(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】アライメント装置およびアライメント方法、ならびに成膜装置および成膜方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20241120BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20241120BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20241120BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20241120BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241120BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
C23C14/24 G
G03F9/00 H
C23C14/04 A
H01L21/68 F
H05B33/14 A
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2020142409
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 和憲
(72)【発明者】
【氏名】神田 寛
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-176809(JP,A)
【文献】特開2008-287935(JP,A)
【文献】特開2015-067845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
G03F 9/00
C23C 14/04
H01L 21/68
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを支持するマスク支持手段と、
基板を前記マスクと平行な面において支持する基板支持手段と、
前記マスクに設けられたマスクマークと前記基板に設けられた基板マークを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の合焦範囲を変更する合焦範囲変更手段と、
前記マスクと前記基板の相対位置を調整するアライメント手段と、
を備えるアライメント装置において、
前記基板マークは、第1の基板マークと、第2の基板マークを含み、
前記マスクマークは、第1のマスクマークと、第2のマスクマークを含み、
前記撮影手段は、第1の撮影手段と、前記第1の撮影手段よりも被写界深度が浅
く解像度が高い第2の撮影手段と、を含み、
前記合焦範囲変更手段が、前記第2のマスクマークを含むように前記第2の撮影手段の合焦範囲を変更した状態で、
記憶手段が前記第2のマスクマークの位置情報を記憶するために前記第2の撮影手段が前記
第2のマスクマークを撮影する第1の撮影動作を行い、
前記基板支持手段が前記基板を、前記マスクと接触せず、かつ、前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークが前記第1の撮影手段の合焦範囲に含まれるアライメント高さ位置に移動させた状態において、前記第1の撮影手段が前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークを撮影し、撮影された前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークとを用いて、前記アライメント手段が前記マスクと前記基板の相対位置を調整する第1のアライメントを行い、
前記第1のアライメントの後に、前記合焦範囲変更手段が、前記アライメント高さ位置における前記第2の基板マークを含むように前記第2の撮影手段の合焦範囲を前記第1のアライメントにおける前記第1の撮影手段の合焦範囲にあわせて変更した状態において、前記第2の撮影手段が前記第2の基板マークを撮影する第2の撮影動作を行い、
前記第1の撮影動作によって撮影され
前記記憶手段に位置情報が記憶された前記第2のマスクマークと前記第2の撮影動作によって撮影された前記第2の基板マークとを用いて、前記アライメント手段が前記マスクと前記基板の相対位置を前記第1のアライメントよりも高い精度で調整する第2のアライメントを行い、
前記基板と前記マスクが接触しない前記アライメント高さ位置において、前記第1の撮影手段は前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークの両方を同時に撮影できる被写界深度を有し、前記第2の撮影手段は前記第2の基板マークと前記第2のマスクマークの両方を同時に撮影できない被写界深度を有する、
ことを特徴とするアライメント装置。
【請求項2】
前記アライメント手段は、前記基板を、前記基板支持手段の支持面または前記マスク支持手段の支持面と垂直な方向に移動させる垂直移動手段と、前記基板と前記マスクの少なくともいずれかを、前記基板支持手段の支持面または前記マスク支持手段の支持面と平行な面内で移動させる面内移動手段とを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記アライメント手段の前記面内移動手段は、前記第1のマスクマークと前記第1の基板マークの位置関係、または前記第2のマスクマークと前記第2の基板マークの位置関係が所定の位置関係となるように、前記基板と前記マスクの少なくともいずれかを移動させる
ことを特徴とする請求項2に記載のアライメント装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記第1の撮影動作において前記第2の撮影手段によって撮影された前記第2のマスクマークを記憶
し、
前記アライメント手段は、前記記憶手段に記憶された前記第2のマスクマークと、前記第2の撮影動作において前記第2の撮影手段によって撮影された前記第2の基板マークとを用いて、前記マスクと前記基板の相対位置を調整する第2のアライメントを行う
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項5】
同一のマスクに対して順次搬送されてくる複数の基板と前記マスクの間で前記相対位置を調整する前記第2のアライメントを行う際、前記複数の基板に対し前記記憶手段に記憶された同一の第2のマスクマークを用いて前記相対位置を調整する前記第2のアライメントを行う
ことを特徴とする請求項4に記載のアライメント装置。
【請求項6】
前記基板支持手段が前記基板を前記マスクと接触する位置に移動させ、かつ、前記合焦範囲変更手段が、前記第2のマスクマーク及び前記第2の基板マークを含むように前記第2の撮影手段の合焦範囲を変更した状態で、前記第2の撮影手段が該マスクマークおよび該基板マークを撮影する第3の撮影動作を行い、
前記記憶手段に記憶された前記第2のマスクマークと、第3の撮影動作で撮影された前記第2のマスクマークの位置ずれ量が所定値を超えた場合、前記第3の撮影動作で撮影された前記第2のマスクマークを用いて前記記憶手段に記憶された前記第2のマスクマークを更新する
ことを特徴とする請求項4または5に記載のアライメント装置。
【請求項7】
前記合焦範囲変更手段は、前記第2の撮影手段を、前記マスクが支持される面と垂直な方向に移動させることにより前記合焦範囲を変更する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項8】
前記合焦範囲変更手段は、前記第2の撮影手段が有する機構により前記合焦範囲を変更する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項9】
チャンバと、
