(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】エレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニット
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20241121BHJP
B66B 1/46 20060101ALI20241121BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/46 A
B66B3/00 K
(21)【出願番号】P 2020179323
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】姫野 謙一
(72)【発明者】
【氏名】礒邊 竣
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-149251(JP,A)
【文献】特開2017-001852(JP,A)
【文献】実開平05-016799(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0252725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52
B66B 3/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンを有したエレベータ操作盤に着脱自在に装着され、該ボタンの押下を行うエレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットであって、
該ボタンに対面して配設され、該ボタンを押圧する押圧体と、該押圧体を該ボタンを押圧する押圧位置と待避位置とにそれぞれ位置づける押下ユニットと、を有したボタン押圧機構と、
押下すべきボタンを特定する信号を受信する受信ユニットと、
該受信ユニットで受信した信号に基づいて、該ボタン押圧機構を制御するコントローラと、を少なくとも備
え、
該押下ユニットは、該押圧体の枠体を押下方向に移動させるための駆動機構を有し、
該駆動機構は、通電により収縮するワイヤー状の変形体にて構成される、
エレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニット。
【請求項2】
該ボタンは押下された際に点灯し、該ボタンが押下された目的を達した際に消灯するものであり、
該受信ユニットは、無人搬送車からの信号を受信し、
該エレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットは、該ボタンが点灯から消灯したことを検出する検出ユニットを備え、
該コントローラは、該検出ユニットで該ボタンの消灯を検出した際に該無人搬送車へ消灯信号を発信する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニット。
【請求項3】
該押圧体には、該ボタンに対向する窓部が設けられ、
該窓部は貫通する貫通部として構成される、
又は、
該窓部は透明な板材にて閉鎖される構成とする、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のエレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニット。
【請求項4】
ボタンを有したエレベータ操作盤に着脱自在に装着され、該ボタンの押下を行うエレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットであって、
該ボタンに対面して配設され、該ボタンを押圧する押圧体と、該押圧体を該ボタンを押圧する押圧位置と待避位置とにそれぞれ位置づける押下ユニットと、を有したボタン押圧機構と、
押下すべきボタンを特定する信号を受信する受信ユニットと、
該受信ユニットで受信した信号に基づいて、該ボタン押圧機構を制御するコントローラと、を少なくとも備え
、
該押圧体には、該ボタンに対向する窓部が設けられ、
該窓部は貫通する貫通部として構成される、
又は、
該窓部は透明な板材にて閉鎖される構成とする、
ことを特徴とする、エレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニット。
【請求項5】
該ボタンは押下された際に点灯し、該ボタンが押下された目的を達した際に消灯するものであり、
該受信ユニットは、無人搬送車からの信号を受信し、
該エレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットは、該ボタンが点灯から消灯したことを検出する検出ユニットを備え、
該コントローラは、該検出ユニットで該ボタンの消灯を検出した際に該無人搬送車へ消灯信号を発信する、
