(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】アミン基含有繰り返し単位を有するポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 61/12 20060101AFI20241121BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241121BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241121BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20241121BHJP
H10K 101/00 20230101ALN20241121BHJP
【FI】
C08G61/12
G09F9/30 365
H10K50/10
H10K85/10
H10K101:00
(21)【出願番号】P 2021524191
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019080033
(87)【国際公開番号】W WO2020094537
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-09-08
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】ニルス、ケーネン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク、ヨーステン
(72)【発明者】
【氏名】ベアテ、ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】カーチャ、シャイブル
(72)【発明者】
【氏名】ミリアム、エンゲル
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー、ハイル
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151470(JP,A)
【文献】国際公開第2009/066666(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/062276(WO,A1)
【文献】特表2015-519424(JP,A)
【文献】特開2017-141322(JP,A)
【文献】特開2015-063657(JP,A)
【文献】国際公開第2010/013723(WO,A1)
【文献】特開2009-117800(JP,A)
【文献】特開2015-164998(JP,A)
【文献】特表2013-536570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 2/00- 2/38
61/00- 61/12
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
G09F 9/30
H10K 50/00- 99/00
101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)の繰り返し単位を少なくとも1つ有し、かつ式(I)の繰り返し単位以外のさらなる繰り返し単位を含むポリマーであって、前記ポリマーが少なくとも1つの架橋性基Qを有する繰り返し単位を少なくとも1つ含み、前記ポリマー中の式(I)の繰り返し単位の比が、前記ポリマー中に繰り返し単位として存在する全ての共重合可能なモノマー100モル%を基準として、5~75モル%である、ポリマー。
【化1】
(ここで、
Xは、NR’であり;
Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4は、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、5~60の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;
aおよびbは、1であり;
cおよびdは、1であり;
eおよびfは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、0、1、2または3であり;
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、OSO
2R
1、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよく
、ここで、1以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~40の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基;または架橋性基Qであり、ここで、2以上のRラジカルが共に単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;
R
1は、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、Fまたは1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~20の炭素原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカル(ここで、1以上の水素原子はFによって置き換えられていてもよい)であり;ここで、2以上のR
1置換基が共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;
R’は、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、5~60の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~40の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であり;かつ
点線は、前記ポリマー中の隣接する繰り返し単位への結合を示し、
架橋性基Qは、以下からなる群:
【化2-1】
【化2-2】
(ここで、
R
11、R
12、R
13およびR
14は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、または1~6の炭素原子を有する、直鎖または分岐のアルキル基であり、
m=0~8であり、
n=1~8であり、
Ar
10は、式(I)中のAr
1と同じ意味を有し、
点線は、架橋性基Qの、繰り返し単位への結合を示す)
より選択される)
【請求項2】
少なくとも1つの式(I)の繰り返し単位が以下の式(III)の繰り返し単位から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【化3】
(ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4は、請求項1に記載の定義である)
【請求項3】
式(I)および(III)の繰り返し単位中の前記単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
2およびAr
4が以下の単位Ar1~Ar10から選択される、請求項1または2に記載のポリマー。
【化4】
(ここで、
Rは、請求項1に記載の定義であり、
X=CR
2
、NR、SiR
2
、O、S、C=OまたはP=Oであり、
p=0、1、2または3であり、
q=0、1、2、3または4であり、かつ
r=0、1、2、3、4または5である)
【請求項4】
式(I)および(III)の繰り返し単位中の前記単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
1およびAr
3が以下の単位Ar11~Ar18から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー。
【化5】
(ここで、
Rは、請求項1に記載の定義であり、
X=CR
2
、NR、SiR
2
、O、S、C=OまたはP=Oであり、
o=0、1または2であり、
p=0、1、2または3であり、かつ
q=0、1、2、3または4である)
【請求項5】
前記少なくとも1つの架橋性基Qを有する繰り返し単位が式(Ix)の繰り返し単位から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー。
【化6】
(ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、RおよびX、ならびにa、b、c、d、eおよびfは、請求項1に記載の式(I)に関する定義であるが、ただし少なくとも1つのRが架橋性基Qである)
【請求項6】
前記少なくとも1つの架橋性基Qを有する繰り返し単位が式(IIx2)および(IIx3)の繰り返し単位から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー。
【化7】
【化8】
(ここで、
式(IIx2)中のXは、NR’であり;
式(IIx3)中のXは、NR’であり;
Qは架橋性基Qであり;かつ
式(IIx2)および(IIx3)中のAr
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4、ならびにcおよびdは、請求項1に記載の式(I)に関する定義である)
【請求項7】
スズキ重合、ヤマモト重合、スティル重合、またはハートウィグ-ブッフバルト重合によって調製される、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーの調製方法。
【請求項8】
少なくとも1つの式(I)の繰り返し単位を含む請求項1~6のいずれか一項に記載の1以上のポリマー、および1以上のさらなる、ポリマーの、オリゴマーの、デンドリマーの、および/または低分子量の物質を含んでなる、ポリマーブレンド。
【請求項9】
1以上の溶媒中の、請求項1~6のいずれか一項に記載の1以上のポリマー、または請求項8に記載のポリマーブレンドから構成される、溶液または配合物。
【請求項10】
電子または光電子素子における、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーの使用であって、前記電子または光電子素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機集積回路(O-IC)、有機薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機光起電力(OPV)要素もしくは素子、および有機光受容器(OPC)からなる群より選択される、使用。
【請求項11】
1以上の活性層を有し、これらの活性層の少なくとも1つが請求項1~6のいずれか一項に記載の1以上のポリマーを含んでなる、電子または光電子素子であって、前記電子または光電子素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機集積回路(O-IC)、有機薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機光起電力(OPV)要素もしくは素子、および有機光受容器(OPC)からなる群より選択される、電子または光電子素子。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アミノ基を含む繰り返し単位を有するポリマー、それらの調製方法、ならびに電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子、いわゆるOLED(OLED=有機発光ダイオード)、におけるそれらの使用に関するものである。本発明は、さらに、それらのポリマーを含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものでもある。
【0002】
電子または光電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)において、さまざまな機能の構成要素が必要とされる。OLEDにおいて、異なる機能は、異なる層で通常存在する。この場合の例としては、多層OLEDシステムが挙げられる。これらの多層OLEDシステムにおける層には、電荷注入層(例えば、電子および正孔伝導層)、および発光成分を含む層がある。これらの多層OLEDシステムは、一般に連続する層ごとの用途により作られる。
【0003】
2以上の層が溶液から適用される場合に、既に適用された任意の層が、一旦乾燥すると、次の層の製造のための溶液の引き続いての適用によって破壊されないようにしなければならない。例えば、層を不溶にする(例えば、架橋によって)ことにより、達成されうる。この種の方法は、例えば、EP0637899およびWO96/20253に開示される。
【0004】
さらに、それぞれの層が互いに、非常に良い結果(例えば、寿命、効率など)が達成されるような材料の観点で機能を満たすことも必要である。例えば、発光層に直接的に隣接する層、特に正孔輸送層(HTL)、は、隣接する発光層の特性に重大な影響を及ぼす。