前記チャンバに備えられる請求項1~8のいずれか1項に記載のアライメント装置と、
前記相対位置を調整した後、前記マスクと前記基板とを接触させた状態で前記マスクを介して前記基板上に成膜を行う成膜手段と、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
マスクを支持するマスク支持手段と、基板を前記マスクと平行な面において支持する基板支持手段と、前記マスクに設けられたマスクマークと前記基板に設けられた基板マークを撮影する撮影手段と、前記マスクと前記基板の相対位置を調整するアライメント手段と、を備えるアライメント装置における基板とマスクとのアライメント方法において、
前記基板マークは、第1の基板マークと、第2の基板マークを含み、
前記マスクマークは、第1のマスクマークと、第2のマスクマークを含み、
前記撮影手段は、第1の撮影手段と、前記第1の撮影手段よりも被写界深度が浅
く解像度が高い第2の撮影手段と、を含み、
前記第2の撮影手段の合焦範囲を前記マスク支持手段に支持されたマスクの前記第2のマスクマークが含まれる範囲にした前記第2の撮影手段を用いて
記憶手段が前記第2のマスクマークの位置情報を記憶するために前記第2のマスクマークを撮影する第1の撮影工程と、
基板を支持した前記基板支持手段を、該基板が前記マスク支持手段に支持された前記マスクと接触せず、かつ、前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークが前記第1の撮影手段の合焦範囲に含まれるアライメント高さ位置に移動させる移動工程と、
前記移動工程の後に、前記第1の撮影手段が前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークを撮影し、撮影された前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークとを用いて、前記アライメント手段が前記マスクと前記基板の相対位置を調整する第1のアライメント工程と、
前記第1のアライメント工程の後に、前記第2の撮影手段の合焦範囲を前記アライメント高さ位置における前記第2の基板マークが含まれる範囲にした前記第2の撮影手段を用いて前記第2の基板マークを撮影する第2の撮影工程と、
前記第1の撮影工程において撮影され
前記記憶手段に位置情報が記憶された前記第2のマスクマークと、前記第2の撮影工程において撮影された前記第2の基板マークとを用いて、前記マスクと前記基板の相対位置を前記第1のアライメント工程よりも高い精度で調整する第2のアライメント工程と、
を有し、
前記基板と前記マスクが接触しない前記アライメント高さ位置において、前記第1の撮影手段は前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークの両方を同時に撮影できる被写界深度を有し、前記第2の撮影手段は前記第2の基板マークと前記第2のマスクマークの両方を同時に撮影できない被写界深度を有することを特徴とするアライメント方法。
【請求項11】
前記第1および第2のアライメント工程は、前記基板を、前記基板支持手段の支持面または前記マスク支持手段の支持面と垂直な方向に移動させる垂直移動工程と、前記基板と前記マスクの少なくともいずれかを、前記基板支持手段の支持面または前記マスク支持手段の支持面と平行な面内で移動させる面内移動工程とを含む
ことを特徴とする請求項10に記載のアライメント方法。
【請求項12】
前記第1および第2のアライメント工程の前記面内移動工程では、前記第1のマスクマークと前記第1の基板マークの位置関係、または前記第2のマスクマークと前記第2の基板マークの位置関係が所定の位置関係となるように、前記基板と前記マスクの少なくともいずれかを移動させることを特徴とする請求項11に記載のアライメント方法。
【請求項13】
前記
記憶手段
は、前記第1の撮影工程において前記第2の撮影手段によって撮影された前記第2のマスクマークを記憶し、
前記アライメント方法は、前記第1の撮影工程において前記第2の撮影手段によって撮影された前記第2のマスクマークを記憶する記憶工程をさらに有し、
前記第2のアライメント工程では、前記記憶手段に記憶された前記第2のマスクマークと、前記第2の撮影工程において前記第2の撮影手段によって撮影された前記第2の基板マークとを用いて、前記マスクと前記基板の相対位置を調整することを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載のアライメント方法。
【請求項14】
同一のマスクに対して順次搬送されてくる複数の基板と前記マスクとの間で前記相対位置の調整を行う際、前記複数の基板に対し前記記憶工程で記憶された同一の前記第2のマスクマークを用いて前記相対位置を調整する前記第2のアライメントを行う
ことを特徴とする請求項13に記載のアライメント方法。
【請求項15】
基板を支持した前記基板支持手段を、前記基板と前記マスクが接触する位置に移動させる第2の移動工程と、
前記第2の移動工程の後に、前記第2の撮影手段の合焦範囲を前記接触する位置における前記第2のマスクマークおよびと前記第2の基板マークが含まれる範囲にして前記第2のマスクマークおよび前記第2の基板マークを撮影する第3の撮影工程と、
前記記憶手段に記憶された前記第2のマスクマークと、第3の撮影工程で撮影された前記第2のマスクマークの位置ずれ量が所定値を超えた場合、前記第3の撮影工程で撮影された前記第2のマスクマークを用いて前記記憶手段に記憶された前記第2のマスクマークを更新する更新工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項13または14に記載のアライメント方法。
【請求項16】
前記第1および第2の撮影工程において、前記第2の撮影手段を、前記マスクが支持される面と垂直な方向に移動させることにより前記第2の撮影手段の合焦範囲を変更する
ことを特徴とする請求項10~15のいずれか1項に記載のアライメント方法。
【請求項17】
前記第1および第2の撮影工程において、前記第2の撮影手段が有する機構により前記第2の撮影手段の合焦範囲を変更する
ことを特徴とする請求項10~15のいずれか1項に記載のアライメント方法。
【請求項18】
チャンバと、前記チャンバに備えられる請求項10~17のいずれか1項に記載のアライメント方法に用いられるアライメント装置と、成膜手段と、を備える成膜装置における成膜方法であって、
前記相対位置を調整した後、前記マスクと前記基板とを接触させた状態で前記マスクを介して前記基板上に成膜を行う成膜工程を有する
ことを特徴とする成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント装置およびアライメント方法、ならびに成膜装置および成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置や液晶表示装置など、パネルディスプレイを用いた表示装置が広く用いられている。中でも有機EL表示装置は、自発光ディスプレイである有機ELディスプレイを用いており、応答速度、視野角、薄型化などの特性が優れており、モニタ、テレビ、スマートフォン等の携帯端末などに好適に用いられている。また、自動車用ディスプレイ等にも応用されている。
【0003】
パネルディスプレイの製造工程において、多くの場合、基板とマスクの位置合わせ(アライメント)を行い、マスクを介して基板に成膜材料が成膜される。例えば有機ELディスプレイの場合、成膜装置内で基板に画素パターンが形成されたマスクを位置合わせし、マスクを介して有機材料や金属材料を成膜することにより、基板上に機能層や電極金属層を形成する。したがって、基板上の所望の位置に所望のパターンで成膜を行って高精度な製造を行うためには、基板とマスクの間の相対的位置調整を精密に実施する必要がある。
