(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】低電流高イオンエネルギープラズマ制御システム
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241121BHJP
C23C 14/48 20060101ALI20241121BHJP
H01J 37/09 20060101ALI20241121BHJP
H01J 37/32 20060101ALI20241121BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C14/48 Z
H01J37/09 Z
H01J37/32
H01L21/265 F
(21)【出願番号】P 2023521077
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2021051912
(87)【国際公開番号】W WO2022076179
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-06-02
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナゴルニー, ウラジミール
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-097430(JP,A)
【文献】特開2002-289399(JP,A)
【文献】特開2008-159928(JP,A)
【文献】特開2010-192197(JP,A)
【文献】特表2010-512031(JP,A)
【文献】特開2014-209622(JP,A)
【文献】特表2014-522104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0052087(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0102286(US,A1)
【文献】国際公開第2020/185609(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
C23C 14/48
H01J 37/09
H01J 37/32
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ、
前記処理チャンバ内または前記処理チャンバ上に配置された誘導結合プラズマ(ICP)ソース、
基板を配置するように構成された支持体であって、少なくとも部分的に前記処理チャンバ内に配置され、バイアス電極を含む支持体
、
前記支持体上の基板の上方にあるように前記処理チャンバ内に配置されたイオンスクリーンであって、前記イオンスクリーンの上方に維持されたプラズマの密度が、前記バイアス電極に印加されたRFバイアス電力の影響を受けないように、イオンおよび電子に対して半透過であるイオンスクリーン、
ならびに
前記バイアス電極にRFバイアス電圧を供給し、かつ前記RFバイアス電圧の極性を変えることにより、イオンエネルギーを線形に制御するように構成されたRFジェネレータ
を備える半導体処理システム。
【請求項2】
前記イオンスクリーンが、誘電性材料を備える、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項3】
前記イオンスクリーンが、導体を備える、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項4】
前記イオンスクリーンは、前記導体の上方または周囲に配置された誘電性材料をさらに備える、請求項3に記載の半導体処理システム。
【請求項5】
前記イオンスクリーンは、前記導体が、接地されている、フローティングである、または設定電圧に保持されている、のうちの少なくとも1つになるように構成されている、請求項3に記載の半導体処理システム。
【請求項6】
前記イオンスクリーンは、前記基板に近接するように配置された複数の孔を画定し、前記イオンスクリーンの厚さに対する前記孔の直径の比が、1~4である、請求項5に記載の半導体処理システム。
【請求項7】
処理チャンバ、
前記処理チャンバ内または前記処理チャンバ上に配置された誘導結合プラズマ(ICP)ソース、
基板を配置するように構成された支持体であって、少なくとも部分的に前記処理チャンバ内に配置され、バイアス電極を含む支持体、ならびに
前記支持体上の基板の上方にあるように前記処理チャンバ内に配置されたイオンスクリーンであって、前記イオンスクリーンの上方に維持されたプラズマの密度が、前記バイアス電極に印加されたRFバイアス電力の影響を受けないように、イオンおよび電子に対して半透過であるイオンスクリーン
を備える半導体処理システムであって、
前記イオンスクリーンは、ICP電力が500Wから1000Wの間であり、
