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特許7591124蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法
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  • 特許-蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法 図1
  • 特許-蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法 図2
  • 特許-蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法 図3
  • 特許-蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/40 20060101AFI20241120BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G01N1/40
G01N35/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023503596
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2022000193
(87)【国際公開番号】W WO2022185707
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2021033290
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真結子
(72)【発明者】
【氏名】松岡 晋弥
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-002992(JP,U)
【文献】国際公開第2016/125810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/40
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液を保持する反応容器と、
前記反応容器と接続される減圧流路と、
前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、
を備える蒸発濃縮機構において、
一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、
一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁と、
前記減圧用電磁弁と前記圧力開放用電磁弁の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に、前記減圧用電磁弁を間欠的に開閉し、前記圧力開放用電磁弁を開状態にすることを特徴とする蒸発濃縮機構。
【請求項2】
試料液を保持する反応容器と、
前記反応容器と接続される減圧流路と、
前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、
を備える蒸発濃縮機構において、
一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、
一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁と、
前記減圧用電磁弁と前記圧力開放用電磁弁の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に、前記減圧用電磁弁を開状態とし、前記圧力開放用電磁弁を間欠的に開閉することを特徴とする蒸発濃縮機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の蒸発濃縮機構において、
前記蒸発濃縮機構は、前記試料液の前処理部と、前記試料液中の分析対象試料を分析する分析部と、を備えた自動分析装置における前記前処理部に配置されることを特徴とする蒸発濃縮機構。
【請求項4】
試料液を保持する反応容器と、
前記反応容器と接続される減圧流路と、
前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、
を備える蒸発濃縮機構の制御方法において、
一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、
一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁とを備え、
前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に、前記減圧用電磁弁を間欠的に開閉し、前記圧力開放用電磁弁を開状態にすることを特徴とする蒸発濃縮機構の制御方法。
【請求項5】
試料液を保持する反応容器と、
前記反応容器と接続される減圧流路と、
