(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】グレイ視野撮像装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20241122BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2022532673
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 US2020062759
(87)【国際公開番号】W WO2021113273
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-09-01
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ シウメイ
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-024758(JP,A)
【文献】特表2016-516307(JP,A)
【文献】特開2006-047308(JP,A)
【文献】特表2019-535143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - 21/958
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを生成する光源と、
対物系と、
前記対物系を通る前記光ビームの経路上にてウェハを保持するよう構成されているチャックと、
前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記対物系間に配置されている中継レンズと、
前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記中継レンズ間に配置されている可調照明アパーチャと、
前記光ビームの前記経路上、前記中継レンズ・前記対物系間に配置されている第1チューブレンズと、
前記光ビームの前記経路上、前記第1チューブレンズ・前記中継レンズ間に配置されている第1可動焦点レンズと、
前記対物系を介し前記ウェハから反射されてくる光を受光するよう構成されている2D撮像カメラと、
前記光ビームの前記経路上、前記対物系・前記2D撮像カメラ間に配置されている第2可動焦点レンズと、
前記光ビームの前記経路上、前記第2可動焦点レンズ・前記対物系間に配置されている第2チューブレンズと、
を備え、
前記第1可動焦点レンズ及び前記第2可動焦点レンズが、前記光源・前記ウェハ間の照明複合体と前記ウェハ・前記2D撮像カメラ間の集光複合体とを調整すべく前記光ビームの前記経路に沿い動かせるよう構成されており、且つ前記第1可動焦点レンズ及び前記第2可動焦点レンズが、前記ウェハの表面或いはその上方又は下方に照明焦点を位置決めしうるよう構成されて
前記照明焦点が前記経路に沿って走査中に変化し、
前記2D撮像カメラが、前記ウェハのグレイ視野像を
撮像するよう構成されているシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、更に、前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記対物系間に配置された構造化マスクを備え、前記光ビームが通り抜ける複数個のアパーチャが前記構造化マスクにより画定され、前記光ビームのうち一部分が前記構造化マスクによりブロックされるシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記構造化マスクが前記光源・前記第1可動焦点レンズ間に配置されているシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記構造化マスクが前記中継レンズ・前記第1可動焦点レンズ間に配置されているシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムであって、前記構造化マスクが、前記光ビームの前記経路に対し傾斜させうるよう構成されているシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、自身の照明数値開口が0~0.9であるシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、自身の集光路数値開口が少なくとも0.9であるシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、更に、前記2D撮像カメラと電子通信するプロセッサを備え、そのプロセッサが、前記2D撮像カメラからの前記グレイ視野像中の欠陥を識別するよう構成されているシステム。
【請求項9】
光ビームを光源からチャック上のウェハに差し向け、
前記ウェハにて前記光ビームを2D撮像カメラへと反射させ、
前記光ビームの経路上、前記光源・前記ウェハ間に配置されている第1可動焦点レンズ、並びに前記ウェハ・前記2D撮像カメラ間に配置されている第2可動焦点レンズを調整し、その調整が、前記光源・前記ウェハ間の照明複合体と前記ウェハ・前記2D撮像カメラ間の集光複合体とに対する独立的な変更を含むものであり、
前記第1可動焦点レンズ及び前記第2可動焦点レンズが、前記ウェハの表面或いはその上方又は下方に照明焦点を位置決めしうるよう構成されて前記照明焦点が前記経路に沿って走査中に変化し、
前記2D撮像カメラを用い、前記ウェハの画像でありグレイ視野像である画像を
撮像し、