かつ前記イオンスクリーンが前記基板の上方10mm~15mmにあるとき、5%~20%のイオンおよび電子の流れを許容するように構成されている
、半導体処理システム。
【請求項8】
半導体基板を処理する方法であって、
ICPソースを用いて、処理チャンバ内においてイオンスクリーンを挟んで基板とは反対側にプラズマを形成すること、
バイアス電極にRFバイアス電圧を印加すること、
択一的に、
前記イオンスクリーンと前記RFバイアス電圧を用いて前記プラズマから前記基板に向けてイオンを加速させながら、前記基板から前記イオンスクリーンに電子を反射させること、および
前記基板内または前記基板上に蓄積された正の電荷を相殺するように、前記基板から前記イオンスクリーンにイオンを反射させること、
を行うこと、ならびに
前記プラズマを使用してイオン電流を制御しながら、前記RFバイアス電圧に基づいてイオンエネルギーを線形に制御すること、
を含む方法。
【請求項9】
前記イオンスクリーンが、誘電性材料を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記イオンスクリーンが、導電性材料上または導電性材料の周囲に誘電性材料を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記イオンスクリーンが、複数の孔を備え、前記イオンスクリーンの厚さに対する前記孔の直径の比が、1~4である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記イオンスクリーンが、支持体上の前記基板の表面の上方10mm~15mmにある、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記イオンスクリーンが、5%~20%のイオンおよび電子の流れを許容する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
半導体処理のためのプラズマ制御システムであって、
誘導結合プラズマ(ICP)ソース、
バイアス電極
、
前記ICPソースと前記バイアス電極の間で基板の上方に配置されるように構成されたイオンスクリーンであって、プラズマが前記イオンスクリーンの上方に維持されている間、5%~20%のイオンおよび電子の流れを許容するように、さらに構成されたイオンスクリーン、
ならびに
前記バイアス電極にRFバイアス電圧を供給し、かつ前記RFバイアス電圧の極性を変えることにより、イオンエネルギーを線形に制御するように構成されたRFジェネレータ
を備えるプラズマ制御システム。
【請求項15】
前記イオンスクリーンが、誘電性材料を備える、請求項14に記載のプラズマ制御システム。
【請求項16】
前記イオンスクリーンが、導体を備える、請求項14に記載のプラズマ制御システム。
【請求項17】
前記イオンスクリーンは、前記導体の上方または周囲に配置された誘電性材料をさらに備える、請求項16に記載のプラズマ制御システム。
【請求項18】
前記導体は、接地またはフローティングのうちの少なくとも一方になるように構成可能である、請求項16に記載のプラズマ制御システム。
【請求項19】
前記導体に接続可能な可変電圧源を、さらに備え、前記可変電圧源は、前記導体を一定のDC電圧レベルに保持するように動作可能である、請求項16に記載のプラズマ制御システム。
【請求項20】
前記イオンスクリーンは、前記基板に近接するように配置された複数の孔を画定し、前記イオンスクリーンの厚さに対する前記孔の直径の比が、1~4である、請求項14に記載のプラズマ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年10月6日に出願された「LOW CURRENT HIGH ION ENERGY PLASMA CONTROL SYSTEM」と題する米国特許出願第17/063,824号の利益および優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
[0002]本技術は、半導体製造のための部品および装置に関するものである。より具体的には、本技術は、プラズマ生成および制御部品ならびに他の半導体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
[0003]集積回路は、基板表面に複雑にパターニングされた材料層を形成するプロセスによって実現される。パターニングされた材料を基板上に形成するには、膜堆積と露出した材料の除去についての制御された方法が必要である。化学気相堆積(CVD)は、基板上にSiO2などの所望の材料の薄層または薄膜を形成するために半導体産業において用いられるガス反応プロセスである。高密度プラズマCVDプロセスでは、反応性化学ガスと、RF生成プラズマによる物理的なイオン生成とを利用して、膜堆積を促進する。
【0004】
