(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】非対称双方向光伝送モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2021005210
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】相葉 孝充
(72)【発明者】
【氏名】山形 智枝美
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 直嗣
(72)【発明者】
【氏名】各務 学
(72)【発明者】
【氏名】米村 正寿
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169780(JP,A)
【文献】特表2020-522748(JP,A)
【文献】特開昭60-221706(JP,A)
【文献】特表2014-530374(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102841409(CN,A)
【文献】特開平03-050518(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ、および、光ファイバを含む非対称双方向光伝送モジュールであって、
前記光ファイバコネクタには、
第1の開口数および第1の波長を有する第1の発光素子であって、前記第1の発光素子から放射された第1の光は前記反射対物型カプラを介して前記光ファイバの端面に入射される前記第1の発光素子と、
前記第1の開口数よりも小さい第2の開口数、および、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の発光素子から放射され、前記光ファイバを伝搬し、前記端面から放射される第2の光を受光する第2の受光素子とがさらに含まれ、
前記反射対物型カプラは、非球面の第1のミラーおよび円錐型の第2のミラーを含み、前記第2のミラーは前記第1の発光素子から放射された光を前記第1のミラーの方向に反射し、前記第1のミラーは前記第2のミラーで反射された光を前記光ファイバの端面に集光し、
前記光ファイバの中心軸方向において、
前記第1のミラーと前記第1の発光素子との間の距離が、前記第1のミラーから前記第1のミラーによって反射された第1の光が集光する位置までの距離の10%から30%の範囲であり、
前記第2のミラーの開口数は、0.7以上1未満であり、
前記第2の光は前記光ファイバの第1コア部を伝搬し、前記第1の光は前記光ファイバの前記第1コア部を含む第2コア部を伝搬する非対称双方向光伝送モジュール。
【請求項2】
反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ、および、光ファイバを含む非対称双方向光伝送モジュールであって、
前記光ファイバコネクタには、
第1の開口数および第1の波長を有する第1の発光素子から放射され、前記光ファイバを伝搬し、前記光ファイバの端面から放射される第1の光を、前記反射対物型カプラを介して受光する第1の受光素子と、
前記第1の開口数よりも小さい第2の開口数、および、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の発光素子であって、前記第2の発光素子から放射される第2の光が前記端面に入射される前記第2の発光素子がさらに含まれ、
前記反射対物型カプラは、非球面の第1のミラーおよび円錐型の第2のミラーを含み、前記光ファイバの端面から放射された光を前記第1のミラーは前記第2のミラーの方向に反射し、前記第2のミラーは前記第1のミラーで反射された光を前記第1の受光素子に集光し、
前記光ファイバの中心軸方向において、
前記第1のミラーと前記第1の受光素子との間の距離が、前記第1のミラーに入射する第1の光が放射される前記光ファイバの前記端面までの距離の10%から30%の範囲であり、
前記第2のミラーの開口数は、0.7以上1未満であり、
前記第2の光は前記光ファイバの第1コア部を伝搬し、前記第1の光は前記光ファイバの前記第1コア部を含む第2コア部を伝搬する非対称双方向光伝送モジュール。
【請求項3】
反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ、および、光ファイバを含む非対称双方向光伝送モジュールであって、
前記光ファイバの一端に請求項1に記載の非対称双方向光伝送モジュールに含まれる光ファイバコネクタが接続され、
前記光ファイバの他端に請求項2に記載の非対称双方向光伝送モジュールに含まれる光ファイバコネクタが接続される、非対称双方向光伝送モジュール。
【請求項4】
前記第2の受光素子は前記第2のミラーと前記光ファイバとの間に位置し、前記第1の発光素子は前記第2のミラーと前記第1のミラーとの間に位置し、前記第2の発光素子は前記第2のミラーと前記光ファイバとの間に位置し、前記第1の受光素子は前記第2のミラーと前記第1のミラーとの間に位置する
請求項3に記載の非対称双方向光伝送モジュール。
【請求項5】
前記第1の発光素子は非コヒーレント光源であり、前記第2の発光素子はコヒーレント光源である請求項1から
4のいずれか一項に記載の非対称双方向光伝送モジュール。
【請求項6】
前記第1の発光素子はLED(light emitting diode)であり、前記第2の発光素子はレーザ光源である請求項
5に記載の非対称双方向光伝送モジュール。
【請求項7】
前記光ファイバの前記第1コア部の開口数は前記第2コア部の開口数よりも小さく、前記第1コア部はGI(Graded Index Fiber)構造の光ファイバまたはシングルモード光ファイバであり、前記第2コア部は前記第1コア部の外周のクラッド部に位置し、前記第1コア部を含まない前記第2コア部はSI(Step-Index Fiber)構造の光ファイバであり、前記第1コア部および前記第2コア部は双方向に光を伝搬可能である請求項1から
6のいずれか一項に記載の非対称双方向光伝送モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ、及び、当該光ファイバコネクタが接続される光ファイバを含む、非対称双方向光伝送モジュールに関する。ここで言う反射対物型カプラとは、反射対物レンズと同様に複数の反射鏡の組み合わせで波面変換を行う光学系を有する光カプラである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバにおいて、光ファイバ内で光が伝搬する光路を光ファイバの導波モードとして分類できることが知られている。例えば、光ファイバのコア領域およびクラッド領域の物理的寸法、屈折率、波長、入射角度等のパラメータにより、1本の光ファイバ内に1つ以上の導波モードが出現する。複数の導波モードを有することが可能なマルチモード光ファイバにおいては、複数の導波モードのそれぞれの導波モードに信号をのせて伝送する方式をモード分割多重通信方式と称し、従来から、当該モード分割多重通信方式の技術開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1の光通信システムでは、1本のマルチモード光ファイバによって、上り光信号と下り光信号を伝搬角が大きく異なる低次モード群と高次モード群とに分割して搬送する、モード分割多重通信を実現している。
【0004】
具体的には、低次モード群光源からの低次モード群を形成する光信号はモード合分波器の開口からマルチモード光ファイバの中心軸に沿うように放射され、マルチモード光ファイバを伝搬し、低次モード群検出器に入射する。
【0005】