前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、
を備える蒸発濃縮機構の制御方法において、
一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、
一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁とを備え、
前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に前記減圧用電磁弁を開状態とし、前記圧力開放用電磁弁を間欠的に開閉することを特徴とする蒸発濃縮機構の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置の測定前処理として試料液の溶媒を蒸発させ蒸発濃縮するための蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分析時の感度向上や有機溶媒の除去を目的として、分析対象物質を含む試料の溶媒を蒸発させ分析対象物質の濃度を高める蒸発濃縮が行われることがある。蒸発濃縮のプロセスでは突沸が発生するおそれがあり、突沸を防ぐために蒸発濃縮時の減圧速度を制御するなどの方法が用いられることがある。
蒸発濃縮時の減圧制御を行う技術として、例えば特許文献1には、濃縮させる試料を収容する容器と減圧源の間のラインにガスを供給可能なガス供給部を接続し、ガスの供給量によって減圧時の圧力の大きさを調整する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-128744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動分析装置の前処理においても、感度向上等を目的として、試料の溶媒を蒸発させ、分析対象物の濃度を高める必要がある。この場合、蒸発濃縮を急激な減圧、加熱条件下で行うと突沸が発生するおそれがある。突沸は分析対象物のロスや蒸発量の精度の悪化を引き起こす。
特許文献1に記載の技術では、窒素ガス等のガスの流入により減圧速度を制御し、突沸の抑制を実現している。
しかし、特許文献1に記載の濃縮装置は、窒素ガス等のガス供給部が必要であり、機構が複雑で高価である。このため、特許文献1に記載の濃縮装置は、コストや複雑さから自動分析装置に搭載することは困難である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は蒸発濃縮時の突沸を抑制するために、安価で単純な機構で減圧速度を制御することが可能な蒸発濃縮機構及び蒸発濃縮機構の制御方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0006】
蒸発濃縮機構において、試料液を保持する反応容器と、前記反応容器と接続される減圧流路と、前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、を備え、一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁と、前記減圧用電磁弁と前記圧力開放用電磁弁の開閉を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に、前記減圧用電磁弁を間欠的に開閉し、前記圧力開放用電磁弁を開状態にする。
また、蒸発濃縮機構において、試料液を保持する反応容器と、前記反応容器と接続される減圧流路と、前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、を備え、一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁と、前記減圧用電磁弁と前記圧力開放用電磁弁の開閉を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に、前記減圧用電磁弁を開状態とし、前記圧力開放用電磁弁を間欠的に開閉する。
【0007】
また、試料液を保持する反応容器と、前記反応容器と接続される減圧流路と、 前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、を備える蒸発濃縮機構の制御方法において、一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁とを備え、前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に、前記減圧用電磁弁を間欠的に開閉し、前記圧力開放用電磁弁を開状態にする。
また、試料液を保持する反応容器と、前記反応容器と接続される減圧流路と、 前記反応容器に前記減圧流路を介して接続され、前記反応容器の内部を減圧する減圧源と、を備える蒸発濃縮機構の制御方法において、一方側が前記減圧流路のうちの前記反応容器側の流路に接続され、他方側が前記減圧流路のうちの前記減圧源側の流路に接続される減圧用電磁弁と、一方側が前記反応容器と前記減圧用電磁弁との間の前記減圧流路に接続され、他方側が大気に開放される圧力開放用電磁弁とを備え、前記減圧源により前記反応容器の内部を減圧する減圧期間中に前記減圧用電磁弁を開状態とし、前記圧力開放用電磁弁を間欠的に開閉する。