ことを特徴とする、請求項4に記載のエレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンを有したエレベータ操作盤に着脱自在に装着され、ボタンの押下を行うエレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にエレベータに乗降する際には、エレベータ乗り場やエレベータのかごの中に配置されたエレベータ操作盤のボタンを人が手指で押下する操作が行われる。このようなエレベータ操作盤は、接触式の操作盤として構成されるものである。
【0003】
しかし、昨今、感染症の感染リスク低減のためにもエレベータ操作盤のボタンを手指で接触して押下することなく、エレベータの呼び出し、扉の開閉、行先階の指定等を行いたいという要望がある。
【0004】
この点に関し、例えば特許文献1においては、人がボタンに触れることなく非接触でのボタン操作を可能とする構成とした、いわゆる非接触式(タッチレス)のエレベータの操作装置が開示されている。この特許文献1では、複数のセンサーにより利用者の手指の存在を検出することで、操作の検出を行う構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存のエレベータに設けられている接触式の操作盤を、非接触で操作可能とする場合には、非接触式の操作盤に交換する必要があり、その工事に時間や手間がかかるという問題がある。
【0007】
また、交換工事をエレベータの操作装置のメーカーに依頼せねばならず、納期や価格の面でメーカー側の都合が優先されることになり、このことが導入の遅れや障害になることも懸念される。
【0008】
また、メーカーによってエレベータの制御方法や制御基板の仕様が異なることが想定されるため、既存のエレベータに設けられている操作盤の交換という方法では幅広く展開することができず、感染症対策の早期拡充といった社会的なニーズに応えることは難しいことになる。
【0009】
特に、公共の場において不特定多数の人によって操作されるエレベータについては、非接触による操作を実現することは、有効な感染症対策の一つとして期待できるものといえる。
【0010】
以上に鑑み、本願発明は、既存のエレベータ操作盤にも後付で適用可能であり、非接触による操作を可能とするための新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
本発明の一態様によれば、
ボタンを有したエレベータ操作盤に着脱自在に装着され、ボタンの押下を行うエレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットであって、
ボタンに対面して配設され、ボタンを押圧する押圧体と、押圧体をボタンを押圧する押圧位置と待避位置とにそれぞれ位置づける押下ユニットと、を有したボタン押圧機構と、
押下すべきボタンを特定する信号を受信する受信ユニットと、
受信ユニットで受信した信号に基づいて、ボタン押圧機構を制御するコントローラと、を少なくとも備える、エレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットとする。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、
ボタンは押下された際に点灯し、ボタンが押下された目的を達した際に消灯するものであり、
受信ユニットは、無人搬送車からの信号を受信し、
エレベータ操作盤用のボタン押下補助ユニットは、ボタンが点灯から消灯したことを検出する検出ユニットを備え、
コントローラは、検出ユニットでボタンの消灯を検出した際に無人搬送車へ消灯信号を発信する、こととする。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、
押圧体には、ボタンに対向する窓部が設けられ、
窓部は貫通する貫通部として構成される、
又は、
窓部は透明な板材にて閉鎖される構成とする、こととする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、既存のエレベータ操作盤にも後付で適用可能であり、非接触による操作を可能とするボタン押下補助ユニットが実現できる。後付とするため汎用性が広く、エレベータのメーカーの種別によらずに幅広く適用できることが期待され、有効な感染症対策の一つとして社会的なニーズにも早期に応えることができる。
【0016】
また、本発明の一態様によれば、無人搬送車(AGV)の自走による各階移動を実現することができる。
【0017】
また、本発明の一態様によれば、従来の接触による操作も可能としつつ、追加的に非接触の操作を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A)は、ビル、各種施設、居住用マンション等に設けられるエレベータの例について示す図。(B)は、工場等において物品等を搬送する無人搬送車の各階移動の例について示す図。