【0005】
本発明によって解決される問題の1つは、それゆえ、電子または光電子素子、好ましくはOLED、ここでは特にそれらの正孔輸送層において、まず溶液で処理されることができ、次に素子、特にOLEDの特性を改良に導く化合物の提供である。
【0006】
驚くべきことに、アリール-ビスアミン基を含む繰り返し単位を有するポリマーは、特にOLEDの正孔輸送層に使用された場合に、これらのOLEDの効率の増加をもたらすことがわかった。
【0007】
したがって、本願は、以下の式(I)の繰り返し単位を少なくとも1つ有するポリマーを提供するものである。
【化1】
ここで、
Xは、O、S、NRまたはCR
2であり;
Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4は、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、5~60の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;
aおよびbは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、0または1であり;ここで、(a+b)=1または2、好ましくは2であり;
cおよびdは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、0または1であり、好ましくはc=d=0または1であり、より好ましくはc=d=1であり;
eおよびfは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、0、1、2または3であり、好ましくは0または1であり、より好ましくはe=f=0であり;
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、OSO
2R
1、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の非隣接CH
2基が、R
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、C=S、C=NR
1、P(=O)R
1、SO、SO
2、NR
1、O、SまたはCONR
1によって置き換えられていてもよく、ここで、1以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~40の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基;または架橋性基Qであり、ここで、2以上のRラジカルが共に単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;
R
1は、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、Fまたは1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~20の炭素原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカル(ここで、1以上の水素原子はFによって置き換えられていてもよい)であり;ここで、2以上のR
1置換基が共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;かつ
点線は、前記ポリマー中の隣接する繰り返し単位への結合を示す。
【0008】
本発明において、用語「ポリマー」は、ポリマー化合物、オリゴマー化合物およびデンドリマーを意味するものと解される。本発明のポリマー化合物は、好ましくは10~10000、より好ましくは10~5000、最も好ましくは10~2000の繰り返し単位を有する。本発明のオリゴマー化合物は、好ましくは3~9の繰り返し単位を有する。ポリマーの分岐因子は、0(直鎖ポリマー、分岐なし)と1(完全に分岐したデンドリマー)の間である。
【0009】
本発明のポリマーは、好ましくは10000~1000000g/molの範囲の分子量Mw、より好ましくは20000~500000g/molの範囲の分子量Mw、最も好ましくは25000~200000g/molの範囲の分子量Mwを有する。分子量Mwは、内標準ポリスチレンに対するGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定される。
【0010】
本発明のポリマーは、共役、半共役(semi-conjugated)、または非共役ポリマーである。好ましくは、共役、または半共役ポリマーである。
【0011】
本発明によれば、式(I)の繰り返し単位は、ポリマーの主鎖または側鎖に組み込まれていてよい。しかしながら、好ましくは、式(I)の繰り返し単位はポリマーの主鎖に組み込まれる。ポリマーの側鎖に組み込まれる場合に、式(I)の繰り返し単位は、一価または二価であってよく、これらはポリマー中の隣接する繰り返し単位へ1つまたは2つの結合を有することを意味する。
【0012】
本発明の意味において、「共役ポリマー」とは、主鎖に、主としてsp2ハイブリダイゼーション混成(または所望によりsp混成)炭素原子を含むポリマーであって、これは対応する混成ヘテロ原子によって置き換えられていてもよい。最も単純なケースにおいて、これは、主鎖に二重結合と単結合とが交互に存在することを意味するが、例えばメタ結合されたフェニレンのような単位を有するポリマーもまた本発明の意味において共役ポリマーとみなされるべきである。「主として」は、共役を妨げるように導く自然に(意図せず)起こる効果が用語「共役ポリマー」にあてはまらないようにしないことを意味する。さらに、本発明は同様に、主鎖に、例えばアリールアミン単位、アリールホスフィン単位、特定の複素環(つまり、窒素、酸素または硫黄原子を介する共役)および/または有機金属錯体(つまり、金属原子による共役)が存在するときの共役に関する。同様のことが、共役デンドリマーにも適用される。対照的に、例えば、単にアルキルブリッジ、(チオ)エーテル、エステル、アミドまたはイミド連結のような単位は、非共役区分として一義的に定義される。
【0013】
本発明において、半共役ポリマーは、非共役部分、意図的な共役ブレーカー(例えばスペーサー基)または分岐によって互いに分離された共役領域を含むポリマーを意味するものと解され、例えば主鎖において比較的長い共役部分が非共役部分によって遮断されている、または主鎖において非共役のポリマーの側鎖に比較的長い共役部分を含む。共役および半共役ポリマーは、また、共役、半共役または非共役デンドリマーを含んでいてもよい。
【0014】
本発明において、用語「デンドリマー」は、多機能コアから規則的な構造の分岐したモノマーが結合され、樹状構造が得られる、高度に分岐された化合物を意味するものと解される。このケースにおいて、コアおよびモノマーは、純粋な有機単位および有機金属化合物または配位化合物の両方からなる任意の分岐構造とみなされていてもよい。「デンドリマーの(Dendrimeric)」は、ここで、例えば、M.FischerおよびF.Vogtle(Angew.Chem.、Int.Ed.1999、38、885)に開示されるように、通常解される。
【0015】
本発明において、用語「繰り返し単位」は、少なくとも2つ、好ましくは2つ、の反応基を有するモノマー単位から結合形成反応によって生じ、主ポリマー骨格にそれらの一部として組み入れられ、そして調製されたポリマー内に結合されて存在する単位を意味するものと解される。
【0016】
用語「単環または多環の、芳香族環系」は、本発明において、6~60、好ましくは6~30、より好ましくは6~24の芳香族環原子を有し、必ずしも芳香族基のみを含むものではなく、2以上の芳香族単位が短い非芳香族単位(H以外の原子のが10%より少ない、好ましくはH以外の原子が5%よりも少ない)、例えば、sp3-混成炭素原子または酸素もしくは窒素原子、CO基等、によって介されていることも可能である、芳香族環系を意味するものと解される。例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、および9,9-ジアルキルフルオレンのような系は、芳香族環系とみなされる。
芳香族環系は、単環または多環であってもよく、これは、1つの環(例えばフェニル)、または縮合された(例えばナフチル)または共有結合的に結合された(例えばビフェニル)2つ以上の環を有していてもよく、または縮合および結合された環の組み合わせを含んでいてもよい。
【0017】
好ましい芳香族環系は、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、[1,1’:3’,1’’]ターフェニル-2’-イル、クォーターフェニル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テロラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、およびスピロビフルオレンである。
【0018】
用語「単環または多環の、ヘテロ芳香族環系」は、本発明において、5~60、好ましくは5~30、より好ましくは5~24の芳香族環原子を有し、これらの原子の1つ以上がヘテロ原子であるものを意味するものと解される。「単環式または多環式の、ヘテロ芳香族環系」は、必ずしも芳香族基のみを含むものではなく、短い非芳香族単位(H以外の原子のが10%より少ない、好ましくはH以外の原子が5%よりも少ない)、例えば、sp3-混成炭素原子または酸素もしくは窒素原子、CO基等、によって介されていてもよい。
【0019】
ヘテロ芳香族環系は、単環または多環であってもよく、これは、1つの環、または縮合されたまたは共有結合的に結合された2つ以上の環を有していてもよく(例えば、ピリジルフェニル)、または縮合および結合された環の組み合わせを含んでいてもよい。好ましくは、完全に共役のヘテロアリール基である。
【0020】
好ましいヘテロ芳香族環系は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾ-ル、1,2,4-オキサジアゾ-ル、1,2,5-オキサジアゾ-ル、1,3,4-オキサジアゾ-ル、1,2,3-チアジアゾ-ル、1,2,4-チアジアゾ-ル、1,2,5-チアジアゾ-ル、1,3,4-チアジアゾ-ルなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジンなどの6員環、例えばカルバゾール、インデノカルバゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノオキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェアジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3-b]チオフェン、チエノ[3,2-b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、およびベンゾチアジアゾチオフェンなどの複数の環を有する基である。
【0021】
単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系は、置換されていなくても、置換されていてもよい。本発明において、「置換された(Substituted)」は、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系が1以上の置換基Rを有することを意味する。
【0022】
Rは、好ましくは、出現ごとに同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、F、Cl、Br、I、N(R1)2、CN、NO2、Si(R1)3、B(OR1)2、C(=O)R1、P(=O)(R1)2、S(=O)R1、S(=O)2R1、OSO2R1、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基はR1C=CR1、C≡C、Si(R1)2、C=O、C=S、C=NR1、P(=O)R1、SO、SO2、NR1、O、SまたはCONR1によって置き換えられていてもよく、ここで1以上の水素原子はD、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~40の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基;または架橋性基Qであり;同時に、2以上のラジカルRが共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;
【0023】