【発明の効果】
【0008】
本発明により、蒸発濃縮時の突沸を抑制するために、安価で単純な機構で減圧速度を制御することが可能な蒸発濃縮機構及び蒸発濃縮機構の制御方法を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る自動分析装置の全体構成を示す概略図である。
図2】実施例1の蒸発濃縮機構の構成を示す概略図である。
図3】実施例1の蒸発濃縮時の減圧用電磁弁と圧力開放用電磁弁の開閉パターンの例を示す図である。
図4】減圧用電磁弁と圧力開放用電磁弁との間欠的な開閉を行った際の圧力変化と、間欠的な開閉を行わなかった際の圧力変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例
【0011】
(実施例1)
まず、図1および図2を用いて実施例1の構成を説明する。
【0012】
図1は、実施例1に係る自動分析装置100の全体構成を示す概略図である。図1において、自動分析装置100は、自動分析装置100全体の動作を制御する主動作制御部104と、前処理部101と、分析部102とを備える。前処理部101は、蒸発濃縮機構103と、入力部105とを備える。
【0013】
操作者は、分析対象試料を含む試料液が入った反応容器1を前処理部101に設置し、前処理部101は、反応容器1に収容された試料液への反応試薬の添加や、試料液の精製などの分析前処理を行う。前処理の過程で蒸発濃縮機構103は試料液中の溶媒のみを蒸発させ、試料液における分析対象試料の濃度を高める。前処理が終了した試料液は分析部102に供給され、分析が行われる。
【0014】
図2は、蒸発濃縮機構の構成を示す概略図である。図2において、蒸発濃縮機構は、試料液を保持する反応容器1の内部を減圧するための減圧流路2と、減圧用電磁弁4と、減圧源3と、減圧用電磁弁4の開閉動作を制御する制御部8を備える。
【0015】
反応容器1は、減圧流路2の一方端に接続され、減圧源3は、減圧流路2の他方端に接続され減圧流路2を介して反応容器1に接続される。減圧用電磁弁4の一方側が、減圧流路2のうちの反応容器1側の流路に接続され、減圧用電磁弁4の他方側が、減圧流路2のうちの減圧源3側の流路に接続される。減圧流路2に対して減圧源3を作動させることにより減圧を発生させて、反応容器1内を減圧させて、試料液中の溶媒を蒸発させ蒸発濃縮を行う。
【0016】
減圧源3の例としては真空ポンプがあげられる。また、減圧の供給の有無は蒸発濃縮機構の制御部8が減圧流路内に設けられた減圧用電磁弁4を開閉することで制御される。制御部8は蒸発濃縮機構専用のものを備えても、他の機構と共用のものを利用してもよい。
【0017】
上記に加え、反応容器1を保持する容器保持部5を備えてもよい。また、減圧流路2の途中に圧力開放用電磁弁6を備えてもよい。圧力開放用電磁弁6の一方側が、反応容器1と減圧用電磁弁4との間の減圧流路2に接続され、圧力開放用電磁弁6の他方側が大気に開放され、圧力開放用電磁弁6を開とすることにより減圧流路2が大気に開放される。
【0018】
さらに、蒸発の効率を高めるために反応容器1を加熱する加熱手段(容器加熱部)7を設けてもよい。加熱手段7の例としてはヒータがあげられる。
【0019】
次に、蒸発濃縮手順を説明する。試料液を含む反応容器1を容器保持部5に設置し、操作者が入力部105を操作し、蒸発濃縮機構の制御部8に蒸発濃縮開始を指示する。この操作は自動分析装置においては、自動化される場合がある。その場合、蒸発濃縮の開始は、分析対象試料ごとに決められた蒸発濃縮の実施有無の設定に応じて自動的に開始される。これを受けて制御部8が減圧用電磁弁4を開けて減圧源3による減圧を反応容器1に供給し、蒸発濃縮を開始する。
【0020】
反応容器1に収容された試料中の溶媒が目的の量に減少するまで蒸発濃縮を行い、制御部8が減圧用電磁弁4を閉めることで蒸発濃縮を終了する。この蒸発濃縮を行う期間中、減圧開始から減圧終了までの期間を便宜上、減圧期間と呼称する。この減圧期間中に、制御部8が減圧用電磁弁4を間欠的に開閉する。試料中の溶媒が目的の量に減少したか否かは、蒸発濃縮を開始してからの経過時間により判断する。この経過時間の判断は、制御部8が行う。減圧期間は、第1減圧期間、第2減圧期間、第3減圧期間及び第4減圧期間を有する。
【0021】
次に、図3および図4を用いて、蒸発濃縮時の減圧制御方法(蒸発濃縮機構の制御方法)を説明する。
【0022】
図3は、蒸発濃縮時の減圧用電磁弁4と圧力開放用電磁弁6の開閉制御の例(開閉パターンの例)を示す図である。図3に示したように、減圧開始から3秒の間(第1減圧期間)は減圧用電磁弁4を0.1秒開とし、0.1秒閉とする頻度で開閉し、圧力開放用電磁弁6は開状態とする。減圧開始3秒から9秒の間(第2減圧期間)、9秒から15秒の間(第3減圧期間)は減圧用電磁弁4の開閉頻度は変えず、圧力開放用電磁弁6を、減圧開始から3秒から9秒の間(第2減圧期間)は、0.1秒開とし、0.1秒閉とする頻度で開閉し、9秒から15秒の間(第3減圧期間)は、0.1秒開とし、0.3秒閉とする頻度で開閉する。