【
図2】ボタン押下補助ユニットの構成例について示す図。
【
図3】(A)は、ボタン押圧機構を構成する押圧体と押下ユニットについて示す図。(B)は、ボタン押圧機構において通電していない状態について示す図。(C)は、ボタン押圧機構において通電した状態について示す図。
【
図4】(A)はボタン押圧機構とボタンの配置について示す図。(B)は手指によるボタンの非接触の操作について示す図。(C)ボタン操作後にランプが点灯を続ける様子を示す図。
【
図5】(A)はカゴ内のエレベータ操作盤について示す図。(B)はボタン押圧機構の配置について示す図。(C)はユニット本体について説明する図。
【
図6】ユニット本体の窓部を通じてボタンが視認される様子について説明する図。
【
図8】無人搬送車の各階移動の流れについて説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1(A)は、ビル、各種施設、居住用マンション等に設けられるエレベータの例を示すものであり、エレベータ乗り場2の壁にはエレベータ操作盤2Aが設置され、各階にいる利用者により適宜操作されるものである。
【0020】
エレベータのカゴ4内の壁面にもエレベータ操作盤4Aが設置され、カゴ4に乗っている利用者により適宜操作されるものである。
【0021】
図1(B)は、工場等において物品等を搬送する無人搬送車30(AGV:Automatic Guided Vehicle)を上下階移動させるエレベータの例を示すものであり、詳しくは後述するように、無人搬送車30との通信によってエレベータ操作盤2A,4Aの操作が実現されるものである。
【0022】
以上のような
図1(A)(B)に示す既設のエレベータについて、本願発明にかかるボタン押下補助ユニット20,40が後付で設置される。
【0023】
図2は、エレベータ乗り場の壁に設けられるエレベータ操作盤2Aに後付で設置されるボタン押下補助ユニット20の構成例について示す図である。エレベータ操作盤2Aには、複数のボタン3が配置されており、利用者の手指によって押下操作がされるものである。なお、エレベータ操作盤の使用によりボタン3の数は異なるものであり、ボタン3は、一つの場合や、複数の場合が想定される。
【0024】
ボタン押下補助ユニット20は、エレベータ操作盤2Aのボタン3に対面する押圧体21と、押圧体21を押圧位置と待避位置とにそれぞれ位置づける押下ユニット22と、を有し、押圧体21と押下ユニット22によりボタン押圧機構23が構成される。
【0025】
図2及び
図3(A)に示すように、押圧体21は、矩形の枠体21aと、枠体21aに囲まれる窓部21bであって、ボタン3に対向する窓部21bを有する。これにより、窓部21bを通じてボタン3が外部から視認できるように構成される。窓部21bは貫通部としてボタン3の一部が物理的に露出することとする他、透明な板材によって閉鎖されつつ視覚的に露出することとすることができる。
【0026】
図3(A)に示すように、枠体21aの左右位置には、ピン形状の係合部21c,21cが設けられており、各係合部21c,21cは押下ユニット22の枠体22aに設けた係合穴22c,22cに対しボタンの押下方向に移動可能に係合される。
【0027】
図2、及び、
図3(A)(B)に示すように、押下ユニット22の枠体22aは矩形枠状に構成され貫通窓22bを構成し、この貫通窓22b内において押圧体21の枠体21aを取り囲むように収容する。
【0028】
図3(A)に示すように、押下ユニット22には、押圧体21の枠体21aを押下方向F1に移動させるための駆動機構24が設けられる。本実施例では、駆動機構24は、通電により収縮するバイオメタルにて構成されるワイヤー状の変形体24a,24aにて構成され、スイッチ51が作動して通電すると収縮し、通電がなくなると元の状態に戻る。
【0029】
本実施例のように、駆動機構24をバイオメタルにて構成することにより、モータやシリンダ等を利用するものと比較して、駆動機構24を薄く構成し、省スペースで実現することができる。
【0030】
図3(A)(B)に示すように、ワイヤー状の変形体24aの中途部は、押圧体21の枠体21aの左右位置に設けた凸部21dに当接され、変形体24aに通電がされて収縮すると、凸部21dが押下方向F1に押圧される。このように凸部21dが押圧されることで押圧体21が押下方向F1に移動し
図3(C)の状態となる。
【0031】
図4(A)に示すように、押圧体21は、ボタン3を押下しない退避位置に位置づけられる。本実施例では、押圧体21は、通常は弾性体21eにより反押下方向F2に付勢されて退避位置に位置づけられる構成とするが、弾性体21eは省略されることとしてもよい。また、押圧体21は、ボタン3を押下しない退避位置においてボタン3との間隔が形成されることとする他、ボタン3と接触するものとしてもよい。
