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特許7591111エッチング残留物の少ない金属酸化物のエッチング方法
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  • 特許-エッチング残留物の少ない金属酸化物のエッチング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】エッチング残留物の少ない金属酸化物のエッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20241120BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
H01L21/302 101E
H01L21/302 104Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174924
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2020531606の分割
【原出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2024012316
(43)【公開日】2024-01-30
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】62/598,766
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムリック, アムリタ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
(72)【発明者】
【氏名】ガンディコッタ, シュリーニヴァース
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, サスミット シンハー
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, インリー
(72)【発明者】
【氏名】フリード, レジーナ
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ, ウダイ
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-053442(JP,A)
【文献】特開平08-031932(JP,A)
【文献】特開2019-019365(JP,A)
【文献】特表2020-501373(JP,A)
【文献】国際公開第2019/050714(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理方法であって、
酸化金属層を生成するために、0.5nmから10nmの範囲の厚さを有するバリア層で裏打ちされた、基板の特徴内の金属層を酸化させることと、
記酸化金属層を含む前記基板を金属ハロゲン化物に曝露して、前記酸化金属層の一部をエッチングし、エッチング残留物を生成することと、
記基板を還元剤に曝露して、前記エッチング残留物を除去することと
を含む方法。
【請求項2】
前記酸化金属層の平均酸化状態が、化学量論的金属酸化物の平均酸化状態よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化金属層が、原子ベースで5%未満の酸素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法がプラズマフリーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化金属層及び前記金属ハロゲン化物が同じ金属種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属層が、Co、Mo、W、Ta、Ti、Ru、ロジウム(Rh)、Cu、Fe、Mn、V、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、Al、Sn、Cr、又はランタン(La)のうちの1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記バリア層が窒化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記バリア層が酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記バリア層が、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、化ケイ素(SiN)、チタン(Ti)、又はタンタル(Ta)のうちの1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記還元剤が、H、B又はBClのうちの1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記金属ハロゲン化物に曝露することと、前記還元剤に曝露することとを繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記特徴内の金属層を酸化させることが、前記特徴の外側の前記基板の表面上に追加層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