【0004】
特許文献1(国際公開第2017/222009号)には、電子デバイスの製造装置において、周縁部を挟持された基板をマスク台に載置されたマスクに対して相対的に移動させることでアライメントを行う技術が開示されている。特許文献1の技術は、基板上とマスク上にそれぞれ形成されたアライメントマークをカメラで撮影し、双方のアライメントマークの位置が一致するように基板を平面内で移動させることで位置合わせを行っている。
【0005】
特許文献2(特開平6-029173号公報)では、二つの表面をアライメントする際に、一方の表面を撮影したビデオイメージをメモリに格納しておき、他方の表面を撮影したイメージにスーパーインポーズする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/222009号
【文献】特開平6-029173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで近年、ディスプレイの大型化が進んでいる影響で基板も大型化しており、成膜装置内部でアライメントのために周縁部を挟持された基板の自重による撓みへの対応が求められている。周縁部が挟持された基板が撓むと、成膜が行われる成膜領域である基板中央部が垂下して、マスクと接触する場合がある。
【0008】
基板とマスクの接触が起こると、基板自体、または基板上に既に形成された膜が損傷してディスプレイの性能に影響を及ぼす可能性がある。また、基板とマスクが接触した状態で基板を平面方向に移動させてアライメントを行うと、接触部分が引っ掛かって基板の自由な移動が妨げられ、基板に歪みが生じる可能性がある。さらに、アライメントの途中で基板とマスクが接触すると、マスクからの応力により基板の位置がずれてしまい、アライ
メント精度が低下する可能性がある。
【0009】
以上より、基板が撓んだ場合でも、基板とマスクの接触をできるだけ抑制することで、アライメント精度の低下や、基板または基板上に形成された膜の損傷を防止するための技術が求められている。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アライメント中の基板とマスクの接触を抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを支持するマスク支持手段と、
基板を前記マスクと平行な面において支持する基板支持手段と、
前記マスクに設けられたマスクマークと前記基板に設けられた基板マークを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の合焦範囲を変更する合焦範囲変更手段と、
前記マスクと前記基板の相対位置を調整するアライメント手段と、
を備えるアライメント装置において、
前記基板マークは、第1の基板マークと、第2の基板マークを含み、
前記マスクマークは、第1のマスクマークと、第2のマスクマークを含み、
前記撮影手段は、第1の撮影手段と、前記第1の撮影手段よりも被写界深度が浅く解像度が高い第2の撮影手段と、を含み、
前記合焦範囲変更手段が、前記第2のマスクマークを含むように前記第2の撮影手段の合焦範囲を変更した状態で、記憶手段が前記第2のマスクマークの位置情報を記憶するために前記第2の撮影手段が前記第2のマスクマークを撮影する第1の撮影動作を行い、
前記基板支持手段が前記基板を前記マスクと接触せず、かつ、前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークが前記第1の撮影手段の合焦範囲に含まれるアライメント高さ位置に移動させた状態において、前記第1の撮影手段が前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークを撮影し、撮影された前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークとを用いて、前記アライメント手段が前記マスクと前記基板の相対位置を調整する第1のアライメントを行い、
前記第1のアライメントの後に、前記合焦範囲変更手段が、前記アライメント高さ位置における前記第2の基板マークを含むように前記第2の撮影手段の合焦範囲を前記第1のアライメントにおける前記第1の撮影手段の合焦範囲にあわせて変更した状態において、前記第2の撮影手段が前記第2の基板マークを撮影する第2の撮影動作を行い、
前記第1の撮影動作によって撮影され前記記憶手段に位置情報が記憶された前記第2のマスクマークと前記第2の撮影動作によって撮影された前記第2の基板マークとを用いて、前記アライメント手段が前記マスクと前記基板の相対位置を前記第1のアライメントよりも高い精度で調整する第2のアライメントを行い、
前記基板と前記マスクが接触しない前記アライメント高さ位置において、前記第1の撮影手段は前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークの両方を同時に撮影できる被写界深度を有し、前記第2の撮影手段は前記第2の基板マークと前記第2のマスクマークの両方を同時に撮影できない被写界深度を有する、
ことを特徴とするアライメント装置である。
【0012】
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを支持するマスク支持手段と、基板を前記マスクと平行な面において支持する基板支持手段と、前記マスクに設けられたマスクマークと前記基板に設けられた基板マークを撮影する撮影手段と、前記マスクと前記基板の相対位置を調整するアライメント手段と、を備えるアライメント装置における基板とマスクとのアライメント方法において、
を備えるアライメント装置における基板とマスクとのアライメント方法において、
前記基板マークは、第1の基板マークと、第2の基板マークを含み、
前記マスクマークは、第1のマスクマークと、第2のマスクマークを含み、
前記撮影手段は、第1の撮影手段と、前記第1の撮影手段よりも被写界深度が浅く解像度が高い第2の撮影手段と、を含み、
前記第2の撮影手段の合焦範囲を前記マスク支持手段に支持されたマスクの前記第2のマスクマークが含まれる範囲にした前記第2の撮影手段を用いて記憶手段が前記第2のマスクマークの位置情報を記憶するために前記第2のマスクマークを撮影する第1の撮影工程と、
基板を支持した前記基板支持手段を、該基板が前記マスク支持手段に支持された前記マ
スクと接触せず、かつ、前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークが前記第1の撮影手段の合焦範囲に含まれるアライメント高さ位置に移動させる移動工程と、
前記移動工程の後に、前記第1の撮影手段が前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークを撮影し、撮影された前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークとを用いて、前記アライメント手段が前記マスクと前記基板の相対位置を調整する第1のアライメント工程と、
前記第1のアライメント工程の後に、前記第2の撮影手段の合焦範囲を前記アライメント高さ位置における前記第2の基板マークが含まれる範囲にした前記第2の撮影手段を用いて前記第2の基板マークを撮影する第2の撮影工程と、
前記第1の撮影工程において撮影され前記記憶手段に位置情報が記憶された前記第2のマスクマークと、前記第2の撮影工程において撮影された前記第2の基板マークとを用いて、前記マスクと前記基板の相対位置を前記第1のアライメント工程よりも高い精度で調整する第2のアライメント工程と、
を有し、