前記ウェハ上における欠陥の所在個所を、前記画像を用い判別する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記光ビームの焦点が前記ウェハの表面より下方にある方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記光ビームの焦点が前記ウェハの表面にある方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記光ビームの焦点が前記ウェハの表面より上方にある方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、前記光ビームにより前記ウェハの表面上が走査されるにつれその光ビームの焦点の深度が変化する方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、更に、前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記第1可動焦点レンズ間に配置されている構造化マスクを介し前記光ビームを差し向け、前記構造化マスクにより複数個のアパーチャを画定し、それら複数個のアパーチャにより前記ウェハの表面上に明ゾーンを形成し、前記構造化マスクのうちそれらアパーチャ間の領域により前記ウェハの前記表面上に暗ゾーンを形成
し、前記暗ゾーンにより前記グレイ視野像に対応するグレイゾーンが形成される方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記調整が、前記構造化マスクが合焦し前記明ゾーン内の光が前記暗ゾーン内へと漏れるように前記第1可動焦点レンズの位置を変更することを、含むものである方法。
【請求項16】
請求項9に記載の方法であって、照明数値開口が0~0.9である方法。
【請求項17】
請求項9に記載の方法であって、集光路数値開口が少なくとも0.9である方法。
【請求項18】
請求項9に記載の方法であって、前記ウェハが3D構造を有する方法。
【請求項19】
光ビームを生成する光源と、
対物系と、
前記対物系を通る前記光ビームの経路上にてウェハを保持するよう構成されているチャックと、
前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記対物系間に配置されている可調照明アパーチャと、
前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記対物系間に配置されている第1可動焦点レンズと、
前記対物系を介し照明されているエリア内のウェハ画像を取得するよう構成されている2D撮像カメラと、
前記光ビームの前記経路上、前記対物系・前記2D撮像カメラ間に配置されている第2可動焦点レンズと、
を備え、
前記第1可動焦点レンズ及び前記第2可動焦点レンズが、前記光源・前記ウェハ間の照明複合体と前記ウェハ・前記2D撮像カメラ間の集光複合体とを調整すべく構成されており、且つ前記第1可動焦点レンズ及び前記第2可動焦点レンズが、前記ウェハの表面或いはその上方又は下方に照明焦点を位置決めしうるよう構成されて
前記照明焦点が前記経路に沿って走査中に変化し、
前記2D撮像カメラが、前記ウェハのグレイ視野像を
撮像するよう構成されているシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、更に、前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記対物系間に配置された構造化マスクを備え、前記光ビームが通り抜ける複数個のアパーチャが前記構造化マスクにより画定され、前記光ビームのうち一部分が前記構造化マスクによりブロックされるシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、前記構造化マスクが前記光源・前記第1可動焦点レンズ間に配置されているシステム。
【請求項22】
請求項20に記載のシステムであって、前記構造化マスクが、前記光ビームの前記経路に対し傾斜させうるよう構成されているシステム。
【請求項23】
請求項19に記載のシステムであって、自身の照明数値開口が0~0.9であるシステム。
【請求項24】
請求項19に記載のシステムであって、自身の集光路数値開口が少なくとも0.9であるシステム。
【請求項25】
請求項19に記載のシステムであって、更に、前記2D撮像カメラと電子通信するプロセッサを備え、そのプロセッサが、前記2D撮像カメラからの前記グレイ視野像中の欠陥を識別するよう構成されているシステム。
【請求項26】
光ビームを光源からチャック上のウェハに差し向け、
前記ウェハにて前記光ビームを2D撮像カメラへと反射させ、
前記光源・前記ウェハ間の照明複合体を調整し、
前記ウェハ・前記2D撮像カメラ間の集光複合体を調整し、
前記照明複合体と前記集光複合体の調整により、前記ウェハの表面或いはその上方又は下方に照明焦点を位置決めし、前記照明焦点を走査中に変化させ、
前記2D撮像カメラを用い、前記ウェハの画像でありグレイ視野像である画像を
撮像し、
前記ウェハ上における欠陥の所在個所を、前記画像を用い判別する方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記光ビームの焦点が前記ウェハの表面より下方にある方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、前記光ビームの焦点が前記ウェハの表面にある方法。
【請求項29】
請求項26に記載の方法であって、前記光ビームの焦点が前記ウェハの表面より上方にある方法。
【請求項30】
請求項26に記載の方法であって、前記光ビームにより前記ウェハの表面上が走査されるにつれその光ビームの焦点の深度が変化する方法。
【請求項31】
請求項26に記載の方法であって、更に、前記光ビームの前記経路上、前記光源・前記ウェハ間に配置されている構造化マスクを介し前記光ビームを差し向け、前記構造化マスクにより複数個のアパーチャを画定し、それら複数個のアパーチャにより前記ウェハの表面上に明ゾーンを形成し、前記構造化マスクのうちそれらアパーチャ間の領域により前記ウェハの前記表面上に暗ゾーンを形成
し、前記暗ゾーンにより前記グレイ視野像に対応するグレイゾーンが形成される方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記照明複合体及び前記集光複合体の調整が、前記構造化マスクが合焦し前記明ゾーン内の光が前記暗ゾーン内へと漏れるように前記光ビームの前記経路上