基板処理方法であって、
(A)処理容積を有する処理チャンバ内で、基板の特徴内の金属層を酸化して、前記特徴内に原子ベースで5%未満の酸素を含む酸化金属層を形成することと、
(B)前記酸化金属層の一部を除去してエッチング残留物を生成するために、前記基板を金属ハロゲン化物に曝露することと、
(C)前記エッチング残留物を除去するために、前記基板を還元剤に曝露することと、
(D)前記酸化金属層の所定の厚さが除去されるまで(B)及び(C)を繰り返すことと
を含む方法。
【請求項14】
前記基板を前記金属ハロゲン化物に曝露した後に前記処理容積をパージすることと、前記基板を前記還元剤に曝露した後に前記処理容積をパージすることとを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化金属層の平均酸化状態が、化学量論的金属酸化物の平均酸化状態よりも低い、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記特徴が、バリア層で裏打ちされている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記金属ハロゲン化物が、WF又はWCIのうちの1又は複数を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記還元剤が、H、B又はBCIのうちの1又は複数を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
基板処理方法であって、
(A)WO層を形成するために、処理容積を有する処理チャンバ内で基板上のタングステン層を酸化することと、
(B)前記WO層の一部を除去してエッチング残留物を生成するために、前記基板をエッチング剤に曝露することと、
(C)前記処理容積を不活性ガスでパージすることと、
(D)前記エッチング残留物を除去するために、前記基板をHを含む還元剤に曝露することと、
(E)前記処理容積を不活性ガスでパージすることと、
(F)前記WO層の所定の厚さが除去されるまで(B)から(E)を繰り返すことと
を含み、当該方法がプラズマフリーである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、酸化金属膜をエッチングする方法に関する。特に、本開示は、エッチング残留物のより少ない、酸化金属膜をエッチングするためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体業界では、単位面積当たりの機能性を上げるために、ますます小さい寸法のトランジスタのチップを急速に開発している。デバイスの寸法が縮小し続けると、デバイス間の間隙/空間も縮まり、デバイスを互いに物理的に分離させることが更に困難になってくる。
【0003】
[0003]高アスペクト比の構造を製造することは、デバイスパターニングの分野における課題の1つである。ロジック及びメモリ構造の多くは、高アスペクト比から利益を得る。高アスペクト比の構造を形成する幾つかの方法では、酸化によるタングステンの体積膨張を利用して材料ピラーを生成し、この材料ピラーの周りに他の材料を堆積させ得る。これらのタングステン含有ピラーは後に除去され、高アスペクト比の構造が得られる。これらの構造は、後にメタライゼーション接点又は他の導電性材料で充填され得る。
【0004】
[0004]ただし、これらのタングステン含有ピラーを除去すると、エッチング残留物が残ることが多い。このエッチング残留物により、続いて形成されるいずれかのメタライゼーション層の使用可能な体積が減少し、これらの層の抵抗が増加し得る。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野では、エッチング残留物の少ない金属酸化物をエッチングする方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の1又は複数の実施形態は、酸化金属層の一部をエッチングしてエッチング残留物を生成するために、酸化金属層を含む基板を金属ハロゲン化物に曝露することと、エッチング残留物を除去するために、基板を還元剤に暴露することとを含む基板処理方法を対象とする。基板は、エッチング残留物を除去するために、還元剤に暴露される。
【0007】
[0007]本開示の追加の実施形態は、処理容積を有する処理チャンバ内に酸化金属層を含む基板を提供することを含む基板処理方法を対象とする。酸化金属層の一部を除去してエッチング残留物を生成するために、基板が金属ハロゲン化物に暴露される。エッチング残留物を除去するために、基板が還元剤に暴露される。酸化金属層の所定の厚さが除去されるまで、基板を金属ハロゲン化物に暴露することと、基板を還元剤に暴露することとが繰り返される。
【0008】
[0008]本開示のさらなる実施形態は、処理容積を有する処理チャンバ内にWO層を含む基板を提供することを含む基板処理方法を対象とする。WO層の一部を除去してエッチング残留物を生成するために、基板がWF又はWClのうちの1又は複数を含むエッチング剤に暴露される。処理容積は不活性ガスでパージされる。エッチング残留物を除去するために、基板がHを含む還元剤に暴露される。処理容積が不活性ガスでパージされる。WO層の所定の厚さが除去されるまで、基板をエッチング剤に暴露することと、処理容積をパージすることと、基板を還元剤に暴露することと、処理容積をパージすることとが繰り返される。