前記基板と前記マスクが接触しない前記アライメント高さ位置において、前記第1の撮影手段は前記第1の基板マークと前記第1のマスクマークの両方を同時に撮影できる被写界深度を有し、前記第2の撮影手段は前記第2の基板マークと前記第2のマスクマークの両方を同時に撮影できない被写界深度を有することを特徴とするアライメント方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アライメント中の基板とマスクの接触を抑制するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】成膜装置を含む電子デバイスの製造ラインの模式図
【
図3】成膜装置によるアライメントに関する機能ブロックを示す図
【
図4】基板とマスクにおけるアライメントマークとカメラによる撮像領域を示す図
【
図6】一実施例における処理全体の流れを説明するフロー図
【
図7】一実施例におけるアライメントの流れを示す断面図
【
図8】一実施例におけるアライメントの流れを示す続きの断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。ただし、以下の記載は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に記載がない限りは、本発明の範囲をこれに限定しようとする趣旨ではない。
【0016】
ここで、基板に何らかの所望の形状を持つ膜を形成する際には、形成される膜の形状に適したマスクパターンを有するマスクを用いる。これにより、成膜される各層を任意に構成できる。このとき、基板上の所望の位置に膜を形成するために、基板等とマスクの相対位置を精度良くアライメントする必要がある。
【0017】
本発明は、上記のように基板とマスクをアライメントする構成に好適に用いられる。したがって本発明は、基板とマスクのアライメント装置またはアライメント方法として捉えられる。本発明はまた、かかるアライメント装置またはアライメント方法を用いた成膜装置または成膜方法としても捉えられる。本発明はまた、かかる成膜装置または成膜方法を用いた電子デバイスの製造装置または電子デバイスの製造方法としても捉えられる。
【0018】
本発明は、基板の表面にマスクを介して所望のパターンの薄膜材料層を形成する場合に好ましく適用できる。基板の材料としては、ガラス、樹脂、金属、シリコンなど任意のものを利用できる。成膜材料としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物)など任意のものを利用できる。本発明の技術は、典型的には、電子デバイスや光学部材の製造装置に適用される。特に、有機ELディスプレイやそれを用いた有機EL表示装置、薄膜太陽電池、有機CMOSイメージセンサなどの有機電子デバイスに好適である。ただし本発明の適用対象はこれに限られない。
【0019】
<実施例1>
(電子デバイスの製造ライン)
図1は、電子デバイスの製造ラインの構成を模式的に示す平面図である。このような製造ラインは、成膜装置を含む成膜システムと言える。ここでは、有機ELディスプレイの製造ラインについて説明する。有機ELディスプレイを製造する場合、製造ラインに所定のサイズの基板を搬入し、有機ELや金属層の成膜を行った後、基板のカットなどの後処理工程を実施する。
【0020】
図1に示すように、製造ラインの成膜クラスタ1は、中央に配置される搬送室130と、搬送室130の周囲に配置される成膜室110およびマスクストック室120を含む。成膜室110は成膜装置を含み、基板10に対する成膜処理が行われる。マスクストック室120は使用前後のマスクが収納される。
【0021】
搬送室130内に設置された搬送ロボット140は、基板10やマスク220を搬送室130に搬入し、搬送室130から搬出する。搬送ロボット140は、例えば、多関節アームに基板10やマスク220を保持するロボットハンドが取り付けられたロボットである。成膜室110、マスクストック室120、搬送室130、バッファ室160、旋回室
170などの各チャンバは、有機EL表示パネルの製造過程で高真空状態を維持する。
【0022】
成膜クラスタ1には、基板搬送方向において上流側から流れてくる基板10を搬送室130に搬送するパス室150と、成膜処理が完了した基板10を下流側の他の成膜クラスタに搬送するためのバッファ室160が含まれる。搬送室130の搬送ロボット140は、パス室150から基板10を受け取ると、複数の成膜室110のうちの一つに搬送する。搬送ロボット140はまた、成膜処理が完了した基板10を成膜室110から受け取り、バッファ室160に搬送する。図示例では、パス室150のさらに上流側や、バッファ室160のさらに下流側には、基板10の方向を変える旋回室170が設けられる。
【0023】
(成膜装置)
図2は、成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。複数の成膜室110それぞれには、成膜装置108(蒸着装置とも呼ぶ)が設けられている。搬送ロボット140との基板10の受け渡し、基板10とマスク220の相対位置の調整(アライメント)、マスク上への基板10の固定、成膜(蒸着)などの一連の成膜プロセスは、成膜装置の各構成要素によって行われる。
【0024】
以下の説明においては、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を用いる。XYZ直交座標系において、成膜時に基板が水平面(XY平面)と平行となるよう固定された場合、長辺と短辺を有する矩形の基板10の短手方向(短辺に平行な方向)をX方向、長手方向(長辺に平行な方向)をY方向とする。また、Z軸まわりの回転角をθで表す。
【0025】
成膜装置108は、真空チャンバ200を有する。真空チャンバ200の内部は、真空雰囲気、または、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されている。真空チャンバ200の内部には、基板支持ユニット210、マスク220、マスク台221、冷却板230、および蒸発源240が設けられる。
【0026】
基板支持ユニット210(基板支持手段)は、搬送ロボット140から受け取った基板10を支持するホルダとしての機能を有する基板支持手段である。マスク220は、例えばメタルマスクであり、基板上に形成される薄膜パターンに対応する開口パターンを持つ。マスク220は、マスク支持ユニットである枠状のマスク台221(マスク支持手段)の上に設置されている。本実施例の構成では、マスク上に基板10が位置決めされて支持されたのち、成膜が行われる。基板支持手段については後に詳しく述べる。
【0027】
冷却板230は、成膜時には、基板10の、マスク220と接触する面とは反対側の面に接触し、成膜時の基板10の温度上昇を抑える板状部材である。冷却板230が基板10を冷却することにより、有機材料の変質や劣化が抑制される。冷却板230は、マグネット板を兼ねていてもよい。マグネット板とは、磁力によってマスク220を引き付けることで、成膜時の基板10とマスク220の密着性を高める部材である。なお、基板10とマスク220の密着性を高めるために、基板支持ユニット210が基板10とマスク220を両方とも保持して、アクチュエータ等により密着させても良い。
【0028】
蒸発源240は、蒸着材料を収容する容器(ルツボ)、ヒータ、シャッタ、駆動機構、蒸発レートモニタなどから構成される成膜手段である。なお、成膜源は蒸発源240には限定されない。例えば成膜装置108が、成膜源としてスパッタリングターゲットを用いるスパッタリング装置であってもよい。
【0029】
真空チャンバ200の外側上部には、基板Zアクチュエータ250、クランプZアクチュエータ251、冷却板Zアクチュエータ252が設けられる。各アクチュエータは例えば、モータとボールねじ、モータとリニアガイドなどで構成される。真空チャンバ200
の外側上部にはさらに、アライメントステージ280が設けられている。