の第1可動焦点レンズの位置を変更することを、含むものである方法。
【請求項33】
請求項26に記載の方法であって、照明数値開口が0~0.9である方法。
【請求項34】
請求項26に記載の方法であって、集光路数値開口が少なくとも0.9である方法。
【請求項35】
請求項26に記載の方法であって、前記ウェハが3D構造を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は半導体ウェハ向けの光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、2019年12月3日付米国仮特許出願第62/943170号に基づく優先権を主張し、参照によりその開示内容を本願に繰り入れる。
【0003】
半導体製造業の進展により歩留まり管理に、とりわけ計量システム及び検査システムに寄せられる期待が増している。限界寸法が縮まり続けているだけでなく、業界ではより短時間で高歩留まり高付加価値生産を達成することが求められている。歩留まり問題を察知してからそれを正すまでの合計時間を縮めることが、半導体製造業者にとり投資収益率の決め手となっている。
【0004】
半導体デバイス、例えば論理デバイス及びメモリデバイスを製造する際には、通常、多数の製造プロセスを用い半導体ウェハを処理することで、それら半導体デバイスの様々なフィーチャ(外形特徴)及び複数個の階層を形成する。例えばリソグラフィリソグラフィなる半導体製造プロセスでは、半導体ウェハ上に配列されたフォトレジストへとレティクルからパターンを転写する。半導体製造プロセスの更なる例としては、これに限られるものではないが化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積及びイオンインプランテーションがある。単一の半導体ウェハ上に作成され配列をなしている複数個の半導体デバイスを、個別の半導体デバイスへと分けるようにするとよい。
【0005】
検査プロセスが半導体製造中の様々な工程にて用いられており、それによりウェハ上の欠陥を検出することで、その製造プロセスの歩留まり向上ひいては利益増進が促進されている。検査は、常に、半導体デバイス例えば集積回路(IC)の製造の重要部分とされてきた。それにとどまらず、半導体デバイスの寸法が小さくなるにつれ、小さめな欠陥でもデバイスに不調が生じうるようになったため、許容しうる半導体デバイスの首尾よい製造上、検査がかつてなく重要になってきている。例えば、半導体デバイスの寸法が小さくなるにつれて、相対的に小さな欠陥でさえもそれら半導体デバイスに不要な歩留まり損失を引き起こしかねなくなり、ひいてはより小さなサイズの欠陥の検出が必要になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2006/0114453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、3Dウェハ構造その他の先進的半導体デザインにおける欠陥の検出には難題がある。光学検査の場合、明視野(BF)モードでは、ウェハの上面にて強い反射が発生する。明るいウェハパターンにより欠陥信号が圧倒され限定的なものとなることがある。暗視野(DF)モードでは、通常、規則的アレイ領域内の全ウェハパターンが抑圧されるものの、ヌーサンスフィルタリングとの関連でウェハパターン情報が失われるためランダムパターンに関してはそうならない。コントラスト情報無しでは、ヌーサンスから欠陥を弁別するのが難しくなりうる。
【0008】
従って検査システムの改良が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1実施形態ではシステムが提供される。本システムは、光ビームを生成する光源と、対物系と、その対物系を通る光ビーム経路上でウェハを保持するよう構成されているチャックと、その光ビーム経路上、光源・対物系間に配置されている中継レンズと、その光ビーム経路上、光源・中継レンズ間に配置されている可調照明アパーチャと、その光ビーム経路上、中継レンズ・対物系間に配置されている第1チューブレンズと、その光ビーム経路上、第1チューブレンズ・中継レンズ間に配置されている第1可動焦点レンズと、その光ビーム経路上、対物系・2D撮像カメラ間に配置されている第2可動焦点レンズと、その光ビーム経路上、第2可動焦点レンズ・対物系間に配置されている第2チューブレンズと、対物系経由でウェハから反射されてきた光を受光するよう構成されている2D撮像カメラと、を有する。第1可動焦点レンズ及び第2可動焦点レンズを、光源・ウェハ間照明複合体(照明コンジュゲート)及びウェハ・2D撮像カメラ間集光複合体(集光コンジュゲート)を調整すべく光ビーム経路に沿い動かせるよう構成する。第1可動焦点レンズ及び第2可動焦点レンズを、ウェハ表面或いはその上方又は下方に照明焦点を位置決めしうるよう構成する。2D撮像カメラを、そのウェハのグレイ視野像を生成するよう構成する。
【0010】
構造化マスクを、その光ビーム経路上、光源・対物系間に配置することができる。その構造化マスクにより、その光ビームが通り抜ける複数個のアパーチャを画定する。その光ビームのうち一部分をその構造化マスクによりブロックする。例えば、その構造化マスクを、光源・第1可動焦点レンズ間や中継レンズ・第1可動焦点レンズ間に配置することができる。
【0011】
その構造化マスクを、その光ビーム経路に対し傾斜させうるよう構成することができる。
【0012】
照明数値開口を0~0.9とすることができる。集光路数値開口を少なくとも0.9とすることができる。
【0013】
本システムには、更に、2D撮像カメラと電子通信するプロセッサを設けることができる。そのプロセッサを、その2D撮像カメラからのグレイ視野像中の欠陥を識別するよう構成する。
【0014】