[0004]最近のCVDの発展により、非常に低いイオン電流と高いイオンエネルギーでSiO2処理を行い、膜を成長させる前、あるいは成長させずに深い処理を行うことが、注目されている。このような深い処理を行うために、比較的低いRFソース電力が、比較的高いバイアス電力とともに使用される。しかしながら、このような電力構成は、ソース電力とバイアス電力によって提供されるイオン電流および/または密度の制御とイオンエネルギーの制御との間の独立性を失わせる結果となり得る。さらに、様々な要求に対応するためになされるプラズマ構成の変更は、処理された半導体基板に異常な不均一性を生じさせることがある。これらの不均一性を許容レベルまで低減させる技法は、複雑で困難であり、実施するのに時間がかかることがある。したがって、比較的低いバイアス電力で高いイオンエネルギーを達成するために、バイアス電力からのプラズマ密度の独立性を保持しながら、高いイオンエネルギーの、よく制御されたプラズマを生成するために使用できる改良されたシステムおよび方法が必要である。これらおよびその他の要求が、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
[0005]例示的な半導体処理システムは、処理チャンバと、処理チャンバ内または処理チャンバ上に配置された誘導結合プラズマ(ICP)ソースと、基板を配置するように構成された支持体と、を含み得る。支持体は、少なくとも部分的に処理チャンバ内に配置され、バイアス電極を含むことができる。半透過性のイオンスクリーンが、支持体上の基板の上方かつ基板の近くになるようにチャンバ内に配置されている。この減衰により、最小ソース電力を増加させることができ、このとき、システムは、必要なイオンフラックスを基板に提供しながら、イオンスクリーンの上方に維持されるプラズマ密度は高く、バイアス電極に印加されるRFバイアス電力の影響を実質的に受けない。
【0006】
[0006]一例では、イオンスクリーンは、イオンおよび電子の5%から20%がイオンスクリーンを通って流れるのを可能にするように構成されている。この例では、システムの最小ソース電力を500W~1000Wに増加させることができる。イオンスクリーンを基板の近くに配置することで、イオンスクリーンと基板との間に印加されるバイアス電界がイオンスクリーンと基板との間の領域にプラズマを維持することが防止され、RFバイアス電力は、イオンを加速させることにほぼ完全に費やされる。いくつかの実施形態では、イオンスクリーンは、基板の上方10mmから15mmに配置される。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、イオンスクリーンは、誘電性材料を含む。いくつかの実施形態では、イオンスクリーンは、導体を含む。誘電性材料は、導体上または導体の周囲に配置することができる。導体は、接地、フローティング、ある設定電圧に保持、またはこれらの組み合わせになるように構成されることができる。いくつかの実施形態では、イオンスクリーンは、基板に近接するように配置された孔を含み、イオンスクリーンの厚さに対する孔の直径の比は、1~4である。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、半導体処理システムを動作させる方法は、ICPソースを使用して、チャンバ内においてイオンスクリーンを挟んで基板とは反対側にプラズマを形成することと、バイアス電極にRFバイアス電圧を印加することと、を含む。イオンスクリーンと基板との間の空間は、RFシースとして振る舞い、RFサイクル時間の大半の間、イオンが基板に向かって加速され、短時間の間、電子がこの間隙を横切って、電荷を相殺する。この方法は、イオン電流を制御するためにソース電力を使用しながら、RFバイアス電力に基づいてイオンエネルギーを線形に制御することを含む。
【0009】
[0009]例示的なプラズマ制御システムは、ICPソースと、バイアス電極と、ICPソースとバイアス電極との間で基板の上方に配置されるように構成されたイオンスクリーンと、を含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、イオンスクリーンの導体に接続可能な可変電圧源を含む。可変電圧源は、導体を一定の直流電圧レベルに設定し保持するように動作可能である。
【0010】
[0010]開示された技術の性質および利点のさらなる理解が、明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバの概略断面図である。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態による別の例示的な処理チャンバの概略断面図である。
【
図3】本技術のいくつかの実施形態による追加の例示的な処理チャンバの概略断面図である。
【