また、高次モード群光源からの高次モード群を形成する光信号は、二つのミラーで反射されて収束光となり、マルチモード光ファイバの端面付近で収束し、低次モード群光源からの光信号よりも中心軸に対して角度を有するようにマルチモード光ファイバに入射する。入射された高次モード群を形成する光信号は、マルチモード光ファイバの他端から、モード合分波器を介して、二つのミラーで反射されて、高次モード群検出器に入射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、マルチモード光ファイバの屈折率分布の種類によって、上下光信号間に干渉が発生する場合、または、高速信号を伝送できない場合がある。また、従来技術の2つのミラーを用いた反射対物レンズでは、光ファイバへの結合効率が低くなってしまう場合がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、複数の異なるコア部を適切に配置し、上下光信号の干渉を適切に低減した高速通信可能な光ファイバ、並びに、当該光ファイバへの結合効率を向上可能な非対称双方向光伝送モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係わる反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ、および、光ファイバを含む非対称双方向光伝送モジュールであって、前記光ファイバコネクタには、第1の開口数および第1の波長を有する第1の発光素子であって、前記第1の発光素子から放射された第1の光は前記反射対物型カプラを介して前記光ファイバの端面に入射される前記第1の発光素子と、前記第1の開口数よりも小さい第2の開口数、および、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の発光素子から放射され、前記光ファイバを伝搬し、前記端面から放射される第2の光を受光する第2の受光素子がさらに含まれ、前記第2の光は前記光ファイバの第1コア部を伝搬し、前記第1の光は前記光ファイバの前記第1コア部を含む第2コア部を伝搬することが好ましい。
【0010】
本発明の他の態様に係わる反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ、および、光ファイバを含む非対称双方向光伝送モジュールであって、前記光ファイバコネクタには、第1の開口数および第1の波長を有する第1の発光素子から放射され、前記光ファイバを伝搬し、前記光ファイバの端面から放射される第1の光を、前記反射対物型カプラを介して受光する第1の受光素子と、前記第1の開口数よりも小さい第2の開口数、および、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の発光素子であって、前記第2の発光素子から放射される第2の光が前記端面に入射される前記第2の発光素子がさらに含まれ、前記第2の光は前記光ファイバの第1コア部を伝搬し、前記第1の光は前記光ファイバの前記第1コア部を含む第2コア部を伝搬することが好ましい。
【0011】
本発明のその他の態様に係わる反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ、および、光ファイバを含む非対称双方向光伝送モジュールであって、前記光ファイバの一端に非対称双方向光伝送モジュールに含まれる光ファイバコネクタが接続され、前記光ファイバの他端に非対称双方向光伝送モジュールに含まれる光ファイバコネクタが接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の異なるコア部を適切に配置し、上下光信号の干渉を適切に低減した高速通信可能な光ファイバ、及び、当該光ファイバへの結合効率を向上可能な光ファイバコネクタを含む非対称双方向光伝送モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係わる非対称双方向光伝送モジュールを含む通信システムの実装の一例を示す模式図である。
【
図2】(A)本実施形態に係わる
図1の光ファイバの断面を拡大した模式図である。(B)本実施形態に係わる
図1の光ファイバの断面を拡大したその他の模式図である。(C)本実施形態に係わる
図1の光ファイバの長手方向の断面を拡大した模式図である。
【
図3】本実施形態に係わる
図1の光ファイバコネクタの構成の一例を示す模式図である。
【
図4】本実施形態に係わる非対称双方向光伝送モジュールの一例を示す模式図である。
【
図5】本実施形態に係わる光学素子の相対位置の規定方法を示す図である。
【
図6】本実施形態に係わる第2のミラーの開口数の規定方法を示す図である。
【
図7】本実施形態に係わる光学素子を設計する場合の初期モデルの一例を説明する模式図である。
【
図8】本実施形態に係わる
図7の模式図において光路を図示した模式図である。
【
図9】本実施形態に係わる
図7の模式図から光学素子を最適設計した場合の光路を図示した模式図である。
【
図10】本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、モジュール全長をパラメータとして演算した結果を示す図である。
【
図11】本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、第2コア部の直径をパラメータとして演算した結果を示す図である。
【
図12】本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、第2コア部の開口数をパラメータとして演算した結果を示す図である。
【
図13】本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、第2のミラーの開口数をパラメータとして演算した結果を示す図である。
【
図14】(A)本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、モジュール全長を30mmに固定し、第2のミラーの開口数をパラメータとして演算した結果を示す図である。(B)本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、モジュール全長を50mmに固定し、第2のミラーの開口数をパラメータとして演算した結果を示す図である。(C)本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、モジュール全長を70mmに固定し、第2のミラーの開口数をパラメータとして演算した結果を示す図である。
【
図15】(A)本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、第2のミラーの開口数を0.8に固定し、第2コア部の開口数をパラメータとして演算した結果を示す図である。(B)本実施形態に係わる光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を、第2のミラーの開口数を0.9に固定し、第2コア部の開口数をパラメータとして演算した結果を示す図である。
【
図16】本実施形態に係わる
図13の図に、第2のミラーの開口数0.4および0.5の場合の光学素子の相対位置と光ファイバとの光の結合効率との関係を追加した図である。
【
図17】本実施形態に係わる
図16から、第2のミラーの開口数と光ファイバとの光の結合効率との関係を抽出した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係わる光ファイバ、光ファイバコネクタ、並びに、光ファイバおよび光ファイバコネクタを含む非対称双方向光伝送モジュールの一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示に限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0015】
(1)光ファイバおよび光ファイバコネクタを含む非対称双方向光伝送モジュール、並びに、当該非対称双方向光伝送モジュールを含む通信システムの構成の概要