第2実施形態では方法が提供される。本方法では、光源からの光ビームをチャック上のウェハに差し向ける。そのウェハを、3D構造を有するものとすることができる。そのウェハにてその光ビームを2D撮像カメラへと反射させる。第1可動焦点レンズ及び第2可動焦点レンズを調整することができる。第1可動焦点レンズは、その光ビームの経路上、光源・ウェハ間に配置する。第2可動焦点レンズはウェハ・2D撮像カメラ間に配置する。その調整には、光源・ウェハ間照明複合体及びウェハ・2D撮像カメラ間集光複合体に対する独立的な変更を含める。その2D撮像カメラを用いそのウェハの画像を生成する。この画像はグレイ視野像である。そのウェハ上における欠陥の所在個所を、その画像を用い判別する。
【0015】
その光ビーム焦点を、ウェハ表面より下方、ウェハ表面在、或いはウェハ表面より上方とすることができる。その光ビーム焦点の深度を、その光ビームによるウェハ表面上の走査につれ変化させることができる。
【0016】
本方法では、更に、その光ビーム経路上、光源・第1可動焦点レンズ間に配置されている構造化マスクを介し、その光ビームを差し向けることができる。その構造化マスクにより複数個のアパーチャを画定する。それら複数個のアパーチャによりウェハ表面上に明ゾーンを形成し、その構造化マスクのアパーチャ間領域によりウェハ表面上に暗ゾーンを形成する。
【0017】
照明数値開口は0~0.9とすることができる。集光路数値開口は少なくとも0.9とすることができる。
【0018】
前掲の調整においては、構造化マスクに合焦するよう且つ明ゾーン内の光が暗ゾーン内へと漏れるように、第1可動焦点レンズの位置を変化させることができる。
【0019】
本件開示の性質及び目的をより遺漏なく理解頂くため、後掲の詳細記述と併せ以下の添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】構造化マスクパターン(SMP)例の画像を示す図である。
【
図3】
図2の構造化マスクパターンを用いたときのグレイ視野像の例を示す図である。
【
図5】本件開示に係る方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特許請求の範囲記載の主題を特定の諸実施形態により記述するが、本願にて説明されている利益及び特徴が皆は提供されない諸実施形態を含め、他の諸実施形態も本件開示の技術的範囲内にある。様々な構造的、論理的、処理ステップ的及び電子的改変を、本件開示の技術的範囲から離隔することなく、なすことができる。従って、本件開示の技術的範囲は、専ら別項の特許請求の範囲を参照することにより画定される。
【0022】
先進的半導体デバイスは得てして3D構造を有している(DRAM、3D NAND、ゲートオールアラウンド)。3D構造のデバイス表面下の欠陥は、上面での強い反射がもとでセンサが飽和しうるし、その面から100nm~数μm下方となりうる欠陥所在個所まで十分な光が届かないので、検出困難であることが多い。暗視野撮像モードであれば、フィルタリングによる鏡面反射除去によりセンサ飽和問題を軽減できるものの、ヌーサンスフィルタリングに係るコンテキストも暗視野撮像では失われる。加えて、ランダムパターンに関しては暗視野撮像が有効でない。
【0023】
本願開示の諸実施形態に係る装置及び方法では、明視野・暗視野間の狭間たるグレイ視野撮像モードを用いる。この撮像モードでは鏡面反射が低減されるが鏡面反射が除去されないので、センサ飽和無しで、より多くの光をデバイス上へともたらすことが可能となる。即ち、欠陥絶対信号が増強される。ウェハパターンが残留することとなり、コンテキストベースその他の先進的ヌーサンスフィルタリングアルゴリズムを用いることができる。
【0024】
本願開示の諸実施形態では、高い数値開口(NA)を有する照明光学系を用いることができる。ウェハ視野照明に関し高い分解能を有するグレイ視野撮像を、構造化マスクパターンで以て又はそれ抜きで達成することができる。ウェハ表面在、ウェハ表面より上方、或いはウェハ表面より下方となるよう、照明焦点を独立的に調整することができる。集光焦点を最適化して欠陥検出を改善することができる。そのグレイ視野撮像にて、構造化マスクパターンを、ウェハ平面照明に関する高い分解能、独立的に調整可能な照明及び集光焦点、或いはそれらの組合せと、併用することができる。
【0025】
図1はシステム100を示す図である。構造化マスクパターンの像を、縮小無しでウェハ114の表面上に形成することができる。高分解能且つ略回折制限性な照明光学系で以て、構造化マスクパターンをウェハ平面上に投射し、鮮明な縁を良好に画定することができる。大略、本システム100は、ウェハ114に光を差し向け(或いはその上を光で走査し)そこから光を検出することでウェハ114に係る光学ベース出力を生成するよう、構成されている。ウェハ114が開示されているが、レティクルその他のワークピースも撮像することができる。
【0026】
図1には中心照明が描かれているが、リング状照明にすることもできる。アパーチャ形状は変更可能である。照明数値開口は変更可能であり、例えば0~0.9とすることができる。集光路数値開口は変更可能であり、少なくとも0.9とすることができる。
【0027】
光源101では光ビーム104が生成される。光源101は、一通り又は複数通りの入射角、例えば一通り又は複数通りの斜め角及び/又は一通り又は複数通りの直交角を含むそれにて光をウェハ114に差し向けるよう、構成されている。概念的には、どのような波長域に関してもグレイ視野を用いることができる。その最適波長は、通常、ウェハスタック素材に依存する。例えば、ウェハ3Dスタック内に相当量のシリコン又はポリシリコンが含まれているのなら、近赤外波長を用いるのがよい。また例えば、そのウェハ素材が透明であるのなら、可視波長又は深紫外(DUV)波長を用いることで、光学的分解能をより良好にすることができる。
【0028】