【0009】
[0009]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。ただし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを例示するものであり、したがって、実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1又は複数の実施形態に係る処理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0011]添付の図面では、類似の部品及び/又は特徴は、同じ参照符号を有し得る。更に、同じ種類の様々な部品は、参照符号の後にダッシュを付けること、及び、類似の部品同士を区別する第2の符号によって、区別され得る。本明細書で第1の参照符号のみが使用される場合、その説明は、第2の参照符号に関わりなく、同じ第1の参照符号を有する類似の部品のうちの任意の1つに適用可能である。
【0012】
[0012]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に示す構成又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、さまざまな方法で実施又は実行することができる。
【0013】
[0013]本明細書で使用する「基板」は、製造プロセス中に膜処理が実施される任意の基板又は基板上に形成された材料表面を指す。たとえば、処理が実施され得る基板表面には、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、及び金属、金属窒化物、金属合金、及び用途に応じたその他の導電性材料等のその他いずれかの材料が含まれる。基板には半導体ウエハが含まれるが、これに限定されない。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、及び/又はベークする前処理プロセスに暴露され得る。基板自体の表面に直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、以下に更に詳しく開示するように、基板上に形成された下層に対して本開示の膜処理ステップのいずれかが実施され得る。「基板表面」という用語は、文脈が示すような下層を含むことを意図している。したがって、たとえば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積されている場合、露出した新たに堆積した膜/層の表面が基板表面となる。
【0014】
[0014]本開示の1又は複数の実施形態は、基板から酸化金属層をエッチング又は除去する、エッチング残留物の少ない基板処理方法を対象とする。本開示の様々な実施形態を、図1に示す詳細なプロセスに関して説明する。
【0015】
[0015]図1を参照すると、本開示の1又は複数の実施形態は、エッチング残留物の少ない、基板から酸化金属層をエッチングする方法100を対象とする。幾つかの実施形態では、本方法は、高アスペクト比の構造を形成する、より大きなプロセスの一部である。
【0016】
[0016]幾つかの実施形態では、基板は、半導体材料、例えば、シリコン(Si)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ヒ化ガリウム(GaAs)、InP、GaAs、InGaAs、InAIA、他の半導体材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、基板は、バルク下部基板、中間絶縁層、及び上部単結晶層を含むSOI(semiconductor-on-isolator)基板である。上部単結晶層は、例えばシリコン等の上述したいずれかの材料を含み得る。様々な実施形態では、基板は、例えば、有機、セラミック、ガラス、又は半導体基板であり得る。本書では、基板を形成し得る材料の幾つかの例について説明するが、受動及び能動電子デバイス(トランジスタ、メモリ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、スイッチ、集積回路、増幅器、光電子デバイス、又は任意の他の電子デバイス等)が構築され得る基盤となり得る任意の材料も、本開示の趣旨及び範囲内に含まれる。
【0017】
[0017]幾つかの実施形態では、方法100は、酸化金属層130を含む基板110を提供することから開始する。図1に示す実施形態では、基板110は、特徴、バリア層115、及び追加層120を含む。特徴は、バリア層115で裏打ちされている。特徴の外側の基板表面は、追加層120を含む。幾つかの実施形態では、追加層は、二酸化ケイ素を含む。図1に示す基板110は、幾つかの実施形態では存在し得るが、本開示の目的においては、バリア層115及び追加層120はそれぞれ任意である。
【0018】
[0018]幾つかの実施形態では、バリア層115は、窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、又はそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、バリア層115は、酸化物、例えば、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)である。更に別の実施形態では、バリア層115は、窒化物、例えば窒化ケイ素(SiN)である。幾つかの実施形態では、バリア層115は、約0.5nmから約10nmの厚さを有する。