図4】本技術のいくつかの実施形態によるイオンスクリーンの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0015]いくつかの図は、概略図として含まれている。図は説明のためのものであり、特に記載がない限り、一定の縮尺と見なされるべきではない、ということを理解されたい。また、図は、本質的に概略的なものであり、理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較して、全ての特徴や情報を含んでいるわけではない場合がある。図には、説明のために誇張されたものが含まれている場合がある。
【0013】
[0016]添付の図において、同様の構成要素および/または特徴には、同じ参照ラベルが付されている場合がある。さらに、様々な寸法を文字で区別することができる。最初の参照ラベルのみが明細書中で使用されている場合、この記述は、類似の構成要素のいずれにも適用可能である。
【0014】
[0017]基板を深く処理するために、比較的低いRF電力(例えば、約100W)が、プラズマを発生させるために使用され、その間、比較的高い電力(例えば、800~2000W)が、RFバイアスとして使用される。このような電力構成では、プラズマ電流および/または密度との間の独立性が失われ、したがって、バイアスによって提供されるイオンエネルギー制御が失われる可能性がある。通常、誘導結合プラズマ(ICP)ソース電力は、プラズマ密度(n)と基板へのイオン電流(Ii)を制御し、バイアス電力は、イオンエネルギー(Wi=Pb/Ii)を制御する。制御が失われる理由は、低いソース電力と高いバイアス電力の場合、プラズマ密度が、バイアス電力から独立ではなくなり、バイアス電力とともに増加し、イオンエネルギーのバイアス電力への依存度が大幅に低下するからである。例えば、イオンエネルギーを25%増加させるためには、RFバイアス電力を2倍以上(800W~2000W)にする必要がある。イオンエネルギーをさらに増加させるには、さらに高いバイアス電力が必要である。
【0015】
[0018]様々な特性を持つ基板を処理するため、あるいは様々な要求を満たすために、上記のように低いソース電力と高いバイアス電力を使用するシステムに対してなされるプラズマ構成の変更は、異常な不均一性を引き起こす可能性がある。これらの不均一性は、最終的に基板上に形成される膜の欠陥を生じさせる可能性がある。これらの不均一性を許容レベルまで低減させる技法が、変更のたびに用いられなければならない。高いバイアス電力での低いプラズマ密度における精密なプラズマ制御は非常に困難であるため、これらの技法は、時間がかかり、かつ/または複雑になり得る。
【0016】
[0019]本技術は、基板の上方に配置されたイオンスクリーンを利用することで、これらの課題を克服している。一例として、イオンスクリーンは、処理中の半導体ウェハの上方にほぼ円形のグリッド部分を形成するようなパターンで配置された開口部を有する、接地されているが誘電体コーティングされたプレートとすることができる。スクリーンは、イオンおよび電子に対して半透過になるように、十分に薄く、適切な大きさと数の開口部を持つ。一般的なソース電力を用いてスクリーンの上方にプラズマを維持することができ、スクリーンは、バイアスがプラズマ密度に大きな影響を与えないようにする。基板とスクリーンとの間は、間隙が短く、圧力が低いため、プラズマは発生しない。プラズマは接地電位の近くにとどまるので、バイアスが負の場合、スクリーンと基板との間に全ての電圧が印加され、イオンはウェハに向かって加速され、電子はスクリーンの方に方向を変える。
【0017】
[0020]一般的に使用されているスクリーンは、基板からイオンを除去するために、イオン/電子のフラックスを約1000分の1以下に減衰させるのに対し、この特別な設計のイオンスクリーンの一例は、イオンと電子の5%~20%がイオンスクリーンを通って流れるのを許容するように構成されている。この減衰レベルにより、最小ソース電力を500W~1000Wまで増加させることができ、このとき、イオンスクリーンの上方に維持されるプラズマ密度は高く、バイアス電極に印加されるRFバイアス電力の影響を受けないが、他方、システムは、非常に低いソース電力でしか得られなかった必要なイオンフラックスをウェハに提供する。今や、このイオンフラックスを、ソース電力を変えるだけで制御できる。
【0018】
[0021]イオンスクリーンの別の特別な特徴によれば、イオンスクリーンは、基板の近くに配置されるように構成されているので、スクリーンと基板との間に印加されるバイアス電界は、その領域にプラズマを維持することができず、RFバイアス電力は、ほぼ完全にイオンの加速に費やされる。いくつかの実施形態では、イオンスクリーンは、基板の上方10mmから15mmに配置される。
【0019】
[0022]RFバイアス電圧が極性を変えると、基板はイオンを反射して電子を吸収し、バイアス電圧波形の負の部分で基板上に蓄積された正の電荷を相殺する。プラズマエネルギー制御は単純であり、RFバイアス電力からのプラズマ密度の独立性を維持しながら達成される。したがって、高いイオンエネルギーと低いバイアス電流がもたらされ得る。
【0020】
