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特許7591929パターニングのための高品質C膜のパルスプラズマ(DC/RF)蒸着
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】パターニングのための高品質C膜のパルスプラズマ(DC/RF)蒸着
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/314 20060101AFI20241122BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241122BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01L21/314 A
H01L21/302 105A
H01L21/31 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020561008
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2018056004
(87)【国際公開番号】W WO2019212592
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-10-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】62/666,205
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタサブラマニアン, エスワラナンド
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マンナ, プラミット
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスワーミ, カーティク
(72)【発明者】
【氏名】越澤 武仁
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【合議体】
【審判長】恩田 春香
【審判官】三浦 みちる
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-024476(JP,A)
【文献】特開2004-249493(JP,A)
【文献】特表2013-540359(JP,A)
【文献】特表2008-541485(JP,A)
【文献】特表2015-501546(JP,A)
【文献】特開2007-005464(JP,A)
【文献】特開2012-014780(JP,A)
【文献】特表2018-508980(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0024744(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/314
H01L 21/31
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を位置決めすること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含むプロセスガスを処理容積中へ流すこと、
処理容積を100mTorr未満の圧力に維持すること、
処理チャンバの第1の電極に第1の電力を印加し、処理チャンバの第2の電極に、パルスDC電力である第2の電力を印加することによって、プロセスガスのプラズマを形成すること、
基板支持体を100℃未満の温度に維持すること、
基板の表面をプラズマに曝すこと、及び
基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させること
を含む、方法。
【請求項2】
アモルファスカーボン層が、1.8g/cmを上回る密度を有し、且つ150GPaを上回るヤング率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アモルファスカーボン層が、500MPa未満の膜応力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
炭化水素ガスが、CH、C、C、C10、C、C、C、C10、又はこれらの組み合わせのうちの一つを含み、炭化水素ガスと希釈ガスの流量比が1:10から10:1の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
力が20mTorr未満である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
希釈ガスがHを含み、Hと炭化水素ガスの流量比が0.5:1と1:10の間である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
第1の電力が、500Wと5kWの間のRF AC電力であり、周波数が、350kHzと100MHzの間であり、第2の電力が、200Wと15kWの間であり且つ1kHzの周波数でパルス化される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の電極が基板支持体内に配置され、第2の電極が基板支持体の反対側に配置され、第2の電極がシャワーヘッドである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第2の電極が基板支持体内に配置され、第1の電極が基板支持体の反対側に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板を処理する方法であって、