図1は、本実施形態に係わる光ファイバ100、光ファイバコネクタ200a、および、光ファイバコネクタ200bを含む非対称双方向光伝送モジュール300並びに通信システム400の構成関係の概要を模式的に示した図である。
【0016】
図示しないCPU(Central Processing Unit)を含む制御ユニット10から、図示しない電気信号としての撮像開始信号が光ファイバコネクタ200aに伝送される。光ファイバコネクタ200aに入力された撮像開始信号は、第1の発光素子240aによって電気信号から光信号b1に変換され、光学モジュール220aを介して光ファイバ100の中で伝送される。光ファイバ100の中で伝送された光信号b1は光ファイバコネクタ200bの光学モジュール220bを介して第1の受光素子240bに入力され、図示しない電気信号としての撮像開始信号に変換される。電気信号に変換された撮像開始信号はCCDカメラ等の撮像装置20に入力され、撮像装置20は周囲の撮像を開始する。撮像装置20によって撮像された画像情報は、画像信号として、光ファイバコネクタ200bの第2の発光素子230bに入力される。第2の発光素子230bに入力された電気信号である画像信号は、光信号b2に変換され、光学モジュール210bを介して光ファイバ100の中で伝送される。光ファイバ100の中で伝送された光信号b2は、光ファイバコネクタ200aの光学モジュール210aを介して第2の受光素子230aに入力され、図示しない電気信号としての画像信号に変換される。電気信号である画像信号は、制御ユニット10に入力され、画像処理が実行される。なお、撮像開始信号を含む制御信号と画像信号を含むデータ信号の光ファイバ100における伝送速度は異なるものとする。データ信号の伝送速度は、制御信号の伝送速度よりも速いことが一般的である。また、光ファイバ100、第1の発光素子240a、第1の受光素子240b、第2の発光素子230b、第2の受光素子230aは伝送速度に対応して動作可能な周波数帯域を有する。
【0017】
なお、上記の概要説明において、光ファイバコネクタ200aに接続される電気信号を処理する装置として、制御ユニット10について説明したが、光ファイバコネクタ200aに接続される装置は、制御ユニット10に限定されるわけではない。外部と情報を送受信する任意の電子装置を光ファイバコネクタ200aに接続することが可能である。同様に、上記の概要説明において、光ファイバコネクタ200bに接続される電気信号によって動作する装置として、撮像装置20について説明したが、光ファイバコネクタ200bに接続される装置は、撮像装置20に限定されるわけではない。外部と情報を送受信する任意の電子装置を光ファイバコネクタ200bに接続することが可能である。
【0018】
(2)光ファイバ、光ファイバコネクタおよび非対称双方向光伝送モジュールの個別概要
図2~
図4を参照して本実施形態に係わる光ファイバ、光ファイバコネクタおよび非対称双方向光伝送モジュールの個別概要についてさらに説明する。
【0019】
(2.1)光ファイバの概要
図2は、本実施形態に係わる光ファイバ100のイメージを示す断面図である。光ファイバ100の断面は
図2(A)に示すように、同心円状に第1コアと第1クラッド、その外側に第2コアと第2クラッドよりなる4重(4層)構造であることが基本構造である。しかし、
図2(B)に示すように、第1クラッドと第2コアを同一層で兼ねることが可能であるため少なくとも3重(3層)構造とすることも可能である。すなわち、光ファイバ100の断面の同心円の内側にGI(Graded Index Fiber)構造の第1コア部(第1コア)101が配置される。第1コア部101の外側にSI(Step-Index Fiber)構造の第2コア部(第2コア)102が配置される。第1コア部101と第2コア部102によって上り光信号と下り光信号を光ファイバ100内で空間分離可能とし、高速通信可能な光ファイバとする。なお、
図2(B)の3層構造の場合は第1コアの屈折率は第2コアの屈折率より小さく設定され、
図2(A)の4層構造の場合は第1コアの屈折率は第2コアの屈折率によって規定されない。
【0020】
(2.2)光ファイバコネクタの概要
図3は、本実施形態に係わる光ファイバコネクタ200aのイメージを示す模式図である。光ファイバコネクタ200aの内部には、光学モジュール220aとしての反射対物型カプラが配置される。反射対物型カプラは、第1のミラー221aと第2のミラー222aを含む。第1のミラー221aは適切に設計される曲面を有し、第2のミラーは円錐型である。第1のミラー221aの反射表面はn(nは3以上の自然数)次多項式によって示されることが可能である。光源から放射された光信号は円錐型の第2のミラー222aで反射され、第2のミラー222aで反射された光信号は適切に設計された非球面の第1のミラー221aで反射され、光ファイバ100の端面と結合し、光ファイバ100の第2コア部102を伝搬する。この場合に、第2のミラーを円錐型とすることによって、光源からの放射光の中の輝度が高い低放出角度成分を光ファイバ100と結合させることが可能になるために、光源と光ファイバ100との結合効率を向上させることが可能になる。なお、
図3では、光源として第1の発光素子240aを示している。また、反射対物型カプラは送信側と受信側とで同一の構造で実現することが可能である。反射対物型カプラを受信側で使用した場合には、光源の代わりにPD(Photo Diode)等の光受光素子を配置することが可能である。また、送信側の反射対物型カプラと光ファイバ100との結合効率と、受信側の反射対物型カプラと光ファイバ100との結合効率を略同一とすることが可能である。
【0021】
(2.3)非対称双方向光伝送モジュールの概要
図4は、本実施形態に係わる非対称双方向光伝送モジュール300のイメージを示す模式図である。光ファイバ100の両端に、反射対物型カプラを内蔵する光ファイバコネクタ200aおよび光ファイバコネクタ200bを接続する。なお、本明細書では、光ファイバコネクタ200aおよび光ファイバコネクタ200bを総称して光ファイバコネクタ200と称する場合がある。
【0022】
最初に光ファイバ100の第1コア部101によって伝送される光信号の送受信の流れを説明する。
図4では、光ファイバコネクタ200bから光ファイバコネクタ200aに向けて光信号が伝送される場合を説明する。ただし、第1コア部101には光信号の方向性はないので、光ファイバコネクタ200を適切に選択すれば、光信号は第1コア部101を反対方向に伝送させることも可能である。
【0023】
光ファイバコネクタ200bに内蔵される第2の発光素子230bから放射された光信号はコリメータレンズ211bによって平行光に変換され、変換された平行光は集光レンズ212bによって、光ファイバ100の第1コア部101に入射される。
図1に示した光学モジュール210bは、コリメータレンズ211bおよび集光レンズ212bを含むが、光学モジュール210bの構成はこれに限定されるわけではない。例えば、光学モジュール210bが単一のレンズで構成され、当該単一のレンズがコリメータレンズ211bおよび集光レンズ212bの機能を含むようにすることも可能である。
【0024】
光ファイバコネクタ200aでは、第1コア部101から放射される光信号はコリメータレンズ212aによって平行光に変換され、変換された平行光は集光レンズ211aによって集光されて第2の受光素子230aに入射される。
図1に示した光学モジュール210aは、コリメータレンズ212aおよび集光レンズ211aを含むが、光学モジュール210aの構成もこれに限定されるわけではない。例えば、光学モジュール210aが単一のレンズで構成され、当該単一のレンズがコリメータレンズ212aおよび集光レンズ211aの機能を含むようにすることも可能である。
【0025】