【0032】
そして、スイッチ51が作動して駆動機構24が作動すると、弾性体21eによる付勢力に抗して変形体24aが押圧体21を押圧し、
図4(B)に示すように、押圧体21が押下方向F1に移動して押圧位置に位置づけられる。この状態で押圧体21の枠体21aがボタン3の表面に当接し、がボタン3を押下する。なお、ボタン3は、通常は弾性体3eにより反押下方向F2に付勢され、非押下位置に位置づけられる。
【0033】
図4(B)に示すように、エレベータ操作盤2Aにおいては、ボタン3の押下に伴ってLED等からなるランプ52が点灯するようになっている。ボタン3の一部、または、全部が透光性を有し、ランプ52の発光はボタン3を透過して利用者によって視認されるようになっている。
【0034】
ボタン3(ランプ52)の点灯は、ボタン3が押下された目的を達成するまで点灯を続け、達成した際に消灯するように制御される。例えば、5階への移動を目的としてボタン3が押下された場合には、押下の際に点灯を開始し、5階に到着した際にランプ52が消灯する。
【0035】
ボタン押圧機構23の押圧体21には、ランプ52の発光、消灯を検知するための光検出ユニット21mが設けられる。この光検出ユニット21mにより、例えば、あるボタンについてのランプ52が消灯した際には、当該ボタン操作の目的が達成されたことを検知することができる。例えば、5階への移動を目的としてボタンが押下され発光した後、消灯した際には、5階に到着したことを検知できる。なお、光検出ユニット21mは、例えば、発光の有無を検出する光センサにて構成することができる。
【0036】
ボタン押圧機構23の押圧体21には、手指Uの存在を認識するための非接触センサー21nが設けられ、手指Uが押圧体21に近づいた際に、非接触で手指Uの存在を検知することができる。なお、非接触センサー21nは、例えば、赤外線センサーにて構成することができる。
【0037】
図3(A)に示すように、光検出ユニット21mや非接触センサー21nは、押圧体21に枠体21に設けることとする他、押下ユニット22の枠体22aに設けることとしてもよい。
【0038】
図2に示すように、ボタン押圧機構23は、パネル形状のユニット本体20Aに収容される。ユニット本体20Aの裏面側には、エレベータ操作盤2Aの各ボタン3の配置に合わせ、ボタン押圧機構23を収容する収容部26aが複数箇所に形成されている。各収容部26aには、ユニット本体20Aを厚み方向に貫通する窓部26bが形成されており、利用者は各窓部26bを通じて各ボタン3を視認することができる。
【0039】
ユニット本体20Aは、既存のエレベータ操作盤2Aの表面に対し、例えば、磁石やテープ等により後付で固定が可能なものである。ユニット本体20Aは、電池を内蔵することでワイヤレスの構成とする他、外部電源を取り込む構成としてもよい。
【0040】
ユニット本体20Aには、押下すべきボタンを特定する信号を受信する受信ユニット27と、受信ユニット27で受信した信号に基づいて、ボタン押圧機構23を制御するコントローラ28と、が設けられる。
【0041】
受信ユニット27で受信する信号には、例えば、
図2の例であれば、上階行きのボタン3を押下することを目的とする信号である。この信号は、例えば、
図4(B)に示すように、非接触センサー21nにより手指Uの存在を検知した際に、非接触センサー21nから出力される信号である。この信号は、各非接触センサー21nが配置された箇所にあるボタンの属性(行先階、扉開、扉閉、上階行き、下階行き等)に対応するものである。
【0042】
受信ユニット27は、非接触センサー21n(
図4(B))からの信号の受信を可能とする他、音声マイクを備えることにより音声信号の受信を可能とすることもできる。また、通信機能を備えることにより、無人搬送車30(
図1(B))からの信号、利用者のスマートフォン等の情報端末7(
図1(A))からの信号等の受信や、無人搬送車や情報端末等への送信も可能となる。これら非接触センサー21n(
図4(B))以外からの信号については、行先階、扉開、扉閉、上階行き、下階行き等を直接指定する信号となる。さらに、エレベータから離れた位置にある管理室等との通信が確立されることで、遠隔操作可能とする構成も実現できる。
【0043】
コントローラ28は、受信ユニット27が受信した情報に基づいて、ボタン押圧機構23の動作を制御する。
【0044】
具体的には、
図4(B)の例に示すように、非接触センサー21nにより手指Uの存在が検知された信号が受信ユニット27で受信された際には、コントローラ28はスイッチ51を数秒間(例えば、1~2秒)だけONにする。これにより、通電を開始して変形体24aを収縮させ、押圧体21を押下方向F1に移動させてボタン3を押下する。ここでは、手指Uがボタン3に触れる前に検知されるため、ボタン3に触れずに非接触でのボタン操作が実現される。