処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を位置決めすること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含むプロセスガスを処理容積中へ流すこと、
処理容積を20mTorr未満の圧力に維持すること、
処理チャンバの第1の電極にRF AC電力を印加することであって、RF AC電力が500Wと5kWの間であり、周波数が350kHzと100MHzの間である、第1の電極にRF AC電力を印加することと、処理チャンバの第2の電極にパルス化DC電力を印加することであって、パルス化DC電力が200Wと15kWの間である、第2の電極にパルス化DC電力を印加することとにより、プロセスガスのプラズマを形成すること、
基板支持体を100℃未満の温度に維持すること、
基板の表面をプラズマに曝すこと、及び
基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させること
を含む、方法。
【請求項11】
炭化水素ガスが、CH、C、C、C10、C、C、C、C10、又はこれらの組み合わせのうちの一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
希釈ガスがHを含み、Hと炭化水素ガスの流量比が0.5:1と1:10の間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の電極が基板支持体内に配置され、第1の電極が基板支持体の反対側に配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
基板の表面上に、アモルファスカーボン層を含むカーボンハードマスクの製造方法であって、
処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を位置決めすること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含むプロセスガスを処理容積中へ流すこと、
処理容積を100mTorr未満の圧力に維持すること、
処理チャンバの第1の電極に第1の電力を印加し、処理チャンバの第2の電極に、パルスDC電力である第2の電力を印加することによって、プロセスガスのプラズマを形成すること、
基板支持体を200℃未満の温度に維持すること、
基板の表面をプラズマに曝すこと、及び
基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させること
を含み、
アモルファスカーボン層が、1.8g/cmを上回る密度、150GPaを上回るヤング率、及び500MPa未満の膜応力を有する、方法。
【請求項15】
アモルファスカーボン層が、それを貫通して形成された複数の開口を有し、複数の開口の各々が、2:1を上回る高さ対幅の比を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基板の表面上にアモルファスカーボン層を形成する方法であって、
処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を位置決めすること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含むプロセスガスを処理容積中へ流すこと、
処理容積を100mTorr未満の圧力に維持すること、
処理チャンバの第1の電極に第1の電力を印加し、処理チャンバの第2の電極に、パルスDC電力である第2の電力を印加することによって、プロセスガスのプラズマを形成すること、
基板支持体を100℃未満の温度に維持すること、
基板の表面をプラズマに曝すこと、及び
基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させること
を含む、方法。
【請求項17】
基板を処理する方法であって、
処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を位置決めすること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含むプロセスガスを処理容積中へ流すこと、
処理容積を100mTorr未満の圧力に維持すること、
処理チャンバの第1の電極に第1の電力を印加し、処理チャンバの第2の電極に、パルスDC電力である第2の電力を印加することによって、プロセスガスのプラズマを形成すること、
基板支持体を200℃未満の温度に維持すること、
基板の表面をプラズマに曝すこと、及び
基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させること
を含み、
第1の電極が基板支持体内に配置され、第2の電極が、基板支持体の反対側に配置されたシャワーヘッドである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施態様は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスを使用して、基板上に以前に形成された層の上を含め、基板上にアモルファスカーボン層を堆積させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アモルファスカーボンから形成されるカーボンハードマスクは、基板表面又はその材料表面層に高アスペクト比の開口(例えば、高さと幅の比が2:1以上)を形成する際のエッチングマスクとして半導体装置の製造に使用される。一般に、目詰まり、孔形状の歪み、パターン変形、上部限界寸法ブローアップ、ライン曲げ、及びプロファイルバウイングを含む、高アスペクト比開口の形成に関連する加工の問題は、従来の堆積されたカーボンハードマスクの望ましくない材料特性の結果である。例えば、より低い材料密度及びより低い材料剛性(すなわち、ヤング率)の一方又は両方を有するカーボンハードマスクは、より高い密度又はより高い剛性を有するハードマスク材料と比較したとき、高アスペクト比開口の変形を増大させることが知られている。