以上の場合に、コリメータレンズ211bと集光レンズ211aは光ファイバコネクタ200の中で相対的に同一位置に配置されることが好ましい。また、コリメータレンズ212aと集光レンズ212bも光ファイバコネクタ200の中で相対的に同一位置に配置されることが好ましい。さらに、第2の受光素子230aと第2の発光素子230bも光ファイバコネクタ200の中で相対的に同一位置に配置されることが好ましい。
この他、
図4では同軸上に光伝送モジュールと光ファイバが並んでいるが、それぞれの接続面や光伝送モジュール内にミラーなどにより光軸を折り曲げることも可能である。
【0026】
次に、光ファイバ100の第2コア部102によって伝送される光信号の送受信の流れを説明する。
図4では、光ファイバコネクタ200aから光ファイバコネクタ200bに向けて光信号が伝送される場合を説明する。ただし、第2コア部102には光信号の方向性はないので、光ファイバコネクタ200を適切に選択すれば、光信号は第2コア部102を反対方向に伝送させることも可能である。
【0027】
第1の発光素子240aから放射された光信号は、上述したように、円錐型の第2のミラー222aで反射される。第2のミラー222aで反射された光信号は適切に設計された曲面を有する第1のミラー221aで反射され、光ファイバ100の端面と結合し、光ファイバ100の第2コア部102を伝搬する。
図1に示した光学モジュール220aは、第1のミラー221aおよび第2のミラー222aを含むが、光学モジュール220aおよび第1の発光素子240aを含む構成の詳細は後述する。さらに、第2コア部102を伝搬した光信号は、光ファイバ100の他の端面から放射され、第1のミラー221bで第2のミラー222b方向に反射され、第2のミラー222bにおいて反射された光信号が第1の受光素子240bに入射される。
図1に示した光学モジュール220bは、第1のミラー221bおよび第2のミラー222bを含むが、光学モジュール220bを含む構成の詳細は後述する。
【0028】
以上の場合に、第1のミラー221aと第1のミラー221bは光ファイバコネクタ200の中で相対的に同一位置に配置されることが好ましい。また、第2のミラー222aと第2のミラー222bも光ファイバコネクタ200の中で相対的に同一位置に配置されることが好ましい。さらに、第1の発光素子240aと第1の受光素子240bも光ファイバコネクタ200の中で相対的に同一位置に配置されることが好ましい。なお、本実施形態では、第1のミラー221aと第1のミラー221bを総称して第1のミラー221と記載する場合がある。また、第2のミラー222aと第2のミラー222bを総称して第2のミラー222と記載する場合がある。
【0029】
また、光ファイバコネクタ200aにおいて、第1の発光素子240aの位置に第1の受光素子240bを配置した場合には、第2の受光素子230aの位置に第2の発光素子230bを配置することが可能である。また、光ファイバコネクタ200bにおいて、第2の発光素子230bの位置に第2の受光素子230aを配置し、第1の受光素子240bの位置に第1の発光素子240aを配置することが可能である。
【0030】
(3)光ファイバ、光ファイバコネクタおよび非対称双方向光伝送モジュールの詳細
図2を参照して光ファイバ100の詳細を説明する。また、
図3、
図5及び
図6を参照して光ファイバコネクタ200の詳細を説明する。さらに、
図4を参照して非対称双方向光伝送モジュール300の詳細を説明する。
【0031】
(3-1)光ファイバの詳細
図1の光ファイバ100の断面拡大図である
図2(C)についてより詳細に説明する。
図2(C)に示すように、光ファイバ100の断面の同心円の内側にGI構造の第1コア部101が配置される。また、第1コア部101の外側にSI構造の第2コア部102が配置される。光ファイバ100の直径は500~1000μmであることが好ましいが、この値に限定されるわけではなく、光ファイバ100の直径は500μmよりも細く、または、1000μmよりも太い構造であってもよい。第1コア部101に入射された光信号b2は、GI構造の第1コア部101の内部の中心軸C1の周りに第1コア部101の側面の間を蛇行して伝送される。第1コア部101の図示しない外周部にはクラッド層が形成され、光信号b2は第1コア部101の内部に留まる。第2コア部102に入射された光信号b1は、SI構造の第2コア部102の内部の中心軸C1の周りに第2コア部102の側面の間を蛇行して伝送される。第2コア部102の図示しない外周部にはクラッド層が形成され、光信号b1は第2コア部102の内部に留まる。このように、上り光信号/下り光信号を光ファイバ100内で空間分離することが可能となる。また、光ファイバ100のコア部およびクラッド部の材質はガラス、プラスチック等の透明度が高く、光伝搬損失が低い部材で構成されることが好ましいが、ガラスおよびプラスチックに限定されるわけではない。透明度が高く、光伝搬損失が低く、屈折率の制御が可能な任意の材料を光ファイバ100のコア部およびクラッド部に採用することも可能である。また、第1コア部101と第2コア部102を異なる材料で構成することも可能である。また第1コア部内の伝搬光に対する開口数は
【数1】
となり、第2コア部内の伝搬光に対する開口数は
【数2】
となる。
【0032】
使用する光源は半導体発光素子を使用することにより、システム全体を小型化することが可能になる。例えば、光信号b2には数Gbps以上の高速信号を伝送可能な半導体発光素子を使用することが可能である。一例として、高周波数で動作可能な半導体発光素子にはVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)である垂直共振器面発光レーザを第2の発光素子230bとして使用可能である。また、例えば、光信号b1にはVCSELよりも低速の数Mbps程度の中速信号を伝送可能な半導体発光素子を使用することが可能である。一例として、中速信号を伝送可能な半導体発光素子にはLED(light emitting diode)を第1の発光素子240aとして使用可能である。これらの光源を使用することによって、上り光信号/下り光信号の光信号干渉を防ぎ、それぞれの伝搬帯域に対応したコア特性を有するコアを光信号が伝搬することによって、帯域制限による信号減衰を防ぐことが可能な場合がある。なお、第1コア部101に第2コア部102で伝送される光信号b1が進入する場合があるが、一般的な設定となる
【数3】
の場合においては侵入した光信号b1のほとんどはそのまま第2コア部102に突き抜けることになる。
【0033】
(3-2)光ファイバコネクタの詳細
図3に示したように、反射対物型カプラは、非球面の第1のミラー221aと円錐型の第2のミラー222aを含む。非球面の第1のミラー221aと第1の発光素子240aの空間距離は、反射対物型カプラ全長の10~30%とすることが好ましい。また、第2のミラー222の光源に対する開口数(NA)は0.8以上となるように、光信号b1の光源を光ファイバコネクタ200内に配置することが好ましい。なお、反射対物型カプラ全長とは、光ファイバ100の中心軸C1に沿って、第1のミラー221aから光信号b1が集光する位置までの距離を意味する。
【0034】
(第1のミラー、第2のミラーおよび第1の発光素子240aの配置、並びに、反射対物型カプラの全長の関係について)
図5は、光ファイバコネクタ200aにおける、非球面の第1のミラー221a、円錐型の第2のミラー222aおよび第1の発光素子240aの位置関係を示す模式図である。第1の発光素子240aから放射された光は、円錐型の第2のミラー222aで非球面の第1のミラー221a方向へ反射され、非球面の第1のミラー221aで反射された光は、光ファイバ100の端面で集光する。
【0035】
光ファイバ100の中心軸C1と非球面の第1のミラー221aとの交点をx1とし、中心軸C1と第1の発光素子240aとの交点をx2とし、第1のミラー221aに反射された光の焦点と中心軸C1との交点をx3とする。この場合にx1からx2までの空間距離をl2とし、x1からx3までの空間距離をl1とし、(l2/l1)×100を発光・受光素子の相対位置[%]と規定する。