Rは、より好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、F、Cl、Br、I、N(R1)2、Si(R1)3、B(OR1)2、C(=O)R1、P(=O)(R1)2、1~20の炭素原子を有する、直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基、2~20の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3~20の炭素原子を有する、環状の、アルキルもしくはアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよく、ここで1以上の隣接しないCH2基はR1C=CR1、C≡C、Si(R1)2、C=O、C=NR1、P(=O)(R1)、NR1、OまたはCONR1によって置き換えられていてもよく、ここで1以上の水素原子がF、Cl、BrまたはIによって置き換えられていてもよい)、または5~30の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~30の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~30の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~20の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、または架橋性基Qであり;同時に、2以上のラジカルRが共に単環式もしくは多環式の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよい。
【0024】
Rは、最も好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、1~10の炭素原子を有する直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基、2~10の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3~10の炭素原子を有する、直鎖もしくは環状の、アルキルもしくはアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよく、1以上の隣接しないCH2基はR1C=CR1、C≡C、C=O、C=NR1、NR1、OまたはCONR1によって置き換えられていてもよい)、または5~20の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~20の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~20の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~20の芳香族環原子を有し、1以上のラジカルR1によって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、または架橋性基Qであり;同時に、2以上のRラジカルRが共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよい。
【0025】
1~10の炭素原子を有する好ましいアルキル基は、以下の表に示される通りである:
【化2】
【0026】
R1は、好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、Fまたは1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~20の炭素原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカル(ここで、1以上の水素原子はFによって置き換えられていてもよい)であり;同時に、2以上のR1置換基が共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよい。
【0027】
R1は、より好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、Dまたは1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~20の炭素原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカルであり;同時に、2以上のR1置換基が共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよい。
【0028】
R1は、最も好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、Hまたは1~10の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~10の炭素原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカルである。
【0029】
本発明の好ましい第一の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=b=1であり、式(I)の繰り返し単位が好ましくは以下の式(II)の構造を有することを意味する:
【化3】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、cおよびdは、式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0030】
本発明の特に好ましい第一の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=b=1およびc=d=1であり、式(I)の繰り返し単位がより好ましくは以下の式(III)の構造を有することを意味する:
【化4】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4は、式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0031】
本発明の一番目の非常に特に好ましい第一の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=b=1であり;c=d=1であり、かつX=NRであり、式(I)の繰り返し単位が最も好ましくは以下の式(IIIa)の構造を有することを意味する:
【化5】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4およびRは、式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0032】
本発明の二番目の非常に特に好ましい第一の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=b=1であり;c=d=1であり、かつX=Oであり、式(I)の繰り返し単位が最も好ましくは以下の式(IIIb)の構造を有することを意味する:
【化6】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4は、式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0033】
本発明の三番目の非常に特に好ましい第一の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=b=1であり;c=d=1であり、かつX=CR
2であり、式(I)の繰り返し単位が最も好ましくは以下の式(IIIc)の構造を有することを意味する:
【化7】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4およびRは式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0034】
本発明の好ましい第二の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=1およびb=0であり、式(I)の繰り返し単位が好ましくは以下の式(IV)の構造を有することを意味する:
【化8】
ここで、Ar
1およびAr
2は式(I)に関する上記の定義であってよく、かつc=0または1である。
【0035】
本発明の特に好ましい第二の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=c=1であり、かつb=0であり、式(I)の繰り返し単位が好ましくは以下の式(V)の構造を有することを意味する:
【化9】
ここで、Ar
1およびAr
2は式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0036】
本発明の一番目の非常に特に好ましい第二の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=c=1であり;b=0であり、かつX=NRであり、式(I)の繰り返し単位が好ましくは以下の式(Va)の構造を有することを意味する:
【化10】
ここで、Ar
1、Ar
2およびRは式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0037】
本発明の二番目の非常に特に好ましい第二の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=c=1であり;b=0であり、かつX=Oであり、式(I)の繰り返し単位が好ましくは以下の式(Vb)の構造を有することを意味する:
【化11】
ここで、Ar
1およびAr
2は式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0038】
本発明の三番目の非常に特に好ましい第二の形態において、式(I)の繰り返し単位中、a=c=1であり;b=0であり、かつX=CNR
2であり、式(I)の繰り返し単位が好ましくは以下の式(Vc)の構造を有することを意味する:
【化12】
ここで、Ar
1、Ar
2およびRは式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0039】
上記の第1よび第2の形態のうち、第1の形態が好ましい。
【0040】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位中、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
2およびAr
4は、好ましくは以下の単位Ar1~Ar10から選択される:
【化13】
ここで、Rは、式(I)に関する上記の定義であってよく、
X=CR
2、NR、SiR
2、O、S、C=OまたはP=Oであり、好ましくはCR
2、NR、OまたはSであり、
p=0、1、2または3であり、
q=0、1、2、3または4であり、かつ
r=0、1、2、3、4または5である。
【0041】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位中、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar2およびAr4は、より好ましくは単位Ar1~Ar10から選択され、ここで、式Ar9およびAr10中のXは、CR2、O、NRおよびSから選択される。
【0042】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位中、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
2およびAr
4は、最も好ましくは以下の単位Ar1a~Ar10cから選択される:
【化14-1】
【化14-2】
ここで、Rは式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0043】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位中、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
1およびAr
3は、好ましくは以下の単位Ar11~Ar18から選択される:
【化15】
ここで、Rは式(I)に関する上記の定義であってよく、
X=CR
2、NR、SiR
2、O、S、C=OまたはP=Oであり、好ましくはCR
2、NR、OまたはSであり、
o=0、1または2であり、
p=0、1、2または3であり、かつ
q=0、1、2、3または4である。
【0044】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位中、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
1およびAr
3は、最も好ましくは以下の単位Ar11a~Ar18dから選択される:
【化16-1】
【化16-2】
ここで、Rは式(I)に関する上記の定義であってよく、
o=0、1または2であり、
p=0、1、2または3であり、かつ
q=0、1、2、3または4である。
【0045】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位中、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