一例としては、光源101を、広帯域プラズマ(BBP)光源を有するものとすることができる。こうすることで、光源101により生成されウェハ114に差し向けられる光に広帯域光を含めることができる。とはいえ、光源101が、例えばレーザや発光ダイオード(LED)等、他の何れの好適光源を有していてもよい。そのレーザ又はLEDが本件技術分野で既知な何れの好適形態を有していてもよく、また本件技術分野で既知な何れの好適波長又は波長群にて光を生成するようその光源101が構成されていてもよい。加えて、光源101を、単色又は近単色な光を生成するよう構成してもよい。こうすることで、その光源101を狭帯域レーザとすることができる。また、光源101を、複数通りの離散波長又は波帯にて光を生成する多色光源を有するものとしてもよい。
【0029】
光ビーム104の経路上でウェハ114を保持するようチャック115が構成されており、その付近に対物系113が配置されている。その対物系113を光ビーム104が通り抜けている。描写容易化のため矢印で光ビーム104の経路を示してある。
【0030】
本システム100には、光ビーム104によりウェハ114上を走査させるよう構成された走査サブシステムをも、設けることができる。その走査サブシステムには、何であれ好適な機械及び/又はロボットアセンブリ(チャック115を有するもの)を組み込むことができ、またそれを、光で以てウェハ114上を走査しうるようウェハ114を動かせる構成のものとすることができる。これに加え又は代え、本システム100の1個又は複数個の光学素子によりウェハ114上である種の光走査が実行されるよう、そのシステム100を構成してもよい。光によるウェハ114上の走査は、例えば蛇状路又は螺旋路に沿うもの等、どのような好適形式で行ってもよい。
【0031】
オプション的なレンズ105、可調照明アパーチャ120、中継レンズ106、オプション的な構造化マスク107、第1ミラー108、第1可動焦点レンズ109、第1チューブレンズ110(3個のレンズが描かれているが他の個数でもよい)、並びに第2ミラー111が、光ビーム104の経路上、光源101・対物系113間に配置されている。照明路を光源101からウェハ114までとすることができる。照明アパーチャ120は、光ビーム104の経路上、光源101・中継レンズ106間又はオプション的レンズ105・中継レンズ106間に配置されている。第1チューブレンズ110は中継レンズ106・対物系113間に配置されている。構造化マスク107は光源101・第1可動焦点レンズ109間に配置されている。第1可動焦点レンズ109は第1チューブレンズ110・中継レンズ106間に配置されている。
【0032】
第1可動焦点レンズ109は、矢印で以て描かれている通り、(例えばアクチュエータを用い)光ビーム104の経路に沿い並進させることができる。第1可動焦点レンズ109を調整することで、ウェハ114の表面を基準にして構造化マスク107のパターンを合焦させることができる。第1可動焦点レンズ109とウェハ114(例.そのウェハ114の上面)との間の運動関係は、実施されている光学デザイン、例えば照明数値開口、波長及び倍率により左右されうる。例えばある実施形態ではその比が1000:1とされうる。別の実施形態ではその比が500:1とされうる。ウェハ114のz方向沿い運動域は、通常は15μm未満である。ウェハ114から2D撮像カメラ102のカメラ平面に至る集光路によりウェハ114、並びにもしあるなら構造化マスク107、の像を形成することができる。
【0033】
第3ミラー112、第2チューブレンズ116、ズームレンズ117及び第2可動焦点レンズ118が、ウェハ114にて反射された光ビーム104の経路上、対物系113・2D撮像カメラ102間に配置されている。第2可動焦点レンズ118は、矢印で以て描かれている通り、(例えばアクチュエータを用い)光ビーム104の経路に沿い並進させることができる。第2チューブレンズ116は、光ビーム104の経路上、第2可動焦点レンズ118・対物系113間に配置されている。第2可動焦点レンズ118とウェハ114(例.そのウェハ114の上面)との間の運動関係は、実施されている光学デザインフォーム、倍率、数値開口その他の変数により左右されうる。
【0034】
本システム100に、他の多数の屈折性及び/又は反射性光学素子を組み込み、それらの連携により、その光学素子からの光をウェハ114に合焦させることができる。即ち、本システム100に、他のあらゆる好適な光学素子(図示せず)を組み込むことができる。そうした光学素子の例としては、これに限られるものではないが偏向部材(群)、分光フィルタ(群)、空間フィルタ(群)、反射性光学素子(群)、アポダイザ(群)、ビームスプリッタ(群)、アパーチャ(群)等があり、また本件技術分野で既知であり好適なあらゆる類種光学素子がそれらのなかに含まれうる。加えて、光学ベース出力生成に用いられる照明の種類を踏まえ、照明サブシステム構成要素のうち1個又は複数個を変えうるよう、本システム100を構成することができる。例えば、入射ターゲットの照明角を好適なものにすべく、照明アパーチャ(瞳面)を、照明瞳全体の随所にて環状、円形、弧状、半月状又はスリット部形態を採るものとすることができる。
【0035】
2D撮像カメラ102は、対物系113経由でウェハ114から反射されてきた光を受光するよう構成されている。2D撮像カメラ102はウェハのグレイ視野像を生成するよう構成されている。
【0036】
2D撮像カメラ102は本件技術分野にて既知で好適な何れの検出器ともすることができる。例えば、2D撮像カメラ102を電荷結合デバイス(CCD)、時間遅延積分(TDI)カメラその他、本件技術分野にて既知で好適な何れの検出器ともすることができる。2D撮像は、ウェハ114を走査運動させることや、フォトダイオードアレイ、光電子増倍管(PMT)又はアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれうる1D又は点状検出器を走査運動させることによっても、達成することができる。2D撮像カメラ102には非撮像型検出器も撮像型検出器も含まれうる。
【0037】
オプション的な構造化マスク107が、光ビーム104の経路上、光源101・対物系113間に配置されている。一例として、構造化マスク107の配置先が、光ビーム104の経路上、中継レンズ106・第1可動焦点レンズ109間、或いは中継レンズ106・第1ミラー108間とされている。第1可動焦点レンズ109を用いウェハ114の上面からの距離を最良合焦面距離に調整すると、その構造化マスクのパターンの共役像がウェハ平面上に形成される。