基板Zアクチュエータ250は、基板支持ユニット210全体をZ軸方向に昇降させる駆動手段である。基板Zアクチュエータ250は、アライメント手段が備える垂直移動手段と言える。クランプZアクチュエータ251は、基板支持ユニット210の挟持機構(後述)を開閉させる駆動手段である。冷却板Zアクチュエータ252は、冷却板230を昇降させる駆動手段である。
【0030】
(アライメントのための構成)
アライメントステージ280は、基板10をXY方向に移動させ、またθ方向に回転させてマスク220との位置を変化させる、アライメント装置である。アライメントステージ280は、アライメント手段が備える面内移動手段と言える。アライメントステージ280は、真空チャンバ200に接続されて固定されるチャンバ固定部281、XYθ移動を行うためのアクチュエータ部282、基板支持ユニット210と接続される接続部283を備える。なお、アライメントステージ280と基板支持ユニット210を合わせてアライメント装置としてもよい。また、アライメンドステージ280と基板支持ユニット210に、さらに制御部270を加えてアライメント装置だとしても良い。
【0031】
アクチュエータ部282としては、Xアクチュエータ、Yアクチュエータおよびθアクチュエータを積み重ねられたアクチュエータを用いてもよい。また、複数のアクチュエータが協働するUVW方式のアクチュエータを用いてもよい。いずれの方式のアクチュエータ部282であっても、制御部270から送信される制御信号に従って駆動し、基板10をX方向およびY方向に移動させ、θ方向に回転させる。制御信号は、積み重ね方式のアクチュエータであればXYθ各アクチュエータの動作量を示し、UVW方式のアクチュエータであればUVW各アクチュエータの動作量を示す。
【0032】
アライメントステージ280は基板支持ユニット210をXYθ移動させる。なお、本実施例では基板10の位置を調整する構成としたが、マスク220の位置を調整する構成や、基板10とマスク220両方の位置を調整する構成でもよい。
【0033】
真空チャンバ200の外側上部には、撮影手段として、光学撮像を行って画像データを生成する第1のカメラ260(ラフアライメントカメラ)と第2のカメラ261(ファインアライメントカメラ)が設けられている。第1のカメラ260と第2のカメラ261は、真空チャンバ200に設けられた窓を通して撮像を行う。本実施例のように二段階アライメントが実行される場合、最初に低解像だが広視野のラフアライメント用のカメラである第1のカメラ260を用いた第1のアライメント(ラフアライメント)が行われる。続いて、狭視野だが高解像のファインアライメント用のカメラである第2のカメラ261を用いた第2のアライメント(ファインアライメント)が行われる。
【0034】
本実施例では、第1のカメラ260の設置場所は、成膜位置に配置された基板10およびマスク220の短辺中央部を撮像できる位置である。第1のカメラ260の撮像領域には、基板表面の第1の基板アライメントマーク103と、マスク表面の第1のマスクアライメントマーク223が含まれる。また第2のカメラ261の設置場所は、成膜位置に配置された基板10およびマスク220の隅部を撮像できる位置である。第2のカメラ261の撮像領域には、基板表面の第2の基板アライメントマーク104と、マスク表面の第2のマスクアライメントマーク224が含まれる。本実施例では、基板10およびマスク220の四隅に対応するように、4台の第2のカメラ261を設けている。ただし、アライメントマークの数および設置場所、ならびに、カメラの数、設置場所および種類は、この例に限定されない。本発明の基板マークは、少なくとも第2の基板アライメントマーク104を含む。本発明のマスクマークは、少なくとも第2のマスクアライメントマーク224を含む。
【0035】
制御部270は、第1のカメラ260と第2のカメラ261による撮像画像データを解析する。これにより、第1の基板アライメントマーク103、第1のマスクアライメントマーク223、第2の基板アライメントマーク104、および第2のマスクアライメントマーク224の位置情報が取得される。その結果、基板10とマスク220の距離や角度などを算出できる。第1のカメラ260、第2のカメラ261は、各アライメントマークの位置情報を取得する位置取得手段である。また、第1のカメラ260および第2のカメラ261に制御部270の構成を合わせて、位置取得手段としても良い。
【0036】
典型的には、各基板アライメントマークはフォトリソグラフィーによって基板上に形成され、各マスクアライメントマークは機械加工によりマスク上に形成される。ただし、マークの形成方法はこれらに限られず、材料や目的に応じて選択できる。また、マークの形状やサイズは、カメラの性能や画像解析の能力に応じて設定できる。
【0037】
制御部270は、アクチュエータ部282の各アクチュエータの動作制御、カメラ261の撮影制御および画像データ解析、基板10およびマスク220の搬出入制御およびアライメント制御、成膜源の制御、成膜の制御、その他様々な制御を行う。制御部270は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータにより構成可能である。この場合、制御部270の機能は、メモリ又はストレージに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを用いてもよいし、組込型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を用いてもよい。あるいは、制御部270の機能の一部又は全部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。なお、成膜装置ごとに制御部270が設けられていてもよいし、1つの制御部270が複数の成膜装置を制御してもよい。
【0038】
(アライメントに関する機能ブロック)
図3は、アライメント制御を説明するブロック図である。制御部270は、機能ブロックとして、画像処理部272、演算部274、コントローラ部276、記憶部278を有している。これらの機能ブロックは物理的に実現されてもよいし、プログラムモジュールとして仮想的に実現されても良い。
【0039】
画像処理部272は、第1のカメラ260が光学撮像した画像データをパターンマッチング処理等により解析して、第1の基板アライメントマーク103と第1のマスクアライメントマーク223を検出する。画像処理部272はまた、第2のカメラ261が光学撮像した画像データから、第2の基板アライメントマーク104と第2のマスクアライメントマーク224を検出する。
【0040】
演算部274は、画像データに基づいて各種の演算を行う。通常のアライメント時には、画像処理部272が検出したアライメントマークの位置ずれ量に基づいて基板のXYθ方向の移動量を算出する。
【0041】
コントローラ部276は、演算部274により算出された基板等の移動量を、アライメントステージ280の各アクチュエータが備えるステッピングモータやサーボモータ等の駆動量に変換し、制御信号を生成する。また、必要に応じて、アライメントステージ280からのセンサ信号を受信してフィードバック制御を行う。
【0042】
第1のカメラ260と第2のカメラ261は、チャンバ天井の窓を介して下方を光学的に撮像する。チャンバ内の気密を保持するために、真空用の封止窓を用いる。2台の第1のカメラ260は、基板およびマスクの短辺中央部に設定された撮像領域内に第1の基板
アライメントマーク103および第1のマスクアライメントマーク223が来る位置に設けられる。複数の第2のカメラ261は、基板およびマスクの四隅に設定されたそれぞれの撮像領域内に第2の基板アライメントマーク104および第2のマスクアライメントマーク224が来る位置に設けられる。