1およびAr
3は、最も好ましくは、以下の単位Ar11aa~Ar17aaから選択される:
【化17-1】
【化17-2】
ここで、Rは式(I)に関する上記の定義であってよい。
【0046】
好ましい式(I)の繰り返し単位は以下の表に示される繰り返し単位であり、これはそれぞれの構成要素Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4で構成される。
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
【化18-4】
【化18-5】
【化18-6】
【0047】
特に好ましい式(I)の繰り返し単位は以下の表に示される繰り返し単位でありこれはそれぞれの構成要素Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4で構成される。
【化19-1】
【化19-2】
【化19-3】
【0048】
非常に特に好ましい式(I)の繰り返し単位は以下の表に示される繰り返し単位であり、これはそれぞれの構成要素Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4で構成される。
【化20-1】
【化20-2】
【0049】
ポリマー中の式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位の比は、1~100mol%の範囲である。
【0050】
第1の好ましい形態において、本発明のポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)または(Vc)の繰り返し単位をちょうど1つ含む。つまり、ポリマー中のそれらの比は100mol%である。このケースにおいて、本発明のポリマーはホモポリマーである。
【0051】
第2の好ましい形態において、ポリマー中の式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位の比は、ポリマー中に繰り返し単位として存在する全ての共重合可能なモノマー100mol%を基準として、5~75mol%の範囲、より好ましくは20~60mol%の範囲、最も好ましくは25~50mol%の範囲であり、つまり、本発明のポリマーが、1以上の式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位だけでなく、式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位とは別のさらなる繰り返し単位を含むことを意味する。
【0052】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)の繰り返し単位とは異なるこれらの構造単位は、WO02/077060A1、WO2005/014689A2およびWO2013/156130に開示され、広く掲載されたものを含む。これらは参照により本発明の部分を形成すると考えられる。さらなる繰り返し単位は、例えば以下の分類に由来するものであってよい:
グループ1:ポリマーの正孔注入および/または正孔輸送特性に影響を与える単位、
グループ2:ポリマーの電子注入および/または電子輸送特性に影響を与える単位、
グループ3:グループ1およびグループ2のそれぞれの単位の組み合わせを有する単位、
グループ4:電子蛍光よりも電子燐光が得られるような発光特性を変える単位、
グループ5:一重項から三重項状態への遷移を改良する単位、
グループ6:得られるポリマーの発光カラーに影響を与える単位、
グループ7:ポリマー骨格として典型的に使用される単位、
グループ8:ポリマー中のπ電子の局在を阻害し、ポリマー中の共役長さを短くする単位。
【0053】
好ましい本発明のポリマーは、電荷輸送特性を有する繰り返し単位(つまり、グループ1および/または2の単位を含むもの)を少なくとも1つ有するものである。
【0054】
正孔注入および/または正孔輸送特性を有するグループ1の繰り返し単位は、例えば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジンン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-パラ-ジオキシン、フェノキサチイン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール、およびフラン誘導体、ならびにさらにO-、S-またはN-含有複素環である。
【0055】
正孔注入および/または正孔油相特性を有する好ましい繰り返し単位は、トリアリールアミン誘導体から形成される。
【0056】
より好ましくは、トリアリールアミン誘導体は以下の式(A)の構造を有する:
【化21】
ここで、
Ar
1~Ar
3は、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、5~60の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、OSO
2R
1、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよく、かつ1以上の非隣接CH
2基はR
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、C=S、C=NR
1、P(=O)R
1、SO、SO
2、NR
1、O、SまたはCONR
1によって置き換えられていてもよく、ここで、1以上の水素原子がD、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~40の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基;または、架橋性基Qであり、ここで、ここで、2以上のRラジカルが共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;
R
1は、出現毎に同一であるかまたは異なり、かつ独立に、H、D、Fまたは1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~20の炭素原子を有する、芳香族および/またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカル(ここで、1以上の水素原子がFによって置き換えられていてもよい)であり;ここで、2以上のR
1置換基が共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;かつ
点線は、ポリマー中の隣接する繰り返し単位への結合を示す。
【0057】
好ましい形態において、トリアリールアミン誘導体は、以下の式(A)の構造を有する:
【化22】
ここで、Ar
1、Ar
2およびAr
3は上記の定義であってよいが、Ar
3が、少なくとも1つ、好ましくは2つのうちの1つのオルト位で、Ar
4によって置換されていることを特徴とし、ここで、Ar
4は、5~60の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカル(ここで、Rは上記の定義であってよい)によって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系である。
【0058】
Ar4は、Ar3に、直接、つまり単結合によって、または連結基Cを介して結合されていてもよい。
【0059】
したがって、第一の形態において、式(A)の繰り返し単位は、好ましくは以下の式(A1)の構造を有する:
【化23】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4およびRは式Aに関する上記の定義であってよく、
w=0、1、2、3、4、5または6であり、好ましくは0、1、2、3または4であり、
X=CR
2、NR、SiR
2、O、S、C=OまたはP=Oであり、好ましくはCR
2、NR、OまたはSであり、かつ
v=0または1であり、好ましくは0である。
【0060】
本発明の第2の形態において、本発明のポリマー中の少なくとも1つの式(A)による構造)の繰り返し単位は、Ar3が2つのオルト位の1つでAr4によって置換され、Ar3は、さらに置換されたオルト位に対して隣接するメタ位でAr4に結合されることを特徴とする。
【0061】
したがって、式(A)の繰り返し単位は、第2の形態において、好ましくは、以下の式(A2)の構造を有する:
【化24】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4およびRは式Aに関する上記の定義であってよく、
p=0、1、2または3であり、
q=0、1、2、3または4であり、
X=CR
2、NR、SiR
2、O、S、C=OまたはP=Oであり、好ましくはCR
2、NR、OまたはSであり、かつ
sおよびtは、それぞれ0または1であり、ここで、(s+t)の合計=1または2であり、好ましくは1である。
【0062】
好ましい形態において、式(A)の繰り返し単位の少なくとも1つが、以下の式(A3)、(A4)および(A5)の繰り返し単位から選択される:
【化25】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
4およびRは式Aに関する上記の定義であってよく、
p=0、1、2または3であり、
q=0、1、2、3または4であり、かつ
X=CR
2、NR、SiR
2、O、S、C=OまたはP=Oであり、好ましくはCR
2、NR、OまたはSである。
【0063】
特に好ましい形態において、式(A3)の繰り返し単位の少なくとも1つが、以下の式(A6)の繰り返し単位から選択される:
【化26】
ここで、Ar
1、Ar
2、Rおよびqは、式AおよびA2に関する上記の定義であってよく、かつ
r=0、1、2、3、4または5である。
【0064】
式(A6)の好ましい繰り返し単位の例は以下表に示される:
【化27】
ここで、Ar
1、Ar
2、R、p、qおよびrは、上記の定義であってよく、かつ
o=0、1または2である。
【0065】
さらに特に好ましい形態において、式(A4)の繰り返し単位の少なくとも1つが、以下の式(A7)の繰り返し単位から選択される:
【化28】
ここで、Ar
1、Ar
2、X、R、pおよびqは、式A、A1およびA2に関する上記の定義であってよい。
【0066】
好ましい式(A7)の繰り返し単位の例は以下の表に示される:
【化29】
ここで、Ar
1、Ar
2、R、p、qおよびrは、式A、A2およびA6に関する上記の定義であってよい。
【0067】
さらにより特に好ましい形態において、式(A5)の繰り返し単位の少なくとも1つが、以下の式(A8)の繰り返し単位から選択される:
【化30】
ここで、Ar
1、Ar
2、X、R、pおよびqは、式A、A1およびA2に関する上記の定義であってよい。
【0068】
式(A8)の好ましい繰り返し単位の例は、以下の表に示される:
【化31】
ここで、Ar
1、Ar
2、R、p、qおよびrは、式A、A2およびA6に関する上記の定義であってよい。
【0069】
非常に特に好ましい形態において、式(A6)の繰り返し単位の少なくとも1つが、以下の式(A9)の繰り返し単位から選択される:
【化32】
ここで、R、qおよびrは、式A、A2およびA6に関する上記の定義であってよい。
【0070】
式(A9)の好ましい繰り返し単位の例は、以下の表に示される:
【化33】
ここで、R、o、p、qおよびrは、式A、A2およびA6に関する上記の定義であってよい。
【0071】
さらに非常に特に好ましい形態において、式(A7)の繰り返し単位の少なくとも1つが、以下の式(A10)の繰り返し単位から選択される:
【化34】
ここで、R、X、pおよびqは、式A、A1およびA2に関する上記の定義であってよい。
【0072】
式(A10)の好ましい繰り返し単位の例は、以下の表に示される:
【化35】
ここで、R、p、qおよびrは、式A、A2およびA6に関する上記の定義であってよく、かつ
u=1~20であり、好ましくは1~10である。
【0073】
よりさらに非常に特に好ましい形態において、式(A8)の繰り返し単位の少なくとも1つが、以下の式(A11)の繰り返し単位から選択される:
【化36】
ここで、R、X、pおよびqは、式A、A1およびA2に関する上記の定義であってよい。
【0074】
式(A11)の好ましい繰り返し単位の例は、以下の表に示される:
【化37】
ここで、R、pおよびqは、式AおよびA2に関する上記の定義であってよい。
【0075】
式(A9)、(A10)および(A11)、ならびに式(A9a)~(A9h)、(A10a)~(A10g)および(A11a)~(A11c)の好ましい形態において、点線は、ポリマー中の隣接する繰り返し単位への結合を示す。これは、独立に、同一または異なり、オルト、メタまたはパラ位で、好ましくは同一にオルト、メタまたはパラ位で、より好ましくはメタまたはパラ位で、最も好ましくはパラ位で配置されていてもよい。