【0019】
[0019]幾つかの実施形態では、本方法は、酸化金属層130を生成するために、特徴内の金属層を酸化させることを更に含む。幾つかの実施形態では、追加層120は、金属層で使用される酸化プロセスの結果として形成される。適切な金属層は、Co、Mo、W、Ta、Ti、Ru、ロジウム(Rh)、Cu、Fe、Mn、V、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、Al、Sn、Cr、ランタン(La)のうちの1又は複数、又はそれらの任意の組み合わせを含む膜を含むが、これに限定されない。
【0020】
[0020]バリア層115、追加層120及び/又は酸化金属層130は、当業者に周知の任意の適切な技法によって形成することができる。適切な技法には、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマCVD、プラズマALD及び物理的気相堆積(PVD)が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、様々な堆積プロセス及び技法に精通することになり、これらのプロセスのさらなる説明は含まれない。
【0021】
[0021]酸化金属層は、任意の適切な材料で構成される任意の適切な層であり得る。幾つかの実施形態では、酸化金属層の金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド及び後期遷移金属のうちの1つ又は複数から選択される。幾つかの実施形態では、酸化金属層はタングステン(W)を含む。酸化金属層は、金属種の平均酸化状態が0よりも大きい金属層を指す。この開示の目的において、酸化金属層は酸素を含んでも含んでいなくてもかまわない。
【0022】
[0022]幾つかの実施形態では、酸化金属層は、化学量論的金属酸化物の平均酸化状態よりも低い平均酸化状態を有する。この点に関して使用する場合、化学量論的金属酸化物は、完全に酸化された金属酸化物を指す。例えば、WO及びAlはいずれも化学量論的金属酸化物である。幾つかの実施形態では、酸化金属層は、化学量論的金属酸化物を含む。幾つかの実施形態では、酸化金属層はWOを含む。
【0023】
[0023]幾つかの実施形態では、酸化金属層は、準化学量論的金属酸化物を含む。本開示の目的において、準化学量論的金属酸化物は、金属の酸素に対する比が、同じ金属の化学量論的金属酸化物の金属の酸素に対する比よりも大きい酸化金属層である。例えば、幾つかの実施形態では、酸化金属層は、xが3未満である準化学量論的金属酸化物WOを含む。金属種を限定することなく、幾つかの実施形態では、酸化金属層は準化学量論的金属酸化物を含む。
【0024】
[0024]酸化金属層は、酸素以外の元素を含み得る。幾つかの実施形態では、酸化金属層は実質的に酸素を含まない。この点に関して使用する場合、「実質的に酸素を含まない」とは、酸化金属層が原子ベースで5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、又は0.5%未満の酸素を含むことを意味する。幾つかの実施形態では、酸化金属層は、N、Si、又はCのうちの1つ又は複数を含む。幾つかの実施形態では、酸化金属層は、本質的に金属窒化物で構成される。幾つかの実施形態では、酸化金属層は本質的に金属ケイ化物で構成される。
【0025】
[0025]再び図1を参照すると、基板110が金属ハロゲン化物に暴露され、酸化金属層130の一部がエッチング又は除去されて、エッチング残留物140が生成される。幾つかの実施形態では、金属ハロゲン化物により、バリア層115の一部がエッチング又は除去される。理論に縛られることなく、本発明者らは、金属ハロゲン化物で金属酸化物層をエッチングしようとすると、金属酸化物層が100%除去されずに、エッチング残留物が残ることを発見した。本発明者らは、エッチング残留物は、酸化金属層の不完全な除去、又は酸化金属層の不揮発性種への変換に起因する可能性があると考えている。
【0026】
[0026]金属ハロゲン化物は、少なくとも1つの金属及び少なくとも1つのハロゲンで構成される任意の適切な化合物であり得る。金属ハロゲン化物の金属元素は、実施形態では、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、テクニチウム、鉄、アルミニウム及びガリウムのうちの1又は複数を含み得る。幾つかの実施形態では、金属ハロゲン化物の金属元素は、22、23、24、40、41、42、72、73又は74の原子番号を有する。1又は複数の実施形態では、金属元素は、元素周期表の第4族、第5族、又は第6族の元素を含む、あるいは遷移金属であり得る。幾つかの実施形態では、酸化金属層及び金属ハロゲン化物は、同じ金属種を含む。幾つかの実施形態では、酸化金属層及び金属ハロゲン化物は、異なる金属種を含む。幾つかの実施形態では、金属ハロゲン化物はタングステン(W)を含む。
【0027】
[0027]幾つかの実施形態では、金属ハロゲンは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)のうちの1又は複数を含む。幾つかの実施形態では、金属ハロゲン化物は、WF又はWClのうちの1又は複数を含む。幾つかの実施形態では、金属ハロゲン化物は本質的にWFで構成される。幾つかの実施形態では、金属ハロゲン化物は本質的にWClで構成される。この点に関して使用する場合、「本質的に~で構成される」とは、金属ハロゲン化物がモルベースで、95%、98%、99%又は99.5%を超えて記載の種であることを意味する。