図5においては、発光・受光素子の相対位置は、光ファイバコネクタ200aにおける第1の発光素子240aの相対位置を示す。なお、光ファイバコネクタ200bにおいても、第1の受光素子240bの相対位置[%]は光ファイバコネクタ200aと同様に規定される。また、空間距離であるl1を反射対物型カプラ全長とも称する場合がある。したがって、上述した、非球面の第1のミラー221と第1の発光素子240aの空間距離が反射対物型カプラ全長の10~30%であることは、発光・受光素子の相対位置[%]が10~30%であることを意味する。
【0036】
発光・受光素子の相対位置[%]が大きいと、反射対物型カプラ全長が長くなり光ファイバコネクタ200の全長が長くなる場合もある。この場合には、光ファイバコネクタ200が大型化する可能性がある。また、発光・受光素子の相対位置[%]が大きいと、十分な光量を光ファイバ100に供給するためには、第2のミラー222を大型化または移動する必要があり、光ファイバコネクタ200が大型化する可能性もある。また、逆に、発光・受光素子の相対位置が小さいと、第2のミラー222が第1の発光素子240aのファーフィールドパターン(光源の大きさを無視できる程度の遠距離での配光パターン)を利用できなくなる可能性が発生する。また、第2のミラー222が第1の発光素子240aの発熱の影響を受ける可能性も発生する。
【0037】
(第2のミラー222の光信号b2の光源に対する開口数(NA)について)
図6は、
図5において、第1の発光素子240aおよび円錐型の第2のミラー222aを含む部分を拡大した模式図である。上述したように第1の発光素子240aから放射された光は、円錐型の第2のミラー222aで非球面の第1のミラー221a方向に反射される。この場合に、第1のミラー221a方向に反射される光の中で、中心軸C1と第1の発光素子240aから放射される光とのなす角度θの最大値の正弦であるsinθを第2のミラー222の開口数と規定する。第1の発光素子240aの放射光は中心軸C1からの角度が大きく広がる配光特性を持つため、必要な光強度を得るために、第2のミラーの開口数が重要な因子の一つとなる。
【0038】
(3-2-1)光ファイバコネクタの設計手順
上述したように、光ファイバコネクタ200において光学素子の光ファイバ100に対する相対的な位置関係によって、光学素子と光ファイバ100との光の結合効率が変化するので、結合効率の変化をシミュレーションする方法について説明する。
【0039】
(初期モデル)
図7は、球面の第1のミラー221c、円錐型の第2のミラー222a、第1の発光素子240aおよび光ファイバ100の初期の配置関係を模式的に示した図である。初期の配置関係から各光学素子の配置の最適化を開始する。反射対物型カプラの全長l1を任意の距離とし、第1の発光素子240aを光ファイバ100の中心軸C1上の任意の位置に配置する。第1のミラー221cを反射対物型カプラの全長l1を曲率半径とする球面にする。具体的に、第2のミラー222aの配置方法を中心に初期モデルの配置方法を説明する。第2のミラー222aの開口数が有意な任意の値を満たし、かつ、第2のミラー222aの直径上の点x1が第1コア部101の開口数sinαを満たす直線l3との交点になるように第2のミラー222aを配置する。ただし、第2のミラー222aは第1の発光素子240aから中心軸C1に沿って最も離れた位置が適切であるために、第2のミラー222aは
図7の位置に配置される。例えば、第1コアの開口数が0.2の場合、上記αは11.5度になる。次に、円錐面角度γを決定する方法を説明する。第1の発光素子240aの発光中心から中心軸C1に放射された光が第2のミラー222aから第1のミラー221cと上記直線l3の交点x2に入射するように第2のミラー222aの円錐面角度γを決定する。なお、円錐面の角度γを決定する際には、円錐の頂点部にも角度γの円錐面が存在するとみなして行っている。また、第2のミラー222aの円錐底面の半径l4は交点x1から中心軸C1への垂線の長さになる。このように、決定された初期モデルの配置を
図7に示す。
【0040】
図8は、
図7における初期配置において、第1の発光素子240aから光を放射した場合の光の経路を示す模式図である。
図8から明らかなように、球面である第1のミラー221cにおいて反射された光は、光ファイバ100の端面に向かわずに、光ファイバ100から離れる方向に進むことが分かる。
【0041】
(最適化)
球面である第1のミラー221cをn(nは3以上の自然数)次の多項式で示される非球面に変更し、係数を変更させて、第1の発光素子240aから放射した光が光ファイバ100の端面に集光するように演算処理による最適化を実行する。
図9は、
図7において、第1のミラー221cの表面形状を変更させて非球面とし、第1の発光素子240aから放射した光が光ファイバ100の端面に集光するように演算処理した結果を示す。次に、反射対物型カプラの全長、第2コア部102のコア径、第2コア部102のNA、第2のミラー222のNAをパラメータとして、発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係について説明する。なお、以下の説明における第1のミラー221aの非球面は12次の多項式で示される非球面である。
【0042】
(反射対物型カプラの全長をパラメータとした場合)
図10は、
図7において、反射対物型カプラの全長l1を10mmから70mmにした場合の発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係を示した図である。なお、以下の図においてl1をモジュール全長と記載する場合がある。縦軸は結合効率[%]を示し、光ファイバ100の第2コア部102に入射される光の強度と第1の発光素子240aから放射された光の強度の比をパーセントで表現する。横軸は、上述した発光・受光素子の相対位置をパーセントで表現する。
図10においては、第2コア部102の直径を500μm、第2コア部102の開口数を0.5、第2のミラー222の開口数を0.8として、発光・受光素子の相対位置を10.0%から50.0%まで変化させた。
図10のプロットから分かるように、反射対物型カプラの全長l1を10mmから70mmの間で変化させた場合には、発光・受光素子の相対位置に対する結合効率の変化に有意な差はみられなかった。すなわち、反射対物型カプラの全長l1が10mmから70mmの間では、発光・受光素子の相対位置が10.0%から20.0%までの間で結合効率が最大となる極大値が存在することが分かる。
【0043】
(第2コア部102の直径をパラメータとした場合)
図11は、
図7において、第2コア部102の直径を200μmから1000μmにした場合の発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係を示した図である。
図10と同様に、縦軸は結合効率[%]を示し、光ファイバ100の第2コア部102に入射される光の強度と第1の発光素子240aから放射された光の強度の比をパーセントで表現する。横軸は、上述した発光・受光素子の相対位置をパーセントで表現する。
図11においては、反射対物型カプラの全長l1を10mm、第2コア部102の開口数を0.5、第2のミラー222の開口数を0.8として、発光・受光素子の相対位置を10.0%から50.0%まで変化させた。第2コア部102の直径を大きくすると、光ファイバ100に入射する光量が大きくなるので結合効率は大きくなる。しかし、第2コア部102の直径が変化しても、結合効率の極大値が出現する発光・受光素子の相対位置は10.0%から20.0%までの間であり、極大値が出現するポイントの相対位置に対する変化が小さいことが分かる。
【0044】
(第2コア部102の開口数NA
2をパラメータとした場合)