[0023]残りの開示は、開示された技術を利用する特定の堆積プロセスを型どおりに特定するが、システムおよび方法は、他の堆積チャンバおよび洗浄チャンバ、ならびに記載されたチャンバ内で行われ得るプロセスにも同様に適用できることが、容易に理解されるであろう。したがって、本技術は、これらの特定の堆積プロセスやチャンバにのみ使用されるような限定的なものと考えるべきではない。本開示は、本技術の実施形態による蓋スタック構成要素を含むことができる1つの可能なシステムおよびチャンバを説明し、その後、本技術の実施形態によるこのシステムに対する追加の変形および調整が説明される。
【0021】
[0024]
図1は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な半導体処理システムの概略断面図である。図示のように、処理システム100は、基板121を処理するのに適したチャンバ102を含む。処理システム100は、様々なプラズマプロセスに使用することができる。例えば、処理システム100は、1種以上のエッチング剤を用いてドライエッチングを行うために使用され得る。処理システムは、前駆体C
xF
y(ここで、xおよびyは、既知の化合物の値を表す)、O
2、NF
3、Ar、He、H
2、またはそれらの組み合わせからのプラズマの点火に使用することができる。別の例では、処理チャンバ100は、1種以上の前駆体を用いたプラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスに使用することができる。
【0022】
[0025]システムは、支持体101を含む。本実施例における支持体101は、支持ステム107とチャック本体104を含む静電チャックである。支持ステムの一部がチャンバから突出していてもよいが、静電チャックは、動作中、少なくとも部分的に処理チャンバ内に収容されている。支持体は、バイアス電極123を含む。バイアスは、RFジェネレータ124によって供給される。チャック力を与えるために、追加の電圧が、電極123に印加されてもよい。ICP電極108が、場合によっては処理チャンバの蓋アセンブリ(図示せず)の一部分として、設けられている。ガスインポート118とガスアウトポート119もまた設けられている。電極108は、RFジェネレータ109などの電力源に結合されている。電極108を通るRF電流のリターンパスが、接地端子125によって提供され、これはまた、チャンバ102の接地接続も提供する。電極108とその電源は、ICPソースとして機能する。電極へのRF電力により、チャンバ102内にプラズマ120が生成される。
【0023】
[0026]支持体101は、チャンバ本体102の底面を通って延びる支持ステム107を介してリフト機構(図示せず)に結合することができる。リフト機構は、支持ステム107の周囲からの真空漏れを防止するベローズによって、チャンバ本体102にフレキシブルにシールされることができる。リフト機構は、基板121を電極108に近接して配置するために、支持ステム107が移送位置および/またはいくつかのプロセス位置の間でチャンバ本体102内を垂直に移動することを可能にし得る。イオンスクリーン130が、処理チャンバ102内に設置されている。イオンスクリーン130は、イオンおよび電子に対して半透過になるように、十分に薄く、基板121に近接して適切な大きさと数の開口部132を有している。基板121を配置するために引き起こされる、支持体101の予想される移動を考慮して、イオンスクリーンの下面と基板121の上面との間の間隔hが10mmから15mmであるように、チャンバとイオンスクリーンは構成されている。支持体の移動のスペースは、イオンスクリーンを同時に移動させることで対応されてもよい。
図1の例では、イオンスクリーン130は、導体または誘電性材料で作られており、接地および半導体処理システム100内に存在する電圧に対してフローティングである。
【0024】
[0027]本明細書で使用する「半透過」という用語は、基板への測定可能なイオン透過を許容するが、システムの通常動作時にバイアス電力に対するイオンエネルギーの線形応答を維持しながら、最小ICPソース電力が500Wを上回るようにイオン透過を十分に低く維持するスクリーンを意味する。機能する正確な最小および最大透過値は、システム設計によって異なり得る。いくつかの例では、例えば、受け入れ可能な結果を提供するために許容される流れの割合は、わずか1%から40%もであり得る。
【0025】
[0028]
図2は、本技術のいくつかの実施形態による別の例示的な処理チャンバの概略断面図である。図示のように、処理システム200は、基板121を処理するのに適したチャンバ102を含む。処理システム200は、様々なプラズマプロセスに使用することができる。システムは、処理チャンバ102と支持体101を含む。支持体は、バイアス電極123を含む。バイアスは、RFジェネレータ124によって供給される。ICP電極108が、設けられており、ガス分配プレート112もまた設けられている。電極108は、RFジェネレータ109に結合されている。電極108を通るRF電流のリターンパスが、接地端子125によって提供され、これはまた、チャンバ102の接地接続も提供する。