【0043】
また、第1のカメラ260の焦点は、概ねラフアライメントが行われるときのアライメントマークのZ方向高さに、第2のカメラ261の焦点は、概ねファインアライメントが行われるときのアライメントマークのZ方向高さに合わせられる。本実施例では、第2のカメラ261として、合焦範囲F2をZ方向においてある程度上下に昇降させられるものを用いる。ここでは、合焦範囲F2をZ方向において昇降するために、光学式カメラのピント合わせと同様に、第2のカメラ261に組み込まれたレンズ間の距離を機械的に変更する方法を用いる。したがって、カメラが有する焦点変更機構がフォーカスを変える合焦範囲変更手段となる。ただし、真空チャンバの上部に、合焦範囲変更手段としての昇降機構を組み込んで、実際に第2のカメラ261を昇降させることにより合焦範囲F2の高さを変更しても良い。
【0044】
なお、ここでの「合焦範囲F」とは、アライメントマークを検出して位置合わせをすることが可能な程度の深さ(Z方向の長さ)を持った範囲を指す。例えば、「第2のカメラ261の合焦範囲F2に第2の基板アライメントマーク104と第2のマスクアライメントマーク224が含まれる」とは、第2のカメラが取得した画像データにおいて、第2の基板アライメントマーク104および第2のマスクアライメントマーク224にピントが合っており、両方とも検出可能なことを意味する。そのためには基板10とマスク220がZ方向において近接している必要があり、本実施例ではマスク220に基板10を載置する。
【0045】
なお、ラフアライメント用の第1のカメラ260は、比較的広範囲を低解像度に撮像するカメラであり、撮像する光軸方向(実施例ではZ方向)における被写界深度が深い(合焦範囲F1が広い)。一方、ファインアライメント用の第2のカメラ261は、比較的狭い範囲を高解像度に撮像するカメラであり、光軸方向における被写界深度が浅い(合焦範囲F2が狭い)。したがって、第2のカメラ261で撮像するファインアライメント時には、第1のカメラ260で撮像するラフアライメント時と比べて、基板10とマスク220のZ方向の距離を短くする必要がある。そのため、何も対策をしなければ、基板10の撓みにより基板10の中央部がマスク220と接触する可能性が高まる。かかる接触は、基板や基板上の膜、素子などを傷める可能性があるため好ましくない。そこで、ファインアライメントであっても基板10とマスク220の接触回数をできるだけ少なくする必要がある。
【0046】
図4は、真空チャンバ200内の特定の領域を、Z方向上方から見た平面図である。第1のカメラ260と第2のカメラ261のXY面内での位置はチャンバ外側上部に固定されているため、各カメラによる撮像領域も、チャンバ内の特定の領域に対応している。
【0047】
ここでは、成膜装置が2つの第1のカメラ260と、4つの第2のカメラ261a~261dを備えているものとする。第1のカメラ260は各々、第1の撮像領域263を撮像する。第2のカメラ261a~261dは各々、第2の撮像領域264a~264dを撮像する。このとき、各カメラの位置は固定されているため、各カメラが取得した画像データ中の任意の位置を座標値に変換することができる。よって、各撮像画像中から検出されたアライメントマークの位置を座標値として取得できる。
【0048】
(基板支持ユニット)
図5の斜視図を参照して、基板支持ユニット210の構成例を説明する。
基板支持ユニット210は、基板10の各辺を支持する複数の支持具300が設けられた支持枠体301と、各支持具300との間で基板10を挟み込む複数の押圧具302が設けられたクランプ部材303を有する。一対の支持具300と押圧具302が1つの挟持機構305を構成する。ただし、挟持機構305の数や配置はこれに限られないし、挟持方式ではなく、基板を支持具に載置する方式でも良い。挟持機構305が平面内の仮想的な支持面にて基板を支持する。
【0049】
アライメントステージ280が、基板10を保持した状態の基板支持ユニット210に駆動力を伝達することにより、基板10のマスク220に対する相対位置が微調整される。基板10のZ方向移動においては、基板Zアクチュエータ250が駆動して基板支持ユニット210を移動させ、基板10を昇降させる。これにより、基板10とマスク220が接近または離間する。基板10のXYθ移動においては、アライメントステージ280が基板10をXY方向に直線移動、またはθ方向に回転移動させる。アライメント時に基板10が移動するのは、基板が配置されたXY平面内であり、当該平面はマスクが配置された平面と略平行である。すなわち、基板10のXYθ移動のときには基板10とマスク220のZ方向の距離は変化せず、XY平面内において基板10の位置が変化する。これにより、基板10とマスク220がXY平面内で位置合わせされる。
【0050】
(処理フロー)
図面を参照しながら処理の流れを説明する。
図6は、本実施例におけるアライメントの一連の処理と、それに続く工程を示すフロー図である。
図7および
図8は、フロー中の各工程におけるチャンバ内部の様子を模式的に示す断面図である。
【0051】
本フローは、ある成膜室110において基板10とマスク220がアライメントされる様子を説明する。本フローは、マスクストック室120に未使用のマスク220が格納されており、かつパス室150から成膜室110に基板10が搬入可能となった状態から開始する。
【0052】
ステップS101において、搬送ロボット140がマスクストック室120から搬出した1枚のマスク220を成膜室110に搬入し、マスク台221に設置する。このとき制御部270は、マスク220を正しい位置に設置するためにマスクアライメント制御を行う。マスクアライメント制御においては、例えば各カメラを用いてマスク台221に設置されたマスク220を撮影し、マスク220およびマスク台221の位置関係が所定の条件を満たしているか判定しても良い。
このとき真空チャンバ200の内部は、
図7(a)に示した状態になる。なお、マスク台221の上面を基準高さとしたとき、マスク220の高さ(ここでは、基板10と当接する面の高さ)をhm1とする。
【0053】
ステップS102にて、第2のカメラ261が備えるレンズ間の距離を機械的に調整することにより、第2のカメラ261の合焦範囲F2を上記マスクの高さhm1に合わせる。本ステップにて、第2のカメラ261の合焦範囲F2は、第2のマスクアライメントマーク224が含まれるような第1の範囲である必要がある。
【0054】
ステップS103にて、第2のカメラ261を用いて第2の撮像領域264の撮像を行う。これは第1の撮影動作(第1の撮影工程)に相当する。このとき、第2のマスクアライメントマーク224は合焦範囲F2にあるため、得られる画像データを制御部270が解析することにより、撮像画像を解析して第2のマスクアライメントマーク224の位置を検出できる。ここで、第2のカメラ261は真空チャンバ200に固定されているため、画像データ内における第2のマスクアライメントマーク224の位置は、実際の装置の座標系における座標に変換できる。そこで制御部270は、第2のマスクアライメントマ
ーク224の座標を記憶部278(記憶手段)に記憶させる。記憶されたマークが仮想マスクマークに相当する。
【0055】
ステップS104にて、搬送ロボット140が、パス室150から真空チャンバ内部に基板10を搬入する。基板支持ユニット210は、挟持機構305により基板10を支持する。このとき、
図7(b)に示すように、基板10の中央部が垂下していても基板10がマスク220と接触しない程度の間隔をおいた高さで基板10を保持する。
図7(b)において、第2のカメラ261の光軸と基板10が交差する箇所の高さはhs1とする。
【0056】