図12は、
図7において、第2コア部102の開口数NA
2を0.3から0.6に変化させた場合の発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係を示した図である。
図10と同様に、縦軸は結合効率[%]を示し、光ファイバ100の第2コア部102に入射される光の強度と第1の発光素子240aから放射された光の強度の比をパーセントで表現する。
図12においては、反射対物型カプラの全長l1を10mm、第2コア部102の直径を500μm、第2のミラー222の開口数を0.8として、発光・受光素子の相対位置を10.0%から50.0%まで変化させた。第2コア部102の開口数を大きくすると、光ファイバ100に入射する光量が大きくなるので結合効率は大きくなる傾向がある。
図12では、第2コア部102の開口数を大きくし、発光・受光素子の相対位置[%]を小さくすると、光学素子の配置から光がけられる部分などが発生するために、第2コア部102の開口数が小さい場合と大きい場合とでプロットの傾向が異なる。しかし、第2コア部102の開口数が変化しても、結合効率の最大値が出現する発光・受光素子の相対位置は10.0%から30.0%までの間であることが分かる。
【0045】
(第2のミラーの開口数をパラメータとした場合)
図13は、
図7において、第2のミラー222の開口数を0.6から0.9に変化させた場合の発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係を示した図である。
図10と同様に、縦軸は結合効率[%]を示し、光ファイバ100の第2コア部102に入射される光の強度と第1の発光素子240aから放射された光の強度の比をパーセントで表現する。
図13においては、反射対物型カプラの全長l1を50mm、第2コア部102の直径を500μm、第2コア部102の開口数を0.5として、発光・受光素子の相対位置を10.0%から50.0%まで変化させた。第2のミラーの開口数を大きくすると、第2のミラーで反射する光量が増加し、光ファイバ100に入射する光量が大きくなるので結合効率は大きくなる傾向がある。
図13では、第2のミラー222の開口数を大きくすると、発光・受光素子の相対位置を大きくしないと、開口数を確保することが困難な場合が発生する。しかし、第2のミラー222の開口数が0.7以上の場合には、第2のミラー222の開口数が変化しても、結合効率の最大値が出現する発光・受光素子の相対位置は10.0%から30.0%までの間に収まることが想定される。また、第2のミラー222の開口数が0.7以上の場合には、発光・受光素子の相対位置は10.0%から30.0%までの間で、結合効率の最大値が40.0%以上となることが分かる。
【0046】
(第2のミラーの開口数をパラメータとし、反射対物型カプラの全長を変化させた場合)
図14は、第2のミラーの開口数をパラメータとし、反射対物型カプラの全長を
図13の50mmから前後に変化させた場合の発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係を示した図である。
図14(A)は、反射対物型カプラの全長を30mmとした場合であり、
図14(B)は
図13と同一であり、
図14(A)は、反射対物型カプラの全長を70mmとした場合である。
図14(A)~(C)から、第2のミラー222の開口数が0.7以上の場合には、第2のミラー222の開口数が変化しても、結合効率の最大値が出現する発光・受光素子の相対位置は10.0%から30.0%までの間に収まることが想定される。
【0047】
(第2コア部102の開口数をパラメータとし、第2のミラーの開口数を変化させた場合)
図15は、第2コア部102の開口数をパラメータとし、第2のミラーの開口数を0.8と0.9に変化させた場合の発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係を示した図である。
図15(A)は、第2のミラーの開口数を0.8とした場合であり、
図15(B)は、第2のミラーの開口数を0.9とした場合である。第2コア部102の開口数によって、結合効率の最大値または極大値が変化するが、結合効率の最大値が出現する発光・受光素子の相対位置は10.0%から30.0%までの間に収まることが想定される。
【0048】
(第2のミラーの開口数を追加してパラメータとした場合)
図16は、
図13において、第2のミラーの開口数を0.4および0.5として、発光・受光素子の相対位置[%]と結合効率[%]との関係を追加して示した図である。第2のミラーの開口数を0.4および0.5とした場合には、発光・受光素子の相対位置が10%から30%の間で、結合効率に大きな変化は見られない。したがって、上述したように、また、第2のミラー222の開口数が0.7以上の場合には、発光・受光素子の相対位置は10.0%から30.0%までの間で、結合効率の最大値が40.0%以上となることが分かる。
【0049】
図17は、本実施形態に係わる
図16から、第2のミラーの開口数と光ファイバとの光の結合効率との関係を抽出した図である。
図17のプロットから、第2のミラーの開口数が0.6~0.8の間で、グラフの傾きが凹方向から凸方向に変化する傾向があることが見受けられる。特に
図17からは、第2のミラーの開口数が0.7の上側と下側とにおいて、最大結合効率の変化傾向が変わる可能性がある。例えば、第2のミラーの開口数が0.7以上1未満の場合に、第2のミラーの開口数を上げていくと、最大結合効率は緩やかにピーク値に漸近する傾向を有すると想定することも可能である。また、逆に、第2のミラーの開口数が0.7未満の場合には、第2のミラーの開口数を下げていくと、最大結合効率は急激に低下していくことが
図17から見受けられる。
【0050】
なお、上記の各グラフを示す図面において、発光・受光素子の相対位置が30%未満の位置においてプロットがない条件では解が無いことを示している。
【0051】
また、光信号b2の光源および光信号b1の光源は半導体チップとして提供され、光ファイバコネクタ200内に実装されることが好ましい。本実施形態では、発光素子または受光素子の半導体チップのサイズは200μm×200μm(タテ×ヨコ)として演算を実行した。
【0052】
上述したように、コア部の直径が同じであれば開口数の大きな光ファイバほど,また,開口数が同じであればコア部の直径の大きな光ファイバほど,結合効率は向上される。
【0053】
上述したように、非対称双方向光伝送モジュール300における光学素子の位置関係は下記の関係であることが好ましい。光ファイバの中心軸C1方向において、第1のミラー221aと第1の発光素子240aとの距離のl2が、第1のミラー221aから第1のミラーによって反射された第1の光が集光する位置までの距離のl1の10%から30%の範囲であることが好ましい。同様に、光ファイバ100の中心軸方向において第1のミラー221bと第1の受光素子240bとの距離であるl2が、第1のミラー221bに入射する第1の光が放射されるファイバの端面までの距離であるl1の10%から30%の範囲であることが好ましい。
【0054】
上記構成によれば、光ファイバへ入射、及び、光ファイバから出射される光と、光ファイバとの光の結合効率を向上させることが可能になる。特に、((l2/l1)×100)の範囲が10%から30%にある場合に、光ファイバとの光の結合効率のピークが出現する。
【0055】
また、上述したように、非対称双方向光伝送モジュール300の第2のミラー222a、222bの開口数は、0.7以上1未満であることが好ましい。
【0056】
上記構成によれば、第2のミラーの開口数を変化させた場合に、第2のミラーの開口数が0.7以上1未満の範囲において、((l2/l1)×100)の値が10%から30%の範囲に、光ファイバとの光の結合効率のピークが出現する。
【0057】