【0003】
同様に、ハードマスク材料と基板材料との間のエッチング選択性の低下は、より高いエッチング選択性を示すハードマスクと比較して、スリットパターンの変形及びライン曲げの増大を引き起こしうる。同様の問題が、高い膜応力(圧縮又は張力)によって引き起こされうる。さらに、限界寸法(CD)が縮小し、高アスペクト比開口の大きさが増大するにつれて、高アスペクト比開口を形成するために使用される従来の堆積カーボンハードマスクの厚さも増大する。残念ながら、低い光学K及び増加した厚さのうちの一方又は両方に起因して、より低い透明度を有するハードマスクは、後続のフォトリソグラフィプロセスにおいて不整合を引き起こしうる。さらに、ハードマスク材料とその下に位置する基板材料との間のエッチング選択性がより低いプロセスは、多くの場合、処理時間及びコストを増加させる相対的により厚いハードマスクに依存する。
【0004】
したがって、当技術分野で必要とされているのは、改善されたハードマスク及び改善されたハードマスクを形成する方法である。
【発明の概要】
【0005】
一実施態様において、基板を処理する方法が提供される。この方法は、処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を位置決めすることを含む。この方法は、炭化水素ガス及び希釈ガスを含むプロセスガスを処理容積中へ流すことをさらに含む。この方法は、処理容積を約100mTorr未満の圧力に維持することをさらに含む。この方法は、プロセスチャンバの第1の電極に第1の電力を印加し、プロセスチャンバの第2の電極に、パルスDC電力である第2の電力を印加することによって、プロセスガスのプラズマを形成することをさらに含む。この方法は、基板支持体を約350℃未満の温度に維持することをさらに含む。この方法は、基板の表面をプラズマに曝すことをさらに含む。この方法は、基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させることをさらに含む。
【0006】
別の実施態様では、基板を処理する方法が提供される。この方法は、処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を位置決めすることを含む。この方法は、炭化水素ガス及び希釈ガスを含むプロセスガスを処理容積中へと流すことをさらに含む。この方法は、処理容積を約20mTorr未満の圧力に維持することをさらに含む。この方法は、プロセスチャンバの第1の電極にRF AC電力を印加することによって、プロセスガスのプラズマを形成することであって、RF AC電力が約500Wと5kWの間であり、周波数が約350kHzと約100MHzの間である、第1の電極にRF AC電力を印加することと、プロセスチャンバの第2の電極にパルス化DC電力を印加することであって、パルス化DC電力が約1kHzの周波数でパルス化された約200Wと約15kWの間である、第2の電極にパルス化DC電力を印加することとをさらに含む。この方法は、基板支持体を約100℃未満の温度に維持することをさらに含む。この方法は、基板の表面をプラズマに曝すことをさらに含む。この方法は、基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させることをさらに含む。
【0007】
別の実施態様では、カーボンハードマスクが提供される。カーボンハードマスクは、基板の表面上に配置されたアモルファスカーボン層を含む。アモルファスカーボン層は、約1.8g/cmを上回る密度、約150GPaを上回るヤング率、及び約500MPa未満の膜応力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施態様を参照することによって得られ、それらの実施態様の一部は添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施態様のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容しうることに留意されたい。
【0009】
図1】一実施態様による、ここに記載される方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバの概略断面図である。
図2】一実施態様による、アモルファスカーボン層を堆積させる方法のフロー図である。
図3】一実施態様による、図2に示される方法に従って堆積されたアモルファスカーボン層から形成されたカーボンハードマスクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施態様は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスを使用して、基板上に以前に形成された層の上を含め、基板上にアモルファスカーボン層を堆積させるための方法に関する。特に、ここに記載される方法は、sp3(ダイヤモンド状)炭素対sp2(グラファイト状)炭素の比率が高いアモルファスカーボン層を堆積させるプラズマを生成するために、RF AC電力とパルスDC電力との組み合わせを利用する。これらの方法はまた、より低い処理圧力、より低い処理温度、及びより高い処理能力を提供し、これらの各々は、単独で又は組み合わせて、堆積されたアモルファスカーボン層中のsp3カーボンの相対的分画をさらに増加させうる。より高いsp3炭素分画の結果として、ここに記載される方法は、従来の方法によって堆積されるアモルファスカーボン層と比較して、改善された密度、剛性、エッチング選択性、及び膜応力を有するアモルファスカーボン層を提供する。