【0045】
なお、
図3(A)に示すように、押圧体21が窓部21bを有することでボタン3の少なくとも一部が露出され、直接ボタン3を押圧することも可能である。したがって、従来の接触による操作も可能としつつ、追加的に非接触の操作を可能にすることができる。
【0046】
また、
図4(A)の例に示すように、光検出ユニット21mによりランプ52が点灯から消灯に変わったことを検知した信号が受信ユニット27が受信すると、コントローラ28は、光検出ユニット21mが配置されるボタン操作の目的が達成されたことを認識する。詳しくは、後述するように、コントローラ28は、例えば、この情報を無人搬送車に送信する。
【0047】
以上の構成は、
図2に示すボタン押下補助ユニット20のように、エレベータ乗り場の壁には設けられるエレベータ操作盤2Aについて後付で設置するものとして構成する他、
図5(A)(B)(C)、及び、
図6に示すように、エレベータのカゴ内の壁面に設置されるエレベータ操作盤4Aに後付で設置するボタン押下補助ユニット40にも適用可能である。
【0048】
図5(A)(B)(C)に示すように、ボタン押下補助ユニット40のユニット本体40Aには、受信ユニット47やコントローラ48が設けられるとともに、ボタン押圧機構23を収容する収容部46aが各ボタン3に対応する位置に設けられる。
【0049】
図6では、ユニット本体40Aを厚み方向に貫通する窓部46bを通じてボタン3が視認できる様子を示している。利用者は、窓部46bを通じて直接ボタン3を押圧することも可能であるが、
図4(B)にも示すように、押圧前に非接触センサー21nにより手指が検知されることで、非接触での操作が実現される。
【0050】
次に、
図7に示すように、以上の構成を利用した無人搬送車30の階移動を行う例について説明する。
図8は以下の説明に準ずるフローチャートである。
【0051】
無人搬送車30は、コントローラ31にて駆動部32を制御して、自動走行する自走式の搬送車である。無人搬送車30は通信部33を備え、ボタン押下補助ユニット20,40側に設けられる受信ユニット27との間で通信が確立する。
【0052】
無人搬送車30がエレベータ乗り場において上階行きボタンを押す信号を送信すると、ボタン押下補助ユニット20により上階行きボタンが押下される。エレベータのカゴ4が到着し、上階行きボタンのランプ52(
図4(B))が点灯から消灯に変わる。この消灯の変化は光検出ユニット21mに検知され、ボタン押下補助ユニット20側のコントローラ28は、無人搬送車30側のコントローラ31に当該検知の信号を送信する。
【0053】
エレベータの扉が自動で開き、無人搬送車30がカゴ4内へと進入する。無人搬送車30のコントローラ31は希望する行先階を特定する信号をカゴ4内のボタン押下補助ユニット40側に送信する。ボタン押下補助ユニット40は、受信した信号に基づき、行先階に対応するボタンを押下する。
【0054】
押下されたボタンのランプ52(
図4(B))は点灯後、エレベータが行先階に到着すると消灯する。この消灯を光検出ユニット21mが検知すると、ボタン押下補助ユニット40側のコントローラ48は、無人搬送車30側のコントローラ31に当該検知の信号を送信する。
【0055】
エレベータの扉が自動で開き、無人搬送車30がカゴ4外へと移動し、希望する行先階への移動が完了する。
【0056】
以上のようにして、本発明によれば、既存のエレベータ操作盤にも後付で適用可能であり、非接触による操作を可能とするボタン押下補助ユニットが実現できる。後付とするため汎用性が広く、エレベータのメーカーの種別によらずに幅広く適用できることが期待され、有効な感染症対策の一つとして社会的なニーズにも早期に応えることができる。
【0057】
また、本発明によれば、無人搬送車(AGV)の自走による各階移動を実現することができる。
【符号の説明】
【0058】
2 エレベータ乗り場
2A エレベータ操作盤
3 ボタン
4 カゴ
4A エレベータ操作盤
7 情報端末
20 ボタン押下補助ユニット
20A ユニット本体
21 押圧体
21a 枠体
21b 窓部
21c 係合部
21d 凸部
21e 弾性体
21m 非接触センサー
21n 光検出センサー
22 押下ユニット
22a 枠体
22b 貫通窓
22c 係合穴
23 ボタン押圧機構
24 駆動機構
24a 変形体
26a 収容部
26b 窓部
27 受信ユニット
28 コントローラ
30 無人搬送車
31 コントローラ
32 駆動部
33 通信部
40 ボタン押下補助ユニット
40A ユニット本体
46b 窓部
48 コントローラ
51 スイッチ
52 ランプ
F1 押下方向
F2 反押下方向
U 手指