また上記の非対称双方向光伝送モジュール300の構成によれば、複数の異なるコア部を適切に配置し、上下光信号の干渉を適切に低減した高速通信可能な光ファイバを提供することが可能となる。また、当該光ファイバへの結合効率を向上可能な光ファイバコネクタを含む非対称双方向光伝送モジュールを提供することが可能となる。
【0058】
(変形例1)
上記実施形態における説明では、第2の受光素子230aと光学モジュール210aは分離した構成を中心に説明したが、第2の受光素子230aと光学モジュール210aを一体に構成することも可能である。例えば、第2の受光素子230aの受光面にコリメート機能および集光機能を有する単一のレンズを第2の受光素子230aと一体化することも可能である。なお、第2の受光素子230aの一例にはフォトダイオード、フォトトランジスタ等の受光半導体素子が挙げられる。また、上記実施形態における説明では、第2の発光素子230bと光学モジュール210bは分離した構成を中心に説明したが、第2の発光素子230bと光学モジュール210bを一体に構成することも可能である。例えば、第2の発光素子230bの発光面にコリメート機能および集光機能を有する単一のレンズを、第2の発光素子230bと一体化することも可能である。第2の発光素子230bの一例には、上述した半導体レーザであるVCSELが挙げられる。
【0059】
(変形例2)
上記の実施形態において、第1コア部101について、GI構造のマルチモード光ファイバであることを中心に説明した。しかし、第1コア部101は、GI構造のマルチモード光ファイバに限定されるわけではない。例えば、第1コア部101は、シングルモード光ファイバであってもよい。この場合に、第2コア部102は、SI構造のマルチモード光ファイバであることが好ましい。第1コア部101が、シングルモード光ファイバである場合にも、第1コア部101の信号の伝送速度を、第2コア部102の信号の伝送速度よりも速くすることが可能になる。また、第1コア部101の信号の伝送速度を1Gbps程度または1Gbps以上にするために、第2の発光素子230bとしてVCSELを利用する場合を中心に説明したが、第2の発光素子230bはVCSELに限定されるわけではない。例えば、ギガHz帯の周波数帯域を有するレーザであれば任意のレーザを第2の発光素子230bとして使用することも可能な場合がある。
【0060】
以下に、本実施形態に係わる光ファイバ100および光ファイバコネクタ200を含む非対称双方向光伝送モジュール300の特徴について記載する。
【0061】
本開示の第1の態様に係わる、反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ200a、および、光ファイバ100を含む非対称双方向光伝送モジュール300における光ファイバコネクタ200aは以下の構成を含むことが好ましい。光ファイバコネクタ200aは第1の開口数および第1の波長を有する第1の発光素子240aを含むことが好ましい。第1の発光素子240aから放射される第1の光は反射対物型カプラを介して光ファイバ100の端面に入射されることが好ましい。また、光ファイバコネクタ200aは以下の構成を有する第2の受光素子230aを含むことが好ましい。第2の受光素子230aは、第1の開口数よりも小さい第2の開口数、及び、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の発光素子230bから放射され、光ファイバ100を伝搬し、光ファイバ100の端面から放射される第2の光を受光することが好ましい。また、第2の光は光ファイバ100の第1コア部101を伝搬し、第1の光は光ファイバの第1コア部101を含む第2コア部102を伝搬することが好ましい。
【0062】
上記構成によれば、複数のコアを適切に配置し、上下光信号の干渉を適切に低減した高速通信可能な光ファイバ、及び、当該光ファイバへの結合効率を向上可能な光ファイバコネクタを実現することが可能になる。
【0063】
本開示の第2の態様に係わる、反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ200b、および、光ファイバ100を含む非対称双方向光伝送モジュール300における光ファイバコネクタ200bは以下の構成を含むことが好ましい。光ファイバコネクタ200bは、以下の構成を有する第1の受光素子240bを含むことが好ましい。第1の受光素子240bは、第1の開口数および第1の波長を有する第1の発光素子240aから放射され、光ファイバ100を伝搬し、光ファイバ100の端面から放射される第1の光を、反射対物型カプラを介して受光することが好ましい。また、光ファイバコネクタ200bは第1の開口数よりも小さい第2の開口数、および、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の発光素子230bを含むことが好ましい。第2の発光素子230bから放射される第2の光が光ファイバ100の端面に入射されることが好ましい。第2の光は光ファイバ100の第1コア部101を伝搬し、第1の光は光ファイバ100の第1コア部101を含む第2コア部102を伝搬することが好ましい。
【0064】
上記構成によれば、複数のコアを適切に配置し、上下光信号の干渉を適切に低減した高速通信可能な光ファイバ、及び、当該光ファイバへの結合効率を向上可能な光ファイバコネクタを実現することが可能になる。
【0065】
本開示の第3の態様に係わる、反射対物型カプラを含む光ファイバコネクタ200、および、光ファイバ100を含む非対称双方向光伝送モジュール300は、以下の構成の光ファイバコネクタ200を含むことが好ましい。すなわち、非対称双方向光伝送モジュール300は、第1の態様に係わる光ファイバコネクタ200aが光ファイバ100の一端に接続されることが好ましい。非対称双方向光伝送モジュール300は、第2の態様に係わる光ファイバコネクタ200bが光ファイバ100の他端に接続されることが好ましい。
【0066】
上記構成によれば、複数の異なる特性のコアを適切に配置し、上下光信号の干渉を適切に低減した高速通信可能な光ファイバ及び当該光ファイバへの結合効率を向上可能な光ファイバコネクタによって、適切な非対称双方向光伝送モジュールを実現可能となる。
【0067】
本開示の第4の態様に係わる非対称双方向光伝送モジュール300の第1の発光素子240aは非コヒーレント光源であり、第2の発光素子230bはコヒーレント光源であることが好ましい。
【0068】
上記構成によれば、複数の異なるコアを適切に配置し、コアを伝送する光の特性をコアの特性に対して適切に選択することによって、上下光信号の伝送速度を適切に設定することが可能な非対称双方向光伝送モジュールを実現することが可能になる。
【0069】
本開示の第5の態様に係わる非対称双方向光伝送モジュール300の第1の発光素子240aはLED(light emitting diode)であり、第2の発光素子230bはレーザ光源であることが好ましい。
【0070】
上記構成によれば、複数の異なるコアを適切に配置し、コアを伝送する光の特性をコアの特性に対して適切に選択することによって、上下光信号の伝送速度を適切に設定することが可能な非対称双方向光伝送モジュールを実現することが可能になる。
【0071】
本開示の第6の態様に係わる非対称双方向光伝送モジュール300の光ファイバ100の第1コア部101の開口数は第2コア部102の開口数よりも小さいことが好ましい。第1コア部101はGI(Graded Index Fiber)構造の光ファイバまたはシングルモード光ファイバであることが好ましい。第2コア部102は第1コア部101の外周のクラッド部に位置し、第1コア部101を含まない第2コア部102はSI(Step-Index Fiber)構造の光ファイバであることが好ましい。第1コア部101および第2コア部102は双方向に光を伝搬可能であることが好ましい。
【0072】