【0076】
電子注入および/または電子輸送特性を有するグループ2の繰り返し単位は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンゾアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンゾイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびフェナジン誘導体、その他トリアリールボラン、ならびにさらにO-、S-またはN-含有複素環である。
【0077】
本発明のポリマーが、正孔移動性が増加しかつ電子移動性が増加する構造(つまり、グループ1および2の単位)が互いに直接的に結合する、または正孔移動性および電子移動性の両方が増加する構造が存在する、グループ3の単位を含んでいてもよい。これらの単位のいくつかは、発光体として機能し、発光カラーを緑、黄色または赤色にシフトさせてもよい。よって、これらの使用は、例えば、もともと青色を発光するポリマーから他の発光カラーをつくるのに好適である。
【0078】
グループ4の繰り返し単位は、室温でさえも三重項状態から高効率で発光する(つまり電子蛍光よりも電子燐光を示し、これはしばしばエネルギー効率の増加を引き起こす)ことができるものである。とりわけ、この目的で適切であるのは、36よりも多い原子番号を有する重原子を含む化合物である。好ましい化合物は、dまたはf遷移金属を含む化合物であり、これは上記の条件を満たす。ここで、特に好ましくは、第8~10属の元素(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)を含む対応する繰り返し単位である。本発明による使用可能なポリマーの有用な繰り返し単位は、例えば、WO02/068435A1、WO02/081488A1、EP1239526A2およびWO2004/026886A2で開示される、例えばさまざまな錯体である。対応するモノマーは、WO02/068435A1およびWO2005/042548A1に開示される。
【0079】
グループ5の繰り返し単位は、一重項から三重項状態への遷移を改良するものであり、グループ4の繰り返し単位に関連して使用され、これらの構造要素の燐光特性を改良するものである。この目的で有用な単位は、特にカルバゾールおよび架橋カルバゾール二量体単位であり、例えばWO2004/070772A2およびWO2004/113468A1に開示される。加えて、この目的で有用なのは、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホン、シラン誘導体および類似の化合物であり、例えばWO2005/040302A1に開示される。
【0080】
グループ6の繰り返し単位は、上述で述べたように、上述の基ではない少なくとも1つのさらなる芳香族構造または別の共役構造を含むものであり、つまり電荷移動性にはわずかに影響を与えるだけであるか、有機金属錯体ではないか、または一重項三重項遷移に全く影響を与えない。この種の構造要素は、得られるポリマーの発光カラーに影響しうる。それゆえ、この単位によると、これらは発光体として使用されうる。好ましいものは、6~40の炭素原子を有する芳香族構造、他にトラン、スチルベンまたはビススチリルアリレン誘導体であり、これらはそれぞれ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい。特に好ましくは、1,4-もしくは9,10-アントリレン、1,6-、2,7-もしくは4,9-ピレニレン、3,9-もしくは3,10-ペリレニレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレン、ベンゾチアジアゾールおよび対応する酸化物誘導体、キノキサリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ルブレン、ペンタセンまたはペリレン誘導体(これらは置換されていてもよい)が導入されたものであり、好ましくは、共役のプッシュプル(push-pull)系(ドナーおよびアクセプター置換基により置換された系)、または好ましくは置換されたスクアリンもしくはキナクリドンのような系である。
【0081】
グループ7の繰り返し単位は、6~40の炭素原子を有する芳香族構造を含む単位であり、典型的にはポリマー骨格として使用される。これらは、例えば、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、ならびにシス-およびトランス-インデノフルオレン誘導体であり、さらに1,2-、1,3-もしくは1,4-ペニレン、1,2-、1,3-または1,4-ナフチレン、2,2’-、3,3’-もしくは4,4’-ビフェニリレン、2,2’’-、3,3’’-もしくは4,4’’-ターフェニリレン、2,2’-、3,3’-もしくは4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、または2,2’’’-、3,3’’’-もしくは4,4’’’-クォーターフェニレン誘導体である。
【0082】
グループ8の繰り返し単位は、例えば、メタ結合、立体障害、または飽和炭素またはケイ素原子の使用によって、共役阻害(conjugation-interrupting)特性を有するものである。この種の化合物は、例えば、WO2006/063852、WO2012/048778およびWO2013/093490に開示される。グループ8の繰り返し単位の共役阻害特性の効果としては、ポリマーの吸収端の青色シフトが挙げられる。
【0083】
好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位だけでなく、グループ1~8から選択される1以上の単位を同時に含む本発明のポリマーである。1つのグループから1超の繰り返し単位が同時に存在することも同様に好ましい。
【0084】
好ましくは、少なくとも1つの式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)だけでなく、グループ7の単位も含む本発明のポリマーである。
【0085】
同様に、本発明のポリマーが、電荷輸送または電荷注入を改善する単位、つまりグループ1および/または2の単位、を含むことも好ましい。
【0086】
本発明のポリマーは、25~75mol%、好ましくは30~70mol%、より好ましくは40~60mol%の少なくとも1つの電荷輸送繰り返し単位を有する。
【0087】
特に好ましくは、本発明のポリマーがグループ7の繰り返し単位およびグループ1および/または2の単位を含むときである。
【0088】
本発明のポリマーが、グループ1~8から選択される1以上の単位を含む場合、1以上のこれらの単位(好ましくはグループ1の単位)は、1以上の架橋性基、好ましくは1つの架橋性基を有することができる。
【0089】
本発明のポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位から形成されるホモポリマーまたはコポリマーである。本発明のポリマーは、直鎖または分岐状であり、好ましくは直鎖状である。本発明によるコポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の1つ以上の繰り返し単位だけでなく、上述のグループ1~8の1つ以上のさらなる構造単位を潜在的に含んでいてもよい。
【0090】
本発明のコポリマーは、ランダム、交互またはブロック構造を有していてもよく、その他これらの2つ以上の構造を交互に有していてもよい。より好ましくは、本発明によるコポリマーは、ランダムまたは交互構造を有している。より好ましくは、コポリマーは、ランダムまたは交互コポリマーである。ブロック構造を有するコポリマーが得られる方法およびこの目的で特に好ましい構造要素は、例えばWO2005/014688A2に詳細に開示される。これは、参照により、本出願に組み入れられる。同様に、ポリマーがデンドリマー構造を有していてもよいことがここで再び強調される。
【0091】
本発明のさらなる形態において、本発明のポリマーは、1以上の式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位および所望により上記グループ1~8から選択されるさらなる繰り返し単位だけでなく、少なくとも1つ(好ましくは1つ)の架橋性基Qを有する構造単位を含む。
【0092】
本発明のポリマーは、好ましい形態において、1~60mol%、好ましくは2~55mol%、より好ましくは5~50mol%の、少なくとも1つの架橋性基Qを有する少なくとも1つの繰り返し単位を有する。
【0093】
本発明の意味において、「架橋性基Q」は、反応し、不溶な化合物を形成することが可能な官能基を意味する。反応は、さらに同一のQ基、さらに異なるQ基、または同一または別のポリマー鎖の任意の部分とであってよい。したがって、架橋性基は、反応基である。これによって、架橋性基の反応の結果として、対応する架橋された化合物を与える。化学反応は、不溶な層を生じさせる層において行われうる。架橋は、通常、熱、またはUV照射、マイクロ波照射、x線照射もしくは電子線によって、所望により開始剤の存在下で、促進される。本発明の意味において、「不溶な(insoluble)」は、本発明のポリマーが、架橋反応の後(つまり、架橋性基の反応の後)、室温で、有機溶媒に、対応する非架橋の本発明のポリマーの同じ有機溶媒に対して、少なくとも3倍、好ましくは10倍の低溶解度を有する。
【0094】
本発明による好ましい架橋性Q基は以下の基である:
【0095】
a)末端もしくは環状のアルケニル、または末端ジエニルおよびアルキニル基:
適切な単位は、末端もしくは環状の二重結合、末端ジエニル、または末端三重結合、特に、2~40の炭素原子を有する、好ましくは2~10の炭素原子を有する、末端もしくは環状のアルケニル、末端ジエニルおよびアルキニル基、を含むものであり、ここでそれぞれのCH2基および/またはそれぞれの水素原子は、上述のR基によって置き換えられていてもよい。さらに、好適なものは、前駆体としてみなされる基、および二重または三重結合の本来の構造をもつことができる基である。
【0096】
b)アルケニルオキシ、ジエニルオキシまたはアルキニルオキシ基:
さらに、好適であるのは、アルケニルオキシ、ジエニルオキシまたはアルキニルオキシ基、好ましくはアルケニルオキシ基である。
【0097】
c)アクリル酸基:
さらに、好適であるのは、最も広い意味でのアクリル酸単位、好ましくはアクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸エステル、およびメタクリル酸アミドである。特に好ましくは、C1-10のアクリル酸アルキルおよびC1-10のメタクリル酸アルキルである。
a)~c)の上述の基の架橋反応は、フリーラジカルを介して、カチオンもしくはアニオンメカニズム、またはその他付加環化を介して、達成されうる。
架橋反応のために、適切な開始剤を添加することが適しているかもしれない。フリーラジカル架橋に適した開始剤は、例えば、過酸化ジベンゾイル、AIBNまたはTEMPOである。カチオンの架橋に適した開始剤は、例えば、AlCl3、BF3、過塩素酸トリフェニルメチル、またはヘキサクロロアンチモン酸トロピリウムである。アニオンの架橋に適した開始剤は、塩基、特にブチルリチウム、である。
【0098】
しかしながら、本発明の好ましい形態において、架橋は開始剤を添加せずに行われ、専ら熱的手段によって開始される。この好ましい理由は、開始剤を含有しないことで、素子特性を悪化させるであろう層の汚染を防ぐからである。
【0099】
d)オキセタンおよびオキシラン:
さらに適切な架橋性基Qの分類は、開環を介してカチオンによる架橋をする、オキセタンおよびオキシランである。
【0100】
架橋反応のために適切な開始剤を添加することが適しているかもしれない。適切な開始剤は、例えば、AlCl3、BF3、過塩素酸トリフェニルメチル、またはヘキサクロロアンチモン酸トロピリウムである。同様に、開始剤として光酸を添加することも可能である。
【0101】
e)シラン:
架橋性基の分類として、さらに適切なのは、シラン基SiR3であり、ここで少なくとも2つのR基、好ましくは全てのR基が、Clまたは1~20の炭素原子を有するアルコキシ基である。
この基は、水の存在下で反応し、オリゴ-またはポリシロキサンとなる。
【0102】
f)シクロブタン基
上記のa)~f)の架橋性基Qは、当業者に一般に知られており、それらの基の反応に使用される好適な反応条件で使用される。
【0103】
好ましい架橋性基Qとして、以下の式Q1のアルケニル基、以下の式Q2のジエニル基、以下の式Q3のアルキニル基、以下の式Q4のアルケニルオキシ基、以下の式Q5のジエニルオキシ基、以下の式Q6のアルキニルオキシ基、以下の式Q7およびQ8のアクリル酸基、以下の式Q9およびQ10のオキセタン基、以下の式Q11のオキシラン基、ならびに以下の式Q12、Q13およびQ14のシクロブタン基が挙げられる:
【化38】
【0104】