ステップS105にて、基板10とマスク220のラフアライメントを実行する。このとき制御部270は、第1のカメラ260を用いて第1の撮像領域263を撮影し、得られた画像データから第1の基板アライメントマーク103と第1のマスクアライメントマーク223を検出する。なお、
図7(c)に示すように、第1のカメラ260の合焦範囲F1は、Z方向において第1の基板アライメントマーク103と第1のマスクアライメントマーク223を含んでいる。すなわち、高さhs1を決定する際には、第1のカメラ260の合焦範囲F1に基板10とマスク220が含まれており、かつ、基板10の垂下部がマスク220に接触せず、間隔が空くような高さとする。これにより、基板10とマスク220の接触を考慮することなくラフアライメントを実行できる。
【0057】
制御部270は、第1の撮像領域263での第1の基板アライメントマーク103と第1のマスクアライメントマーク223の位置関係が所定の条件を満たしていれば、ラフアライメント完了と判断する。一方、位置関係が所定の条件を満たさない場合は、理想の位置関係からのズレ量に基づいて基板10を平面内でXYθ方向に移動させて、再度撮像を行って判定を繰り返す。所定の条件は例えば、マーク間の距離や角度などで定義できる。
【0058】
ステップS106にて、
図8(a)に示すように、第2のカメラ261の合焦範囲F2を基板10の高さhs1に合わせる。本ステップにて、第2のカメラ261の合焦範囲F2は、第2の基板アライメントマーク104が含まれるような第2の範囲である必要がある。
【0059】
ステップS107にて、第2のカメラ261により第2の撮像領域264の撮像を行い、取得された画像データから第2の基板アライメントマーク104を検出する。これは第2の撮影動作(第2の撮影工程)に相当する。
【0060】
ステップS108にて、
図8(b)に示すように、S103にて記憶した第2のマスクアライメントマーク224の位置と、S107で取得した第2の基板アライメントマーク104の位置を用いてファインアライメントを行う。このとき制御部270は、第2の撮像領域264を撮像して得られた画像データ中の第2の基板アライメントマーク104の位置を実際の座標系における座標に変換し、S103で記憶された第2のマスクアライメントマーク224の座標と比較する。そして、両者の位置関係が所定の条件を満たしていればファインアライメント完了と判定する。本ステップにおける所定の位置関係も、マーク間の距離や角度などで定義できる。一方、所定の位置関係が満たされていなければ、理想の位置関係からのズレ量に基づいて基板10をXY平面内でXYθ方向に移動させて、再度撮像を行って判定を繰り返す。
【0061】
ステップS109にて、
図8(c)に示すように、基板Zアクチュエータ250が基板10を下降させ、マスク220に載置する。このときの基板アライメントマークがある面の高さをhs2とする。
【0062】
ステップS110にて、
図8(d)に示すように、成膜前のアライメント計測を行う。
これは第3の撮影動作(第3の撮影工程)に相当する。成膜前のアライメント計測において、第2の基板アライメントマーク104および第2のマスクアライメントマーク224の位置関係が所定の条件を満たしていれば次のステップに進む。所定の位置関係が満たされていなければS108にて再度ファインアライメントを行う。
【0063】
成膜前のアライメント計測時には、第2のカメラ261の合焦範囲F2は、高さhm1の位置と、高さhs2の位置の両方が含むように設定されている。本ステップにて、第2のカメラ261の合焦範囲F2は、第2の基板アライメントマーク104および第2のマスクアライメントマーク224が含まれるような第3の範囲である必要がある。制御部270は、第2のカメラ261が実際に撮像した第2の撮像領域264の画像データから、第2の基板アライメントマーク104と第2のマスクアライメントマーク224を検出する。これにより、記憶された仮想の第2のマスクアライメントマーク224と、新たに撮像された画像データ中の第2のマスクアライメントマーク224の位置ずれを判定する。さらに、仮想の記憶されたマスクアライメントマークを用いて行われたファインアライメントの精度や、ファインアライメント後の基板10の下降による微細な位置ずれの有無を確認してもよい。
【0064】
ステップS111にて、制御部270は、記憶部278に記憶された仮想の第2のマスクアライメントマーク224と、新たに撮像された画像データから検出された第2のマスクアライメントマーク224の位置を比較し、位置ずれが許容範囲内かを判定する。そして、位置ずれが所定値を超えていなければ(S111=YES)、S113に進む。一方、位置ずれが所定値を超えている場合(S111=NO)、記憶部278に記憶されている第2のマスクアライメントマーク224の座標情報を更新する。
【0065】
ステップS113にて、成膜源としての蒸発源240が加熱され、成膜材料がマスク220を介して基板10に成膜される。これにより、マスクパターンに対応する形状の膜が基板上に形成される。
【0066】
ステップS114にて、搬送ロボット140が成膜済みの基板10を真空チャンバ200から搬出する。
【0067】
ステップS115にて、制御部270は、同一のマスク220を用いて成膜処理した基板10の枚数が所定の枚数を超えたかどうかを判定する。同一のマスクに対する所定枚数を超えていなければ(S115=NO)、S104に戻って次の基板10をチャンバ内に搬入し、アライメントと成膜処理を行う。所定枚数を超えていれば(S115=YES)、処理を終了する。その後に、マスク220をマスクストック室120に格納されている新たなマスク220と交換してもよい。
【0068】
本実施例によれば、予め取得され記憶されたマスクアライメントマークと、基板アライメントマークとを比較して、基板10とマスク220のアライメントが行われる。そのため、アライメントの途中で基板10の垂下部分とマスク220との接触が減少する。そのため、基板、基板上の膜、素子等が損なわれることがなく、かつ、マスク220からの反力によって基板10が移動することによるアライメント精度の低下が抑制される。
【0069】
また本実施例によれば、マスク220を1回撮像して得られたマスクアライメントマークのデータを、チャンバに順次搬入されてくる基板10に適用できる。そのため、複数枚の基板10を順次に処理する場合に、カメラの合焦範囲をマスクに合わせる処理を、同一のマスクを順次搬送されてくる複数の基板に対して用いるときの最初の基板10を処理するときの1回に限定することができ、処理時間が短縮される。
【0070】
また、上記S110~S112で説明したように、基板10がマスク220に載置されたときに、記憶されたマスクアライメントマークと新たに撮像されたマスクアライメントマークを比較することで、マスクアライメントマークの座標を更新できる。これにより、マスク220の位置ずれがあった場合でも、アライメント精度の低下を防止できる。
なお、S110~S112の処理は、必ずしも基板一枚ごとに行わなくても良い。例えば、本フローではS115の後で所定枚数の蒸着に使用されたマスクを交換すると述べたが、このときにS110~S112の処理を行っても良い。さらに、マスクアライメントマークの位置ずれ検出の周期(基板の処理枚数)と、マスク交換の周期(基板の処理枚数)が異なっていても良い。
【0071】
<変形例>
以下に、本発明の様々な変形例を説明する。
【0072】
(変形例1)
実施例1では、ラフアライメントとファインアライメントの二段階アライメントを行い、ファインアライメントのときだけマスクマークを記憶していた。しかしアライメント装置は、必ずしも二段階アライメントを行うものに限られない。
例えば、アライメント装置が、上記フローでの「第2のカメラ261」に相当するカメラのみを備えており、一段階のアライメントを行う構成でもよい。その場合でも、アライメントの際に仮想のマスクアライメントマークを用いた位置合わせを行うことにより、基板10とマスク220の接触を抑制できる。