【0038】
構造化マスク107によりアパーチャ119が画定されている。
図1の挿入枠内にある構造化マスク107の上面図中に、それらを示す。光ビーム104に由来する光がそれらアパーチャ119を通り抜ける。構造化マスク107のアパーチャ119間領域では光ビーム104がブロックされる。光ビーム104のうち一部分を構造化マスク107によりブロックすることができる。構造化マスクパターンには、その用例次第で、図示のものとは異なるデューティサイクルや異なる幾何形状を持たせることができる。例えば、チェッカー盤パターンを構造化マスク107に持たせることができる。
【0039】
構造化マスク107は様々な方法で形成することができる。例えば、クロムパターン付のエリアにより光がブロックされるクロムオンガラスで、構造化マスク107を作成することができる。構造化マスク107を金属、グラファイトその他の素材のシートから切り出すこともできる。光学的な干渉又は回折現象により暗/明照明パターンを実現することで、構造化マスク107を実現することもできる。
【0040】
構造化マスク107の縁を画定するフィーチャの厚みが結果に影響しうる。クロムオンガラスの場合は、クロムパターン厚を0.5μm未満にした方がよい。金属片の場合は、そのパターン厚を250μmとすることができる。
【0041】
構造化マスク107を用い形成される照明領域間の距離も撮像に影響しうる。用途が異なれば用いるマスク構成も変わるものの、アパーチャ119の幅を小さくすることでグレイ画像に影響を及ぼせる。
【0042】
図1に示す通り、構造化マスク107のパターンはウェハ平面に対し共役な平面に配置される。そのパターン幾何は、半ピッチで以て光を透過させ他の半ピッチで以て光をブロックする2D格子とすることができるが、他のピッチ値にすることも可能である。どのようなデューティサイクルも用いることができる。
【0043】
構造化マスクパターンの一例を
図2に示す。このパターンが光源により照明され、照明アパーチャによりその構造化マスク上への入射角が制限される。構造化マスク107・ウェハ平面間の光学システムにより、その構造化マスクパターンの像が縮小を伴いつつウェハ平面上に形成される。略回折制限性な光学性能を呈する数値開口(例.0.9)を用いた場合、その構造化マスクパターンにより、1個又は複数個の良好画定縁を伴う鮮明像がウェハ平面に形成される。良好画定縁で以て、明瞭な境界線を、直接照明エリア・グレイ視野撮像エリア間に形成することができる。ウェハ検査では、グレイ視野撮像エリアにより検査ケアエリアを画定することができる。鮮明な境界線を以て、想定されているグレイ視野撮像エリア内への直接光の入り込みを排することができ、そのケアエリア内で確と均一感度にすることができる。視野上での構造化マスクパターン輝度によりウェハパターンを変調することができる。第1可動焦点レンズ109を調整することで、ウェハスタック内欠陥深度に従い、構造化マスク107の合焦先を(例.
図1中のz方向に沿い)ウェハ114の表面、その上方又はその下方とすることができる。ウェハ像は集光光学系を通じ2D撮像カメラ102上に集光される。第2可動焦点レンズ118を調整することで、2D撮像カメラ102により捕捉されるウェハパターン像を、ウェハ114の表面、その上方又はその下方の像とすることができる。焦点の在所をウェハの表面、その上方又はその下方の何れとするかは、撮像アプリケーションの種類又はウェハにより左右されうる。
【0044】
アクチュエータ(図示せず)を用い、構造化マスク107を、光ビーム104内外へと並進させること、及び/又は、
図1に示す如く光ビーム104に対し傾斜させることができる。
【0045】
翻って、
図1では、プロセッサ103が2D撮像カメラ102と電子通信している。プロセッサ103は、2D撮像カメラ102からのグレイ視野像中の欠陥を識別するよう構成されている。
【0046】
図3は、
図2の構造化マスクが用いられておりウェハが鏡面であるときのグレイ視野像の例である。
図2の構造化マスクパターンは2D二値格子である。光が暗ゾーンにてブロックされ明ゾーンにて透過される。
図3では構造化マスクパターンによりウェハパターンの輝度が変調され、それらが細い縦輝線となっている。このウェハパターンは3D構造を有している。
図2中の暗ゾーンがグレイゾーンとなり、ブラックドット(欠陥)が目立っている。明ゾーン内でブラックドットを見分けるのはより難しい。
図3では観測可能な欠陥信号が明ゾーン内になく、恐らくはウェハ表面からの強い鏡面反射により圧倒されている。
【0047】
図3では、回折、下面からの二次反射その他のスタック内光学作用を通じ、3Dウェハ構造に係る暗ゾーン内に明ゾーン内の光を漏らすことができる。漏れる光の量は、そのウェハ、照明波長、構造化マスク内アパーチャの形状及び寸法その他のパラメタにより左右されうる。暗ゾーンがグレイに見え、背面照明されているかのように見える。即ち、その構造化マスクのアパーチャ間領域がグレイになる。明ゾーンから暗ゾーン内への光漏れにより、鏡面反射光をなくすことができ欠陥信号が目立つようになる。このグレイ視野撮像機構は、欠陥検出向け注目領域の隣にあるエリアを直接照明することにより実現することができる。ウェハの3D構造により、その注目領域の見掛けをグレイにすることができる。スタック内に埋没している欠陥やスタック表面付近にある欠陥を、直接照明エリアでのそれより目立たせることができる。
【0048】
ウェハ114の表面のうち一部又は全部が撮像されるよう、光ビーム104に対しそのウェハ114を走査運動させることができる。これにより、そのウェハ114の表面全体に亘り欠陥を捉えることが可能になる。
【0049】
照明焦点及び集光焦点を調整することで、構造化マスクの有無によらずグレイ視野撮像を行うことができる。
図4に、下側に示されている像に係る照明焦点・集光焦点間関係を示す。
【0050】
下側ウェハ像上で右から左にかけ、(例.