【0023】
減圧開始15秒から21秒の間(第4減圧期間)は、減圧用電磁弁4の開閉頻度は変えず、圧力開放用電磁弁6は閉状態とする。減圧開始21秒以降は減圧用電磁弁4を開状態、圧力開放用電磁弁6を閉状態とする。
【0024】
上記のように、減圧開始から段階的に減圧用電磁弁4の開閉頻度と圧力開放用電磁弁6の開閉頻度とを変化させることで、減圧流路2と反応容器1内の減圧の程度を制御する。
【0025】
なお、減圧用電磁弁4と圧力開放用電磁弁6の開時間及び閉時間は、目的の減圧の程度に合わせて、それぞれ任意の長さを設定できる。開時間及び閉時間の長さを1秒以内にすることで減圧の変化を緩やかにすることが可能となる。
【0026】
また、減圧用電磁弁4と圧力開放用電磁弁6の開閉パターンはあらかじめ制御部8に1つ以上設定しておく。開閉パターンは蒸発開始時の試料液量、試料液の性質、目的の溶媒蒸発量に応じて、任意に設定できる。開閉パターンには減圧電磁弁4と圧力開放用電磁弁6の開時間・閉時間に加え、開閉の開始・終了タイミングも含む。
【0027】
図4図3に示した開閉パターンで減圧用電磁弁4と圧力開放用電磁弁6との間欠的な開閉を行った際の圧力変化と、間欠的な開閉を行わなかった際の圧力変化を示したグラフである。図4において、縦軸が圧力/kPaを示し、横軸が時間/秒を示す。また、実線が電磁弁の間欠的な開閉有の場合の圧力変化を示し、破線が電磁弁の間欠的な開閉無しの場合の圧力変化を示す。
【0028】
図4に示すように、減圧用電磁弁4と圧力開放用電磁弁6の高頻度な開閉により減圧の変化を緩やかにすることが可能である。蒸発濃縮時の急激な圧力変化は突沸の原因となることから、本発明を用いることで蒸発濃縮時の突沸を抑制することが可能となる。
【0029】
なお、圧力開放用電磁弁6を備えず、上記の減圧の変化の制御を減圧用電磁弁4の開閉のみで行うことも可能である。減圧用電磁弁4の開閉のみで行う場合、図3に示した開閉パターンで減圧電磁弁4のみを開閉制御することが可能である。また、図3に示した開閉パターン以外の開閉パターンで減圧電磁弁4のみを開閉制御することが可能である。
【0030】
減圧用電磁弁4と圧力開放用電磁弁6との双方の開閉を行う場合、減圧用電磁弁4と圧力開放用電磁弁6とのそれぞれで開閉パターンを設定できるため、減圧用電磁弁4のみの開閉を行う場合に比べて減圧の変化をより緩やかにしたり、減圧のタイミングや程度をより細やかに制御したりすることが可能となる。
【0031】
また、実施例1の変形例として、減圧期間中は、減圧用電磁弁4を開状態とし、圧力開放用電磁弁6を間欠的に開閉動作させて、減圧の変化が緩やかになるように制御することも可能である。
【0032】
さらに、実施例1の変形例として、減圧用電磁弁4を省略して、圧力開放用電磁弁6のみとし、圧力開放用電磁弁6の一方側が、前記減圧流路のうちの前記反応容器1側の流路に接続され、圧力開放用電磁弁6の他方側が大気に開放され、圧力開放用電磁弁6を間欠的に開閉動作させて、減圧の変化が緩やかになるように制御することも可能である。これらの変形例の場合であっても、圧力開放用電磁弁6の開閉パターンには、例えば実施例1で説明した圧力開放用電磁弁6の開閉パターンと同じ思想を利用可能である。すなわち、減圧開始からの時間経過に伴って、圧力開放用電磁弁6が開状態を維持する時間を徐々に短くすればよい。
【0033】
減圧用電磁弁4の開閉繰り返し動作における開時間及び閉時間は1秒以内とする。また、圧力開放用電磁弁6の開閉繰り返し動作における開時間及び閉時間も1秒以内とする。
【0034】
上述した例においては、減圧期間を、第1減圧期間、第2減圧期間、第3減圧期間及び第4減圧期間の4つの期間としたが、4つ未満の期間又は5以上の期間としてもよい。
以上のように、本発明の実施例1によれば、蒸発濃縮時の突沸を抑制するために、安価で単純な機構で減圧速度を制御することが可能な蒸発濃縮機構および蒸発濃縮機構の制御方法を実現することができる。また、上記蒸発濃縮機構を備えた自動分析装置を実現することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な変形例が含まれる。必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上述した実施例においては、説明のために蒸発濃縮機構を自動分析装置の前処理部の一部として示したが、本発明に係る蒸発濃縮機構は、分析装置から独立した試料処理装置に組み込んでもよい。
なお、減圧用電磁弁4と、圧力開放用電磁弁6とは、電磁弁と総称することができる。
【符号の説明】
【0035】
1・・・反応容器、2・・・減圧流路、3・・・減圧源、4・・・減圧用電磁弁、5・・・容器保持部、6・・・圧力開放用電磁弁、7・・・加熱手段、8・・・制御部、100・・・自動分析装置、101・・・前処理部、102・・・分析部、103・・・蒸発濃縮機構、104・・主動作制御部、105・・・入力部
図1
図2
図3
図4