【0026】
[0029]
図2では、イオンスクリーン230が、処理チャンバ102内に設置されている。イオンスクリーン230は、イオンおよび電子に対して半透過になるように、十分に薄く、基板121に近接して適切な大きさと数の開口部を有している。イオンスクリーンの下面と基板121の上面との間の間隔が10mmから15mmであるように、チャンバとイオンスクリーンが構成されている。
図2の例では、イオンスクリーン230は、導体234を含み、導体234は、誘電性材料236によって両側がコーティングされ、または覆われている。導体234は、接地端子240によって接地されている。
【0027】
[0030]
図3は、本技術のいくつかの実施形態による追加の例示的な処理チャンバの概略断面図である。図示のように、処理システム200は、基板121を処理するのに適したチャンバ102を含む。処理システム200は、様々なプラズマプロセスに使用することができる。システムは、処理チャンバ102と支持体101を含む。支持体は、バイアス電極123を含む。バイアスは、RFジェネレータ124によって供給される。ICP電極108が、設けられており、ガス分配プレート112もまた設けられている。電極108は、RFジェネレータ109に結合されている。電極108を通るRF電流のリターンパスが、接地端子125によって提供され、これはまた、チャンバ102の接地接続も提供する。
【0028】
[0031]
図3では、イオンスクリーン330が、処理チャンバ102内に設置されている。イオンスクリーン330は、イオンおよび電子に対して半透過になるように、十分に薄く、基板121に近接して適切な大きさと数の開口部を有している。イオンスクリーンの下面と基板121の上面との間の間隔が10mmから15mmであるように、チャンバとイオンスクリーンが構成されている。
図3の例では、イオンスクリーン330は、導体334を含み、導体334は、誘電性材料336によって上面がコーティングされ、または覆われている。イオンスクリーン330の導体334は、可変電圧源342に接続されている。可変電圧源は、一定の直流電圧レベルに導体を保持するように動作可能であり、電圧レベルは、所望の結果を得るために調整することができる。したがって、プラズマの流れをより厳格に制御するために、基板とプラズマとの間のグリッド部分は、可変電圧源で実現可能な範囲の任意の電位に設定されることができる。
【0029】
[0032]上述した図に示したICPソースは、一例である。任意のタイプのプラズマ生成ハードウェアを使用することができ、周波数範囲も様々であってよい。異なる電極構成や異なる周波数範囲を使用することもできる。例として、RFジェネレータ109は、高周波無線周波数(HFRF)電源、低周波無線周波数(LFRF)電源、マイクロ波源、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0030】
[0033]上記の図に示された3つのイオンスクリーン構造は、描かれたシステムのいずれでも使用することができる。例として、導体および両側の誘電性材料を含むイオンスクリーンは、フローティングであることも、または可変電圧源342に接続されることもできる。導体および片側の誘電性材料を含むイオンスクリーンは、フローティングであることも、または接地されることもできる。単層イオンスクリーンは、導電性の場合、接地されることも、または可変電圧源342に接続されることもできる。単一のイオンスクリーンに様々なコーティングおよび層を選択できるほか、複数のイオンスクリーンを一緒に使用することもできる。例えば2つの、実質的に平行なイオンスクリーンを使用することができる。任意選択で可変電圧源を使用して、2つのスクリーン間にDC電位を維持することができる。ここでいう「実質的」とは、システムの典型的な機械的公差の範囲内でイオンスクリーンを平行になるように配置することをいう。上述した実施例において、基板の上面と実質的に平行になるように配置されているイオンスクリーンも同様である。
【0031】
[0034]チャンバ壁は、通常、導電性材料でできているが、内側を誘電性材料でコーティングすることもできる。イオンスクリーンが、誘電体コーティングされた導電性プレートである場合、チャンバ壁とプレートには、同じ誘電性材料を使用することもできるし、異なる誘電性材料を使用することもできる。上記の全ての例において、イオンスクリーンは、イオンおよび電子の5%から20%がイオンスクリーンのグリッド部分を通って流れるように、イオンおよび電子に対して半透過である。したがって、500Wから1000Wの一般的なソース電力を用いてイオンスクリーンの上方にプラズマを維持することができ、バイアスは、プラズマ密度に影響を与えない。基板とイオンスクリーンとの間に有意なプラズマは発生しない。イオンスクリーンが、接地された導体を使用している場合、プラズマは、接地電位の近くにとどまる。電子が、イオンスクリーンのグリッド部分の基板側と開口部に電荷を蓄積し、イオン電流を制限するので、RFバイアス電圧が負の場合、全てのバイアス電圧がスクリーンと基板との間に印加され、イオンは基板に向かって加速され、電子はスクリーンの方に方向を変える。RFバイアス電圧が極性を変えると、基板はイオンを反射して電子を吸収し、バイアス電圧波形の負の部分で基板上に蓄積された正の電荷を相殺する。