【0011】
図1は、一実施態様による、ここに規定される方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバ100の概略断面図である。ここに記載される方法を実施するために使用されうる他の例示的な処理チャンバには、カリフォルニア州サンタクララに居所を有する本出願人から入手可能なRADIONTM、PRODUCER(登録商標)、及びSYM3TM処理装置、並びに他の製造者による適切な堆積チャンバが含まれる。
【0012】
処理チャンバ100は、リッドアセンブリ101、側壁102、及びチャンバベース104を含む。リッドアセンブリ101は、チャンバリッド106、チャンバリッド106に結合されて電気通信するシャワーヘッド107、及びチャンバリッド106と側壁102との間に配置される電気絶縁リング108を含む。シャワーヘッド107、側壁102、及びチャンバベース104は、一緒になって処理容積105を画定する。一実施態様において、チャンバリッド106及びシャワーヘッド107は、アルミニウムなどの導電性材料から形成される。ガス入口109は、チャンバリッド106を貫通して配置され、ガス源110に流体的に結合されている。シャワーヘッド107は、それを貫通して配置された複数の開口111を有し、ガス源110から処理容積105中へ処理ガスを均一に分配するために使用される。他の実施態様では、処理チャンバ100はシャワーヘッド107を含まず、処理ガスは、チャンバリッド106又は側壁102を貫通して配置された一又は複数のガス入口を通って処理容積105に送達される。
【0013】
処理容積105は、処理容積105を大気圧未満の状態に維持し、処理中に処理ガス及び他のガスをそこから排出する真空出口114を通して、一又は複数の専用真空ポンプとすることができる真空源112に流体的に結合される。処理容積105内に配置された基板支持体115は、チャンバベース104を通って延びる可動支持軸116上に配置される。ここでは、処理チャンバ100は、基板処理中にドア又はバルブ(図示しない)でシールされる一又は複数の側壁102のうちの一つの開口118を通して基板支持体115への及び基板支持体115からの基板117の移送を容易にするように構成される。
【0014】
基板117は、ヒータ119及び一又は複数の冷却チャネル120の一方又は両方を使用して、所望の処理温度に維持される。ヒータ119は、抵抗加熱器であってよく、一又は複数の冷却チャネルは、基板支持体115内に配置される。一又は複数の冷却チャネル120は、比較的高い電気抵抗を有する冷媒源又は修正水源などの冷却剤源(図示しない)に流体的に結合される。ヒータ119は、ヒータ119に電力を供給し且つ基板支持体115の温度を上昇させるように構成された電源(図示しない)と電気通信している。
【0015】
いくつかの実施態様では、一又は複数の電極124が、基板支持体115の誘電体材料に埋め込まれる。一又は複数の電極は、電源121に電気的に結合される。電源122は、シャワーヘッド107に電気的に結合される。シャワーヘッドを含まない実施態様の場合、電源122はリッドアセンブリ106に電気的に結合される。電源121及び122の各々は、連続波(CW)RF電源、パルスRF電源、DC電源、及び/又はパルスDC電源とすることができる。一実施態様では、電源121はCW RF電源であり、電源122はパルスDC電源である。別の実施態様では、電源121はパルスDC電源であり、電源122はパルスRF電源である。二つの電源121及び122のみが示されているが、必要に応じて、それよりも多くの電源が基板支持体115又はリッドアセンブリ101の電極に結合されてもよいと考えられる。例えば、パルスDC電源は、リッドアセンブリ101内の電極に結合されたRF電源と共に、基板支持体115及びリッドアセンブリ101の両方の電極に結合されてよい。
【0016】
一実施態様において、プラズマ123は、電源122からリッドアセンブリ101内の一又は複数の電極にRF電力を供給することによって処理容積105内に形成及び維持され、それによって容量結合プラズマ123が生成される。次に、プラズマ123は、電源121から、基板支持体115内に配置された一又は複数の電極にDC電力を供給することによって修正される。別の実施態様では、プラズマ123は、電源121からのRF電力によって形成及び維持され、電源122からのDC電力によって修正される。
【0017】
図2は、一実施態様による、基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させる方法200のフロー図である。工程201において、方法200は、基板を基板支持体上に位置決めすることを含む。基板支持体は、図1に記載される処理チャンバ100などの処理チャンバの処理容積内に配置される。工程202において、方法200は、処理ガスを処理容積中へと流すことを含む。処理ガスは、炭化水素ガスなどの炭素源ガス、例えばCH、C、C、C10、C、C、C、C10、又はこれらの組み合わせを含み、処理ガスは、希釈ガス、例えばAr、He、Ne、Kr、Xe、又はこれらの組み合わせといった不活性ガスも含む。いくつかの実施態様では、希釈ガスは、貴ガス、N、H、又はこれらの組み合わせなどの不活性ガスを含む。
【0018】
いくつかの実施態様では、炭化水素ガスの流量と希釈ガスの流量との比は、約1:10と約10:1の間、例えば約1:5と約5:1の間である。例えば、一実施態様では、Cの流量とHeの流量の比は、約1:3と約3:1の間である。いくつかの実施態様では、希釈ガスはHを含み、Hの流量と炭化水素ガスの流量の比は、約0.5:1と約1:10の間、例えば約1:1と約1:5の間である。
【0019】
