すように、分岐電路10aには第2フィルタ回路12が配置されていることで、分岐電路10aの先に接続された負荷15或いは分岐電路10aのコンセント等の接続部で発生した電磁ノイズを減少させることができ、接続異常検出装置1が誤動作することもない。よって、接続異常の検出範囲を分電盤7内に限定でき、的確に判断できる。
【0028】
尚、上記実施形態は、電路接続部の一例としてネジの緩みを検出する場合を示したが、分岐ブレーカ14に広く採用されている速結端子の緩みの検出も可能である。
また、1MHzを境として低い周波数領域と高い周波数領域とに分けて、双方で一定値以上の電磁波ノイズが発生したら接続異常発生と判断しているが、周波数領域の境は1MHzに限定しなくても良く、例えば2MHzとしても良い。この程度の変更では判定結果に殆ど差がない。
更には、周波数領域を特定の周波数で分割せず、1つの大きな周波数帯域(例えば0.1MHz~30MHz)の中で、2つの異なる周波数で電磁ノイズが所定の閾値を超えたら接続異常発生と判断しても良く、従来より高精度で判定することは可能である。
また、識別器に畳み込みニューラルネットワークを用いているが、この手法に限定するものでは無く、決定木やSVM(サポートベクターマシン)など様々な機械学習を適用することが可能である。
また、分電盤内に加えてそれより下流で発生する接続異常も含めて検出したい場合は、第2フィルタ回路12は必要ない。
【符号の説明】
【0029】
1・・接続異常検出装置、2・・測定器(ノイズ計測部)、3・・検出部(異常判断部)、4・・遮断機構部、5・・発報部、6・・接点出力部、10・・電路、11・・第1フィルタ回路、12・・第2フィルタ回路、13・・主幹ブレーカ、15・・負荷、31・・CNN識別機、32・・メモリ、33・・学習部、34・・判定部、L・・引き込み線(電路)。