図1中の構造化マスク107を傾斜させることで)照明焦点が徐々にウェハzスタック内へと動かされている。
図1の集光路では、ウェハ平面及びカメラ平面の双方が光軸に対し直交している。その構造化マスクパターンの境界線が、右から左に行くにつれ、より曖昧になっている。これも注記されることに、ウェハパターン(縦線)の鮮明さと、明ゾーンにおける欠陥の見えやすさとが、照明焦点がウェハ表面下で徐々に動くにつれ、右から左にかけ高まっている。仮に従来の明視野投光照明型ウェハ検査照明方式であったとしたら、ウェハパターンの鮮明さが左から右にかけ均一となっていたであろう。
【0051】
構造化マスク107を傾斜させる際に用いられる角度域は、その用途により左右されうる。一例としては、離焦範囲が約10~20焦点深度、例えばウェハ平面での0.3~0.5°と等価たりうるそれとなるよう、その構造化マスクを傾斜させることができる。
【0052】
図4の実施形態では構造化マスクを傾斜させているが、その構造化マスク107を光ビーム104の経路から除去することもできる。
【0053】
この配列では、照明複合体(構造化マスク~ウェハ)及び集光複合体(ウェハ~2D撮像カメラ)の相独立な焦点調整が可能である。高い数値開口と回折制限性の照明光学系とを用いた場合、ウェハ上の照明パターンがある限られた焦点深度を呈することとなるので、ウェハ内における照明光強度z方向分布を、従来の非回折制限性照明光学系でのそれに比し狭めることができる。このことが、照明されているウェハスタックの照明光強度z方向分布を限定するのに役立つこととなる。ウェハ表面下で照明焦点をシフトされることで、表面反射の強度を下げることができる。画像経路焦点を独立的に調整することで、パターン鮮明度の改善又は欠陥信号の改善を達成することができる。
図4に示すものでは、(その構造化マスクパターンを傾斜させることで)照明焦点を右から左にかけウェハ表面下で徐々に動かしている。
【0054】
ウェハ平面及びカメラ平面が光軸に対し直交していなくてもよい。光学性能が非回折制限的な旧来型照明を用いる場合は、像面全体を、同一のウェハパターン鮮明度を呈するものとすべきである。これに対し、本画像では、X方向位置のみにより、カメラにて鮮明な焦点が形成される。言い換えれば、照明焦点のz方向位置により画像鮮明度を変調することができる。ウェハ表面下で照明焦点を調整しウェハ表面にて光路焦点を撮像することで、表面パターンからの鏡面反射を減らすこと及びその面付近の欠陥をより目立たせることができる。
【0055】
一例としては、照明光学系の数値開口、サイズ、形状及び/又は偏向を調整することで、そのグレイゾーンの背面照明z深度を最適化することができる。ウェハスタック内電磁界分布を変化させることができる。従って、相異なる深度にある欠陥を選択的に強調することができる。
【0056】
光の波長、照明角その他のパラメタを、ウェハ114の素材に従い変化させることができる。例えばポリシリコン構造向けでは、結晶シリコン又はシリコン酸化物向けのそれと比し波長を違えることができる。場合によっては、波長よりも照明角の方がある種の素材に影響を及ぼしうる。
【0057】
翻って、
図1にて提示されているシステム100は、本願記載のシステム実施形態に組み込むことができ或いは本願記載のシステム実施形態にて用いられる光学ベース出力を生成することができる構成を、概述するためのものである。市販の出力獲得システムを設計する際に通常行われている通り、本願記載のシステム100の構成を改変し、そのシステム100の性能を最適化することができる。加えて、本願記載のシステムを、既存システムを用い(例.既存システムに本願記載の機能を付加することで)実現することができる。その種のシステムによれば、本願記載の方法を、(例.そのシステムの他の機能に加え)そのシステムのオプション的機能として提供することができる。それに代え、本願記載のシステムを完全に新規なシステムとして設計することもできる。
【0058】
プロセッサ103を、本システム100の諸部材に何らかの好適要領にて(例.1個又は複数個の伝送媒体、例えば有線及び/又は無線伝送媒体を含むそれを介し)結合させることで、そのプロセッサ103にて出力を受け取れるようにすることができる。プロセッサ103は、その出力を用い多数の機能を実行するよう構成することができる。本システム100にて、そのプロセッサ103から命令その他の情報を受け取ることができる。プロセッサ103及び/又は電子データ格納ユニットを、オプション的に、ウェハ検査ツール、ウェハ計量ツール又はウェハレビューツール(図示せず)と電子通信させ、それにより付加的な情報を受け取り又は命令を送ることができる。例えば、プロセッサ103及び/又は電子データ格納ユニットを走査型電子顕微鏡(SEM)と電子通信させることができる。
【0059】
本願記載のプロセッサ103、その他のシステム(群)、或いはその他のサブシステム(群)は、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器その他のデバイスを初め、様々なシステムの一部分とすることができる。その又はそれらのサブシステム又はシステムが、本件技術分野にて既知で好適な何らかのプロセッサ、例えばパラレルプロセッサを有していてもよい。加えて、その又はそれらのサブシステム又はシステムが、スタンドアロンであれネットワーク接続ツールであれ、高速処理プラットフォーム及びソフトウェアを有していてもよい。
【0060】
プロセッサ103を、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せにより実現してもよい。また、本願記載のその諸機能を、単一ユニットにより実行してもよいし、相異なる部材間で分かち合ってもよいし、またそれら部材それぞれをやはりハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せにより実現してもよい。様々な方法及び機能をプロセッサ103に実行・実現させるためのプログラムコード又は命令は可読格納媒体内、例えば電子データ格納ユニット内メモリその他のメモリ内に格納すればよい。