【0073】
また、二段階アライメントの場合に、ラフアライメントとファインアライメントの両方で、仮想のマスクアライメントマークを用いた位置合わせを行ってもよい。すなわち、マスク220がチャンバに搬入されると、まず第1のカメラ260が第1の合焦範囲F1を高さhm1に合わせて撮像を行い、第1のマスクアライメントマーク223を検出して座標を記憶する。続いて第2のカメラ261が第2の合焦範囲F2を高さhm1に合わせて撮像を行い、第2のマスクアライメントマーク223を検出して座標を記憶する。この方法は、第1のカメラ260の合焦範囲F2のZ方向での高さが比較的短く、基板10の垂下部分がマスク220に接触するような場合に利用できる。
【0074】
(変形例2)
実施例1では、マスク220を固定し、基板10をZ方向およびXYθ方向に移動させることによりアライメントを行っていた。しかし、本発明はこれに限定されない。
例えば、成膜装置108として、基板10はチャンバ内に固定し、マスク220を昇降させる構成を用いても良い。その場合、基板10を支持する基板支持手段は高さ方向において固定され、マスク台に代えてマスク220を保持して昇降させるマスク支持手段が設けられる。そして、基板がチャンバに搬入される前に、マスク220を、基板載置時には基板と接触するZ方向高さまで移動させておき、その状態で第2のカメラ261を用いて撮像を行う。そして、制御部270が画像データから第2のマスクアライメントマーク224を検出して位置情報を記憶部278に記憶する。そして、基板10が垂下しても接触するおそれのないZ方向高さまでマスク220移動させた状態で、記憶された第2のマスクアライメントマーク224と実際に撮像された第2の基板アライメントマーク104を使用してファインアライメントを行う。
【0075】
また、成膜装置108として、基板10とマスク220の両方が昇降可能な構成を用いても良い。この場合でも、予め基板10が無い状態で、基板10が載置される高さにおけるマスク220を撮像し、第2のマスクアライメントマーク224の位置情報を取得しておく。そして、基板10が搬入されてアライメントを行うときには、基板10とマスク220をZ方向において接触が起きないように離間させる。そして、記憶された第2のマス
クアライメントマーク224と撮像された画像中の第2の基板アライメントマーク104を用いてアライメントを行う。
【0076】
以上述べたように、マスク220が昇降する場合や、基板10とマスク220が共に昇降する場合でも、アライメント時の基板10とマスク220の接触を抑制できる。
【0077】
[実施例2]
<有機電子デバイスの製造方法>
本実施例では、アライメント装置を備える成膜装置を用いた有機電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、有機電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。まず、製造する有機EL表示装置について説明する。
図9(a)は有機EL表示装置60の全体図、
図9(b)は一つの画素の断面構造を表している。
【0078】
図9(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本図の有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組合せにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組合せで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0079】
図9(b)は、
図9(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板10上に、第1電極(陽極)64と、正孔輸送層65と、発光層66R,66G,66Bのいずれかと、電子輸送層67と、第2電極(陰極)68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R,66G,66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施形態では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。
【0080】
発光層66R,66G,66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電極64は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と第2電極68は、複数の発光素子62R,62G,62Bと共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極64と第2電極68とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層Pが設けられている。
【0081】
次に、電子デバイスとしての有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)および第1電極64が形成された基板10を準備する。
【0082】
次に、第1電極64が形成された基板10の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0083】
次に、絶縁層69がパターニングされた基板10を第1の成膜装置に搬入し、基板保持
ユニットにて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の第1電極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。ここで、本ステップでの成膜や、以下の各レイヤーの成膜において用いられる成膜装置は、上記各実施形態のいずれかに記載された成膜装置である。
【0084】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板10を第2の成膜装置に搬入し、基板保持ユニットにて保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板10の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。本例によれば、マスクと基板とを良好に重ね合わせることができ、高精度な成膜を行うことができる。
【0085】
発光層66Rの成膜と同様に、第3の成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層65は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。
【0086】
電子輸送層65までが形成された基板をスパッタリング装置に移動し、第2電極68を成膜し、その後プラズマCVD装置に移動して保護層Pを成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0087】
絶縁層69がパターニングされた基板10を成膜装置に搬入してから保護層Pの成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【0088】
本実施形態に係るアライメント装置、成膜装置または電子デバイスの製造方法によれば、成膜時の基板とマスクの位置合わせの精度が向上するので、良好な成膜が可能となる。
【符号の説明】
【0089】
200:真空チャンバ、210:基板支持ユニット、221:マスク台、240:蒸発源、250:基板Zアクチュエータ、261:第2のカメラ、270:制御部、278:記憶部、280:アライメントステージ