式Q1~Q8およびQ11、Q13およびQ14中のR11、R12、R13およびR14は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、または1~6の炭素原子、好ましくは1~4の炭素原子を有する、直鎖または分岐のアルキル基である。より好ましくは、R11、R12、R13およびR14は、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルであり、最も好ましくは、Hまたはメチルである。使用される添え字は、m=0~8かつn=1~8である。
式Q14中のAr10は、式(I)中のAr1に記載の意味を有する。
【0105】
式Q1~Q11およびQ14の点線、およびQ12およびQ13の点線は、架橋性基の繰り返し単位への結合を示す。
【0106】
式Q1~Q14の架橋性基は、構造単位に直接的に、または間接的に、さらに単環もしくは多環の、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系Ar
10(以下の式Q15~Q28に示される)を介して、結合されていてもよい:
【化39】
ここで、式Q15~Q28中のAr
10は、式(I)中のAr
1に記載の意味であってよい。
【0107】
特に好ましい架橋性基Qは、以下のとおりである:
【化40-1】
【化40-2】
【0108】
R11、R12、R13およびR14ラジカルは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、または1~6の炭素原子、好ましくは1~4の炭素原子を有する、直鎖または分岐のアルキル基である。より好ましくは、R11、R12、R13およびR14ラジカルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルであり、最も好ましくは、メチルである。
使用される添え字は、m=0~8であり、かつn=1~8である。
【0109】
さらに特に好ましい架橋性基Qは以下である:
【化41-1】
【化41-2】
【0110】
使用される架橋性繰り返し単位は、少なくとも1つ、好ましくは1つの架橋性基を有する当業者に知られている繰り返し単位のいずれであってもよい。
【0111】
少なくとも1つの架橋性基Qを有する繰り返し単位は、第1の形態において、式(I)の繰り返し単位に由来する式(Ix)の繰り返し単位から選択される:
【化42】
ここで、X、Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4、a、b、c、d、eおよびf、ならびにRおよびR
1は、式(I)に関して記載の定義であってよいが、ただし、少なくとも1つのRは架橋性基Qである。
【0112】
好ましい第1の形態において、架橋性基Qを有する繰り返し単位は、式(II)の繰り返し単位に由来する、式(IIx1)、(IIx2)および(IIx3)の繰り返し単位から選択されていてもよい:
【化43】
ここで、
Xは、NQ、CRQまたはCQ
2であり;かつ
Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4、ならびにcおよびdは、式(II)に関する上記の定義であってよく;
【化44】
ここで、
X、Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4、ならびにcおよびdは、式(II)に関する上記の定義であってよく;かつ
【化45】
ここで、
X、Ar
1、Ar
2、Ar
3およびAr
4、ならびにcおよびdは、式(II)に関する上記の定義であってよい。
【0113】
好ましい第2の形態において、架橋性基Qを有する繰り返し単位は、式(IV)の繰り返し単位に由来する、式(IVx1)および(IVx2)の繰り返し単位から選択されてもよい:
【化46】
ここで、
Xは、NQ、CRQまたはCQ
2であり;かつ
Ar
1およびAr
2、ならびにcは、式(IV)に関する上記の定義であってよく;かつ
【化47】
ここで、
X、Ar
1およびAr
2ならびにcは、式(IV)に関する上記の定義であってよい。
【0114】
2つの窒素原子の間に配置された多環の芳香族またはヘテロ芳香族環系が少なくとも1つの架橋性基Qを有する、式(IIx1)および(IVx1)の繰り返し単位において、これは好ましくは以下の単位A11~A13から選択される:
【化48】
ここで、Rは上記の定義であってよく、Qは架橋性基であり、かつ
p=0、1、2または3である。
【0115】
2つの窒素原子の間に配置された多環の芳香族またはヘテロ芳香族環系が少なくとも1つの架橋性基Qを有する、式(IIx1)および(IVx1)の繰り返し単位において、これはより好ましくは以下の単位A11a~A13aから選択される:
【化49】
ここで、Rは上記の定義であってよく、かつQは架橋性基である。
【0116】
単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
2およびAr
4が少なくとも1つの架橋性基Qを有する、式(IIx2)、(IIx3)および(IVx2)の繰り返し単位において、Ar
2およびAr
4は好ましくは以下の単位Ar11~Ar28から選択される:
【化50-1】
【化50-2】
ここで、Rは上記の定義であってよく、Qは架橋性基であり、
p=0、1、2または3であり、
q=0、1、2、3または4であり、
r=0、1、2、3、4または5であり、
x=1、2、3または4であり、ここで、x+p≦4であり、かつ
y=1、2、3、4または5であり、ここで、y+q≦5である。
【0117】
単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系Ar
2およびAr
4が少なくとも1つの架橋性基Qを有する、式(IIx2)、(IIx3)および(IVx2)の繰り返し単位において、Ar
2およびAr
4はより好ましくは以下の単位Ar11a~Ar28aから選択される:
【化51-1】
【化51-2】
ここで、Rは上記の定義であってよく、かつQは架橋性基である。
【0118】
さらなる形態において、少なくとも1つの架橋性基Qを有する繰り返し単位は、式(A)のトリアリールアミン単位に由来する以下の式(D1)~(D7)の繰り返し単位から選択されていてもよい:
【化52】
ここで、
Ar
1~Ar
4は、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~60の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;
Qは、架橋性基であり;
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、OSO
2R
1、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよく、かつ1以上の非隣接CH
2基がR
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、C=S、C=NR
1、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、NR
1、O、SまたはCONR
1によって置き換えられていてもよく、ここで、1以上の水素原子がD、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、単環もしくは多環の、芳香族またはヘテロ芳香族環系,または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または10~40の芳香族環原子を有し、1以上のR
1ラジカルによって置換されていてもよい、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基;または架橋性基Qであり、ここで、2以上のRラジカルが共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく;
R
1は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、Fまたは1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~20の炭素原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカル(ここで、1以上の水素原子がFによって置き換えられていてもよい)であり;ここで、2以上のR
1置換基が共に、単環もしくは多環の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよい;
Xは、CR
2、NR、SiR
2、O、S、C=OまたはP=Oであり、好ましくはCR
2、NR、OまたはSであり、
vは、0または1であり、好ましくは0であり、
wは、0、1、2、3、4、5または6であり、好ましくは0、1、2、3または4であり、
sおよびtは、それぞれ0または1であり、ここで、(s+t)の合計=1または2であり、好ましくは1であり;かつ
点線は、ポリマー中の隣接繰り返し単位への結合を示す。
【0119】
よりさらなる形態において、少なくとも1つの架橋性基Qを有する繰り返し単位は、以下の表で示される式(D8)~(D21)の繰り返し単位から選択されていてもよい:
【化53-1】
【化53-2】
ここで、RおよびQは、式(D1)~(D7)の繰り返し単位に関する上記の定義であってよく、
pは、0、1、2または3であり、
qは、0、1、2、3または4であり
rは、0、1、2、3、4または5であり、
yは、1または2であり、かつ
点線は、ポリマー中の隣接する繰り返し単位への結合を示すが、
ただし、フェニル基に関して、(p+y)の合計≦4であり、かつ、ただし、それぞれの繰り返し単位において、少なくとも1つのy≧1であり、
ただし、フェニレン基に関して、(q+y)の合計≦5であり、かつ、ただし、それぞれの繰り返し単位において、少なくとも1つのy≧1である。
【0120】
少なくとも1つの架橋性基Qを有する特に好ましい架橋性繰り返し単位Dは、以下の表に示される式(D1a)~(D7a)の繰り返し単位である:
【化54】
ここで、Ar
1、Ar
2、RおよびQは、式(D1)~(D7)に関する上記の定義であってよく、
oは、0、1または2であり、
pは、0、1、2または3であり、
qは、0、1、2、3または4であり、かつ
rは、0、1、2、3、4または5であり、
点線は、ポリマー中の隣接する繰り返し単位への結合を示す。
【0121】
式(D1a)~(D7a)において、点線は、ポリマー中の隣接する繰り返し単位への可能である結合を示す。2つの点線が式に存在している場合、繰り返し単位は1または2、好ましくは2つの、隣接する繰り返し単位への結合を有する。
【0122】
少なくとも1つの架橋性基Qを有するさらに特に好ましい架橋性繰り返し単位Dは、以下の表に示される、式(D8a)~(D16a)の繰り返し単位である:
【化55-1】
【化55-2】
ここで、RおよびQは、式(D1)~(D7)に関する上記の定義であってよい。
【0123】
非常に特に好ましい架橋性基Dは、上記表に示される式(D8a)の繰り返し単位である。
【0124】
式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位を含む本発明のポリマーは1以上のモノマー種のポリマー化によって通常調製され、ポリマーにおいて、少なくとも1つのモノマーが式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位となる。好適なポリマー化反応は、当業者に知られており、文献に開示されている。特に適切で好ましい、C-CおよびC-Nカップリングに導くポリマー化反応は、以下のとおりである:
(A)スズキ重合、
(B)ヤマモト重合、
(C)スティル(STILLE)重合、
(D)ヘック(HECK)重合、
(E)ネギシ重合、
(F)シノガシラ重合、
(G)ヒヤマ重合、および
(H)ハートウィグ-ブッフバルト(HARTWIG-BUCHWALD)重合。
【0125】
それらの方法により重合が行われうる方法およびその後、反応媒体から分離され、精製されうる方法は、当業者に知られており、文献に開示されている(例えば、WO03/048225A2、WO04/037887A2およびWO2004/037887A2)。
【0126】
C-Cカップリングは、スズキカップリング、ヤマモトカップリングおよびスティルカップリングの基から選択されることが好ましく、C-NカップリングはHARTWIG-BUCHWALDによるカップリングが好ましい。
【0127】
したがって、本発明は、スズキ重合、ヤマモト重合、スティル重合またはハートウィグ-ブッフバルト重合によって調製されることを特徴とする、本発明のポリマーの調製方法を提供する。
【0128】
本発明のポリマーの合成は、式(MI)の対応するモノマーを必要とする。
【化56】
ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、RおよびX、ならびにa、b、c、d、eおよびfは、式(I)の繰り返し単位に関する上記の定義であってよい。