【0032】
[0035]イオン電流は、イオンスクリーンの上方のプラズマによって完全に制御されるので、イオン加速領域の大きさは、グリッド-基板間距離hで一定となる。イオンエネルギーは、RFバイアス電力に線形に依存し、高いイオンエネルギーを得るために高いバイアス電力を使う必要はない。エネルギー制御は単純であり、RFバイアス電力からのプラズマ密度の独立性を維持しながら達成される。それゆえ、高いイオンエネルギーと低いバイアス電流(および電力)を維持することができる。イオンスクリーンのグリッド部分より上ではプラズマプロファイルが平坦であり、グリッド部分はチャンバ径より小さいので、処理された基板の均一性が向上する。
【0033】
[0036]イオンスクリーンは、比較的基板の近くにある。上記の例では、イオンスクリーンの底面は、基板の上面から10mm~15mmである。この距離は、設計によっては、もっと変化してもよく、例えば、10mm~20mm、または10mm~25mmとすることもできる。半導体処理システムが動作しているとき、イオンスクリーンは、チャンバと実質的に同一の広がりをもつ。このように、グリッドの外側にあるイオンスクリーンの部分は、基板の外側でチャンバの底部までプラズマが侵入するのを防ぐために、壁の十分近くにまで広がっているが、システムを構成する様々な部品の機械的および熱的公差を考慮して、基板とともにイオンスクリーンが自由に移動できるように、壁から十分に離れている。イオンスクリーンの移動と配置は手動で行うことができるが、あるいは、イオンスクリーンは、基板のローディングとアンローディングのためのリフトピンの動きに同期してイオンスクリーンを持ち上げたり下ろしたりする構造体に取り付けられてもよい。
【0034】
[0037]
図4は、本技術のいくつかの実施形態によるイオンスクリーンの概略斜視図である。イオンスクリーン400は、拡大表示されており、また明瞭性のために、寸法が、実際より大きくまたは小さくされている。実際には、イオンスクリーンは、イオンと電子に対して半透過となるように、十分に薄く、適切な大きさと数の開口部を持つ。イオンスクリーン400は、半導体処理チャンバの壁と実質的に同一の広がりをもつように、広がっている。イオンスクリーン400は、処理中の半導体基板に近接するように配置された孔402を含む。基板に「近接する」とは、基板表面より上の領域に孔が限定されることを意味する。したがって、孔は、イオンスクリーンのグリッド部分を形成し、グリッド部分の外側の部分は、チャンバ壁に向かって延びている。いくつかの例では、孔402は、イオンスクリーンの厚さtに対する孔の直径dの比が1より大きく、例えば、1~10であるように、形成される。別の例では、イオンスクリーンの厚さtに対する直径dの比は、1~4である。いくつかの実施形態では、スクリーンの総厚は、2mmと12mmの間である。いくつかの実施形態では、スクリーンの厚さは、5mmと7mmの間である。孔は、一般的には、イオンスクリーンの適切な構造的完全性を維持しながら、可能な限り密になるように形成される。孔は、イオンスクリーンの厚さに対する孔の占める面積の関係が維持される限り、孔402について示された円形以外の形状、例えば、正方形、六角形、楕円形、その他任意の幾何学的形状で形成することができる。
【0035】
[0038]一例として、イオンスクリーン400は、処理中の基板の上方にほぼ円形のグリッド部分を形成するようなパターンで配置された開口部402を有する、導電性であるが誘電体コーティングされたプレートであってもよい。別の例として、イオンスクリーンは、上側のみに誘電性材料を有するイオンスクリーン330などの、片側のみに誘電性材料を有する金属であってもよい。また、イオンスクリーン400は、導電性材料または誘電性材料のいずれかで作られた一元的なプレートであってもよい。基板へのイオン電流がバランスされ、基板が中性に維持されることを保証するように、バイアス電流が制御され、測定が行われる場合、露出した金属のイオンスクリーンは、誘電体コーティングされたスクリーンと同じ利点を提供する。また、中実の誘電性材料でできたイオンスクリーンを使用することもできる。この場合、イオンスクリーンは、基板とプラズマの間の静電容量を変化させる。この場合も、基板の中性を保ち、バランスのとれたイオン電流の流れを維持するために、バイアス電流が制御されねばならない。
【0036】