【0061】
本システム100内に複数個のプロセッサ103がある場合、別々のサブシステム同士を結合させ、画像、データ、情報、命令等々をそれらサブシステム間で送れるようにすることができる。例えば、あるサブシステムを他のサブシステム(群)に何れの好適伝送媒体で結合させてもよく、本件技術分野にて既知で好適なあらゆる有線及び/又は無線伝送媒体をそれに含めることができる。それらサブシステムのうち2個以上を、共有型コンピュータ可読格納媒体(図示せず)により実質的に結合させるのでもよい。
【0062】
プロセッサ103は、本システム100の出力その他の出力を用い多数の機能を実行するよう構成することができる。例えば、電子データ格納ユニットその他の格納媒体にその出力を送るよう、プロセッサ103を構成することができる。プロセッサ103は、更に、本願記載の如く構成することができる。
【0063】
プロセッサ103を、本願記載の諸実施形態のうち何れに従い構成してもよい。また、プロセッサ103を、本システム100の出力を用い、或いは他の源泉からの画像又はデータを用い、他の諸機能又は付加的諸ステップを実行するよう、構成してもよい。
【0064】
本願開示のシステム100及び方法の様々なステップ、機能及び/又は動作は、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ又はディジタルコントローラ/スイッチ、マイクロコントローラ、並びに情報処理システムのうち、1個又は複数個により実行される。方法例えば本願記載のそれを実現するプログラム命令をキャリア媒体上で伝送させてもよいし、その上に格納してもよい。そのキャリア媒体には格納媒体、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光ディスク、不揮発性メモリ、固体メモリ、磁気テープ等が含まれうる。キャリア媒体には伝送媒体、例えばワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンクが含まれうる。例えば、本件開示の随所に記載されている様々なステップを、単一のプロセッサ103により実行してもよいし、それに代え複数個のプロセッサ103により実行してもよい。更に、本システム100の様々なサブシステムを、1個又は複数個の情報処理又は論理システムを有するものとしてもよい。従って、上掲の記述は、本件開示に対する限定としてではなく、単なる例証として解されるべきである。
【0065】
図5は一実施形態に係る方法200のフローチャートである。201では、光ビームを光源からチャック上のウェハへと差し向ける。202では、そのウェハにてその光ビームを2D撮像カメラの方へと反射させる。その光ビームの焦点はウェハ表面より下方とされうるが、ウェハ表面より上方又はウェハ表面在とすることもできる。その光ビームによりウェハ表面を横断走査するにつれ、その焦点の深度を変化させることができる。
【0066】
203では、第1可動焦点レンズ及び第2可動焦点レンズを調整することができる。第1可動焦点レンズは、光ビームの経路上、光源・ウェハ間に配置する。第2可動焦点レンズはウェハ・2D撮像カメラ間に配置する。その調整の一環として、照明複合体及び集光複合体に対する独立的な変更を行う。
【0067】
その調整の一環として、構造化マスクが合焦し明ゾーン内の光が暗ゾーン内へと漏れるように第1可動焦点レンズの位置を変更することができる。
【0068】
204では、その2D撮像カメラを用いそのウェハの画像を生成する。この画像はグレイ視野像である。205では、その画像を用い、そのウェハ上における欠陥の所在個所を判別する。この判別にはプロセッサ、例えば
図1のプロセッサ103を用いることができる。そのプロセッサにて、例えば様々な画素における差異を用い、その画像における欠陥の所在個所を判別することができる。そのプロセッサにて画素を近隣画素と比較し、欠陥の存否を判別することができる。
【0069】
光ビームの経路上、光源・第1可動中継レンズ間に構造化マスクを配置し、それを介しその光ビームを差し向けることができる。その構造化マスクにより複数個のアパーチャが画定される。それらアパーチャによりウェハ表面上に明ゾーンが形成される一方、その構造化マスクのアパーチャ間領域によりウェハ表面上に暗ゾーンが形成され、後者がそのウェハに対する3D構造の作用後に集光路上のグレイゾーンとなる。
【0070】
翻って
図1では、プロセッサ103が本システム100と通信している。プロセッサ103は、方法200の諸ステップのうち一部又は全部を実行し或いはそれに係る命令を送るよう構成することができる。
【0071】
付加的実施形態は、コントローラ上で実行可能なプログラム命令であり本願開示の如くコンピュータ実施方法を実行するためのものを格納する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。電子データ格納ユニットその他の格納媒体のなかに、プロセッサ103上で実行可能なプログラム命令が入っている非一時的コンピュータ可読媒体を含めることができる。そのコンピュータ実施方法に、方法200を初め本願記載の何れの方法(群)の何れのステップ(群)を含めてもよい。
【0072】
プログラム命令は、就中、手続きベース技術、要素ベース技術及び/又はオブジェクト指向技術を初め、様々なやり方のうち何れに従い実現してもよい。例えば、ActiveX(登録商標)コントロール、C++オブジェクト、JavaBeans(登録商標)、Microsoft(登録商標)FoundationClass(MFC)、ストリーミングSIMD拡張命令(SSE)その他のテクノロジ又は方法論を望むところに従い用いて、プログラム命令を実現すればよい。
【0073】
1個又は複数個の具体的実施形態を基準にして本件開示を記述してきたが、ご理解頂けるように、本件開示の技術的範囲から離隔することなく本件開示の他の諸実施形態をなすこともできる。従って、本件開示は、添付する特許請求の範囲及びその合理的解釈によってのみ限定されるものと認められる。