工程203において、方法200は、約0.1mTorrと約100mTorrの間、例えば約0.1mTorrと約50mTorrの間、又は約0.1mTorrと約30mTorrの間、又は約0.1mTorrと約20mTorrの間、又は約0.1mTorrと約15mTorrの間、又は約0.1mTorrと約10mTorrの間、又は約100mTorr未満、又は約50mTorr未満、又は約20mTorr未満、又は約15mTorr未満、又は約10mTorr未満の処理圧力に処理容積を維持することを含む。
【0020】
工程204において、方法200は、処理チャンバの第1の電極に第1の電力を印加し、処理チャンバの第2の電極に、パルスDC電力である第2の電力を印加することによって処理ガスのプラズマを形成し、維持することを含む。一実施態様では、第1の電極は、基板支持体内に配置される。別の実施態様では、第1の電極は、処理チャンバのシャワーヘッド又はチャンバリッド内など、基板支持体の反対側に配置される。一実施態様では、第1の電力は、約500Wと約5kWの間、例えば約2500WのRF AC電力である。第1の電力は、約350kHzと約100MHzの間、例えば2MHz又は13.56MHzの周波数を有する。
【0021】
一実施態様において、第2の電極は、基板支持体内に配置される。別の実施態様では、第2の電極は、基板支持体の反対側に配置される。一実施態様において、第2の電極はシャワーヘッドである。一実施態様において、第2の電力は、約200Wと約15kWの間である。別の実施態様では、第2の電力は、約1kHzの周波数でパルス化される。別の実施態様では、第2の電力は、約50%のデューティサイクルを有する。
【0022】
上述のように、基板支持体からパルスDC電力を供給すると、プラズマ内のイオンエネルギーの均一性が高まり、次に堆積されたアモルファスカーボン層中のsp3カーボンの濃度が上昇すると考えられる。図3を参照して以下に記載するように、より高いsp3濃度を有するアモルファスカーボン層は、従来の堆積アモルファスカーボン層と比較して、より高い密度、より高いヤング率、及びより低い膜応力などの望ましい特性を示す。さらに、上述したように、基板支持体の反対側、例えばシャワーヘッドのような第2の電極にパルスDC電力を供給すると、第2の電極からの二次電子放出が増加し、堆積されたアモルファスカーボン層の膜応力をさらに低減することができると考えられる。
【0023】
工程205において、方法200は、基板支持体、したがってその上に配置された基板を、約-50℃と約350℃の間、例えば約-50℃と約150℃の間、約-50℃と約100℃の間、約-50℃と約50℃の間、約-25℃と約25℃の間の温度、又は約350℃未満、例えば約200℃未満、約150℃未満、100℃未満、又は約50℃未満の温度に維持することを含む。
【0024】
工程206において、方法200は、基板の表面をプラズマに曝すことを含む。工程207において、方法200は、基板の表面上にアモルファスカーボン層を堆積させることを含む。
【0025】
図2は、フロー図の一例を示すが、方法200の変形が企図されることに留意されたい。例えば、工程205は、工程202、203、又は204の前に行われてよい。さらに、工程202~207のうちの一又は複数が同時に行われてもよい。
【0026】
図3は、一実施態様による、図2に示される方法に従って堆積されたカーボンハードマスク303を示す。パターン化されたカーボンハードマスクとして示されているカーボンハードマスク303は、基板301のパターン化対象表面上に配置された、その中に複数の開口304が形成されているアモルファスカーボン層302を含む。基板301又はその一又は複数の材料層は、結晶シリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンゲルマニウム、タングステン、窒化チタン、ドープ又は非ドープポリシリコン、炭素ドープ酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、及び低誘電率誘電体材料のうちの一又はそれらの組み合わせから形成される。
【0027】
アモルファスカーボン層302は約1kAと約40kAの間、例えば約10kAと約40kAの間、又は約10kAと約30kAの間の厚さ、約1.8g/cmを上回る密度、及び約150GPaを上回るヤング率を有する。一実施態様において、アモルファスカーボン層302は、約500MPa未満の張力又は圧縮膜応力を有する。いくつかの実施態様では、開口304の各々は、約2:1を上回る、例えば、約3:1を上回る、約4:1を上回る、約5:1を上回る、約6:1を上回る、約7:1を上回る、約8:1を上回る、約9:1を上回る、又は約10:1を上回るアスペクト比(すなわち、高さ306対幅305の比)を有する。
【0028】
ここに記載される方法及びそのような方法に従って堆積されたアモルファスカーボン層は、カーボンハードマスクの用途に望ましい特性を示す。堆積されたアモルファスカーボン層は、sp3(ダイヤモンド状)炭素対sp2(グラファイト状)炭素の高い比率を示す。これらの方法はまた、より低い処理圧力、より低い処理温度、及びより高い処理能力を提供し、これらの各々は、単独で又は組み合わせて、堆積されたアモルファスカーボン層中のsp3カーボンの相対的分画をさらに増加させうる。より高いsp3炭素分画の結果として、ここに記載される方法は、従来の方法によって堆積されるアモルファスカーボン層と比較して、改善された密度、剛性、エッチング選択性、及び膜応力を有するアモルファスカーボン層を提供する。
【0029】
以上の説明は本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実施態様及びさらなる実施態様が考案されてもよく、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3