上記構成によれば、上りの信号と下りの信号の伝送速度が異なる伝送システムにおいて、SI構造の中にGI構造またはシングルモード光ファイバ構造を有する一本の光ファイバによって、適切に双方向通信を実行することが可能になる。
【0073】
本開示の第7の態様に係わる非対称双方向光伝送モジュール300の反射対物型カプラは、非球面の第1のミラー221および円錐型の第2のミラー222を含むことが好ましい。第2のミラー222aは第1の発光素子240aから放射された光を第1のミラー221aの方向に反射し、第1のミラー221aは第2のミラー222aで反射された光を光ファイバ100の端面に集光することが好ましい。または、光ファイバ100の端面から放射された光を第1のミラー221bは第2のミラー222bの方向に反射し、第2のミラー222bは第1のミラー221bで反射された光を第1の受光素子240bに集光することが好ましい。
【0074】
上記構成によれば、反射対物型カプラ等の部材を適切な配置で構成することが可能になるので、部材費や製造精度に伴う製造コストを抑制することができ、部材及び製造コストを低減することが可能になる。また、従来の一芯双方向リンクに対し、コネクタの内部の構成を所望の伝送速度に対応した最低限の構成にすることが可能になる。
【0075】
本開示の第8の態様に係わる非対称双方向光伝送モジュール300の第2の受光素子230aは第2のミラー222aと光ファイバ100との間に位置し、第1の発光素子240aは第2のミラー222aと第1のミラー221aとの間に位置することが好ましい。第2の発光素子230bは第2のミラー222bと光ファイバ100との間に位置し、第1の受光素子240bは第2のミラー222bと第1のミラー221bとの間に位置することが好ましい。
【0076】
上記構成によれば、反射対物型カプラと発光素子および受光素子とを適切な位置に配置することが可能になるので、光ファイバへ入射、及び、光ファイバから出射される光と、光ファイバとの光の結合効率を向上させることが可能になる。
【0077】
本開示の第9の態様に係わる非対称双方向光伝送モジュール300における光学素子の位置関係は下記の関係であることが好ましい。光ファイバの中心軸C1方向において、第1のミラー221aと第1の発光素子240aとの距離のl2が、第1のミラー221aから第1のミラーによって反射された第1の光が集光する位置までの距離のl1の10%から30%の範囲であることが好ましい。光ファイバ100の中心軸C1方向において、第1のミラー221bと第1の受光素子240bとの距離であるl2が、第1のミラー221bに入射する第1の光が放射されるファイバの端面までの距離であるl1の10%から30%の範囲であることが好ましい。
【0078】
上記構成によれば、反射対物型カプラと発光素子および受光素子とを適切な位置に配置することが可能になるので、光ファイバへ入射、及び、光ファイバから出射される光と、光ファイバとの光の結合効率を向上させることが可能になる。特に、((l2/l1)×100)の範囲が10%から30%にある場合に、光ファイバとの光の結合効率のピークが出現する。
【0079】
本開示の第10の態様に係わる非対称双方向光伝送モジュール300の第2のミラー222a、222bの開口数は、0.7以上1未満であることが好ましい。
【0080】
上記構成によれば、第2のミラーの開口数を変化させた場合に、第2のミラーの開口数が0.7以上1未満の範囲において、((l2/l1)×100)の値が10%から30%の範囲に、光ファイバとの光の結合効率のピークが出現する。
【0081】
(実施形態の補足)
上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図は、機能単位のブロックを示している。各機能ブロックを実現する方法は、特に限定されない。例えば、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つのデバイスを用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上のデバイスを直接的または間接的に接続し、これら複数のデバイスを用いて実現されてもよい。
【0082】
制御ユニット10および/または撮像装置20が、複数のハードウェア要素で構成される場合、制御ユニット10および/または撮像装置20の図示しない機能ブロックは、何れかのハードウェア要素、又は当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。ハードウェア要素として、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置、バスなどが挙げられる。
【0083】
また、この場合、制御ユニット10および/または撮像装置20の各機能は、プロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェアまたはプログラムを読み込ませることによって実現される。具体的には、各機能は、ハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、プロセッサが演算を行い、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みを制御することによって実現される。
【0084】
本開示における判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0085】
本明細書で説明した各態様、変形例/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャート等は、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0086】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0087】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0088】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味する。また、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。
【0089】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0090】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0091】
上記の各装置の構成における「部」を、「手段」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0092】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0093】
本開示において、例えば、英語でのa,an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0094】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0095】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0096】
実施形態につき、図面を参照して詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0097】
10 制御ユニット
20 撮像装置
100 光ファイバ
101 第1コア部
102 第2コア部
200a、200b 光ファイバコネクタ
221a、221b 第1のミラー
222a、222b 第2のミラー
230a 第2の受光素子
230b 第2の発光素子
240a 第1の発光素子
240b 第1の受光素子
300 非対称双方向光伝送モジュール
400 通信システム