[0039]イオンスクリーン400の作製に用いる金属プレートは、半導体処理環境で発生しうる腐食や酸化の点で安全な材料で作製すべきである。例えば、イオンスクリーンの導電性材料としてアルミニウムを使用することができる。使用できる誘電性材料の例としては、石英、SiO2、またはセラミックがある。金属と誘電性材料の両方が使用される場合、チャンバ内の温度変化によるイオンスクリーンの割れや変形を最小限に抑えるために、膨張係数がほぼ同じになるように、材料を選定する必要がある。
【0037】
[0040]イオンスクリーンが、
図1~
図3のいずれかに関して説明された半導体処理チャンバ内に配置されているとき、イオンスクリーンは、処理される基板の表面に近いがそれより上にあるように配置される。ICPソース電極108を用いて、イオンスクリーンを挟んで基板121とは反対側のチャンバ内にプラズマ120を形成することにより、基板は処理される。RFバイアス電圧が、バイアス電極123に印加される。イオンスクリーンと基板との間の空間は、RFシースとして振る舞い、RFサイクル時間の大半の間、イオンが基板に向かって加速され、短時間の間、電子がこの間隙を横切って、電荷を相殺する。システムは、プラズマから基板に向けてイオンを加速させながら、基板からイオンスクリーンに電子を反射させることと、基板からイオンスクリーンにイオンを反射させることとを、択一的に行う。RFジェネレータ124からのRFバイアス電圧が極性を変えるたびに、流れが変わる。イオンが基板からイオンスクリーンに反射されるとき、イオンは、基板内または基板上に蓄積された正の電荷を相殺する。イオンの流れは、少なくとも部分的にイオンスクリーンによって管理されるので、プラズマを用いてイオン電流を制御している間、イオンエネルギーは、RFバイアス電圧に基づいて線形に制御される。
【0038】
[0041]先の記述では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために、多数の詳細が記載された。しかしながら、特定の実施形態は、これらの詳細の一部を伴わずに、または追加の詳細を伴って実施され得ることが、当業者にとって明らかであろう。
【0039】
[0042]いくつかの実施形態を開示したが、実施形態の精神を逸脱することなく、様々な修正、代替構造、および同等物を使用できることが、当業者によって認識されるであろう。加えて、本技術を不必要に曖昧にすることを避けるため、いくつかの周知のプロセスおよび要素については記述していない。したがって、上記の記述は、本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0040】
[0043]値の範囲が提供されている場合、文脈上明らかにそうでない場合を除き、その範囲の上限と下限の間に位置する、下限の単位の最小の端数までの各中間値もまた、具体的に開示されているものと理解される。記載された範囲内の任意の記載された値または記載されていない中間値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または中間値との間の任意のより狭い範囲も、包含される。これらのより小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含めることも除外することもでき、上限と下限のどちらかが、これらのより小さい範囲に含まれる、どちらも含まれない、または両方が含まれる各範囲もまた、本技術内に包含されるが、記載された範囲内で明確に除外された上限または下限がある場合は、それに従う。記載された範囲が、上限と下限の一方または両方を含む場合、それら含まれる上限や下限の一方または両方を除いた範囲もまた含まれる。
【0041】
[0044]本明細書および添付の請求項で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の言及を含む。したがって、例えば、「電極」への言及は、複数のそのような電極を含み、「支持体」への言及は、1つ以上の支持体および当業者に知られているその同等物への言及を含む、等である。
【0042】
[0045]また、「備える(comprise(s))」、「備える(comprising)」、「含む(contain(s))」、「含まれる(contained)」、「含む(include(s))」、および「含む(including)」という言葉は、この明細書および以下の請求項で用いられる場合、記載された特徴、整数、構成要素、または操作の存在を指定することを意図するが、1以上の他の特徴、整数、構成要素、操作、行為またはグループの存在または追加を排除するものではない。「結合」、「接続」、「接続可能」、「配置」等の言葉は、構成要素間の直接的な接続もしくは配置、または介在する構成要素との接続もしくは配置、または介在する構成要素間の接続もしくは配置を指すことができる。「上方」、「下方」、「上部」、「下部」などの用語は、図を通常の向きで観察した場合の相対的な位置を示すものであり、必ずしも物理的なシステムにおける実際の位置関係を意味するものではない。