【0028】
[0028]幾つかの実施形態では、エッチングプロセスがより選択的で繊細な、また等方性のものとなるように、エッチングプロセスで局所プラズマをほとんど又はまったく使用しない。「プラズマフリー」という用語は本書において、基板処理領域にプラズマ出力を印加しないか、又は本質的に印加しない時の基板処理領域について説明するために使用される。記載のエッチング剤(金属及びハロゲン含有前駆体)は、本明細書で金属含有材料をエッチングする工程中に基板処理領域をプラズマフリーにすることを可能にするエネルギー的に好ましいエッチング反応経路を有する。別の言い方をすれば、基板処理領域の電子温度は、1又は複数の実施形態によれば、0.5eV未満、0.45eV未満、0.4eV未満、又は0.35eV未満であり得る。更に、実施形態では、金属及びハロゲン含有前駆体は、基板処理領域に入る前に、いかなる遠隔プラズマにおいても励起されていなくてもよい。例えば、遠隔プラズマ領域又は別個のチャンバ領域が存在し、ハロゲン含有前駆体を基板処理領域に向けて導くために使用される場合、別個のチャンバ領域又は遠隔プラズマ領域は、本明細書で定義したようにプラズマフリーであり得る。
【0029】
[0029]再び図1を参照すると、基板110は、エッチング残留物を除去するために還元剤に暴露される。還元剤は、エッチング残留物を除去できる任意の化合物であり得る。幾つかの実施形態では、還元剤は、H、B又はBClのうちの1又は複数を含む。幾つかの実施形態では、還元剤は本質的にH、B又はBClのうちの1つで構成される。この点に関して使用する場合、「本質的に~で構成される」とは、還元剤がモルベースで、キャリアガスや希釈ガスは含まずに、95%、98%、99%又は99.5%を超えて記載の種であることを意味する。
【0030】
[0030]金属ハロゲン化物及び/又は還元剤は、キャリアガス又は希釈ガスを用いて基板に暴露され得る。適切なキャリア又は希釈ガスは、限定されないが、Ar、N、He、Ne、Kr、Xe及びそれらの混合物を含む。
【0031】
[0031]金属ハロゲン化物及び還元剤への基板の曝露は、1サイクルと称され得る。幾つかの実施形態では、本方法は、複数のサイクルを含む。言い換えると、幾つかの実施形態では、本方法は、金属ハロゲン化物への曝露及び還元剤への曝露を繰り返すことを更に含む。幾つかの実施形態では、金属ハロゲン化物への曝露及び還元剤への曝露は、酸化金属層の所定の厚さが除去されるまで繰り返される。
【0032】
[0032]本方法が実施される条件も制御可能である。制御可能な条件には、温度、圧力、暴露時間、流量、パージ時間が含まれるが、これに限定されない。
【0033】
[0033]幾つかの実施形態では、本開示の方法は、約40トール以下、約30トール以下、約20トール以下、約10トール以下、又は約5トール以下の圧力で実施される。幾つかの実施形態では、本開示の方法は、約5トール以上、約10トール以上、約15トール以上、約20トール以上、又は約30トール以上の圧力で実施される。
【0034】
[0034]本開示の基板処理方法は、任意の適切な温度で実施され得る。幾つかの実施形態では、基板は、約475℃以下、約450℃以下、又は約400℃以下、約350℃以下、又は約300℃以下の温度に維持される。幾つかの実施形態では、基板は、約200℃以上、約250℃以上、約300℃以上、又は約350℃以上の温度に維持される。
【0035】
[0035]幾つかの実施形態では、基板は、処理容積を有する処理チャンバ内に提供される。幾つかの実施形態では、本開示の方法は、基板を金属ハロゲン化物に暴露した後に処理容積をパージすることと、基板を還元剤に暴露した後に処理容積をパージすることとを含む。処理容積は、任意の適切な不活性ガスでパージされ得る。不活性ガスの例には、キャリアガス又は希釈ガスとして記載されているガスが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
[0036]本明細書全体を通して、「幾つかの実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」又は「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の幾つかの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたるさまざまな場所での「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「幾つかの実施形態では」又は「一実施形態では」等の語句の出現は必ずしも、本開示の同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1又は複数の実施形態において任意の適切な様態で組み合わせることが可能である。
【0037】
[0037]本明細書の開示を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法に様々な修正及び変形が可能であることは当業者には明らかになるだろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図される。
図1