【0129】
本発明のポリマーにおいて、式(I)の繰り返し単位に導く式(MI)のモノマーは、対応する置換基を有し、このモノマー単位をポリマーに組み入れさせる2つの位置での適切な官能性を有する化合物である。よって、式(MI)のこれらのモノマーは、同様に、本発明の内容の一部を形成する。Y基は、同一または異なり、重合化反応に適切な脱離基であり、モノマー単位をポリマー化合物に組み入れることが可能となる。好ましくは、Yは、同一または異なり、ハロゲン、O-トシレート、O-トリフラート、O-スルホナート、ホウ酸エステル、部分的フッ素化シリル基、ジアゾニウム基および有機スズ化合物の分類から選択される化学官能基である。
【0130】
モノマーの基本構造は、標準的な方法(例えば、フリーデル-クラフツアルキル化またはアクリル化)によって官能化されうる。さらに、基礎骨格は、標準的な有機化学の方法によりハロゲン化されうる。ハロゲン化化合物は、所望により、さらに追加の官能化ステップにおいて転化されうる。例えば、ハロゲン化化合物は、直接、またはボロン酸誘導体もしくは有機スズ誘導体に転換後、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの転換のための開始物質として使用されうる。
【0131】
前述の方法は、当業者に知られた反応からの単なる選択であり、当業者はこれらを発明的技法を要せずに、使用して、本発明の化合物を合成することができる。
【0132】
本発明のポリマーは、純物質、またはさらなるポリマー、オリゴマー、デンドリマーもしくは低分子量物質と一緒の混合物として、使用されうる。低分子量物質は、本発明において、100~3000g/mol、好ましくは200~2000g/molの範囲の分子量を有する化合物を意味するものと解される。これらのさらなる物質は、例えば、電子物性を改良するか、それらを放出することができる。式(I)、(II)、(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)、(Va)、(Vb)および/または(Vc)の繰り返し単位を有する1つ以上の本発明のポリマーおよび所望によりさらなるポリマーと1つ以上の低分子量物質との混合物からなる1つ以上のポリマー層を製造することが可能である。
【0133】
したがって、本発明は、1以上の本発明のポリマー、および1以上のさらなる、ポリマーの、オリゴマーの、デンドリマーの、および/または低分子量の、物質を含んでなる、ポリマーブレンドをさらに提供する。
【0134】
本発明は、さらに、1以上の溶媒中の1以上の本発明のポリマーまたはポリマーブレンドで構成される溶液および配合物を提供するものである。そのような溶液が調製されうる方法は、当業者によって知られており、例えばWO02/072714A1、WO03/019694A2およびそれらに引用されている文献に開示されている。
【0135】
これらの溶液は、例えば表面コーティング方法(例えば、スピンコーティング)または印刷方法(例えば、インクジェット印刷)により、薄いポリマー層を製造するために使用されうる。
【0136】
架橋性基Qを有する繰り返し単位を含むポリマーは、フィルムまたはコーティングを製造するために特に好適であり、例えば、熱または光によるその場(in situ)重合およびその場架橋、例えばその場UV光重合または光パターニング、による、構造化されたコーティングの製造に特に好適である。ここで、対応するポリマーを、その物質だけ、または上述のようにこれらのポリマーの配合物もしくは混合物として使用することも可能である。これらは、溶媒および/またはバインダーを加える、または加えることなく、使用されうる。上述の方法のための、適切な材料、方法および装置は、例えばWO2005/083812A2に開示される。バインダーは、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリビニルブチラールおよび光電子的に中性のポリマーが使用可能である。
【0137】
好適で好ましい溶媒は、例えば、トルエン、アニソール、o-、m-またはp-キシレン、メチル安息香酸、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、安息香酸エチル、インダン、安息香酸メチル、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジ-イソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、またはこれらの溶媒の混合物である。
【0138】
本発明は、架橋されたポリマーを調製するための、架橋性基Qを有する繰り返し単位を含むポリマーの使用を提供するものである。架橋性基は、より好ましくはビニル基またはアルケニル基であり、好ましくはWITTIG反応またはWITTIG-様反応によってポリマーに組み入れられる。架橋性基がビニル基またはアルケニル基である場合、架橋はフリーラジカルまたはイオン重合化を介して行われることが可能であり、熱的または放射により誘発されうる。好ましくは、好ましくは250℃より低い温度、より好ましくは230℃より低い温度で、熱的に誘発されるフリーラジカル重合化である。
【0139】
所望により、架橋プロセスの間、さらなるスチレンモノマーが高い架橋度を達成するために、加えられる。好ましくは、加えられるスチレンモノマーの比率は、ポリマーに繰り返し単位として存在する全ての共重合性モノマー100mol%を基準として、0.01~50mol%、より好ましくは0.1~30mol%の範囲である。
【0140】
したがって、本発明は、以下のステップを含んでなる架橋ポリマーを調製する方法も提供する。
(a)1以上の架橋性基Qを有する繰り返し単位を含むポリマーを提供すること、および
(b)遊離ラジカルまたはイオン性の架橋(好ましくは遊離ラジカル架橋)、であり、これは熱的または放射(好ましくは熱的)に引き起こされうる。
【0141】
本発明による方法によって調製された架橋されたポリマーは、全ての標準的な溶媒に不溶である。このように、次の層の適用によって、溶解しないまたは部分的に再度溶解する明確な層厚を製造することが可能である。
【0142】
本発明は、前述の方法によって得られる架橋されたポリマーに関するものでもある。架橋されたポリマーは、前述のように、好ましくは架橋されたポリマー層の形で製造される。架橋されたポリマーは全ての溶媒に不溶であるから、上述のテクニックにより、さらなる層を溶液から架橋されたポリマー層の表面に適用することが可能である。
【0143】
本発明は、溶液から処理される1つ以上の層および低分子量物質の蒸着により製造される層が存在していてもよい、いわゆるハイブリッド素子を含む。
【0144】
本発明のポリマーは、電子もしくは光電子素子、ならびにそれらの製造に使用されうる。
【0145】
したがって、本発明は、電子素子または光電子素子、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機集積回路(O-IC)、有機薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機光起電力(OPV)要素もしくは素子、または有機光受容器(OPC)、より好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)における、本発明のポリマーの使用を提供するものである。
【0146】
上述のハイブリッド素子の場合に、有機エレクトロルミネッセンス素子と共に、統合されたPLED/SMOLED(ポリマー発光ダイオード/小分子有機発光ダイオード)システムが挙げられる。
【0147】
OLEDが製造される方法は当業者に知られており、例えば、WO2004/070772A2に一般的な方法として詳細に開示されており、これはそれぞれのケースに適切に適合されるべきである。
【0148】
上述のように、本発明のポリマーは、このように製造されるOLEDまたはディスプレイのエレクトロルミネッセンス材料として、非常に適している。
【0149】
本発明の意味において、エレクトロルミネッセンス材料は、活性層として用途を見出すことができる材料を意味する。「活性層」は、層が電子分野の用途で光を発することができる(発光層)、および/または層が、正および/または負の電荷の注入および/または輸送を改良する(電荷注入または電荷輸送層)ことを意味する。
【0150】
それゆえ、本発明は、好ましくは、本発明のポリマーのOLEDにおける、特にエレクトロルミネッセンス材料としての使用を提供するものである。
【0151】
本発明はさらに、1以上の活性層を有し、少なくとも1つの活性層が本発明の1以上のポリマーを含んでなる、電子素子または光電子素子部品、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機集積回路(O-IC)、有機薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機光起電力(OPV)要素もしくは素子、および有機光受容器(OPC)、より好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。活性層は、例えば発光層、電荷輸送層および/または電荷注入層であってよい。
【0152】
本出願の文章および以下に続く例において、主な目的は、本発明のポリマーのOLEDおよび対応するディスプレイに関する使用である。この記載の制限にもかかわらず、当業者は、発明的技法を要せずに、本発明のポリマーを、同様に他の電子素子におけるさらなる上述の使用のために、半導体として使用することが可能である。
【0153】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、それらによって本発明を限定することを意図しない。特に、実施例の基礎を形成する定義された化合物のための、そこで開示される特徴、特性および利点は、詳細に述べられていない他の化合物に応用可能であり、反することが記載されていない限り、請求項の保護の範囲である。
【0154】
実施例:
パートA:モノマーの合成
全ての合成は、特に断りのない限り、乾燥溶媒中で、アルゴン雰囲気下で行われる。
【0155】
モノマーは、文献から知られる以下の出発材料を用いて合成される:
a)置換3,6-ジブロモカルバゾール
【化57】
b)置換3,6-ジブロモフルオレン
【化58】
c)ジブロモジベンゾフランおよびジブロモジベンゾチオフェン
【化59】
d)第2級アミン
【化60】
【0156】
例1
モノマーMon-1の合成
第1ステップ:前駆体の合成:
【化61】
36.7g(150mmol)のビフェニル-4-イルフェニルアミン、30g(74.8mmol、0.5eq)の3,6-ジブロモ-9-フェニルカルバゾール、0.84gの酢酸パラジウム(3.74mmol、0.025eq)、43.1gのナトリウムtert-ブトキシド(449mmol、3eq)および7.5mlのトリ-tert-ブチルホスフィン(7.5mmol、0.05eq)の混合物に、600mlの乾燥トルエンが加えられ、そして混合物は不活性化され、還流下(110℃)で2日間沸騰させる。反応混合物は冷却され、水で希釈され、そして有機相が分離される。溶媒はゆるやかな減圧下で除去され、残留物は溶離液としてシクロヘキサンを用いて中性のアルミナ上で熱抽出により精製される。残留物はろ過され、減圧下で乾燥される。38.5g(71%収率)の無色粉末が得られる。
【0157】
第2ステップ:モノマーMon-1-Brの合成:
【化62】
1000mlフラスコ中に最初に投入された、38.5g(52.7mmol)のN,N'-ビス(ビフェニル-4-yl)-9,N,N'-トリフェニル-9H-カルバゾール-3,6-ジアミンに、850mlのジクロロメタンが投入される。溶液は氷を用いて冷却することにより内部温度0℃に冷却され、18.78g(105.5mmol、2eq)のN-ブロモサクシンイミドがゆっくりと加えられる。添加後、氷浴は除去され、混合物は室温にもどされる。溶媒は減圧下で除去され、固体はろ過され、水により十分に洗浄される。残留物は最初に酢酸エチルで、次にトルエンで再結晶化される。99%の純度の8.5g(9.58mmol、18%収率)の無色の粉体が得られる。
【0158】
第3ステップ:モノマーMon-1-Boの合成:
【化63】
50gのN'-ビス(4-ブロモフェニル)-9-フェニル-N,N'-ジフェニル-9H-カルバゾール-3,6-ジアミン(A1:B2:Br)(65.5mmol)、54gの4,4,5,5,4',4',5',5'-オクタメチル-[2,2']ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル](212.8mmol、3.25eq、CAS:73183-34-3)、1.64gの1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(2.01mmol、0.25eq、CAS:72287-26-4)および25.7gの酢酸カリウム(261.9mmol、4eq)が、還流冷却器、精密ガラススターラー、アルゴンブランケットおよび内部温度計を備える、2Lの4口フラスコに計量され、1300mlの無水THFが加えられる。器具が完全に脱気された後、混合物は還流下で3日間沸騰され、そして反応混合物は冷却される。溶液は減圧下で除去され、固体は酢酸エチル、次にトルエンで繰り返し再結晶化される。43.21g(50.38mmol、理論の77%)の無色粉末が得られる。
【0159】
以下のモノマーは例1と同様に調製されうる:
【化64-1】
【化64-2】
【化64-3】
【化64-4】
【0160】
例2
モノマーMon-2の合成
第1ステップ:前駆体の合成:
【化65】
41.81g(170mmol)のトル-4-イルフェニルアミン、30g(85.2mmol、0.5eq)の3,6-ジブロモ-9,9-ジメチルフルオレン、0.96gの酢酸パラジウム(4.26mmol、0.025eq)、49.1gのナトリウムtert-ブトキシド(511mmol、3eq)および8.5mlのトリ-tert-ブチルホスフィン(1M、8.5mmol、0.05eq)の混合物に、700mlの乾燥トルエンが加えられ、混合物は不活性化され、還流下(110℃)で2日間沸騰される。反応混合物は冷却され、水で希釈され、そして有機相が分離される。溶媒はゆるやかな減圧下で除去され、残留物は溶離液としてシクロヘキサンを用いて中性のアルミナ上で熱抽出により精製される。残留物はろ過され、減圧下で乾燥される。46.42g(80%収率、85.2mmol)の無色粉末が得られる。
【0161】
第2ステップ:モノマーMon-2-Brの合成:
【化66】
1000mlフラスコ中の、最初に投入される、43g(77.24mmol)の9,9-ジメチル-N3,N6-ビス(4-)-N3,N6-ジフェニル-9H-フルオレン-3,6-ジアミンに、800mlのジクロロメタンが加えられる。溶液は氷を用いて冷却することにより内部温度0℃に冷却され、27.5g(154.5mmol、2eq)のN-ブロモサクシンイミドがゆっくりと加えられる。添加後、氷浴は除去され、混合物は室温にもどされる。溶媒は減圧下で除去され、固体はろ過され、水により十分に洗浄される。残留物は最初に酢酸エチルで、次にトルエンで再結晶化される。98%の純度を有する49.12g(68.74mmol、89%収率)の無色の粉体が得られる。
【0162】
第3ステップ:モノマーMon-2-Boの合成:
【化67】
50gのN3,N6-ビス(4-ブロモフェニル)-9,9-ジメチル-N3,N6-ビス(4-メチルフェニル)-9H-フルオレン-3,6-ジアミン(A1:B2:Br)(70mmol)、54gの4,4,5,5,4',4',5',5'-オクタメチル-[2,2']ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル](227.4mmol、3.25eq、CAS:73183-34-3)、1.28gの1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(1.75mmol、0.025eq、CAS:72287-26-4)および27.5gの酢酸カリウム(279.9mmol、4eq)が、還流冷却器、精密ガラススターラー、アルゴンブランケットおよび内部温度計を備える、2Lの4口フラスコに計量され、1300mlの無水THFが加えられる。器具が完全に脱気された後、混合物は還流下で3日間沸騰され、そして反応混合物は冷却される。溶液は減圧下で除去され、固体は酢酸エチル、次にトルエンで繰り返し再結晶化される。46.4g(57.38mmol、理論の82%)の無色粉末が得られる。
【0163】
以下のモノマーは例2と同様に調製されうる:
【化68-1】
【化68-2】
【0164】
例3
モノマーMon-3の合成
第1ステップ:前駆体の合成:
【化69】
52.7g(214.7mmol)のビフェニル-4-イルフェニルアミン、35g(107.4mmol、0.5eq)の3,6-ジブロモジベンゾフラン、0.60gの酢酸パラジウム(2.68mmol、0.012eq)、31gのナトリウムtert-ブトキシド(332.1mmol、1.5eq)および5.4mlのトリ-tert-ブチルホスフィン(5.37mmol、0.05eq)の混合物に、750mlの乾燥トルエンが加えられ、混合物は不活性化され、還流下(110℃)で2日間沸騰される。反応混合物は冷却され、水で希釈され、そして有機相が分離される。溶媒はゆるやかな減圧下で除去され、残留物は溶離液としてシクロヘキサンを用いて中性のアルミナ上で熱抽出により精製される。残留物はろ過され、減圧下で乾燥される。59.1g(84%収率)の無色粉末が得られる。
【0165】
第2ステップ:モノマーMon-3-Brの合成:
【化70】
1000mlフラスコ中の最初に投入された、64g(120.6mmol)のN4,N12-ビス(4-メチルフェニル)-N4,N12-ジフェニル-8-オキサトリシクロ[7.4.0.0
2,7]トリデカ-1(9),2,4,6,10,12-ヘキサエン-4,12-ジアミンに、900mlのジクロロメタンが加えられる。溶液は氷を用いて冷却することにより内部温度0℃に冷却され、42.9g(241.2mmol、2eq)のN-ブロモサクシンイミドがゆっくりと加えられる。添加後、氷浴は除去され、混合物は室温にもどされる。溶媒は減圧下で除去され、固体はろ過され、水により十分に洗浄される。残留物は最初に酢酸エチルで、次にトルエンで再結晶化される。98%の純度を有する70.58g(102.5mmol、85%収率)の無色の粉体が得られる。
【0166】
第3ステップ:モノマーMon-3-Boの合成:
【化71】
37gのN4,N12-ビス(4-ブロモフェニル)-N4,N12-ビス(4-メチルフェニル)-8-オキサトリシクロ[7.4.0.0
2,7]トリデカ-1(9),2,4,6,10,12-ヘキサエン-4,12-ジアミン(D1:B1:Br)(753.7mmol)、44.4gの4,4,5,5,4',4',5',5'-オクタメチル-[2,2']ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル](174.7mmol、3.25eq、CAS:73183-34-3)、0.98gの1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(1.34mmol、0.025eq、CAS:72287-26-4)および21.1gの酢酸カリウム(215mmol、4eq)が、還流冷却器、精密ガラススターラー、アルゴンブランケットおよび内部温度計を備える、2Lの4口フラスコに計量され、1300mlの無水THFが加えられる。器具が完全に脱気された後、混合物は還流下で3日間沸騰され、そして反応混合物は冷却される。溶液は減圧下で除去され、固体は酢酸エチル、次にトルエンで繰り返し再結晶化される。38.3g(48.9mmol、理論の91%)の無色粉末が得られる。
【0167】
以下のモノマーは例3と同様に調製されうる:
【化72】
【0168】
さらなるモノマー:
本発明のポリマーの製造のためのさらなるモノマーは、従来技術で開示されるか、市販されるか、または文献によって調製され、そして以下の表にまとめられる:
【化73-1】
【化73-2】
【化73-3】
【0169】
パートB:ポリマーの合成
例1~36
本発明のポリマーP1~P35および比較ポリマーV1の調製
【0170】
本発明のポリマーP1~P35および比較ポリマーV1は、WO03/048225に開示される方法によって、パートAに開示されるモノマーから、スズキカップリングによって調製される。
【0171】
このように調製されたポリマーP1~P35およびV1は、脱離基の除去後、以下の表で特定される割合で(パーセンテージ=mol%)、繰り返し単位を含む。アルデヒド基を有するモノマーから調製されるポリマーの場合、後者は、WITTIG反応による重合化後、WO2010/097155に開示の方法によって、架橋性ビニル基に転換される。したがって、対応する以下の表に提示され、パートCで使用されるポリマーは、当初存在していたアルデヒド基に代わり架橋性ビニル基を有している。
【0172】
ポリマーにおけるパラジウムおよび臭素の含有量は、ICP-MSによって測定される。その測定される値は、10ppmより低い。
【0173】
分子量Mwおよび多分散性Dは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって確認される(モデル:Agilent HPLC System Series 1100、カラム:PL-RapidH Polymer Laboratoriesによる、溶媒:0.12体積%のo-ジクロロベンゼンとともにTHF;検知:UVおよび屈折率;温度:40℃)。キャリブレーションは、ポリスチレン標準によって行われる。
【化74-1】
【化74-2】
【化74-3】
【化74-4】
【化74-5】
【化74-6】
【化74-7】
【化74-8】
【化74-9】
【0174】
ポリマーV1は比較ポリマーとして合成される:
【化75】
【0175】
パートC:OLEDの製造
このような溶液ベースのOLEDの製造については文献(例えばWO2004/037887およびWO2010/097155)に既に多く開示されている。この方法は、この後(層の厚さや材料で異なる)に記載される状況に適合する。
【0176】
本発明のポリマーは、以下の層配列において使用される:
構造Aは以下である:
-基板
-ITO(50nm)
-PEDOT:PSS(20nm)
-正孔輸送層(HTL)(20nm)
-発光層(EML)(60nm)
-正孔ブロック層(HBL)(10nm)
-電子輸送層(ETL)(40nm)
-カソード。
【0177】
使用される基板は、膜厚50nmの構造化ITO(酸化インジウムスズ)で被覆されるガラス基板である。これらはPEDOT:PSSを用いて被覆される。スピンコートは、大気中で水から行われる。層は、180℃で10分間加熱される。PEDOT:PSSは、Heraeus Precious Metals GmbH&Co.KG,Germanyのものである。正孔輸送層および発光層がこれらの被覆ガラス基板に適用される。
【0178】
使用される正孔輸送層は、本発明の化合物および比較化合物であり、それぞれトルエン中に溶解される。そのような溶液の典型的な固体含有量は典型的な素子である層厚20mがスピンコートによって達成される場合に、約5g/lである。層は不活性ガス(本ケースではアルゴン)中でスピンコートされ、220℃30分ベークされる。
【0179】
発光層は、常に、少なくとも1つのマトリックス材料(ホスト材料)および発光ドーパント(発光体)で構成される。さらに、複数のマトリックス材料および共ドーパント(co-dopant)の混合物であってもよいH1 30%;H2 55%;TEG 15%の形で与えられる場合、ここでは、材料H1が発光層中に30%の重量比率で、共ドーパントが55%の重量比率で、ドーパントは8%の重量割合で存在することを意味する。発光層の混合物はトルエンに溶解している。そのような溶液の典型的な固体含有量は、素子の典型である60nmの層厚がスピンコートによって達成される場合に、18g/lである。層は不活性ガス雰囲気、今回のケースではアルゴン、でスピンコートされ、150℃で10分間ベークされる。
【0180】
本ケースにおいて使用される材料は、表1に示される。
【0181】
【0182】
正孔ブロック層および電子輸送層の材料は、同様に、真空チャンバー内で熱的蒸着によって適用され、表2に示される。正孔ブロック層は、ETM1からなる。電子輸送層は、2つの材料ETM1およびETM2からなり、これらはそれぞれ体積比で50%で互いに共蒸着により添加される。
【0183】
【0184】
カソードは、100nm厚のアルミニウム層の熱的蒸着によって形成される。
OLEDの厳密な構造は、表3に示されうる。
【0185】
【0186】
OLEDは、標準的な方法であることを特徴とする。この目的で、エレクトロルミネッセンススペクトル、ランバート発光特性を仮定する電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)、および(駆動)寿命が決定される。IUL特性線は、駆動電圧(V)および特定の輝度における外部量子効率(%で表示)のようなパラメーターを決定することに使用される。1000cd/m2におけるLT80は、初期輝度1000cd/m2のOLEDが、初期輝度の80%、つまり800cd/m2に低下するまでの寿命である。
【0187】
異なるOLEDの特性を、表4にまとめる。例Ph1は、比較部分であり、例Ph2は本発明のOLEDの特性を示す。
【0188】
【0189】
表4で示されるように、本発明のポリマーは、OLEDの正孔輸送層として使用される場合に、従来技術に対する改良を示す。それらの高い三重項準位によって、特に、製造された緑色発光OLEDの効率が改善する。
【0190】
本発明のポリマーが直接比較ポリマーよりも高い三重項準位T1を有することは、いくつか選択されたポリマーを用いて量子力学計算によって示される。結果は表5のとおりである。
【0191】